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特許拒絶査定不服審判

2023-022250

デジタル超音波ケーブル並びに関連するデバイス、システム及び方法

審判番号
2023-022250
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-543183
請求日
2023年12月28日
審決日
2024年10月22日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 【請求人代理人】弁理士法人M&Sパートナーズ
審判長/審判官
  • 審判長 神谷 健一
  • 審判官 宮澤 浩
  • 審判官 関根 洋之
分類
P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B) / P18 .537-Z (A61B) / P18 .572-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-543183「デジタル超音波ケーブル並びに関連するデバイス、システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月22日国際公開、WO2019/158363、令和 3年 6月10日国内公表、特表2021-514222〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)1月31日(優先権主張外国庁受理2018年(平成30年)2月16日)を国際出願日とする出願であって、令和4年11月15日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年5月19日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正前の請求項1に係る発明 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。 「 ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンクと、超音波撮像プローブとを備える、医療用超音波撮像システムであって、 前記超音波撮像プローブは、 複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える超音波撮像コンポーネントと、 前記超音波撮像コンポーネントに結合され、前記複数のアナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する複数のアナログ/デジタルコンバータと、 前記複数のアナログ/デジタルコンバータに結合され、前記チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化するマルチプレクサと、 前記マルチプレクサ及び通信リンクに結合される通信インターフェースとを備え、 前記通信インターフェースは、前記チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する、 医療用超音波撮像システム。」 (2)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。なお、下線部は補正箇所を示す。 「 ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンクと、超音波撮像プローブとを備える、医療用超音波撮像システムであって、 前記超音波撮像プローブは、 複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える超音波撮像コンポーネントと、 前記超音波撮像コンポーネントに結合され、前記複数のアナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する複数のアナログ/デジタルコンバータと、 前記複数のアナログ/デジタルコンバータに結合され、前記チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化するマルチプレクサであって、各マルチプレクサは、1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する、マルチプレクサと、 前記マルチプレクサ及び通信リンクに結合される通信インターフェースとを備え、 前記通信インターフェースは、前記チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する、 医療用超音波撮像システム。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「マルチプレクサ」について、「1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 3 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。 4 引用文献 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特表2012-528685号公報(平成24年11月15日国内公表。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す(以下、同様である。)。 (ア)技術分野・背景技術 「【技術分野】 【0001】 本発明は、超音波トランスジューサにより受信された超音波信号データの圧縮に係り、より詳細には、超音波信号サンプルを、アナログ/デジタル変換の後であって且つビーム成形、検出及び画像形成の前に圧縮することに係る。 【背景技術】 【0002】 医療用超音波システムは、臨床医により対象者に置かれたトランスジューサから超音波ビームを送信することにより対象者の体内解剖学的組織をスキャンする。超音波は、異なる音響インピーダンスを有する体内組織の界面で反射されて、エコーを発生する。トランスジューサは、エコーを受信して、電気的な超音波信号へ変換する。超音波システムは、超音波信号に一連の処理ステップを適用して、画像又は一連の画像を発生し、それらは、臨床医による分析のためにコントロールコンソールに表示される。