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特許異議申立

2025-700399

電力管理システム、電力管理方法、およびプログラム

審判番号
2025-700399
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-212598
登録番号
7564802
請求日
2025年04月09日
審決日
2026年03月23日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】旭化成ホームズ株式会社
  • 【権利者代理人】松沼 泰史
  • 【権利者代理人】飯田 雅人
  • 【権利者代理人】田▲崎▼ 聡
  • 【権利者代理人】宮本 龍
  • 【異議申立人】小山 みつ子
審判長/審判官
  • 審判長 松田 直也
  • 審判官 田川 泰宏
  • 審判官 古川 哲也
分類
P1651.113-YAA(G06Q) / P1651.121-YAA(G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7564802号発明「電力管理システム、電力管理方法、およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7564802号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6、7について訂正することを認める。 特許第7564802号の請求項1、3~6に係る特許を維持する。 特許第7564802号の請求項2、7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7564802号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和3年12月27日に出願され、令和6年10月1日にその特許権の設定登録がされ、同年10月9日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 7年 4月 9日:特許異議申立人 小山 みつ子(以下、「異議申立人」という。)による請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 7年 7月 3日:取消理由通知書(起案日) 令和 7年 9月 4日:訂正請求書及び意見書の提出 令和 7年10月23日:取消理由通知書(決定の予告)(起案日) 令和 7年12月 3日:訂正請求書及び意見書の提出 令和 7年12月22日:手続補正書の提出 令和 8年 1月15日:通知書(訂正請求があった旨の通知)(起案日) なお、異議申立人からは、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答はなかった。 また、令和7年9月4日付けの訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げたものとみなされる。 第2 令和7年12月3日にされた訂正請求について 1 訂正の趣旨 特許第7564802号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。 なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「 蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部を備える第1事業者システム、 を備える電力管理システム。」 と記載されているのを 「 蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部を備える第1事業者システム、及び 前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システムと、 を備える電力管理システム。」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「 前記第2事業者システムは、前記第1事業者システムを管理する第1事業者の施設、または前記第2事業者システムを管理する第2事業者の施設に、前記余剰電力を供給する、請求項2に記載の電力管理システム。」 とあるのを 「 前記第2事業者システムは、前記第1事業者システムを管理する第1事業者の施設、または前記第2事業者システムを管理する第2事業者の施設に、前記余剰電力を供給する、請求項1に記載の電力管理システム。」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「 前記第2事業者システムは、第1の戸建に前記余剰電力を供給し、少なくとも太陽光発電装置を備える第2の戸建から余剰電力を取得する、請求項2または請求項3に記載の電力管理システム。」 とあるのを 「 前記第2事業者システムは、第1の戸建に前記余剰電力を供給し、少なくとも太陽光発電装置を備える第2の戸建から余剰電力を取得する、請求項1または請求項3に記載の電力管理システム。」 に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に 「 前記集合住宅は、停電時に前記蓄電池に蓄電されている電力を前記集合住宅の共用部の施設に供給する制御装置を備える、請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力管理システム。」 とあるのを 「 前記集合住宅は、停電時に前記蓄電池に蓄電されている電力を前記集合住宅の共用部の施設に供給する制御装置を備える、請求項1、請求項3、請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力管理システム。」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「 コンピュータが、蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出するステップと、 コンピュータが、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収するステップと、 コンピュータが、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出するステップと、 コンピュータが、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払うステップと、 を有する電力管理方法。」 とあるのを 「 第1事業者システムのコンピュータが、蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払うステップと、 第2事業者システムのコンピュータが、前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出するステップと、 前記第2事業者システムのコンピュータが、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払うステップと、 前記第2事業者システムのコンピュータが、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収するステップと、 を有する電力管理方法。」 に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7を削除する。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、訂正前の請求項1を引用する請求項であって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 よって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 以下、事案に鑑み、特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か(独立特許要件)については、最後にまとめて判断する。 4 訂正についての当審の判断 4-1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)一群の請求項1~5について ア 訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「電力管理システム」について、本件訂正により、「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システム」(訂正前の請求項1を引用する請求項2の構成)を追加することにより、「電力管理システム」を限定する訂正であるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 そして、訂正事項1は、訂正前の請求項1に訂正前の請求項1を引用する請求項2の構成を追加する訂正であるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項1は、発明特定事項を下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、訂正事項1に連動して訂正前の請求項2を削除する訂正である。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 また、訂正事項2は、訂正事項1に連動して訂正前の請求項2を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、訂正事項1に連動する訂正事項2による請求項2が削除されて請求項2が引用できなくなったことに伴い、請求項3の引用請求項を、本件訂正により、訂正前の「請求項2」から「請求項1」に改める訂正であるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 また、訂正事項3は、訂正事項1、2に連動して、引用関係を明確にする訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でされた訂正であり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、訂正事項1に連動する訂正事項2による請求項2が削除されて請求項2が引用できなくなったことに伴い、請求項4の引用請求項を、本件訂正により、訂正前の「請求項2または請求項3」から「請求項1または請求項3」に改める訂正であるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 また、訂正事項4は、訂正事項1、2に連動して、引用関係を明確にする訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でされた訂正であり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、訂正事項1に連動する訂正事項2による請求項2が削除されて請求項2が引用できなくなったことに伴い、請求項5の引用請求項を、本件訂正により、訂正前の「請求項1から請求項4のうちのいずれか1項」から「請求項1、請求項3、請求項4のうちのいずれか1項」に改める訂正であるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。 また、訂正事項5は、訂正事項1、2に連動して、引用関係を明確にする訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でされた訂正であり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2)請求項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項6の各ステップの動作の主体である「コンピュータ」を、本件訂正により、「第1事業者システムのコンピュータ」とし、本件訂正により、さらに、「第2事業者システムのコンピュータが、前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出するステップと、/前記第2事業者システムのコンピュータが、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払うステップと、/前記第2事業者システムのコンピュータが、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収するステップ」(当審注:「/」は改行を表す。