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特許異議申立

2021-700953

クワッドツリーを用いるブロック情報の符号化/復号化方法及びその方法を使用する装置

審判番号
2021-700953
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-146237
登録番号
6855419
請求日
2021年10月06日
審決日
2023年02月17日
公報発行日
2023年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
  • 【権利者代理人】山尾 憲人
  • 【権利者代理人】岡部 英隆
  • 【権利者代理人】中谷 剣一
  • 【権利者代理人】中村 行孝
  • 【権利者代理人】朝倉 悟
  • 【権利者代理人】関根 毅
  • 【権利者代理人】吉元 弘
  • 【権利者】コリア アドバンスド インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジィ
  • 【権利者代理人】山尾 憲人
  • 【権利者代理人】岡部 英隆
  • 【権利者代理人】中谷 剣一
  • 【権利者代理人】中村 行孝
  • 【権利者代理人】朝倉 悟
  • 【権利者代理人】関根 毅
  • 【権利者代理人】吉元 弘
  • 【異議申立人】ユニファイド パテンツ エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】竹本 如洋
審判長/審判官
  • 審判長 國分 直樹
  • 審判官 川崎 優
  • 審判官 畑中 高行
分類
P1651.113-YAA(H04N) / P1651.121-YAA(H04N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6855419号発明「クワッドツリーを用いるブロック情報の符号化/復号化方法及びその方法を使用する装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6855419号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕、〔4、7〕、〔5、6〕、8、〔9、10〕について訂正することを認める。 特許第6855419号の請求項1-10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6855419号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、2011年10月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年10月4日 (KR)韓国、2010年12月21日 (KR)韓国、2011年5月24日 (KR)韓国、2011年10月4日 (KR)韓国)を国際出願日とする特願2013-531507号の一部を平成26年7月14日に出願した特願2014-144439号の一部を平成28年8月29日に出願した特願2016-167051号の一部を平成30年8月2日に特願2018-146237号として出願したものであって、令和3年3月19日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日 令和3年4月7日)がされた。 その後、令和3年10月6日に特許異議申立人 ユニファイド パテンツ エルエルシー により本件特許の請求項1~10に対して特許異議の申立てがされ、令和4年3月8日付けで当審において取消理由通知がなされた。 これに対して令和4年6月29日に特許権者より意見書が提出されるとともに、訂正請求がなされ、さらに、これに対して令和4年9月15日に特許異議申立人より意見書が提出され、これに対して令和4年10月7日に特許権者より上申書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨 令和4年6月29日に特許権者よりなされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、特許第6855419号の特許請求の範囲を、本件の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正請求による本件特許の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は、訂正箇所を示す。) (1)一群の請求項1~3に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」と記載されているのを「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し」と記載されているのを、「前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し」に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項2に「前記エントロピー復号化部は、前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報を復号化する、請求項1に記載のクワッドツリー構造を用いた映像復号化装置」と記載されているのを、 「エントロピー復号化部であって、 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し、 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定し、 前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し、 前記変換単位における変換係数を復号化する、エントロピー復号化部と、 前記復号化された変換係数を逆変換する逆変換部と、を備える、 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されず、 前記エントロピー復号化部は、前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報を復号化する、クワッドツリー構造を用いた映像復号化装置」に訂正する。 請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する。 エ 別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項2と、訂正後の請求項2の記載を引用する訂正後の請求項3については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 (2)一群の請求項4~7に係る訂正 ア 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を符号化するステップ」と記載されているのを、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化するステップ」に訂正する。 請求項4の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。 イ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に「前記分割情報フラグが符号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を符号化するステップ」と記載されているのを、「前記分割情報フラグが符号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を符号化するステップ」に訂正する。 請求項4の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。 ウ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5に「前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が符号化される請求項4に記載の方法」と記載されているのを、 「映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法であって、 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを符号化するかどうかを決定するステップと、 前記分割情報フラグが符号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 を備え、 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には符号化されず、 前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が符号化される、映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法」に訂正する。 請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。 エ 別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項5と、訂正後の請求項5の記載を引用する訂正後の請求項6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 (3)一群の請求項8~10に係る訂正 ア 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」と記載されているのを、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」に訂正する。 イ 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「前記分割情報フラグが生成されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の第2のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」と記載されているのを、「前記分割情報フラグが生成されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位の第2のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」に訂正する。 ウ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が生成される、請求項8に記載の方法」と記載されているのを、 「ビットストリームを生成する方法であって、 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを生成するかどうかを決定するステップと、 前記分割情報フラグが生成されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の第2のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 を備え、 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には生成されず、 前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が生成される、方法」に訂正する。 請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。 エ 別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項9と、訂正後の請求項9の記載を引用する訂正後の請求項10については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 3 訂正の適否についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3はそれぞれ請求項1の記載を引用しており、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項4~7について、請求項5~7はそれぞれ請求項4の記載を引用しており、訂正事項4及び5によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正される。したがって、訂正前の請求項4~7に対応する訂正後の請求項4~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 さらに、訂正前の請求項8~10について、請求項9及び10はそれぞれ請求項8の記載を引用しており、訂正事項7及び8によって記載が訂正される請求項8に連動して訂正される。したがって、訂正前の請求項8~10に対応する訂正後の請求項8~10は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の適否について (2-1)一群の請求項1~3に関する訂正について ア 訂正事項1 a 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明は、「第1のコードブロックフラグ情報」について「符号化単位における」ものであることを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における第1のコードブロックフラグ情報をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項1は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、例えば、明細書の段落【0059】の「エントロピー復号化部210では、変換単位で統合コードブロックフラグ情報を復号化し、変換単位の大きさ情報と統合コードブロックフラグ情報に基づいて分割情報フラグを復号化することができる。」との記載、段落【0083】、【0084】、【0093】の記載等に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 イ 訂正事項2 a 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明では、「第2のコードブロックフラグ情報」がいかなる事項を示す情報であるかについては何ら特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」との記載により、第2のコードブロックフラグ情報がより具体的に特定され、更に限定される。すなわち、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項2は、「第2のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、例えば、明細書の段落【0081】の「コードブロックフラグcbf_luma又はcbf_yは、現在変換単位に輝度信号を変換した変換係数値のうち0でない一つ以上の変換係数が存在するかどうか・・・を示すことができる。」との記載及び段落【0134】の記載に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3 a 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の請求項2が引用する訂正前の請求項1に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」を、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」とするものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮も目的とする。 