特許異議申立
2021-700565
情報処理装置及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2021-700565
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-057841
- 登録番号
- 6800361
- 請求日
- 2021年06月14日
- 審決日
- 2021年12月22日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
- 【権利者代理人】名古屋国際特許業務法人
- 【異議申立人】佐藤 義光
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 正一
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 川崎 優
- 分類
- P1651.113-YAA(G06Q) / P1651.121-YAA(G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6800361号発明「情報処理装置及びコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6800361号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5-11〕、14について訂正することを認める。
特許第6800361号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6800361号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、令和2年3月27日に出願され、令和2年11月26日にその特許権の設定登録がされ、令和2年12月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和3年6月14日に特許異議申立人 佐藤義光により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年9月27日(起案日)(発送日は令和3年10月4日)に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和3年11月24日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行った。
第2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断
1 一群の請求項5~11に係る訂正
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5に、「前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである」と記載されているのを、「前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータであり、シミュレーションによって生成されたデータである」に訂正する。(請求項5の記載を引用する請求項8~11も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に、「請求項5に記載の情報処理装置であって、前記コンピュータに、前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理を更に実行させる情報処理装置。」と記載されているのを、「コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである、補正取得処理と、前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理と、を実行させる情報処理装置。」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7~11も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7に、「請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の情報処理装置」と記載されているのを、「請求項4又は請求項6に記載の情報処理装置」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8~11も同様に訂正する。)
(2)一群の請求項、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 一群の請求項
訂正前の請求項5~11について、請求項6~11はそれぞれ請求項5を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項5~11に対応する訂正後の請求項5~11は一群の請求項である。
イ 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項7の記載、及び、明細書の段落【0012】の「本開示の一態様では、補正用データは、シミュレーションによって生成されたデータであってもよい」との記載に基づいて、請求項5(及び8~11)の「補正用データ」を、「シミュレーションによって生成されたデータである」と限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前に請求項5の記載を引用するものであった請求項6(及び7~11)の記載を、請求項5の記載を引用しない独立形式の記載とする訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
エ 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前に請求項4から請求項6の記載を引用するものであった請求項7(及び8~11)の記載を、請求項4又は請求項6の記載を引用するものとする訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2 請求項14に係る訂正
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項14に、「前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである」と記載されているのを、「前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータであり、シミュレーションによって生成されたデータである」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項7の記載、及び、明細書の段落【0012】の「本開示の一態様では、補正用データは、シミュレーションによって生成されたデータであってもよい」との記載に基づいて、請求項14の「補正用データ」を、「シミュレーションによって生成されたデータである」と限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5~11、14について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~14に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明14」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、記号A~Eは、当審により付したものである。
