特許拒絶査定不服審判
2025-007828
患者用インターフェースおよびその態様
- 審判番号
- 2025-007828
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-137064
- 請求日
- 2025年05月21日
- 審決日
- 2026年03月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】須田 洋之
- 【請求人代理人】山崎 一夫
- 【請求人代理人】山本 泰史
- 【請求人代理人】鈴木 博子
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 坂庭 剛史
- 審判官 田中 秀樹
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-137064「患者用インターフェースおよびその態様」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年11月21日出願公開、特開2023-166453〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願分割の経緯の概略
本願は、令和5年8月25日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、2010(平成22)年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年11月12日(US)米国、2010年5月10日(IB)国際事務局、2010年8月23日(US)米国)を国際出願日とする特許出願(特願2012-538784号)を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願:特願2012-538784号(平成22年11月12日)
第1世代 :特願2017-040092号(平成29年 3月 3日)
第2世代 :特願2018-188040号(平成30年10月 3日)
第3世代 :特願2021-083159号(令和 3年 5月17日)
本 願 :特願2023-137064号(令和 5年 8月25日)
2 手続の経緯の概略
本願の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年 9月25日 上申書、手続補正書の提出
令和6年 3月 6日 手続補正書の提出
令和6年 6月11日付け 拒絶理由通知
令和6年12月12日 意見書、手続補正書の提出
令和7年 1月15日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和7年 5月21日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年 5月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年 5月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
患者用インターフェースであって、
鼻シールを含むシールと、
前記シールに接続されたマスク本体を含み、
前記マスク本体は、前記シールの外面に係合するシール係合部分および少なくとも2つのストラップ係合部分を含み、ループストラップが、前記少なくとも2つのストラップ係合部分から延出して、前記インターフェースを患者に固定し、
該シールは、着用者の鼻梁を覆わず、該シールは、顔に接触する側と外部側面とを含み、該シールは、柔らかい可撓性材料で形成され、鼻の基部を横切って延びる中央部分と、該中央部分の各外側端から延びる側部部分とを含み、各側部部分は、鼻の側面を横切って延び、
前記シールの顔に接触する側は、鼻の下面の表面を含む着用者の鼻の表面、およびシールの前記側部部分において、鼻の側面の外面に内圧下で適合するように柔軟性があり、
前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部は柔軟性があり、前記シールの内部側面が前記外部側面に対して変位可能であり、
前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延びている、患者用インターフェース。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和6年12月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
患者用インターフェースであって、
鼻シールと、
前記シールに接続されたマスク本体を含み、
前記マスク本体は、前記シールの外面に係合するシール係合部分および少なくとも2つのストラップ係合部分を含み、ループストラップが、前記少なくとも2つのストラップ係合部分から延出して、前記インターフェースを患者に固定し、
該シールは、着用者の鼻梁を覆わず、該シールは、顔に接触する側と外部側面とを含み、該シールは、柔らかい可撓性材料で形成され、鼻の基部を横切って延びる中央部分と、該中央部分の各外側端から延びる側部部分とを含み、各側部部分は、鼻の側面を横切って延び、
前記シールの顔に接触する側は、鼻の下面の表面を含む着用者の鼻の表面、およびシールの前記側部部分において、鼻の側面の外面に内圧下で適合するように柔軟性があり、
