特許拒絶査定不服審判
2023-000959
遊技機
- 審判番号
- 2023-000959
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-059165外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年01月20日
- 審決日
- 2023年09月20日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ソフイア
- 【請求人代理人】荒船 良男
- 【請求人代理人】弁理士法人光陽国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .561-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 59165「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月 7日出願公開、特開2021-153993〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月27日に出願した特許出願(特願2020-59165)であって、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 4年 4月 1日付け:拒絶理由通知書
5月31日 :意見書、手続補正書の提出
8月 1日付け:拒絶理由通知書(最後)
10月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同月27日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
11月 8日 :原査定の謄本の送達
令和 5年 1月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年1月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年1月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和4年5月31日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
(本件補正前の請求項1)
「表面に電子部品が実装された基板と、該基板を内部に収納するための基板ボックスとを備えた遊技機において、
前記基板には所定の情報が記載され、
前記基板ボックスは、前記所定の情報が記載された基板表面を覆う、透明な樹脂で成形された第1部材を含んで構成され、
前記第1部材には、動作可能な部材が設けられるとともに、当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡が前記所定の情報が記載された基板表面に対向する所定位置に形成され、
前記所定の情報を読み取る方向と前記動作可能な部材の動作方向が平行とならないようにするとともに、前記所定位置の前記ゲート跡と対向する、前記基板の特定位置に前記所定の情報が位置しないようにすることを特徴とする遊技機。」
とあったものを、
(本件補正後の請求項1)
「表面に電子部品が実装された基板と、該基板を内部に収納するための基板ボックスとを備えた遊技機において、
前記電子部品には、CPUとICを含み、
前記基板には所定の情報が記載され、
前記基板ボックスは、前記所定の情報が記載された基板表面を覆う、透明な樹脂で成形された第1部材を含んで構成され、
前記第1部材には、動作可能な部材が設けられるとともに、当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡が前記所定の情報が記載された側の基板表面に対向する所定位置に形成され、
前記所定の情報を読み取る方向と前記動作可能な部材の動作方向が平行とならないようにするとともに、前記所定位置の前記ゲート跡と対向する、前記基板の特定位置に前記所定の情報が位置しないようにし、
更に、前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には、前記ゲート跡を配置しないことを特徴とする遊技機。」
とする補正を含むものである。なお、下線は補正箇所を明示するために合議体が付した。
2 本件補正の目的
(1) 本件補正による請求項1の補正は、本件補正前の発明特定事項について、以下の補正事項ア~ウに係る限定をしたものである。
(補正事項ア) 「電子部品」について、「CPUとICを含」むこと
(補正事項イ) 「当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡」が「形成され」る「第1部材」の「所定の情報が記載された基板表面に対向する所定位置」について、「所定の情報が記載された側の基板表面に対向する所定位置」であること
(補正事項ウ) 「ゲート跡」について、「更に、前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には」、「配置しない」こと
(2) 本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 新規事項
(1) 補正事項ア及びイについて
補正事項アは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【1124】、図121等に基づくものである。
補正事項イは、当初明細書等の【1130】、図121~図124等に基づくものである。
(2) 補正事項ウについて
第1部材(第1ケース部材160)におけるゲート跡を配置しない領域については、当初明細書等に以下の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。
「【1143】
図124には、CPU111と第1ケース部材160に設けられた視認を妨げるものとの関係を示した。
図124に示すように、第1ケース部材160におけるCPU111と対向する位置およびその周囲には、段差部165、材質表示166、ゲート跡167、デートマーク168、二次元コード169、製品表示190及びその他の樹脂の凹凸が形成される部分のような視認を妨げるものが位置しないようにしている。
CPU111の周囲とは、点線で示す範囲のように、少なくともCPU111の周囲に隣接するように配された電子部品までの範囲である。この例ではこの範囲よりも広い範囲について視認を妨げるものが位置しないようにしている。
また、CPU111の周囲を、CPU111の周囲に隣接するように配された電子部品に対応する指定表示までの範囲としても良い。
【1144】
また、破線で示すように、第1ケース部材160におけるCPU111の左右幅に沿った上下の範囲について、視認を妨げるものが位置しない範囲はCPU111の下側よりも上側の方が広くなっている。