同様に、訂正後の請求項3は、訂正後の請求項2に記載された「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」との記載を引用することにより、訂正後の請求項3に係る発明における第1のコードブロックフラグ情報をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項3は、請求項間の引用関係を解消し、請求項2を請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項3は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項2及び3に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項2が引用する訂正前の請求項1に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」を、訂正事項1と同様に、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」に訂正するものであり、訂正事項3は、訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 エ 小括 上記ア~ウのとおり、訂正事項1~3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、訂正後の請求項2、3についての訂正は、上記ウの訂正事項3のとおり認められるべきものであるから、当該請求項については、一群の請求項である請求項1~3のうち、他の請求項である請求項1とは別途訂正することを認める。 したがって、特許請求の範囲の請求項1~3を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕について訂正することを認める。 (2-2)一群の請求項4~7に関する訂正について ア 訂正事項4 a 訂正の目的について 訂正前の請求項4に係る特許発明は、「第1のコードブロックフラグ情報」について「符号化単位における」ものであることを特定している。 これに対して、訂正後の請求項4は、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化する」との記載により、訂正後の請求項4に係る発明における第1のコードブロックフラグ情報をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項4は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項4及び7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項4に「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を符号化する」と記載されているのを、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化する」に訂正する。訂正前の請求項7についても同様に訂正する。 訂正後の請求項4に係る発明は、前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを符号化するかどうかを決定する。 訂正事項4は、例えば、明細書の段落【0046】の「エントロピー符号化部130では、現在変換深さで統合コードブロックフラグを符号化し、統合コードブロックフラグ情報に基づいて分割情報フラグを符号化することができる。」との記載、段落【0083】、【0084】、【0093】の記載等に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 イ 訂正事項5 a 訂正の目的について 訂正前の請求項4に係る特許発明では、「第2のコードブロックフラグ情報」がいかなる事項を示す情報であるかについては何ら特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項4に係る発明では、「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」との記載により、第2のコードブロックフラグ情報がより具体的に特定され、更に限定される。すなわち、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項5は、「第2のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグ」にするものであり、訂正後の請求項4に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、例えば、明細書の段落【0081】の「コードブロックフラグcbf_luma又はcbf_yは、現在変換単位に輝度信号を変換した変換係数値のうち0でない一つ以上の変換係数が存在するかどうか・・・を示すことができる。」との記載及び段落【0134】の記載に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正事項6 a 訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項4を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項4を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の請求項5が引用する訂正前の請求項4に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」を、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」とするものである。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮も目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項6は、請求項間の引用関係を解消し、請求項5を請求項4の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項6は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項5及び6に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6は、訂正前の請求項5が引用する訂正前の請求項4に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化するステップ」を、訂正事項4と同様に、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化するステップ」に訂正する。 したがって、訂正事項6は、訂正事項4と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 エ 小括 上記ア~ウのとおり、訂正事項4~7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、訂正後の請求項5、6についての訂正は、上記ウの訂正事項6のとおり認められるべきものであるから、当該請求項については、一群の請求項である請求項4~7のうち、他の請求項である請求項4、7とは別途訂正することを認める。 したがって、特許請求の範囲の請求項4~7を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4、7〕、〔5、6〕について訂正することを認める。 (2-3)一群の請求項8~10に関する訂正について ア 訂正事項7 a 訂正の目的について 訂正前の請求項8に係る特許発明は、「第1のコードブロックフラグ情報」について「符号化単位における」ものであることを特定している。 これに対して、訂正後の請求項8は、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成する」との記載により、訂正後の請求項8に係る発明における第1のコードブロックフラグ情報をより具体的に特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項7は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項8に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項7は、訂正前の請求項8に「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を生成する」と記載されているのを、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックプラグ情報を生成する」に訂正する。 訂正後の請求項8に係る発明は、前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを生成するかどうかを決定する。 訂正事項7は、例えば、明細書の段落【0046】の「エントロピー符号化部130では、現在変換深さで統合コードブロックフラグを符号化し、統合コードブロックフラグ情報に基づいて分割情報フラグを符号化することができる。」との記載、段落【0083】、【0084】、【0093】の記載等に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 イ 訂正事項8 a 訂正の目的について 訂正前の請求項8に係る特許発明では、「第2のコードブロックフラグ情報」がいかなる事項を示す情報であるかについては何ら特定されていない。 これに対して、訂正後の請求項8に係る発明では、「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」との記載により、第2のコードブロックフラグ情報がより具体的に特定され、更に限定される。すなわち、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項8は、「第2のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグ」にするものであり、訂正後の請求項8に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、例えば、明細書の段落【0081】の「コードブロックフラグcbf_luma又はcbf_yは、現在変換単位に輝度信号を変換した変換係数値のうち0でない一つ以上の変換係数が存在するかどうか・・・を示すことができる。」との記載及び段落【0134】の記載に基づいて導き出される。 したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正事項9 a 訂正の目的について 訂正事項9は、訂正前の請求項9が訂正前の請求項8を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項8を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 さらに前記目的に加え、この訂正は、訂正前の請求項9が引用する訂正前の請求項8に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」を、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し」とするものである。 したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮も目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、訂正事項9は、請求項間の引用関係を解消し、請求項9を請求項8の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正である。 また、訂正事項9は、「第1のコードブロックフラグ情報」という発明特定事項を概念的により下位の「統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」にするものであり、訂正後の請求項9及び10に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項9は、訂正前の請求項9が引用する訂正前の請求項8に記載されていた「符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」を、訂正事項7と同様に、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップ」に訂正する。 したがって、訂正事項9は、訂正事項7と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。 エ 小括 上記ア~ウのとおり、訂正事項7~9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 そして、訂正後の請求項9、10についての訂正は、上記ウの訂正事項9のとおり認められるべきものであるから、当該請求項については、一群の請求項である請求項8~10のうち、他の請求項である請求項8とは別途訂正することを認める。 したがって、特許請求の範囲の請求項8~10を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項8、〔9、10〕について訂正することを認める。 4 まとめ したがって、本件訂正の訂正事項1ないし9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、または同条同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的としており、かつ同条第4項、及び第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合している。 したがって、特許請求の範囲の記載を、訂正事項1ないし9のとおり、訂正後の請求項1、〔2、3〕、〔4、7〕、〔5、6〕、8、〔9、10〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 訂正後の本件特許の請求項1~10に係る発明(以下「本件訂正発明1~10」等という。また、本件訂正発明1~10を総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(符号A1~G10は合議体が付した。以下、構成A1~G10等という。) 【請求項1】 A1 エントロピー復号化部であって、 B1 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し、 C1 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定し、 D1 前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し、 E1 前記変換単位における変換係数を復号化する、 A1 エントロピー復号化部と、 F1 前記復号化された変換係数を逆変換する逆変換部と、を備える、 C11 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない、 G1 クワッドツリー構造を用いた映像復号化装置。 【請求項2】 A1 エントロピー復号化部であって、 B1 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を復号化し、 C1 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定し、 D2 前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し、 E1 前記変換単位における変換係数を復号化する、 A1 エントロピー復号化部と、 F1 前記復号化された変換係数を逆変換する逆変換部と、を備える、 C11 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されず、 B2 前記エントロピー復号化部は、前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報を復号化する、 G2 クワッドツリー構造を用いた映像復号化装置 【請求項3】 B3 前記所定の値は、前記変換深さが、最上位の変換深さであることを示す、 G3 請求項2に記載のクワッドツリー構造を用いた映像復号化装置。 