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特許異議申立

2021-700076

遊技機

審判番号
2021-700076
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-135413外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年01月22日
審決日
2021年09月08日
公報発行日
2021年12月24日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6726940号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】
特許第6726940号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第6726940号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 16項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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特許第6726940号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成27年7月6日に特願2015-135413号として出願され、

令和1年5月21日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がされ、

令和1年12月10日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がされ、

令和2年6月12日付けで特許査定がされるとともに令和2年7月2日にその特許権の設定登録がされ、

令和2年7月22日に特許掲載公報が発行された。

その後、その特許について、令和3年1月22日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年3月30日付けで取消理由を通知した。特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である令和3年5月28日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、これに対して、特許異議申立人は、令和3年7月26日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1において、

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を備え、」と記載されているのを、

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、」に訂正する。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項1において、

「前記示唆演出実行手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、」と記載されているのを、

「前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、」に訂正する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項1において、

「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一の態様であり、」と記載されているのを、

「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、」に訂正する。

(4)訂正事項4

特許請求の範囲の請求項1において、

「前記第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、前記第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる、遊技機。」と記載されているのを、

「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる、遊技機。」に訂正する。

(5)訂正事項5

願書に添付した明細書の段落【0008】において、

「本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させる示唆演出を実行する遊技機を提供することを目的とする。」と記載されているのを、

「本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させる示唆演出音を出力する遊技機を提供することを目的とする。」に訂正する。

(6)訂正事項6

願書に添付した明細書の段落【0009】において、

「遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記示唆演出実行手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、
前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一の態様であり、
前記第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、前記第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン)であって、
所定操作(たとえば、図24のS72の演出用スイッチ56への操作)がされることにより成立する所定実行条件を含む複数種類の実行条件のうちのいずれかが成立したときに、遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」と記載されているのを、
「遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
前記示唆演出音出力手段は、
続きを表示(全13行)
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン)であって、
所定操作(たとえば、図24のS72の演出用スイッチ56への操作)がされることにより成立する所定実行条件を含む複数種類の実行条件のうちのいずれかが成立したときに、遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1

ア 訂正の目的について

訂正事項1は、「示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」を「示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」に限定するとともに、「遊技機」が「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

(ア)本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「【0009】
…遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、…」
「【0017】
(5) 上記(1)~(4)いずれかの遊技機において、
遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」~「楽曲E」)のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」)が遊技者によって選択されているか否かを判定する(たとえば、図20のS82)判定手段と、
所定条件(たとえば、図22に示す第1決定条件または第2決定条件)が成立したときに、遊技者が選択可能な特定演出として前記示唆演出を追加する特定演出追加手段(たとえば、図20のS81の処理)と、
前記特定演出を実行する特定演出実行手段(たとえば、サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理)とを備え、
前記特定演出実行手段は、
前記特定演出が選択されていないと判定された場合には(図20のS82のNo)、前記複数種類の特定演出のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」~「楽曲E」のうち選択された楽曲)を実行するとともに、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには(たとえば、図20のS81の処理が実行されたときには)、前記示唆演出を実行し(たとえば、図20のS88を実行し)、
前記特定演出が選択されていると判定された場合には(図20のS82のYes)、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったか否かに関わらず選択されている前記特定演出を実行する(たとえば、S82のYesのときには、S88の処理を実行しないことから、選択されている楽曲を出力する)。」
「【0066】
演出制御基板90は、液晶表示器51などの演出装置(図7の演出制御基板90の右側などに例示)を駆動制御する。また、演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図7の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図7の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。」
「【0123】
[楽曲F関連処理]
次に、楽曲F関連処理について説明する。楽曲Fとは、デフォルトで遊技者が選択可能な楽曲A~楽曲Eのいずれとも異なる楽曲である。楽曲Fは、楽曲F関連処理が実行されることにより、遊技者が選択可能な楽曲A~Eに追加され得る楽曲である。楽曲Fが追加されることにより、遊技者は、楽曲A~楽曲Fのいずれかから選択可能となる。」
「【0125】
S70において、楽曲Fが出力中か否かが判断される。楽曲Fが出力であると判断されたときには(S70のYes)、楽曲F関連処理は終了する。一方、楽曲Fが出力されていないと判断されたときには(S70のNo)、S71に進む。S70でNoと判断されるということは、楽曲A~Eのいずれかが出力されているということである。
【0126】
S71では、ボタン演出実行中であるか否かが判断される。ここで、ボタン演出とは、図22(ウ)に示すように、演出用スイッチ56を模倣した画像と、「押せ!」といったメッセージとを表示することにより、演出用スイッチ56の操作を遊技者に対して要求する演出である。」
「【0141】
楽曲A~Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出である。…」
「【0152】
また、楽曲Fにより残りナビ数を示唆するとして説明した…」
「【0176】
第1実施形態では、楽曲Fの出力により残りナビ数を示唆する…」
「【0210】
[特定演出について]
(1) 本実施形態では、遊技者が選択可能な特定演出は、楽曲を出力する演出であるとして説明した。しかしながら、特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい。たとえば、特定演出は、液晶表示器51にキャラを表示させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、キャラA~キャラEを選択可能とする選択画面としてもよい。また、追加され得る新たな特定演出は、残りナビ数を示唆するキャラFを表示する演出としてもよい。
【0211】
また、その他の例として、特定演出は、演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、発光態様A~発光態様Eを選択可能とする選択画面としてもよい。発光態様とは、演出効果LED52の発光の態様をいう。また、追加され得る新たな特定演出を、発光態様Fで演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。」

