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特許異議申立

2022-700077

標本の領域の結合

審判番号
2022-700077
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-033521
登録番号
6909818
請求日
2022年01月28日
審決日
2023年03月20日
公報発行日
2023年06月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ジーイー ビデオ コンプレッション エルエルシー
  • 【権利者代理人】田村 啓
  • 【権利者代理人】岡部 英隆
  • 【権利者代理人】中谷 剣一
  • 【権利者代理人】近田 暢朗
  • 【権利者代理人】金田 隆章
  • 【権利者代理人】荒川 聡志
  • 【権利者代理人】小倉 博
  • 【権利者代理人】田中 拓人
  • 【異議申立人】ユニファイド パテンツ エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】竹本 如洋
審判長/審判官
  • 審判長 畑中 高行
  • 審判官 川崎 優
  • 審判官 國分 直樹
分類
P1651.121-YAA(H04N) / P1651.113-YAA(H04N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6909818号発明「標本の領域の結合」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6909818号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6、19、20〕、〔7~12、21、22〕、〔13~18、23〕について訂正することを認める。 特許第6909818号の請求項〔1~6、19、20〕、〔7~12、21、22〕、〔13~18、23〕に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6909818号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~23に係る特許についての出願は、2011年4月13日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年4月13日 (EP)欧州特許庁、2010年4月13日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特願2013-504258号の一部を平成26年4月28日に出願した特願2014-093108号の一部を平成28年3月22日に出願した特願2016-056526号の一部を平成31年2月27日に特願2019-033521号として出願したものであって、令和3年7月7日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日 令和3年7月28日)がされた。 その後、令和4年1月28日に特許異議申立人 ユニファイド パテンツ エルエルシー により本件特許の請求項1~23に対して特許異議の申立てがされ、令和4年6月24日付けで当審において取消理由通知がなされた。 これに対して令和4年10月17日に特許権者より意見書が提出されるとともに、訂正請求がなされ、さらに、これに対して令和5年1月4日に特許異議申立人より意見書が提出され、これに対して令和5年2月14日に特許権者より上申書が提出されたものである。 第2 訂正の適否について 1 請求の趣旨 令和4年10月17日に特許権者よりなされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件の訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~23について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正請求による本件特許の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は、訂正箇所を示す。) (1)一群の請求項1~6、19、20に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーする、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 とあるのを、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 と訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2~6、19、20も同様に訂正する。 (2)一群の請求項7~12、21、22に係る訂正 ア 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7において、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップ、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、」 とあるのを、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するステップと、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップと、 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、」 と訂正する。 請求項7の記載を引用する請求項8~12、21、22も同様に訂正する。 (3)一群の請求項13~18、23に係る訂正 ア 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項13において、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーする、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、」 とあるのを、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 と訂正する。 請求項13の記載を引用する請求項14~18、23も同様に訂正する。 3 訂正の適否についての判断 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1~6、19、20について、請求項2~6及び19、20はそれぞれ請求項1の記載を引用しており、上記訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6、19、20に対応する訂正後の請求項1~6、19、20は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 また、訂正前の請求項7~12、21、22について、請求項8~12及び21、22はそれぞれ請求項7の記載を引用しており、上記訂正事項2によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正される。したがって、訂正前の請求項7~12、21、22に対応する訂正後の請求項7~12、21、22は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 さらに、訂正前の請求項13~18、23について、請求項14~18及び23はそれぞれ請求項13の記載を引用しており、上記訂正事項3によって記載が訂正される請求項13に連動して訂正される。したがって、訂正前の請求項13~18、23に対応する訂正後の請求項13~18、23は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の適否について (2-1)一群の請求項1~6、19、20に関する訂正について ア 訂正事項1 a 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明は、「再構築部」に関して、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーする、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 を特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 との記載により、訂正後の請求項1に係る発明における「再構築部」をより具体的に特定し、更に限定するものである。 したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 同様に、訂正後の請求項2~6、19、20は、訂正後の請求項1に記載された 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 との記載を引用することにより、訂正後の請求項2~6、19、20に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、当該訂正事項は、「再構築部」という発明特定事項を概念的により下位の構成にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 当該訂正事項は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2~6、19、20の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記aの理由から明らかなように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。 また、当該訂正事項は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2~6、19、20の記載について訂正するものではなく、請求項2~6、19、20のカテゴリーや対象、目的を変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 したがって、当該訂正事項は、訂正前の請求項2~6、19、20との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項に関して、本件特許明細書の【0111】には、「ステップ454に戻ると、処理は、ステップ454の抽出の後、ステップ458に進み、現在のブロックの結合が発生するか否かを、抽出されたmerge_flagが示唆しているか否かについて確認が行われる。結合が行われない場合は、処理は上記のステップ456へ進む。結合が行われる場合は、処理はステップ460へ進み、候補ブロックの数が1か否かについて確認が行われる。候補ブロックの数が1の場合は、候補ブロックのうちの特定の候補ブロックを示して伝送する必要はないため、図10の処理はステップ462に進み、現在のブロックの結合の相手がその唯一の候補ブロックに設定される。その後、ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。適応の場合は、現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされるだけである。この他の場合、すなわち、予測の場合は、ステップ464で、データストリームから残差データの抽出をさらに行ってもよい。この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する。そして、この残差データと、結合の相手のブロックから取得されるこれらの不足している符号化パラメータの予測との組合せを行ってもよい。」と記載されている。 当該記載の「ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。」処理において、「適応の場合」は、「現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされる」ことから、請求項1に記載の「コピー」に対応し、「予測の場合」は、「データストリームから残差データの抽出をさらに行」うものであり、「この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する」ことから、請求項1に記載の「計算」に対応する。また、「適応の場合」と「予測の場合」では、その後の処理が「コピーされる」か「残差データの抽出をさらに行」うかで異なり、両者が並立するものではないことから、「ステップ464」において、「適応の場合」と「予測の場合」のいずれであるかを決定する必要があるものといえる。 また、【0140】には、「いずれの場合でも、標本配列502内の各ブロックについて、挿入部18、または、挿入部18と連動する他のエンコーダ10のモジュールは、次のことを決定してもよい。ビットストリーム内でのこのブロックの符号化パラメータの伝送を抑えて、その代わりにそのブロックについてのビットストリーム内で、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する、あるいは、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のプロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する。その決定がされない場合は、符号化パラメータはデータストリーム内で通常どおり伝送される」と記載されている。 当該記載において、「その決定がされない場合は、符号化パラメータはデータストリーム内で通常どおり伝送される」という記載は、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことは行わないし、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用すること」も行わずに、通常どおり符号化パラメータを伝送するという意味であると解される。 そうすると、「その決定がされない場合」以外の場合とは、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」か、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かのいずれかが行われる場合であるといえる。 ところで、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」ことは両立しない以上、「その決定がされない場合」以外の場合において、さらに、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かを決定することは自明である。 また、当該記載において、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」は請求項1に記載の「コピー」に対応し、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する」は請求項1に記載の「計算」に対応する。ここで、【0140】には、そのような「コピー」または「計算」を「決定してもよい」と記載されている。 さらに、【0180】には、「同時に、構文要素の継承の部分集合が、コピーされるか、または、予測として使用される、これらの継承の領域内のブロックが、下位の細分割によって定義される。」と記載され、【0184】には、「予測信号pが算出される。」と記載され、【0185】には「予測の算出」と記載されており、当該記載において、「コピー」は請求項1に記載の「コピー」に対応し、「予測」または「算出」は請求項1に記載の「計算」に対応する。 以上を総合すると、当該訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前のすべての請求項1~23について特許異議の申立てがされていることから、訂正前の請求項1~6、19、20に係る当該訂正事項に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2-2)一群の請求項7~12、21、22に関する訂正について ア 訂正事項2 a 訂正の目的について 訂正前の請求項7に係る特許発明は、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップ、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、」 を特定している。 これに対して、訂正後の請求項7は、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するステップと、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップと、 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、」 との記載により、訂正後の請求項7に係る発明における再構築に関する「ステップ」をより具体的に特定し、更に限定するものである。 したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 同様に、訂正後の請求項8~12、21、22は、訂正後の請求項7に記載された 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するステップと、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップと、 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、」 との記載を引用することにより、訂正後の請求項8~12、21、22に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、当該訂正事項は、再構築に関する「ステップ」という発明特定事項を概念的により下位の構成にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 当該訂正事項は、訂正前の請求項7の記載を引用する訂正前の請求項8~12、21、22の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記aの理由から明らかなように、訂正後の請求項7の記載は、訂正前の請求項7との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。 また、当該訂正事項は、訂正前の請求項7の記載以外に、訂正前の請求項8~12、21、22の記載について訂正するものではなく、請求項8~12、21、22のカテゴリーや対象、目的を変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 したがって、当該訂正事項は、訂正前の請求項8~12、21、22との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項に関して、本件特許明細書の【0111】には、「ステップ454に戻ると、処理は、ステップ454の抽出の後、ステップ458に進み、現在のブロックの結合が発生するか否かを、抽出されたmerge_flagが示唆しているか否かについて確認が行われる。結合が行われない場合は、処理は上記のステップ456へ進む。結合が行われる場合は、処理はステップ460へ進み、候補ブロックの数が1か否かについて確認が行われる。候補ブロックの数が1の場合は、候補ブロックのうちの特定の候補ブロックを示して伝送する必要はないため、図10の処理はステップ462に進み、現在のブロックの結合の相手がその唯一の候補ブロックに設定される。その後、ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。適応の場合は、現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされるだけである。この他の場合、すなわち、予測の場合は、ステップ464で、データストリームから残差データの抽出をさらに行ってもよい。この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する。そして、この残差データと、結合の相手のブロックから取得されるこれらの不足している符号化パラメータの予測との組合せを行ってもよい。」と記載されている。 当該記載の「ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。」処理において、「適応の場合」は、「現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされる」ことから、請求項7に記載の「コピー」に対応し、「予測の場合」は、「データストリームから残差データの抽出をさらに行」うものであり、「この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する」ことから、請求項7に記載の「計算」に対応する。また、「適応の場合」と「予測の場合」では、その後の処理が「コピーされる」か「残差データの抽出をさらに行」うかで異なり、両者が並立するものではないことから、「ステップ464」において、「適応の場合」と「予測の場合」のいずれであるかを決定する必要があるものといえる。 