2021-700249
スロットマシン
- 審判番号
- 2021-700249
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-064411外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6762117
- 請求日
- 2021年03月08日
- 審決日
- 2022年01月05日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.851-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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特許第6762117号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年3月28日に特許出願されたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、上記訂正請求書の記載によれば、以下の訂正事項1ないし5のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、」と「第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、」との間に、
「前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段と、」
を加える。
(2) 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、」と「前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と、」との間に、
「 前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段と、」
を加える。
(3) 訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と、」と「を備え、」との間に、
「 前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段と、前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段と、前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段と、前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプと、前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段と、前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段と、」
を加える。
(4) 訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項1において、
「を備え、」と「前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であり、」との間に、
「 前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開し、」
を加える。
(5) 訂正事項5
本件特許の明細書の段落【0008】において、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、抽選用数値を更新する数値更新手段と、前記数値更新手段によって更新された抽選用数値を抽出する数値抽出手段と、続きを表示(全15行)前記数値抽出手段によって抽出された抽選用数値に基づき、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と、を備え、前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であり、前記事前決定手段の決定結果は、前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第1所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果となり、前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲より広い第2所定数値範囲に属するときに前記所定決定結果となり、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記特別決定結果となり、前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であり、前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第2所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能である。」
と記載されているのを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、抽選用数値を更新する数値更新手段と、前記数値更新手段によって更新された抽選用数値を抽出する数値抽出手段と、続きを表示(全24行)前記数値抽出手段によって抽出された抽選用数値に基づき、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段と、第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段と、前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と、前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段と、前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段と、前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段と、前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプと、前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段と、前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段と、を備え、前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開し、前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であり、前記事前決定手段の決定結果は、前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第1所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果となり、前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲より広い第2所定数値範囲に属するときに前記所定決定結果となり、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記特別決定結果となり、前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であり、前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第2所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能である。」
に訂正する。
2 訂正事項についての判断
(1) 訂正事項1
ア 新規事項の有無
本件特許の明細書及び図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0052】には、「遊技者が前記可変表示部の変動表示を開始させる開始操作手段(スタートスイッチ)と、前記開始操作手段が操作された後において受付条件(第1有効化条件および第2有効化条件)が成立したときに、表示結果を導出させるための操作を受付け可能とする(ストップスイッチへの操作を有効とする)導出操作受付手段とを備え、・・・」と記載されており、同段落【0492】には、「ここで、スタートスイッチ8が操作(以下、レバーオン操作ともいう)されたときにおいて、3つのリールの回転を開始させるリール回転開始処理、およびストップスイッチへの操作を有効化させる有効化処理について説明する。まず、リール回転開始処理について説明する。遊技者により、レバーオン操作されたときには、前回のゲームにおけるリール回転開始処理から所定のウエイトタイム(たとえば、4.1秒)以上経過したか否かが判断される。該レバーオン操作されたときにおいて、前回のゲームにおけるリール回転開始処理から4.1秒以上経過したと判断されたときには、該レバーオン操作時において、リール回転開始処理を実行する。一方、該レバーオン操作されたときにおいて、前回のゲームにおけるリール回転開始処理から4.1秒経過していないと判断されたときには、該前回のゲームにおけるリール回転開始処理から4.1秒経過したときに、リール回転開始処理を実行する。」と記載されており、同段落【0493】には、「次に、有効化処理について説明する。有効化処理は、リール回転処理が実行された後において、第1有効化条件および第2有効化条件の双方が成立したときに実行される。第1有効化条件は、全てのリール2L,2C,2Rの回転速度が定速になることにより成立する条件である。第2有効化条件は、リールセンサ33L、33C、33Rが、対応するリール2L,2C,2Rの基準位置を検出したことにより成立する条件である。基準位置とは、たとえば、リール2L,2C,2Rに設けられた印(たとえば、切欠)が設けられた位置である。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「開始操作手段が操作された後において受付条件(第1有効化条件および第2有効化条件)が成立したときに、表示結果を導出させるための操作を受付け可能とする(ストップスイッチへの操作を有効とする)導出操作受付手段」は、訂正事項1における「可変表示部の変動表示が開始した後、」「有効化条件が成立したときに」「導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段」といえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項1に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段」を備える点を限定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
以上のことから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2) 訂正事項2
