特許拒絶査定不服審判
2024-020434
情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2024-020434
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-134107
- 請求日
- 2024年12月20日
- 審決日
- 2026年03月25日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】LINEヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 梅本 章子
- 審判官 米倉 明日香
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-134107「情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月 3日出願公開、特開2023- 28417〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年8月19日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年10月23日付け 拒絶理由通知書
令和5年12月27日 意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月25日付け 拒絶理由通知書
令和6年 6月 3日 意見書、手続補正書の提出
令和6年 9月18日付け 拒絶査定
令和6年12月20日 審判請求書、手続補正書の提出
令和7年10月28日付け 拒絶理由通知書
令和7年12月25日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
令和7年12月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「所定対象に対する複数のユーザの悩み状況と、前記所定対象において悩みが生じる原因とを推定する推定部と、
推定した前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記所定対象に対する悩みの解決となるコンテンツを提供する提供部と、
を備え、
前記悩み状況は、
前記所定対象の購入を悩んでいるユーザの数を含み、
前記原因は、
前記所定対象の在庫不足、および、前記所定対象の価格を含み、
前記推定部は、
前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定する、あるいは、前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定し、
前記提供部は、
前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象に対する悩みを解決する方法として、当該所定対象と機能が類似する他の前記所定対象の購入を提案する前記コンテンツを提供し、前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象と類似する他商品であって、機能が前記所定対象の商品よりも低い安価な前記他商品を提案する前記コンテンツを提供すること
を特徴とする情報処理装置。」
第3 拒絶の理由
令和7年10月28日付けで当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうちの理由2の概要は、以下のとおりのものである。
(進歩性)本願請求項1、7、8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願請求項2~5に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、本願請求項6に係る発明は、以下の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2011-528153号公報
引用文献2:特開2012-108792号公報
引用文献3:国際公開第2019/220745号
第4 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由において引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
「【0017】
本明細書に説明される実施形態には一般に、処理リソース及びメモリリソースを含む、コンピュータの使用が必要である。例えば、本明細書に説明されるシステムはサーバまたはネットワークサービス上に実装することができる。そのようなサーバはインターネットのようなネットワークを介して、あるいはセル式ネットワーク及びインターネットのような、ネットワークの組合せによって、接続してユーザが使用することができる。あるいは、本明細書に説明される1つないしさらに多くの実施形態は、全部または一部を、デスクトップコンピュータ、セル式電話、電子手帳またはラップトップコンピュータのような、コンピュータ上にローカルに実装することができる。すなわち、メモリリソース、処理リソース及びネットワークリソースは全て、本明細書に説明されるいかなる実施形態の確立、使用または実施(いかなる方法の実施またはいかなるシステムの実装もふくめて)とともに用いることができる。」
「【0051】
図5は、一実施形態にしたがう、購入時にユーザに商品アイテムを推奨するためのシステムを示す。推奨エンジン520は(例えば、衣服、宝飾品、家具、等のための)e-コマースサイト532上で作動する。e-コマースサイト532は、ユーザが端末540を操作してカタログ502から商品アイテムを購入することを可能にすることができる。カタログ502の商品アイテムは、個々の商品アイテムに関する画像、テキスト及びメタデータのようなコンテンツを含む、関連付けられたコンテンツアイテムによって表示するかまたは売りに出すことができる。カタログ502内の商品アイテムのコンテンツはデータベース510に維持することができる。例えば、商品アイテムは一足の靴に対応することができ、コンテンツデータベース510は、その靴を説明する、画像、テキスト及びメタデータを含む、記録を格納することができる。
