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特許拒絶査定不服審判

2024-012758

遊技機

審判番号
2024-012758
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-124890外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年08月06日
審決日
2025年05月07日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .561-ZB (A63F) / P18 .575-ZB (A63F) / P18 .121-ZB (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第53条第1項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-124890「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月 9日出願公開、特開2023- 19851〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年7月30日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年10月31日付け:拒絶理由通知書 令和6年 1月 5日 :意見書、手続補正書の提出 同年 1月30日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 4月 5日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月19日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査 定」という。) 同年 5月 7日 :原査定の謄本の送達 同年 8月 6日 :審判請求書の提出 第2 本件補正の却下の決定について 審判請求人(以下「請求人」という。)は、審判請求書の【請求の趣旨】において、「原査定を取り消す。本願は特許をすべきものである、との審決を求める。」とし、【本願発明が特許されるべき理由】(2)において、「本願発明は引用文献1乃至3及び引用文献4にて例示されるような周知技術から当業者であれば容易に想到し得る発明ではない。よって、令和6年4月5日付け手続補正書による補正を特許法第53条第1項の規定により却下とした判断は誤りである」と不服を申し立てていることから、令和6年4月19日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。 1 本件補正について 令和6年4月5日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、令和6年1月5日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に (本件補正前) 「 【請求項1】 遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、 前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段と、 前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段と、 動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段と、 前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段と、 前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と、 を備え、 前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成であることを特徴とする遊技機。」 とあったものを、 (本件補正後) 「 【請求項1】 遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、 前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段と、 前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段と、 動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段と、 前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段と、 前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と、 を備え、 前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成であり、 本遊技機は、 領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、 領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、 前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、 前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域と、 を備え、 前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、 前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれていることを特徴とする遊技機。」 とする補正を含むものである(下線は補正箇所を示すために当審で付した。)。 2 補正の適否について (1)補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定動作用処理」及び「所定の遊技進行用処理」について、「本遊技機は、領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、領域外処理を実行する領域外処理実行手段」とを備え、「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域」とを備えることを付加した上で、「前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」ことを特定することによって「所定動作用処理」及び「所定の遊技進行用処理」を限定するものである。 そうすると、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、補正前の同請求項に記載の発明を特定するために必要な事項を限定するものとして、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当する目的を一応含むものと解される。 (2)新規事項の追加の有無について 本件補正により、上記(1)に示した請求項1に追加される事項が、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものか、すなわち、本件補正により、請求項1に追加される上記事項が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるか、以下で検討する。 ア 当初明細書等の記載事項 本件補正により追加される「領域内処理(実行手段)」、「領域外処理(実行手段)」との文言が当初明細書等には見当たらないところ、当初明細書等における「処理を実行する」や「処理実行手段」に関連する記載、「処理が実行される場合」において、「情報の書き込み」及び「情報の読み出し」が「可能」あるいは「不可能」であることが特定された「記憶領域」に関連する記載、及び、「所定の遊技進行用処理」及び「所定動作用処理」に関連する記載を摘記すると、以下のとおりである(なお、請求人が本件補正の根拠であると主張する当初明細書中の記載もこれに含まれる。)。下線は当審で付した。 「【3277】 主側MPU82においてプログラムを利用して実行される各種制御は、上記第13の実施形態と同様に、特定制御と非特定制御とで区別される。具体的には、遊技履歴の管理及び入出力確認期間における動作確認に関する制御が非特定制御とされ、遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御を含めて非特定制御以外の制御が特定制御とされている。詳細には、主側MPU82への動作電力の供給が開始された場合に実行されるメイン処理(図246)による制御は特定制御に含まれる。また、定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理(図300)において、後述する入出力確認用処理(ステップSK404)及び管理用処理(ステップSK424)以外の処理はいずれも特定制御に含まれ、入出力確認用処理(ステップSK404)及び管理用処理(ステップSK424)は非特定制御に含まれる。 【3278】 上記第13の実施形態と同様に、主側MPU82にて実行される制御が特定制御と非特定制御とで区別されていることに対応させて、主側ROM83においても特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータと、非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータとが記憶されているエリアのアドレスが明確に区別されている。」 「【3283】 図296に示すように、主側RAM84には、特定制御用のワークエリア211、特定制御用のスタックエリア212、非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214が設けられている。上記第13の実施形態と同様に、主側MPU82にてプログラムを利用して実行される制御が特定制御と非特定制御とで区別されていることに対応させて、主側RAM84においても特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212のアドレス範囲と、非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214のアドレス範囲とが明確に区別されている。 ・・・ 【3285】 上記のように特定制御用のワークエリア211と、非特定制御用のワークエリア213とが区別して設定されていることにより、主側MPU82において特定制御を実行する場合と非特定制御を実行する場合とで、各種演算などを実行する場合において主側RAM84の異なるエリアが使用されることとなる。これにより、特定制御及び非特定制御のうち一方を実行する場合に他方において必要な主側RAM84の情報が消去されてしまうといった事象を発生しづらくさせることが可能となる。ちなみに、各ワークエリア211,213への情報の書き込み及び各ワークエリア211,213からの情報の読み出しに際しては主側MPU82にてロード命令が行われる。 【3286】 特定制御用のスタックエリア212と、非特定制御用のスタックエリア214とが区別して設定されていることにより、主側MPU82において特定制御を実行する場合と非特定制御を実行する場合とで、主側MPU82のレジスタに記憶された情報を退避する場合及びプログラム上の戻り番地の情報を記憶する場合において主側RAM84の異なるエリアが使用されることとなる。これにより、特定制御及び非特定制御のうち一方を実行している状況において主側MPU82のレジスタに記憶された情報を退避する場合及びプログラム上の戻り番地の情報を記憶する場合に、他方において使用される情報が消去されてしまうといった事象を発生しづらくさせることが可能となる。