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特許拒絶査定不服審判

2022-010705

遊技機

審判番号
2022-010705
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-132932外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月08日
審決日
2023年03月28日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .561-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第159条第1項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-132932「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月29日出願公開、特開2020-175255〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年3月21日に出願した特願2018-53615の一部を令和2年8月5日に新たな特許出願(特願2020-132932)としたものであって、令和3年8月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月6日付けで拒絶の理由が通知され、令和4年2月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年4月1日付け(送達日:同月12日)で、同年2月7日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和4年7月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について

本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、

(補正前:令和3年10月14日付け手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
所定条件に基づいて複数の識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを実行し、当該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記変動表示ゲームに関連する表示を表示可能な表示装置と、当該表示装置を制御可能な演出制御手段を備え、
前記演出制御手段は、
前記識別情報を、前記特別遊技状態とは異なる遊技状態である第1期間中においてキャラクタに係る第1の構成要素と数字に係る第2の構成要素を含む態様で複数表示する第1の表示態様で表示し、前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって、前記第1期間中よりも遊技者に有利な第2期間中において前記第1の表示態様とは異なる態様で複数表示する第2の表示態様で表示し、前記第1期間中または前記第2期間中のいずれの場合でも前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合に前記特別遊技状態である第3期間中において前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる表示態様となる、前記第1の構成要素を含まず前記第2の構成要素を含む態様で単数表示する第3の表示態様で表示することを特徴とする遊技機。」から、

(補正後:令和4年7月8日付け手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
所定条件に基づいて複数の識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを実行し、当該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記変動表示ゲームに関連する表示を表示可能な表示装置と、当該表示装置を制御可能な演出制御手段を備え、
前記演出制御手段は、
通常遊技状態である第1期間中において、キャラクタに係る第1の構成要素と所定の形容で表した数字に係る第2の構成要素を含む態様を複数表示する第1の表示態様で前記識別情報を表示し、
前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって前記第1期間中よりも遊技者に有利であり、前記第1期間よりも後の期間である第2期間中において、前記第1の構成要素を含まない態様であって前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字を複数表示する第2の表示態様で前記識別情報を表示し、
前記第1期間中または前記第2期間中のいずれの場合でも前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合には、前記特別遊技状態である第3期間中において、前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる態様であり、前記第1の構成要素を含まない態様であって前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した数字を単数表示する第3の表示態様で前記識別情報を表示することを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否

(1)本件補正

本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である

ア 「第1期間中」の遊技状態である「前記特別遊技状態とは異なる遊技状態」について、「通常遊技状態」であることを限定し、

イ 「第1の表示態様で表示」される「識別情報」の「第2の構成要素」をなす「数字」について、「所定の形容で表した」ものであることを限定し、

ウ 「第2期間中」について、「前記第1期間よりも後の期間である」ことを限定し、

エ 「第2の表示態様で表示」される「識別情報」の表示態様について、「前記第1の表示態様とは異なる態様で」あるという限定に替えて、その下位概念となる「前記第1の構成要素を含まない態様であって前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字」であることを限定し、

オ 「第3の表示態様で表示」される「識別情報」が「前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる表示態様」であることについて、「表示態様」を「態様」と表現を改めるとともに、「前記第1の構成要素を含まず前記第2の構成要素を含む態様で」あるという限定に替えて、その下位概念となる「前記第1の構成要素を含まない態様であって前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した数字」であることを限定するものである。

(2)補正目的

上記(1)の本件補正は、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)新規事項

ア 本件補正における「数字」の「形容」に係る特定

本件補正により、請求項1及び【0006】において、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」は、「所定の形容で表した」ものであり(上記(1)イ)、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであり(上記(1)エ)、「第3の表示態様で表示」される「数字」は、「前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した」ものであること(上記(1)オ)、すなわち、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものであるとともに、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであることが特定されている。

イ 請求人が主張する補正の根拠

請求人は、本件補正における「数字」の「形容」に係る特定の根拠として、審判請求書において次の主張をしている。

「(2)補正の趣旨及び根拠
(i)補正の根拠
・・・
図98において、図98(a)の数字「777」及び(c)の数字「7」は、ともに丸みを帯びた太字の書体であり『所定の形容で表した数字』に相当する。
また、図98(b)の数字「777」は、図98(a)(c)の書体よりも直線的で細身の書体であり『特定の形容で表した数字』に相当する。
よって、請求項1に係る発明は当初明細書に記載された発明であり、本補正は、特許法第17条の2第3項に規定された要件をみたす。」

ウ 当初明細書等に記載の事項

願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は合議体が付した。

(ア)「【0990】
[第10実施形態]
図98及び図99を参照して、第10実施形態について説明する。なお、以下で述べる以外の構成は、第1実施形態から第9実施形態までの実施形態と同様でよい。第10実施形態は、大当りが発生した場合の識別情報(飾り特別図柄、飾り識別図柄)の表示に関するものである。
【0991】
〔第10実施形態に係る表示装置の表示画面の一例〕
図98は、第10実施形態において、各表示態様で識別情報(識別図柄、飾り特別図柄、飾り識別図柄、飾り第1図柄A~C、本特図)が表示されるときの表示装置41の表示画面の一例を示す図である。
【0992】
まず、図98(a)は、遊技状態が通常遊技状態、すなわち第1期間中であるときに、変動表示ゲーム(特図変動表示ゲーム)の停止結果(表示結果)が大当り結果態様(特別結果態様)、すなわち第1の表示態様となる場合の表示装置41の表示画面である。変動表示領域610(左領域610A(左の変動表示領域610A)、右領域610B(右の変動表示領域610B)、中領域610C(中央の変動表示領域610C))の飾り第1図柄A~C(左図柄611a、右図柄611b、中図柄611c)は、例えば「777」と大当り結果態様で停止しており、表示画面の上部に「!大当り!」の文字が表示されている。
【0993】
第1の表示態様の飾り第1図柄A~Cには、識別情報(図柄)の「7」とともに、キャラクタ(虎たろう)とキャラクタの名前「虎たろう」の文字とが、それぞれ表示される。」
(イ)「【0995】
次に、図98(b)は、遊技状態が特定遊技状態(確変状態、確率変動状態、時短状態)すなわち第2期間中であるときに、変動表示ゲーム(特図変動表示ゲーム)の停止結果(表示結果)が大当り結果態様(特別結果態様)、すなわち第2の表示態様となる場合の表示装置41の表示画面である。変動表示領域610(左領域610A、右領域610B、中領域610C)の飾り第1図柄A~C(左図柄611a、右図柄611b、中図柄611c)は、例えば「777」と大当り結果態様で停止しており、表示画面の上部に「!大当り!」の文字が表示されている。・・・
【0996】
第2の表示態様の飾り第1図柄A~Cには、識別情報(図柄)の「7」のみがそれぞれ大きく表示され、キャラクタやキャラクタの名前の文字は表示されていない。」
(ウ)「【0997】
図98(c)は、遊技状態が特別遊技状態(大当り状態)すなわち第3期間中であるときの表示装置41の表示画面である。・・・
【0998】
また、第3の表示態様の識別情報(図柄)として、表示画面の左下隅の変動表示領域610D(停止図柄表示領域610D)に、大当り結果態様となった際の変動表示ゲーム(特図変動表示ゲーム)の停止結果(表示結果)の識別情報(停止図柄611d)が一つだけ表示される(例えば「7」)。したがって、遊技者は、第3の表示態様の識別情報(停止図柄611d)を視認することで、どの図柄で大当りとなったかをラウンド中に確認することができる。その結果、遊技者は、ラウンド終了後に移行する特定遊技状態(確変状態、確率変動状態、時短状態)の種別を、図柄種別(確変大当り図柄又は通常大当り図柄)からラウンド中にも容易に認識できるようになるので、遊技の興趣を向上させることができる。なお、第3の表示態様の識別情報(停止図柄611d)は、第1の表示態様又は第2の表示態様と略同一の表示態様で表示してもよい。また、ラウンド中に限らず、エンディング中に第3の表示態様の識別情報(図柄)を、表示画面に表示してもよい。さらに、第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のまま軸回転する演出にしてもよい。また、第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のままラウンド中の演出に合わせて軸回転させてもよい。
【0999】
・・・
【1000】
また、識別情報(図柄)は、第1~第3の表示態様の何れにおいても、例えば図柄の数字が赤色で全て表示されるというように、1以上の共通要素を備えるように構成してもよい。」