また、【0140】には、「いずれの場合でも、標本配列502内の各ブロックについて、挿入部18、または、挿入部18と連動する他のエンコーダ10のモジュールは、次のことを決定してもよい。ビットストリーム内でのこのブロックの符号化パラメータの伝送を抑えて、その代わりにそのブロックについてのビットストリーム内で、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する、あるいは、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のプロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する。」と記載されている。 当該記載において、「その決定がされない場合は、符号化パラメータはデータストリーム内で通常どおり伝送される」という記載は、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことは行わないし、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用すること」も行わずに、通常どおり符号化パラメータを伝送するという意味であると解される。 そうすると、「その決定がされない場合」以外の場合とは、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」か、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かのいずれかが行われる場合であるといえる。 ところで、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」ことは両立しない以上、「その決定がされない場合」以外の場合において、さらに、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かを決定することは自明である。 また、当該記載において、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」は請求項7に記載の「コピー」に対応し、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する」は請求項7に記載の「計算」に対応する。ここで、【0140】には、そのような「コピー」または「計算」を「決定してもよい」と記載されている。 さらに、【0180】には、「同時に、構文要素の継承の部分集合が、コピーされるか、または、予測として使用される、これらの継承の領域内のブロックが、下位の細分割によって定義される。」と記載され、【0184】には、「予測信号pが算出される。」と記載され、【0185】には「予測の算出」と記載されている。 当該記載において、「コピー」は請求項7に記載の「コピー」に対応し、「予測」または「算出」は請求項7に記載の「計算」に対応する。 したがって、当該訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前のすべての請求項1~23について特許異議の申立てがされていることから、訂正前の請求項7~12、21、22に係る当該訂正事項に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2-3)一群の請求項13~18、23に関する訂正について ア 訂正事項3 a 訂正の目的について 訂正前の請求項13に係る特許発明は、「データストリーム再生成部」に関して、 「 前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーする、または 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、」 を特定している。 これに対して、訂正後の請求項13は、 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 との記載により、訂正後の請求項13に係る発明における「データストリーム再生成部」をより具体的に特定し、更に限定するものである。 したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 同様に、訂正後の請求項14~18、23は、訂正後の請求項13に記載された 「 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 との記載を引用することにより、訂正後の請求項14~18、23に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記aから明らかなように、当該訂正事項は、「データストリーム再生成部」という発明特定事項を概念的により下位の構成にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 当該訂正事項は、訂正前の請求項13の記載を引用する訂正前の請求項14~18、23の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記aの理由から明らかなように、訂正後の請求項13の記載は、訂正前の請求項13との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。 また、当該訂正事項は、訂正前の請求項13の記載以外に、訂正前の請求項14~18、23の記載について訂正するものではなく、請求項14~18、23のカテゴリーや対象、目的を変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 したがって、当該訂正事項は、訂正前の請求項14~18、23との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 当該訂正事項に関して、本件特許明細書の【0111】には、「ステップ454に戻ると、処理は、ステップ454の抽出の後、ステップ458に進み、現在のブロックの結合が発生するか否かを、抽出されたmerge_flagが示唆しているか否かについて確認が行われる。結合が行われない場合は、処理は上記のステップ456へ進む。結合が行われる場合は、処理はステップ460へ進み、候補ブロックの数が1か否かについて確認が行われる。候補ブロックの数が1の場合は、候補ブロックのうちの特定の候補ブロックを示して伝送する必要はないため、図10の処理はステップ462に進み、現在のブロックの結合の相手がその唯一の候補ブロックに設定される。その後、ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。適応の場合は、現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされるだけである。この他の場合、すなわち、予測の場合は、ステップ464で、データストリームから残差データの抽出をさらに行ってもよい。この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する。そして、この残差データと、結合の相手のブロックから取得されるこれらの不足している符号化パラメータの予測との組合せを行ってもよい。」と記載されている。 当該記載の「ステップ464で、結合された相手のブロックの符号化パラメータが、その符号化パラメータ、または、現在のブロックの残りの符号化パラメータの適応または予測に使用される。」処理において、「適応の場合」は、「現在のブロックの不足している符号化パラメータが、結合の相手のブロックからコピーされる」ことから、請求項13に記載の「コピー」に対応し、「予測の場合」は、「データストリームから残差データの抽出をさらに行」うものであり、「この残差データは、現在のブロックの不足している符号化パラメータの予測の残差に関連する」ことから、請求項13に記載の「計算」に対応する。また、「適応の場合」と「予測の場合」では、その後の処理が「コピーされる」か「残差データの抽出をさらに行」うかで異なり、両者が並立するものではないことから、「ステップ464」において、「適応の場合」と「予測の場合」のいずれであるかを決定する必要があるものといえる。 また、【0140】には、「いずれの場合でも、標本配列502内の各ブロックについて、挿入部18、または、挿入部18と連動する他のエンコーダ10のモジュールは、次のことを決定してもよい。ビットストリーム内でのこのブロックの符号化パラメータの伝送を抑えて、その代わりにそのブロックについてのビットストリーム内で、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する、あるいは、一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のプロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する。」と記載されている。 当該記載において、「その決定がされない場合は、符号化パラメータはデータストリーム内で通常どおり伝送される」という記載は、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことは行わないし、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用すること」も行わずに、通常どおり符号化パラメータを伝送するという意味であると解される。 そうすると、「その決定がされない場合」以外の場合とは、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」か、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かのいずれかが行われる場合であるといえる。 ところで、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」ことは両立しない以上、「その決定がされない場合」以外の場合において、さらに、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」ことと、「同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを」「現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用する」かを決定することは自明である。 また、当該記載において、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを代わりに使用する」は請求項13に記載の「コピー」に対応し、「一次の配列504内の同じ場所にあるブロックの符号化パラメータを、標本配列502の現在のブロックの符号化パラメータの予測として使用することを示す信号を送信し、ビットストリーム内で標本配列502の現在のブロックについての残差データのみを伝送する」は請求項13に記載の「計算」に対応する。ここで、【0140】には、そのような「コピー」または「計算」を「決定してもよい」と記載されている。 さらに、【0180】には、「同時に、構文要素の継承の部分集合が、コピーされるか、または、予測として使用される、これらの継承の領域内のブロックが、下位の細分割によって定義される。」と記載され、【0184】には、「予測信号pが算出される。」と記載され、【0185】には「予測の算出」と記載されている。 当該記載において、「コピー」は請求項13に記載の「コピー」に対応し、「予測」または「算出」は請求項13に記載の「計算」に対応する。 したがって、当該訂正事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前のすべての請求項1~23について特許異議の申立てがされていることから、訂正前の請求項13~18、23に係る当該訂正事項に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 まとめ したがって、本件訂正の訂正事項1ないし3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としており、かつ同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合している。 したがって、特許請求の範囲の記載を、訂正事項1ないし3のとおり、訂正後の請求項〔1~6、19、20〕、〔7~12、21、22〕、〔13~18、23〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 訂正後の本件特許の請求項1~23に係る発明(以下「本件訂正発明1~23」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~23に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(下線は本件訂正により訂正された箇所を示す。) ここで、本件訂正発明1~23の各構成には、 A1~J1、A2、B2、A3、B3、A4、K4、A5、L5、M5、A6、M6、 A7~J7、A8、B8、A9、K9、A10、L10、M10、A11、M11、A12、B12、 A13~J13、A14、B14、A15、K15、A16、L16、M16、A17、M17、A18、B18、 A19、C19、P19、Q19、A20、B20、A21、C21、P21、Q21、A22、C22、A23、C23、P23、Q23 の符号を当審において付した。以下、構成A1~構成Q23等という。 【請求項1】 A1 データストリームにエンコーディングされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化するデコーダであって、 B1 前記データストリームから、情報標本の配列内の現在復号化されている領域に関しての結合の構文要素を抽出するように構成される抽出部であって、 C1 ここで、前記現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つであり、 D1 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示し、 E1 前記現在復号化されている領域に関して、前記候補領域の集合から前記選択された候補領域を識別する B1 抽出部と、 F1 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであると指示した場合、 G1 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 H1 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および I1 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ J1 前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて前記現在復号化されている領域を再構築するように構成される再構築部と A1 を備える、デコーダ。 【請求項2】 B2 前記抽出部は、前記候補領域の集合のうちの少なくともいくつかが少なくとも1つの同一の符号化パラメータを共有するときには、前記少なくとも1つの符号化パラメータを決定するためにさらに構成されている、 A2 請求項1に記載のデコーダ。 【請求項3】 B3 前記抽出部は、前記データストリームからエントロピー復号化を用いて前記結合の構文要素を抽出するためにさらに構成されている、 A3 請求項1に記載のデコーダ。 【請求項4】 K4 前記情報標本の配列は、深度情報を含む、 A4 請求項1に記載のデコーダ。 【請求項5】 L5 前記画像は、異なる色平面に関する情報標本の配列を含み、 A5 前記デコーダは、 M5 前記画像の前記異なる色平面を独立して復号化するように構成されている、 A5 請求項1に記載のデコーダ。 【請求項6】 M6 前記異なる色平面は、彩度標本の2つの配列とともに輝度標本の配列を含み、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の水平方向の空間分解能についての第1の倍率は、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の垂直方向の空間分解能についての第2の倍率とは異なる、 A6 請求項5に記載のデコーダ。 【請求項7】 A7 データストリームにエンコーディングされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化する方法であって、 B7 前記データストリームから、情報標本の配列内の現在復号化されている領域に関する結合の構文要素を抽出するステップであって、 C7 ここで、前記現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つであり、 D7 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示し、 E7 前記現在復号化されている領域に関して、候補領域の集合から前記選択された候補領域を識別する、 B7 抽出するステップと、 F7 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであると指示した場合、 G7 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するステップと、 H7 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーするステップと、 I7 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算するステップと、 J7 前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて前記現在復号化されている領域を再構築するステップと を含む、 A7 方法。 【請求項8】 B8 前記データストリームから、前記結合の構文要素を抽出するステップは、エントロピー復号化を使用して実行される、 A8 請求項7に記載の方法。 【請求項9】 K9 前記情報標本の配列は、深度情報を含む、 A9 請求項7に記載の方法。 【請求項10】 L10 前記画像は、異なる色平面に関する情報標本の配列を含み、 M10 前記画像の前記異なる色平面は独立して復号化される、 A10 請求項7に記載の方法。 【請求項11】 M11 前記異なる色平面は、彩度標本の2つの配列とともに輝度標本の配列を含み、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の水平方向の空間分解能についての第1の倍率は、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の垂直方向の空間分解能についての第2の倍率とは異なる、 A11 請求項10に記載の方法。 【請求項12】 B12 前記候補領域の集合のうちの少なくともいくつかが少なくとも1つの同一の符号化パラメータを共有するときに、前記少なくとも1つの符号化パラメータを決定するステップをさらに含む、 A12 請求項7に記載の方法。 【請求項13】 A13 データストリームへと情報標本の配列をエンコーディングするエンコーダであり、各配列はデータストリームへの画像を表している、前記エンコーダは、 C13 複数の領域へと前記情報標本の配列を分割するために構成されている細分割部と、 B13 前記データストリームへと、現在符号化されている前記複数の領域のうちの1つに関しての結合の構文要素をエンコーディングするように構成されるデータストリーム生成部であって、 D13 ここで、前記結合の構文要素は、前記現在符号化されている領域が、選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示し、 E13 前記選択された候補領域として前記候補領域の集合のうちの特定の1つを識別し、 F13 前記結合の構文要素は、前記現在符号化されている領域が前記選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであると指示した場合、 G13 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 H13 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および I13 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ J13 前記データストリームへと、前記選択した候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータをエンコーディングする B13 ように構成されているデータストリーム生成部と A13 を備える、エンコーダ。 【請求項14】 B14 前記データストリーム生成部は、前記データストリームへと、前記結合の構文要素を、エントロピー符号化を使用してエンコーディングするためにさらに構成されている、 A14 請求項13に記載のエンコーダ。 【請求項15】 K15 前記情報標本の配列は、深度情報を含む、 A15 請求項13に記載のエンコーダ。 【請求項16】 L16 前記画像が、異なる色平面に関する情報標本の配列を含み、 A16 前記エンコーダが、 M16 前記画像の前記異なる色平面を独立して符号化するように構成されている、 A16 請求項13に記載のエンコーダ。 