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特許拒絶査定不服審判

2025-009821

呼吸補助装置

審判番号
2025-009821
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-525644
請求日
2025年06月24日
審決日
2026年03月25日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
  • 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【請求人代理人】前川 純一
  • 【請求人代理人】永島 秀郎
  • 【請求人代理人】上島 類
  • 【請求人代理人】神谷 雪恵
  • 【請求人代理人】遠藤 太介
審判長/審判官
  • 審判長 岩間 直純
  • 審判官 久慈 渉
  • 審判官 田中 秀樹
分類
P18 .121-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-525644「呼吸補助装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月14日国際公開、WO2021/090184、令和 5年 1月26日国内公表、特表2023-502877〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)11月4日(パリ条約による優先権主張2019年11月4日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。 令和5年11月 1日 :手続補正書 提出 令和6年 5月 8日付け:拒絶理由通知 令和6年11月13日 :意見書、手続補正書 提出 令和7年 2月12日付け:拒絶査定 令和7年 6月24日 :審判請求書 提出 第2 本願発明 本願請求項1-15に係る発明は、令和6年11月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりの発明である。 「【請求項1】 呼吸補助装置であって、 ハウジングと、 一種又は複数種の呼吸可能ガスの供給源と、 前記呼吸可能ガスを、患者インタフェースを介して患者に搬送する呼吸導管と、 前記ハウジング上に位置するタッチスクリーンと、 前記呼吸補助装置の作動及び動作を含む、呼吸補助装置動作を制御する、前記ハウジング内に位置するコントローラと、 を備え、 前記コントローラが、 ・複数のユーザ健康質問と、ユーザ入力が受け取られる複数のユーザ入力要素とを表示するように前記タッチスクリーンに要求し、 ・所定の複数のユーザ入力が受け取られるまで前記呼吸補助装置の構成要素を作動させないようにするか又はその作動を阻止するように構成されている、 呼吸補助装置。」 第3 原査定における拒絶の理由 拒絶査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。 1.(進歩性)この出願の下記の請求項1-15に係る発明は、下記の引用文献1-2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 <引用文献等一覧> 1.特表2017-535325号公報 2.特表2003-521272号公報 第4 引用文献 1 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下同様。)。 「【0016】 呼吸圧治療システムは、呼吸圧治療機器(RPT機器)、エア回路、加湿装置、患者インターフェース、およびデータ管理を備える。」 「【0049】 8.2 治療システム 本技術の一実施形態は、呼吸器疾患を治療する装置または機器を備える。該装置または機器は、患者インターフェース3000のエア回路4170を介して与圧空気を患者1000に供給するためのRPT機器4000を備え得る。」 「【0051】 8.4 RPT機器 RPT機器4000は、本技術の一態様に従って機械部品および空圧部品4100、電気部品4200を備えており、1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成される。該RPT機器は、上部分4012と下部分4014の2部品で形成される外付けハウジング4010を有し得る。さらに外付けハウジング4010は、1つ以上のパネル4015を備えてもよい。RPT機器4000は、該RPT装置4000の1つ以上の内部構成部品を支持するシャーシ4016を備える。該RPT機器4000は、ハンドル4018を備えてもよい。 