【0052】
推奨エンジン520は関心がもたれた商品アイテムのコンテンツ(「関心がもたれた商品コンテンツアイテム522」)を識別するためにe-コマースサイト532で動作することができる。これらには、特定の商品アイテムを見るため及び/または商品アイテムを購入するために端末840(当審注:「端末540」の誤記と考えられる。)を介してユーザが行う選択を含めることができる。推奨エンジン520は、コンテンツデータベース510上で比較512を行うため、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522から得られる画像、テキストまたはメタデータを用いることができる。推奨エンジン520は、結果514を決定するため、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に比較512を行う。結果514は関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に一致するかまたは同様の別の商品アイテムのコンテンツに対応する。比較512は、一致するかまたは同様のコンテンツを含む結果514を見いだすため、規準の生成または関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に関連付けられた規準の識別を推奨エンジン520に要求し得る。推奨コンテンツアイテム524は、少なくともいくらかが、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522と、一体化されているか、合体されているか、そうではなくとも表示される、結果514によって提供される。次いで、ユーザは推奨コンテンツアイテム524に実際に関心をもてば、それらのアイテムを選択するか、そうではなくともそれらのアイテムと対話することができる。
【0053】
図6は、1つないしさらに多くの実施形態にしたがう、商品コンテンツアイテムをユーザに推奨する方法を示す。図6の実施形態の説明において、ステップまたはサブステップを説明する目的のため、図5の実施形態が参照される。
【0054】
ステップ610において、e-コマースサイト532で提供される商品アイテムに関するユーザの関心がモニタされる。例えば、ユーザは特定のアイテムについてのページを見ることができ、あるいはショッピングカートにそのアイテムを入れることができる。ステップ620において、商品アイテムに関連付けられたコンテンツの決定が提供される。この規準は、商品アイテムの画像コンテンツ(例えば、そのアイテムの1つないしさらに多くの図面またはスナップ写真)から、またテキスト及び/またはメタデータからも、決定することができる。規準は前もって決定しておくことができ、あるいはその場で動的に決定することができる。
【0055】
ステップ630において、ユーザに推奨される他の商品アイテムが提供される。ユーザに対して推奨される商品アイテムを識別するために画像解析/認識を行うことができる。さらに、テキスト/メタデータ解析を行うことができる。一実施形態において、説明される(または推奨エンジン520によって実施されるような)方法は、在庫切れまたは入手できない、関心をもたれたアイテムに応答して実施される。そのような実施形態において、サブステップ634は在庫切れプレゼンテーションのユーザへの表示を提供する。例えば、関心をもたれたアイテムがユーザの必要な色またはサイズで入手できないことがあり、その場合、同様に見えるアイテムを代替として表示することができる。同様に見えるアイテムは、在庫切れアイテムに一致するか最も同様であると見なされることから、あるいは同様であるかまたは同じ価格帯(テキスト/メタデータ解析)または仕立て(テキスト/メタデータ解析)のアイテムであることから、選択され得る。」
「【図5】
[図:0001435814000001.jpg]
」
(2)引用発明
【0017】及び【0051】より、引用文献1の「購入時にユーザに商品アイテムを推奨するためのシステム」は、「サーバ」に実装されるものといえる。
【0052】より、引用文献1には、「推奨エンジン520は」、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム522」「を識別するためにe-コマースサイト532で動作することができ」、「特定の商品アイテムを見る」「及び/または」「購入するために端末540を介してユーザが行う選択を含めることができる」ことが記載されている。
【0052】より、引用文献1には、「推奨エンジン520は、結果514を決定するため、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に比較512を行」い、「結果514は関心がもたれた商品コンテンツアイテム522」と「同様の別の商品アイテムのコンテンツに対応」し、「推奨コンテンツアイテム524は、」「結果514によって提供される」ことが記載されている。
【0055】より、引用文献1には、「推奨エンジン520によって実施される」「方法は、在庫切れまたは入手できない、関心をもたれたアイテムに応答して実施される」ことが記載されている。
以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「購入時にユーザに商品アイテムを推奨するためのシステムを実装するサーバであって、
推奨エンジン520は、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522を識別するためにe-コマースサイト532で動作することができ、特定の商品アイテムを見る及び/または購入するために端末540を介してユーザが行う選択を含めることができ、
