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特許異議申立

2019-700673

スロットマシン

審判番号
2019-700673
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-037393
登録番号
特許第6474440号(P6474440)
請求日
2019年08月27日
審決日
2020年09月08日
公報発行日
2020年12月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社三共
  • 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
  • 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 ▲吉▼川 康史
  • 審判官 鉄 豊郎
  • 審判官 ▲高▼橋 祐介
分類
P1651.121-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F) / P1651.55 -YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第113条第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6474440号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6474440号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について、訂正することを認める。 特許第6474440号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6474440号の請求項1及び2に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年2月28日に特許出願されたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 平成31年 2月 8日:特許権の設定登録 平成31年 2月27日:特許掲載公報発行 令和 1年 8月27日:特許異議の申立て(特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社) 令和 1年10月18日:取消理由通知書 令和 1年12月24日:訂正請求書及び意見書 令和 1年12月27日:通知書(訂正請求があった旨の通知) 令和 2年 2月10日:意見書(特許異議申立人) 令和 2年 3月 3日:取消理由通知書(決定の予告) 令和 2年 4月30日:上申書(特許異議申立人) 令和 2年 4月30日:訂正請求書(以下この訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求によりなされた訂正を「本件訂正」という。)及び意見書 令和 2年 6月 2日:通知書(訂正請求があった旨の通知) 令和 2年 7月 8日:意見書(特許異議申立人) 第2 訂正の適否 本件訂正請求書は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。 1 訂正請求の内容 本件訂正は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正する以下のとおりのものである。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。 なお、令和1年12月24日付け訂正請求書によりなされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許権者は、本件特許の請求項1に、 「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」とあったものを、 「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」と訂正することを請求する。 (2)訂正事項2 特許権者は、本件特許の請求項1に、 「付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である所定状態、および当該所定状態とは異なる特定状態を含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御する状態制御手段と、」とあったものを、 「付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、」と訂正することを請求する。 (3)訂正事項3 特許権者は、本件特許の請求項1に、 「前記特定状態中に更新される値を計数する計数手段と」とあったものを、 「前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、」と訂正することを請求する。 (4)訂正事項4 特許権者は、上記訂正事項3で訂正された請求項1の「・・・計数手段と、」の後に、 「表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 前記有利区間中に点灯可能なランプと、」を加える訂正をすることを請求する。 (5)訂正事項5 特許権者は、本件特許の請求項1の「・・・を備え、」の後に、 「前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、」を加える訂正をすることを請求する。 (6)訂正事項6 特許権者は、本件特許の請求項1に、 「前記特定状態は、前記付与率が1以上である第1特定状態、および前記付与率が1未満であって前記所定状態に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2特定状態を含み、」とあったものを、 「前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、」と訂正することを請求する。 (7)訂正事項7 特許権者は、本件特許の請求項1の「・・・を含み、」の後に、 「前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、」を加える訂正をすることを請求する。 (8)訂正事項8 特許権者は、本件特許の請求項1に、 「前記状態制御手段は、前記特定状態中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときに前記所定状態に制御する、」とあったものを、 「前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、」と訂正することを請求する。 (9)訂正事項9 特許権者は、本件特許の請求項2に、 「前記特定状態の制御中に点灯可能なランプをさらに備え、 前記計数手段によって計数された値が前記特定値未満であるときには、前記特定状態に関わる特定処理が実行され、 前記計数手段によって計数された値が前記特定値以上であるときには、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記特定状態に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行される、請求項1に記載のスロットマシン。」とあったものを、 「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間および第3有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが高い第4有利区間および第5有利区間と、内部抽選における小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となる第6有利区間とを含み、 前記計数手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中、当該第2有利区間中、当該第3有利区間中、当該第4有利区間中、当該第5有利区間中、および当該第6有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、スロットマシン。」と訂正することを請求する。 (10)訂正事項10 特許権者は、本件特許の願書に添付した【0008】に、 「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段(たとえば、メイン制御部41が実行する払出処理)と、 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である所定状態(たとえば、図9に示す初期区間)、および当該所定状態とは異なる特定状態(たとえば、図9に示す有利区間)を含む複数種類の状態のうちのいずれかに制御する状態制御手段(たとえば、メイン制御部41が実行する通常区間処理および有利区間処理)と、 前記特定状態中に更新される値(たとえば、ゲーム数)を計数する計数手段(たとえば、有利区間中における消化ゲーム数をカウントするメイン制御部41)とを備え、 前記特定状態は、前記付与率が1以上である第1特定状態(たとえば、図9に示すAT)、および前記付与率が1未満であって前記所定状態に比べて特典(たとえば、AT)の付与に関する有利度合いが低い第2特定状態(たとえば、AT当選確率が初期区間中よりも低い図9に示す地獄区間および低確区間)を含み、 前記状態制御手段は、前記特定状態中に前記計数手段が計数した値が特定値(たとえば、1500ゲーム)となったときに前記所定状態に制御する(たとえば、図15に示す有利区間終了処理において、クリアカウンタが1500を超えることでステップS60でNOの場合に、通常区間移行処理を実行する)。 上記スロットマシンは、 前記特定状態の制御中に点灯可能なランプをさらに備え、 前記計数手段によって計数された値が前記特定値未満であるときには、前記特定状態に関わる特定処理が実行され、 前記計数手段によって計数された値が前記特定値以上であるときには、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記特定状態に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行される。」とあったものを、 「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段(たとえば、メイン制御部41が実行する払出処理)と、 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間(たとえば、図9に示す初期区間)、および当該初期区間とは異なる有利区間(たとえば、図9に示す有利区間)を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段(たとえば、メイン制御部41が実行する通常区間処理および有利区間処理)と、 前記有利区間中に更新される値(たとえば、ゲーム数)を計数する計数手段(たとえば、有利区間中における消化ゲーム数をカウントするメイン制御部41)と、 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間(たとえば、図9に示すAT)、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典(たとえば、AT)の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間(たとえば、AT当選確率が初期区間中よりも低い図9に示す地獄区間および低確区間)を含み、 前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値(たとえば、1500ゲーム)となったときにも前記初期区間に制御する(たとえば、図15に示す有利区間終了処理において、クリアカウンタが1500を超えることでステップS60でNOの場合に、通常区間移行処理を実行する)。 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間および第3有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが高い第4有利区間および第5有利区間と、内部抽選における小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となる第6有利区間とを含み、 前記計数手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中、当該第2有利区間中、当該第3有利区間中、当該第4有利区間中、当該第5有利区間中、および当該第6有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する。」と訂正することを請求する。 2 訂正要件についての判断 (1)訂正事項1 本件特許の明細書の【0002】、【0008】、【0026】及び【0032】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」について、「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え」る点、及び「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能」である点を限定するものである。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項1の「所定状態」は、本件特許の明細書に記載された「待機区間」を含むのか否か不明であったため、「通常区間」のうちの「初期区間」に限定するとともに、「待機区間」を含まないことを明瞭にする目的で、訂正前の「所定状態」を「初期区間」としたものである。 また、訂正前の請求項1の「特定状態」は、本件特許の明細書に記載された「待機区間」を含むのか否か不明であったため、「有利区間」に限定するとともに、「待機区間」を含まないことを明瞭にする目的で、訂正前の「特定状態」を「有利区間」としたものである。 そして、訂正事項2に係る訂正は、本件特許の明細書の【0008】、【0089】、【0090】、【0161】及び図9の記載に基づくものである。 (3)訂正事項3 上記(2)と同様の目的で、本件特許の明細書の【0008】、【0084】及び【0131】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「特定状態」を「有利区間」とするとともに、「計数手段と」の後に読点を加えたものである。 (4)訂正事項4 本件特許の明細書の【0008】、【0010】、【0027】、【0029】、【0040】、【0041】、【0055】、【0057】及び【0130】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」について、「表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、前記有利区間中に点灯可能なランプと、」を備える点を限定するものである。 (5)訂正事項5 本件特許の明細書の【0010】、【0030】、【0044】ないし【0046】、【0069】、【0089】、【0090】及び【0130】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「スロットマシン」について、「前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、」を加えて限定するものである。 (6)訂正事項6 上記(2)と同様の目的で、訂正前の「特定状態」を「有利区間」としたものである。 また、訂正前の請求項1の「前記付与率が1以上である第1特定状態、および前記付与率が1未満であって前記所定状態に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2特定状態を含み、」を「前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、」と下位概念に限定するものである。 そして、訂正事項6に係る訂正は、本件特許の明細書の【0008】、【0077】、【0091】、【0093】、【0130】及び図14の記載に基づくものである。 (7)訂正事項7 本件特許の明細書の【0008】、【0084】、【0091】、【0093】、【0131】及び図14の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「計数手段」が「前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数」する点を限定するものである。 また、本件特許の明細書の【0008】、【0069】、【0084】、【0091】、【0093】、【0097】、【0118】、【0130】、【0132】、【0133】、【0140】、図9、図14及び図15の記載に基づいて、訂正前の「スロットマシン」について、「前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され」る点を加えて限定するものである。 特に、本件特許の明細書の例えば【0008】に「前記状態制御手段は、前記特定状態中に前記計数手段が計数した値が特定値(たとえば、1500ゲーム)となったときに前記所定状態に制御する(たとえば、図15に示す有利区間終了処理において、クリアカウンタが1500を超えることでステップS60でNOの場合に、通常区間移行処理を実行する)。」と、また、【0097】に「メイン制御部41は、有利区間に制御された期間が1500ゲームに達したときは、通常区間における初期区間に制御する。」と記載されているように、第1及び第2有利区間を含む有利区間は、該有利区間に制御された期間が1500ゲーム(特定値)に達したときに終了することを前提としているものである。そうすると、訂正事項7のうち、「前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、」との特定事項は本件特許の明細書に記載された事項のものであり、新たな技術的事項を導入するものでもない。 (8)訂正事項8 上記(2)と同様の目的で、訂正前の「特定状態」を「有利区間」とし、たものである。 また、本件特許の明細書の【0008】、【0084】、【0090】、【0091】、【0093】、【0095】、【0097】、【0132】及び【0140】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「前記状態制御手段は、前記特定状態中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときに前記所定状態に制御する、」を「前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、」と限定するものである。 特に、本件特許の明細書に「【0090】・・・設定変更後に制御される初期区間」、「【0095】・・・初期区間中にBB1に入賞した場合は、次ゲームからBB1に制御され、BB1の終了条件が成立するまでBB1に制御された後、初期区間に制御される。」と記載されているように、計数手段が計数した値が特定値となったとき以外にも、設定値の変更後やBB1終了後等に初期区間に制御することがあり得るのであるから、訂正事項8のうち、「前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する」との特定事項は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内のものであり、新たな技術的事項を導入するものでもなく、本件訂正後の請求項1の「前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間」(訂正事項5)との記載と整合させたものであり、この点からも、明瞭でない記載を釈明したものといえる。 (9)訂正事項9 訂正事項9は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項に書き改めるための訂正である。 また、訂正事項9は、当該請求項間の引用関係の解消を前提として、訂正事項1ないし8と同様の訂正を含むものであるから、訂正事項1ないし8と同様の訂正に関しては、訂正の目的と根拠も訂正事項1ないし8と同様である。 それに加え、訂正事項9のうち、「前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間および第3有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが高い第4有利区間および第5有利区間と、内部抽選における小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となる第6有利区間とを含み、」との特定事項及び「第1有利区間」ないし「第6有利区間」の記載を含む訂正事項9中の他の特定事項については、本件特許の明細書の【0008】、【0038】、【0041】、【0067】、【0084】、【0091】、【0093】、【0097】、【0118】、【0130】ないし【0132】、【0140】、【0226】、図9、図14及び図15の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「有利区間」を「第1有利区間」ないし「第6有利区間」を含むものに限定するものである。 (10)訂正事項10 訂正事項10は、訂正事項1ないし9に係る訂正により、本件特許の明細書の【0008】の記載が、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (11)上記(1)ないし(10)のとおりであるから、請求項1、2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明及び請求項間の引用関係を解消することを目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (12)訂正における一群の請求項の存否 訂正事項1ないし10に係る、訂正前の請求項1、2について、請求項2は請求項1の記載を引用するものであって、請求項1、2は一群の請求項であり、訂正事項1ないし8によって記載が訂正される請求項1に連動して請求項2が訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1、2に対応する訂正後の請求項1、2は、一群の請求項である。 ただし、特許権者は、請求項2の訂正が認められる場合には、訂正後の請求項2を一群の請求項のうちの請求項1とは別途訂正することを求めている。 (13)小括 上記(1)ないし(12)のとおり、本件訂正請求による訂正事項1ないし10は、特許法第120条の5第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とし、同条第4項の規定に適合し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1、2について訂正を認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項1、2について本件訂正が認められるから、請求項1及び2に係る特許は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1及び2に係る発明をそれぞれ「本件発明1」、「本件発明2」といい、本件発明1及び2を総称して「本件発明」という。)。なお、記号1A等は、分説するため合議体が付した。 【請求項1】 1A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 1B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 1C 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 1D 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 1E 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 1F 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 1G 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 1H 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 1I 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 1J 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 1K 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 1L 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 1M 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 1N 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、 1O 前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 1P 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 1Q 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、 1R 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、 1S スロットマシン。 【請求項2】 2A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 2B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 2C 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 2D 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 2E 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 2F 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 2G 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 2H 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 2I 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 2J 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 2K 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 2L 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 2M 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 2N 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間および第3有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが高い第4有利区間および第5有利区間と、内部抽選における小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となる第6有利区間とを含み、 2O 前記計数手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中、当該第2有利区間中、当該第3有利区間中、当該第4有利区間中、当該第5有利区間中、および当該第6有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 2P 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 2Q 前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され、 2R 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、 2S スロットマシン。 第4 特許異議の申立てについて 1 特許異議の申立ての概要 特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおりである。 (1)(新規事項)本件特許は、平成30年5月23日付け手続補正書でした補正が、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものであるから、特許法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (3)(新規性)本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」といい、同様に、請求項2に係る発明を「本件特許発明2」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4)(進歩性)本件特許発明1及び2は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1ないし4号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 記 ●理由(1)(新規事項)について 上記補正により本件特許発明1で特定された「所定状態、および当該所定状態とは異なる特定状態」に係る事項は、当初明細書等に記載も示唆もない上に、当初明細書等の記載から当業者にとって自明であるともいえないから、平成30年5月23日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。 ●理由(2)(サポート要件)について 上記理由(1)のとおり、本件特許発明1で特定された「所定状態、および当該所定状態とは異なる特定状態」に係る事項は、当初明細書等に記載も示唆もされていない上に、当初明細書等の記載から当業者にとって自明であるともいえないから、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 ●理由(3)(新規性)及び理由(4)(進歩性)について 甲第1号証:特開2016-193129号公報 甲第2号証:特開2014-204927号公報 甲第3号証:特開2014-50444号公報 甲第4号証:特許第6064189号公報 なお、特許異議申立人は、令和2年2月10日に、意見書とともに、さらに、以下の証拠を提出している。 甲第5号証:特開2017-12883号公報 甲第6号証:特開2005-50540号公報 各甲号証を、以下「甲1」等と略して示す。 本件特許発明1は、甲1に記載された発明であるか、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 本件特許発明2は、甲1に記載された発明、甲4の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 2 令和2年3月3日付け取消理由通知(決定の予告)の概要 決定の予告の理由の概要は以下のとおりである。 (1)(進歩性)令和1年12月24日提出の訂正請求書により訂正された請求項1に係る発明(以下「訂正発明1」といい、同様に、請求項2に係る発明を「訂正発明2」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1ないし4号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)(サポート要件)本件特許は、令和1年12月24日提出の訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 記 ●理由(1)(進歩性)について 訂正発明1は、甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 ●理由(2)(サポート要件)について 令和1年12月24日提出の訂正請求書による訂正後の明細書に、「AT」(第1有利区間)及び「低確区間および地獄区間」(第2有利区間)のみで1500ゲーム(特定値)に達した際に初期区間に制御することは、記載も示唆もされていないから、訂正発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 第5 当合議体の判断 1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 1-1 理由1(特許法第29条第2項)について 1-1-1 各甲号証の記載事項 (1)甲1 本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、上記取消理由通知(決定の予告)で引用された甲1(特開2016-193129号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。 【背景技術】 【0002】 スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれたリールを有する可変表示装置を備えており、規定の賭数が設定された状態でスタート操作されることによりリールが回転開始し、停止操作されることによりリールが停止し、リールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた入賞図柄の組合せ(たとえば、7-7-7、以下、図柄の組合せを役ともいう)が導出されることにより入賞が発生する。 【0003】 役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止した場合には、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出される。特別役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止した場合には、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態に制御される。再遊技役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止(以下、「再遊技表示結果が導出」などともいう)した場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。 【0004】 このようなスロットマシンの中には、通常状態よりもメダルの付与率(賭数の設定のために消費したメダルの枚数に対する払い出されたメダルの枚数の比率)が低い状態であるボーナス状態に制御することが可能であり、ボーナス状態に制御するための図柄の組合せが停止したときには、次のゲームを実施するように遊技者に促すスロットマシンがあった(たとえば、特許文献1参照)。 ・・・略・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上記のようなスロットマシンにおいては、ボーナス状態の1ゲーム目を消化してしまうと、その後のボーナス状態中においては単にゲームを消化するだけになってしまい、遊技の興趣が低下してしまう虞があった。 【0007】 この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、通常状態よりも付与率の低い状態であっても遊技の興趣を向上させることができるスロットマシンを提供することである。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0039】 本発明に係るスロットマシンを実施するための形態の一例を実施の形態に基づいて以下に説明する。 【0040】 [スロットマシンの構成] 本実施の形態のスロットマシン1は、図2に示すように、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。 【0041】 本実施の形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L,2C,2R(以下、左リール,中リール,右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L,2C,2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。 ・・・略・・・ 【0043】 各リール2L,2C,2Rは、各々対応して設けられたリールモータ32L,32C,32R(図4参照)によって回転されることで、各リール2L,2C,2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示される一方で、各リール2L,2C,2Rの回転が停止されることで、3つの連続する図柄が表示結果として透視窓3に導出表示される。 ・・・略・・・ 【0046】 前面扉1bには、図1に示すように、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施の形態では、規定数として3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L,2C,2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。」 ウ 「【0054】 さらに、前面扉1bの内側には、ボーナスやAT(Assist Time)状態の終了時に打止状態に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36aが設けられている。AT状態とは、所定の入賞を発生させるためにストップスイッチ8L,8C,8Rの押し順が遊技者に報知される演出状態である。ATには、後述するAT抽選でATゲーム数を獲得したことを条件に制御される。AT状態では、1ゲームあたりのメダルの払出率(賭数の設定のために消費したメダルの枚数に対する払い出されたメダルの枚数の比率)が1以上となる。このため、AT状態は遊技者にとって有利な状態であり、さらに、ATに制御される権利となるATゲーム数は遊技者にとって有利な特典である。」 エ 「【0059】 本実施の形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインLN(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施の形態では、規定数の賭数として3枚が定められ、規定数の賭数が設定されると入賞ラインLNが有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。 【0060】 入賞ラインとは、各リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが小役や再遊技役などの図柄組合せであるかを判定するために設定されるラインである。なお、本実施の形態においては、これらの役を「入賞役」や「入賞」ともいい、いずれかの役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止することを、入賞する、入賞が発生するなどともいう。たとえば、再遊技役を構成する図柄組合せが入賞ライン上に導出されたときには、遊技者がメダルを用いて賭数を設定することなく次のゲームを行うことが可能なリプレイゲームが作動する。再遊技役を構成する図柄組合せが入賞ライン上に導出されることを再遊技入賞(リプレイ入賞)が発生するともいう。」 オ 「【0065】 全てのリール2L,2C,2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインLN上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役ともいう)が各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生する。入賞が発生すると、その入賞に応じて定められた数のクレジットが加算される。クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルがメダル払出口9(図2参照)から払い出される。入賞ラインLN上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行する。」 カ 「【0091】 [設定値] 本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1~6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。 【0092】 設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。」 キ 「【0108】 内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L,2C,2Rの表示結果が導出表示される以前(実際には、スタートスイッチ7の検出時)に決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0~11119の整数)を取得する。RAM41cの所定領域には、判定値テーブルが格納されている。0~11119の判定値の範囲内で定められた各役に対応する判定値の範囲(判定値数)は、判定値テーブルによって特定可能である。メイン制御部41は、取得した乱数値と判定値テーブルにより特定される各役の判定値の範囲とに応じて入賞を許容するか否かの判定を行う。」 ク 「【0166】 [遊技状態の遷移] 本実施の形態では、図6に示すように、通常状態、BB1内部中、BB1、およびBB2のいずれかに遊技状態が制御される。 【0167】 通常状態は、BB1およびBB2のいずれの当選フラグも持ち越されていない状態であり、BB1またはBB2の終了後に移行する。通常状態は、ゲーム数に関わらず、BB1に当選したときに、BB1に入賞して遊技状態がBB1に移行するか、もしくはBB1に入賞せずに遊技状態がBB1内部中に移行することで終了する。あるいは、通常状態は、BB2に当選したときに、BB2に入賞して遊技状態がBB2に移行することで終了する。 【0168】 BB1内部中は、BB1の当選フラグが持ち越されている状態であり、通常状態においてBB1に当選したゲームの次のゲームから移行する。BB1内部中は、BB1の入賞して遊技状態がBB1に移行することで終了する。 【0169】 BB1は、通常状態よりも小役の当選確率が高まる遊技状態であり、通常状態またはBB1内部中においてBB1に入賞したときに移行する。BB1は、BB1中に払い出されたメダルの総数が50枚を超えることで終了し、次ゲームから通常状態に移行する。BB1中は、1/12の確率で後述する押し順役の全てに同時当選し、入賞したときには9枚のメダルが払い出されるのに対して、それよりも高い5/12の確率で1枚ベルの全てに同時当選し、入賞したときには1枚のメダルが払い出される。