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特許拒絶査定不服審判

2022-006911

投影システム及び表示画像の補正方法

審判番号
2022-006911
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-114136
請求日
2022年05月10日
審決日
2023年03月13日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】中強光電股▲ふん▼有限公司
  • 【請求人代理人】伊東 忠重
  • 【請求人代理人】伊東 忠彦
  • 【請求人代理人】宮崎 修
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 波多江 進
  • 審判官 濱野 隆
分類
P18 .572-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-114136「投影システム及び表示画像の補正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開、特開2019- 8286〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年6月15日(パリ条約による優先権主張2017年6月21日、中国)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 8月 2日付け:拒絶理由通知書 同年11月 9日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和4年 1月11日 :原査定の謄本の送達) 同年 5月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年5月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年5月10日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和4年5月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、本件補正前(令和3年11月9日にされた手続補正後をいう。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次の(1)及び(2)に示すとおりである(下線は補正箇所を示す。)。 (1) 本件補正前 「 【請求項1】 投影装置及び表示スクリーンを有する投影システムに適用される表示画像の補正方法であって、 ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、前記投影装置内に記憶された補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップと、 前記投影装置が前記補正画像を前記表示スクリーンに投射するステップであって、前記補正画像はN個の識別パターンを有し、Nは3よりも大きい正整数である、ステップと、 前記ハンドヘルド式の電子機器内に設けられた撮像装置が前記補正画像及び前記表示スクリーンに対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップと、 前記取込画像における識別パターンの第2座標情報を算出し、識別パターンの第1座標情報及び前記第2座標情報に基づいて座標変換情報を算出するステップと、 前記取込画像における前記表示スクリーンの複数の境界座標値及び前記座標変換情報に基づいて、前記表示スクリーンの境界情報を算出するステップと、 前記投影装置が前記境界情報に基づいて前記表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整するステップと、を含む、表示画像の補正方法。」 (2) 本件補正後 「 【請求項1】 投影装置、ハンドヘルド式の電子機器及び表示スクリーンを有する投影システムに適用される表示画像の補正方法であって、前記ハンドヘルド式の電子機器は、第1制御装置、及び前記第1制御装置に接続された撮像装置を含み、前記投影装置は、前記第1制御装置に接続された第2制御装置を含み、 ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップと、 前記第1制御装置がN個の識別パターンを有する前記補正画像を設定し、識別パターンの第1座標系における第1座標情報を構築するステップであって、Nが3よりも大きい正整数である、ステップと、 前記投影装置が前記補正画像を前記表示スクリーンに投射するステップと、 前記撮像装置が前記補正画像及び前記表示スクリーンに対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップと、 前記第1制御装置が前記取込画像における識別パターンの第2座標系における第2座標情報を算出し、前記第1座標情報及び前記第2座標情報に基づいて座標変換情報を算出するステップと、 前記第1制御装置が前記取込画像における前記表示スクリーンの前記第2座標系における複数の境界座標値及び前記座標変換情報に基づいて、前記表示スクリーンの前記第1座標系における境界情報を算出するステップと、 前記第2制御装置が前記第1制御装置から前記境界情報を受信し、前記境界情報に基づいて前記表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整するステップと、を含む、表示画像の補正方法。」 2 本件補正の適否についての当審の判断 (1) 本件補正の目的について ア 本件補正は、本件補正前の請求項1の 「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、前記投影装置内に記憶された補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」 との発明特定事項を、本件補正後の請求項1の 「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」 との発明特定事項に補正する補正事項、すなわち、投射される補正画像が、「前記投影装置内に記憶された」ものであるとの発明特定事項を削除する補正事項を含むものである。 イ そして、本件補正後の請求項1の全ての記載を見ても、投射される補正画像が「前記投影装置内に記憶された」ものであることは特定されていない。 ウ そうすると、本件補正で請求項1についてする補正は、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除する補正を含むものであり、特許請求の範囲を減縮する補正には該当しない。 エ したがって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 オ また、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 カ したがって、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 (2) 本件補正の適否についての当審の判断のまとめ 前記(1)に示したとおり、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 (進歩性の欠如) 本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2-4に記載された周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2008-113416号公報 2.特開2013-186332号公報(周知技術を示す文献) 3.特開2009-200683号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2013-192098号公報(周知技術を示す文献) 3 当審の判断 (1) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 a 【0013】-【0015】 「【0013】 表示装置に関する重要な歪みは、レンズ構成要素に起因する歪み、ミラー(湾曲又は平面)反射アセンブリからの歪み、ずれ角・回転投影(台形歪曲(keystone)、回転)及び湾曲スクリーンへの投影などの投影幾何学配置に起因する歪み、横の色収差、及び多数のマイクロディスプレイ装置における位置合わせ不良・集束不良などの色ごとに異なる歪み、色と輝度(明るさ)の不均一、及び光学的焦点問題(球面収差、非点収差など)に起因する歪みを含む。 【0014】 第1のセットは最終画像における幾何学歪みと見られ、すなわち入力画像形状は保存されない。色収差はまた、幾何学歪みでもあるが、この歪みは各色成分に関して変化する。これらの歪みは、投影(前面又は背面)型の表示装置において極めて共通的であり、またまとめて幾何学歪みと呼ばれる。クロミナンスと輝度の不均一性は、すべての表示装置に影響を与える可能性があり、それによって一定の輝度又はクロミナンスであるように意図された信号が表示装置の画面に亘って変化すると見られ、あるいはその意図された知覚とは異なると見られる。このタイプの歪みは、変化する明るさ、表示に亘って変化する光路長、及びパネル(例えばLCD、LCOS、プラズマディスプレイ)における不均一なセンサー応答を有する光源によって引き起こされ得る。