特許拒絶査定不服審判
2022-009381
遊技機
- 審判番号
- 2022-009381
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-040063外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月20日
- 審決日
- 2023年03月07日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】弁理士法人上野特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第50条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018- 40063「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月12日出願公開、特開2019-150489〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年3月6日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 3年12月 9日付け:拒絶理由通知
令和 4年 2月14日 :意見書の提出
同年 3月14日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 同月29日 :原査定の謄本の送達
同年 6月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年6月20日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年6月20日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、願書に最初に添付された特許請求の範囲の本件補正前の請求項1に、
「遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段を示す操作画像を表示して、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出を実行する操作演出実行手段と、
前記操作演出よりも前に実行される演出であって、所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段と、
を備え、
前記導入演出にて表示される前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされた場合には前記操作演出に移行する一方、前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされなかった場合には前記操作演出に移行しないことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段を示す操作画像を表示して、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出を実行する操作演出実行手段と、
前記操作演出よりも前に実行される演出であって、当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段と、
を備え、
前記導入演出にて表示される前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされた場合には前記操作演出に移行する一方、前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされなかった場合には前記操作演出に移行しないことを特徴とする遊技機。」とする補正である(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。
2 補正の適否について
(1)補正の目的について
ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の有体物」が「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」ものに限定するものである。
イ 上記アからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0074】~【0090】、図14等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、A~Eについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 遊技者が操作可能な操作手段と、
B 前記操作手段を示す操作画像を表示して、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出を実行する操作演出実行手段と、
C 前記操作演出よりも前に実行される演出であって、当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段と、
を備え、
D 前記導入演出にて表示される前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされた場合には前記操作演出に移行する一方、前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされなかった場合には前記操作演出に移行しない
E ことを特徴とする遊技機。」
(2)引用例、引用発明
ア 引用例の記載事項