推奨エンジン520は、結果514を決定するため、関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に比較512を行い、結果514は関心がもたれた商品コンテンツアイテム522と同様の別の商品アイテムのコンテンツに対応し、推奨コンテンツアイテム524は結果514によって提供され、
推奨エンジン520によって実施される方法は、在庫切れまたは入手できない、関心をもたれたアイテムに応答して実施される、
サーバ。」
2 引用文献4~6、周知技術
(1)国際公開第2015/114731号(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「[0040](販売サーバの概要構成)
図3は、本実施形態に係る販売サーバ200の概要構成の一例を示すブロック図である。図示するように、販売サーバ200は、受付部210と、データベース220と、制御部230と、提示部240とを備える。」
「[0054] そして、第2生成部235は、求めた注目商品の価格帯よりも所定割合高い又は低い価格帯の条件を、第1検索条件に付加もしくは置換した第2検索条件を生成する。つまり、注目商品よりも上位グレードの参考商品群の検索を行う際に、第2生成部235は、求めた注目商品の価格帯よりも所定割合高い価格帯の条件を、第1検索条件に付加(もしくは置換)した第2検索条件を生成する。逆に、注目商品よりも下位グレードの参考商品群の検索を行う際に、第2生成部235は、求めた注目商品の価格帯よりも所定割合低い価格帯の条件を、第1検索条件に付加した第2検索条件を生成する。」
「[0056] 提示部240は、インターネット900を介してユーザ端末300に種々の情報を提示する。
例えば、提示部240は、上述した図6に示す商品の一覧表示画面500をユーザ端末300に提示する。そして、ユーザがマウス操作によって、一覧表示画面500の何れかの商品の情報(その情報を表示する範囲内)にマウスカーソルを移動させると、提示部240は、制御部230と協働して、図7に示すような、マウスカーソル501にて指し示される注目商品(この場合、「A社 32V型ABC」)とは異なるグレード(この場合、上位グレード)の参考商品画面502を生成して、ユーザ端末300に提示する。つまり、何れかの商品に対するマウスオーバーによって、一例として、その商品(注目商品)よりも上位グレードの商品を参考商品画面502にて提示する。
すなわち、提示部240は、制御部230の第2生成部235によって生成された第2検索条件を使用して、検索部231により検索を行って、得られた第2検索結果から参考商品画面502を生成してユーザに提示する。
[0057] なお、図7の参考商品画面502は、注目商品よりも上位グレードの参考商品群を検索した場合を示しているが、提示部240は、このような参考商品画面502以外にも、例えば、図8に示すような参考商品画面503を生成して、ユーザ端末300に提示してもよい。この参考商品画面503は、一例として、注目商品よりも下位グレードの参考商品群を検索した場合を示している。・・・(後略)」
「
[図:0001435814000002.jpg]
」
「
[図:0001435814000003.jpg]
」
上記から、引用文献4には次の事項が記載されていると認められる。
「販売サーバ200は、提示部240を備え、
注目商品よりも下位グレードの参考商品群の検索を行う際に、第2生成部235は、求めた注目商品の価格帯よりも所定割合低い価格帯の条件を、第1検索条件に付加した第2検索条件を生成し、
提示部240は、マウスカーソル501にて指し示される注目商品とは異なるグレードの参商品画面503を生成して、ユーザ端末300に提示し、この参考商品画面503は、注目商品よりも下位グレードの参考商品群を検索した場合を示している、
販売サーバ200。」
(2)特開2020-87017号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0028】
図3に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを備える。制御部3は、取得部31と、生成部32と、特定部33と、提供部34とを備える。」
「【0059】
提供部34は、特定部33によって特定された対象商品50の世代とは異なる世代の対象商品50である別世代商品に関する商品情報を提供する。例えば、情報処理装置1がショッピングサーバとして機能する場合、提供部34は、ショッピングサーバで販売している別世代商品の商品一覧を商品情報として提供する。提供部34が提供する商品情報は、対象情報41から必要な情報を抽出してもよく、コンテンツ提供サーバ10等の他のサーバ装置から取得してもよい。また、提供部34が提供する別世代商品は、1つの世代について複数の種類の対象商品50を提供してもよく、複数の世代の対象商品50を提供してもよい。
・・・(中略)・・・
【0062】
また、提供部34は、別世代商品のうち、取得した画像情報における対象商品50と価格が類似する別世代商品に関する商品情報を提供してもよい。これにより、例えば、新しい世代の別世代商品で価格が高すぎることにより購入を控える状況を回避できる。
【0063】
また、提供部34は、別世代商品のうち、対象商品50と商品仕様が類似する別世代商品に関する商品情報を提供する。これにより、ユーザが買い換えた商品が不必要に高機能であったり、逆に低機能であったりすることで、ユーザの満足度が低下することを防止できる。」
上記から、引用文献5には次の事項が記載されていると認められる。
「情報処理装置1は、提供部34を備え、
提供部34は、特定部33によって特定された対象商品50の世代とは異なる世代の対象商品50である別世代商品に関する商品情報を提供し、
提供部34は、別世代商品のうち、取得した画像情報における対象商品50と価格が類似する別世代商品に関する商品情報を提供してもよく、これにより、例えば、新しい世代の別世代商品で価格が高すぎることにより購入を控える状況を回避でき、
提供部34は、別世代商品のうち、対象商品50と商品仕様が類似する別世代商品に関する商品情報を提供し、これにより、ユーザが買い換えた商品が不必要に高機能であったりすることで、ユーザの満足度が低下することを防止できる、
