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特許異議申立

2021-700395

未加硫ゴム用防着剤および未加硫ゴム用防着剤水分散液

審判番号
2021-700395
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-507333
登録番号
6782291
請求日
2021年04月27日
審決日
2022年09月29日
公報発行日
2023年01月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
  • 【権利者代理人】辻丸 光一郎
  • 【権利者代理人】中山 ゆみ
  • 【権利者代理人】伊佐治 創
  • 【異議申立人】夏目 由美
審判長/審判官
  • 審判長 細井 龍史
  • 審判官 大島 祥吾
  • 審判官 奥田 雄介
分類
P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6782291号発明「未加硫ゴム用防着剤および未加硫ゴム用防着剤水分散液」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6782291号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6782291号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許6782291号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)3月21日(優先権主張 2016年(平成28年)3月24日)を国際出願日とする特許出願であって、令和2年10月21日にその特許権の設定登録(請求項の数4)がされ、同年11月11日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年 4月27日 : 特許異議申立人 夏目 由美(以下、「 特許異議申立人」という。)による特許 異議の申立て 同年 7月16日付け : 取消理由通知 同年 9月26日 : 特許権者 ライオン・スペシャリティ・ ケミカルズ株式会社(以下、「特許権者」 という。)による訂正請求及び意見書の 提出 同年10月 1日付け : 訂正請求があった旨の通知 同年10月21日 : 特許異議申立人による意見書の提出 同年11月19日付け : 訂正拒絶理由通知 同年12月24日 : 特許権者による意見書及び手続補正書の 提出 令和4年 3月25日付け : 取消理由通知<決定の予告> 同年 5月27日 : 特許権者による訂正請求及び意見書の 提出 同年 6月 3日付け : 訂正請求があった旨の通知 なお、令和4年5月27日提出の訂正請求がされたことにより、令和3年9月26日提出の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和4年5月27日提出の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について当審が付したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「下記成分(A)~(C)を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤。 (A)スメクタイト (B)スメクタイトを除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 と記載されているのを、 「下記成分(A)~(C)を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 に訂正する。 請求項1を直接引用する請求項2についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に、 「下記成分(A)~(C)および水を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤水分散液。 (A)スメクタイト (B)スメクタイトを除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 と記載されているのを、 「下記成分(A)~(C)および水を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤水分散液(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤水分散液を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 に訂正する。 請求項3の記載を直接引用する請求項4についても同様に訂正する。 (3)訂正事項3 願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を、 「 前記目的を達成するために、本発明の未加硫ゴム用防着剤は、 下記成分(A)~(C)を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 に訂正する。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書の段落【0010】の記載を、 「 本発明の未加硫ゴム用防着剤水分散液は、 下記成分(A)~(C)および水を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤水分散液を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 に訂正する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0013】の記載を、 「 本発明の未加硫ゴム用防着剤は、前述のとおり、下記成分(A)~(C)を含み、下記成分(B)が下記成分(B1)を含む(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤は、下記成分(A)~(C)以外の任意成分を、適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 に訂正する。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落【0015】の記載を、 「 本発明の未加硫ゴム用防着剤水分散液は、前述のとおり、成分(A)~(C)および水を含み、成分(B)が成分(B1)を含む(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤水分散液、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤水分散液を除く)。