(エ)【図98】

「
[図:0001398012000001.jpg]
」

エ 合議体の判断

本件補正により、請求項1及び【0006】において、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものであるとともに、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであると特定されたことが新たな技術的事項を導入するものであるか否かを検討する。

(ア)請求人の主張を基礎とする判断

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a 上記イによると、請求人は、「所定の形容で表した数字」に相当するものは「丸みを帯びた太字の書体」であり(図98(a)の数字「777」及び同(c)の数字「7」)、「特定の形容で表した数字」に相当するものは「図98(a)(c)の書体よりも直線的で細身の書体」(図98(b)の数字「777」)であることを補正の根拠として、当初明細書等に記載されている旨主張している。そこで、まず、請求人の主張を基礎として、本件補正により、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「形容」という用語が「書体」を意味すると解釈した場合について検討する。

b この点、たしかに当初明細書等の図98を見ると、図98(a)の数字「777」、図98(b)の数字「777」及び図98(c)の数字「7」について、書体が異なっているようにも見える。

しかし、当初明細書等の明細書には、第1の表示態様~第3の表示態様について、

(a)「第1の表示態様」では、「飾り第1図柄A~C(左図柄611a、右図柄611b、中図柄611c)は、例えば「777」と大当り結果態様で停止しており、」「第1の表示態様の飾り第1図柄A~Cには、識別情報(図柄)の「7」とともに、キャラクタ(虎たろう)とキャラクタの名前「虎たろう」の文字とが、それぞれ表示される」こと(上記ウ(ア))、

(b)「第2の表示態様」では、「飾り第1図柄A~C(左図柄611a、右図柄611b、中図柄611c)は、例えば「777」と大当り結果態様で停止しており、」「第2の表示態様の飾り第1図柄A~Cには、識別情報(図柄)の「7」のみがそれぞれ大きく表示され、キャラクタやキャラクタの名前の文字は表示されていない」こと(上記ウ(イ))、

(c)「第3の表示態様」では、「大当り結果態様となった際の変動表示ゲーム(特図変動表示ゲーム)の停止結果(表示結果)の識別情報(停止図柄611d)が一つだけ表示される(例えば「7」)」こと(上記ウ(ウ))、

がそれぞれ記載されるものの、これらの記載は、各表示態様で表示される識別情報に含まれる数字(例えば、数字「7」)について、その個数及び大きさと、キャラクタやキャラクタの名前の文字とともに表示されるか否かの観点から各表示態様を説明するに留まり、それぞれの識別情報に含まれる数字がどのような「書体」で表示されるかの観点からは何ら記載も示唆もされていない。

c 当初明細書等の明細書【0998】には、「第3の表示態様」について、さらに「第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のまま軸回転する演出にしてもよい」ことや「第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のままラウンド中の演出に合わせて軸回転させてもよい」ことが記載され、同【1000】には、「識別情報(図柄)は、第1~第3の表示態様の何れにおいても、例えば図柄の数字が赤色で全て表示されるというように、1以上の共通要素を備えるように構成してもよい」ことが記載されているが、ここでも、それぞれの識別情報に含まれる数字がどのような「書体」で表示されるかの観点からは何ら記載も示唆もされていない。

d そうすると、請求人は、本件補正の「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「所定の形容で表した」もの、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであるとの補正をしたことの根拠として「書体」の違いであると主張するが、当初明細書等の明細書には、各表示態様で表示される数字「7」の個数及び大きさと、数字「7」とともにキャラクタやキャラクタの名前の文字が表示されるか否か、及び、図柄の数字を表示する色の観点から記載されるに留まり、それぞれの数字がどのような「書体」で表示されるかの観点からは何ら記載も示唆もされていない。

また、当初明細書等の図面の記載から、図98(a)の数字「777」、図98(b)の数字「777」及び図98(c)の数字「7」について、書体が異なっているようにも見えるが、図98(a)の数字「777」及び図98(c)の数字「7」が同じ書体で表示され、図98(b)の数字「777」がそれとは異なる書体で表示されているかどうかははっきりしない。そして、上記のとおり、同明細書には、図98に記載されるそれぞれの数字の書体の異同を裏付ける事項は記載も示唆もされていない以上、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものであるとともに、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであるとする本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、新規事項を追加する補正である。

(イ)特許請求の範囲の記載を基礎とする判断

本件補正により、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「形容」という用語を用いて特定している。

ここで、「形容」という用語は「事物のかたち。ありさま。形状。」(広辞苑 第6版)という意味に解せられるところ、上記(ア)で検討した「書体」のほかに、「数字」の「かたち」乃至「形状」、「数字」が表示される「ありさま」を意味する場合について検討する。

a 当初明細書等の明細書【0998】には、「第3の表示態様」について、「第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のまま軸回転する演出にしてもよい」ことや「第3の表示態様の識別情報を、そのままの図柄(例えば「7」)のままラウンド中の演出に合わせて軸回転させてもよい」ことが記載されている。これより、当初明細書等では、「第3の表示態様」における「数字」の表示について、「そのままの図柄(例えば「7」)のまま」で「軸回転」する態様とすることが記載されているといえるが、「第1の表示態様」における「数字」を軸回転させて表示することは記載も示唆もされていないから、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものには該当しない。

b また、当初明細書等の明細書【1000】には、「識別情報(図柄)は、第1~第3の表示態様の何れにおいても、例えば図柄の数字が赤色で全て表示されるというように、1以上の共通要素を備えるように構成してもよい」ことが記載されているが、第1の表示態様における図柄の「数字」を表示する色と、第3の表示態様における図柄の「数字」を表示する色とを同じ色とすること、乃至、第2の表示態様における図柄の「数字」を表示する色を、第1の表示態様における図柄の「数字」を表示する色又は第3の表示態様における図柄の「数字」を表示する色と異なる色とすることは記載されていないので、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものであるとともに、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであることには該当しない。

c そして、当初明細書等には、「第1の表示態様」~「第3の表示態様」それぞれにおける「識別情報」に含まれる「数字」が表示される「形容」についてその余の事項は記載も示唆もされていないから、「識別情報」に含まれる「数字」が表示される態様について、「第1の表示態様で表示」される「数字」と「第3の表示態様で表示」される「数字」とは、「所定の形容で表した」ものであるとともに、「第2の表示態様で表示」される「数字」は、「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであるとする本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、新規事項を追加する補正である。

(ウ)まとめ

したがって、上記(ア)、(イ)のいずれの解釈を採用したとしても、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討

上記2(3)のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

ところで、上記2(2)のとおり、本件補正により特許請求の範囲でした補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当するから、念のため、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、令和4年7月8日に提出された手続補正書により補正された次のとおりのものであって、合議体が分説をして以下に再掲する。また、それぞれの符号により分説された事項を、以下では「特定A」等という。

「【請求項1】
A 所定条件に基づいて複数の識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを実行し、当該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 前記変動表示ゲームに関連する表示を表示可能な表示装置と、当該表示装置を制御可能な演出制御手段を備え、
B 前記演出制御手段は、
B1 通常遊技状態である第1期間中において、キャラクタに係る第1の構成要素と所定の形容で表した数字に係る第2の構成要素を含む態様を複数表示する第1の表示態様で前記識別情報を表示し、
B2 前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって前記第1期間中よりも遊技者に有利であり、前記第1期間よりも後の期間である第2期間中において、前記第1の構成要素を含まない態様であって前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字を複数表示する第2の表示態様で前記識別情報を表示し、
B3 前記第1期間中または前記第2期間中のいずれの場合でも前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合には、前記特別遊技状態である第3期間中において、前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる態様であり、前記第1の構成要素を含まない態様であって前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した数字を単数表示する第3の表示態様で前記識別情報を表示する
A ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1に記載された発明

原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018-11650号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。