前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部は柔軟性があり、前記シールの内部側面が前記外部側面に対して変位可能であり、
前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延びている、患者用インターフェース。」
(3)補正事項
本件補正は、本件補正前の請求項1の「鼻シール」を、「鼻シールを含むシール」とする補正(以下、「補正事項」という。)を含むものである。
2 補正の適否
本件補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にする補正であるから、同法第17条の2第3項(新規事項の追加)及び同法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件を満たさなければならないほか、特許請求の範囲についてする補正は、同法17条の2第5項の規定により同条同項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。
そこで、上記補正事項について、同法17条の2第5項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて、以下に検討する。
(1)特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)について
上記補正事項により、いずれの請求項も削除されない。よって、上記補正事項は、請求項の削除を目的とするものではない。
(2)特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)について
上記補正事項は、シールに関し、本件補正前における「鼻シール」という概念を、「鼻シールを含むシール」という概念に拡張しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
(3)特許法第17条の2第5項第3号(誤記の訂正)について
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に誤記はないから、上記補正事項は、誤記の訂正を目的とするものではない。
(4)特許法第17条の2第5項第4号(明りようでない記載の釈明)について
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載に関し、明確性要件違反の拒絶の理由は通知されていない。
また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は明確であり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。
3 本件補正の目的についてのむすび
以上のとおり、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、当該補正事項を含む本件補正は、同条同項の規定に違反しているものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~29に係る発明は、令和6年12月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~29に記載された事項により特定される発明であり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1~29に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された技術及び引用文献2、4に例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献等一覧>
1.特開平09-010311号公報
2.特表2007-516750号公報
3.特表2002-543936号公報
4.特表2009-504354号公報
3 引用文献1、引用発明
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、図面とともに次のア~キの記載がある(下線は当審において付与した。以下同様)。
ア 「【0022】図2および図3を参照して、マスク12は、好ましくはジーイー・レクサン(GE LEXAN)ポリ炭酸エステル等のポリ炭酸エステルから射出成形された一般に硬質の成形面プレート部材48と、好ましくはジーエル5・クラトン・ジー6705(GL5 Kraton G-6705)等の熱可塑性あるいは熱硬化性エラストマーから成型された弾力的柔軟性のクッション部50と、好ましくはベイヤー・ベイシロン・エルエスアール4050(Bayer Baysilone LSR 4050)等のシリコンゴム材から成形されたシール部52とを有する。
【0023】図2乃至図4から概して理解されるように、呼吸ガスは面プレート48の一体ポート54を介して、クッション部50から形成されシール部52のフラップシール部58によって囲まれた空洞56中に供給される。使用者は、空洞56に供給されたガスを、鼻孔と向かい合うように位置するフラップシール部58に形成された開口60を通して鼻孔から吸引できる。
【0024】図2および図3のマスクの構造上の他の明白な特徴は、紐端部42を受けて保持する細長い溝44を備えた突出部62を有することと、シール部52の保持片64および66を有することである。これら保持片は面プレート48の対応した保持溝68および70と共働してマスク組立体にシール部52を保持状態に成すことを助ける。保持片64および66のさらなる特徴は、各々が溝68および70に対応して異なった横断面形状を有し、それにより、保持片64および66が面プレート48に対するシール部52の必要な位置決めおよび組立てを助けている。