ア 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0159】には、「なお、メイン制御部41は、ナビ演出を実行する場合、遊技補助表示器12の各セグメントのうち、正解手順を特定可能となるように対応するセグメント(「8」を構成する第1~第7セグメント)を点灯状態にするとともに、ナビ報知であるか否かを特定するためのセグメント(右下の「。」を構成する第8セグメント)を点灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。これにより、メイン制御部側において正解手順を特定するためのナビ演出が実行可能となる。一方、メイン制御部41は、標準手順を報知、つまりナビ演出を実行しない場合には、遊技補助表示器12の全てのセグメント(第1~第8セグメント)を消灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。」と記載されており、同段落【0194】には、「[ナビ演出について]AT中は、当選状況に応じて、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(正解手順)を特定可能なナビ演出が実行される。AT中において、メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いて、内部抽選処理において当選したナビ対象役に応じた正解手順を特定可能な情報(たとえば、押し順)を報知するための処理を実行する。・・・」と記載されており、同段落【0199】には、「メイン制御部41は、前述したとおり、遊技補助表示器12においてナビ演出(ナビ報知)を行うためのナビ報知表示データを設定する。具体的に、図16(a)に示す表示例(以下ではナビ番号ともいう)となるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とするナビ報知表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12においてナビ演出を実行するように制御する。一方、ナビ演出を実行しない場合(標準手順報知時)には、ナビ報知表示データとして出力バッファの初期値を設定、すなわち遊技補助表示器12の出力バッファを初期化して、遊技補助表示器12のセグメントを全て消灯状態に設定することで、遊技補助表示器12を非表示に制御する。これにより、標準手順である場合には、遊技補助表示器12によるナビ演出が実行されない。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「遊技補助表示器12」は、訂正事項2における「報知手段」といえる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項2は、「スロットマシン」が「前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段」を備える点を限定するものであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
以上のことから、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3) 訂正事項3
ア 訂正事項3-1
訂正事項3のうち、「前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段と、」の記載を加える訂正を訂正事項3-1とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0182】には、「・・・1ゲーム当たりの純増枚数(1ゲームにおいて付与されたメダル枚数から1ゲームの賭数設定に用いたメダル枚数を減算した枚数)・・・」と記載されており、同段落【0189】には、「また、メイン制御部41は、ゲーム数に加えて、AT初当りしたときからの一連のAT中の純増枚数をカウントする。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームにおける純増枚数を最初にカウントし、それ以降の毎ゲーム、純増枚数をカウントして加算していく。カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)はRAMの所定領域に記憶される。・・・」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「純増枚数をカウント」する「メイン制御部41」は、訂正事項3-1における「計数手段」といえる。
したがって、訂正事項3-1に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-1に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項3-2
訂正事項3のうち、「前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段と、」の記載を加える訂正を訂正事項3-2とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0166】には、「また、メイン制御部41は、AT抽選でATゲームを付与すると決定した場合にATに制御し、・・・」と記載されており、同【0167】に、「メイン制御部41は、AT当選しているときにはAT開始タイミングとなったときに、メイン制御部41のRAMの所定領域にATフラグを設定(記憶)してATに制御する。メイン制御部41は、ATフラグに基づいてAT中であるか否かを特定する。具体的に、メイン制御部41は、AT抽選によって付与されたATゲーム数に亘ってATフラグを設定する。そして、メイン制御部41は、全てのATゲームを消化したときにATフラグをクリアする。このように、メイン制御部41は、付与されたATゲームを消化することによってATに制御する。なお、ATフラグは、ATゲーム数が0に達したときにクリアされるが、本実施の形態においては、後述するリミット処理が実行されたときにも、ATフラグがクリアされる。」と記載されており、同【0189】には、「また、メイン制御部41は、ゲーム数に加えて、AT初当りしたときからの一連のAT中の純増枚数をカウントする。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームにおける純増枚数を最初にカウントし、それ以降の毎ゲーム、純増枚数をカウントして加算していく。カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)はRAMの所定領域に記憶される。・・・すなわち、メイン制御部41は、一連のAT中におけるカウントゲーム数が1500ゲームに達するか、あるいはカウント純増枚数が3000枚に達する場合に、リミット処理を実行する。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「AT抽選でATゲームを付与すると決定」する「メイン制御部41」は、訂正事項3-2における「報知状態決定手段」といえ、また、「AT当選しているときにはAT開始タイミングとなったときに、メイン制御部41のRAMの所定領域にATフラグを設定(記憶)してATに制御」するとともに、「カウント純増枚数が3000枚に達する場合に、リミット処理を実行」し、「ATフラグをクリアする」「メイン制御部41」は、訂正事項3-2における「報知状態制御手段」といえる。
したがって、訂正事項3-2に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-2に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 訂正事項3-3
訂正事項3のうち、「前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段と、」の記載を加える訂正を訂正事項3-3とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0292】には、「一方、メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0である場合(S37でYES)、任意の終了条件が成立したか否かを判定する(S38)。任意の終了条件には、たとえば、カウント純増枚数が3000枚に達することが含まれる。メイン制御部41は、任意の終了条件が成立していない場合(S38でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、任意の終了条件が成立した場合(S38でYES)、すなわち、カウントゲーム数が1500ゲームに達していない場合であっても、カウント純増枚数が3000枚に達している場合、クリアカウンタに0を設定する(S39)。」と記載されており、同段落【0293】には、「次に、メイン制御部41は、初期化処理を行い(S40)、有利区間に関わる全ての情報を初期化する。これにより、たとえば、リミット処理が行われてATが終了するとともに、背景演出も通常背景に切り替わる。なお、リミット処理を含む初期化処理は、設定値に関わらず実行される。その後、メイン制御部41は、当選報知LED70を消灯させる(S41)。それ以降、メイン制御部41は、通常区間処理へ移行し(S42)、本ルーチンを終了する。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「カウント純増枚数が3000枚に達することが」「終了条件」であり、「カウント純増枚数が3000枚に達している場合」、「リミット処理が行われて」、「ATが終了する」ようにした「メイン制御部41」は、訂正事項3-3における「報知状態終了手段」といえる。
したがって、訂正事項3-3に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-3に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-3に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
エ 訂正事項3-4
訂正事項3のうち、「前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプと、」の記載を加える訂正を訂正事項3-4とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0093】には、「・・・さらに、前面扉1bには、報知手段の一例として、CZ当選やAT当選をLEDランプの点灯によって報知する当選報知LED70が設けられている。・・・」と記載されており、同段落【0286】には、「次に、メイン制御部41は、有利区間移行処理を実行する。有利区間移行処理において、メイン制御部41は、まずクリアカウンタに1を設定する(S16)。たとえば、AT当選やCZ当選した場合、当該AT当選やCZ当選したゲームを1ゲーム目として、カウントゲーム数がカウントされる。次に、メイン制御部41は、当選報知LED70を点灯する(S18)。・・・」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「CZ当選やAT当選をLEDランプの点灯によって報知する当選報知LED70」は、訂正事項3-4における「報知ランプ」といえる。
したがって、訂正事項3-4に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-4に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプ」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
オ 訂正事項3-5