焦点に関連する歪みは、画像を輪郭不明瞭にするであろうし、また異なる画像面に焦点合わせされる物平面上の異なる点に起因する。本明細書に与えられる例示的実施形態では焦点と焦点の深さとに関するあるいくつかの問題が取り扱われる。 【0015】 本明細書に提示される実施形態は、前述の歪みの少なくとも一部を除去又は削減するために表示装置を較正するシステムと方法とを説明する。これらの実施形態は、較正データの生成と結果として得られる修正の両者と修正の適用とを自動化する。時間的に変化する歪みのための較正も取り扱われる。較正段階(較正データを生成する)は、表示の特性描写と、例えば高解像カメラなどの感知装置によって表示装置上で観察される専用のテストパターンの捕捉と、これらの画像からの必要とされるデータ(すなわち較正データ)の抽出とを含む。修正段階は、スクリーン上に歪みのない画像を表現するために電子修正手段を介して画像を予め歪ませることを含む。表示と捕捉されたテストパターンとの最適焦点を達成するための機構も提示される。」(当審注:「較正データの生成と結果として得られる修正の両者と修正の適用とを自動化する。」という記載は、記載が示そうとする意味からして正確な日本語になっていないところ、パテントファミリの米国特許出願公開第2008/062164号明細書の「These embodiments automate both the generation of calibration data and the resulting correction and the application of the correction.」を参考にすると、正しくは「較正データ及びその結果として得られる修正の生成とその修正の適用の両方を自動化する。」であると認められる。) b 【0016】、【図1】 「【0016】 図1は、表示装置の画面16上に表示された画像を修正するための自動化された較正・修正システムの一例示的実施形態の図を示す。この自動化較正・修正システムは、テスト画像発生器14と感知装置11と較正データ発生器12とワープ発生器13とディジタルワーピングユニット15とを含む。表示装置は、TV(背面投影TV、LCD、プラズマなど)、前面投影システム(すなわちスクリーンを有するプロジェクタ)又は画像を表示する他の任意のシステムであることが可能であり、これらすべては画面を有する。画面16は通常、それを背景から区別する境界又はフレームを有し、通常この背景は表示スクリーン(画面)を取り囲む物理的ベズル(表縁)であろう。しかしながら境界は、ベズル又は何らかの物理的特徴要素である必要はない。一般に境界は、背景領域から何らかの手段によって区別され得る物理的画面16上の何らかの領域と関連し得る。例えば表示の外部の手段によって表示上に投影されて物理ベズル内にある矩形の輪郭は、境界として識別され得る。本明細書に与えられる例示的実施形態では較正・修正遠近法からの画面16は、少なくともあるいくつかの場合にベズルそれ自体であり得る識別された境界内にある物理的表示装置のこの領域であると取られる。境界はまた、図1の画面16を取り囲むように示されている画面フレームとも呼ばれる。」 「【図1】 [図:0001400036000001.jpg] 」 c 【0020】、【図3】 「【0020】 形状あるいは幾何学形状の変化を含む歪みに関して、画面16上で見られる画像(修正前の)は、完全には囲まれない(オーバーフローする)可能性がある。これは図3に示されている。ケース(a)では画像ABCDは画面フレーム18を完全に囲むためにオーバーフローしている(溢れ出ている)が、ケース(b)では画像は完全に囲まれている(アンダーフローしている)。ケース(c)は、画像が画面16を部分的にカバーしている中間状態(不整合)である。3つすべての状態は前面又は背面投影システムのどちらからでも起こり得るものであって、本システムによって修正可能である。」 「【図3】 [図:0001400036000002.jpg] 」 d 【0021】-【0022」】、【図4】 「【0021】 テスト画像発生器14は、較正プロセスのために設計された専用のパターンを含む画像を与える。これらの画像は、較正テストパターンとも呼ばれる。使用され得る最も一般的に使用される較正テストパターンは、規則的な(非連結性)グリッドパターン、円形、正方形、水平・垂直パターン、バー、線、同心パターン、矩形、円形、及び均一なグレイ・カラーレベルを含む。上記のパターンの色付き(種々の原色についての)バージョンは、横の色収差修正とクロミナンス不均一修正とのために使用され得る。これらのパターンにおける形状は、特徴要素とも呼ばれる。すべてのパターンは、明確に定義されたその特徴特性、すなわち特徴要素の数、位置、サイズ、境界、色、及び他の任意の定義パラメータを有する。 【0022】 いくつかの例示的較正パターンは、図4のパネル(a)~(m)に示されている。特性(中心位置、半径など)を示すガイドラインは、テストパターンの一部ではない。これらのテストパターンの色と形状の変化は、黒と白を交換するため、黒白を色に置き換えるため、1パターン内で異なる特徴要素のために異なる色を使用するため、1パターン内で種々の形状を組み合わせるため、及びグレーレベルと色レベルを変化させるためにも使用され得る。」 「【図4】 [図:0001400036000003.jpg] 」 e 【0025】 「【0025】 感知装置11は、画面16上で見られる較正テストパターンを記録する。幾何学歪みを修正するために感知装置11は、カメラであり得る。カメラの解像度と捕捉フォーマットは、修正において必要とされる精度に依存して選択され得る。クロミナンスと輝度の不均一を修正するとき、感知装置11は色分析器(例えば測光器又は分光計)であり得る。」 f 【0033】-【0039】 「【0033】 この例示的実施形態では較正データ発生器12は画像を分析して、今度はディジタルワーピングユニット15のためにワープデータを供給するワープ発生器13によって使用されるフォーマットで較正データを抽出する。 【0034】 【数1】 [図:0001400036000004.jpg] 【0035】 下記では幾何学形状を修正するための較正データが先ず論じられるであろう。以下に与えられる例では、分析される主要テストパターンは、図4のパネル(a)、(b)に示されたパターンなどのグリッドパターンを有するものである。バー/線(ライン)の交差部分がグリッドを与えるので、図4のパネル(e)~(g)のパターンも使用可能である。 【0036】 グリッドタイプパターンなどのテスト画像は、入力空間内の既知の位置付近を中心とする1セットの形状を与える。これらの中心は、iが形状に亘って順に並ぶ(xi0,yi0)として表されることができる。左上から始めてテストパターンの行に沿って進み、全部でM×N個の形状が存在し、テストパターンの解像度はWT×HTである。テストパターン解像度は、表示装置固有の解像度に一致する必要はない。表示されたときテストパターン内の形状の中心は、幾何学歪みによって(xdi0,ydi0)で表されるいくつかの他の値に変換されるであろう。これらの形状も歪むであろう、すなわち円は楕円などに歪むであろう。これらの座標は、画面16のフレーム18の左上の原点に関して表示空間内で定義される。WD×HDが任意の測定単位における表示装置(フレーム18の内部)の解像度を表すとして、座標(xdi0,ydi0)もこれら同じ測定単位になっているとする。表示空間は、現実世界又は観察者空間と同等である、すなわち修正された画像は表示空間では歪み無しで現れなくてはならない。 【0037】 カメラは、歪んだグリッドパターンの画像を捕捉して、それを較正データ発生器12に送る。カメラの解像度は、WC×HCで表される。本明細書に与えられた実施形態ではカメラ解像度は、表示装置の解像度と一致する必要はなく、更にカメラはどこに配置されてもよい。カメラ空間の中心の座標は、捕捉された画像の左上として定義された原点を有する、(xci0,yci0)である。 【0038】 捕捉された画像はカメラの観察点からのものであるが、較正は現実世界の観察点において、すなわち観察者の視点から行われなくてはならない。したがって較正手順は、カメラ歪みとも呼ばれるカメラの観察点を取り去らなくてはならない。上記に論じたように一例示的実施形態では、これは、画面フレーム18をマーカーとして使用することによって行われる。したがってカメラ画像は、画面フレーム18も捕捉すべきである。現実世界では画面フレーム18は、下記の座標によって定義される。 左上:(0,0) 右上:(WD,0) 左下:(0,HD) 右下:(WD,HD) (2) 【0039】 カメラ画像においてこれらの座標は、下記のようになる。 左上:(xcTLd,ycTLd) 右上:(xcTRd,ycTRd) 左下:(xcBLd,ycBLd) 右下:(xcBRd,ycBRd) (3)」 g 【0040】-【0044】、【図5】 「【0040】 図5は、種々の空間と座標系とを示す。画像は白い背景上に黒い円として示されているが、すべてのテストパターンは色付きにでき、また他の形状又は特徴要素を使用することもできる(例えば図4を参照)。表示空間とカメラ空間には、画像が画面フレーム18を完全にカバーするためにオーバーフローするケース(a)と、画像が画面フレーム18の内部に完全に納まるか、あるいはアンダーフローするケース(b)と、画像が画面フレーム18内に完全には入らない中間状態、あるいは不整合のケース(c)とに対応する3つのケースが示されている。