受信したエコーの強度に基づき形成される画像は、Bモード画像と称される。更に、システムは、超音波信号のドップラーシフトを測定して、血液のような流体の流れを指示するカラー画像を発生すると共に、診断に有用な付加的な分析を遂行する。 【0003】 従来の医療用超音波トランスジューサは、電気信号で駆動されたとき超音波を送信し、返送されるエコーを受信し、そしてその受信エコーを複数のアナログ信号へ変換する圧電素子のアレイを備えている。複数のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)がアナログ信号をサンプリングし、その各々がデジタル信号サンプルのストリームを発生する。信号サンプルの典型的なデジタル信号処理は、ビーム成形、ダウン変換、Bモード(輝度)処理及び/又はドップラー処理、スキャン変換、及び表示のための画像処理を含む。ビーム成形器は、信号サンプルのストリームを遅延し及び合成して、視野内の特定方向に対応するビーム成形サンプルのアレイを形成する。ビーム成形器は、視野内の多数の方向に対応するビーム成形サンプルの多数のアレイを発生することができる。次いで、望ましい診断情報のタイプに基づき、ビーム成形サンプルに対してBモード処理及び/又はドップラー処理を遂行して、Bモード検出サンプル及び/又はドップラー検出サンプルを形成する。検出サンプルの空間的座標は、ビーム成形サンプルのビーム幾何学形状に依然対応する。スキャンコンバータが検出サンプルの座標変換を行って、表示に適したラスタフォーマットを有するデータのフレームを発生する。サンプルのフレームに付加的な画像処理を適用して、二次元(2D)又は三次元(3D)画像として表示できるようにする。 【0004】 医療用超音波システムを改善するための現在の努力は、コンソール/カートシステムの診断能力を高めると共に、画質の改善された小型のポータブル装置を開発することに向けられる。ハイエンドのコンソール又はカートシステムについては、トランスジューサ素子の数を増加して、診断能力を拡張するための高い解像度及び/又は3D画像を発生することが望まれる。トランスジューサ素子の数を増加すると、トランスジューサヘッドからコンソールプロセッサへ通信されるデータの量が増加し、より広い帯域巾の通信チャンネル及びより大きなケーブル接続を要求する。トランスジューサヘッドのデータ取得能力は、操作及びフォームファクタの要件により制約を受ける。手持ち及びハンドヘルド型の超音波装置は、経済的なものであり、小規模な医院、移動処置ユニット及び家庭で使用するのに望ましいものである。これらの装置では、バッテリ寿命も制約となる。超音波システムにおいて超音波信号データをより効率的に処理し、転送し、記憶することで、電力、データ転送帯域巾及びメモリ容量を節約することができる。」 (イ)発明が解決しようとする課題 「【発明が解決しようとする課題】 【0017】 超音波画像形成システムのコンポーネント間で超音波信号データを効率的にデータ転送及び記憶する必要がある。又、システムの複雑さへの影響を最少にしてデータ転送及び記憶容量を改善するために超音波信号データを計算上効率的にデータ圧縮する必要がある。」 (ウ)課題を解決するための手段 「【課題を解決するための手段】 【0018】 本発明の実施形態は、以上の従来の問題を考慮してなされたものである。本発明の目的は、超音波画像形成システムにおいてアナログ/デジタル変換後に超音波信号サンプルを圧縮することである。超音波画像形成システムは、サンプリング窓の間に複数のアナログ超音波信号を出力する超音波トランスジューサ素子のアレイを備えている。方法は、 アナログ/デジタルコンバータを使用して複数のアナログ超音波信号をデジタルサンプリングして信号サンプルの複数のシーケンスを発生する段階であって、信号サンプルの各シーケンスがサンプリング窓の間に対応するトランスジューサ素子により出力されるアナログ超音波信号を表すような段階と、 信号サンプルの複数のシーケンスを圧縮して、圧縮サンプルの複数の対応シーケンスを形成する段階であって、信号サンプルの複数のシーケンスにおける信号サンプルの特定のシーケンスを、前記サンプリング窓の間に他のトランスジューサ素子から出力されるアナログ超音波信号を表す信号サンプルとは独立して圧縮して、圧縮サンプルの対応シーケンスを形成することを含むような段階と、 圧縮サンプルの複数の対応シーケンスを、データ転送インターフェイスを横切って信号プロセッサへ転送する段階と、 を備えている。 ・・・ 【0021】 本発明の別の態様は、データポートの過剰なデータ転送帯域巾を利用し、少数のデータポートを使用して、デジタルインターフェイスを経て圧縮サンプルを転送する。圧縮サンプルのシーケンスをマルチプレクスし、少数のデータポートを使用して転送できる少数のシーケンスを形成することができる。 【0022】 本発明の別の態様は、データポートの過剰なデータ転送帯域巾を利用し、少数のデータポートを使用して、デジタルインターフェイスを経て解凍した超音波信号サンプルを転送する。複数のADCから出力される信号サンプルのビットレートがデータポートの最大データ転送帯域巾より充分小さいときには、解凍信号サンプルのシーケンスをマルチプレクスして、少数のデータポートを使用して転送できる少数のシーケンスを形成することができる。」 (エ)発明を実施するための形態 「【発明を実施するための形態】 【0024】 図1は、従来技術による典型的な医療用超音波システムの一例を示すブロック図である。送信ビーム成形器104は、デジタル又はアナログビーム成形器のような既知の構造のものである。送信ビーム成形器104は、システムコントローラ102に応答して1つ以上の励起信号を発生する。励起信号は、典型的に、1ないし20MHz範囲の関連中心周波数を有する。送信ビーム成形器104からの励起信号は、送信/受信スイッチ112を経て超音波トランスジューサ110に与えられる。超音波トランスジューサ110は、トランスジューサ素子110iのアレイを含む。超音波トランスジューサ110は、検査を受ける対象者に超音波を結合できるようにする既知の構造のものである。トランスジューサ素子110iは、超音波の発射及び受信の両方を行う。