特許拒絶査定不服審判
2022-001389
創傷閉鎖のための微細構造に基づくシステム、装置および方法
- 審判番号
- 2022-001389
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-565251外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月31日
- 審決日
- 2024年01月09日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (A61B) / P18 .121-WZ (A61B) / P18 .537-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-565251「創傷閉鎖のための微細構造に基づくシステム、装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 8日国際公開、WO2017/151806、令和 1年 5月23日国内公表、特表2019-513070〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年) 3月 1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年 3月 1日 (US)アメリカ合衆国、2016年 9月30日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 2年 2月26日提出:手続補正書
令和 3年 3月11日付け:拒絶理由通知
令和 3年 6月 7日提出:意見書、手続補正書
令和 3年10月14日付け:拒絶査定
令和 4年 1月31日提出:審判請求書、手続補正書
令和 4年 8月24日付け:拒絶理由通知
令和 4年11月 8日提出:意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし30に係る発明は、令和 4年11月 8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし30に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイスであって、前記アレイは、少なくとも1つのブリッジ部分の両端に接続される第1の微細構造部分および第2の微細構造部分を備え、前記第1および第2の微細構造部分のそれぞれは、少なくとも1つのブリッジ部分が創傷に重なるように、前記アレイを組織に固着するための少なくとも1つの微細構造を備え、前記第1および第2の微細構造部分のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つのブリッジ部分と同一平面上に位置するばね特性を伴う少なくとも1つの構造を備えていて、ばね特性を伴う前記少なくとも1つの構造のそれぞれが個別に拡張可能であるようになっており、前記少なくとも1つのブリッジ部分は、前記第1および第2の微細構造部分間にばね特性を伴わない少なくとも1つの縦方向に延在する直線状部分を画定する、創傷閉鎖デバイス。」
第3 当審において通知した拒絶の理由の概要
当審において令和 4年 8月24日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
1)(新規性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)について
・請求項1
・引用文献等1
・備考
請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明(以下、「文献1発明」という。)である。
<引用文献等一覧>
1.特表2015-523139号公報
第4 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が付したものである。)。
(1)「【0004】
発明の概要
本発明は、概して、1又は複数の微細構造を備える創傷閉鎖デバイスに関する。ある実施形態において、微細構造は、皮膚又は組織に入り込むことができる。ある実施形態において、上記デバイスは、複数の微細構造を備えている。微細構造は、微細構造と同じ素材又は異なる素材から任意に作られている基部又は裏地に加工、固定又は接続されている。ある実施形態において、基部又は裏地は、可撓性若しくは伸縮性又は可撓性且つ伸縮性である。ある実施形態において、微細構造には、基部上に1又は複数の微細構造アレイが形成されている。特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、本開示によれば、少なくとも2つの微細構造アレイを備え、各アレイは、基部上にパターン化され(任意に上記基部は、1又は複数のアレイを備え)、上記アレイは、任意に裏地に固定されている。このような実施形態では、上記アレイの少なくとも1つは、デバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、上記アレイの少なくとももう1つは、デバイスを創傷の他方の横側に固定することができる。他の特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、1つの微細構造アレイだけを備え、上記アレイは基部に加工され、上記基部は裏地に任意に固定されている。このような実施形態では、アレイに備わる微細構造の少なくとも1つはデバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、アレイに備わる微細構造の少なくとももう1つはデバイスを創傷の他方の横側に固定することができる。」