訂正事項3のうち、「前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段と、」の記載を加える訂正を訂正事項3-5とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0166】、【0167】には、「・・・本実施の形態において、付与されたATゲーム数は、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶される。」「メイン制御部41は、AT当選しているときにはAT開始タイミングとなったときに、メイン制御部41のRAMの所定領域にATフラグを設定(記憶)してATに制御する。・・・」と記載されており、同段落【0186】には、「[リミット処理]本実施の形態において、メイン制御部41は、AT初当りしたときからの一連のAT中のゲーム数をカウントする。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームを1ゲーム目として、それ以降の毎ゲームをカウントして加算していく。カウントされたゲーム数(カウントゲーム数とも称する)はRAMの所定領域に格納されたクリアカウンタによってカウントされる。・・・」と記載されており、同段落【0189】には、「また、メイン制御部41は、ゲーム数に加えて、AT初当りしたときからの一連のAT中の純増枚数をカウントする。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームにおける純増枚数を最初にカウントし、それ以降の毎ゲーム、純増枚数をカウントして加算していく。カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)はRAMの所定領域に記憶される。・・・」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「ATゲーム数」を「所定領域」に「記憶」する「メイン制御部41のRAM」、「所定領域にATフラグ」を「記憶」する「メイン制御部41のRAM」、「カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)」を「所定領域に記憶」する「RAM」は、訂正事項3-5における「記憶手段」といえる。
したがって、訂正事項3-5に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-5に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-5に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
カ 訂正事項3-6
訂正事項3のうち、「前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段と、」の記載を加える訂正を訂正事項3-6とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0292】及び【0293】には、「一方、メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0である場合(S37でYES)、任意の終了条件が成立したか否かを判定する(S38)。任意の終了条件には、たとえば、カウント純増枚数が3000枚に達することが含まれる。メイン制御部41は、任意の終了条件が成立していない場合(S38でNO)、本ルーチンを終了する。一方、メイン制御部41は、任意の終了条件が成立した場合(S38でYES)、すなわち、カウントゲーム数が1500ゲームに達していない場合であっても、カウント純増枚数が3000枚に達している場合、クリアカウンタに0を設定する(S39)。」「次に、メイン制御部41は、初期化処理を行い(S40)、有利区間に関わる全ての情報を初期化する。これにより、たとえば、リミット処理が行われてATが終了するとともに、背景演出も通常背景に切り替わる。なお、リミット処理を含む初期化処理は、設定値に関わらず実行される。その後、メイン制御部41は、当選報知LED70を消灯させる(S41)。それ以降、メイン制御部41は、通常区間処理へ移行し(S42)、本ルーチンを終了する。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「メイン制御部41は、初期化処理を行い(S40)、有利区間に関わる全ての情報を初期化」し、「その後、メイン制御部41は、当選報知LED70を消灯させる」ことは、訂正事項3-6における「前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる」ことであるといえ、また、本件特許明細書等に記載された「メイン制御部41」は、訂正事項3-6における「初期化手段」といえる。
したがって、訂正事項3-6に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項3-6に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3-6に係る訂正は、「スロットマシン」が「前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項3-6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
キ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3-1ないし3-6を含む訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ク 小括
以上のことから、請求項1に係る訂正事項3-1ないし3-6を含む訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4) 訂正事項4
ア 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0214】には、「また、メイン制御部41は、スロットマシン1への電力供給が再開されて、メイン制御部41が復帰したときに、遊技補助表示器12の出力バッファにナビ報知表示データを再設定し、その後、該当するリールが定速回転となったときに、当該リールのストップスイッチによる停止操作の受け付けを有効化するように制御するので、スロットマシン1への電力供給が再開された際には、遊技補助表示器12にナビ報知によるナビ番号の表示が開始させた後に、ストップスイッチによる停止操作の受け付けが有効化されるようになっている。」と記載されている。
そして、本件特許明細書等に記載された「スロットマシン1への電力供給が再開されて、メイン制御部41が復帰したときに、遊技補助表示器12の出力バッファにナビ報知表示データを再設定し、その後、該当するリールが定速回転となったときに、当該リールのストップスイッチによる停止操作の受け付けを有効化するように制御する」ことは、訂正事項4における「電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開」することといえることから、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項4は、訂正事項2として訂正する「報知手段」に関して、さらに「前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開し、」との限定を加えるものであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
以上のことから、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(5) 訂正事項5
ア 新規事項の有無
訂正事項5に係る訂正は、本件特許の明細書の段落【0008】の記載を訂正事項1ないし4に係る訂正により訂正された請求項1の記載と整合をとるためのものであるから、訂正事項1ないし4において検討したとおり、訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書等から自明な事項であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。このことから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項5に係る訂正は、本件特許の明細書の段落【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
3 訂正についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正請求に係る訂正を認める。
第3 本件訂正発明
上記「第2 訂正の適否について」に記したように、本件訂正は認められることとなったので、訂正後の本件特許の請求項1に係る発明は、次の事項により特定される発明であると認める。
なお、本件訂正により訂正された請求項1に係る発明を、「本件訂正発明」という。また、AないしUの符号は、当審にて分説して付与したものである。
【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 抽選用数値を更新する数値更新手段と、
D 前記数値更新手段によって更新された抽選用数値を抽出する数値抽出手段と、
E 前記数値抽出手段によって抽出された抽選用数値に基づき、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
F 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
G 前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段と、
H 第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、
I 前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段と、
J 前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と、
K 前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段と、
L 前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段と、
M 前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段と、
N 前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプと、
O 前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段と、
P 前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段と、
を備え、
Q 前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開し、
R 前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であり、
S 前記事前決定手段の決定結果は、
S1 前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第1所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果となり、
S2 前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲より広い第2所定数値範囲に属するときに前記所定決定結果となり、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記特別決定結果となり、
T 前記報知状態決定手段は、
T1 前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であり、
T2 前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第2所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能である、
U スロットマシン。
第4 特許異議の申立てについて
1 特許異議の申立ての概要
特許異議申立人(以下、「申立人」という。)は、下記甲第1号証(以下、申立人が提出した各甲号証を、以下「甲1」等と略して示す。)を提出した。
そして、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第7頁の「4 申立ての理由」「(3) 申立ての根拠」の項、及び、第43頁の「(5) むすび」の項に記載された条文に鑑み、申立理由を整理すると、以下の(申立理由)を申立人は主張している。