【請求項4】 A4 映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法であって、 B4 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 C4 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを符号化するかどうかを決定するステップと、 D4 前記分割情報フラグが符号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 を備え、 C41 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には符号化されない、 A4 映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法。 【請求項5】 A4 映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法であって、 B4 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 C4 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを符号化するかどうかを決定するステップと、 D5 前記分割情報フラグが符号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を符号化するステップと、 を備え、 C41 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には符号化されず、 B5 前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が符号化される、 A4 映像符号化のために用いられる情報を符号化する方法。 【請求項6】 B6 前記所定の値は、前記変換深さが、最上位の変換深さであることを示す、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 H7 ビットストリームが前記第1のコードブロックフラグ情報を含み、前記分割情報フラグ及び前記第2のコードブロックフラグ情報が生成される、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 A8 ビットストリームを生成する方法であって、 B8 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 C8 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを生成するかどうかを決定するステップと、 D8 前記分割情報フラグが生成されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである前記変換単位の第2のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 を備え、 C81 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には生成されない、方法。 【請求項9】 A8 ビットストリームを生成する方法であって、 B8 符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 C8 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを生成するかどうかを決定するステップと、 D9 前記分割情報フラグが生成されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位の第2のコードブロックフラグ情報を生成するステップと、 を備え、 C81 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には生成されず、 B9 前記変換単位における変換深さが所定の値と等しい場合、前記第1のコードブロックフラグ情報が生成される、方法。 【請求項10】 B10 前記所定の値は、前記変換深さが、最上位の変換深さであることを示す、請求項9に記載の方法。」 第4 取消理由通知の概要[HK1][HK2] (進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 記 甲第1号証:Test Model Under Consideration,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 1st Meeting:Dresden,DE,15-23 April,2010,Document:JCTVC-A205,JCTVC-A205_draft002,2010年5月、URL、https://www.itu.int/wftp3/av-arch/jctvc-site/2010_04_A_Dresden/JCTVC-A205.zip 甲第2号証:Test Model Under Consideration, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 2nd Meeting:Geneva,CH,21-28 July,2010,Document:JCTVC-B205,JCTVC-B205_draft000,2010年7月、URL、https://www.itu.int/wftp3/av-arch/jctvc-site/2010_07_B_Geneva/JCTVC-B205_draft000.doc 本件発明1、4、7、8は甲1発明または甲2発明に基づいて、本件発明2、3、5、6、9、10は甲1発明2または甲2発明2に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、請求項1-10に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 第5 特許異議申立時に提出された甲号証及び甲号証に記載された発明について 1 甲第1号証について (1)甲第1号証の記載 甲第1号証には次の記載がある。(なお、以降の下線は、強調のために当審で付したものである。以下同様。) 「Abstract This document provides the description for a Test Model under consideration. This suggested Test Model is intended to provide a coding efficiency close to the best performing proposals in the subjective test of the CfP submissions and also to provide a complexity point that is close to that of the lowest complexity submissions shown to provide substantial improvement of coding efficiency. (仮訳: 要約 この文書は検討中のテストモデルの記述を与えるものである。この提案されたテストモデルは、技術提案募集に対して提出されたうちで主観的テストについて最も優れた提案に近い符号化効率を提供し、また、符号化効率の大幅な改善をもたらすと示された最も複雑度の低い提案に近い複雑さを提供することを目的としている。」 「2 Definitions - coding tree block (CTB): A basic unit for specifying the quadtree segmentation of the given square region. CTB can have various sizes of a square shape. - largest coding tree block (LCTB): Coding tree block of the largest size allowed in the slice. A slice consists of non-overlapped LCTBs. - smallest coding tree block (SCTB): Coding tree block of the smallest size allowed in the slice. SCTB is not allowed to be split into smaller CTBs. - prediction unit (PU): A basic unit for specifying the prediction process. The size of PU is the same to that of the CU which is not allowed to be split any more. PU can be split into multiple partitions which may have arbitrary shapes whereas CU is allowed to be split into four square shapes. - transform unit (TU): A basic unit for specifying transform and quantization process. - coding unit (CU): Same as coding tree block. (仮訳: 2 定義 - coding tree block (CTB)(符号化ツリーブロック):指定された正方形領域のクワッドツリー分割を指定するための基本単位。CTBは、さまざまなサイズの正方形にすることができる。 - largest coding tree block (LCTB)(最大符号化ツリーブロック):スライスで許可されている最大サイズの符号化ツリーブロック。スライスは、重複していないLCTBで構成される。 - smallest coding tree block (SCTB)(最小符号化ツリーブロック):スライスで許可されている最小サイズの符号化ツリーブロック。SCTBをより小さなCTBに分割することは許可されない。 - prediction unit (PU)(予測ユニット):予測処理を指定するための基本単位。PUのサイズはCUのサイズと同じであり、これ以上分割することはできない。PUは任意の形状を持つ複数のパーティションに分割できるのに対し、CUは4つの正方形に分割できる。 - transform unit (TU)(変換ユニット):変換および量子化処理を指定するための基本単位である。 - coding unit (CU)(符号化ユニット):符号化ツリーブロックと同じである。)」 「4.1.9 Coding unit syntax [図:0001397156000001.jpg] (仮訳:4.1.9 符号化ユニットのシンタックス)」 「4.1.10 Prediction unit syntax [図:0001397156000002.jpg] [図:0001397156000003.jpg] (仮訳:4.1.10 予測ユニットのシンタックス)」 「4.1.11 Transform unit syntax [図:0001397156000004.jpg] (仮訳:4.1.11 変換ユニットのシンタックス)」 「4.2.9 Coding unit semantic split_coding_unit_flag specifies whether a coding unit is split into coding units with half horizontal and vertical size. When split_coding_unit_flag is not present, it shall be inferred to be equal to 0 when the current coding unit size is equal to MinCodingUnitSize otherwise it shall be inferred to be equal to 1. alf_flag specifies whether the coding unit is filtered when the adaptive loop filter is applied. When alf_flag is not present, it shall be inferred to be 0. (仮訳: 4.2.9 符号化ユニットのセマンティックス split_coding_unit_flagは符号化ユニットが水平方向と垂直方向の大きさが半分の符号化ユニットに分割されるかどうかを特定する。split_coding_unit_flagが存在しない場合は、その値は、現在の符号化ユニットのサイズがMinCodingUnitSizeに等しければ0と、そうでなければ1と推測される。 alf_flagは適応ループフィルタが適用される場合に符号化ユニットがフィルタされるかどうかを特定する。alf_flagが存在しなければ、その値は0と推測される。)」 「4.2.10 Prediction unit semantics skip_flag specifies whether current coding unit shall be skipped or not. If skip_flag is equal to 1, no more syntax elements except mvp_idx are parsed after skip_flag. When skip_flag is not present, it shall be inferred to be equal to 0. mvp_idx_l0[ i ] and mvp_idx_l1[ i ] specify ith the motion vector predictor indices of list 0 and list 1, respectively, where i is the prediction unit index. When mvp_idx_l0[ i ] or mvp_idx_l1[ i ] is not present, it shall be inferred to be equal to 0. pred_mode specifies prediction mode of current prediction unit. The semantics of pred_mode depend on the slice type. Name association to pred_mode, PredMode, shall be done as defined in Table 4-1. When pred_mode is not present, PredMode shall be inferred to be MODE_INTRA when slice_type is equal to I slice and MODE_SKIP when slice_type is equal to P slice or B slice. Table 4-7 Specification of prediction mode [図:0001397156000005.jpg] (仮訳: 4.2.10 予測ユニットのセマンティックス skip_flagは、現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定する。skip_flagが1の場合、skip_flagの後にmvp_idx以外の構文要素は解析されない。skip_flagが存在しない場合、0に等しいと推測される。 mvp_idx_l0[i]とmvp_idx_l1[i]は、それぞれリスト0とリスト1のi番目の動きベクトル予測子インデックスを指定する。ここで、iは予測ユニットインデックスである。mvp_idx_l0[i]またはmvp_idx_l1[i]が存在しない場合、0に等しいと推測される。 pred_modeは、現在の予測ユニットの予測モードを指定する。pred_modeのセマンティクスは、スライスの種類によって異なる。pred_mode、PredModeへの名前の関連付けは、表4-1の中で定義されるように行われる。PredModeはpred_modeが存在しない場合、slice_typeがIスライスの場合はMODE_INTRA、slice_typeがPスライスまたはBスライスの場合はMODE_SKIPと推測される。 表4-7 予測モードの仕様 [図:0001397156000006.jpg] )」 「4.2.11 Transform unit semantics split_transform_unit_flag specifies whether a coding unit is split into coding units with half horizontal and vertical size. When split_transform_unit_flag is not present, it shall be inferred to be equal to ( currTransformUnitSize > MinTransformUnitSize ? 