【請求項17】 M17 前記異なる色平面は、彩度標本の2つの配列とともに輝度標本の配列を含み、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の水平方向の空間分解能についての第1の倍率は、前記輝度標本の配列に対する前記彩度標本の配列の垂直方向の空間分解能についての第2の倍率とは異なる、 A17 請求項16に記載のエンコーダ。 【請求項18】 (B18) 前記データストリーム生成部は、 B18 前記候補領域の集合のうちの少なくともいくつかが少なくとも1つの同一の符号化パラメータを共有するときには、前記少なくとも1つの符号化パラメータを決定するためにさらに構成されている、 A18 請求項13に記載のエンコーダ。 【請求項19】 P19 前記データストリームから抽出された最大の領域サイズに従って第1の領域の集合へと前記情報標本の配列を区分化することと、 Q19 関連付けられたマルチツリー細分割情報に基づいて小領域の集合へと前記第1の領域の集合のうちの少なくとも1つの部分集合を細区分化することと C19 によって前記複数の領域を得るために構成されている細分割部をさらに備える、 A19 請求項1に記載のデコーダ。 【請求項20】 B20 前記抽出部は、深度順のトラバースの順序で前記複数の領域を処理するために構成されている、 A20 請求項19に記載のデコーダ。 【請求項21】 P21 前記データストリームから抽出された最大の領域サイズに従って第1の領域の集合へと前記情報標本の配列を区分化することと、 Q21 関連付けられたマルチツリー細分割情報に基づいて小領域の集合へと前記第1の領域の集合のうちの少なくとも1つの部分集合を細区分化することと C21 によって前記複数の領域を得るステップをさらに含む、 A21 請求項7に記載の方法。 【請求項22】 C22 前記複数の領域は、深度順のトラバースの順序で処理される、 A22 請求項21に記載の方法。 【請求項23】 C23 前記細分割部は、 P23 前記データストリームへとエンコーディングされた最大の領域サイズに従って第1の領域の集合へと前記情報標本の配列を区分化することと、 Q23 関連付けられたマルチツリー細分割情報に基づいて小領域の集合へと前記第1の領域の集合のうちの少なくとも1つの部分集合を細区分化することと C23 によって前記複数の領域を得るために構成されている、 A23 請求項13に記載のエンコーダ。 第4 取消理由通知の概要 (進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 記 甲第1号証:国際公開2008/127597号 甲第2号証:特表2010-502102号公報 甲第3号証:特開2008-259171号公報 甲第4号証:特開2010-045853号公報 甲第5号証:国際公開2010/002214号 甲第6号証:特表平9-507347号公報 本件発明1~6、7~12、13~18、19~20、21~22、23は甲1発明及び甲2~6技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、請求項1~23に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 第5 異議申立時に提出された甲号証及び甲号証に記載された発明、技術事項について1 甲号証の記載について(1)甲第1号証の記載事項 甲第1号証である国際公開2008/127597号には次の記載がある。(なお、以降の下線は、強調のために当審で付したものである。以下同様。) ア 「Tree-structured video data partitioning is present in current major video coding standards. Video standards mostly use tree-structured video data partitioning for frame partitioning in order to adapt the coding mode, and the coding of video data, depending on the video signal. H.261,MPEG-1,and MPEG-2/H.262 support only 16x16MB partitions. The MPEG-4 Standard simple profile or H.263(+) support both 16x16 and 8x8 partitions for a 16x16 MB.The MPEG-4 AVC Standard supports tree-structured hierarchical macroblock partitions. A 16x16 MB can be broken into macroblock partitions of sizes 16x8, 8x16, or 8x8. 8x8 partitions are also known as sub-macroblocks. Sub-macroblocks can be further broken into sub-macroblock partitions of sizes 8x4, 4x8, and 4x4.Turning to FIG.1, MPEG-4 AVC Standard coding modes are indicated generally by the reference numeral 100.」 (第1頁第30行~第2頁第7行) (仮訳: ツリー構造のビデオデータパーティショニングは、現在の主要なビデオコーディング標準に存在する。ビデオ信号に応じて符号化モードやビデオデータの符号化に適応させるために、ビデオ標準の大部分はフレームパーティショニングに対して、ツリー構造のビデオデータパーティショングを用いる。H.261、MPEG-1、MPEG-2/H.262は16x16MBのパーティションのみをサポートしている。MPEG-4標準のシンプルプロファイルやH.263(+)は16x16MBに対して16x16と8x8のパーティションを両方をサポートしている。MPEG-4 AVC標準は、ツリー構造の階層的なマクロブロックパーティションをサポートしている。16x16MBは、16x8、8x16、または8x8のサイズのマクロブロックパーティションに分割することができる。8x8の分割は、サブマクロブロックとも呼ばれる。サブマクロブロックは、さらに、サイズ8x4、4x8、4x4のサブマクロブロックパーティションに分割することができる。図1を参照すると、MPEG-4 AVC標準コーディングモードは、参照数字100として全体的に示されている。) イ 「It has been proposed to port the preceding prior art approach to the MPEG-4 AVC Standard for joint coding of motion data of neighboring blocks. The proposed porting uses additional side information to indicate which blocks are jointly coded. This side information indicates which blocks merge to which blocks in order to generate segments sharing the same motion information. Turning to FIG.2, an exemplary scheme for a possible merging rule after a first tree decomposition stage for region-based motion compensation and coding. In FIG.2, possible mergings of macroblocks, macroblock partitions, sub-macroblocks, and/or sub-macroblock partitions are respectively indicated by arrows. In one embodiment, a merge flag is used to indicate if the block is merged with another block. A signal of a merge direction is used to indicate to which block the current block is merged to, when the current block has more than one possible merging candidate.」 (第2頁第16~28行) (仮訳: この先行技術のアプローチをMPEG-4 AVC標準に適用して、隣接するブロックの動きデータのジョイントコーディングを行うことが提案されている。提案された適用法は、どのブロックがジョイントコーディングされるかを示すために、追加のサイド情報を使用する。このサイド情報は、同じ動き情報を共有するセグメントを生成するために、どのブロックがどのブロックにマージされるかを示す。図2に移ると、領域ベースの動き補償およびコーディングのための最初のツリー分解段階後において可能なマージルールの例示的なスキームが示されている。図2において、マクロブロック、マクロブロックパーティション、サブマクロブロック、及び/又はサブマクロブロックパーティションの可能なマージが、それぞれ矢印で示されている。一実施形態では、ブロックが他のブロックとマージされるかどうかを示すために、マージフラグが使用される。マージ方向の信号は、現在のブロックが複数の可能なマージ候補を有する場合に、現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用される。 ウ 「According to an aspect of the present principles, there is provided an apparatus. The apparatus includes an encoder for joint coding partitions of an image region using frame partitioning and a partition merging procedure, wherein any given one of the partitions that use a coding mode with implicit coding rules is subject to being merged, with another one of the partitions, using a distinct merging rule different than that used for a coding mode with explicit coding rules. ・・・・ According to yet another aspect of the present principles, there is provided an apparatus. The apparatus includes a decoder for joint decoding partitions of an image region using frame partitioning and a partition merging procedure, wherein any given one of the partitions that use a coding mode with implicit coding rules is subject to being merged, with another one of the partitions, using a distinct merging rule different than that used for a coding mode with explicit coding rules.」 (第3頁第13~18行、第25~30行) (仮訳: 本原理の一態様によれば、以下の装置が提供される。この装置は、フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントコーディングするエンコーダを有する装置であって、明示的なコーディング規則を有するコーディングモードに使用されるものとは異なるコーディング規則を使用するものであり、暗黙的なコーディング規則を有するコーディングモードを使用するパーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである装置である。 ・・・ 本原理のさらに別の態様によれば、以下の装置が提供される。この装置は、フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントデコーディングするデコーダを有する装置であって、明示的なコーディング規則を有するコーディングモードに使用されるものとは異なるコーディング規則を使用するものであり、暗黙的なコーディング規則を有するコーディングモードを使用するパーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである装置である。) エ 「As used herein, "high level syntax" refers to syntax present in the bit stream that resides hierarchically above the macroblock layer.」 (第7頁第3~4行) (仮訳: 本明細書で使用する「高レベルシンタックス」は、マクロブロック層よりも階層的に存在するビットストリームに存在するシンタックスを指す) オ 「Turning to FIG.3, a video encoder capable of performing video encoding in accordance with the MPEG-4 AVC standard is indicated generally by the reference numeral 300. The video encoder 300 includes a frame ordering buffer 310 having an output in signal communication with an on-inverting input of a combiner 385. An output of the combiner 385 is connected in signal communication with a first input of a transformer and quantizer 325. An output of the transformer and quantizer 325 is connected in signal communication with a first input of an entropy coder with region merging extensions 345 and a first input of an inverse transformer and inverse quantizer 350. An output of the entropy coder with region merging extensions 345 is connected in signal communication with a first non-inverting input of a combiner 390. An output of the combiner 390 is connected in signal communication with a first input of an output buffer 335.」 (第7頁第15~27行) (仮訳: 図3に目を向けると、MPEG-4 AVC標準に従ってビデオエンコーディングを行うことができるビデオエンコーダが、参照数字300によって全体的に示されている。 ビデオエンコーダ300は、コンバイナ385の非反転入力と信号通信する出力を有するフレームオーダリングバッファ310を含む。コンバイナ385の出力は、変換器および量子化器325の第1の入力と信号通信するように接続されている。変換器および量子化器325の出力は、領域マージ拡張付きエントロピーエンコーダ345の第1の入力、および逆変換器および逆量子化器350の第1の入力と信号通信で接続される。領域マージ拡張付きエントロピー符号化器345の出力は、コンバイナ390の第1の非反転入力と信号通信で接続される。 コンバイナ390の出力は、出力バッファ335の第1の入力と信号通信するように接続される。) カ 「Inputs of the frame ordering buffer 310 and the encoder controller with region merging extensions 305 are available as input of the encoder 300, for receiving an input picture 301. Moreover, an input of the Supplemental Enhancement-Information(SEI) inserter 330 is available as an input of the encoder 300, for receiving metadata. An output of the output buffer 335 is available as an output of the encoder 300, for outputting a bitstream.」 (第9頁第4~9行) (仮訳: フレームオーダリングバッファ310と領域マージ拡張機能付きエンコーダ・コントローラ305は、入力画像301を受信するものであることから、その入力はエンコーダ300の入力として利用可能である。さらに、エンコーダ300の入力として、メタデータを受信するためのサプルメンタルエンハンスト情報(SEI)インサータ330の入力が利用可能である。出力バッファ335の出力は、ビットストリームを出力するために、エンコーダ300の出力として利用可能である。) キ 「Turning to FIG. 4, a video decoder capable of performing video decoding in accordance with the MPEG-4 AVC standard is indicated generally by the reference numeral 400. The video decoder 400 includes an input buffer 410 having an output connected in signal communication with a first input of the entropy decoder with region merging extensions 445.A first output of the entropy decoder with region merging extensions 445 is connected in signal communication with a first input of an inverse transformer and inverse quantizer 450.An output of the inverse transformer and inverse quantizer 450 is connected in signal communication with a second non-inverting input of a combiner 425.An output of the combiner 425 is connected in signal communication with a second input of a deblocking filter 465 and a first input of an intra prediction module 460. A second output of the deblocking filter 465 is connected in signal communication with a first input of a reference picture buffer 480.An output of the reference picture buffer 480 is connected in signal communication with a second input of a motion compensator 470.」 (第9頁第10~24行) (仮訳: 図4に目を向けると、MPEG-4 AVC標準に従ってビデオ復号を行うことができるビデオデコーダが、参照数字400によって全体的に示されている。 ビデオデコーダ400は、領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の入力と信号通信するように接続された出力を有する入力バッファ410を含む。領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の出力は、逆変換器および逆量子化器450の第1の入力と信号通信接続される。逆変換器および逆量子化器450の出力は、コンバイナ425の第2の非反転入力と信号通信接続されている。