CPU111の上側を向いた面には、文字や記号からなる識別コードが記載されており、この面の側の方が他の面よりも視認を妨げるものが位置しない範囲が広いことで、識別コードを確実に視認できるようになっている。
特に、遊技機に取り付けられた遊技制御装置100の位置は、遊技店の店員の目線よりも下側に位置するので、上側からの視認性を確保することで識別コードを確実に視認できるようになる。」
「【図124】
[図:0001404567000001.jpg]
」
「【1145】
図125(a)には、図124において左側となる側面からCPU111の部分を見た概略図を示した。図125(a)に示すように、識別コードが記載された面があるCPU111の上側について、CPU111と遊技制御基板101の接点と、CPU111の上側に隣接する電子部品における第1ケース部材160側の端部と、を結んだ仮想線a1を形成し、この仮想線と、CPU111の上面に平行な仮想線a2との間の領域について、第1ケース部材160に視認を妨げるものがないようにしている。
このようにすることで、CPU111の上側全体を確実に視認できるようになり、不正な部材の取り付けなどを確認することができる。
なお、CPU111の下側や左右両側についても同様の範囲において第1ケース部材160に視認を妨げるものがないようにしても良い。」
「【図125(a)】
[図:0001404567000002.jpg]
」
【1143】及び図124には、「CPU111と対向する位置」及び「少なくともCPU111の周囲に隣接するように配された電子部品までの範囲である」「CPU111の周囲」又は「この範囲よりも広い範囲について」、「ゲート跡167」等の「視認を妨げるものが位置しないように」することが記載されている。
また、【1145】及び図125(a)には、「CPU111と遊技制御基板101の接点と、CPU111の上側に隣接する電子部品における第1ケース部材160側の端部と、を結んだ仮想線a1を形成し、この仮想線と、CPU111の上面に平行な仮想線a2との間の領域」及び「CPU111の下側や左右両側についても同様の範囲」について「第1ケース部材160に視認を妨げるものがないように」することが記載されている。
しかしながら、【1143】、【1145】に記載の「電子部品」を補正事項ウのように、「CPUの周辺に実装されたIC」に限定することについては、出願当初明細書等には記載も示唆もされていない。
補正事項ウによれば、「ゲート跡」が、「前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には」配置されないが、「基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された電子部品との間の領域に対向する前記第1部材」の領域に配置されるものを含みうるが、「ゲート跡」をこのように配置することは、CPUの視認を妨げることとなり得るから、上記明細書の記載に整合しておらず、出願当初明細書に記載されているとはいえない。
(3) 上記(2)より、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさない。
4 本願補正発明の独立特許要件についての検討
上記2のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)についても以下に検討する。
(1) 本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものであって、再掲すると以下のとおりである(符号A等は、分説するために合議体が付した。)。
(本願補正発明)
「A 表面に電子部品が実装された基板と、該基板を内部に収納するための基板ボックスとを備えた遊技機において、
B 前記電子部品には、CPUとICを含み、
C 前記基板には所定の情報が記載され、
D 前記基板ボックスは、前記所定の情報が記載された基板表面を覆う、透明な樹脂で成形された第1部材を含んで構成され、
E 前記第1部材には、動作可能な部材が設けられるとともに、当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡が前記所定の情報が記載された側の基板表面に対向する所定位置に形成され、
F 前記所定の情報を読み取る方向と前記動作可能な部材の動作方向が平行とならないようにするとともに、前記所定位置の前記ゲート跡と対向する、前記基板の特定位置に前記所定の情報が位置しないようにし、
G 更に、前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には、前記ゲート跡を配置しない
H ことを特徴とする遊技機。」
(2) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-195345号公報(平成21年9月3日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「主制御基板、および、これを備えた遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。
ア 記載事項
「【0054】
主制御部210は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。主制御部210は、たとえばメイン基板(本発明の主制御基板に相当)によってその機能を実現することができる。主制御部210は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214~216と、ラムクリアスイッチ217(入力ボタンに相当)と、を備えて構成される。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。
「【0110】
図3-2において、遊技機は、機枠310に嵌め込まれており、サンド装置320と接続されている。サンド装置320は、遊技機での遊技に使用する遊技球や遊技メダルなどの遊技媒体を貸し出すコンピュータ装置である。また、遊技機は、図2に示した主制御部210を実現するメイン基板340(本発明の主制御基板に相当)と、図柄制御部220を実現する基板341と、ランプ制御部を実現する基板342と、基板342を覆う背面カバー330を備えている。また、各基板340~342は、ケース部材に相当する透明の基板ケース340a~342aに収容されている。
…
【0112】
(メイン基板の基板ケースの構成)
つぎに、図3-3および図3-4を用いて、メイン基板340の基板ケース340aの構成について説明する。図3-3は、図3-2に示したメイン基板340の基板ケース340aの拡大図である。図3-4は、メイン基板340の基板ケース340aの斜視図である。
