特許異議申立
2021-701072
スロットマシン
- 審判番号
- 2021-701072
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-101350
- 登録番号
- 6867871
- 請求日
- 2021年11月12日
- 審決日
- 2023年04月05日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 古屋野 浩志
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F) / P1651.55 -YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第113条第1号、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6867871号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6867871号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第6867871号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6867871号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成29年5月23日に特許出願され、令和3年4月13日にその特許権の設定登録がされ、同年5月12日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許について、令和3年11月12日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は令和4年2月25日付けで特許権者に対して取消理由通知書を送付し、それに対して、特許権者はその指定期間内である同年4月28日に、意見書及び訂正請求書を提出し、さらに、当審は同年6月7日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知書を送付し、それに対して、特許異議申立人からは応答がなく、さらに、当審は同年9月6日付けで特許権者に対して取消理由通知書を送付し、それに対して、特許権者はその指定期間内である同年10月24日に、意見書及び訂正請求書を提出し、さらに、当審は同年11月22日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知書を送付し、それに対して、特許異議申立人からは応答がなかったものである。
なお、特許権者が令和4年10月24日に提出した訂正請求書による訂正の請求(「以下「本件訂正請求」という。)がされたことにより、同年4月28日に提出した訂正請求書による訂正の請求は取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の、「前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、」の後に、「前記音出力手段は、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該入賞時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間よりも長く出力する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該精算時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間に相当する時間出力し、」を加える。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の、「第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第1入賞と異なる第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、」の前に、「第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多く、」を加え、その後に「 前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短く、」を加えるとともに、「第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、」の前及び「第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音」の前に、それぞれ「前記」を、「異なり」の前に「出力時間が」を加える。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の、「前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光する」を、「前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光し、」に変更する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項3の「前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光し、」の後に、「前記スロットマシンは、」及び「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段と、」を加える。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項4の「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段と、」の後に、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段と、」を加える。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項5の「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段と、」の後に、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段と、」を加える。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項6の「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段と、」の後に、「所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え、」を加える。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項7の「所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え、」の後に、「前記入賞付与数表示手段は、」及び「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」を加える。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項8の「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」の後に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開し、」を加える。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項9の「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開し、」の後に、「前記入賞付与数表示演出実行手段は、」及び「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」を加える。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項10の「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」の後に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行い、」を加える。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項11の「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行い、」の後に、「前記特定演出実行手段は、」及び「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、」を加える。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項1の、上記訂正事項12の「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、」の後に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、」及び「当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する、」を加える。
(14)訂正事項14
本件特許の明細書の段落0008の、
「(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を付与する付与手段と、
遊技用価値を貯留する貯留手段と、
遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段と、
前記付与音に対応して発光する発光手段とを備え、
前記付与手段は、
入賞を契機に遊技用価値を付与する入賞時付与手段と、
遊技者による精算操作に基づき前記貯留手段に貯留された遊技用価値を付与する精算時付与手段とを含み、
前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず、
前記精算時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音を出力し、
前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第1入賞と異なる第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
前記発光手段は、前記第1入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第1発光態様で発光し、前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2光態様で発光する。」を、
「(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を付与する付与手段と、
遊技用価値を貯留する貯留手段と、
遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段と、
前記付与音に対応して発光する発光手段とを備え、
前記付与手段は、
入賞を契機に遊技用価値を付与する入賞時付与手段と、
遊技者による精算操作に基づき前記貯留手段に貯留された遊技用価値を付与する精算時付与手段とを含み、
前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該入賞時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間よりも長く出力する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該精算時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間に相当する時間出力し、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず、
前記精算時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音を出力し、
前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多く、
前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは出力時間が異なり、
前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短く、
前記発光手段は、前記第1入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第1発光態様で発光し、前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光し、