【請求項1】
コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とを掛け合わせることで、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させる情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、前記コンピュータに、
前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理を更に実行させる情報処理装置。
【請求項3】
コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
前記第1の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、及び/又は、前記第2の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、に欠損データが含まれる場合に、前記欠損データを補完する補完処理と、
前記第1の接触度合い分布データ及び前記第2の接触度合い分布データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させる情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の情報処理装置であって、前記コンピュータに、
補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである、補正取得処理を更に実行させ、
前記クロス接触算出処理は、前記補正用データを用いて前記クロス接触データを算出する、情報処理装置。
【請求項5】
A コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
B 第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
C 前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
D 補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータであり、シミュレーションによって生成されたデータである、補正取得処理と、
E 前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
A を実行させる情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである、補正取得処理と、
前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理と、
を実行させる情報処理装置。
【請求項7】
請求項4又は請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記補正用データは、シミュレーションによって生成されたデータである、情報処理装置。
【請求項8】
請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記補正用データは、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである、情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の情報処理装置であって、前記コンピュータに、
前記クロス接触算出処理によって算出された前記クロス接触データを、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を成分とする行列形式で出力する行列出力処理を更に実行させる情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記第1の接触度合い分布データは、前記第1のコンテンツに関する接触回数別のユーザの分布を示すデータであり、
前記第2の接触度合い分布データは、前記第2のコンテンツに関する接触回数別のユーザの分布に関するデータであり、
前記クロス接触データは、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触回数別のユーザの分布を示すデータある、情報処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記第1のコンテンツは、テレビコンテンツであり、
前記第2のコンテンツは、デジタルコンテンツである、情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とを掛け合わせることで、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
前記第1の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、及び/又は、前記第2の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、に欠損データが含まれる場合に、前記欠損データを補完する補完処理と、
前記第1の接触度合い分布データ及び前記第2の接触度合い分布データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータであり、シミュレーションによって生成されたデータである、補正取得処理と、
前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
第4 特許異議申立理由について
本件訂正請求による訂正前の請求項1~14に係る特許に対する特許異議申立理由の概要は次のとおりである。
請求項1~14に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:特許第6556971号公報
甲第2号証:株式会社社会情報サービス、統計WEB-BellCurve;ブログ;コラム「統計備忘録」;「独立性の検定-最もポピュラーなカイ二乗検定」、2017年8月13日
https://bellcurve.jp/statistics/blog/14038.html
甲第3号証:唐渡広志、富山大学、統計学 講義;第24回「2つのデータの関係性Part-2」(24-28ページ)、2016年7月8日
http://www3.u-toyama.ac.jp/kkarato/2016/statistics/hhandout/statistics-2016-24-0708.pdf
甲第4号証:株式会社社会情報サービス、統計WEB-BellCurve;ブログ;コラム「統計備忘録」;「欠損値の対処法」、2017年8月15日
https://bellcurve.jp/statistics/blog/14238.html
甲第5号証:若木宏文、広島大学、確率統計基礎講義B「欠損データの統計解析」、「4 欠測値の補完」(64-66ページ)、2013年1月31日
https://home.hiroshima-u.ac.jp/~wakaki/lecture/probstattopicB12/slide.pdf
甲第6号証:株式会社インテージ、インテージ 知るギャラリー;データ活用を知る;アンケート調査の方法とコツ(4)「2.集計・分析の落とし穴」、2019年9月5日
https://www.intage.co.jp/gallery/research-kotsu-4/