【0113】
図3-3および図3-4において、メイン基板340の基板ケース340aは、背面カバー330の一部が覆われた状態にある。基板ケース340aは、外部から他の基板などを接続または交換などによる、不正改造や不正行為ができないように、メイン基板340を収容する。さらに、基板ケース340aは、透明ケースによって形成されており、メイン基板340の不正改造や、不正基板への交換などの不正行為に対して目視による確認ができるようになっている。なお、図3-2に示した、図柄制御部220を実現する基板341や、ランプ制御部を実現する基板342についても、同様に透明な基板ケース341aまたは342aに収納されている。
【0114】
基板ケース340aには、開口部350が設けられている。この開口部350には、スティック状の操作部材360が挿嵌され、ラムクリアスイッチ217を押圧操作(押下)することが可能な操作部が形成されている。また、開口部350の近傍には、当該開口部350を開閉自在に覆う開閉部380が設けられている。
【0115】
開閉部380は、基板ケース340aの一般面387上に設けられている。この開閉部380は、蓋部材381と、回動軸382と、基板ケース340a上に設けられた係止部383とを有し、回動軸382を中心に蓋部材381が回動自在になっている。なお、図3-3および図3-4では、蓋部材381が開状態となっている。蓋部材381が閉状態になると、詳細については図3-9を用いて後述するが、蓋部材381の係止爪381aが係止部383に係止するようになっている。また、基板ケース340a上の開口部350の近傍には、外部からの不正な操作を防止するための障壁390が設けられている。なお、符号391は、蓋部材381開方向に回動させた際に、一定以上の回動を規制するための規制部である。」
「【図3-4】
[図:0001404567000003.jpg]
」
イ 認定事項
図3-4から、メイン基板340には、各辺に多数の端子が設けられた長方形の電子部品が複数搭載されていることがみてとれる(以下「認定事項1」という。)。
ウ 引用発明
上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(符号a~hは、本願補正発明の構成A~Hに概ね対応させて合議体が付した。)。
(引用発明)
「ab 主制御部210は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214~216と、ラムクリアスイッチ217(入力ボタンに相当)と、を備えて構成され(【0054】)、メイン基板340は主制御部210を実現し(【0110】)、メイン基板340には、各辺に多数の端子が設けられた長方形の電子部品が複数搭載され(認定事項1、図3-4)、基板ケース340aは、メイン基板340を収容する(【0113】)遊技機において(【0110】)、
d 基板ケース340aは、透明ケースによって形成されており、メイン基板340の不正改造や、不正基板への交換などの不正行為に対して目視による確認ができるようになっており(【0113】)、
e 基板ケース340aには、開口部350が設けられ、開口部350の近傍には、当該開口部350を開閉自在に覆う開閉部380が設けられ、開閉部380は、蓋部材381と、回動軸382と、基板ケース340a上に設けられた係止部383とを有し、回動軸382を中心に蓋部材381が回動自在になっている(【0115】)
h 遊技機(【0110】)。」
(3) 引用文献2
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-72218号公報(令和元年5月16日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。
「【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための有効な解決手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等の説明を行う。また、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成等についても適宜示すが、何ら限定されるものではない。
【0007】
(解決手段1)
遊技の進行を制御することができる遊技制御基板に複数の電子部品が実装される遊技機であって、前記複数の電子部品は、リードタイプの電子部品と、表面実装タイプの電子部品と、から構成され、前記遊技制御基板は、前記表面実装タイプの電子部品の識別子と対応する情報を表記する情報領域を備えることを特徴とする遊技機。
…
【0011】
本実施形態では、例えば、図139(a)の主制御基板1310’が遊技制御基板に相当し、図1のパチンコ機1が遊技機に相当し、図139(a)のリードタイプに含まれるZIPタイプの主制御MPU(図中、部品番号「MIC1」と記載。)がリードタイプの電子部品に相当し、図139(a)のSMDタイプのシュミットトリガインバータMIC30が表面実装タイプの電子部品に相当し、図139(a)の部品リスト領域1310xb’が情報領域に相当する。」
「【0996】
主制御基板1310’は、その上辺及びその下辺の中点をそれぞれ通る直線を中心線として、この中心線から左側における主制御基板1310’の表面(実装面)1310x’の領域には各種電子部品及び各種コネクタを配置するための部品配置領域1310xa’として形成されるとともに、この中心線から右側における主制御基板1310’の表面(実装面)の領域には部品番号と品番(カタログに掲載される番号)とを整列した態様で構成される電子部品の部品リストのように表記される情報領域である部品リスト領域1310xb’として形成される。
【0997】
具体的には、部品配置領域1310xa’には、リードタイプに含まれるZIP(Zigzag Inline Package)タイプの主制御MPU、リードタイプの各種コネクタMCN1~MCN4(その他の図示しない複数のコネクタ)、抵抗MR0~MR4(その他の図示しない複数の抵抗)、コンデンサMC0~MC5,MC30(その他の図示しない複数のコンデンサ)、ダイオードD0(その他の図示しない複数のダイオード)、シュミットトリガインバータMIC30(その他の図示しない各種IC)が実装されている。部品配置領域1310xa’には、これらの各種電子部品及び各種コネクタを配置する位置(向きの指定も含む場合がある。)を示す図示しない領域がシルク印刷として白色の実線(又は、黒色の実線)で印刷されているとともに、これらの各種電子部品及び各種コネクタの近傍には、それぞれ対応する部品番号がシルク印刷として白色(又は、黒色)で印刷されている。また、各種コネクタは、リードタイプのものを使用しているが、これは、コネクタに配線を接続すると、この配線によるストレス(このストレスは、配線がコネクタに接続されるまでの配線経路における引き回しに伴って生ずる配線の反力がコネクタに働くことによるもの。)により基板から剥がれることを防止するためである。」