(2)「【図面の簡単な説明】
【0029】・・・
【図13】図13a~13eは、シリコーン裏地と高密度ニードルアレイによって製造された角度付きニードルを備えた例示的な創傷閉鎖デバイスの模式図を示している。なお、微細構造は、更に任意にコーティング(例えば、創傷治療薬剤でのコーティング)されている。
・・・
【図16】図16は、創傷に使用した本発明の創傷閉鎖デバイスを模式的に示している(断面図)。本実施形態において、マイクロニードルは、表皮を通じ真皮に入り込み、創傷の閉鎖を維持する。これは、縫合糸又はステープルと基本的に同じ作用であるが、組織に対する有害性が著しく低い。組織の深いところの縫合は、創傷条件に応じて必要としてもよいし必要としなくてもよい。
・・・」
(3)「【0052】
本願明細書で用いられる「アレイ領域」は、1又は複数の微細構造アレイが固定されている本デバイスの領域を意味する。従って、ある実施形態において、アレイ領域は1又は複数の基部が固定される裏地の一部であり、上記基部の各々は、1又は複数の微細構造又は微細構造アレイを備えている。ある特定の実施形態において、本発明のデバイスは、本願明細書において記載されている通り、峡部によって互いが分け隔てられている少なくとも2つの「アレイ領域」を備えている。かかる設計の非限定的な例は、図13a~13eに示しており、創傷閉鎖デバイスが表されている。上記デバイスは、2つのアレイ領域を備え、各領域は裏地に固定された1つの微細構造アレイを備えている。2つのアレイ領域は、裏地と正確に同じ幅の峡部によって隔てられている。他の類似の非限定的な例は、図15a~15eに示されており、デバイスは、アレイが固定されている裏地の幅と比較して幅が狭い峡部によって分け隔てられている2つのアレイ領域を備えている。」
(4)「【0079】
本願明細書で用いられる、「伸縮性」という用語は、例えば、引張力の結果として、任意の方向に伸ばすことができる任意の素材を包含するものである。「伸縮性」は、「弾性」という用語を包含するため、伸縮性を有する対象は、任意に弾力性を有するものと理解すべきである。従って、ある実施形態において、対象が伸ばされた場合、少なくとも2つの実施形態を含むことを意図する。第一の実施形態は、延伸力が収縮力によって妨げられるため、一旦延伸力が取り除かれると、対象が(例えば、弾性対象と同様に)内在的に収縮しようとする。第二実施形態は、対象が弾力性を内在的に含まないため、かかる収縮力は内在しない。」
(5)「【0157】
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部に備わる及び/又は裏地に任意に固定された2又は3以上のアレイを備え、アレイは、峡部によって分け隔てられている。ある種の実施形態において、峡部は伸縮性ではない一方で、他の実施形態では、伸縮性である。非限定的な例として、かかる一つのデバイスは、裏地に固定された2つのアレイを備え、上記アレイが非伸縮性峡部によって分け隔てられており、アレイを含む間隔は、伸縮性ではない(例えば、図13aから13e)。図15aから15eに示されるかかるデバイスの他の非限定的な例として、デバイスは、裏地に固定されて、伸縮性ではない峡部によって分け隔てられた2つのアレイを備えている。かかる実施形態の例は、ヒト及び合成皮膚に使用した、図18aから20に示されている。」
(6)【図13】
[図:0001410588000001.jpg]
(7)【図16】
[図:0001410588000002.jpg]
(8)上記(3)の段落【0052】の記載を踏まえて、図13a-eをみると、
ア 段落【0052】の「・・・図13a~13eに示しており、創傷閉鎖デバイスが表されている。上記デバイスは、2つのアレイ領域を備え、各領域は裏地に固定された1つの微細構造アレイを備えている。2つのアレイ領域は、・・・峡部によって隔てられている。」との記載と、図13a-eより、微細構造アレイを備えている2つのアレイ領域と、峡部とを備える創傷閉鎖デバイスであって、前記2つのアレイ領域は、前記峡部によって隔てられている。
イ 図13cにおける「400マイクロニードル/cm2アレイ」の記載は、段落【0052】のアレイ領域が備えている「微細構造アレイ」を指すものであり、図13bにおける「マイクロニードル」は、微細構造アレイが備えるマイクロニードルであり、各アレイ領域のそれぞれは、微細構造アレイがマイクロニードルを備える。
ウ (i)図13cにおいて、アレイ領域に対応して「伸縮性シリコーン」と記載されていること、及び
(ii)図13eにおいて、アレイ領域の「シリコーン基板」は、上面から下面まで、マイクロニードルと同じハッチングとなっていること、を
(iii)段落【0004】の「微細構造は、微細構造と同じ素材又は異なる素材から任意に作られている基部又は裏地に加工、固定又は接続されている。ある実施形態において、基部又は裏地は、可撓性若しくは伸縮性又は可撓性且つ伸縮性である。」(注:下線は、当審で付した。)と併せてみると、
各アレイ領域は、伸縮性シリコーンでできているシリコーン基板を備えることが理解できる。