甲第7号証:小菅理隆、麻布獣医科大学情報処理センター、「母平均推定の方法と考え方」、獣医化学と統計利用No.2,28-30(1978) 、p.26-28、2010年5月31日
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jve1977/1978/2/1978_2_26/_pdf/-char/ja
第5 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正請求による訂正前の請求項5、8、9、10、11、14に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した取消理由(1)(2)の要旨は、それぞれ、次のとおりである。
(1)請求項5、8、10、11、14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項5、8、10、11、14に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 甲各号証
(1)甲第1号証
甲第1号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付与したものである。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置及びデータ処理方法に係り、特に、各種情報への接触者数の規模を特定することが可能なデータ処理装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビの視聴率及びデジタル広告の接触率をはじめとする各種情報への接触者数の規模を調査することは、既に周知であり、調査方法についても種々の手法が知られている。
【0003】
また、複数種類の情報(例えば、テレビコマーシャル及びデジタル広告)のうち、少なくとも一方の情報に接触した者の数の規模を特定しようとする場合がある。つまり、互いに配信形態が異なる第一情報及び第二情報の各々について、接触者数の規模をP(A)及びP(B)として表すと、和集合であるP(A∪B)を算出する場合がある。このとき、P(A)及びP(B)からP(A∪B)を求める上では、積集合であるP(A∩B)、すなわち、第一情報及び第二情報の両方への接触者数の規模等が必要となる。
【0004】
上記の積集合P(A∩B)を特定する方法としては、例えば、所定のモニタを対象にして複数の項目からなる調査を実施し、各項目の調査結果をモニタ別に示すデータ(いわゆるシングルソースデータ)を取得する方法が考えられる。このようにシングルソースデータからP(A∩B)を特定する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法を利用することが可能である。
【0005】
特許文献1に記載の方法(調査方法)は、厳密には、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模を算出する方法ではないものの、そのような用途にも利用され得る。
【0006】
特許文献1に記載の方法によれば、複数の対象者(第一の調査対象者)の各々を対象として、テレビ放送の視聴状況と生命保険の加入状況とを調査する。また、特許文献1では、複数の対象者(第二の調査対象者)の各々を対象として、時間帯毎のテレビ放送の視聴状況を調査する。この調査で得られたデータからは、例えば、第二の調査対象者の人数(全数)に対する、所定時間帯に所定の放送局にて放送されたテレビ放送を視聴した者の比率(接触率)を求めることができる。ここで、テレビ放送は、第一情報に相当し、接触率は、上述したP(A)に相当する。」
「【0077】
次に、図4を参照しながら、データ処理装置10の構成を機能面から改めて説明することとする。図4は、データ処理装置10が有する機能部を示す図である。
【0078】
データ処理装置10は、図4に示すように、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第二データ取得部23、第二リーチ算出部24、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28(算出部に相当)を有する。これらのうち、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28は、第一コンピュータ11によって構成され、より詳しくは第一コンピュータ11を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現される。また、第二データ取得部23及び第二リーチ算出部24は、第二コンピュータ12によって構成され、より詳しくは第二コンピュータ12を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現される。
【0079】
なお、各機能部の割り振りについては、上記の内容に限定されるものではなく、例えば、第一コンピュータ11が担う機能部の一部(例えば、特定部26及び導出部27等)が第二コンピュータ12に割り振られてもよい。あるいは、第二コンピュータ12が担う機能部の一部(例えば、第二リーチ算出部24等)が第一コンピュータ11に割り振られてもよい。
【0080】
以下、各機能部について個々に説明することとする。
(第一データ取得部)
第一データ取得部21は、第一調査における複数のパネルNの各々からテレビ視聴状況の測定データ、すなわち第一データを取得する。より詳しく説明すると、第一データ取得部21は、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模に関する調査として、第一調査が実施されることで各パネルNから第一データを取得する。なお、第一データ取得部21が第一データを取得する時間間隔(周期)等については、任意に設定することが可能である。
【0081】
(第一リーチ算出部)
第一リーチ算出部22は、第一データ取得部21が取得した各パネルNの第一データを解析することで、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模である第一リーチを算出する。本実施形態において、第一リーチは、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合であり、図2のP(A)に該当する。
【0082】
(第二データ取得部)
第二データ取得部23は、第二調査の実施期間中にデジタル広告等のWebサイトを閲覧した閲覧者Vの識別情報等を示すデータ、すなわち第二データを取得する。より詳しく説明すると、第二データ取得部23は、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模に関する第二調査が実施されることで、当該デジタル広告の閲覧者Vから第二データを取得する。なお、第二データ取得部23は、上記デジタル広告の表示用データに埋め込まれたタグを利用することにより、閲覧者Vの端末に上記デジタル広告が表示されたタイミングで、その閲覧者Vの端末から第二データを取得する。
【0083】
(第二リーチ算出部)
第二リーチ算出部24は、第二データ取得部23が取得した各閲覧者Vの第二データを解析することで、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模である第二リーチを算出する。本実施形態において、第二リーチは、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合であり、図2のP(B)に該当する。