原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-85649号公報(平成25年5月13日公開、以下「引用例」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技中に抽選契機が発生すると、図柄の変動表示を行った後に抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、演出切替ボタンを利用することにより、遊技者の遊技に対する参加意識を高め、遊技性を向上させている技術が知られている。ここで、「演出切替ボタン」とは、遊技機の前面部分に配置された演出用のボタンであり、遊技者は、この演出切替ボタンを操作(例えば、押下)することで演出内容を切り替えたり、各種の予告演出等を発生させたりすることができる。
【0003】
特に、演出図柄を用いた変動演出中に予告演出の一つとして、遊技者による演出切替ボタンの操作に応じて大当りとなる可能性があることを予告するボタン予告演出が知られている。このボタン予告演出の多くは、演出切替ボタンに似せた演出切替ボタン画像(以下、「ボタン画像」とする)を画面に出現させて遊技者の注目を集め、その後の積極的なボタン操作を促す態様により行われている。そして、実際に遊技者がボタン操作を行うと、それに応じてセリフ予告を発生させたり、アイテム画像を出現させたりすると言った演出上の変化がもたらされる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、1回の変動演出中に演出図柄が一旦停止表示して再度変動表示(再変動)が開始されるといった擬似的に連続して変動しているように見せる演出(所謂、擬似連変動演出)が知られている。特許文献1の技術は、その擬似連変動演出の再度変動表示が開始される際に、この演出切替ボタンによるボタン予告演出が実行し、1回の変動演出中に演出切替ボタンの操作回数が増えるほど、大当りの信頼度が高くなるように構成することで、ボタン予告演出の出現回数に応じて大当りの期待度を高めることができると考えられている。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の一般的なボタン予告演出は、ボタン画像によって「遊技者にボタン操作を促す」ということしか意識しておらず、「今回のボタン予告によって遊技者に何を一番伝えたいか」という観点が欠けている。例えば、上述した先行技術(特許文献1)は、擬似連変動演出の発生前と再変動後にそれぞれボタン画像とメール画像を並べて表示し、「ボタンを押してメールを開けてね」というメッセージを表示している。この場合、遊技者に対して「ボタンを押せば、メールが開いて中身が出てくる」といった見た目上の意味を伝えることはできるものの、それ以上の演出上の意図(これから擬似連変動演出に発展する、リーチ演出に発展する等)を伝えることは難しい。このためややもすると、遊技者はボタン予告演出が単に「煩わしい作業を強制されるもの」としか感じられなくなり、やがてボタン予告演出そのものに対する興味が失われていくという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、ボタン画像に明確な演出上の意図が含まれることを遊技者に認知させやすくすることができる技術の提供を課題とするものである。」
(イ)「【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。
・・・略・・・
【0050】
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45(操作入力受付手段)が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(各種の予告演出、確変昇格演出等)を発生させたりすることができる。」
(ウ)「【0417】
〔演出図柄の構成〕
図39は、変動表示演出及び結果表示演出(確定停止表示演出)で用いられる演出図柄の構成例を示す図である。図39中(A)には、上記基本構成要素からなる演出図柄A1~A9が示されており、図39中(B)には、上記特別構成要素からなる演出図柄B1~B9が示されている。図39には、例えば上述した3つ図柄列(左・中・右図柄列)のうち、左図柄列を構成する9種類の左演出図柄が横一列に並べられた状態で示されている。なお、中図柄列及び右図柄列は左図柄列と異なった構成でもよいが、同一の構成であることが見た目上の訴求力として好ましい。
【0418】
〔基本構成〕
図39中(A)には、(1)キャラクター画像S1~S9と(2)数字画像N1~N9との組み合わせの基本構成要素からなる9種類の演出図柄A1~A9が示されている。これら9種類のそれぞれの演出図柄A1~A9は、例えば「1」~「9」のいずれかの数字とともに、9体の異なる「キャラクター」がそれぞれの数字に対応して付された絵札をデザインしたものとなっている。例えば、演出図柄A7は、1体のキャラクターからなる(1)キャラクター画像S7と、数字の「7」を表す(2)数字画像N7との組み合わせから構成されている。
【0419】