情報処理装置。」
(3)特開2002-109390号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【請求項1】インターネットECモールにおいて、各商品の紹介ページが、当該ページの商品と関連付けられた比較対象商品のページへリンクするページ間移動手段を備えていることを特徴とする商品陳列方法。」
「【0014】ページ間移動手段の表示106内には比較対象となる商品のページに移動するための各リンクがボタンで表されており、顧客はマウス等でボタンを選択することにより所望のページに移動できる。ランクアップボタン106aは、同一メーカーの上級機種の紹介ページ11へのリンクを表す。同ランクボタン106bは、同一メーカーの別の系列における代替機種の紹介ページ12へのリンクを表す。本ページの場合はAと別系列すなわちデスクトップ型またはモバイル型の同クラスの機種のページがリンクされている。ランクダウンボタン106cは、同一メーカーの下位機種のページ13へのリンクを表す。これらのページ11、12、13は、予め登録された商品ランクに従って表示される。」
「【0016】同スペック比較ボタン106eは同等スペックの商品比較ページ30へのリンクを表す。顧客が商品Aの性能には満足しているが、他のメーカーに同等の性能でより安い商品がないか比較検討したいときには、同スペック比較ボタン106eを選択すると、上と同様にモールが選定した比較対照商品Dの詳細なデータがAと対照表示される。関連商品ボタン106fは商品Aと一緒に購入するのに適当な周辺機器などの商品リスト40へのリンクを表す。「戻る」ボタン106gは、紹介ページ10の一つ前に表示されていたページ(ここでは商品リスト5)に戻す。」
上記から、引用文献6には次の事項が記載されていると認められる。
「インターネットECモールにおいて、各商品の紹介ページが、当該ページの商品と関連付けられた比較対象商品のページへリンクするページ間移動手段を備え、
ページ間移動手段の表示106内には比較対象となる商品のページに移動するための各リンクがボタンで表されており、
ランクダウンボタン106cは、同一メーカーの下位機種のページ13へのリンクを表し、
同スペック比較ボタン106eは同等スペックの商品比較ページ30へのリンクを表し、顧客が商品Aの性能には満足しているが、他のメーカーに同等の性能でより安い商品がないか比較検討したいときに選択する、
商品陳列方法。」
(4)上記(1)~(3)によれば、「オンラインショッピングサービスにおいて、ユーザが対象とした商品に対して、類似する他商品であって、機能が低い安価な他商品を提案するコンテンツを提供すること」は、周知技術であるといえる。
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「サーバ」は、「在庫切れ」の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム522に応答」して、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム522と同様の別の商品アイテムのコンテンツに対応」する「結果514」を「決定」し、「推奨コンテンツアイテム524」を「結果514によって提供」するものであるから、引用発明の「サーバ」は、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」が「在庫切れ」であることを推定する手段と、「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」を「推奨コンテンツアイテム」として「提供」する手段と、を備えるといえる。
(2)本願発明の「所定対象に対する複数のユーザの悩み状況と、前記所定対象において悩みが生じる原因とを推定する推定部」について検討する。
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【0011】
実施形態に係る情報処理では、所定対象に対するユーザの悩み状況と、所定対象において悩みが生じる原因とに基づいて、所定対象に対する悩みの解決となるコンテンツを提供する。
【0012】
ここで、所定対象とは、例えば、ショッピングサービスにおいて販売されている商品や、金融商品、株式、サービス等であり、ユーザがお金を支払うことで入手可能な物品や、使用可能なサービス等である。
【0013】
具体的には、まず、実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザ端末50を介してユーザの行動情報を取得する(ステップS1)。行動情報は、例えば、検索行動や、商品やサービス等の購入行動等といったネットワーク上における行動に関する情報である。なお、行動情報は、例えば、ユーザの行動ログを記憶しているログサーバ等から取得されてもよい。
【0014】
つづいて、実施形態に係る情報処理装置1は、取得した行動情報に基づいて所定対象に対するユーザの悩み状況を推定する(ステップS2)。悩み状況は、所定対象である商品の購入やサービスの使用を悩んでいるユーザの数である。言い換えれば、悩み状況は、所定対象の需要である。悩み状況は、例えば、所定対象を検索したユーザ数や、検索頻度、検索時期、検索ユーザ数の伸び率(変化率)、所定対象に関連する商品やサービスの検索・購入履歴等に基づいて推定可能である。
【0015】
つづいて、実施形態に係る情報処理装置1は、取得した行動情報に基づいて所定対象において悩みが生じる原因を推定する(ステップS3)。原因は、例えば、所定対象の在庫不足や、価格、広告配信の実績等である。例えば、情報処理装置1は、商品の在庫不足により商品を購入できずに悩んでいるか、価格が高すぎる(あるいは、安すぎる)ために購入を悩んでいるか等といった原因を推定する。
【0016】
