審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2021-700128

リチウムイオン二次電池

審判番号
2021-700128
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-067604
登録番号
6736242
請求日
2021年02月04日
審決日
2022年02月07日
公報発行日
2022年05月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社半導体エネルギー研究所
  • 【権利者代理人】蟹田 昌之
  • 【異議申立人】浜 俊彦
審判長/審判官
  • 審判長 平塚 政宏
  • 審判官 境 周一
  • 審判官 粟野 正明
分類
P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.537-YAA(H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第44条第1項、特許法第44条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6736242号発明「リチウムイオン二次電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6736242号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~21][22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32][33][34][35][36][37][38][39][40][41]について訂正することを認める。 特許第6736242号の請求項2~21、23~41に係る特許を維持する。 特許第6736242号の請求項1、22に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6736242号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~41に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、平成29年11月 6日に出願された特願2017-213417号(優先権主張 平成28年11月18日)(以下、「原出願」という)の一部を令和 2年 4月 3日に新たな特許出願としたものであって、令和 2年 7月17日に特許権の設定登録がされ、令和 2年 8月 5日に特許掲載公報が発行され、その後、令和 3年 2月 4日にその請求項1~41(全請求項)に係る特許に対して特許異議申立人 浜 俊彦(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 特許異議申立て後の手続きの経緯は、次のとおりである。 令和 3年 5月17日付け:取消理由通知 同年 7月15日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、当審は、令和 3年 9月27日付けで、申立人に対し訂正請求があった旨を通知し、期間を指定して意見書の提出を求めたが、申立人から意見書は提出されなかった。 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨、及び訂正の内容 令和 3年 7月15日受付の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~41について訂正を求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項2の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項3の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項4の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項5の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項6の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項7の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項8の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項9の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項10の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項11の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項12の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項13の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項14の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項15の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項16に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項16の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項17に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項17の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項18に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 請求項18の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (19)訂正事項19 特許請求の範囲の請求項19に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項19の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (20)訂正事項20 特許請求の範囲の請求項20に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 請求項20の記載を引用する請求項21も同様に訂正する。 (21)訂正事項21 特許請求の範囲の請求項21に、 「請求項1乃至20のいずれか一において、 前記炭素繊維は、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブである、リチウムイオン二次電池。」 とあるのを、 「請求項2乃至20のいずれか一において、 前記炭素繊維は、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブである、リチウムイオン二次電池。」 に訂正する。 (22)訂正事項22 特許請求の範囲の請求項22を削除する。 (23)訂正事項23 特許請求の範囲の請求項23に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (24)訂正事項24 特許請求の範囲の請求項24に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (25)訂正事項25 特許請求の範囲の請求項25に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (26)訂正事項26 特許請求の範囲の請求項26に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (27)訂正事項27 特許請求の範囲の請求項27に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (28)訂正事項28 特許請求の範囲の請求項28に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (29)訂正事項29 特許請求の範囲の請求項29に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (30)訂正事項30 特許請求の範囲の請求項30に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (31)訂正事項31 特許請求の範囲の請求項31に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (32)訂正事項32 特許請求の範囲の請求項32に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (33)訂正事項33 特許請求の範囲の請求項33に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (34)訂正事項34 特許請求の範囲の請求項34に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (35)訂正事項35 特許請求の範囲の請求項35に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (36)訂正事項36 特許請求の範囲の請求項36に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (37)訂正事項37 特許請求の範囲の請求項37に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (38)訂正事項38 特許請求の範囲の請求項38に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (39)訂正事項39 特許請求の範囲の請求項39に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、 前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、」 に訂正する。 (40)訂正事項40 特許請求の範囲の請求項40に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 (41)訂正事項41 特許請求の範囲の請求項41に、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し、」 とあるのを、 「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、」 に訂正する。 2 本件訂正の適否について (1)一群の請求項について 本件訂正前の請求項22~41はそれぞれ単独で一群の請求項を構成する。 本件訂正前の請求項21は訂正前の請求項1~20を引用するものであって、訂正事項1~20によってそれぞれ記載が訂正される請求項1~20の訂正に連動して訂正されるものであるから、請求項1~20はそれぞれ請求項21とともに20の一群の請求項を構成する。そして、これら20の一群の請求項は請求項21を共通して有するため、組み合わされて1つの一群の請求項を構成する。したがって、請求項1~21は一群の請求項である。 そして、本件訂正請求は、上記一群の請求項ごとに訂正の請求をするものである。 (2)訂正の目的、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、及び新規事項追加の有無について ア 訂正事項1、22について (ア)訂正の目的 訂正事項1、22に係る訂正は、それぞれ、訂正前の請求項1、22を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、及び新規事項追加の有無 訂正事項1、22に係る訂正は、それぞれ、訂正前の請求項1、22を削除するものであるから、本願の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内での訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものともいえない。 イ 訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38について (ア)訂正の目的 訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38に係る訂正は、それぞれ、訂正前における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有」するという記載及び「前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」するという記載の意味を明らかにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)新規事項追加の有無 下記第5の1にて摘記するように、本件明細書の【0034】、【0037】~【0039】、【0044】、【0049】、【0051】、【0054】における、「第2の領域102及び第3の領域103は、正極活物質100の表層部に存在する」との記載、「第1の領域101は、リチウムと、遷移金属と、酸素と、を有する」との記載、「第1の領域101が有する遷移金属としては、リチウムとともに層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いることが好ましい。たとえばマンガン、コバルト、ニッケルのうち一つもしくは複数を用いることができる」との記載、「つまり第1の領域101は、コバルト酸リチウム・・・等の、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有することができる」との記載、「第2の領域102が有する遷移金属は、第1の領域101が有する遷移金属と同じ元素であることが好ましい」との記載、「第2の領域102は、正極活物質100の表面から深さ方向に30nm、より好ましくは15nmまでに存在することが好ましい」との記載、「また第3の領域103は、第1の領域101および第2の領域102と同じ遷移金属を有していてもよい」との記載、「第3の領域103は正極活物質100の表面から深さ方向に0.5nm以上50nm以下に存在することが好まし」いとの記載を勘案すれば、訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有」するとの構成は本件明細書等に開示されている。 また、本件明細書の【0044】、【0050】、【0067】における、「第2の領域102はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、マグネシウムと、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、第2の領域102よりも正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい」との記載を勘案すれば、訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38における「前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」するとの構成は本件明細書等に開示されている。 よって、訂正事項2、7、12、17、23、28、33、38に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。 ウ 訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39について (ア)訂正の目的 訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39に係る訂正は、それぞれ、訂正前における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有」するという記載及び「前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」するという記載の意味を明らかにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)新規事項追加の有無 上記イ(ウ)で検討したことと同様に、訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有」するとの構成は本件明細書等に開示されている。 また、本件明細書の【0044】、【0050】、【0051】、【0067】における、「第2の領域102はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、マグネシウムと、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、フッ素を有していてもよい」との記載、「第3の領域103は、第2の領域102よりも正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい」との記載を勘案すれば、訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39における「前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」するとの構成は本件明細書等に開示されている。 よって、訂正事項3、8、13、18、24、29、34、39に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。 エ 訂正事項4~6、9~11、14~16、19、20、25~27、30~32、35~37、40、41について (ア)訂正の目的 訂正事項4~6、9~11、14~16、19、20、25~27、30~32、35~37、40、41に係る訂正は、それぞれ、訂正前における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有」するという記載の意味を明らかにするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項4~6、9~11、14~16、19、20、25~27、30~32、35~37、40、41に係る訂正は、上記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)新規事項追加の有無 上記イ(ウ)で検討したことと同様に、訂正事項4~6、9~11、14~16、19、20、25~27、30~32、35~37、40、41における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有」するとの構成は本件明細書等に開示されている。 よって、訂正事項4~6、9~11、14~16、19、20、25~27、30~32、35~37、40、41に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。 オ 訂正事項21について (ア)訂正の目的 訂正事項21に係る訂正は、本件訂正前の請求項21が請求項1~20を引用する記載であるところ、訂正後の請求項1の削除(訂正事項1)に伴って、削除された請求項を引用しないようにする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 (イ)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、新規事項の有無 訂正事項21に係る訂正は、削除された請求項を引用しないようにするための訂正にすぎないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内での訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものともいえない。 (3)独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正事項1~41に係る訂正について、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 3 本件訂正請求についての結言 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~21][22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32][33][34][35][36][37][38][39][40][41]について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2で検討したとおり、本件訂正請求による訂正は認められるから、本件特許の請求項1~41に係る発明(以下、順に「本件発明1」~「本件発明41」といい、総称して「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~41に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項3】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項4】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項5】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項6】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項7】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項8】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項9】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項10】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定されるマグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項11】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項12】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項13】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項14】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項15】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項16】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項17】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項18】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項19】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項20】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、炭素繊維を有する、リチウムイオン二次電池。 【請求項21】 請求項1乃至20のいずれか一において、 前記炭素繊維は、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブである、リチウムイオン二次電池。 【請求項22】 (削除) 【請求項23】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項24】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項25】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項26】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項27】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項28】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項29】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項30】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項31】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項32】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定され前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項33】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項34】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項35】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項36】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定されるフッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項37】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項38】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項39】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項40】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。 【請求項41】 正極活物質と、導電助剤と、を有する正極を備え、 前記正極活物質は、リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有し、 前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有し、 エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置し、 X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)、 前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである、リチウムイオン二次電池。」 第4 特許異議の申立ての理由の概要及び取消理由の概要 1 特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由の概要 申立人は、証拠方法として、後記する甲第1~7号証(以下、単に「甲1」~「甲7」という。)を提出し、以下の理由により、訂正前の請求項1~41に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。 (1)申立理由1(進歩性) 訂正前の請求項1、21、22に係る発明は、甲1に記載された発明、及び周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に想到できるものであり、進歩性を有しない(取消理由として採用)。 (2)申立理由2(新規性、進歩性) 本件特許に係る出願の出願日は、原出願の出願日に遡及するものではなく、本件発明の新規性及び進歩性等の判断は、本件特許に係る出願の現実の出願日(令和 2年 4月 3日)でなされるべきである。 すると、訂正前の請求項1~41に係る発明は、甲7(平成30年 6月 7日を公開日とする本願の分割の原出願の公開公報)に記載された発明であり、新規性及び進歩性を有しない(取消理由として不採用)。 (3)申立理由3(サポート要件) 訂正前の請求項1においては、正極活物質について「リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有する」こと、「前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有」することが規定されているのみであり、正極活物質の内部にコバルト酸リチウムを含まない場合や、本件明細書の【0291】、【0327】の表3に開示されている例とは大きく異なる場合においても、本件発明の課題を解決できるとは認識できず、請求項2~41も同様のため、訂正前の請求項1~41に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである(取消理由として不採用)。 <証拠方法> 甲1:特開2011-28976号公報 甲2:特開平7-14582号公報 甲3:特開2014-241193号公報 甲4:特開2016-25077号公報 甲5:特表2013-516037号公報 甲6:特表2015-520109号公報 甲7:特開2018-88400号公報 2 令和 3年 5月17日付け取消理由通知における取消理由の概要 訂正前の請求項1~41に係る特許に対して、当審が令和 3年 5月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(進歩性) 訂正前の請求項1、21、22に係る発明は、甲1に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当する。 (2)取消理由2(明確性) 訂正前の請求項1~41に係る発明について、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、同発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当する。 