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特許異議申立

2021-701181

苦味抑制用組成物

審判番号
2021-701181
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-058178
登録番号
6902372
請求日
2021年12月14日
審決日
2023年02月02日
公報発行日
2023年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ヱスビー食品株式会社
  • 【権利者代理人】山口 健次郎
  • 【権利者代理人】長山 弘典
  • 【権利者代理人】尾崎 祐朗
  • 【権利者代理人】森田 憲一
  • 【異議申立人】野々山 彩
  • 【異議申立人】日本香料工業会
  • 【異議申立人】石川 郁子
  • 【異議申立人】根本 学
  • 【異議申立人】木村 義孝
審判長/審判官
  • 審判長 平塚 政宏
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 植前 充司
分類
P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第2条第3項第1号、特許法第2条第3項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6902372号発明「苦味抑制用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6902372号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、9について訂正することを認める。 特許第6902372号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6902372号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年3月23日(優先権主張 平成29年2月28日)を出願日とする特許出願であって、令和3年6月23日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年7月14日に特許掲載公報が発行された。 その後、その特許に対し、令和3年12月14日に特許異議申立人 野々山 彩(以下、「特許異議申立人A」という。)より特許異議の申立て(対象となる請求項:請求項1ないし9)がされ、同年12月23日に特許異議申立人 日本香料工業会(以下、「特許異議申立人B」という。)より特許異議の申立て(対象となる請求項:請求項1ないし6、8及び9)がされ、令和4年1月13日に特許異議申立人 石川 郁子(以下、「特許異議申立人C」という。)、特許異議申立人 根本 学(以下、「特許異議申立人D」という。)及び特許異議申立人 木村 義孝(以下、「特許異議申立人E」という。)よりそれぞれ特許異議の申立て(対象となる請求項:いずれの特許異議の申立ても請求項1ないし9)がされ、同年6月30日付けで取消理由が通知され、同年9月2日に特許権者 ヱスビー株式会社(以下、「特許権者」という。)より訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書の提出がされ、同年同月15日に特許権者より訂正請求書に対する手続補正書が提出され、同年10月7日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を特許異議申立人AないしEに対して行ったところ、特許異議申立人AないしEのいずれからも、何ら応答がなかったものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。) (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「食品組成物」と記載されているのを、「食品組成物(魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし6も同様に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「ゼリー、アイスクリーム、コーヒー飲料」と記載されているのを、「ゼリー、コーヒー飲料」に訂正する。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3ないし6も同様に訂正する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9に、「飲料組成物」と記載されているのを、「飲料組成物(タラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)」に訂正する。 (4) 一群の請求項について 訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6はそれぞれ請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであるから、請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、「食品組成物」のうち、「魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正が願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし6についても同様である。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2に係る請求項2の訂正は、食品組成物の具体的な列記のうちから「アイスクリーム」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正が願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3ないし6についても同様である。 (3) 訂正事項3について 訂正事項3に係る請求項9の訂正は、「飲料組成物」のうち、「タラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、当該訂正が願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。 3 訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、9について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、9について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」という。また、総称して「本件特許発明」という。)は、令和4年9月2日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物又は抽出物を含む食品組成物(魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)。 【請求項2】 乳製品、大豆食品、プリン、ゼリー、コーヒー飲料、果汁飲料、緑茶飲料、煎茶、紅茶、ウーロン茶、ココア飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、流動食、スポーツ飲料、レトルト食品、即席ルウ、調味料、シーズニング、カレーパウダー、スープ、健康食品、又は健康飲料である、請求項1に記載の食品組成物。 【請求項3】 前記タラゴンの粉砕物又は抽出物が、タラゴン粉末であり、そして前記タラゴン粉末の平均最大長が、前記食品組成物におけるタラゴン粉末以外の粉末成分の平均最大長より小さい、請求項1又は2に記載の食品組成物。 【請求項4】 前記タラゴンが、フレンチタラゴンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項5】 前記粉砕物又は抽出物が、葉の粉砕物又は抽出物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項6】 前記タラゴン粉砕物が、その90重量%以上が最大長5mm以下の粉末である、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項7】 タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む、苦味抑制用組成物の製造方法。 【請求項8】 タラゴンの粉末とタラゴン以外の食品原料の粉末とを加圧しながら混合する工程を含む、粉末食品組成物の製造方法であって、粉末食品組成物に対するタラゴンの粉末の含有量が0.001ppb~1000ppmである、製造方法。 【請求項9】 0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物又は抽出物を含む、緑茶飲料、煎茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー飲料、ココア飲料、ビール、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、焼酎、及びスポーツ飲料から選択される飲料組成物(タラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人AないしEがそれぞれ提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書A」ないし「特許異議申立書E」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 特許異議申立書Aに記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人Aが提出した特許異議申立書Aに記載した申立ての理由の概要は、次の(1)ないし(6)のとおりである。 (1) 申立理由A1-新(甲A1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、2、4及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲A1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 申立理由A1-進(甲A1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲A1号証に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由A2-新(甲A2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、5及び7に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲A2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由A2-進(甲A2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、3及び5ないし8に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲A2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由Aサ(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由Aサの具体的な理由はおおむね次のとおりである。 本件特許発明1では、タラゴンの濃度について、「0.001ppb~1000ppm」が規定されている。しかしながら、本件特許の明細書の段落【0063】以降の実施例には、0.8ppb~80ppmについての苦味抑制効果の評価しか記載されていない。なお、実施例1では、タラゴンの濃度は80ppmのみ、実施例2のタラゴンの濃度は、本件特許の明細書の段落【0068】の「乾燥したタラゴンの葉0.3g及びウコン粉末30gを自動乳鉢に投入した(タラゴンは、対ウコン重量1%相当)。自動乳鉢のスイッチを入れ、15分間、最大長が約200μmとなるまで粉砕及び混合した。」という記載、及び、本件特許の明細書の段落【0069】の「本実施例では、タラゴン粉末を含む本発明の苦味抑制用組成物が、ウコン粉末の風味に与える苦味抑制効果を評価した。製造例2で調整したタラゴン粉末とウコン粉末との混合物を粉末のまま又はお湯溶き(ウコン1gを、熱湯30mLで煮出したもの)の状態で、パネラー10人により苦味抑制効果を評価した。」という記載から、約13ppmのみしか評価されていない。すなわち、本件特許の明細書の実施例では、タラゴンの濃度について、0.001ppb以上0.8ppb未満の範囲、80ppm以上1000ppm以下の範囲についての評価は一切開示も示唆もされていない。 また、タラゴンの濃度について、0.001ppb以上0.8ppb未満の範囲、80ppm以上1000ppm以下の範囲について、苦味抑制効果という課題(段落【0006】参照)が解決できるとは、実施例等の記載からは認識できない。 