【0084】
(第三データ取得部)
第三データ取得部25は、第三調査において複数の対象者Tの各々から入手した調査データから調査結果を特定し、各対象者Tについての調査結果を示すシングルソースデータ、すなわち第三データを取得する。より詳しく説明すると、第三データ取得部25は、テレビ視聴状況及びWeb利用状況の各々に関する調査として、第三調査が実施されることで、シングルソースデータとしての第三データを取得する。
【0085】
具体的な第三データの取得方法について説明すると、第三データ取得部25は、各対象者Tから取得したテレビ視聴状況の測定データを解析し、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触状況、厳密には当該テレビCMの視聴の有無を対象者T毎に特定する。また、第三データ取得部25は、各対象者Tについて、所定のWebサイトへの到達頻度(具体的には、PVの測定値)を特定する。ここで、所定のWebサイトは、前述したように、商品Xのデジタル広告を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体であり、ポータルサイト、動画サイト及びSNSサイト等が該当する。
【0086】
そして、第三データ取得部25は、上記の特定結果を各対象者Tと関連付けてデータ化することで、図5に示すシングルソースデータを第三データとして取得する。図5は、第三データについての説明図である。なお、図5には、シングルソースデータの一部のみが示されているが、実際には、図5に記載された項目以外の項目についての調査結果、例えば、所定のWebサイトを閲覧した時間(閲覧時間)等も含まれている。
【0087】
(特定部)
特定部26は、第三データ取得部25が取得した第三データに基づいて、複数の対象者Tの各々について、ウェイトと、所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無と、を特定する。ウェイトとは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)に応じて決まる指標であり、対象者T毎に特定される。より詳しく説明すると、ウェイトは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)についての複数の対象者T全員分の総和(つまり、総到達頻度)に対する、各対象者Tの所定のWebサイトへの到達頻度の割合として算出される。
【0088】
ここで、図5に示す第三データから各対象者Tのウェイトを特定するケースを例に挙げて説明する。図5に示す第三データによれば、所定のWebサイトへの総到達頻度が98153である。また、図5に示す第三データでは、識別番号a001の対象者Tの、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)が、2702である。したがって、識別番号a001の対象者Tについてのウェイトは、0.0275(=2702/98153)となる。同様の要領により、識別番号c001の対象者Tについてのウェイトを特定すると、0.0192(=1887/98153)となる。
以上のようにして、特定部26は、すべての対象者Tについてのウェイトを特定する。
【0089】
(導出部)
導出部27は、特定部26が複数の対象者の各々について特定したウェイト及び所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無から、比率を導出する。本実施形態において、比率は、複数の対象者Tのうち、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tの人数に応じた値である。
【0090】
ここで、比率を導出する手順について説明すると、導出部27は、複数の対象者T全員分のウェイトを合算して、その総和(以下、ウェイト総和Sw)を求めた後、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトを合算して、その合計値(以下、ウェイト合計値Gw)を求める。そして、導出部27は、下記の式により比率を求める。
比率(%)=Gw/Sw×100
なお、比率は、上述したように、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトから導出してもよいが、所定のテレビCMに接触したことがない対象者Tのウェイトから導出してもよい。
【0091】
(トータルリーチ算出部)
トータルリーチ算出部28は、第一リーチ算出部22により特定される第一リーチP(A)、第二リーチ算出部24により特定される第二リーチP(B)、及び導出部27によって導出された比率に基づき、トータルリーチP(A∪B)を算出する。
【0092】
具体的に説明すると、トータルリーチ算出部28は、第二リーチP(B)に上記比率を乗じる。トータルリーチ算出部28は、両値の積を、所定のテレビCM(第一情報に該当)及び所定のデジタル広告(第二情報に該当)の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出する。このようにしてP(A∩B)が算出される結果、トータルリーチ算出部28は、その時点で既に特定されている第一リーチ(A)及び第二リーチP(B)に基づいて、トータルリーチP(A∪B)を算出することができる。」
以上、特に下線部の記載によれば、甲第1号証には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、記号a~nは、当審により付したものである。また、【 】内の数は対応する段落番号を示す。
[引用発明]
a データ処理装置10であって、【0077】
b データ処理装置10は、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第二データ取得部23、第二リーチ算出部24、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28(算出部に相当)を有し、【0078】
c これらのうち、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28は、第一コンピュータ11を構成するハードウェア機器と処理実行用プログラムとが協働することで実現され、また、第二データ取得部23及び第二リーチ算出部24は、第二コンピュータ12を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現され、【0078】
d 第一データ取得部21は、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模に関する調査として、第一調査が実施されることで各パネルNから第一データを取得し、【0080】
e 第一リーチ算出部22は、第一データ取得部21が取得した各パネルNの第一データを解析することで、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模である第一リーチを算出し、第一リーチは、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合P(A)であり、【0081】
f 第二データ取得部23は、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模に関する第二調査が実施されることで、当該デジタル広告の閲覧者Vから第二データを取得し、第二データ取得部23は、上記デジタル広告の表示用データに埋め込まれたタグを利用することにより、閲覧者Vの端末に上記デジタル広告が表示されたタイミングで、その閲覧者Vの端末から第二データを取得し、【0082】