(申立理由)
理由1
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に規定された発明に対して付与されたものであるから、本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由2
本件特許の請求項1に係る発明の特許は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 令和3年6月15日付け取消理由の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和3年6月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(取消理由)
理由1
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
理由2
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 令和3年9月9日付け意見書(特許権者)の概要
特許権者は、令和3年6月15日付け取消理由における理由1及び理由2に関して、甲1には、本件訂正発明の構成K、L、M、N、P、及びQが記載されていないため、本件訂正発明は甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないことから、本件特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反したものではなく、取り消されるべきものではない旨を主張している。
4 令和3年11月5日付け意見書(申立人)の概要
申立人は、令和3年11月5日付け意見書(以下、「申立人意見書」という。)とともに下記甲2ないし甲4を提出した。
そして、本件訂正発明において、
訂正事項1に係る構成である「前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段」を備える点は、甲2に、
訂正事項2に係る構成である「前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段」を備える点は、甲3に、
訂正事項3に係る構成のうち、「前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段」を備える点は、甲3に、
訂正事項3に係る構成のうち、「前記報知状態決定手段が前記報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段」を備える点は、甲3に、
訂正事項3に係る構成のうち、「前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段」を備える点は、甲3に、
訂正事項3に係る構成のうち、「前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプ」を備える点は、甲2に、
訂正事項3に係る構成のうち「前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段」を備える点は、甲2に、
訂正事項3に係る構成のうち「前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段」を備える点は、甲2に、
訂正事項4に係る構成である「前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開」する点は、甲4に記載されていることから、本件訂正発明は、甲1に記載された発明と、甲2ないし4に記載された発明とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
5 各甲号証の記載
(1) 甲1に記載された事項及び甲1に記載された発明
ア 甲1に記載された事項
取消理由で引用した甲1(特開2014-147603号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、合議体により付加した。以下同様)。
甲1-ア
「【0016】上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を回胴式遊技機に適用した実施例について説明する。【0017】A.回胴式遊技機の装置構成 :A?1.全体構成 :図1は、本実施例の回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域(2ma,2mb)と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。」
甲1-イ
「【0019】前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、遊技機1の内部に回転可能に設けられた3つの回胴20a,20b,20cを視認可能となっている。後述するように各回胴の外周面には複数種類の図柄が描かれており、本実施例の表示窓20の大きさは、各回胴あたり図柄が3つずつ表示される大きさに設定されている。従って、3つの回胴20a,20b,20bが停止すると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が停止表示される。そして、表示窓20内には、これら9つの図柄が停止表示される位置に複数本の入賞ラインが設定されている。図1に示した例では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上向きの入賞ラインL4と右斜め下向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技機1の種々の状態を表示する各種の表示パネル22が設けられている。」
甲1-ウ
「【0021】また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始させるためのスタートレバー36や、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。尚、本実施例のスタートレバー36は、本発明の「開始操作部」に相当し、本実施例の回胴停止ボタン38a,38b,38cは、本発明の「停止操作部」に相当している。」
甲1-エ
「【0025】A?2.電気的構成 :図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図3に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータを通信可能に接続されて構成されている。これら各種制御基板および基板は、遊技機1の内部に搭載されている。【0026】主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の制御を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて搭載されており、扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を送信することにより、これら各種基板の動作を制御している。」
甲1-オ
「【0034】規定数の遊技メダルを投入して、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図2を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が回転を停止する。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、表示窓20に設定された入賞ライン(L1~L5)上には、何らかの図柄組合せが得られる。このとき、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。」
甲1-カ
「【0040】C.遊技機の制御内容 :C-1.遊技制御処理 :図5は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図6は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が入れられて、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。」
甲1-キ
「【0045】内部抽選処理では、図4を用いて前述した遊技役の中から成立を許容する遊技役(当選役)を、抽選によって決定する処理を行う。但し、この抽選で何れかの遊技役に当選した(成立が許容された)としても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ遊技役を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることはできないようになっている。そうした意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。【0046】この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、抽選テーブルには、遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている。ここで、内部抽選用乱数値とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取った際に取得する乱数の値である。内部抽選用乱数値を2バイトデータとすれば、0~65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数値は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。【0047】図7は、最も一般的な遊技状態である通常状態中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図7(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数値の範囲が示されている。また、図7(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図示されているように、通常状態用の抽選テーブルでは、「ベル役」に対しては0~11999の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベル役に内部当選することを表している。【0048】また、「スイカ役」に対しては12000~13999の乱数値が設定され、「チェリー役」には14000~15999の乱数値が設定され、「赤7のボーナス役」には16000~16499の乱数値が設定され、「青7のボーナス役」には16500~16999の乱数値が設定されている。さらに、「特殊再遊技役」には17000~23599の乱数値が設定され、「通常再遊技役」には23600~32599の乱数値が設定されている。尚、32600~65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。 」
甲1-ク