前記スロットマシンは、
前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段と、
前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段と、
前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段と、
所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え、
前記入賞付与数表示手段は、
前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、
前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開し、
前記入賞付与数表示演出実行手段は、
前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、
前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行い、
前記特定演出実行手段は、
前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、
前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する。」に変更する。
3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「前記音出力手段は、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該入賞時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間よりも長く出力する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該精算時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間に相当する時間出力し、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1について、本件特許の明細書には、以下の記載がある(なお、下線は関連箇所を示す。以下同様。)。
(ア)「【0132】
入賞時の払出音は、実払出に要する時間より長くなるように設定されている。たとえば、上記中段ベル入賞時(払出枚数は12枚)の払出音の出力時間は3秒である。これに対し、ホッパーモータ34bを回転させて12枚のメダルの排出を行うのに所要する時間(実払出時間)は約1秒であり、入賞時の払出音の出力時間(3秒)の方が長い。実際には、ホッパーモータ34bによりメダルが排出されてからメダル払出口9にメダルが届くまでの時間もあるため、入賞が発生してから遊技者の手元にメダルが届くまでに所要する時間は約2秒となる。こうした時間を加味しても、入賞時の払出音の出力時間(3秒)の方が長くなるように設定されている。」
(イ)「【0137】
次に、精算時の払い出しについて説明する。ここでは、クレジットおよび設定済の賭数がN枚であるとする。この場合、精算スイッチ10の操作により、N枚がメダル払出口9から払い出される。精算の際の払い出し時には、払出音として「精算音」が出力される。N枚払い出す際に出力される精算音の出力時間はT秒であり、実払出時間に相当する時間である。また、払出音に対応するように演出効果LED52(ランプ)を発光させるようにしている。具体的には、精算音に対しては、演出効果LED52を青色でN回点滅させる。発光時間(N回点滅させるのに所要する時間)はT秒である。これは、払出音の出力時間と一致する。なお、精算音の出力時間は、実払出時間と完全に一致させてもよいが、完全に一致しなくても限りなく近くなる所定時間の範囲内でもよい。」
これらの記載によれば、本件特許の明細書には、「前記音出力手段は、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該入賞時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間よりも長く出力する」一方で、「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該精算時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間に相当する時間出力」することが、それぞれ記載されているといえる。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1に、「第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多く、」及び「前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短く、」との記載と、訂正前の請求項1の、「異なり」の前に「出力時間が」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定することを含むものである。
また、上記「第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多く、」との記載を加えることに伴い、訂正前の請求項1の、「第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、」及び「第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音」の前に、それぞれ「前記」を加えることを含むものでもある。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定し、かつ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0008】
(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技用価値を付与する付与手段と、
遊技用価値を貯留する貯留手段と、
遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段と、
前記付与音に対応して発光する発光手段とを備え、
前記付与手段は、
入賞を契機に遊技用価値を付与する入賞時付与手段と、
遊技者による精算操作に基づき前記貯留手段に貯留された遊技用価値を付与する精算時付与手段とを含み、
前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず、
前記精算時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音を出力し、
前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第1入賞と異なる第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
前記発光手段は、前記第1入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第1発光態様で発光し、前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光する。
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
第1入賞(たとえば、中段ベル入賞)、第2入賞(たとえば、右下がりベル入賞)、および第3入賞(たとえば、上段ベル1~8入賞)を含む複数種類の入賞のうちのいずれかの入賞を許容する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を実行する処理)と、
前記第1入賞、前記第2入賞、および前記第3入賞のいずれかが発生したときに、いずれの入賞が発生しても共通の規則に基づき遊技用媒体(たとえば、メダル)を払い出す払出手段(たとえば、メイン制御部41により制御され、中段ベル、右下がりベル、上段ベル1~8のいずれが入賞しても同じ回転速度でモータを回転させてメダルをメダル払出口9より払い出すホッパーモータ34b)と、
前記第1入賞、前記第2入賞、および前記第3入賞のいずれかが発生したときに、払出音を出力する音出力手段(たとえば、図4、図12~15に示すように、サブ制御部91により制御され、払出音を出力させるスピーカ53、54)と、
前記払出音に対応して発光する発光手段(たとえば、サブ制御部91により制御され、払出音に対応して発光する演出効果LED52)とを備え、
前記第1入賞が発生したときに払い出される遊技用媒体は前記第2入賞が発生したときに払い出される遊技用媒体よりも多く、かつ前記第2入賞が発生したときに払い出される遊技用媒体は前記第3入賞が発生したときに払い出される遊技用媒体よりも多く(たとえば、図11に示すように、中段ベル入賞時の払出枚数(12枚)>右下がりベル入賞時の払出枚数(10枚)>上段ベル1~8入賞時の払出枚数(4枚)となる)、
前記払出音には、第1払出音(たとえば、図11に示すように、出力時間が3秒である非AT中第1払出音およびAT中第1払出音)と、当該第1払出音よりも出力時間が短い第2払出音(たとえば、図11に示すように、出力時間が1秒である非AT中第2払出音およびAT中第2払出音)とが含まれ、
前記音出力手段は、
前記第1入賞が発生したとき、および前記第2入賞が発生したときのいずれにおいても、前記第1払出音を出力し(たとえば、図11に示すように、中段ベルおよび右下がりベルのいずれに入賞したときも、非AT中第1払出音またはAT中第1払出音を出力する)、
前記第3入賞が発生したときには、前記第2払出音を出力し(たとえば、図11に示すように、上段ベル1~8に入賞したときには、非AT中第2払出音またはAT中第2払出音を出力する)、
前記発光手段は、
前記第1払出音が出力されるときには当該第1払出音に対応する第1発光態様で発光し(たとえば、図11に示すように、非AT中第1払出音が出力されるときには演出効果LED52は黄色で12回点滅し、AT中第1払出音が出力されるときには演出効果LED52は赤色で12回点滅する)、
前記第2払出音が出力されるときには当該第2払出音に対応する第2発光態様で発光する(たとえば、図11に示すように、非AT中第2払出音が出力されるときには演出効果LED52は黄色4回点滅し、AT中第2払出音が出力されるときには演出効果LED52は赤色で4回点滅する)。」
(イ)「【0012】
(3) 上記(1)または(2)のスロットマシンにおいて、
前記音出力手段は、
前記第2払出音を出力するときには所定音声データ(たとえば、図11に示すように、音データAまたは音データB)を出力し、
前記第1払出音を出力するときには複数の前記所定音声データが1つにまとめられた特定音声データ(たとえば、図11に示すように、3つの音データAまたは3つの音データBが1つにまとめられたもの)を出力する。」
(ウ)「【0128】
まず、入賞時の払い出しについて説明する。本実施の形態においては、入賞時の払出枚数が近い入賞役について共通の払出音を使用している。たとえば、払出枚数が、第1入賞の払出枚数>第2入賞の払出枚数>第3入賞の払出枚数となる入賞役があるとする。ここで、第1入賞の払出枚数と第2入賞の払出枚数とが近い場合、第1入賞と第2入賞で使用する払出音を共通化する。
【0129】
図11の表では、第1入賞に相当するものとして中段ベル、第2入賞に相当するものとして右下がりベル、第3入賞に相当するものとして上段ベル1~8が例示されている。中段ベルは、入賞が発生した際に中段(入賞ラインLN上)にベル図柄が揃う入賞役であり、払出枚数は12枚である。右下がりベルは、入賞が発生した際に右下がり(無効ラインLM3上)にベル図柄が揃う入賞役であり、払出枚数は10枚である。上段ベル1~8は、入賞が発生した際に上段(無効ラインLM1上)にベル図柄が揃う入賞役であり、払出枚数は4枚である。
【0130】
払出枚数の関係は、第1入賞の払出枚数(12枚)>第2入賞の払出枚数(10枚)>第3入賞の払出枚数(4枚)となる。第1入賞の払出枚数(12枚)と第2入賞の払出枚数(10枚)とが近いため、第1入賞(中段ベル入賞)と第2入賞(右下がりベル入賞)とで使用する払出音が共通化される。また、第1入賞(中段ベル入賞)と第2入賞(右下がりベル入賞)と第3入賞(上段ベル1~8入賞)とでは、異なるライン(それぞれ、中段、右下がり、上段)に同一の図柄であるベル図柄が揃うようにしている。
【0131】
払出音について説明する。非AT中においては、中段ベルと右下がりベルとでは、払出音として「非AT中第1払出音」が使用される。非AT中第1払出音は、音声の出力時間が1秒である音データAを3回出力するものである(出力時間の合計は3秒)。これに対し、非AT中においては、上段ベル1~8では、払出音として「非AT中第2払出音」が使用される。非AT中第2払出音は、音声の出力時間が1秒である音データAを1回出力するものである(出力時間の合計は1秒)。このように、払出枚数の近い中段ベルと右下がりベルとでは、同一の払出音が使用される。ただし、非AT中第1払出音と非AT中第2払出音とでは払出音は異なるものの、共通化された音データAが使用されている。つまり、共通化された音データAが3回出力されることで非AT中第1払出音が生成され、共通化された音データAが1回出力されることで非AT中第2払出音が生成されている。」