以下、同様。)を追加する訂正であるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 また、訂正事項6は、訂正前の請求項2、本件明細書に、「住宅101は、例えば賃貸の集合住宅であり、例えば太陽光発電システムや蓄電池を有する分散型電源102を備える。」(【0034】)、「第1事業者103は、住宅101での余剰電力を第2事業者108に供給する。」(【0035】)、「第2事業者システム500は、例えば、電力取得部501、電力供給部502、余剰電力取得部503、余剰電力出力部504、取得部505、および精算部506を備える。」(【0069】)、「余剰電力取得部503は、第1事業者システム400と第2の戸建110から余剰電力を取得する。」(【0071】)、「精算部506は、第1事業者103から買い取った電気量に基づいて電気代を算出して、買い取った電気量に基づく買取収入を第1事業者103に支払う。」(【0072】)という記載があるから、訂正事項6は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 また、訂正事項6は、発明特定事項を下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)請求項7について 訂正事項7は、訂正前の請求項7を削除する訂正である。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 また、訂正事項7は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 4-2 独立特許要件について 本件においては、全ての請求項1~7について特許異議の申立てがなされているので、訂正事項1~7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 5 訂正についてのまとめ 上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正要件を満たす。 また、本件訂正は、特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕、6、7について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記のとおり、本件訂正は認められることから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、令和7年12月3日に提出された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。以下、本件特許の請求項1、3~6に係る発明(訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3~6に記載された発明)を、それぞれ「本件発明1」、「本件発明3」~「本件発明6」という。 「【請求項1】 蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部を備える第1事業者システム、及び 前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システムと、 を備える電力管理システム。 【請求項2】 (削 除) 【請求項3】 前記第2事業者システムは、前記第1事業者システムを管理する第1事業者の施設、または前記第2事業者システムを管理する第2事業者の施設に、前記余剰電力を供給する、請求項1に記載の電力管理システム。 【請求項4】 前記第2事業者システムは、第1の戸建に前記余剰電力を供給し、少なくとも太陽光発電装置を備える第2の戸建から余剰電力を取得する、請求項1または請求項3に記載の電力管理システム。 【請求項5】 前記集合住宅は、停電時に前記蓄電池に蓄電されている電力を前記集合住宅の共用部の施設に供給する制御装置を備える、請求項1、請求項3、請求項4のうちのいずれか1項に記載の電力管理システム。 【請求項6】 第1事業者システムのコンピュータが、蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出するステップと、 第1事業者システムのコンピュータが、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払うステップと、 第2事業者システムのコンピュータが、前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出するステップと、 前記第2事業者システムのコンピュータが、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払うステップと、 前記第2事業者システムのコンピュータが、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収するステップと、 を有する電力管理方法。 【請求項7】 (削 除)」 第4 取消理由(決定の予告)に記載した取消理由について 1 取消理由(決定の予告)の概要 請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和7年10月23日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 (理由1) 請求項1、5~7に係る発明は、引用文献1に記載された発明、並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、請求項1、5~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 引用文献1:特開2019-96078号公報(甲第7号証) 引用文献2:特開2020-198696号公報(甲第5号証) 引用文献3:オムロン株式会社、「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ カタログ(カタログ番号 KAND-041A)、2020年1月(甲第1号証の3) 2 引用文献の記載、引用発明等 (1)引用文献1(特開2019-96078号公報、甲第7号証) ア 引用文献1に記載された事項 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。 「【請求項1】 再生可能エネルギー発電設備を含む分散型電源および電力網に接続される主幹と、前記主幹から分岐し且つ複合需要家施設に含まれる複数の需要家施設それぞれに接続される複数の支幹と、前記複合需要家施設全体で前記電力網から受電する受電電力量および前記分散型電源の発電電力の前記電力網への給電電力量を検出する第1電力量計と、前記複数の需要家施設それぞれの個別消費電力量を検出する複数の第2電力量計とを有する受電システムを管理する管理装置であって、 前記第1電力量計が検出する前記受電電力量および前記給電電力量を取得し、 前記複数の第2電力量計それぞれが検出する前記個別消費電力量を取得し、 前記受電電力量、前記給電電力量、前記個別消費電力量、前記受電電力量に対する料金を定める第1の規約、前記個別消費電力量に対する料金を定める第2の規約、および前記給電電力量に対する料金を定める第3の規約に基づいて、前記複数の需要家施設それぞれに対する個別請求料金を算出する 管理装置。 【請求項2】 請求項1に記載の管理装置において、 前記受電電力量および前記第1の規約に基づいて、前記複合需要家施設全体の全体電力料金を算出し、 前記給電電力量および前記第3の規約に基づいて、分散型電源14が発電した電力の電力網18への販売代金を算出し、 前記個別消費電力量および前記第2の規約に基づいて、前記複数の需要家施設それぞれの個別電力料金を算出し、 すべての前記個別電力料金から、前記全体電力料金を減じ、前記販売代金を加算することにより、全体受益を算出し、 前記全体受益から分配する、第1の受益者および前記複数の需要家施設それぞれの使用者への個別受益を算出し、 前記需要家施設別に、前記個別電力料金から前記個別受益を減じることにより前記個別請求料金を算出する 管理装置。 【請求項3】 請求項2に記載の管理装置において、 前記全体受益から分配する第2受益者への個別受益も算出する 管理装置。 【請求項4】 請求項2または3に記載の管理装置において、 前記複数の需要家施設それぞれにおいて、前記個別消費電力量に対する前記分散型電源が発電した電力を消費した電力量である電力消費率、または、前記需要家施設の床面積に応じて、前記個別受益を算出する 管理装置。」 「【0012】 図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る管理装置10が管理する受電システム11が設けられる複合需要家施設12は、複数の需要家施設13、受電システム11、および分散型電源14を含んでいる。また、複合需要家施設12は、共用施設15、制御装置16、および第3電力量計17を含んでよい。本実施形態において、複合需要家施設12は、共用施設15、制御装置16、第3電力量計17を含んでいる。以後の図において、各機能ブロックを結ぶ実線は、電力の流れを示す。また、図1において、各機能ブロックを結ぶ破線は、制御信号または通信される情報の流れを示す。破線が示す通信は有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。 【0013】 複合需要家施設12は、例えば、集合住宅のように、複数の需要家施設13を含む建造物である。特に、複合需要家施設12は、例えば、1階建から3階建のように、階数の比較的少ない低層型建造物であってよい。複合需要家施設12は所有者によって所有され、当該所有者または当該所有者に委託された管理者によって管理され得る。なお、所有者および管理者は単数であってよく、または複数であってよい。また、所有者および管理者は自然人または法人であってよい。任意の電力事業者は、複合需要家施設12全体への電力を一括受電する契約を、電力網18を介して電力を給電する電力会社と結び得る。任意の電力事業者は、例えば、複合需要家施設12の所有者、管理者、および複合需要家施設12における分散型電源14の所有者であってよい。 【0014】 需要家施設13は、例えば、集合住宅における各戸のように、複合需要家施設12内で別々に区分された部分構造物である。需要家施設13は、需要家施設13毎の使用者によって使用される。なお、複数の需要家施設13それぞれの使用者は、例えば、複合需要家施設12の所有者、当該所有者から需要家施設13を貸借された貸借者などであってよい。また、使用者は自然人または法人であってよい。需要家施設13において、戸別負荷19は電力を受電し得る。戸別負荷19は、例えば、集合住宅の各戸で使用される照明器具、冷蔵庫、テレビ、またはエアコンディショナなどを含む。」 「【0016】 受電システム11は、例えば、引込盤であってよい。受電システム11は、主幹21、複数の支幹22、第1電力量計23、および複数の第2電力量計24を含んでいる。 【0017】 主幹21は、電力網18および分散型電源14に直接的または間接的に接続され、電力網18および分散型電源14から電力を受電し得る。複数の支幹22それぞれは、主幹21に直列に、且つ互いに並列に接続されている。従って、主幹21において受電した電力は、主幹21から分岐する複数の支幹22を介して分配され得る。複数の支幹22それぞれは、複数の需要家施設13それぞれに接続されている。さらに、複数の支幹22の1部は、共用施設15に接続されてよい。本実施形態において、複数の支幹22の1部は、共用施設15に接続されている。複数の支幹22それぞれは、分配される電力を各需要家施設13および共用施設15に給電し得る。」 「【0021】 複数の第2電力量計24は、複数の支幹22それぞれに設けられている。複数の第2電力量計24は、それぞれ複数の需要家施設13の戸別負荷19が消費する個別消費電力量を検出する。複数の第2電力量計24の1部は、共用施設15の共用負荷20が消費する個別消費電力量を検出してよい。」 「【0024】 分散型電源14は、再生可能エネルギー発電設備を少なくとも含む。再生可能エネルギー発電設備は、例えば、太陽光発電設備および風力発電設備などのように、永続的に利用可能と認められるエネルギーを用いて発電する設備である。本実施形態において、再生可能エネルギー発電設備は、太陽光発電設備である。分散型電源14は、複合需要家施設12内に設けられている。例えば、図2に示すように、分散型電源14は、複合需要家施設12の屋根に設けられてよい。