第5 本件明細書の記載事項及び甲1~7の記載事項 1 本件明細書の記載事項 本件明細書には、以下の記載がある。(なお、下線は当審が付した。「・・・」は、省略を表す。以下、同様。) 「【0009】 本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、高容量の二次電池を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、充放電特性の優れた二次電池を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、安全性又は信頼性の高い二次電池を提供することを課題の一とする。」 「【0013】 本発明の一態様は、正極活物質であって、正極活物質は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、第1の領域は正極活物質の内部に存在し、第2の領域は、第1の領域の少なくとも一部を被覆し、第3の領域は、第2の領域の少なくとも一部を被覆し、第1の領域はリチウムと、遷移金属と、酸素と、を有し、第2の領域はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有し、第3の領域は、マグネシウムと、酸素と、を有する正極活物質である。 【0014】 上記において、第3の領域は、フッ素を有していてもよい。 【0015】 また上記において、第3の領域は、遷移金属を有していてもよい。」 「【0017】 また上記において、遷移金属はコバルトとすることができる。 【0018】 また、本発明の一態様は、正極活物質であって、正極活物質は、リチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、マグネシウムと、酸素と、フッ素と、を有し、正極活物質の表層部に存在し、X線光電子分光で測定されるリチウム、アルミニウム、遷移金属、マグネシウム、酸素、およびフッ素の総量を100原子%として、正極活物質の表層部に存在し、X線光電子分光で測定される、アルミニウム濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり、マグネシウム濃度が5原子%以上20原子%以下であり、フッ素濃度が3.5原子%以上14原子%以下である、正極活物質である。」 「【0030】 (実施の形態1) [正極活物質の構造] まず図1を用いて、本発明の一態様である正極活物質100について説明する。図1(A)および図1(B)に示すように、正極活物質100は、第1の領域101と、第2の領域102と、第3の領域103を有する。第1の領域101は正極活物質100の内部に存在する。第2の領域102は、第1の領域101の少なくとも一部を被覆する。第3の領域103は、第2の領域102の少なくとも一部を被覆する。 【0031】 また図1(B)に示すように、正極活物質100の内部に第3の領域103が存在してもよい。たとえば第1の領域101が多結晶であるとき、粒界近傍に第3の領域103が存在していてもよい。また、正極活物質100の結晶欠陥のある部分近傍に、第3の領域103が存在していてもよい。図1では粒界の一部を点線で示す。なお本明細書等において、結晶欠陥とはTEM像等で観察可能な欠陥、つまり結晶中に他の元素の入り込んだ構造、空洞等をいうこととする。 【0032】 また図示しないが、正極活物質100の内部に第2の領域102が存在してもよい。たとえば第1の領域101が多結晶であるとき、粒界近傍に第2の領域102が存在していてもよい。また正極活物質100の結晶欠陥のある部分近傍に、第2の領域102が存在していてもよい。 【0033】 また、第2の領域102は、第1の領域101の全てを被覆していなくてもよい。同様に、第3の領域103は、第2の領域102の全てを被覆していなくてもよい。また第1の領域101に接して、第3の領域103が存在してもよい。 【0034】 言い換えれば、第1の領域101は、正極活物質100の内部に存在し、第2の領域102および第3の領域103は、正極活物質100の表層部に存在する。表層部の第2の領域102および第3の領域103は、正極活物質の被覆層として機能する。さらに第3の領域103および第2の領域102は、正極活物質100の粒子の内部に存在していてもよい。」 「【0037】 <第1の領域101> 第1の領域101は、リチウムと、遷移金属と、酸素と、を有する。第1の領域101はリチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有するといってもよい。 【0038】 第1の領域101が有する遷移金属としては、リチウムとともに層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いることが好ましい。たとえばマンガン、コバルト、ニッケルのうち一つもしくは複数を用いることができる。つまり第1の領域101が有する遷移金属としてコバルトのみを用いてもよいし、コバルトとマンガンの2種を用いてもよいし、コバルト、マンガン、ニッケルの3種を用いてもよい。また第1の領域101は遷移金属に加えて、アルミニウムをはじめとする遷移金属以外の金属を有していてもよい。 【0039】 つまり第1の領域101は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルトの一部がマンガンで置換されたコバルト酸リチウム、ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム、ニッケル-コバルト-アルミニウム酸リチウム等の、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有することができる。 【0040】 第1の領域101は、正極活物質100の中でも特に充放電反応に寄与する領域である。正極活物質100を二次電池に用いた際の容量を大きくするために、第1の領域101は、第2の領域102および第3の領域103よりも体積が大きいことが好ましい。」 「【0044】 <第2の領域102> 第2の領域102はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有する。リチウムと遷移金属を有する複合酸化物の、一部の遷移金属サイトがアルミニウムで置換されているといってもよい。第2の領域102が有する遷移金属は、第1の領域101が有する遷移金属と同じ元素であることが好ましい。なお本明細書等において、サイトとは、結晶においてある元素が占めるべき位置をいうこととする。 【0045】 また第2の領域102は、フッ素を有していてもよい。 【0046】 第2の領域102がアルミニウムを有することで、正極活物質100のサイクル特性を向上させることができる。なお第2の領域102が有するアルミニウムは、濃度勾配を有していてもよい。また、アルミニウムは、リチウムと遷移金属を有する複合酸化物の一部の遷移金属サイトに存在していることが好ましいが、それ以外の状態で存在してもよい。たとえば酸化アルミニウム(Al2O3)として存在していてもよい。 【0047】 一般的に、正極活物質は、充放電を繰り返すにつれ、コバルトやマンガン等の遷移金属が電解液に溶出する、酸素が離脱する、結晶構造が不安定になる、といった副反応が生じ、劣化が進んでゆく。しかしながら本発明の一態様の正極活物質100は、表層部にアルミニウムを有する第2の領域102を有するため、第1の領域101が有するリチウムと遷移金属を含む複合酸化物の結晶構造をより安定にすることが可能である。そのため正極活物質100を有する二次電池のサイクル特性を向上させることができる。」 「【0049】 第2の領域102は、薄すぎると被覆層としての機能が低下するが、厚くなりすぎても容量の低下を招く恐れがある。そのため、第2の領域102は、正極活物質100の表面から深さ方向に30nm、より好ましくは15nmまでに存在することが好ましい。 【0050】 <第3の領域103> 第3の領域103は、マグネシウムと、酸素と、を有する。第3の領域103は酸化マグネシウムを有するといってもよい。 【0051】 また第3の領域103は、第1の領域101および第2の領域102と同じ遷移金属を有していてもよい。さらに、第3の領域103は、フッ素を有していてもよい。第3の領域103がフッ素を有する場合、酸化マグネシウムの酸素の一部がフッ素で置換されていてもよい。 【0052】 第3の領域103が有する酸化マグネシウムは電気化学的に安定な材料であるため、充放電を繰り返しても劣化が生じにくく被覆層として好適である。つまり正極活物質100は、表層部に第2の領域102に加えて第3の領域103を有することで、第1の領域101が有するリチウムと遷移金属を含む複合酸化物の結晶構造をより安定にすることが可能である。そのため正極活物質100を有する二次電池のサイクル特性を向上させることができる。また4.3V(vs.Li/Li+)を超えるような電圧、特に4.5V(vs.Li/Li+)以上の高電圧で充放電を行う場合に、本発明の一態様の構成は顕著な効果を発揮する。」 「【0054】 第3の領域103は、薄すぎると被覆層としての機能が低下するが、厚くなりすぎても容量の低下を招く。そのため、第3の領域103は正極活物質100の表面から深さ方向に0.5nm以上50nm以下に存在することが好ましく、0.5nm以上5nm以下に存在することがより好ましい。」 「【0057】 第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103は、TEM像、STEM像、FFT(高速フーリエ変換)解析、EDX(エネルギー分散型X線分析)、ToF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)による深さ方向の分析、XPS(X線光電子分光)、オージェ電子分光法、TDS(昇温脱離ガス分析法)等によって異なる組成を有することを確認できる。なおEDX測定のうち、領域内を走査しながら測定し、領域内を2次元に評価することをEDX面分析と呼ぶ場合がある。またEDXの面分析から、線状の領域のデータを抽出し、原子濃度について正極活物質粒子内の分布を評価することを線分析と呼ぶ場合がある。 