「【2080】
また、実施形態では、もちろん本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では遊技機としてパチンコ機を例示したが、雀球機、アレンジボール機等の他の遊技機にも適用可能であり、さらには、遊技メダルを用いて複数のドラム(回胴又はリール)を回転させるスロットマシンにも適用可能である。ここで、スロットマシンについて図214を参照して説明する。図214はスロットマシンの概略斜視図である。」
「【図139】
[図:0001404567000004.jpg]
」
イ 認定事項
図139から、主制御基板1310’に記載される部品番号は、基板の辺方向に記載されていることがみてとれる(以下「認定事項2」という。)。
ウ 引用文献2記載事項
上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
「遊技機において(【0007】、【2080】)、主制御基板に配置される各種電子部品の近傍に、それぞれ対応する部品番号を基板の辺方向に記載すること(【0997】、認定事項2、図139)。」
(4) 引用文献3
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-154790号公報(令和元年9月19日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。
「【0050】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。
スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。
メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(図1で図示したもののみを備える意味ではない)。」
「【2606】
図277は、メイン制御基板50と、基板ケース16(上カバー57及び下カバー58)とを分解して示す外観斜視図である。
基板ケース16は、上カバー57と下カバー58とから構成され、いずれも、透明樹脂による(射出)成型品である。よって、内部にメイン制御基板50を収容したときは、基板ケース16の外側から、メイン制御基板50の状態を、目視で鮮明に確認することができる。
…
【2614】
また、図277に示すように、上カバー57の上面外側には、2か所に、ゲート跡57bが設けられている。なお、基板ケース16(上カバー57と下カバー58とを嵌合させた状態)において、メイン制御基板50が収容される側を「内側」と称し、外部に露出する側を「外側」と称する。
図277では、ゲート跡57bは、2か所に設けているが、これに限らず、何か所に設けてもよい。
【2615】
ここで、「ゲート」とは、樹脂成型の際に、金型内に樹脂(湯)を流し込むときの湯口であり、ゲート跡は、樹脂成型後に、ゲートと成型品との境目に残る跡である。
基板ケース16(上カバー57、下カバー58)が図277に示すような形状である場合、その金型は、図277中、上下方向に分割する金型とすることが低コストである。また、多数個取りの金型とする場合には、ピンゲートを用いることが好ましく、樹脂(湯)の流動性の観点から、成型品の中央寄りにゲートを設けることが好ましい。したがって、第2実施形態において、上カバー57や下カバー58のゲート位置は、図277中、側面ではなく、上面に形成している。
【2616】
さらに、成型時におけるゲート跡の突起の切断を考えると、ゲート跡は、外側に設けることが好ましい。
以上のことから、上カバー57のゲート跡57bは、上面外側に設けている。
また、上記と同様の理由により、下カバー58のゲート跡58bについても、下面の外側(図277中、見えている面と反対側の面)に設けている。なお、図277では、下カバー58のゲート跡58bは、上カバー57のゲート跡57bと同様に2か所に設けているが、1か所に設けてもよく、あるいは3か所以上設けてもよい。
【2617】
また、ゲートから金型内に樹脂(湯)を流す場合において、金型内における樹脂(湯)の広がりが均一でなく、冷却時間差が生じると、成型品に反り変形が生じるおそれがある。そこで、成型品のゲート位置は、金型内における樹脂(湯)の広がりが均一となる位置に配置することが好ましい。さらにまた、ゲートを複数箇所に設ける場合には、成型品の末端部からゲートまでの距離と、ゲート間の距離についても、できるだけ均等にすることが好ましい。
【2618】
図278において、(a)は、基板ケース16の上カバー57のゲート跡57b及び下カバー58のゲート跡58bと、メイン制御基板50との位置関係を示す平面図である。図278(a)は、メイン制御基板50が基板ケース16内に収容された状態(メイン制御基板50を下カバー58に固定し、かつ、上カバー57と下カバー58とを嵌合させた状態を意味する。)を上から見た平面図である。また、上カバー57の上面側から、メイン制御基板50を透視して図示している。
【2619】
さらにまた、(b)は、図(a)中、A-Aの矢視断面図の例1を示し、(c)は、図(a)中、A-Aの矢視断面図の例2を示す。なお、これらの断面図では、図面の見やすさの観点から、ハッチングを省略する。
図278(a)に示すように、メイン制御基板50を基板ケース16内に収容した状態では、2つのゲート跡57bから上カバー57の垂直方向(メイン制御基板50側)(真下)には、型番表示、管理情報表示LED74、設定値表示LED73、メインCPU55(ソケット)が位置しないように設定している。なお、上述したように、メイン制御基板50上には、RWM53、ROM54、故障確認用LEDも搭載されるが、これらの真上にもゲート跡57bが位置しないようにすることが好ましい。
【2620】
上記のようにゲート跡57を配置するのは、以下の理由による。
メイン制御基板50は、スロットマシン10が市場に設置された後も、不正改造等が行われていないかどうかを目視により確認する必要がある。特に、メインCPU55等(RWM53、ROM54を含む。以下同じ。)が適合しているものであるか否かや、ゴト行為によって改変されていないかどうか等を確認する必要がある。さらに、メイン制御基板50は、基板ケース16内に収容され、かつ、基板ケース16は、上述したように封印されているため、基板ケース16の外側から目視でメイン制御基板50を確認する必要がある。
そして、メイン制御基板50を内部に収容した基板ケース16は、スロットマシン10の筐体内部において、たとえば背面内側などに取り付けられる。設定値表示LED73や管理情報表示LED74によって表示されている数値が見やすい位置に取り付けるためである。