上記【0129】及び【0130】には、「第1入賞」及び「第2入賞」の払出枚数がそれぞれ「12枚」及び「10枚」である一方、「第3入賞」の払出枚数は「4枚」であることが記載されており、かつ、【0131】には「第1入賞」及び「第2入賞」の払出音の出力時間が3秒である一方、「第3入賞」の払出音の出力時間が「第1入賞」及び「第2入賞」の払出音の出力時間とは異なり、かつ、それより短い1秒であることが記載されていると認められる。
したがって、本件特許の明細書の「第1入賞」及び「第2入賞」を訂正事項2の「第1入賞」に、同様に「第3入賞」を「第2入賞に」それぞれ対応づけることができるから、本件特許明細書等には、「第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多」いこと、「第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは」「出力時間」が「異な」ることが、いずれも記載されているといえる。
さらに、訂正事項2における、「前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短く、」との記載についてみると、当該記載では、「前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間」と、「前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音」の「出力時間」とを比較し、前者よりも後者が「短」いことを意味するから、当該記載についても本件特許明細書等に記載されていると認められる。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項1の、「前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光する」を、訂正事項4による訂正に伴い「前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光し、」に変更するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項1に、「前記スロットマシンは、」及び「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段と、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0214】
また、スロットマシン1は、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段(たとえば、図15に示すように、精算が完了した時刻t11において液晶表示器51に「精算完了」を表示させる処理)をさらに備える。」
上記記載によれば、本件特許の明細書には、「前記スロットマシン」が、「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段」を備えることが記載されているといえる。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項1に、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段と、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0140】
[払出枚数の表示等について]
メダルの払出枚数は、遊技補助表示器12および液晶表示器51により表示される。
【0141】
たとえば、右下がりベルが入賞すると、10枚のメダルが払い出される。入賞によりホッパーモータ34bが駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される。メダル払出口9よりメダルが払い出されるたびに、遊技補助表示器12には現在払い出されているメダル枚数が表示される。払出が開始していない状態では、遊技補助表示器12に「00」と表示され、現在の払出枚数が「0枚」であることが示される。1枚払い出された状態では、遊技補助表示器12には「01」が表示され、現在の払出枚数が「1枚」であることが示される。同様に、全てのメダル(10枚)が払い出された状態では、遊技補助表示器12には「10」が表示され、現在の払出枚数が「10枚」であることが示される。仮に、払出しの途中で払出エラーが発生し、メダルの払出が途中で停止したときには、遊技補助表示器12も実際に払出済みのメダル枚数を表示した段階で払出枚数の更新が止まる。」
上記記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段」を備えることが記載されているといえる。
よって、訂正事項5は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項1に、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段と、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0140】
[払出枚数の表示等について]
メダルの払出枚数は、遊技補助表示器12および液晶表示器51により表示される。」
(イ)「【0142】
メダルの払出が開始すると、メイン制御部は、メダルの払出枚数(10枚)を特定可能な払出コマンドを送信する。サブ制御部91は、受信した払出コマンドに基づいて液晶表示器51の払出枚数の表示を更新する。たとえば、現在の払出枚数が10枚であれば、「10枚」が液晶表示器51の画面の右下に表示される。さらに、ATに制御されている場合は、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数(以下、「総払出枚数」とも称する)が更新される。たとえば、ATに制御されてから払い出されたメダル枚数が500枚である場合、「TOTAL500」が液晶表示器51の画面の左上に表示される。さらに、サブ制御部91は、受信した払出コマンドに基づいてスピーカ53、54から払出音を出力させる。」
これらの記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段」を備えることが記載されているといえる。
よって、訂正事項6は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項1に、「所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0170】
時刻t12において、サブ制御部91は払出完了コマンドを受信している。払出完了コマンドを受信したときに総払出枚数が500枚を超えているため(総払出枚数は「503枚」)、総払出枚数が500枚を超えていることを報知する「特定演出」を実行する(「特定演出」がoff状態からon状態になる)。このとき、液晶表示器51には、総払出枚数が500枚を超えたことを報知する「500枚 OVER!」が表示される。なお、スピーカ53、54は既に払出音の出力を停止しているため、払出完了コマンドの受信により払出音の出力に影響を与えることはない。
【0171】
本実施の形態において、特定演出を払出完了コマンド受信後に実行する理由は、次の通りである。AT中に総払出枚数が規定量(例えば、500枚)を上回ったことを報知するのは、AT中にメダルが増加したことを遊技者に意識させて楽しませるため(満足感を与えるため)であり、たとえば、10秒間の特定演出を行う。仮に、払出完了前で総払出枚数が規定量を上回った時点に特定演出を行ったとすると、その後の払出エラー発生により液晶表示器51の表示が特定演出画面からエラー画面に切り替わってしまい、特定演出が途切れてしまう可能性がある。メダル切れによりホッパーが空回りしてホッパーエンプティエラーが発生した場合は、本来10秒間の特定演出を行うところを、たとえば、3秒程度でエラー表示に切り替わってしまい、遊技者を楽しませることができない。特定演出を払出完了コマンド受信後に実行することにより、特定演出の報知期間(10秒間)を確実に確保することができる。また、たとえば、入賞と同時に特定演出を行うことが考えられるが、実際には払い出しが完了しておらず、総払出枚数は500枚を超えていない。このため、実際に総払出枚数が500枚を超えている払出完了コマンド受信後に特定演出を行っている。」
上記記載によれば、本件特許の明細書には、「所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段」を備えることが記載されているといえる。
よって、訂正事項7は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項1に、「前記入賞付与数表示手段は、」及び「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0141】
たとえば、右下がりベルが入賞すると、10枚のメダルが払い出される。入賞によりホッパーモータ34bが駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される。メダル払出口9よりメダルが払い出されるたびに、遊技補助表示器12には現在払い出されているメダル枚数が表示される。払出が開始していない状態では、遊技補助表示器12に「00」と表示され、現在の払出枚数が「0枚」であることが示される。1枚払い出された状態では、遊技補助表示器12には「01」が表示され、現在の払出枚数が「1枚」であることが示される。同様に、全てのメダル(10枚)が払い出された状態では、遊技補助表示器12には「10」が表示され、現在の払出枚数が「10枚」であることが示される。仮に、払出しの途中で払出エラーが発生し、メダルの払出が途中で停止したときには、遊技補助表示器12も実際に払出済みのメダル枚数を表示した段階で払出枚数の更新が止まる。」
上記記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞付与数表示手段」が「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示」することが記載されているといえる。
よって、訂正事項8は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正事項9は、訂正前の請求項1に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開し、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0141】
たとえば、右下がりベルが入賞すると、10枚のメダルが払い出される。入賞によりホッパーモータ34bが駆動し、メダル払出口9よりホッパータンク34aに貯留されたメダルの払出が開始される。メダル払出口9よりメダルが払い出されるたびに、遊技補助表示器12には現在払い出されているメダル枚数が表示される。払出が開始していない状態では、遊技補助表示器12に「00」と表示され、現在の払出枚数が「0枚」であることが示される。1枚払い出された状態では、遊技補助表示器12には「01」が表示され、現在の払出枚数が「1枚」であることが示される。同様に、全てのメダル(10枚)が払い出された状態では、遊技補助表示器12には「10」が表示され、現在の払出枚数が「10枚」であることが示される。仮に、払出しの途中で払出エラーが発生し、メダルの払出が途中で停止したときには、遊技補助表示器12も実際に払出済みのメダル枚数を表示した段階で払出枚数の更新が止まる。」
(イ)「【0161】
さらに、メダル払出口9より2枚目のメダルが払い出され、遊技用補助表示器12の表示は、「01」から現在の払出枚数が「2枚」であることを示す「02」に更新される。ここで、2枚目のメダルが払い出されたときに、ホッパータンク34aに貯留されているメダルの数が0枚になったとする。このとき、ホッパータンク34a内にメダルが残存している可能性があるため、規定秒数、ホッパーモータ34bは駆動し続ける(空回りをする)。具体的には、ホッパータンク内にメダルが空になった時刻t3から時刻t4までの2秒間はホッパーモータ34bは駆動し続ける(空回りする)。そして、時刻t4~t5までの0.5秒間は、ホッパーモータ34bは一旦停止する。さらに、時刻t5~t6までの2秒間はホッパーモータ34bは再度駆動する(空回りする)。なお、時刻t4~t5までの0.5秒間ホッパーモータ34bの駆動を一旦停止させるのは、ホッパータンク内でメダルがどこかに引っかかってメダルが検出されない可能性があるからである。このように、ホッパーモータ34bの駆動を停止させることで、引っかかったメダルを慣性の力で、メダルが正しく検出できる位置に落とそうとしている。
【0162】