g 第二リーチ算出部24は、第二データ取得部23が取得した各閲覧者Vの第二データを解析することで、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模である第二リーチを算出し、第二リーチは、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合P(B)であり、【0083】
h 第三データ取得部25は、テレビ視聴状況及びWeb利用状況の各々に関する調査として、第三調査が実施されることで、シングルソースデータとしての第三データを取得し、【0084】
i 第三データ取得部25は、各対象者Tから取得したテレビ視聴状況の測定データを解析し、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)の視聴の有無を対象者T毎に特定し、また、各対象者Tについて、所定のWebサイトへの到達頻度(具体的には、PVの測定値)を特定し、ここで、所定のWebサイトは、前述したように、商品Xのデジタル広告を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体であり、ポータルサイト、動画サイト及びSNSサイト等が該当し、【0085】
j そして、第三データ取得部25は、上記の特定結果を各対象者Tと関連付けてデータ化することで、図5に示すシングルソースデータを第三データとして取得し、【0086】
【図5】
[図:0001384136000001.jpg]
k 特定部26は、第三データ取得部25が取得した第三データに基づいて、複数の対象者Tの各々について、ウェイトと、所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無と、を特定し、ウェイトとは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)に応じて決まる指標であり、対象者T毎に特定され、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)についての複数の対象者T全員分の総和(つまり、総到達頻度)に対する、各対象者Tの所定のWebサイトへの到達頻度の割合として算出され、【0087】
l 導出部27は、特定部26が複数の対象者の各々について特定したウェイト及び所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無から、比率を導出し、比率は、複数の対象者Tのうち、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tの人数に応じた値であり、【0089】
m 導出部27は、複数の対象者T全員分のウェイトを合算して、その総和(以下、ウェイト総和Sw)を求めた後、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトを合算して、その合計値(以下、ウェイト合計値Gw)を求め、下記の式により比率を求め、
比率(%)=Gw/Sw×100【0090】
n トータルリーチ算出部28は、第二リーチP(B)に上記比率を乗じ、トータルリーチ算出部28は、両値の積を、所定のテレビCM(第一情報に該当)及び所定のデジタル広告(第二情報に該当)の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出し、このようにしてP(A∩B)が算出される結果、トータルリーチ算出部28は、その時点で既に特定されている第一リーチ(A)及び第二リーチP(B)に基づいて、トータルリーチP(A∪B)を算出することができる、【0092】
a データ処理装置10。
(2)甲第2号証
甲第2号証には、概略、2つの事象が独立して発生すると仮定すること、及び、そのように仮定した場合に、両方の事象が同時に発生する期待値(確率分布)をそれぞれの事象単独の期待値を掛け合わせて算出することが記載されている。
(3)甲第3号証
甲第3号証には、概略、2つの事象が独立して発生すると仮定すること、及び、そのように仮定した場合に、両方の事象が同時に発生する期待値(確率分布)をそれぞれの事象単独の期待値を掛け合わせて算出することが記載されている。
(4)甲第4号証
甲第4号証には、概略、統計的な手法等を使用して欠損データを補完することが記載されている。
(5)甲第5号証
甲第5号証には、概略、統計的な手法等を使用して欠損データを補完することが記載されている。
(6)甲第6号証
甲第6号証には、概略、クロス表と同じ形式の分布を示すデータを補正用データとして取得し、クロス表を補正することが記載されている。
(7)甲第7号証
甲第7号証には、次の技術事項が記載されている。
「3.シミュレーションの目的
t分布を利用して,母平均の区間推定をする場合,標本集団から,母集団分布の正規性を仮定しなければならないが,標本集団が母集団より偏りのない標本として抽出されていれば,正規性仮定に際し,それほど厳密な条件は必要としない。これは,t分布を仮定する手法の頑健性よるものである。筆者は,コンピュータ・シミュレーションを行ってこの頑健性の検討を試みた。
4.シミュレーションの方法と結果
図2に示すごとく,母平均5.0・母分散25.0の4種類の分布に従がう乱数列をコンピュータで計算し,それぞれの乱数列により,標本数2・5・10よりなる標本の平均を求めた。さらに,標本平均と母平均の差を標準偏差(不偏分散を標本数で割った平方根)で割って得られる統計量(標本分布が正規分布であれば,t分布となる)とt分布(自由度1,4,9)との比較をした。」(第27頁第13行目-第30行目)
3 当審の判断
(1)取消理由(1)について
ア 本件発明5と引用発明との対比
(ア)本件発明5のAについて
引用発明は、aによれば、「データ処理装置10」であって、b、cによれば、「データ処理装置10は、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第二データ取得部23、第二リーチ算出部24、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28(算出部に相当)を有し、これらのうち、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28は、第一コンピュータ11を構成するハードウェア機器と処理実行用プログラムとが協働することで実現され、また、第二データ取得部23及び第二リーチ算出部24は、第二コンピュータ12を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現され」るものである。
したがって、引用発明は、「コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに複数の処理を実行させる情報処理装置」といえるものであり、この点で本件発明5(Aを参照)と共通するものである。
(イ)本件発明5のBについて
引用発明の「データ処理装置10」が有する「第一データ取得部21」及び「第一リーチ算出部22」が実行する処理は、d、eによれば、「所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模に関する調査として、第一調査が実施されることで各パネルNから第一データを取得し」、「第一データ取得部21が取得した各パネルNの第一データを解析することで、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模である第一リーチを算出し、第一リーチは、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合P(A)であ」るというものである。