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤水分散液は、成分(A)~(C)および水以外の任意成分を、適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。」 に訂正する。 (7)訂正事項7 願書に添付した明細書の段落【0017】の記載を、 「[スメクタイト(A)] スメクタイト(A)(成分(A))は、特に限定されないが、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト、および、モンモリロナイトを含有するベントナイトに含有される前記モンモリロナイト等が挙げられる。成分(A)は、スメクタイトを1種類のみ含んでいても良いが、2種類以上のスメクタイトを併用しても良い。」 に訂正する。 (8)訂正事項8 願書に添付した明細書の段落【0021】の記載を、 「[成分(B)] 本発明の未加硫ゴム用防着剤の成分(B)は、前述のとおり、成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質である。成分(B)は、例えば、主に滑剤として働く(滑り性を付与する)と考えられる。」 に訂正する。 (9)訂正事項9 願書に添付した明細書の段落【0022】の記載を、 「 成分(B)において、前記成分(A)を除く無機珪酸塩は、特に限定されないが、例えば、カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、セリサイト、ネフェリン・サイヤナイト等のケイ酸塩が挙げられる。前記無機炭酸塩は、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩が挙げられる。前記無機硫酸塩は、特に限定されないが、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩が挙げられる。前記金属酸化物は、特に限定されないが、例えば、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物が挙げられる。前記金属水酸化物は、特に限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物が挙げられる。」 に訂正する。 (10)訂正事項10 願書に添付した明細書の段落【0023】の記載を、 「 また、成分(B)は、前述のとおり、成分(B1)、すなわち、亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸(脂肪酸金属塩)を含む。前記金属石鹸を含むことにより、未加硫ゴム用防着剤の硬度が低減し、防着性が向上すると考えられる。なお、成分(B1)の具体例等については後述する。前記金属石鹸としては、成分(B1)以外には、例えば、脂肪酸のカルシウム塩、バリウム塩等が挙げられる。前記脂肪酸のカルシウム塩、バリウム塩は、特に限定されないが、例えば、後述する成分(B1)の金属(亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属)を、カルシウムまたはバリウムに変えた塩でも良い。なお、これらの例示に係る各金属石鹸は、非水溶性塩であり、アニオン界面活性剤には該当しない。成分(B)は、さらに、無機炭酸塩およびスメクタイトを除く無機珪酸塩の少なくとも一方を含むことが好ましく、その中でもカオリン、マイカ、タルク、炭酸カルシウムの少なくとも一つを含むことが、未加硫ゴム用防着剤の硬度がより低下するため好ましい。硬度低下の観点からは、炭酸カルシウムを含むことがさらに好ましく、カオリン、マイカ、タルクの少なくとも一つと炭酸カルシウムとを共に含むことがさらに好ましい。また、カオリンと、マイカおよび/またはタルクとを併用すると、より優れた防着性が得られるため好ましい。」 に訂正する。 (11)訂正事項11 願書に添付した明細書の段落【0024】の記載を、 「[成分(B1)] 亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸(B1)(成分(B1)、以下において「金属石鹸(B1)」ともいう場合がある。)は、特に限定されないが、例えば、カプリル酸亜鉛、カプリル酸マグネシウム、カプリン酸亜鉛、カプリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、14-オクタデカン酸亜鉛、14-オクタデカン酸マグネシウム、8-オクタデカン酸亜鉛、8-オクタデカン酸マグネシウム、6-オクタデカン酸亜鉛、6-オクタデカン酸マグネシウム、ヤシ脂肪酸亜鉛、ヤシ脂肪酸マグネシウム、パーム油脂肪酸亜鉛、パーム油脂肪酸マグネシウム、パーム核油脂肪酸亜鉛、パーム核油脂肪酸マグネシウム、牛脂脂肪酸亜鉛、牛脂脂肪酸マグネシウム、ひまし油脂肪酸亜鉛、ひまし油脂肪酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属石鹸が挙げられる。」 に訂正する。 (12)訂正事項12 願書に添付した明細書の段落【0054】の記載を、 「[実施例1~14、比較例1~2] 下記表1および2に示す重量(質量)比率で、(A)~(C)成分を混練して、均一粉体からなる各例の防着剤を調製した。そして、得られた各防着剤を水道水に攪拌しながら加え、防着剤の濃度が2質量%である防着剤懸濁液を調製した。なお、下記表1および2中、ヤシアルコールEO付加物「レオックスCC-150」、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム「リポランLB-840」は、それぞれ、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の商品名である。ステアリン酸亜鉛「ジンクステアレートGP」、ステアリン酸マグネシウム「マグネシウムステアレートGR」は、それぞれ、日油株式会社の商品名である。ベヘン酸亜鉛「ZS-7」、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛「ZS-6」は、それぞれ、日東化成工業株式会社の商品名である。」 に訂正する。 (13)訂正事項13 願書に添付した明細書の段落【0055】の記載を、 「【表1】 [図:0001393052000001.jpg] 」に訂正する。 (14)訂正事項14 願書に添付した明細書の段落【0056】の記載を、 「【表2】 [図:0001393052000002.jpg] 」 に訂正する。 (15)訂正事項15 願書に添付した明細書の段落【0057】、【0064】、【0069】、【0070】に、 「実施例1~19」 と記載されているのを、 「実施例1~14」 に訂正する。 なお、訂正事項1ないし15は、請求項1ないし4に係る一群の請求項ごとの訂正である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1に係る請求項1及び2の訂正ついて 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、未加硫ゴム用防着剤から炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除いて特許請求の範囲を減縮するとともに、「スメクタイトを除く」を「成分(A)を除く」と訂正して記載を明確にするものであるから、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項1に係る請求項2の訂正についても同様である。 (2)訂正事項2に係る請求項3及び4の訂正について 訂正事項2に係る請求項3の訂正は、未加硫ゴム用防着剤水分散液から炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除いて特許請求の範囲を減縮するとともに、「スメクタイトを除く」を「成分(A)を除く」と訂正して記載を明確にするものであるから、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項2に係る請求項3の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項2に係る請求項4の訂正についても同様である。 (3)訂正事項3ないし15の訂正について 訂正事項3ないし15の訂正は、訂正事項1及び2により訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項3ないし15の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」という。)は、令和4年5月27日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定された次のとおりのものである。 「【請求項1】 下記成分(A)~(C)を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸 【請求項2】 成分(A)~(C)の質量の合計に対して、 成分(A)の含有率が10質量%以上50質量%以下であり、 成分(C)の含有率が2質量%以上25質量%以下であり、 成分(B1)の含有率が2質量%以上25質量%以下である前記請求項1記載の未加硫ゴム用防着剤。 【請求項3】 下記成分(A)~(C)および水を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤水分散液(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸 【請求項4】 成分(A)~(C)の質量の合計に対して、 成分(A)の含有率が、10質量%以上50質量%以下であり、 成分(C)の含有率が、2質量%以上25質量%以下であり、 成分(B1)の含有率が2質量%以上25質量%以下である前記請求項3記載の未加硫ゴム用防着剤水分散液。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び取消理由の概要 1 特許異議申立書に記載した申立理由の概要 令和3年4月27日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 (1)申立理由1(甲第1号証に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (2)申立理由2(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)申立理由3(明確性) 本件特許の請求項2に係る発明において、スメクタイト(A)の含有率が一義的に定まらないため、不明確である。本件特許の請求項4に係る発明についても同様である。 よって、本件特許の請求項2及び4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (4)証拠方法 甲第1号証:韓国KR10-0337547号明細書 なお、証拠の表記は、特許異議申立書の記載に従った。以下、「甲1」という。 2 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由の概要 当審が令和4年3月25日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨は、次のとおりであり、特許異議申立書に記載した申立理由(1)ないし(3)を含むものである。 (1)取消理由1(甲1に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (2)取消理由2(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 (3)取消理由3(明確性) 本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件特許の請求項1ないし4には、「下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であること」が特定されているが、「モンモリロライトを含有するベントナイト」が配合されていた場合、当該「モンモリロライトを含有するベントナイト」の全量がスメクタイト(A)に含まれるのか、あるいは、「モンモリロライトを含有するベントナイト」のなかに配合されている「モンモリロライト」の含有量が、スメクタイト(A)に含まれることになるのかがわからず、明確でない。 また、本件特許の請求項2及び4には、「成分(A)~(C)の質量の合計に対して、 成分(A)の含有率が10質量%以上50質量%以下であり、 成分(C)の含有率が2質量%以上25質量%以下であり、 成分(B1)の含有率が2質量%以上25質量%以下である」 と特定されているが、「モンモリロライトを含有するベントナイト」が配合されていた場合、当該「モンモリロライトを含有するベントナイト」の全量がスメクタイト(A)に含まれるのか、あるいは、「モンモリロライトを含有するベントナイト」のなかに配合されている「モンモリロライト」の含有量が、スメクタイト(A)に含まれることになるのかがわからず、その結果、そのような場合に、成分(A)、成分(B)、成分(C)の含有量が特定できないため、明確でない。 第5 取消理由通知<決定の予告>についての当審の判断 当審は、本件特許は、以下に示すように、上記取消理由通知<決定の予告>に記載の取消理由1ないし3について理由はないと判断する。 