これらのケースは、投影幾何学クラスと呼ばれる。入力及びカメラ空間はピクセルの点から定義されるが、表示空間はピクセル、ミリメートル又は他のいくつかの単位で定義され得ることに留意されるべきである。 【0041】 fDで表される表示歪みは、方程式(4)によって与えられるマッピングとして関数的に記述され得る。 fD:(xi0,yi0)→(xdi0,ydi0) (4) これは、修正(fDC)が方程式(5)で指定される、方程式(4)で与えられたものの逆数であることを意味する。 fDC :(xdi0,ydi0)→(xi0,yi0) (5) ディジタルワーピングユニット15は、表示に先立って入力画像をワープする(予め歪ませる)ために入力画像に修正fDCを加えるであろう。 【0042】 上記のマップは両者とも順方向に定義される。関数変域は入力画像であり、値域は出力画像である。周知のように、電子修正回路が逆アーキテクチャを使用して画像を生成することはより効率的で正確である。逆ワーピングアーキテクチャにおいて回路の出力画像は、修正マップを介して出力のピクセルを入力にマッピングし、それから入力空間でフィルタリングする(すなわち色値を割り当てる)ことによって生成される。これはまた、修正マップがfWとラベル付けされる逆形式で表されることを意味する。逆形式の修正は表示歪みマップ自体(fW≡(fCD)-1=fD)であるので、逆アーキテクチャ修正ユニットによって必要とされるマップ又はワーピングデータは単に表示歪みマップである。したがって較正データ発生器12によって生成されるべきグリッドデータは方程式(6)で定義される。 fW:(xi0,yi0)→(xdi0,ydi0) (6) 【0043】 グリッド及びマッピングという表現がしばしば交換可能に使用されることは留意されるべきである。この情報は、カメラ空間にあるカメラによって捕捉された画像から抽出される必要がある。捕捉された画像は方程式(7)で定義されるマッピングに対応する。 fF:(xi0,yi0)→(xci0,yci0) (7) 全画像マップと呼ばれるこのマップは、表示歪みマップfDと、カメラ歪みマップの減算が方程式(8)で定義される必要なfWを与えるカメラ歪みマップfCとの組合せであると見ることができる。 fC:(xdi0,ydi0)→(xci0,yci0) fF=fCfD=fCfW⇒fW=fC-1fF(8) 【0044】 fDからのfCの減算は、単に二つのマップの連結(又は機能的合成)である。更に座標(xdi0,ydi0)は、表示座標系のスケールと原点が適用可能でない可能性があるので、正しいピクセルスケールと原点とに導かれる必要がある。これは、以下更に詳細に論じられるであろう。」 「【図5】 [図:0001400036000005.jpg] 」 h 【0045】-【0053】、【図6】 「【0045】 図6に較正データ発生器12の一例示的実施形態が示されている。形状中心(xci0,yci0)を抽出するために、先ずテストパターンのWC×HCカメラ画像が分析される;これはfFを与えるであろう。カメラ空間における形状中心は、表示歪みとカメラ歪みによってマッピングされた後に入力空間における形状中心の対応する位置である。画面16をオーバーフローする画像領域に関してこれらの形状は、使用可能ではないであろう。これら外に広がる形状は通常、おそらく異なる平面上の背景にあるので、背面投影TVあるいは前面投影システムでは目に見えないであろう。したがってEFGH(図5参照)と定義された画面16内の形状だけが分析される。 …(中略)… 【0053】 一旦座標が抽出されると、座標は正しい順序で配置される必要がある。数学的には順序付けは、各値域座標(xci0,yci0)に対してその対応する変域座標(xi0,yi0)を割り当てるであろう。全画像マップfFを構築するために変域座標を決定することが必要である。上記の抽出プロセスは、変域座標に関するいかなる情報も与えない。中心は必ずしも、入力テストパターンにおける形状順序付けに一致した順序で決定されないであろう。」 「【図6】 [図:0001400036000006.jpg] 」 i 【0058】-【0060】 「【0058】 カメラ較正データは、逆カメラ歪みマップfC-1を最初に構築するために使用できる。純粋な遠近法カメラ歪み(すなわちfC=fCP)の最も一般的なシナリオには、4隅の点だけが必要とされる。 (xdcTL,ydcTL)→(0,0) (xdcTR,ydcTR)→(WD,0) (xdcBL,ydcBR)→(0,HD) (xdcBR,ydcBR)→(WD,HD) (12) 【0059】 (逆)遠近法変換は、方程式(13)によって与えられる。 【数2】 [図:0001400036000007.jpg] 【0060】 ここで(xd,yd)は表示空間における座標であり、(xc,yc)はカメラ空間における座標である。方程式(12)を使用すると、遠近法変換を定義する係数(a,b,c,d,e,f,g,h)に関して解くことができる8個の線形方程式が得られる。」 j 【0068】-【0077】、【図7】 「【0068】 較正データ生成における最終段階は、スケールと原点とを固定することである。修正グリッドは、表示空間に在って、画面フレーム18の右上隅に関して定義される。表示空間の単位(スケール)は任意であって、入力空間で使用された単位とは異なってもよい。このデータがワープ発生器13によって使用され得る前に、この原点とスケールは入力空間の原点とスケールに一致させられる必要がある。これは、原点とスケールの最適化と見ることができる。 【0069】 図5の中央の図を考えると、修正が適用されるとき最終修正画像は画面フレーム18に関して矩形であるべきである。図7を参照すると、修正画像を含むこの矩形は、能動矩形A’B’C’D’と呼ばれるであろう。能動矩形は、画像の細いエンベロープ(包絡線)(ABCD)内に、また画面フレーム(EFGH)内になければならない。原点及びスケールは、能動矩形の左上が(0,0)に対応し、この矩形の幅掛ける高さが入力画像のピクセル解像度であるWT×HTであるように、選択される必要がある(図7参照)。 …(中略)… 【0071】 【数8】 [図:0001400036000008.jpg] …(中略)… 【0076】 画像が画面16を満たすためにオーバーフローする図5のシナリオ(a)に関して画面フレーム18は制約C1~C3を自動的に満足させる現実的な矩形を与える。表示のスケールをテスト画像のスケールに固定することによってパラメータは、方程式(19)にしたがって設定される。 【数11】 [図:0001400036000009.jpg] 【0077】 修正された画像は画面フレーム18に正確に一致するであろう。これは画面フレーム18全体が使用される理想的な状態である。このようにして、この場合には、図6の最適化ステップは単に方程式(19)を使用することを意味する、すなわち点はスケール決め又はシフトされる必要はない。」 「【図7】 [図:0001400036000010.jpg] 」 k 【0132】 「【0132】 もう一つの適応において本システムは、ディジタル較正・ワーピングユニットを得るために単一回路内に統合され得る。較正データ発生器12とワープ発生器13は、いかなるプロセッサ上でも実行できるコンポーネントである。テスト画像発生器14は、プロセッサによって出力される1セットの記憶画像によって置き換えることもできる。ハードウエアに埋め込まれたプロセッサを使用することは、較正・修正プロセス全体に単一回路ソリューションを与える。更にこのハードウエアは、自動較正表示装置を得るためにカメラと共に表示装置内に統合され得る。この適応では、画面上に結果として得られる表示画像が実質的に歪みなしであるように、予備補正マップすなわちワープマップ及び色マップ(幾何学ワープ及びカラーワープとも呼ばれる)を生成するために、また予備補正マップを入力画像データに適用するために、少なくとも一つの画像感知装置から感知された情報を受信して表示歪みを計算するためのプロセッサは、単に一つだけ必要とされる。しかしながら他の場合には二つ以上のプロセッサを使用することがより効率的であり得る。したがって本明細書で説明された実施形態を実現するためには少なくとも一つのプロセッサが必要とされる。」 (イ) 引用文献1から読み取れる事項の認定 前記(ア)dの【図4】を参酌すると、前記(ア)fの【0036】に記載される「M×N個」は、少なくとも4個以上であることが読み取れる。 