「【0054】尚、前述したように、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、RT状態が開始される。この特殊再遊技役を成立させるには、内部当選している特殊再遊技役に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しなければならず、容易なことではない。但し、本実施例の遊技機1では、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる期間(アシストタイム期間、以下、AT期間と略記)が設けられており、報知された押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すれば、特殊再遊技役を成立させることができる。こうした報知演出は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって制御されるが、AT期間を発生させるか否かの抽選(AT発生抽選)は、主制御基板200のCPU201によって行われる。本実施例の遊技機1では、内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われるようになっている。【0055】図10は、スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係を示した説明図である。図示されているように、スイカ役に対して設定された12000~13999の乱数値のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選してAT期間が発生する。一方、12500~13999の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選せずAT期間が発生しない。そして、AT期間中に特殊再遊技役に内部当選すると、サブ制御基板220のCPU221が特殊再遊技役の報知演出を実行する。この報知演出は、内部当選した特殊再遊技役に対応する押し順を演出表示装置10等に表示することで行われる。」
甲1-ケ
「【0057】内部抽選処理(S110)を終了すると、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に対して内部抽選結果伝達コマンドを送信する(S112)。内部抽選結果伝達コマンドには、先の内部抽選処理(S110)で行われた内部抽選の結果を示す情報(何れかの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかの情報や、内部当選した遊技役の種類の情報など)が含まれている。また、本実施例の遊技機1では、AT期間の発生の有無についても内部抽選結果伝達コマンドによってサブ制御基板220のCPU221に伝えられる。【0058】内部抽選結果伝達コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると(S112)、停止中の回胴20a,20b,20cの現在の停止位置を主制御基板200のRAM203に記憶した後(S114)、回胴回転始動処理を開始する(S116)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満たされているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)を経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モーター24a,24b,24cに対して駆動信号を送信することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。【0059】こうして3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始したら、主制御基板200のCPU201は、回胴演出制御処理を実行する(S118)。回胴演出制御処理の詳細については後述するが、本実施例の遊技機1では、回転中の回胴20a,20b,20cを所定の図柄組合せが入賞ライン上に揃うように一旦停止させる回胴演出を実行可能であり、回胴演出制御処理の中で、回胴演出を実行するか否かを決定したり、回胴演出の具体的な態様を決定して実行したり、回胴演出の終了後に回胴20a,20b,20cの回転を再開させたりするなどの処理を行っている。【0060】回胴演出制御処理を終了すると、主制御基板200のCPU201は、回胴20a,20b,20cの回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S120)。回胴回転停止処理では、3つの回胴20a,20b,20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化して、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断する。前述したように遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、操作信号を受け取ると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が操作時に何れの回転位置にあったかを検出する。そして、その検出結果に基づいて、回胴の停止位置を、回胴停止ボタンの操作時の回転位置から図柄にして最大で4コマ分回胴が回転する範囲(回胴停止ボタンが操作されてから190msecの間に回胴が回転する範囲)以内で決定し、決定した位置で回胴を停止させる。」
甲1-コ
「【0067】一方、S130の判断の結果、何れかの遊技役が成立したと判断された場合は(S130:yes)、先ず初めに、ボーナス役が成立したか否かを判断する(S136)。図4を用いて前述したように、ボーナス役は、「赤セブン」、「青セブン」の何れかの図柄が入賞ライン上に揃った場合に成立する遊技役である。そして、ボーナス役が成立したと判断された場合は(S136:yes)、ボーナスフラグをONに設定するとともに、その他の遊技状態フラグをOFFに設定する(S138)。ここで、ボーナスフラグとは、遊技状態をボーナス状態に設定することを示すフラグであり、現在の遊技状態を表す「遊技状態フラグ」と呼ばれるフラグの一種である。ボーナス状態やRT状態といった特殊な遊技状態には、対応する遊技状態フラグがそれぞれ設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。そして、ボーナスフラグをONに設定する場合には、その他の遊技状態フラグ(ここではRTフラグ)をOFFに設定する。すなわち、RT状態中にボーナス役が成立した場合には、RT状態を終了してボーナス状態に設定する。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。また、主制御基板200のCPU201は、ボーナスフラグをONに設定すると、ボーナス開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S140)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ボーナス開始コマンドを受信することによって、ボーナス状態が開始されることを把握可能である。こうしてボーナスフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)にて遊技状態がボーナス状態に設定されて、以降の一連の処理が行われる。」
甲1-サ
「【0070】また、主制御基板200のCPU201は、RTフラグをONにしたら、RT開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S152)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、RT開始コマンドを受信することによって、RT状態が開始されることを把握可能である。こうしてRTフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)において遊技状態がRT状態に設定される。尚、RTフラグは、前述した取りこぼし目確認処理(S132)において「取りこぼし目」が入賞ライン上に揃っていると判断されると、OFFに設定される。」
甲1-シ
「【0073】C-2.遊技状態設定処理 :遊技状態設定処理を説明するに当たって、その準備として、本実施例の遊技機1に設けられている複数の遊技状態、およびこれらの遊技状態の切り換えについてまとめて説明しておく。図11は、本実施例の遊技機1で複数の遊技状態が切り換わる様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1には、通常状態、ボーナス状態、RT状態の3種類の遊技状態が設けられている。」
甲1-ス
「【0077】図13は、RT状態中に用いられるRT状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図13(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図13(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図13のRT状態用抽選テーブルでは、「通常再遊技役」の乱数範囲が大幅に拡大されて、その分だけ「ハズレ」の乱数範囲が縮小されている。従って、RT状態中は通常状態中よりも高い確率で再遊技役(特に通常再遊技役)が成立する。尚、RT状態用抽選テーブルについても、通常状態用抽選テーブルと同様に、ベル役を構成する3種類(A~C)の各々に乱数値が割り当てられており(図8参照)、また、特殊再遊技役を構成する3種類(A~C)の各々に乱数値が割り当てられている(図9参照)。」
甲1-セ
「【図7】[図:0001385146000001.jpg]」
甲1-ソ
「【図10】[図:0001385146000002.jpg]」
甲1-タ
「【図13】[図:0001385146000003.jpg]」
甲1-チ
「【図14】[図:0001385146000004.jpg]」
イ 甲1の記載より認定できる事項
(ア) 認定事項ア
【0067】に記載された「遊技状態フラグ」は、【0067】に「その他の遊技状態フラグ(ここではRTフラグ)」と記載され、【0070】に「主制御基板200のCPU201は、RTフラグをONにしたら、」と記載されていることから、「主制御基板200のCPU201」により「設定(ON/OFF)」が切り換えられるものであると認められる。
(イ) 認定事項イ
【図13】に記載されたRT状態用の抽選テーブルより、RT状態用の抽選テーブルでは、「通常再遊技役」には23600~56599の乱数値が設定され、「スイカ役」に対しては12000~13999の乱数値が設定されている点が読み取れる。
(ウ) 認定事項ウ
【0055】に「図10は、スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係を示した説明図である。」と記載されているように、【図10】には、スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係が示されており、また、【図14】を参照すると、S214においてRTフラグがONであるか否かにより抽選テーブルが選択され、RTフラグがONの場合、S216においてRT状態用抽選テーブルが選択され、RTフラグがONでない場合、S212において通常状態用抽選テーブルが選択されていることから、選択される抽選テーブルは、RTフラグがONであるか否かによりRT状態用と通常状態用とに変更されるのに対して、スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係は、RTフラグがONであるか否かにかかわらず変更されないことから、通常状態とRT状態のいずれにおいても、【0054】に記載されているように、内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われると認められ、そして、RT状態用の抽選テーブルが用いられた場合においても、スイカ役に対して設定された12000~13999の乱数値のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選してAT期間が発生すると認められる。
(エ) 認定事項エ
【0054】に「内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われる」と記載されていることから、通常再遊技役に設定されている、通常遊技において、23600~32599の範囲の乱数値を獲得した場合、及び、RT状態時において、23600~56599の乱数値を獲得した場合は、AT発生抽選に当選としない点が導き出せる。