ホッパーモータ34bが空回りする間、メダル払出口9からの実払出枚数は「2枚」のままであるため、遊技用補助表示器12の表示は「02」のままで停止する。一方で、払出コマンドの受信を契機に表示の更新を開始する液晶表示器51は、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に表示を更新する。液晶表示器51の表示は、払出枚数の表示が「0枚」から右下がりベル払出枚数の「10枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「505枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚加算)。払出枚数および総払出枚数は、メダル払出口9からの実際の払出が完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。
【0163】
ホッパーモータ34bが空回りした後の時刻t6において、ホッパーエンプティエラーが発生する(「ホッパーエンプティエラー」は、off状態からon状態になる)。エラー発生により、サブ制御部91がエラー発生コマンドを受信すると(時刻t7)、スピーカ53、54からは、エラーが発生した旨を報知するエラー音が出力される(「エラー音」は、off状態からon状態になる)。このとき、スピーカ53、54から出力されている払出音の出力は停止する(「払出音」は、on状態からoff状態になる)、エラー音の出力を優先させている。」
(ウ)「【0166】
時刻t8においてエラー状態が解除されると、ホッパーモータ34bが駆動を再開し(「ホッパーからの払出(実払出)」状態はoff状態からon状態になるとともに、「ホッパー作動」状態はoff状態からon状態になる)、停止していたメダルの払出を再開する。時刻t8において、メダル払出口9より3枚目のメダルが払い出される。それに伴い、遊技用補助表示器12の表示は、「02」から現在の払出枚数が「3枚」であることを示す「03」に更新される。一方で、液晶表示器51における「払出枚数」と「総払出枚数」の表示は更新されない。時刻t6以前に既に表示の更新が完了しているためである。時刻t8でエラー解除されると、エラー解除コマンドが送信される。エラー解除コマンドが受信された時刻t9において、液晶表示器51上のエラー表示は消えて、元の画面に戻る。「払出枚数」は元々表示されていた「10枚」を表示し、「総払出枚数」も元々表示されていた「505枚」を表示する。」
これらの記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開」することが記載されているといえる。
よって、訂正事項9は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
訂正事項10は、訂正前の請求項1に、「前記入賞付与数表示演出実行手段は、」及び「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
「【0143】
サブ制御部91は、払出枚数が10枚であることを示す払出コマンドを受信すると、途中で発生した払出エラーの影響によりメダルが払い出されない事態が発生したか否かにかかわらず、指示された払出枚数(=10枚)に達するまで液晶表示器51の「払出枚数」および「総払出枚数」の表示を1枚ずつ更新する。すなわち、「払出枚数」は、払出コマンドの受信により「0枚」から「1枚」に更新され、以降、「2枚」、「3枚」、「4枚」、「5枚」、「6枚」、「7枚」、「8枚」、「9枚」、「10枚」と更新される。一方、「総払出枚数」は、たとえば、払出コマンド受信前の枚数が「495枚」であれば、払出コマンドの受信により「495枚」から「496枚」に更新され、以降、「497枚」、「498枚」、「499枚」、「500枚」、「501枚」、「502枚」、「503枚」、「504枚」、「505枚」と更新される。このように、液晶表示器51では、実際のメダルの払出とは関係なく表示が更新される。」
上記記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞付与数表示演出実行手段」が「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示」することが記載されているといえる。
よって、訂正事項10は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(11)訂正事項11
ア 訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の請求項1に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行い、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0143】
サブ制御部91は、払出枚数が10枚であることを示す払出コマンドを受信すると、途中で発生した払出エラーの影響によりメダルが払い出されない事態が発生したか否かにかかわらず、指示された払出枚数(=10枚)に達するまで液晶表示器51の「払出枚数」および「総払出枚数」の表示を1枚ずつ更新する。すなわち、「払出枚数」は、払出コマンドの受信により「0枚」から「1枚」に更新され、以降、「2枚」、「3枚」、「4枚」、「5枚」、「6枚」、「7枚」、「8枚」、「9枚」、「10枚」と更新される。一方、「総払出枚数」は、たとえば、払出コマンド受信前の枚数が「495枚」であれば、払出コマンドの受信により「495枚」から「496枚」に更新され、以降、「497枚」、「498枚」、「499枚」、「500枚」、「501枚」、「502枚」、「503枚」、「504枚」、「505枚」と更新される。このように、液晶表示器51では、実際のメダルの払出とは関係なく表示が更新される。」
(イ)「【0162】
ホッパーモータ34bが空回りする間、メダル払出口9からの実払出枚数は「2枚」のままであるため、遊技用補助表示器12の表示は「02」のままで停止する。一方で、払出コマンドの受信を契機に表示の更新を開始する液晶表示器51は、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に表示を更新する。液晶表示器51の表示は、払出枚数の表示が「0枚」から右下がりベル払出枚数の「10枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「505枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚加算)。払出枚数および総払出枚数は、メダル払出口9からの実際の払出が完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。」
これらの記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行う」ことが記載されているといえる。
よって、訂正事項11は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(12)訂正事項12
ア 訂正の目的について
訂正事項12は、訂正前の請求項1に、「前記特定演出実行手段は、」及び「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0144】
メダルの払出が完了(10枚の払出が完了)すると、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知する払出完了コマンドを送信する。払出エラーが発生することなくサブ制御部91により払出完了コマンドが受信されると、払出音の出力が停止する。」
(イ)「【0150】
時刻t2~t3において、ホッパーモータ34bを駆動し、メダル払出口9よりメダルが1枚払出されるたびに、遊技用補助表示器12の表示は更新される。たとえば、メダル払出口9からの実払出枚数が「2枚」になったとき、遊技用補助表示器12の表示は「01」から「02」に更新される。同様にして、遊技用補助表示器12の表示は右下がりベルの入賞による払出枚数である「10枚」まで表示が更新され、最終的には「10」が表示される。
【0151】
一方で、払出コマンドの受信により表示の更新を開始する液晶表示器51では、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に一定の時間間隔で表示が更新される。ただし、メダル払出口9からの払出が正常に完了するタイミング(エラーにより払出が停止することなく、正常に払い出された場合の払出完了タイミング)に応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。たとえば、実際に10枚の払出が完了するまでの時間がT秒であった場合、液晶表示器51の更新完了タイミングもT秒としてもよい。ただし、必ずしも更新完了タイミングを一致させる必要はなく、T秒より短くしてもよい。
【0152】
液晶表示器51では、払出枚数の表示が「0枚」から右下がりベル払出枚数の「10枚」まで1枚ずつ表示が更新される(合計10枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「505枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚加算)。」
(ウ)「【0154】
時刻t4において、サブ制御部91は払出完了コマンドを受信する。払出音の出力時間は実払出時間よりも長くなるように制御される。このため、スピーカ53、54は払出完了コマンドを受信してから所定時間経過後の時刻t5に払出音の出力を停止する(「払出音」は、on状態からoff状態になる)。さらに、払出完了コマンドを受信したときに総払出枚数が500枚を超えているため、総払出枚数が500枚を超えていることを報知するための報知演出が実行される。このように、本実施の形態では、総払出枚数が一定枚数を超えたときには、遊技者の満足感を高めるための報知演出をするものとしている。ただし、図12に示されるように、総払出枚数が500枚を超えた時点は、時刻t4よりも前の時点である。本実施の形態では、払出途中の総払出枚数が、報知演出に値する一定枚数に達したとしても、すべての払出を終えるのを待って、そのような報知演出をするものとしている。具体的には、総払出枚数が一定枚数を超えた後、払出完了コマンドが受信されたタイミングでそのような報知演出を行う。このように、払出完了コマンドの受信を待って行われる報知演出のことを本実施の形態では、特定演出と称する。」
【0155】
図12に示されるように、時刻t4の時点でこのような「特定演出」を実行する(「特定演出」がoff状態からon状態になる)。具体的には、液晶表示器51に総払出枚数が500枚を超えたことを報知する「500枚 OVER!」が表示される。総払出枚数が「500枚」であるときに限らず、たとえば、「1000枚」、「2000枚」など、あらかじめ規定された総払出枚数を超えるたびに実行するようにしてもよい。」
上記【0151】には、「液晶表示器51では、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に一定の時間間隔で表示が更新され」、「メダル払出口9からの払出が正常に完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了する」ことが記載され、一方で、【0144】には、「メダルの払出が完了すると、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知する払出完了コマンドを送信する」ことが、【0154】には、当該「払出完了コマンドが受信されたタイミングで」「特定演出」が行われることが記載されており、「液晶表示器51」における「払出枚数の表示」及び「総払出枚数の表示」が、「メダルの払出が完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了」し、当該タイミングにおいてメイン制御部が払出完了コマンドを送信し、さらに次いで当該「払出完了コマンドが受信されたタイミングで」「特定演出」が実行されることが、それぞれ経時的に記載されていると認められる。
したがって、本件特許の明細書には、「前記特定演出実行手段」が「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行」することが記載されているといえる。
よって、訂正事項12は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(13)訂正事項13
ア 訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の請求項1に、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、」「当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する、」との記載を加えることにより「スロットマシン」を限定するものであるから、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項13は、発明特定事項である「スロットマシン」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13について、本件特許の明細書には、以下の記載がある。