送信/受信スイッチ112は、送信及び受信モードのためのスイッチング回路を含む。送信モードでは、送信/受信スイッチ112は、送信ビーム成形器104からの励起信号をトランスジューサ110へ結合する。受信モードでは、送信/受信スイッチ112は、トランスジューサ110から受信した超音波信号をアナログフロントエンド(AFE)114へ結合する。送信の場合に、トランスジューサ素子110iは、励起信号を変換して、超音波音響波形を発生する。特に、トランスジューサ110は、送信ビーム成形器104に応答して、励起信号を、対象者内をある方向に進行する超音波波形へ変換する。異なる音響インピーダンスを伴う界面を有する散乱場所で超音波波形を反射させて、トランスジューサ110へエコーを返送させる。複数のトランスジューサ素子110iがエコーを受信して、複数のアナログ超音波信号へと変換する。送信/受信スイッチ112は、トランスジューサ110からの複数のアナログ超音波信号をサンプリング窓間にAFE114へ結合する。サンプリング窓は、受信したエコーが対象者の望ましい深さ範囲内の散乱場所からの反射を表すところの時間インターバルに対応する。コントローラ102は、ユーザ入力又はスキャンプロトコルに従ってサンプリング窓をセットし、そして送信/受信スイッチ112にタイミングコントロール情報を与える。送信/受信スイッチ112は、サンプリング窓間に複数のアナログ超音波信号を並列に出力する。AFE114は、アナログ/デジタル変換のための準備として複数のアナログ超音波信号を増幅しそしてフィルタリングする。AFE114は、各アナログ信号チャンネル113iに対して、低ノイズ増幅器(LNA)、可変利得増幅器(VGA)及びローパスフィルタを含むことができる。VGAは、受信信号強度が時間と共に減少するので、時間の関数として利得を増加する利得プロフィールを適用する。時間に伴う信号強度の低下は、超音波がより多くの組織を通してより長い距離進行するにつれて減衰することから生じる。ADCバンク120は、サンプリング窓の間に受信した複数のアナログ超音波信号を、並列の超音波信号サンプルの複数のシーケンスへ変換するための複数のADCを備えている。各ADC入力チャンネル115iにおけるアナログ超音波信号は、それに対応するADC出力チャンネル121iにおける超音波信号サンプルのストリームへと変換される。超音波信号サンプルは、トランスジューサの圧電材料の固有の共振周波数に関連した受信超音波信号の高周波(RF)に典型的に対応する非ゼロの中心周波数を有する。 【0025】 超音波信号プロセッサ130は、ビーム成形、ダウン変換、Bモード処理、及び/又はドップラー処理を含めて、超音波信号サンプルから診断情報を抽出するオペレーションを遂行し、これについては図2を参照して更に説明する。超音波信号プロセッサ130は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、又はコンピュータのCPUのような1つ以上のプロセッサで具現化することができる。スキャンコンバータ140は、処理されたサンプルのフレームの座標変換を遂行して、ラスタ(直線)フォーマットを有する超音波画像サンプルのフレームを発生する。画像プロセッサ150は、付加的な画像向上オペレーションを超音波画像サンプルに適用することができる。ディスプレイ160は、ユーザにより分析するための2次元又は3次元画像を与える。」 合議体注:図1は次のものである。 [図:0001421102000001.jpg] 「【0029】 図5は、好ましい実施形態により、ADC120のバンクから出力される超音波信号サンプルを圧縮することを含む超音波システムのブロック図である。圧縮器210は、複数の圧縮ユニット210iを備えている。複数の圧縮ユニット210iは、各トランスジューサ素子(例えば、図1の110i)から出力されるアナログ超音波信号を表す信号サンプルの複数のシーケンスを圧縮して、圧縮サンプルの複数のシーケンスを圧縮器出力211iに形成する。圧縮ユニット210iは、サンプリング窓の間に対応トランスジューサ素子110iから出力されるアナログ超音波信号を表す対応ADC120iのADC出力121iからの信号サンプルのシーケンスを受信し、ここで、サンプリング窓は、アナログ超音波信号が、対象物の対応深さ範囲から反射されるエコーを表すところの時間インターバルである。圧縮ユニット210iは、その入力における信号サンプルの特定のシーケンスに、同じサンプリング窓の間に他のトランスジューサ素子から出力されるアナログ超音波信号を表す信号サンプルとは独立して圧縮オペレーションを適用して、圧縮サンプルの対応シーケンスを圧縮器出力211iに発生する。或いは又、圧縮ユニット210iは、2つ以上のADCからのサンプルを圧縮してもよく、この場合、特定のADC120iからの信号サンプルは、同じサンプリング窓の間に他のトランスジューサ素子から出力されるアナログ超音波信号を表す信号サンプルとは独立して圧縮される。ここでの説明は、各ADC120iが実数値サンプルのシーケンスを発生することを仮定している。或いは又、ADC120iが直角位相サンプリングを遂行して、I及びQサンプルのシーケンスを各ADC出力121iに発生する場合には、I、Qサンプルの各シーケンスが独立して圧縮される。圧縮は、ビーム成形の前に、超音波信号サンプルに適用される。圧縮されたサンプルは、デジタルインターフェイス220を横切って超音波信号プロセッサ130へ転送され、そこで、超音波処理オペレーションのために解凍される。圧縮サンプルを転送するためにデジタルインターフェイス220に必要とされるデータ転送帯域巾は、非圧縮の超音波信号サンプルのストリームを転送するための帯域巾に比して減少される。」 合議体注:図5は次のものである。 [図:0001421102000002.jpg] 「【0032】 圧縮サンプルは、サンプル当たりのビットが元の超音波信号サンプルより少ないので、圧縮サンプルは、非圧縮サンプルより少数のデータポートを使用してデジタルインターフェイス220を横切って転送することができる。図8は、圧縮サンプルを、少数のデータポートを横切って転送するためにマルチプレクスすることを含む超音波システムのブロック図である。この例では、ADCバンク120は、N個のADC120i、ADC1からADCNを含み、N個のADC出力チャンネル120i、X1からXNに信号サンプルのストリームを発生する。