【0058】 たとえばTEM像およびSTEM像では、構成元素の違いが像の明るさの違いとなって観察されるため、第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103の構成元素が異なることが観察できる。またEDXの面分析(たとえば元素マッピング)でも、第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103が異なる元素を有することが観察できる。 【0059】 またEDXの線分析、およびToF-SIMSを用いた深さ方向の分析では、第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103が有する各元素の濃度のピークを検出することができる。」 「【0061】 本明細書等において、正極活物質100の表層部に存在する第3の領域103の範囲は、正極活物質100の表面から、マグネシウムの濃度がピークの1/5になるまでをいうこととする。分析手法としては、上述のEDXの線分析、およびToF-SIMSを用いた深さ方向の分析等を適用することができる。」 「【0065】 正極活物質100が有するフッ素の分布は、マグネシウムの分布と重畳することが好ましい。そのため、フッ素も濃度勾配を有し、フッ素の濃度のピークは、正極活物質100の表面から中心に向かった深さ3nmまでに存在することが好ましく、深さ1nmまでに存在することがより好ましく、深さ0.5nmまでに存在することがさらに好ましい。 【0066】 また本明細書等において、正極活物質100の表層部に存在する第2の領域102は、深さ方向分析で検出されるアルミニウムの濃度が、ピークの1/2以上である領域をいうこととする。粒界近傍や結晶欠陥近傍等の第1の領域101の内部に存在する第2の領域102についても、深さ方向分析で検出されるアルミニウムの濃度が、ピークの1/2以上である領域をいうこととする。分析手法としては、上述のEDXの線分析、およびToF-SIMSを用いた深さ方向の分析等を適用することができる。 【0067】 そのため第3の領域103と、第2の領域102は重畳する場合がある。ただし、第3の領域103は、第2の領域102よりも正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい。またマグネシウム濃度のピークは、アルミニウム濃度のピークよりも、正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい。 【0068】 アルミニウム濃度のピークは、正極活物質100の表面から中心に向かった深さ0.5nm以上20nm以下に存在することが好ましく、深さ1nm以上5nm以下に存在することがより好ましい。 【0069】 アルミニウム、マグネシウムおよびフッ素の濃度は、上述したToF-SIMS、EDX(面分析および線分析)の他、XPS、オージェ電子分光法、TDS等により分析することができる。 【0070】 なおXPSは正極活物質100の表面から5nm程度が測定範囲である。そのため、表面から5nmほどに存在する元素濃度を定量的に分析可能である。そのため第3の領域103の厚さが表面から5nm未満の場合は第3の領域103および第2の領域102の一部を合わせた領域、第3の領域103の厚さが表面から5nm以上の場合は第3の領域103の、元素濃度を定量的に分析することができる。 【0071】 正極活物質100の表面からXPSで測定される、リチウム、アルミニウム、第1の領域101が有する遷移金属、マグネシウム、酸素、およびフッ素の総量を100原子%としたときの、アルミニウム濃度は0.1原子%以上10原子%以下であることが好ましく、0.1原子%以上2原子%以下であることがより好ましい。またマグネシウム濃度は5原子%以上20原子%以下であることが好ましい。またフッ素濃度は3.5原子%以上14原子%以下であることが好ましい。」 「【0104】 (実施の形態2) 本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極活物質100を有する二次電池に用いることのできる材料の例について説明する。本実施の形態では、正極、負極および電解液が、外装体に包まれている二次電池を例にとって説明する。 【0105】 [正極] 正極は、正極活物質層および正極集電体を有する。 【0106】 <正極活物質層> 正極活物質層は、正極活物質を有する。また、正極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい。 【0107】 正極活物質としては、先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることができる。先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池とすることができる。 【0108】 導電助剤としては、炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。 【0109】 導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、正極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。 【0110】 導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。 【0111】 また、導電助剤としてグラフェン化合物を用いてもよい。 【0112】 グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。そのため、グラフェン化合物を導電助剤として用いることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここでグラフェン化合物として例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンまたはreducedGraphene Oxide(以下、RGO)を用いることが特に好ましい。ここで、RGOは例えば、酸化グラフェン(graphene oxide:GO)を還元して得られる化合物を指す。」 「【0129】 [負極] 負極は、負極活物質層および負極集電体を有する。また、負極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい。 【0130】 <負極活物質> 負極活物質としては、例えば合金系材料や炭素系材料等を用いることができる。」 「【0133】 炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等を用いればよい。」 「【0142】 [電解液] 電解液は、溶媒と電解質を有する。」 「【0145】 また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、例えばLiPF6、・・・等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。」 「【0254】 また、先の実施の形態で示したサイクル特性のよい二次電池を電子機器に実装する例を図18(H)、図19および図20を用いて説明する。 【0255】 日用電子機器に二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な製品を提供できる。例えば、日用電子機器として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の二次電池としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、大容量の二次電池が望まれている。 【0256】 図18(H)はタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図18(H)において電子タバコ7500は、加熱素子を含むアトマイザ7501と、アトマイザに電力を供給する二次電池7504と、液体供給ボトルやセンサなどを含むカートリッジ7502で構成されている。安全性を高めるため、二次電池7504の過充電や過放電を防ぐ保護回路を二次電池7504に電気的に接続してもよい。図18(H)に示した二次電池7504は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池7504は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。本発明の一態様の二次電池は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができる小型であり、且つ、軽量の電子タバコ7500を提供できる。」 2 甲1~5の記載事項 (1)甲1の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲1の特に【0146】~【0148】に記載の実施例21を参照すると、甲1には、「正極活物質、正極および非水電解質電池」(発明の名称)に関して、「SEM/EDXにより観察したところ、マグネシウムがリチウム遷移金属複合酸化物の表面全体に均一分布していることが確認され、フッ化アルミニウムがリチウム遷移金属複合酸化物の表面に被着、あるいは粒子間に存在していることも確認され、CuKαを用いた粉末X線回折パターンを測定したところ、層状岩塩構造を有するコバルト酸リチウムに相当する回折ピークに加えてフッ化アルミニウムの回折ピークが確認され、粒子断面を切削して半径方向の元素分布をオージェ電子分光法により測定したところ、マグネシウム濃度が表面から連続的に変化している様子が観察されたリチウム遷移金属複合酸化物を用いた正極活物質及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池」について記載されている。 (2)甲2の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲2の特に請求項1、2、【0011】、【0018】~【0021】を参照すると、甲2には、「正極活物質として用いるリチウム遷移金属酸化物に導電付与剤としてカーボンナノチューブ含有炭素材ないしは金属イオン内包カーボンナノチューブ含有炭素材を添加混合している」ことが記載されている。 (3)甲3の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲3の特に【0003】、【0011】を参照すると、甲3には、「リチウムイオン電池の導電助剤として、従来、アセチレンブラックやカーボンナノチューブ等が使用され、また、グラフェン粉末も添加される」ことが記載されている。 (4)甲4の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲4の特に請求項1、【0010】を参照すると、甲4には、「第1の直径のカーボンナノチューブCNT(A)、第2の直径のカーボンナノチューブCNT(B)、グラフェンおよびカーボンブラックからなる群から選択される少なくとも2つの炭素質材料の3次元網状構造を含む導電性添加剤」が記載されている。 (5)甲5の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲5の特に請求項1、3を参照すると、甲5には、「リチウムイオン電池である電気化学セル用導電性電極は、電気活性材料の複数の粒子を結合する伝導性グラフェンポリマーバインダーを含む」ことが記載されている。 (6)甲6の記載事項 本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物である甲6の特に【0044】、【0045】を参照すると、甲6には、「リチウムイオン電池用電極には導電助剤が含有されており、導電助剤はグラフェン粉末からなる」ことが記載されている。 (7)甲7の記載事項 甲7は、原出願の公開公報であり、その発明の詳細な説明及び図面には、本件特許の明細書の発明の詳細な説明及び図面と同一の事項が記載されている。 第6 当審の判断 以下に述べるように、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由1(進歩性)について 本件訂正により、請求項1、22は削除されたため、取消理由1の対象となる請求項が存在しないものとなった。 また、本件訂正後の請求項21は請求項2~20を引用するものとなったため、取消理由1は、理由のないものとなった。 (2)取消理由2(明確性)について ア 訂正前の請求項1~20、22~41(請求項1~20を直接又は間接的に引用する請求項21についても同様。)における「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を表層部に有し」との記載について、「表層部」自体が正極活物質粒子の表面からどの程度の範囲までのことをいうのか、本件明細書の発明の詳細な説明を参酌しても、その範囲が曖昧であった。 これに対して、本件訂正により、請求項1、22は削除されたため、対象となる請求項が存在しないものとなった。 また、請求項2~21、23~41については、上記第2のとおり、本件訂正により、「表層部」との記載は「前記正極活物質の表面から50nmまでの領域」とされ、その範囲が明確にされたから、上記の点に関する明確性要件違反は解消した。 イ 訂正前の請求項2、7、12、17、23、28、33、38における「前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」との記載について、「マグネシウム」は元素であり、元素が「領域」を有するとはどのような意味か特定できなかった。 これに対し、上記第2のとおり、本件訂正により、「前記マグネシウムは、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」との記載は「前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」とされ、「正極活物質」が「領域」を有することが特定された結果、その意味が明確になったから、上記の点に関する明確性要件違反は解消した。 ウ 訂正前の請求項3、8、13、18、24、29、34、39における「前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」との記載について、「マグネシウム」及び「フッ素」は元素であり、元素が「領域」を有するとはどのような意味か特定できなかった。 これに対し、上記第2のとおり、本件訂正により、「前記マグネシウム及び前記フッ素は、前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」との記載は「前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有し」とされ、「正極活物質」が「領域」を有することが特定された結果、その意味が明確になったから、上記の点に関する明確性要件違反は解消した。 (3)取消理由通知に記載した取消理由についてのまとめ したがって、取消理由1(進歩性)及び取消理由2(明確性)によっては、本件訂正後の請求項2~21、23~41に係る特許を取り消すことはできない。また、請求項1、22は本件訂正により削除されたため、取消理由1、2の対象となる請求項が存在しないものとなった。 2 取消理由として採用しなかった特許異議の申立ての理由について (1)申立理由2(新規性及び進歩性)について ア 特許法第44条第1項柱書に規定する分割要件について (ア)申立人は、本願は分割要件を満たさないことから、その出願日は原出願の出願日に遡及するものではなく、本件発明の新規性及び進歩性等の判断は本件特許の現実の出願日(令和2年4月3日)でなされるべきであることを前提に、本件発明は原出願の公開公報である甲7に記載の発明に対して新規性、進歩性を有しない旨主張している。 そのため、まず申立人の主張の前提となる、本願が分割要件を満たすか否かについて検討する。 (イ)原出願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の記載事項 原出願の当初明細書の【0009】、【0013】~【0015】、【0017】、【0018】、【0030】~【0034】、【0037】~【0040】、【0044】~【0047】、【0049】~【0052】、【0054】、【0057】~【0059】、【0061】、【0065】~【0071】、【0104】~【0112】、【0129】、【0130】、【0133】、【0142】、【0145】、【0254】~【0256】の記載事項は、上記第5の1にて摘記した本件明細書の【0009】、【0013】~【0015】、【0017】、【0018】、【0030】~【0034】、【0037】~【0040】、【0044】~【0047】、【0049】~【0052】、【0054】、【0057】~【0059】、【0061】、【0065】~【0071】、【0104】~【0112】、【0129】、【0130】、【0133】、【0142】、【0145】、【0254】~【0256】の記載事項と同一である。 (ウ)本件発明と原出願の当初明細書との対比 a.原出願の当初明細書の【0009】、【0104】における「本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供することを課題の一とする」との記載及び「本実施の形態では、正極、負極および電解液が、外装体に包まれている二次電池を例にとって説明する」との記載を勘案すれば、本件発明2~21、23~41の「リチウムイオン二次電池」は、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 b.原出願の当初明細書の【0105】、【0106】における「正極は、正極活物質層および正極集電体を有する」、「正極活物質層は、正極活物質を有する。また、正極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい」の記載を勘案すれば、本件発明2~20、23~41の「正極活物質と、導電助剤と、を有する正極」は、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 c.原出願の当初明細書の【0037】~【0039】における「第1の領域101は、リチウムと、遷移金属と、酸素と、を有する。第1の領域101はリチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有するといってもよい」、「第1の領域101が有する遷移金属としては・・・たとえばマンガン、コバルト、ニッケルのうち一つもしくは複数を用いることができる」、「第1の領域101は、コバルト酸リチウム・・・等の、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有することができる」の記載を勘案すれば、本件発明2~20、23~41の「リチウム及びコバルトを含む複合酸化物を有する正極活物質」は、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 d.原出願の当初明細書の【0034】、【0037】~【0039】、【0044】、【0049】、【0051】、【0054】における、「第2の領域102及び第3の領域103は、正極活物質100の表層部に存在する」との記載、「第1の領域101は、リチウムと、遷移金属と、酸素と、を有する」との記載、「第1の領域101が有する遷移金属としては、リチウムとともに層状岩塩型の複合酸化物を形成しうる金属を用いることが好ましい。たとえばマンガン、コバルト、ニッケルのうち一つもしくは複数を用いることができる」との記載、「つまり第1の領域101は、コバルト酸リチウム・・・等の、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物を有することができる」との記載、「第2の領域102が有する遷移金属は、第1の領域101が有する遷移金属と同じ元素であることが好ましい」との記載、「第2の領域102は、正極活物質100の表面から深さ方向に30nm、より好ましくは15nmまでに存在することが好ましい」との記載、「また第3の領域103は、第1の領域101および第2の領域102と同じ遷移金属を有していてもよい」との記載、「第3の領域103は正極活物質100の表面から深さ方向に0.5nm以上50nm以下に存在することが好まし」いとの記載を勘案すれば、本件発明2、3、7、8、12、13、17、18、23、24,28、29、33、34、38、39の「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有」することは、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 e.