(ア)「【0162】
ホッパーモータ34bが空回りする間、メダル払出口9からの実払出枚数は「2枚」のままであるため、遊技用補助表示器12の表示は「02」のままで停止する。一方で、払出コマンドの受信を契機に表示の更新を開始する液晶表示器51は、メダル払出口9からの実際の払出とは無関係に表示を更新する。液晶表示器51の表示は、払出枚数の表示が「0枚」から右下がりベル払出枚数の「10枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚)とともに、総払出枚数の表示は「495枚」から「505枚」まで1枚ずつ更新される(合計10枚加算)。払出枚数および総払出枚数は、メダル払出口9からの実際の払出が完了するタイミングに応じたタイミングで表示の更新が完了するように表示の更新が行われる。
【0163】
ホッパーモータ34bが空回りした後の時刻t6において、ホッパーエンプティエラーが発生する(「ホッパーエンプティエラー」は、off状態からon状態になる)。エラー発生により、サブ制御部91がエラー発生コマンドを受信すると(時刻t7)、スピーカ53、54からは、エラーが発生した旨を報知するエラー音が出力される(「エラー音」は、off状態からon状態になる)。このとき、スピーカ53、54から出力されている払出音の出力は停止する(「払出音」は、on状態からoff状態になる)、エラー音の出力を優先させている。」
(イ)「【0166】
時刻t8においてエラー状態が解除されると、ホッパーモータ34bが駆動を再開し(「ホッパーからの払出(実払出)」状態はoff状態からon状態になるとともに、「ホッパー作動」状態はoff状態からon状態になる)、停止していたメダルの払出を再開する。時刻t8において、メダル払出口9より3枚目のメダルが払い出される。それに伴い、遊技用補助表示器12の表示は、「02」から現在の払出枚数が「3枚」であることを示す「03」に更新される。一方で、液晶表示器51における「払出枚数」と「総払出枚数」の表示は更新されない。時刻t6以前に既に表示の更新が完了しているためである。時刻t8でエラー解除されると、エラー解除コマンドが送信される。エラー解除コマンドが受信された時刻t9において、液晶表示器51上のエラー表示は消えて、元の画面に戻る。「払出枚数」は元々表示されていた「10枚」を表示し、「総払出枚数」も元々表示されていた「505枚」を表示する。」
(ウ)「【0168】
時刻t8~t11において、メダル払出口9よりメダルが1枚払出されるたびに、遊技用補助表示器12の表示は更新される。時刻t11までに、3枚目のメダルから10枚目のメダルまでが払い出される。遊技用補助表示器12は、1枚払い出されるごとに表示を更新し、最終的には「10」が表示される。
【0169】
時刻t11において、メダル払出口9より10枚のメダルの払出が完了すると、ホッパーモータ34bは駆動を停止する(「ホッパーからの払出(実払出)」状態はon状態からoff状態になるとともに、「ホッパー作動」状態はon状態からoff状態になる)。さらに、メイン制御部は、メダルの払出完了を通知するコマンドである払出完了コマンドを送信する。
【0170】
時刻t12において、サブ制御部91は払出完了コマンドを受信している。払出完了コマンドを受信したときに総払出枚数が500枚を超えているため(総払出枚数は「503枚」)、総払出枚数が500枚を超えていることを報知する「特定演出」を実行する(「特定演出」がoff状態からon状態になる)。このとき、液晶表示器51には、総払出枚数が500枚を超えたことを報知する「500枚 OVER!」が表示される。なお、スピーカ53、54は既に払出音の出力を停止しているため、払出完了コマンドの受信により払出音の出力に影響を与えることはない。」
これらの記載によれば、本件特許の明細書には、「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、」「当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する」ことが記載されているといえる。
よって、訂正事項13は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(14)訂正事項14
訂正事項14は、訂正事項1~13による訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項14は、訂正事項1~13と同様に、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件
本件特許異議の申立ては、請求項1が申立ての対象であるから、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件は課されない。
5 まとめ
上記「1」~「4」で示したとおり、訂正事項1~14による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって,本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記「第2 訂正の適否」に記したように、本件訂正は認められることとなったので、訂正後の本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、次のとおりのものであると認める。また、下線は当審にて訂正事項に対して付し、A等の記号は当審にて分説して付与した。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技用価値を付与する付与手段と、
D 遊技用価値を貯留する貯留手段と、
E 遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段と、
F 前記付与音に対応して発光する発光手段とを備え、
G 前記付与手段は、
H 入賞を契機に遊技用価値を付与する入賞時付与手段と、
I 遊技者による精算操作に基づき前記貯留手段に貯留された遊技用価値を付与する精算時付与手段とを含み、
J 前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
R 前記音出力手段は、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該入賞時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間よりも長く出力する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与に対応する前記付与音を、当該精算時付与手段による遊技用価値の付与に要する時間に相当する時間出力し、
K 前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず、
L 前記精算時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
M 前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音を出力し、
N 前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
S 第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多く、
O 前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは出力時間が異なり、
T 前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短く、
P 前記発光手段は、前記第1入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第1発光態様で発光し、前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光し、
U 前記スロットマシンは、
V 前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段と、
W 前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段と、
X 前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段と、
Y 所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え、
W1 前記入賞付与数表示手段は、
W2 前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、
W3 前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開し、
X1 前記入賞付与数表示演出実行手段は、
X2 前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、
X3 前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行い、
Y1 前記特定演出実行手段は、
Y2 前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、
Y3 前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する、
Z スロットマシン。」
第4 特許異議の申立て及び取消理由通知について
1 特許異議の申立ての概要
特許異議申立人は、概略次の理由に基づき、本件訂正前の請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
(1)申立理由1(新規事項)
本件特許は、令和2年8月4日付け手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものである(同法第113条第1号)。
(2)申立理由2(進歩性)
本件特許発明は、甲第1号証~甲第4号証から容易に想到できるものであり、進歩性を有していない。
したがって、本件特許は特許法第29条第2項に違反してなされたものであるから取り消されるべきである(同法第113条第2号)。
<証拠方法>
特許異議申立人は、上記「(2)申立理由2(進歩性)」の主張を裏付ける証拠として、次のとおり、甲第1号証を主たる証拠とし、従たる証拠として甲第2号証~甲第4号証を提出した。
甲第1号証:特開2002-172198号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特開2015-112246号公報(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2009-61130号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:特開2008-17918号公報(以下「甲4」という。)
2 令和4年2月25日付け取消理由通知の概要
本件特許に対して令和4年2月25日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、当該通知を「取消理由通知1」という。)は、概略、次のとおりである。
理由1(新規事項)本件特許は、本件補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものである。
理由2(進歩性)本件訂正前の本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明及び甲2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 令和4年9月6日付け取消理由通知の概要
本件特許に対して令和4年9月6日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、当該通知を「取消理由通知2」という。)は、概略、次のとおりである。
理由3(明確性)本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
第5 当審合議体の判断
1 理由1(新規事項)
(1)補正内容
本件補正は、当初明細書等における請求項1に「第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第1入賞と異なる第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、」との記載で特定される構成を追加するものを含んでいる。