圧縮ユニット210iは、N個の圧縮器出力211i、Y1からYNに圧縮サンプルの対応ストリームを発生する。圧縮サンプルは、減少ビットレートを有し、データポート270iに与えられる。好ましくは、データポート270iは、低電圧の差動シグナリング(LVDS)データ送信を与える。或いは又、データポート270iは、データ送信のためにシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)インターフェイスを使用することもできる。ナショナルセミコンダクタ社により2008年1月に出版された“LVDS Owner’s Manual Including High-Speed CML and Signal Conditioning”と題する文書、第4版には、LVDS装置及びアーキテクチャーが記述されている。LVDSデータ送信は、3.125Gbpsの最大データ転送レート、低ノイズ及び低電力消費を含む望ましい特性を有する。差動シグナリングは、正の差動出力について1つ及び負の差動出力について1つの、2つのI/Oピンをチャンネル出力当たりに要求し、これは、LVDS対と称される。データポート270iは、圧縮器出力Yiにおける圧縮サンプルのビットレートがポートの最大データ転送レートより低いときには、過剰な帯域巾を有する。この過剰な帯域巾は、所与のデータポート270iを経て転送するために圧縮サンプルの複数のストリームを合成することにより利用することができる。マルチプレクサ250は、M<Nとすれば、圧縮サンプルのN個のシーケンスを合成して、M個のデータポート270iを経て転送するためのマルチプレクスされた圧縮サンプルのM個のシーケンスを形成する。合成することのできる圧縮サンプルストリームの数は、データ転送ポート270iの帯域巾により制限される。例えば、N=16 ADCで、各ADCが、50メガサンプル/秒(Msps)のサンプルレートにおいてサンプル当たり12ビットで超音波信号サンプルを発生する場合に、各ADC出力チャンネル121iのビットレートは、600Mbpsとなる。データポート270iは、データ転送レートが800Mbpsまでであり、そして圧縮器210は、3:1の圧縮比を発生すると仮定する。圧縮器出力121iにおける圧縮サンプルシーケンスYiは、ビットレートが200Mbpsである。このケースでは、1つのデータポート270iは、4つの圧縮器出力から800Mbpsのデータ転送レートで圧縮サンプルを転送するのに充分な帯域巾を有する。この例では、マルチプレクサ250は、4つの圧縮シーケンスYi、Yi+1、Yi+2及びYi+3のグループからの圧縮サンプルを合成して、マルチプレクスされた圧縮サンプルZjの対応シーケンスを1つのマルチプレクサ出力251iに形成する。この例では、マルチプレクスされた圧縮サンプルのシーケンス及びそれに対応するアクティブなデータポートの数は、M=N/4=4である。シリアライザ260は、ビットのシーケンスを対応データポート270iに与える。」 合議体注:図8は次のものである。 [図:0001421102000003.jpg] 「【0033】 圧縮サンプルをマルチプレクスしてM個のデータポートを使用する効果は、より少数の物理的データポートを使用することを含み、これは、次いで、データポートの接続及び電力消費を減少する。圧縮サンプルのビットレートが固定である用途では、マルチプレクサ250は、固定数の物理的データポート270iに対して固定数のマルチプレクサ出力251iを有する。或いは又、融通性のあるアーキテクチャーは、圧縮サンプルのビットレートに基づいて可変数のアクティブなデータポートをサポートすることができる。融通性のあるアーキテクチャーでは、圧縮器210は、ユーザ選択可能な圧縮比パラメータに基づく種々のビットレートで圧縮サンプルを与える。圧縮コントローラ(図8には示されていない)は、オペレーションが希望の圧縮比に対応するビットレートで圧縮サンプルを発生するように、圧縮コントロールパラメータを圧縮ユニット210iに与える。圧縮コントローラは、マルチプレクサ出力251iに発生すべきマルチプレクスされた圧縮サンプルのシーケンスの数を指示するためにマルチプレクスコントロールパラメータをマルチプレクサ250に与える。又、圧縮コントローラは、ユーザ入力に応答して、インアクティブなデータポートを電源オフにし、電力を更に保存することができる。 【0034】 又、データポート270iが、信号サンプルを圧縮しなくても、サンプルレート及びビット/サンプルのある値に対して過剰な帯域巾をもつことも考えられる。データポート270iは、サンプルレートとビット/サンプルの数値との積が、データポート270iの最大データ転送レートより低いビットレートをADC出力121iに生じるときに、過剰帯域巾を有する。例えば、ADCのクロック周波数が、50Mspsに対応する50メガヘルツ(MHz)であり、そしてサンプル巾が12ビット/サンプルであって、各ADC120iが600メガビット/秒(Mbps)を発生すると仮定する。データ転送レートは、各データポート270iに対して600Mbpsとなる。800Mbpsの最大データ転送レートを有するLVDSポートでは、各ポートに対して200Mbpsの未使用帯域巾がある。データポート270iは、LVDSインターフェイスが一定電流(従って、一定電力)リンクであるから、600Mbpsでデータを転送するのに、800Mbpsの全容量でデータを転送する場合と同じ量の電力を消費する。ポートコンセントレーションは、複数のADC出力からのビットを合成しそしてその合成したデータを、より少数のポートを経てより速いレートで送信することにより、過剰なデータ転送容量を利用する。各データポートは、その合成データを、ADCビットレートより高く且つ各データポート270iレートの最大データ転送レートまでのレートで送信する。 【0035】 図9は、ADC出力121iにポートコンセントレーションを適用する超音波システムのブロック図である。N個のADC出力X1からXNにおける超音波信号サンプルのN個のシーケンスがマルチプレクサ252へ入力される。マルチプレクサ252は、M<Nとすれば、ADC出力のグループからのサンプルを合成して、マルチプレクスされた信号サンプルR1からRMのM個のチャンネルを形成する。