(イ)上記の【0009】、【0152】、【0176】によれば、「楽曲F」又は「楽曲Fの出力」は、「残りナビ数」という「遊技者にとっての有利度」を示唆するものであり、【0123】によれば、「楽曲F」は、「楽曲A~楽曲Eのいずれとも異なる楽曲」である。また、「楽曲A~Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出」(【0141】)であって、楽曲F及び楽曲A~Eを出力する演出は、いずれも音を出力することによってなされる演出であるから、「楽曲F」及び「楽曲A~E」は、それぞれ、訂正後の請求項1に記載された「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」及び「前記示唆演出音と異なる通常演出音」に対応するものである。

また、【0141】によれば、「楽曲A~Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出である」から、「楽曲Fの出力」は、【0017】に記載の「特定演出(たとえば、「楽曲A」~「楽曲E」のうち選択された楽曲)」を実行する「特定演出実行手段(たとえば、サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理)」と同様に、「サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理」によって実行されるものであると認められる。そうすると、「楽曲Fの出力」を実行する「サブCPU91a」及び「スピーカ53、54」は、訂正後の請求項1に記載された「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」に対応するものである。

また、【0126】に記載の「ボタン演出」は、楽曲A~Eのいずれかが出力されているときに、演出用スイッチ56を模倣した画像と、「押せ!」といったメッセージとを表示するものであるから、訂正後の請求項1に記載の「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出」に対応する。

また、【0066】に記載の「サブ制御部91」は、「ボタン演出」を含めた「演出を行う処理を行う」ものであると認められることから、訂正後の請求項1に記載された「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段」に対応する。

(ウ)上記【0017】の「サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理」との記載から、本件特許明細書においては「楽曲」という「音声」を「出力」することについて記載されているというべきであって、本件特許明細書には「音声」を「出力」することが示唆されているものということができる。

また、「遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」~「楽曲E」)」(【0017】)について、【0210】には、「特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことが記載されている。そして、「所定条件」「が成立したときに、遊技者が選択可能な特定演出として」「追加する」「示唆演出」(【0017】)である「楽曲F」についても、楽曲A~Eと同様に、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことは明らかである。

楽曲A~E及び楽曲Fを出力する演出は、遊技者にとっての有利度を示唆するための演出であるところ、互いに異なる「音声」又は「音」を出力する演出によっても、楽曲を出力する演出と同様に、遊技者にとっての有利度を示唆することができることは自明である。

そうすると、

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、」

との訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

(エ)以上によれば、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項1は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2

ア 訂正の目的について

訂正事項2は、「所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御」を「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御」に限定するとともに、「前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御」を「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御」に限定するものであるから、当該訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