エ さらに、図13a、13b、13dにおいて、図13dの左側及び右側のアレイ領域の当該シリコーン基板は、図13dの中央部分の峡部と一つの平らな板形状に配置されることが、看取される。
オ 図13cにおいて、峡部に対応して「非伸縮性シリコーン」と記載され、段落【0157】に「非伸縮性峡部によって分け隔てられており・・・(例えば、図13aから13e)。」と記載されているから、峡部は、非伸縮性シリコーンでできている非伸縮性峡部である。
カ 段落【0052】の「2つのアレイ領域は、裏地と正確に同じ幅の峡部によって隔てられている。」という記載と共に図13cをみると、前記峡部は、創傷閉鎖デバイスの長手方向に直線状に延びることが看取される。
(9)段落【0004】、【0029】の記載を踏まえて、創傷に使用した創傷閉鎖デバイスを模式的に示す断面図である図16をみると、(i)各アレイ領域のそれぞれは、微細構造アレイが微細構造としてマイクロニードルを備え、該マイクロニードルが皮膚又は組織に入り込むことができ(図16,段落【0004】,【0029】参照)、前記アレイの1つは、前記デバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、前記アレイのもう1つは、前記デバイスを創傷の他方の横側に固定することができるものであり(段落【0004】,図16参照)、(ii)峡部が創傷に重なるようになっていることが看取される(図16参照)。当該(i)(ii)の事項が、図13a-eに示された創傷閉鎖デバイスにおいても該当することは明らかである。
2 引用発明
上記(1)-(5)の記載及び上記(6)-(9)の図示内容を総合すると、引用文献1には、
「微細構造アレイを備えている2つのアレイ領域と、峡部とを備える創傷閉鎖デバイスであって、
前記2つのアレイ領域は、前記峡部によって隔てられており、
各アレイ領域のそれぞれは、微細構造アレイにマイクロニードルを備え、該マイクロニードルが皮膚又は組織に入り込むことができ、前記アレイの1つは、前記デバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、前記アレイのもう1つは、前記デバイスを創傷の他方の横側に固定することができるものであり、前記峡部が創傷に重なるようになっており、
各アレイ領域は、前記峡部と一つの平らな板形状に配置される伸縮性シリコーンでできているシリコーン基板を備え、
前記峡部は、前記2つのアレイ領域の間の、非伸縮性シリコーンでできている非伸縮性峡部であり、創傷閉鎖デバイスの長手方向に直線状に延びる、
創傷閉鎖デバイス。」(以下、「引用発明」という。)
が記載されている。
第5 対比、判断
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明とを構成、機能等をもとに技術常識を踏まえて対比する。
(1)ア 引用発明の「微細構造アレイを備えている2つのアレイ領域」と「峡部」とからなる部分(以下、「デバイス本体部分」という。)は、その構造・機能から、本願発明の「微細構造アレイ」に相当し、
引用発明の「微細構造アレイを備えている2つのアレイ領域と、峡部とを備える創傷閉鎖デバイス」は、本願発明の「微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイス」に相当する。
イ 引用発明の「峡部」は、本願発明の「ブリッジ部分」に相当する。
引用発明の「2つのアレイ領域」のうちの一方の「アレイ領域」は、本願発明の「第1の微細構造部分」に相当し、他方の「アレイ領域」は、本願発明の「第2の微細構造部分」に相当し、引用発明の前記デバイス本体部分は、「2つのアレイ領域」を「備え」る。
そうすると、引用発明の「前記2つのアレイ領域は、前記峡部によって隔てられて」いることは、峡部の両端に接続される2つのアレイ領域を備えることであるので、本願発明の「前記アレイは、少なくとも1つのブリッジ部分の両端に接続される第1の微細構造部分および第2の微細構造部分を備え」ることに相当する。
(2)引用発明の「各アレイ領域のそれぞれ」は、本願発明の「前記第1および第2の微細構造部分のそれぞれ」に相当し、
引用発明の「マイクロニードル」は、本願発明の「微細構造」に相当し、
引用発明の「前記峡部が創傷に重なるように」は、本願発明の「少なくとも1つのブリッジ部分が創傷に重なるように」に相当し、
引用発明の「各アレイ領域のそれぞれは、微細構造アレイにマイクロニードルを備え、該マイクロニードルが皮膚又は組織に入り込むことができ、前記アレイの1つは、前記デバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、前記アレイのもう1つは、前記デバイスを創傷の他方の横側に固定することができるものであり、前記峡部が創傷に重なるようになってお」ることは、各アレイ領域のそれぞれが、峡部が創傷に重なるように、デバイス本体部分を組織に固定するマイクロニードルを備えることであるから、本願発明の「前記第1および第2の微細構造部分のそれぞれは、少なくとも1つのブリッジ部分が創傷に重なるように、前記アレイを組織に固着するための少なくとも1つの微細構造を備え」ることに相当する。