1 : 0 ). coded_block_flag specifies whether the transform unit contains one or more non-zero transform coefficient levels. rotational_transform_idx specifies the rotational transform index used in the rotational transform process for the transform coefficients. (仮訳: 4.2.11 変換ユニットのセマンティックス split_transform_unit_flagは符号化ユニットが水平方向と垂直方向の大きさが半分の符号化ユニットに分割されるか否かを示す。split_transform_unit_flagが存在しないときには、currTransformUnitSize > MinTransformUnitSizeならば1に、そうでなければ0に、推測される。 coded_block_flagは変換ユニットが1またはそれより多い非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定する。 rotational_transform_idxは変換係数の回転変換処理に用いられる回転変換インデックスを特定する。)」 「5.3 Transform coefficient decoding process and picture construction process Inputs to this process are LumaLevel (if available), ChromaLevel (if available), and available inter or intra prediction sample arrays for the current transform unit for the applicable components predL, predCb, or predCr. Outputs of this process are the constructed sample arrays prior to the deblocking filter process for the applicable components S'L, S'Cb, or S'Cr. This subclause specifies transform coefficient decoding and picture construction prior to the deblocking filter process. When the prediction unit which current transform unit belongs to is coded as MODE_SKIP, all values of LumaLevel and ChromaLevel are set equal to 0 for the current transform unit. 5.3.1 Specification of transform decoding process for luma transform unit The variable LumaLevel contains the levels for the luma transform coefficients for the luma block with index tuIdx. For a luma block indexed by tuIdx, the following ordered steps are specified: 1. The inverse scanning process for the luma transform coefficients as described specified in subclause 5.3.3 is invoked with LumaLevel as the input and the two-dimensional array c as the output. 2. The scaling and transformation process for the residual block as specified in subclause 5.3.4 is invoked with c as the input and r as the output. ・・・ 5.3.2 Specification of transform decoding process for chroma transform unit This process is invoked for each chroma component Cb and Cr separately when ChromaArrayType is not equal to 0. For each chroma component, the variable ChromaLevel[ iCbCr ], with iCbCr set equal to 0 for Cb and iCbCr set equal to 1 for Cr, contain the levels for both components of the chroma transform coefficients. For each chroma component, the transform decoding proceeds separately in the following ordered steps: 1. The inverse scanning process for chroma transform coefficients as described specified in subclause 5.3.3is invoked with ChromaLevel[ iCbCr ] as the input and the two-dimensional array c as the output. 2. The scaling and transformation process for residual block as specified in subclause 5.3.4 is invoked with c as the input and r as the output. ・・・ 5.3.3 Inverse scanning process for transform coefficients Input to this process is a list of NxN values listTrCoeffs. Output of this process is a variable c containing a two-dimensional array of NxN values. ・・・ 5.3.4 Scaling and transformation process for transform unit Input to this process is an NxN array c with element cij which is either an array relating to the residual block of the luma component or, when ChromaArrayType is equal to 3, an array relating to the residual block of a chroma component. ・・・ Outputs of this process are residual sample values as NxN array r with elements rij. ・・・ 5.3.4.3 Transformation process for residual blocks Inputs of this process are - the variable bitDepth, - an NxN array of scaled transform coefficients e with elements eij. Outputs of this process are residual sample values as NxN array r with elements rij. The transformation process shall convert the block of scaled transform coefficients to a block of output samples in a manner mathematically equivalent to the following. (仮訳: 5.3 変換係数復号処理とピクチャ構築処理 この処理への入力は、LumaLevel(使用可能な場合)、ChromaLevel(使用可能な場合)、および適用可能な要素predL、predCb、またはpredCrのための現在の変換ユニットの利用可能なインター予測またはイントラ予測標本配列である。 この処理の出力は、適用可能な要素S'L、S'Cb、またはS'Crのデブロッキングフィルタ処理の前に構築された標本配列である。 この副節は、デブロッキングフィルタ処理の前の、変換係数の復号化とピクチャ構築を規定する。 現在の変換ユニットが属する予測ユニットがMODE_SKIPとして符号化された場合、現在の変換ユニットに対してLumaLevelとChromaLevelのすべての値が0に設定されている。 5.3.1 輝度変換ユニットの変換復号処理の仕様 変数LumaLevelには、インデックスtuIdxを持つ輝度ブロックの輝度変換係数のレベルが含まれる。 tuIdxでインデックス化された輝度ブロックの場合、次の順序付けられたステップが規定される: 1.副節5.3.3で規定されている説明された輝度変換係数の逆スキャン処理は、LumaLevelを入力として、2次元配列cを出力として呼び出される。 2.副節5.3.4で規定されている残差ブロックに対するスケーリングと変換処理は、cを入力として、rを出力として呼び出される。 ・・・・ 5.3.2 色差変換ユニットの変換復号処理の仕様 この処理は、ChromaArrayTypeが0でない場合に、色差要素CbとCrごとに個別に呼び出される。 色差成分ごとに、変数ChromaLevel[iCbCr](Cbの場合はiCbCrが0に設定され、Crの場合はiCbCrが1に設定される)には、色差変換係数の両方の成分のレベルが含まれる。 色差成分ごとに、変換復号化は、次の順序付けられたステップで別々に進行する: 1.副節5.3.3で規定されている説明された色差変換係数の逆スキャン処理が、ChromaLevel[iCbCr]を入力として、2次元配列cを出力として呼び出される。 2.副節5.3.4で規定されているように、残差ブロックに対するスケーリングと変換処理が、cを入力とし、rを出力として呼び出される。 ・・・ 5.3.3 変換係数の逆スキャン処理 この処理への入力は、NxN値のリストlistTrCoeffsである。 この処理の出力は、NxN値の2次元配列を含む変数cである。 ・・・ 5.3.4 変換ユニットのスケーリングと変換処理 この処理の入力は要素cijを有するNxN配列cであって、輝度成分の残差ブロックに関連する配列であるか、ChromaArrayTypeが3に等しい時は、色差成分の残差ブロックに関連する配列である。 ・・・ 出力は要素rijを持つ残差標本値としてのNxN配列である。 ・・・ 5.3.4.3 残差ブロックの変換処理 この処理の入力は次のとおりである。 - 変数bitDepth - 要素eijを持つスケール変換係数eのNxN配列 この処理の出力は、要素rijを持つ残差標本値としてのNxN配列rである。 変換処理は、以下と数学的に等価な方法で、スケール変換係数のブロックを出カの標本ブロックに変換する。)」 「12 Entropy Coding 12.1 Low-Complexity Entropy Coding General All syntax elements are encoded using either FLC or “UVLC-like” VLC tables. ・・・ The VLC encoding process is illustrated in Figure 5, while the VLC decoding process is illustrated in Figure 6. [図:0001397156000007.jpg] ・・・ Transform coefficients Entropy coding of transform coefficients is performed by an improved version of CAVLC as follows: (仮訳 12 エントロピー符号化 12.1 複雑性の低いエントロピー符号化 一般 すべてのシンタックスエレメントは、FLCまたは”UVLCに似た”VLCテーブルのいずれかを使用して符号化される。 ・・・ VLC符号化処理を図5(合議体の注:これは「図6」の誤りである)に示し、VLC復号化処理を図6(合議体の注:これは「図7」の誤りである)に示す。 ・・・ 変換係数 変換係数のエントロピー符号化は以下のCAVLCの改良版によって実行される。 )」 また、図6にはVLC符号化処理において、一番右側である最終の段でVLC table(VLCテーブル)を用いていることが、図7にはVLC復号化処理において、一番左側である最初の段でinverse VLC table(逆VLCテーブル)を用いていることが、それぞれ見て取れる。 (2)甲第1号証記載の事項 上記(1)より、甲第1号証には以下の事項が記載されているものといえる。 (ア)要約及び2からいえること 甲第1号証は優れた符号化効率と低い複雑度を与える符号化技術のテストモデルを提供するものであり、指定された正方形領域のクワッドツリー分割を指定するための基本単位である符号化ツリーブロックと同じである符号化ユニットを用いるものであること、 がいえる。 (イ)4.1.10、4.2.10、表4-7からいえること (イ-1) 4.1.10のシンタックスエレメントである予測ユニットprediction_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)のシンタックスの第2、3行から、シンタックスエレメントslice_typeがIではない場合、シンタックスエレメントskip_flagが存在すること、 (イ-2) 4.1.10の予測ユニットのシンタックスの第4、5、11、12、14行から、if(skip_flag)の else節(skip_flagが0の時)にのみシンタックスエレメントpred_modeが記載されていることから、skip_flagが0の場合のみpred_modeが存在すること、 (イ-3) 4.2.10の予測ユニットのセマンティックスや表4-7から、skip_flagは、現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するものであり、slice_typeの値がIではない場合は、pred_modeが存在する場合、pred_modeの値は0、1、2のいずれかであり、シンタックスエレメントPredModeの値はそれぞれMODE_DIRECT、MODE_INTER、MODE_INTRAであり、pred_modeが存在しない場合、PredModeの値はMODE_SKIPと推測されること、 がいえる。 (ウ)4.1.11の枠内、4.2.11からいえること (ウ-1) 変換ユニットtransform_unit(x0,y0,currTransformUnitSize)のシンタックスの第1~4行から、変換ユニットtransform_unitのシンタックスエレメントの引数currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、シンタックスエレメントsplit_transform_unit_flagが存在すること、 (ウ-2) 変換ユニットtransform_unit(x0,y0,currTransformUnitSize)のシンタックスの第5~17行から、if(split_transform_unit_flag)が真(すなわち、split_transform_unit_flagが1)の場合、currTransformUnitSizeを1ビット右シフトしたシンタックスエレメントsplitTransformUnitSizeの値を用いて、再帰的にtransform_unit(x0,y0,splitTransformUnitSize)を呼び出し、else節(すなわち、split_transform_unit_flagが0の場合)においてシンタックスエレメントcoded_block_flagが存在すること、 がいえる。 (ウ-3) さらに、4.2.11の変換ユニットのセマンティックスにおけるシンタックスエレメントsplit_transform_unit_flagは、その名前から明らかなように(4.2.11の「coding unit」は「transform unit」の誤記であって)変換ユニットが分割されるか否かを示すことは明らかであり、シンタックスエレメントcoded_block_flagは変換ユニットが非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定すること、 がいえる。 (エ)4.1.9からいえること 上記(イ-1)のとおり、シンタックスエレメントprediction_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)が予測ユニットに関するものであること、また、上記(ウ-1)のとおり、シンタックスエレメントtransform_unit(x0,y0,currTransformUnitSize)が変換ユニットに関するものであること、を踏まえると、 符号化ユニットのシンタックスの下から6~3行のelse節の記載から、符号化ユニットに関連して存在する予測ユニットについて、予測ユニットのシンタックスエレメントprediction_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)が存在し、PredModeがシンタックスエレメントMODE_SKIPではない場合、シンタックスエレメントtransform_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)が存在すること、 がいえる。 (オ)5.3~5.3.4.3からいえること (オ-1) 変換係数復号処理の入力は、LumaLevelとChromaLevelおよび現在の変換ユニットの利用可能な標本配列であって、変数LumaLevelには輝度変換ユニットの変換復号処理における輝度ブロックの輝度変換係数のレベルが含まれ、変数ChromaLevelには色差変換ユニットの変換復号処理における色差変換係数のレベルが含まれ、出力は構築された標本配列であること、 (オ-2) 変換復号処理は、次の順序付けられたステップが規定されており、 (オ-3) 変換係数の逆スキャン処理が、LumaLevelまたはChromaLevelを入力として、2次元配列cを出力として呼び出され、 (オ-4) 残差ブロックに対する変換処理を含む変換ユニットの変換処理は、輝度成分または色差成分に関する残差ブロックに関連する要素cijを有するNxN配列cを入力とし、要素rijを持つ残差標本値としてのNxN配列rを出力するものであり、変換処理は、変換係数のブロックを出力の標本ブロックに変換すること、 がいえる。 (カ)12からいえること 12のエントロピー符号化についての記載から、すべてのシンタックスエレメントはVLCテーブルを使用して符号化されていること、図6の記載から、VLC符号化処理において、最終的にVLCテーブルを用いていること、図7の記載から、VLC復号化処理において、最初に逆VLCテーブルが用いられていることが、それぞれ読み取れることを踏まえると、 すべてのシンタックスエレメントはVLC復号化処理において、最初に逆VLCテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされること、 がいえる。 さらに、12のエントロピー符号化において、変換係数のエントロピー符号化はCAVLCの改良版によって実行されるという記載があることから、 変換係数はVLC復号化処理において、最初に逆CAVLCの改良版のテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされること、 がいえる。 (3)甲1発明 上記(2)の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。(甲1発明の各構成には、a1~e1の符号を、当審において付した。以下、「構成a1」~「構成e1」等という。また、各構成の末尾に、上記(2)における対応する記載事項の記号を付した。)。 (甲1発明) a1、e1 すべてのシンタックスエレメントはVLC復号化処理において、最初に逆VLCテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされるものであり、 変換係数はVLC復号化処理において、最初に逆CAVLCの改良版のテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされるものであり、(カ) b1 符号化ユニットについて、予測ユニットのシンタックスエレメントprediction_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)が存在する場合において、(エ) b11 シンタックスエレメントPredModeの値がMODE_SKIPではない場合、変換ユニットのシンタックスエレメントtransform_unit(x0,y0,currCodingUnitSize)が存在し、(エ) b12 符号化ユニットに関連して存在する予測ユニットについて、シンタックスエレメントslice_typeの値がIではない場合、現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントskip_flagが存在し、(イ-1)、(イ-3) c1 skip_flagの値が0の場合はシンタックスエレメントpred_modeが存在し、(イ-2) slice_typeがIではない場合は、シンタックスエレメントpred_modeが存在する場合、その値は0、1、2のいずれかであり、シンタックスエレメントPredModeの値はそれぞれMODE_DIRECT、MODE_INTER、MODE_INTRAであり、pred_modeが存在しない場合、PredModeの値はMODE_SKIPと推測され、(イ-3) c11 変換ユニットtransform_unit(x0,y0,currTransformUnitSize)について、引数currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、変換ユニットが分割されるか否かを示すシンタックスエレメントsplit_transform_unit_flagが存在し、(ウ-1)、(ウ-3) d1 split_transform_unit_flagが1の場合、currTransformUnitSizeを1ビット右シフトしたシンタックスエレメントsplitTransformUnitSizeの値を用いて、再帰的にtransform_unit(x0,y0,splitTransformUnitSize)を呼び出し、split_transform_unit_flagが0の場合、変換ユニットが非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定するシンタックスエレメントcoded_block_flagが存在し、(ウ-2)、(ウ-3) e11、f1 変換係数復号処理の入力は、LumaLevelとChromaLevelおよび現在の変換ユニットの利用可能な標本配列であって、変数LumaLevelには輝度変換ユニットの変換復号処理における輝度ブロックの輝度変換係数のレベルが含まれ、変数ChromaLevelには色差変換ユニットの変換復号処理における色差変換係数のレベルが含まれ、変換復号処理は、次の順序付けられたステップが規定されており、(オ-1)、(オ-2) e12 変換係数の逆スキャン処理が、LumaLevelまたはChromaLevelを入力として、2次元配列cを出力として呼び出され、(オ-3) f11 残差ブロックに対する変換処理、すなわち変換ユニットの変換処理は、輝度成分または色差成分に関する残差ブロックに関連する要素cijを有するNxN配列cを入力とし、要素rijを持つ残差標本値としてのNxN配列rを出力するものであり、変換処理は、変換係数のブロックを出力の標本ブロックに変換するものであり、(オ-4) g1 指定された正方形領域のクワッドツリー分割を指定するための基本単位である符号化ツリーブロックと同じである符号化ユニットを用いるものである、テストモデル。(ア) 2 甲第2号証について 甲第2号証の「Abstract」、「2 Definition」、「4.1.9 Code unit syntax」、「4.1.10 Prediction unit syntax」、「4.1.11 Transform unit syntax」、「4.2.9 Coding unit semantics」、「4.2.10 Prediction unit semantics」、「4.2.11 Transform unit semantics」、「5.3 Transform coefficient decoding process and picture construction process」、「5.3.1 Specification of transform decoding process for luma transform unit」、「5.3.2 Specification of transform decoding process for chroma transform unit」、「5.3.3 Inverse scanning process for transform coefficients」、「5.3.4 Scaling and transformation process for transform unit」、「5.3.4.3 Transformation process for residual blocks」には、甲第1号証のそれと同じ記載があり、また、甲第2号証の「13 Entropy Coding」は甲第1号証の「12 Entropy Coding」の記載と同じ記載があることから、甲第2号証には甲1発明と同じ発明(以下、これを甲2発明という)が記載されているといえる。 3 甲第3号証について 甲第3号証の国際公開2010/039728号には階層コード化ブロック・パターン(CBP)に関連して以下の記載がある。 (ここで、上記記載に関して、仮訳として甲第3号証のパテントファミリである特表2012-504908号公報の対応する記載を示す。) 「【0044】 本開示で説明するビデオ・コーディング技法は、大型マクロ・ブロックのコーディングをサポートするための1つまたは複数の特徴を利用することができる。たとえば、大型マクロ・ブロックをより小さいパーティションに区分することができる。大型マクロ・ブロック内の選択されたパーティションに様々なコーディング・モード、たとえば、様々な空間(I)コーディング・モードまたは時間(PまたはB)コーディング・モードを適用することができる。また、残差データを表す非0変換係数を有するコード化マクロ・ブロックおよびパーティションを効率的に識別するために、階層コード化ブロック・パターン(CBP)値を利用することができる。」 「【0047】 1つまたは複数の階層コード化ブロック・パターン(CBP)値を使用して、大型マクロ・ブロック中のいずれかのパーティションが少なくとも1つの非0変換係数を有するかどうか、そうであれば、どのパーティションかを効率的に記述することができる。変換係数は大型マクロ・ブロックの残差データを符号化する。大型マクロ・ブロックレベルCBPビットは、大型マクロ・ブロック中のいずれかのパーティションが非0量子化係数を含むかどうかを示す。そうでない場合、大型マクロ・ブロック全体が非0係数を有しないことがわかっているので、パーティションのいずれかが非0係数を有するかどうかを検討する必要はない。この場合、予測マクロ・ブロックを使用して、残差データなしにマクロ・ブロックを復号することができる。 【0048】 代替的に、マクロ・ブロックレベルCBP値が、大型マクロ・ブロック中の少なくとも1つのパーティションが非0係数を有することを示す場合、どのパーティションが少なくとも1つの非0係数を含むかを識別するために、パーティション・レベルCBP値を分析することができる。デコーダは、次いで、少なくとも1つの非0係数を有するパーティションの当該の残差データを検索し、残差データと予測ブロックデータとを使用してパーティションを復号することができる。場合によっては、1つまたは複数のパーティションは、非0係数を有し、したがって当該の指示をもつパーティション・レベルCBP値を含むことができる。大型マクロ・ブロックと、パーティションのうちの少なくともいくつかの両方は、16×16ピクセルよりも大きいとすることができる。」 「【0089】 エントロピー復号ユニット52は、受信したビット・ストリームをエントロピー復号して、量子化係数およびシンタックス要素(たとえば、動きベクトル、CBP値、QPY値、変換サイズ・フラグ値、MB64_delta_QP値)を生成する。エントロピー復号ユニット52は、フレーム、スライスおよび/またはマクロ・ブロック・ヘッダなどのコード化ユニット中のシンタックス情報を識別するために、ビット・ストリームをパースすることができる。複数のマクロ・ブロックを備えるコード化ユニットのシンタックス情報は、マクロ・ブロックの最大サイズ、たとえば、16×16ピクセル、32×32ピクセル、64×64ピクセル、またはコード化ユニット中の他のより大きいサイズのマクロ・ブロックを示すことができる。」 「【0104】 Pブロックについては以下の表1の例に関して、およびBブロックについては以下の表2の例に関してより詳細に説明するように、パーティション・レベル0のブロックを、64×64ピクセルをもつマクロ・ブロックを表すMB64_typeシンタックス要素に従って定義することができる。任意のMB[N]_typeについて同様のタイプ定義を形成することができ、[N]は、N×Nピクセルをもつブロックを指し、Nは、16よりも大きいとすることができる正の整数である。N×Nブロックが、図4A上の最後の列に示すようにサイズ(N/2)×(N/2)の4つのパーティションを有するとき、4つのパーティションの各々は、それら自体のタイプ定義、たとえば、MB[N/2]_typeを受信することができる。たとえば、4つの32×32ピクセル・パーティションをもつ(タイプMB64_typeの)64×64ピクセルブロックの場合、ビデオ・エンコーダ50は、4つの32×32ピクセル・パーティションの各々についてMB32_typeを導入することができる。これらのマクロ・ブロック・タイプ・シンタックス要素は、本開示で説明するように、大型マクロ・ブロックおよび大型マクロ・ブロックの様々なパーティションを復号する際にデコーダ60を支援することができる。Nが16よりも大きい各N×Nピクセル・マクロ・ブロックは、一般に、一意のタイプ定義に対応する。したがって、エンコーダは、特定のマクロ・ブロックに適したシンタックスを生成し、フレーム、スライス、またはマクロ・ブロックのシーケンスなどのコード化ユニット中のマクロ・ブロックの最大サイズをデコーダに示すことができる。このようにして、デコーダは、コード化ユニットのマクロ・ブロックに適用すべきシンタックス・デコーダの指示を受信することができる。これはまた、エンコーダが、マクロ・ブロックに適用すべきシンタックス・デコーダのタイプ、たとえば、標準H.264、または本開示の技法による、より大きいマクロ・ブロックの処理のために指定されたシンタックス・デコーダのタイプを示すことができるという点で、デコーダが、H.264などの既存のコーディング規格と後方互換性があることを保証する。」 【0105】 一般に、各MB[N]_type定義は、対応するタイプについて、対応するタイプのブロック中のピクセル数(たとえば、64×64)、ブロックのための参照フレーム(または参照リスト)、ブロックのパーティション数、ブロックの各パーティションのサイズ、各パーティションがどのように符号化されるか(たとえば、イントラまたはインターおよび特定のモード)、およびパーティションがインター・コーディングされるときのブロックの各パーティションのための参照フレーム(または参照リスト)を表すことができる。16×16ブロックおよびより小さいブロックについては、ビデオ・エンコーダ50は、いくつかの例では、H.264規格によって指定されたタイプなど、従来のタイプ定義をブロックのタイプとして使用することができる。