本件特許明細書及び願書に添付した図面には、以下の記載がある。

「【0099】
本実施形態では、「本日の結果」選択時には、図示しない楽曲選択ボタンが表示され、楽曲選択ボタン選択時には、図19(a)に示す楽曲選択画面が表示される。楽曲選択画面では、たとえば、図19(a)に示すように、遊技者がデフォルトで選択可能な楽曲(特定演出)として、「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」、「楽曲E」の項目が表示されるようになっている。
【0100】
本実施形態では、遊技者によっていずれかの項目が選択されると、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中に選択された項目に対応する楽曲が音声出力されるように設定される。また、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合、全ての楽曲が選択可能となった順番(設定順)にループして音声出力される。具体的には、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」の楽曲ループが設定され、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力される。」
「【0123】
…楽曲Fとは、デフォルトで遊技者が選択可能な楽曲A~楽曲Eのいずれとも異なる楽曲である。…」
「【0124】
図20は、楽曲F関連処理はフローチャートの一例を示したものである。図20の楽曲F関連処理はサブ制御部91により実行される。楽曲F関連処理は、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において、所定時間(たとえば、0.56ms)毎に実行されるタイマ割込処理である。」
「【0125】
…一方、楽曲Fが出力されていないと判断されたときには(S70のNo)、S71に進む。S70でNoと判断されるということは、楽曲A~Eのいずれかが出力されているということである。」
「【0128】
ボタン演出実行中であると判断されたときには(S71のYes)、S72に進む。S72において、演出用スイッチ56の操作がされたか否かが判断される。…」
「【0130】
一方、S72において、演出用スイッチ56が操作されたと判断されたときには(S72のYes)、S78に進む。S78ではボタン演出を終了させる。」
「【0132】
S78の処理が終了すると、S80に進む。S80において、現在の残りナビ数が10以上であるか否かが判断される。現在の残りナビ数については、RAM91cに格納されている残りナビ数から特定される。S80において、現在の残りナビ数が10未満であると判断されたときには(S80のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S80において、現在の残りナビ数が10以上であると判断されたときには(S80のYes)、S81に進む。
【0133】
一方、S71においてボタン演出実行中ではないと判断された場合には(S71のNo)、S90に進む。S90において通常リプレイが入賞したか否かが判断される。S90において、通常リプレイが入賞していないと判断されたとき(S90のNo)、楽曲F関連処理を終了する。S90において、通常リプレイが入賞したと判断されたときには(S90のYes)、S92に進む。
続きを表示(全12行)
【0134】
S92において、現在の残りナビ数が5以上であるか否かが判断される。S92において、現在の残りナビ数が5未満であると判断されたときには(S92のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S92において、現在の残りナビ数が5以上であると判断されたときには(S92のYes)、S94に進む。
【0135】
S94において、楽曲F追加抽選を実行する。楽曲F追加抽選は、楽曲Fを追加するか否かを決定する抽選である。楽曲F追加抽選は、1/100の確率で楽曲Fを追加することを決定し、99/100の確率で楽曲Fを追加しないことを決定する。S94の処理が終了すると、S96に進む。
【0136】
S96において、S94の楽曲F追加抽選により楽曲Fの追加が決定されたか否かが判断される。S96において楽曲Fの追加が決定されなかったと判断されたときには(S96のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S96において楽曲Fの追加が決定されたと判断されたときには(S96のYes)、S81に進む。
【0137】
S81において、楽曲Fが追加される。楽曲Fが追加されることにより、図19の楽曲選択画面において、楽曲Fの選択肢が増加される。これにより、遊技者は、楽曲A~Eの他に、楽曲Fも選択可能となる。S81の処理が終了すると、S82に進む。」
「【0143】
一方、S82において、RAM91cに選択済フラグがセットされていないと判断された場合(S82のNo)、つまり、遊技者により楽曲の選択が行われていないと判断された場合には、S88に進む。S88においては、楽曲Fの出力を開始する。
【0144】
このように、S82において、楽曲選択済であると判断されたときには(S82のYes)、出力されていた楽曲A~Eの出力を継続する。一方、S82において、楽曲選択済ではないと判断されたときには(S82のNo)、出力されていた楽曲A~Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える(S88)。」
「【0147】
図22(A)中の図22(ア)では、楽曲Aが出力されているときに通常リプレイが入賞した場合(図20のS90のYes)を示す。この場合において、残りナビ数が5以上であり(図20のS92のYes)、かつ楽曲F抽選により1/100の確率(図20のS96のYes)で楽曲Fの追加が決定されたときに、第1決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(イ)は、第1決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。
【0148】
図22(B)中の図22(ウ)では、楽曲Aが出力されているときにボタン演出が実行された場合(図20のS71のYes)を示す。この場合において、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作され(図20のS72のYes)、かつ残りナビ数が10以上であるときに(図20のS80のYes)、第2決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(エ)は、第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」
「【図20】
」