ア 記載事項

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(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
・・・
続きを表示(全11行)
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載された遊技機では、表示手段の表示内容に改良の地余地があり、遊技の興趣が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、始動条件の成立(始動口への遊技球の入球)に基づき実行した図柄(特別図柄)の変動表示が予め定められた特別結果になると、遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を実行可能な遊技機において、通常遊技状態と、該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態とに制御することが可能な遊技状態制御手段(主制御基板101)と、表示手段(画像表示装置14)に演出図柄を表示させ、前記図柄の変動表示中に前記演出図柄の変動表示を伴う変動演出を実行することが可能な変動演出実行手段(演出制御基板102、画像制御基板105)と、を備え、前記変動演出実行手段は、前記通常遊技状態において前記演出図柄を所定の表示態様(第1~第3表示態様)で表示し、前記特定遊技状態において前記演出図柄を前記所定の表示態様よりも装飾性が低い(デザインが簡素、色彩が少ない、暗い色彩など)特定の表示態様(第4表示態様)で表示し、前記特定遊技状態から前記通常遊技状態に移行する場合は、前記表示手段で所定期間(通常遊技状態で発生した大当り遊技(初当たり)から特定遊技状態が連続(継続)して発生している有利期間)における遊技の結果を報知する報知演出(結果報知演出)を実行して前記演出図柄を特定の表示態様から所定の表示態様に切り替えることを特徴とする。」
(イ)「【0011】
図1に示すように、遊技機Yは、遊技盤取付枠Y1と、遊技盤取付枠Y1に対して回動可能に支持されるガラス扉Y2、遊技球が流下する遊技領域2Aが形成されている遊技盤2とを有する。
・・・
【0017】
続きを表示(全32行)
遊技盤2の遊技領域2Aには、枠状の飾り枠29Aと、湾曲形状を呈した内側レール部材29Bと、外側レール部材29Cと、後述する大入賞口8の直下に配置され、遊技球を第2始動口7に誘導可能な誘導経路が上面に形成された誘導部材29Dとが設けられている。
【0018】
飾り枠29Aは、遊技盤2の略中央部に嵌め込まれている。飾り枠29Aの内側には、液晶ディスプレイからなる画像表示装置14が嵌め込まれている。また、飾り枠29Aの内側端部には、演出用役物装置17が設けられている。
・・・
【0022】
遊技領域2Aの下部で、画像表示装置14の下方に、不変であり、且つ、常時入球可能である第1始動口6が設けられている。第1始動口6には、遊技球を検出する第1始動口検出センサ6aが設けられている。第1始動口検出センサ6aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技(特別遊技)を実行するか否かの第1特別図柄抽選が行われる。第1特別図柄抽選の詳細については後述する。また、第1始動口検出センサ6aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、3個)の遊技球が賞球として払い出される(遊技価値が付与される)。
【0023】
第1始動口6の直下に、可変の第2始動口7が設けられている。第2始動口7は、第2始動口制御装置70によって入賞不可能な基本態様(閉態様)又は入賞可能な特別態様(開態様)のいずれかに制御される。第2始動口7にも、遊技球を検出する第2始動口検出センサ7aが設けられている。第2始動口検出センサ7aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技(特別遊技)を実行するか否かの第2特別図柄抽選が行われる。第2特別図柄抽選の詳細については後述する。また、第2始動口検出センサ7aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、3個)の遊技球が賞球として払い出される(遊技価値が付与される)。
・・・
【0028】
入賞ゲート10の下流側には、可変の大入賞口8が設けられている。大入賞口8は、大入賞口制御装置80によって入賞不可能な基本態様又は入賞可能な特別態様のいずれかに制御される。大入賞口8には、遊技球を検出する大入賞口検出センサ8aが設けられている。大入賞口検出センサ8aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、15個)の遊技球が賞球として払い出される(遊技価値が付与される)。
・・・
【0031】
一方、所定条件が成立すると、特別可動片80Aが下端部に形成された回転軸を中心に前方側に回動させることで大入賞口8を遊技球が入球可能なように開放させる。この特別可動片80Aによる大入賞口8の開放が大入賞口8の特別態様を構成する。特別可動片80Aは、大入賞口8を開放するとき、遊技領域2Aから突出した状態になり、流下する遊技球を受けて大入賞口8へ誘導することが可能となる。
【0032】
なお、大入賞口制御装置80についての所定条件とは、上述した第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選(以下、第1特別図柄抽選と第2特別図柄抽選とをまとめて「特別図柄抽選」と総称する)において、特別遊技(大当たり遊技)を実行すると決定されることである。
・・・
【0045】
画像表示装置14は、遊技の進行に応じて様々な静止画や動画を表示することで画像による演出表示を行う。なお、本実施形態においては、画像表示装置14として液晶ディスプレイが用いられているが、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等他の方式の表示装置を用いこともできる。
・・・
【0051】
演出装置は、遊技の進行(状態)に応じて様々な演出を実行する。演出としては、例えば、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選の結果に基づき画像表示装置14で行われる変動演出(特図抽選演出)がある。変動演出(特図抽選演出)は、演出図柄の変動表示と演出図柄の停止表示を伴って行われる。
【0052】
演出図柄の変動表示は、特別図柄の変動表示に対応して行われ、演出図柄が所定の態様で所定時間変動する。演出図柄の停止表示は、特別図柄の停止表示に対応して行われる(以下、演出図柄の変動表示と停止表示をまとめて称呼する場合、「演出図柄表示」という)。演出図柄の停止表示では、演出図柄が特別図柄抽選の結果を表す所定の態様で所定時間停止する。
【0053】
演出図柄は、例えば、画像表示装置14の表示部140の左側領域、中央領域及び右側領域に配列された3列の演出図柄TZ1~TZ3(例えば、「1」から「9」までの数字を表す演出図柄)と、画像表示装置14の表示部140の端側領域に配列された3列の特殊演出図柄TZ4(「1」から「9」までの数字を表す演出図柄)とからなる。演出図柄の変動表示では、各列の演出図柄が、リールが回転しているかのうように、上から下に移動(変動表示)する。なお、演出図柄の変動表示の態様はこれに限られない。また、演出図柄の変動表示中には、特別図柄抽選の結果に応じて、背景画像やキャラクタ等のオブジェクト画像といった様々な演出画像、また、ムービー等が表示される。
【0054】
一方、演出図柄の停止表示においては、画像表示装置14等の表示部140の左側領域、中央領域及び右側領域において、上記の3列の演出図柄TZ1~TZ3が仮停止した後に停止表示し、端側領域において演出図柄TZ1~TZ3の停止表示に合わせて上記3列の特殊演出図柄TZ4が停止表示する。そして、演出図柄の停止表示が行われたときの所定の有効ライン(例えば、表示部140における中央の水平線)上の演出図柄TZ1~TZ3の配列によって特別図柄抽選の結果を報知する。また、特殊演出図柄TZ4の停止表示によって演出図柄TZ1~TZ3が停止表示されたことを報知する。」
(ウ)「【0165】
大当たりの当選により長当たり遊技を実行させ、その後に50回の高確率遊技状態且つ100回の時短遊技状態(確変遊技状態)に設定させる大当たりを「高確率ロング時短長当たり(確変大当たり1)」、大当たりの当選により長当たり遊技を実行させ、その後に50回の高確率遊技状態且つ80回の時短遊技状態に設定させる大当たりを「高確率ミドル時短長当たり(確変大当たり2)」、当選により短当たり遊技を実行させ、その後に50回の高確率遊技状態且つ60回の時短遊技状態に設定させる大当たりを「高確率ショート時短短当たり(確変大当たり3)」と称する。
【0166】
なお、大当たり当選すると、当該大当たり遊技前の状態に関わらず当該大当たり遊技が開始する際に通常遊技状態に設定される。すなわち、大当たり遊技中は、低確率遊技状態且つ非時短遊技状態になる。」
(エ)「【0791】
(各遊技状態における画像表示装置の表示例)
次に、図78を用いて、各遊技状態における画像表示装置14の表示例を説明する。図78(a)は、通常遊技状態中(演出モードA)の表示例であり、図78(b)は、高確率遊技状態中(演出モードB)の表示例であり、図78(c)は、低確時短遊技状態中(演出モードC)の表示例であり、図78(d)は、大当たり遊技中の表示例である。
【0792】
続きを表示(全21行)
図78(a)に示すように、通常遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の上部左側に、演出モードAであることを示す演出モード画像AMGが表示され、表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され、表示部140の下部右側となる演出図柄TZ3と第2保留アイコン表示領域の間に、3つの特殊演出図柄TZ4が横並びで表示される。
【0793】
図78(b)に示すように、高確率遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の上部左側に、演出モードBであることを示す演出モード画像BMGが表示され、表示部140の上部右側に、上述した高確用の表示態様である右打ち画像KMGが表示され、表示部140の上部中央寄りに、上述した高確用の表示態様である大当りの連荘回数画像KRGが表示され、表示部140の下部左側に、上述した高確用の表示態様である高確率残り回数画像KKGが表示され、表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され、表示部140の下部右側となる演出図柄TZ3と第2保留アイコン表示領域143との間に、3つの特殊演出図柄TZ4が横並びで表示される。
【0794】
図78(c)に示すように、低確時短遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の上部左側に、演出モードCであることを示す演出モード画像CMGが表示され、表示部140の上部右側に、上述した時短用の表示態様である右打ち画像ZMGが表示され、表示部140の上部中央寄りに、上述した時短用の表示態様である大当たり連荘回数画像ZRGが表示され、表示部140の下部左側に、上述した時短用の表示態様である時短残り回数画像ZKGが表示され、表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され、表示部140の下部右側となる演出図柄TZ3と第2保留アイコン表示領域143との間に、3つの特殊演出図柄TZ4が横並びで表示される。
【0795】
図78(d)に示すように、大当たり遊技中(オープニング中)においては、画像表示装置14の表示部140の上部右側に、上述した大当たり中の表示態様である右打ち画像OMGが表示され、表示部140の残りの部分に大当たり遊技のオープニングであることを示すオープニング画像OPGが表示される。
【0796】
通常遊技状態中に主として(客待ち演出待機中、実行頻度の高いノーマルリーチ以下の変動演出中など)表示される演出図柄TZ1~TZ3は、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、9種類のキャラクタの何れかを示すキャラクタ画像CYGと、9種類のキャラクタに1対1で対応する1~9の何れかの数字を示す識別画像SGとを重畳した複合画像となっており、装飾性が高い(デザインが複雑、色彩が多い、明るい色彩など)第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)となっている。
【0797】
キャラクタ画像CYGは、9種類の何れかのキャラクタを模した単一画像となっており、識別画像SGは、六角形のベース画像と、1~9の何れかの数字画像(識別子)とを重畳させた複合画像となっている。
【0798】
なお、第1表示態様の演出図柄については、単一の図柄データとしてCGROM105Bbに記憶するようにしてもよいし、図柄ベース画像ZBG、キャラクタ画像CYG、識別画像SGを別々にCGROM105Bbに記憶させ、画像表示装置14に表示する際に合成してもよい。また、識別画像SGを構成するベース画像及び数字画像を別々にCGROM105Bbに記憶させ、画像表示装置14に表示する際に合成してもよい。
【0799】
高確率遊技状態中及び低確時短遊技状態中に主として(客待ち演出待機中、全ての変動演出中に)表示される演出図柄TZ1~TZ3は、1~9の何れかの数字画像(識別子)だけの単一画像となっており、第1表示態様よりも装飾性が低い(デザインが簡素、色彩が少ない、暗い色彩など)第2表示態様の演出図柄(第2演出図柄)となっている。
【0800】
なお、第2表示態様の演出図柄については、単一の図柄データとしてCGROM105Bbに記憶されているが、第1表示態様の演出図柄における識別画像SGを構成する数字画像と同一の形象(形態)であるので、当該数字画像が独立してCGROM105Bbに記憶されている場合には、同じ画像データを用いて画像表示装置14に表示させるようにしてもよい。このようにすると、CGROM105Bbの容量が圧迫されることを抑制することが可能となる。」
(オ)「【1123】
(特定遊技状態に移行する場合の表示例)
次に、図115を用いて、大当たり遊技(低確非時短遊技状態)から特定遊技状態(確変遊技状態)に移行する場合の表示例を説明する。
【1124】
まず、図115(a)に示すように、大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中において、画像表示装置14では、最終ラウンドに応じた大当たり演出表示が行われると共に、遊技領域2Aの右側領域に向けて遊技球を発射することを促す強右打ち画像MUと、大当たり遊技中に遊技者に払い出されることになった賞球数の累計値を示す累計賞球数情報SKと、大当たり遊技の実行契機になった変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが表示される。」