これらの基本構成要素からなる演出図柄を用いた変動表示演出のために、各図柄列(左・中・右図柄列)の配列順の構成は、数字画像に表示される数字が「1」~「9」の昇順に並べた構成をしており、すなわち演出図柄をA1~A9の昇順に並べた構成をしている。そして、変動表示演出においては、昇順に並べた構成からなる図柄列を画面の左領域・中領域・右領域でそれぞれ独立に縦方向に流す(スクロールする)ように変動表示が行われている。例えば、各演出図柄が画面上を上から下に流れる(「1」→「2」→「3」→・・・→「8」→「9」→「1」→・・・)変動表示演出がそれぞれ独立して行われるものとなっている。なお、演出図柄の規定数は9種に限定されず、それより多くても少なくてもよい。また、画面を左領域・中領域・右領域に分割してそれぞれにおいて縦方向にスクロール変動する演出が行われると説明したが、これに限定されず、画面を上領域・中領域・下領域に分割しそれぞれにおいて横方向にスクロール変動する演出を行ってもよい。
【0420】
〔特別構成〕
図39中(B)には、(1)キャラクター画像S1~S9と(2)ボタン画像BGとの組み合わせの特別構成要素からなる9種類の演出図柄B1~B9が示されている。また、図39中(B)の各演出図柄B1~B9のキャラクターには、図39中(A)と同一の(1)キャラクター画像S1~S9のキャラクターが用いられており、(2)数字画像と(3)ボタン画像とが表裏一体関係にあることを表している。具体的には、図39中(A)の基本構成要素からなる演出図柄A7と図39中(B)の特別構成要素からなる演出図柄B7とが表裏一体関係にあることを表している。なお、他の演出図柄も同様である。
【0421】
このように、本実施形態の演出図柄は、(1)キャラクター画像と(2)数字画像との組み合わせからなる基本構成要素と、(1)キャラクター画像と(3)ボタン画像との組み合わせからなる特別構成要素と、のいずれかの構成要素からなる。したがって、基本構成要素からなる演出図柄が表示される場合、(1)キャラクター画像が表示されている演出図柄には(2)数字画像のみが表示され、特別構成要素からなる演出図柄が表示される場合、(1)キャラクター画像と(3)ボタン画像が表示され、(2)数字画像は演出図柄内には表示されない。
【0422】
なお、この特別構成要素からなる演出図柄は、通常とは異なる特別な変動表示演出(以下、特別変動表示演出、又は特別変動演出とする)の際に画面に表示されるものである。すなわち、特別変動表示演出ではない通常の変動表示演出(以下、通常変動表示演出、又は通常変動演出とする)においては、基本構成要素((1)キャラクター画像と(2)数字画像との組み合わせ)からなる演出図柄のみが表示され、特別変動表示演出においては、基本構成要素からなる演出図柄と特別構成要素((1)キャラクター画像と(3)ボタン画像との組み合わせ)からなる演出図柄とを用いた演出が行われる。なお、結果表示演出時(確定停止表示演出)には、基本構成要素からなる演出図柄のみを用いた演出が行われ、特別構成要素からなる演出図柄は表示されず、具体的には、(3)ボタン画像が表示された演出図柄が確定停止表示演出において表示画面内に表示されることはない。
・・・略・・・
【0426】
〔(3)ボタン画像〕
ボタン画像は、演出切替ボタン45を模した画像である。図39中(B)に示すように、全ての演出図柄B1~B9において同一のボタン画像BGが示されている。また、数字画像N1~N9とは表裏一体の関係にあるため、例えば、数字の「1」を表す数字画像N1が演出図柄内に表示されている際には、ボタン画像BGは表示されることはない。また、ボタン画像BGは、特別な変動表示演出において演出図柄内に表示される。」
(エ)「【図39】
[図:0001397000000001.jpg]
」
(オ)「【0471】
〔(3)特別変動表示演出(例2)〕
図44は、特別変動表示演出の例2を示す連続図である。なお、ここでは、演出ボタン予告演出を伴う基本構成要素と特別構成要素とからなる演出図柄による上記(2)特別変動表示演出の例1とは別の特別な擬似連変動演出を含んだ(3)特別変動表示演出の例2について説明する。なお、ここでの説明では、演出図柄の表記について、数字の「1」~「9」又はボタン画像BGを使用し、これまで表示されていたキャラクター(キャラクター画像)は省略して説明する。また、演出図柄による特別な擬似連変動演出のみを説明し、例えば、リーチ演出等は上記(2)特別変動表示演出(例1)と同様であるため説明を省略する。
【0472】
図44中(A3):例えば、特別図柄が変動を開始する前の状態で、液晶表示器42の表示画面内の中央位置に左・中・右の演出図柄が表示されている。この例では、画面に「3」-「1」-「4」の数字の組み合わせで演出図柄が停止表示されている。
【0473】
図44中(B3):特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で演出図柄の3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。また、この場合の背景画像として、浴衣を着こなした女性キャラクターが長椅子に腰掛け、夕涼みでもするかのようにリラックスしている風景、すなわち、「通常モード」を表現したものが表示される。
【0474】
図44中(C3):画面表示内において、ゆっくりと数字の「5」が表記された左演出図柄から「6」が表記された左演出図柄へスクロールされていく様子が表示されている。また、数字の「6」が表記されている左演出図柄内では、数字の「6」の部分がゆっくりと表裏回転する変動表示演出が行われている。なお、この時、数字の「5」が表記されている別の左演出図柄についてはそのような表裏回転する変動表示演出は行われない。
【0475】
図44中(D3):画面表示内において、ゆっくりと数字の「5」が表記された左演出図柄から演出ボタン画像BGが表示された左演出図柄へスクロールされていく様子が表示されている。また、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更された左演出図柄内では、演出ボタン画像BGの部分がゆっくりと表裏回転する変動表示演出が行われている。