BB1中は、3BET(メダル3枚賭け)で1ゲームが開始することから、BB1中におけるメダルの純増枚数は減る可能性が非常に高く、メダルの払出率は1未満となる。すなわち、BB1は、純増枚数が減るボーナスであるといえる。 【0170】 BB2は、通常状態よりも小役の当選確率が高まる遊技状態であり、通常状態においてBB2に入賞したときに移行する。なお、BB2は単独でしか当選せず、かつ操作タイミングに関わらず入賞するため、通常状態においてBB2に当選したときには、必ずBB2に入賞して遊技状態がBB2に移行する。BB2は、BB2中に払い出されたメダルの総数が360枚を超えることで終了し、次ゲームから通常状態に移行する。BB2中は、1/2の確率で全ての押し順役に同時当選し、さらに1/2の確率で全ての1枚ベルに同時当選し、いずれの役に入賞しても15枚のメダルが払い出される。BB2中は、1BET(メダル1枚賭け)で1ゲームが開始することから、BB2中におけるメダルの純増枚数は増える可能性が非常に高く、メダルの払出率は1以上となる。すなわち、BB2は純増枚数が増えるボーナスであるといえる。 【0171】 また、通常状態およびBB1内部中は、AT状態に制御可能な遊技状態であるのに対して、BB1およびBB2は、AT状態に制御不可能な遊技状態である。さらに、通常状態およびBB1内部中は、AT抽選の実行が不可能な遊技状態であるのに対して、BB1およびBB2は、AT抽選の実行が可能な遊技状態である。このため、遊技者は、通常状態から遊技を開始したときには、まずBB1やBB2に移行することを目指し、BB1またはBB2に移行したときには、AT抽選によるATゲーム数の獲得を目指す。そして、ATゲーム数を獲得した後に再び通常状態に移行したときには、AT状態に制御されてメダルの払出率が1以上となる。 【0172】 [抽選対象役] 次に、図7および図8を参照して、抽選対象役の組合せについて説明する。内部抽選の対象となる役の各々に対して判定値数が設定されている。各役に対応する判定値の範囲は、RAM41cの所定領域に格納された判定値テーブルにより特定可能である。RAM41cには、通常状態用の判定値テーブルと、BB1内部中用の判定値テーブルと、BB1用の判定値テーブルと、BB2用の判定値テーブルとが記憶されており、メイン制御部41は、制御中の遊技状態の種類に応じた判定値テーブルを用いて、判定値の範囲を特定し、内部抽選を実行する。本実施の形態においては、複数の入賞役が同時に読出されて、異なる入賞役が重複して当選し得る。図7においては、縦の欄に抽選対象役を示し、横の欄に判定値数を示す。○印は抽選の対象となることを意味する。○印の下に示す数値は、所定の設定値の判定値数(本実施の形態では設定値に関わらず共通)である。」 ケ 「【0206】 このように、通常状態またはBB1内部中のゲームでいずれかの押し順役に当選した場合、当選役の種類に対応した押し順(正解手順ともいう)でリールを停止させたときには必ず主役が入賞して9枚のメダルを獲得できる一方で、正解手順以外の手順でリールを停止させたときには副役1または副役2が入賞して1枚のメダルを獲得できるか、あるいは、BB1に入賞して遊技状態がBB1に移行する。このため、押し順役の当選時には、当選役の種類に対応した正解手順でリールを停止させたか否かによってメダルの払出率が変化する。 【0207】 押し順役のいずれかに当選しても、その種類が分からなければ正解手順を意図的に選択することはできず、正解手順でリールを停止させることができれば、9枚のメダルを確実に獲得できるものの、正解手順でリールを停止させることができなければ、メダルを獲得できても1枚のみであり、メダルを1枚も獲得できずに遊技状態がBB1に移行することもある。 【0208】 本実施の形態においては、AT状態に制御されているときには、押し順役が当選したゲームでナビ演出によって正解手順が報知される。たとえば、通常状態またはBB1内部中であり、かつAT状態に制御されているゲームにおいて、押し順役1Aが当選した場合、液晶表示器51の画面上に「左中右」の文字画像が表示される。このように、AT状態に制御されているときには、押し順役が当選したゲームで正解手順が報知されるため、賭数設定に用いる3枚を超える9枚のメダルを獲得でき、通常状態またはBB1内部中の払出率が1以上となる。一方、AT状態に制御されていなければ、遊技者は正解手順が分からないため、賭数設定に用いる3枚よりも少ない1枚のメダルしか獲得できず、通常状態またはBB1内部中の払出率が1未満となる。」 コ 「【0211】 [AT抽選] 図11(a)は、BB1中に用いられるAT抽選テーブルを説明するための図である。メイン制御部41は、図11(a)に示すAT抽選テーブルに基づき、BB1中にAT抽選を実行することにより、ATに制御するか否か、およびAT当選時に付与されるATゲーム数を決定する。AT抽選は、BB1において、所定条件が成立したときに実行される。 【0212】 BB1においては、内部抽選の結果が全1枚ベルの同時当選または全押し順役の同時当選になったときに、AT抽選が実行される。 【0213】 内部抽選の結果が全1枚ベルの同時当選になったときには、10%の確率でAT当選し、そのうち、6%の確率で20ゲームのATゲーム数が付与され、4%の確率で30ゲームのATゲーム数が付与される。 【0214】 内部抽選の結果が全押し順役の同時当選になったときには、20%の確率でAT当選し、そのうち、12%の確率で20ゲームのATゲーム数が付与され、8%の確率で30ゲームのATゲーム数が付与される。 ・・・略・・・ 【0221】 [AT管理処理] メイン制御部41は、通常状態やBB1内部中において、ATゲーム数が付与されたことを条件にATへの制御が可能となる。 【0222】 たとえば、メイン制御部41は、ATに制御した後、AT中のゲームを消化するごとに付与されたATゲーム数を消費(減算)する。具体的に、メイン制御部41は、ATゲーム数を獲得したときに、ATゲーム数をRAM41cに格納する。メイン制御部41は、1ゲーム消化するごとにRAM41cの残りATゲーム数を1ずつ減算し、残りATゲーム数が0となるまでの期間においてATに制御する。そして、残りATゲーム数が0になった後、メイン制御部41は、ATから非ATに切り替える。」 サ 「【0223】 [遊技状態の概要] 次に、図12を参照しながら遊技状態の概要について説明する。 【0224】 [通常状態] 通常状態は、BB1またはBB2の終了後に開始するとともに、新たにBB1またはBB2に当選することにより終了する。通常状態は、BB1またはBB2に当選するまで継続するため、ゲーム数の制限はなく、3BETで1ゲームが開始する。 【0225】 各押し順グループに含まれる押し順役の当選確率は1000/12000に設定されている。押し順グループは、6種類設けられているため、押し順役の当選確率は合計で6000/12000となる。つまり、通常状態においては、2ゲームに1回の確率でいずれかの押し順役に当選する。 【0226】 各押し順グループに含まれるBB1の当選確率は40/12000に設定されており、押し順1~6グループの6種類設けられているため、押し順役の当選確率は240/12000となる。つまり、通常状態においては、50ゲームに1回の確率でBB1に当選する。一方、BB2の当選確率は24/12000に設定されている。つまり、通常状態においては、500ゲームに1回の確率でBB2に当選する。このように、BB2はBB1に対いて1/10の確率でしか当選することができない。 【0227】 通常状態においては、ATゲーム数を獲得している場合にATに制御される。ATに制御されているときには、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選したときに、主役を入賞させるための正解手順が報知されるため、主役の入賞によって9枚のメダルが払い出される。この場合、押し順役とBB1とが同時当選していても、BB1の入賞を回避することができる。このため、通常状態であり、かつAT状態に制御されているときには、払出率が1以上となる。一方、ATに制御されていないときには、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選しても正解手順が分からないため、主役を入賞させることができず1枚ベルの入賞によって1枚のメダルが払い出されるか、あるいはBB1の入賞によって遊技状態がBB1に移行される。このため、通常状態であり、かつAT状態に制御されていないときには、払出率が1未満となる。しかも、50ゲームに1回の確率でBB1に当選したときには、BB1を入賞させるための操作手順が報知されるため、BB1を入賞するように促されて遊技状態がBB1に移行する。 【0228】 また、通常状態においては、AT抽選が実行されないため、ATゲーム数は付与されない。 【0229】 [BB1内部中] BB1内部中は、通常状態においてBB1に当選し、かつBB1の当選フラグが次ゲーム以降に持ち越されたことを条件に開始するとともに、当選しているBB1に入賞することにより終了する。BB1内部中は、BB1に入賞するまで継続するため、ゲーム数の制限はなく、3BETで1ゲームが開始する。 【0230】 押し順役とBB1とが同時当選する確率は合計で6000/12000となる。つまり、BB1内部中においては、2ゲームに1回の確率で押し順役とBB1とが同時当選する。BB2に対応する判定値数は0に設定されており、BB1とBB2とは重複して当選しない。 【0231】 BB1内部中においては、ATゲーム数を獲得している場合にATに制御される。ATに制御されているときには、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選したときに、主役を入賞させるための正解手順が報知されるため、主役の入賞によって9枚のメダルが払い出される。この場合、当選フラグを持ち越しているBB1の入賞を回避することができる。このため、BB1内部中であり、かつAT状態に制御されているときには、払出率が1以上となる。一方、ATに制御されていないときには、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選しても正解手順が分からないため、主役を入賞させることができず1枚ベルの入賞によって1枚のメダルが払い出されるか、あるいは当選フラグを持ち越しているBB1の入賞によって遊技状態がBB1に移行される。このため、BB1内部中であり、かつAT状態に制御されていないときには、払出率が1未満となる。しかも、当選フラグを持ち越しているBB1を入賞させるための操作手順が報知されるため、BB1を入賞するように促されて遊技状態がBB1に移行する。 【0232】 また、BB1内部中においては、AT抽選が実行されないため、ATゲーム数は付与されない。 【0233】 [BB1] BB1は、通常状態またはBB1内部中においてBB1に入賞したときに開始するとともに、BB1中のメダルの払出枚数が50枚を超えたときに終了する。BB1中は、3BETで1ゲームが開始する。 【0234】 各押し順役に対応する判定値数は0に設定されており、各押し順役には単独で当選しない。その代り、通常状態およびBB1内部中において設定されていた押し順役に対応する合計判定値数(6000)のうちの1000が、全押し順役の同時当選に対応する判定値数として設定されており、全押し順役が同時当選する確率は1000/12000となる。つまり、通常状態およびBB1内部中においては、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選するのに対して、BB1内部中においては、12ゲームに1回の確率で押し順役に当選する。また、通常状態およびBB1内部中において設定されていた押し順役に対応する合計判定値数(6000)のうちの5000が、全1枚ベルの同時当選に対応する判定値数として設定されており、全1枚ベルが同時当選する確率は5000/12000となる。つまり、通常状態およびBB1内部中においては、12ゲームに5回の確率で1枚ベルに当選する。 【0235】 BB1においては、ATに制御されない。また、12ゲームに1回の確率でしか主役を入賞させることができる押し順役に当選しないのに対して、12ゲームの5回の確率で1枚ベルに当選する。さらに、3BETで1ゲームが開始するため、BB1においては、払出率が1未満となる。 【0236】 なお、非AT中における通常状態またはBB1内部中においても、BB1と同様に払出率が1未満となるが、通常状態またはBB1内部中においては2ゲームに1回の確率で押し順役に当選するのに対して、BB1においては12ゲームに1回の確率でしか押し順役に当選しない。また、BB1は、通常状態およびBB1内部中よりも、高い確率でハズレになる。よって、BB1は、非AT中における通常状態またはBB1内部中よりも、純増枚数が減りやすく、遊技者にとって不利な状態である。 【0237】 BB1においては、AT抽選が実行されるため、ATゲーム数が付与され得る。但し、BB1において獲得したATゲーム数は、BB1が終了した後の通常状態において消費される。 【0238】 [BB2] BB2は、通常状態においてBB2に入賞したときに開始するとともに、BB2中のメダルの払出枚数が360枚を超えたときに終了する。BB2中は、1BETで1ゲームが開始する。 【0239】 各押し順役に対応する判定値数は0に設定されており、各押し順役には単独で当選しない。その代り、通常状態およびBB1内部中において設定されていた押し順役に対応する合計判定値数(6000)の全てが、全押し順役の同時当選に対応する判定値数として設定されており、全押し順役が同時当選する確率は6000/12000となる。つまり、BB2においては、通常状態およびBB1内部中と同様に、2ゲームに1回の確率で押し順役に当選する。また、全1枚ベルの同時当選に対応する判定値数として6000が設定されており、全1枚ベルが同時当選する確率は6000/12000となる。つまり、BB2においては、2ゲームに1回の確率で1枚ベルに当選する。このように、BB2においては、押し順役および1枚ベルのいずれかに必ず当選し、ハズレになることがない。」 上記アないしサから、甲1には、スロットマシンに関し、次の発明が記載されているものと認められる。 