ここで、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合P(A)である第一リーチを算出する処理は、P(A)の余事象である、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがない人数の割合(1-P(A))をも同時に算出することと等価であり、この算出する処理は、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合と視聴しなかった者の人数の割合を示すデータを取得する処理といえるから、本件発明5(Bを参照)の「第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理」に相当する(なお、本件発明5における「コンテンツに関する接触度合い」は、本願明細書の段落0075によれば、コンテンツに接触したかしていないかの2区分も包含する概念である。)。
(ウ)本件発明5のCについて
引用発明の「データ処理装置10」が有する「第二データ取得部23」及び「第二リーチ算出部24」が実行する処理は、f、gによれば、「所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模に関する第二調査が実施されることで、当該デジタル広告の閲覧者Vから第二データを取得し、第二データ取得部23は、上記デジタル広告の表示用データに埋め込まれたタグを利用することにより、閲覧者Vの端末に上記デジタル広告が表示されたタイミングで、その閲覧者Vの端末から第二データを取得し」、「第二データ取得部23が取得した各閲覧者Vの第二データを解析することで、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模である第二リーチを算出し、第二リーチは、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合P(B)であ」るというものである。
ここで、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合P(B)である第二リーチを算出する処理は、P(B)の余事象である、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見なかった閲覧者Vの人数の割合(1-P(B))をも同時に算出することと等価であり、この算出する処理は、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合と見なかった閲覧者Vの人数の割合を示すデータを取得する処理といえるから、本件発明5(Cを参照)の「前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理」に相当する。
(エ)本件発明5のDについて
引用発明の「データ処理装置10」が有する「第三データ取得部25」、「特定部26」及び「導出部27」が実行する処理は、h~mによれば、「テレビ視聴状況及びWeb利用状況の各々に関する調査として、第三調査が実施されることで、シングルソースデータとしての第三データを取得し、第三データ取得部25は、各対象者Tから取得したテレビ視聴状況の測定データを解析し、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)の視聴の有無を対象者T毎に特定し、また、各対象者Tについて、所定のWebサイトへの到達頻度(具体的には、PVの測定値)を特定し、ここで、所定のWebサイトは、前述したように、商品Xのデジタル広告を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体であり、ポータルサイト、動画サイト及びSNSサイト等が該当し、そして、第三データ取得部25は、上記の特定結果を各対象者Tと関連付けてデータ化することで、図5に示すシングルソースデータを第三データとして取得し」、「第三データ取得部25が取得した第三データに基づいて、複数の対象者Tの各々について、ウェイトと、所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無と、を特定し、ウェイトとは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)に応じて決まる指標であり、対象者T毎に特定され、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)についての複数の対象者T全員分の総和(つまり、総到達頻度)に対する、各対象者Tの所定のWebサイトへの到達頻度の割合として算出され」、「特定部26が複数の対象者の各々について特定したウェイト及び所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無から、比率を導出し、比率は、複数の対象者Tのうち、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tの人数に応じた値であり、導出部27は、複数の対象者T全員分のウェイトを合算して、その総和(以下、ウェイト総和Sw)を求めた後、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトを合算して、その合計値(以下、ウェイト合計値Gw)を求め、下記の式により比率を求め、比率(%)=Gw/Sw×100」というものである。
すなわち、「第三データ取得部25」が取得する、図5に示す第三データは、識別番号a001~z999で表される複数の対象者TのそれぞれについてのテレビCM視聴の有無、サイト閲覧回数(PV)と、複数の対象者T全員のサイト閲覧回数(PV)の合計値を含み、「特定部26」、「導出部27」が求める比率(%)は、これら第三データの値から、複数の対象者TのうちテレビCM視聴が有る対象者のサイト閲覧回数(PV)の合計値を、複数の対象者T全員のサイト閲覧回数(PV)の合計値で割った比率(%)であるから、所定のテレビCMの視聴の有無と、所定のWebサイトへの到達頻度との積(相関)を反映するデータである。また、nによれば、この比率(%)は、P(B)などの他の値に乗算することにより「P(A∩B)」や「P(A∪B)」を算出する処理に用いるものであるから、「補正用データ」といえるものである。
したがって、引用発明の「データ処理装置10」が有する「第三データ取得部25」、「特定部26」及び「導出部27」が実行する処理は、本件発明5(Dを参照)と「補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである、補正取得処理」といえる点で共通する。
もっとも、「補正用データを取得する補正取得処理」の「補正用データ」が、本件発明5は、「シミュレーションによって生成されたデータ」であるのに対し、引用発明はそうではない点で、本願発明5と引用発明とは相違する。
(オ)本件発明5のEについて