他の例では、ビデオ・エンコーダ50は、16×16ブロックおよびより小さいブロックに対して新たに定義されたブロック・タイプを適用することができる。」 【0110】 図5は、大型マクロ・ブロックの様々なパーティション・レベルの階層図を示す概念図である。図5はまた、図4Aに関して説明した大型マクロ・ブロックの様々なパーティション・レベル間の関係を表す。図5の例で示されるように、パーティション・レベルの各ブロックは、対応するコード化ブロック・パターン(CBP)値を有することができる。CBP値は、ブロックまたはマクロ・ブロックを記述するシンタックス情報の一部を形成する。一例では、CBP値は、それぞれ、変換および量子化演算の後、所与のブロック中に非0変換係数値があるか否かを示す1ビットシンタックス値である。 【0111】 場合によっては、予測ブロックは、残差変換係数のすべてが0に量子化されるように、ピクセル成分がコーディングすべきブロックに極めて近接していることがあり、その場合、コード化ブロックの変換係数を送信する必要はない。代わりに、コード化ブロックが非0係数を含まないことを示すために、ブロックのCBP値を0にセットすることができる。代替的に、ブロックが少なくとも1つの非0係数を含む場合、CBP値を1にセットすることができる。デコーダ60は、CBP値を使用して、コーディングされた、すなわち、1つまたは複数の非0変換係数をもつ残差ブロックと、コーディングされていない、すなわち、非0変換係数を含まないブロックとを識別することができる。 【0112】 本開示で説明する技法のいくつかによれば、エンコーダは、それらのパーティションを含む大型マクロ・ブロックが少なくとも1つの非0係数を有するかどうかに基づいて、それらのマクロ・ブロックにCBP値を階層的に割り当て、どのパーティションが非0係数を有するかを示すためにパーティションにCBP値を割り当てることができる。大型マクロ・ブロックの階層CBPにより、コード化大型マクロ・ブロックと非コード化大型マクロ・ブロックとを迅速に識別するための大型マクロ・ブロックの処理が可能になり、ブロックを復号するために残差データを使用する必要があるかどうかを判断するための、大型マクロ・ブロックの各パーティション・レベルにおけるコード化パーティションの識別が可能になる。 【0113】 一例では、レベル0における64×64ピクセル・マクロ・ブロックは、パーティションを含む64×64ピクセル・マクロ・ブロック全体が非0係数を有するか否かを示すための、CBP64値、たとえば、1ビット値を備えるシンタックス情報を含むことができる。一例では、ビデオ・エンコーダ50は、64×64ピクセル・マクロ・ブロックが少なくとも1つの非0係数を含むことを表すために、CBP64ビットを、たとえば、値「1」に「セット」する。したがって、CBP64値が、たとえば、値「1」にセットされたとき、64×64ピクセル・マクロ・ブロックは、マクロ・ブロック中のどこかに少なくとも1つの非0係数を含む。別の例では、64×64ピクセル・マクロ・ブロックが全0係数を有することを表すために、ビデオ・エンコーダ50は、CBP64値を、たとえば、値「0」に「クリア」する。したがって、CBP64値が、たとえば、値「0」にクリアされたとき、64×64ピクセル・マクロ・ブロックは、全0係数を有するものとして示される。CBP64値「0」をもつマクロ・ブロックは、一般に、ビット・ストリーム中での残差データの送信を必要としないが、CBP64値「1」をもつマクロ・ブロックは、一般に、そのようなマクロ・ブロックを復号する際に使用するために、ビット・ストリーム中での残差データの送信を必要とする。」 【0117】 上記のように、エンコーダおよび/またはデコーダは、大型マクロ・ブロック(たとえば、64×64または32×32)およびそのパーティションが少なくとも1つの非0係数または全0係数を含むかどうかを表す階層的CBP値を利用することができる。したがって、エンコーダは、マクロ・ブロックが16×16ピクセルよりも大きいサイズを備えるようなデジタル・ビデオストリームのコード化ユニットの大型マクロ・ブロックを符号化し、ブロックのサイズを識別するブロック・タイプ・シンタックス情報を生成し、ブロックが少なくとも1つの非0係数を含むかどうかを識別するような、ブロックのCBP値を生成し、該当する場合、ブロックの様々なパーティション・レベルの追加のCBP値を生成することができる。 【0118】 一例では、階層的CBP値は、長さがプレフィックスの値に依存するビットアレイ(たとえば、ビットベクトル)を備えることができる。アレイは、さらに、図5に示すツリー構造など、CBP値の階層を表すことができる。アレイはツリーのノードを幅優先様式で表すことができ、各ノードはアレイ中のビットに対応する。一例では、ツリーのノードが、「1」にセットされたビットを有するとき、ノードは、(4つのパーティションに対応する)4つのブランチを有し、ビットが「0」にクリアされたとき、ノードはブランチを有しない。」 「【0126】 図7は、64×64ピクセル・マクロ・ブロックの32×32ピクセル・パーティションのCBP32値をセットするための例示的な方法を示すフローチャートである。最初に、次のパーティション・レベルについて、エントロピー・コーディング・ユニット46が、マクロ・ブロックの32×32ピクセル・パーティション、たとえば、図6に関して言及した4つのパーティションのうちの1つを受信する(110)。エントロピー・コーディング・ユニット46は、次いで、パーティションが少なくとも1つの非0係数を含むかどうかを最初に判断することによって、32×32ピクセル・パーティションのCBP32値を判断する(112)。エントロピー・コーディング・ユニット46は、パーティションの係数のすべてが値0を有すると判断したとき(112の「いいえ」ブランチ)、CBP32値をクリアし、たとえば、CBP32値のビットを「0」にリセットする(114)。エントロピー・コーディング・ユニット46は、パーティションの少なくとも1つの非0係数を識別したとき(112の「はい」ブランチ)、CBP32値をセットし、たとえば、CBP32値のビットを「1」にセットする(116)。」 「【0135】 図9は、2ビットluma16×8_CBP値を判断するための例示的な方法を示すフローチャートである。エントロピー・コーディング・ユニット46は、2つの16×8ピクセル・パーティションまたは2つの8×16ピクセル・パーティションにさらに区分される16×16ピクセル・パーティションを受信する(150)。エントロピー・コーディング・ユニット46は、一般に、16×16ピクセル・パーティションの対応するサブブロックが少なくとも1つの非0係数を含むかどうかに従って、luma16×8_CBPの各ビットを割り当てる。 【0136】 エントロピー・コーディング・ユニット46は、第1のサブブロックが少なくとも1つの非0係数を有するかどうかを判断するために、16×16ピクセル・パーティションの第1のサブブロックが少なくとも1つの非0係数を有するかどうかを判断する(152)。第1のサブブロックが全0係数を有するとき(152の「いいえ」ブランチ)、エントロピー・コーディング・ユニット46はluma16×8_CBPの第1のビットをクリアし、たとえば、luma16×8_CBP[0]に値「0」を割り当てる(154)。第1のサブブロックが少なくとも1つの非0 係数を有するとき( 1 5 2 の「はい」ブランチ)、エントロピー・コーディング・ユニット46はluma16×8_CBPの第1のビットをセットし、たとえば、luma16×8_CBP[0]に値「1」を割り当てる(156)。 【0137】 エントロピー・コーディング・ユニット46はまた、16×16ピクセル・パーティションの第2のサブパーティションが少なくとも1つの非0係数を有するかどうかを判断する(158)。第2のサブパーティションが全0係数を有するとき(158の「いいえ」ブランチ)、エントロピー・コーディング・ユニット46はluma16×8_CBPの第2のビットをクリアし、たとえば、luma16×8_CBP[1]に値「0」を割り当てる(160)。第2のサブブロックが少なくとも1つの非0係数を有するとき(158の「はい」ブランチ)、エントロピー・コーディング・ユニット46は、次いで、luma16×8_CBPの第2のビットをセットし、たとえば、luma16×8_CBP[1]に値「1」を割り当てる(162)。」 「【0139】 擬似コードにおいて、「lumacbp16」は、16×16ルーマブロック全体が非0係数を有するか否かを示す1ビットフラグを付加する動作に対応する。「lumacbp16」が1に等しいとき、少なくとも1つの非0係数がある。関数「Transform_size_flag」は、使用されている変換、たとえば、4×4変換、8×8変換、16×16変換(16×16以上の動きパーティション用)、16×8変換(P_16×8用)、または8×16変換(P_8×16用)のうちの1つを示す結果を有する実行される計算を指す。TRANSFORM_SIZE_GREATER_THAN_16× 8は、変換サイズが16×8または8×16以上であることを示すために使用される計数値(たとえば「2」)である。transform_size_flagの結果は、64×64ピクセル・マクロ・ブロックのシンタックス情報に組み込まれる。 【0140】 「luma16×8_cbp」は、各ビットがP_16×8またはP_8×16の2つのパーティションのうちの1つが非0係数を有するか否かを示す2ビットの数を生成する計算を指す。luma16×8_cbpから生じた2ビットの数は64×64ピクセル・マクロ・ブロックのシンタックスに組み込まれる。値「chroma_cbp」は、ITU H.264によって規定されているCodedBlockPatternChromaと同様にして計算できる。計算されたchroma_cbp値は64×64ピクセル・マクロ・ブロックのシンタックス情報に組み込まれる。関数h264_cbpは、ITU H.264において定義されているCBPと同様に計算できる。計算されたH264_cbp値は64×64ピクセル・マクロ・ブロックのシンタックス情報に組み込まれる。」 【0147】 ビデオ・ブロックをPフレームまたはPスライスの一部としてインター・コーディングすべきとき、ブロックを4つの上記のパーティションのいずれかに区分することができ、各パーティションを別々に符号化することができる。すなわち、ブロックの各パーティションを、異なる符号化モード、すなわち、イントラ符号化(Iコード化)または単一の参照フレーム/スライス/リストを参照するインター符号化(Pコード化)のいずれかに従って符号化することができる。以下の表1に、サイズN×Nのブロックの各潜在的なパーティションについてのインター符号化情報を要約する。表1で「M」に言及する場合、M=N/2である。以下の表1では、L0は「リスト0」、すなわち、参照フレーム/スライス/リストを指す。N×Nブロックをどのように最良に区分するかを決定するときに、ビデオ・エンコーダ50などのエンコーダは、図11に関してより詳細に説明するように、ラグランジュ乗数に基づいて各MB_N_type(すなわち、パーティションの各タイプ)についてレートひずみコスト情報を分析して、最低コストを最良のパーティション方法として選択することができる。 【表1】 [図:0001397156000008.jpg] 【0148】 上記の表1において、列「MB_N_type」の要素は、N×Nブロックの各パーティションタイプのキーである。列「MB_N_typeの名前」の要素は、N×Nブロックの様々な区分タイプの名前である。名前中の「P」は、Pコーディングを使用して、すなわち、単一のフレーム/スライス/リストを参照してブロックがインター・コーディングされることを指す。名前中の「L0」は、Pコーディングのための参照フレームまたはスライスとして使用される参照フレーム/スライス/リスト、たとえば、「リスト0」を指す。「N×N」は、パーティションがブロック全体であることを指し、「N×M」は、パーティションが幅Nおよび高さMの2つのパーティションであることを指し、「M×N」は、パーティションが幅Mおよび高さNの2つのパーティションであることを指し、「M×M」は、パーティションが、それぞれ幅Mおよび高さMをもつ等しいサイズの4つのパーティションであることを指す。 【0149】 表1において、PN_Skipは、たとえば、コーディングから生じるブロックが全0係数を有するので、ブロックが「スキップ」されたことを暗示する。」 「【0189】 ビデオ・デコーダ30は、ビデオ・エンコーダ20からコード化ユニットとそのコード化ユニットのシンタックス情報とを受信する(312)。ビデオ・デコーダ30は、コード化ユニット中の最大ブロックのコード化ユニット・シンタックス情報中の指示に基づいてブロック・ベースのシンタックス・デコーダを選択する(314)。たとえば、コード化ユニット・シンタックス情報が、コード化ユニット中の最大ブロックが64×64ピクセルを備えることを示したと仮定すると、ビデオ・デコーダ30はMB64_typeブロックのシンタックス・デコーダを選択することができる。ビデオ・デコーダ30は、次いで、コード化ユニットのブロックに選択されたシンタックス・デコーダを適用して、コード化ユニットのブロックを復号する(316)。ビデオ・デコーダ30はまた、最小符号化パーティションのコード化ユニット・シンタックス情報中の指示に基づいて、ブロックがさらなる個別符号化サブパーティションを有しないときを判断することができる。たとえば、最大ブロックが64×64ピクセルであり、最小ブロックが同じく64×64ピクセルである場合、64×64ブロックは64×64サイズよりも小さいサブパーティションに分割されないと判断され得る。別の例として、最大ブロックが64×64ピクセルであり、最小ブロックが32×32ピクセルである場合、64×64ブロックは32×32以上の大きさのサブパーティションに分割されると判断され得る。」 「【図5】 [図:0001397156000009.jpg] 」 4 甲第4号証について 甲第4号証である、インプレス標準教科書シリーズ 改訂三版 H.264/AVC教科書、第1版、2009年1月1日発行、株式会社インプレスR&D、p.86-87には、以下の記載がある。 [図:0001397156000010.jpg] [図:0001397156000011.jpg] 上記図4-1、図4-2から、動画像の符号化・復号にあたり、エントロピー符号化・エントロピー復号を行うことは周知技術であることがいえる。 第6 取消理由通知についての当審の判断 1 本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)構成A1について 甲1発明の構成a1、e1から、甲1発明はエントロピー復号化を行うものであるといえ、本件訂正発明1の構成A1の「エントロピー復号化部」と、エントロピー復号化を行う点で共通する。 ただし、本件訂正発明1は「エントロピー復号化部」を備えるのに対して、甲1発明は「エントロピー復号化部」を備えるかどうかは不明である点で相違する。 (イ)構成B1、C1、C11について (イー1) 甲1発明の構成b1、b12から、符号化ユニットについて予測ユニットが存在する場合、符号化ユニットに関連して存在する予測ユニットについて、slice_typeがIでない場合、現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するskip_flagが存在するといえる。 (イー2) 甲1発明の構成a1、e1から「すべてのシンタックスエレメントはVLC復号化処理において、最初に逆VLCテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされるものであ」るから、甲1発明の構成b1、b11、b12、c1、c11におけるすべてのシンタックスエレメントはエントロピー復号されるものといえ、skip_flagも同様にエントロピー復号されるといえる。 (イー3) 甲1発明の構成c1のうち、「skip_flagの値が0の場合はpred_modeが存在し」ているということは、skip_flagの値が1の場合pred_modeは存在しないといえる。 ここで、構成b12から、「シンタックスエレメントslice_typeの値がIでない場合」とは、「skip_flagが存在」する場合であるといえるから、構成c1における「slice_typeがIではない場合」という条件は「skip_flagの値が0の場合」に含まれる、自明の条件にすぎないといえる。 