ウ 甲1に記載された発明
以上のことから、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、aないしuの符号は、本件訂正発明に概略対応させて当審にて分説して付与したものである。
a 外周面に複数種類の図柄が描かれた3つの回胴20a,20b,20cを視認可能とした表示窓20が設けられ、表示窓20の大きさは、各回胴あたり図柄が3つずつ表示される大きさに設定され(【0019】)、
b 3つの回胴20a,20b,20cは回転可能に設けられ、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、表示窓20には3行3列の合計9つの図柄が停止表示され(【0019】)、表示窓20に設定された入賞ライン(L1~L5)上には、何らかの図柄組合せが得られ、このとき、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される(【0034】)、回胴式遊技機1であって(【0017】)、
f 回胴式遊技機1には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始させるためのスタートレバー36と、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられ(【0021】)、
c 回胴式遊技機1の内部には、回胴式遊技機1で行われる遊技全体の制御を司る基板である主制御基板200が搭載され(【0025】、【0026】)、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いて抽選用の乱数値が生成され(【0046】)、
d 主制御基板200のCPU201は、スタートレバー36の操作信号を受け取った際に、抽選用の乱数値より、内部抽選用乱数値を取得し(【0046】)、
e 主制御基板200のCPU201は、遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている抽選テーブルを用いて、遊技役の中から成立を許容する遊技役を内部当選した遊技役として抽選によって決定し(【0040】、【0045】、【0046】)、
g 主制御基板200のCPU201は(【0057】)、スタートレバー36が操作された場合に回胴の回転を開始し(【0058】)、3つの回胴20a,20b,20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化し(【0060】)、
h 回胴式遊技機1には、通常状態、RT状態の遊技状態が設けられており(【0073】)、遊技状態は、主制御基板200のCPU201による遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて切り換えられ(【0067】、【0070】、認定事項ア)、
i 回胴式遊技機1では、内部当選した役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる期間(AT期間)が設けられており(【0054】)、この報知演出は、内部当選した役に対応する押し順を演出表示装置10に表示することで行われ(【0055】)、
j AT期間を発生するか否かの抽選(AT発生抽選)は主制御基板200のCPU201によって行われ【0054】)、AT発生抽選に当選すると、AT期間が発生し(【0055】)、
r 通常状態とRT状態のいずれにおいても、内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われ(【0054】、認定事項イ)、
s,s1 通常状態用の抽選テーブルでは(【0047】)、「通常再遊技役」には23600~32599の乱数値が設定され、「スイカ役」に対しては12000~13999の乱数値が設定され(【0048】)、スイカ役に対して設定された12000~13999の乱数値のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選してAT期間が発生し(【0055】)、
s,s2 RT状態用の抽選テーブルでは、「通常再遊技役」には23600~56599の乱数値が設定され、「スイカ役」に対しては12000~13999の乱数値が設定され(認定事項イ)、そのうち12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選してAT期間が発生し(認定事項ウ)、
t 主制御基板200のCPU201は、
t1 通常状態において、23600~32599の範囲の乱数値を獲得した場合は、AT発生抽選に当選とせず(認定事項エ)、12000~13999の乱数範囲のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選とし(【0055】)、
t2 RT状態において、23600~56599の範囲の乱数値を獲得した場合は、AT発生抽選に当選とせず(認定事項エ)、12000~13999の乱数範囲のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選とした(認定事項ウ)
u 回胴式遊技機1(【0017】)。
(2) 甲2に記載された事項
申立人が意見書とともに提出した甲2には、以下の記載がある。
甲2-ア
「【0001】本発明は、スロットマシンに関し、特に終了条件となる有価価値の付与数が異なる複数種類の特別遊技状態を有するスロットマシンにおける該特別遊技状態の終了の報知に関する。」
甲2-イ
「【0244】次に、上記したステップS6の入賞判定処理について詳しく説明する。図16は、CPU111がステップS6で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、何れかの有効ライン上にビッグボーナス(1)の表示態様(赤7-白7-白7)が導出されたかどうかを判定する(ステップS601)。ビッグボーナス(1)の表示態様が導出されていれば、RAM112にビッグボーナス中フラグ及びビッグボーナス出力禁止フラグを設定するとともに、RAM112に設定されているビッグボーナス当選フラグを消去する。また、ビッグボーナス終了数を165に設定してRAM112の所定の領域に保存する。さらに、HITランプ54を点灯する(ステップS602)。そして、ステップS617の処理に進む。」
甲2-ウ
「【0373】上記の実施の形態では、スロットマシン1の遊技状態として、通常の遊技状態の他に、レギュラーボーナスとビッグボーナス(小役ゲーム及びレギュラーボーナス)とがあった。これに対して、他の役の当選確率を変えることなくリプレイの当選確率を通常の遊技状態よりも高くするRT(Replay Time)、リール3L、3C、3Rのいずれか1つ以上の最大停止遅延時間を短縮する(例えば、75ミリ秒(1コマすべり))とともに内部抽選の結果に関わらずに小役に入賞可能とするCT(Challenge Time)、当選フラグの設定されている役に入賞させるための遊技手順を報知するAT(Assist Time)等の遊技状態をさらに含むものであってもよい。」
上記の記載より、甲2には、以下の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「遊技状態として、通常の遊技状態の他に、レギュラーボーナスとビッグボーナスとがあり、さらに当選フラグの設定されている役に入賞させるための遊技手順を報知するAT(Assist Time)の遊技状態をさらに含むスロットマシンにおいて、ビッグボーナスの表示態様が導出されていれば、HITランプ54を点灯するスロットマシン。」
(3) 甲3に記載された事項
申立人が意見書とともに提出した甲3には、以下の記載がある。
甲3-ア
「【0001】本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシン、該スロットマシンからの外部出力信号を受信可能な遊技用装置、当該スロットマシンと、当該遊技用装置と、からなる遊技用システムに関する。」
甲3-イ
「【0657】また、本実施例では、ATの開始後、ATゲーム数の残りが0となるまで、すなわちゲーム数が所定値に到達することで当該ATが終了する構成であるが、ATの開始後、AT中に付与されたメダルの総数が所定値に到達することで当該ATが終了する構成、ATの開始後、AT中に付与されたメダルの総数からAT中に消費したメダルの総数を減算した純増枚数が所定値に到達することで当該ATが終了する構成、ATの開始後、所定役が当選した回数が所定値に到達することで当該ATが終了する構成、ATの開始後、所定出目が停止した回数が所定値に到達することで当該ATが終了する構成などに適用しても良く、これらの場合においても、遊技者が報知された停止操作順に従ってリールの停止操作を行うことにより、1セットのATにおいてメイン制御部41が制御する遊技者にとって有利な遊技状態が何らかの要因で他の遊技状態に移行し、再び有利な遊技状態に復帰する場合でも、1セットのATにおいては、1回のみ外部出力信号の出力を伴う役が停止し、メイン制御部41によりATを計数するための外部出力信号が出力されることとなるため、ホールコンピュータ1020やデータ表示端末1030などの外部機器側で、メイン制御部41により出力された外部出力信号を受信し、受信した回数を計数することで、サブ制御部91が制御するATの回数をこれらの外部機器にて計数し、表示させることが可能となる。」
上記の記載より、甲3には、以下の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「AT中に付与されたメダルの純増枚数が所定値に到達することで当該ATが終了するスロットマシン。」
(4) 甲4に記載された事項
申立人が意見書とともに提出した甲4には、以下の記載がある。
甲4-ア
「【0014】以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。」
甲4-イ
「【0053】電源断直前に実行していた画像演出(発光パターンを含む)を再開するにあたり、電源断処理において、演出番号のみが記憶され、場面(シーン)中のコマ割りを示す画像番号は記憶されていないことから、演出番号に対応する場面の再生は、その場面の先頭、すなわち、1番目の画像番号に対応するコマ画像から再生されることになる。このように画像演出を再開するときに、電源断直前に実行していた画像演出の途中から再開することなく、場面の先頭から再生することで、電源断時の記憶処理及び電源復帰時の再開処理に係る処理負担が軽減されることになる。また、操作順序経過情報から未だ操作されていない停止ボタン5を抽出し、抽出した停止ボタン5の操作を促すべく、表示器7bに報知画像(数字データ)を表示させ、音声データを出音することで、遊技者が操作順序を再確認できるため、電源復帰後に誤った操作を行うことがなくなり、遊技利益を確実に享受させることができる。続きを表示(全11行)すなわち、電源断が生じたときの状態がリール31回転中であれば、主制御部10が電源復帰後にリール31の回転を始動させて停止ボタン5の操作可能となったときに、既に報知済みの操作順序が再度報知されることになるため、遊技者の操作ミスを防止することができる。【0054】また、このような操作順序を報知するにあたり、少なくとも音声データを出音させることが好ましい。これは、電源復帰後において、表示制御部20aは画像データの読み込み等により音制御部20bに比べて起動に時間が掛かるため、主制御部10が進行させるゲームに追従できない可能性があるからである。そこで、副制御部20は、表示制御部20aよりも起動の速い音制御部20bの立ち上がりを待って、音制御部20bから操作順序に係る報知を優先的に行わせるよう制御する。これにより、電源復帰後にリール31が回転を始動させて停止ボタン5が操作可能となったときに、迅速に操作順序が報知されることになるため、遊技者の操作ミスを防止することができる。また、主制御部10は、音制御部20bの立ち上がりを待って(想定される起動時間経過後に)、未だ停止しないリール31の回転を再開させることもできる。なお、このような音制御部20bの優先制御に限らず、起動時間の短い方から順次制御を開始することもできる。すなわち、副制御部20は、表示制御部20aと音制御部20bのそれぞれの立ち上がり監視し、先に起動した方から順に制御を開始して遊技演出を行わせることもできる。これにより、電源復帰後にリール31が回転を始動させて停止ボタン5が操作可能となったときに、先に起動した方から順に少しでも早いタイミングで操作順序が報知されることになるため、遊技者の操作ミスを防止することができる。」