【2621】
このため、スロットマシン10の管理者は、上カバー57の上面に対して垂直方向から基板ケース16(メイン制御基板50)を目視すると考えられる。すなわち、図278(a)に示すように基板ケース16(メイン制御基板50)を目視すると考えられる。このため、ゲート跡57bの垂直方向(真下)に、メインCPU55等が配置されていると、ゲート跡57によってその視認性の妨げになる可能性があるからである。特に、メインCPU55等の上面に表示(印刷等)された情報についても、視認性が妨げられることなく目視できるようにする。
【2622】
なお、上カバー57全体が透明樹脂から成型されたものであるので、ゲート跡57bの真下であっても、視認性を完全に阻害するわけではない。しかし、図278中、(b)や(c)に示すように、ゲート跡57bの断面は凹凸面になってしまうので、ゲート跡57bの真下の視認性を低下させる(平面よりは悪くなる)ことはたしかである。また、図278(b)の断面図において、突起57dの上端面は切断面であるので、樹脂の切断時の応力により白化等する場合がある。したがって、この場合にもゲート跡57bの真下の視認性を妨げる。
【2623】
また、上カバー57の上面は、ゲート跡57bを除き、透明で凹凸のない平滑面であるので、たとえばゴト行為により穴が開けられても、目視で容易に気づくことができる。
これに対し、ゲート跡57bは、樹脂を切断した凹凸面である。このため、ゲート穴57bに穴を開けられ、その後にたとえば樹脂材料などによってその穴が封止されると、ゲート跡57bに穴が開けられたか否かを目視で容易に判別できない場合がある。このため、ゲート跡57bを利用したゴト行為が行われる可能性がある。
【2624】
一方、ゲート跡57bに穴を開けた場合、ゲート跡57bの垂直方向(真下)にメインCPU55等が位置すると、ゴト行為がしやすくなる。したがって、ゲート跡57bの垂直方向(真下)にメインCPU55等が配置されていなければ、メインCPU55等にアクセスしにくくなり、ゴト行為を困難にすることができる。
【2625】
また、メイン制御基板50の表面上に表示(印刷等)される型番も、不正の有無をチェックする上で重要な情報であるから、型番を確認しやすく(読みやすく)するために、型番表示領域の真上にはゲート跡57bが配置されないようにした。さらに、型番表示の真上にゲート跡57bが存在したときに、そのゲート跡57bに穴を開けて基板ケース16内にアクセスし、型番表示を不正に改変されることを防止するためにも、型番表示の真上にはゲート跡57bが配置されないようにする。」
「【2709】
(17)本実施形態では、遊技機の一例としてスロットマシン10を例示したが、たとえば、ぱちんこ遊技機についても本発明を適用可能である。パチンコ遊技機では、始動口(図柄変動表示装置による図柄変動を開始し、大当たり抽選のための乱数を取得する契機となる入賞口)、電チュー入賞口(遊技球が入賞すると、次の入賞を容易にするために一定時間開いてから閉じる役物を設けた入賞口。なお、電チューは、チューリップ形状に限られない。)、アタッカー(大当たり時に開放する大入賞口)等の各種入賞口が設けられる。そして、これらの入賞口において、第1実施形態(B)を適用することが可能である。」
「【図277】
[図:0001404567000005.jpg]
」
「【図278】
[図:0001404567000006.jpg]
」
イ 認定事項
図277、図278から、メイン制御基板50には、メイン制御基板50の辺方向に型番表示が記載されていることがみてとれる(以下「認定事項3」という。)。
ウ 引用文献3記載事項
上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、引用文献3には、以下の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。
(引用文献3記載事項)
「スロットマシン又はぱちんこ遊技機において(【2709】)、
メイン制御基板50は、メインCPU55等を備え(【0050】)、
基板ケース16は、上カバー57と下カバー58とから構成され、いずれも、透明樹脂による(射出)成型品であり、内部にメイン制御基板50を収容したときは、基板ケース16の外側から、メイン制御基板50の状態を、目視で鮮明に確認することができ(【2606】)、
上カバー57の上面外側には、2か所に、ゲート跡57bが設けられ(【2614】)、ゲート跡は、樹脂成型後に、ゲートと成型品との境目に残る跡であり(【2615】)、メイン制御基板50を基板ケース16内に収容した状態では、2つのゲート跡57bから上カバー57の垂直方向(メイン制御基板50側)(真下)には、型番表示、メインCPU55(ソケット)が位置しないように設定して(【2619】)、メインCPU55等の上面に表示(印刷等)された情報についても、視認性が妨げられることなく目視できるようにし(【2621】)、
メイン制御基板50には、メイン制御基板50の辺方向に型番表示が記載され(認定事項3、図277、図278)、
メイン制御基板50の表面上に表示(印刷等)される型番も、不正の有無をチェックする上で重要な情報であるから、型番を確認しやすく(読みやすく)するために、型番表示領域の真上にはゲート跡57bが配置されないようにすること(【2625】)。」
(5) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(a) 引用発明の「CPU211と、ROM212と、RAM213と、I/O214~216と、ラムクリアスイッチ217(入力ボタンに相当)と、を備えて構成され」る「主制御部210を実現」し「各辺に多数の端子が設けられた長方形の電子部品が複数搭載され」た「メイン基板340」は、本願補正発明の「表面に電子部品が実装された基板」に相当する。
引用発明の「メイン基板340を収容する」「基板ケース340a」は、本願補正発明の「該基板を内部に収納するための基板ボックス」に相当する。
引用発明の「メイン基板340」及び「基板ケース340a」を備える「遊技機」は、本願補正発明の「表面に電子部品が実装された基板と、該基板を内部に収納するための基板ボックスとを備えた遊技機」に相当する。
したがって、引用発明のabは、本願補正発明の構成Aに相当する構成を備える。
(b) 引用発明の「CPU211」は、本願補正発明の「CPU」に相当する。
したがって、引用発明のabと本願補正発明の構成Bとは、「前記電子部品には、CPU」「を含」む点で共通する。
(d) 引用発明の「基板ケース340aは、透明ケースによって形成され」ていることは、本願補正発明の「前記基板ボックスは」、「基板表面を覆う、透明な」「第1部材を含んで構成され」ることに相当する。