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「表示装置に関する歪みの少なくとも一部を除去又は削減するために表示装置を較正する方法であって、(【0013】、【0015】) 表示装置は、スクリーンを有するプロジェクタであり、画面16は通常、それを背景から区別する境界又は画面フレームを有し、境界はまた、画面16を取り囲む画面フレームとも呼ばれ、(【0016】) 較正データ及びその結果として得られる修正の生成とその修正の適用の両方を自動化するものであり、(【0015】の当審注) 較正データを生成する較正段階は、表示の特性描写と、高解像カメラなどの感知装置によって表示装置上で観察される専用のテストパターンの捕捉と、これらの画像からの必要とされる較正データの抽出とを含み、 修正段階は、スクリーン上に歪みのない画像を表現するために電子修正手段を介して画像を予め歪ませることを含み、(【0015】) 表示装置の画面16上に表示された画像を修正するための自動化された較正・修正システムを用いるものであって、当該システムは、テスト画像発生器14と感知装置11と較正データ発生器12とワープ発生器13とディジタルワーピングユニット15とを含み、(【0016】) 画面16上で見られる修正前の画像は、画面フレーム18を完全に囲むためにオーバーフローしたり、画像は完全に囲まれてアンダーフローしたり、画像が画面16を部分的にカバーしている中間状態(不整合)となったりする可能性があり、3つすべての状態は前面又は背面投影システムのどちらからでも起こり得るものであって、本システムによって修正可能であり、(【0020】) テスト画像発生器14は、較正プロセスのために設計された専用のパターンを含む画像を与え、これらの画像は、較正テストパターンとも呼ばれ、(【0021】 感知装置11は、画面16上で見られる較正テストパターンを記録し、幾何学歪みを修正するために感知装置11は、カメラであり、(【0025】) 較正データ発生器12は画像を分析して、今度はディジタルワーピングユニット15のためにワープデータを供給するワープ発生器13によって使用されるフォーマットで較正データを抽出し、(【0033】) グリッドタイプパターンなどのテスト画像は、入力空間内の既知の位置付近を中心とする1セットの形状を与え、これらの中心は、iが形状に亘って順に並ぶ(xi0,yi0)として表されることができ、左上から始めてテストパターンの行に沿って進み、全部で4個以上であるM×N個の形状が存在し、表示されたときテストパターン内の形状の中心は、幾何学歪みによって(xdi0,ydi0)で表されるいくつかの他の値に変換され、これらの座標は、画面16のフレーム18の左上の原点に関して表示空間内で定義され、(【0036】、前記(イ)において認定した技術事項) カメラは、歪んだグリッドパターンの画像を捕捉して、それを較正データ発生器12に送り、カメラ空間の中心の座標は、捕捉された画像の左上として定義された原点を有する、(xci0,yci0)であり、(【0037】) 較正手順は、カメラ歪みとも呼ばれるカメラの観察点を取り去らなくてはならず、これは、画面フレーム18をマーカーとして使用することによって行われ、したがってカメラ画像は、画面フレーム18も捕捉すべきであり、現実世界では画面フレーム18は、左上:(0,0)、右上:(WD,0)、左下:(0,HD)、右下:(WD,HD)の座標によって定義され、(【0038】) カメラ画像においてこれらの座標は、左上:(xcTLd,ycTLd)、右上:(xcTRd,ycTRd)、左下:(xcBLd,ycBLd)、右下:(xcBRd,ycBRd)となり、(【0039】) 較正データ発生器12によって生成されるべきグリッドデータはfW:(xi0,yi0)→(xdi0,ydi0)で定義され、(【0042】) fF:(xi0,yi0)→(xci0,yci0)は全画像マップと呼ばれ、表示歪みマップfDと、カメラ歪みマップの減算が方程式(8)で定義される必要なfWを与えるカメラ歪みマップfCとの組合せであると見ることができ、(【0043】) fC:(xdi0,ydi0)→(xci0,yci0) fF=fCfD=fCfW⇒fW=fC-1fF (8) 各値域座標(xci0,yci0)に対してその対応する変域座標(xi0,yi0)を割り当て、全画像マップfFを構築するために変域座標を決定することが必要であり、(【0053】) カメラ較正データは、逆カメラ歪みマップfC-1を最初に構築するために使用でき、純粋な遠近法カメラ歪み(すなわちfC=fCP)の最も一般的なシナリオには、4隅の点だけが必要とされ、(【0058】) (xdcTL,ydcTL)→(0,0) (xdcTR,ydcTR)→(WD,0) (xdcBL,ydcBR)→(0,HD) (xdcBR,ydcBR)→(WD,HD) (12) (逆)遠近法変換は、方程式(13)によって与えられ、(【0059】) [図:0001400036000011.jpg] ここで(xd,yd)は表示空間における座標であり、(xc,yc)はカメラ空間における座標であり、方程式(12)を使用すると、遠近法変換を定義する係数(a,b,c,d,e,f,g,h)に関して解くことができる8個の線形方程式が得られ、(【0060】) 較正データ生成における最終段階は、スケールと原点とを固定することであり、(【0068】) 修正画像を含むこの矩形は、能動矩形A’B’C’D’と呼ばれ、(【0069】) 表示座標空間において能動矩形の左上隅と寸法とがそれぞれ [図:0001400036000012.jpg] によって与えられ、(【0071】) 表示のスケールをテスト画像のスケールに固定することによってパラメータは、方程式(19)にしたがって設定され、(【0076】) [図:0001400036000013.jpg] 修正された画像は画面フレーム18に正確に一致し、これは画面フレーム18全体が使用される理想的な状態であり、(【0077】) テスト画像発生器14は、プロセッサによって出力される1セットの記憶画像であり、ハードウエアに埋め込まれたプロセッサを使用し、このハードウエアは、表示装置内に統合されている、【0132】 表示装置を較正する方法」 イ 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定 (ア) 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。 a 【0001】-【0002】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプロジェクターに関する。 【背景技術】 【0002】 プロジェクターを用いてスクリーンに画像を表示させる場合に、プロジェクターとスクリーンとの相対的な位置関係によって、スクリーンに表示された画像(以下「表示画像」という)に台形状に歪みが生ずる場合がある。このような問題に関し、例えば特許文献1にはプロジェクターの備える撮像装置によりスクリーンを撮像し、撮像画像からスクリーン枠を検出し、検出したスクリーン枠の形状に基づいて台形状の歪みを補正する技術が記載されている。」 b 【0023】-【0032】、【図1】 「【0023】 A.プロジェクターの構成: 図1は、本発明の画像処理装置の実施形態としてのプロジェクター10のハードウェア構成を示す説明図である。プロジェクター10は、画像を表す画像光を投写して、スクリーン30などの被投写面上に画像を表示させる。 【0024】 プロジェクター10は、A/D(アナログ/デジタル)変換部110と、画像処理回路120と、液晶パネル130と、液晶パネル駆動部132と、照明光学系140と、投写レンズ152を有する投写光学系150と、レンズ駆動部154と、CPU160と、RAM175と、測定用パターン記憶部171を有するROM170と、リモコン制御部180と、リモコン181と、撮像部190と、振動検知部129と、を備えている。プロジェクター10の各構成要素は、バス102を介して互いに接続されている。 【0025】 A/D変換部110は、図示しないDVDプレーヤーやPC(パーソナルコンピューター)などの画像供給装置からケーブル200を介して入力された入力画像信号に対して、A/D変換を行い、デジタル画像信号を出力する。 【0026】 画像処理回路120は、画像処理を実行する種々の機能部を備えている。画像処理回路120は、A/D変換部110から出力されたデジタル画像信号(以下、「入力画像」という)に対して、スクリーン枠補正処理や画像の表示状態(例えば、輝度、コントラスト、同期、トラッキング、色の濃さ、色合い等)の調整などを行い、液晶パネル駆動部132へと出力する。スクリーン枠補正処理および画像処理回路120の機能部については後述する。 …(中略)… 【0032】 撮像部190は、CCDカメラを備えており、種々の画像を撮像して取得する。以下、撮像部190により撮像された画像を、「撮像画像」ともいう。撮像画像のうち、スクリーン30の枠(以降、「スクリーン枠SCF」ともいう)の少なくとも一部が撮像されたものを「枠画像」と、スクリーン30に投写された測定用パターン(詳細は後述)が撮像されたものを「パターン画像」ともいう。撮像部190により取得された撮像画像は、RAM175内に格納される。なお、撮像部190は、CCDカメラに代えて他の撮像可能なデバイスを備えていてもよい。」 「【図1】 [図:0001400036000014.jpg] 」 c 【0035】-【0041】、【図2】 「【0035】 B.画像処理回路の構成: 図2は、図1に示した画像処理回路120の具体的な構成を示すブロック図である。図示するように、画像処理回路120は、パターン出力部121と、パターン検出部122と、直線検出部123と、座標変換部124と、補正値算出部125と、歪み補正部126と、を備えている。 【0036】 パターン検出部122は、撮像部190により撮像されたパターン画像に基づいて、後述するスクリーン枠補正処理を行うための測定点を検出する。測定点については後述する。 【0037】 直線検出部123は、撮像部190により撮像された枠画像に基づいて、交差する関係にある2本の直線を、スクリーン30の隅ごとに検出する。そのため直線検出部123は、4つの隅を有するスクリーン30に対して、合計で8本の直線を検出する。 【0038】 座標変換部124は、液晶パネル130における測定用パターンの測定点の座標値と、パターン検出部122により検出された撮像画像における測定点の座標値と、に基づいて、座標変換係数を算出する。なお、以降の説明では、液晶パネル130における座標系を「パネル座標」と、撮像画像における座標系を「カメラ座標」ともいう。