特許異議申立
2021-700678
自動搬送システム及び自動搬送方法
- 審判番号
- 2021-700678
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-189286外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6812614
- 請求日
- 2021年07月13日
- 審決日
- 2022年05月25日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】大陽日酸株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人 志賀国際特許事務所
- 【異議申立人】宮島 玲子
- 分類
- P1651.536-YAA(B65G) / P1651.537-YAA(B65G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6812614号発明「自動搬送システム及び自動搬送方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6812614号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6について訂正することを認める。
特許第6812614号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6812614号の請求項1~6に係る特許についての出願は、2019年(令和 1年)10月16日の出願であって、令和 2年12月21日にその特許権の設定登録がされ、令和 3年 1月13日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 3年 7月13日 :特許異議申立人宮島玲子(以下、「申立人」 という。)による請求項1~6に係る特許に 対する特許異議の申立て
同年 9月 8日付け:取消理由通知
同年11月10日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求
同年11月26日付け:訂正拒絶理由通知
同年12月27日 :特許権者による意見書の提出
令和 4年 1月28日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年 3月25日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求
(以下、この訂正請求を「本件訂正請求」と いい、この訂正請求による訂正を「本件訂正 」という。)
同年 4月28日 :申立人による意見書の提出
なお、令和 3年11月10日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知する」との発明特定事項を、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6において、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知する」との発明特定事項を、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6において、「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、」との発明特定事項を、「前記搬送用台車が、制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、」に訂正する。
2.一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1から5について、請求項2から5は、それぞれ直接又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1から5に対応する訂正後の請求項〔1~5〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3.本件訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、請求項1における制御装置について「前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」との発明特定事項を直列的に付加するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前の請求項1に係る発明に発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 新規事項追加の有無
願書に添付した明細書の段落【0077】には「シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS121)。シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS122)。一方、シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、シリンダキャビネット3と、ボンベ搬送用台車2-1とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0078】には「管理装置50の通信部51は、シリンダキャビネット3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS123)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS124)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0079】には「ここで、ユーザから、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出する旨の指示を含めた搬出指示を管理装置50に送信する(ステップS125)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬出指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬出指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS126)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬出する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬出指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0090】には「ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS144)。ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS145)。