コンバイナ425の出力は、デブロッキングフィルタ465の第2の入力およびイントラ予測モジュール460の第1の入力と信号通信接続される。デブロッキングフィルタ465の第2の出力は、参照ピクチャーバッファ480の第1の入力と信号通信可能に接続される。参照ピクチャーバッファ480の出力は、動き補償器470の第2の入力と信号通信接続される。) ク 「An output of the motion compensator 470 is connected in signal communication with a first input of a switch 497. An output of the intra prediction module 460 is connected in signal communication with a second input of the switch 497. An output of the switch 497 is connected in signal communication with a first non-inverting input of the combiner 425. An input of the input buffer 410 is available as an input of the decoder 400, for receiving an input bitstream. A first output of the deblocking filter 465 is available as an output of the decoder 400, for outputting an output picture.」 (第10頁第7~14行) (仮訳: 動き補償器470の出力は、スイッチ497の第1の入力と信号通信で接続される。イントラ予測モジュール460の出力は、スイッチ497の第2の入力と信号通信で接続される。スイッチ497の出力は、コンバイナ425の第1の非反転入力と信号通信するように接続される。 入力バッファ410の入力は、入力ビットストリームを受信するための、デコーダ400の入力として利用可能である。デブロッキングフィルタ465の第1の出力は、出力ピクチャを出力するための、デコーダ400の出力として利用可能である。) ケ 「Also, SKIP/DIRECT mode data syntax is modified in the following sense. If a block is merging to a SKIP/DIRECT macroblock, and the SKIP/DIRECT macroblock is the first block of the segment in scanning order, then the SKIP/DIRECT macroblock data syntax may include explicit syntax with motion information for the merged segment.」 (第12頁第2~6行) (仮訳: また、SKIP/DIRECTモード・データのシンタックスは、以下のように変更される。もし、あるブロックがSKIP/DIRECTマクロブロックにマージしており、SKIP/DIRECTマクロブロックがセグメントのスキャン順で最初のブロックである場合、SKIP/DIRECTマクロブロック・データのシンタックスは、マージされたセグメントに対する動き情報を有する明示的シンタックスを含んでもよい。) コ 「Turning to FIG. 7, an exemplary method for coding a merge enabled SKIP mode is indicated generally by the reference numeral 700. The method 700 includes a start block that passes control to a decision block 710. The decision block 710 determines whether or not any block is merged with the current block. If so, then control is passed to a decision block 715. Otherwise, control is passed to a function block 750. The decision block 715 determines whether or not there are any possible blocks to merge to. If so, then control is passed to a function block 720. Otherwise, control is passed to a decision block 740. The function block 720 codes the merge/no-merge flag, and passes control to a decision block 725. The decision block 725 determines whether or not the current block is merged to another block. If so, then control is passed to adecision block 730. Otherwise, control is passed to the decision block 740. The decision block 730 determines whether or not there is more than one possible block to merge to. If so, the control is passed to a function block 735. Otherwise, control is passed to the decision block 740. The function block 735 codes the merge decision, and passes control to the decision block 740. The decision block 740 determines whether or not the current block is the first block of a segment. If so, the control is passed to the function block 745. Otherwise, control is passed to an end block 799. The function block 745 explicitly codes motion data for the current block, and passes control to the end block 799.」 (第13頁第6~28行) (仮訳: 図7に目を向けると、マージ可能なSKIPモードをエンコードするための例示的な方法が、参照番号700によって全体的に示されている。 方法700は、制御を決定ブロック710に渡す開始ブロックを含む。決定ブロック710は、任意のブロックが現在のブロックとマージされているかどうかを判断する。もしそうなら、制御を決定ブロック715に渡す。そうでない場合、制御を機能ブロック750に渡す。 決定ブロック715は、マージする可能性のあるブロックがあるかどうかを判断する。もしそうなら、制御を機能ブロック720に渡す。そうでなければ、制御を決定ブロック740に渡す。 機能ブロック720は、マージ/ノー・マージ・フラグをエンコードし、制御を決定ブロック725に渡す。決定ブロック725は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断する。もしそうなら、制御を決定ブロック730に渡す。そうでない場合、制御を決定ブロック740に渡す。 決定ブロック730は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断する。もしそうなら、制御を機能ブロック735に渡す。そうでない場合、制御を決定ブロック740に渡す。 機能ブロック735は、マージ決定をエンコードし、制御を決定ブロック740に渡す。 決定ブロック740は、現在のブロックがセグメントの最初のブロックであるかどうかを判断する。そうである場合、制御を機能ブロック745に渡す。そうでなければ、制御をエンドブロック799に渡す。 機能ブロック745は、現在のブロックのモーションデータを明示的にエンコードし、制御をエンドブロック799に渡す。) サ 「Turning to FIG. 8, an exemplary method for decoding a merge enabled SKIP mode is indicated generally by the reference numeral 800. The method 800 includes a start block that passes control to a decision block 810. The decision block 810 determines whether or not any block is merged with the current block. If so, then control is passed to a decision block 815. Otherwise, control is passed to a function block 850. The decision block 815 determines whether or not there are any possible blocks to merge to. If so, then control is passed to a function block 820. Otherwise, control is passed to a decision block 840. The function block 820 decodes the merge/no-merge flag, and passes control to a decision block 825. The decision block 825 determines whether or not the current block is merged to another block. If so, then control is passed to a decision block 830. Otherwise, control is passed to the decision block 840. The decision block 830 determines whether or not there is more than one possible block to merge to. If so, the control is passed to a function block 835. Otherwise, control is passed to the decision block 840. The function block 835 decodes the merge decision, and passes control to the decision block 840. The decision block 840 determines whether or not the current block is the first block of a segment. If so, the control is passed to the function block 845. Otherwise, control is passed to an end block 899. The function block 845 decodes explicitly coded motion data for the current block, and passes control to the end block 899.」 (第13頁第31行~第14頁第21行) (仮訳: 図8に目を向けると、マージ可能なSKIPモードをデコードするための例示的な方法が、参照番号800によって全体的に示されている。 方法800は、制御を決定ブロック810に渡す開始ブロックを含む。決定ブロック810は、任意のブロックが現在のブロックとマージされているかどうかを判断する。もしそうなら、制御を決定ブロック815に渡す。そうでない場合、制御を機能ブロック850に渡す。 決定ブロック815は、マージする可能性のあるブロックがあるかどうかを判断する。もしそうなら、制御を機能ブロック820に渡す。そうでなければ、制御を決定ブロック840に渡す。 機能ブロック820は、マージ/ノー・マージ・フラグをデコードし、制御を決定ブロック825に渡す。決定ブロック825は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断する。もしそうなら、制御は決定ブロック830に渡される。そうでない場合、制御を決定ブロック840に渡す。 決定ブロック830は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断する。もしそうなら、制御を機能ブロック835に渡す。そうでない場合、制御は決定ブロック840に渡される。 機能ブロック835は、マージ決定をデコードし、制御を決定ブロック840に渡す。 決定ブロック840は、現在のブロックがセグメントの最初のブロックであるかどうかを判断する。そうである場合、制御を機能ブロック845に渡す。そうでなければ、制御をエンドブロック899に渡す。 機能ブロック845は、現在のブロックの明示的にエンコードされた動きデータをデコードし、制御をエンドブロック899に渡す。) シ 「 [図:0001398234000001.jpg] 」 ス 「 [図:0001398234000002.jpg] 」 (2)甲第2号証の記載事項 甲第2号証である特表2010-502102号公報には次の記載がある。 「【0056】 上述されたように、本発明の原理は、低減された解像度の分割のための方法及びシステムに向けられる。 上述されたように、最新のビデオコーダは、効率的な符号化のためにビジュアルデータを最良に分類するため、ビデオフレームの適応的なブロックの分割を使用する。このため、大部分の符号化アルゴリズムは、所与のサイズのブロックの一様なグリッドでそれぞれのフレームをはじめに分割する。次いで、ビデオデータに依存して、ビデオデータに最良に適合するため、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割する。 【0057】 本発明の原理の様々な実施の形態によれば、この従来技術の態様を保存しつつ(ブロックを除々に小さなパーティションに分割又は小分割する機能)、従来技術とは異なり、デコーダの構造、アーキテクチャ及び/又は符号化テーブルへの主要な変更を必要とすることなしに、可能性のあるフレームの分割のセットにおける最初の一様なグリッドからブロックをマージすることで、ブロックを「スーパーマクロブロック」に適応的にマージ又はグループ化する機能を可能にする。実施の形態では、仮想的に大きなマクロブロックは、幾つかの余分のシンタックスの指示(signaling)を符号化されたストリームに挿入することでビデオエンコーダ/デコーダに定義される。本実施の形態に係る1つの特徴として、デコーダのアーキテクチャは、スーパーマクロブロックの使用から利益を得る一方で、係るアーキテクチャがビデオフレームのオリジナルの最初のブロック分割のグリッドのサイズに従うのを可能にする方法でシンタックスを使用する。これにより、MPEG-4AVC標準のような現在のビデオ符号化方式は、(可能な分割として32×32、16×32、32×16、16×16、16×8、8×16、8×8、8×4、4×8、4×4を有するため、MPEG-4AVC標準における32×32ブロックといった)スーパーマクロブロックの使用を導入するため、容易に拡張することができる。」 「【0063】 本発明の原理の実施の形態は、スーパーブロックを生成するため、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするため、幾つかの非常に小さな量のサイド情報を符号化されたストリームに導入する。幾つかのシンタックス情報を選択されたブロック(及び最終的に、幾つかの上位のシンタックスレベル)に挿入することで、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができる。これにより、スーパーブロックの分割の使用が「仮想的に」可能となる。エンコーダサイドで、この更なるシンタックス情報は、効率的な符号化のために使用するために決定される。」 (3)甲第3号証の記載事項 甲第3号証である特開2008-259171号公報には以下の記載がある。 「【0124】 図15は、方法105を実行する手段が後に続く、スケーラブルなマルチビュービデオデコーダ1001を含む受信システム1500を示す。符号化された深度マップ1502を含むスケーラブルなビットストリーム1502およびディスプレイパラメータ903が、復号されたライトフィールド1003および復号された深度マップ1403を生成するために、スケーラブルなマルチビュービデオデコーダ1501へ入力として提供される。 復号されたライトフィールド1003および復号された深度マップ1403は、サンプリングされた出力ライトフィールド1004を生成するために、方法105に入力される。」 (4)甲第4号証の記載事項 甲第4号証である特開2010-045853号公報には以下の記載がある。 「【0002】 従来、MPEGやITU-T H.26xなどの国際標準映像符号化方式(例えば「"Information Technology Coding of Audio-Visual Objects Part10: Advanced Video Coding", ISO/IEC 14496-10, 2003」: 以下、非特許文献1と呼ぶ) では、主として4:2:0フォーマットと呼ばれる標準化された入力信号フォーマットの使用を前提としてきた。4:2:0 とは、RGBなどのカラー動画像信号を輝度成分(Y)と2つの色差成分(Cb、Cr)に変換し、水平・垂直ともに色差成分のサンプル数を輝度成分の半分に削減したフォーマットである(図23)。色差成分は輝度成分に比べて視認性が落ちることから、従来の国際標準映像符号化方式では、このように符号化を行う前に色差成分のダウンサンプルを行うことで符号化対象の原情報量を削減しておくことを前提としていた。また、放送素材映像など業務向けの映像符号化では、Cb、Crの成分を水平方向のみについて輝度成分の半分にダウンサンプルする4:2:2フォーマットが用いられることもある。これにより垂直方向の色解像度は輝度と同じになり、4:2:0フォーマットに比べて色再現性が高まる。一方、近年のビデオディスプレイの高解像度化、高階調化に伴い、色差成分をダウンサンプルすることなく輝度成分と同一サンプル数のまま符号化する方式の検討が行われている。輝度成分と色差成分とがまったく同一のサンプル数のフォーマットは4:4:4フォーマットと呼ばれる。従来の4:2:0フォーマットが色差成分のダウンサンプルを前提としたためにY、Cb、Crという色空間定義にのみ限定されたのに対し、4:4:4フォーマットでは色成分間にサンプル比の区別がないため、Y、Cb、Crのほか、R,G,Bを直接使用したり、その他複数の色空間定義を利用することが可能である」 (5)甲第5号証の記載事項 甲第5号証である国際公開2010/002214号には以下の記載がある。 「 [図:0001398234000003.jpg] 」 (仮訳: [94] 図7は、本発明の一実施形態による、符号化単位及び変換単位の関係を図示している。 [95] 本発明の一実施形態による映像符号化装置100及び映像復号化装置200は、最大符号化単位ごとに、最大符号化単位より小さいか、あるいはそれと同じサイズの符号化単位に映像を分割し、符号化したり復号化する。符号化過程中で、周波数変換のための変換単位サイズは、それぞれの符号化単位よりは大きくないデータ単位を基に選択されうる。例えば、現在符号化単位710が64x64サイズであるとき、32x32サイズの変換単位720を利用して、周波数変換が行われうる。また、64x64サイズの符号化単位710のデータを、64x64サイズ以下の32x32、16x16、8x8、4x4サイズの変換単位に、それぞれ周波数変換を行って符号化した後、原本との誤差が最も少ない変換単位が選択されうる。) (6)甲第6号証の記載事項 甲第6号証である特表平9-507347号公報には、発明の名称である「4分木構造WALSH変換ビデオ/イメージ符号化」に関し、以下の記載がある。 「本発明によると、木を歩く順序と呼ばれる、値の別の順序づけが使用されうる。この木を歩く順序に従うと、4分木コードは、通常レベル0の値である、最下位レベルの値から開始され、葉ノードに達するまで枝を降りて進む。この順序づけは次に、枝を上方向に戻ってまだ記述されていない1つ以上の枝を有する最上位ノードに向かい、次にノードは、次の葉ノードに達するまで、まだ記述されていない枝を降下する。この値の順序づけは、このように4分木の値全てが得られるまで枝毎に続けられる。」 (第10頁第2~8行) 2 甲1発明、甲2~6技術の認定(1)甲1発明の認定(1-1)上記1(1)より、甲第1号証には以下の事項が記載されているものといえる。 