座標変換係数は、カメラ座標値をパネル座標値へと変換するための係数である。 【0039】 補正値算出部125は、座標変換部124により算出された座標変換係数と、直線検出部123により検出された直線と、に基づいて、台形歪み補正を行うための補正値を算出する。 【0040】 歪み補正部126は、補正値算出部125によって算出された補正値を用いて、A/D変換部110から取得した入力画像に対して、台形歪み補正を行う。 【0041】 パターン出力部121は、後述するスクリーン枠補正時に、入力画像や、台形歪み補正がされた入力画像に対して測定パターンを重畳させる。」 「【図2】 [図:0001400036000015.jpg] 」 d 【0042】-【0043】、【図3】 「【0042】 C.初期スクリーン枠補正処理: 図3は、プロジェクター10による初期スクリーン枠補正処理の流れを示すフローチャートである。スクリーン枠補正処理は、表示画像の外周の各辺がスクリーン枠に一致するように、入力画像に対して台形歪み補正を行う一連の処理である。初期スクリーン枠補正処理は、例えば、プロジェクター10の設置後に、ユーザーからのリモコン181を通じた指示に応じて実行される。なお、初期スクリーン枠補正処理は、例えば電源オンや画像信号の入力などに応じて自動的に実行されるものとしてもよい。 【0043】 初期スクリーン枠補正処理が開始されると、パターン出力部121は、測定用パターンをスクリーン30に投写する(ステップS110)。具体的には、パターン出力部121が、ROM170の測定用パターン記憶部171に格納されている測定用パターンを表す画像データを読み出して、入力画像に重畳させ、液晶パネル駆動部132へと出力することで、測定用パターンが投写される。この測定用パターンはパネル座標値で表されている。測定用パターンの有する測定点のパネル座標値は、パターン出力部121により取得される。」 「【図3】 [図:0001400036000016.jpg] 」 e 【0044】、【図4】 「【0044】 図4は、液晶パネル130に形成される測定用パターンPT1の一例を示す図である。図4に示す測定用パターンPT1は、4点の白色円状の測定点とその周囲の略正方形の黒領域とで形成されるパターン領域A、B、C、D、を含んでいる。パターン領域Aは液晶パネル130内の左上隅近傍に、パターン領域Bは液晶パネル130の右上隅近傍に、パターン領域Cは液晶パネル130の右下隅近傍に、パターン領域Dは液晶パネル130の左下隅近傍にそれぞれ位置している。測定用パターンPT1の外枠(測定用パターン枠PF)は、液晶パネル130の画像形成枠と、一致している。図4に斜線で示した領域は、ケーブル200からA/D変換部110を介して液晶パネル駆動部132へ送信された入力画像が形成される領域である。」 「【図4】 [図:0001400036000017.jpg] 」 f 【0045】、【図5】 「【0045】 図5は、スクリーン30に対して投写された測定用パターンPT1の表示画像の一例を示す図である。本実施形態では、投写レンズ152がスクリーン30に対して正対していない。そのため、測定用パターンPT1の表示画像は図5に示すように台形形状を示している。測定用パターンPT1の表示画像において、パターン領域Aの有する測定点はスクリーン30の左上隅近傍に、パターン領域Bの有する測定点はスクリーン30の右上隅近傍に、パターン領域Cの有する測定点はスクリーン30の右下隅近傍に、パターン領域Dの有する測定点はスクリーン30の左下隅近傍にそれぞれ位置している。」 「【図5】 [図:0001400036000018.jpg] 」 g 【0046】-【0049】、【図6】 「【0046】 次に、撮像部190は測定用パターンPT1の表示画像の撮像を行い、パターン検出部122はその撮像画像(パターン画像)を公知の方法により画像解析して、カメラ座標における測定点を検出する(ステップS120)。図6は、測定用パターンPT1の撮像画像の一例を示す図である。図6に示した例では、撮像画像には、スクリーン枠SCFよりも外側に測定用パターン枠PFを有する表示画像の全体が、撮像部190のCCDカメラのフレーム(カメラ枠CF)内に写し出されている。この撮像画像を解析することにより、それぞれのパターン領域の4つの測定点に対応するカメラ座標値が取得される。 【0047】 それぞれのパターン領域の測定点に対応するパネル座標値とカメラ座標値が取得されると、座標変換部124は、各パターン領域について、それぞれ座標変換係数を算出する(ステップS130)。具体的には、座標変換部124は、パターン領域Aの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて、座標変換係数Aを算出する。座標変換部124は同様に、パターン領域Bの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Bを、パターン領域Cの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Cを、パターン領域Dの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Dを、それぞれ算出する。本実施形態では、4つの測定点に基づいて、座標変換係数として射影変換係数を求める。算出された座標変換係数A~Dの情報は、RAM175に格納される。 【0048】 次に、パターン出力部121は、枠画像を取得するために、スクリーン枠SCF撮像用の黒画像をスクリーン30に投写する(ステップS140)。具体的には、パターン出力部121が、黒画像データを液晶パネル駆動部132へと出力する。液晶パネル駆動部132は、出力された画像データに基づいて、液晶パネル130に黒画像を形成する。本実施形態において使用される黒画像データが液晶パネル130に形成されると、液晶パネル130の画像形成領域全面が黒領域となる。こうすることで、全面黒画像が、投写光学系150を介してスクリーン30に表示される。 【0049】 黒画像を投写すると、撮像部190は投写された黒画像の撮像を行い、枠画像を取得する。直線検出部123は、枠画像からスクリーン枠上の直線を一辺につき2本ずつ、合計8本検出する(ステップS150)。」 「【図6】 [図:0001400036000019.jpg] 」 h 【0050】-【0051】、【図7】 「【0050】 図7は、枠画像から直線を検出する方法の一例を説明するための図である。以降スクリーン枠SCFに対応する直線を、「スクリーン枠直線」という。図7には、取得した枠画像のうち、スクリーン枠SCFに対応する部分を黒枠で示している。なお、図7に示した円状の測定点はステップS120で検出されたものであり、枠画像に含まれているものではない。図7に示した測定点は、スクリーン枠直線の検出の説明のために枠画像と合わせて示したものである。なお、以降に示す図についても同様に円状の測定点を示している。 【0051】 スクリーン枠直線の検出は、具体的には以下のように行う。例えば、スクリーン枠下側の2本の直線を検出するには、まず、ステップS120で検出した右下隅の測定点C3と左下隅の測定点D4とを結んで線分C3D4を作製し、その線分C3D4を3等分する。そして、測定点C3と測定点D4から、それぞれ線分C3D4の3分の1内側の線分を始点として、下側に向けて、微分フィルターやラプラシアンフィルターといった輪郭抽出フィルターをかけることにより、エッジ検出を行う(図7(A))。直線検出部123は、検出されたエッジの範囲内において、例えば最小二乗法やハフ変換などを用いて、スクリーン枠直線LD1およびLC1を検出する(図7(B))。直線検出部123は、同様に測定点D4とA1、測定点A1とB2、測定点B2とC3のそれぞれ結んで線分を作製し、1辺のスクリーン枠に対して2本のスクリーン枠直線を検出する。このようにして、直線検出部123は、合計8本のスクリーン枠直線を検出する。」 「【図7】 [図:0001400036000020.jpg] 」 i 【0052】、【図8】 「【0052】 直線検出部123が8本のスクリーン枠直線を検出すると、座標変換部124は、カメラ座標における8本のスクリーン枠直線を、ステップS130で算出された座標変換係数を用いて、パネル座標におけるスクリーン枠直線へと変換する(ステップS160)。図8は、スクリーン枠直線をカメラ座標からパネル座標へと変換する方法について説明するための図である。図8(A)には、ステップS150において検出されたカメラ座標におけるスクリーン枠直線LA1、LA2、LB1、LB2、LC1、LC2、LD1、LD2を示している。座標変換部124は、カメラ座標におけるスクリーン枠直線LA1、LA2を、ステップS130において算出した座標変換係数Aを用いて射影変換を行うことで、パネル座標におけるスクリーン枠直線LA1i、LA2iへと変換する。座標変換部124は、同様に座標変換係数Bを用いてスクリーン枠直線LB1、LB2を、座標変換係数Cを用いてスクリーン枠直線LC1、LC2を、座標変換係数Dを用いてスクリーン枠直線LD1、LD2を、パネル座標におけるスクリーン枠直線へとそれぞれ変換する。こうすることで、それぞれのスクリーン枠直線に、より近接する4つの測定点によって算出された座標変換係数を用いて、スクリーン枠直線がカメラ座標からパネル座標へと変換される。」 