一方、ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、ボンベストッカー30-3と、ボンベ搬送用台車2-1とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0091】には「管理装置50の通信部51は、ボンベストッカー30-3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS146)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS147)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0092】には「ここで、ユーザから、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入する旨の指示を含めた搬入指示を管理装置50に送信する(ステップS148)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬入指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬入指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS149)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬入指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0106】には「ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS221)。ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS222)。一方、ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、ボンベストッカー30と、ボンベ搬送用台車2-2とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0107】には「管理装置50の通信部51は、ボンベストッカー30から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS223)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、ボンベストッカー30からガスボンベBを搬出するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS224)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0108】には「ここで、ユーザから、ボンベストッカー30から搬入対象ガスボンベBfを搬出する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、ボンベストッカー30から搬入対象ガスボンベBfを搬出する旨の指示を含めた搬出指示を管理装置50に送信する(ステップS225)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬出指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬出指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS226)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬出する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬出指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0119】には「シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS244)。シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS245)。一方、ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、シリンダキャビネット3と、ボンベ搬送用台車2-2とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0120】には「管理装置50の通信部51は、シリンダキャビネット3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS246)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、シリンダキャビネット3に搬入対象ガスボンベBfを搬入するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS247)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0121】には「ここで、ユーザから、シリンダキャビネット3に搬入対象ガスボンベBfを搬入する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、シリンダキャビネット3にガスボンベBを搬入する旨の指示を含めた搬入指示を管理装置50に送信する(ステップS248)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬入指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬入指示をボンベ搬送用台車2-2に送信する(ステップS249)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬入指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項6における制御装置について「前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」との発明特定事項を直列的に付加するものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、上記アのとおり、訂正前の請求項6に係る発明に発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 新規事項追加の有無
願書に添付した明細書の段落【0077】には「シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS121)。シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS122)。一方、シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、シリンダキャビネット3と、ボンベ搬送用台車2-1とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0078】には「管理装置50の通信部51は、シリンダキャビネット3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS123)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS124)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0079】には「ここで、ユーザから、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、シリンダキャビネット3から交換対象ガスボンベBeを搬出する旨の指示を含めた搬出指示を管理装置50に送信する(ステップS125)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬出指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬出指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS126)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬出する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬出指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0090】には「ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS144)。ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS145)。一方、ボンベストッカー30-3は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、ボンベストッカー30-3と、ボンベ搬送用台車2-1とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0091】には「管理装置50の通信部51は、ボンベストッカー30-3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS146)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS147)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0092】には「ここで、ユーザから、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入する旨の指示を含めた搬入指示を管理装置50に送信する(ステップS148)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬入指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬入指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS149)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬入指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0106】には「ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS221)。ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS222)。一方、ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、ボンベストッカー30と、ボンベ搬送用台車2-2とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0107】には「管理装置50の通信部51は、ボンベストッカー30から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS223)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、ボンベストッカー30からガスボンベBを搬出するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS224)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0108】には「ここで、ユーザから、ボンベストッカー30から搬入対象ガスボンベBfを搬出する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、ボンベストッカー30から搬入対象ガスボンベBfを搬出する旨の指示を含めた搬出指示を管理装置50に送信する(ステップS225)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬出指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬出指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS226)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬出する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬出指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0119】には「シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続されたことをセンサ等により確認する(ステップS244)。シリンダキャビネット3は、ボンベ搬送用台車2-2と正しく接続された場合には、接続が完了した旨を示す接続完了情報を管理装置50に送信する(ステップS245)。一方、ボンベストッカー30は、ボンベ搬送用台車2-1と正しく接続されていない場合には、接続が完了していない旨を示すエラー情報を管理装置50に送信する。ここでは、シリンダキャビネット3と、ボンベ搬送用台車2-2とが正しく接続されたとする。」と記載されており、段落【0120】には「管理装置50の通信部51は、シリンダキャビネット3から送信された接続完了情報を受信する。通信部51は、受信した接続完了情報を操作端末40に送信する(ステップS246)。操作端末40の通信部41は、管理装置50から送信された接続完了情報を受信する。制御部43は、通信部41によって受信された接続完了情報に基づいて、シリンダキャビネット3に搬入対象ガスボンベBfを搬入するか否かをユーザに問い合わせる(ステップS247)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、接続完了情報が得られたときにユーザに問い合わせを行うことが記載されていると認められる。
また、願書に添付した明細書の段落【0121】には「ここで、ユーザから、シリンダキャビネット3に搬入対象ガスボンベBfを搬入する旨の指示が入力されたとする。この場合、制御部43は、通信部41を制御して、シリンダキャビネット3にガスボンベBを搬入する旨の指示を含めた搬入指示を管理装置50に送信する(ステップS248)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された搬入指示を受信する。その後、通信部51は、受信した搬入指示をボンベ搬送用台車2-2に送信する(ステップS249)。」と記載されているため、管理装置50及び操作端末40は、ユーザから搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された指示を含む搬入指示を搬送用台車に送信することが記載されていると認められる。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3は、請求項6において「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行」うものが、「搬送用台車」であることを明確にするために「前記搬送用台車が、」の記載を追加するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前の請求項6に係る発明に「前記搬送用台車が、」との発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
ウ 新規事項追加の有無