したがって、引用発明のdと本願補正発明の構成Dは、前記基板ボックスは」、「基板表面を覆う、透明な」「第1部材を含んで構成され」る点で共通する。
(e) 引用発明の「回動自在になっている」「蓋部材381」は、本願補正発明の「動作可能な部材」に相当する。
引用発明の「基板ケース340a」に設けられた「開口部350の近傍に」設けられた「開閉部380」が、「回動自在になっている」「蓋部材381」を有することは、本願補正発明の「前記第1部材には、動作可能な部材が設けられる」ことに相当する。
したがって、引用発明のeと本願補正発明の構成Eとは、「前記第1部材には、動作可能な部材が設けられる」点で共通する。
(h) 引用発明の「遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
以上によれば、本願補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~相違点7で相違する。
(一致点)
「A 表面に電子部品が実装された基板と、該基板を内部に収納するための基板ボックスとを備えた遊技機において、
B’ 前記電子部品には、CPUを含み、
D’ 前記基板ボックスは、基板表面を覆う、透明な第1部材を含んで構成され、
E’ 前記第1部材には、動作可能な部材が設けられる
H 遊技機。」
(相違点1)[構成B]
基板(メイン基板340)の表面に実装された「電子部品」が、本願補正発明では、ICを含むのに対して、引用発明では、ICを含むことが特定されていない点。
(相違点2)[構成C]
本願補正発明では、「前記基板には所定の情報が記載され」るのに対して、引用発明では、メイン基板340に、所定の情報が記載されていない点。
(相違点3)[構成D]
基板ボックス(基板ケース340a)が、本願補正発明では、「透明な樹脂で成形された第1部材を含んで構成され」るのに対して、引用発明では、「透明ケースによって形成され」るものではあるものの、樹脂で形成された部材を含んで構成されるのか明らかでない点。
(相違点4)[構成E]
第1部材(基板ケース340aを形成する透明ケース)に、本願補正発明では、「当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡が前記所定の情報が記載された側の基板表面に対向する所定位置に形成され」るのに対して、引用発明では、透明ケースを射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡が所定の情報が記載された側のメイン基板340に対向する所定位置に形成されていない点。
(相違点5)[構成F]
本願補正発明では、「前記所定の情報を読み取る方向と前記動作可能な部材の動作方向が平行とならないようにする」のに対して、引用発明では、メイン基板340に所定の情報が記載されていないため、所定の情報を読み取る方向と「蓋部材381」の動作方向が平行とならないように構成されていない点。
(相違点6)[構成F]
本願補正発明では、「前記所定位置の前記ゲート跡と対向する、前記基板の特定位置に前記所定の情報が位置しないように」するのに対して、引用発明では、基板ケース340aを形成する透明ケースにゲート跡が形成されておらず、また、メイン基板340に所定の情報が記載されていないため、ゲート跡と対向する、メイン基板340の特定位置に所定の情報が位置しないように構成されていない点。
(相違点7)[構成G]
本願補正発明では、「更に、前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には、前記ゲート跡を配置しない」のに対して、引用発明では、メイン基板340の表面にICが実装されることは特定されておらず、また、メイン基板340に所定の情報が記載されていないため、CPUに対向する基板ケース340aを形成する透明ケースの第1所定領域及びメイン基板340における当該CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域に対向する基板ケース340aを形成する透明ケースの第2所定領域には、ゲート跡を配置しない」ことが特定されていない点。
(6) 判断
ア 相違点1について検討する。
引用発明において、「メイン基板340には、各辺に多数の端子が設けられた長方形の電子部品が複数搭載され」るところ、ICは、一般に多数の端子が設けられた長方形の電子部品として構成されることから、引用発明の「メイン基板340」に複数搭載されている「各辺に多数の端子が設けられた長方形の電子部品」は、ICであると認められ、仮に、そうでないとしても、遊技機の技術分野において、主制御部を実現するメイン基板にCPUのみならず、ICを実装することは、周知慣用の技術である。
したがって、相違点1は、引用発明が実質的に備えているか、引用発明に周知慣用の技術を適用したものにすぎず、実質的な相違点ではない。
イ 相違点2及び相違点5について検討する。
引用文献2記載事項は、遊技機において、主制御基板に配置される各種電子部品の近傍に、それぞれ対応する部品番号を基板の辺方向に記載することを開示し、引用文献3記載事項は、メイン制御基板50の辺方向に型番表示が記載されることを開示しているように、遊技機の技術分野において、メイン基板に、その辺方向に、部品番号や型番表示等の情報を記載することは、当業者にとって周知慣用の技術である。
引用発明においても、メイン基板340に、その辺方向に部品番号や型番表示等の情報を記載して、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、周知慣用の技術の適用にすぎない。
上記のように、メイン基板に、その辺方向に部品番号や型番表示等の情報を記載した引用発明において、部品番号や型番表示等の情報(所定の情報)を読み取る方向は、基板の辺方向であるのに対して、引用発明の「回動軸382を中心に」「回動自在になっている」「蓋部材381」の動作方向は、「回動軸382を中心」とした回転方向であって、両者の方向は平行ではなく、このことは、相違点5に係る本願補正発明の「前記所定の情報を読み取る方向と前記動作可能な部材の動作方向が平行とならないようにする」との構成をみたすものである。
したがって、相違点2及び相違点5は、引用発明が実質的に備えているか、引用発明に周知慣用の技術を適用したものにすぎず、実質的な相違点ではない。
ウ 相違点3、相違点4及び相違点6について検討する。