「【図8】 [図:0001400036000021.jpg] 」 j 【0053】 「【0053】 カメラ座標におけるスクリーン枠直線がパネル座標におけるスクリーン枠直線へと変換されると、補正値算出部125は、台形歪み補正を行うための補正値を算出する(ステップS170)。」 k 【0055】 「【0055】 補正値が算出されると、歪み補正部126は、算出された補正値を用いて、入力画像に台形歪み補正を行う(ステップS180)。補正値の算出および台形歪み補正は、公知の方法(例えば特開2011-176705号公報に記載の方法)を用いて実行可能である。液晶パネル駆動部132は、入力された画像データに基づいて、液晶パネル130に台形歪み補正を行った入力画像を形成する。これによって、台形歪み補正が行われた画像が、投写光学系150を介してスクリーン30に表示される。」 (イ) 引用文献2技術事項の認定 前記(ア)に摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「 画像処理方法であって、(【0001】) プロジェクター10は、画像を表す画像光を投写して、スクリーン30などの被投写面上に画像を表示させ、(【0023】) プロジェクター10は、A/D(アナログ/デジタル)変換部110と、画像処理回路120と、液晶パネル130と、液晶パネル駆動部132と、照明光学系140と、投写レンズ152を有する投写光学系150と、レンズ駆動部154と、CPU160と、RAM175と、測定用パターン記憶部171を有するROM170と、リモコン制御部180と、リモコン181と、撮像部190と、振動検知部129と、を備え、(【0024】) 画像処理回路120は、入力画像に対して、スクリーン枠補正処理や画像の表示状態の調整などを行い、液晶パネル駆動部132へと出力し、(【0025】) 撮像部190は、種々の画像を撮像して取得し、撮像部190により撮像された撮像画像のうち、スクリーン枠SCFの少なくとも一部が撮像されたものを「枠画像」と、スクリーン30に投写された測定用パターンが撮像されたものを「パターン画像」といい、(【0032】) スクリーン枠補正処理は、表示画像の外周の各辺がスクリーン枠に一致するように、入力画像に対して台形歪み補正を行う一連の処理であり、初期スクリーン枠補正処理は、ユーザーからのリモコン181を通じた指示に応じて実行され、(【0042】) 初期スクリーン枠補正処理が開始されると、パターン出力部121は、測定用パターンをスクリーン30に投写し、具体的には、パターン出力部121が、ROM170の測定用パターン記憶部171に格納されている測定用パターンを表す画像データを読み出して、入力画像に重畳させ、液晶パネル駆動部132へと出力することで、測定用パターンが投写され、この測定用パターンはパネル座標値で表されており、測定用パターンの有する測定点のパネル座標値は、パターン出力部121により取得され、(【0043】) 測定用パターンPT1は、4点の白色円状の測定点とその周囲の略正方形の黒領域とで形成されるパターン領域A、B、C、D、を含んでおり、(【0044】) 次に、撮像部190は測定用パターンPT1の表示画像の撮像を行い、パターン検出部122はその撮像画像(パターン画像)を画像解析して、カメラ座標における測定点を検出し、この撮像画像を解析することにより、それぞれのパターン領域の4つの測定点に対応するカメラ座標値が取得され、(【0046】) それぞれのパターン領域の測定点に対応するパネル座標値とカメラ座標値が取得されると、座標変換部124は、各パターン領域について、それぞれ座標変換係数を算出し、具体的には、座標変換部124は、パターン領域Aの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて、座標変換係数Aを算出し、パターン領域Bの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Bを、パターン領域Cの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Cを、パターン領域Dの測定点のパネル座標値とカメラ座標値を用いて座標変換係数Dを、それぞれ算出し、(【0047】) 次に、パターン出力部121は、枠画像を取得するために、スクリーン枠SCF撮像用の黒画像をスクリーン30に投写し、(【0048】) 黒画像を投写すると、撮像部190は投写された黒画像の撮像を行い、枠画像を取得し、(【0049】) 直線検出部123は、合計8本のスクリーン枠SCFに対応する直線であるスクリーン枠直線を検出し、(【0050】-【0051】) 直線検出部123が8本のスクリーン枠直線を検出すると、座標変換部124は、カメラ座標における8本のスクリーン枠直線を、ステップS130で算出された座標変換係数を用いて、パネル座標におけるスクリーン枠直線へと変換し、(【0052】) カメラ座標におけるスクリーン枠直線がパネル座標におけるスクリーン枠直線へと変換されると、補正値算出部125は、台形歪み補正を行うための補正値を算出し、(【0053】) 補正値が算出されると、歪み補正部126は、算出された補正値を用いて、入力画像に台形歪み補正を行う、(【0055】) 画像処理方法」 ウ 引用文献4、5に記載された事項及び周知技術の認定 (ア) 引用文献4に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。 a 【0008】 「【0008】 以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。本発明では、ユーザーから離れた位置に設置された投映装置が、基準となるマーカ画像を投映する。ユーザーに近い端末の撮影装置で、投映されているマーカ画像を撮影し、ユーザーが端末上で投映に関する設定を指示する。投映装置と端末はそれぞれ通信機能を有しており、撮影したマーカ画像と、ユーザーが指示して投映に関する情報を投映装置に送信する。本発明は、通信機能を有する投映装置と、通信機能と撮影機能を有する端末によって、投映装置の投映設定を離れた位置から容易に行う。」 b 【0009】-【0011】、【図1】 「【実施例1】 【0009】 図1は、本発明の実施例のシステム構成を示す。図1(a)において、101は、例えばプロジェクタなどの投映装置、102は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの端末装置、103はユーザーである。投映装置101と端末装置102は、有線または無線で接続されている。 【0010】 図1(b)は、投映装置の構成を示す。投映装置101は、投映面に基準となるマーカを投映する投映部201、投映の補正情報を基にマーカの投映位置を補正する投映補正部202、端末装置102と通信をする通信部203、投映装置101を制御する制御部204を備えている。 【0011】 図1(c)は、端末装置の構成を示す。端末装置102は、画像を撮影するカメラなどの撮影部301、撮影した画像をユーザーに提示するディスプレイなどの画像提示部302、ユーザーからの投映目標位置の設定指示を受け付ける入力部303、撮影したマーカの位置と投映目標位置に基づいて補正情報を算出する補正情報算出部304、投映装置101と通信をする通信部305、端末装置102を制御する制御部306を備えている。」 「【図1】 [図:0001400036000022.jpg] 」 c 【0021】-【0028】、【図4】 「【0021】 図4は、本発明の実施例の処理フローチャートを示す。ステップ1において、投映装置(プロジェクタ)101は、現在の投映位置の目標を示すマーカ105の画像を投映する。 【0022】 ステップ2において、撮影機能を有する端末装置(スマートフォン)102の撮像部301は、投映面に投映されたマーカ105を含む画像を撮影する。 【0023】 ステップ3において、端末装置(スマートフォン)102の画像表示機能を有する画像提示部302は、撮影した画像をユーザー103に提示する。 【0024】 ステップ4において、ユーザー103は、端末装置(スマートフォン)102に表示されているマーカ105内の位置に、実際に投映する投映目標位置を示す設定フレーム108を配置することで、投映目標位置の設定を指示する。 【0025】 ステップ5において、端末装置(スマートフォン)102の補正情報算出部304は、撮影したマーカ105の位置とユーザー103から入力された設定フレーム108の位置(投映目標位置)の補正情報(座標情報)を算出する。 【0026】 ステップ6において、端末装置(スマートフォン)102は、通信部305を用いて、投映装置(プロジェクタ)101に補正情報(座標情報)を送信する。 【0027】 ステップ7において、投映装置(プロジェクタ)101の投映補正部202は、通信部203を介して受信した補正情報(座標情報)を基に、各点の相対位置を算出し、マーカ105の投映位置を補正して、マーカ105を投映する。 【0028】 ステップ8において、端末装置(スマートフォン)102は、投映されたマーカ105を撮影し、マーカ105が投映目標位置110にあれば処理を終了する。マーカ105と投映目標位置110が離れていれば、再度プロジェクタ101に補正を実行させるため、ステップ6に戻る。」 「【図4】 [図:0001400036000023.jpg] 」 (イ) 引用文献5に記載された事項 本審決で新たに引用され、本願の優先日前に発行された特開2009-206798号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。 