したがって、構成c1は、「skip_flagの値が0の場合」、「PredModeの値はMODE_DIRECT、MODE_INTER、MODE_INTRAのいずれかであり、skip_flagの値が1の場合、PredModeの値はMODE_SKIPと推測される」と換言できる。 さらに、構成b11から、PredModeの値がMODE_SKIPではない場合、変換ユニットが存在し、Pred Modeの値がMODE_SKIPである場合、変換ユニットは存在しないことがいえるから、構成c1は、さらに、「skip_flagの値が0の場合、変換ユニットが存在し、skip_flagの値が1の場合、変換ユニットは存在しない」と換言できる。 (イー4) 甲1発明の構成c11から、変換ユニットtransform_unit(x0,y0,currTransformUnitSize)について、currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、split_transform_unit_flagが存在することから、当該変換ユニットについてcurrTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくない場合にはsplit_transform_unit_flagは存在しないといえる。 ところで、構成c1から、skip_flagの値が1であって変換ユニットが存在しない場合、split_transform_unit_flagも存在しないといえる。 そうすると、構成c1、構成c11を合わせると、「currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくない場合か、skip_flagが1の場合は、split_transform_unit_flagは存在しない」といえる。 (イ-5)(イ-1)~(イ-4)を総合すると、甲1発明の構成b1、b12、c1、c11から、 「符号化ユニットについて予測ユニットが存在する場合であって、現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントskip_flagが存在する場合に、エントロピー復号によってskip_flagが得られ、」 「skip_flagの値が0の場合は、変換ユニットについてcurrTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、split_transform_unit_flagが存在し、」 「currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくない場合か、skip_flagの値が1の場合は、split_transform_unit_flagは存在しない」といえる。(以下、これを認定事項bcという) ここで、認定事項bcの「符号化ユニットについて予測ユニットが存在する場合」の「現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントskip_flag」は、現在の符号化ユニットの性質を示すものであるといえるから、現在の符号化ユニットにおけるフラグ情報ということができる。 (イー6) 以上に基づいて、本件訂正発明1の構成B1、C1、C11と上記認定事項bcを対応づける。 ここで、本件訂正発明の構成B1の「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」は、本件訂正発明の構成C1、C11の事項を満たすことが必要であるといえる。 そこで、当該「skip_flag」を上記構成B1の「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」に対応付けた場合、 上記認定事項bcの 「skip_flagの値が0の場合は、変換ユニットについてcurrTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、split_transform_unit_flagが存在し」ている場合は、split_transform_unit_flagは復号化されるものであり、 「currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくない場合か、skip_flagの値が1の場合は、split_transform_unit_flagは存在しない」場合は、split_transform_unit_flagは復号化されないものといえる。 そして、当該「split_transform_unit_flag」が構成C1の「分割情報フラグ」に対応付けた場合、上記認定事項bcは、構成C1、C11の「第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号するかどうかを決定し」、「前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、または前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない」ことと同じ技術的事項を特定しているといえる。 すなわち、認定事項bcの「現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントskip_flag」、「split_transform_unit_flag」は、それぞれ上記構成B1の「符号化単位における統合ブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」、構成C1の「分割情報フラグ」に対応付けられ、 「skip_flagが0の場合は、変換ユニットについてcurrTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくMaxTransformUnitSize以下の場合、split_transform_unit_flagが存在し、」 「currTransformUnitSizeがMinTransformUnitSizeより大きくない場合か、skip_flagが1の場合は、split_transform_unit_flagは存在しない」 ことは上記構成C1、C11に対応するといえる。 ただし、本件訂正発明1の構成B1は、「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」であるのに対して、甲1発明の「skip_flag」は符号化単位における情報にすぎず、符号化単位における統合コードブロックフラグ情報とは特定されていない点で相違する。 (ウ)構成D1について 甲1発明の構成d1の「split_transform_unit_flagが0の場合」は、「split_transform_unit_flagが1の場合、currTransformUnitSizeを1ビット右シフトしたシンタックスエレメントsplitTransformUnitSizeの値を用いて、再帰的にtransform_unit(x0,y0,splitTransformUnitSize)を呼び出し」ている場合とは異なり、これ以上transform_unitを呼び出すことはないから、本件訂正発明1の構成D1のうち、「前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合」に相当する。 ここで、本件訂正発明の構成D1の「第2のコードブロックフラグ情報」は、「変換単位」における「フラグ情報」であると特定されている。 一方、甲1発明の構成d1では、このとき「変換ユニットが非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定するシンタックスエレメントcoded_block_flagが存在し」ていることから、「シンタックスエレメントcoded_block_flag」は「変換ユニット」における情報であって、復号化されたものといえる。 そうすると、甲1発明の構成d1における当該「シンタックスエレメントcoded_block_flagが存在」することは、本件訂正発明の構成D1の「前記変換単位における」「0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す」「コードブロックフラグ情報を復号化」することに対応する。 ただし、本件訂正発明の構成D1は上記「コードブロックフラグ情報」が「前記変換単位の輝度成分」に関する「前記輝度成分についてのコードブロックフラグである」「第2のコードブロックフラグ情報」であるのに対して、甲1発明の「シンタックスエレメントcoded_block_flag」は「コードブロックフラグ情報」であるものの、上記のような「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである」であるかどうか特定されておらず、かつ「第1のコードブロックフラグ情報である統合コードブロックフラグ情報」が存在することを前提とした、「第2のコードブロックフラグ情報」ではない点で相違する。 (エ)構成E1について 甲1発明の構成e11の「変換係数復号処理とピクチャ構築処理の入力は、LumaLevelとChromaLevel」であって、「変数LumaLevelには輝度変換ユニットの変換復号処理における輝度ブロックの輝度変換係数のレベルが含まれ、変数ChromaLevelには色差変換ユニットの変換復号処理における色差変換係数のレベルが含まれ」ていることから、変換係数復号処理の入力は輝度または色差の変換ユニットにおける変換係数のレベルであるといえる。 そうすると、構成e11は「変換ユニットの変換係数のレベル」を入力とする「変換係数復号処理」は、本件訂正発明1の構成E1の「前記変換単位における変換係数を復号する」ことに相当する。 次に、甲1発明の構成a1、e1の「変換係数はVLC復号化処理において、最初に逆CAVLCの改良版のテーブルを用いて復号されるというエントロピー復号化がなされるものであ」ることから、変換係数はVLC復号において最初にエントロピー復号がなされるものであり(この点について、甲1発明の構成e12の「変換係数の逆スキャン処理が、LumaLevelまたはChromaLevelを入力として、2次元配列cを出力と」するものであり、変換係数の逆スキャン処理はVLC復号化処理における一工程であることは映像符号化に関する技術提案である甲第1号証を理解する上での前提となる技術的背景にすぎない)、本件訂正発明の構成E1と「変換係数を」「エントロピー復号」する点で共通する。 ただし、(ア)と同様、本件訂正発明1は「エントロピー復号化部」を備えるのに対して、甲1発明は「エントロピー復号化部」を備えるかどうかは不明である点で相違する。 (オ)構成F1について 甲1発明の構成f1の「変換係数復号処理」における構成f11の残差係数を残差標本値に変換する「変換ユニットの変換処理」について、残差係数から残差標本値に変換することを「逆変換」とも称することは映像符号化に関する技術提案である甲第1号証における前提となる技術的背景にすぎないことを踏まえると、本件訂正発明1の構成F1と「前記復号化された変換係数を逆変換する」点で共通する。 ただし、(ア)(エ)と同様、本件訂正発明1は「逆変換部」を備えるのに対して、甲1発明は「逆変換部」を備えるかどうかは不明である点で相違する。 (カ)構成G1について 甲1発明の構成g1「指定された正方形領域のクワッドツリー分割を指定するための基本単位である符号化ツリーブロックと同じである、符号化ユニットを用いるものである、テストモデル」は、本件訂正発明1の構成G1と同様に「クワッドツリー構造を用い」ているといえ、また甲第1号証は映像符号化に関する技術提案であることから、映像の処理を行う点で共通する。 ただし、本件訂正発明1の構成G1は、「映像復号化装置」であるのに対して、甲1発明の構成g1の「テストモデル」は、「映像復号化装置」ではない点で相違する。 (キ)一致点及び相違点 以上を総合すると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A1’ エントロピー復号化を行うものであり、 B1’ 符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し、 C1 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定し、 D1’ 前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し、 E1 前記変換単位における変換係数を復号化する、 A1’ものであり、 F1’ 前記復号化された変換係数を逆変換し、 C11 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない、 G1’ クワッドツリー構造を用いた映像の処理を行うもの。 (相違点1) 本件訂正発明1は「映像復号化装置」が「エントロピー復号化部」と「逆変換部」を備えるのに対して、甲1発明は「映像復号化装置」という特定があるわけではなく、「エントロピー復号化部」と「逆変換部」を備えるのかどうかは不明な点。 (相違点2) 符号化単位における情報であって、当該情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定するものであって、前記分割情報フラグは、当該情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない、という情報について、本件訂正発明1は「統合コードブロックフラグ情報」であるのに対して、甲1発明は「skip_flag」である点。 (相違点3) 「前記変換単位における」「前記変換単位の」「0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す」「コードブロックフラグである」「コードブロックフラグ情報」に関して、本件訂正発明1は「輝度成分についてのコードブロックフラグ情報」である「第2のコードブロックフラグ情報」であるのに対して、甲1発明の「coded_block_flag」は「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグである」であることは特定されていない点。 イ 相違点についての検討及び判断 事案に鑑み、相違点2、3を総合して検討する。 本件訂正発明1における「変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」は所定の成分である「輝度成分」についての「コードブロックフラグ」、すなわち「変換単位の」「輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が」「存在するかどうかを示す」「コードブロックフラグ」である。 そうすると、本件訂正発明1における別のコードブロックフラグである「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」は、「符号化単位における」「所定の成分のうち0でない一つ以上の変換係数が」「符号化単位に存在するかどうかを示す」フラグ情報であり、かつ、当該「所定の成分」は「統合」されたもの、すなわち輝度信号のような個別の信号成分毎ではなく、複数の信号成分に対して、「0でない一つ以上の変換係数が」「符号化単位に存在するかどうかを示す」ことを1つにまとめて行うフラグ情報であるということができる。 一方、甲1発明における「skip_flag」は、0でない一つ以上の変換係数が変換単位に存在するかどうかを示すものではなく、「coded_block_flag」が「前記変換単位の輝度成分のうち0でない一つ以上の変換係数が前記変換単位に存在するかどうかを示す前記輝度成分についてのコードブロックフラグ」であるわけでもない。 上記の検討より、甲1発明に基づいて本件訂正発明1を構成するには、甲1発明の「変換ユニットが非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定するシンタックスエレメントである」「coded_block_flag」を輝度成分に関するものとし、さらに、「skip_flag」には成分毎ではなく、複数の成分に対してこれを1つにまとめたコードブロックフラグであるという意味を持たせるように改変する必要がある。 しかしながら、甲第1号証にはおよそ複数の成分に対してこれを1つにまとめたコードブロックフラグを備えることに関する記載は見当たらない。 