したがって、本件特許発明1では、タラゴンの濃度について、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を超えた内容を規定しており、サポート要件を満たさない。 本件特許発明1に従属する本件特許発明2ないし6も同様である。また、本件特許発明1と同様の構成を備える本件特許発明7ないし9も同様である。特に、本件特許発明7では、タラゴンの濃度が規定されていないが、対応する実施例が1つしかなく、本件特許発明7ほど拡張又は一般化することはできない。 (6) 申立理由A実(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由A実の具体的な理由はおおむね次のとおりである。 本件特許発明1では、タラゴンの濃度について、「0.001ppb~1000ppm」が規定されている。しかしながら、本件特許の明細書の段落【0063】以降の実施例には、0.8ppb~80ppmについての苦味抑制効果の評価しか記載されていない。なお、実施例1では、タラゴンの濃度は80ppmのみ、実施例2のタラゴンの濃度は、本件特許の明細書の段落【0068】の「乾燥したタラゴンの葉0.3g及びウコン粉末30gを自動乳鉢に投入した(タラゴンは、対ウコン重量1%相当)。自動乳鉢のスイッチを入れ、15分間、最大長が約200μmとなるまで粉砕及び混合した。」という記載、及び、本件特許の明細書の段落【0069】の「本実施例では、タラゴン粉末を含む本発明の苦味抑制用組成物が、ウコン粉末の風味に与える苦味抑制効果を評価した。製造例2で調整したタラゴン粉末とウコン粉末との混合物を粉末のまま又はお湯溶き(ウコン1gを、熱湯30mLで煮出したもの)の状態で、パネラー10人により苦味抑制効果を評価した。」という記載から、約13ppmのみしか評価されていない。すなわち、本件特許の明細書の実施例では、タラゴンの濃度について、0.001ppb以上0.8ppb未満の範囲、80ppm以上1000ppm以下の範囲についての評価は一切開示も示唆もされていない。 また、タラゴンの濃度について、0.001ppb以上0.8ppb未満の範囲、80ppm以上1000ppm以下の範囲について、苦味抑制効果という課題(段落【0006】参照)が解決できるとは、実施例等の記載からは認識できない。 したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、実施可能要件を満たさない。 本件特許発明1に従属する本件特許発明2ないし6も同様である。また、本件特許発明1と同様の構成を備える本件特許発明7ないし9も同様である。 (7) 証拠方法 ・甲A1号証:特開2016-54678号公報 ・甲A2号証:「シーフードグラタン」、投稿者 ivanka、クックパッド株式会社、公開日:2016年1月6日、更新日:2016年1月6日、https://cookpad.com/recipe/3592931 なお、証拠の表記については、おおむね特許異議申立書Aにおける記載にしたがった。 2 特許異議申立書Bに記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人Bが提出した特許異議申立書Bに記載した申立ての理由の概要は、次の(1)ないし(11)のとおりである。 (1) 申立理由B1-新(甲B1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 申立理由B1-進(甲B1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由B2-新(甲B2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由B2-進(甲B2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由B3-新(甲B3号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由B3-進(甲B3号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7) 申立理由B4-新(甲B4号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8) 申立理由B4-進(甲B4号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9) 申立理由B5-新(甲B5号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (10) 申立理由B5-進(甲B5号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、4及び5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲B5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (11) 申立理由Bサ(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし6、8及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由Bサの具体的な理由はおおむね次のとおりである。 本件特許発明の課題は、「タラゴンの粉砕物又は抽出物を飲食品の苦味抑制目的で使用すること」である。そして発明の詳細な説明の製造例1にはタラゴン抽出物として、以下の例が記載されている。 ≪製造例1:タラゴン抽出物調製≫ 図1に記載の水蒸気蒸留水捕集システムを用いてタラゴンの水蒸気蒸留抽出物を調製した。乾燥したタラゴンの葉6g、90℃の熱水、及び沸騰石を共に丸底フラスコに投入した。丸底フラスコを加熱した。水蒸気の初留がナス型フラスコに落ちた時点から、蒸留水を10分間捕集した。リービッヒ管(冷却部分)に付着している蒸留物を洗浄し、その洗浄水をナス型フラスコで受けた。水で30gに合わせたものをタラゴンの水蒸気蒸留抽出物として使用した。 本件特許の明細書の実施例1及び3~5では、前記抽出物をコーヒー、緑茶、グレープフルーツ、赤ワイン及びお湯溶きウコンに0.8ppb~0.08重量%(800ppmと同等)添加し、苦味抑制効果を確認している。また、その苦味抑制効果が加熱による変化、及び、経時変化により低下しないことを確認している。 また、本件特許の明細書の製造例2にはタラゴンの粉砕物として、以下の例が記載されている。 ≪製造例2:タラゴン粉末とウコン粉末との混合物の調製≫ 乾燥したタラゴンの葉0.3g及びウコン粉末30gを自動乳鉢に投入した(タラゴンは、対ウコン重量1%相当)。自動乳鉢のスイッチを入れ、15分間、最大長が約200μmとなるまで粉砕及び混合した。 本件特許の明細書の実施例2では、前記粉砕及び混合物を粉末のまま及びお湯溶き(ウコン1gを、熱湯30mLで煮出したもの)の苦味を評価し、苦味抑制効果を確認している。 一方、本件特許発明1~6及び9は苦味抑制効果を発明の構成に含まない「食品組成物」である。また、本件特許発明8は苦味抑制効果を発明の構成に含まない「粉末食品組成物の製造方法」である。 しかしながら、タラゴン抽出物は甲B5号証及び甲B6号証に示す通り、精油(水蒸気蒸留法)、エキストラクト、オレオレジン(抽出物)などが知られている。そしてタラゴンの粉砕物及び抽出物は、香料として本件特許発明1、8及び9に記載の濃度範囲(0.001ppb~1000ppm)で飲食品に添加・配合できることが知られていたのであるから、本件特許発明1~6、8及び9は、本件特許発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものといえる。 以上より、本件特許発明1~6、8及び9は、サポート要件を満たさない。 (12) 証拠方法 ・甲B1号証:GEORGE A. BURDOCK、「FENAROLI'S HANDBOOK OF Flavor Ingredients FIFTH EDITION」、CRC PRESS、pp.1757-1759、2005年発行 ・甲B2号証:food technology III GRAS Substance、1965年発行 ・甲B3号証:特開昭54-35251号公報 ・甲B4号証:特開平3-210149号公報 ・甲B5号証:特表2008-523809号公報 ・甲B6号証:周知・慣用技術集(香料)第II部 食品香料(平成12(2000).1.14発行)、p.554-556 ・甲B7号証:簡単!栄養andカロリー計算、「サラダ菜のカロリー」、https://www.eiyoukeisan.com/calorie/gramphoto/yasai/saradana.html なお、証拠の表記については、おおむね特許異議申立書Bにおける記載にしたがった。 3 特許異議申立書Cに記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人Cが提出した特許異議申立書Cに記載した申立ての理由の概要は、次の(1)ないし(7)のとおりである。 (1) 申立理由C明(明確性要件) 本件特許の請求項1、2、4、5、7及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由C明の具体的な理由は、おおむね次のとおりである。 ア 申立理由C明-1:「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの抽出物を含む」との特定事項について 本件特許発明1、2、4、5及び9において、食品組成物(又は飲料組成物)に含有するタラゴンの抽出物に関し「0.001ppb~1000ppmのタラゴン」との規定を有する。この規定は、飲食物又は医薬が有する苦味を抑制する効果を有するか否かを判断する基準にもなるものであるから、その定義が曖昧であると第三者に不測の不利益を及ぼすことは明らかである。 一方、本件特許の明細書の段落【0064】には、製造例1としてタラゴン抽出物調製方法が記載されている。具体的には、「図1に記載の水蒸気蒸留水捕集システムを用いてタラゴンの水蒸気蒸留抽出物を調製した。乾燥したタラゴンの葉6g、90℃の熱水、及び沸騰石を共に丸底フラスコに投入した。丸底フラスコを加熱した。水蒸気の初留がナス型フラスコに落ちた時点から、蒸留水を10分間捕集した。リービッヒ管(冷却部分)に付着している蒸留物を洗浄し、その洗浄水をナス型フラスコで受けた。水で30gに合わせたものをタラゴンの水蒸気蒸留抽出物として使用した。」と記載されている。 また、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】には、前記製造例1で得られたタラゴン抽出物を各種飲料に0.08重量%、つまり800ppm添加し、本件特許の明細書の段落【0072】~【0082】には、0.8ppb~80ppm添加し、本件特許発明の効果である苦味抑制効果を検討している。 しかしながら、本件特許の明細書の段落【0064】記載のタラゴン抽出物は、調製方法の一例に過ぎず、丸底フラスコに投入する乾燥したタラゴンの葉量及び熱水量、加熱の程度、捕集時間、さらに捕集後の水希釈等、さまざま要因によって、抽出物におけるタラゴンの実質的な有効濃度が変動するものである。そして、本件特許の明細書の段落【0064】には、前記抽出物のタラゴンの実質的な有効濃度も何ら示されていない。例えば、本件特許の明細書の段落【0064】記載のタラゴン抽出物は、水で30gに合わせたものを使用しているが、仮に水で60gに合わせた場合、タラゴンの実質的な有効濃度は、半分となる。 そうすると、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】及び【0072】~【0082】では、前記製造例1で得られたタラゴン抽出物を各種飲料に0.8ppb~800ppm添加し、苦味抑制効果を検討しているものの、前記添加量は抽出物におけるタラゴンの実質的な有効濃度を示すものでなく、単に一調製方法で得られたタラゴン抽出物の添加量を示したに過ぎない。 してみると、本件特許発明1、2、4、5及び9規定の「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの抽出物を含む」とは、本件特許発明の効果である苦味抑制効果との関係において、前記数値範囲がどのような技術的意義を示すのか不明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼす事項と言わざるを得ない。 よって、本件特許発明1,2,4、5及び9に係る特許はいずれも明確性要件違反の取消理由が存在する。 イ 申立理由C明-2:本件特許発明7の苦味抑制用組成物について 本件特許の明細書の段落【0033】には、本件特許発明7に係る苦味抑制用組成物に関し、「本発明の苦味抑制用組成物は、タラゴン粉砕物又はタラゴン抽出物から成るものでもよく、また、タラゴン粉砕物又はタラゴン抽出物を含むものでもよい。本発明の苦味抑制用組成物が、タラゴン粉砕物又はタラゴン抽出物を含むものである場合、他の添加剤を含むことができる。他の添加剤としては、賦形剤、結合剤、・・・無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどであることができる。」と記載し、タラゴン粉砕物又はタラゴン抽出物から成るものと、タラゴン粉砕物又はタラゴン抽出物を含むものとを文理上区別している。 