分散型電源14は、他の発電設備を含んでよい。また、分散型電源14は、複合需要家施設12に給電する電力を調整するためにインバータを含んでよい。」 「【0032】 管理装置10は、受電システム11を管理する。管理装置10は、第1電力量計23が検出する受電電力量および給電電力量を取得する。管理装置10は、複数の第2電力量計24がそれぞれ検出する個別消費電力量を取得する。管理装置10は、予め、第1の規約、第2の規約、および第3の規約を記憶している。第1の規約は、受電電力量に対する全体電力料金を定める。第2の規約は、個別消費電力量に対する個別電力料金を定める。第3の規約は、給電電力量に対する販売料金を定める。管理装置10は、取得した受電電力量、給電電力量、および複数の個別消費電力量、第1の規約、第2の規約、ならびに第3の規約に基づいて、複数の需要家施設13それぞれに対する個別請求料金を算出する。管理装置10による個別請求料金の算出は、以下に詳細に説明される。」 「【0036】 管理装置10は、受電電力量および第1の規約に基づいて、複合需要家施設12全体の全体電力料金を算出する。管理装置10は、複数の需要家施設13および共用施設15における個別消費電力量および第2の規約に基づいて、複数の需要家施設13および共用施設15それぞれの個別電力料金を算出する。管理装置10は、給電電力量および第3の規約に基づいて、分散型電源14が発電した電力の電力網18への販売代金を算出する。管理装置10は、算出した全需要家施設13および共用施設15の個別電力料金の合計値から、算出した全体電力料金を減じ、算出した販売代金を加算することにより、全体受益を算出する。」 「【0038】 管理装置10は、全体受益を分配することにより、電力会社と一括受電の契約を結ぶ電力事業者(第1の受益者)および複数の需要家施設13それぞれの使用者への個別受益を算出する。管理装置10は、全体受益から分配する第2の受益者への個別受益を算出してよい。本実施形態において、管理装置10は、第2の受益者への個別受益を算出する。なお、第2の受益者とは、例えば、分散型電源14の所有者が複合需要家施設12の所有者と異なる場合における、複合需要家施設12の所有者である。本実施形態において、第2の受益者の個別受益は、分散型電源14を設置するための複合需要家施設12の使用料であってよい。 【0039】 管理装置10は、以下に例示した方法を含む多様な方法に応じて、全体受益を、電力事業者の個別受益、第2の受益者の個別受益、および全需要家施設13の個別受益に分配する。全需要家施設13の個別受益とは、全需要家施設13それぞれの使用者への個別受益の合計である。さらに、全需要家施設13の個別受益には、共用施設15の所有者への個別受益を含めてよい。 【0040】 例えば、電力事業者の個別受益は、それぞれに対して電力事業者の個別受益が定められた複数の価格範囲のいずれに全体受益が含まれるかに基づいてよい。また、電力事業者の個別受益は、一定額に定められてよい。さらには、電力事業者の個別受益はゼロであってよい。また、電力事業者の個別受益は、全体受益から、第2の受益者の個別受益と全需要家施設13の個別受益とを減じた残りであってよい。また、電力事業者の個別受益は、全体受益に対して1以下の係数を乗じた値でよい。当該係数は、一定であってよい。または、当該係数は、複合需要家施設12全体の電力消費率の増加に応じて減少してよい。なお、当該係数を変動させる場合には、上限および下限を設けてよい。」 「【0045】 また、例えば、第2の受益者の個別受益は、一定額に定められてよい。また、第2の受益者の個別受益は、ゼロであってよい。さらに、第2の受益者の個別受益は、全体受益に対して1以下の係数を乗じた値を当該一定額に負荷した値であってよい。」 「【図1】 [図:0001436175000001.jpg] 」 イ 引用文献1に記載された技術的事項 (ア)段落【0012】の記載及び図1から、引用文献1には、管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステムであって、複合需要家施設12には、受電システム11、複数の需要家施設13、分散型電源14、第3電力量計17が含まれ、複合需要家施設12は、電力網18と接続されていることが記載されているといえる。また、段落【0012】の「管理装置10が管理する受電システム11が設けられる複合需要家施設12」との記載、段落【0013】の「複合需要家施設12は所有者によって所有され」、「当該所有者に委託された管理者によって管理され得る。」、「管理者」は「法人であってもよい」との記載から、引用文献1には、「管理装置10は、複合需要家施設12の所有者に委託された法人である管理者の装置」であることが記載されているといえる。 段落【0016】には、「受電システム11」は、「複数の第2電力量計24を含」んでいることが記載されている。 段落【0013】、【0014】の記載から、引用文献1には、「複合需要家施設12」は、「集合住宅のように、複数の需要家施設13を含む建造物」であり、「需要家施設13」は、「複合需要家施設12内で別々に区分されて」いることが記載されているといえる。 段落【0024】の記載から、引用文献1には、「分散型電源14は、再生可能エネルギー発電設備を含み、再生可能エネルギー発電設備は、太陽光発電設備であって、複合需要家施設12の屋根に設けられ」ることが記載されているといえることを踏まえると、「分散型電源14は、太陽光発電設備であって、複合需要家施設12の屋根に設けられ」るものであるといえる。 そうすると、引用文献1には、 「管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステムであって、 管理装置10は、複合需要家施設12の所有者に委託された法人である管理者の装置であり、 複合需要家施設12は、集合住宅のような建造物であり、受電システム11、複数の需要家施設13、分散型電源14、第3電力量計17を含み、電力網18と接続され、 受電システム11は、複数の第2電力量計24を含み、 需要家施設13は、複合需要家施設12内で別々に区分されており、 分散型電源14は、太陽光発電設備であって、複合需要家施設12の屋根に設けられ」る ことが記載されているといえる。 (イ)段落【0017】の記載から、図1を踏まえると、引用文献1には、「複合需要家施設12は、電力網18および分散型電源14から電力を受電し、受電した電力を各需要家施設13および共用施設15に給電」することが記載されているといえる。 (ウ)段落【0021】には「複数の第2電力量計24は、それぞれ複数の需要家施設13の戸別負荷19が消費する個別消費電力量を検出」することが記載されている。 (エ)段落【0032】、【0036】の記載から、引用文献1には、「 管理装置10は、 複数の第2電力量計24がそれぞれ検出する個別消費電力量を取得し、 管理装置10は、複数の需要家施設13および共用施設15における個別消費電力量および第2の規約に基づいて、複数の需要家施設13および共用施設15それぞれの個別電力料金を算出し、第2の規約は、個別消費電力量に対する個別電力料金を定め、 算出した全需要家施設13および共用施設15の個別電力料金の合計値から、全体受益を算出」することが記載されているといえる。 (オ)段落【0038】、【0039】の記載から、引用文献1には、管理装置10は、「全体受益から分配する第2の受益者への個別受益を算出し、第2の受益者とは、複合需要家施設12の所有者であり、第2の受益者の個別受益は、分散型電源14を設置するための複合需要家施設12の使用料であってよく、第2の受益者の個別受益を分配」することが記載されているといえる。 (カ)段落【0045】には、「第2の受益者の個別受益は、全体受益に対して1以下の係数を乗じた値を当該一定額に負荷した値であってよい」ことが記載されている。 ウ 引用文献1に記載された発明 上記イによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「 管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステムであって、 管理装置10は、複合需要家施設12の所有者に委託された法人である管理者の装置であり、 複合需要家施設12は、集合住宅のような建造物であり、受電システム11、複数の需要家施設13、分散型電源14、第3電力量計17を含み、電力網18と接続され、 受電システム11は、複数の第2電力量計24を含み、 需要家施設13は、複合需要家施設12内で別々に区分されており、 分散型電源14は、太陽光発電設備であって、複合需要家施設12の屋根に設けられ、 複合需要家施設12は、電力網18および分散型電源14から電力を受電し、受電した電力を各需要家施設13および共用施設15に給電し、 複数の第2電力量計24は、それぞれ複数の需要家施設13の戸別負荷19が消費する個別消費電力量を検出し、 管理装置10は、 複数の第2電力量計24がそれぞれ検出する個別消費電力量を取得し、 管理装置10は、複数の需要家施設13および共用施設15における個別消費電力量および第2の規約に基づいて、複数の需要家施設13および共用施設15それぞれの個別電力料金を算出し、第2の規約は、個別消費電力量に対する個別電力料金を定め、 算出した全需要家施設13および共用施設15の個別電力料金の合計値から、全体受益を算出し、 全体受益から分配する第2の受益者への個別受益を算出し、第2の受益者とは、複合需要家施設12の所有者であり、第2の受益者の個別受益は、分散型電源14を設置するための複合需要家施設12の使用料であってよく、第2の受益者の個別受益を分配し、第2の受益者の個別受益は、全体受益に対して1以下の係数を乗じた値を当該一定額に負荷した値であってよい、 システム。」 (2)引用文献2(特開2020-198696号公報、甲第5号証) ア 引用文献2に記載された事項 引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0005】 本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システム及び、電力管理方法において、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に分散型電源による自家発電の利益を供与できる技術を提供することを目的とする。」 「【0024】 <適用例> 以下、図面を参照して、本発明の適用例について説明する。図1は、本発明が適用可能な電力供給システム1のブロック図を示す。図1において、各ブロックを連結する実線は電力線を示しており、各ブロックを連結する破線は通信線(無線通信も含む)を示している。本適用例に係る電力供給システム1は、集合住宅1aに対して適用されることを前提としている。この場合、集合住宅1aは、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である。また、太陽電池、風力発電機、所謂V2H(Vehicle to Home)に係る電源や蓄電池等の分散型電源を備えることを前提としている。 【0025】 図1において、電力供給システム1は、系統3a、3bと電気的に繋がっている。そして、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より少なく、電力が不足する場合には、例えば系統3aから買電することが可能となっている。また、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より多い場合には、余剰の電力を例えば系統3bに余剰売電することが可能となっている。系統3a、3bは、所謂小売電気事業者であってもよいし、一般電気事業者であってもよい。また、系統3aと系統3bは異なる電気事業者であってもよいし、同一の電気事業者であってもよい。 【0026】 また、電力供給システム1は、集合住宅1aの外部において、集合住宅1a内のシステムと通信可能に構成された管理装置2を有している。本適用例では、集合住宅1a内のシステムと管理装置2とは、LTEルータ6を介した無線通信が可能となっている。この管理装置2は、より具体的には、電力供給システム1の運営主体である管理会社によってクラウド上に備えられたサーバ装置であってもよい。しかしながら、管理装置2は、電力供給システム1において、集合住宅1a内のシステムとの間で情報の授受が可能とされていればよく、有線通信で繋がっていてもよく、必ずしもクラウド上に備えられたものでなくともよい。 【0027】 また、電力供給システム1の複数の電力供給先としては、専有部12a、12b、12c・・・が想定されている。