引用発明の「データ処理装置10」が有する「トータルリーチ算出部28」が実行する処理は、nによれば、「第二リーチP(B)に上記比率を乗じ、トータルリーチ算出部28は、両値の積を、所定のテレビCM(第一情報に該当)及び所定のデジタル広告(第二情報に該当)の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出し、このようにしてP(A∩B)が算出される結果、トータルリーチ算出部28は、その時点で既に特定されている第一リーチ(A)及び第二リーチP(B)に基づいて、トータルリーチP(A∪B)を算出する」というものである。
この処理は、「第一リーチ(A)」、「第二リーチP(B)」、及び「比率」に基づいて「P(A∩B)」や「P(A∪B)」を算出する処理であり、ここで「P(A∩B)」は「P(A)」と「P(B)」の積集合であるから、第1のコンテンツ(テレビCM)及び第2のコンテンツ(デジタル広告)の両方に1回以上接触したユーザの数であり、「P(A∪B)」は、和集合であるから、第1のコンテンツ(テレビCM)に1回以上、第2のコンテンツ(デジタル広告)に0回接触したユーザの数と、第1のコンテンツ(テレビCM)に1回、第2のコンテンツ(デジタル広告)に1回以上接触したユーザの数と、第1のコンテンツ(テレビCM)に0回、第2のコンテンツ(デジタル広告)に1回以上接触したユーザの数とを加算した数であるから、引用発明の上記処理は、本件発明5(Eを参照)の「前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理」に相当する。
(カ)一致点、相違点
以上、(ア)~(オ)をまとめると、本件発明5と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
補正用データを取得する補正取得処理であって、前記補正用データは、ユーザの前記第1のコンテンツに対する接触と前記第2のコンテンツに対する接触との間の相関を反映するデータである、補正取得処理と、
前記第1のデータ、前記第2のデータ及び前記補正用データに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させる情報処理装置。
[相違点]
相違点1
「補正用データを取得する補正取得処理」の「補正用データ」が、本件発明5は、「シミュレーションによって生成されたデータ」であるのに対し、引用発明はそうではない点。
イ 判断
本件発明5と引用発明との間には上記相違点1があり、該相違点1が自明といえる理由もないので、請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。また、本件発明5を引用する請求項8、10、11に係る発明、本件発明5の発明のカテゴリーを単にコンピュータプログラムとした本件発明14も同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
(2)取消理由(2)について
ア 対比
取消理由通知のうち本件発明9に対する取消理由(2)は、請求項5を引用する請求項9、及び、請求項5を引用する請求項8を引用する請求項9に対して通知したものであり、これらは請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項である。
したがって、本件発明9と引用発明とを対比すると、両者の間には少なくとも、上述した本件発明5と引用発明との間の相違点1と同じ次の相違点2があるといえる。
[相違点]
相違点2
「補正用データを取得する補正取得処理」の「補正用データ」が、本件発明9は、「シミュレーションによって生成されたデータ」であるのに対し、引用発明はそうではない点。
イ 判断
上記相違点2について検討する。
引用発明における、本件発明9の「補正用データ」に相当するものは、上記「第5 3(1)ア(エ)」で述べたように、「比率(%)」であり、この「比率(%)」は、テレビ視聴状況の測定データや所定のWebサイトへの到達頻度(PVの測定値)から取得した図5の第三データの値から、複数の対象者TのうちテレビCM視聴が有る対象者のサイト閲覧回数(PV)の合計値を、複数の対象者T全員のサイト閲覧回数(PV)の合計値で割って求められるものである。
このように、引用発明の「比率(%)」は、テレビ視聴状況の測定データや所定のWebサイトへの到達頻度(PVの測定値)など実際に測定することにより得られる値から所定の計算により求められるものであって、シミュレーションによっては求められないものであり、本件発明9のような「シミュレーションによって生成されたデータ」とする動機付けとなる事項は、甲第1号証には見当たらない。
また、甲第7号証には、上記技術事項が記載されているが、この技術事項は、乱数により正規分布等に従う乱数列により得た標本によって、t分布を仮定する手法の頑健性の検討を行うものであり、引用発明において、上記のような「比率(%)」を、シミュレーションによって生成されたデータとする動機付けとなるものではない。
したがって、(請求項5を直接的又は間接的に引用する)請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(本件発明1~8、9(請求項5を直接的又は間接的に引用するものを除く)、10~14に対する甲第1号証を主たる証拠とする進歩性欠如)について
1 本件発明1について
(1)対比
上記「第5 3(1)ア」で述べた、本件発明5と引用発明との対比と同様に、本件発明1と引用発明とを対比すると、両者の間には次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
コンピュータを備える情報処理装置であって、前記コンピュータに、
第1のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第1の接触度合い分布データを含む第1のデータを取得する第1データ取得処理と、
前記第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツに関する接触度合い別のユーザの分布を示すデータである第2の接触度合い分布データを含む第2のデータを取得する第2データ取得処理と、
前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出するクロス接触算出処理と、
を実行させる情報処理装置。
[相違点]
相違点3
「クロス接触算出処理」が、本件発明1は、「前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とを掛け合わせることで、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出する」のに対し、引用発明は、「前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とに基づいて、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出する」とはいえるものの、掛け合わせることで算出するものではない点。
(2)判断
引用発明のe、gによれば、引用発明における、「第一リーチ」は、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合P(A)であり、「第二リーチ」は、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合P(B)であり、これらは何れも同じ商品Xについての広告が想定されているものである。