「1a 外周に複数種の図柄が配列されたリール2L,2C,2Rが水平方向に並設され(【0041】)、 1b 各リール2L,2C,2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示される一方で、各リール2L,2C,2Rの回転が停止されることで、3つの連続する図柄が表示結果として透視窓3に導出表示され、いずれかの役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止することで入賞が発生するスロットマシン1において(【0040】、【0043】、【0060】)、 1c 入賞が発生すると、その入賞に応じて定められた数のクレジットが加算され、クレジットが上限数に達した場合には、メダルがメダル払出口9から払い出され(【0065】)、 1d メダルの払出率(賭数の設定のために消費したメダルの枚数に対する払い出されたメダルの枚数の比率)が1未満でありAT状態に制御されていない通常状態と、AT状態に制御されている通常状態、AT状態に制御されているBB1内部中、BB1、およびBB2を含むいずれかの遊技状態に制御され(【0054】、【0166】、【0227】)、 1e、1o、1p、1r ATに制御した後、AT中のゲームを消化するごとに付与されたATゲーム数を消費(減算)し(【0222】)、BB1は、BB1中のメダルの払出枚数が50枚を超えたときに終了し(【0233】)、BB2は、BB2中のメダルの払出枚数が360枚を超えたときに終了するものであり(【0233】)、 1f リール2L,2C,2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R(【0046】)と、 1g 各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L,2C,2Rの表示結果が導出表示される以前(実際には、スタートスイッチ7の検出時)に決定する内部抽選を実行するメイン制御部41(【0108】、【0172】)と、 1h AT状態に制御されているときには、押し順役が当選したゲームでナビ演出によって正解手順を表示して報知する液晶表示器51(【0208】)と、を備え、 1i、1m 内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるものであり、該設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要があり(【0091】、【0092】)、 1k 押し順役に当選した場合、当選役の種類に対応した押し順(正解手順ともいう)でリールを停止させたときには必ず主役が入賞して9枚のメダルを獲得でき(【0206】)、 1l 規定数の賭数が設定されると、ゲームが開始可能な状態となり、該規定数の賭数として3枚が定められ(【0059】)、 1n 通常状態であり、かつAT状態に制御されているときには、メダルの払出率が1以上となり(【0227】)、 BB1中におけるメダルの純増枚数は減る可能性が非常に高く、メダルの払出率は1未満となり(【0169】)、ここで、BB1は、ATに制御されず、通常状態およびBB1内部中よりも、高い確率でハズレになる(【0235】、【0236】)、 1s スロットマシン1(【0008】)。」(以下「甲1発明」という。) (2)甲2 本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特許異議申立人が特許異議申立書とともに提出した甲2(特開2014-204927号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【発明を実施するための形態】 【0021】 本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、第一の実施の形態及び第二の実施の形態に分けて、図面に基づき説明する。 (第一の実施の形態) 図1乃至図17は、本発明の第一の実施の形態を示す。 (スロットマシン10) 第一の実施の形態におけるスロットマシン10は、図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在かつロック可能な前扉3を有している。 ・・・略・・・ 【0028】 表示器は、液晶表示装置を用いて所定の文字数字を表示可能な情報表示部であって、例えば本日の開店時からの遊技回数、有利遊技の発生回数、獲得メダル数などの遊技履歴などを、数字や記号を用いて表示可能なものである。そして、表示器に表示されている情報、例えばその日の有利遊技の発生回数などを見て、遊技者が台を選ぶ目安とすることができる。また、ランプは、例えば有利状態中に点灯させることにより、現在有利状態中であることを一見して判別可能とさせるものである。複数あるランプは、有利状態の種類に応じて点灯させることができる。 さらに、図2に示すように、各スロットマシン10に対応して設けられているデータ表示装置2は、遊技場のホールコンピュータHCと電気的に接続されている。そしてデータ表示装置2は、スロットマシン10から受信した諸信号を遊技場のホールコンピュータHCに出力可能に形成されている。ホールコンピュータHCは、データ表示装置2から出力される諸信号に基づいて、各スロットマシン10の稼働状況を把握して遊技場の運営を管理することができるようになっている。」 イ 「【0074】 さらに、遊技操作無効手段160は、上記したフリーズタイマーがタイムカウント中(フリーズ中)には、スタートスイッチ30の操作に基づく回転リール40の回転開始を留保する。フリーズタイマーがタイムカウントを終了しフリーズ決定フラグがリセットされた場合には、スタートスイッチ30の操作に基づく回転リール40の回転開始の留保を解除する。回転リール40の回転開始の留保が解除されると、スタートスイッチ30を再度操作しなくても回転リール40が回転開始する。 (外部信号出力制御手段170) 外部信号出力制御手段170は、特定制御実行手段であって、外部信号出力制御としての有利状態作動信号の出力及び出力停止を制御するものである。有利状態作動信号は、遊技状態が所定の有利状態であることをホールコンピュータに通報するための信号であって、有利状態の種類に応じて出力される。本実施の形態においては、有利状態作動信号の出力対象となる有利状態は、AT状態となっている。ここでAT状態とは、後述するAT(アシストタイム)が行われるサブ状態である。そして、有利状態作動信号としては、サブ状態がAT状態(AT中)であることを通報するためのAT作動信号が設けられている。そして、外部信号出力制御手段170は、図示しないが、出力条件判定手段と、信号出力手段を備えている。 ・・・略・・・ 【0081】 (サブ状態移行制御手段210) サブ状態移行制御手段210は、現在のサブ状態を記憶するとともに、所定条件に応じて、サブ状態の移行を制御するためのものである。 サブ状態には、図8に示すように、ATが実行される状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態があり、非AT状態には、サブ通常状態と、ボーナス状態とが設けられている。また、AT状態には、通常AT状態と、特別AT状態と、上乗せ高確率状態とが設けられている。 前記ボーナス状態は、遊技状態がCBBゲームの行われるボーナス作動中である場合のサブ状態である。通常AT状態は、通常のATが行われるサブ状態であり、特別AT状態は、上乗せ高確率状態への移行を保証するための所定期間のサブ状態である。上乗せ高確率状態は、ATゲーム数の上乗せが高確率で行われる所定期間のサブ状態である。サブ通常状態は、上記したいずれの状態にも該当しないサブ状態である。」 ウ 「【図8】 」 エ 上記アないしウからみて、甲2には、次の事項が記載されていると認められる。 「有利状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態とが設けられているスロットマシン(【0021】、【0074】、【0081】)において、有利状態中に、現在有利状態中であることを一見して判別可能とさせるに点灯するランプを有すること(【0028】)。」(以下「甲2の記載事項」という。) (3)甲3 本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特許異議申立人が特許異議申立書とともに提出した甲3(特開2014-50444号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【発明を実施するための形態】 【0018】 本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。 (スロットマシン1) 第一の実施の形態におけるスロットマシン1は、図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在かつロック可能な前扉3を有している。 前記筐体11の内部において、開口上部には、3個の回転リール40を有するリールユニット60が設置され、開口下部には、ホッパーユニット65と、電源装置5が設けられている。また、前記リールユニット60の上方には、スロットマシン1の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。 ・・・略・・・ 【0025】 表示器は、液晶表示装置を用いて所定の文字数字を表示可能な情報表示部であって、例えば本日の開店時からの遊技回数、有利遊技の発生回数、獲得メダル数などの遊技履歴などを、数字や記号を用いて表示可能なものである。そして、表示器に表示されている情報、例えばその日の有利遊技の発生回数などを見て、遊技者が台を選ぶ目安とすることができる。また、ランプは、例えば有利状態中に点灯させることにより、現在有利状態中であることを一見して判別可能とさせるものである。複数あるランプは、有利状態の種類に応じて点灯させることができる。 さらに、図2に示すように、各スロットマシン1に対応して設けられているデータ表示装置2は、遊技場のホールコンピュータHCと電気的に接続されている。そしてデータ表示装置2は、スロットマシン1から受信した諸信号を遊技場のホールコンピュータHCに出力可能に形成されている。ホールコンピュータHCは、データ表示装置2から出力される諸信号に基づいて、各スロットマシン1の稼働状況を把握して遊技場の運営を管理することができるようになっている。」 イ 「【0053】 (信号出力制御手段120) 信号出力制御手段120は、有利状態作動信号の出力及び出力停止を制御するためのものである。有利状態作動信号は、遊技作動状態が所定の有利状態であることをホールコンピュータに通報するための信号であって、有利状態の種類に応じて出力される。本実施の形態においては、有利状態作動信号の出力対象となる有利状態として、ボーナス状態と、ART(アシストリプレイタイム)状態とがある。ここで、AT(アシストタイム)とは、当選役に関する情報を遊技者に報知する補助演出を実行可能なATゲームが行われる遊技作動状態であり、ART状態は、所定の補助演出が行われる特定報知状態であって、メイン状態がRT中であるときにATが行われる遊技作動状態である。 ・・・略・・・ 【0061】 (サブ状態移行制御手段200) サブ状態移行制御手段200は、現在のサブ状態を記憶するとともに、所定条件に応じて、サブ状態の移行を制御するためのものである。 サブ状態には、ATの実行が決定されている状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態があり、非AT状態には、ボーナス状態と、サブ通常状態と、転落待機状態とが設けられている。また、AT状態には、ART待機状態と、ART状態とが設けられている。 前記ボーナス状態は、メイン状態がボーナス状態である場合のサブ状態である。ART待機状態は、ATの実行が決定されており、かつメイン状態が通常状態又はRT1である場合のサブ状態である。ART状態は、ATが実行される状態であり、メイン状態がRT2である場合のサブ状態である。サブ通常状態は、上記したいずれの状態にも該当しないサブ状態である。」 ウ 上記ア及びイからみて、甲3には、次の事項が記載されていると認められる。 「有利状態であるART状態を含むAT状態と、それ以外の状態である非AT状態とが設けられているスロットマシンにおいて(【0053】、【0061】)、 有利状態中に、現在有利状態中であることを一見して判別可能とさせるために点灯させるランプを有すること(【0025】)。」(以下「甲3の記載事項」という。) (4)甲4 本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特許異議申立人が特許異議申立書とともに提出した甲4(特許第6064189号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、スロットマシンに関する。 ・・・略・・・ 【0020】 また、表示パネルユニット5には、遊技に関する基本的な情報を表示するための各種の表示器が備えられている。この表示器には、たとえば、兼用表示器7、配当数表示器8、3個のベット数表示LED9、リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12が含まれる。兼用数表示器7および配当数表示器8は、リール窓6の下方において、左右に並べて配置されている。兼用数表示器7および配当数表示器8は、それぞれドット付きの2桁の7セグメント表示器を横方向に並べて構成されている。3個のベット数表示LED9は、兼用表示器7の左側において、上下に並べて配置されている。リプレイ表示LED10、スタート可否表示LED11およびメダル受付可否表示LED12は、配当数表示器8の右側において、上下に並べて配置されている。 【0021】 図2は、ドット付きの2桁の7セグメント表示器で構成される兼用表示器7を示している。兼用表示器7の2桁の7セグメント部分は、クレジット数表示器CRと指示モニタNMとで兼用している。また、兼用表示器7のドット部分は、有利状態ランプYLとして利用している。 【0022】 指示モニタNMは、後述する主制御装置31から副制御装置32に対し、左ストップボタン20L、中ストップボタン20C及び右ストップボタン20Rの操作順を指示するコマンドを送信する際に当該コマンドの種別に応じた識別情報を表示する。 有利状態ランプYLは、後述する通常状態中には消灯状態とされ、有利状態中には点灯状態とされる。」 イ 「【0057】 以下、スロットマシン1のゲーム性について詳細に説明する。 <1.遊技状態について> スロットマシン1は、遊技状態として、通常の遊技状態である通常状態と、通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態とを備える。具体的に、有利状態には、内部抽選処理により、後述する押し順小役に当選した場合に、配当が最大の小役の入賞に必要なストップボタン20L、20C、20Rの操作順(以下、正解押し順という)を遊技者に報知するAT(Assist Time)状態と、該AT状態への移行確率が通常状態に比較して高くなる高確状態とを含む。 ・・・略・・・ 【0087】 ステップS820では、セット数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち次セットへ移行させる場合には、ステップS802に戻る。 一方、ステップS820にてイエスと判断した場合、即ち当該セットでAT状態を終了させる場合、及びステップS805にてイエスと判断した場合、即ち有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至りリミッタ機能が作動した場合には、次のステップS821にて有利状態終了処理を実行する。具体的に有利状態終了処理では、有利状態ランプYLの消灯処理、並びにの有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う。 そして、次のステップにて通常状態中処理へ移行させ、AT中処理を終了する。」 ウ 「【図7】 【図8】 」 エ 上記アないしウからみて、甲4には、以下の事項が記載されていると認められる。 「4j 通常状態と比較して遊技者にとって有利な状態である有利状態中に点灯させる有利状態ランプを備え(【0020】ないし【0022】、【0057】、【図7】)、 4n、4p 有利状態はAT状態を含み(【0057】)、有利状態において、有利ゲーム数が1500ゲーム未満の場合は、AT中処理が実行され(【0087】、【図8】)、 4q 有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至り、リミッタ機能が作動した場合、有利状態ランプYLの消灯処理、並びに有利状態中の制御に係る各種変数が記憶されているRAM43上の領域のクリア処理を行う(【0087】、【図8】)、 4s スロットマシン(【0001】)。」(以下「甲4の記載事項」という。) (5)甲5及び甲6 ア 本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特許異議申立人が令和2年2月10日に意見書とともに提出した甲5(特開2017-12883号公報)には、次の事項が記載されている。 「【発明を実施するための形態】 【0043】 以下、添付図面を参照して、実施の形態について説明する。 図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシンの内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体の側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。 ・・・略・・・ 【0103】 なお、設定変更モードに移行させた場合(すなわち設定変更操作が行なわれた場合)、遊技状態フラグは、原則として、後述する通常遊技状態に関する情報に更新される。これにより、たとえば、RT中やボーナス中に設定変更モードに移行させた場合には、設定変更モードに移行された後において通常遊技状態に制御される。また、特別ワークにボーナスの当選フラグが設定されているときに設定変更モードに移行させた場合には、当該当選フラグが初期化される。たとえば、ボーナス当選している内部中RT中に設定変更モードに移行させた場合には、通常遊技状態に制御される。このように、設定変更に関連して、遊技状態フラグを通常遊技状態に対応する値に書き換えられる(初期化)。」 イ 本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、特許異議申立人が令和2年2月10日に意見書とともに提出した甲6(特開2005-40540号公報)には、次の事項が記載されている。 「【0003】 ここで、通常の遊技状態では入賞を発生させるための操作手順を報知しないが、所定の移行条件が成立したときに遊技状態をATに移行させて操作手順を報知させることにより、遊技の興趣を向上させたスロットマシンが知られている。このATの発動を、所定の抽選の抽選結果、または遊技者の操作結果に基づいて、行っているものがあった。(例えば、特許文献1参照)。」 ウ 甲5及び甲6の記載からみて、「スロットマシンにおいて、設定値を変更した後、通常状態に移行すること、及び、通常状態では、操作手順を報知しないこと。」は技術常識であるといえる。 1-1-2 対比 (1)本件発明1と甲1発明とを対比する。なお、以下の見出し(1a)等は、本件発明の1A等に対応させている。 (1a)(1b)(1s)甲1発明の「リール2L,2C,2R」、「図柄」及び「スロットマシン1」は、それぞれ本件発明1の「可変表示部」、「識別情報」及び「スロットマシン」に相当する。 そして、甲1発明のリール2L,2C,2R(可変表示部)は、透視窓3に連続的に変化しつつ表示される、外周に複数種の図柄(識別情報)が配列された複数のリールであるから、甲1発明は、本件発明1の「1A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、」との特定事項を備える。 また、甲1発明は、各リール2L,2C,2R(可変表示部)の図柄(識別情報)が透視窓3に連続的に変化しつつ表示される一方で、各リール2L,2C,2R(可変表示部)の回転が停止されることで、3つの連続する図柄が表示結果として透視窓3に導出表示され、いずれかの役を構成する図柄(識別情報)の組合せが入賞ライン上に停止することで入賞が発生する。そうすると、甲1発明は、本件発明1の「1B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン」との特定事項を備える。 (1c)甲1発明における、入賞が発生すると、その入賞に応じて定められた数のクレジットが加算され、クレジットが上限数に達した場合には、メダルがメダル払出口9から払い出されることは、遊技者に遊技用価値を付与するといえるから、甲1発明は、本件発明1の「1C 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段」を備える。 (1d)甲1発明の「メダルの払出率(賭数の設定のために消費したメダルの枚数に対する払い出されたメダルの枚数の比率)が1未満でありAT状態に制御されていない通常状態」は、本件発明1の「付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間」に相当する。また、甲1発明の「AT状態に制御されている通常状態、AT状態に制御されているBB1内部中、BB1、およびBB2を含むいずれかの遊技状態」は、本件発明1の「当該初期区間とは異なる有利区間」に相当する。 そして、甲1発明は、「AT状態に制御されていない通常状態」(初期区間)と、「AT状態に制御されている通常状態、AT状態に制御されているBB1内部中、BB1、およびBB2」(有利区間)のいずれかの遊技状態に制御されるのであるから、本件発明1の「1D 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段」を備える。 (1e)甲1発明は、ATに制御した後、AT中のゲームを消化するごとに付与されたATゲーム数を消費(減算)し、BB1は、BB1中のメダルの払出枚数が50枚を超えたときに終了し、BB2は、BB2中のメダルの払出枚数が360枚を超えたときに終了するものであり、AT状態、BB1及びBB2(有利区間)において更新されるATゲーム数及びメダル払出数を計数していることが明らかである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1の「1E 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段」を備える。 (1f)甲1発明の「リール2L,2C,2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R」は、本件発明1の「1F 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段」に相当する。 (1g)甲1発明の「メイン制御部41」は、各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L,2C,2Rの表示結果が導出表示される以前(実際には、スタートスイッチ7の検出時)に決定する内部抽選を実行するから、本件発明1の「1G 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段」を備える。 (1h)甲1発明の「AT状態に制御されているときには、押し順役が当選したゲームでナビ演出によって正解手順を表示して報知する液晶表示器51」は、本件発明1の「1H 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段」を備える。 (1i)甲1発明の1i、1mは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるものであり、該設定値を変更するためは、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONするものであるから、本件発明1の「1I 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段」を備える。 (1k)甲1発明の「押し順役」、「当選役の種類に対応した押し順(正解手順)」、「主役が入賞」及び「9枚のメダル」は、それぞれ本件発明1の「特定の入賞役」、「特定の入賞役に対応する正解手順」、「特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出」及び「特定数の遊技用価値」に相当する。 甲1発明は、押し順役(特定の入賞役)に当選した場合、当選役の種類に対応した押し順すなわち正解手順でリールを停止させたときには必ず主役が入賞(特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出)して9枚のメダル(特定数の遊技用価値)を獲得できるものであるから、本件発明1の「1K 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され」との特定事項を備える。 (1l)甲1発明は、規定数の賭数が設定されると、ゲーム(単位遊技)が開始可能な状態となり、該規定数の賭数として3枚が定められ、この3枚よりも押し順役(特定の入賞役)に当選且つ入賞した際に払い出される9枚のメダルの方が大きいから、本件発明1の「1L 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく」との特定事項を備える。 (1m)上記(1d)のとおり、甲1発明の「AT状態に制御されていない通常状態」は、本件発明1の「初期区間」に相当するものであるが、設定値を変更した後に制御される区間であるかは不明であるため、甲1発明の1i、1mと、本件発明1の「1M 前記初期区間は、前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、」とは、「1M’前記初期区間は、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、」で一致する。 (1n)甲1発明の「『メダルの払出率が1以上』となる『通常状態であり、かつAT状態に制御されているとき』」は、本件発明1の「前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間」に相当する。 また、甲1発明の「『通常状態およびBB1内部中よりも、高い確率でハズレにな』り『メダルの払出率は1未満とな』る『BB1中』」は、AT状態ではなく、押し順役に対応する正解手順が報知されないから、本件発明1の「前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間」に相当する。 してみると、甲1発明は、本件発明1の「1N 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み」との特定事項を備える。 (1o)上記(1e)のとおり、甲1発明は、ATに制御した後、AT中のゲームを消化するごとに付与されたATゲーム数を消費(減算)し、BB1は、BB1中のメダルの払出枚数が50枚を超えたときに終了し、BB2は、BB2中のメダルの払出枚数が360枚を超えたときに終了するものであり、AT状態に制御されている通常状態(第1有利区間)及びBB1(第2有利区間)において更新されるATゲーム数及びメダル払出数(更新される値)をいずれの状態でも継続して計数していることが明らかである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1の「前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、」との特定事項を備える。 (1p)上記(1e)で示したように、甲1発明は、ATに制御した後、AT中のゲームを消化するごとに付与されたATゲーム数を消費(減算)し、BB1がBB1中のメダルの払出枚数が50枚を超えたときに終了し、BB2がBB2中のメダルの払出枚数が360枚を超えたときに終了するものであり、BB1中又はBB2中の払出し枚数がそれぞれ所定枚数未満である場合には、引き続きBB1又はBB2中が継続される、すなわち、BB1又はBB2の処理が実行されるものである。そうすると、甲1発明における該処理は、本件発明1の「特定処理」に相当するといえる。 してみると、甲1発明は、本件発明1の「1P 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、」との特定事項を備える。 (1r)甲1発明において、AT状態に制御されている通常状態(第1有利区間)であれば、所定のATゲーム数(特定値)を消化することにより、BB1(第2有利区間)中であれば所定のメダル払出数(特定値)に達することにより、非ATの通常状態(初期区間)に制御されるものであるから、甲1発明は、本件発明1の「1R 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときにも前記初期区間に制御する」との特定事項を備える。 (2)上記(1)からみて、本件発明1と甲1発明とは、 「1A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 1B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 1C 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 1D 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 1E 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 1F 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 1G 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 1H 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 1I 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、を備え、 1K 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 1L 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 1M’前記初期区間は、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 1N 前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、 1O 前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 1P 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 1R 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときにも前記初期区間に制御する、 1S スロットマシン。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(特定事項1M) 本件発明1では、「前記初期区間」が「前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間」であるのに対し、 甲1発明では、AT状態に制御されていない通常状態(初期区間)が設定値を変更した後に制御される区間であるかどうか明らかでない点。 ・相違点2(特定事項1J、1Q) 本件発明1では、「前記有利区間中に点灯可能なランプ」「を備え、」「前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され」るのに対し、 甲1発明では、有利区間中に点灯可能なランプを備えない点。 1-1-3 判断 (1)事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。スロットマシンにおいて、通常状態とは異なる状態であって、遊技者にとって有利な有利状態にあることを判別可能とするために、当該有利状態の制御中に点灯可能なランプを備えることは、本件特許の出願前に周知(以下、「周知技術」という。例.甲2(特に【0021】、【0028】参照。)、甲3(特に【0018】、【0025】)、甲4(特に【0001】、【0021】、【0022】))である。また、甲4には、上記1-1-1(4)エで示したように、甲4の記載事項として、有利状態下で消化したゲーム数が1500ゲームへ至り、リミッタ機能を作動させ、前記ランプの消灯処理、並びに有利区間中の制御に係る各種変数が記憶されているRAMの領域のクリア処理を行うように構成することが記載されている。 (2)甲1発明において、有利区間であることを判別可能とするために、上記周知技術を採用して、有利区間中に点灯可能なランプを備えることまでは当業者が容易になし得たことといえるかもしれない。 しかしながら、本件発明1は、特定事項1Qのように、最初に初期化処理を実行することで記憶部に記憶された有利区間に関わる情報を初期化した後、次に有利区間中に点灯可能なランプを消灯させることにより、当該ランプが消灯した後に初期化処理が実行されることで記憶部に記憶された有利区間に関わる情報が初期化されてしまうようなことがなく、有利区間中に点灯可能なランプが消灯しているにも関わらず、未だ有利区間に関わる情報が初期化されない状態が維持されるといった不都合の発生を防止することができるものである。 このように、本件発明1の特定事項1Qは、初期化処理を実行した後に消灯処理を実行するという、その実行順序に技術的意義があり、このような技術的意義がある本件発明1の特定事項1Qについては、甲1ないし甲6に記載も示唆もされてない。仮に甲4の記載事項を考慮したとしても、甲4の記載事項における、ランプの消灯処理並びにクリア処理を行うようにしたものにおいて、ランプが消灯した後にクリア処理(初期化処理)が実行されるように、その順序を特定し直したものを、上記周知技術を適用した甲1発明にさらに重ねて適用するものとなり、設計事項の範囲内であるということができない。 したがって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の特定事項のようになすことは当業者が甲4の記載事項及び周知技術に基づいて容易になし得たものであるとはいえない。 よって、上記相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲4に記載の事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 1-1-4 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、甲4に記載の事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 1-2 理由(2)(サポート要件)について 1-2-1 本件訂正後の特許請求の範囲の記載 (1)本件訂正後の特許請求の範囲に以下の記載がある。 「【請求項1】 ・・・略・・・ 1O 前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中を含む前記有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 1P 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、」 「【請求項2】 ・・・略・・・ 2O 前記計数手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中、当該第2有利区間中、当該第3有利区間中、当該第4有利区間中、当該第5有利区間中、および当該第6有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、 ・・・略・・・ 2R 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときにも前記初期区間に制御する、」 (2)上記(1)の請求項1の記載より、「初期区間に制御する」ための「特定値」は、「第1有利区間中」及び「第2有利区間中」を含む「有利区間中」で「更新される値」を計数した値と解される。 また、上記(1)の請求項2の記載より、「初期区間に制御する」ための「特定値」は、「前記第1有利区間中、前記第2有利区間中、前記第3有利区間中、前記第4有利区間中、前記第5有利区間中、および前記第6有利区間中」で「更新される値」を計数した値と解される。 1-2-2 本件訂正後の明細書の記載 (1)ア 「【0088】 [遊技区間の移行] 図9および図10を用いて、スロットマシン1において行われる遊技区間の移行について説明する。図9は、遊技区間の遷移を説明するための図である。図10は遊技区間の概要を示す図である。 【0089】 前述のように、スロットマシン1において行われる遊技区間には、通常区間と有利区間と待機区間とが含まれる。通常区間は、指示機能に係る性能を持たない区間である。有利区間は、指示機能に係る性能を持つ区間である。待機区間は、有利区間移行抽選による当選がボーナス当選と同じタイミングであった場合に、ボーナス入賞するまでの区間である。 【0090】 本実施の形態において、通常区間には、BB1に制御される区間と、設定変更後に制御される初期区間と、図示しないもののBB2に制御される区間とが含まれる。初期区間中にBB1に当選することでBB1に制御される。なお、通常区間中に制御されるBB2とは、BB2中に有利区間から通常区間に移行した場合に制御されるBB2である。 【0091】 本実施の形態において、有利区間には、AT(アシストタイム)といった有利状態に制御される区間と、ナビなし区間とよばれるナビ演出が行われない区間と、BB2に制御される区間とが含まれる。なお、有利区間においては、有利区間に制御されてから通常区間に移行するまでの間に、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行されればよく、押し順役に当選したことを条件に毎回ナビ演出を実行しなくともよい。また、本実施の形態においては、ナビなし区間に移行する前に、必ずATに制御されるため、ナビ演出が1回も実行されないまま有利区間から通常区間に移行することはない。 【0092】 ATとして、特別AT、有利AT、通常AT、および準備ATが設けられている。AT当選してからRT状態がRT3に移行するまでの期間は準備ATに制御され、RT3に移行した後、特別AT、有利AT、および通常ATのうちのいずれかのATに制御される。特別ATは純増枚数が150枚以上となったことを終了条件とするATである。有利ATは純増枚数が75枚以上となったことを終了条件とするATである。通常ATは純増枚数が38枚以上となったことを終了条件とするATである(図18参照)。 【0093】 ナビなし区間とは、ナビ演出がされない区間であって、指示機能に係る抽選としてAT抽選が行われる区間である。ナビなし区間として、AT当選確率の異なる4種類の区間が設けられている。具体的には、AT当選確率が初期区間中に比べて低い低確区間および地獄区間、ならびに、AT当選確率が初期区間中に比べて高い高確区間および天国区間の4種類の区間が設けられている。図10に示すように、各区間中のAT当選確率は、初期区間中は約1/200、地獄区間中は約1/316、低確区間中は約1/249、高確区間中は約1/64、天国区間中は約1/16である。 ・・・略・・・ 【0097】 メイン制御部41は、AT中の純増枚数が所定値を超えたとき、AT中にBB1またはBB2に入賞したとき、あるいは、AT中に有利区間に制御された期間が1500ゲームに達したときに当該ATへの制御を終了する。メイン制御部41は、BB1またはBB2に入賞したときはBB1またはBB2に制御する。メイン制御部41は、有利区間に制御された期間が1500ゲームに達したときは、通常区間における初期区間に制御する。なお、メイン制御部41は、BB1に入賞したときは、有利区間から通常区間に移行する。一方、メイン制御部41は、BB2に入賞したときは、有利区間に滞在したまま、ATへの制御を中断してBB2に制御した後、BB2の終了条件が成立したときにATへの制御を再開する。 【0098】 たとえば、有利ATに制御されてから当該有利AT中の純増枚数が24枚となったときにBB2に入賞した場合は、有利ATへの制御を中断してBB2に制御した後、BB2の終了条件が成立したときに有利ATへの制御を開始する。メイン制御部41は、BB2が終了した後RT0に制御するため、BB2が終了した後は準備ATに制御し、RT3に移行したときに中断していた有利ATへの制御を再開し、再開してからの純増枚数が51枚(=75枚-24枚)を超えたときに有利ATへの制御を終了する。 【0099】 なお、本実施の形態においては、ATに制御する期間を純増枚数によって管理することとしたが、ゲーム数やメダルの払出し枚数によって管理されるようにしてもよい。また、AT中およびBB2中に指示機能に係る抽選としてATに制御する期間を延長するための抽選を実行しないものとしたが、実行するようにしてもよい。 【0100】 メイン制御部41は、AT中の純増枚数が所定値を超えたときは、原則として有利区間中におけるナビなし区間に制御する。但し、メイン制御部41は、AT中の純増枚数が所定値を超えたときに特定状況である場合には、例外として、有利区間への制御を終了して、通常区間である初期区間に制御する。 【0101】 特定状況とは、ナビ終了後に高確区間または天国区間に制御されることが決定されている状況であって、ナビなし区間中にATに当選してATに制御されたとしても、ATの終了条件が成立する前に、有利区間に制御された期間が1500ゲームに達してしまう可能性が高い状況をいう。具体的には、高確区間に制御されることが決定されている場合には、有利区間に制御される期間が残り210ゲーム未満である場合には、高確区間に移行することなく、初期区間に移行する(後述する図15のステップS69参照)。天国区間に制御されることが決定されている場合には、有利区間に制御される期間が残り160ゲーム未満である場合には、天国区間に移行することなく、初期区間に移行する(図15のステップS67参照)。 【0102】 ナビなし区間中においては、所定の天井ゲーム数(たとえば、200ゲーム)以内にAT当選またはBB1,2入賞しなかった場合、あるいは有利区間に制御された期間が1500ゲームに達したときにナビなし区間への制御を終了する。具体的には、高確区間または天国区間に200ゲームに亘って滞在した場合は、ATに移行する。このとき、特別AT、有利AT、通常ATのうち、いずれのATに制御されるかは抽選によって決定される。地獄区間または低確区間に200ゲームに亘って滞在した場合は、有利区間への制御を終了して、通常区間である初期区間に制御する。 【0103】 なお、図9において表していないものの、BB2中に有利区間に制御された期間が1500ゲームに達した場合は、BB2への制御を継続するものの、BB2が終了した後は、ATではなく初期区間に制御される。 ・・・略・・・ 【0198】 有利区間に移行してから一度もATに制御されることなくナビなし区間に制御されるような状況としては、有利区間がナビなし区間から開始される状況である。120ゲームは、有利区間から通常区間に移行する条件である1500ゲームが経過する前に到達するゲーム数であるため、有利区間に制御されてから、メダルの付与率が1を超えるATに制御されることなく通常区間に移行することを防止することができる。」 イ 「【図9】 」 (2)上記(1)ア及びイからみて、本件訂正後の明細書及び図面には、有利区間には、AT(アシストタイム)といった有利状態に制御される区間と、ナビなし区間とよばれるナビ演出が行われない区間と、BB2に制御される区間とが含まれ、ナビなし区間としては、AT当選確率が初期区間中(1/200)に比べて低い低確区間(1/249)および地獄区間(1/316)、ならびに、AT当選確率が初期区間中に比べて高い高確区間(1/64)および天国区間(1/16)の4種類の区間が設けられ、有利区間に制御された期間が1500ゲームに達したときは、通常区間における初期区間に制御されることが記載されていると認められる。 