この専有部12a、12b、12c・・・は、例えば、集合住宅1aにおける各部屋(以下、入居者ともいう。)である。より具体的には、専有部12a、12b、12c・・・における負荷は、集合住宅1aの各部屋における電気製品等(不図示)である。また、集合住宅1aには、専有部12a、12b、12c・・・の他に共用部13が存在する。この共用部13は、集合住宅1aにおける共用部分であり、共用部13の負荷としては、例えば廊下や玄関の照明13aや、停電時等に予め接続しておいた電気製品へ自動で電力を供給可能にする特定負荷分電盤13b等が考えられる。専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13には、各々スマートメータ11a、11b、11c・・・、11dが備えられており、専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13において消費される電力を測定可能となっている。 【0028】 また、電力供給システム1には、分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15が備えられている。蓄電池14には充放電電圧を昇降させる双方向のDC/DCコンバータ及び、蓄電池の充放電に係る電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む蓄電池パワコン16が接続されている。蓄電池パワコン16から出力される電力は、スマートメータ11eによって測定される。一方、太陽電池15には太陽電池15の発電電圧を調整するDC/DCコンバータ、山登り法によるMPPT制御を行うための制御回路、太陽電池15の出力電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む太陽電池パワコン17が接続されている。太陽電池パワコン17は、蓄電池パワコン16とも電気的に繋がれており、太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電することが可能となっている。なお、本実施例において、畜電池14と太陽電池15とが一体化した分散型電源を使用しても構わない。」 「【0039】 図3は、本発明に係る電力供給システム1の運用の形態を示すブロック図である。図中、白矢印は、役務の流れを示し、ハッチングが施された矢印は、金の流れを示している。先ず、役務の流れについて説明する。図3のブロック図における前提として、集合住宅1aのオーナーである設備所有者23は、図1における管理装置2の運営主体である管理会社21に対して、一括受電委託(電力取引制御委託)をする。すなわち、設備所有者23は、集合住宅1aの入居者22や共有部分についての電力供給の管理と電気料金の徴収を一括して管理会社21に依頼する。 【0040】 管理会社21は、各入居者22に対して分散型電源による電力を用いて電力供給を行う。各入居者22は、自ら消費した電力に応じた電気料金を管理会社21に支払う。そして、分散型電源から供給された電力が入居者22における消費電力より少ない場合には、管理会社21は電気事業者20から不足分の電力を調達する。その場合、管理会社21は、電気事業者20に対して買電に係る買電料金を支払う。すなわち、管理会社21は、各入居者22に対して、電気事業者から調達した電力と分散型電源による電力とを組み合わせて電力供給を行う。」 「【図1】 [図:0001436175000002.jpg] 」 図1及び段落【0024】の「図1において、各ブロックを連結する実線は電力線を示しており」との記載によれば、「蓄電池パワコン16」は、「特定負荷分電盤13b」と電気的に繋がれている。 「【図3】 [図:0001436175000003.jpg] 」 イ 引用文献2に記載された技術的事項 上記アの摘記事項から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されている。 「複数の電力供給先を含む複合施設であり、太陽電池に係る電源や蓄電池等の分散型電源を備える集合住宅1aに対して適用される電力供給システム1であって、(【0024】) 電力供給システム1は、系統3a、3bと電気的に繋がっており、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より少なく、電力が不足する場合には、例えば系統3aから買電し、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より多い場合には、余剰の電力を系統3bに余剰売電することが可能であり、(【0025】) 電力供給システム1の複数の電力供給先としては、集合住宅1aの専有部12a、12b、12c・・・の他に共用部13が存在し、共用部13は、集合住宅1aにおける共用部分であり、共用部13の負荷として、廊下や玄関の照明13aや、停電時等に予め接続しておいた電気製品へ自動で電力を供給可能にする特定負荷分電盤13b等が考えられ、(【0027】) 電力供給システム1には、分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15が備えられており、太陽電池15に接続されている太陽電池パワコン17は、蓄電池14に接続されている蓄電池パワコン16と電気的に繋がれており、太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電することが可能となっており、(【0028】) さらに、蓄電池パワコン16は、特定負荷分電盤13bと電気的に繋がれている。(図1、【0024】)」 (3)引用文献3(オムロン株式会社、「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ カタログ(カタログ番号 KAND-041A)、2020年1月、甲第1号証の3) ア 引用文献1に記載された事項 引用文献3には、以下のとおりの記載がある。 「「10年、20年先も安定した賃貸経営がしたい――」 そんなオーナー様の想いにオムロンがご提案するのは、 太陽光発電と蓄電池を活用し賃料以外の収入が得られ、 さらに、入居者様への新たなメリットを提供できる、 トータルエネルギーマネジメントサービス『エネサプリ』です。」(2頁) 「エネサプリは太陽光発電を物件に設置することで、電力会社のように電気を供給できるサービスです。また、つくった電気を蓄電池に貯めて、必要な時に使うなど最適な運用を行うことで、収入アップが期待できます。」(3頁) 「収入アップの仕組み2 電力販売と余剰売電で収入アップ 発電した電気はまず入居者様に売り、 余った分は電力会社に売ります」(3頁) 「余剰売電収入例 余剰電力量に応じて電力会社からオーナー様に支払われる収入分です。」(3頁) 3 当審の判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 (ア)本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し」について a 「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅」について 引用発明の「複合需要家施設12」は、「集合住宅のような建造物」であるから、本件発明1の「集合住宅」に相当し、引用発明の「太陽光発電設備」は、本件発明1の「太陽光発電装置」に相当する。 そして、引用発明の「複合需要家施設12」に含まれる「分散型電源14」は、「太陽光発電設備」であるから、引用発明の「分散型電源14」を含む「複合需要家施設12」は、本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅」と、「太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅」である点で共通する。 b 本件発明1の「系統電力と前記分散型電源の電力」について 引用発明は、「複合需要家施設12は、電力網18および分散型電源14から電力を受電」するものであるから、引用発明の「複合需要家施設12」が「電力網18」から受電する「電力」は、本件発明1の「系統電力」に相当し、引用発明の「分散型電源14」から受電する「電力」は、本件発明1の「前記分散型電源の電力」に相当する。 c 「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し」について 引用発明は、「複合需要家施設12は、電力網18および分散型電源14から電力を受電し、受電した電力を各需要家施設13および共用施設15に給電し」、「管理装置10は、複数の需要家施設13および共用施設15における個別消費電力量および第2の規約に基づいて、複数の需要家施設13および共用施設15それぞれの個別電力料金を算出し、第2の規約は、個別消費電力量に対する個別電力料金を定め」るものである。 すなわち、引用発明は、複合需要家施設12の各需要家施設13及び共用施設15における電力網18および分散型電源14から給電された電力を消費した個別消費電力量に基づいて個別電力料金を算出するものである。 そして、上記a、bを踏まえると、引用発明の当該個別電力料金を算出することは、本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し」と、「太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出」する点で共通する。 d 他方、「分散型電源」に関して、本件発明1は、「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える」のに対し、引用発明の「分散型電源14」は、「太陽光発電装置」を備えるものの、「蓄電池」を備えることが特定されていない点で相違する。 (イ)本件発明1の「算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し」について 引用発明には、「算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収」するものであるか判然としない点で、本件発明1と相違する。 (ウ)本件発明1の「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し」について a 「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根」について 引用発明は、「分散型電源14は、太陽光発電設備であって、複合需要家施設12の屋根に設けられ」るものである。 そうすると、引用発明の「分散型電源14」である「太陽光発電設備」が「設けられ」た「複合需要家施設12の屋根」は、本件発明1の「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根」に相当する。 b 「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代」について 引用発明は、「全体受益から分配する第2の受益者への個別受益を算出し、第2の受益者とは、複合需要家施設12の所有者であり、第2の受益者の個別受益は、分散型電源14を設置するための複合需要家施設12の使用料であってよく、第2の受益者の個別受益を分配」するものである。 このように、引用発明は、「複合需要家施設12の所有者」に「分散型電源14を設置するための複合需要家施設12の使用料」を分配するものである。 そうすると、引用発明の「使用料」は、「前記集合住宅のオーナーに支払う」ものであり、上記aを踏まえると、本件発明1の「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代」に相当する。 c 「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し」について 引用発明は、「第2の受益者の個別受益は、全体受益に対して1以下の係数を乗じた値を当該一定額に負荷した値であってよい」ことから、上記a、bを踏まえると、引用発明の「第2の受益者への個別受益を算出」することは、本件発明1の「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し」に相当する。 (エ)本件発明1の「算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う」について 引用発明は、「算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う」ものであるか判然としない点で、本件発明1と相違する。 (オ)本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部を備える第1事業者システム」について a 本件発明1の「第1事業者システム」は、本件特許明細書の段落【0035】には「第1事業者103は、図1における例えば取次会社5のシステムである。」と記載されている。 b 引用発明において、「管理装置10」は、上記(ア)、(ウ)の機能を有することから、「管理装置10」の当該機能を実現する手段は、本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部」と、「太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出する精算部」である点で共通する。 c そして、引用発明の「管理装置10」は、「複合需要家施設12は所有者」に「委託」された「法人である管理者」の装置であり、上記aを考慮すると、引用発明の「管理装置10」は、本件発明1の「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出し、算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う精算部を備える第1事業者システム」と、「太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出する精算部を備える第1事業者システム」である点で共通する。 d 他方、本件発明1と引用発明とは、上記(ア)d、(イ)、(エ)のとおり相違する。 (カ)本件発明1の「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システム」について 引用発明の「管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステム」は、「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システム」を備えていない点で、本件発明1と相違する。 (キ)本件発明1の「電力管理システム」について 引用発明の「管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステム」は、「管理装置10」が上記(オ)のとおりの機能を有することから、後述する相違点を別として、本件発明1の「電力管理システム」に相当する。 (ク)一致点、相違点 上記(ア)~(キ)によれば、本件発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「太陽光発電装置を少なくとも備える分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代を算出し、前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代を算出する精算部を備える第1事業者システム、 を備える電力管理システム。」 [相違点1] 「分散型電源」に関して、本件発明1は、「蓄電池及び太陽光発電装置を少なくとも備える」のに対し、引用発明の「分散型電源14」は、「太陽光発電装置」を備えるものの、「蓄電池」を備えることが特定されていない点。 [相違点2] 「精算部」に関して、本件発明1は、「算出した前記電気代を前記集合住宅の複数の需要家から徴収」する機能を有するのに対し、引用発明は、算出した前記電気代を「前記集合住宅の複数の需要家から徴収」するか判然としない点。 [相違点3] 「精算部」に関して、本件発明1は、「算出した前記屋根地代を前記集合住宅のオーナーに支払う」機能を有するのに対し、引用発明は、算出した前記屋根地代を「前記集合住宅のオーナーに支払う」か判然としない点。 [相違点4] 本件発明は、「電力管理システム」が「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出し、算出した前記買い取り代金を前記第1事業者システムに支払い、前記系統電力に基づいて使用代金を算出し、算出した前記使用代金を前記第1事業者システムから徴収する精算部を備える第2事業者システム」を備えるのに対し、引用発明の「管理装置10と通信ネットワーク28を介して接続される複合需要家施設12からなるシステム」は、そのような「第2事業者システム」を備えるものではない点。 イ 相違点に対する当審の判断 (ア)相違点1について 引用文献2に記載された技術的事項は、「集合住宅1aに対して適用される電力供給システム1」において、「分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15」を備え、「太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電」し、「分散型電源による供給電力」に関し、「余剰の電力を系統3bに余剰売電すること」を可能とするものである。 引用発明と引用文献2に記載の技術的事項は、ともに分散型電源を備えた集合住宅の電力を管理し、分散型電源が発電した余剰の電力を電力会社に販売することが可能な電力管理システムである点で共通するから、引用発明において、「集合住宅の建造物である複合需要家施設12」の屋根に設けられる「分散型電源14」として、引用文献2に記載の「分散型電源」のように「蓄電池」をさらに備えたものとすることで、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点2、相違点3について 事案に鑑み、上記相違点2、相違点3についてまとめて検討する。 a 本件訂正発明1の「第1事業者システム」が備える「精算部406」の動作に関して、本件特許明細書の次の記載を参照して検討をする。 「【0063】 精算部406は、取得部405が取得した情報に基づいて、需要家315-1、315-2それぞれに請求する電気代を計算し、需要家315-1、315-2それぞれから電気代を徴収する。精算部406は、太陽電池モジュール306に基づき、または集合住宅300から取得した余剰電力量に基づいて屋根地代をオーナー106に支払う。精算部406は、第2事業者108の電力網から買い取った電力量の電気代を、第2事業者108に支払う。精算部406は、第2事業者108が第1事業者システム400から買い取った余剰電力に基づく買取収入を取得する。」 「【0090】 (ステップS12)需要家315は、電気代を第1事業者システム400に支払う(振り込む)。 【0091】 (ステップS13)第1事業者システム400は、需要家315から電気代を徴収する。」 「【0101】 (ステップS23)第1事業者システム400は、集合住宅300のオーナー106に屋根地代を算出して支払う(振り込む)。 【0102】 (ステップS24)集合住宅300のオーナー106は、第1事業者システム400から屋根地代を受け取る。」 b 以上の記載から、「第1事業者システム400」が「需要家315から電気代を徴収する」際、及び「集合住宅300のオーナー106に屋根地代を算出して支払う」際に、代金を支払う側が金融機関等に当該代金を「振り込む」ことによって課金や精算が行われることが記載されているものの、上記の記載以上に、「精算部406」の動作として技術的な特定がされているとはいえない。 c また、引用発明において、上記ア(ア)cで示した「個別電力料金」の算出は、複数の需要家施設13および共用施設15に対して、料金を請求するために行われるものであり、上記ア(ウ)b、cによれば、「第2の受益者への個別受益」の算出は、複合需要家施設12の所有者である第2受益者に対して、個別受益(使用料)を支払うために行われることは明らかである。 d そうすると、一般的な金銭の精算に関しては、種々の手法が知られているところ、引用発明の「管理装置10」において、「算出された前記電気代」の集合住宅の複数の需要家からの徴収や、算出された「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代」の当該集合住宅のオーナーへの支払いのために、周知の手法を用いて金銭の精算を行うことは、当業者が適宜選択してなし得たことであるから、「管理装置10」が、電気料金の徴収や、使用料の支払いを行う機能を有する構成とすることは、設計的事項にすぎない。 よって、引用発明に基づいて、上記相違点2、3の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものである。 (ウ)相違点4について a 引用文献2には、集合住宅1aのオーナーである設備所有者23が、管理装置2の運営主体である管理会社21に対して、一括受電委託(電力取引制御委託)をすること(【0039】)、管理会社21は、各入居者22に対して分散型電源による電力を用いて電力供給を行うこと(【0040】)、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より多い場合には、余剰の電力を電気事業者である系統3bに余剰売電することが可能であること(【0025】)が、それぞれ記載されており、引用文献2に記載された技術的事項において、「管理装置2の運営主体である管理会社21」が本件発明1の「第1事業者」に、「電気事業者」が本件発明1の「第2事業者」に対応するものであるといえるものの、引用文献2に記載された技術的事項において、「電気事業者」が管理・運営し、分散型電源の余剰電力に基づく「買い取り代金」を算出する「精算部」を備える「第2事業者システム」については特定されていない。同様に、引用文献3においても、そのような「第2事業者システム」については特定されていない。 そのため、引用文献2、3には、「分散型電源を備える集合住宅に系統電力と前記分散型電源の電力の消費電力に応じた電気代」を「前記集合住宅の複数の需要家から徴収し」、「前記太陽光発電装置が備えられる前記集合住宅の屋根地代」を「前記集合住宅のオーナーに支払う」第1事業者の「第1事業者システム」から、「前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力」を買い取る第2事業者の「第2事業者システム」において、「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出」する事項は記載されていない。 そうすると、引用発明に引用文献2、3に記載された技術的事項を適用しても、相違点4に係る構成には至らない。 なお、後述する甲1の1、2~4、6、8、9にも、上記相違点4に係る構成は記載されていないため、引用発明に甲1の1、2~4、6、8、9に記載された技術的事項を適用しても、相違点4に係る構成に至らないことは明らかである。 b もとより、引用発明における「管理装置10」は、引用文献1の段落【0036】の記載によれば、「分散型電源14が発電した電力の電力網18への販売代金を算出する」ものであるから、本件発明1において、「第2事業者システム」の「精算部」が算出する分散型電源の余剰電力に基づく「買い取り代金」を、引用発明においては、本件発明1の「第1事業者システム」に対応する「管理装置10」が算出するものである。 そうすると、引用発明のシステムにおいて、「前記第1事業者システムから取得された前記集合住宅の前記分散型電源の余剰電力に基づいて買い取り代金を算出」する「精算部」を備えた「第2事業者システム」を別途備える動機付けがあるとはいえない。 ウ 異議申立人の主張に対する検討 異議申立人は、特許異議申立書において、上記[相違点4]に係る構成に関して、次のように主張している。 「・・・電力会社の電気料金管理装置などにおいて、送電電力量や逆潮流電力量を取得し、それらの電力量に基づき、電力の使用料金、余剰電力の買い取り代金を計算し、それらの徴収、支払いを行うことは、周知の事項である。 また、甲1発明の「トータルエネルギーマネジメントサービス」を、「第1事業者システム」を備える「電力管理システム」の態様で提供することは、上記 (ア)bにおいて検討したことと同様に、甲第5号証及び甲第7号証に記載される周知の事項から、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、甲1発明において、「トータルエネルギーマネジメントサービス」を「第1事業者システム」を備える「電力管理システム」により提供し、「第2事業者システム」の「精算部」が「第1事業者システム」に対して、代金を支払い、徴収を行うように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。」