各チャンネルRiは、そのビットレートが、ADC出力121iにおけるADCビットレートより高いが、データポート270iの最大データ転送レート(ビット/秒)以下である。マルチプレクサ250は、各サンプル周期に対するN個の信号サンプルのビットをM個のビットサブセットへとマップすることによりサンプルを合成する。シリアライザ262は、対応するデータポート270iにより転送するためのビットのサブセットの各々をシリアル化する。更に、ADCの数Nが16である前記例について考える。600MbpsのADCビットレートで16個のADC120iから出力される信号サンプルは、各々800Mbpsのビットレートの12ビットストリームへと合成することができる。12個のアクティブなデータポート270iは、12ビットストリームを各々800Mbpsのデータ転送レート(800Mbpsx12=600Mbpsx16)で転送する。サンプルレート、ビット/サンプルの数値、及び最大データ転送レートに基づいて、多数の構成が考えられる。」 合議体注:図9は次のものである。 [図:0001421102000004.jpg] イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1の記載事項(エ)には、発明を実施するための形態として、最初に「従来技術による典型的な医療用超音波システムの一例を示すブロック図」として、図1に示されるように、「超音波トランスジューサ110」、「送信/受信スイッチ112」、「アナログフロントエンド(AFE)114」、「ADCバンク120」、「超音波信号プロセッサ130」、「スキャンコンバータ140」、「画像プロセッサ150」等の構成を有する超音波システムが開示されている。そして、「図8は、圧縮サンプルを、少数のデータポートを横切って転送するためにマルチプレクスすることを含む超音波システムのブロック図である」、「図9は、ADC出力121iにポートコンセントレーションを適用する超音波システムのブロック図である。」との説明と共に、それぞれ、「ADCバンク120」以降の構成が描かれた図8及び図9が示されていることから、引用文献1における図8又は図9に係る実施形態の超音波システムは、図1に示される医療用超音波システムの一部を、それぞれ、図8又は図9に描かれた構成に置き換えたものと理解できる。 (ア)引用発明8 引用文献1の記載事項(エ)の段落【0024】、【0025】、【0029】、【0032】~【0034】、図1及び図8に基づけば、引用文献1には、図1に示される医療用超音波システムを図8に係る構成に改良した超音波システムとして、次の発明(以下「引用発明8」という。)が記載されているものと認められる。 「圧縮サンプルを、少数のデータポートを横切って転送するためにマルチプレクスすることを含む超音波システムであって、 超音波トランスジューサ110は、トランスジューサ素子110iのアレイを含み、複数のトランスジューサ素子110iがエコーを受信して、複数のアナログ超音波信号へと変換し、 送信/受信スイッチ112が、トランスジューサ110から受信した超音波信号を、サンプリング窓間に、アナログフロントエンド(AFE)114へ結合し、 ADCバンク120が、複数のアナログ超音波信号をサンプリング窓の間に受信し、各ADC入力チャンネル115iにおけるアナログ超音波信号を、並列の超音波信号サンプルの複数のシーケンスへ変換するための、N個のADC120iを含み、N個のADC出力チャンネル120iに信号サンプルのストリームを発生し、 圧縮器210が、圧縮ユニット210iを含み、N個の圧縮器出力211iに圧縮サンプルの対応ストリームを発生し、 マルチプレクサ250が、4つの圧縮シーケンスYi、Yi+1、Yi+2及びYi+3のグループからの圧縮サンプルを合成して、マルチプレクスされた圧縮サンプルZjの対応シーケンスを1つのマルチプレクサ出力251iに形成し、マルチプレクスされた圧縮サンプルのシーケンス及びそれに対応するアクティブなデータポートの数は、M=N/4=4であり、 シリアライザ260が、ビットのシーケンスを対応データポート270iに与え、各データポートは、その合成データを、ADCビットレートより高く且つ各データポート270iレートの最大データ転送レートまでのレートで送信し、 圧縮されたサンプルは、デジタルインターフェイス220を横切って超音波信号プロセッサ130へ転送され、そこで、超音波処理オペレーションのために解凍され、 スキャンコンバータ140が、処理されたサンプルのフレームの座標変換を遂行して、ラスタフォーマットを有する超音波画像サンプルのフレームを発生し、 ディスプレイ160が、ユーザにより分析するための2次元又は3次元画像を与える、 医療用超音波システム。」 (イ)引用発明9 引用文献1の記載事項(エ)の段落【0024】、【0025】、【0029】、【0035】、図1及び図9に基づけば、引用文献1には、図1に示される医療用超音波システムを図9に係る構成に改良した超音波システムとして、次の発明(以下「引用発明9」という。)が記載されているものと認められる。 「ADC出力121iにポートコンセントレーションを適用する超音波システムであって、 超音波トランスジューサ110は、トランスジューサ素子110iのアレイを含み、複数のトランスジューサ素子110iがエコーを受信して、複数のアナログ超音波信号へと変換し、 送信/受信スイッチ112が、トランスジューサ110から受信した超音波信号を、サンプリング窓間に、アナログフロントエンド(AFE)114へ結合し、 ADCバンク120が、複数のアナログ超音波信号をサンプリング窓の間に受信し、各ADC入力チャンネル115iにおけるアナログ超音波信号を、並列の超音波信号サンプルの複数のシーケンスへ変換するための複数のADCを備えており、 N個のADC出力における超音波信号サンプルのN個のシーケンスがマルチプレクサ252へ入力され、マルチプレクサ252は、ADC出力のグループからのサンプルを合成して、マルチプレクスされた信号サンプルのM個のチャンネルを形成するものであって、M<Nであり シリアライザ262が、対応するデータポート270iにより転送するためのビットのサブセットの各々をシリアル化し、 サンプルは、デジタルインターフェイス220を横切って超音波信号プロセッサ130へ転送され、そこで、超音波処理オペレーションのために解凍され、 スキャンコンバータ140が、処理されたサンプルのフレームの座標変換を遂行して、ラスタフォーマットを有する超音波画像サンプルのフレームを発生し、 ディスプレイ160が、ユーザにより分析するための2次元又は3次元画像を与える、 医療用超音波システム。」 