つづいて、実施形態に係る情報処理装置1は、推定した悩み状況および原因に基づいて、所定対象に対する悩みの解決に関するコンテンツを提案する(ステップS4)。例えば、情報処理装置1は、悩み状況および原因の特徴を学習して所定対象に対する悩みの解決策に関する情報を出力するモデルを生成し、悩み状況および原因を入力することでモデルから出力された情報(例えば、スコア)に基づいて所定対象に対する悩みの解決策を推定する。そして、情報処理装置1は、かかる解決策に基づいたコンテンツをユーザ端末50を介してユーザへ提案する。
【0017】
例えば、実施形態に係る情報処理装置1は、在庫不足により所定対象を購入できずに悩んでいる場合には、かかる所定対象と機能等が類似する他商品の購入を提案するコンテンツ(例えば、広告等)を提供する。また、情報処理装置1は、価格が高すぎることにより所定対象を購入できずに悩んでいる場合には、かかる所定対象と類似する他商品であって、機能がやや劣る安価な商品を提案するコンテンツを提供する。」
これより、本願発明における「所定対象」には、「ユーザがお金を支払うことで入手可能な物品」(商品)であって、ユーザにおいて悩みが生じている対象であるから、ユーザが関心をもっていることが明らかな物品が含まれる。よって、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」は、本願発明の「所定対象」に相当する。
また、本願発明における「悩み」とは、前記摘記した【0015】によると、「商品の在庫不足により商品を購入でき」ないこと、「価格が高すぎる(あるいは、安すぎる)ために購入を悩」むことが含まれると解されるから、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」が「在庫切れ」である場合、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」の需要に対して在庫が不足していることが原因で、ユーザが当該「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」を購入できずに悩んでいる状況であると解される。よって、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」が「在庫切れ」であることを推定する手段は、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」に対するユーザの悩み状況と、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」において悩みが生じる原因とを推定している「推定部」といえる。
したがって、引用発明と本願発明は、「所定対象に対するユーザの悩み状況と、前記所定対象において悩みが生じる原因とを推定する推定部」を備え、「前記原因は、前記所定対象の在庫不足」を含み、「前記推定部は、前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定する」点で共通する。
(3)引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」は、本願発明の「当該所定対象と機能が類似する他の前記所定対象」に相当する。
また、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」を「推奨コンテンツアイテム」として「提供」することは、「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」の購入を提案するコンテンツを提供することといえる。
ここで、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」は、「在庫切れ」の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」の代替として購入を提案されるものであるから、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」を在庫不足により購入できないとの悩みの解決となると解される。そして、上記(2)を踏まえると、引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツ」を「推奨コンテンツアイテム」として「提供」する手段は、推定した悩み状況及び原因に基づいて、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」に対する悩みの解決となるコンテンツを提供する「提供部」といえる。
したがって、引用発明と本願発明は、「推定した前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記所定対象に対する悩みの解決となるコンテンツを提供する提供部」を備え、「前記提供部は、前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象に対する悩みを解決する方法として、当該所定対象と機能が類似する他の前記所定対象の購入を提案する前記コンテンツを提供」する点で共通する。
(4)引用発明の「サーバ」は、後述する相違点を除き、本願発明の「情報処理装置」に相当する。
2 上記1から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「所定対象に対するユーザの悩み状況と、前記所定対象において悩みが生じる原因とを推定する推定部と、
推定した前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記所定対象に対する悩みの解決となるコンテンツを提供する提供部と、
を備え、
前記原因は、
前記所定対象の在庫不足を含み、
前記推定部は、
前記悩み状況および前記原因に基づいて、前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定し、
前記提供部は、
前記ユーザが前記所定対象の在庫不足により前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象に対する悩みを解決する方法として、当該所定対象と機能が類似する他の前記所定対象の購入を提案する前記コンテンツを提供すること