さらに、甲第3、4号証にも複数の成分に対してこれを1つにまとめたコードブロックフラグを備えることに関する記載は見当たらない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲1発明に基づいて、または甲1発明と例えば周知技術である甲第3号証に記載された技術や甲第4号証に記載された技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 同様の理由により、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲第2号証に記載された発明(以下、甲2発明という)に基づいて、または甲2発明と例えば周知技術である甲第3号証に記載された技術や甲第4号証に記載された技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 ウ 本件訂正発明1についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲1発明または甲2発明に基づいて、または甲1発明と周知技術に基づいて、または甲2発明と周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本件訂正発明2について ア 対比 本件訂正発明2と甲1発明とを対比する。 構成A1、B1、C1、E1、F1、C11、G2については、上記1のア 対比の(ア)、(イ)、(エ)、(オ)、(カ)と同様である。 (ウ)構成D2について 甲1発明の構成d1の「split_transform_unit_flagが0の時」は、「split_transform_unit_flagが1の場合、currTransformUnitSizeを1ビット右シフトしたシンタックスエレメントsplitTransformUnitSizeの値を用いて、再帰的にtransform_unit(x0,y0,splitTransformUnitSize)を呼び出し」ている場合とは異なり、これ以上transform_unitを呼び出すことはないから、本件訂正発明2の構成D2のうち、「前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合」に相当する。 ここで、本件訂正発明2の構成D2の「第2のコードブロックフラグ情報」は、「変換単位」における「フラグ情報」であると特定されている。 一方、甲1発明の構成d1では、このとき「変換ユニットが非ゼロの変換係数レベルを有するかどうかを特定するシンタックスエレメントcoded_block_flagが存在し」ていることから、「シンタックスエレメントcoded_block_flag」は「変換ユニット」における情報であって、復号化されたものといえる。 そうすると、甲1発明の構成d1における当該「シンタックスエレメントcoded_block_flagが存在」することは、本件訂正発明の構成D2の「前記変換単位における」「コードブロックフラグ情報を復号化」することに相当する。 (ク)構成B2について 甲1発明の構成b12の「現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントskip_flag」は、4.1.10の予測ユニットに関連して存在する、4.1.9の符号化ユニットについて、符号化ユニットのシンタックスの下から6~3行のelse節の記載から、符号化ユニットに予測ユニットが現れる場合に初めて変換ユニットが現れることがある(予測ユニットが現れない場合、変換ユニットは現れない)。 すなわち、甲第1号証によれば、予測ユニットに含まれるskip_flagが復号化されるのは、変換ユニットが最初に現れるときであり、これは、本件訂正発明2の構成B2において「変換単位における変換深さが所定の値に等しい場合」「第1のコードブロックフラグ情報を復号化」することに相当する。 (ケ)一致点及び相違点 以上を総合すると、本件訂正発明2と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A2’ エントロピー復号化を行うものであり、 B2’ 符号化単位における第1のコードブロックフラグ情報を復号化し、 C2 前記第1のコードブロックフラグ情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定し、 D2’ 前記分割情報フラグが復号化されると、前記分割情報フラグに基づいて、前記変換単位がさらに分割されない場合に、前記変換単位における第2のコードブロックフラグ情報を復号化し、 E2 前記変換単位における変換係数を復号化する、 A2’ものであり、 F2’ 前記復号化された変換係数を逆変換し、 C21 前記分割情報フラグは、前記第1のコードブロックフラグ情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない、 G2’ クワッドツリー構造を用いた映像の処理を行うもの。 (相違点1) 本件訂正発明1は「映像復号化装置」が「エントロピー復号化部」と「逆変換部」を備えるのに対して、甲1発明は「映像復号化装置」という特定があるわけではなく、「エントロピー復号化部」と「逆変換部」を備えるのかどうかは不明な点。 (相違点2) 符号化単位における情報であって、当該情報および変換単位の大きさに基づいて、分割情報フラグを復号化するかどうかを決定するものであって、前記分割情報フラグは、当該情報の値が所定値と等しい場合、又は前記変換単位の大きさが所定の大きさより大きくない場合には復号化されない、という情報について、本件訂正発明2は「統合コードブロックフラグ情報」であるのに対して、甲1発明は「skip_flag」である点。 イ 相違点についての検討及び判断 事案に鑑み、先に相違点2について検討する。 本件訂正発明2における「変換単位における第2のコードブロックフラグ情報」と関連する、別のコードブロックフラグである「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」は、「符号化単位における」だけではなく、「コードブロックフラグ情報」が何らかの形で「統合」されたもの、すなわち、本来は複数存在するコードブロックフラグ情報を1つにまとめたものであるということができる。 一方、甲1発明における現在の符号化ユニットをスキップするかどうかを指定するシンタックスエレメントである「skip_flag」について、甲第1号証には複数の「skip_flag」を統合することについての記載は見当たらない。 さらに、甲第3、4号証にもコードブロックフラグ情報を統合すること、すなわち、本来は複数存在するコードブロックフラグ情報を1つにまとめること、に関する記載は見当たらない。 したがって、上記1と同様に、相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても、甲1発明または甲2発明に基づいて、または甲1発明または甲2発明と周知技術である甲第3号証に記載された技術や甲第4号証に記載された技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 ウ 本件訂正発明2についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明2は、当業者であっても、甲1発明または甲2発明に基づいて、または甲1発明と周知技術に基づいて、または甲2発明と周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本件訂正発明3-10について 本件訂正発明2を引用する本件訂正発明3、本件訂正発明1-2をそれぞれ符号化する方法の発明として特定した本件訂正発明4-5、本件訂正発明5を引用する本件訂正発明6、本件訂正発明4を引用する本件訂正発明7、本件訂正発明1-3をそれぞれ「ビットストリームを生成する方法」の発明として特定した本件訂正発明8-10についても、上記1、2と同様の理由により、当業者であっても、甲1発明または甲2発明に基づいて、または甲1発明または甲2発明と周知技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立書における特許異議申立の理由について 特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。(特許異議申立書の4(3)申立ての根拠、(4)具体的理由のウ 取消理由1~ク 取消理由6、6 証拠方法の記載) (1)申立理由1 本件発明1~10は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (2)申立理由2 仮に本件発明1~10と、甲第1号証記載の発明との間に相違点があったとしても、本件発明1~10は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、または甲第1号証に記載された発明と周知技術に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (3)申立理由3 甲第1号証に記載された発明の「skip_flag」が「第1のコードブロックフラグ情報」に対応するという取消理由1及び2とは異なる当てはめ方をした場合であっても、本件発明1~10は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (4)申立理由4 本件発明1~10は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (5)申立理由5 仮に本件発明1~10と、甲第2号証記載の発明との間に相違点があったとしても、本件発明1~10は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、または甲第2号証に記載された発明と周知技術に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (6)申立理由6 仮に本件発明1~10と、甲第1号証記載の発明との間に相違点があったとしても、本件発明1~10は、甲第1号証に記載された発明と周知技術である甲3号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~10は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (7)証拠方法 ア 甲第1号証:Test Model Under Consideration, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 1st Meeting:Dresden,DE,15-23 April,2010,Document:JCTVC-A205,JCTVC-A205_draft002,2010年5月、URL、https://www.itu.int/wftp3/av-arch/jctvc-site/2010_04_A_Dresden/JCTVC-A205.zip イ 甲第2号証:Test Model Under Consideration, Joint Collaborative Team on Video Coding(JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 2nd Meeting:Geneva,CH,21-28July,2010,Document:JCTVC-B205,JCTVC-B205_draft000,2010年7月、URL、https://www.itu.int/wftp3/av-arch/jctvc-site/2010_07_B_Geneva/JCTVC-B205_draft000.doc ウ 甲第3号証:WO2012/039728号公報及び抄訳文(対応する特表2012-504908号公報) エ 甲第4号証:インプレス標準教科書シリーズ 改訂三版 H.264/AVC教科書、第1版、2009年1月1日発行、株式会社インプレスR&D、p.86-87 2.取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての検討 上記1(1)~(6)の特許異議申立理由1~6のうち、取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について、以下で検討する。 (1)特許異議申立理由1、2、3、4、5について 特許申立理由1、2、4、5については、上記第6の1のア(キ)において示した、本件訂正発明1の相違点(2)(3)について、上記第6の1のイ、ウ及び3において説明したのと同様に、甲第1、2号証には、およそ複数の成分に対してこれを1つにまとめたコードブロックフラグや、輝度信号及び色差信号の量子化係数が存在するかどうかを示すフラグ情報を備えることに関する記載は見当たらず、また、上記第6の2のア(ケ)において示した、本件訂正発明2の相違点(2)に関して、上記第6の2のイ、ウ及び3におい説明したのと同様に、甲第1、2号証にはコードブロックフラグ情報を統合することに関する記載は見当たらないし、これらが周知技術であるということもできない。 したがって、本件訂正発明1、2及び本件訂正発明3-10は甲第1号証に記載された発明または甲第2号証に記載された発明と同一の発明ではなく、また、当業者であっても、当該甲第1号証に記載された発明、または甲第2号証に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、特許異議申立理由3については、上記第6の1のア(キ)ないし2のア(ケ)において示した相違点があることから、本件訂正発明1、2及び本件訂正発明3-10は、甲第1号証に記載された発明の「skip_flag」が「第1のコードブロックフラグ情報」に対応するという当てはめ方をした場合において、甲第1号証に記載された発明と同一の発明ではない。 (2)特許異議申立理由6について 特許異議申立理由6についても、上記(1)と同様に、本件訂正発明1の相違点(2)(3)、本件訂正発明2の相違点(2)に関して、周知技術として示された甲第3号証にもこれらの相違点についての記載は見当たらないことから、本件訂正発明1、2及び本件訂正発明3-10は甲第1号証に記載された発明と周知技術である甲第3号証の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第8 令和4年9月15日に提出された特許異議申立人による意見書についての検討 特許異議申立人は令和4年9月15日に意見書を提出し、本件訂正発明1、2における構成B1の「符号化単位における統合コードブロックフラグ情報である第1のコードブロックフラグ情報」が、統合されたコードブロックフラグ情報、程度の意味が読み取られ、他のコードブロックフラグ情報と区別するための識別子の意味としかないと考えられること、特許権者が主張するような、「統合コードブロックフラグ情報」を輝度信号及び色差信号の変換量子化係数が存在するかどうかを示す情報であるとは解釈できないとの主張(意見書第7頁第4行~第12頁下から4行)を行っており、甲1発明の「skip_flag」は統合コードブロックフラグ情報にも相当するため、甲1発明の「第1のコードブロックフラグ情報」が「統合コードブロックフラグ情報」との構成を具備するといえるとの主張(意見書第13頁下から5行~第14頁15行)を行っている。 そこで、上記主張について検討する。 上記「第6 取消理由通知についての当審の判断」の1のイのとおり、本件訂正発明1における構成B1は、「符号化単位における」「所定の成分のうち0でない一つ以上の変換係数が」「符号化単位に存在するかどうかを示す」ものであり、かつ、当該「所定の成分」は「統合」されたもの、すなわち輝度信号のような個別の信号成分毎ではなく、複数の信号成分に対して、「0でない一つ以上の変換係数が」「符号化単位に存在するかどうかを示す」ことを1つにまとめて行うフラグ情報であるということができる。 また、上記第6の2のイのとおり、本件訂正発明2における構成B1は、「コードブロックフラグ情報」が何らかの形で「統合」されたもの、すなわち、本来は複数存在するコードブロックフラグ情報を1つにまとめたものであるということができる。 そして、これらはいずれも上記第6の1のイ、第6の2のイのとおり、甲1発明の「skip_flag」とは異なるものといえる。 以上から、上記特許異議申立人の意見は採用できない。 第9 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由1~6及び証拠によっては、本件訂正発明1、〔2、3〕、〔4、7〕、〔5、6〕、8、〔9、10〕に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1、〔2、3〕、〔4、7〕、〔5、6〕、8、〔9、10〕に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700953

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