(第58頁) しかしながら、本件発明1の上記[相違点4]に係る構成に関しては、上記イ(ウ)で示したとおりであって、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明3~5について 本件発明3~5は、本件発明1の構成に限定を加えて減縮したものであり、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(1)ア(ク)に示した上記[相違点4]に係る構成を有しているから、上記(1)イ(ウ)に示した理由と同様の理由により、本件発明3~5は、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1の「電力管理システム」の発明を「電力管理方法」として記載した発明であって、上記[相違点4]に係る構成と同様の構成を有しているから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立理由の概要 異議申立人は、概略、以下のとおり主張している。 (1)証拠方法 甲第1号証の1:オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社、「「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ」、インターネット<URL: https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/product/close/ene_supple.html> 甲第1号証の2:オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社、「エネルギー 製品情報 販売終了製品」、インターネット<URL: https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/product/close/> 甲第1号証の3:オムロン株式会社、「「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ カタログ(カタログ番号KAND-041A)」(取消理由の引用文献3) 甲第2号証:特開2008-158701号公報 甲第3号証:特開2019-159350号公報 甲第4号証:特開2011-238058号公報 甲第5号証:特開2020-198696号公報(取消理由の引用文献2) 甲第6号証:大和ハウスエ業株式会社、「卒FITオーナーさま向け余剰電力買取および電力販売サービス「ダイワハウスでんき」開始」、インターネット<URL: https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20190820103925.html> 甲第7号証:特開2019-96078号公報(取消理由の引用文献1) 甲第8号証:旭化成ホームズ株式会社、「環境貢献と防災力強化を実現する賃貸住宅とは?」、インターネット<URL: https://www.asahi-kasei.co.jp/maison/chiebukuro/report/knowhow/2021/11/post_1.html> 甲第9号証:旭化成ホームズ株式会社、「News Letter『料金お得な電力供給サービス「ヘーベル電気」卒FITオーナーの余剰電力買取を11月より開始』」、インターネット<URL: https://www.asahi-kasei.co.jp/file.jsp?id=647457> 以下、「甲第1号証の1」~「甲第9号証」を、「甲1の1」~「甲9」という。 また、甲1の2及び甲1の3は、インターネットに掲載された甲1の1の「トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ」について、少なくとも2020年1月に提供されていたことを示す証拠として提供されたものである。 (2)申立理由の概要 ア 特許法第29条第1項第3号(理由A) 異議申立人は、本件発明1、5は、甲5に記載された発明である旨主張する。なお、甲5については、取消理由通知書及び取消理由通知書(決定の予告)で引用文献2として採用した。 イ 特許法第29条第2項(理由B) 異議申立人は、本件発明1~7は、甲1の1に記載された発明、甲2~甲9の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2~4、6、7は、甲5に記載された発明、甲2~甲4、甲6、甲8、甲9の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。 2 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の申立理由についての判断 (1)甲号証の記載 ア 甲1の1(「「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ」) 甲1の1には、以下のとおりの記載がある。 「「太陽光発電+蓄電池」活用 トータルエネルギーマネジメントサービス エネサプリ 攻めと守りの 新しい賃貸経営のカタチです」(第1頁) 「電気を売って 収入が増やせる 発電した電気を入居者様に販売し、余った電気を電力会社に売ることで収入が得られます オーナー様にメリット!」(第1頁) 「 [図:0001436175000004.jpg] 」(第2頁) 「おトクな電気代と安心で 選ばれる物件に 入居者様へ電気代の割引や停電時の安心を提供することで物件の魅力を高めます 入居者様にメリット!」(第2頁) 「 [図:0001436175000005.jpg] 」(第3頁) 「エネサプリは太陽光発電を物件に設置することで、電力会社のように電気を供給できるサービスです。また、つくった電気を蓄電池に貯めて、必要な時に使うなど最適な運用を行うことで、収入アップが期待できます。」(第4頁) 「収入アップのしくみ2 電力販売と余剰電力で収入アップ 発電した電気はまず入居者様に売り、余った分は電力会社に売ります [図:0001436175000006.jpg] 」(第4頁) 「 [図:0001436175000007.jpg] 」(第5頁) 「電力販売収入例 入居者様からはこれまで通りの電気代を徴収しますが、太陽光発電により電力会社からの購入分が減らせるので、その差額の一部をオーナー様の電力販売益として還元いたします。 [図:0001436175000008.jpg] 」(第5頁) 「 [図:0001436175000009.jpg] 」(第6頁) 「余剰売電収入例 余剰電力量に応じて電力会社からオーナー様に支払われる収入分です。」(第6頁) 「 [図:0001436175000010.jpg] ※次の前提条件での数値例です。 電力会社:東京電力エナジーパートナー、太陽光パネル搭載量:14kW、PCS出力:9.6kW、電力売電単価:22円(~10年目)、1戸電気使用量:178kWh、1戸電気代:5,500円 ※数値は地域や太陽光パネル積載量、消費電力で変動します。」(第7頁) 「収入アップのしくみ3 電力の売買はオムロンがサポート! オーナー様に代わって、電気メーターの検針や電気料金の徴収を行います」(第7頁) 「 [図:0001436175000011.jpg] 」(第9頁) 「入居者様にメリット! 入居者様がうれしい価値提供で、将来に渡り選ばれる可能性を高めます 選ばれる理由1 入居者様の電気代を割引 電力販売収入の一部を、電気代割引として入居者様に還元できます!」(第10頁) 「 [図:0001436175000012.jpg] ※各入居者様の電気代割引率は0%、3%、5%、10%から選べます。」(第12頁) 「選ばれる理由2 非常時の停電にも安心 太陽光発電と蓄電池で、入居者様にもしもの時の「安心」を提供できます! エネサプリ 共用部に非常時用コンセントを設置し、最低限必要な電気を確保できます [図:0001436175000013.jpg] 」(第13頁) 「エネサプリに必要な設備例 太陽光発電や蓄電池のほか、各戸にスマートメータを設置してネットワーク経由で物件内の電力を制御・管理します。 構成機器 太陽光発電用パワーコンディショナ、蓄電システム用パワーコンディショナ、構成機器 蓄電池ユニット、スマートメータ(各戸)、通信機器、太陽光パネル」(第16頁) 「 [図:0001436175000014.jpg] 」(第17頁) イ 甲2(特開2008-158701号公報) 甲2には、以下のとおりの記載がある。 「【0001】 本発明は、太陽電池の発電量、負荷の消費電力量、及び商用系統と売買される電気量に関する情報を集約して、上記商用系統を運営する事業者が提供する各種料金プランのうち、最適な料金プランを選択するのに有用な情報を提示する技術に関する。」 「【0015】 次に、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。 図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置と、この表示装置1と連係するシステムの全体構成を示す図である。 表示装置1のユーザの居宅の屋根上には、複数の太陽電池モジュールを直並列に接続してなる太陽電池ユニット2が取り付けられている。この太陽電池ユニット2により発生した直流電力は、パワーコンディショナ3により交流電力に変換された後、電力測定器4、分電盤6を介して、所定の配線によりユーザ宅の負荷5に供給される。また、太陽電池ユニット2による発電量が、負荷5による消費電力量を上回るときには、余剰の電力が電力会社7に売電される。 また、電力測定器4と表示装置1とは、無線LANなどのネットワークを介して接続され、データの送受信を行うことができる。」 「【0018】 電力会社7は、ユーザと電力供給契約を締結している電力会社7であって、配電網を介してユーザ宅に電力を供給する。本例において、電力会社7は、太陽電池ユニット2の発電量が負荷5の消費電力より小さい場合に、その不足分を供給し、また、太陽電池ユニット2による発電量が負荷5の消費電力量以上に発電した場合の余剰電力を購入する。 なお、通常、電力会社7はユーザの居宅の所在地により予め決まっている。 【0019】 電力測定器4は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、及びこのコンピュータプログラムや他のデータを記憶するためのRAM(Random Access Memory)などの内部メモリ、ハードディスクドライブなどの外部記憶装置により、図2に示すように、電力測定演算部41、電力情報送信部42、計時部43からなる機能ブロックを構成することができる。 【0020】 電力測定演算部41は、太陽電池ユニット2により発電された発電量、負荷5が消費する消費電力量、電力会社7へ売却する電力である売電電力量、及び電力会社7から購入する電力である買電電力量を測定する。」 「【0027】 ここで、料金プランとは、ユーザと電力会社7との間で取り決める電気の売買価格であり、その一例として、図4に示す料金プランAがある。 ユーザが電力会社7から電気を購入する場合、この料金プランAでは、消費した電力量の料金単価に3段階の格差が設けられており、居宅ごとに設定された契約アンペアに応じた基本料金71に、消費した電力量に応じて上記3段階の料金単価72から算出される料金が従量的に加算される。上記3段階の料金単価72は、例えば、消費電力量が0kWh~120kWhまで(第1段階)は1kWh当たり15円29銭、120kWh~300kWhまで(第2段階)は1kWh当たり20円04銭、300kWh超過分(第3段階)は1kWh当たり21円25銭となっている。なお、上記第1段階における「0kWh~120kWh」、上記第2段階における「120kWh~300kWh」、上記第3段階における「300kWh超過」が上述の段階別基準電力値に相当する。 例えば、ユーザ宅の契約アンペアが20A、供給を受けた電力量が320kWhであったとすると、当該ユーザは、基本料金520円00銭、120kWh分については1kWh当たり第1段階の15円29銭が適用されて1834円80銭(=15.29×120)、120kWh~300kWh分については1kWh当たり第2段階の20円04銭が適用されて3607円20銭(=20.04×180)、残り20kWh分については1kWh当たり第3段階の21円25銭が適用されて425円00銭(=21.25×20)となり、合計6387円となる。 一方、ユーザが、太陽電池ユニット2で発電した電気を電力会社7に売却する場合には、上記ような3段階であれば、当該月の電気使用量の3段階区分に沿って、上から3段、2段、1段と順に適用される。例えば、ユーザから電力会社7への電力量が100kWhの場合、第3段階での使用量は20kWhであるので、20kWh分が第3段階、80kWh分が第2段階の単価で算出される。