1 取消理由1及び2について(甲1に基づく新規性・進歩性) (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、おおむね次の事項が記載されている。原文の摘記は省略し、翻訳文のみ記載する。 (ア)「公告日 2002年5月22日」 (イ)「未加硫ゴムシート用防着剤」(甲1の発明の名称) (ウ)「本発明は、タイヤなどの製造において、ゴム組成物の配合後に得られた未加硫ゴムシート間の接着を防止するために使用される防着剤に関するものであり、より詳細には、付着性、耐腐食性などが改善された防着剤に関するものである。 タイヤなどの製造において、一定のゴム組成物をゴム混練機、例えばバンバリーミキサーなどで配合した後、これを次の工程で使用するために、シート状に重ねる。その際、シート状に積載されているゴム間の接着を防止するために、ゴムシートの防着剤を使用する。」(2頁1~5行) (エ)「これを解決するための方策として、粉体を界面活性剤と組み合わせ、補助剤として無機粉体とステアリン酸亜鉛を使用した防着剤が開発され、広く使用されてきた。」(2頁8~9行) (オ)「このような無機粉体-界面活性剤の防着剤は粉末状態であり、これを水の重量比で2~5部の溶液にして、ゴムの表面に塗布した後、乾燥すると防着性能を発揮してゴムシート用防着剤となる。」(2頁10~11行) (カ)「本発明の目的は、付着性、耐腐食性が向上した未加硫ゴムシート用防着剤を提供することにある。」(2頁下から1行) (キ)「本発明では、界面活性剤として非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を適切に配合する。」(3頁下から5行) (ク)「他の消泡剤と安息香酸ソーダ、そしてステアリン酸亜鉛のようなステアリン酸塩等の補助剤を添加することができる。」(4頁8~9行) (ケ)「実施例1~3及び比較例1~4 次の表1に示すような組成と含址で通常の防着剤の製造方法を使用して、防着剤を製造した。」(4頁13~14行) (コ)「 [図:0001393052000003.jpg] 」 (サ)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 無機粉体に界面活性剤、防汚助及び助剤を添加してなる未加硫ゴムシート用防着剤において、前記防着剤は、無機粉体100状両部及び炭素数1~18のアルキルシラン6.0~12.0重量部を含むことを特徴とする、未加硫ゴムシート用防着剤。」(特許請求の範囲の請求項1) イ 甲1に記載された発明 甲1の上記アの記載から、実施例1ないし3として記載されている防着剤として、甲1には次の発明(以下、「甲1防着剤発明1ないし3」という。)が記載されていると認める。 <甲1防着剤発明1> 「シリカ:300、ベントナイト:185、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:50、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:8.5を配合した未加硫ゴム用防着剤。」 <甲1防着剤発明2> 「シリカ:250、ベントナイト:235、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:50、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:6.5を配合した未加硫ゴム用防着剤。」 <甲1防着剤発明3> 「シリカ:200、ベントナイト:285、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:45、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:4.5を配合した未加硫ゴム用防着剤。」 また、上記ア(オ)の記載から、甲1防着剤発明1ないし3の防着剤を水の重量比で2~5部の溶液としたものとして、以下の発明(以下、「甲1水溶液発明1ないし3」という。)が実質的に記載されていると認める。 <甲1水溶液発明1> 「シリカ:300、ベントナイト:185、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:50、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:8.5を配合した未加硫ゴム用防着剤及び水を含む溶液。」 <甲1水溶液発明2> 「シリカ:250、ベントナイト:235、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:50、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:6.5を配合した未加硫ゴム用防着剤及び水を含む溶液。」 <甲1水溶液発明3> 「シリカ:200、ベントナイト:285、炭酸カルシウム:100、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩:100、界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15:25、界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO25:15、界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113:50、造粘剤であるカルボキシセルロース:8、増粘剤である水素化でんぷん:100、消泡剤であるノンシリコーン型ミネラルオイル:20、アルキルシラン:45、安息香酸ソーダ:2、硝酸ナトリウム:4.5を配合した未加硫ゴム用防着剤及び水を含む溶液。」 (2)本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1防着剤発明1ないし3とを対比する。 甲1防着剤発明1ないし3における「ベントナイト」は、モンモリロナイトが主成分であるから、そのモンモリロナイトの部分が、本件特許発明1の「(A)スメクタイト」に相当する。 甲1防着剤発明1ないし3における「シリカ、炭酸カルシウム、Zinc stea rateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩」は、本件特許発明1の「成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質」に相当する。 甲1防着剤発明1ないし3における「Zinc stearateまたはCalcium stearateであるステアリン酸塩」は、本件特許発明1の「(B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」に相当する。 