また、本件特許の明細書の段落【0038】には、「本明細書において、食品組成物とは、本発明の苦味抑制用組成物を含む食品又は飲料を意味する。」と記載している。 一方、本件特許の明細書の段落【0068】の≪製造例2:タラゴン粉末とウコン粉末との混合物の調製≫には、「乾燥したタラゴンの葉0.3g及びウコン粉末30gを自動乳鉢に投入した(タラゴンは、対ウコン重量1%相当)。自動乳鉢のスイッチを入れ、15分間、最大長が約200μmとなるまで粉砕及び混合した。」、段落【0069】の≪実施例2≫には、「本実施例では、タラゴン粉末を含む本発明の苦味抑制用組成物が、ウコン粉末の風味に与える苦味抑制効果を評価した。」記載されている。 してみると、段落【0033】記載の苦味抑制用組成物に係る「含む」の記載、段落【0038】記載の食品組成物に係る「含む」の記載を考慮した場合、段落【0069】記載の苦味抑制用組成物がウコン粉末を含んだものか否か不明確であり、本件特許発明7に係る苦味抑制用組成物の文言自体不明確であり、第三者に不測の不利益を及ぼす事項と言わざるを得ない。 よって、本件特許発明7に係る特許は明確性要件違反の取消理由が存在する。 (2) 申立理由C実(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし6及び9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由C実の具体的な理由は、おおむね次のとおりである。 上記(1)アにおいて述べたとおり、本件特許発明1、2、4、5及び9規定の「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの抽出物」の数値において、本件特許発明の効果との関係で技術的意義が不明確である。 そうすると、第三者において過度の試行錯誤を要することなく本件特許発明1、2、4、5及び9で規定する前記特定範囲のタラゴン抽出物を添加することは、不可能と言わざるを得ず、本件特許の明細書の記載は、当業者が本件特許発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものとは到底認められない。 以上より、当業者が過度な試行錯誤を要することなく本件特許発明1、2、4、5及び9を実施することはできないのであるから、本件特許発明1、2、4、5及び9に係る特許には、いずれも実施可能要件違反の取消理由が存在する。 (3) 申立理由Cサ(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由Cサの具体的な理由は、おおむね次のとおりである。 ア 申立理由Cサ-1:「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの抽出物を含む」との特定事項について タラゴンの抽出物に関し、上記(1)アにおいて述べたとおり、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】及び【0072】~【0082】記載の実施例1及び3~5が開示されているが、以下のとおり、何れの実施例も本件特許発明1、2、4、5及び9のサポートとはなり得ない。 まずタラゴンの抽出物に関し、上記(1)アにおいて述べたとおり、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】及び【0072】~【0082】記載の実施例1及び3~5に係る食品組成物(又は飲料組成物)は、単に一調製方法で得られたタラゴン抽出物、具体的には、本件特許の明細書の段落【0064】記載の製造例1で得られたタラゴン抽出物をある特定範囲で添加したに過ぎず、前記抽出物におけるタラゴンの実質的な有効濃度は、乾燥したタラゴンの葉量及び熱水量、加熱の程度、捕集時間、さらに捕集後の水希釈等、さまざまな要因によって変動するものであり、前記抽出物のタラゴンの実質的な有効濃度も何ら示されていない。 してみると、本件特許発明1ないし6、及び本件特許発明9規定の「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの抽出物を含む」とは、本件特許発明の効果である苦味抑制効果との関係において、前記数値範囲がどのような技術的意義を示すのか不明確であり、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】及び【0072】~【0082】記載の実施例1及び3~5に係る食品組成物(又は飲料組成物)には、一調製方法で得られたタラゴン抽出物をある特定範囲で添加したことは記載されているものの、前記要件を充足するか否かについて判断することは不可能というほかない。 したがって、本件特許の明細書の実施例に記載の各サンプルが、本件特許発明の実施品であるといえる根拠は存在しないのであるから、本件特許明細書の実施例は、いずれも本件特許発明1、2、4、5及び9のサポートとはなり得ない。 さらに、仮に、本件特許の明細書の段落【0065】~【0067】及び【0072】~【0082】記載の実施例1及び3~5が本件特許発明のタラゴンの抽出物の作用効果のサポートとはなり得たとしても、その実証している下限値は0.8ppbである。 一方、本件特許発明の構成要件に係るタラゴン抽出物の下限値は、0.001ppbであり、前記実証している下限値よりもはるかに下回った数値である。また、前記実証している下限値をもって、出願当時の技術常識により当業者が当然に導き出せるものとは、考え難い。 したがって、本件特許の明細書の実施例は、いずれも本件特許発明1、2、4、5及び9に係るタラゴン抽出物の下限値のサポートとはなり得ない。 イ 申立理由Cサ-2:本件特許発明1ないし6に係る各食品組成物の技術的範囲に含まれる粉末食品組成物、及び本件特許発明8に係る粉末食品組成物の製造方法について 本件特許発明1ないし6に係る各食品組成物の技術的範囲に含まれる粉末食品組成物、及び本件特許発明8に係る粉末食品組成物の製造方法に関し、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】~【0071】記載の実施例2において立証しているのは、ウコン粉末に対しタラゴン粉砕物1%相当量、つまり10000ppmのみである。 そうすると、本件特許発明1ないし6に係る各食品組成物の技術的範囲に含まれる粉末食品組成物、並びに本件特許発明8に係る粉末食品組成物の製造方法は、0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物を含むものであるところ、前記立証しているタラゴンの粉砕物の添加量は、本件特許発明1ないし6に係る各食品組成物の技術的範囲に含まれる粉末食品組成物、並びに本件特許発明8に係る粉末食品組成物の製造方法のタラゴン粉砕物の上限値の10倍量である。 また、前記立証しているタラゴンの粉砕物の添加量は、前記立証している範囲より明らかに少ない添加量で当業者が本件特許発明の課題である粉末食品組成物が有する苦味を解決できると認識できる範囲のもの、あるいはその記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件特許発明の前記課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは到底言えるものではない。 さらに、前記立証している粉末食品組成物及びその製造方法は、ウコン粉末食品のみであり、ウコン粉末食品以外の粉末食品全般に拡大できるとは、出願時の技術常識に照らし当業者が認識できる範囲を超えるものと言わざるを得ない。 したがって、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】~【0071】記載の実施例2は、本件特許発明1ないし6に係る各食品組成物の技術的範囲に含まれる粉末食品組成物、及び本件特許発明8に係る粉末食品組成物の製造方法のサポートとはなり得ない。 ウ 申立理由Cサ-3:本件特許発明9における「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物を含む」との特定事項について 本件特許発明9に係る0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物を含む飲料組成物に関し、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】~【0071】記載の実施例2において立証しているのは、ウコン重量1%相当のタラゴン粉末を含んだウコン粉末食品を用い、ウコン1gを熱湯で30mLで煮出したお湯溶きしたものであり、タラゴンの粉砕物を約333ppm(=((0.3g/30g)/30mL))×106ppm)含むウコン飲料組成物である。 そうすると、前記立証しているタラゴンの粉砕物を約333ppm含んだウコン飲料組成物のみをもって、本件特許発明9に係る飲料組成物において、タラゴンの粉砕物の含有量を0.001ppb~1000ppmの範囲に拡大すること、さらに飲料組成物をウコン飲料組成物以外を含む飲料組成物全般に拡大することは、当業者が出願時の技術常識に照らし本件特許発明の飲食品の有する苦味を解決できると認識できる範囲のものであるとは到底言えるものではない。 したがって、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】~【0071】記載の実施例2は、本件特許発明9に係るタラゴンの粉砕物を含有した飲料組成物のサポートとはなり得ない。 エ 申立理由Cサ-4:本件特許発明3における「前記タラゴン粉末の平均最大長が、前記食品組成物におけるタラゴン粉末以外の粉末成分の平均最大量より小さい」との特定事項について 本件特許発明3に係る食品組成物は、タラゴン粉末の平均最大長が、タラゴン粉末以外の粉末性成分の平均最大長より小さい旨規定している。 一方、本件特許の明細書の段落【0061】には、「苦味抑制効果が向上することから、タラゴン粉末の平均最大長が、食品又は医薬原料の粉末成分の平均最大長より小さくなるように製造することが好ましい。」と記載している。 しかしながら、本件特許の明細書の段落【0068】記載のタラゴン粉末とウコン粉末の混合物の調製(製造例2)では、乾燥したタラゴンの葉及びウコン粉末を自動乳鉢で、最大長が約200μmとなるまで粉砕及び混合した旨記載しているものの、両粉末の最大長の差については、明らかでない。 また、出願当時、乾燥したタラゴンの葉及びウコン粉末を自動乳鉢で粉砕及び混合した場合、得られた粉末食品組成物において、ウコン粉末と比較しタラゴン粉末の最大長が小さくなるとの技術常識も存在しない。 したがって、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2は、本件特許発明3に係る食品組成物のサポートとはなり得ない。 オ 申立理由Cサ-5:本件特許発明4における「フレンチタラゴン」との特定について 本件特許発明4に係る食品組成物は、タラゴンがフレンチタラゴンである旨規定している。 一方、本件特許の明細書の段落【0010】~【0013】において、「タラゴンには、フレンチタラゴン及びロシアンタラゴンが含まれる。」、「フレンチタラゴンの方が、ロシアンタラゴンよりも強い香り及び風味を有している。」、及び「本発明の苦味抑制用組成物は、いずれのタラゴンの粉砕物又は抽出物を使用してもよいが、フレンチタラゴンの粉砕物又は抽出物を使用することが好ましい。」と記載している。 しかしながら、本件特許の明細書の段落【0064】記載のタラゴン抽出物調製(製造例1)、及び段落【0068】記載のタラゴン粉末とウコン粉末の混合物の調製(製造例2)で使用しているタラゴンは、単に「乾燥したタラゴンの葉」と記載されているのみで、フレンチタラゴンか、あるいはロシアンタラゴンかは明らかとしていない。 したがって、本件特許の明細書の段落【0064】記載の製造例1、及び段落【0068】記載の製造例2は、本件特許発明4に係るフレンチタラゴンを含む食品組成物のサポートとはなり得ない。 カ 申立理由Cサ-6:本件特許発明7について 本件特許発明7に係る苦味抑制用組成物の製造方法は、タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含むことを特徴とするものである。 一方、本件特許の明細書の段落【0068】には、乾燥したタラゴンの葉及びウコン粉末を自動乳鉢で粉砕及び混合したタラゴン粉末とウコン粉末との混合物の調製方法(製造例2)が記載され、本件特許の明細書の段落【0069】の実施例2には、「本実施例では、タラゴン粉末を含む本発明の苦味抑制用組成物が、ウコン粉末の風味に与える苦味抑制効果を評価した。」と記載している。 しかしながら、前記苦味抑制効果を評価した組成物は、苦味対象物であるウコン粉末を含有したものであるので、本件特許発明に係る食品組成物であって、苦味抑制用組成物は、加圧しながら粉砕したタラゴン粉末そのものの部分のみである。 してみると、本件特許発明に係る苦味抑制効果において、タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む製造方法により得られた、苦味抑制用組成物中のタラゴン粉末の含有量を規定していない全ての苦味抑制用組成物において、その効果を有するとは到底言えるものではない。 