また、引用発明は、nによれば、「トータルリーチ算出部28は、第二リーチP(B)に上記比率を乗じ、トータルリーチ算出部28は、両値の積を、所定のテレビCM(第一情報に該当)及び所定のデジタル広告(第二情報に該当)の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出」するものであり、この比率とは、上記「(1)ア(エ)本件発明5のDについて」で述べたように、所定のテレビCMの視聴の有無と、所定のWebサイトへの到達頻度との積(相関)を反映するデータであるから、引用発明は、所定のテレビCMへの接触と所定のデジタル広告への接触に相関があることを用いて、P(A∩B)を算出するものであるといえる。
一方、上記相違点3に係る本件発明1の「前記第1の接触度合い分布データが示す値と前記第2の接触度合い分布データが示す値とを掛け合わせることで、前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツの両方に関する接触度合い別のユーザの分布を示すクロス接触データを算出する」との特定事項は、「第1の接触度合い分布データが示す値」と「前記第2の接触度合い分布データが示す値」とが独立である(相関がない)ことを前提としたクロス接触データの算出処理である。
したがって、所定のテレビCMへの接触と所定のデジタル広告への接触に相関があることを用いて、P(A∩B)を算出するものである引用発明を出発点として、両者に相関がないことを前提とした、掛け合わせることで算出する構成を採用することが容易に想到し得るといえず、そのことには阻害要因があるといえる。
よって、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
2 本件発明2について
(1)対比
本件発明2と引用発明とを対比すると、両者の間には、上記本件発明1と同じ一致点、相違点3に加えさらに次の相違点4があるといえる。
[相違点]
相違点4
本件発明2は、「前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理を更に実行させる」のに対し、引用発明は、そのような補完処理を実行しない点。
(2)判断
引用発明における、本件発明の「第1データ」、「第2データ」に相当するものは、上記「第5 3(1)ア(イ)(ウ)」で述べたように、「P(A)と、その余事象(1-P(A))」、「P(B)と、その余事象(1-P(B))」である。
これらのデータは、何れも、2つの値からなるものであり、2つの値を加算すると1になるという制約があるから、実質的には1つの値である。
したがって、このようなデータに欠損がある場合に補完処理を行うことは全く想定することはできないから、引用発明において、上記データに欠損が含まれている場合に該欠損データを補完する補完処理を更に実行させる余地はなく、そのことを当業者が容易に想到し得るということはできない。
よって、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3 本件発明3について
本件発明3は、本件発明2と同様の「前記第1の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、及び/又は、前記第2の接触度合い分布データが示す前記接触度合い別のユーザの分布を示す値、に欠損データが含まれる場合に、前記欠損データを補完する補完処理」を実行させる発明特定事項を含む発明であるから、上記本件発明2と同様の判断により、請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
4 本件発明4について
本件発明4は、請求項1から請求項3を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記1~3と同様の判断により、請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
5 本件発明5について
本件発明5は、上記「第5 3(2)」で検討した(請求項5を直接的又は間接的に引用する)本件発明9と同様の「前記補正用データは、シミュレーションによって生成されたデータである」との発明特定事項を含む発明であるから、上記本件発明9と同様の判断により、請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
6 本件発明6について
本件発明6は、本件発明2と同様の「前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一方に欠損データが含まれている場合に、前記欠損データを補完する補完処理」を実行させる発明特定事項を含む発明であるから、上記本件発明2と同様の判断により、請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
7 本件発明7について
本件発明7は、請求項4又は請求項6を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記4、6と同様の判断により、請求項7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
8 本件発明8について
本件発明8は、請求項4から請求項7を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記4から7と同様の判断により、請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
9 本件発明9について
本件発明9(請求項5を直接的又は間接的に引用するものを除く)は、請求項1から請求項8を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記1から8と同様の判断により、請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
10 本件発明10について
本件発明10は、請求項1から請求項9を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記1から9と同様の判断により、請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
11 本件発明11について
本件発明11は、請求項1から請求項10を引用するものであって、引用する請求項の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加するものである。
したがって、上記1から10と同様の判断により、請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
12 本件発明12について
本件発明12は、情報処理装置に係る本件発明1の発明のカテゴリーを、単にコンピュータプログラムとして特定したものである。
したがって、上記1と同様の判断により、請求項12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
13 本件発明13について
本件発明13は、情報処理装置に係る本件発明3の発明のカテゴリーを、単にコンピュータプログラムとして特定したものである。
したがって、上記3と同様の判断により、請求項13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
14 本件発明14について
本件発明14は、情報処理装置に係る本件発明5の発明のカテゴリーを、単にコンピュータプログラムとして特定したものである。
したがって、上記5と同様の判断により、請求項14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-700565