「ボタン演出実行中であると判断されたとき」(【0128】)に、「演出用スイッチ56が操作されたと判断されたとき」(【0130】)は、訂正後の請求項1に記載の「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたとき」に対応する。

そして、上記の「ボタン演出実行中であると判断されたとき」(【0128】)に、「演出用スイッチ56が操作されたと判断されたとき」(【0130】)、さらに、「ボタン演出を終了させ」(【0130】)、「現在の残りナビ数が10以上であると判断されたとき」(【0132】)、「楽曲Fが追加され」(【0137】)、「楽曲選択済ではないと判断されたときには」、「出力されていた楽曲A~Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える」(【0144】)ことを実行する制御は、訂正後の請求項1に記載の「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御」に対応する。

また、「遊技者がデフォルトで選択可能な楽曲(特定演出)として、「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」、「楽曲E」の項目が表示される」「楽曲選択画面」(【0099】)で、「通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合」、「「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力され」(【0100】)ているときは、訂正後の請求項1に記載の「前記通常演出音が出力されているとき」に対応する。

そして、上記の「通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合」、「「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力され」(【0100】)ているときに、「ボタン演出実行中ではないと判断された場合」(【0133】)において、さらに、「通常リプレイが入賞したと判断され」(【0133】)、「現在の残りナビ数が5以上であると判断され」(【0134】)、「楽曲F追加抽選を実行」(【0135】)し、「楽曲Fの追加が決定されたと判断されたとき」(【0136】)に、「楽曲Fが追加され」(【0137】)、「楽曲選択済ではないと判断されたときには」、「出力されていた楽曲A~Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える」(【0144】)ことを実行する制御は、訂正後の請求項1に記載の「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御」に対応する。

以上によれば、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項2は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項3

ア 訂正の目的について

訂正事項3は、「前記第1制御により実行される示唆演出」と「前記第2制御により実行される示唆演出」とが「同一の態様」である点を、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音」と「前記第2制御により出力される前記示唆演出音」とが「同一」である点に限定するものであるから、当該訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

上記「(2)訂正事項2」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」で検討したように、本件特許明細書において、訂正後の請求項1の「第1制御」及び「第2制御」に対応する制御のいずれにおいても、訂正後の請求項1の「示唆演出」に対応する「楽曲Fの出力」が行われるところ、当該事項は、訂正後の請求項1に記載の「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」ることに対応する。

したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項3に係る訂正は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(4)訂正事項4

ア 訂正の目的について

訂正事項4は、「前記第1制御により実行される示唆演出」を「前記第1制御により出力される前記示唆演出音」に限定するとともに、「前記第2制御により実行される示唆演出」を「前記第2制御により出力される前記示唆演出音」に限定するものであるから、当該訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

本件特許明細書及び図面には以下の記載がある。

「【0009】
…前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」
「【0147】
図22(A)中の図22(ア)では、楽曲Aが出力されているときに通常リプレイが入賞した場合(図20のS90のYes)を示す。この場合において、残りナビ数が5以上であり(図20のS92のYes)、かつ楽曲F抽選により1/100の確率(図20のS96のYes)で楽曲Fの追加が決定されたときに、第1決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(イ)は、第1決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」

【0148】

図22(B)中の図22(ウ)では、楽曲Aが出力されているときにボタン演出が実行された場合(図20のS71のYes)を示す。この場合において、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作され(図20のS72のYes)、かつ残りナビ数が10以上であるときに(図20のS80のYes)、第2決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(エ)は、第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」

「【図22】
」

【0009】に記載の「ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより」「示唆される」「残りナビ数」が「10以上であ」り、「演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより」「示唆される」「残りナビ数」が「5以上である」ことは、訂正後の請求項1に記載の「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」ことに対応する。

したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項4は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(5)訂正事項5

訂正事項5は、訂正事項1~4と整合をとるために本件特許明細書の【0008】を訂正するものであるから、当該訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

また、訂正事項5は、訂正事項1~4について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6

訂正事項6は、訂正事項1~4と整合をとるために本件特許明細書の【0009】を訂正するものであるから、当該訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

また、訂正事項6は、訂正事項1~4について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)特許異議申立人の主張について