【0025】さらに図2および図3において、マスク12は、使用者の鼻および上唇と対面して位置付けられるとき、前部から後部の方向に全体的に広がった、すなわち開いたV字型形状を有し、したがって、使用者の顔面の解剖学上構造のこれらの部位とほぼ適合する。さらにこれにより、このマスクのシール部は、図9に示されるマスクの接触領域内で使用者の顔面に、より容易に適合でき、かつ顔面をシールできる。」
イ 「【0028】面プレートの本体部材72はさらに、隣接したエラストマー材からなるクッション部材50を受ける内面88を有する。したがって、クッション部材50もまたほぼV字型形状であり、内面88に隣接して配置された同形の面91を有し、面プレート48に組付けられている。」
ウ 「【0032】図5および図7を参照して、シール部52は、基部105を有しても良い。これは、フランジ部106と保持片64および66とを含み、クッション部材50について前記した材料から形成される。織地製のフラップシール部58は、好ましくは基部105と一体で上述のシリコンゴム材から形成されるか、あるいは接着剤によって基部に適当に張り付けられて、シール部52を形成する。シール部52のフラップシール部58は、非常に薄い断面のひらひらした柔軟性のあるシール膜であり、使用者の顔の接触領域における種々の表面輪郭に、ほんのわずかな膨脹圧の下で、正確に適合できる。たとえば、フラップシール部58は、0.010+0.003インチの断面厚みを有する上述したシリコンゴムを広げたものである。
【0033】実用におけるマスクおよびヘッドギアの組立品は、図1に示されるように使用者の顔および頭部の適所に装着され、紐18および20を使用者の頭部上で耳当て16が適当に装着するように調整される。次に紐35が調整されて、マスク12の位置決めと固定を行なう。これにより、上で説明されかつ図9に示されるように、シール部52は空洞56内のガス圧によって膨脹され、使用者の鼻の下部と上唇との間の領域内で使用者の顔と封止接触し、開口60が使用者の鼻孔と向かい合う。具体的に述べると、クッション部材50の周辺部100の外面102による接触を含むマスクシールの接触範囲は、鼻孔124に隣接した使用者の鼻の先端120および隣接した側面122を上限とし、使用者の上唇を下限とした垂直方向の範囲と、鼻のつけ根130と上唇126の両方に横方向で隣接した使用者の顔の頬部128を横方向限界として水平方向の範囲とによって本質的に規定された顔の一部に限定される。
【0034】この配置において、この非常に軽量のマスクは、正圧下で、最小限の紐張力および保持力と、顔面への非常に限定されたマスク接触力をもって、使用者の鼻孔に正圧下で呼吸ガスを供給する。したがって本マスクは、耳や鼻柱への表面刺激のような刺激物、眼鏡の着用の差し障り、顔および/あるいは目の前を通過する邪魔な呼気の漏れ、使用者の視界の妨害、およびマスクの過度な重さ、大きさ、あるいは寸法を回避している。これらの起こり得るあらゆる問題点の改良によって、使用者はより容易にマスクを受け入れることができ、したがって、マスクを介し供給されるガス治療がさらに良く受け入れられ、より効果的になるであろう。」
エ 「【図1】
[図:0001438999000001.jpg]
」
オ 「【図2】
[図:0001438999000002.jpg]
」
カ 「【図3】
[図:0001438999000003.jpg]
」
キ 「【図4】
[図:0001438999000004.jpg]
」
ク 「【図9】
[図:0001438999000005.jpg]
」
ケ 上記ア、ウ及びエからみて、紐端部42は「紐35の」紐端部であることが見て取れる。
コ 上記ア及びキからみて、「面プレート48」が突出部62を「2つ」有していることが見て取れる。
(2)上記(1)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「マスク12であって、
前記マスク12は、硬質の面プレート48と、弾力的柔軟性のクッション部50と、シリコンゴム材から成形されたシール部52とを有し、
前記面プレート48は、紐35の紐端部42を受けて保持する細長い溝44を備えた突出部62を2つ有し、
フラップシール部58が鼻孔と向かい合うように位置し、
前記面プレート48は、前記シール部52を保持状態に成すものであり、
前記マスク12は、使用者の鼻および上唇と対面して位置付けられるとき、前部から後部の方向に全体的に広がった、すなわち開いたV字型形状を有し、
前記面プレートは隣接したクッション部50を受け、クッション部50もまたほぼV字型形状であり、
前記シール部52のフラップシール部58は、柔軟性のあるシール膜であり、使用者の顔の接触領域における種々の表面輪郭に、ほんのわずかな膨脹圧の下で、正確に適合でき、
前記紐35が調整されて、マスク12の位置決めと固定が行なわれ、
前記シール部52はガス圧によって膨脹され、使用者の鼻の下部と上唇との間の領域内で使用者の顔と封止接触し、
マスクシールの接触範囲は、鼻孔124に隣接した使用者の鼻の先端120および隣接した側面122を上限とし、鼻のつけ根130と上唇126の両方に横方向で隣接した使用者の顔の頬部128を横方向限界として水平方向の範囲とによって本質的に規定された顔の一部に限定される、