甲1防着剤発明1ないし3は、甲1の特許請求の範囲の記載「無機粉体に界面活性剤、防汚助及び助剤を添加してなる未加硫ゴムシート用防着剤において、前記防着剤は、無機粉体100状両部及び炭素数1~18のアルキルシラン6.0~12.0重量部を含むことを特徴とする、未加硫ゴムシート用防着剤。」(上記(1)ア(サ))の実施例であるから、甲1防着剤発明1ないし3に配合されているアルキルシランは、本件特許発明1の「炭素数1~18のアルキルシラン」に相当する。 甲1防着剤発明1ないし3における「界面活性剤のNP1015であるNonylphenol EO15」、「界面活性剤のNP1025であるNonylphenol EO2」、「界面活性剤であるK-soap:50、界面活性剤であるEDO113」は、本件特許発明1の「界面活性剤」に相当する。 そして、甲1防着剤発明1ないし3においての「成分(B1)の成分(B)全体の質量の合計に対しての含有率」は、甲1防着剤発明1ないし3における「ベントナイト」に占めるモンモリロナイト(ベントナイトの主成分がモンモリロナイトであることから、少なくとも50~100%を占めるものといえる)は、それぞれ、19.6~23.1(%)、20.4~25.5(%)、21.3~28.6(%)であるから、甲1防着剤発明1ないし3は、本件特許発明1の「成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下である」を満足している。 さらに、本件特許発明1は、消泡剤、濡れ性補助剤、粘性補助剤、異物低減補助剤などの添加剤が任意成分として含くまれていてもよいものである(本件特許明細書の段落【0035】参照)。 そうすると、本件特許発明1と甲1防着剤発明1ないし3とは、 「下記成分(A)~(C)を含み、 下記成分(B)が下記成分(B1)を含み、下記成分(B1)の含有率が、下記成分(B)全体の質量の合計に対し2質量%以上50質量%以下であることを特徴とする未加硫ゴム用防着剤。 (A)スメクタイト (B)成分(A)を除く無機珪酸塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト、および金属石鹸からなる群から選択される少なくとも一つの物質 (C)界面活性剤 (B1)亜鉛およびマグネシウムの少なくとも一方の金属石鹸」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件特許発明1は、「(但し、炭素数1~18のアルキルシランを含む未加硫ゴム用防着剤、シリカを含む未加硫ゴム用防着剤、および、ノニルフェノールEO付加物を含む未加硫ゴム用防着剤を除く)」と特定するのに対し、甲1防着剤発明1ないし3は、シリカ、アルキルシラン(炭素数1~18のアルキルシラン)、NP1015及びNP1025(ノニルフェノールEO付加物)を含む未加硫ゴム用防着剤である点 以下、相違点1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲1防着剤発明1ないし3は、シリカ、アルキルシラン(炭素数1~18のアルキルシラン)及びNP1015及びNP1025(ノニルフェノールEO付加物)を含有するものであるから、相違点1は実質的な相違点である。 次に、進歩性について、言い換えると、甲1防着剤発明1ないし3から、シリカ、アルキルシラン及びNP1015及びNP1025が除かれている本件特許発明1を想到することが容易になし得ることであるかについて検討する。 甲1防着剤発明1ないし3は、甲1の2上記(1)(カ)によれば、付着性、耐腐食性が向上した未加硫ゴムシート用防着剤を提供することを課題としてなされた発明の具体的な実施例として記載されている発明である。 そして、甲1防着剤発明1ないし3の具体的な成分の技術的な意味については、特許異議申立人は、翻訳文を提出していないから不明である。 そうすると、提出された証拠の限りにおいては、シリカ、アルキルシラン及びNP1015及びNP1025を含む防着剤発明である甲1防着剤発明1ないし3から、シリカ、アルキルシラン及びNP1015及びNP1025を除くことが容易であるとはいえない。 また、本件特許発明1は、防着性と、防着剤起因の異物低減とを両立可能とできるものであり(本件特許明細書の【0011】)、本件特許発明1の奏する効果は、特許異議申立人が提示する証拠からは、当業者が予測可能なものであるということはできない。 したがって、本件特許発明1は、甲1防着剤発明1ないし3でないし、甲1防着剤発明1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件特許発明2について 本件特許発明2は、請求項1を直接引用するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1防着剤発明1ないし3でないし、甲1防着剤発明1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (4)本件特許発明3について 本件特許発明3と甲1水溶液発明1ないし3とを対比すると、上記(2)と同様のことがいえるから、本件特許発明3は、甲1水溶液発明1ないし3でないし、甲1水溶液発明1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件特許発明4について 本件特許発明4は、請求項3を直接引用するものであって、請求項3に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明3と同様に、甲1水溶液発明1ないし3でないし、甲1水溶液発明1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (6)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1及び2には理由がない。 2 取消理由3(明確性)について 本件訂正請求による訂正の訂正事項1、3及び7により、成分(A)と成分(B)は異なるもので、成分(A)にはベントナイトに含まれるモンモリロナイトのみが含まれることが明らかになった。よって、本件特許発明1ないし4における成分(A)と成分(B)は明確に区別できる。 したがって、上記取消理由3には、理由がない。 第6 むすび 上記第5のとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、取消理由通知<決定の予告>及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700395

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