2022-005632
閉塞の低減を伴う医療用デバイス
- 審判番号
- 2022-005632
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-521652外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月14日
- 審決日
- 2022年10月19日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 6項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)10月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年10月31日 US(アメリカ合衆国))を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~18に係る発明は、令和4年4月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載されたとおりのものであるところ、そのうちの請求項12に係る発明は、以下のとおりである(以下「本願発明」という。)。
「【請求項12】輸液セットであって、細長い部材を有するカテーテルであって、前記細長い部材は、側壁部、第1の端部部分、第2の端部部分、ならびに、前記第1の端部部分および前記第2の端部部分における開口部を有している、カテーテルと、前記細長い部材の前記第1および第2の端部部分における前記開口部同士の間で前記細長い部材を通って延在する流体経路とを含み、前記第1の端部部分は、前記細長い部材の外側表面の上に第1のベベル付き端部部分を有しており、臨界ベンドポイントが、前記第1の端部部分の前記開口部から、前記流体経路の半径に等しい距離に位置付けされた状態になっており、前記細長い部材は、可撓性を有する前記カテーテルの内側の前記半径に等しい位置にある前記臨界ベンドポイントにおいて、所定の半径方向の厚さを有しており、前記カテーテルの挿入および使用の間の前記端部部分の折れ曲がりに抵抗し、前記第1の端部部分の閉塞に抵抗する、輸液セット。」
第3 原査定
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
第4 引用文献の記載及び引用発明
上記引用文献には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
ア「例えば、血管内留置カテーテルは、一般に内部に血管穿刺用内針を挿入 するための両端開口チューブ体と、該チューブ体の一端に固着されたハブ 部とからなり、該チューブ体内に内針を挿入した状態で血管内に穿刺し、 ついで内針を引抜いたのち、チューブ体を血管内にさらに押込んだ状態で 留置して使用する。しかして、血管内留置カテーテルのチューブ体はある 程度の機械的強度を有し、血管内への挿入が可能であり、外圧によって容 易に折曲しないこと、先端がテーパ状に成形可能であること、生体適合性 が良好なこと等が要求されている。」(第2ページ左欄第13~24行)
イ「これらの諸目的は、プラスチックス製チューブの先端部付近に該チュー ブの軸線に対して比較的小さい角度を有する第2テーパ部と、該第2テー パ部先端から該チューブの最先端部にかけて連続して該軸線側へ湾曲する 第1テーパ部とを設けてなる留置カテーテルにより達成される。
また、本発明は、チューブの外径が0.5~3mm、内径が0.1~2.8mmであ る留置カテーテルである。」(第2ページ右欄第26~34行)
ウ「本発明による留置カテーテルは、第3図に示すように、プラスチックス 製チューブ11の先端部12に付近に該チユーブの軸線B-Bに対して比 較的小さい角度βを有する第2テーパ部14が形成され、該第2テーパ部 14から該チューブ11の最先端部15におけて該軸線B-B側へ湾曲線 16を有する第1テーパ部13が一体的に連続して形成されている。」( 第3ページ左欄第31~38行)
エ「本発明による留置カテーテルを構成するプラスチックスとしては、ポリ エチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレ ン-プロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等 がある。生体への悪影響がなく、機械的強度を損うことなく肉厚を著しく 薄くすることができる点でエチレン-テトラフルエチレン共重合体が最も 好ましい。」(第3ページ右欄第2~9行)
オ「このようにして先端部を形成された留置カテーテルのチューブ11は、 第6図aに示すように、前記のように鋭利に切断の反対端に接着剤26を 介してハブ27に固着されて留置カテーテルが形成される。このような留 置カテーテル28には、内針29をハブ30に固着した穿刺針31を乾燥 して使用され、血管またはその他の器管内に穿刺したのち、内針29は除 去されて、留置カテーテル28のみが器官内に留置されて血液、その他の 体液を人体から排出させるか、あるいは血液、その他の体液もしくは薬液 を人体内に戻す。」(第4ページ左欄第13~23行)
カ「該方法により製造した留置カテーテルは前記のごとき先端形状を有して いるので、先端が鋭利となり、刺通抵抗も著しく低下する。このため、輸 血、輸液および透析用留置カテーテルとして極めて有用である。」(第4 ページ右欄第41行~第5ページ左欄第1行)