【0476】
図44中(E3):画面表示内において、ゆっくりと数字の「5」が表記された左演出図柄から「6」が表記された左演出図柄へスクロールされていく様子が表示されている。また、演出ボタン画像BGから数字の「6」に表記が変更された左演出図柄内では、数字の「6」の部分がゆっくりと表裏回転する変動表示演出が行われている。
【0477】
図44中(F3):画面表示内において、ゆっくりと数字の「5」が表記された左演出図柄から演出ボタン画像BGが表示された左演出図柄へスクロールされていく様子が表示されている。また、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更された左演出図柄内では、演出ボタン画像BGの部分がゆっくりと表裏回転する変動表示演出が行われている。
【0478】
図44中(G3):画面表示内において、数字の「6」が表記された左演出図柄のスクロール変動が停止する様子が表示されている。また、演出ボタン画像BGから数字の「6」に表記が変更された左演出図柄内では、数字の「6」の部分がゆっくりと表裏回転する変動表示演出が行われている。
【0479】
〔演出ボタン予告演出〕
図44中(H3):画面表示内において、スクロール変動が停止している左演出図柄内では、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されたまま停止表示され、左演出図柄内で行われていた一連の数字の「6」と演出ボタン画像BGとが表裏回転する変動表示演出が終了したことが表現されている。すなわち、基本構成要素からなる演出図柄から特別構成要素からなる演出図柄に変化したことが表現されている。さらに、「ボタンを押してね!」といった文字画像が、上下にスクロール変動表示されている中演出図柄及び右演出図柄上に出現する演出ボタン予告演出が行われる。このように、左演出図柄内において数字の「6」から演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)に表記を変更(表裏回転)して停止表示し、「ボタンを押してね!」という文字画像を表示して演出切替ボタン45の押下を示唆することによって、遊技者に対して、演出切替ボタン45を押下すると、数字の「6」が変化し、演出が発展するかもしれないという期待感を持たせることができる。
【0480】
なお、左演出図柄が停止表示されるまでのこれら一連の表裏回転による変動表示演出(図44中(C3)~(H3))により、遊技者に対して、左演出図柄内の表記が数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記であるということを演出上で伝達することができる。また、「6」と演出ボタン画像BGとを表裏回転することによって、遊技者に対して、演出ボタン画像BGの表示で演出図柄停止した場合、次の演出が発展するかもしれないという期待感を持たせる煽り演出をすることができる。
【0481】
〔疑似連変動開始予告演出〕
図44中(I3):画面表示内において、遊技者により演出切替ボタン45が押下されたことを確認した後、キャラクター等の画像と「もう1回!」といった文字画像が表示される擬似連変動開始予告演出が行われる。なお、遊技者により演出切替ボタン45の押下がされなかった場合でも、すなわち、演出切替ボタン45の押下がされずにボタン押下受付有効時間が経過した場合でも、この「もう1回!」といった文字画像を表示する擬似連変動開始予告演出を行ってもよい。このように擬似連変動開始予告演出を行うことによって、遊技者に対し、再度変動表示が開始されることを教示することができる。また、このときスピーカ54,55,56から「もう1回!」等の音声を出力させる態様であってもよい。
【0482】
図44中(J3):演出図柄の組み合わせが「6」-「6」-「2」のはずれ目で停止表示された状態から、再度全ての演出図柄の変動表示が開始される演出が表現されている。これにより、遊技者に対し、今回の変動は「はずれ」に該当したことを演出上で表現することができ、再度変動表示が開始される次回の変動に期待感を抱かせることができる。
【0483】
これら一連の演出(図44中(A3~J3))によって、擬似的に連続して演出図柄が変動表示される様子が表現されている。ここで、今回の一連の演出は、左演出図柄が停止表示された時に、再度変動表示が開始されているのに対し、先の一連の演出(図40中(A1~E1)、図41中(A2~D2))では、全演出図柄が停止表示された時に、再度変動表示が開始されている。したがって、今回の一連の変動表示演出に要する時間は、中演出図柄及び右演出図柄が停止表示されるまでの時間だけ短縮されている。なお、図示していないが、これら一連の擬似連変動演出(図44中(A3~J3))を数回繰り返すことにより、遊技者に対して、大当り期待度が高いことを教示することができる。
【0484】
なお、このように、全ての演出図柄が見せかけ状の停止表示状態になった段階ではなく、1つ目の演出図柄が停止表示状態になった際に、数字画像をボタン画像に変化させることで、上記(2)特別変動表示演出(例1)の効果に加え、早い段階で擬似連変動演出(特別な疑似連変動演出)を実行でき、さらに遊技性を広げることができる。また、早い段階で特別な擬似連変動演出を実行することによって、擬似連変動演出に要する時間を短縮し、変動1回に要する時間を短縮できる。また、擬似連変動演出を短縮することによって、変動1回に要する時間内の残りの時間において、リーチ演出に関する時間の割合を充分大きくすることができる。
【0485】