ちなみに、各スタックエリア212,214への情報の書き込みに際しては主側MPU82にてプッシュ命令が行われ、各スタックエリア212,214からの情報の読み出しに際しては主側MPU82にてポップ命令が行われる。また、各スタックエリア212,214からの情報の読み出しに際しては当該スタックエリア212,214への書き込み順序が後の情報から先に読み出し対象となる。 【3287】 ここで、主側MPU82において特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212への情報の書き込みが可能であるとともに、特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212からの情報の読み出しが可能である。一方、主側MPU82において特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214からの情報の読み出しは可能であるものの、非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214への情報の書き込みは不可である。これにより、特定制御に対応する処理が実行されている状況において、非特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる。 【3288】 また、主側MPU82において非特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214への情報の書き込みが可能であるとともに、非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214からの情報の読み出しが可能である。一方、主側MPU82において非特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212からの情報の読み出しは可能であるものの、特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212への情報の書き込みは不可である。これにより、非特定制御に対応する処理が実行されている状況において、特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる。」 「【3331】 次に、主側MPU82にて実行されるタイマ割込み処理について図300のフローチャートを参照しながら説明する。なお、タイマ割込み処理におけるステップSK401~ステップSK424の処理のうちステップSK404にて呼び出されて実行される入出力確認用処理及びステップSK424にて呼び出される管理用処理以外の処理は、特定制御用のプログラム及び特定制御用のデータを利用して主側MPU82の特定制御処理部221にて実行され、入出力確認用処理及び管理用処理は非特定制御用のプログラム及び非特定制御用のデータを利用して主側MPU82の非特定制御処理部222にて実行される。」 イ 検討 (ア)まず、請求項1に追加される「本遊技機は、領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、領域外処理を実行する領域外処理実行手段」とを備えるとの事項が、上記アで摘記した記載から導かれるものであるかについて検討する。 (イ)上記アの摘記には、「主側MPU82においてプログラムを利用して実行される各種制御」について、「遊技履歴の管理及び入出力確認期間における動作確認に関する制御が非特定制御とされ、遊技者による遊技操作に基づき遊技を進行させるための制御を含めて非特定制御以外の制御が特定制御とされ」、「主側MPU82への動作電力の供給が開始された場合に実行されるメイン処理」「による制御は特定制御に含まれ」、「入出力確認用処理」「及び管理用処理」「以外の処理はいずれも特定制御に含まれ、入出力確認用処理及び管理用処理」「による制御は非特定制御に含まれる」ことが記載されており、遊技機における各種制御を「特定制御」と「非特定制御」とに区別することが記載されている(【3277】)。 また、遊技機の各「処理」を実行する手段について、上記アの摘記には、「入出力確認用処理及び」「管理用処理以外の処理は」「主側MPU82の特定制御処理部221にて実行され、入出力確認用処理及び管理用処理は」「主側MPU82の非特定制御処理部222にて実行される」ことが記載されている(【3331】)。 してみると、上記アの摘記には、遊技機における各種制御を、「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別し、それぞれ、「特定制御処理部」、「非特定制御処理部」により実行することが記載されていると理解される。 ここで、請求項1に追加される「領域内処理(実行手段)」、「領域外処理(実行手段)」との文言における「領域」が具体的に何を意味するのか明細書の発明の詳細な説明には何ら記載されていないところ、「領域」は、区域や範囲についての概念であり、請求項1の「領域内処理(実行手段)」、「領域外処理(実行手段)」は、遊技機における「処理」を(区域や範囲についての概念である)「領域」で区別するものであるから、上記アの摘記における、遊技機における「処理」の内容に応じて当該「処理」を「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別するものとは、「処理」の区別の概念において異なる。 そして、遊技機の「処理」を「領域」の内外という概念で区別すると、当該区別された「処理」は、その「処理」の内容によらずに区別されることとなり、「処理」の内容に応じて「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別されるとは限らないから、遊技機の「処理」を「領域内処理」と「領域外処理」で区別する、請求項1の「本遊技機は、領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、領域外処理を実行する領域外処理実行手段」とを備える事項は、上記アで摘記した記載から導かれるものではない。 (ウ)次に、請求項1に追加される「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域とを備え、前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」との事項が、上記アで摘記した記載から導かれるものであるかについて検討する。 (エ)上記(イ)で検討したように、請求項1の「領域内処理(実行手段)」、「領域外処理(実行手段)」は、遊技機の「処理」を(区域や範囲についての概念である)「領域」で区別するものであるから、上記アの摘記における、「処理」の内容に応じて「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別するものと、「処理」の区別の概念において異なる。 ここで、遊技機における各「処理」を、「領域」で区別し、「領域内処理」及び「領域外処理」に区別するものであるとすると、当該処理の内容によって区別するものではないから、「領域内処理」及び「領域外処理」は、「特定制御」に含まれるものもあれば、「非特定制御」に含まれるものもあると解されることになる。 そうすると、請求項1に追加される「領域内処理」又は「領域外処理」には、上記アの摘記における「特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212」と、「非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214」を区別無く用いて行われるものも含まれる。 (オ)そうすると、請求項1において、上記(ウ)に記載した事項のうち「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域」なる事項を備えていたとしても、上記(エ)の検討を踏まえると、請求項1において、上記アの摘記における「主側MPU82において特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214からの情報の読み出しは可能であるものの、非特定制御用のワークエリア213及び非特定制御用のスタックエリア214への情報の書き込みは不可である」こと「により、特定制御に対応する処理が実行されている状況において、非特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果(【3287】)、「主側MPU82において非特定制御に対応する処理を実行する場合には、主側MPU82は特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212からの情報の読み出しは可能であるものの、特定制御用のワークエリア211及び特定制御用のスタックエリア212への情報の書き込みは不可である」こと「により、非特定制御に対応する処理が実行されている状況において、特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果(【3288】)を発揮しないものが含まれる。 (カ)また、請求項1において「前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」ことが特定されていても、この特定によって「前記所定の遊技進行用処理」が実行される場合には「情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方」、「前記所定動作用処理」が実行される場合には「情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域」と、「前記所定動作用処理」が実行される場合には「情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方」、「前記所定の遊技進行用処理」が実行される場合には「情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域」を備えることが理解されるにとどまり、そのほかの処理については、処理の内容によって、上記のような「情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である」「記憶領域」に対応付けられていないから、上記(オ)で検討した「特定制御に対応する処理が実行されている状況において、非特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果、及び、「非特定制御に対応する処理が実行されている状況において、特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果を発揮しないものを含むことには変わりがない。 よって、上記(ウ)で記載した、本件補正により請求項1にされる事項は、上記アで摘記した記載から導かれるものとはいえない。 (キ)上記(ア)~(カ)から、上記アに摘記した記載を含む当初明細書等には、補正後の請求項1に追加されることとなった事項が記載も示唆もされておらず、また、自明なこととも認められない。 したがって、本件補正は、当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものではない。 ウ 請求人の主張について 請求人(原審において出願人)は、令和6年4月5日提出の意見書において、本件補正は、明細書の【3277】、【3278】、【3283】~【3288】、【3331】の記載に基づいている旨主張し、特に、請求項1の「領域内処理を実行する領域内処理実行手段」という補正事項、及び「領域外処理を実行する領域外処理実行手段」という補正事項は、明細書の【3277】及び【3278】における「特定制御」の処理及び「非特定制御」の処理に関する記載に基づいている旨主張する。 しかしながら、上記イ(イ)で検討したように、請求項1に追加される「領域内処理」及び「領域外処理」は、当初明細書に記載された、「処理」の内容に応じて「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別されるものと、「処理」の区別の概念において異なるものであるから、請求人の上記主張は、採用できない。 