【0052】 RPT機器4000の空気圧経路は、例えば吸気口エアフィルタ4112、吸気口マフラ4122、陽圧空気を供給可能な圧力ジェネレータ4140(例えばブロワ4142)、吹出口マフラ4124、および圧力センサ4272と流量センサ4274など1つ以上のトランスデューサ4270など、空気経路アイテムを備え得る。」 「【0054】 該RPT機器4000は、電力供給装置4210、1つ以上の入力機器4220、集中制御装置4230、治療機器制御装置4240、圧力ジェネレータ4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、トランスデューサ4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力機器4290を備えてもよい。電気部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202に搭載され得る。該RPT機器4000の別の実施形態では、2つ以上のPCBA4202を備えてもよい。」 「【0065】 二層治療法の他の実施形態では、振幅Aは十分に大きいので、RPT機器4000は患者1000の一部または全部の呼吸動作を行う。圧補助換気療法として周知のそのような実施形態では、振幅Aは圧力サポートまたはスウィングと呼ばれる。IPAPは圧補助換気療法では、ベース圧P0+圧力サポートAであり、EPAPはベース圧P0である。」 「【0115】 またプロセス7020の一部の実装では方法8000は、ステップ8040、8050を含む(図8に破線で囲んで示す)。データサーバー7010はステップ8040で、1つ以上のルールをステップ8020で算出された治療品質指標に適用し、オプションとして以前に算出された1つ以上の治療品質指標の値に適用する。データサーバー7010は、ルール出力に基づいてステップ8050でその後のセッションについて患者の治療法を改善する処置を実施してもよく、または患者1000にそのような処置を実施するように促してもよい。以下に該ルールおよび該処置についてより詳細に説明する。」 「【0144】 データサーバー7010は方法8000の別の実装では、ステップ8040の後に直接処置を実施したり処置を促したりせず、患者1000に問い合わせを発行する。データサーバー7010は、1つ以上の次の実装に従って患者コンピューティング装置7050および/またはRPT機器4000を介して患者1000に問い合わせを発行し得る: ・電子メール ・SMSメッセージ ・患者プログラム7060における「通知」(患者プログラム7060が「患者アプリ」の場合) ・Webサイトのページ(患者プログラム7060がWebブラウザの場合)。 【0145】 次にデータサーバーは、前述のようにステップ8050で処置を実施したり処置を促す前に、問い合わせ(はい/いいえの応答を引き出すように作られている)に対する応答を考慮する。」 「【0147】 そのようなルール/問い合わせ/処置シーケンスの別の実施例では、治療品質指標が直近治療セッションにまたがって利用時間の減少傾向を示したり、オン/オフイベントの増加を示す場合、データサーバー7010は「寝付けなくてお困りですか」という問い合わせを発行し得る。該問い合わせに対して受信した回答がはいの場合、データサーバー7010は治療モードを変更して治療セッションの先頭部分にペース呼吸治療を与えて、患者の通常の治療モードに切りかえる前に患者をリラックスさせて落ち着かせ得る。 【0148】 ルール/問い合わせ/処置シーケンスのさらに別の実施例では、治療品質指標が直近治療セッションにまたがって利用時間の減少傾向を示し、シーズンは鼻詰まりにつながる場合(例えば冬)、データサーバー7010は「鼻詰まりになっていますか」という問い合わせを発行し得る。該問い合わせに対して受信した回答がはいの場合、データサーバー7010は送出される空気流の湿度を増加させて鼻詰まりの量を減少させ得る。」 「【図4A】 [図:0001439030000001.jpg] 」 「【図4C】 [図:0001439030000002.jpg] 」 イ 上記アの段落【0051】、【0054】、【図4A】、【図4C】の記載から、 「電気部品4200は、外付けハウジング4010内に位置し、電気部品4200に中央制御装置4230が含まれる」と認められる。 