願書に添付した明細書の段落【0083】には「ここで、搬出した交換対象ガスボンベBeの搬入先のボンベストッカー30(例えば、ボンベストッカー30-3)がユーザによって選択されたとする。・・・そして、制御部43は、通信部41を制御して、取得した経路番号を含めた移動指示を管理装置50に送信する(ステップS131)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された移動指示を受信する。その後、通信部51は、受信した移動指示をボンベ搬送用台車2-1に送信する(ステップS132)。」と記載されており、段落【0084】には「走行制御部26は、移動指示と、経路テーブル251とに基づいてボンベ搬送用台車2-1を搬入先のボンベストッカー30-3の位置まで移動させる(ステップS134)。」と記載されている。
また、願書に添付した明細書の段落【0112】には「ここで、搬出した搬入対象ガスボンベBfの搬入先のシリンダキャビネット3がユーザによって選択されたとする。・・・そして、制御部43は、通信部41を制御して、取得した経路番号を含めた移動指示を管理装置50に送信する(ステップS231)。管理装置50の通信部51は、操作端末40から送信された移動指示を受信する。その後、通信部51は、受信した移動指示をボンベ搬送用台車2-2に送信する(ステップS232)。」と記載されており、段落【0113】には「走行制御部26は、移動指示と、経路テーブル251とに基づいてボンベ搬送用台車2-2を搬入先のシリンダキャビネット3の位置まで移動させる(ステップS234)。」と記載されているため、搬送用台車が、制御指示に従って、ガスボンベを搬送することが記載されていていると認められる。
願書に添付した明細書の段落【0025】には「本実施形態のボンベ搬送用台車2は、図3~図9に示すように、ガスボンベBの搬送を自走で行う搬送車両10と、ガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行う搬出入用ロボット20とを備えている。」と記載されており、段落【0036】には「搬出入用ロボット20は、搬送車両10の上部に設置されて、載置部11に対するガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行うものである。具体的に、この搬出入用ロボット20は、ガスボンベBを保持する保持機構21と、保持機構21により保持されたガスボンベBを車体12の前後方向にスライド駆動するスライド駆動機構22とを有している。」(下線は当審で付した。以下同様。)と記載されている。
また、段落【0041】には「搬出入用ロボット20では、図10に示すように、起立した状態のガスボンベBを保持機構21により保持しながら、スライド駆動機構22により車体12の前後方向にスライド駆動する。これにより、載置部11に設けられたスライド支持機構15を介してガスボンベBをスライドさせながら、この載置部11とシリンダキャビネット3側のフリーローラ4との間で、ガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行うことが可能となっている。」と記載されているため、搬送用台車が、ガスボンベを載置する載置部とガスボンベの搬出入先との間で、ガスボンベをスライドさせながら、ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行うことが記載されていると認められる。
さらに、段落【0080】には「ボンベ搬送用台車2-1のアンテナ16dは、管理装置50から送信された搬出指示を受信する。通信制御部241は、受信された指示が搬出に関する情報であるため、搬出指示を搬出入制御部242に出力する。搬出入制御部242は、保持機構21及びスライド駆動機構22を制御して、交換対象ガスボンベBeを搬出する(ステップS127)。」と記載されており、段落【0093】には「ボンベ搬送用台車2-1のアンテナ16dは、管理装置50から送信された搬入指示を受信する。通信制御部241は、受信された搬入指示が搬入に関する情報であるため、搬入指示を搬出入制御部242に出力する。搬出入制御部242は、保持機構21及びスライド駆動機構22を制御して、ボンベストッカー30-3に交換対象ガスボンベBeを搬入する(ステップS150)。」と記載されている。
また、段落【0109】には「ボンベ搬送用台車2-2のアンテナ16dは、管理装置50から送信された搬出指示を受信する。通信制御部241は、受信された搬出指示が搬出に関する情報であるため、搬出指示を搬出入制御部242に出力する。搬出入制御部242は、保持機構21及びスライド駆動機構22を制御して、ボンベストッカー30から搬入対象ガスボンベBfを搬出する(ステップS227)。」と記載されており、段落【0122】には「ボンベ搬送用台車2-2のアンテナ16dは、管理装置50から送信された搬入指示を受信する。通信制御部241は、受信された搬入指示が搬入に関する情報であるため、搬入指示を搬出入制御部242に出力する。搬出入制御部242は、保持機構21及びスライド駆動機構22を制御して、シリンダキャビネット3に搬入対象ガスボンベBfを搬入する(ステップS250)。」と記載されているため、搬送用台車が、ガスボンベを載置する載置部とガスボンベの搬出入先との間で、ガスボンベをスライドさせながら、ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行う際には、制御指示に従っていると認められる。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
4.本件訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、訂正事項1ないし3に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6について訂正することを認める。
第3 本件訂正後の発明
本件訂正後の請求項1ないし6に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ガスボンベを搬送、搬出及び搬入する搬送用台車の動作を制御する制御装置と、
使用中又は使用される前記ガスボンベを格納するシリンダキャビネットと、
残量が閾値未満のガスボンベ及びガスが充填されているガスボンベを格納するボンベストッカーと、
前記制御装置の制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行う搬送用台車と、
を備え、
前記制御装置と、前記シリンダキャビネットと、前記ボンベストッカーと、前記搬送用台車とが通信可能に接続され、
前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、
前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する自動搬送システム。
【請求項2】
前記搬送用台車は、前記ガスボンベを搬送し、
前記搬送用台車は、前記シリンダキャビネットとの間で前記ガスボンベの搬出及び搬入を行う、請求項1に記載の自動搬送システム。
【請求項3】
前記ボンベストッカーは、残量が閾値未満のガスボンベ及びガスが充填されているガスボンベをガス種に応じて区別して格納し、
前記搬送用台車は、前記制御装置の指示に応じて、前記シリンダキャビネットから前記残量が閾値未満のガスボンベを搬出して前記ボンベストッカーに搬入し、前記ガスが充填されているガスボンベを前記ボンベストッカーから搬出して前記シリンダキャビネットに搬入する、請求項2に記載の自動搬送システム。
【請求項4】
前記搬送用台車は、自装置の現在位置から目的地までの走行経路の情報を複数記憶し、