また、上述のように、請求項1に追加される「領域内処理」及び「領域外処理」は、当初明細書に記載された、「処理」の内容に応じて「特定制御」と「非特定制御」のいずれかに区別されるものと、「処理」の区別の概念において異なるものであることにより、上記イで検討したとおり、請求項1は、当初明細書に記載された「特定制御に対応する処理が実行されている状況において、非特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果、及び、「非特定制御に対応する処理が実行されている状況において、特定制御に対応する処理にて利用される情報を誤って消去してしまわないようにすることが可能となる」効果を発揮しないものを含み、請求人が補正の根拠とする【3277】、【3278】、【3283】~【3288】、【3331】の記載を含めて、当初明細書等には、上記(2)の冒頭に記載した、本件補正により請求項1に追加される事項が記載も示唆もされておらず、また、自明なこととも認められない。 したがって、意見書による請求人の主張は採用できない。 エ 小括 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 3 独立特許要件について 上記2(1)で示したとおり、本件補正は、特許請求の範囲を減縮するものと一応認められる。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1に記載のとおりのものであって、以下に再掲する。符号A等は分説するために当審で付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。 (本件補正発明) 「 【請求項1】 A 遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、 B 前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段と、 C 前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段と、 D 動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段と、 E 前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段と、 F 前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と、 を備え、 G 前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成であり、 H 本遊技機は、 領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、 領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、 I 前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、 前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域と、 を備え、 J 前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、 前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている K ことを特徴とする遊技機。」 (2)引用文献1、引用発明 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願出願前に頒布され又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021-97893号公報(令和3年7月1日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0018】 また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。 ・・・ 【0021】 また、第2始動口122は、第2遊技領域116bに位置しており、第2遊技領域116bを流下する遊技球のみが入球可能であるか、もしくは、第2遊技領域116bに進入した遊技球の方が、第1遊技領域116aに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。この第2始動口122は、可動片122bを有する可変始動口(始動可変入賞装置)によって構成されており、第2始動口122への遊技球の進入容易性が可変するようになっている。具体的には、第2始動口122は、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の進入が不可能もしくは困難となっている。 ・・・ 【0023】 さらに、遊技領域116の下部には、第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられている。第1大入賞口126および第2大入賞口128は、少なくとも第2遊技領域116bを流下する遊技球が入球可能な位置に配置されている。第1大入賞口126には、開閉扉126bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126bが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の小当たり遊技が実行されると、開閉扉126bが開放されて、開閉扉126bが受け皿として機能し、第1大入賞口126への遊技球の入球が可能となる。そして、第1大入賞口126に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。 【0024】 また、第2大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球を不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、開閉扉128bが受け皿として機能し、第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、第1大入賞口126および第2大入賞口128をまとめて単に大入賞口とも呼ぶ。」 「【0038】 主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。 ・・・ 【0040】 上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する第1大入賞口検出スイッチ126s、第2大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する第2大入賞口検出スイッチ128s、遊技領域116から排出された遊技球を検出するアウト球検出スイッチ130sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。 ・・・ 【0042】 また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、第1大入賞口126を開閉する開閉扉126bを作動する第1大入賞口ソレノイド126cと、第2大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する第2大入賞口ソレノイド128cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。」 「【0063】 メインRAM300cのメモリ領域は、遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用領域(F000H~F1FFH)と、使用領域以外の領域であって、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184を表示するための処理のプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用外領域(F210H~F228H)とが設けられている。 ・・・ 【0067】 このように、メインROM300bおよびメインRAM300cでは、遊技の進行を制御するために用いられる使用領域と、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理を実行するために用いられる使用外領域とが分かれて設けられている。 【0068】 そして、メインRAM300cでは、使用領域と使用外領域との間に、16バイトの未使用領域(F200H~F20FH)が設けられている。この未使用領域(F200H~F20FH)は、使用領域および使用外領域を分ける境界領域として設定されており、使用領域と使用外領域との境界が明確となり、遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に使用外領域が用いられること、および、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理のプログラムが実行されている際に使用領域が用いられることを防止している。」 「【0074】 遊技者が操作ハンドル112を操作して遊技領域116に遊技球を発射させるとともに、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選(以下、「大役抽選」という)が行われる。この大役抽選において、大当たりまたは小当たりに当選すると、第1大入賞口126および第2大入賞口128が開放されるとともに当該第1大入賞口126および第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技または小当たり遊技が実行される。また、大役遊技の終了後の遊技状態には、上記のいずれかの遊技状態に設定される。以下では、大役抽選方法について説明する。」 「【0131】 ところで、遊技中に、第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bの開閉制御が正しく行われない場合、遊技に支障が生じるおそれがある。そこで、本実施形態の遊技機100では、電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、メインRAM300cのクリアが実行された場合に、第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させる動作確認モードを備えている。動作確認モードにおいて、第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させることで、可動体の動作を簡単に確かめることが可能となる。これにより、故障発生をいち早く発見することが可能となる。」 「【0140】 (主制御基板300のCPU初期化処理) 図18は、主制御基板300におけるCPU初期化処理を説明する第1のフローチャートであり、図19は、主制御基板300におけるCPU初期化処理を説明する第2のフローチャートである。 【0141】 電源基板より電源が供給されると、メインCPU300aにシステムリセットが発生し、メインCPU300aは、以下のCPU初期化処理(S100)を行う。 ・・・ 【0150】 (ステップS100-17) メインCPU300aは、RAMクリアスイッチ182sからRAMクリア操作信号が入力されているか(RAMクリアボタンが押下操作されているか)を判定する。その結果、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合にはステップS102に処理を移し、RAMクリア操作信号は入力されていないと判定した場合にはステップS100-19に処理を移す。 【0151】 (ステップS102) メインCPU300aは、動作確認モード処理を行い、ステップS100-31に処理を移す。