(カ)【図78】(a)~(c)

「
[図:0001398012000002.jpg]
」

(キ)【図115】(a)

「
[図:0001398012000003.jpg]
」

イ 認定事項

(ア)【0792】には、「図78(a)に示すように、通常遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の上部左側に、・・・表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され」と記載され、【0796】には、「通常遊技状態中に主として(客待ち演出待機中、実行頻度の高いノーマルリーチ以下の変動演出中など)表示される演出図柄TZ1~TZ3は、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、9種類のキャラクタの何れかを示すキャラクタ画像CYGと、9種類のキャラクタに1対1で対応する1~9の何れかの数字を示す識別画像SGとを重畳した複合画像となっており、装飾性が高い(デザインが複雑、色彩が多い、明るい色彩など)第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)となっている。」と記載されていることを踏まえると、

図78(a)より、横並びで表示された3つの演出図柄TZ1~TZ3のうち左側の演出図柄TZ1は、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像からなることが看取される。

(イ)加えて、【1124】には、「まず、図115(a)に示すように、大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中において、画像表示装置14では、・・・大当たり遊技の実行契機になった変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが表示される。」と記載されることを踏まえると、

図115(a)より、縮小演出図柄SZが1個表示されること、及び、縮小演出図柄SZは、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小したものであることが看取される。

そして、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄は、通常遊技状態中に主として表示される演出図柄であるから、図115(a)に記載された、第1表示態様の演出図柄を縮小した縮小演出図柄SZが表示される大当たり遊技の実行契機になった変動演出は、通常遊技状態中の変動演出であったと認められる。

以上より、引用文献1には、大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中において、画像表示装置14では、大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが1個表示され、縮小演出図柄SZは、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小したものであることが記載されていると認められる(認定事項1)。

ウ 引用発明

上記アの記載事項及びイの認定事項に基づき、引用文献1には次の引用発明が記載されていると認められる(符号a等は本件補正発明の分説A等に概ね対応させて合議体が付した。)。