当該補正により、「付与音」を「異な」るという用語を用いて特定することにより、当該付与音について、音色・音程・音量といった属性が「異な」るものとすることが含まれることとなるから、当該補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとなったと認められる。
(2)本件訂正による訂正事項
これに対して、本件訂正の訂正事項2によって、上記補正により追加された事項が、「前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは出力時間が異なり、」と訂正された。
(3)判断
当初明細書等には、本件特許の明細書に記載された上記「第2 3(2)」に摘記した各段落と同じ事項が記載されている。してみると、当該訂正事項は上記「第2 3(2)」において論じたとおり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
(4)異議申立ての理由(申立理由1)について
異議申立人は申立書において、新規事項に係る主張として、取消理由通知1における理由1として指摘した点のほか、本件補正により、当初明細書等の特許請求の範囲の請求項1、2から「第3入賞」を削除した点を挙げている。
しかし、当初明細書等の【0236】に「また、本実施の形態においては、第1入賞~第3入賞の3つの入賞役について例に挙げたが、特に入賞役の数を3つに限定するものではない。入賞時の払出枚数が近い入賞役の一例として、第1入賞と第2入賞の2つの入賞役、または第2入賞と第3入賞を挙げたが、これに限らず、3つ以上の入賞役について払出音を共通化するものであってもよい。」と記載され、払出音を共通化する入賞役について、必ずしも「第1入賞」、「第2入賞」及び「第3入賞」の3つであることを必須としていない。それゆえ、特許請求の範囲において、入賞役の一部についての特定を削除しても、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
そして、新規事項に係るその余の主張は、上記(1)~(3)で検討したとおり、本件訂正により解消している。
したがって、申立理由1を採用することはできない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知1において通知された理由1に係る取消理由は解消され、また、特許異議申立人が申立てた申立理由1は採用できないため、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものではない。
したがって、本件特許は、特許法第113条第1号の規定により取り消されるべきものではない。
2 理由2(進歩性)
(1)本件訂正発明について
本件訂正発明は、上記「第3」において示したとおりのものである。
(2)甲1について
ア 記載事項
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1(平成14年6月18日出願公開)には、図面とともに下記の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。
(ア)「【0027】リール6L、6C、6Rの外周部には、「色なし7」、「色付き7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった図柄が所定の順序で描かれている。可変表示部5L、5C、5Rには、リール6L、6C、6Rの外周部に描かれた図柄が、上下三段に表示される。また、リール6L、6C、6Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリール位置検出センサ(図示せず)が設けられている。」
(イ)「【0030】ゲーム回数表示器25は、スロットマシン内部に設けられたビッグボーナスカウンタやレギュラーボーナスカウンタの値を表示し、ビッグボーナスやレギュラーボーナス中でのゲームの実行回数を表示する。クレジット表示器26は、コインの投入枚数に応じてスロットマシン1に加算記憶されたクレジット数を表示する。払出数表示器27は、入賞が成立した場合に付与されるコインの枚数を表示する。」
(ウ)「【0042】モータ回路56は、CPU46からの制御信号に従ってステッピングモータ用の駆動制御信号を出力することで、左、中、右リール駆動モータを駆動し、左、中、右リール6L、6C、6Rを回転/停止させる。モータ回路57は、CPU46からの制御信号に従って、内部のコイン流路に設けられたコイン払出モータを駆動して、コイン払出口29からコインの払い出しを行わせる。」
(エ)「【0053】この内部抽選の結果によって、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、小役当選フラグ、リプレイ当選フラグ、さらにビッグボーナス中ではJACIN当選フラグがRAM48内に設定されている場合に、各種の役、及びビッグボーナス中のJACINが発生可能となる。すなわち、リール6L、6C、6Rが停止させられたときに、可変表示装置5の賭数に応じて設定された有効ライン上に役図柄の入賞が可能となる。入賞の際には、コインの払い出しが行われると共に、入賞に伴って遊技状態が変化させられる。以下、こららの入賞と判定される”役”について説明する。」
(オ)「【0058】以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技動作について説明する。なお、以下の説明において”ゲーム”といった場合には、特に断りのない限り、コインの投入またはBETボタン73、74の押圧操作からリール6L、6C、6Rが停止して図柄の可変表示が停止するまでに行われる1回のゲームをいうものとする。このスロットマシン1では、ゲーム切替ボタン22の操作により、コインゲームとクレジットゲームのいずれかでゲームを進行することができる。」
(カ)「【0064】さらに、前回のゲーム終了から所定時間経過したことを条件として、CPU46は、I/Oポート49を介してモータ回路56に制御信号を送り、モータ回路56がリール駆動モータを駆動することによって、左、中、右の全てのリール6L、6C、6Rを回転開始させる(S106)。これにより、可変表示装置5上の図柄が可変表示される。なお、リール6L、6C、6Rを回転開始させる順序は、RAM48内に設定されている各種フラグの値などに従って変化させてもよい。」
(キ)「【0072】入賞判定処理が終了すると、CPU46は、所定の制御信号の出力によりコイン払出モータを制御し、コイン払出口29からコイン皿30に入賞判定処理の判定結果に応じた枚数のコインを払い出させる(S3)。但し、クレジットゲームの場合には、コインを払い出す代わりに、内部に蓄積するクレジット数を増加させる(但し、クレジット数の増加も、他の部分ではコインの払い出しと同じに扱われる)。」
(ク)「【0081】その後、CPU46は、I/Oポート49を介して演出制御部100に、クレジットの精算の開始を示す精算コマンドを送信する(S303)。さらに、所定の制御信号によりコイン払い出しモータを制御し、コイン払出口29からコイン皿30に、スロットマシン1内に蓄積されていたクレジット数と同じ枚数のコインを払い出す(S304)。クレジット数分のコインを払い出すと、CPU46は、I/Oポート49を介して演出制御部100に、クレジットの精算の終了を示す精算終了コマンドを送信する(S305)。そして、このフローチャートの処理を終了し、コインゲームによる通常の遊技の処理を再開させる。」
(ケ)「【0092】コイン払い出しコマンドであった場合には、CPU103は、サウンドジェネレータ107を制御することにより、所定の音声をスピーカ28から出力させて、入賞によるコインの払い出し(クレジットを蓄積する場合を含む)を報知する(S510)。そして、S501の処理に戻り、次のコマンドの受信を待機する。
【0093】コイン払い出し終了コマンドであった場合には、CPU103は、サウンドジェネレータ107を制御することによりスピーカ28から出力している音声を停止させて、(及びLED駆動回路109を制御することにより遊技効果LED24の発光を停止させて)、入賞によるコインの払い出しの報知を終了する(S511)。そして、S501の処理に戻り、次のコマンドの受信を待機する。
【0094】精算コマンドであった場合には、CPU103は、サウンドジェネレータ107を制御することにより、入賞によるコインの払い出しの場合とは異なる所定の音声をスピーカ28から出力させて、クレジットを精算し、コインを払い出す旨を報知する(S512)。この際、CPU103がLED駆動回路109を制御することにより、遊技効果LED24を所定の態様で発光させることで、光による報知を合わせて行ってもよい。そして、S501の処理に戻り、次のコマンドの受信を待機する。」
(コ)「【0098】スロットマシン1内のコイン収納庫(図示せず)内のコインの数が、収納限度数を越えようとしたときには、エラーの発生となる。この場合、エラー発生割り込み処理において遊技制御部45から演出制御部100に送信されたエラーコマンドにより、図11(a)に示すように、画像表示装置7上にエラーメッセージとして「E-1」と表示される。
【0099】スロットマシン1内に払い出しに必要なコインが不足し、所定時間以上コイン払い出しモータが空回りしたとき、或いはコイン払い出しモータが故障し、コインを払い出すことができないときにも、エラーの発生となる。この場合、エラー発生割り込み処理において遊技制御部45から演出制御部100に送信されたエラーコマンドにより、図11(b)に示すように、画像表示装置7上にエラーメッセージとして「E-2」と表示される。なお、このエラーは、S403におけるコイン払い出し終了コマンドまたは精算終了コマンドの送信の対象となる。」
(サ)「【0111】そして、コイン払い出しコマンドの送信タイミングは、入賞によるコインの払い出しの直前であり、コイン払出終了コマンドの送信タイミングは、入賞によるコインの払い出しが完了した直後である。このため、実質的に入賞状態となってからコインの払い出しに要する時間がどのように変化しても、入賞によるコインの払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行うことができる。
【0112】一方、精算コマンドの送信タイミングは、ゲーム切替ボタン22の操作によるクレジットの精算(切り替えボタン22の操作によるクレジットゲームからコインゲームへの切り替え)の指示の直後かつ精算すべきコインの払い出しの直前であり、精算終了コマンドの送信タイミングは、クレジット数分のコインの払い出しが完了した直後である。このため、実質的にクレジットの精算を指示してからクレジットの精算によるコインの払い出しが完了するまでの時間がどのように変化しても、クレジットが0となって払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行うことができる。」
(シ)「【0114】また、入賞によってコインを付与する(払い出しを含む)際に遊技制御部から演出制御部に送信するコマンドと、クレジットゲームからコインゲームへ切り替えてクレジットを精算してコインを払い出す際に送信するコマンドとを異なるものとしている。このため、入賞によってコインを付与する場合と、クレジットの精算によってコインの払い出す場合とで、出力される効果音の態様を異なるものとすることができる。」
(ス)「【0120】さらには、上記の実施の形態においてエラーが発生したときには、演出だけでなく、入賞によるコイン払い出しの効果音の出力も中断されていた。発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合、上記したように演出が再開されるだけでなく、入賞によるコイン払い出しの効果音の出力も再開されるものとしてもよい。コインの払い出し中にエラー解除コマンドを受信した場合は、CPU103は、コイン払い出しの中断を示す情報をRAM105内に一時的に設定すればよい。また、コイン払い出しの効果音を再開するのは、コイン払い出しの再開を示すコマンドが遊技制御部45から送られてきた場合としてもよい。クレジットの蓄積時の効果音の出力や、クレジット精算時の効果音の出力の中断、再開も同様に行うことができる。」
イ 認定事項
上記「ア(ス)」の記載によれば、エラーが発生したときに入賞によるコイン払い出しの効果音の出力は中断されるが、エラー解除コマンドを受信しても当該効果音の出力が再開されないことを前提として、当該効果音の出力を再開するようになしえることが付加的に示されている。
したがって、上記【0120】には、「エラーが発生したときに入賞によるコイン払い出しの効果音の出力は中断され」、かつ、「入賞によるコイン払い出しの効果音の出力を再開されるものではない」ことが記載されている(以下「認定事項ア」という。)。
一方、「クレジット精算時の効果音の出力の中断、再開も同様に行うことができる」との記載についてみると、エラーが発生したときには、クレジット精算時の効果音の出力が中断されること、および、発生したエラーが解除されるにあたって、クレジット精算時の効果音の出力を再開しないことと再開することとの双方があることにおいて、コイン払い出しの効果音の出力と「同様」となることが示されていると解される。