ウ 上記アの記載及びイから、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「患者インターフェース3000のエア回路4170を介して与圧空気を患者1000に供給するための呼吸圧治療機器(RPT機器)であって、 RPT機器は、電気部品4200を備え、外付けハウジング4010を有し、 RPT機器の空気圧経路は、陽圧空気を供給可能な圧力ジェネレータ4140を備え、 RPT機器は、入力機器4220、集中制御装置4230、データ通信インターフェース4280、出力機器4290を備え、 RPT機器は患者1000の一部または全部の呼吸動作を行い、 データサーバー7010はRPT機器を介して患者1000に問い合わせを発行し、データサーバーは、ステップ8050で処置を実施したり処置を促す前に、問い合わせ(はい/いいえの応答を引き出すように作られている)に対する応答を考慮し、 そのようなルール/問い合わせ/処置シーケンスでは、データサーバー7010は「寝付けなくてお困りですか」という問い合わせを発行し得、該問い合わせに対して受信した回答がはいの場合、データサーバー7010は治療モードを変更して治療セッションの先頭部分にペース呼吸治療を与えて、患者の通常の治療モードに切りかえる前に患者をリラックスさせて落ち着かせ得、 データサーバー7010は「鼻詰まりになっていますか」という問い合わせを発行し得、該問い合わせに対して受信した回答がはいの場合、データサーバー7010は送出される空気流の湿度を増加させて鼻詰まりの量を減少させ得、 電気部品4200は、外付けハウジング4010内に位置し、電気部品4200に中央制御装置4230が含まれる、 RPT機器。」 (2)引用文献2の記載 ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0011】 【好適な本実施の形態の詳細な説明】 図1及び2は、本発明による原理による双方向圧力維持装置30の第1の実施の形態を示す。双方向圧力維持装置30は、圧力発生装置32と、双方向装置34との2つの装置を備える。圧力発生装置32は、被験者(患者)に正圧治療を行う。例えば、圧力発生装置32は、被験者に供給される圧力が吸気及び呼気によって変化し又は被験者の障害治療の必要に応じて変化する可変圧力治療となる連続的気道正圧(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)治療を行う。」 「【0016】 双方向装置34は、圧力発生装置32の圧力治療機能を強化する双方向機能を生ずる。双方向装置34は、被験者に自己の状態を質問し、及び/又は被験者の状態を表示する操作を実行させる。図示の実施の形態では、双方向装置34は、圧力発生装置32と共通のハウジング46を共有する。圧力治療を行うシステムを含み被験者の障害を治療する本装置は、質問又は認識力検査を管理できる点で有利であり、これにより、被験者毎に又は被験者が検査を受ける度に、検査位置に被験者が移動し又は検査管理者が検査用紙を手動で配布する必要性を回避することができる。また、この組み合せは現行の圧力保持装置に共通に含まれる処理機能を利用するので、現行の圧力保持装置に双方向機能を導入し又は改造するコストを最小限に抑える。 【0017】 双方向装置34は、図示の実施の形態ではディスプレイを構成する出力装置48と、入力装置50とを備え、これらは共に制御装置42に接続される。ディスプレイ48は、質問、符号、画像又は他の可視表示物をユーザに提供する。ディスプレイ48は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)又はブラウン管等のディスプレイが好ましい。しかし、本発明では他の出力装置も使用できることは明らかである。例えば、出力装置は、視力障害者用の音声若しくは点字装置、プリンタ、又はユーザが知覚できる型式の情報を双方向装置から出力する装置である。入力装置50は、ユーザから情報を制御装置に供給する。入力装置50は、例えば、この機能を達成するキーボード、キーパッド、タッチスクリーン装置、音声認識装置、スタイラス、マウス、トラックボール、ボタン、ノブ、カード読取装置及び/又はスイッチ等の装置が好ましい。図示された実施の形態では、ノブ及びキーパッド50が入力装置として使用される。」 「【0026】 図4は、双方向圧力維持装置により実行される方法の一実施の形態を示すフローチャートである。この方法は、ステップ70で開始するが、種々の出発点から開始することができる。例えば、双方向圧力維持装置30を使用する被験者は、周期的に検査を行うように又は遠隔記憶装置のユーザは、必要に応じて若しくは周期的に検査を始めるように双方向圧力維持装置30をプログラムして、手動操作で検査の実行を要求することができる。一旦検査が開始すると、前記のように双方向システム34を使用する検査が被験者に対してステップ72で実行される。本発明の例示的な実施の形態では、前記エプワース及び/又は覚醒検査が行われ、被験者の睡眠の性質を判定する。ステップ72の検査過程の間に、被験者が質問又は他の表示を受けそれに対して応答する。 【0027】 質問結果及び/又は表示に対する応答、例えば反応時間及び認識精度は、ステップ74で集計される。また、本発明では、検査が行われるとき、検査の絶対時間又は基準に対する相対時間の何れかを示すデータを記憶する。検査が終了するまで、ステップ72及び74は必要に応じて反復される。入力装置を使用する被験者が入力した検査結果を作表し、必要に応じて、検査スコアがステップ76で決定される。