キ「
[図:0001396021000001.jpg]
」
ク「
[図:0001396021000002.jpg]
」
ケ 第3図より、血管内留置カテーテルを構成するプラスチックス製チュー ブ11は、細長い部材であることが看取される。
コ 血管内留置カテーテルを構成するプラスチックス製チューブ11は、そ の材料の点で上記エの記載を踏まえれば、可撓性を有することは明らかで ある。
サ これらの事項ア~コを総合すると、引用文献には、次の発明(以下「引 用発明」という。)が記載されているといえる。
「可撓性を有する両端開口のプラスチックス製チューブ11と、該チューブ11の一端に固着されたハブ部27とからなり、該プラスチックス製チューブ11は、細長い部材であって、その外径が0.5~3mm、内径が0.1~2.8mmであり、該プラスチックス製チューブ11の先端部12付近に該チューブ11の軸線B-Bに対して比較的小さい角度βを有する第2テーパ部14が形成され、該第2テーパ部14先端から該チューブ11の最先端部15にかけて該軸線B-B側へ湾曲線16を有する第1テーパ部13が一体的に連続して形成され、該プラスチックス製チューブ11の鋭利に切断の反対端に接着剤26を介してハブ27に固着され、内針29をハブ30に固着した穿刺針31を使用して、体液もしくは薬液を人体内に戻すために用いられ、輸血、輸液および透析用留置カテーテルとして極めて有用である、血管内留置カテーテル。」
第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「プラスチックス製チューブ11」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「カテーテル」に相当する。そして、引用発明の「可撓性を有する」「細長い部材であ」る「プラスチックス製チューブ11」は、本願発明の「可撓性を有する」「細長い部材を有するカテーテル」に相当する。
引用発明の「プラスチックス製チューブ11」は、「両端開口」の構造であるから、上記第4のカの第3図を併せみて、そこに図示される一方の端部部分と、図示されていない他方の端部部分とを有し、両端部部分にそれぞれ開口部を有するものである。また、「輸血、輸液」「用留置カテーテルとして極めて有用である」ことから、側壁部と、上記開口部同士の間の流体経路とを有することは明らかである。
また、引用発明の「プラスチックス製チューブ11」は、その「先端部12付近に該チューブ11の軸線B-Bに対して比較的小さい角度βを有する第2テーパ部14が形成され、該第2テーパ部14先端から該チューブ11の最先端部15にかけて該軸線B-B側へ湾曲線16を有する第1テーパ部13が一体的に連続して形成され」るものであるから、上記第3図を参照すると、上述の一方の端部部分において、その外部表面の上に、「第2テーパ部14先端から該チューブ11の最先端部15に」向かって、「軸線B-B側へ湾曲線16を有する第1テーパ部13」の基端側部分として、ベベルをもつ部分を有するといえる。
そうすると、引用発明の上記「一方の端部部分」、「他方の端部部分」が、本願発明の「第1の端部部分」、「第2の端部部分」にそれぞれ相当し、引用発明の、「可撓性を有する両端開口の」「細長い部材であ」って、その「先端部12付近に該チューブ11の軸線B-Bに対して比較的小さい角度βを有する第2テーパ部14が形成され、該第2テーパ部14先端から該チューブ11の最先端部15にかけて該軸線B-B側へ湾曲線16を有する第1テーパ部13が一体的に連続して形成され」た「プラスチックス製チューブ11」は、本願発明の「細長い部材を有するカテーテルであって、前記細長い部材は、側壁部、第1の端部部分、第2の端部部分、ならびに、前記第1の端部部分および前記第2の端部部分における開口部を有して」おり、「前記細長い部材の前記第1および第2の端部部分における前記開口部同士の間で前記細長い部材を通って延在する流体経路とを含み、前記第1の端部部分は、前記細長い部材の外側表面の上に第1のベベル付き端部部分を有して」いる「カテーテル」に相当する。
引用発明の「プラスチックス製チューブ11」における、最先端部15から該チューブの流体経路の半径に等しい距離の位置は、本願発明の「細長い部材」における「前記カテーテルの内側の」「前記第1の端部部分の前記開口部から、前記流体経路の半径に等しい距離に位置付けされた状態になって」いる「ポイント」に相当する。ここで、引用発明のプラスチックス製チューブ11は、「その外径が0.5~3mm、内径が0.1~2.8mmであ」るから、半径方向の厚さは0.2~0.1mmであり、上記第3図を参照すれば、上記「最先端部15から該チューブの流体経路の半径に等しい距離の位置」において、所定の半径方向の厚さを有していることは明らかである。
そうすると、引用発明のプラスチックス製チューブ11が、その最先端部15から該チューブの流体経路の半径に等しい距離の位置において所定の半径方向の厚さを有している点は、本願発明の「前記細長い部材は、」「前記カテーテルの内側の前記半径に等しい位置にある」「ポイントにおいて、所定の半径方向の厚さを有して」いる点に相当するといえる。
そうすると、両者は、