マスクを介し供給されるガス治療のための、
マスク12。」
4 引用文献3
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献3には、図面とともに次の記載がある。
ア 「【0019】
図3は、本発明の呼吸マスクの第2実施形態300を示している。呼吸マスク300は、図2に関連して説明した構成部材に加えて、ストラップリング324およびストラップ326を含む。
【0020】
ストラップリング324は、接続管114上を自由に移動するリングであるが、テーパのために接続管114の基端部122から逃げることができない。ストラップリング324も、リテーナリング111によって接続管114上に保持される。
【0021】
ストラップ326の端部がストラップリング324に取り付けられており、ストラップ326は装着者の頭部の周りに掛けることができる。好適な実施形態では、ストラップ326は弾性材料製であって、ストラップ326の張力が、呼吸マスク300を装着者の顔の所望位置に保持するのに役立つ。ストラップ326によって発生した力は、バッグ103の膨張によってある程度の抵抗を受ける。任意であるが、ストラップ326は、さまざまなサイズの装着者に合わせてストラップ326の長さを調整できるようにする調整手段(図示せず)を含むことができる。」
イ 「【図3】
[図:0001438999000006.jpg]
」
ウ 上記ア及びイからみて、「ストラップ326の2つの端部は、装着者の頭部の前方に位置している」ことが見て取れる。
(2)上記(1)からみて、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3記載技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献3記載技術)
「ストラップは装着者の頭部の周りに掛けることができ、前記ストラップの張力が、呼吸マスクを装着者の顔の所望位置に保持するのに役立ち、前記ストラップの2つの端部は、装着者の頭部の前方に位置している」もの。
5 引用文献2、4
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献2には、図面とともに次の記載がある。
ア 「【0091】
図63及び図64は、クッション42と、該クッション42に取り付けた一対のノズル17と、を具備する一対のインタフェースから成る実施形態を例示する。図示したように、クッション42はブーメラン形状として成形され、かつクッション42の側壁から延在するリム53を含み得る。」
イ 「【図63】
[図:0001438999000007.jpg]
」
ウ 上記ア及びイからみて、「クッションに取り付けたノズルは、鼻の穴を密封する」ことが見て取れる。
エ 「【0103】
図71~図73は、患者インタフェースのフレーム38に着脱自在に連結したヘッドギア組立体170の別の実施形態を例示する。図示したように、ヘッドギア組立体170は各々がフレーム38に対する独立した取付部を具備する2つのストラップを含む。特に、ヘッドギア組立体170は上部ストラップ171及び下部ストラップ172を含む。上部のストラップ171の端はそれぞれ、それに安全になった、上部のロックするクリップ173aを含んでいる。また、より低いストラップの端はそれぞれ、それに安全になった、より低いロックするクリップ173bを含んでいる。各ロックするクリップ173a、173bは、それぞれのクリップ・レシーバー174a(より非常に詳しく下に議論されるような構造38上で提供される174b)で相互ロック可能である。
【0104】
例証されるように、上部のクリップ173aはそれぞれ既知のやり方に、上部のストラップ171のそれぞれの端部がまわりに包まれることを可能にする横木175を含んでいる。実施例では、上部のストラップ171の遊離端はそれぞれストラップ、eの残りに固定され、例えば、適当な場所にクリップを固定するために裁縫による。さらに、上部のストラップ171の中間の部分は、調節目的のための調整可能なハシゴ・ロック配置176を含んでいる。より低いクリップ173bはそれぞれ、既知のやり方に、より低いストラップ172のそれぞれの端部が取られることを可能にする調整可能なハシゴ・ロック配置177を含んでいる。より低いストラップ172の遊離端はそれぞれ、監視ストラップスタイル保持器18によってストラップの残りに適所に固定される。しかしながら、ストラップはクリップ173a、他の適切な方法、eの173bに固定されてもよい。例えば、Velcro(登録商標)。さらに、各クリップ173a、173bは、縦に伸びるスロット180があるサイドウォールを含んでいる、横に伸びるslot181の中への鉛板。
【0105】