上記の記載より、甲4には、以下の事項が記載されていると認められる。
<甲4記載事項1>
「電源断直前に実行していた画像演出(発光パターンを含む)を再開するにあたり、画像演出を再開するときに、電源断直前に実行していた画像演出の途中から再開することなく、場面の先頭から再生することで、主制御部10が電源復帰後にリール31の回転を始動させて停止ボタン5の操作可能となったときに、既に報知済みの操作順序が再度報知されることになるため、遊技者の操作ミスを防止することができるスロットマシン。」
<甲4記載事項2>
「電源復帰後において、副制御部20は、表示制御部20aよりも起動の速い音制御部20bの立ち上がりを待って、音制御部20bから操作順序に係る報知を優先的に行わせるよう制御」し、「電源復帰後にリール31が回転を始動させて停止ボタン5が操作可能となったときに、先に起動した方から順に少しでも早いタイミングで操作順序が報知されることになるため、遊技者の操作ミスを防止することができるスロットマシン。」
6 対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
ア 本件訂正発明の構成Aについて
甲1発明の構成a及び構成bにおける「回転可能に設けられ」「外周面に複数種類の図柄が描かれた3つの回胴20a,20b,20c」は、本件訂正発明の構成Aにおける「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Aに相当する構成を有する。
イ 本件訂正発明の構成Bについて
甲1発明の構成bにおける「回転可能に設けられ」た「3つの回胴20a,20b,20cが停止する」ことは、本件訂正発明の構成Bにおける「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止すること」に相当する。
甲1発明の構成bにおける「表示窓20には3行3列の合計9つの図柄が停止表示され」、「表示窓20に設定された入賞ライン(L1~L5)上には、何らかの図柄組合せが得られ」ることは、本件訂正発明の構成Bにおける「表示結果を導出」することに相当する。
また、甲1発明の構成bにおける「入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される」ことは、本件訂正発明の構成Bにおける「表示結果に応じて入賞が発生可能」であることに相当する。
そして、甲1発明の構成bにおける「回胴式遊技機1」は、本件訂正発明の構成Bにおける「スロットマシン」に相当する。
以上のことから、甲1発明の構成bにおける「回転可能に設けられ」た「3つの回胴20a,20b,20cが停止」し、「表示窓20には3行3列の合計9つの図柄が停止表示され」、「表示窓20に設定された入賞ライン(L1~L5)上には、何らかの図柄組合せが得られ」、「入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される」「回胴式遊技機1」は、本件訂正発明の構成Bにおける「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Bに相当する構成を有する。
ウ 本件訂正発明の構成Cについて
甲1発明の構成cにおける「抽選用の乱数値」を「生成」する「専用の乱数発生回路」を搭載する「主制御基板200」は、本件訂正発明の構成Cにおける「抽選用数値を更新する数値更新手段」としての機能を有する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Cに相当する構成を有する。
エ 本件訂正発明の構成Dについて
甲1発明の構成dにおける「スタートレバー36の操作信号を受け取った際に、抽選用の乱数値より、内部抽選用乱数値を取得」する「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Dにおける「前記数値更新手段によって更新された抽選用数値を抽出する数値抽出手段」としての機能を有する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Dに相当する構成を有する。
オ 本件訂正発明の構成Eについて
甲1発明の構成eにおける「遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている抽選テーブルを用いて、遊技役の中から成立を許容する遊技役を内部当選した役として抽選により決定」する「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Eにおける「前記数値抽出手段によって抽出された抽選用数値に基づき、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段」としての機能を有する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Eに相当する構成を有する。
カ 本件訂正発明の構成Fについて
甲1発明の構成fにおける「3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c」は、本件訂正発明の構成Fにおける「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Fに相当する構成を有する。
キ 本件訂正発明の構成Gについて
甲1発明の構成gにおける「スタートレバー36が操作された場合に回胴の回転を開始し」、「3つの回胴20a,20b,20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化」する「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Gの「前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段」としての機能を有する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Gに相当する構成を有する。
ク 本件訂正発明の構成Hについて
甲1発明の構成hにおける「通常状態」及び「RT状態」は、それぞれ、本件訂正発明の構成Hにおける「第1遊技状態」及び「第2遊技状態」に相当する。
また、甲1発明の構成hにおける「回胴式遊技機1には、通常状態、RT状態の遊技状態が設けられて」いることは、本件訂正発明の構成Gにおける「遊技状態」に「第1遊技状態と第2遊技状態」があることに相当する。
そして、甲1発明の構成hにおける「遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて」「通常状態、RT状態の遊技状態」を「切り換え」る「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Hにおける「第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段」としての機能を有する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Hに相当する構成を有する。
ケ 本件訂正発明の構成Iについて
甲1発明の構成iにおける「内部当選した役に対応付けられた押し順を報知する報知演出」が「行われ」る「演出表示装置10」は、本件訂正発明の構成Iにおける「前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Iに相当する構成を有する。
コ 本件訂正発明の構成Jについて
甲1発明の構成iにおける「内部当選した役に対応付けられた押し順」は、本件訂正発明の構成Jにおける「導出操作手段の操作態様」に相当する。
したがって、甲1発明の構成iにおける「内部当選した役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる」状態は、本件訂正発明の構成Jにおける「前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態」に相当する。
また、甲1発明の構成jにおける「報知演出が行われる期間(AT期間)」「を発生するか否かの抽選」である「AT発生抽選」は、構成rにおいて特定されるように「内部抽選でスイカ役に当選すると、同時に」「行われ」るものであり、構成eにおいて「遊技役」が、「遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている抽選テーブルを用いて」「抽選により決定」されることが特定されていることから、「AT発生抽選」も、「内部抽選用乱数値」に基づいて「抽選」されるものであるといえる。
したがって、甲1発明の構成e及び構成jにおける「内部抽選用乱数値」に基づいて「報知演出が行われる期間(AT期間)」「を発生するか否かの抽選」である「AT発生抽選に当選する」ことは、本件訂正発明の構成Jにおける「抽出された抽選用数値に基づき、」「報知状態に制御すること」が「決定」されることに相当する。
さらに、甲1発明の構成jにおける「AT発生抽選」を「行う」「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Jにおける「報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段」に相当する。
以上のことから、甲1発明の構成e、構成i及び構成jにおける「内部抽選用乱数値」に基づき「内部当選した役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる期間(AT期間)」「を発生するか否かの抽選(AT発生抽選)」を「行う」「主制御基板200のCPU201」は、本件訂正発明の構成Jにおける「前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Jに相当する構成を有する。
サ 本件訂正発明の構成Rについて
甲1発明の構成e及び構成rにおける「主制御基板200のCPU201」により「通常状態とRT状態のいずれにおいても、内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われ」ることは、本件訂正発明の構成Rにおける「前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Rに相当する構成を有する。
シ 本件訂正発明の構成S及び構成S1について
甲1発明の構成e及び構成s,s1における「通常再遊技役」が「内部当選した役」となることは、本件訂正発明の構成S及び構成S1における「抽出された抽選用数値が」「所定決定結果」になることに相当し、甲1発明の構成s,s1における「23600~32599の乱数値」は、本件訂正発明の構成S1における「第1所定数値範囲」に相当する。
また、甲1発明の構成e及び構成s,s1における「スイカ役」が「内部当選した役」となることは、本件訂正発明の構成S1における「特別決定結果」になることに相当し、甲1発明の構成s,s1における「12000~13999の乱数値」は、本件訂正発明の構成S1における「特別数値範囲」に相当する。