引用発明

「a、b 遊技盤2の遊技領域2Aには、枠状の飾り枠29Aが設けられ、飾り枠29Aの内側には、液晶ディスプレイからなる画像表示装置14が嵌め込まれ(【0017】、【0018】)、
遊技領域2Aの下部で、画像表示装置14の下方に、不変であり、且つ、常時入球可能である第1始動口6が設けられ、第1始動口6には、遊技球を検出する第1始動口検出センサ6aが設けられ、第1始動口検出センサ6aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かの第1特別図柄抽選が行われ(【0022】)、第1始動口6の直下に、可変の第2始動口7が設けられ、第2始動口7は、第2始動口制御装置70によって入賞不可能な基本態様(閉態様)又は入賞可能な特別態様(開態様)のいずれかに制御され、第2始動口7にも、遊技球を検出する第2始動口検出センサ7aが設けられ、第2始動口検出センサ7aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かの第2特別図柄抽選が行われ(【0023】)、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選において、大当たり遊技を実行すると決定されると(【0032】)、大入賞口8を遊技球が入球可能なように開放させ(【0031】)、大入賞口8には、遊技球を検出する大入賞口検出センサ8aが設けられ、大入賞口検出センサ8aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、15個)の遊技球が賞球として払い出され(【0028】)、
画像表示装置14は、遊技の進行に応じて様々な静止画や動画を表示することで画像による演出表示を行い(【0045】)、演出としては、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選の結果に基づき画像表示装置14で行われる変動演出があり、変動演出は、演出図柄の変動表示と演出図柄の停止表示を伴って行われ(【0051】)、演出図柄は、画像表示装置14の表示部140の左側領域、中央領域及び右側領域に配列された3列の演出図柄TZ1~TZ3からなり、演出図柄の変動表示中には、特別図柄抽選の結果に応じて、背景画像やキャラクタ等のオブジェクト画像といった様々な演出画像、また、ムービー等が表示され(【0053】)、演出図柄の停止表示が行われたときの所定の有効ライン上の演出図柄TZ1~TZ3の配列によって第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の結果を報知するものであって(【0032】、【0054】)、前記演出図柄の変動表示を伴う変動演出を実行することが可能な変動演出実行手段(演出制御基板102、画像制御基板105)を備えた(【0007】)遊技機Y(【0011】)において、
b 変動演出実行手段(演出制御基板102、画像制御基板105)(【0007】)は、
続きを表示(全12行)
b1 通常遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され(【0792】)、
通常遊技状態中に主として(客待ち演出待機中、実行頻度の高いノーマルリーチ以下の変動演出中など)表示される演出図柄TZ1~TZ3は、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、9種類のキャラクタの何れかを示すキャラクタ画像CYGと、9種類のキャラクタに1対1で対応する1~9の何れかの数字を示す識別画像SGとを重畳した複合画像となっており、装飾性が高い(デザインが複雑、色彩が多い、明るい色彩など)第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)となっていて(【0796】)、
b2 高確率遊技状態中及び低確時短遊技状態中においては、画像表示装置14の表示部140の中央部に、3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され(【0793】、【0794】)、
高確率遊技状態中及び低確時短遊技状態中に主として(客待ち演出待機中、全ての変動演出中に)表示される演出図柄TZ1~TZ3は、1~9の何れかの数字画像(識別子)だけの単一画像となっており、第1表示態様よりも装飾性が低い(デザインが簡素、色彩が少ない、暗い色彩など)第2表示態様の演出図柄(第2演出図柄)となっていて(【0799】)、
大当たり当選すると、当該大当たり遊技前の状態に関わらず当該大当たり遊技が開始する際に通常遊技状態に設定され、大当たり遊技中は、低確率遊技状態且つ非時短遊技状態になるものであって(【0166】)、例えば、高確率ロング時短長当たりは、大当たりの当選により長当たり遊技を実行させ、その後に50回の高確率遊技状態且つ100回の時短遊技状態(確変遊技状態)に設定させる大当たりであり(【0165】)、
第2表示態様の演出図柄については、第1表示態様の演出図柄における識別画像SGを構成する数字画像と同一の形象(形態)であり(【0800】)、
b3 大当たり遊技(低確非時短遊技状態)から特定遊技状態(確変遊技状態)に移行する場合(【1123】)、大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中において、画像表示装置14では、大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが1個表示され、縮小演出図柄SZは、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小したものである(認定事項1)
a 遊技機Y(【0011】)。」

(3)引用文献2に記載された発明

原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-209262号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア 記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大当たり遊技が行われているときに、画像表示部に継続して表示されている装飾図柄を用いた斬新な演出を行うことができれば遊技の興趣向上が期待される。
【0006】
本発明は、上記の着眼点に鑑み、大当たり遊技中に液晶画面に表示される装飾図柄を用いて遊技興趣を高めることが可能な遊技機を提供する。」
(イ)「【0011】
本発明に係る遊技機の好適な実施形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明に係る遊技機を、旧第一種に属する遊技機(所謂デジパチ)に適用した例である。
【0012】
図1は、本実施形態に係る遊技機100の正面図である。図1を参照して遊技機100の基本構成を説明する。遊技機100は、パチンコ遊技機であって、遊技盤101を含む、図1に示された各構成部材を備える。遊技盤101の下部位置には、遊技球を発射するための発射部が配置されている(発射部の詳細構造は図示せず)。尚、上下左右とは、特に記述無き限り、遊技盤101に正対する遊技者から見た上下左右を指し、上下方向も左右方向も遊技盤101の盤面に平行である。上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向に平行である。」
(ウ)「【0032】
遊技機100は、大入賞口109の開放を伴う遊技状態(大当たり遊技状態を含む)を除いて、低確率非電サポ遊技状態である通常遊技状態、低確率電サポ遊技状態、確変遊技状態とも言うべき高確率電サポ遊技状態、及び、高確率非電サポ遊技状態(潜伏確変遊技状態)の内、何れか1つの遊技状態をとる。電サポとは、電チューサポート機能の略であり、詳細については後述する。」
(エ)「【0111】
<第1実施形態>
本実施形態に係る遊技機100では、演出制御部403の制御の下、画像表示部104(画像表示手段)には第1~第3装飾図柄から成る3つの装飾図柄が表示される。
・・・
【0128】
図15は、大当たり遊技中の画像表示部104を示す図であって、図14のステップS4またはS5において縮小図柄503aの表示態様を変更しない状態を示している。図15に示すように、大当たり遊技中の画像表示部104には、画面の左上に大入賞口109の開放回数(ラウンド数)を示すラウンド表示501が表示されている。また、画面の左下部には大当たり遊技中に獲得した賞球数に基づく賞球表示502が表示されている。さらに、画面の右上には大当たりの契機となった装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示されている。大当たりの契機となった装飾図柄とは、大当たりに当選している判定対象TTに対する変動演出においてゾロ目の態様で停止表示された第1~第3装飾図柄(ここでは「6」図柄)の内の1つを指す。また、縮小図柄503aは大当たり遊技中に画像表示部104に表示される装飾図柄を意味するものである。」
(オ)「【0139】
また、通常遊技状態と、それ以外の遊技状態(高確率遊技状態、電サポ遊技状態)とで画像表示部104に変動表示される装飾図柄が異なる場合、大当たり遊技中の画像表示部104には、大当たり遊技開始前の遊技状態に応じた縮小図柄503aが表示される。
【0140】
図18は、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)の画像表示部104を示す図である。確変遊技状態の画像表示部104には、画面の左上に確変遊技状態を示すモード表示506が表示されている。また、確変遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503は、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503(図10参照)とは異なる。そして、確変遊技状態での特図判定において大当たりに当選した場合、図19に示すように、大当たり遊技中の画像表示部104には確変遊技状態において画像表示部104に停止表示される装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示される。これにより、遊技者は通常遊技状態で大当たりしたのか、確変遊技状態で大当たりしたのかを一目で認識することができる。
【0141】
図20は、確変遊技状態での特図判定において大当たりに当選した場合であって、大当たり遊技中昇格演出の実行前に示唆演出を行う場合の、縮小図柄503aの表示態様の一例を示す図である。図20では、縮小図柄503a(「6」図柄)に文字507(「LUCKY」)を付加した例を示している。
【0142】
なお、通常遊技状態において複数のモード(背景)があり、各モードにおいて画像表示部104に変動表示される装飾図柄503が異なる場合は、大当たり遊技中に画像表示部104に装飾図柄503を表示しないようにしてもよい。或いは、大当たりに当選したときの各モードに対応した装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aを大当たり遊技中の画像表示部104に表示するようにしてもよい。また、画像表示部104に変動表示される装飾図柄503がモード(遊技状態)毎に異なる場合であっても、大当たり遊技中に画像表示部104に表示される縮小図柄503aは共通としても良い。」

(カ)【図10】

「
[図:0001398012000004.jpg]
」

(キ)【図15】

「
[図:0001398012000005.jpg]
」

(ク)【図18】

「
[図:0001398012000006.jpg]
」

イ 認定事項

(ア)認定事項1

【0140】には、「図18は、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)の画像表示部104を示す図である。確変遊技状態の画像表示部104には、画面の左上に確変遊技状態を示すモード表示506が表示されている。また、確変遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503は、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503(図10参照)とは異なる。」と記載され、図10から、画像表示部104に白抜き文字の数字6が3個横方向に並んで表示されていることが看取され、図18から、画像表示部104に黒色文字の数字6を、文字に影が付された書体である影付き文字かつ黒色文字の数字6が3個横方向に並んで表示されていることが看取される。