フレーム38は、自身の各側部に上部及び下部クリップ受容器174a、174bを含む。図73に最も示されたように、各クリップ・レシーバー174a、174bは、ロックに結びつく、荒れられた表面がある弾力的に柔軟なタブ182を含んでいる、183およびリリース突肉部184を負う。使用では、クリップ173aおよび173bはそれぞれ、それぞれのクリップ173aへクリップ・レシーバー174aおよび174bを最初に移動させることにより、それぞれのクリップ・レシーバー174aおよび174bで連結される、173b、そのようなものをロックする肩183がスナップ適合を備えた横に伸びるスロット181で連結するまで、リリース突肉部184は縦に伸びるスロット180を通って伸びる。クリップ173a、173bはそれぞれのクリップ・レシーバー174aから放されてもよい、ロックが183のリリースを負うまで、リリース突肉部184を低下させることによる174b、から、横に延在するスロット181である。図71の中で示されたように、より低いストラップ172の端のより低いクリップ173b、放免可能にそれぞれのより低いクリップ・レシーバーで連結するのに適している、フレーム38の上の174b、および上部のストラップ171の端の上部のクリップ173aは、放免可能に構造38上のそれぞれの上部のクリップ・レシーバー174aで連結するのに適している。クリップ配置は聞こえるフィードバックを行なってもよい、いつ、クリップ173a、173bはそれぞれのクリップ・レシーバー174a、174bに取り付けられている。」
オ 「【図71】
[図:0001438999000008.jpg]
」
カ 「【図72】
[図:0001438999000009.jpg]
」
キ 上記エ~カからみて、「ストラップの端に含まれるクリップがクリップレシーバーに連結される」こと、及び、(特に「カ」から)「フレームの各側部に含まれるクリップレシーバーがクッションの全幅を越えて延びている」こと、が見て取れる。
ク 上記ウ及びキからみて、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献2記載技術)
「ストラップの端に含まれるクリップが連結されるクリップレシーバーであって、フレームの各側部に含まれる前記クリップレシーバーが、鼻を密封するノズルが取り付けられたクッションの全幅を越えて延びている」こと。
(2)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献4には、図面とともに次の記載がある。
ア 「【0021】
図2に示す一つの実施例において、チークストラップ9は、回転可能アーム14の基端部を係合する末端部16、および回動クリップ10を取り付ける基端部17を有し、この回動クリップ10には迅速釈放クリップ18を設ける。迅速釈放クリップ18の一方の端部には、鼻クッションを位置決めするために、フレーム26の雄形係合部に係合する雌形収容部を有する。」
イ 「【0023】
回動クリップ10は、好都合には、チークストラップ9の基端部17における取り付けポイント19で回動可能にする。回動クリップは、任意の適当な固定手段により固定位置に係合する。この回動クリップ10および迅速釈放クリップ18は、比較的堅い材料で構成する。好適には、この回動クリップ10および迅速釈放クリップ18は、ナイロンプラスチックのような堅いポリマー材料により構成する。操作にあたり、ヘッドギア3の両側で、チークストラップ9の基端部17における迅速釈放クリップ18または回動クリップ10に剛性のあるマスクフレーム11の係合部26を取り付ける。」
ウ 「【図2】
[図:0001438999000010.jpg]
」
エ 上記ア~ウからみて、「ストラップ9の基端部17が有するクリップ18に取り付けられる係合部26がフレーム11の両端に位置している」ことが見て取れる。
オ 「【0032】
マスクフレーム
図6に示すように、堅いマスクフレーム11は、マスクフレーム11の内側にある収容チャネル20内に鼻クッション4を収容し、この収容チャネル20は、マスク組立体が治療時の定位にある時、鼻クッションの開口部37が患者の鼻、頬、上唇に密着するよう鼻クッション4に対して固定の向きで係合する。鼻クッションの係合端縁43は概して一点鎖線に沿ってマスクフレーム11の収容チャネル20内に挿入される。向き決めタブ44を切欠き51に係合させ、マスクフレーム11の定位置に係合して使用者が鼻クッションを適切な向きにする補助を行う。」
カ 「【図6】
[図:0001438999000011.jpg]
」
キ 上記オ及びカからみて、「開口部が患者の鼻に密着する鼻クッション4がマスクフレーム11の内側に収容される」ことが見て取れる。
ク 上記ウ、エ及びカからみて、「フレーム11の両端に位置している係合部26が鼻クッション4の全幅を越えて延びている」ことが見て取れる。
ケ 上記エ、キ及びクからみて、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4記載技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献4記載技術)
「ストラップのクリップに係合される係合部であって、開口部が患者の鼻に密着する鼻クッションを内側に収容するフレームの両端に位置している係合部が、前記鼻クッションの全幅を越えて延びている」こと。
(3)上記(1)ク及び(2)ケからみて、次の技術(以下「周知技術」という。)は、優先日前における周知の技術であったといえる。
(周知技術)
「鼻をシール可能なクッションに接続されたフレームに含まれるストラップ係合部分が前記クッションの全幅を越えて延びている」もの。
6 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「マスク12」は、「ガス治療」のためのマスクであって、「使用者の顔」に「接触」して使用されるものであるから、それは、本願発明の「患者用インターフェース」に相当する。