ア 上記1(1)アより、甲第1号証には、 ビデオ標準の大部分はフレームパーティショニングに対して、ツリー構造のビデオデータパーティショニングを用いており、MPEG-4 AVC標準は、ツリー構造の階層的なマクロブロックパーティションをサポートし、16x16MBのパーティションに対して、16x16MBは、16x8、8x16、または8x8のサイズのマクロブロックパーティションに分割することができ、8x8の分割は、サブマクロブロックとも呼ばれ、サブマクロブロックは、さらに、サイズ8x4、4x8、4x4のサブマクロブロックパーティションに分割することができること が記載されているといえる。 イ 上記1(1)イ、ウより、甲第1号証には、 MPEG-4 AVC標準に適用して、隣接するブロックの動きデータのジョイントコーディングを行うことであって、どのブロックがジョイントコーディングされるかを示すために、追加のサイド情報を使用し、このサイド情報は、同じ動き情報を共有するセグメントを生成するために、どのブロックがどのブロックにマージされるかを示すものであり、 マクロブロック、マクロブロックパーティション、サブマクロブロック、及び/又はサブマクロブロックパーティションの可能なマージが示され、 ブロックが他のブロックとマージされるかどうかを示すためにマージフラグが使用され、マージ方向の信号は、現在のブロックが複数の可能なマージ候補を有する場合に、現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用され、 フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントコーディングするエンコーダを有する装置であって、パーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである、装置と、 フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントデコーディングするデコーダを有する装置であって、パーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである、装置、 が記載されているといえる。 ウ 上記1(1)オ、カより、甲第1号証には、 MPEG-4 AVC標準に従ってビデオエンコーディングを行うことができるビデオエンコーダ300であって、 コンバイナ385の入力と通信する出力を有するフレームオーダリングバッファ310を含み、コンバイナ385の出力は、変換器および量子化器325の第1の入力と接続され、領域マージ拡張付きエントロピーエンコーダ345の出力は、コンバイナ390の入力と接続され、コンバイナ390の出力は、出力バッファ335の入力と接続され、 入力画像301を受信するフレームオーダリングバッファ310の入力は、エンコーダ300の入力として利用可能であり、ビットストリームを出力とするために、エンコーダ300の出力として利用可能である出力バッファ335の出力があること、 が記載されているといえる。 エ 上記1(1)キ、クより、甲第1号証には、 MPEG-4 AVC標準に従ってビデオ復号を行うことができるビデオデコーダ400であって、領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の入力と信号通信するように接続された出力を有する入力バッファ410を含み、領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の出力は、逆変換器および逆量子化器450の第1の入力と接続され、逆変換器および逆量子化器450の出力は、コンバイナ425の第2入力と接続され、コンバイナ425の出力は、デブロッキングフィルタ465の第2の入力と接続され、デブロッキングフィルタ465の第2の出力は、参照ピクチャーバッファ480の第1の入力と接続され、参照ピクチャーバッファ480の出力は、動き補償器470の第2の入力と接続され、動き補償器470の出力は、スイッチ497の第1の入力と接続され、スイッチ497の出力は、コンバイナ425の第1の入力と接続され、 入力バッファ410の入力は、入力ビットストリームを受信するための、デコーダ400の入力として利用可能であり、デブロッキングフィルタ465の第1の出力は、出力ピクチャを出力するための、デコーダ400の出力として利用可能である、ビデオデコーダ400 が記載されているといえる。 オ 上記1(1)エ、ケより、甲第1号証には、 シンタックスとはビットストリーム中に含まれており、あるブロックがSKIPマクロブロックにマージしている場合のSKIPマクロブロックデータシンタックスであるSKIPモード・データのシンタックスがあること が記載されているといえる。 カ 上記1(1)コより、甲第1号証には、 マージ可能なSKIPモードをエンコードするための例示的な方法700であって、機能ブロック720は、マージ/ノー・マージ・フラグをエンコードし、制御を決定ブロック725に渡し、決定ブロック725は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、もしそうなら制御を決定ブロック730に渡し、決定ブロック730は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断し、もしそうなら制御を機能ブロック735に渡し、機能ブロック735は、マージ決定をエンコードし、制御を決定ブロック740に渡すこと が記載されているといえる。 キ 上記1(1)サより、甲第1号証には マージ可能なSKIPモードをデコードするための例示的な方法800であって、機能ブロック820は、マージ/ノー・マージ・フラグをデコードし、制御を決定ブロック825に渡し、決定ブロック825は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、もしそうなら制御を決定ブロック830に渡し、決定ブロック830は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断し、もしそうなら制御を機能ブロック835に渡し、機能ブロック835は、マージ決定をデコードし、制御を決定ブロック840に渡すこと が記載されているといえる。 ク さらに、上記1(1)シ、スの図7の矩形領域735と図8の矩形領域835には、それぞれ「CODE MERGE DIRECTION」、「DECODE MERGE DIRECTION」という記載が見て取れる。 これは機能ブロック735または835においてマージ方向をエンコードまたはデコードすることを意味するといえ、上記カ、キの機能ブロック735または835での処理と一致しない。 すなわち、上記1(1)コ、サの The function block 735 codes the merge decision、および The function block 835 decodes the merge decision という記載と、上記1(1)シ、スにおける、矩形領域により示される機能ブロック735と835の記載のどちらかが誤っているといえる。 ここで、上記1(1)コ、サの記載から導かれる、上記カ、キでは、まず、機能ブロック720または820でマージ/ノー・マージ・フラグをエンコードまたはデコードし、決定ブロック725または825で現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、そして、もしそうなら、すなわち、マージされるならば、その後の処理として、機能ブロック735または835でマージ決定をエンコードまたはデコードすることになる。 そうすると、上記カ、キのとおり、決定ブロック725または735までにはマージ/ノー・マージ・フラグがエンコードまたはデコードされており、この段階で現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかが決定されているのに、さらに機能ブロック735または835で再びマージ決定をエンコードまたはデコードすることになる。 これはエンコード方法またはデコード方法において、同じマージの決定に関するエンコードまたはデコードを意味無く2度行うことになり、エンコード方法またはデコード方法として不合理であるといえる。 そうすると、上記1(1)コ、サの The function block 735 codes the merge decision、および The function block 835 decodes the merge decision という記載は誤記を含んでおり、正しくは上記1(1)シ、スを踏まえて、 The function block 735 codes the merge direction,および The function block 835 decodes the merge direction, と記載されるべきものであったといえる。 上記1(1)コ、サが上記の通り記載されるべきものであったことは、上記イの「ブロックが他のブロックとマージされるかどうかを示すためにマージフラグが使用され、マージ方向の信号は、現在のブロックが複数の可能なマージ候補を有する場合に、現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用され」ることとも整合する。 これを踏まえると、上記カ、キにおける「機能ブロック735は、マージ決定をエンコードし」「機能ブロック835は、マージ決定をデコードし」の記載は、それぞれ、「機能ブロック735は、マージ方向をエンコードし」「機能ブロック835は、マージ方向をデコードし」の誤記であると認められる。 (1-2)上記(1-1)から、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という)が記載されているものと認められる。 a1 ビデオ標準の大部分はフレームパーティショニングに対して、ツリー構造のビデオデータパーティショニングを用いており、ツリー構造の階層的なマクロブロックパーティションをサポートし、16x16MBのパーティションに対して16x16MBは、16x8、8x16、または8x8のサイズのマクロブロックパーティションに分割することができ、8x8の分割は、サブマクロブロックとも呼ばれ、サブマクロブロックは、さらに、サイズ8x4、4x8、4x4のサブマクロブロックパーティションに分割することができるMPEG-4 AVC標準について、(ア) a2 MPEG-4 AVC標準に適用して、隣接するブロックの動きデータのジョイントコーディングを行うことであって、どのブロックがジョイントコーディングされるかを示すために、追加のサイド情報を使用し、このサイド情報は、同じ動き情報を共有するセグメントを生成するために、どのブロックがどのブロックにマージされるかを示すものであり、 マクロブロック、マクロブロックパーティション、サブマクロブロック、及び/又はサブマクロブロックパーティションの可能なマージが示されており、 ブロックが他のブロックとマージされるかどうかを示すためにマージフラグが使用され、マージ方向の信号は、現在のブロックが複数の可能なマージ候補を有する場合に、現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用され、(イ) a3 フレームパーティションとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントコーディングするエンコーダを有する装置であって、パーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである装置であり、(イ) MPEG-4 AVC標準に従ってビデオエンコーディングを行うことができるビデオエンコーダ300であって、コンバイナ385の入力と通信する出力を有するフレームオーダリングバッファ310を含み、コンバイナ385の出力は、変換器および量子化器325の第1の入力と接続され、領域マージ拡張付きエントロピーエンコーダ345の出力は、コンバイナ390の入力と接続され、コンバイナ390の出力は、出力バッファ335の入力と接続され、 入力画像301をエンコーダの入力として利用可能であり、ビットストリームを出力とするために、エンコーダ300の出力として利用可能である出力バッファ335の出力があり、 ビデオエンコーダ300の出力であるビットストリームについて、シンタックスとはビットストリーム中に含まれており、あるブロックがSKIPマクロブロックにマージしている場合のSKIPマクロブロックデータシンタックスであるSKIPモード・データのシンタックスがあり、(ウ、オ) a4 フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して画像領域のパーティションをジョイントデコーディングするデコーダを有する装置であって、パーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものである装置であり、(イ) MPEG-4 AVC標準に従ってビデオ復号を行うことができるビデオデコーダ400であって、領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の入力と信号通信するように接続された出力を有する入力バッファ410を含み、領域マージ拡張付きエントロピーデコーダ445の第1の出力は、逆変換器および逆量子化器450の第1の入力と接続され、逆変換器および逆量子化器450の出力は、コンバイナ425の第2入力と接続され、コンバイナ425の出力は、デブロッキングフィルタ465の第2の入力と接続され、デブロッキングフィルタ465の第2の出力は、参照ピクチャーバッファ480の第1の入力と接続され、参照ピクチャーバッファ480の出力は、動き補償器470の第2の入力と接続され、動き補償器470の出力は、スイッチ497の第1の入力と接続され、スイッチ497の出力は、コンバイナ425の第1の入力と接続され、 入力バッファ410の入力は、入力ビットストリームを受信するための、デコーダ400の入力として利用可能であり、デブロッキングフィルタ465の第1の出力は、出力ピクチャを出力するための、デコーダ400の出力として利用可能である、ビデオデコーダ400であって、(エ) b1 マージ可能なSKIPモードをエンコードするための例示的な方法700であって、機能ブロック720は、マージ/ノー・マージ・フラグをエンコードし、制御を決定ブロック725に渡し、決定ブロック725は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、もしそうなら制御を決定ブロック730に渡し、決定ブロック730は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断し、もしそうなら制御を機能ブロック735に渡し、機能ブロック735は、マージ方向をエンコードし、制御を決定ブロック740に渡すこと(カ、ク)。 b2 マージ可能なSKIPモードをデコードするための例示的な方法800であって、機能ブロック820は、マージ/ノー・マージ・フラグをデコードし、制御を決定ブロック825に渡し、決定ブロック825は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、もしそうなら制御を決定ブロック830に渡し、決定ブロック830は、マージ先となる可能性のあるブロックが1つ以上あるかどうかを判断し、もしそうなら制御を機能ブロック835に渡し、機能ブロック835は、マージ方向をデコードし、制御を決定ブロック840に渡すことを行うこと(カ、キ、ク)。 (2)甲2技術の認定 上記1(2)の甲第2号証の記載事項から、甲第2号証には以下の技術事項(以下、これを甲2技術という)が記載されているといえる。 (甲2技術) ビデオコーダは、ビデオフレームの適応的なブロックの分割を使用するため、所与のサイズのブロックの一様なグリッドでそれぞれのフレームをはじめに分割し、次いで、ビデオデータに依存して、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割するが、(【0056】) ブロックを除々に小さなパーティションに分割又は小分割する機能を保存しつつ、ブロックを「スーパーマクロブロック」に適応的にマージ又はグループ化する機能を可能にし、仮想的に大きなマクロブロックは、幾つかの余分のシンタックスの指示を符号化されたストリームに挿入することでビデオエンコーダ/デコーダに定義され、(【0057】) スーパーブロックを生成するため、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするため、幾つかの非常に小さな量のサイド情報を符号化されたストリームに導入し、幾つかのシンタックス情報を選択されたブロックに挿入することで、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができ、スーパーブロックの分割の使用が「仮想的に」可能となる」技術(【0063】)。 (3)甲3技術の認定 上記1(3)の甲第3号証の記載事項から、甲第3号証には以下の技術事項(以下、これを甲3技術という)が記載されているといえる。 (甲3技術) 「符号化された深度マップを含むビットストリーム」。 (4)甲4技術の認定 上記1(4)の甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には以下の技術事項(以下、これを甲4技術という)が記載されているといえる。 (甲4技術) 「業務向けの映像符号化では、Cb、Crの成分を水平方向のみについて輝度成分の半分にダウンサンプルする4:2:2フォーマットが用いられ、色差成分を輝度成分と同一サンプル数のまま符号化する方式として、4:4:4フォーマットがあること」。 (5)甲5技術の認定 上記1(5)の甲第5号証の記載事項から、甲第5号証には以下の技術事項(以下、これを甲5技術という)が記載されているといえる。 (甲5技術) 「映像符号化、映像復号化において、最大符号化単位ごとに、最大符号化単位より小さいか、あるいはそれと同じサイズの符号化単位に映像を分割すること」。 (6)甲6技術の認定 上記1(6)の甲第6号証の記載事項から、甲第6号証には以下の技術事項(以下、これを甲6技術という)が記載されているといえる。 (甲6技術) 「4分木構造ビデオにおいて、木を歩く順序に従うと、4分木コードは、通常レベル0の値である、最下位レベルの値から開始され、葉ノードに達するまで枝を降りて進み、この順序づけは次に、枝を上方向に戻ってまだ記述されていない1つ以上の枝を有する最上位ノードに向かい、次にノードは、次の葉ノードに達するまで、まだ記述されていない枝を降下し、この値の順序づけは、このように4分木の値全てが得られるまで枝毎に続けられる」こと。 第6 異議申立人により意見書提出時に提出された甲号証及び甲号証に記載された技術事項について 特許異議申立人は令和5年1月4日付け意見書提出時に、周知技術を示す甲第7号証から甲第8号証を提出しており、その内容は以下のとおりである。 1 甲第7号証について(1)甲第7号証の記載事項 甲第7号証である、インプレス標準教科書シリーズ 改訂三版 H.264/AVC教科書、第1版、2009年1月1日発行、株式会社インプレスR&D、pp.110~115、122~129には、次の記載がある。 「[3]スキップト・マクロブロック なお、MPEG-4などでは、マクロブロックの情報を全く送らずに、参照フレームの空間的に同位置(動きベクトル・ゼロに相当)の画素を、そのまま符号化画像として用いる、「スキップト・マクロブロック」というマクロブロック・モードが用いられていました。」(p.125第3~6行)」 「Bピクチャでは、 1 画面内予測 2 L0予測(L0の動き情報だけを用いた片方向予測) 3 L1予測(L1の動き情報だけを用いた片方向予測) 4 双予測(L0とL1の2つの動き情報を用い、2つの参照ピクチャの平均値を予測ピクチャとする予測)」(p.127第10~15行;なお、丸付き数字1、2、3、4をアラビア数字1、2、3、4で代用した。) 「データ構造としては、最初に符号化モードを符号化し、引き続いて必要ならば、L0予測の動き情報とL1予測の動き情報を符号化します。最後に、対象ピクチャと動き予測で生成した予測ピクチャの差分である予測誤差を符号化したデータを符号化します。」(p.128第2~4行) (2)甲7技術の認定 甲第7号証の記載事項から、甲第7号証には以下の周知技術(以下、これを甲7技術という)が記載されているといえる。 「マクロブロックの情報を全く送らずに、参照フレームの空間的に同位置(動きベクトル・ゼロに相当)の画素を、そのまま符号化画像として用いる「スキップト・マクロブロック」が用いられていたこと、および Bピクチャでは双予測(L0とL1の2つの動き情報を用い、2つの参照ピクチャの平均値を予測ピクチャとする予測)があり、Bピクチャのデータ構造としては、最初に符号化モードを符号化し、引き続いて必要ならば、L0予測の動き情報とL1予測の動き情報を符号化し、最後に、対象ピクチャと動き予測で生成した予測ピクチャの差分である予測誤差を符号化したデータを符号化すること」 2 甲第8号証について(1)甲第8号証の記載 甲第8号証である、特開2005-160089号公報には、次の記載がある。 「【0065】 また、時間予測を使用する場合、マクロブロック(MB:MacroBlock)スキップという方法を適用することも可能である。これは予測された映像と現在映像との間の差映像で任意のマクロブロックに対する画素値の絶対値の和が所定の閾値以下である場合、当該マクロブロックの画素値を符号化せずに、省略するという表示のみを符号化するものである。