これより、引用文献2には、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として白抜き文字の数字が3個横方向に並んで表示され、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる、影付き文字かつ黒色文字の数字が3個横方向に並んで表示されることが記載されていると認められる(以下「認定事項1」という。)。

(イ)認定事項2

【0128】には、「図15は、大当たり遊技中の画像表示部104を示す図であって、・・・大当たり遊技中の画像表示部104には、・・・画面の右上には大当たりの契機となった装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示されている。大当たりの契機となった装飾図柄とは、大当たりに当選している判定対象TTに対する変動演出においてゾロ目の態様で停止表示された第1~第3装飾図柄(ここでは「6」図柄)の内の1つを指す。また、縮小図柄503aは大当たり遊技中に画像表示部104に表示される装飾図柄を意味するものである。」と記載され、図15から、画像表示部104に白抜き文字の数字6が1個表示されることが看取される。

加えて、【0142】には、「また、画像表示部104に変動表示される装飾図柄503がモード(遊技状態)毎に異なる場合であっても、大当たり遊技中に画像表示部104に表示される縮小図柄503aは共通としても良い。」と記載され、【0139】には、「また、通常遊技状態と、それ以外の遊技状態(高確率遊技状態、電サポ遊技状態)とで画像表示部104に変動表示される装飾図柄が異なる場合、大当たり遊技中の画像表示部104には、大当たり遊技開始前の遊技状態に応じた縮小図柄503aが表示される。」と記載されている。そして、【0139】の「それ以外の遊技状態(高確率遊技状態、電サポ遊技状態)」には、「確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)」が含まれることは明らかであるから、

引用文献2には、大当たり遊技中の画像表示部104には、大当たりの契機となった装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示され、縮小図柄503aは変動演出においてゾロ目の態様で停止表示された第1~第3装飾図柄の内の1つを指し、大当たり遊技開始前の遊技状態が通常遊技状態であっても確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)であっても、白抜き文字の数字が1個表示されることが記載されていると認められる(以下「認定事項2」という。)。

ウ 引用文献2に記載の技術

上記アの記載事項及びイの認定事項に基づき、引用文献2には次の技術(以下「引用文献2に記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

引用文献2に記載の技術

「演出制御部403の制御の下、画像表示部104には第1~第3装飾図柄から成る3つの装飾図柄が表示され(【0111】)、
通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として白抜き文字の数字が3個横方向に並んで表示され、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる、影付き文字かつ黒色文字の数字が3個横方向に並んで表示され(認定事項1)、
大当たり遊技中の画像表示部104には、大当たりの契機となった装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示され、縮小図柄503aは変動演出においてゾロ目の態様で停止表示された第1~第3装飾図柄の内の1つを指し、大当たり遊技開始前の遊技状態が通常遊技状態であっても確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)であっても、白抜き文字の数字が1個表示される(認定事項2)、遊技機100(【0111】)。」

(4)引用文献3に記載の技術

原査定の拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-229737号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア 記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)
(ア)「【0020】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず) と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。・・・
・・・
【0022】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9 は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用) の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。・・・
【0023】
なお、この実施の形態では、演出表示装置9において変動表示される演出図柄は、所定の順序に従って連続性を有するように配列されているものとする。具体的には、この実施の形態では、連続する「1」~「8」のアラビア数字を含む演出図柄を用いて変動表示が行われる。」
(イ)「【0331】
・・・また、例えば、演出表示装置9において大当り図柄を表示するとともに、ラウンド数を示す文字などを表示する演出が実行される。ただし、この場合、例えば、演出表示装置9の表示画面の端の領域において、大当り図柄やラウンド数を示す文字などを縮小表示するなど、大当り遊技中を通して実行される一連の演出と比較して目立たないように表示されることが望ましい。」

イ 引用文献3に記載の技術

上記アの記載事項に基づき、引用文献3には次の技術(以下「引用文献3に記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

引用文献3に記載の技術

「演出表示装置9の表示画面には、「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用) の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがあり(【0022】)、
演出表示装置9において変動表示される演出図柄は、「1」~「8」のアラビア数字を含む演出図柄を用いて変動表示が行われ(【0023】)、
演出表示装置9において大当り図柄を表示するとともに、ラウンド数を示す文字などを表示する演出が実行され、演出表示装置9の表示画面の端の領域において、大当り図柄やラウンド数を示す文字などを縮小表示するなど、大当り遊技中を通して実行される一連の演出と比較して目立たないように表示される(【0331】)、パチンコ遊技機1(【0020】)。」

(5)対比

分説にしたがい、本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定A、Bについて

(ア)引用発明の

「第1始動口6に」「設けられ」た「第1始動口検出センサ6aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かの第1特別図柄抽選が行われ」ること及び「第2始動口7にも」「設けられ」た「第2始動口検出センサ7aが遊技球を検出することを条件に遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かの第2特別図柄抽選が行われ」ること、

「画像表示装置14の表示部140の左側領域、中央領域及び右側領域に配列された3列の演出図柄TZ1~TZ3」、

「第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選の結果に基づき画像表示装置14で行われ」、「演出図柄の変動表示と演出図柄の停止表示を伴って行われ」る「変動演出」、

「演出図柄の停止表示が行われたときの所定の有効ライン上の演出図柄TZ1~TZ3の配列によって」「遊技者にとって有利な大当たり遊技を実行するか否かの」「第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の結果」が「大当たり遊技を実行する」こと「を報知する」こと、

「大当たり遊技を実行すると決定されると」「大入賞口8を遊技球が入球可能なように開放させ」「大入賞口8には、遊技球を検出する大入賞口検出センサ8aが設けられ、大入賞口検出センサ8aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、15個)の遊技球が賞球として払い出され」ること、

「遊技機Y」はそれぞれ、

本件補正発明の

「所定条件に基づ」くこと、

「複数の識別情報」、

「変動表示させる変動表示ゲームを実行」すること、

「当該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合」、

「遊技者に遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能」であること、

「遊技機」に相当する。

してみれば、引用発明の構成a、bは、本件補正発明の特定Aに相当する構成を含んでいる。

(イ)引用発明の

「演出図柄の変動表示中には、特別図柄抽選の結果に応じて、背景画像やキャラクタ等のオブジェクト画像といった様々な演出画像、また、ムービー等が表示され」ること、

「画像表示装置14」、

「遊技の進行に応じて様々な静止画や動画を表示することで画像による演出表示を行」うこと、

「変動演出実行手段(演出制御基板102、画像制御基板105)」はそれぞれ、

本件補正発明の

「前記変動表示ゲームに関連する表示を表示可能」であること、

「表示装置」、

「制御可能」であること、

「演出制御手段」に相当する。

してみれば、引用発明の構成a、bは、本件補正発明の特定Bに相当する構成を含んでいる。

イ 特定B1について

引用発明の

「通常遊技状態」、

「通常遊技状態中」、

「9種類のキャラクタの何れかを示すキャラクタ画像CYG」はそれぞれ、

本件補正発明の

「通常遊技状態」、

「第1期間中」、

「キャラクタに係る第1の構成要素」に相当する。

そして、引用発明の「9種類のキャラクタに1対1で対応する1~9の何れかの数字を示す識別画像SG」は、その構成b2より、「第1表示態様の演出図柄における識別画像SGを構成する数字画像」の「形象(形態)」があることは明らかであるので、本件補正発明の「所定の形容で表した数字に係る第2の構成要素」に相当する。

また、引用発明の

「図柄ベース画像ZBGと」「キャラクタ画像CYGと」「識別画像SGとを重畳した複合画像となって」いる「装飾性が高い(デザインが複雑、色彩が多い、明るい色彩など)第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)」、

「表示される」ことはそれぞれ、

本件補正発明の

「第1の構成要素と」「第2の構成要素を含む態様」、

「表示」することに相当する。

そして、「3つ」は「複数」であるから、引用発明において「第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)となってい」る「3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され」ることは、本件補正発明において「第1の構成要素と」「第2の構成要素を含む態様を複数表示する第1の表示態様で前記識別情報を表示し」ていることに相当する。