引用発明と引用文献3記載事項は、いずれも、遊技機(スロットマシン又はぱちんこ遊技機)に関するものであって、技術分野が共通し、CPU(メインCPU)が搭載されるメイン基板(メイン制御基板)が、不正行為に対して目視による確認ができるように透明な基板ケースによって収容されている点で構造が共通していることから、上記イで検討したように、メイン基板に、各種電子部品の部品番号や型番表示等の情報を記載した引用発明において、引用文献3記載事項を適用して、「基板ケース340a」を形成する「透明ケース」(第1部材)を「透明樹脂による(射出)成型品」とし(相違点3)、「基板ケース340a」を形成する「透明ケース」(第1部材)に、「樹脂成型後に、ゲートと成型品との境目に残る跡」である「ゲート跡」が、部品番号や型番表示等の情報(所定の情報)が記載された側のメイン基板340に対向する所定位置に形成されるものとして構成し(相違点4)、ゲート跡から垂直方向(メイン制御基板側)(真下)には、型番表示、メインCPU(ソケット)が位置しないように設定するとともに、型番表示と同様に基板に記載された情報である部品番号についても同様に位置しないように設定して「所定位置のゲート跡と対向するメイン基板の特定位置に所定の情報(部品番号や型番表示等の情報)が位置しない」(相違点6)ものとして、相違点3、相違点4及び相違点6に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
エ 相違点7について検討する。
相違点7に係る本願補正発明の「当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域」は、基板のいたるところに複数のICが実装されている場合に、どの領域を指し示すのか、特許請求の範囲の記載からは明らかでないが、審判請求書の3-2(1)には、
「〔ウ〕の補正は、出願当初明細書の[1142][1143]の記載、出願当初図面の[図121]~[図124]の記載に基づくものです。IC104(IC2~IC12)のうち、IC2、IC10、IC11、IC12がCPUの周辺に実装されたICに相当します。」
と記載されており、図121~図124によれば、IC2、IC10、IC11、IC12が、いずれもCPU111に隣接して実装されたICであるから、本願補正発明の「当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域」は、「当該CPUに隣接して実装された前記ICとの間の領域」を指し示すものと一応認められる。
上記ウで検討したように、引用発明において、引用文献3記載事項を適用して、ゲート跡から垂直方向(メイン制御基板側)(真下)には、型番表示、メインCPU(ソケット)や、部品番号が位置しないように設定するに際して、引用文献2記載事項に示されているように、基板に記載される部品番号は、配置される各種電子部品の近傍に記載されることが一般的であること、ゲート跡によって、CPU等の上面に表示(印刷等)された情報や、CPU及びICを含む各種電子部品の近傍に印刷される部品番号等の情報の「視認性が妨げられることなく目視できるように」するには、ゲート跡から垂直方向(メイン制御基板側)(真下)の領域だけでなく、当該領域に隣接する領域にも配置されないようにすることが望ましいことは自明であることから、CPUに対向する基板ケース340aの領域だけでなく、CPUとCPUに隣接して実装されたICとの間の領域に対向する基板ケース340aの領域にもゲート跡を配置しないこととして、相違点7に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
オ 請求人の主張について
(ア)請求人は、審判請求書において、以下の主張1~主張3を主張する。
(主張1)
「本願請求項1に係る発明は、上記の構成〔ウ〕を備えています。すなわち、CPUに対向する第1部材の第1所定領域だけでなく、基板におけるCPU周辺の所定領域(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)に対向する第1部材の第2所定領域にも、基板の視認を妨げるゲート跡が設けられていません。
したがって、不正行為の対象になり易いCPUやその周辺の視認性が確保されることとなるので、CPUに対する不正行為の発見を容易にすることができます。また、CPUに対する不正行為の発見が容易となることで、CPUに対する不正行為の抑止効果も高くなります。
特に、基板におけるCPU周辺の所定領域(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)を確実に視認可能とすることで、CPUに対する不正な改造やその痕跡を発見しやすくなるとともに、CPUの周囲の空いた部分(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)に取り付けられた不正な部品や配線を発見しやすくなるので、CPUに対する不正行為を効果的に防止することができます。」
(主張2)
「引用文献3の図129及び図130には、メイン制御基板50に、メインCPU55、IC2~IC4、設定値表示LED73、管理情報表示LED74が実装されていることが記載されています。また、引用文献3の図145及び図146にも、メイン制御基板50に、メインCPU55、IC2~IC4、設定値表示LED73、管理情報表示LED74が実装されていることが記載されています。また、引用文献3の段落1364及び段落1488には、メイン制御基板50に、IC2~IC4以外のICが設けられていることが記載されています。
しかしながら、引用文献3においては、メインCPU55以外のIC(IC2~IC4や、これら以外のIC)が、メイン制御基板50のどこに実装されているのか不明であります。
具体的には、引用文献3の明細書(例えば段落2619)には、ゲート跡の真下に、型番表示、管理情報表示LED74、設定値表示LED73、メインCPU55(ソケット)が位置しないように設定していること、メイン制御基板50上には、RWM53、ROM54、故障確認用LEDも搭載されるが、これらの真上にもゲート跡が位置しないようにすることが好ましいこと、が記載されています。しかしながら、引用文献3の明細書には、メインCPU55以外のIC(IC2~IC4や、これら以外のIC)と、ゲート跡と、の位置関係についての記載や示唆はありません。
また、引用文献3の図面(図278)には、型番表示、管理情報表示LED74、設定値表示LED73、メインCPU55は図示されていますが、メインCPU55以外のICは図示されていません。したがって、明細書だけでなく図面にも、メインCPU55以外のIC(IC2~IC4や、これら以外のIC)と、ゲート跡と、の位置関係についての記載や示唆はありません。
したがって、このような引用文献3に基づいて、CPU周辺の所定領域(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)の真上にゲート跡を配置しないことについて想到することは、当業者といえども困難であります。」
(主張3)