双方向装置の所望の動作に従い、検査スコア、検査の結果及び/又は他のデータ、例えば検査に費やした時間若しくは検査に関する情報は、ステップ78で制御装置42及び/若しくはメモリ54に記憶され、その後、ステップ80で遠隔記憶装置に読み出し及び/若しくは送信し、又はステップ78及び80での処理が行われ、検査が終了する直後に、例えば遠隔記憶装置68又は通信装置66の処理装置等の遠隔記憶装置に検査結果を送信する。検査手順はステップ82で終了する。検査に費やした時間情報は、治療の進行の記録を補助し、特に連続検査の検査結果と比較するとき有効である。検査情報は、例えば、異なるタイプ又はレベルの検査か否かを示す実施検査を識別するデータを含む。例えば、障害の治療の間に、被験者は、障害が増加する時間又は増加しない時間に亘って連続検査を行ってもよい。本発明によるデータ出力は、連続検査のどの検査が被験者に実行されたか示す情報を含む。」 「【図1】 [図:0001439030000003.jpg] 」 イ 上記アの図1の記載から、「双方向圧力維持装置においてディスプレイと入力装置がハウジング上に位置する」と認められる。 ウ 上記ア、イより引用文献2には、以下の技術(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。 「被験者(患者)に正圧治療を行う双方向圧力維持装置において、被験者に自己の状態を質問し、及び/又は被験者の状態を表示する操作を実行させ、双方向圧力維持装置はディスプレイを構成する出力装置と、入力装置とを備え、ディスプレイは、質問をユーザに提供し、入力装置は、ユーザから情報を制御装置に供給し、タッチスクリーン装置が好ましく、 双方向圧力維持装置により実行される方法として、ステップ72の検査過程の間に、被験者が質問を受けそれに対して応答し、質問結果は、ステップ74で集計され、検査が終了するまで、ステップ72及び74は必要に応じて反復され、 ディスプレイと入力装置がハウジング上に位置する。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「RPT機器」は、「患者1000の一部または全部の呼吸動作を行」うのであるから、呼吸を補助するものといえ、本願発明の「呼吸補助装置」に相当する。 (2)引用発明の「RPT機器」が有している「外付けハウジング4010」は、本願発明の「ハウジング」に相当する。 (3)引用発明の「RPT機器」が備える「陽圧空気を供給可能な圧力ジェネレータ4140」は、「一種又は複数種の呼吸可能ガス」である「空気」を供給するものであるから、本願発明の「一種又は複数種の呼吸可能ガスの供給源」に相当する。 (4)引用発明の「RPT機器」は「エア回路4170を介して与圧空気を患者1000に供給する」のであるから、「エア回路4170」は「RPT機器」に接続されるものであり、「RPT機器」が「エア回路4170」を有しているといえる。そして、引用発明の「患者インターフェース3000のエア回路4170」は、それを介して「与圧空気を患者1000に供給する」ものであり、「患者1000に供給する」「与圧空気」は「呼吸可能ガス」であるから、「エア回路4170」は、本願発明の「呼吸可能ガスを、患者インタフェースを介して患者に搬送する呼吸導管」に相当する。 (5)引用発明の「RPT機器」が備える「出力機器4290」、及び「入力機器4220」は、出力及び入力を行うユーザインターフェースであるから、後述する相違点を除いて、本願発明の「タッチスクリーン」と、「出力及び入力を行うユーザインターフェース」である点で共通する。 (6)引用発明の「RPT機器」が備える、「集中制御装置4230」を含む「電気部品4200」は、「外付けハウジング4010内に位置し」、「集中制御装置4230」は制御装置であるからRPT機器を制御するためのものであり、上記(2)の点も踏まえると、後述する相違点を除いて、本願発明の「コントローラ」と、「呼吸補助装置を制御する、ハウジング内に位置するコントローラ」である点で共通する。 (7)引用発明の「RPT機器を介して患者1000に」発行される「問い合わせ」は、「寝付けなくてお困りですか」、「鼻詰まりになっていますか」という内容であり、本願発明の「ユーザ健康質問」に相当するから、引用発明と本願発明とは、後述する相違点を除いて、「呼吸補助装置においてユーザ健康質問を出力する」点で共通する。 2 一致点及び相違点 上記1から、本願発明と引用発明は、次の(1)の点で一致し、次の(2)の点で相違する。 (1)一致点 「呼吸補助装置であって、 ハウジングと、 一種又は複数種の呼吸可能ガスの供給源と、 前記呼吸可能ガスを、患者インタフェースを介して患者に搬送する呼吸導管と、 出力及び入力を行うユーザインターフェースと、 前記呼吸補助装置を制御する、ハウジング内に位置するコントローラと、 を備え、 前記呼吸補助装置においてユーザ健康質問を出力する、 呼吸補助装置。」 (2)相違点 (相違点1) 本願発明の呼吸補助装置はハウジング上に位置するタッチスクリーンを有するのに対し、引用発明のRPT機器は入力機器及び出力機器を備えるものの、その位置が不明であり、タッチスクリーンであるかも不明である点。 (相違点2) 本願発明のコントローラは、呼吸補助装置の作動及び動作を含む、呼吸補助動作を制御するのに対し、引用発明の集中制御装置はRPT機器の制御装置であるものの、具体的に何を制御しているのかが不明である点。 (相違点3) 本願発明では、複数のユーザ健康質問と、ユーザ入力が受け取られる複数のユーザ入力要素とを表示するように前記タッチスクリーンに要求するのに対し、引用発明では、問い合わせが複数行われるかが不明であり、RPT機器が入力機器を備えるものの、RPT機器において問い合わせに対する回答が行われるかも不明である点。 (相違点4) 本願発明では、所定の複数のユーザ入力が受け取られるまで前記呼吸補助装置の構成要素を作動させないようにするか又はその作動を阻止するように構成されているのに対し、引用発明では、ステップ8050で処置を実行する前に、問い合わせに対する回答を受け、治療モードの変更や空気流の湿度の変更を行う点。 第6 判断 1 (相違点1)及び(相違点3)について 上記第4(2)のとおり、引用文献2には、「被験者(患者)に正圧治療を行う双方向圧力維持装置において、被験者に自己の状態を質問し、及び/又は被験者の状態を表示する操作を実行させ、双方向圧力維持装置はディスプレイを構成する出力装置と、入力装置とを備え、ディスプレイは、質問をユーザに提供し、入力装置は、ユーザから情報を制御装置に供給し、タッチスクリーン装置が好ましく、 双方向圧力維持装置により実行される方法として、ステップ72の検査過程の間に、被験者が質問を受けそれに対して応答し、質問結果は、ステップ74で集計され、検査が終了するまで、ステップ72及び74は必要に応じて反復され、 ディスプレイと入力装置がハウジング上に位置する。」技術が記載されている。 引用発明と引用文献2記載技術とは、どちらも呼吸の治療機器において、ユーザに健康質問を行う技術であるから、引用発明に引用文献2記載技術を採用し、入力機器をタッチスクリーンとし、ハウジング上に位置させることは当業者が容易に想到し得たことである。 また、出力機器をタッチスクリーンとすることは周知であり、入力機器がタッチスクリーンの装置において、出力機器もタッチスクリーンとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である。そして、そのようにした場合、質問とその回答入力のための表示が、タッチスクリーンに表示されることは、当業者にとって明らかである。 そして、複数種類の問い合わせを想定している引用発明において、引用文献2記載技術のごとく複数回問い合わせを行い、応答を受け付けるようにすることも、当業者が容易に想到し得たことである。 2 (相違点2)について 装置の各構成要素を制御装置が制御することは技術常識であり、引用発明においてどの制御装置がRPT機器のどの構成要素を制御するようにするかは、当業者が適宜設計すべき事項にすぎない。 3 (相違点4)について 引用発明において実行される処置とは、治療モードの変更や空気流の湿度の変更を行うことであり、この処置を実行する「前に」問い合わせに対する応答を考慮するのであるから、引用発明は、応答、すなわちユーザ入力が受け取られるまで、処置の実行というRPT機器の「構成要素の作動」をさせない又は阻止するよう構成されているといえる。してみると当該相違点は実質的な相違点ではない。 また、仮に引用発明が「構成要素の作動」をさせない又は阻止するよう構成されているとまでいえない(患者からの応答がなくても、処置を実施したり処置を促すことができる)としても、ユーザ入力を踏まえた構成要素の作動(処置の実行)は、ユーザの応答を考慮して作動するのであるから、ユーザ応答無しに処置の実行をすることは、ユーザの状態を把握せずに処置を行うこととなり治療における処置として適切でないことは明らかである。してみれば、その応答までその処置の実行をさせない又は阻止するよう構成することは、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である。 4 効果について また、引用発明において、相違点に係る構成を採用することによる効果も、当業者が容易に想到しうる範囲内のものに過ぎない。 5 小括 以上により、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 6 請求人の主張について 令和7年6月24日提出の審判請求書における主張について、以下検討する。 (1)「本願発明は、「所定の複数のユーザ入力が受け取られるまで前記呼吸補助装置の構成要素を作動させないようにするか又はその作動を阻止するように」構成されています。これに対して、引用文献1には、処置を促す前に、電子メール等を使って、「複数のユーザ健康質問」(寝付けなくてお困りですか、鼻詰まりになっていますか等)を問い合わせし、該問い合わせに対して受信した回答に応じて治療モードの変更、湿度の増加などを行うことが記載されているに過ぎません。言い換えると、引用文献1には、データサーバー7010におけるイベントの時系列が記載されているに過ぎず、呼吸圧治療システムが起動する前にユーザの入力が行われなければならないことは、開示も示唆もされておりません。 また、引用文献1では、[0144]に記載されているように、電子メール、SMSメッセージ、患者プログラムにおける「通知」、Webサイトのページを通じて患者に対して問い合わせが発行されますが、これらは、本願明細書の段落00250に記載されているように、患者が、作業が面倒になり記入をやめてしまう場合に相当しています。 これに対して、本願発明は、ユーザ健康質問に対する回答が確実に得られるようにしたものです。患者は、コントローラ上でユーザ健康質問に対する入力をしなければ、呼吸補助装置を実質的に使用開始することができないため、ユーザ健康質問を無視しないことが保証されるという顕著な作用効果が発揮されます。 また、引用文献1に記載された発明では、たとえユーザが問い合わせに回答しなかったとしても、治療モードの変更、湿度の増加などが行われないにしてもその場で呼吸圧治療システムを使用することは可能であると推察されます。したがって、引用文献1には、当業者を、ユーザ入力が受け取られるまで呼吸補助装置の構成要素を作動させないようにするか又はその作動を阻止するという、本願発明の解決手段へと導くような示唆は一切記載されていません。」 請求人は要するに、(主張1)引用発明はデータサーバーにおけるイベントの時系列が記載されているに過ぎず、呼吸圧治療システムが起動する前にユーザの入力が行われなければならないことは開示も示唆もされていない、(主張2)本願発明は、ユーザ健康質問に対する回答が確実に得られるようにしたものである、(主張3)引用発明では、呼吸補助装置の構成要素を作動させないようにするかまたはその作動を阻止することについて示唆は一切記載されていない、旨主張しているものと解される。 (主張1)、及び(主張3)について、引用発明においては、データサーバーにおけるイベントのみならずRPT機器で問い合わせを行うことや、RPT機器における処置の実行(構成要素の作動)を行っているものであり、また上記第6 3で検討したとおり、ユーザ入力が受け取られるまで、処置の実行というRPT機器の構成要素の作動をさせない又は阻止するよう構成されているといえる、あるいはそのように構成することは当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である。 (主張2)について、本願発明はユーザ健康質問に対する回答が確実に得られるようにしたものであるという点について、本願の請求項1には、具体的にどの構成要素を作動させないかについて記載されていないため、作動させないとする構成要素によっては、必ずしも上記効果が得られる構成になっているとはいえない。したがって、該主張は請求項の記載に基づいたものでない。また、そのような構成となっているとしても、上記第6の3で検討したとおり、応答までその処置の実行をさせない又は阻止するよう構成することは、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内であり、当該構成を採用することによる効果も、当業者が容易に想到しうる範囲内のものにすぎない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-009821

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  • 2025-003125拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ハイブリッド外層を備えた複合材料医療用バルーン、および関連する生産方法
    共通の審決分類: 121・A61M
  • 2024-002734拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)累加柔軟性カテーテル支持フレーム
    共通の審決分類: 121・A61M
  • 2024-019025拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)カテーテルおよびその製造方法
    共通の審決分類: 121・A61M

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