原出願の当初明細書の【0044】、【0050】、【0051】、【0067】における、「第2の領域102はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、マグネシウムと、酸素と、を有する」との記載、「第3の領域103は、フッ素を有していてもよい」との記載、「第3の領域103は、第2の領域102よりも正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい」との記載を勘案すれば、本件発明2、7、12、17、23、28、33、38の「前記正極活物質は、前記マグネシウムが前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」すること及び本件発明3、8、13、18、24、29、34、39の「前記正極活物質は、前記マグネシウム及び前記フッ素が前記アルミニウムより前記正極活物質の表面側に存在する領域を有」することは、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 f.原出願の当初明細書の【0057】、【0059】、【0067】における「第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103は・・・EDX(エネルギー分散型X線分析)・・・による深さ方向の分析、XPS(X線光電子分光)・・・等によって異なる組成を有することを確認できる・・・EDXの面分析から、線状の領域のデータを抽出し、原子濃度について正極活物質粒子内の分布を評価することを線分析と呼ぶ場合がある」との記載、「EDXの線分析、およびToF-SIMSを用いた深さ方向の分析では、第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103が有する各元素の濃度のピークを検出することができる」との記載、「マグネシウム濃度のピークは、アルミニウム濃度のピークよりも、正極活物質の粒子の表面に近い領域に存在することが好ましい」との記載を勘案すれば、本件発明4、9、14、19、25、30、35、40の「エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置」すること及び本件発明5、10、15、20、26、31、36、41の「エネルギー分散型X線分析において、前記マグネシウムの濃度のピーク及び前記フッ素の濃度のピークは、前記アルミニウムの濃度のピークより前記正極活物質の表面側に位置」することは、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 g.原出願の当初明細書の【0057】、【0069】、【0071】における「第1の領域101、第2の領域102および第3の領域103は・・・XPS(X線光電子分光)・・・等によって異なる組成を有することを確認できる」との記載、「アルミニウム、マグネシウムおよびフッ素の濃度は・・・XPS・・・等により分析することができる」との記載、「正極活物質100の表面からXPSで測定される、リチウム、アルミニウム、第1の領域101が有する遷移金属、マグネシウム、酸素、およびフッ素の総量を100原子%としたときの、アルミニウム濃度は0.1原子%以上10原子%以下であることが好ましく、0.1原子%以上2原子%以下であることがより好ましい。またマグネシウム濃度は5原子%以上20原子%以下であることが好ましい。またフッ素濃度は3.5原子%以上14原子%以下であることが好ましい」との記載を勘案すれば、本件発明6~10、27~31の「X線光電子分光で測定される前記マグネシウムの濃度が5原子%以上20原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)」との構成、本件発明11~15、32~36の「X線光電子分光で測定される前記フッ素の濃度が3.5原子%以上14原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)」との構成、本件発明16~20、37~41の「X線光電子分光で測定される前記アルミニウムの濃度が0.1原子%以上10原子%以下であり(ただし、リチウム、アルミニウム、コバルト、酸素、マグネシウム、及びフッ素の総量を100原子%とする。)」は、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 h.原出願の当初明細書の【0110】における「導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる」との記載を勘案すれば、本件発明2~20の「前記導電助剤は、炭素繊維を有する」こと、本件発明21の「前記炭素繊維は、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブである」ことは、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 i.原出願の当初明細書の【0111】、【0112】における「導電助剤としてグラフェン化合物を用いてもよい」、「グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。そのため、グラフェン化合物を導電助剤として用いることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここでグラフェン化合物として例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンまたはreduced Graphene Oxide(以下、RGO)を用いることが特に好ましい」との記載を勘案すれば、本件発明23~41の「前記導電助剤は、グラフェン又はマルチグラフェンである」ことは、原出願の当初明細書に記載されていると認められる。 j.してみると、本件発明は、原出願の当初明細書に記載された事項の範囲内であり、分割要件を満たしているものである。 (エ)申立人の主張の検討 申立人は、特許異議申立書において、「分割出願時の請求項1においては、正極活物質の表層部以外の部分について規定がされておらず、且つ、表層部におけるアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度が規定されていない。そのため、分割出願時の請求項1には、表層部以外の部分が表層部と同様の組成である正極活物質や、表層部以外の部分が特に限定されず、且つ、表層部におけるアルミニウム濃度が10原子%を超える正極活物質が含まれうるが、このような正極活物質は、出願当初の明細書又は図面には何ら記載されておらず、しかも同明細書又は図面の記載からみて自明の事項であるとも認められない」と主張している。 しかしながら、上記(ウ)で検討したとおり、本件発明は原出願の当初明細書に記載された事項の範囲内であり、正極活物質の表層部以外の部分の組成や表層部における元素濃度が規定されていないからといって、直ちに原出願の当初明細書の記載を超えるものであると認めることはできない。 よって、申立人の主張は採用することができない。 (オ)分割要件についての小括 以上のとおりであるから、本願は原出願の当初明細書に記載された二以上の発明の一部を新たな特許出願としたものであって、その明細書の記載には原出願の当初明細書に記載した範囲の事項以外の事項が存在するとは認められないから、本願は分割要件を満たすものであり、その出願日は特許法第44条第2項の規定により原出願の出願日である平成29年11月 6日とみなされ、その結果優先日も平成28年11月18日であると認める。 イ 新規性及び進歩性についての検討 上記ア(オ)で述べたとおり、本願は分割要件を満たすことから、平成30年 6月 7日を公開日とする甲7は、本願優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物であるとはいえない。よって、申立人による本件特許が甲7に記載の発明に対して新規性及び進歩性を満たさないとの主張は、その前提において誤解のある申立理由であって、妥当性を欠くものである。 ウ 申立理由2(新規性、進歩性)についてのまとめ したがって、本件発明2~21、23~41は、いずれも、申立理由2(新規性、進歩性)によっては、特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項の規定に違反してなされたものであるということができず、同法第113条第2号により取り消すことができない。また、請求項1、22は本件訂正により削除されたため、申立理由2(新規性、進歩性)の対象となる請求項が存在しないものとなった。 (2)申立理由3(サポート要件)について ア 特許法第36条第6項第1号に規定する要件、いわゆる、特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明が解決すべき課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明が解決すべき課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであるから(知的財産高等裁判所特別部平成17年(行ケ)第10042号判決参照。)、以下、当該観点に立って検討する。 イ(ア)本件明細書の発明の詳細な説明の【0009】の記載によれば、本件明細書には課題の一つとして「リチウムイオン二次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供すること」が記載されている。 (イ)一方、本件明細書の発明の詳細な説明の【0044】、【0046】、【0047】の記載によれば、本件明細書には「第2の領域102はリチウムと、アルミニウムと、遷移金属と、酸素と、を有」し、正極活物質が「表層部にアルミニウムを有する第2の領域102を有するため、第1の領域101が有するリチウムと遷移金属を含む複合酸化物の結晶構造をより安定にすることが可能である」ため、「正極活物質100を有する二次電池のサイクル特性を向上させることができる」ことが記載されている。 (ウ)また、本件明細書の発明の詳細な説明の【0050】、【0052】の記載によれば、「第3の領域103は、マグネシウムと、酸素と、を有」し、「第3の領域103が有する酸化マグネシウムは電気化学的に安定な材料であるため、充放電を繰り返しても劣化が生じにくく被覆層として好適であ」り、「正極活物質100は、表層部に第2の領域102に加えて第3の領域103を有することで、第1の領域101が有するリチウムと遷移金属を含む複合酸化物の結晶構造をより安定にすることが可能である」ため、「正極活物質100を有する二次電池のサイクル特性を向上させることができる」ことが記載されている。 (エ)さらに、本件明細書の発明の詳細な説明の【0037】~【0039】の記載によれば、「正極活物質が、リチウムとコバルトを含む複合酸化物を有すること」が記載されている。 また、上記第2の2(2)イ(ウ)で検討したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には「前記正極活物質は、前記コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を前記正極活物質の表面から50nmまでの領域に有」することが記載されていると認められる。 (オ)これらの記載を勘案すれば、本件明細書には「リチウムイオン二次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供する」という課題に対応して、「正極活物質が、リチウムとコバルトを含む複合酸化物を有し、コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を正極活物質の表面から50nmまでの領域に有する」ことが、当業者が当該課題を解決できると認識できる範囲として記載されていると認められる。 エ 一方、上記第3にて摘記したとおり、本件発明2~21、23~41は、いずれも「正極活物質」が「リチウムとコバルトを含む複合酸化物を有し」、「コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を正極活物質の表面から50nmまでの領域に有する」ことを発明特定事項として有している。 そうすると、本件発明2~21、23~41には、上記ウに示した、当業者が当該課題を解決できると認識できる範囲を超えるところは見当たらない。 してみると、本件発明は発明の詳細な説明に記載されたものである。 オ(ア)申立人は、特許異議申立書において、「本件特許請求項1には、表層部以外の部分についての組成や、表層部におけるアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度が規定されていない」ため、「本件特許請求項1には、表層部以外の部分についても表層部と同様の組成を有する正極活物質や、表層部のアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度がいかなる値の正極活物質であっても含まれる」のに対し、「本件特許明細書の実施例においては、正極活物質として、内部にコバルト酸リチウムを有し、表層部におけるリチウム、アルミニウム、コバルト、マグネシウム、酸素、およびフッ素の総量を100原子%として計算した場合のアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度が、それぞれ、0.2原子%、13.2原子%及び7.8原子%である例が開示されているのみである」ため、「正極活物質の内部の組成や、表面に存在するアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度によってサイクル特性が変化することが技術常識であるところ、正極活物質の内部にコバルト酸リチウムを含まない場合や、表層部におけるアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度が0.2原子%、13.2原子%及び7.8原子%とは大きく異なる場合において」も、本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】に列挙された「リチウムイオンニ次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供すること」「高容量の二次電池を提供すること」「充放電特性の優れた二次電池を提供すること」「安全性又は信頼性の高い二次電池を提供すること」という本件特許発明の課題を解決できるとは認識できないと主張している。 (イ)しかしながら、上記ウ、エにて述べたとおり、本件明細書には「リチウムイオン二次電池に用いることで、充放電サイクルにおける容量の低下が抑制される正極活物質を提供する」という課題に対応して、「正極活物質が、リチウムとコバルトを含む複合酸化物を有し、コバルト、アルミニウム、マグネシウム及びフッ素を正極活物質の表面から50nmまでの領域に有する」ことを当業者が当該課題を解決できると認識できる範囲として記載されており、本件明細書の実施例は上記課題を解決できたことを裏付ける結果に過ぎない。そのため、当業者であれば、「正極活物質の内部にコバルト酸リチウムを含まない場合や、表層部におけるアルミニウム濃度、マグネシウム濃度及びフッ素濃度が0.2原子%、13.2原子%及び7.8原子%とは大きく異なる場合」といった、正極活物質が本件特許明細書の実施例と異なる組成または元素濃度である場合を包含するかどうかに関わりなく、本件発明2~21、23~41は上記課題を解決できると認識できる。 カ 申立理由3(サポート要件)についてのまとめ よって、本件発明2~21、23~41は、発明の詳細な説明に記載されたものであって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるので、本件特許の特許請求の範囲の記載が、サポート要件に違反するとはいえない。したがって、本件特許の請求項2~21、23~41の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものであるといえるから、特許法第36条第6項第1号に適合する。また、請求項1、22は本件訂正により削除されたため、申立理由3(サポート要件)の対象となる請求項が存在しないものとなった。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては、請求項2~21、23~41に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項2~21、23~41に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項1、22は、本件訂正により削除されたため、これらの請求項に係る特許に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-700128

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ出願・登録の審決1件(出願 特願2020-067604)
  • 2024-390154訂正審判 / 2025-02-05 / 訂正認容リチウムイオン二次電池
    同じ出願番号
同じ当事者の審決261件(株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦)
  • 2022-700100異議申立 / 2022-10-31 / 訂正認容正極活物質の作製方法、及びリチウムイオン二次電池の作製方法
    同じ当事者: 株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦
  • 2021-701185異議申立 / 2022-10-24 / 訂正認容リチウムイオン二次電池及び正極活物質
    同じ当事者: 株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦
  • 2021-700983異議申立 / 2022-06-03 / 訂正認容リチウムイオン二次電池
    同じ当事者: 株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦
  • 2021-700418異議申立 / 2022-03-07 / 訂正認容リチウムイオン二次電池の正極活物質、及びリチウムイオン二次電池
    同じ当事者: 株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦
  • 2021-700127異議申立 / 2022-02-07 / 訂正認容電子機器、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電池の正極活物質
    同じ当事者: 株式会社半導体エネルギー研究所、浜 俊彦
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,892件(113・H01M、121・H01M、537・H01M)
  • 2026-700447異議申立 / 2026-08-26 / 維持窒素含有多孔質炭素及びその製造方法、並びに燃料電池用電極触媒
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2025-701066異議申立 / 2026-07-16 / 維持二次電池バインダー、スラリー、電極、二次電池の製造方法、及び二次電池
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2026-700111異議申立 / 2026-06-22 / 維持固体酸化物形電気化学セル及びその利用
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2026-700141異議申立 / 2026-05-27 / 維持電気化学装置
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M
  • 2025-701146異議申立 / 2026-05-13 / 維持二次電池バインダー、スラリー、電極、二次電池の製造方法、及び二次電池
    共通の審決分類: 113・H01M、121・H01M、537・H01M

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存