そして、甲1発明の構成e及び構成s,s1における「主制御基板200のCPU201は、」「通常状態用の抽選テーブル」「を用いて」、「内部抽選用乱数値」が「23600~32599の乱数値」で「通常再遊技役」が「内部当選した役」とし、「内部抽選用乱数値」が「12000~13999の乱数値」で「スイカ役」が「内部当選した役」とすることは、本件訂正発明の構成S及び構成S1における「前記事前決定手段の決定結果は、」「前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第1所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果とな」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成S及び構成S1に相当する構成を有する。
ス 本件訂正発明の構成S及び構成S2について
甲1発明の構成e及び構成s,s2における「通常再遊技役」が「内部当選した役」となることは、本件訂正発明の構成S及び構成S2における「抽出された抽選用数値が」「所定決定結果」になることに相当し、甲1発明の構成s,s2における「23600~56599の乱数値」は、本件訂正発明の構成S2における「前記第1所定数値範囲より広い第2所定数値範囲」に相当する。
また、甲1発明の構成e及び構成s,s2における「スイカ役」が「内部当選した役」となることは、本件訂正発明の構成S2における「特別決定結果」になることに相当し、甲1発明の構成s,s2における「12000~13999の乱数値」は、本件訂正発明の構成S2における「特別数値範囲」に相当する。
そして、甲1発明の構成e及び構成s,s2における「主制御基板200のCPU201は、」「RT状態用の抽選テーブル」「を用いて」、「内部抽選用乱数値」が「23600~56599の乱数値」で「通常再遊技役」が「内部当選した役」とし、「内部抽選用乱数値」が「12000~13999の乱数値」で「スイカ役」が「内部当選した役」とすることは、本件訂正発明の構成S及び構成S2における「前記事前決定手段の決定結果は、」「前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第2所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果とな」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成S及び構成S2に相当する構成を有する。
セ 本件訂正発明の構成T及び構成T1について
甲1発明の構成t及びt1における「主制御基板200のCPU201は、」「通常状態において、23600~32599の範囲の乱数値を獲得した場合は、AT発生抽選に当選とせず」「、12000~13999の乱数範囲のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選と」することは、本件訂正発明の構成T及び構成T1における「前記報知状態決定手段は、」「前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成T及び構成T1に相当する構成を有する。
ソ 本件訂正発明の構成T及び構成T2について
甲1発明の構成t及びt2における「主制御基板200のCPU201は、」「RT状態において、23600~56599の範囲の乱数値を獲得した場合は、AT発生抽選に当選とせず」「、12000~13999の乱数範囲のうち、12000~12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選と」することは、本件訂正発明の構成T及び構成T2における「前記報知状態決定手段は、」「前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第2所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成T及び構成T2に相当する構成を有する。
タ 本件訂正発明の構成Uについて
甲1発明の構成uにおける「回胴式遊技機1」は、本件訂正発明の構成Uにおける「スロットマシン」に相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の構成Uに相当する構成を有する。
チ 本件訂正発明の構成KないしQについて
甲1発明は、本件訂正発明の構成KないしQを有していない。
ツ 一致点及び相違点について
以上のことから、本件訂正発明と甲1発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 抽選用数値を更新する数値更新手段と、
D 前記数値更新手段によって更新された抽選用数値を抽出する数値抽出手段と、
E 前記数値抽出手段によって抽出された抽選用数値に基づき、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
F 表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
G 前記可変表示部の変動表示が開始した後、有効化条件が成立したときに前記導出操作手段の操作を有効化する導出操作有効化手段と、
H 第1遊技状態と第2遊技状態とのうちのいずれかの遊技状態に制御する遊技状態手段と、
I 前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知する報知手段と、
J 前記抽出された抽選用数値に基づき、前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報を報知可能な報知状態に制御することを決定可能な報知状態決定手段と
を備え、
R 前記報知状態決定手段は、前記第1遊技状態および前記第2遊技状態のいずれにおいても前記報知状態に制御するか否かを決定することが可能であり、
S 前記事前決定手段の決定結果は、
S1 前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が第1所定数値範囲に属するときに所定決定結果となり、当該抽選用数値が特別数値範囲に属するときに特別決定結果となり、
S2 前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲より広い第2所定数値範囲に属するときに前記所定決定結果となり、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記特別決定結果となり、
T 前記報知状態決定手段は、
T1 前記第1遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第1所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能であり、
T2 前記第2遊技状態において、前記抽出された抽選用数値が前記第2所定数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定せず、当該抽選用数値が前記特別数値範囲に属するときに前記報知状態に制御することを決定可能である、
U スロットマシン。
そして、以下の点で両者は相違する。
<相違点1> (本件訂正発明のK、L、M、N、O、Pの特定事項)
本件訂正発明は、「前記報知状態中に付与された遊技用価値の総数から当該報知状態中における賭数の設定に用いられた遊技用価値の総数を差し引いた純増数を計数する計数手段と、前記報知状態決定手段が報知状態に制御することを決定したことに基づいて前記報知状態の制御を行う手段であって、該報知状態の制御を前記純増数が特定値に達するまで行うことが可能な報知状態制御手段と、前記純増数が前記特定値を超えたときに、前記報知状態を終了させる報知状態終了手段と、前記報知状態において点灯することにより前記報知状態である旨を報知する報知ランプと、前記報知状態に関わる情報を記憶する記憶手段と、前記報知状態終了手段が前記報知状態を終了させるときに、前記記憶手段に記憶された前記報知状態に関わる情報を初期化した後に、前記報知ランプを消灯させる初期化手段と、を備え」る点が特定されているのに対して、甲1発明は、本件訂正発明の「計数手段」、「報知状態制御手段」、「報知状態終了手段」、「報知ランプ」、「初期化手段」に相当する構成を有する点が特定されていない点。
<相違点2> (本件訂正発明のQの特定事項)
本件訂正発明は、「前記報知手段は、前記導出操作手段の操作が有効化された状態、かつ前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を行っている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、前記導出操作手段の操作が有効化されるよりも早いタイミングで前記導出操作手段の操作態様を特定可能な情報の報知を再開」するのに対して、甲1発明は、報知手段に相当する演出表示装置10に関して、報知演出が行われている状態で電力供給が停止された後、電力供給が再開されたときに、報知演出の再開と、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化のタイミングの前後関係についての特定が何もなされていない点。
7 当審の判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
上記相違点2に係る構成に関連して、甲4には、上記5(4)に示した甲4記載事項1及び甲4記載事項2が記載されていると認められる。
そして、甲4には、「遊技者の操作ミスを防止する」ことを目的として、「電源復帰後において、」「既に報知済みの操作順序が再度報知されること」、及び、「先に起動」する「音制御部20bから操作順序に係る報知を優先的に行わせる」ことは記載されていると認められる。
しかしながら、甲4には、電源復帰後に、停止ボタン5が操作可能となるタイミングと、操作順序に係る報知を再開するタイミングとの関係は何ら記載されておらず、本件訂正発明の相違点2に係る構成が記載されているとは認められない。
ましてや、甲4に記載された事項が、本件訂正発明の相違点2に係る構成が本件特許に係る出願の出願前において当業者にとって周知であることを示す根拠になるとは認められない。
したがって、本件訂正発明の他の相違点に係る構成を検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1に記載された発明とはいえず、また甲1の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
8 申立人意見書における本件訂正発明についての主張について
上記7において検討したように、本件訂正発明と甲1発明との対比における相違点のうち、相違点2に係る構成が甲4には記載されているとは認められない。
また、上記5(2)に示した甲2記載事項、及び、上記5(3)に示した甲3記載事項を参照しても、本件訂正発明の相違点2に係る構成が、本件特許に係る出願の出願前において当業者にとって周知であることを示す根拠になり得るとは認められない。
してみると、申立人意見書における申立人の主張を参酌しても、本件訂正発明が、甲1に記載された発明とはいえず、また甲1の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、申立人による、本件訂正発明は、甲1に記載された発明と、甲2ないし4に記載された発明とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨の主張は、取消理由通知で通知した取消理由及び申立理由とは異なるものではあるが、本件訂正発明の相違点2に係る構成が甲1ないし4のいずれにも記載されていないことから、本件訂正発明が甲1に記載された発明と、甲2ないし4に記載された発明とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められず、申立人の主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由並びに特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
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2021-700249