5 引用発明9との対比・判断 (1)対比 本件補正発明と引用発明9とを対比する。 ア 超音波撮像コンポーネント 引用発明9の「超音波トランスジューサ110」は、「エコーを受信して、複数のアナログ超音波信号へと変換」するものである。そうすると、引用発明9の「超音波トランスジューサ110」は、本件補正発明の「超音波撮像コンポーネント」に相当し、「複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える」とする要件を満たしている。 イ アナログ/デジタルコンバータ 引用発明9の「ADCバンク120」は、「複数のアナログ超音波信号」を「超音波信号サンプルの複数のシーケンス」へ変換するための「複数のADC」を備えている。そうすると、引用発明9の「複数のADC」は、本件補正発明の「複数のアナログ/デジタルコンバータ」に相当し、「超音波撮像コンポーネントに結合」されるとともに、「アナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する」とする要件を満たしている。 ウ マルチプレクサ 引用発明9の「マルチプレクサ252」は、「N個のADC出力」をマルチプレクスすることにより「信号サンプルのM個のチャンネルを形成」するものであって、M<Nである。そうすると、引用発明9の「マルチプレクサ252」は、「N個のADC出力」を多重化することにより、多重化された「チャンネル」を形成しているといえる。 したがって、引用発明9の「マルチプレクサ252」は、本件補正発明の「マルチプレクサ」に相当し、「複数のアナログ/デジタルコンバータに結合」されるとともに、「チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化する」との要件を満たしている。 エ 通信インターフェース 引用発明9の「超音波信号プロセッサ130」は、そこで「超音波処理オペレーション」がなされるものであるから、本件補正発明の「ホストシステム」の一部を構成するものといえる。 また、引用発明9の「デジタルインターフェイス220」は、「サンプル」を「超音波信号プロセッサ130」へ転送するための「インターフェイス」であるから、本件補正発明の「通信インターフェース」に相当する。また、引用発明9が、「デジタルインターフェイス220」と「超音波信号プロセッサ130」との間に、合成されシリアル化された複数のサンプルを転送するための、複数のデータレーンを有していることは明らかである。そうすると、引用発明9の「デジタルインターフェイス220」は、「チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する」ように構成されているといえる。 オ 医療用超音波撮像システム 引用発明9の「医療用超音波システム」は、前記エに記載したとおり、「デジタルインターフェイス220」により、「チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する」ように構成されているといえるものである。また、引用発明9の「医療用超音波システム」は、「スキャンコンバータ140」が「超音波画像サンプルのフレーム」を発生し、「ディスプレイ160」が、「2次元又は3次元画像」を与えるように構成されている。そうすると、引用発明9の「医療用超音波システム」は、本件補正発明の「医療用超音波撮像システム」に相当する。また、引用発明9は、「ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンク」を備えるとする要件を満たしている。 カ 一致点及び相違点 以上より、本件補正発明と引用発明9とは、 「 ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンクを備える、医療用超音波撮像システムであって、 複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える超音波撮像コンポーネントと、 前記超音波撮像コンポーネントに結合され、前記複数のアナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する複数のアナログ/デジタルコンバータと、 前記複数のアナログ/デジタルコンバータに結合され、前記チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化するマルチプレクサと、 前記マルチプレクサ及び通信リンクに結合される通信インターフェースとを備え、 前記通信インターフェースは、前記チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する、 医療用超音波撮像システム。」 である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。 [相違点9-1] 本件補正発明の「医療用超音波撮像システム」は、「超音波撮像プローブ」を備え、超音波撮像プローブが、「超音波撮像コンポーネント」、「アナログ/デジタルコンバータ」、「マルチプレクサ」及び「通信インターフェース」を備えるとされているのに対し、引用発明9の「医療用超音波システム」は、「超音波撮像プローブ」を備えるとされていない点。 [相違点9-2] 本件補正発明の「マルチプレクサ」は、「1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する」とされているのに対し、引用発明9の「マルチプレクサ252」は、「M個のチャンネル」を形成するものであって、Mが1に限定されていない点。 (2)判断 ア [相違点9-1]について 引用文献1の記載事項(ア)には、背景技術として、「トランスジューサ素子の数を増加すると、トランスジューサヘッドからコンソールプロセッサへ通信されるデータの量が増加し、より広い帯域巾の通信チャンネル及びより大きなケーブル接続を要求する。」