したがって、本件特許発明に係る苦味抑制効果との関係において、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】記載の実施例2をもって、本件特許発明7に係る苦味抑制用組成物の製造方法のサポートとはなり得ない。 また、本件特許の明細書の段落【0057】には、「本発明の混合においては圧力を加えながら混合することで他の原料とタラゴンの粉末又はタラゴン抽出物がより密着することなどからより効果的に苦味抑制効果が得られるので好ましい。」と記載されており、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2は、タラゴンの葉とウコン粉末を自動乳鉢で加圧しながら混合しており、前記好ましい態様である。 しかしながら、前記製造例2で得られた混合物中のタラゴン粉末の含有量は、約1%(タラゴンの葉:ウコン粉末=0.3g:30g)、10000ppmであり、本件特許の明細書の段落【0070】の【表2】記載の「粉のまま」の結果では、10人中「明らかに効果があったもの:○」が6人、「やや効果があったもの:△」が4人である。 そうすると、タラゴンを他の原料と密着させずタラゴン単独で加圧しながら粉砕し、更に他の原料に対し上記ウコン粉末の10分の1以下、つまり1000ppm以下に減らした量で、粉のままの評価において、苦味抑制効果を有するのか立証されておらず、出願当時の技術常識を加味しても、立証されているとは到底いえるものでない。 さらに、粉のままの評価において、ウコン粉末以外の他の原料についても立証されていない。 したがって、タラゴンを他の原料と密着させずタラゴン単独で加熱しながら粉砕したものを用いた粉のままの評価において、本件特許発明に係る苦味抑制効果との関係において、本件特許の明細書の段落【0068】記載の製造例2、及び段落【0069】記載の実施例2をもって、本件特許発明7に係る苦味抑制用組成物の製造方法のサポートとはなり得ない。 (4) 申立理由C1-新(甲C1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、2、4、5及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲C1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由C1-進(甲C1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、2、4、5及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲C1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由C2-新(甲C2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項7に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲C2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7) 申立理由C2-進(甲C2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし4及び6に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲C2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8) 証拠方法 ・甲C1号証:GEORGE A.BURDOCK、「FENAROLI'S HANDBOOK OF Flavor Ingredients SIXTH EDITION」、CRC PRESS、pp.1868-1869、2010年発行 ・甲C2号証:特開2007-236288号公報 ・甲C3号証:「わかさの秘密」Powered by わかさ生活、更新日2016年2月10日、https://himitsu.wakasa.jp/contents/tarragon/ ・甲C4号証:「たべるご」、2017年1月16日更新、https://taberugo.net/578 ・甲C5号証:「第十七改正日本薬局方」、平成28年3月7日厚生労働省告示第64号、表紙、通則第3~5頁、https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/JP17.pdf 4 特許異議申立書Dに記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人Dが提出した特許異議申立書Dに記載した申立ての理由の概要は、次の(1)ないし(26)のとおりである。 (1) 申立理由D1-新(甲D1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、2、4及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 申立理由D1-進(甲D1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1、2、4及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由D2-新(甲D2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由D2-進(甲D2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由D3-新(甲D3号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び3ないし6に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由D3-進(甲D3号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び3ないし6に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7) 申立理由D4-新(甲D4号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8) 申立理由D4-進(甲D4号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9) 申立理由D5-新(甲D5号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (10) 申立理由D5-進(甲D5号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (11) 申立理由D6-新(甲D6号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D6号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (12) 申立理由D6-進(甲D6号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (13) 申立理由D7-新(甲D7号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (14) 申立理由D7-進(甲D7号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (15) 申立理由D8-新(甲D8号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D8号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (16) 申立理由D8-進(甲D8号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (17) 申立理由D9-新(甲D9号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (18) 申立理由D9-進(甲D9号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D9号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (19) 申立理由D10-新(甲D10号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D10号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (20) 申立理由D10-進(甲D10号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D10号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (21) 申立理由D11-新(甲D11号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D11号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (22) 申立理由D11-進(甲D11号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D11号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (23) 申立理由D12-新(甲D12号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D12号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (24) 申立理由D12-進(甲D12号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲D12号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (25) 申立理由D実(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由D実の具体的理由は、おおむね次のとおりである。 ア 申立理由D実-1(本件特許発明1ないし6、8および9について) 本件特許発明1には、タラゴンの粉砕物又は抽出物を「0.001ppb~1000ppm」含む食品組成物が記載され、本件特許発明8には、粉末食品組成物に対するタラゴンの粉末の含有量が「0.001ppb~1000ppm」である粉末食品組成物の製造方法が記載され、さらに、本件特許発明9には、タラゴンの粉砕物又は抽出物を「0.001ppb~1000ppm」含む飲料組成物が記載されている。 しかしながら、本件特許の明細書【0063】以降の実施例には、0.8ppb~80ppmの飲料組成物を調製し、効果を評価した結果しか記載されていない。具体的には、0.8ppb~80ppmの赤ワイン(【0073】)、0.8ppb~80ppmのコーヒー(【0074】)、0.8ppb~80ppmの緑茶(【0075】)、80ppmの赤ワイン(ホット)(【0078】)、80ppmの赤ワイン及びホットワイン(【0081】)を調製し、効果を評価した結果しか記載されていない。つまり、本件特許の明細書には、タラゴンの粉砕物又は抽出物0.001ppb以上0.8ppb未満、80ppm超1000ppm以下の濃度範囲については、調製したこと、効果を評価したこと等記載も示唆もされていない。また、乳製品、大豆食品、プリン、ゼリー、アイスクリーム、流動食、レトルト食品、即席ルウ、調味料、シーズニング、カレーパウダー、又は健康食品といった飲料組成物以外の食品組成物、及び粉末食品組成物についても記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、当業者が本件特許発明1、8及び9を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、実施可能要件を満たさない。 上記と同様に、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する本件特許発明2ないし6も、実施可能要件を満たさない。 イ 申立理由D実-2(本件特許発明7及び8について) 本件特許発明7には、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する」ことが記載され、本件特許発明8には、「タラゴンの粉末とタラゴン以外の食品原料の粉末とを加圧しながら混合する」ことが記載されている。 しかしながら、本件特許の明細書【0063】以降の実施例には、乾燥したタラゴンの葉及びウコン粉末を自動乳鉢で粉砕及び混合することしか記載されていない(【0068】)。つまり、本件特許の明細書には、「加圧しながら粉砕することで、タラゴンに含まれる本発明の苦味抑制用組成物の有効成分をより有効に外部に染み出させることができ、本発明の苦味抑制用組成物の苦味抑制効果を効果的に得ることができる(【0055】)」ことについて具体的に記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明7及び8を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、実施可能要件を満たさない。 (26) 申立理由Dサ(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由Dサの具体的理由は、おおむね次のとおりである。 ア 申立理由Dサ-1(本件特許発明1ないし6、8および9について) 本件特許発明1には、タラゴンの粉砕物又は抽出物を「0.001ppb~1000ppm」含む食品組成物が記載され、本件特許発明8には、粉末食品組成物に対するタラゴンの粉末の含有量が「0.001ppb~1000ppm」である粉末食品組成物の製造方法が記載され、さらに、本件特許発明9には、タラゴンの粉砕物又は抽出物を「0.001ppb~1000ppm」含む飲料組成物が記載されている。 しかしながら、本件特許の明細書【0063】以降の実施例には、0.8ppb~80ppmの飲料組成物を調製し、効果を評価した結果しか記載されていない。具体的には、0.8ppb~80ppmの赤ワイン(【0073】)、0.8ppb~80ppmのコーヒー(【0074】)、0.8ppb~80ppmの緑茶(【0075】)、80ppmの赤ワイン(ホット)(【0078】)、80ppmの赤ワイン及びホットワイン(【0081】)を調製し、効果を評価した結果しか記載されていない。つまり、本件特許の明細書には、タラゴンの粉砕物又は抽出物0.001ppb以上0.8ppb未満、80ppm超1000ppm以下の濃度範囲については、調製したこと、効果を評価したこと等記載も示唆もされていない。また、乳製品、大豆食品、プリン、ゼリー、アイスクリーム、流動食、レトルト食品、即席ルウ、調味料、シーズニング、カレーパウダー、又は健康食品といった飲料組成物以外の食品組成物、及び粉末食品組成物についても記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明1、8及び9は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を満たさない。 上記と同様に、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する本件特許発明2ないし6も、サポート要件を満たさない。 イ 申立理由Dサ-2(本件特許発明7及び8について) 本件特許発明7には、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する」ことが記載され、本件特許発明8には、「タラゴンの粉末とタラゴン以外の食品原料の粉末とを加圧しながら混合する」ことが記載されている。 しかしながら、本件特許の明細書【0063】以降の実施例には、乾燥したタラゴンの葉及びウコン粉末を自動乳鉢で粉砕及び混合することしか記載されていない(【0068】)。つまり、本件特許の明細書には、「加圧しながら粉砕することで、タラゴンに含まれる本発明の苦味抑制用組成物の有効成分をより有効に外部に染み出させることができ、本発明の苦味抑制用組成物の苦味抑制効果を効果的に得ることができる(【0055】)」ことについて具体的に記載も示唆もされていない。 したがって、本件特許発明7及び8は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、サポート要件を満たさない。 (27) 証拠方法 ・甲D1号証:特開2005-143461号公報 ・甲D2号証:「16世紀マインツ選帝侯のチキンソース」、投稿者 a tohka、クックパッド株式会社、公開日:2019年2月25日、更新日:2019年2月26日、https://cookpad.com/recipe/5526851 ・甲D3号証:「シーフードグラタン」、投稿者 ivanka、クックパッド株式会社、公開日:2016年1月6日、更新日:2016年1月6日、https://cookpad.com/recipe/3592931 ・甲D4号証:「☆スパイスから作る本格チキンカレー☆」、投稿者 猫又あゆこ、クックパッド株式会社、公開日:2015年7月19日、更新日:2015年7月20日、https://cookpad.com/recipe/3304373 ・甲D5号証:「ささみと卵のコーンスープ」、投稿者 ame-ikuru、クックパッド株式会社、公開日:2015年3月16日、更新日:2015年3月16日、https://cookpad.com/recipe/3053319 ・甲D6号証:「リヨン風スペアリブの煮込み、パスタ添え」、投稿者 ラターシュ、クックパッド株式会社、公開日:2014年10月20日、更新日:2014年10月20日、https://cookpad.com/recipe/2845886 ・甲D7号証:「豚肩ロースの赤ワイン煮」、投稿者 u-kumico、クックパッド株式会社、公開日:2013年7月2日、更新日:2013年7月2日、https://cookpad.com/recipe/2273833 ・甲D8号証:「手羽中の赤ワイン煮。」、投稿者 u-kumico、クックパッド株式会社、公開日:2013年6月8日、更新日:2016年12月16日、https://cookpad.com/recipe/2250328 ・甲D9号証:「激うま本格!スジ肉の煮込みカレー♪」、投稿者 syun mama、クックパッド株式会社、公開日:2013年3月21日、更新日:2020年10月25日、https://cookpad.com/recipe/2160726 ・甲D10号証:「キーマカレー風♪バターライスと一緒に♪」、投稿者 naonaos、クックパッド株式会社、公開日:2010年10月24日、更新日:2011年9月10日、https://cookpad.com/recipe/1266756 ・甲D11号証:「さけポテトグラタン」、投稿者 タウケティセンター、クックパッド株式会社、公開日:2010年7月30日、更新日:2010年7月30日、https://cookpad.com/recipe/1199361 ・甲D12号証:「サワークリームたっぷりビーフストロガノフ」、投稿者 風の町のPeco、クックパッド株式会社、公開日:2008年10月18日、更新日:2008年10月19日、https://cookpad.com/recipe/666898 5 特許異議申立書Eに記載した申立ての理由の概要 特許異議申立人Eが提出した特許異議申立書Eに記載した申立ての理由の概要は、次の(1)ないし(26)のとおりである。 (1) 申立理由E1-新(甲E1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1、2、4、5及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 申立理由E1-進(甲E1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由E2-新(甲E2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由E2-進(甲E2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由E3-新(甲E3号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由E3-進(甲E3号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7) 申立理由E4-新(甲E4号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8) 申立理由E4-進(甲E4号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9) 申立理由E5-新(甲E5号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (10) 申立理由E5-進(甲E5号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (11) 申立理由E6-新(甲E6号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E6号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (12) 申立理由E6-進(甲E6号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E6号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (13) 申立理由E7-新(甲E7号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (14) 申立理由E7-進(甲E7号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (15) 申立理由E8-新(甲E8号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E8号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (16) 申立理由E8-進(甲E8号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E8号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (17) 申立理由E9-新(甲E9号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (18) 申立理由E9-進(甲E9号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E9号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (19) 申立理由E10-新(甲E10号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E10号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (20) 申立理由E10-進(甲E10号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E10号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (21) 申立理由E11-新(甲E11号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E11号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (22) 申立理由E11-進(甲E11号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E11号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (23) 申立理由E12-新(甲E12号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E12号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (24) 申立理由E12-進(甲E12号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E12号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (25) 申立理由E13-新(甲E13号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E13号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (26) 申立理由E13-進(甲E13号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲E13号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (27) 証拠方法 ・甲E1号証:特開2006-20526号公報 ・甲E2号証:「自家製野菜ブイヨン」、Chefkoch GmbH、2014年9月30日、https://www.chefkoch.de/rezepte/2623201412063256/Hausgemachte-Gemuesebouillon.html ・甲E3号証:「オックステールとマメ科植物のカブシチュー」、Chefkoch GmbH、2016年6月1日、https://www.chefkoch.de/rezepte/3103951463316042/Steckrubeneintopf-mit-Ochsenschwanz-und-Hulsenfruechten.html ・甲E4号証:「カニとトマトのピューレスープ」、RussianFood.com、2014年9月11日、https://www.russianfood.com/recipe.php?rid=128114 ・甲E5号証:「「浮遊」キュウリ」、Povarenok.ru、2008年4月21日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/4352/ ・甲E6号証:「野菜シチュー」、Chefkoch GmbH、2016年3月17日、https://www.chefkoch.de/rezepte/3048871457520217/Gemueseeintopf.html ・甲E7号証:「ゴードン・ラムゼイの野菜スープ」、Povarenok.ru、2013年10月2日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/78925/ ・甲E8号証:「キュウリのピクルス」、Povarenok.ru、2014年5月15日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/89583/ ・甲E9号証:「若鶏の海老カレー」、Povarenok.ru、2008年12月30日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/17063/ ・甲E10号証:「リースリングクリームのウサギの足」、Chefkoch GmbH、2017年2月21日、https://www.chefkoch.de/rezepte/3282371487575771/Kaninchenkeulen-in-Riesling-Sahne.html ・甲E11号証:「にんじんとひよこ豆のピューレスープ」、Povarenok.ru、2010年7月7日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/46976/ ・甲E12号証:「ご飯とさくらんぼを詰めた鶏肉」、Povarenok.ru、2016年10月16日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/133184/ ・甲E13号証:「ハニータンジェリンソースのアヒル」、Povarenok.ru、2016年1月23日、https://www.povarenok.ru/recipes/show/119643/ ・甲E14号証:「スパイス、タラゴン、乾燥-小さじ1杯、挽き粉」、USDAデータベース、2016年2月22日、https://www.nutritionix.com/i/usda/spices-tarragon-dried-1-tsp-ground/463d62370817443c6e302309 なお、甲E2号証ないし甲E14号証に関しては、外国語表記のため、部分的に日本語訳での表記とした。 第5 令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由の概要 請求項1ないし7及び9に係る特許に対して、当審が令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。なお、取消理由は、申立理由のうち、次の部分を包含する。 ・申立理由A2-新のうち、請求項1及び5に係る部分 ・申立理由A1-進のうち、請求項1、2、4、5及び9に係る部分 ・申立理由A2-進のうち、請求項1、3、4及び5に係る部分 ・申立理由B1-新のうち、請求項1ないし6及び9に係る部分 ・申立理由B2-新のうち、請求項1ないし6及び9に係る部分 ・申立理由B3-新ないし申立理由B5-新 ・申立理由B1-進のうち、請求項1ないし6及び9に係る部分 ・申立理由B2-進のうち、請求項1ないし6及び9に係る部分 ・申立理由B3-進ないし申立理由B5-進 ・申立理由C1-新及び申立理由C1-進 ・申立理由D3-新ないし申立理由D8-新 ・申立理由D10-新ないし申立理由D12-新 ・申立理由D3-進ないし申立理由D8-進 ・申立理由D10-進ないし申立理由D12-進 ・申立理由E2-新 ・申立理由E3-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E4-新 ・申立理由E5-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E6-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E7-新 ・申立理由E8-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E9-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E10-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E11-新 ・申立理由E12-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E13-新のうち、請求項1に係る部分 ・申立理由E2-進のうち、請求項1、2及び4に係る部分 ・申立理由E3-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E4-進のうち、請求項1、2及び4に係る部分 ・申立理由E5-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E6-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E7-進のうち、請求項1、2及び4に係る部分 ・申立理由E8-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E9-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E10-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E11-進のうち、請求項1、2及び4に係る部分 ・申立理由E12-進のうち、請求項1及び4に係る部分 ・申立理由E13-進のうち、請求項1及び4に係る部分 1 取消理由1(新規性) 本件特許の請求項1ないし6及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A2号証、甲B1号証ないし甲B5号証、甲C1号証、甲D3号証ないし甲D8号証、甲D10号証ないし甲D12号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 取消理由2(進歩性) 本件特許の請求項1ないし6及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証ないし甲B5号証、甲C1号証、甲D3号証ないし甲D8号証、甲D10号証ないし甲D12号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 取消理由3(明確性要件) 本件特許の請求項7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、取消理由3の具体的理由は、次のとおりである。 本件特許発明7は、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む、苦味抑制用組成物の製造方法。」とあるように、「タラゴン粉末」を「加圧しながら粉砕する」ことが特定されている。 この点について、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の例えば【0055】には、 「本発明の苦味抑制用組成物の製造方法は、タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む。「加圧しながら粉砕する」とは、タラゴンを押圧力により押し潰しながら、混合、撹拌、又は摩砕することを意味する。・・・」(合議体注:下線は合議体で付したものである。) と、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む」との記載に引き続き、「加圧しながら粉砕する」とは、「タラゴンを押圧力により押し潰しながら、混合、撹拌、又は摩砕すること」と、「タラゴン粉末」ではなく「タラゴン」を押圧力により押し潰しながら、混合、撹拌、又は摩砕することであると記載されている。 このように、本件特許の明細書には、苦味抑制用組成物の製造方法について、「タラゴン」を加圧しながら粉砕する工程を含むものが開示されているにもかかわらず、本件特許発明7は「タラゴン粉末」を加圧しながら粉砕する工程を含むと特定しており、「加圧しながら粉砕する工程」で処理される対象物が、「タラゴン粉末」であるのか、「タラゴン」即ち粉末になっていない状態のものを含むのか、あるいはそれ以外の何かなのか、明らかであるとはいえない。 したがって、本件特許発明7は明確であるとはいえない。 第6 当審の判断 1 令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由についての判断 (1)取消理由1及び取消理由2(新規性及び進歩性)について ア 甲B1号証(甲C1号証)を根拠とする理由について 甲B1号証と甲C1号証は、版が異なるものの、同じ内容のものであるので、まとめて検討する。 (ア) 甲B1号証の記載事項等 A 甲B1号証の記載事項 甲B1号証には次の記載がある。なお、甲B1号証は外国語文献のため、必要箇所の訳文を摘記する。 「・タラゴン [図:0001397169000001.jpg] 」 「・タラゴンエキス [図:0001397169000002.jpg] 」 「・タラゴンオイル [図:0001397169000003.jpg] [図:0001397169000004.jpg] 」 B 甲B1号証に記載された発明 上記Aの記載から、甲B1号証には次の発明が記載されているものと認める。 「タラゴン(タラゴン、タラゴンエキス、タラゴンオイルを含む)を次に掲げる割合で含有する食品組成物。 ・タラゴン [図:0001397169000005.jpg] ・タラゴンエキス [図:0001397169000006.jpg] ・タラゴンオイル [図:0001397169000007.jpg] [図:0001397169000008.jpg] 」 (以下、「甲B1発明」という。) (イ) 対比・判断 A 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲B1発明とを対比すると、両者は、 「タラゴンの粉砕物又は抽出物を含む食品組成物」 で一致し、次の点で相違する。 ・相違点B1-1 食品組成物に含まれるタラゴンの粉砕物又は抽出物の濃度について、本件特許発明1は「0.001ppb~1000ppm」であって、「(魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)」と特定されるのに対し、甲B1発明はそのような特定がない点。 上記相違点B1-1について検討する。 甲B1発明の食品組成物におけるタラゴンの含有量は、魚製品、ソフトキャンディーを除き、いずれも、0.79ppmよりも大きな値である。また、タラゴンの含有量として0.79ppmよりも小さい値である魚製品、ソフトキャンディーは、本件特許発明1において除かれている。したがって、上記相違点B1-1は実質的な相違点である。 よって、本件特許発明1は、甲B1発明ではない。 また、甲B1発明の魚製品、ソフトキャンディー以外の食品組成物において、タラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppmよりも小さくする動機付けもない。 よって、本件特許発明1は、甲B1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 B 本件特許発明2ないし6について 本件特許発明2ないし6はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものである。 そして、上記Aで検討のとおり、本件特許発明1は、甲B1発明ではなく、甲B1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2ないし6についても同様に、甲B1発明ではなく、甲B1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 C 本件特許発明9について 本件特許発明9と甲B1発明とを対比すると、両者は、 「タラゴンの粉砕物又は抽出物を含む、緑茶飲料、煎茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー飲料、ココア飲料、ビール、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、焼酎、及びスポーツ飲料から選択される飲料組成物」 で一致し、次の点で相違する。 ・相違点B1-2 食品組成物に含まれるタラゴンの粉砕物又は抽出物の濃度について、本件特許発明9は「0.001ppb~1000ppm」であって、「(タラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)」と特定されるのに対し、甲B1発明にはそのような特定がない点。 上記相違点B1-2について検討するに、上記相違点B1-2は実質的に上記相違点B1-1と同旨であり、上記Aにおける検討と同様に判断される。 