イ 引用発明の「クッション部50」及び「シール部52」は、「前記シール部52のフラップシール部58」が「鼻孔と向かい合うように位置し」、「前記シール部52は、使用者の鼻の下部と上唇との間の領域内で使用者の顔と封止接触し」ているから、それらは、本願発明の「鼻シール」に対応する。
ウ 引用発明の「面プレート48」は、「隣接したクッション部50を受け」、「前記シール部52を保持状態に成す」ためのものであるから、上記イも踏まえれば、それは、本願発明の「前記シールに接続されたマスク本体」に相当する。
エ 引用発明の「紐35」及び「突出部62」はそれぞれ、本願発明の「ストラップ」及び「ストラップ係合部分」に対応しているから、引用発明の「前記面プレート48は、紐35の紐端部42を受けて保持する細長い溝44を備えた突出部62を2つ有し」、「前記紐35が調整されて、マスク12の位置決めと固定が行なわれ」ることは、本願発明の「前記マスク本体は、前記シールの外面に係合するシール係合部分および少なくとも2つのストラップ係合部分を含み、ストラップが、前記少なくとも2つのストラップ係合部分から延出して、前記インターフェースを患者に固定し」ていることに相当する。
オ 引用発明の「マスクシールの接触範囲は、鼻孔124に隣接した使用者の鼻の先端120および隣接した側面122を上限とし」たことは、本願発明の「該シールは、着用者の鼻梁を覆わず」に相当する。
カ 引用発明の「フラップシール部58」は、「使用者の顔の接触領域」に「正確に適合でき」、「柔軟性のあるシール膜であ」るものであり、また、引用発明の「クッション部50」は「面プレート」に「隣接」する「弾力的柔軟性の」ものであるから、上記イ及びウも踏まえれば、それらは、本願発明の「該シールは、顔に接触する側と外部側面とを含み、該シールは、柔らかい可撓性材料で形成され」ていることに相当する。
キ 引用発明の「前記マスク12は、使用者の鼻および上唇と対面して位置付けられるとき、前部から後部の方向に全体的に広がった、すなわち開いたV字型形状を有し」、「クッション部50もまたほぼV字型形状であり」、「前記面プレート48は、前記シール部52を保持状態に成すものであり」、「前記シール部52のフラップシール部58が鼻孔と向かい合うように位置し」、「前記シール部52のフラップシール部58は、柔軟性のあるシール膜であり、使用者の顔の接触領域における種々の表面輪郭に、ほんのわずかな膨脹圧の下で、正確に適合でき」、「マスクシールの接触範囲は、鼻孔124に隣接した使用者の鼻の先端120および隣接した側面122を上限とし、鼻のつけ根130と上唇126の両方に横方向で隣接した使用者の顔の頬部128を横方向限界として水平方向の範囲とによって本質的に規定された顔の一部に限定される」ことからみて、V字型形状の面プレート48及びクッション部50によって、「シール部52のフラップシール部58」が、使用者の鼻の下の前「中央」部及び後「側部」をV字型に覆うように「適合」されるとともに、前記フラップシール部58は、使用者の鼻のつけ根130である左右の鼻翼基部とその間の鼻柱基部とを含む「基部を横切って伸び」るとともに更に使用者の顔の頬部128まで「鼻の側面を横切って延び」る範囲をマスクシールしていると理解されるところ、このような引用発明の構成は、本願発明の「該シールは」、「鼻の基部を横切って延びる中央部分と、該中央部分の各外側端から延びる側部部分とを含み、各側部部分は、鼻の側面を横切って延び」、「前記シールの顔に接触する側は、鼻の下面の表面を含む着用者の鼻の表面、およびシールの前記側部部分において、鼻の側面の外面に内圧下で適合するように柔軟性があ」ることに相当する。
ク 上記カを踏まえれば、引用発明の前記「シール部52のフラップシール部58」及び前記「クッション部50」はそれぞれ、本願発明のシールの「顔に接触する側」及び「外部側面」に対応し、引用発明の前記シール部52のうちの前記フラップシール部58と前記クッション部50との間に位置する部分の部材は、本願発明の「前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部」に対応していると理解される。また、前記シール部52が「シリコンゴム材から成形された」ものであることも踏まえれば、前記部材は、可撓性を有していると理解されるところ、それは、本願発明の「前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部は柔軟性があり、前記シールの内部側面が前記外部側面に対して変位可能である」ことに相当する。
(2)上記(1)での対比を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
ア 一致点
「患者用インターフェースであって、
鼻シールと、
前記シールに接続されたマスク本体を含み、
前記マスク本体は、前記シールの外面に係合するシール係合部分および少なくとも2つのストラップ係合部分を含み、ストラップが、前記少なくとも2つのストラップ係合部分から延出して、前記インターフェースを患者に固定し、
該シールは、着用者の鼻梁を覆わず、該シールは、顔に接触する側と外部側面とを含み、該シールは、柔らかい可撓性材料で形成され、鼻の基部を横切って延びる中央部分と、該中央部分の各外側端から延びる側部部分とを含み、各側部部分は、鼻の側面を横切って延び、
前記シールの顔に接触する側は、鼻の下面の表面を含む着用者の鼻の表面、およびシールの前記側部部分において、鼻の側面の外面に内圧下で適合するように柔軟性があり、