なお、この動作確認モード処理については後述する。 ・・・ 【0166】 (ステップS100-47) メインCPU300aは、メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理を実行し、ステップS100-49に処理を移す。 ・・・ 【0186】 上記したように、本実施形態では、電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作されると、動作確認モードに設定される。動作確認モードに設定されると、電源投入後にRAMクリアボタンが再度押下操作されるまでの間、上記ステップS102-3~ステップS102-9の処理が繰り返し実行される。本実施形態では、動作確認モード中において、上記ステップS102-3~ステップS102-9の処理がループしている期間では、タイマ割り込み処理(後述する図23)が実行されないため、タイマ割り込み処理において実行される後述するエラー管理処理(後述する図23のステップS400-21)も実行されない。すなわち、動作確認モード中では、メインCPU300aによって、磁気エラーや電波エラー等のエラーの判定およびエラー判定結果に応じた処理が行われない。 【0187】 また、詳しい説明は省略するが、遊技機100では、メインCPU300aから払出制御基板310へ発射許可信号を送信していることを条件に、払出制御基板310によって遊技球を発射させるための制御を行うことができる。メインCPU300aは、後述するタイマ割り込み処理の払出制御管理処理(図23のS400-25)において、発射許可信号を送信する処理を行う。そのため、動作確認モード中では、遊技球の発射操作を行うことができなくなっており、遊技の進行が停止される。これにより、動作確認モード中において、遊技球を打ち出して不正に利益が享受されるリスクが低減される。」 【図18】 「 [図:0001424412000001.jpg] 」 イ 認定事項1 上記アにおいて、「電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、メインRAM300cのクリアが実行された場合に」、「第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させる動作確認モードを備えて」(【0131】)いることが記載され、「(ステップS100-17)メインCPU300aは、RAMクリアスイッチ182sからRAMクリア操作信号が入力されているか(RAMクリアボタンが押下操作されているか)を判定する。その結果、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合にはステップS102に処理を移し、RAMクリア操作信号は入力されていないと判定した場合にはステップS100-19に処理を移す。」(【0150】)と記載されているところ、【図18】から、「ステップS100-17」において「RAMクリア操作信号が入力されていると判定し」「ステップS102に処理を移」す場合には、「ステップS102」の「動作確認モード処理」(【0151】)を行い、「ステップS100-47」の「メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理」(【0166】)を実行することとなり、一方、「RAMクリア操作信号は入力されていないと判定し」「ステップS100-19に処理を移す」場合には、「ステップS102」の「動作確認モード処理」は行われず、「ステップS100-47」の「メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理」も実行されないことが見て取れる。 そうすると、引用文献1には、「メインCPU300aは、電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合には、第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させる動作確認モード処理を行い、メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理を行うこととなり、一方、RAMクリア操作信号は入力されていないと判定した場合には、動作確認モード処理は行われず、メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理は実行されないこと」(以下「認定事項1」という。)が記載されていると認められる。 ウ 引用発明 上記ア、イより、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、当審にて特定事項A等に概ね対応させて符号a等を付した。以下、符号a等を付した事項を「構成a」等という。 「ab 遊技領域116には、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、第2始動口122は、可動片122bを有する可変始動口(始動可変入賞装置)によって構成されており、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の進入が不可能もしくは困難となっており(【0018】、【0021】)、 遊技領域116の下部には、第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられており、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選が行われ、この大役抽選において、大当たりまたは小当たりに当選すると、第1大入賞口126および第2大入賞口128が開放されるとともに当該第1大入賞口126および第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技または小当たり遊技が実行され(【0023】、【0074】)、 第1大入賞口126には、開閉扉126bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126bが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっているのに対して、小当たり遊技が実行されると、開閉扉126bが開放されて、第1大入賞口126への遊技球の入球が可能となり(【0023】)、 第2大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球を不可能となっているのに対して、大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となり(【0024】)、 c 遊技の基本動作を制御し、メインCPU300a、メインRAM300cを備えている主制御基板300には、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する第1大入賞口検出スイッチ126s、第2大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する第2大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっており(【0038】、【0040】)、 de メインCPU300aは、電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合には、第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させる動作確認モード処理を行い、メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理を行うこととなり、一方、RAMクリア操作信号は入力されていないと判定した場合には、動作確認モード処理は行われず、メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理は実行されず(認定事項1)、 RAMクリアボタンが再度押下操作されるまでの間の動作確認モード中において、タイマ割り込み処理が実行されないため、動作確認モード中では、メインCPU300aによって、磁気エラーや電波エラー等のエラーの判定およびエラー判定結果に応じた処理が行われず、また、遊技球の発射操作を行うことができなくなっており、遊技の進行が停止され(【0186】、【0187】)、 hi’j’メインRAM300cでは、遊技の進行を制御するために用いられる使用領域と、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理を実行するために用いられる使用外領域とが分かれて設けられており(【0067】)、 遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に使用外領域が用いられること、および、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理のプログラムが実行されている際に使用領域が用いられることを防止している(【0068】)、 k 遊技機100(【0131】)。」 (3)引用文献2 ア 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願出願前に本願出願前に頒布され又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-99749号公報(平成20年5月1日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0040】 図5は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図5には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。」 「【0052】 次に、遊技機の動作について説明する。図7は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。 【0053】 初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。 【0054】 次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10~S15。S44,S45を含む。)。 【0055】 クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。 【0056】 電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施の形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。 ・・・ 【0060】 初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、ラウンド数判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。 ・・・ 【0062】 また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、図柄表示器9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。 【0063】 さらに、CPU56は、異常報知禁止フラグをセットするとともに(ステップS44)、禁止期間タイマに禁止期間値に相当する値を設定する(ステップS45)。禁止期間値は、後述する異常入賞の報知を禁止する期間を示す値である。また、異常報知禁止フラグは、異常入賞の報知が禁止されていることを示すフラグであり、禁止期間タイマがタイムアウトするまでセット状態に維持される。よって、図柄表示器9において初期化報知が開始されてから所定期間は、異常入賞の報知の開始が禁止される。 【0064】 そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。 