よって、本件特許発明9は、甲B1発明ではなく、また、甲B1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 他の証拠を主たる根拠とする取消理由1及び取消理由2について 取消理由通知で通知した他の証拠を主たる根拠とする理由についても、上記アと同様に、「魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く」との点を満たさないものであり、また、当該特定事項を満たすように変更する動機付けもないため、取消理由通知で通知した何れの証拠についても、その理由はないものと判断される。 ウ 取消理由1及び取消理由2についてのまとめ 上記ア及びイのとおりであるから、取消理由1及び取消理由2は、その理由がない。 (2) 取消理由3(明確性要件)について 本件特許発明7は、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む、苦味抑制用組成物の製造方法。」とあるように、「タラゴン粉末」を「加圧しながら粉砕する」ことが特定されており、その記載は明確である。 よって、取消理由3は、その理由がない。 2 令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由以外の特許異議申立理由についての判断 (1) 取消理由において採用した証拠に基づく特許異議申立理由(新規性・進歩性)について 令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由以外の特許異議申立理由(新規性・進歩性)のうち、取消理由において採用した証拠に基づくものは次のとおりである。 ・申立理由A1-新(甲A1号証) ・申立理由A2-新のうち、請求項7に係る部分(甲A2号証) ・申立理由A1-進のうち、請求項3及び6ないし8に係る部分(甲A1号証) ・申立理由A2-進のうち、請求項7及び8に係る部分(甲A2号証) ・申立理由B1-新のうち、請求項8に係る部分(甲B1号証) ・申立理由B2-新のうち、請求項8に係る部分(甲B2号証) ・申立理由B1-進のうち、請求項8に係る部分(甲B1号証) ・申立理由B2-進のうち、請求項8に係る部分(甲B2号証) ・申立理由E3-新のうち、請求項2に係る部分(甲E3号証) ・申立理由E5-新のうち、請求項2に係る部分(甲E5号証) ・申立理由E6-新のうち、請求項2に係る部分(甲E6号証) ・申立理由E8-新のうち、請求項2に係る部分(甲E8号証) ・申立理由E9-新のうち、請求項2に係る部分(甲E9号証) ・申立理由E10-新のうち、請求項2に係る部分(甲E10号証) ・申立理由E12-新のうち、請求項2に係る部分(甲E12号証) ・申立理由E13-新のうち、請求項2に係る部分(甲E13号証) ・申立理由E2-進のうち、請求項3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E2号証) ・申立理由E3-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E3号証) ・申立理由E4-進のうち、請求項3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E4号証) ・申立理由E5-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E5号証) ・申立理由E6-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E6号証) ・申立理由E7-進のうち、請求項3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E7号証) ・申立理由E8-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E8号証) ・申立理由E9-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E9号証) ・申立理由E10-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E10号証) ・申立理由E11-進のうち、請求項3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E11号証) ・申立理由E12-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E12号証) ・申立理由E13-進のうち、請求項2、3及び請求項5ないし9に係る部分(甲E13号証) 上記申立理由は、次のとおり、いずれもその理由がないものと判断する。 ア 本件特許発明1ないし6及び9について 上記1(1)で検討したとおり、本件特許発明1は、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明ではなく、また、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 次に、本件特許発明2ないし6はいずれも、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定するものであるところ、本件特許発明1は、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明ではなく、また、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2ないし6についても同様に、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明ではなく、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 本件特許発明9についても同様に判断される。 イ 本件特許発明7及び8について 本件特許発明7は、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む、苦味抑制用組成物の製造方法。」、本件特許発明8は、「タラゴンの粉末とタラゴン以外の食品原料の粉末とを加圧しながら混合する工程を含む、粉末食品組成物の製造方法であって、粉末食品組成物に対するタラゴンの粉末の含有量が0.001ppb~1000ppmである、製造方法。」であるところ、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれにも、タラゴン粉末を加圧しながら粉砕あるいは混合する工程について記載されておらず、また、全ての証拠の記載を参酌しても、タラゴン粉末を加圧しながら粉砕あるいは混合する工程を導くことができない。 したがって、本件特許発明7及び8は、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明ではなく、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証のいずれかに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 取消理由以外の特許異議申立理由(新規性・進歩性)のうち、取消理由において採用した証拠に基づくもののまとめ 上記ア及びイのとおりであるから、甲A1号証、甲A2号証、甲B1号証、甲B2号証及び甲E2号証ないし甲E13号証を主たる証拠とする上記申立理由はいずれも、その理由がない。 (2) 取消理由において採用しなかった証拠に基づく特許異議申立理由(新規性・進歩性)について 令和4年6月30日付で特許権者に通知した取消理由以外の特許異議申立理由(新規性・進歩性)のうち、取消理由において採用しなかった証拠に基づくものは次のとおりである。 ・申立理由C2-新及び申立理由C2-進(甲C2号証) ・申立理由D1-新及び申立理由D1-進(甲D1号証) ・申立理由D2-新及び申立理由D2-進(甲D2号証) ・申立理由D9-新及び申立理由D9-進(甲D9号証) ・申立理由E1-新及び申立理由E1-進(甲E1号証) 上記申立理由は、次のとおり、いずれもその理由がないものと判断する。 ア 申立理由C2-新及び申立理由C2-進(甲C2号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について (ア) 甲C2号証に記載された発明 甲C2号証の実施例16の記載を中心に整理すると、甲C2号証には次の発明が記載されていると認める。 「イエローマスタードシードを粒状のままで14.0部、酸度10%の白ワインビネガー20.0部、ウコン粉末1.2部、タラゴン粉末0.3部およびアルコール度12%の白ワイン10.0部を緩やかに混ぜた後、温度35度で4日間静置することにより熟成し、熟成後、食塩4.5部及び水50.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した組成物。」(以下、「甲C2発明」という。) (イ) 本件特許発明1ないし4及び6について(進歩性) 本件特許発明1と甲C2発明とを対比すると、甲C2発明のタラゴンの濃度は、0.3/(14.0+20.0+1.2+0.3+10.0+4.5+50.0)=3000ppmと算出されるから、本件特許発明1と甲C2発明は、少なくともタラゴンの濃度の点において明らかに相違する。 そして、甲C2号証の他の記載をみても、甲C2発明においてタラゴンの濃度を0.001ppb~1000ppm(但し、0.79ppm以上のものは除く)に調整する動機付けもない。 よって、本件特許発明1は、甲C2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2ないし4及び6についても同様に判断される。 (ウ) 本件特許発明7について(新規性) 甲C2号証には、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程」について何ら記載も示唆もされていない。 よって、本件特許発明7は、甲C2号証に記載された発明ではない。 (エ) 申立理由C2-新及び申立理由C2-進(甲C2号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)についてのまとめ 上記(ア)ないし(ウ)のとおりであるから、申立理由C2-新及び申立理由C2-進は、その理由がない。 イ 申立理由D1-新及び申立理由D1-進(甲D1号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について (ア) 甲D1号証に記載された発明 甲D1号証の請求項1の記載を中心に整理すると、甲D1号証には次の発明が記載されていると認める。 「果実成分及び甘味を有する基剤に加えて、以下の成分(a)及び(b); (a)メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル及びユーカリプタスオイルからなる群より選ばれる1種以上の清涼感物質、 (b)3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、3-l-メントキシ-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-l-メントキシエタン-1-オール、3-l-メントキシプロパン-1-オール及び4-l-メントキシブタン-1-オールからなる群より選ばれる1種以上の冷感剤物質、 を含有する果汁含有飲料。」(以下、「甲D1発明」という。) (イ) 本件特許発明1、2、4及び9について 本件特許発明1と甲D1発明とを対比すると、両者は少なくとも、「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物又は抽出物を含む(但し、0.79ppm以上のものは除く)」ものであるか否かの点で相違する。 ここで、甲D1号証には、「果汁含有飲料内にフレーバー(飲食品用香料)を共に配合してもよい」(【0036】)こと、「天然香料としては、例えば、・・・エストラゴン、・・・などが挙げられる」(【0050】)こと、「上記フレーバーの配合量はとくに限定されないが、例えば、果汁含有飲料に対して、0.01~5質量%程度配合させると好ましい結果をもたらすことができる」(【0054】)ことの記載はあるものの、具体的にタラゴンやエストラゴンを添加した例についての記載はなく、ましてや、その添加割合についても明らかに異なるものである。 そして、甲D1号証の他の記載をみても、フレーバーとしてタラゴンやエストラゴンを採用した上で、その添加割合を、上記相違点にかかる本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けもない。 よって、本件特許発明1は、甲D1発明ではなく、また、甲D1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2及び4についても同様に判断される。 また、本件特許発明9についても、本件特許発明1と同様に判断される。 (ウ) 申立理由D1-新及び申立理由D1-進(甲D1号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)についてのまとめ 上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、申立理由D1-新及び申立理由D1-進は、その理由がない。 