ここで、上記一連の特別な擬似連変動演出では、具体的な例として左演出図柄が停止表示している演出(図44中(C3)~(H3))が示されていた。しかしながら、1つ目に停止表示される演出図柄は左演出図柄に限定されずに、2つ目に中演出図柄又は右演出図柄が停止表示され、演出図柄内の表示が数字画像からボタン画像に変更されてもよい。
【0486】
なお、図示していないが、図44中(G3)の後、画面表示内において、スクロール変動が停止している左演出図柄内で、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されず(表裏回転せず)、数字の「6」の表記で停止され、左演出図柄内で行われていた一連の表裏回転する変動表示演出が終了したことが表現されてもよい。このように、表裏回転するかもしれないという期待感を煽る演出(所謂ガセ演出)を行うことで、遊技の興趣を高めてもよい。
【0487】
また、他にも、図示していないが、図44中(I3)に示すように「もう1回!」といった文字画像を表示する擬似連変動開始予告演出後に、図44中(J3)に示すように全ての演出図柄がはずれ目で停止表示された状態から再度変動表示が再開される演出に進まずに、左演出図柄だけが停止表示され、中・右演出図柄についてはスクロール変動が継続されている状態の変動表示演出に進み、その後、左演出図柄もスクロール変動が開始されて全ての演出図柄が変動表示される演出に進んでもよい。更には、図44中(I3)擬似連変動開始予告演出後に、停止表示から変動表示が行われるといった演出を介さずに、既に2回目の変動表示が開始されている演出(例えば、図44中(B3))に進んでもよい。すなわち、擬似連変動開始予告演出後には全ての演出図柄がスクロール変動している変動演出を行ってもよい。このように、中・右演出図柄の変動表示を終了することなく(停止表示することなく)、変動表示を継続する演出(遊技者に対して特別な擬似連変動演出(一端全ての演出図柄が仮停止して再変動する演出)に見せかけた煽り演出)を実行するにより、中・右演出図柄を停止表示している演出を省略することができるため、さらに遊技者に期待感を与えつつ演出時間を短縮することができる。また、従来と異なる煽り演出を行うことで、さらに遊技の興趣を高めることができる。
【0488】
また、同様に、図示していないが、図44中(H3)の後、遊技者により演出切替ボタン45が押下されたにもかかわらず、画面表示内において図44中(I3)に示すように「もう1回!」といった文字画像を表示する擬似連変動開始予告演出が行われずに、演出ボタン画像BGから数字の「6」に表記が変更(表裏回転)した左演出図柄が停止表示されてもよい。このように、擬似連変動演出になるかもしれないという期待感を煽る演出(所謂ガセ演出)を行うことで、さらに遊技の興趣を高めてもよい。
【0489】
さらに、図示していないが、図44中(H3)の後、図44中(I3),(J3)に進まずに、演出ボタン画像BGから数字の「6」に表記が変更(表裏回転)した左演出図柄が再度変動表示演出が開始される演出(所謂スベリ変動演出)を行うことで、さらに遊技の興趣を高めても良い。
【0490】
以上のように、本実施形態における変動1回ごとの基本的な演出について(3)特別変動表示演出(例2)を例にして説明した。上記で説明したように、基本構成要素からなる(数字画像が表示された)演出図柄と特別構成要素からなる(ボタン画像が表示された)演出図柄が入れ替わりながらスクロール変動する変動表示演出が行われる(図44中(C3)~(H3))。これにより、遊技者に対して、左演出図柄内の表記が数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記であるということを演出上で伝達することができた。また、1つめの演出図柄が一旦停止表示された後に特別な擬似連変動演出が実行され、これにより、早い段階で擬似連変動演出を実行でき、さらに遊技性を広げることができた。
【0491】
次に、(4)特別変動表示演出(例3)について説明する。ここで、(3)特別変動表示演出(例2)では、1つめの演出図柄が一旦停止表示された後に特別な擬似連変動演出が実行されていた。それに対し、(4)特別変動表示演出(例3)では、2つ目の演出図柄が一旦停止表示された後に、特別な擬似連変動演出を行う点が異なっている。」
(カ)「【図44】
[図:0001397000000002.jpg]
」
(キ)「【0593】
具体的には、例えば、左演出図柄に対して、変動表示を開始するタイミング、変動時間、変動表示の変動態様(例えば、高速でスクロール変動、停止表示間際に低速でスクロール変動等)、停止表示するタイミング、停止表示の態様、擬似連変動演出に伴う変動表示の再開タイミング等を決定する。他にも、特別変動演出が行われる際には、基本構成要素からなる(数字画像が表示された)演出図柄から特別構成要素からなる(ボタン画像が表示された)演出図柄に変化するタイミング、特別構成要素からなる(ボタン画像が表示された)演出図柄から基本構成要素からなる(数字画像が表示された)演出図柄に戻るタイミング、変化前後の表示態様(例えば、「5」→「ボタン画像BG」→「6」)、変動表示の変動態様(例えば、演出図柄の表示を数字と演出切替ボタン45の絵柄とを表裏回転する変動表示等)等も決定される。また、同様に、中演出図柄、右演出図柄に対しても同様に決定する。また演出制御CPU126は、決定したこれらのタイミングをタイマにセットする。演出制御CPU126はセットされたタイマをカウントしつつ、表示画面において各演出図柄の変動表示及び停止表示を行う。」