してみると、上記【0120】には、「エラーが発生したときにクレジット精算時の効果音の出力は中断され」、かつ、「クレジット精算時の効果音の出力が再開する」ことが記載されている(以下「認定事項イ」という。)。
イ 甲1に記載された発明
甲1には、上記記載事項「ア(ア)~(ス)」及び認定事項アおよびイを踏まえると、
「a 「色なし7」、「色付き7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった図柄の可変表示を行う可変表示部5L、5C、5R(【0027】、【0064】)を有し、
b 可変表示装置5上の図柄が可変表示し、リール6L、6C、6Rが停止して図柄の可変表示が停止すると、可変表示部5L、5C、5Rには、リール6L、6C、6Rの外周部に描かれた図柄が、上下三段に表示され、可変表示装置5の賭数に応じて設定された有効ライン上に役図柄の入賞が可能となるスロットマシン1(【0027】、【0053】、【0058】、【0064】)において、
c、g コイン払出口29からコインの払い出しを行わせるCPU46と(【0042】)、
d スロットマシン1内のコイン収納庫(【0098】)と、
e 入賞によるコインの払い出しを報知する所定の音声または精算によるコイン払い出しを報知する入賞によるコインの払い出しの場合とは異なる所定の音声を出力するスピーカ28(【0092】、【0094】)と、
f 所定の音声をスピーカ28から出力させて、コインを払い出す旨を報知する際、所定の態様で発光させる遊技効果LED24(【0093】、【0094】)を有し、
h CPU46は、入賞判定処理の判定結果に応じた枚数のコインを払い出させ(【0072】)、
i CPU46は、ゲーム切替ボタン22の操作によるクレジットの精算の指示により、スロットマシン1内のコイン収納庫のコインを払い出し(【0081】、【0098】、【0112】)、
j CPU46は、払い出しに必要なコインが不足し、コインを払い出すことができないときにエラーの発生となり、コイン払い出し終了コマンドを送信し、発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除されると、コイン払い出しの再開を示すコマンドを送り(【0081】、【0099】、【0120】)、
k スピーカ28は、入賞によるコインの払い出しが完了した直後にコイン払出終了コマンドが送信され、入賞によるコインの払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行い(【0092】、【0111】)、エラーが発生したときには、入賞によるコイン払い出しの効果音の出力も中断され、発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合、コイン払い出しの再開を示すコマンドを送り、入賞によるコイン払い出しの効果音の出力は再開されるものではなく(【0120】、認定事項ア)、
l CPU46は、払い出しに必要なコインが不足し、コインを払い出すことができないときにエラーの発生となり精算終了コマンドを送信し、発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合、コイン払い出しの再開を示すコマンドを遊技制御部45から送り、(【0081】、【0099】、【0120】)、
m スピーカ28は、クレジット数分のコインの払い出しが完了した直後に精算終了コマンドが送信され、クレジットが0となってコインの払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行い(【0094】、【0112】)、エラーが発生したときには、クレジット精算時のコイン払い出しの効果音の出力も中断され、発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合、コイン払い出しの再開を示すコマンドを送り、クレジット精算時のコイン払い出しの効果音の出力を再開し(【0120】、認定事項イ)、
n 入賞によってコインを付与する場合に出力される効果音と、クレジットの精算によってコインの払い出す場合に出力される効果音とで態様を異なるものとし(【0114】)、
w 入賞が成立した場合に付与されるコインの枚数を表示する払出数表示器27を有する(【0030】)、
z スロットマシン1(【0058】)。」(以下「甲1発明」という。)が記載されている。(なお、記号a等については、本件訂正発明の上記A等に概ね対応させて付与した。また、引用箇所の段落番号等を併記した。)
(3)甲2について
ア 記載事項
本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2(平成27年6月22日出願公開)には、図面とともに下記の記載がある。
(ア)「【0014】
本実施形態のスロットマシン1は、前面が開放した箱形の筐体1aの内部に各種の機器が設けられるとともに、筐体1aの前面に、ヒンジ2a(図2参照)を介して前面扉2が左右方向への片開き形式に開閉可能に設けられている。前面扉2の上部には、遊技に応じて表示による演出や情報表示を行うメイン表示器(画像表示装置、表示手段)3、音による演出を行うスピーカ(上スピーカ、下スピーカ)4、光による演出を行う枠発光装置7(パイロットランプ7a、上側発光装飾部7b等)が設けられている。」
(イ)「【0190】
そして、遊技制御装置50は、リール位置検出スイッチ54からのリール位置情報(具体的には、リール位置検出スイッチ54により検出されたリール6の回動位相等)に基づいて有効ライン上に停止表示された図柄組合せ態様が入賞当選フラグに対応するものであるか否かを判定することで入賞の成立を判定し、入賞が成立している場合に払出枚数情報をセットする入賞判定処理を実行する(ステップA1012)。
【0191】
その後、遊技制御装置50は、払出枚数情報に基づきクレジットの加算又はメダル払出装置63によるメダルの払い出しを行う払出制御処理(付与処理)を実行し(ステップA1013)、成立した条件に応じて図12(A)に示した遊技状態(通常状態、特別遊技状態(BB状態)、内部中状態(RT状態))の移行を制御する遊技状態更新処理を実行する(ステップA1014)。なお、リール回転開始処理が実行されてから、リール回転停止処理が終了するまでが1ゲームではなく、ステップA1013又はステップA1014の処理が終了するまでの間が1ゲームとなる。なお、遊技制御装置50は払出制御処理(付与処理)を実行するため、付与処理手段をなしている。」
(ウ)「【0620】
払出開始コマンドは当選役の種類を識別可能となっており、払出開始コマンドに対応する払出音(効果音)とは、当選役に対応する。具体的には、当選役が「ベルA」又は「ベルB」の場合には払出音1(「テロテロ・・・テロ」)、当選役が「スイカ」又は「チェリー」の場合には払出音2(「デンデン・・・デン」)、当選役がリプレイ系(擬似Bリプ1・2、ベルリプA・B、チェリーリプ、リプレイ)の場合には払出音3(「ペペッ」)、当選役が「1枚役A」又は「1枚役B」の場合には払出音4(「ピロロンッ」)となる。なお、リプレイ系の場合には払出音ではなく、払出報知ランプ16を点滅させずに、入賞音という形で音を出力するようにしてもよい。
【0621】
続いて、演出制御装置70は、実際の払出が開始されたか否かを判定する(ステップB2606)。実際の払出とは、クレジットに加算中ではなく、メダル払出装置(ホッパー)63によって実際にメダル払出口28からメダルが払い出されることである。演出制御装置70は、実際の払出が開始された場合には(ステップB2606の結果が「Y」)、払出報知ランプ16の点滅(報知演出の一種)を開始する(ステップB2607)。払出報知ランプ16の点滅パターンは、当選した賞役にかかわらず共通であるが、賞役毎に異ならせるようにしてもよい。なお、払出報知ランプは実払出の場合のみでクレジットへの加算時には点滅させないようにしているが、クレジットへの加算も含む払出期間に亘って点滅させるようにしてもよい。」
イ 甲2記載の技術事項
上記「ア(ア)~(ウ)」からみて、甲2には、以下の技術事項が記載されている(以下「甲2記載の技術事項」という。)。
「遊技制御装置50が入賞判定処理を実行し(【0190】)、メダル払出装置63によるメダルの払い出しを行う払出制御処理を実行し(【0191】)、払出開始コマンドに対応する払出音として、当選役が「ベルA」の場合には払出音1(「テロテロ・・・テロ」)、当選役が「スイカ」の場合には払出音2(「デンデン・・・デン」)を出力し(【0620】)、払出が開始されると払出報知ランプ16の点滅を開始し、払出報知ランプ16の点滅パターンを賞役毎に異ならせる(【0621】)、スロットマシン1(【0014】)。」
(4)対比・判断
ア 本件訂正発明と甲1発明との対比
(ア)構成Aについて
甲1発明の構成aの「「色なし7」、「色付き7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった図柄」、「可変表示を行う」こと、「可変表示部5L、5C、5R」は、それぞれ本件訂正発明の構成Aの「各々が識別可能な複数種類の識別情報」、「変動表示可能」、「可変表示部」に相当する。
よって、甲1発明の構成aは、本件訂正発明の構成Aに相当する構成を有している。
(イ)構成Bについて
甲1発明の構成bの「可変表示装置5上の図柄が可変表示し、リール6L、6C、6Rが停止して図柄の可変表示が停止する」ことは、本件訂正発明の構成Bの「可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止すること」に相当する。
また、甲1発明の構成bの「可変表示部5L、5C、5Rには、リール6L、6C、6Rの外周部に描かれた図柄が、上下三段に表示され」、「可変表示装置5の賭数に応じて設定された有効ライン上に役図柄の入賞が可能となる」こと、「スロットマシン1」は、それぞれ本件訂正発明の構成Bの、「表示結果を導出し」、「表示結果に応じて入賞が発生可能」、「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明の構成bは、本件訂正発明の構成Bに相当する構成を有している。
(ウ)構成C、Gについて
甲1発明の構成c、gの「コイン払出口29からコインの払い出しを行わせ」ること、「CPU46」は、本件訂正発明の構成CおよびGの「遊技用価値を付与する」こと、「付与手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成c,gは、本件訂正発明の構成CおよびGに相当する構成を有している。
(エ)構成Dについて
甲1発明の構成dの「スロットマシン1内のコイン収納庫」は、本件訂正発明の構成Dの「遊技用価値を貯留する貯留手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成dは、本件訂正発明の構成Dに相当する構成を有している。
(オ)構成Eについて
甲1発明の構成eの「入賞によるコインの払い出しを報知する所定の音声または精算によるコイン払い出しを報知する入賞によるコインの払い出しの場合とは異なる所定の音声」、「出力する」、「スピーカ28」は、それぞれ本件訂正発明の構成Eの「遊技用価値の付与に対応する付与音」、「出力可能な」、「音出力手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成eは、本件訂正発明の構成Eに相当する構成を有している。
(カ)構成Fについて
甲1発明の構成fの「遊技効果LED24」は、本件訂正発明の構成Fの「発光手段」に相当し、当該「遊技効果LED24」を「所定の音声をスピーカ28から出力させて、コインを払い出す旨を報知する際、所定の態様で発光させる」ことは、本件訂正発明の構成Fにおいて「付与音に対応して発光する」ことに相当する。
よって、甲1発明の構成fは、本件訂正発明の構成Fに相当する構成を有している。
(キ)構成Hについて
甲1発明の構成hの「入賞判定処理の判定結果に応じた枚数のコインを払い出させる」こと、「CPU46」は、それぞれ本件訂正発明の構成Hの「入賞を契機に遊技用価値を付与する」こと、「入賞時付与手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成hは、本件訂正発明の構成Hに相当する構成を有している。
(ク)構成Iについて
甲1発明の構成iの「ゲーム切替ボタン22の操作によるクレジットの精算の指示」、「スロットマシン1内のコイン収納庫のコイン」、「払い出す」、「CPU46」は、それぞれ本件訂正発明の構成Iの「遊技者による精算操作」、「貯留手段に貯留された遊技用価値」、「付与する」、「精算時付与手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成iは、本件訂正発明の構成Iに相当する構成を有している。
(ケ)構成Jについて
甲1発明の構成jの「CPU46」、「払い出しに必要なコインが不足し、コインを払い出すことができないとき」は、それぞれ本件訂正発明の構成Jの「入賞時付与手段」、「遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたとき」に相当する。