1-2-3 判断 本件訂正後の明細書及び図面の記載からみて、実施の形態の「AT」が、本件発明の「前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間」に対応し、実施の形態の「低確区間および地獄区間」が、本件発明の「前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い」「第2有利区間」および「第3有利区間」に対応するものである。 そして、本件訂正後の明細書では、「AT」(第1有利区間)や「低確区間および地獄区間」(第2有利区間及び第3有利区間)以外の「高確区間」(第4有利区間)、「天国区間」(第5有利区間)、「BB2」(第6有利区間)も含む有利区間に制御された期間が1500ゲーム(特定値)に達したときは、通常区間における初期区間に制御するとされている。 そうすると、「AT」(第1有利区間)及び「低確区間および地獄区間」(第2有利区間及び第3有利区間)を含む有利区間で1500ゲーム(特定値)に達した際に初期区間に制御することは、本件訂正後の明細書に記載されている。 以上のとおりであるから、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 第7 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 新規事項について 本件特許発明1で特定されていた「所定状態」及び「当該所定状態とは異なる特定状態」については、本件訂正により、それぞれ「初期区間」及び「有利区間」と訂正され、上記第2の2(2)で検討したように、本件特許の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。 2 サポート要件について 本件特許発明1で特定された「所定状態」及び「当該所定状態とは異なる特定状態」については、本件訂正により、それぞれ「初期区間」及び「有利区間」と訂正され、上記第2の2(2)等で検討したように、本件特許の明細書に記載されているといえるから、サポート要件を満たすものとなった。 3 新規性及び進歩性について (1)上記第6の1-1-2(1)を踏まえて、本件発明2と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明が本件発明2の特定事項2Aないし2L、2Sを備えることは明らかである。 イ 甲1発明の1i、1mと、本件発明2の特定事項2Mとは、「2M’前記初期区間は、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、」で一致する。 ウ 甲1発明の1nと、本件発明2の特定事項2Nとは、「2N’前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、」で一致する。 エ 甲1発明の1e、1o、1p、1rと、本件発明2の特定事項2Oとは、「2O’前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、」で一致する。 オ 甲1発明の1e、1o、1p、1rと、本件発明2の特定事項2Pとは、「2P’ 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、」で一致する。 カ 甲1発明の1e、1o、1p、1rと、本件発明2の特定事項2Rとは、「2R’ 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときにも前記初期区間に制御する、」で一致する。 (2)上記(1)からみて、本件発明2と甲1発明とは、 「2A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 2B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 2C 入賞が発生したときに遊技者に遊技用価値を付与する遊技用価値付与手段と、 2D 付与される遊技用価値の大きさを遊技に用いた遊技用価値の大きさで割った付与率が1未満である初期区間、および当該初期区間とは異なる有利区間を含む複数種類の区間のうちのいずれかに制御する区間制御手段と、 2E 前記有利区間中に更新される値を計数する計数手段と、 2F 表示結果組合せを導出させるために操作される複数の導出操作手段と、 2G 入賞の発生を許容する入賞役を抽選によって決定する内部抽選手段と、 2H 前記複数の導出操作手段の操作手順を報知する報知手段と、 2I 前記内部抽選手段の前記抽選における当選確率に対応する複数種類の設定値のうち、いずれかの設定値を設定する設定値設定手段と、 2J 前記有利区間中に点灯可能なランプと、を備え、 2K 前記内部抽選手段によって特定の入賞役が決定されたときにおいて、前記複数の導出操作手段の操作手順が当該特定の入賞役に対応する正解手順であったときに、特定数の遊技用価値を付与する表示結果組合せが導出され、 2L 前記特定数は、単位遊技に用いられる遊技用価値の数よりも大きく、 2M’前記初期区間は、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されない区間であり、 2N’前記有利区間は、前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間、および前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間を含み、 2O’前記計数手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に更新される値を、当該第1有利区間中および当該第2有利区間中のいずれにおいても継続して計数し、」で一致する。 2P’ 前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値未満であるときは、前記有利区間に関わる特定処理が実行され、 2R’ 前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値となったときにも前記初期区間に制御する、 2S スロットマシン。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点3(特定事項2M) 本件発明2では、「前記初期区間」が「前記設定値設定手段が前記設定値を変更した後に制御される区間」であるのに対し、 甲1発明では、AT状態に制御されていない通常状態(初期区間)が設定値を変更した後に制御される区間であるかどうか明らかでない点。 ・相違点4(特定事項2N、2P、2Q、2R) 「前記有利区間」は、 本件発明2では、「前記付与率が1以上であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知される第1有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが低い第2有利区間および第3有利区間と、前記付与率が1未満であって、前記内部抽選手段によって前記特定の入賞役が決定されたときに前記報知手段によって当該特定の入賞役に対応する前記正解手順が報知されずかつ前記初期区間に比べて特典の付与に関する有利度合いが高い第4有利区間および第5有利区間と、内部抽選における小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となる第6有利区間とを含」むのに対し、 甲1発明では、AT状態(第1有利区間)と、BB1(第2有利区間)とを含むものの、本件発明2のような「第3有利区間」ないし「第6有利区間」を含むものではない点。 ・相違点5(特定事項2J、2Q) 本件発明2では、「前記有利区間中に点灯可能なランプ」「を備え、」「前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったときは、前記特定処理が実行されることなく、記憶部に記憶された前記有利区間に関わる情報を初期化する初期化処理が実行された後に、前記ランプを消灯させる消灯処理が実行され」るのに対し、 甲1発明では、有利区間中に点灯可能なランプを備えない点。 (3)本件発明2は、上記相違点2と同様な上記相違点5に係る特定事項を含むものであるから、上記第6の1-1-3で検討したように、上記相違点3及び4について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明、甲4に記載の事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 (4)本件発明1については、上記第6の1-1で検討したように、本件発明2については、上記(3)で検討したように、いずれの発明も進歩性を有するものであるから、本件発明1及び2は、甲1発明と同一ではなく、新規性を有する。 4 令和2年7月8日提出の意見書における特許異議申立人の主張について (1)特許異議申立人は、概略、以下のとおり主張する。 ア 訂正要件違反 本件訂正は、以下の点で、訂正要件違反がある。 (ア)訂正事項7および訂正事項8に係る訂正(「特定値」に係る構成の追加)後の発明は、サポート要件を満たしていない。また、これらの訂正は、新規事項の追加に該当する。 具体的には、本件発明1の特定事項1P、1Rでは、有利区間であれば、どの区間に滞在したとしても、計数値の合計が1500ゲーム(特定値)に達するまでは、有利区間中に関わる特定処理が実行され、1500ゲーム(特定値)に達した際には、初期区間に制御されると解される。 しかしながら、本件特許の明細書の【0132】、【0137】、【0139】の記載より、天国区間(有利区間)に滞在しているときは、1341~1500ゲームの間は、有利区間に閾わる特定処理が行われず、高確区間(有利区間)に滞在しているときは、1291~1500ゲームの間は、有利区間に関わる特定処理が行われないことになる。言い換えると、本件訂正後の明細書の記載によれば、有利区間に滞在していても、必ずしも、1500ゲーム(特定値)に達するまで、有利区間に関わる特定処理が実行されない区間がある。そうすると、有利区間であれば、どの区間に滞在したとしても、計数値の合計が1500ゲーム(特定値)に達するまでは、有利区間中に関わる特定処理が実行され、1500ゲーム(特定値)達した際には、初期区間に制御されることは、本件訂正後の明細書に記載も示唆もされていないし、自明な事項でもない。 (イ)訂正事項8に係る訂正(「なったときに」を「なったときにも」とする、「も」を加えたこと)は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。また、訂正後の発明は、サポート要件を満たしていない。さらに、この訂正は、新規事項の追加に該当する。具体的には、訂正事項8により、「初期区間に制御するとき」を「前記区間制御手段は、前記第1有利区間中および前記第2有利区間を含む前記有利区間中に前記計数手段が計数した値の合計が前記特定値となったとき以外のとき」まで含むものに拡張している。 (ウ)請求項2に関する訂正は、請求項間の引用関係の解消には該当せず、請求項を増加する訂正である。 (エ)さらに、訂正事項9に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。また、訂正後の発明は、サポート要件を満たしていない。そして、訂正事項9に係る訂正は、新規事項の追加に該当する。 イ 進歩性 上記した訂正要件違反が認められるとすれば、設定登録時の請求項に戻るため、既に提出している証拠(甲1ないし甲4)により、進歩性はないものと考える。また、仮に、訂正が適法であるとしても、本件発明1は、進歩性がないため、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (2)特許異議申立人の主張についての検討 ア 訂正要件違反について (ア)上記(1)ア(ア)について 上記第2の2(7)のとおり、本件特許の明細書の【0008】、【0097】等の記載より、第1及び第2有利区間を含む有利区間は、該有利区間に制御された期間が1500ゲーム(特定値)に達したときに終了することを前提としているものである。仮に本件特許の明細書の【0132】、【0137】、【0139】に記載されているように、実施形態の一つの例示として、有利区間に滞在していても、必ずしも、1500ゲーム(特定値)に達するまで、有利区間に関わる特定処理が実行されない区間があるとしても、その例示のみをもって、有利区間に制御された期間が1500ゲーム(特定値)に達したときに終了することが新規事項の追加であるとまではいえない。同様にサポート要件違反であるともいえない。 (イ)上記(1)ア(イ)について 上記第2の2(8)のとおり、本件特許の明細書の【0090】、【0095】等に記載されているように、計数手段が計数した値が特定値となったとき以外にも、設定値の変更後やBB1終了後等に初期区間に制御することがあり得るのであるから、本件訂正前の請求項1の「前記第1有利区間中および前記第2有利区間中に前記計数手段が計数した値が特定値になったときに」に限ることを特定する趣旨とは解し得ない。したがって、訂正事項8に係る訂正(「なったときに」を「なったときにも」とする、「も」を加えたこと)は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでなく、また、サポート要件を満たし、新規事項の追加であるともいえない。 (ウ)上記(1)ア(ウ)及び(エ)について 上記第2の2(9)のとおり、訂正事項9に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明及び請求項間の引用関係を解消することを目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。また、本件発明2は、サポート要件を満たすものである。 イ 進歩性について 本件訂正を認め、設定登録時の請求項に戻らないため、上記第5の1-1及び上記第7の3で示したとおり、本件発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定によっては特許を取り消すことができない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700673

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