(ク)【0480】の記載を踏まえて図44を参照すると、図44(C3)~(H3)の記載より、変動表示演出において、左演出図柄で、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体が表裏回転していることが見て取れる。
イ 引用発明
上記アからみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、a~eについては本願補正発明の特定事項A~Eに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技者が操作することで演出内容を切り替えることができる演出切替ボタン45(【0050】)と、
b-d 液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして開始させる変動表示演出であって、スクロール変動が停止している左演出図柄内では、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されたまま停止表示され、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体が表裏回転する一連の変動表示演出を終了し、
さらに、「ボタンを押してね!」といった文字画像が出現する演出ボタン予告演出を行う(【0426】、【0473】、【0479】、上記(ク))、
演出制御CPU126(【0593】)と、
を備え、
スクロール変動が停止している左演出図柄内で、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されず(表裏回転せず)、数字の「6」の表記で停止され、左演出図柄内で行われていた一連の表裏回転する変動表示演出が終了することが表現されてもよい(【0486】)、
e パチンコ機1(【0037】)。」(以下「引用発明」という。)
(5)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
ア 特定事項Aについて
引用発明の「a 遊技者が操作することで演出内容を切り替えることができる演出切替ボタン45」は、本願補正発明の「A 遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。
イ 特定事項Bについて
引用発明の「演出切替ボタン45を模した画像である演出ボタン画像BG」は、本願補正発明の「操作手段を示す操作画像」に相当する。
また、引用発明のb-dにおける、数字の「6」から演出ボタン画像BG(操作画像)に表記が変更されたまま停止表示され、さらに、「ボタンを押してね!」といった文字画像が出現する演出ボタン予告演出は、遊技者に対して演出切替ボタン45(操作手段)の操作を促していることが明らかであるから、本願補正発明の「遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出」に相当する。
また、引用発明の演出ボタン予告演出を行う演出制御CPU126は、本願補正発明の「操作演出を実行する操作演出実行手段」の機能を備える。
そうすると、引用発明のb-dは、本願補正発明の特定事項Bを備える。
ウ 特定事項Cについて
引用発明の「数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体」は、形体を備えており、「形体をそなえず、観念上でのみ理解しうる」無体物であるとはいえないから、本願補正発明の「所定の有体物」に相当する。
引用発明のb-dにおいて、演出ボタン予告演出(操作演出)より前に、スクロール変動が停止している左演出図柄内では、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体が表裏回転する一連の変動表示演出が行われるから、該変動表示演出は、本願補正発明の「前記操作演出よりも前に実行される演出であって、」「所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出」に相当する。
また、引用発明の変動表示演出(導入演出)を行う演出制御CPU126は、本願補正発明の「導入演出を実行する導入演出実行手段」の機能を備える。
そうすると、引用発明のb-dと、本願補正発明の特定事項Cの「前記操作演出よりも前に実行される演出であって、当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段」とは、「前記操作演出よりも前に実行される演出であって、」「所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段」で一致する。
エ 特定事項Dについて
引用発明のb-dにおける、数字の「6」と演出ボタン画像BGとが表裏回転する変動表示演出は、数字の「6」と演出ボタン画像BGとが表裏回転しながらスクロールする態様を経て、スクロール変動が停止している左演出図柄内で、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されたまま停止表示され、左演出図柄内で行われていた一連の表裏回転する変動表示演出(導入演出)を終了し、さらに、「ボタンを押してね!」といった文字画像が出現する演出ボタン予告演出を行うか、あるいは、数字の「6」から演出ボタン画像BGに表記が変更されず(表裏回転せず)、数字の「6」の表記で停止され、左演出図柄内で行われていた一連の表裏回転する変動表示演出(導入演出)を終了するものである。