すなわち、第3段階適用分の425円00銭(=21.25×20)と第2段階適用分の1603円20銭(=20.04×80)の和が電力会社7よりユーザへ支払われる。」 ウ 甲3(特開2019-159350号公報) 甲3には、以下のとおりの記載がある。 「【0009】 本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、一般住宅等を所有する需要家が、太陽光発電等の自然エネルギー発電設備を、設備購入による経済負担を負うことなく自宅の屋根等に設置して利用することができ、かつ発電設備に関する電力事業者の管理業務の負担を軽減することができる自然エネルギー発電システムの電気料金管理装置を提供することにあり、それによって太陽光発電システムの普及率を一層向上させることにある。」 「【0028】 図1に示すように、本発明の一実施例に係る発電システムの電気料金管理装置1を適用する発電システム2は、送電電力の配電線3と需要家の所有する敷地に設けた分電盤4とを接続する引込電路5と、分電盤4を設けた敷地内に設置した、自然エネルギーによる発電設備6と、この発電設備6と分電盤4とを接続する発電側電路7と、引込電路5に設けた、引込口電力量計量手段8とを備える。 【0029】 発電設備6は、この実施例では太陽光を利用して発電する太陽光発電パネル9を備えている。太陽光発電パネル9は、需要家の敷地にある建物の日当たりの良い屋根等に装着されており、太陽光を受けて直流電力を発生させる。発生した直流電力は接続箱10を経てパワーコンディショナー11へ供給され、パワーコンディショナー11により商用の交流電力に変換される。そして、この交流電力は開閉器12を経て発電設備6から発電電力として出力される。 【0030】 発電設備6から出力された発電電力は、発電側電路7を通じて分電盤4へ供給され、分電盤4から、需要家の敷地にある負荷に供給される。発電設備6による発電電力が分電盤4に接続された負荷の消費電力より小さいときは、配電線3からの送電電力が引込電路5を通じて分電盤4に供給され、発電電力の不足分を補う。逆に、分電盤4に接続された負荷が発電電力より小さいときは、その発電電力の余剰分が逆潮流電力となって引込電路5を通じて配電線3に供給される。 【0031】 引込口電力量計量手段8は、双方向の計量機能を有する電力量計又は互いに逆向きに配置した一方向の計量機能を有する二つの電力量計からなり、引込電路5を通じて分電盤4へ供給する電力の電力量である引込電力量、及び発電システム2から配電線3へ逆流する逆潮流電力量を計量することができる。 【0032】 この発電システム2では、配電線3から供給される送電電力は、電力小売業者が電力卸業者から購入して需要家に販売し、逆潮流電力は、電力卸業者が発電設備6の所有者から直接又は間接的に購入する。なお本発明によれば、電力卸業者は、発電した電力を販売し、逆潮流電力を買い取る者であればよく、一般の電力会社のような組織体に限らない。また需要家から逆潮流電力を直接購入する電力卸業者と、卸電力を電力小売業者に直接販売する電力卸業者とが同一でない場合もあり得る。 【0033】 配電線3は多数の発電システム2と接続されている。電力卸業者は、需要家毎の引込電力の電力量及び逆潮流電力の電力量を把握し管理するために、この実施例では配電管理サーバ13を有している。そして引込口電力量計量手段8により、所定期間毎に、例えば1か月毎に、その期間中の引込電力量並びに逆潮流電力の電力量を計量し、それらの計量値と物件番号とを含む需要家毎の配電データを配電管理サーバ13に入力して記憶させている。また検針作業の省力化を図るために、引込口電力量計量手段8は、スマートメーターのような通信機能を有する電力量計で構成し、配電管理サーバ13と通信回線14で結んであり、引込電力量並びに逆潮流電力の各計量値を、通信回線14を通じて配電管理サーバ13に送信できるようになっている。 【0034】 発電側電路7には、発電設備6により発電された電力の電力量である発電電力量を計量可能な発電電力計量手段15が設けてある。発電電力計量手段15は、この実施例では通信機能を有する電力量計からなり、発電管理サーバ16と通信回線17で結んである。発電管理サーバ16は、発電電力量の計量値を発電設備の発電状況を管理する発電状況管理者が所有しており、発電状況管理者は、発電電力計量手段15により、所定期間毎に、その期間中の発電電力量を計量し、その計量値と物件番号とを含む発電設備毎の発電データを発電管理サーバ16に入力して記憶させている。」 「【0036】 発電設備6は、投資家が所有権を有しており、電力小売業者は、所定期間毎に需要家から発電電力の使用料金及び配電線からの引込電力に基づく一般電気料金を徴収すると共に発電設備6の所有者である投資家に配当金額を支払う。この実施例の場合、電力小売業者が発電設備6についての需要家獲得、施工を行った後、発電状況管理者に売却しているので、投資家は発電状況管理者であり、発電設備6の所有者も発電状況管理者である。」 「【0039】 図2に示すように、電気料金管理装置1は、中央演算処理装置18と記憶装置19と入力装置20と出力装置21とからなるコンピュータを用いて構成されている。コンピュータは通信制御装置22を備えており、通信制御装置22は、配電管理サーバ13、発電管理サーバ16との間で通信回線23、24を通じてデータを適時送受信することができるようになっている。記憶装置19には、電気料金管理用のプログラムが記憶されており、そのプログラムと、記憶装置19と中央演算処理装置18とにより、コンピュータ21内に電気料金管理装置1の処理機能を果たす各部が構成されている。」 「【0044】 図3に示すように、電気料金管理装置1は、目標額設定部31、電力量単価設定部32、計量値入力部33、収入積算金額記憶部34、発電電力の消費分算出部35、発電電力消費料金算出部36、配当金額算出部37、売電料金算出部37、引込電気料金算出部38、徴収料金算出部40、収入積算金額算出部41、判定部42及び出力制御部43を備えている。」 「【0050】 発電電力消費料金算出部36は、消費分算出部34の消費分の記憶値に基づき発電電力消費料金を算出して記憶する。この発電電力消費料金は、発電電力の販売単価設定部32cに記憶されている発電電力の販売単価と前記消費分とを乗算することにより算出される。 【0051】 配当金額算出部37は、消費分算出部34の消費分の記憶値に基づき配当金額を算出して記憶する。この配当金額は、電力単価設定部32の設定部32dに記憶されている発電電力の配当単価と前記消費分とを乗算することにより算出される。 【0052】 引込電気料金算出部38は、計量値入力部33の入力部33cの引込電力量の記憶値に基づき引込電気料金を算出して記憶する。この引込料金電気は、電力単価設定部32の設定部32bに記憶されている引込電力の単価と引込電力量とを乗算することにより算出される。 【0053】 売電料金算出部39は、計量値入力部33の入力部33bの逆潮流電力量の記憶値に基づき売電料金を算出して記憶する。この売電料金は、電力単価設定部32の設定部32aに記憶されている逆潮流電力の単価と逆潮流電力量とを乗算することにより算出される。 【0054】 徴収料金算出部40は、発電電力消費料金算出部36の発電電力料金の記憶値と、引込電気料金算出部38の引込電気料金の記憶値とに基づき、需要家から徴収すべき徴収料金を算出して記憶する。この徴収料金は、発電電力料金に引込電気料金を加算することにより算出される。 【0055】 収入積算金額演算部41は、売電料金算出部39の逆潮流電力の売電料金の記憶値と、配当金額算出部37の配当金額の記憶値と、収入積算金額記憶部34の前回の収入積算金額の記憶値とに基づき、投資家の収入積算金額を算出して記憶する。収入積算金額は、配当金額と売電料金とを加算して所定期間毎の収入金額を算出し、この所定期間毎の収入金額を前回の収入積算金額に加算することにより算出される。」 エ 甲4(特開2011-238058号公報) 甲4には、以下のとおりの記載がある。 「【0003】 電力会社は、法令で定める条件(買取対象、買取単価、買取期間など)にしたがって、余剰電力の買い取りをおこなっている。電力会社は、余剰電力の買取に際して、たとえば一ヶ月ごとに、売電力量計の数値と電力量計の数値とを読み取り、読み取った数値に基づいて太陽光発電量と供給電力量とをそれぞれ算出し、太陽光発電量が供給電力量を上回った分を余剰電力量として算出する。そして、算出された余剰電力量に応じた買取金額を顧客に支払うことにより、余剰電力を購入する。 【0004】 また、電力会社は、電気供給約款に基づいて顧客に対する電力料金の請求をおこない、電力会社と顧客との間で締結された電力需給契約書に基づいて余剰電力量に応じた買取金額を顧客に支払っている。すなわち、太陽光発電量および供給電力量の算出のための検針は同日におこなっているが、電力会社による電力料金の請求と余剰電力料金の支払いとは別々におこなわれており、余剰電力料金の支払いと電力料金の請求とは時期が異なっているという現状があった。従来、電力会社は、余剰電力量に応じた料金を、振込手数料を負担して顧客の金融機関口座へ振り込んでいた。」 「【0010】 この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、電力料金の支払いにかかる無駄を省き、電力料金の支払いにかかる作業および手順の効率化を図ることができる電力料金請求支援装置を提供することを目的とする。」 「【0021】 電力量計は、電力会社の発電設備によって発電され、当該電力会社の送配電系統を経由して、家屋などに設置され電力の消費をともなう負荷に供給された電力(供給電力)の量(供給電力量)を測定する。電力量計の構成については、公知の技術であるため説明を省略する。 【0022】 売電力量計は、たとえば、太陽光発電によって発電された電力のうち、当該売電力量計が設置された家屋などの負荷が消費する電力量を上回った電力(余剰電力)量を測定する。太陽光発電設備によって発電された電力は、電力会社から、電力の消費をともなう顧客の設備に供給される電力(供給電力)よりも高電圧に設定されている。」 「【0034】 (電力料金請求支援装置130の機能的構成) つぎに、電力料金請求支援装置130の機能的構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態の電力料金請求支援装置130の機能的構成を示す説明図である。図3において、この発明にかかる電力料金請求支援装置130の機能は、取得部301と、算出部302と、記憶部303と、出力部304と、によって実現される。 【0035】 取得部301は、所定期間における電力量計の測定値に関する情報および所定期間における売電力量計の測定値に関する情報を取得する。所定期間は、電力量計および売電力量計の前回の検針日から、電力量計および売電力量計の次回の検針日までの期間であって、たとえば「1ヶ月」、「前月の16日~翌月の15日まで」などのように設定することができる。」 「【0038】 算出部302は、電力料金算出部302aと差引料金算出部302bとを備えている。電力料金算出部302aは、取得部301によって取得された電力量計の測定値に関する情報に基づいて所定期間における供給電力料金を算出するとともに、取得部301によって取得された売電力量計の測定値に関する情報に基づいて所定期間における余剰電力料金を算出する。 【0039】 供給電力料金は、電力会社から顧客の設備に供給された電力量に基づいて算出される。余剰電力料金は、顧客の設備から電力会社の系統へ逆潮流した電力量に基づいて算出される。また、余剰電力料金は、法令で定める各種の条件にしたがって算出される。記憶部303は、供給電力料金および余剰電力料金の算出に用いる各種の情報を記憶している。電力料金算出部302aは、記憶部303に記憶された各種の情報を用いて供給電力料金および余剰電力料金を算出する。供給電力料金および余剰電力料金の算出方法、法令で定める各種の条件については、公知であるため説明を省略する。 【0040】 差引料金算出部302bは、電力料金算出部302aによって算出された結果に基づいて、供給電力料金よりも余剰電力料金が高い場合に、余剰電力料金から供給電力料金を差し引いた差引電力料金を算出する。余剰電力料金から供給電力料金を差し引いた差引電力料金は、電力会社から顧客に支払われる余剰電力料金を示す。 【0041】 また、差引料金算出部302bは、電力料金算出部302aによって算出された結果に基づいて、供給電力料金が余剰電力料金よりも高い場合に、供給電力料金から余剰電力料金を差し引いた差引電力料金を算出する。