ウ 申立理由D2-新及び申立理由D2-進(甲D2号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)、並びに、申立理由D9-新及び申立理由D9-進(甲D9号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について 甲D2号証の更新日は2019年2月26日、甲D9号証の更新日は2020年10月25日であり、本件特許の優先日より後に公知となった文献である。 してみると、甲D2号証、甲D9号証はいずれも、公知文献であるとはいえないから、新規性・進歩性の判断の根拠とはなり得ない。 よって、申立理由D2-新及び申立理由D2-進(甲D2号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)、並びに、申立理由D9-新及び申立理由D9-進(甲D9号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)はいずれもその理由がない。 エ 申立理由E1-新及び申立理由E1-進(甲E1号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)について (ア) 甲E1号証に記載された発明 甲E1号証の請求項1及び請求項22の記載を中心に整理すると、甲1号証には、次の発明が記載されていると認める。 「(A)天然香料類、(B)アルコール類、(C)アルデヒド類およびアセタール類、(D)ケトン類およびケタール類、(E)フラン類、(F)フェノール類、(G)カルボン酸類、(H)エステル類、(I)ラクトン類、(J)含窒素化合物類及び(K)含硫化合物類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の香料を有効成分とするコーヒーフレーバー組成物を有効成分として含有する飲食品類。」(以下、「甲E1発明」という。) (イ) 本件特許発明1ないし6及び9について 本件特許発明1と甲E1発明とを対比すると、両者は少なくとも、「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物又は抽出物を含む(但し、0.79ppm以上のものは除く)」ものであるか否かの点で相違する。 ここで、甲E1号証には、「天然香料類としては、・・・例えば、・・・エストラゴン、・・・などを所望により本発明の香気・香味改善剤として使用することができる」(【0057】)こと、「上記の天然香料及び合成香料のコーヒーフレーバー組成物における配合割合は、その嗜好性により適宜に選択すればよいが、例えば0.0001~100質量%、好ましくは0.001~90質量%程度である。」(【0072】)ことの記載はあるものの、具体的にタラゴンやエストラゴンを添加した例についての記載はなく、ましてや、その添加割合についても明らかに異なるものである。 そして、甲E1号証の他の記載をみても、フレーバーとしてタラゴンやエストラゴンを採用した上で、その添加割合を、上記相違点に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとする動機付けもない。 よって、本件特許発明1は、甲E1発明ではなく、また、甲E1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件特許発明1の全ての特定事項を含む本件特許発明2ないし6についても同様に判断される。 また、本件特許発明9についても、本件特許発明1と同様に判断される。 (ウ) 本件特許発明7及び8について 甲E1号証には、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程」について何ら記載も示唆もされておらず、また、甲E1発明において、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程」を採用する動機付けもない。 よって、本件特許発明7及び8は、甲E1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (エ) 申立理由E1-新及び申立理由E1-進(甲E1号証を主たる証拠とする新規性・進歩性)についてのまとめ 上記(ア)ないし(ウ)のとおりであるから、申立理由E1-新及び申立理由E1-進は、その理由がない。 (3) 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由(記載要件)について ア 申立理由Aサ、申立理由Bサ、申立理由Cサ及び申立理由Dサ(サポート要件)について (ア) サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、検討する。 (イ) サポート要件についての判断 本件特許発明1ないし9は、苦味抑制用組成物またはその製造方法に関するものであって、その課題(以下、「発明の課題」という。)は、「飲食物の苦味を抑制すること」(【0008】)であると認める。 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「タラゴンの粉砕物又は抽出物が苦味抑制効果を示すことを新たに見出した」(【0006】)こと、タラゴンの種類及び用いられる部位(【0010】ないし【0015】)、タラゴンの用いられる形態(【0016】ないし【0029】)、添加量(【0039】)、適用用途(【0041】ないし【0054】)、製造方法(【0055】ないし【0061】)が記載されており、具体的なタラゴンの抽出物を用い、その効果を検証した実施例の記載もある。 これらの記載に接した当業者であれば、苦味を抑制したい食品等において、タラゴンの粉末又は抽出物を添加するとの特定事項を満たすことで、発明の課題を解決するものと認識できる。 そして、本件特許発明1ないし9はいずれも、上記の発明の課題を解決すると認識できる特定事項を全て有するものであるから、当然、発明の課題を解決するものである。 したがって、本件特許発明1ないし9に関し、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 (ウ) 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人AないしDはそれぞれ、タラゴンの濃度範囲と実施例との関係に関する点(申立理由Aサ、申立理由Cサ-1ないしCサ-3及びCサ-6及び申立理由Dサ-1)、従来のタラゴン精油との関係に関する点(申立理由Bサ)、タラゴン粉末の平均最大径に関する点(申立理由Cサ-4)、フレンチタラゴンとロシアンタラゴンに関する点(申立理由Cサ-5)、加圧しながら混合する具体的工程に関する点(申立理由Dサ-2)について主張する。 しかしながら、上記(イ)の検討のとおり、「タラゴンの粉砕物又は抽出物」が添加されるものであれば、添加されないものに比して定性的に苦味を抑制する効果を呈するものと認識できるものである以上、その添加割合や量の点は、定性的な効果の認識には何ら影響するものではない。 また、従来、食品添加用のタラゴン精油が知られていたとしても、本件特許発明が発明の課題を解決するものであるかどうかには関係がない。 さらに、その余の主張についても、本件特許の明細書における記載等からみて、いずれも上記(イ)の判断に影響しない。 よって、特許異議申立人AないしDの上記主張は、いずれも採用しない。 (エ) 申立理由Aサ、申立理由Bサ、申立理由Cサ及び申立理由Dサ(サポート要件)についてのまとめ 上記(イ)及び(ウ)のとおりであるから、申立理由Aサ、申立理由Bサ、申立理由Cサ及び申立理由Dサはいずれも、その理由がない。 イ 申立理由C明(明確性要件)について (ア) 明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (イ) 明確性要件についての検討 本件特許発明1は、「0.001ppb~1000ppmのタラゴンの粉砕物又は抽出物を含む食品組成物(魚製品、アイスクリーム、ソフトキャンディー、及びタラゴンの粉砕物又は抽出物を0.79ppm以上含むものを除く)。」であって、食品組成物において、「タラゴンの粉砕物又は抽出物」を含むものであること、また、その含有割合の範囲は、その特定事項から明らかであり、明確である。 また、本件特許発明7は、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む、苦味抑制用組成物の製造方法。」であって、苦味抑制用組成物の製造方法において、「タラゴン粉末を加圧しながら粉砕する工程を含む」製造方法であることは、その特定事項から明らかであり、明確である。 本件特許発明2、4、5及び9についても同様に明確である。 (ウ) 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人Cは、特許異議申立書Cにおいて、明細書の発明の詳細な説明における実施例と効果の検討との観点から、タラゴンの粉砕物又は抽出物の添加割合範囲の技術的意義が不明確であること(申立理由C明-1)、本件特許の明細書の発明の詳細な説明における【0033】、【0038】、【0068】及び【0069】の記載からみて「苦味抑制用組成物」の文言が不明確であること(申立理由C明-2)を主張する。 しかしながら、明確性要件の判断は上記(ア)の判断基準によりなされるものであり、特許異議申立人Cが主張する観点は、その判断に何ら影響するものではない。 よって、申立理由C明-1及びC明-2は採用しない。 (エ) 申立理由C明(明確性要件)についてのまとめ 上記(イ)及び(ウ)のとおりであるから、申立理由C明は、その理由がない。 ウ 申立理由A実、申立理由C実及び申立理由D実(実施可能要件)について (ア) 実施可能要件の判断基準 本件特許発明1ないし6及び9は、上記第3のとおり、「物」の発明であるところ、物の発明における実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、例えば、明細書等にその物を生産することができる具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産し使用することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。 また、本件特許発明7及び8は、上記第3のとおり、「物を生産する方法」の発明であるところ、物を生産する方法の発明における実施とは、そのものを生産する方法の使用をする行為のほか。その方法により生産した物の使用等ををする行為をいうから(特許法第2条第3項第3号)、例えば、明細書等にその物を生産する方法を使用することができることの具体的な記載があるか、そのような記載がなくても、出願時の技術常識に基づいて当業者がその物を生産する方法を使用することができるのであれば、実施可能要件を満たすということができる。 (イ) 実施可能要件についての判断 本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「タラゴンの粉砕物又は抽出物が苦味抑制効果を示すことを新たに見出した』(【0006】)こと、タラゴンの種類及び用いられる部位(【0010】ないし【0015】)、タラゴンの用いられる形態(【0016】ないし【0029】)、添加量(【0039】)、適用用途(【0041】ないし【0054】)、製造方法(【0055】ないし【0061】)が記載されており、具体的なタラゴンの抽出物を用い、その効果を検証した実施例の記載もある。 してみれば、本件特許発明1ないし9は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に、実施可能な程度に記載されているものといえる。 (ウ) 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人A、C及びDはそれぞれ、タラゴンの濃度に関する点(申立理由A実、申立理由C実、申立理由D実-1)、「加圧しながら粉砕する」との特定事項と実施例との関係に関する点(申立理由D実-2)を主張する。 しかしながら、タラゴンの濃度については適宜調整されるものである旨記載(【0039】)されているし、「加圧しながら粉砕する」ことの意味及び具体的に用いられる器具・手段についても記載(【0055】)されている。さらに、具体的な例としての実施例が示されていることからすれば、実施例が限られた例にすぎないとしても、当業者が本件特許発明1ないし9を実施することができないとは言えない。 よって、特許異議申立人A、C及びDの主張は、いずれも採用しない。 (エ) 申立理由A実、申立理由C実及び申立理由D実(実施可能要件)についてのまとめ 上記(イ)及び(ウ)のとおりであるから、申立理由A実、申立理由C実及び申立理由D実はいずれも、その理由がない。 第7 結語 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書AないしEに記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701181

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