してみれば、引用発明の構成b1は、本件補正発明の特定B1に相当する。

ウ 特定B2について

(ア)引用発明の「特定遊技状態(確変遊技状態)」は、本件補正発明の「前記特別遊技状態とは異なる遊技状態」に相当する。

そして、引用発明において、「通常遊技状態」よりも、「特定遊技状態(確変遊技状態)」がより遊技者にとって有利であることは遊技機分野の技術常識を考慮すれば明らかであるから、引用発明の「特定遊技状態(確変遊技状態)」は、本件補正発明の「前記第1期間中よりも遊技者に有利であ」ることに相当する。

また、引用発明の構成b3では、「大当たり遊技(低確非時短遊技状態)から特定遊技状態(確変遊技状態)に移行する場合」、「大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中において、画像表示装置14では、大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが1個表示され」る場合があるとしている。

引用発明の

「大当たり遊技の実行契機になった」「変動演出」が行われている「通常遊技状態中」、

「特定遊技状態(確変遊技状態)」中はそれぞれ、

本件補正発明の

「第1期間」、

「前記第1期間よりも後の期間である第2期間中」に相当する。

よって、引用発明は、本件補正発明の「前記第1期間よりも後の期間である第2期間中」に相当する構成を備えるといえる。

(イ)引用発明の「1~9の何れかの数字画像(識別子)」は、本件補正発明の「数字」に相当し、引用発明の「演出図柄TZ1~TZ3」が「1~9の何れかの数字画像(識別子)だけの単一画像となっており、第1表示態様よりも装飾性が低い(デザインが簡素、色彩が少ない、暗い色彩など)第2表示態様の演出図柄(第2演出図柄)となってい」ることは、「キャラクタ画像CYG」(本件補正発明の「キャラクタに係る第1の構成要素」に相当。)を含まないことを表しているから、本件補正発明の「前記第1の構成要素を含まない態様であ」ることに相当する。

そして、「3つ」は「複数」であるから、引用発明において「第2表示態様の演出図柄(第2演出図柄)となってい」る「3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され」ることは、本件補正発明において「前記第1の構成要素を含まない態様であって」「数字を複数表示する第2の表示態様で前記識別情報を表示し」ていることに相当する。

(ウ)そうすると、引用発明の構成b2と本件補正発明の特定B2とは、「前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって前記第1期間中よりも遊技者に有利であり、前記第1期間よりも後の期間である第2期間中において、前記第1の構成要素を含まない態様であって数字を複数表示する第2の表示態様で前記識別情報を表示し」ている点で共通する。

エ 特定B3について

(ア)上記アの検討より、引用発明の「大入賞口8を遊技球が入球可能なように開放させ」「大入賞口8には、遊技球を検出する大入賞口検出センサ8aが設けられ、大入賞口検出センサ8aが遊技球を検出すると、所定個数(例えば、15個)の遊技球が賞球として払い出され」る「大当たり遊技」が本件補正発明の「特別遊技状態」に相当するから、引用発明の「大当たり遊技の最終ラウンド遊技(16ラウンド)中」は、本件補正発明の「前記特別遊技状態である第3期間中」に相当する。

(イ)引用発明において表示される「第1表示態様の演出図柄を縮小した」「縮小演出図柄SZ」は、「大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す」ものであるから、引用発明において「縮小演出図柄SZが1個表示され」る場合は、本件補正発明の「前記第1期間中」「の場合」に「前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合」を前提としていることは明らかである。

(ウ)本件補正発明の識別図柄の表示である「第1の表示態様」に相当する、引用発明の「第1表示態様の演出図柄(第1演出図柄)」が「3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され」る場合と、本件補正発明の識別図柄の表示である「第2の表示態様」に相当する、引用発明の「第2表示態様の演出図柄(第2演出図柄)となってい」る「3つの演出図柄TZ1~TZ3が横並びで表示され」る場合とはいずれも、「3つの演出図柄」が表示されるから、引用発明において「縮小演出図柄SZが1個表示され」ることは、本件補正発明の「前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる態様であ」ることに相当する。

(エ)引用発明の「数字1を示す識別画像SG」は、本件補正発明の「数字」に相当する。

また、引用発明の「縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小したものである」「縮小演出図柄SZが1個表示され」ることは、「1個」は「単数」であるから、本件補正発明の「数字を単数表示する第3の表示態様で前記識別情報を表示する」ことに相当する。

(オ)そうすると、引用発明の構成b3と本件補正発明の特定B3とは、「前記第1期間中の場合、前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合には、前記特別遊技状態である第3期間中において、前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる態様であり、数字を単数表示する第3の表示態様で前記識別情報を表示する」という点で共通する。

オ 一致点及び相違点

上記ア~エより、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。

[一致点]

「A 所定条件に基づいて複数の識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを実行し、当該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 前記変動表示ゲームに関連する表示を表示可能な表示装置と、当該表示装置を制御可能な演出制御手段を備え、
B 前記演出制御手段は、
B1 通常遊技状態である第1期間中において、キャラクタに係る第1の構成要素と所定の形容で表した数字に係る第2の構成要素を含む態様を複数表示する第1の表示態様で前記識別情報を表示し、
B2’ 前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって前記第1期間中よりも遊技者に有利であり、前記第1期間よりも後の期間である第2期間中において、前記第1の構成要素を含まない態様であって数字を複数表示する第2の表示態様で前記識別情報を表示し、
B3’ 前記第1期間中の場合、前記変動表示ゲームが前記特別結果となった場合には、前記特別遊技状態である第3期間中において、前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる態様であり、数字を単数表示する第3の表示態様で前記識別情報を表示する
A 遊技機。」

[相違点]

(ア)相違点1(特定B2)

第2期間中における識別情報として複数表示する第2の表示態様の「数字」について、本件補正発明では「前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した」ものであるのに対し、引用発明の特定遊技状態(確変遊技状態)における第2表示態様の演出図柄のうち、1~9の何れかの数字画像(識別子)だけの単一画像は、第1表示態様の演出図柄における識別画像SGを構成する数字画像と同一の形象(形態)であるので、両者の形象(形態)が異なるものではない点。

(イ)相違点2(特定B3)

識別情報を第3の表示態様で表示する契機となる変動表示ゲームが特別結果となった場合の期間について、本件補正発明では「第2期間中の」「場合でも」第3の表示態様で表示を行うのに対し、引用発明では、大当たり遊技の実行契機になった変動演出が特定遊技状態(確変遊技状態)の場合に第1表示態様の演出図柄を縮小した表示を行うかどうか不明である点。

(ウ)相違点3(特定B3)

変動表示ゲームが特別結果となった場合に、特別遊技状態である第3期間中における識別情報として単数表示する第3の表示態様の「数字」について、本件補正発明では「前記第1の構成要素を含まない態様であって前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した」ものであるのに対し、引用発明において、大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが1個表示され、縮小演出図柄SZは、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小したものである点。

(6)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点1(特定B2)について

(ア)引用文献2に記載の技術は上記(3)ウに記載したとおりであり、以下に再掲する。

引用文献2に記載の技術

「演出制御部403の制御の下、画像表示部104には第1~第3装飾図柄から成る3つの装飾図柄が表示され(【0111】)、
通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として白抜き文字の数字が3個横方向に並んで表示され、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503として、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる、影付き文字かつ黒色文字の数字が3個横方向に並んで表示され(認定事項1)、
大当たり遊技中の画像表示部104には、大当たりの契機となった装飾図柄503を縮小した縮小図柄503aが表示され、縮小図柄503aは変動演出においてゾロ目の態様で停止表示された第1~第3装飾図柄の内の1つを指し、大当たり遊技開始前の遊技状態が通常遊技状態であっても確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)であっても、白抜き文字の数字が1個表示される(認定事項2)、遊技機100(【0111】)。」