「細長い部材を有するカテーテルであって、前記細長い部材は、側壁部、第1の端部部分、第2の端部部分、ならびに、前記第1の端部部分および前記第2の端部部分における開口部を有している、カテーテルと、前記細長い部材の前記第1および第2の端部部分における前記開口部同士の間で前記細長い部材を通って延在する流体経路とを含み、前記第1の端部部分は、前記細長い部材の外側表面の上に第1のベベル付き端部部分を有しており、前記細長い部材は、可撓性を有する前記カテーテルの内側の前記半径に等しい位置にあるポイントにおいて、所定の半径方向の厚さを有している、カテーテル。」
である点で一致し、以下の各点で相違する。
[相違点1]
本願発明は、「カテーテル」「を含」む「輸液セット」であるのに対して、引用発明は、「可撓性を有する両端開口のプラスチックス製チューブ11と、該チューブ11の一端に固着されたハブ部27とからなり、」「該プラスチックス製チューブ11の鋭利に切断の反対端に接着剤26を介してハブ27に固着され、内針29をハブ30に固着した穿刺針31を使用して、体液もしくは薬液を人体内に戻すために用いられ、輸血、輸液および透析用留置カテーテルとして極めて有用である、血管内留置カテーテル」である点。
[相違点2]
本願発明は、「臨界ベンドポイントが、前記第1の端部部分の前記開口部から、前記流体経路の半径に等しい距離に位置付けされた状態になって」いるのに対して、引用発明は、そのように特定されない点。
[相違点3]
本願発明は、「前記カテーテルの挿入および使用の間の前記端部部分の折れ曲がりに抵抗し、前記第1の端部部分の閉塞に抵抗する」のに対して、引用発明は、プラスチックス製チューブ11が、そのように特定されない点。
まず、上記相違点1について検討する。
引用発明の血管内留置カテーテルは、「輸血、輸液」「用留置カテーテルとして極めて有用であ」って、輸液セットに用いることが予定されているから、引用発明の血管内留置カテーテルを輸液セットとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。
次に、上記相違点2及び3について検討する。
引用発明の血管内留置カテーテルは、チューブ11の第1の端部部分において、折れ曲がりに抵抗して、当該部分の閉塞に抵抗すると特定されてはいない。
しかしながら、上記第4のアの「血管内留置カテーテルのチューブ体はある程度の機械的強度を有し、血管内への挿入が可能であり、外圧によって容易に折曲しないこと、先端がテーパ状に成形可能であること、生体適合性が良好なこと等が要求されている。」との記載を踏まえれば、引用発明のプラスチックス製チューブ11は、所定の機械的強度を有し、血管内への挿入が可能であり、外圧によって容易に折曲しないよう構成されている。
そして、引用発明のプラスチックス製チューブ11は、「その外径が0.5~3mm、内径が0.1~2.8mmであ」るから、半径方向の厚さは0.2~0.1mmであって、本願明細書【0043】、【0045】、【0052】等に記載される本願発明のカテーテルの0.1448mmという厚さと同程度であることを踏まえれば、引用発明のプラスチックス製チューブ11は、前記カテーテルの挿入および使用の間の前記端部部分の折れ曲がりに抵抗し、前記端部部分の閉塞に抵抗するものと表現できるものである。
加えて、引用発明のプラスチックス製チューブ11は、その最先端部15から該チューブ11の流体経路の半径に等しい距離の位置において所定の半径方向の厚さを有しているところ、引用発明のプラスチックス製チューブ11が外径0.5mm、内径0.1mmである場合、その半径方向の厚さは0.2mmであって、引用文献の第3図より、上記位置では、その半径方向の厚さは、該チューブ11の厚さである0.2mmに対して概ねその半分前後であることが看取できる。一方、本願発明には、上記位置に対応する「臨界ベンドポイント」におけるカテーテルの半径方向の厚さについて、数値による具体的な特定はないが、当該厚さについて数値による特定を有する本願の請求項1に係る発明に着目すると、そこには、当該厚さは「0.003インチから0.006インチであ」ると特定されており、メートル単位で表すと概ね「0.0762mmから0.1524mm」となる。
このように、本願発明のカテーテルと引用発明のプラスチックス製チューブ11との間で、臨界ベンドポイントにおけるその半径方向の厚さは同程度というべきであり、引用発明も本願発明も、血管内に留置するカテーテルとして必要な強度を同程度で有しているということにすぎない。
したがって、上記相違点2及び3は、実質的な相違点とはいえない。
また、仮に相違点であるとしても、上記第4のアの記載を踏まえれば、引用発明においてその使用に必要な強度とすること、すなわち「前記カテーテルの挿入および使用の間の前記端部部分の折れ曲がりに抵抗し、前記第1の端部部分の閉塞に抵抗する」ように構成することは、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。
そして、本願発明の奏する効果は、引用発明の血管内留置カテーテルを、これを含む輸液セットとすることにより奏される効果から、当業者の予測の範囲内のものである。
よって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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