(段落【0004】)と記載されており、「トランスデューサヘッド」と「コンソールプロセッサ」との間に存在する「通信チャンネル」又は「ケーブル接続」において、通信されるデータ量の増加が発生していることが理解できる。また、引用文献1の記載事項(イ)には、発明が解決しようとする課題として、「超音波画像形成システムのコンポーネント間で超音波信号データを効率的にデータ転送及び記憶する必要がある。又、システムの複雑さへの影響を最少にしてデータ転送及び記憶容量を改善するために超音波信号データを計算上効率的にデータ圧縮する必要がある。」(段落【0017】)と記載されている。これらの記載に基づけば、引用発明9において、効率的な転送を求められているのは、「トランスデューサヘッド」と「コンソールプロセッサ」との間に存在する「通信チャンネル」又は「ケーブル接続」であるといえる。 そうすると、引用発明9において、「デジタルインターフェイス220」及びその上流側にある構成は、「トランスデューサヘッド」内に設けられるものであることは明らかである。 したがって、引用発明9における「超音波トランスジューサ110」、「ADC」、「マルチプレクサ252」及び「デジタルインターフェイス220」は、「トランスデューサヘッド」内に設けられるものであるから、上記[相違点9-1]は実質的な相違点ではない。 仮に、実質的な相違点であったとしても、引用文献1において背景技術として記載されているとおり、「トランスデューサヘッド」と「コンソールプロセッサ」との間に「通信チャンネル」又は「ケーブル接続」を有する医療用超音波システムは、引用発明9の前提とされているものである。引用発明9に、臨床医により対象者に置かれる「トランスデューサ」を採用し、本件補正発明の上記[相違点9-1]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。 イ [相違点9-2]について 引用文献1の記載事項(イ)には、発明が解決しようとする課題として、「超音波画像形成システムのコンポーネント間で超音波信号データを効率的にデータ転送及び記憶する必要がある。又、システムの複雑さへの影響を最少にしてデータ転送及び記憶容量を改善するために超音波信号データを計算上効率的にデータ圧縮する必要がある。」(段落【0017】)と記載されている。当該記載に基づけば、引用発明9は、超音波画像形成システムのコンポーネント間でのデータ転送を改善しようとするものである。そして、引用文献1の記載事項(ウ)には、課題を解決するための手段として、「本発明の別の態様は、データポートの過剰なデータ転送帯域巾を利用し、少数のデータポートを使用して、デジタルインターフェイスを経て解凍した超音波信号サンプルを転送する。複数のADCから出力される信号サンプルのビットレートがデータポートの最大データ転送帯域巾より充分小さいときには、解凍信号サンプルのシーケンスをマルチプレクスして、少数のデータポートを使用して転送できる少数のシーケンスを形成することができる。」(段落【0022】)との記載に基づけば、シーケンスをマルチプレクスして、少数のデータポートを使用して転送することを課題解決手段としている。これらの記載に基づけば、引用発明9は、マルチプレクスすることにより、出力されるチャネルの数を、ビットレートや転送帯域幅により許容される範囲において、なるべく少ないものとすることを示唆しているといえる。 そして、引用文献1の記載事項(エ)には、「サンプルレート、ビット/サンプルの数値、及び最大データ転送レートに基づいて、多数の構成が考えられる。」(段落【0035】)との記載がある。また、引用文献1の段落【0032】には、「マルチプレクサ250は、4つの圧縮シーケンスYi、Yi+1、Yi+2及びYi+3のグループからの圧縮サンプルを合成して、マルチプレクスされた圧縮サンプルZjの対応シーケンスを1つのマルチプレクサ出力251iに形成する。」という実施態様、つまり、マルチプレクサにより1つの出力を形成する態様も記載されている。したがって、引用発明9においてこのような態様を採用することは、当業者が適宜なし得ることである。 (3)小括 以上のとおり、上記相違点は、実質的な相違点ではないか、当業者が容易になし得ることであるから、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。 6 引用発明8との対比・判断 (1)対比 本件補正発明と引用発明8とを対比する。 ア 超音波撮像コンポーネント 引用発明8の「超音波トランスジューサ110」は、「エコーを受信して、複数のアナログ超音波信号へと変換」するものである。そうすると、引用発明8の「超音波トランスジューサ110」は、本件補正発明の「超音波撮像コンポーネント」に相当し、「複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える」とする要件を満たしている。 イ アナログ/デジタルコンバータ 引用発明8の「ADCバンク120」は、「複数のアナログ超音波信号」を「超音波信号サンプルの複数のシーケンス」へ変換するための「N個のADCi」を備えている。そうすると、引用発明8の「N個のADCi」は、本件補正発明の「複数のアナログ/デジタルコンバータ」に相当し、「超音波撮像コンポーネントに結合」されるとともに、「アナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する」とする要件を満たしている。 ウ マルチプレクサ 引用発明8の「マルチプレクサ250」は、「4つの圧縮シーケンスYi、Yi+1、Yi+2及びYi+3のグループからの圧縮サンプルを合成して、マルチプレクスされた圧縮サンプルZjの対応シーケンスを1つのマルチプレクサ出力251iに形成」するものである。そうすると、引用発明8の「マルチプレクサ250」は、多重化された「チャネル」を形成しているといえる。 したがって、引用発明8の「マルチプレクサ250」は、本件補正発明の「マルチプレクサ」に相当し、「複数のアナログ/デジタルコンバータに結合」されるとともに、「チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化する」との要件、及び、「各マルチプレクサは、1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する」との要件を満たしている。 