また、甲1発明の構成jの「発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除されると、コイン払い出しの再開を示すコマンドを送」ることは、本件訂正発明の構成Jの「エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成jは、本件訂正発明の構成Jに相当する構成を有している。
(コ)構成Kについて
甲1発明の構成kにおける「スピーカ28」、「入賞によるコインの払い出しが完了した直後にコイン払出終了コマンドが送信され、入賞によるコインの払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行」うことは、本件訂正発明の構成Kにおける「音出力手段」、「エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する」ことに相当する。
また、甲1発明の構成kにおいて、「発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合」に「コイン払い出しの再開を示すコマンドを送」ることは、本件訂正発明の構成Kの「入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開され」ることに相当する。
そして、甲1発明の構成kにおける「入賞によるコイン払い出しの効果音の出力は再開されるものではな」いことは、本件訂正発明の構成Kの「付与音の出力を再開させ」ないことに相当する。
したがって、甲1発明の構成kは、本件訂正発明の構成Kに相当する構成を有している。
(サ)構成Lについて
甲1発明の構成lの「CPU46」、「払い出しに必要なコインが不足し、コインを払い出すことができないとき」は、それぞれ本件訂正発明の構成Lの「精算時付与手段」、「遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたとき」に相当する。
また、甲1発明の構成lの「発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除されると、コイン払い出しの再開を示すコマンドを送」ることは、本件訂正発明の構成Lの「エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成1は、本件訂正発明の構成Lに相当する構成を有している。
(シ)構成Mについて
甲1発明の構成mにおける「スピーカ28」、「クレジット数分のコインの払い出しが完了した直後にコイン払出終了コマンドが送信され、クレジットが0となってコインの払い出しが完了するまでの期間、効果音の出力による報知を継続的に行」うことは、本件訂正発明の構成Mにおける「音出力手段」、「エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する」ことに相当する。
また、甲1発明の構成mにおいて、「発生したエラーがエラー解除コマンドの受信などによって解除された場合」に「コイン払い出しの再開を示すコマンドを送」ることは、本件訂正発明の構成Mの「精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開され」ることに相当し、甲1発明の構成mの「クレジット精算時のコイン払い出しの効果音の出力を再開」することは、本件訂正発明の構成Mの「付与音を出力」することに相当する。
よって、甲1発明の構成mは、本件訂正発明の構成Mに相当する構成を有している。
(ス)構成Nについて 甲1発明の構成nの「入賞によってコインを付与する場合に出力される効果音」、「クレジットの精算によってコインの払い出す場合に出力される効果音」、「態様を異なるものとする」ことは、それぞれ本件訂正発明の構成Nの「入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音」、「精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音」、「異な」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成nは、本件訂正発明の構成Nに相当する構成を有している。
(セ)構成Wについて
甲1発明の構成wの「入賞が成立した場合に付与されるコインの枚数を表示する払出数表示器27」は、本件訂正発明の「入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段」に相当する。
(ソ)構成U及びZについて
甲1発明の構成zの「スロットマシン1」は、本件訂正発明の構成U及び構成Zの「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明の構成zは、本件訂正発明の構成U及び構成Zに相当する構成を有している。
イ 一致点、相違点
上記「ア(ア)~(ソ)」からみて、本件訂正発明と甲1発明とは、
[一致点]
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技用価値を付与する付与手段と、
D 遊技用価値を貯留する貯留手段と、
E 遊技用価値の付与に対応する付与音を出力可能な音出力手段と、
F 前記付与音に対応して発光する発光手段とを備え、
G 前記付与手段は、
H 入賞を契機に遊技用価値を付与する入賞時付与手段と、
I 遊技者による精算操作に基づき前記貯留手段に貯留された遊技用価値を付与する精算時付与手段とを含み、
J 前記入賞時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
K 前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音の出力を再開させず、
L 前記精算時付与手段は、遊技用価値の付与が完了する前にエラー状態が発生することによって遊技用価値の付与が中断されたときには、当該エラー状態の解除後に遊技用価値の付与を再開させ、
M 前記音出力手段は、エラー状態が発生しないときには前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了に関連するタイミングに応じて前記付与音の出力を完了する一方で、前記精算時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に発生したエラー状態の解除後に当該遊技用価値の付与が再開されたときには前記付与音を出力し、
N 前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記精算時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは異なり、
U 前記スロットマシンは、
W 前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示手段を備える、
Z スロットマシン。」
である点で一致し、下記の点で相違する。
[相違点1](構成O、構成P)
本件訂正発明が、「前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音と、前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音とは出力時間が異なり、」(構成O)、「前記発光手段は、前記第1入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第1発光態様で発光し、前記第2入賞が発生したときに出力される前記付与音に対応して第2発光態様で発光する」(構成P)ものであるのに対して、甲1発明では、「第1入賞」および「第2入賞」、および、それぞれの入賞の種別に対応した「付与音」や「発光態様」に係る構成を備えていない点。
[相違点2](構成S)
本件訂正発明が、「第1入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値は前記第1入賞と異なる第2入賞が発生したときに前記入賞時付与手段により付与される遊技用価値よりも多」いものであるのに対して、甲1発明は、「入賞判定処理の判定結果に応じた枚数のコインを払い出させ」るものである点。
[相違点3](構成T)
本件訂正発明が、「前記第2入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間は、前記第1入賞が発生して前記入賞時付与手段により遊技用価値が付与されるときに出力される前記付与音の出力時間よりも短」いものであるのに対して、甲1発明は、「入賞によるコインの払い出しを報知する所定の音声」「を出力する」ものである点。
[相違点4](構成V)
本件訂正発明が、「前記精算時付与手段による遊技用価値の付与の完了を報知する精算完了報知手段を」備えるのに対して、甲1発明は当該構成を有していない点。
[相違点5](構成W1~W3)
本件訂正発明が、「前記入賞付与数表示手段は、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断し、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、遊技用価値の付与が中断されたときに表示していた数より遊技用価値の数の更新を再開」するものであるのに対して、甲1発明は「払出数表示器27」が、「入賞が成立した場合に付与されるコインの枚数を表示する」ものである点。
[相違点6](構成X、構成X1~X3)
本件訂正発明が、「前記入賞時付与手段により付与された遊技用価値の数を表示する入賞付与数表示演出を実行する入賞付与数表示演出実行手段」を備え、「前記入賞付与数表示演出実行手段は、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与にもとづいて、1ずつ遊技用価値の数を更新して表示し、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、遊技用価値の数の更新を中断せずに行」うものであるのに対して、甲1発明は当該構成を備えていない点。
[相違点7](構成Y、構成Y1~Y3)
本件訂正発明が、「所定時間にわたる特定演出を実行する特定演出実行手段とをさらに備え」、「前記特定演出実行手段は、」「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行し、」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する」ものであるのに対して、甲1発明は当該構成を備えていない点。
ウ 判断
事案に鑑み、相違点7について検討する。
上記甲2記載の技術事項は、「前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了した後に、前記特定演出を実行」する「特定演出実行手段」、及び、「特定演出実行手段」「前記入賞時付与手段による遊技用価値の付与が完了する前に遊技用価値の付与が中断されるときは、前記入賞付与数表示演出による遊技用価値の数の更新が完了しても前記特定演出を実行せず、当該遊技用価値の付与が中断したことにもとづいて制御されたエラー状態の解除後に、前記特定演出を実行する」との構成を備えていない。
そうすると、相違点1~6について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1発明及び甲2記載の技術事項に基いて当業者が容易に想到しうるものではない。
(5)異議申立ての理由(申立理由2)について
異議申立人は申立書において、進歩性に係る主張として、取消理由通知1における理由2として引用した甲1及び甲2のほか、証拠として、甲3及び甲4を提出しているが、甲3及び甲4にも、当該相違点7に係る本件訂正発明の構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、申立理由2を採用することはできない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、甲1発明、甲2記載の技術事項、甲3及び甲4に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、本件特許は、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものではない。
3 理由3(明確性)
上記取消理由通知2において通知した取消理由(理由3(明確性要件))で指摘した記載不備は本件訂正により削除された。
これによって、取消理由通知2において通知された取消理由は解消されたため、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものではない。
したがって、本件特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消されるべきものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知1及び2に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701072