を特徴とする情報処理装置。」
(相違点)
(相違点1)
「ユーザの悩み状況」について、本願発明では「複数のユーザの悩み状況」であるのに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。
(相違点2)
「悩み状況」について、本願発明では「前記所定対象の購入を悩んでいるユーザの数を含」むのに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。
(相違点3)
「原因」について、本願発明では「前記所定対象の価格を含」むのに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。
(相違点4)
「推定部」について、本願発明では「前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定」するのに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。
(相違点5)
「提供部」について、本願発明では「前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象と類似する他商品であって、機能が前記所定対象の商品よりも低い安価な前記他商品を提案する前記コンテンツを提供する」のに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
1 相違点1について
引用発明の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」は、「e-コマースサイト532」で提供される「商品アイテム」に対する、「端末540」を介したユーザの「選択」に基づき識別されるものであるところ、複数のユーザが「e-コマースサイト532」を利用することは明らかである。また、アイテムが「在庫切れまたは入手できない」ことは、複数のユーザに関連して生じ得る悩みである。してみれば、引用発明において推定する「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」に対するユーザの悩み状況を、単一のユーザではなく、所定対象に対する複数のユーザの悩み状況として推定し、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
2 相違点2について
引用発明において、「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」に対するユーザの悩み状況の具体的な内容としてどのようなものを採用するかは、周知の「関心がもたれた商品コンテンツアイテム」に対するユーザの悩み状況の中から、当業者が適宜決定し得る事項である。ここで、「前記所定対象の購入を悩んでいるユーザの数」、すなわち、購入希望者の多寡は、ユーザの悩み状況として周知(例えば、購入希望者が多い場合は入手までに時間がかかるから購入を控える、等)であるから、これをユーザの悩み状況として採用し、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
3 相違点3~5ついて
「所定対象の価格」に関して相互に関連する相違点3~5について、まとめて検討する。
本願明細書の発明の詳細な説明【0015】に記載されているように、ユーザが商品の購入を検討する際、商品の価格が高ければ購入に悩むことは当然のことであり、また、ユーザが商品の価格が高いことにより購入に悩んでいると推定される場合、類似する他商品であって、機能が低い安価な他商品を代わりに提案することは、ごく一般的な商慣行である。そして、上記第4の2(4)のとおり、オンラインショッピングサービスにおいて、ユーザが対象とした商品に対して、類似する他商品であって、機能が低い安価な他商品を提案するコンテンツを提供することは、周知技術である。
そうすると、上記商慣行及び周知技術に鑑みれば、引用発明において、悩みの「原因」は「前記所定対象の価格」を含み、「推定部」は「前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定」し、「提供部」は「前記ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象と類似する他商品であって、機能が前記所定対象の商品よりも低い安価な前記他商品を提案する前記コンテンツを提供する」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
4 作用効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
5 請求人の主張について
令和7年12月25日提出の意見書における請求人の主張について検討する。
請求人は、引用文献1には、関心がもたれた商品コンテンツアイテムと同様の別の商品アイテムのコンテンツを提供する点が開示されているものの、本開示のように、ユーザが前記所定対象の価格が高いことにより前記所定対象を購入できずに悩んでいると推定された場合、前記所定対象と類似する他商品であって、機能が前記所定対象の商品よりも低い安価な前記他商品を提案する前記コンテンツを提供する点については何ら開示されておらず、補正後の請求項1は、引用文献1-3では開示されていない構成を有しており、当業者であっても容易に想到しうるものではない旨、主張する。
しかしながら、本願発明において、請求人が主張する上記のように特定されている点は、上記第5の2で検討したとおり、引用文献1には何ら開示がないとまではいえない。そして、本願発明と引用発明とでは、上記相違点5において相違するものの、当該相違点5については上記3で検討したとおりであり、引用発明及び周知技術から容易に想到し得るものであるから、請求人の上記主張は採用できない。
6 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-020434