前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部は柔軟性があり、前記シールの内部側面が前記外部側面に対して変位可能である、患者用インターフェース。」
イ 相違点1
本願発明では、ストラップが「ループストラップ」であるのに対し、引用発明では、そのような構成になっていない点。
ウ 相違点2
本願発明では、「前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延びている」のに対し、引用発明では、そのような構成になっていない点。
7 判断
以下、上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
ア 上記4(2)で示したように、引用文献3には、「ストラップは装着者の頭部の周りに掛けることができ、前記ストラップの張力が、呼吸マスクを装着者の顔の所望位置に保持するのに役立ち、前記ストラップの2つの端部は、装着者の頭部の前方に位置している」もの(引用文献3記載技術)が記載されている。
イ したがって、引用文献3記載技術を知る当業者であれば、引用発明における紐35(ストラップ)の構成を変更して、「ループストラップ」として構成させることは、その必要に応じて適宜なし得る設計変更程度の事項にすぎないといえる。
ウ よって、上記相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献3記載技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(2)相違点2について
ア 上記5(3)で示したように、「鼻をシール可能なクッションに接続されたフレームに含まれるストラップ係合部分が前記クッションの全幅を越えて延びている」もの(周知技術)は、当業者に周知である。
イ そして、当業者であれば、ストラップ係合部分の構造は周知のものから適宜設計的に選択できるものであるところ、上述した周知技術を知る当業者であれば、引用発明における突出部62(ストラップ係合部分)の位置を、クッション部50及びシール部52の全幅(シールの全幅)を越えて、より外側に変更した構成を想到することは、その通常の創作能力の発揮によって容易になし得た程度のことである。
ウ よって、上記相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(3)本願発明の奏する作用効果
上記相違点1~2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献3記載技術及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献3記載技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 審判請求書における請求人の主張について
(1)請求人の主張
審判請求書における請求人の主張は、概略、以下のとおりである。
引用文献1に開示された発明は、「睡眠時無呼吸症候群(OBSTRUCTIVE SLEEP APNEA (OSA))等の症状で正圧セラピーの治療を受ける患者にとって特に有益な最小、最軽量の新規かつ改良された鼻マスク」を提供するという課題を解決しようとするものである。そして、引用文献1に開示された発明によると、「耳や鼻柱への表面刺激のような刺激物、眼鏡の着用の差し障り、顔および/あるいは目の前を通過する邪魔な呼気の漏れ、使用者の視界の妨害、およびマスクの過度な重さ、大きさ、あるいは寸法を回避」することが可能となり、「これらの起こり得るあらゆる問題点の改良によって、使用者はより容易にマスクを受け入れることができ、したがって、マスクを介し供給されるガス治療がさらに良く受け入れられ、より効果的になる」という作用効果が得られる。
このような「最小、最軽量の新規かつ改良された鼻マスク」を提供するという課題を解決しようとする引用文献1に記載された発明を改変して、本願発明が備える「前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延びている」という構成を得ようとすると、特に幅の寸法が大きくなってしまい、「マスクの過度な重さ、大きさ、あるいは寸法を回避」するという作用効果を阻害することとなる。このような改変は引用文献1に記載された発明の技術的流れに反するものであり、当業者が引用文献1に記載された発明を改変して、本願発明の構成を得ようとすることはない。
このように、引用文献1に記載された発明は、本願発明が備える「前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延びている」という構成を備えておらず、仮に当該構成がその他の文献に記載されていたとしても、当業者が引用文献1に記載された発明を改変して、当該構成を組み合わせようとすることはない。このような組み合わせは、引用文献1に記載された発明が奏する作用効果を阻害するからである。
よって、本願発明は、引用文献1-4に記載された発明等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)当審の見解
上記(1)の主張について検討する。
ア 引用文献1に記載された発明が解決しようとする課題は、引用文献1に記載された「従来の技術」において生じていた課題である。