(3)引用文献1の段落【0079】には、「「伸縮性」は、「弾性」という用語を包含するため、伸縮性を有する対象は、任意に弾力性を有するものと理解すべきである。」とあるから、引用発明の「伸縮性シリコーンでできているシリコーン基板」は、「弾性の材料性質を備える」「1つの構造」すなわち「ばね特性を伴う1つの構造であって、拡張可能である1つの構造」と言い換えることができる。そうすると、引用発明の「各アレイ領域」が「伸縮性シリコーンでできているシリコーン基板を備え」ることは、本願発明の「前記第1および第2の微細構造部分のうちの少なくとも1つ」が、「ばね特性を伴う少なくとも1つの構造を備えていて、ばね特性を伴う前記少なくとも1つの構造のそれぞれが個別に拡張可能であるようになってお」ることに相当する。
(4)引用発明の「前記峡部は、前記2つのアレイ領域の間の、非伸縮性シリコーンでできている非伸縮性峡部であり、創傷閉鎖デバイスの長手方向に直線状に延びる」ことは、上記(3)で示した「伸縮性」と「ばね特性」との関係をふまえると、本願発明の「前記少なくとも1つのブリッジ部分は、前記第1および第2の微細構造部分間にばね特性を伴わない少なくとも1つの縦方向に延在する直線状部分を画定する」ことに相当する。
2 一致点、相違点
本願発明と引用発明は、
「微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイスであって、前記アレイは、少なくとも1つのブリッジ部分の両端に接続される第1の微細構造部分および第2の微細構造部分を備え、前記第1および第2の微細構造部分のそれぞれは、少なくとも1つのブリッジ部分が創傷に重なるように、前記アレイを組織に固着するための少なくとも1つの微細構造を備え、前記第1および第2の微細構造部分のうちの少なくとも1つは、ばね特性を伴う少なくとも1つの構造を備えていて、ばね特性を伴う前記少なくとも1つの構造のそれぞれが個別に拡張可能であるようになっており、前記少なくとも1つのブリッジ部分は、前記第1および第2の微細構造部分間にばね特性を伴わない少なくとも1つの縦方向に延在する直線状部分を画定する、創傷閉鎖デバイス。」
である点で一致し、以下の点で一応相違する。
<相違点>
「ばね特性を伴う少なくとも1つの構造」が、本願発明では、「前記少なくとも1つのブリッジ部分と同一平面上に位置する」のに対して、引用発明では、「前記峡部と一つの平らな板形状に配置される」点。
3 判断
(1)相違点について
引用発明の「前記峡部と一つの平らな板形状に配置され」ていることは、峡部と同一平面上に位置すると表現できるものである。
よって、上記相違点は、実質的な相違点ではない。
仮に、「同一平面上に位置する」とは、「ブリッジ部分」と「1つの構造」のそれぞれの皮膚に向く面どうし及び環境に向く面どうしが、同一平面上に位置することであると解釈しても下記のとおりである。
皮膚に密着して配置すべき創傷閉鎖デバイスにおいて、皮膚への密着性や使用性を高めるために、引用発明において、「峡部」と「伸縮性シリコーンでできているシリコーン基板」のそれぞれの皮膚に向く面どうし及び環境に向く面どうしを、段差がないように同一平面上に位置することは、当業者が適宜になし得た程度のことである。
よって、上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)小括
したがって、上記相違点は、実質的な相違点ではないので、本願発明は引用発明である。
よって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 意見書における請求人の主張について
請求人は、令和 4年11月 8日に提出した意見書の「1.について」において「引用文献1の段落0157には、図13a~図13eにおいて、『アレイを含む間隔は、伸縮性ではない』と明示的に記載されて」おり、引用文献1は、「アレイ領域に『伸縮性シリコーン』を用いることを記載していない」のであり、「むしろ、『伸縮性でないシリコーン』が用いられると想定され」ると主張する。当該主張について検討する。
段落【0004】に「・・・基部又は裏地は、可撓性若しくは伸縮性又は可撓性且つ伸縮性である。・・・」(注:下線は、当審で付した。)と記載されるように、引用文献1には、アレイ領域の裏地又は基部を伸縮性とできることが記載されている。
引用文献1の図13cには、アレイ領域に対応して「伸縮性シリコーン」と記載され、峡部に対応して「非伸縮性シリコーン」と記載されている。
引用文献1の段落【0157】には「かかる一つのデバイスは、裏地に固定された2つのアレイを備え、上記アレイが非伸縮性峡部によって分け隔てられており、アレイを含む間隔は、伸縮性ではない(例えば、図13aから13e)。」と記載されている。
段落【0004】の記載をふまえて、引用文献1の段落【0157】の上記記載を、図13cのアレイ領域に対応して記載された「伸縮性シリコーン」及び峡部に対応して記載された「非伸縮性シリコーン」と併せてみると、当該記載は、峡部が、伸縮性でないことを意味していると解するのが相当である。
そして、上記第4の1(8)ウで前述したとおり、アレイ領域のシリコーン基板は伸縮性であると理解することが適当である。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
仮にそうでないとしても、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、 結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-001389