これにより、CBP情報、動きベクトル、画素値などすべての情報に対する符号化が省略され、現在マクロブロックの画素値は対応する以前映像の画素値をそのまま使用する。例えば、以前映像で現在映像と同じ位置にあるマクロブロックの画素値をそのまま使用するか、または現在マクロブロックの周辺にあるマクロブロックの動きベクトルを利用して以前映像の特定位置を計算し、その位置にあるマクロブロックの画素値をそのまま使用する。」 「【0067】 図19Aは、空間予測のための隣接画素の位置と予測する現在ブロックの画素の位置とを示す図面である。図18に示した方法と同様に、この方法はISO/IEC14496-10及びITU-T Rec.H.264標準技術で使用する方法である。この方法では4×4サイズのブロックデータPa,Pb,..,Pqを予測するために以前に符号化されて復元された空間上の隣接したデータP0,P1,...,P12を利用する。 図19Bは、空間上隣接した画素から投影して現在ブロックを予測するための0から8までの9つの予測方向を示す。例えば、0の方向の場合は、隣接した画素値P1、P2、P3及びP4を垂直方向に投影してPa、Pe、Pi及びPmはP1の値、Pb、Pf、Pj及びPnはP2の値、Pc、Pg、Pk及びPoはP3の値、Pd、Ph、Pl及びPqはP4の値に予測する。他の方向の場合も同様に、投影を通じて予測する。」 また、図19Aには以下の図がある。 「 [図:0001398234000004.jpg] 」 さらに、図19Bには以下の図がある。 「 [図:0001398234000005.jpg] 」 (2)甲8技術の認定 甲第8号証の記載事項から、甲第8号証には以下の周知技術(以下、これを甲8技術という)が記載されているといえる。 「時間予測を使用する場合、マクロブロックスキップという、マクロブロックの画素値を符号化せずに、省略するという表示のみを符号化する方法により、現在マクロブロックの画素値は対応する以前映像の画素値、例えば以前映像で現在映像と同じ位置にあるマクロブロックの画素値をそのまま使用する方法があり、 空間予測において、空間上隣接した画素から投影して現在ブロックを予測する方法があること」 第7 取消理由通知についての当審の判断 1 本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)構成A1、B1、C1について 構成a1、a2を踏まえたa4から、甲1発明は16x16MBのパーティションからマクロブロックパーティションやサブマクロブロックパーティションに分割することができる、MPEG-4 AVC標準に従ってビデオ復号を行うことができる、入力ビットストリームを受信してビデオデコーダ400の入力とする、ビデオデコーダ400を具備しているといえる。 また、構成a3から、MPEG-4 AVC標準にしたがってビデオエンコーディングされたビットストリームは入力画像301をエンコーダの入力とされているものであるところ、フレームパーティショニングとパーティションマージ手順とを使用して得られたビットストリームがエンコーダの出力であり、このようなビットストリームがビデオデコーダ400の入力になるといえる。 ここで、構成a1、a3から、入力画像301に対してフレームパーティショニングにより16x16MBのパーティションが得られるといえ、当該16x16MBのパーティションは本件訂正発明1の「情報標本の配列」に相当する。 そうすると、このようなエンコードされたビットストリームを入力としてデコードを行う甲1発明の構成a4の「ビデオデコーダ400」は、本件訂正発明1の構成A1の「データストリームにエンコーディングされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化するデコーダ」に相当するといえる。 次に、甲1発明では、構成a2の「MPEG-4 AVC標準に適用」された、「同じ動き情報を共有するセグメントを生成するために、どのブロックがどのブロックにマージされるかを示すものであり、ブロックが他のブロックとマージされるかどうかを示すためにマージフラグが使用され、マージ方向の信号は、現在のブロックが複数の可能なマージ候補を有する場合に、現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用され」る「サイド情報」が、構成a3のように、「フレームパーティショニング」により得られた「画像領域のパーティション」について、「パーティションの与えられた1つ」が「パーティションの別の1つとマージされる」ために「使用され」る。 また、甲1発明において、構成a3では、エンコードされたビットストリームは、あるブロックがSKIPマクロブロックにマージしている場合のSKIPモード・データのシンタックスを含んでいることから、ビットストリーム中に、あるブロックが別のブロックにマージすなわち結合していることを示すための情報をシンタックスとして含んでいるといえる。さらに、甲1発明において、構成b2では、「現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうか」を示す「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」からなる、「マージ可能なSKIPモード」をデコードしている。 これら「SKIPモード・データ」と「マージ可能なSKIPモード」は、いずれも、あるブロックが別のブロックにマージされているかを示すものであって、構成a2の「現在のブロックがどのブロックにマージされるかを示すために使用され」る「サイド情報」と同様の情報であるといえ、本件訂正発明1の構成B1の「結合の構文要素」に相当する。 次に、甲1発明の構成a2にあるように、「他のブロックとマージされるかどうか」が示されている「現在のブロック」は、マクロブロック、マクロブロックパーティション、サブマクロブロック、及び/又はサブマクロブロックパーティションがあり、このうちのマクロブロック以外のものに限ったものが、本件訂正発明1の構成C1の「現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つ」に相当する。 さらに、甲1発明では、ビットストリーム中に上記構成a2の「サイド情報」と同様の情報である上記構成a3の「SKIPモード・データ」をシンタックスとして含んでおり、これをデコードすなわち復号化において使用するといえるが、このためには上記「SKIPモード・データ」がビットストリームから抽出されることは明らかである。 したがって、甲1発明では、ビットストリーム中の上記SKIPモード・データが抽出されるための構成を暗黙に有しているといえるが、このような構成は、本件訂正発明1の構成B1の「データストリームから」「現在復号化されている領域に関しての結合の構文要素を抽出する抽出部」に相当するといえる。 (イ)構成D1、E1について 甲1発明の構成b1、b2から、「マージ可能なSKIPモード」における、「マージ/ノー・マージ・フラグ」は現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断するための情報であり、「マージ方向」は現在のブロックが他のブロックにマージされる場合に、どの方向のブロックにマージされるかを示す情報であるといえる。 また、上記(ア)のとおり、上記「マージ可能なSKIPモード」における「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」は、「シンタックス」として含まれる「サイド情報」である。 そうすると、甲1発明の構成b2における「マージ可能なSKIPモード」における「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」は、本件訂正発明1の構成D1の「結合の構文要素」と「現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する点で共通しており、かつ、構成E1の「現在復号化されている領域に関して、前記候補領域の集合から前記選択された候補領域を識別する」ことに相当している。 一方、当該「マージ可能なSKIPモード」における「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」は、上記「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータ」を特定するわけではないことから、当該「少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきか否かを指示」するものではない点で、本件訂正発明1の構成D1と相違する。 (ウ)構成F1について 甲1発明の構成b2において「マージ/ノー・マージ・フラグをデコードし、制御を決定ブロック825に渡し、決定ブロック825は、現在のブロックが他のブロックにマージされるかどうかを判断し、もしそうなら」の場合、すなわち、現在のブロックが他のブロックにマージされると判断された場合、は、上記(イ)における甲1発明の構成bにおける「マージ可能なSKIPモード」における「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」と、本件訂正発明1の構成D1との対比の結果と同様に、本件訂正発明1の構成F1と、「前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて再構築されるべきであると指示した場合」である点で共通する。 一方、甲1発明の構成b2は、上記「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータ」を特定するわけではないことから、当該「少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきか否かを指示」するものではない点で、本件訂正発明1の構成F1と相違する。 (エ)構成G1、H1について 本件訂正発明1は、構成G1の「前記選択された候補領域に関連付けられた前記前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、」、構成H1の「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」、構成I1の「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し」ているのに対して、甲1発明はこのような特定がなされていない点で相違する。 (オ)構成J1について 甲1発明の構成a4の「デコーダ400」を有する「装置」は、パーティションのいずれかの前記パーティションの与えられた1つが、パーティションの別の1つとマージされるものであることから、本件訂正発明1の構成I1の「現在復号化されている領域を再構築するように構成されている再構築部」と共通の構成を備えているといえる。 ただし、甲1発明の構成a4の「装置」は、上記「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータ」を特定するわけではないことから、本件訂正発明1の構成D1を踏まえた構成I1とは、「前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて」領域を再構築するものではない点で相違する。 (カ)以上を総合すると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A1 データストリームにエンコーディングされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化するデコーダであって、 B1 前記データストリームから、情報標本の配列内の現在復号化されている領域に関しての結合の構文要素を抽出するように構成される抽出部であって、 C1 ここで、前記現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つであり、 D1’ 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示し、 E1 前記現在復号化されている領域に関して、前記候補領域の集合から前記選択された候補領域を識別する B1 抽出部と、 F1’ 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであると指示した場合、 J1’ 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて、前記現在復号化されている領域を再構築するように構成される再構築部と A1 を備える、デコーダ。 (相違点1) 構成D1の「前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する「結合の構文要素」について、 本件訂正発明1は、構成D1及びF1において、「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて」少なくとも1つの「符号化パラメータ」が「決定され」るのに対して、 甲1発明における「マージ可能なSKIPモード」における「マージ/ノー・マージ・フラグ」と「マージ方向」は、「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータ」を特定するものではなく、現在復号化されている領域を当該少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきか否かを指示するものではない点。 (相違点2) 構成D1の「前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する「結合の構文要素」について、 本件訂正発明1は、構成F1の「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータ」、すなわち、構成G1における「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータ」に関して、構成G1のように「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、」、構成H1のように「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」、構成I1のように「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算」するのに対して 甲1発明は、1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき少なくとも1つの符号化パラメータをコピーまたは計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するものでもなく、決定がコピーであるか計算であるかによって、コピーまたは計算するものでもない点。 (相違点3) 前記復号化されている領域を再構築するにあたって、 本件訂正発明1の「再構築部」は構成J1のように、構成D1の「前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータ」に関し、「かつ前記少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて」前記復号されている領域を再構築するのに対して、 甲1発明は、当該少なくとも1つの符号化パラメータに基づくかどうかは特定されていない点。 イ 相違点についての検討及び判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点1については、甲2技術にあるように「ブロックを除々に小さなパーティションに分割又は小分割する機能を保存しつつ、ブロックを「スーパーマクロブロック」に適応的にマージ又はグループ化する機能を可能に」するものであって、「スーパーブロックを生成するため、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするため、幾つかの非常に小さな量のサイド情報を符号化されたストリームに導入し、幾つかのシンタックス情報を選択されたブロックに挿入することで、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部または全部を引き継ぐ」ようにすることは、ビデオフレームを分割したブロックをマージする際に用いられる公知技術にすぎない。ここで、甲2技術において、デコードされた情報の一部を引き継ぐ場合、情報のどの一部を引き継ぐかを決定する必要があることは明らかである。 そうすると、この甲2技術を甲1発明における、現在のブロックが他のブロックにマージされる場合の処理を行うデコーダに適用することで、「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて」「少なくとも1つの符号化パラメータ」を決定する、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことである。 (イ)相違点3については、上記(ア)のとおり、甲1発明及び甲2技術に基づいて相違点1の「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータを決定する」構成とすることは、当業者にとって容易になし得たことにすぎない以上、この少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて、復号化されている領域を再構築することもまた当業者にとって容易になし得たことである。 (ウ)さらに、相違点2について検討する。 本件訂正発明1の構成F1を踏まえた構成G1、H1の「符号化パラメータをコピー」することに関し、上記(ア)のとおり、甲2技術にあるように「後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部または全部を引き継ぐ」ようにすることは、画像ブロックのマージにおける公知技術である。 そうすると、この技術を甲1発明における、現在のブロックが他のブロックにマージされる場合の処理を行うデコーダに適用することで、構成F1を踏まえた構成G1、H1のうち、「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき少なくとも1つの符号化パラメータを」「コピー」することは当業者にとって容易になし得たことである。 しかしながら、構成F1を踏まえた構成G1に関し、「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータ」を「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定」すること、さらには構成H1、I1に関し、「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算」することは、甲2技術には示されていないばかりか、甲3技術、甲4技術にも示されておらず、さらに周知技術でもない。 例えば、甲7技術は、 「マクロブロックの情報を全く送らずに、参照フレームの空間的に同位置(動きベクトル・ゼロに相当)の画素を、そのまま符号化画像として用いる「スキップト・マクロブロック」が用いられていたこと、および Bピクチャでは双予測(L0とL1の2つの動き情報を用い、2つの参照ピクチャの平均値を予測ピクチャとする予測)があり、Bピクチャのデータ構造としては、最初に符号化モードを符号化し、引き続いて必要ならば、L0予測の動き情報とL1予測の動き情報を符号化し、最後に、対象ピクチャと動き予測で生成した予測ピクチャの差分である予測誤差を符号化したデータを符号化すること」 であり、符号化パラメータを「コピー」することで導出することと、予測による「計算」で導出することの両者があることを示唆するものではある。 しかしながら、甲7技術は、「前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する「結合の構文要素」に関するものではないし、このような「構文要素」に「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定」するための機能を持たせるようにする示唆があるわけでもない。 また、甲8技術は、 「時間予測を使用する場合、マクロブロックスキップという、マクロブロックの画素値を符号化せずに、省略するという表示のみを符号化する方法により、現在マクロブロックの画素値は対応する以前映像の画素値、例えば以前映像で現在映像と同じ位置にあるマクロブロックの画素値をそのまま使用する方法があり、 空間予測において、空間上隣接した画素から投影して現在ブロックを予測する方法があること」 であり、甲7技術と同様に符号化パラメータを「コピー」することで導出することと、予測による「計算」で導出することの両者があることを示唆するものではあるが、「前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する「結合の構文要素」に関するものではないし、このような「構文要素」に「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定」するための機能を持たせるようにする示唆があるわけでもない。 