【0065】 初期化処理の実行(ステップS10~S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施の形態では、乱数とは、大当り遊技におけるラウンド数を決定するためのラウンド数決定用乱数であり、乱数更新処理とは、乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、遊技機に設けられている演出装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)でも、乱数更新処理が実行される。 【0066】 タイマ割込が発生すると、CPU56は、図8に示すステップS20~S35のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電圧低下監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、役物入賞スイッチ34a,34b、役物排出スイッチ29a、および始動口スイッチ38a,39a,40aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。 【0067】 次に、CPU56は、正規の時期以外の時期において大入賞口に遊技球が入賞したことを検出した場合に異常入賞の報知を行わせるための処理を行う(ステップS23:異常入賞報知処理)。また、乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(乱数更新処理:ステップS24)。 ・・・ 【0073】 以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21~S34(ステップS30を除く。)の処理に相当する。また、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。」 「【0155】 図32は、ステップS23の異常入賞報知処理を示すフローチャートである。異常入賞報知処理において、CPU56は、異常報知禁止フラグがセットされているか否か確認する(ステップS561)。異常報知禁止フラグは、遊技機への電力供給が開始されたときに実行されるメイン処理でセットされている(図7におけるステップS44参照)。異常報知禁止フラグがセットされていない場合には、ステップS565に移行する。異常報知禁止フラグがセットされている場合には、ステップS45で設定された禁止期間タイマの値を-1する(ステップS562)。そして、禁止期間タイマの値が0になったら、すなわち禁止期間タイマがタイムアウトしたら、異常報知禁止フラグをリセットする(ステップS563,S564)。 ・・・ 【0165】 そして、エラー個数有効期間タイマがタイムアウトする前に再び異常入賞が検出され、異常入賞の累積検出回数が5回になったら、演出制御基板80に、異常入賞報知指定コマンドが送信される。演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から異常入賞報知指定コマンドが送信されると、演出装置を用いて異常入賞の報知演出を行う。なお、ステップS561~S563の処理によって、演出制御用マイクロコンピュータ100が初期化報知を行っているときに、異常報知が開始されることが禁止される。なお、演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化報知を開始してから禁止期間に相当する期間が経過するまで、初期化報知を継続して実行している。」 「【0228】 また、上記の各実施の形態では、初期化報知が異常報知(異常入賞の報知および排出異常の報知)に対して優先されるので、初期化報知が認識しにくくなるような事態が生ずることが防止される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技機に対する電力供給が開始されたとき以外でも、プログラムを先頭番地(例えば、0000番地)から実行開始させるユーザリセットが発生したときには、初期化指定コマンドを送信する。ユーザリセットが発生する原因として、例えば、ウォッチドッグタイマを使用するように構成されている場合において、プログラムの円滑な進行を妨げるような不正行為によってウォッチドッグタイマがタイムアウトしたような場合がある。つまり、遊技制御用マイクロコンピュータ560を初期化してラウンド数決定用乱数を生成するためのカウンタを初期化させ、そのカウンタのカウント値を把握しやすくするような不正行為(不正に15ラウンドにする)を受けやすい。この実施の形態のように、初期化報知を優先することによって、遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化されたことを遊技機の外部から容易に把握できるので、不正行為がなされた可能性があることが容易に認識される。」 イ 引用文献2の技術事項 上記アから、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「プログラムに従って遊技機を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560を搭載し、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含み(【0040】)、 遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ560(CPU56)は、セキュリティチェック処理を実行した後、メイン処理を開始し、メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行い(【0052】)、 初期設定処理において、CPU56は、内蔵デバイスの初期化を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定し(【0053】)、次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチの出力信号の状態を確認し、その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、初期化処理を実行し(【0054】)、クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(電力供給停止時処理)が行われたか否か確認し、そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行し(【0055】)、電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックとしてパリティチェックを行い、チェック結果が正常でない場合には、初期化処理を実行し(【0056】)、 初期化処理では、CPU56は、まず、RAM55のRAMクリア処理を行い(【0060】)、 CPU56は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある、サブ基板を初期化するための初期化指定コマンドをサブ基板に送信し、演出制御用マイクロコンピュータ100は、初期化指定コマンドを受信すると、図柄表示器9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行い(【0062】)、 さらに、CPU56は、異常報知禁止フラグをセットするとともに、禁止期間タイマに禁止期間値に相当する値を設定し、異常報知禁止フラグは、異常入賞の報知が禁止されていることを示すフラグであり、禁止期間タイマがタイムアウトするまでセット状態に維持され、よって、図柄表示器9において初期化報知が開始されてから所定期間は、異常入賞の報知の開始が禁止され(【0063】)、 初期化処理の実行が完了すると、CPU56は、メイン処理で、乱数更新処理を実行し、乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定し(【0065】)、 タイマ割込が発生すると、CPU56は、タイマ割込処理を実行し、タイマ割込処理において、役物入賞スイッチ34a,34b、役物排出スイッチ29a、および始動口スイッチ38a,39a,40aの状態判定(スイッチ処理)を行い、次に、正規の時期以外の時期において大入賞口に遊技球が入賞したことを検出した場合に異常入賞の報知を行わせるための処理(異常入賞報知処理)を行い(【0066】、【0067】)、 タイマ割込処理で、遊技の進行を制御する遊技制御処理が2ms毎に起動されて実行され(【0065】、【0073】)、 タイマ割込処理における、異常入賞報知処理において、CPU56は、異常報知禁止フラグがセットされているか否か確認し、異常報知禁止フラグがセットされている場合には、禁止期間タイマの値を-1し、そして、禁止期間タイマの値が0になったら、すなわち禁止期間タイマがタイムアウトしたら、異常報知禁止フラグをリセットする処理によって、演出制御用マイクロコンピュータ100が初期化報知を行っているときに、異常報知が開始されることが禁止され(【0066】、【0067】、【0155】、【0165】)、 初期化報知が異常報知(異常入賞の報知)に対して優先されるので、初期化報知が認識しにくくなるような事態が生ずることが防止され、遊技制御用マイクロコンピュータ560が初期化されたことを遊技機の外部から容易に把握できるので、不正行為がなされた可能性があることが容易に認識される、遊技機(【0228】)。」 (4)引用文献3 ア 引用文献3の記載事項 本願出願前に本願出願前に頒布され又は電気回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-116238号公報(平成27年6月25日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0494】 〔第2変形例〕 次に、上述した実施形態の遊技機の第2変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、遊技機の電源投入時に変動入賞装置の動作確認を行うための電源投入確認動作を行うようにしている。 ・・・ 【0497】 その後、入力ポート1(第1入力ポート122)の状態を読み込み(ステップS5)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS6)を行う。次に、電動役物初期化動作テーブルを設定する(ステップS902)。後述するように、電動役物初期化動作テーブルには電源投入確認動作における動作が定義されており、このテーブルの内容に従い電源投入確認動作が行われる。そして、役物信号出力禁止信号のオンデータを出力する(ステップS903)。この役物信号出力禁止信号のオンデータが出力されている状態では、試射試験装置に試験信号が出力されない状態となり、これにより電源投入確認動作において変動入賞装置を開閉しても試験信号が出力されないようにすることができる。」 「【0510】 また、遊技制御プログラムにより所要の演算処理を行う演算処理手段をなすCPU111Aは、通常の遊技中においてはRAM111Cを作業領域として種々の情報を記憶するために利用するようにしている。しかし、電源投入時には待機時間の終了後にRAMアクセスを許可するようにして(ステップS13)、これ以前に行われる電源投入確認動作の制御や待機時間の計時はCPU111Aのレジスタを用いて行うようにし、RAM111Cを使用しないようにしている。これはRAM111Cで保持されたデータの正当性の判定に影響を与えないようにするためである。 【0511】 RAM111Cは、バックアップ電源部420からの電力の供給により停電時でも記憶された情報が保持されるようになっている。そして、停電発生時や停電復旧時には保持されたデータのチェックサムを算出して正当性を判定するようにしている。すなわち、RAM111Cが、演算処理手段(CPU111A)によって更新される情報が記憶され、正当性判定の対象となる領域に設定され、当該遊技機への電源供給が停止しても記憶された情報の記憶保持が可能な判定対象記憶領域をなす。 ・・・ 【0513】 このRAM111Cを正当性の判定処理より前に使用してしまうと、保持されているデータが変更されてしまうので正常な復旧であるかを判定することができなくなったり、チェックサム等のチェックデータを算出する際に一部のRAM領域を除外して算出することで電源投入時の処理が煩雑になってしまったりしてしまうという問題が発生する。しかし、更新可能な情報が記憶され、且つ判定対象記憶領域とは異なる領域で、正当性判定の対象とならない領域として設定された判定対象外記憶領域をなすCPU111Aのレジスタを用いることで、このような問題を解決することができる。 【0514】 なお、RAM領域の一部のみを判定対象記憶領域とし、これ以外のRAM領域を判定対象外記憶領域として、RAM111Cの判定対象外記憶領域を用いて電源投入確認動作の制御や待機時間の計時を行うようにしても良い。このようにすると、チェックサム等のチェックデータを算出する際に一部のRAM領域を除外して算出することで電源投入時の処理が煩雑になってしまう問題はあるが、レジスタよりも広い記憶領域を用いることが可能となる。また、RAM111Cとは別に正当性の判定を行わないRAMを設けて電源投入確認動作に用いるようにしても良い。」 イ 認定事項2 上記アによれば、引用文献3において「通常の遊技中においてはRAM111Cを作業領域として種々の情 報を記憶するために利用」し、「RAM111Cが」「当該遊技機への電源供給が停止しても記憶された情報の記憶保持が可能な判定対象記憶領域をな」し、「電源投入確認動作の制御」について「RAM111Cを使用しないように」すること(【0510】、【0511】)に換えて、「RAM領域の一部のみを判定対象記憶領域とし」、「これ以外の」「RAM111Cの判定対象外記憶領域を用いて電源投入確認動作」「を行うように」すること、すなわち、「RAM111CのRAM領域の一部のみ判定対象記憶領域として、通常の遊技中における作業領域として種々の情報を記憶するために利用し、これ以外のRAM111Cの判定対象外記憶領域を用いて電源投入確認動作を行うようにすること」(【0514】)が記載されていると認められる(認定事項2)。 ウ 引用文献3の技術事項 上記ア、イから、引用文献3には、次の技術(以下「引用文献3の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「遊技機の電源投入時に変動入賞装置の動作確認を行うための電源投入確認動作を行うようにしており、電源投入確認動作において変動入賞装置を開閉し(【0494】、【0497】)、 RAM111CのRAM領域の一部のみ判定対象記憶領域として、通常の遊技中における作業領域として種々の情報を記憶するために利用し、これ以外のRAM111Cの判定対象外記憶領域を用いて電源投入確認動作を行うようにする(認定事項2)、技術。」 (5)対比・判断 ア 本件補正発明と引用発明との対比 (ア)特定事項A、Bについて 引用発明の構成abの「遊技領域116」、「遊技球」、「第2始動口122」及び「第1大入賞口126および第2大入賞口128」は、それぞれ、本件補正発明の「遊技領域」、「遊技球」、「所定入球手段」に相当し、引用発明は、本件補正発明の特定事項A(遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、)に相当する事項を備える。 また、引用発明の構成abにおいて、「可動片122bが開」「状態」にあるとき、「開閉扉126bが開放されて」「第1大入賞口126への遊技球の入球が可能とな」るとき、及び、「開閉扉128bが開放されて」「第2大入賞口128への遊技球の入球が可能とな」るときは、本件補正発明の「前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態」に相当し、また、引用発明の構成abにおいて、「第2始動口122への遊技球の進入が不可能もしくは困難となって」いる「可動片122bが閉状態にあるとき」の状態、「開閉扉126bが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている」状態、及び、「開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球を不可能となっている」状態は、本件補正発明の「前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態」に相当する。 そして、引用発明の構成abにおいて、「可動片122b」、「開閉扉126b」及び「開閉扉128b」は、いずれも「開閉可能に設けられて」おり、上述の「第1状態」及び「第2状態」についての検討を踏まえると、これらは、本件補正発明の特定事項Bの「前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Bに相当する事項を備える。 (イ)特定事項Cについて 引用発明の構成cにおける「第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する第1大入賞口検出スイッチ126s、第2大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する第2大入賞口検出スイッチ128s」は、本件補正発明の「前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Cに相当する事項を備える。 (ウ)特定事項Dについて 引用発明の構成deの「(RAMクリアボタンが押下操作され)RAMクリア操作信号が入力されている」こと、「RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理」は、それぞれ、本件補正発明の「所定実行契機が発生していること」、「所定の処理」に相当する。 また、引用発明の構成deにおいて、「メインCPU300aは」「電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合には」「メインRAM300cのうち、RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理を行う」ところ、「メインCPU300a」は、本件補正発明の特定事項Dの「動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Dに相当する構成を備える。 (エ)特定事項Eについて 引用発明の構成deにおいて、「第1大入賞口126の開閉扉126b、第2大入賞口128の開閉扉128b、および、第2始動口122の可動片122bを開閉制御させる動作確認モード処理」は、「動作手段」についての上記(ア)の検討を踏まえると、本件補正発明の「前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理」に相当する。 また、引用発明の構成deにおいて、「動作確認モード処理」は、「電源投入時にRAMクリアボタンが押下操作され、RAMクリア操作信号が入力されていると判定した場合に」「RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理を行うことと」共に行われ、「一方、RAMクリア操作信号は入力されていないと判定した場合には」「RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理は実行され」ず、「動作確認モード処理」も行われないから、引用発明において「RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理は実行され」る場合には、「動作確認モード処理」を実行し、「RAMクリア時のクリア対象をクリアする初期化処理は実行され」ない場合には、「動作確認モード処理」を実行しないものと理解される。 そして、引用発明において上記「動作確認モード処理」を行う「メインCPU300a」は、上述の検討、及び、「所定の処理」についての上記(ウ)の検討を踏まえると、本件補正発明の特定事項Eの「前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Eに相当する事項を備える。 (オ)特定事項Hについて 引用発明の構成hi’j’において、「メインRAM300cでは、遊技の進行を制御するために用いられる使用領域と、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理を実行するために用いられる使用外領域とが分かれて設けられて」いるところ、「遊技の進行を制御する」処理と、「遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理」は、「メインRAM300c」で実行する領域が区別されており、「遊技の進行を制御する」処理、及び、「遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理」は、それぞれ、本件補正発明の特定事項Hの「領域内処理」、及び、「領域外処理」に相当する。 ここで、引用発明は遊技機についての発明であって、上記「遊技の進行を制御する」処理と、「遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理」が実行されるから、引用発明は、これらの処理を実行する「領域内処理実行手段」と「領域外処理実行手段」を備えることが明らかであり、引用発明は、本件補正発明の特定事項H(本遊技機は、領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、)に相当する事項を備える。 (カ)特定事項Iについて 引用発明の構成hi’j’の「メインRAM300c」は、「遊技の進行を制御するために用いられる使用領域」と、「遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理を実行するために用いられる使用外領域」とを備え、「遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に使用外領域が用いられること、および、遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理のプログラムが実行されている際に使用領域が用いられることを防止している」ことが理解される。 ここで、「遊技の進行を制御するために」「使用領域」を用いることには、「使用領域」への情報の書き込み及び情報の読み出しが含まれることが技術常識であり、また、「遊技機規則で定める試験を行うための処理や、性能表示モニタ184の表示制御をするための処理を実行するために」「使用外領域」を使用することには、「使用外領域」への情報の書き込み及び情報の読み出しが含まれることが技術常識である。 そして、「領域内処理」及び「領域外処理」についての上記(オ)の検討を踏まえると、引用発明の「使用領域」、「使用外領域」は、それぞれ、本件補正発明の「領域内対応記憶領域」、「領域外対応記憶領域」に相当し、引用発明の構成hi’j’と、本件補正発明の特定事項Iとは、「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である」「領域内対応記憶領域」と、「前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である」「領域外対応記憶領域と」に相当する事項を備える点で共通である。 (キ)特定事項Jについて 引用発明の構成hi’j’の「遊技の進行を制御する」処理は、本件補正発明の特定事項Jの「遊技進行用処理」に相当する。 そして、「領域内処理」、「領域外処理」についての上記(オ)の検討を踏まえると、引用発明の構成hi’j’と、本件補正発明の特定事項Jとは、「前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれて」いる点で共通する。 (ク)特定事項Kについて 引用発明の構成kの「遊技機100」は、本件補正発明の特定事項Kの「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Kに相当する事項を備える。 イ 一致点、相違点について 上記アから、本件補正発明と引用発明とは、 「A 遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、 B 前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段と、 C 前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段と、 D 動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段と、 E 前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段と、 を備え、 H 本遊技機は、 領域内処理を実行する領域内処理実行手段と、 領域外処理を実行する領域外処理実行手段と、 I’ 前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である領域内対応記憶領域と、 前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である領域外対応記憶領域と、 を備え、 J’ 前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれている、 K 遊技機。」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](特定事項F、G) 本件補正発明は、「前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と、を備え」、「前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成であ」るのに対し、引用発明は、上記のような「所定期間」は「異常報知が実行されないようにする手段」を備えるとはされておらず、「前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成であ」るとはされていない点。 [相違点2](特定事項I) 本件補正発明は、「領域内対応記憶領域」について「前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可であ」り、「領域外対応記憶領域」について「前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である」と特定されているのに対し、引用発明は、「領域内対応記憶領域」について「前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可であ」り、「領域外対応記憶領域」について「前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である」か否かが不明な点。 [相違点3](特定事項J) 本件補正発明は、「前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」のに対し、引用発明は、「前記所定動作用処理」(動作確認モード処理)は「前記領域外処理」に含まれているとは特定されていない点。 ウ 相違点についての判断 (ア)相違点1について a 引用文献2の技術事項において、「遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると」「初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行い」、「図柄表示器9において」「初期化報知を行い」、「異常入賞の報知が禁止されていることを示す」「異常報知禁止フラグをセットするとともに、禁止期間タイマに禁止期間値に相当する値を設定し」、「図柄表示器9において初期化報知が開始されてから所定期間は、異常入賞の報知の開始が禁止され」、「初期化処理の実行が完了すると」「CPU56は、メイン処理で」「割込許可状態に設定し」、「タイマ割込が発生すると」、「役物入賞スイッチ34a,34b、役物排出スイッチ29a、および始動口スイッチ38a,39a,40aの状態判定(スイッチ処理)を行い、次に、正規の時期以外の時期において大入賞口に遊技球が入賞したことを検出した場合に異常入賞の報知を行わせるための処理(異常入賞報知処理)を行い」、「遊技の進行を制御する遊技制御処理が2ms毎に起動されて実行され」、「異常入賞報知処理において、CPU56は、異常報知禁止フラグがセットされているか否か確認し」、「禁止期間タイマの値が0になったら、すなわち禁止期間タイマがタイムアウトしたら、異常報知禁止フラグをリセットする処理によって、初期化報知を行っているときに、異常報知が開始されることが禁止され」るとしている。 b 上記「正規の時期以外の時期において大入賞口に遊技球が入賞したことを検出した場合に異常入賞の報知を行わせるための処理(異常入賞報知処理)」「において」、「初期化報知を行っているときに、異常報知が開始されること」を「禁止」する「CPU56」は、「所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段」といえる。 c また、上記aから、引用文献2の技術事項において、「CPU56は、メイン処理で」「割込許可状態に設定し」、「タイマ割込が発生すると」、「異常入賞の報知を行わせるための処理(異常入賞報知処理)を行い」、「異常入賞報知処理において」「異常報知禁止フラグがセットされているか否か確認し」、「遊技の進行を制御する遊技制御処理が2ms毎に起動されて実行され」、「禁止期間タイマがタイムアウトし」て「異常報知禁止フラグをリセットする」まで「異常報知が開始されることが禁止」されると理解される。すなわち、引用文献2の技術事項において、「タイマ割込」が発生しているとき、「異常報知」「禁止期間」であっても、「遊技の進行を制御する遊技制御処理」は実行され、「異常報知」「禁止期間」が終わるまでは、「異常報知が開始されることが禁止」されるものと理解される。 d ここで、引用発明と、引用文献2の技術事項はいずれも、「電力の供給が開始」されると「所定の処理を実行する」(RAMクリアする)点で共通であり、RAMクリアすなわち初期化する引用発明において、「初期化されたことを遊技機の外部から容易に把握できるので、不正行為がなされた可能性があることが容易に認識」できるために、引用文献2の技術事項における「初期化報知を行い」、「異常入賞の報知が禁止されていることを示す」「異常報知禁止フラグをセットするとともに、禁止期間タイマに禁止期間値に相当する値を設定し」、「禁止期間タイマがタイムアウトし」て「異常報知禁止フラグをリセットする」までの「異常報知」「禁止期間」は、「異常報知(異常入賞の報知)」の「開始」を「禁止」する構成を適用し、異常報知(異常入賞の報知)の禁止期間は、「前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と」を備えることは、当業者にとっては容易である。 その際、「所定の処理が実行される場合に」「所定動作用処理」による「動作手段」の動作(動作確認モード処理による動作)を実行する引用発明において、「所定動作用処理」による「動作手段」の動作が終了してからも、上記「禁止期間タイマがタイムアウト」するまでの、初期化報知を優先する所定の期間において、異常報知を禁止すべきことは当業者に自明なことということができ、引用発明に、引用文献2の技術事項を適用し、本件補正発明の特定事項Fの「前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と」を備えた構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)相違点2について a 遊技機で用いられる「記憶領域」について、「ある「処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方」、それ以外の「処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である」記憶領域と、上記それ以外の「処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方」、上記ある「処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である」記憶領域と、を備えること」は、遊技機の分野では周知技術である(例えば、特開2020-189006公報の【3206】、【3207】、特開2020-174699号公報の【1042】、特開2019-198367号公報【0723】、【0724】等参照。)。 b 上記イに示したとおり、引用発明は、本件補正発明の「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である領域内対応記憶領域と、前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である領域外対応記憶領域と」を備えるものであるが、「領域内処理が実行される場合」において「領域外対応記憶領域」への情報の書き込み及び情報の読み出しを具体的にどのようにするか、及び、「領域外処理が実行される場合」において「領域内対応記憶領域」への情報の書き込み及び情報の読み出しを具体的にどのようにするかについて、明示的は記載されていないところ、「領域内対応記憶領域」及び「領域外対応記憶領域」への情報の書き込み及び情報の読み出しについて具体的に設定する際に、必要とされる以上に記憶領域を使用しないように上記周知技術を適用し、「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域と、前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域と」を備えることは、当業者にとっては容易である。 (ウ)相違点3について 引用発明において、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)が、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含まれるかは、特定されていない。 一方、引用文献3の技術事項には、「変動入賞装置を開閉」する「電源投入確認動作」を、「通常の遊技中における作業領域として種々の情報を記憶するために利用」する「判定対象記憶領域」「以外のRAM111Cの判定対象外記憶領域を用いて」行うことが記載されている。上記「変動入賞装置を開閉」する「電源投入確認動作」についての処理、「判定対象外記憶領域」は、それぞれ、「所定動作用処理」、「領域外処理」ということができる。 ここで、引用発明において、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)は、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれかに含まれるところ、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)を、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含めるかは、当業者が適宜なし得る事項であり、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含めるかについて引用文献3の技術事項を参酌し、引用発明における「所定動作用処理」(動作確認モード処理)を、「領域外処理」(通常の遊技中において利用する作業領域以外である記憶領域を用いた処理)とし、「前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」構成とすることは、当業者にとって容易である。 (エ)上記(ア)~(ウ)から、本件補正発明は、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 出願人の主張について (ア)出願人は、審判請求書の「(2)補正の却下の決定に対する意見」において、 「本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると本願発明は、 ・「領域内処理を実行する領域内処理実行手段」という構成と、 ・「領域外処理を実行する領域外処理実行手段」という構成と、 ・「前記領域内処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域外処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域内対応記憶領域」という構成と、 ・「前記領域外処理が実行される場合には情報の書き込み及び情報の読み出しが可能である一方、前記領域内処理が実行される場合には情報の読み出しは可能であるものの情報の書き込みが不可である領域外対応記憶領域」という構成と、 を前提としながら、 ・「前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、」という構成と、 ・「前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」という構成と、 を備えているのに対して、引用文献1に記載された発明は当該構成を備えていない点で相違する(以下、相違点という)。 また、本願発明は上記相違点に係る構成を備えていることにより、 「各種処理が領域内処理と領域外処理とに区別されていることにより、処理をその実行内容の種類に応じて区別することが可能となる。また、領域内処理が実行される場合には領域内対応記憶領域が情報の書き込み対象となるものの領域外対応記憶領域が情報の書き込み対象となることはなく、領域外処理が実行される場合には領域外対応記憶領域が情報の書き込み対象となるものの領域内対応記憶領域が情報の書き込み対象となることはない。これにより、領域内処理が実行される場合と領域外処理が実行される場合とで情報の書き込み対象となる記憶領域の種類を明確に区別することが可能となる。 この場合に、所定の遊技進行用処理は領域内処理に含まれているのに対して、所定動作用処理は領域外処理に含まれている。これにより、所定の遊技進行用処理と所定動作用処理とを明確に区別して実行することが可能となる。また、所定の遊技進行用処理が実行される場合に所定動作用処理にて利用される情報が記憶されている領域外対応記憶領域の情報の読み出しを可能としながらその情報の書き換えを不可とし、さらに所定動作用処理が実行される場合に所定の遊技進行用処理にて利用される情報が記憶されている領域内対応記憶領域の情報の読み出しを可能としながらその情報の書き換えを不可とすることが可能となる。」 という優れた効果を奏することが可能である。 これに対して、引用文献1には上記相違点に係る構成が記載も示唆もされていない。また、引用文献2,3にも上記相違点に係る構成は記載も示唆もされていない。また、周知技術を例示するための文献として提示されている引用文献4にも上記相違点に係る構成は記載も示唆もされていない。そうすると、引用文献1に接した当業者が何等かの動機付けによって引用文献1に記載された発明に対して引用文献2,3に記載された発明及び引用文献4にて例示されるような周知技術を適用したとしても上記相違点に係る構成を導出することは不可能である。」 旨主張している。 しかしながら、請求人が主張するこれらの効果は、上記周知技術(ウ(イ)a参照。)を踏まえ、「所定の遊技進行用処理は領域内処理に含まれている」ことに相当する事項を備える引用発明(上記ア(キ)、イ参照。)において、「所定動作用処理は領域外処理に含まれている」ことに相当する事項を備える引用文献3の技術事項(上記ウ(ウ)参照。)を適用した際、当業者が容易に予測し得る程度のものであり、格別のものとはいえない。 したがって、請求人のこの主張は、採用できない。 (イ)また、請求人は、さらに、 「ここで、補正の却下の決定の通知書では、上記相違点に係る構成が引用文献3に記載されていると指摘されている。詳細には『引用文献3(特に、段落0510~0514、0534等を参照。)には、遊技制御プログラムにより通常の遊技中に利用するRAM111Cの作業領域とは異なるRAM領域を、電源投入確認動作に用いる点が示されているから、引用文献1に記載された発明においても、動作確認モードにおける各処理(同「所定動作用処理」に相当する。)に、メインRAM300cの使用外領域を用いるものとすることは、当業者が容易になし得るものである。』と指摘されている。そこで、当該指摘について以下に検討する。 引用文献3には以下の内容が記載されている。 (中略) 上記のとおり引用文献3に記載された構成は、電源投入時にバックアップ異常が発生しているか否かを特定するためのチェックサムの算出などに際してRAM111Cの作業領域とは異なるRAM領域を用いるという内容であり、「前記所定の遊技進行用処理は前記領域内処理に含まれており、前記所定動作用処理は前記領域外処理に含まれている」という上記相違点に係る構成とは明らかに相違している。 また、引用文献1に、「メインRAM300cのメモリ領域に、遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用領域と、他の処理のプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用外領域とが設けられている」ことが記載されており、引用文献3に「電源投入時にバックアップ異常が発生しているか否かを特定するためのチェックサムの算出などに際してRAM111Cの作業領域とは異なるRAM領域を用いる」という内容が記載されていたとしても、上記相違点に係る構成を導出するための動機付けが存在していない状況で引用文献1に記載された発明に対して引用文献3に記載された発明を適用したとしても、引用文献1における「メインRAM300cのメモリ領域に、遊技の進行を制御するためのプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用領域と、他の処理のプログラムが実行されている際に一時的に用いられる使用外領域とが設けられている」構成において、そのメインRAM300cのバックアップ異常を特定するための構成として引用文献3に記載された「電源投入時にバックアップ異常が発生しているか否かを特定するためのチェックサムの算出などに際してRAM111Cの作業領域とは異なるRAM領域を用いる」という構成を適用する程度が当業者にとって容易に想到し得る範囲であり、上記相違点に係る構成を導出することは当業者であっても不可能である。」 旨主張している。 しかしながら、上記ウ(ウ)で検討したように、引用発明において、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)が、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含まれるかは、特定されていないものの、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)は、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれかに含まれると理解され、「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含めるかについて引用文献3の技術事項を参酌することは、当業者が容易になし得たことである。 このとき、請求人が主張するように「引用文献3に記載された構成は、電源投入時にバックアップ異常が発生しているか否かを特定するためのチェックサムの算出などに際してRAM111Cの作業領域とは異なるRAM領域を用いるという内容」を含んでいたとしても、「所定動作用処理」(動作確認モード処理)を「領域内処理」及び「領域外処理」のいずれに含めるかについて、引用発明においては上記「チェックサムの算出」についての構成によらず設定できることが明らかであるといえるから、上記設定について引用文献3の技術事項を参酌することは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、請求人のこの主張も採用できない。 (6)小括 よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 4 補正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって、令和6年4月5日付け手続補正書による補正を特許法第53条第1項の規定により却下した、令和6年4月19日付けの補正の却下の決定に誤りはない。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されるので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年1月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、上記第2の1に記載のとおりのものであり、以下に再掲する。なお、符号A等は分説するために本件補正発明に対応させて当審で付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。 (本願発明) 「 【請求項1】 A 遊技領域を流下する遊技球が入球可能である所定入球手段と、 B 前記所定入球手段への遊技球の入球を可能とする第1状態と前記所定入球手段への遊技球の入球を不可又は前記第1状態よりも前記所定入球手段への遊技球の入球を発生しづらくさせる第2状態との間で動作可能に設けられた動作手段と、 C 前記所定入球手段に入球した遊技球を検知する所定検知手段と、 D 動作電力の供給が開始された場合に所定実行契機が発生していることに基づいて所定の処理を実行する所定処理実行手段と、 E 前記所定の処理が実行される場合には前記動作手段を前記第1状態と前記第2状態との間で動作させるための所定動作用処理を実行し、前記所定の処理が実行されない場合には前記所定動作用処理を実行しない手段と、 F 前記所定動作用処理による前記動作手段の動作が終了してから所定期間は、前記所定検知手段にて遊技球が検知されたとしてもそれに対する異常報知が実行されないようにする手段と、 を備え、 G 前記所定期間であっても遊技の進行を制御するための所定の遊技進行用処理を実行可能な構成である K ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、令和6年1月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由1であり、その概要は、以下のとおりである。 「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2021-97893号公報 2.特開2008-99749号公報 3 引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項は、上記第2の3(2)ウ、(3)イにおいて、引用発明、引用文献2の技術事項として認定したとおりのものである。 4 対比、判断 上記第2の1でみたように、本願発明は、上記第2の3で検討した本件補正発明のうち、特定事項H~Jを省いたものである。 そうすると、上記第2の3(5)での検討を踏まえると、本件補正発明の特定事項のH~Jを省くことで、上記第2の3(5)イでの[相違点2]及び[相違点3]はなくなるから、本願発明と引用発明とは、上記第2の3(5)イでの相違点1のみで相違し、上記第2の3(5)ウ(ア)の相違点1についての検討からみて、相違点1は引用発明及び引用文献2の技術事項から、当業者が容易に想到できたものである。 5 小括 以上から、本願発明は、引用発明、及び、引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-012758

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