言い換えれば、引用発明のb-dは、変動表示演出(導入演出)にて表示される、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体(特定画像)が、演出ボタン画像BG(操作画像)で停止(変化)したかのような表示がなされた場合には、演出ボタン予告演出(操作演出)に移行する一方、前記円盤状体(特定画像)が演出ボタン画像BG(操作画像)で停止したかのような表示がなされなかった場合には演出ボタン予告演出(操作演出)に移行しないものであるといえる。
そうすると、引用発明のb-dは、本願補正発明の特定事項Dを備える。
オ 特定事項Eについて
引用発明の「e パチンコ機1」は、本願補正発明の特定事項Eの「遊技機」に相当する。
カ 上記ア~オからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 遊技者が操作可能な操作手段と、
B 前記操作手段を示す操作画像を表示して、遊技者に対して前記操作手段の操作を促す操作演出を実行する操作演出実行手段と、
C’前記操作演出よりも前に実行される演出であって、所定の有体物を表す特定画像を表示する導入演出を実行する導入演出実行手段と、
を備え、
D 前記導入演出にて表示される前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされた場合には前記操作演出に移行する一方、前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示がなされなかった場合には前記操作演出に移行しない
E 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点(特定事項C)
「所定の有体物」に関し、
本願補正発明では、「所定の有体物」が「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」のに対し、
引用発明では、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体(所定の有体物)が「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」といえるかどうかが明らかでない点。
(6)判断
上記相違点について検討する。
ア 引用発明は、変動表示演出では、数字の「6」と演出ボタン画像BG(「PUSH」といった文字)とで表裏一体の表記がなされている厚みのある円盤状体が表裏回転しており、該変動表示演出終了後の演出ボタン予告演出では、前記円盤状体の回転が停止して、演出ボタン画像BGに表記が変更されたまま表示され、さらに、「ボタンを押してね!」といった文字画像が出現するものである。
そうすると、変動表示演出と演出ボタン予告演出とでは、その双方の演出で、演出ボタン画像BGが表示されているとしても、前者では、表示回転中であり、数字の「6」と演出ボタン画像BGのいずれで停止するのかが未確定な状況であることを意味するのに対し、後者では、演出ボタン画像BGが停止表示して確定するとともに、ボタン操作を促すことを意味するというように、演出自体が相互に異なる意味を有するものである。
また、引用例の図44(C3)~(G3)のように、数字の「6」と演出ボタン画像BGがそれぞれ表裏に表記された表裏回転中の円盤状体と、同引用例の図44(H3)のように、確定表示した演出ボタン画像BGとでは外観的にも異なるものである。
これらの事情を考慮すると、引用発明において、図柄としての数字の「6」又は操作手段として演出ボタン画像BGが表示された前記円盤状体自体は、図柄そのもの又は操作手段そのものと断定することができないから、上記相違点に係る本願補正発明の「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」ということができる。
そうすると、引用発明は、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項を備えるといえるから、上記相違点は実質的な相違点ではない。
してみると、本願発明は、引用発明と同一である。
イ 仮に上記相違点が実質的な相違点だとしても、引用発明の円盤状体について、引用例中では、「数字の「6」と演出ボタン画像BGがそれぞれ表裏に表記された」もの、又は、演出ボタン画像BGそのものであるかのように述べられているが、前記円盤状体をどのように命名又は定義付けるかは当業者が必要に応じ適宜決定し得ることにすぎず、技術的に格別創意工夫を要したことではない。
以上のとおりであるから、引用発明において、円盤状体(所定の有体物)を当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではないものとなすこと、すなわち、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が容易に想到し得たことである。
(7)本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から、予測することができた程度のものである。
(8)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の「(4)原査定が取り消されるべき理由」において、概ね以下のとおり主張する。
「4-1)取消事由1
・・・略・・・
つまり、原査定では、「厚みを有する円盤状体が表裏回転」することが「有体物」であることの根拠とされているが、先の拒絶理由通知においては、そのような説明が全くなされていない(「演出図柄」を有体物であると認定したと解釈することしかできない)。
また、引用文献1の段落0475、0477には、「演出ボタン画像BGの部分がゆっくりと表裏回転する」(下線は出願人による)と記載されている。また、「厚み」を有するものは、「図柄」ではなく、「ボタン」であると捉えるのが自然である。