「補正の却下の決定には、「引用文献3に開示された手法の・不正改造等が行われていないかどうかを目視により確認する際に、ゲート跡によって視認性が妨げられることなく目視できるようにするという目的からして(引用文献3の段落2620,2621)、基板におけるCPUと当該CPUの周囲に隣接するように配された全ての電子部品との間の領域とゲート跡とが重ならないようにすることは、当業者が適宜なし得る程度のことというべきである」と記載されています。しかしながら、引用文献3の段落2620,2621には、メインCPU55等(RWM53、ROM54を含む。以下同じ。)がゲート跡の垂直方向(真下)に配置されていると、ゲート跡によってその視認性の妨げになる可能性があると記載されています。すなわち、引用文献3には、メインCPU55等の真上にゲート跡を配置しないことが記載されているだけであり、メインCPU55等周辺の所定領域(メインCPU55等と当該メインCPU55等の周辺に実装されたICとの間の領域)の真上にゲート跡を配置しないことについては記載も示唆もありません。そもそも、引用文献3には「メインCPU55等と当該メインCPU55等の周辺に実装されたICとの間の領域」についての記載や示唆がなく、そのような引用文献3に基づいて、CPU周辺の所定領域(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)の真上にゲート跡を配置しないことについて想到することは、当業者といえども困難であります。
また、補正の却下の決定には、「CPU周辺の領域だけが不正行為の対象となるわけではないし、CPU周辺の領域を視認可能とした代わりに、ゲート跡が配置された他の箇所については不正の痕跡を発見しにくくなっているはずであるから、・・・」と記載されています。しかしながら、引用文献3の段落2620にも記載されているように、メインCPU55は、特に不正行為が行われていないかどうかを確認する必要がある部品であり、他の箇所の視認性が低下してでも、CPUと、CPUの周囲の空いた部分(CPUと当該CPUの周辺に実装されたICとの間の領域)と、の視認性を確保する必要があります。したがって、本願発明の構成〔ウ〕を備えることによって奏する上記効果は、格別であります。
また、引用文献1,2にも、基板の電子部品(CPUやCPUの周辺に実装されたIC)と、ゲート跡と、の位置関係についての記載や示唆はありません。
以上のことから、本願請求項1に係る発明は、引用文献1~3に記載された発明から容易に想到することができないため、進歩性を有するものと思料いたします。」
主張1について検討する。
主張1に述べられている本願補正発明の構成Gは、上記3(2)で検討したように、出願当初明細書に記載されているとはいえないし、その点を措くとしても、上記(4)で検討したように、引用文献3記載事項において、「メイン制御基板50を基板ケース16内に収容した状態では、2つのゲート跡57bから上カバー57の垂直方向(メイン制御基板50側)(真下)には、型番表示、メインCPU55(ソケット)が位置しないように設定して、メインCPU55等の上面に表示(印刷等)された情報についても、視認性が妨げられることなく目視できるように」することが示されており、主張1において述べられている本願補正発明の効果は、当業者が容易に予測しうる範囲のものであって、格別のものとはいえない。
主張2及び主張3について検討する。
主張2及び主張3に述べられている本願補正発明の構成Gは、上記3(2)で検討したように、出願当初明細書に記載されているとはいえないし、その点を措くとしても、上記エにおいて検討したように、本願補正発明の「当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域」は、審判請求書及び図121~図124を参照すると、「当該CPUに隣接して実装された前記ICとの間の領域」を指し示すものと一応認められるところ、引用発明において、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に示された周知慣用の技術、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に基づいて、「当該CPUに隣接して実装された前記ICとの間の領域」の真上にゲート跡を配置しないことが、当業者が容易に想到できたことであることは、上記エで検討したとおりである。
カ まとめ
以上によれば、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 補正の却下の決定の理由のむすび
上記3(2)において検討したように、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
また、上記4において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下された。
そして、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2の1」で本件補正前の請求項1として示したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1-3
<引用文献等一覧>
1.特開2009-195345号公報
2.特開2019-072218号公報
3.特開2019-154790号公報
3 引用文献1~3に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1~3の記載事項は、上記「第2の4」(2)~(4)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記「第2の2」(1)において検討したとおり、本願補正発明において、発明を特定するために必要な事項である
(補正事項ア)「電子部品」について、「CPUとICを含」むことの限定を省き、
(補正事項イ)「当該第1部材を射出成型する際に樹脂を注入した部分であるゲート跡」が「形成され」る「第1部材」の「所定の情報が記載された基板表面に対向する所定位置」について、「所定の情報が記載された側の基板表面に対向する所定位置」であることの限定を省き、
(補正事項ウ)「ゲート跡」について、「更に、前記CPUに対向する前記第1部材の第1所定領域及び前記基板における当該CPUと当該CPUの周辺に実装された前記ICとの間の領域に対向する前記第1部材の第2所定領域には」、「配置しない」ことの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、上記(補正事項ア)~(補正事項ウ)の限定を付加した本願補正発明が、上記「第2の4」(6)において記載したとおり、引用発明、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由で当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-000959