前記制御装置は、ユーザによって選択された目的地までの経路を識別する識別情報を前記搬送用台車に送信し、
前記搬送用台車は、前記識別情報で識別される走行経路の情報に基づいて前記目的地まで走行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動搬送システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記搬送、搬出及び搬入の実行可否をユーザに問い合わせ、前記ユーザから実行すべき旨の指示がなされた場合に前記搬送用台車に対して前記搬送、搬出及び搬入のいずれかを実行する指示を送信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動搬送システム。
【請求項6】
ガスボンベを搬送、搬出及び搬入する搬送用台車の動作を制御し、
前記搬送用台車が、制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、
前記搬送用台車の動作を制御する制御装置と、使用中又は使用される前記ガスボンベを格納するシリンダキャビネットと、残量が閾値未満のガスボンベ及びガスが充填されているガスボンベを格納するボンベストッカーと、前記搬送用台車とが通信可能に接続され、
前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、
前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する自動搬送方法。」
第4 取消理由の概要
当審が令和4年 1月28日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告:以下、単に「決定の予告」という。)の概要は、次のとおりである。
理由1.(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第5 当審の判断
1.理由1(明確性要件)について
(1)本件訂正により請求項6は、「前記搬送用台車が、制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、」とされた。
そして、本件訂正後の請求項6は、「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送」する主体が「搬送用台車」であることが特定され、また、同様に「制御指示に従って、」「前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を行」う主体が「搬送用台車」であることが特定されているから、請求項6に係る発明は、不明確なものとはいえない。
(2)本件訂正により請求項1は、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」こととされた。
そして、本件訂正後の請求項1は、「前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」ことが記載され、検出結果と制御指示との技術的な関連が特定されるものとなっており、「検出結果を前記制御装置に通知」することの技術的意味を当業者が理解できるものとなっているから、請求項1に係る発明は、不明確なものとはいえない。
また、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし5に係る発明についても同様に不明確とはいえない。
また、本件訂正後の請求項6についても、「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」こととされたから、請求項1に係る発明と同様の理由により、請求項6に係る発明は、不明確とはいえない。
よって、請求項1ないし6に係る発明は、不明確とはいえない。
2.決定の予告において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第36条第4項第1号について
申立人は、特許異議申立書において、請求項1には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知する」と記載されており、請求項6には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知する」と記載されているところ、発明の詳細な説明には、どのようなセンサがどこに設置されるのかが記載されておらず、請求項1~6に係る発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない旨を主張する。
しかしながら、対象物同士の接続を検知する手段としては、例えば、圧力センサ等の機械的なもの、導通を検知する電気的なもの等、種々なものが慣用されており、センサを取り付ける場所についても、センサの種別により適宜定まるものであることが、当業者にとって技術常識であると認められる。
そうすると、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に、センサの具体的手段が記載されていないとしても、上記技術常識を参酌すれば、請求項1及び6に係る発明を当業者が実施することができないとまではいえない。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たす。
(2)特許法第36条第6項第1号(請求項1~5)について
申立人は、特許異議申立書において、請求項1には「前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行う搬送用台車」と記載されているところ、発明の詳細な説明を参照すると、ユーザが「搬出指示」や「接続指示」を出す必要があり、従業員がシリンダキャビネットの扉を開放する作業やガスボンベのチューブ類を取り外す作業が必要であり、人手を要するのであるから、ガスボンベの搬出及び搬入が自動で行われているとはいえないため、請求項1~5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない旨を主張する。
ここで、請求項1には「前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行う搬送用台車」と記載されているのであるから、「搬送用台車」が「自動で行う」のは、「載置部」と「搬出入先」との間で「ガスボンベをスライドさせながら」行う工程であると認められる。
そして、発明の詳細な説明の段落【0025】には「本実施形態のボンベ搬送用台車2は、図3~図9に示すように、ガスボンベBの搬送を自走で行う搬送車両10と、ガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行う搬出入用ロボット20とを備えている。」と記載されており、段落【0036】には「搬出入用ロボット20は、搬送車両10の上部に設置されて、載置部11に対するガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行うものである。具体的に、この搬出入用ロボット20は、ガスボンベBを保持する保持機構21と、保持機構21により保持されたガスボンベBを車体12の前後方向にスライド駆動するスライド駆動機構22とを有している。」(下線は当審で付した。以下同様。)と記載されており、段落【0041】には「搬出入用ロボット20では、図10に示すように、起立した状態のガスボンベBを保持機構21により保持しながら、スライド駆動機構22により車体12の前後方向にスライド駆動する。これにより、載置部11に設けられたスライド支持機構15を介してガスボンベBをスライドさせながら、この載置部11とシリンダキャビネット3側のフリーローラ4との間で、ガスボンベBの搬出及び搬入を自動で行うことが可能となっている。」と記載されているため、発明の詳細な説明には、搬送用台車が、ガスボンベを載置する載置部とガスボンベの搬出入先との間で、搬出入用ロボット20によりガスボンベをスライドさせながら、ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行うことが記載されていると認められる。