そうすると、甲2技術を甲1発明における現在のブロックが他のブロックにマージされる場合の処理を行うデコーダに適用し、なおかつ上記甲7技術や甲8技術のような周知技術を考慮しても、そのような適用及び考慮により得られた発明は、相違点2において、構成F1を踏まえた構成G1に関し、「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータ」を「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定」すること、さらには構成H1、I1に関し、「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算」するものではない。 したがって、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲1発明及び甲2~甲4技術並びに周知技術に基づき容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件訂正発明1についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲1発明及び甲2~甲4技術並びに周知技術に基づき容易に発明をすることができたものではない。 2 本件訂正発明2~23について 本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~6、19、20、本件訂正発明1を復号化する方法の発明として特定した本件訂正発明7、本件訂正発明7を引用する本件訂正発明8~12、21、22、本件訂正発明1を「エンコーダ」という物の発明として特定した本件訂正発明13、本件訂正発明13を引用する本件訂正発明14~18、23についても、上記1と同様の理由により、当業者であっても、甲1発明及び甲2~甲4技術並びに周知技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 第8 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立書における特許異議申立の理由について 特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。(特許異議申立書の4(3)申立ての根拠、(4)具体的理由のウ 取消理由1~カ 取消理由4、6 証拠方法の記載) (1)申立理由1 特許6909818号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3、7、8、12~14、18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきである。 (2)申立理由2 本件特許の請求項1~23に係る発明(以下、「本件発明1~23」)といい、これらをあわせて「本件発明」という。)は、甲第1号証に記載された発明と周知技術に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許(以下、本件発明1~23に係る特許を「本件特許1~23」という。)は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきである。 (3)申立理由3 本件発明1~3、7、8、12~14、18に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきである。 (4)申立理由4 本件発明1~23は、甲第2号証に記載された発明と周知技術に記載された発明と周知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許1~23は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきである。 (5)証拠方法 ア 甲第1号証:国際公開2008/127597号公報および抄訳文 イ 甲第2号証:特表2010-502102号公報 ウ 甲第3号証:特開2008-259171号公報 エ 甲第4号証:特開2010-045853号公報 オ 甲第5号証:国際公開2010/002214号および抄訳文(対応する特表2011-526770号公報) カ 甲第6号証:特表平9-507347号公報 2.取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての検討 上記1(1)~(4)の特許異議申立理由1~4のうち、取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について、以下で検討する。 (1)特許異議申立理由1について 特許異議申立理由1については、上記第7の1のア(カ)において示した、本件訂正発明1と甲1発明との(相違点1)~(相違点3)があることから、本件訂正発明1と甲第1号証に記載された発明と同一の発明ではない。 また、本件訂正発明1、本件訂正発明1を方法の発明として特定した本件訂正発明7、本件訂正発明1をエンコーダという物の発明として特定した本件訂正発明13及び本件訂正発明本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~3、本件訂正発明7を引用する本件訂正発明8、12、本件訂正発明13を引用する本件訂正発明14、18は甲第1号証に記載された発明と同一の発明ではない。 (2)特許異議申立理由3、4について ア 甲第2号証の記載及び甲2発明の認定 (ア)甲第2号証には、以下の記載がある。 「【0035】 本明細書で使用されるように、「ハイレベルシンタックス」は、マクロブロックレイヤを超えて階層的にあるビットストリームに存在するシンタックスを示す。たとえば、本明細書で使用されるように、ハイレベルシンタックスは、限定されるものではないが、スライスヘッダレベル、SEI(Supplemental Enhancement Information)レベル、ピクチャパラメータセットレベル、シーケンスパラメータセットレベル及びNALユニットヘッダレベルにあるシンタックスを示す場合がある。」 「【0042】 図3を参照して、本発明の原理と使用するために変更及び/又は拡張される、MPEG-4AVC標準に従ってビデオ符号化を実行可能な例示的なビデオエンコーダは、参照符号300により示される。 【0043】 ビデオエンコーダ300は、加算器385の非反転入力と信号通信で出力を有するフレームオーダリングバッファ310を含む。加算器385の出力は、スーパーマクロブロックの拡張(super-macroblock extension)325による変換器及び量子化器325の第一の入力と信号通信で接続される。スーパーマクロブロックの拡張325による変換器及び量子化器325の出力は、スーパーマクロブロックの拡張によるエントロピーコーダ345の第一の入力、スーパーマクロブロックの拡張による逆変換器及び逆量子化器350の第一の入力と信号通信で接続される。スーパーマクロブロックの拡張によるエントロピーコーダ345の出力は、加算器390の第一の非反転入力と信号通信で接続される。加算器390の出力は、出力バッファ335の第一の入力と信号通信で接続される。 ・・・ 【0050】 フレームオーダリングバッファ310の入力及びスーパーマクロブロックの拡張をもつエンコーダコントローラ305の入力は、入力画像301を受信するため、エンコーダ300の入力として利用可能である。さらに、SEI(Supplemental Enhancement Information)挿入器330の入力は、メタデータを受信するため、エンコーダ300の入力として利用可能である。出力バッファ335の出力は、ビットストリームを出力するため、エンコーダ300の出力として利用可能である。」 「【0051】 図4を参照して、本発明の原理と使用するために変更及び/又は拡張される、MPEG-4AVC標準に従ってビデオ復号化を実行可能な例示的なビデオデコーダは、参照符号400により示される。 【0052】 ビデオデコーダ400は、スーパーマクロブロックの拡張をもつエントロピーデコーダ445の第一の入力と信号通信で接続される出力を有する入力バッファ410を含む。スーパーマクロブロックの拡張をもつエントロピーデコーダ445の第一の出力は、スーパーマクロブロックの拡張をもつ逆変換器及び逆量子化器450の第一の入力と信号通信で接続される。スーパーマクロブロックの拡張をもつ逆変換器及び逆量子化器450の出力は、加算器425の第二の非反転入力と信号通信で接続される。加算器425の出力は、デブロッキングフィルタ465の第二の入力及びイントラ予測モジュール460の第一の入力と信号通信で接続される。デブロッキングフィルタ465の第二の出力は、参照画像バッファ480の第一の入力と信号通信で接続される。参照画像バッファ480の出力は、動き補償器470の第二の入力と信号通信で接続される。」 「【0056】 上述されたように、本発明の原理は、低減された解像度の分割のための方法及びシステムに向けられる。 上述されたように、最新のビデオコーダは、効率的な符号化のためにビジュアルデータを最良に分類するため、ビデオフレームの適応的なブロックの分割を使用する。このため、大部分の符号化アルゴリズムは、所与のサイズのブロックの一様なグリッドでそれぞれのフレームをはじめに分割する。次いで、ビデオデータに依存して、ビデオデータに最良に適合するため、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割する。 【0057】 本発明の原理の様々な実施の形態によれば、この従来技術の態様を保存しつつ(ブロックを除々に小さなパーティションに分割又は小分割する機能)、従来技術とは異なり、デコーダの構造、アーキテクチャ及び/又は符号化テーブルへの主要な変更を必要とすることなしに、可能性のあるフレームの分割のセットにおける最初の一様なグリッドからブロックをマージすることで、ブロックを「スーパーマクロブロック」に適応的にマージ又はグループ化する機能を可能にする。実施の形態では、仮想的に大きなマクロブロックは、幾つかの余分のシンタックスの指示(signaling)を符号化されたストリームに挿入することでビデオエンコーダ/デコーダに定義される。本実施の形態に係る1つの特徴として、デコーダのアーキテクチャは、スーパーマクロブロックの使用から利益を得る一方で、係るアーキテクチャがビデオフレームのオリジナルの最初のブロック分割のグリッドのサイズに従うのを可能にする方法でシンタックスを使用する。これにより、MPEG-4AVC標準のような現在のビデオ符号化方式は、(可能な分割として32×32、16×32、32×16、16×16、16×8、8×16、8×8、8×4、4×8、4×4を有するため、MPEG-4AVC標準における32×32ブロックといった)スーパーマクロブロックの使用を導入するため、容易に拡張することができる。 【0058】 用語「スーパーマクロブロック」は、MPEG-4AVC標準で現在最も大きな利用可能なブロックサイズである16×16ブロックサイズ(又はマクロブロック)よりも大きいブロックを示すために本明細書で使用され、係る大きなブロックサイズは、たとえば、32×32、32×16、16×32であり、ブロックの階層的な結合を形成することで作成される。確かに、係る作成されたスーパーマクロブロックは、長方形及び/又は正方形である場合がある。」 「【0063】 本発明の原理の実施の形態は、スーパーブロックを生成するため、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするため、幾つかの非常に小さな量のサイド情報を符号化されたストリームに導入する。幾つかのシンタックス情報を選択されたブロック(及び最終的に、幾つかの上位のシンタックスレベル)に挿入することで、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができる。これにより、スーパーブロックの分割の使用が「仮想的に」可能となる。エンコーダサイドで、この更なるシンタックス情報は、効率的な符号化のために使用するために決定される。」 「【0068】 x及びy座標に従ってマクロブロックに関して以下の索引付けを与える。この場合、あるフレームにおける最も左上のマクロブロックは、座標(0,0)を有し、あるフレームにおける最も右下のマクロブロックは、座標(M,N)を有し、ここでM及びNは、正の整数値である。次いで、スーパーブロックに関連される情報は、一様な座標“even coordinate”(両方“both”)をもつそれぞれのマクロブロックで最終的に示される。したがって、スーパーブロックに関連する情報は、(0,0),(0,2),(2,0),(2,2)等にあるブロックについて示される。マクロブロックのモードタイプ後の幾つかのポイントで、モードタイプがスーパーマクロブロックの使用に適する場合、1つのフラグ(本明細書では“super_block_enable”と呼ばれる)が送出される(たとえば、MPEG-4AVC標準の拡張において、16×16の分割に関連されるモードタイプのみが明示的なスーパーブロックのサイド情報を必要とする)。その値に依存して、それらの一様な座標のマクロブロック(左上のマクロブロック)により表される4つのマクロブロックのグループは、スーパーマクロブロックのモードの1つとして符号化されるか、符号化されない。スーパーマクロブロックのモードの何れかで符号化されない場合、この特定の4つのマクロブロックのグループのスーパーマクロブロックのモードに関して更なる情報が符号化されず、全てのマクロブロックは、通常に行なわれるように(たとえば本実施の形態では、MPEG-4AVC標準に向けられる)符号化される。super_block_enableフラグがスーパーマクロブロックのモードの使用を示す場合、コードワードは、どのモードが使用されるかを示すために送出される(32×32、32×16又は16×32)。別の実施の形態では、コードワード又はインデックスは、異なるスーパーブロックのモードを示すために使用される(たとえば、0(スーパーブロックなし)、1(32×32)、2(32×16)、3(16×32))。次いで、インデックスは、CAVLC(Context Adaptive Variable Length Coding)又はCABAC(Context Adaptive Binary Arithmetic Coding)により符号化される。 【0069】 次いで、それぞれのスーパーブロックについて、左上のマクロブロックは、(非常に小さなスーパーマクロブロックに関連するシンタックスを最終的な例外として)通常のシンタックスを使用して符号化される。32×32スーパーブロックの場合、残りの3つのマクロブロックについて、動き補償の残余誤差もまた符号化される。32×16又は16×32のスーパーブロックが使用されているとき、(スーパーブロックに関連するシンタックスを除いて)適切な左上のマクロブロックが通常の通りに符号化され、マクロブロックの残りについて、更なる情報なしに、信号予測プロセスの適切な左上のマクロブロックから導出される動き情報を使用して、残余の動き補償誤差が符号化される。」 「【0072】 デコーダサイドで、スーパーマクロブロックに関連するシンタックスは、ダイレクトモードの予測データに変換され、スーパーブロックの分割により確立されるマクロブロック間の関係に従って動きベクトルの予測を導出する。したがって、図2及び図4に関して示されるように、以下のように、スーパーマクロブロックの分割を処理するため、殆どのブロックが変更及び/又は拡張されない。エンコーダでのエントロピー符号化モジュールにより符号化されるスーパーブロックに関連するシンタックスをデコードするように、エントロピーデコーダは拡張される。デコーダコントローラは、スーパーブロック(スーパーマクロブロック)の使用に関連する判定ステップを追加するように、変更及び/又は拡張される。全ての残りのモジュールが通常のように機能するのを可能にするため、全ての他のモジュールが、適切な動き導出ルール及び適切な予測された動き情報によるダイレクトモードとして、スーパーブロックから、符号化されていないマクロブロックを見るように、デコーダコントローラは、デコーダのデータ構造を設定する。」 「【0076】 スーパーマクロブロック符号化の可能性のある符号化のケースは、以下の通りである。 1.一様な座標をもつマクロブロックは、16×16の予測モード又は16×16のダイレクト予測モードではない。したがって、スーパーブロックの符号化は、可能ではない。余分のシンタックスは、32×32を生成する4つのマクロブロックからなるグループ内の他の3つのマクロブロックの何れかについて送出される。 2.一様な座標を持つマクロブロックは、16×16の予測モード又は16×16のダイレクト予測モードである。次いで、(たとえば、実施の形態では、MPEG-4AVC標準当たり)オリジナル符号化技術のラスタスキャニングの順序に従って、以下のケースが可能である。当業者にとって容易に明らかであるように、他の座標系を使用した実施の形態も可能であるが、32×32,32×16又は16×32のスーパーマクロブックを形成する4つのマクロブロックのグループについて、相対的な座標(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)を仮定する。 a.考慮中のマクロブロックが(0,1)のマクロブロックであり(すなわち(0,0)のマクロブロックの右の近隣)、16×16の予測モード又は16×16のダイレクト予測モードではない場合、スーパーブロックのモードが生成される。 b.(0,1)のマクロブロックが16×16の予測モード又は16×16のダイレクト予測モードである場合、以下が可能である。 i.(0,1)が16×16の予測モードである場合、32×16のスーパーマクロブロックが更に生成されることを意味する。16×16の予測モードは通常のように(たとえば、実施の形態では、MPEG-4AVC標準により)符号化される。次いで、マクロブロックのスキャニングの順序が(1,0)及び(1,1)の近隣に到達したとき、以下が強制される。 1.マクロブロックのスキャニングの順序が(1,0)の近隣に到達し(すなわち(0,0)以下の近隣)、これが16×16のダイレクト予測モードではない場合、スーパーブロックのモードが生成される。 2.(1,0)のマクロブロックがダイレクト予測モードである場合、マクロブロックのタイプの後に何処かに挿入される、たとえばsuper_block_enableといった更なるフラグにより信号が伝達される、2つの可能性が存在する。フラグに依存して、これは、スーパーブロックの一部であるか(32×16のモードが強制されることを意味する)、スーパーブロックが生成されないことを意味する。32×16のモードが強制される場合、動き情報は、(0,0)のマクロブロックから引き継がれる。 a.余分のシンタックスは、(1,1)のブロックについて符号化される必要がある。(1,0)のブロックの判定が続く。32×16のスーパーブロックモードが判定された場合、(0,1)から動き情報を導出する。確かに、モードタイプは、暗黙的に符号化することができ、動き補償の後に残余を符号化することが必要である。スーパーブロックモードが(1,0)でディスエーブルにされた場合、古典的なモードは(1,1)で使用される。 【0077】 ii.(0,1)が16×16のダイレクト予測モードである場合、マクロブロックのタイプの後の何処かに挿入される更なるフラグ(たとえばsuper_block_enable)により指示される、2つの可能性がある。フラグに依存して、これは、スーパーブロックの一部であることを意味し、次いで、32×32又は16×32のモードが符号化され、正規のダイレクトモードであり、せいぜい、その位置において、32×16のモードが生成されることを含む。32×32又は16×32のスーパーブロックの一部である場合、動き情報は、(0,0)から導出される。反対の状況で、動き情報は、通常のアプローチを使用して導出される。 1.32×32又は16×32のモードが(0,1)でイネーブルにされた場合、16×16の予測又は16×16のダイレクトモードは(1,0)について可能である。 a.16×16のダイレクト予測モードが(1,0)で選択された場合、フラグ(たとえば32×32_selection)は、マクロブロックのタイプの指示の後に何処かに挿入される。これは、32×32のスーパーブロックであるかを示し、したがって(0,0)から動きを導出するか、16×32のモードであるかを示し(たとえばMPEG-4AVC標準のダイレクトモードで通常は行なわれるように、動きは他の手段により導出される)を示し、(1,1)のマクロブロックにおけるダイレクトモードは、暗黙的に符号化され、32×32のスーパーブロックが符号化されるか又は16×32のスーパーブロックが符号化されるかに依存して動きが導出され、符号化された残余を送出することが要求される。」 また、図4には以下の記載がある。 「 [図:0001398234000006.jpg] 」 (イ)上記記載から、以下のことがいえる。 (イ-1)ビデオデコーダについて ・【0051】、【0052】、【0072】及び図4から、ビデオ復号化を実現可能なビデオデコーダ400は、スーパーマクロブロックの拡張をもつデコーダコントロール405と、スーパーマクロブロックの拡張をもつエントロコピーデコーダ445と、スーパーマクロブロックの拡張をもつ逆変換器及び逆量子化器450と、動き補償器470を有し、入力ビットストリームを入力として、出力画像を得るものであり、エントロピーデコーダは、スーパーマクロブロックに関連するシンタックスをデコードするように拡張されており、デコーダコントローラは、スーパーマクロブロックの使用に関連する判定ステップを追加するように拡張されていること、スーパーブロックとスーパーマクロブロックは同じ事項を示すこと、がいえる。 