イ そこで、引用文献1に記載された「従来の技術」について、引用文献1を参照すると、従来のマスクにおいて生じていた課題として、【0003】には「使用者の眼鏡の着用を妨げたり、あるいは眼鏡を使用した際に不快感を与えるマスク」では、「眼鏡を用いる患者にはほとんど我慢できないものである。」との課題があることが説明されており、また、【0004】には「鼻の範囲全体を覆う」鼻マスクでは、「鼻柱部分を含む鼻の全周に表面圧が加わり、皮膚が非常に薄い鼻柱部分に簡単に炎症を起こす。」との課題があることが説明されている。
ウ そして、上記5(3)で示した周知技術を、上記3(2)で示した引用発明に対して適用することにより、引用発明における面プレート48の突出部62(ストラップ係合部分)の位置が、クッション部50及びシール部52の全幅(シールの全幅)を越えて、より外側に変更されたとしても、使用者の顔(特に頬)を覆っていた変更前の紐35の部材の一部が、変更後では面プレート48から延長された部材によって置き換わるだけであって、全体としてみて、使用者の顔を覆う部分の広さは、その変更前後で実質的には変わらない。
エ 上記ウからみて、当該変更後の発明構成は、変更前の発明構成と同様に、使用者の目及び鼻柱を覆わない構成になっていると理解できるところ、変更後の発明構成も上記イで示した課題を解決可能な構成になっている。そのため、変更後の発明構成によれば、変更前の発明が奏する作用効果と同程度に眼鏡の着用を妨げず、眼鏡の不快感を与えず、かつ、鼻柱部分に害を与えない、という同程度の作用効果を奏し得るものである。
オ なお、引用文献1の【0007】に記載された、「本発明は、睡眠時無呼吸症候群(OBSTRUCTIVE SLEEP APNEA (OSA))等の症状で正圧セラピーの治療を受ける患者にとって特に有益な最小、最軽量の新規かつ改良された鼻マスクを意図している。」とは、引用文献1に記載された発明の鼻マスクが、引用文献1に係る出願当時に既に存在していた従来のマスクと比して、より小さく軽いことを単に意味しているにすぎないのだから、上記イで示した課題を解消し得る構成への改良である限りにおいて、引用文献1に記載された発明の鼻マスクをより大きくする改良であっても、引用文献1に記載された課題に係る目的に反するものではない。
カ したがって、上記3(2)で示した引用発明に対して上記5(3)で示した周知技術を適用することを阻害する事情はないから、この点に係る当審の判断は、上記7(2)で示したとおりである。
キ よって、請求人の上記(1)の主張は、採用できない。
9 上申書における補正案について
(1)補正案の内容
請求人は、令和7年11月21日に提出した上申書において、請求項1を以下のように補正する用意がある旨主張している。
「患者用インターフェースであって、
鼻シールを含むシールと、
前記シールに接続されたマスク本体を含み、
前記マスク本体は、前記シールの外面に係合するシール係合部分および少なくとも2つのストラップ係合部分を含み、ループストラップが、前記少なくとも2つのストラップ係合部分から延出して、前記インターフェースを患者に固定し、
該シールは、着用者の鼻梁を覆わず、該シールは、顔に接触する側と外部側面とを含み、該シールは、柔らかい可撓性材料で形成され、鼻の基部を横切って延びる中央部分と、該中央部分の各外側端から延びる側部部分とを含み、各側部部分は、鼻の側面を横切って延び、
前記シールの顔に接触する側は、鼻の下面の表面を含む着用者の鼻の表面、およびシールの前記側部部分において、鼻の側面の外面に内圧下で適合するように柔軟性があり、
前記顔に接触する側と前記外部側面とを接合する前記シールの周縁部は柔軟性があり、前記シールの内部側面が前記外部側面に対して変位可能であり、
前記ストラップ係合部分が前記シールの全幅を越えて延び、
前記ストラップ係合部分は、周囲に刻み目のある固定ポストを備え、前記ループストラップは、前記ストラップ係合部分と係合するために該ループストラップの各端部に形成された小さなループを備え、該小さなループは、前記固定ポスト上を延びて前記周囲の刻み目に係合する、患者用インターフェース。」
(2)補正案についての検討
上記(1)の補正案について検討する。
ア 本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2008/106716号(以下「引用文献5」という。)の図19~21及び図58a~58cの記載からみて、引用文献5には、上記5(2)ウで示した周知技術と同様の技術が記載されていると認められ、更に、引用文献5には、「ストラップ係合部分は、周囲に刻み目のある固定ポストを備え、ストラップは、前記ストラップ係合部分と係合するために該ストラップの各端部に形成された小さなループを備え、該小さなループは、前記固定ポスト上を延びて前記周囲の刻み目に係合する」ことも記載されていると認められる。
イ そして、ストラップを「ループストラップ」に変更することに係る当審の判断は、上記7(1)にて示したとおりである。
ウ したがって、上記ア及びイを総合すると、上記(1)の補正案のように、「前記ストラップ係合部分は、周囲に刻み目のある固定ポストを備え、前記ループストラップは、前記ストラップ係合部分と係合するために該ループストラップの各端部に形成された小さなループを備え、該小さなループは、前記固定ポスト上を延びて前記周囲の刻み目に係合する」ことについて更に限定したとしても、進歩性は依然として否定されるものである。
エ よって、上記(1)のような補正案のとおり補正を行ったとしても、原査定の拒絶の理由を解消するものではない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-007828