したがって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。
(3)特許法第36条第6項第1号(請求項6)について
申立人は、特許異議申立書において、請求項6には「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、」と記載されているところ、発明の詳細な説明には、「制御装置」が「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行」うことは記載されていないため、請求項6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない旨を主張する。
また、仮に、「搬送用台車」が「制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行」う旨の訂正がなされても、発明の詳細な説明を参照すると、ユーザが「搬出指示」や「接続指示」を出す必要があり、従業員がシリンダキャビネットの扉を開放する作業やガスボンベのチューブ類を取り外す作業が必要であり、人手を要するのであるから、ガスボンベの搬出及び搬入が自動で行われているとはいえないため、請求項6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない旨を主張している。
しかしながら、本件訂正により、「前記搬送用台車が、制御指示に従って、前記ガスボンベを搬送し、前記ガスボンベを載置する載置部と前記ガスボンベの搬出入先との間で、前記ガスボンベをスライドさせながら、前記ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行い、」と訂正され、上記(2)に記載したように、発明の詳細な説明には、搬送用台車が、ガスボンベを載置する載置部とガスボンベの搬出入先との間で、ガスボンベをスライドさせながら、ガスボンベの搬出及び搬入を自動で行うことが記載されている。
したがって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。
3.申立人の意見について
申立人は、令和 4年 3月25日に意見書を提出した上で、当該意見書において以下のア、イように主張している。
ア 特許法第36条第4項第1号について
請求項1には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、」と記載されており、請求項6には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、」と記載されているところ、発明の詳細な説明には、どのようなセンサがどこに設置されるのかが記載されておらず、請求項1及び6に係る発明を当業者が実施することができない。
よって、本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
(意見書第1頁第10行~第3頁第20行)
イ 特許法第36条第6項第1号及び第2号について
請求項1には「前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」と記載されており、請求項6には「前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」と記載されている。
他方で、発明の詳細な説明の段落【0077】~【0078】、【0090】~【0091】、【0106】~【0107】及び【0119】~【0120】を参照すると、「検出結果」には、「接続完了情報」と「エラー情報」があり、このうち制御部がユーザに問い合わせるのは、制御部が「接続完了情報」を得た場合である。
これに対し、請求項1及び6においては、「検出結果」が「接続完了情報」を意味するのか「エラー情報」を意味するのかが記載されていないため、不明確である。
また、請求項1及び6においては、制御装置がエラー情報を得た場合にも制御装置がユーザに問い合わせを行うことが含まれるが、このことは発明の詳細な説明に記載されていない。
さらに、請求項1及び6においては、制御装置がユーザに対して何を問い合わせるのかが記載されておらず、不明確である。
よって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
(意見書第3頁第21行~第5頁第25行)
ウ 上記申立人の主張について検討する。
(ア)特許法第36条第4項第1号について
上記2.(1)に記載したように、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たす。
よって、上記申立人の主張を採用することはできない。
(イ)特許法第36条第6項第1号及び第2号について
請求項1には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーは、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、」と記載され、請求項6には「前記シリンダキャビネット及び前記ボンベストッカーが、前記搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出し、検出結果を前記制御装置に通知し、」と記載されている。そして、請求項1及び6は、さらに「搬送用台車と接続されたことをセンサにより検出」することが記載されているのであるから、請求項1及び6に係る「検出結果」は「接続完了情報」を意味すると認められる。
したがって、請求項1及び6に係る「検出結果」に「エラー情報」が含まれるとする申立人の主張は、採用することはできない。
また、請求項1には「前記制御装置は、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」と記載され、請求項6には「前記制御装置が、前記シリンダキャビネット又は前記ボンベストッカーから通知された前記検出結果が得られたときにユーザに問い合わせを行い、前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力された場合に、入力された前記指示を含む前記制御指示を前記搬送用台車に送信する」と記載されている。そして、請求項1及び6は、さらに「前記制御装置が」「ユーザに問い合わせを行い」、「前記ユーザから前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示が入力され」ることが記載されているのであるから、制御装置は、ユーザに対して「前記ガスボンベを搬出する旨の指示又は前記ガスボンベを搬入する旨の指示」について問い合わせていると認められる。
したがって、制御装置がユーザに対して問い合わせている内容は、明確である。
よって、上記申立人の主張は、採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1~6に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たし、発明の詳細な説明の記載が同法同条第4項第1号に規定する要件を満たすから同法第113条第4号に該当しないので、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700678