エ 通信インターフェース 引用発明8の「超音波信号プロセッサ130」は、そこで「超音波処理オペレーション」がなされるものであるから、本件補正発明の「ホストシステム」の一部を構成するものといえる。 また、引用発明8の「デジタルインターフェイス220」は、「サンプル」を「超音波信号プロセッサ130」へ転送するための「インターフェイス」であるから、本件補正発明の「通信インターフェース」に相当する。また、引用発明8が、「デジタルインターフェイス220」と「超音波信号プロセッサ130」との間に、合成されシリアル化された複数のサンプルを転送するための、複数のデータレーンを有していることは明らかである。そうすると、引用発明8の「デジタルインターフェイス220」は、「チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する」ように構成されているといえる。 オ 医療用超音波撮像システム 引用発明8の「医療用超音波システム」は、前記エに記載したとおり、「デジタルインターフェイス220」により、「チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する」ように構成されているといえるものである。また、引用発明8の「医療用超音波システム」は、「スキャンコンバータ140」が「超音波画像サンプルのフレーム」を発生し、「ディスプレイ160」が、ユ「2次元又は3次元画像」を与えるように構成されている。そうすると、引用発明8の「医療用超音波システム」は、本件補正発明の「医療用超音波撮像システム」に相当する。また、引用発明8は、「ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンク」を備えるとする要件を満たしている。 カ 一致点及び相違点 以上より、本件補正発明と引用発明8とは、 「 ホストシステムと通信している少なくとも1つのデータレーンを含む通信リンクを備える、医療用超音波撮像システムであって、 複数のアナログ超音波エコーチャネル信号を与える超音波撮像コンポーネントと、 前記超音波撮像コンポーネントに結合され、前記複数のアナログ超音波エコーチャネル信号に基づいて、チャネル化された超音波エコーデータストリームを生成する複数のアナログ/デジタルコンバータと、 前記複数のアナログ/デジタルコンバータに結合され、前記チャネル化された超音波エコーデータストリームを、チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームに多重化するマルチプレクサであって、各マルチプレクサは、1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する、マルチプレクサと、 前記マルチプレクサ及び通信リンクに結合される通信インターフェースとを備え、 前記通信インターフェースは、前記チャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを含むデジタル信号を少なくとも1つのデータレーンを介して前記ホストシステムに送信する、 医療用超音波撮像システム。」 である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。 [相違点8] 本件補正発明の「医療用超音波撮像システム」は、「超音波撮像プローブ」を備え、超音波撮像プローブが、「超音波撮像コンポーネント」、「アナログ/デジタルコンバータ」、「マルチプレクサ」及び「通信インターフェース」を備えるとされているのに対し、引用発明8の「医療用超音波システム」は、「超音波撮像プローブ」を備えるとされていない点。 (2)判断 [相違点8]は、前記5(1)カに記載した[相違点9-1]と実質的に同じ相違点である。そして、前記5(2)アにおいて検討したとおり、[相違点8]も、実質的な相違点ではない。仮に実質的な相違点であったとしても、引用文献1の記載に基づいて、当業者が容易になし得ることである。 (3)小括 以上のとおり、上記相違点は、実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であったとしても当業者が容易になし得ることであるから、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができない。 7 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件発明 1 本件発明 本件補正は、前記第2にとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年5月19日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、あるいは、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献1:特表2012-528685号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の4に記載したとおりである。 4 対比・判断 本件発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「マルチプレクサ」について、「1つのチャネル化され多重化された超音波エコーデータストリームを生成する」との限定事項を削除したものである。 本件発明と引用発明9とを対比すると、前記第2の5(1)カに記載した、[相違点9-1]でのみ相違し、その余の点で一致することとなる。そして、前記第2の5(2)アにおいて検討したとおり、[相違点9-1]は、実質的な相違点ではない。仮に実質的な相違点であったとしても、引用文献1の記載に基づいて、当業者が容易になし得ることである。 したがって、本件発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-022250

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