供給電力料金から余剰電力料金を差し引いた差引電力料金は、顧客から電力会社に支払われる供給電力料金を示す。 【0042】 出力部304は、差引料金算出部302bによって算出された差引電力料金に関する情報を出力する。出力部304は、具体的には、たとえば、差引料金算出部302bによって算出された差引電力料金が、電力会社から顧客に支払われる余剰電力料金を示す場合に、該当する顧客の口座が開設されている金融機関のシステムに対して、差引電力料金に関する情報を出力する。この場合、出力部304は、差引電力料金に関する情報に加えて、当該差引電力料金が示す余剰電力料金の支払先となる顧客に関する情報を、該当する金融機関のシステムに対してあわせて出力してもよい。 【0043】 また、出力部304は、具体的には、たとえば、差引料金算出部302bによって算出された差引電力料金が、顧客から電力会社に支払われる供給電力料金を示す場合に、請求書を発行するシステムに対して差引電力料金に関する情報を出力する。この場合、出力部304は、差引電力料金に関する情報に加えて、当該差引電力料金が示す供給電力料金の請求先となる顧客に関する情報を、請求書を発行するシステムに対してあわせて出力してもよい。」 オ 甲6(大和ハウスエ業株式会社、「卒FITオーナーさま向け余剰電力買取および電力販売サービス「ダイワハウスでんき」開始」) 甲6には、以下のとおりの記載がある。 「 [図:0001436175000015.jpg] このたび開始する「ダイワハウスでんき」は、10kW未満の太陽光発電システムを導入した当社の戸建住宅オーナーさまや、他社の戸建住宅オーナーさま向けに、太陽光発電システムの余剰電力買取と電力販売をセットで契約いただくサービスです。 当社の戸建住宅オーナーさまの太陽光発電システムの余剰電力買取価格は、11.5円/kWh(※1)(税込)とします。また、エリーパワー社製などの家庭用リチウムイオン蓄電システム(※2) を新規で購入いただいた当社の戸建住宅オーナーさまからの買取価格は、国内最高値(※3)の22円/kWh(※4)(税込・期間限定)とし、自家消費を推進するとともに、停電時の非常用電源としても活用できる同システムの導入を促進します。 さらに、他社の戸建住宅オーナーさまからも全国一律10円/kWh(税込) で買取ることで、新たな市場を開拓し、リフォームや資産の売買仲介等を行うリブネス事業の強化を図ります。 電力販売は、当社の戸建住宅オーナーさま向け販売メニュー(各電力会社の単価より3%下げた価格)(※1)と、他社の戸建住宅オーナーさま向けの販売メニューを用意しました。 当社が買取った余剰電力の非化石価値(※5)は、「RE100」に加盟している企業や環境意識の高い戸建住宅オーナーさまに販売するほか、当社グループの工場や事業所などで有効活用する予定です。 当社は、再生可能エネルギーの発電から買取・販売まで行うことで、ワンストップのサービスを強化し、「脱炭素社会」の実現に寄与していきます。」 カ 甲8(旭化成ホームズ株式会社、「環境貢献と防災力強化を実現する賃貸住宅とは?」) 甲8には、以下のとおりの記載がある。 「旭化成ホームズでは、カーボンニュートラルな社会実現への貢献の一つとして、2019年9月に、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ「RE100」への参加を宣言し、2025年に目標を達成できる見込みです。 その取り組みの一つが「ヘーベル電気」です。これは、グループ会社が運営する電力小売事業「へーベル電気」を通じて、太陽光発電システムを搭載したヘーベルハウス・へーベルメゾンオーナーから、卒FIT(太陽光発電の固定価格買取期間満了)を迎えた電力を買い取り、旭化成ホームズグループの事業活動で消費する電力に充当するスキームです。 このスキームの鍵となるのが、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。戸建住宅ではZEH化が進んでいますが、今後は賃貸住宅でもZEH-Mの普及が進むと見込まれており、ヘーベルメゾンでも急速に普及が進んでいます。」 「 [図:0001436175000016.jpg] 」 「環境共生賃貸住宅"ZEH-M"とは ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、脱炭素社会の実現に向けた新しい基準を持った家のことです。その基準とは、高断熱・省エネ・創エネによって、1年間で消費する住宅の1次エネルギー量が正味(ネット)でおおむねゼロ以下となる住宅のことです。 そして、そのZEH基準を満たした集合住宅をZEH-M(ゼッチ・マンション)といい、環境貢献するだけでなく、経済性、快適性、安心などのメリットがあります。 ZEH-Mでの創エネは太陽光発電によるものがほとんどですが、ヘーベルメゾンが採用しているフラット屋根なら、屋根面積いっぱいに太陽電池モジュールを設置することができます。勾配屋根に比べ、効率の良い太陽光発電が可能です。」 「環境共生と防災力強化を実現する「Eco レジグリッド」とは 気候変動による異常気象に対応するには、環境共生と防災力(レジリエンス)の強化が必要です。その二つを実現する新しいシステムが「Ecoレジグリッド」です。 このシステムは、ZEH-Mの要件を満たす賃貸住宅「へーベルメゾン」のオーナーから、旭化成ホームズが30年間屋根を賃借し、太陽光発電および売電の運営を行います。太陽光発電設備と蓄電池の設置費用、メンテナンスは旭化成ホームズが負担します。「へーベル電気」を通じて電気を入居者に販売し、余剰電力は旭化成ホームズグループの事業活動に活用するシステムです。」 「 [図:0001436175000017.jpg] 」 「オーナーは、太陽光発電等の設備の設置・維持管理費用の負担なく、環境価値およびレジリエンス性の高い賃貸住宅を保有できることで、入居者の獲得における競争力強化と、脱炭素社会への参画ができます。 一方、入居者にとっても、自然災害による停電時には、蓄電池から共用部に供給される電力により、スマートフォンの充電を行うことができるなど、防災力の高い賃貸住宅で暮らす安心感があります。また、大手電力会社より割安な料金で再生可能エネルギー比率の高い電力を購入でき、脱炭素社会への貢献意識を醸成できます。」 キ 甲9(旭化成ホームズ株式会社、「News Letter『料金お得な電力供給サービス「ヘーベル電気」卒FITオーナーの余剰電力買取を11月より開始』」) 甲9には、以下のとおりの記載がある。 「当社が供給する「ヘーベル電気」の特徴は、電力小売事業者と提携し、家族人数や月々の電気使用量に関わらず、一律にリーズナブルとなる独自の料金プランを設定でき、お客様専用サイトで月々の使用量・料金を確認出来ることなどです。今回、電力の供給に加え、卒FITを迎える太陽光発電設備の余剰電力買取りもできる体制とすることで、これから新築されるお客様も、すでにお住まいのお客様にも、より安心して太陽光発電設備を設置いただきます。さらに蓄電池設置で自家消費を進めるオーナー向けの応援価格としてプレミア買取価格(12円/kwh)を設定することで、蓄電池をも積極的に搭載いただき、災害時における住まいの電力レジリエンス促進を目指します。 なお、当社が買い取った余剰電力は事務所や展示場など事業活動の電力に活用することで、発電・蓄電設備の設置促進と併せて脱炭素社会の実現にも貢献してまいります。 ※1:当社施工の太陽光発電設備に限ります ※2:自給自足運転モード(グリーンモード運転)とすることが条件です」 「 [図:0001436175000018.jpg] 」 (2)理由A(特許法第29条第1項第3号:新規性)、理由B(特許法第29条第2項:進歩性)についての当審の判断 ア 本件発明1について (ア)理由A(特許法第29条第1項第3項)について 上記第4の3(1)イ(ウ)で示したとおり、甲5(引用文献2)には、上記第4の3(1)ア(ク)で示した上記[相違点4]に係る構成は記載されていないから、本件発明1と甲5に記載された発明との間には、上記[相違点4]と同じ相違点があり、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は甲5に記載された発明ではない。 (イ)理由B(特許法第29条第2項)について 甲1の1、2~9のいずれにも上記[相違点4]に係る構成は記載されていないことから、甲1の1又は甲5に記載された発明に、その他の証拠に記載した技術的事項を適用したとしても、上記(ア)の相違点に係る構成に至らないことは明らかである。 したがって、本件発明1は、甲1の1に記載された発明及び甲2~9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲5に記載された発明及び甲1の1、2~4、6~9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 なお、甲2~4、6、8、9のいずれかに記載された発明を主引用発明として、他の証拠に記載された技術的事項を適用したとしても、上記(ア)の相違点に係る構成に至らないことは明らかであるから、本件発明1は、甲2~4、6、8、9のいずれかに記載された主引用発明にその他の証拠に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは明らかである。 イ 本件発明3、本件発明4について(理由B(特許法第29条第2項)について) 本件発明3、本件発明4は、直接的又は間接的に本件発明1を引用する発明であって、本件発明1の構成に限定を加えた発明であるから、いずれも、甲1の1及び甲5に記載された発明との間に上記[相違点4]と同じ相違点を有しているため、上記ア(イ)と同様の理由により、当該相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものではない。 したがって、本件発明3、本件発明4は、甲1の1に記載された発明及び甲2~甲9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲5に記載された発明及び甲1の1、2~4、6~9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 本件発明5について (ア)理由A(特許法第29条第1項第3号)について 本件発明5は、直接的又は間接的に本件発明1を引用する発明であって、本件発明1の構成に限定を加えた発明であるから、本件発明5と甲5発明との間には、上記[相違点4]と同じ相違点があり、上記ア(ア)のとおり実質的な相違点である。 したがって、本件発明5は甲5に記載された発明ではない。 (イ)理由B(特許法第29条第2項)について 上記(ア)の相違点について、上記ア(イ)と同様の理由により、当該相違点に係る構成とすることは、甲1の1及び甲5のいずれかに記載された発明に、その他の証拠に記載した技術的事項を適用したとしても、当業者が容易に想到することができたものではない。 したがって、甲1の1に記載された発明及び甲2~甲9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲5に記載された発明及び甲1の1、2~4、6~9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 エ 本件発明6について(理由B(特許法第29条第2項)について) 本件発明6は、本件発明1の「電力管理システム」の発明を「電力管理方法」として記載した発明であって、上記[相違点4]に係る構成と同様の構成を有しているから、実質的に上記ア(イ)と同様の理由により、甲1の1に記載されたに記載された発明及び甲2~甲9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、甲5に記載された発明及び甲1の1、2~4、6~9に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1~7について訂正することを認める。 本件請求項1、3~6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件請求項1、3~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件訂正前の請求項2、7は、上記のとおり削除された。これにより、異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項2、7に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700399

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