また、【0043】、【0051】、及びビデオエンコーダの出力が送信されてビデオデコーダに送信されてビデオデコーダの入力となることは技術的前提であることを踏まえると、上記の入力ビットストリームは、入力画像301をビデオ符号化を実現可能なビデオエンコーダ300の入力として、出力されたビットストリームを受信したであるといえる。 (イー2)画像ブロックおよびスーパー(マクロ)ブロックについて ・【0056】から、ビデオフレームの適応的なブロックの分割を使用するため、所与のサイズのブロックの一様なグリッドでフレームを分割し、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割されていること、がいえる。 ・【0057】、【0058】から、実施の形態によれば、ブロックを16×16ブロックサイズ(マクロブロック)より大きいブロックを示すスーパーマクロブロックに適応的にマージ又はグループ化することであって、係る大きなブロックサイズは、ブロックの階層的な結合を形成することで作成されること、がいえる。 (イー3)スーパー(マクロ)ブロックのシンタックス情報について ・【0035】、【0063】、【0068】から、スーパー(マクロ)ブロックを生成するため、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするためのサイド情報、すなわち、シンタックス情報がストリームに導入され、選択されたブロックに挿入されていること、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができるようにするものであり、super_block_enableフラグがスーパーマクロブロックのモードの使用を示す場合、コードワードは、32×32、32×16又は16×32のうちのどのモードが使用されるかを示すために送出されること、がいえる。 (イー4)スーパー(マクロ)ブロックが使用されている場合の符号化されたデータについて 【0069】、【0076】、【0077】から、スーパーマクロブロックが使用されているとき、左上のマクロブロックが通常の通りに符号化され、マクロブロックの残りについて、更なる情報なしに適切な左上のマクロブロックから導出される動き情報を使用して、残余の動き補償誤差が符号化されており、32×32のスーパーマクロブロックを形成する4つのマクロブロックのグループについて、相対的な座標(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)を仮定すると、(1,1)のマクロブロックにおけるダイレクトモードは、暗黙的に符号化されており、32×32のスーパーブロックが符号化されるか又は16×32のスーパーブロックが符号化されているかに依存して動きが導出されること、がいえる。 (イー5)これらの記載によれば、甲第2号証には、以下の発明が記載されている(以下、「甲2発明」という。記号は合議体が付した。以下、構成aa1~bb2等という。) aa1 ビデオ復号化を実現可能なビデオデコーダ400において、ビデオデコーダ400は、スーパーマクロブロックの拡張をもつデコーダコントローラ405と、スーパーマクロブロックの拡張をもつエントロコピーデコーダ445と、スーパーマクロブロックの拡張をもつ逆変換器及び逆量子化器450と、動き補償器470を有し、入力画像301をビデオ符号化を実現可能なビデオエンコーダ300の入力として、出力されたビットストリームを受信し、入力ビットストリームとして入力し、出力画像を得るものであり、エントロピーデコーダは、スーパーマクロブロックに関連するシンタックスをデコードするように拡張されており、デコーダコントローラは、スーパーマクロブロックの使用に関連する判定ステップを追加するように拡張されており、 aa2 ビデオフレームの適応的なブロックの分割を使用するため、所与のサイズのブロックの一様なグリッドでフレームを分割し、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割されており、 aa3 ブロックを16×16ブロックサイズ(マクロブロック)より大きいブロックを示すスーパーマクロブロックに適応的にマージ又はグループ化することであって、係る大きなブロックサイズは、ブロックの階層的な結合を形成することで作成され、 aa4 スーパーマクロブロックを生成するために、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするためのサイド情報、すなわち、シンタックス情報が、符号化されたストリームに導入され、選択されたブロックに挿入されており、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、選択されたブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができ、 bb1 super_block_enableフラグがスーパーマクロブロックのモードの使用を示す場合、コードワードは、32×32、32×16又は16×32のうちのどのモードが使用されるかを示すために送出され、スーパーマクロブロックが使用されているとき、左上のマクロブロックが通常の通りに符号化され、マクロブロックの残りについて、更なる情報なしに適切な左上のマクロブロックから導出される動き情報を使用して、残余の動き補償誤差が符号化されており、 bb2 32×32のスーパーマクロブロックを形成する4つのマクロブロックのグループについて、相対的な座標(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)を仮定すると、(1,1)のマクロブロックにおけるダイレクトモードは、暗黙的に符号化されており、32×32のスーパーマクロブロックが符号化されるか又は16×32のスーパーマクロブロックが符号化されるかに依存して動きが導出されること、 aa1 を行うデコーダ400。 イ 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)構成A1~C1について 構成aa1、aa2から、入力画像301を符号化して出力したビットストリームを受信して入力し、出力画像を得るビデオデコーダ400において、入力画像であるビデオフレームは所与のサイズのブロックの一様なグリッドでフレームを分割し、それぞれのブロックをより小さなブロックに更に分割されていることから、当該ビデオデコーダ400は、ビットストリームを元にフレームを一様のグリッドで分割したブロックや、このブロックを更に分割したブロックを復号するものであって、本件訂正発明1の構成A1の「データストリームにエンコードされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化するデコーダ」に相当し、かつ構成C1の「現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つ」をデコードするものといえる。 次に、構成aa3を踏まえた構成aa4から、ブロックを階層的に結合することで、大きいブロックであるスーパーマクロブロックにマージするために、どのブロックが互いに符号化されているかをデコーダが理解するのを可能にするためのサイド情報であるシンタックス情報が、符号化されたストリームに導入され、選択されたブロックに挿入されていることがいえる。 そして、この「シンタックス情報」は構成B1の「データストリーム」の「情報標本の配列内の現在復号化されている領域に関しての結合の構文要素」であり、デコーダがこの「シンタックス情報」の内容を理解するためには、ストリーム中の「シンタックス情報」を抽出する構成を備える必要があるといえ、この抽出する構成が本件訂正発明1の構成B1の「抽出部」に相当する。 (イ)構成D1~F1について また、構成aa3を踏まえた構成aa4から、上記「シンタックス情報」によって、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、あるブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができるが、これは本件訂正発明1の構成D1の「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」するといえる。 (イ)構成D1~F1について また、構成aa3を踏まえた構成aa4から、上記「シンタックス情報」によって、デコーダは、後にデコードされることとなる幾つかの隣接するブロックが、あるブロックからデコードされた情報の一部又は全部を引き継ぐことを理解することができるが、これは本件訂正発明1の構成D1の「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」するといえる。 ここで、構成bb1から、左上のマクロブロックの動き情報を残りのマクロブロックが更なる情報無しに使用する、すなわちそのまま使用することがいえる。 そして、この左上のマクロブロックを示す情報が、本件訂正発明1の構成D1において、「1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つのパラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」した場合、「現在復号化されている領域」に関して「再構築される」のに用いられる「パラメータ」と関連付けられた「領域を識別する」情報に対応する。 次に、左上のマクロブロックを特定することが、本件訂正発明1の構成E1の「前記現在復号化されている領域に関して」上記のパラメータと関連付けられた「領域を識別する」ことに対応する。 また、上記の左上のマクロブロックを示す情報を含む「シンタックス情報」が「再構築されるべきであることを指示する場合」が本件訂正発明の構成F1に対応するといえる。 一方、構成bb2から、32×32のスーパーマクロブロックを形成する4つのマクロブロックにおける右下のマクロブロックである相対的な座標(1、1)、すなわち右下、のマクロブロックは、32×32のスーパーマクロブロックと16×32のスーパーマクロブロックのどちらが符号化されるかに依存して動きが導出されることが示されている。 そうすると、「現在復号化されている領域」が「再構築される」のに利用される情報として、32×32のスーパーマクロブロックの場合は座標(0、0)(すなわち左上)のブロック、16×32のスーパーマクロブロックの場合は座標(1、0)(すなわち右隣)が関連しており、これが本件訂正発明1の構成D1の「選択された候補領域」と類似する概念であることは読み取れるものの、これらの「領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築される」ことは導き出せない。 (ウ)構成J1について 甲2発明の構成a4の「デコーダ400」は、本件訂正発明1の構成J1の「現在復号化されている領域を再構築するように構成されている再構築部」と同様の構成を備えているといえる。 (エ)以上を総合すると、本件訂正発明1と甲2発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 (一致点) A1 データストリームにエンコーディングされた、各々が画像を表す情報標本の配列を復号化するデコーダであって、 B1 前記データストリームから、情報標本の配列内の現在復号化されている領域に関しての結合の構文要素を抽出するように構成される抽出部であって、 C1 ここで、前記現在復号化されている領域は前記情報標本の配列を分割することによって得られた複数の領域のうちの1つであり、 D1’’ 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が所定の領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示し、 E1’’ 前記現在復号化されている領域に関して、所定の領域を識別する B1 抽出部と、 F1’’ 前記結合の構文要素は、前記現在復号化されている領域が領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであると指示した場合、 J1 前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて、前記現在復号化されている領域を再構築するように構成される再構築部と A1 を備える、デコーダ。 (相違点1) 「結合の構文要素」が「前記現在復号化されている領域が」所定の領域に「関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」するものであり、「前記現在復号化されている領域に関して」、所定の「領域を識別する」にあたり、 本件訂正発明1は、当該所定の領域が「選択された候補領域」であるのに対して、甲2発明は左上のマクロブロックとして固定されている点。 (相違点2) 構成F1の「前記現在復号化されている領域が選択された候補領域に関連付けられた1つまたは複数の符号化パラメータ」「に基づいて決定された符号化パラメータに基づいて再構築されるべきであるか否かを指示」する「結合の構文要素」について、 本件訂正発明1は、構成F1の「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定された少なくとも1つの符号化パラメータ」、すなわち、構成G1における「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータ」に関して、構成G1のように「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、」、構成H1のように「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」、構成I1のように「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算」するのに対して 甲2発明は、1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき少なくとも1つの符号化パラメータをコピーまたは計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定するものでもなく、決定がコピーであるか計算であるかによって、コピーまたは計算するものでもない点。 ウ 相違点についての検討及び判断 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 上記「第7 取消理由通知についての当審の判断」の「1 本件訂正発明1について」のイ 相違点についての検討及び判断における(ウ)の相違点2についての検討において示したように、構成F1を踏まえた構成G1に関し、「前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータ」を「コピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定」すること、さらには構成H1、I1に関し、「前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および」「前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算」することは、いずれの甲号証にも示されておらず、さらに周知技術でもない。 したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明と同一の発明ではなく、本件訂正発明1は、当業者であっても、甲2発明及び各甲号証に記載された技術並びに周知技術に基づき容易に発明をすることができたものではない。 また、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明2~6、19、20、本件訂正発明1を復号化する方法の発明として特定した本件訂正発明7、本件訂正発明7を引用する本件訂正発明8~12、21、22、本件訂正発明1を「エンコーダ」という物の発明として特定した本件訂正発明13、本件訂正発明13を引用する本件訂正発明14~18、23についても、上記1と同様の理由により、甲2発明と同一の発明ではなく、また、当業者であっても、甲2発明及び各甲号証に記載された技術並びに周知技術に基づいて容易になし得たものということはできない。 第9 令和5年1月4日に提出された特許異議申立人による意見書についての検討 1 訂正要件を具備しないことについて 特許異議申立人は令和5年1月4日に意見書を提出し、訂正事項1~3に係る訂正は訂正要件を具備しないとの主張(意見書第2頁下から8行~第15頁第8行、第15頁第11~15行、第25頁第2~8行、第25頁第16~19行)を行っている。 そこで、上記主張について検討する。 上記「第2 訂正の適否についての判断」の3(2)、とりわけ(2-1)のアのc、(2-2)のアのc、(2-3)のアのcのとおり、本件訂正発明1の構成G1、H1、I1における、 「G1 前記選択された候補領域に関連付けられた前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて決定されるべき前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーによって決定すべきか、または計算によって決定すべきかのいずれであるかを決定し、 H1 前記決定がコピーであれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータから前記少なくとも1つの符号化パラメータをコピーし、および I1 前記決定が計算であれば、前記1つまたは複数の符号化パラメータに基づいて前記少なくとも1つの符号化パラメータを計算し、かつ」 という事項並びに本件訂正発明7の構成G7、H7、I7、本件訂正発明13の構成G13、H13、I13は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲ということができる。 なお、特許異議申立人が意見書第13頁下から5行~第14頁7行目において、以下のとおり主張している(下線は合議体が付した。)。 「 なお、「コピー」と「計算」のいずれを行うかの決定は、本件特許の明細書等の記載から自明な事項でもない。以下、その理由について説明する。 上記の段落【0140】の記載によれば、「コピーまたは計算を行うか否か」の決定において肯定的な決定がなされた場合には、「コピー」または「計算」のいずれかが行われると考えられる。その際、「コピー」または「計算」のいずれを行うかについて決定を要するかという、必ずしもそうではない。例えば、用いる方法を「コピー」または「計算」の一方に予め固定しておけば、エンコーダは「コピー」または「計算」のいずれを行うかについて決定を行う必要が無い。したがって、「コピーまたは計算を行うか否か」の決定は、本件特許の明細書等の記載に接した当業者が、当該明細書等に記載されているのと同然であると理解する事項ではない。すなわち、当該決定は本件特許の明細書等の記載から自明な事項ではない。」 しかしながら、上記下線部については本件特許明細書等に根拠があるわけではない。加えて、用いる方法を「コピー」または「計算」の一方に予め固定しておいたのでは、符号化パラメータを「コピー」することで処理が完結するにも関わらず、符号化パラメータの誤差がゼロになるような誤差の「計算」をわざわざ行って、誤差がゼロであるという情報を送信を行うことや、符号化パラメータの誤差があるので「計算」する必要がある場合に「コピー」することが予め定められていたり、コピーすることが予め固定されていたのでは、符号化パラメータの若干の誤差を送れば符号化効率が向上する場合において、本来利用できる処理ができないことになる。 そうすると、本件明細書中に根拠のない、上記下線部のような推測は、無駄な処理を行うことや必要な処理が行われないことに加え、本件特許明細書の【0005】の「レート/歪み率の向上の達成」という目的に反するものであり、本件特許明細書の記載から「用いる方法を「コピー」または「計算」の一方に予め固定しておく」ことは導き出せないといえる。 そして、上記「第2 訂正の適否について」の「3 訂正の適否についての判断」の(2-1)の「ア 訂正事項1の「c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること」等において示したとおり、「コピー」または「計算」のいずれを行うかの決定を行うことは、本件特許明細書等の記載の範囲内の事項であるといえる。 2 取消理由について 特許異議申立人は、仮に本件訂正が訂正要件を具備したとしても、取消理由1を有する旨の主張(意見書第15頁第16行~第25頁第1行、第25頁第9~14行、第25頁第20~23行)を行っている。 しかしながら、上記第7の1のイ及び第7の2のとおり、本件訂正発明1~23は、当業者であっても、甲1発明及び甲2~甲4技術並びに周知技術に基づき容易に発明をすることができたものではない。 。 以上のとおり、上記特許異議申立人の意見は採用できない。 第10 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由1~4及び証拠によっては、本件訂正発明〔1~6、19、20〕、〔7~12、21、22〕、〔13~18、23〕に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明〔1~6、19、20〕、〔7~12、21、22〕、〔13~18、23〕に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700077

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