(イ)引用文献2に記載の技術の

「通常遊技状態」、

「確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)」、

「白抜き文字」、

「数字」、

「装飾図柄503として白抜き文字の数字が3個横方向に並んで表示され」ること、

「装飾図柄503」、

「遊技機100」はそれぞれ、

本件補正発明の

「通常遊技状態である第1期間中」、

「前記特別遊技状態とは異なる遊技状態であって前記第1期間中よりも遊技者に有利であ」る「第2期間中」、

「所定の形容」、

「数字」、

「第1の表示態様」、

「識別情報」、

「遊技機」に相当する。

また、新規事項について判断を示した上記2(3)エ(イ)に示したとおり、「形容」という用語は「事物のかたち。ありさま。形状。」(広辞苑 第6版)という意味に解せられるところ、引用文献2に記載の技術において、「白抜き文字」と「影付き文字かつ黒色文字」とは、少なくとも、文字に「影」が付されているか、あるいは付されていないかという点で、「かたち」乃至「形状」が相違するといえるから、

引用文献2に記載の技術の

「通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる」こと、

「影付き文字かつ黒色文字」、

「装飾図柄503として」「影付き文字かつ黒色文字の数字が3個横方向に並んで表示され」ることはそれぞれ、

本件補正発明の

「前記所定の形容とは異なる」こと、

「特定の形容」、

「第2の表示態様」に相当する。

(ウ)そうすると、引用文献2には、確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)では、装飾図柄503として、通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる、影付き文字かつ黒色文字の数字が3個横方向に並んで表示される遊技機100が記載されているといえる。

引用発明と引用文献2に記載の技術とは、通常遊技状態と高確率遊技状態のいずれの場合の変動表示においても、3つの演出図柄が横並びで表示されるとともに、通常遊技状態と高確率遊技状態とでは演出図柄の見た目が異なるという点で共通するから、引用発明の高確率遊技状態中及び低確時短遊技状態中における第2表示態様の演出図柄の、1~9の何れかの数字画像(識別子)の形象(形態)について、引用文献2に記載の技術の技術を採用して、通常遊技状態中における第1表示態様の演出図柄における数字画像の形象(形態)と異なるものとすることにより、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2及び相違点3(特定B3)について

相違点2及び相違点3は、識別情報を表示する第3の表示態様に関するという点で関連するのでまとめて検討する。

(ア)上記ア(イ)より、引用文献2に記載の技術の「通常遊技状態」、「確変遊技状態(高確率電サポ遊技状態)」、「白抜き文字」、「数字」、「装飾図柄503」、「通常遊技状態において画像表示部104に変動表示される装飾図柄503とは異なる」こと、「影付き文字かつ黒色文字」がそれぞれ、本件補正発明の「第1期間中」、「第2期間中」、「所定の形容」、「数字」、「識別情報」、「前記所定の形容とは異なる」こと、「特定の形容」に相当し、さらに、引用文献2に記載の技術の「大当たり遊技中」は、本件補正発明の「特別遊技状態である第3期間中」に相当する。

そして、引用文献2に記載の技術において、「大当たり遊技中の画像表示部104には、」「縮小図柄503a」として「白抜き文字の数字が1個表示される」ことは、本件補正発明の「前記第1の構成要素を含まない態様であ」ること、及び、「前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した数字を単数表示する」ことに相当する。

(イ)ここで、引用発明の構成b1及び引用文献2に記載の技術より、大当たり遊技中に、大当たりの契機となった図柄を縮小した縮小図柄を1個表示することは従来周知の技術であるといえる。

また、上記(4)イに示した引用文献3に記載の技術は、大当り遊技中に、大当り図柄を表示する場合、表示画面の端の領域において大当り図柄を縮小表示するなど、大当り遊技中を通して実行される一連の演出と比較して目立たないように表示するという技術思想を示しているといえる。

そうすると、大当たり遊技の実行契機になった通常遊技状態中の変動演出で停止表示された演出図柄を示す縮小演出図柄SZが1個表示され、縮小演出図柄SZは、縦長な矩形状の図柄ベース画像ZBGと、キャラクタ画像CYGと、数字1を示す識別画像SGとを重畳した複合画像である第1表示態様の演出図柄を縮小する引用発明に、引用文献2に記載の技術を採用する際に、上記の従来周知の技術及び引用文献3に記載の上記技術思想を考慮して、大当たり遊技の実行契機になった変動演出の遊技状態が、通常遊技状態中のみならず確変遊技状態中のいずれの場合でも、通常遊技状態中における第1表示態様の演出図柄における数字画像の形象(形態)と同じ数字画像を縮小した縮小演出図柄を1個表示する構成とすることにより、上記相違点2及び相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 請求人の主張について

(ア)請求人は、審判請求書において、次の主張をしている。

「このように、引用文献1-3には、いずれも第1期間中(通常遊技状態)と第3期間中(特別遊技状態)とがともに『所定の形容で表した数字』が表示され、第2期間中(第1期間中よりも遊技者に有利な期間)において『所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字』が表示されることの開示がない。
このため、引用文献1-3は、いずれも本願発明が備える特徴的構成に相当する内容の開示を欠く。
このため、引用文献1-3に開示の発明によれば、いずれの遊技状態であっても図柄の数字の書体に変化がないことから、『第2期間中』の図柄表示に特別感が高められることがなく、本願発明が奏する効果と同等の効果を奏し得ない。
よって、引用文献1-3に開示の発明との対比において本願発明が奏する有利な効果を参酌すれば、本願発明は、引用文献1-3に開示の発明に基づいて進歩性を欠くものではない。」

(イ)請求人の上記主張は、

a 「引用文献1-3には、いずれも第1期間中(通常遊技状態)と第3期間中(特別遊技状態)とがともに『所定の形容で表した数字』が表示され、第2期間中(第1期間中よりも遊技者に有利な期間)において『所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字』が表示されることの開示がない。」こと、及び、

b 「引用文献1-3に開示の発明によれば、いずれの遊技状態であっても図柄の数字の書体に変化がない」ことであると解される。

(ウ)しかし、本件補正発明の「形容」という事項が、「書体」を意味するものと限定的に解釈する理由はないから、上記bの主張を採用することはできない。

また、新規事項について判断を示した上記2(3)エ(イ)に示したとおり、「形容」という用語は「事物のかたち。ありさま。形状。」(広辞苑 第6版)という意味に解せられ、その解釈の下、本件補正発明の「第1期間中」と「第3期間中」に「所定の形容で表した数字」が表示され、「第2期間中」に「所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字」が表示されることに相当する構成は、上記ア、イに示したとおり、引用文献2に記載されているから、上記aの主張も採用することができない。

エ まとめ

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2に記載の技術、引用文献3に記載の技術及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(7)むすび

上記(1)~(6)において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下された。

そして、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2の1」で補正前として示したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・引用文献等:1-3

<引用文献等一覧>

1.特開2018-11650号公報

2.特開2016-209262号公報

3.特開2011-229737号公報

3 引用文献1~3に記載の事項

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1~3の記載事項は、上記「第2の3」(2)~(4)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2の2」(1)において検討したとおり、本件補正発明において、発明を特定するために必要な事項である

(1)「第1期間中」の遊技状態の「前記特別遊技状態とは異なる遊技状態」について、「通常遊技状態」であることの限定を省き、

(2)「第1の表示態様で表示」される「識別情報」の「第2の構成要素」をなす「数字」について、「所定の形容で表した」ものであることの限定を省き、

(3)「第2期間中」について、「前記第1期間よりも後の期間である」ことの限定を省き、

(4)「第2の表示態様で表示」される「識別情報」の表示態様について、「前記第1の構成要素を含まない態様であって前記所定の形容とは異なる特定の形容で表した数字」であることの限定に替えて、その上位概念となる、「前記第1の表示態様とは異なる態様で」あることを限定し、

(5)「第3の表示態様で表示」される「識別情報」が「前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる表示態様」であることについて、「態様」を「表示態様」と表現を改めるとともに、「前記第1の構成要素を含まない態様であって前記特定の形容ではなく前記所定の形容で表した数字」であることの限定に替えて、その上位概念となる「前記第1の構成要素を含まず前記第2の構成要素を含む態様で」あることを限定するものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、上記(1)~(5)の限定を有するか下位概念で特定されたものである本件補正発明が、上記「第2の3」(6)において記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載の技術、引用文献3に記載の技術及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明、引用文献2に記載の技術、引用文献3に記載の技術及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載の技術、引用文献3に記載の技術及び従来周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-010705

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