このことに照らせば、引用発明において表裏回転するのは「演出ボタン」なのであり、「演出図柄」ではない。すなわち、「厚みを有する円盤状体が表裏回転」することが「有体物」であることの根拠であるとするのであれば、それは、表裏回転することが可能な「演出ボタン」が本願発明の「有体物」に相当するとする判断が示されなければならなかったのであり、引用発明の「演出図柄」が本願発明の「有体物」に相当すると判断されているとしか解釈することができない(引用発明の「演出ボタン」が本願発明の「有体物」に相当すると判断されていると解釈することができない)同拒絶理由通知は明らかに明確性を欠くものである。
しかも、同拒絶理由通知には、『「演出図柄」が「演出ボタン画像BG」に変化した場合』と記載されており、変化「後」のものが「演出ボタン」であるとする認定がなされている。この記載からすれば、引用発明の表裏回転する「演出ボタン」を、本願発明でいう変化「前」の「有体物」に相当すると判断していると解釈することは不可能である。
以上のことからすれば、同拒絶理由通知は、出願人および第三者が拒絶理由の内容を明確に把握できるよう記載されたものであるとはいえない。
よって、本願についての審査手続は、特許法第50条の違法(手続違背)があるから取り消されるべきものである。
なお、「演出図柄」は、その名の通り「図柄」なのであるから、同拒絶理由通知にて示された対応関係を前提とすれば、『明らかに無体物(審査官注:形体をそなえず、観念上でのみ理解しうるもの。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版])である』とする出願人の主張は妥当である。
すなわち、出願人は、同拒絶理由通知に記載されている対応関係に基づいて誠実に反論したのであり、その対応関係を異ならせていきなり拒絶査定とすることは、明らかに不意打ちにあたり、出願人にとって過酷である。
4-2)取消事由2
本願発明は、「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない所定の有体物を表す特定画像」とする発明特定事項を有する。
よって、
・上記拒絶理由通知のように、引用発明の「演出図柄」が本願発明の「有体物」であるとする認定、
・原査定のように、引用発明の「演出ボタン」(表裏回転するもの)が本願発明の「有体物」に相当するとする認定、
のいずれの立場をとった場合でも、本願発明と引用発明は相違する。
また、引用発明を本願発明のように変更する動機付けとなる記載は引用文献1に存在しないから、本願発明は引用発明から容易想到ではない。
なお、今般の補正は、引用発明との違いをより明確にして(強調して)無用な争いを避けるためにしたものであり、以下の(イ)、(ロ)通り、今般の補正を行わずとも、所定の有体物が「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」ことは事実上特定されていたことを申し添える。
(イ)補正前の段階から「有体物」とされていたのであるから、(当否抽選結果を示す)「図柄」は当該有体物に含まれない。
(ロ)補正前の段階から「前記操作手段を示す操作画像」、「前記特定画像の一部が前記操作画像に変化したかのような表示」といった特定をしていたのであるから、変化する前のものは操作手段を表した画像ではないと捉えるのが日本語解釈として自然である(操作画像に「変化」することを特定しているのに、変化する前のものも操作画像であると解釈することは通常ではない)。」
イ 請求人の主張について検討する。
(ア)取消事由1について
令和3年12月9日付け拒絶理由通知においては、引用文献1(引用例)の「演出図柄」が本願補正発明の「有体物」に相当すると特に明示して認定しておらず、原査定における「厚みを有する円盤状体が表裏回転」することが「有体物」であるとの認定を妨げるものではないから、この点で手続違背があるとはいえない。
(イ)取消事由2について
上記(5)で示したとおり、引用文献1(引用例)の円盤状体が本願発明の「所定の有体物」に相当し、上記(6)で示したとおり、該「所定の有体物」が「当否抽選結果を示す図柄や前記操作手段ではない」ものとすることについては、当業者が容易に想到し得たものといえる。
以上のとおり、請求人の上記主張は採用できない。
(9)むすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用発明であり、引用例に記載された発明である。また、本願補正発明は、当業者が、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 小括
本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。
(1)(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1
・引用文献等1
<引用文献等一覧>
1.特開2013-85649号公報
3 引用例
引用文献1(引用例)は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、本件補正により限定された事項(上記相違点に係る本願補正発明の特定事項)を削除したものである。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明とは、全ての点で一致するから、本願発明は、引用発明と同一であり、引用例に記載された発明である。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-009381