a 【0001】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、プロジェクタのための画像処理に関し、特に、投写面に表示される画像の歪み補正技術に関する。」 b 【0019】、【図1】 「【0019】 A.実施例: 図1は、実施例における画像表示システムの概略構成について説明する説明図である。実施例の画像表示システム1000は、プロジェクタ10とリモートコントローラ20とを備える。リモートコントローラ20は、小型で可搬型の板状に構成されており、利用者の操作に応じてプロジェクタを遠隔制御する。また、リモートコントローラ20は、撮影機能を備えており、プロジェクタ10によってスクリーンSCに投写された投写画像320を撮影し、撮影した撮影画像を表す画像データに基づいて、投写画像の歪みの補正処理に用いられる歪み補正情報400を生成し、プロジェクタ10に対して送信する。」 「【図1】 [図:0001400036000024.jpg] 」 (ウ) 周知技術の認定 前記(ア)、(イ)に摘記した引用文献4、5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は周知技術(以下「周知技術」という。)であると認められる。 「プロジェクタの補正用のマーカ画像を撮像するに際してスマートフォンやリモートコントローラなどのユーザーが手で持つ装置を用いて撮像すること」 (2) 対比 ア 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 (ア)a 引用発明の「表示装置」は、「スクリーンを有するプロジェクタであ[る]」ところ、上記「プロジェクタ」及び「スクリーン」はそれぞれ本願発明の「投影装置」及び「表示スクリーン」に相当するから、引用発明の「表示装置」は、本願発明の「投影装置及び表示スクリーンを有する投影システム」に相当する。 b 引用発明の「表示装置に関する歪みの少なくとも一部を除去又は削減するために表示装置を較正する方法」は、「自動化された較正・修正システム」により「表示装置の画面16上に表示された画像を修正する」ものであるから、本願発明の「表示画像の補正方法」に相当する。 c 前記a及びbの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、「投影装置及び表示スクリーンを有する投影システムに適用される表示画像の補正方法であ[る]」点で一致する。 (イ)a 引用発明は、「較正データ及びその結果として得られる修正の生成とその修正の適用の両方を自動化するものであ[る]」から、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、前記投影装置内に記憶された補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」を含む本願発明と引用発明は、「何らかの動作が自動的に行われる」ものである点で共通する。 b(a) 引用発明の「較正テストパターン」とも呼ばれる「較正プロセスのために設計された専用のパターンを含む画像」は、本願発明の「補正画像」に相当する。 (b) 引用発明の「較正テストパターン」とも呼ばれる「較正プロセスのために設計された専用のパターンを含む画像」は「画面16上で見られる」ものであり、前記(ア)のとおり、「表示装置」は、「スクリーンを有するプロジェクタであ[る]」から、「較正テストパターン」が「スクリーン」に「投影」、すなわち「投射」されることは明らかである。 (c) 引用発明においては、「テスト画像発生器14は、プロセッサによって出力される1セットの記憶画像であり、ハードウエアに埋め込まれたプロセッサを使用し、このハードウエアは、表示装置内に統合されている」から、本願発明と引用発明は、補正画像が投影装置内に記憶されたものである点で共通するということができる。 (d) 引用発明においては「較正データを生成する較正段階は、表示の特性描写と、高解像カメラなどの感知装置によって表示装置上で観察される専用のテストパターンの捕捉と、これらの画像からの必要とされる較正データの抽出とを含[む]」ものであること並びに前記(ア)及び前記(a)から(c)までの検討結果も踏まえると、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、前記投影装置内に記憶された補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」を含む本願発明と引用発明は、「何らかの動作が自動的に行われるものであり、前記投影装置内に記憶された補正画像を投射するように投影装置を駆動するステップ」を含む点で共通する。 (ウ)a 引用発明の「テストパターン」が与える「入力空間内の既知の位置付近を中心とする1セットの形状」は、本願発明の「識別パターン」に相当する。 b 引用発明は、「テストパターン」には、「全部で4個以上であるM×N個の形状が存在[する]」ことは、前記(a)を踏まえると、本願発明の「前記補正画像はN個の識別パターンを有し、Nは3よりも大きい正整数である」ことに相当する。 c 前記a及びb並びに前記(イ)b(a)(b)の対比分析の結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記投影装置が前記補正画像を前記表示スクリーンに投射するステップであって、前記補正画像はN個の識別パターンを有し、Nは3よりも大きい正整数である、ステップ」を含む点で一致する。 (エ)a 引用発明の「カメラであ[る]」「感知装置11」は、本願発明の「撮像装置」に相当する。 b 引用発明の「カメラは、歪んだグリッドパターンの画像を捕捉[する]」ことは、本願発明の「撮像装置が前記補正画像…(中略)…に対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップ」に相当する。 c 引用発明の「カメラ画像は、画面フレーム18も捕捉す[る]」ことは、カメラ画像が画面16を捕捉することに他ならず、前記(ア)のとおり、「表示装置」が「スクリーンを有するプロジェクタ」であるときの「画面16」がスクリーンであることは明らかであるから、本願発明の「撮像装置が…(中略)…前記表示スクリーンに対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップ」に相当する。 d 前記aからcまでの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、「撮像装置が前記補正画像及び前記表示スクリーンに対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップ」を含む点で一致する。 (オ)a 引用発明の「カメラ空間の中心の座標」「(xci0,yci0)」は、カメラ空間の前記(ウ)aの「1セットの形状」、すなわち「識別パターン」の中心の座標を意味するところ、当該座標は、「前記取込画像における識別パターンの第2座標情報」に相当する。 b 引用発明の「1セットの形状」の「中心」を表す「入力空間内の」「(xi0,yi0)」は、本願発明の「識別パターンの第1座標情報」に相当する。 c 引用発明の「全画像マップ」と呼ばれる「fF:(xi0,yi0)→(xci0,yci0)」は、「各値域座標(xci0,yci0)に対してその対応する変域座標(xi0,yi0)を割り当て」て「構築」される、入力空間の座標とカメラ空間の座標を対応させるマップであるから、本願発明の「座標変換情報」に相当する。 d 前記aからcまでをまとめると、本願発明と引用発明は、「前記取込画像における識別パターンの第2座標情報を算出し、識別パターンの第1座標情報及び前記第2座標情報に基づいて座標変換情報を算出するステップ」を含む点で一致する。 (カ)a 引用発明は、「本システムによって修正可能」である「画面フレーム18を完全に囲むためにオーバーフローしたり、画像は完全に囲まれてアンダーフローしたり、画像が画面16を部分的にカバーしている中間状態(不整合)となったりする」「画面16上で見られる修正前の画像」を修正して、「修正された画像は画面フレーム18に正確に一致[する]」ようにするものであるから、プロジェクタが、画面フレーム18により取り囲まれる画面16、すなわちスクリーンに応じて画像のサイズを調整することを含むことは明らかである。 b 引用発明は、修正画像を含む能動矩形A’B’C’D’の表示座標空間における左上隅と寸法 [図:0001400036000025.jpg] を画面フレーム18の座標(左上:(0,0)、右上:(WD,0)、左下:(0,HD)、右下:(WD,HD))に基づいて設定するものであるといえるから、前記aを踏まえると、本願発明と引用発明は「前記表示スクリーンの(何らかの座標系における)座標情報に基づいて前記表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整する」点で共通するといえる。 c 前記aからbまでの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、「前記投影装置が前記表示スクリーンの(何らかの座標系における)座標情報に基づいて前記表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整するステップ」を有する点で共通する。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次の(ア)及び(イ)に示すとおりである。 (ア) 一致点 「投影装置及び表示スクリーンを有する投影システムに適用される表示画像の補正方法であって、 何らかの動作が自動的に行われるものであり、 前記投影装置内に記憶された補正画像を投射するように投影装置を駆動するステップと、 前記投影装置が前記補正画像を前記表示スクリーンに投射するステップであって、前記補正画像はN個の識別パターンを有し、Nは3よりも大きい正整数である、ステップと、 撮像装置が前記補正画像及び前記表示スクリーンに対して画像取込動作を行い、取込画像を取得するステップと、 前記取込画像における識別パターンの第2座標情報を算出し、識別パターンの第1座標情報及び前記第2座標情報に基づいて座標変換情報を算出するステップと、 前記投影装置が前記表示スクリーンの(何らかの座標系における)座標情報に基づいて前記表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整するステップと、を含む、表示画像の補正方法」である点。 (イ) 相違点 a 相違点1 本願発明は、ハンドヘルド式の電子機器を用いるものであって、 撮像装置は「ハンドヘルド式の電子機器内に設けられ[て]」おり、 「前記投影装置内に記憶された補正画像を投射するように投影装置を駆動するステップ」に関して、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動する」ものであるとして自動的な動作を特定しているのに対して、 引用発明は、ハンドヘルヘルド式の電子機器を用いることの特定がなく、 したがって、撮像装置はハンドヘルド式の電子機器内に設けられてなく、 また、「較正データ及びその結果として得られる修正の生成とその修正の適用の両方を自動化するものであ[る]」ものの、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、較正テストパターンを自動的に投射するようにプロジェクタを直接駆動するもの」ではない点。 b 相違点2 「表示スクリーンに応じて投射画像のサイズを調整する」ための「前記表示スクリーンの座標情報」が、 本願発明は、「境界情報」であり、当該「境界情報」は「前記取込画像における前記表示スクリーンの複数の境界座標値及び前記座標変換情報に基づいて算出」されるものであって、この算出ステップを含むのに対して、 引用発明は、表示座標空間の座標である(したがって、本願の「境界情報」に相当する「入力空間の座標」ではない。)点。 (3) 判断 ア 相違点についての検討 (ア) 相違点1について a 前記(1)ウ(ウ)において周知技術として認定したとおり、「プロジェクタの補正用のマーカ画像を撮像するに際してスマートフォンやリモートコントローラなどのユーザーが手で持つ装置を用いて撮像すること」は、周知技術である。 したがって、ユーザーの利便性を高めるために、引用発明に周知技術を採用して、感知装置11としてのカメラをスマートフォンのようなユーザーが手で持つ装置(本願発明の「ハンドヘルド式の電子装置」に相当する。)内に設けることは、当業者が容易になし得たことである。 b(a) 相違点1に係る「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、前記投影装置内に記憶された補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動する」点について検討すると、引用発明が「較正データ及びその結果として得られる修正の生成とその修正の適用の両方を自動化」するものであるところ、較正・修正の自動化を具体化するにあたり、どのステップから自動にするかを選択することは、当業者が適宜選択すべき設計事項というべきである。また、できるだけ自動にするということは、あまりにも自明の設計上の指針にすぎない。 (b) しれみれば、前記aのとおり、スマートフォンのようなユーザーが手で持つ装置を使用する際には、当該装置により較正・修正の自動化を開始し、較正テストパターンを投射するようにプロジェクタを直接駆動する程度のことは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎず、アプリケーションプログラムを起動することもスマートフォンにおける常套手段にすぎない。 (c) したがって、相違点1は、当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。 (イ) 相違点2について 引用文献2技術事項は、プロジェクターの表示画像の外周の各辺がスクリーン枠に一致する(引用発明の「修正された画像は画面フレーム18に正確に一致し、これは画面フレーム18全体が使用される理想的な状態である」)ように補正処理(同「較正」)を行うに際し、スクリーン枠(同「画面フレーム18」)とテスト用パターン(同「テスト画像」)を撮像し、パターン画像のパターン領域(同「1セットの形状」)のパネル座標値(同「(xi0,yi0)」)とカメラ座標値(同「(xci0,yci0)」)を用いて座標変換(同「fF:(xi0,yi0)→(xci0,yci0)」)を行い、スクリーンの枠の座標を利用して補正値を算出する点(同方程式(19))で引用発明と共通の作用を有している。 そうすると、引用発明において、修正された画像を画面フレーム18に正確に一致させる方法として、共通の作用を有する引用文献2技術事項に置換して、能動矩形A’B’C’D’と画面フレーム18を表示座標空間ではなく入力空間で一致させるようにするために、入力空間における1セットの形状の座標(xi0,yi0)とカメラ空間における1セットの形状の座標(xci0,yci0)に基づいて座標変換係数を算出し、カメラ画像における画面フレームの座標18である左上:(xcTLd,ycTLd)、右上:(xcTRd,ycTRd)、左下:(xcBLd,ycBLd)、右下:(xcBRd,ycBRd)の各座標を当該座標変換係数を用いて入力空間における座標(本願発明の「前記表示スクリーンの境界情報」に相当する。)へと変換し、当該変換された入力空間における画面フレーム18の座標に基づいて、画像が画面フレーム18に正確に一致するように較正し、相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、自明の設計変更にすぎない。 したがって、相違点2は、当業者が適宜採用し得る設計事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。 (ウ) 総合評価 前記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果としては、引用発明、引用発明2技術事項及び周知技術からは予測困難な効果であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 請求人の主張について (ア) 審判請求書における請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。 a 主張1 引用文献1~4には、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」について開示や示唆がない。 b 主張2 引用文献1~4には、「前記第1制御装置がN個の識別パターンを有する前記補正画像を設定し、識別パターンの第1座標系における第1座標情報を構築するステップであって、Nが3よりも大きい正整数である、ステップと、…前記第1制御装置が前記取込画像における識別パターンの第2座標系における第2座標情報を算出し、前記第1座標情報及び前記第2座標情報に基づいて座標変換情報を算出するステップと、前記第1制御装置が前記取込画像における前記表示スクリーンの前記第2座標系における複数の境界座標値及び前記座標変換情報に基づいて、前記表示スクリーンの前記第1座標系における境界情報を算出するステップ」について開示や示唆がない。 (イ) 請求人の主張についての検討 請求人の主張について検討する。 a 主張1についての検討 前記ア(ア)で相違点1について検討したとおり、「ハンドヘルド式の電子機器内に組み込まれたアプリケーションプログラムを起動することで、補正画像を自動的に投射するように前記投影装置を直接駆動するステップ」ことは、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 したがって、請求人の主張1は、前記ア(ウ)の結論を左右するものではない。 b 主張2についての検討 請求人が引用文献1~4に開示や示唆がないと主張する構成は、前記第2で却下された本件補正後の請求項1の記載に基づくものであって、本願発明に対応する本件補正前の請求項1の記載に基づくものではない。 したがって、請求人の主張1は、採用できない。 なお、ハンドヘルド式の電子機器に含まれる制御装置で補正画像を設定し、第1座標情報を構築し、第2座標情報を算出し、座標変換情報を算出し、境界情報を算出することは、本願の優先日前に発行された特開2015-103877号公報(特に、【0047】-【0068】参照)に記載されているとおり公知であり、主張2で主張される構成を勘案しても本審決の結論に影響はないことを付言する。 (4) 当審の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-006911

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