特許異議申立人は、令和3年7月26日付けの意見書において、以下の旨主張する。

(主張1)「「通常演出音」については、本件特許の明細書等には、定義はおろか記載もない。」(4頁3~4行)

(主張2)「他方、本件特許の明細書等には、演出のために用いられているか否かを別にしても、「音」に関連するものとしては「楽曲」に関する記載しかない」(4頁10~12行)

(主張3)「したがって、本件特許の明細書等には、「演出音」は記載されておらず、「演出」のためにする「楽曲」が記載されているに過ぎないものである。

換言すれば、本件訂正前の請求項1には、上位概念である「演出」が記載されており、本件特許の明細書等には、「音」の下位概念の一部を含む「演出」のためにする「楽曲」が記載されているところ、本件訂正後の請求項1には、それらの中間的概念である「演出音」が記載されている。

これは、演出のためにするものであれば、本件特許の明細書等に記載された「楽曲」以外の「音」のすべてを含むものであり、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(4頁18行~5頁1行)

(主張4)「次に、「通常演出音」であるが、これは文理に照らして、「通常」聞こえてくるような「演出音」と理解されるが、本件特許の明細書等には、「音」であるか否かはさておき、個別の「特定演出」としての「楽曲」について記載されているだけで、「通常」の「演出音」に何が含まれるのか説明がされていない。

特許権者の提出した訂正請求書(第7頁c) によれば、本件特許の明細書【0125】「・・・・・。S70でNoと判断されるということは、楽曲A~Eのいずれかが出力されているということである。」の記載が根拠であると主張されているように思量されるが、その理由は明確ではない。

なぜならば、例えば、本件特許の明細書段落【0017】 には、「遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」~「楽曲E」)のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」)が遊技者によって選択されているか否かを判定する(たとえば、図20のS82) 判定手段」の記載、「前記特定演出が選択されていないと判定された場合には(図20のS82のNo)、前記複数種類の特定演出のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」~「楽曲E」のうち選択された楽曲)を実行するとともに、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには(たとえば、図20のS81の処理が実行されたときには)、前記示唆演出を実行し(たとえば、図20のS88を実行し)、」等が記載されており、特別な条件が付随している。しかしながら、本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、この前提条件について、なんら記載されておらず、本件特許等の明細書等に記載されたものに限定して解釈される理由はない。

仮に、そのような前提条件が請求項1に記載されたとしても、これらは「通常」聞こえてくるような「演出音」には該当せず、特許権者自らが「特定演出」と位置付けるとおり、「通常」のものではないと解される。

したがって、特許権者の前記訂正請求書における主張は、理由がない。

よって、「通常演出音」は、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(5頁3行~6頁7行)

(主張5)「また、本件特許の明細書段落【0210】~【0217】には、「特定演出」が、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい。例えば、特定演出は、液晶表示器51にキャラを表示させる演出としてもよい。」と記載されており、訂正後の請求項1と併せて解釈すれば、「楽曲」には該当しない液晶表示の動きに併せた効果音と液晶表示とによって行われる「特定演出」も想定されることとなり、このような「特定演出」なるものが仮に特許権者のいう「通常演出音」に含まれるのであれば、この点も、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(6頁9~19行)

主張1、4について検討する。上記「(1)訂正事項1について」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」で検討したように、【0125】に記載の「楽曲A~Eのいずれか」が、訂正後の請求項1に記載の「前記示唆演出音と異なる通常演出音」に対応すると解することが合理的である。「「通常演出音」については、本件特許の明細書等には、定義はおろか記載もない」こと(主張1)、「本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、この前提条件について、なんら記載されて」いないこと(主張4)は、上記のように対応すると解することを妨げるものではない。

主張2、3、5について検討する。本件訂正後の請求項1に記載の「示唆演出音」は、本件訂正前の請求項1に記載の「示唆演出」に含まれるとともに、本件特許明細書に記載の「楽曲F」を含む概念であることは、特許異議申立人の主張のとおりであるが、それによって、本件訂正が、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超え、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入し、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとはいえない。

本件特許明細書には「音声」を「出力」することが示唆されているということができること、本件特許明細書には「楽曲A」~「楽曲E」について、「特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことが記載されており、「楽曲F」についても、楽曲A~Eと同様に、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」と認められること、楽曲A~E及び楽曲Fを出力する演出は、遊技者にとっての有利度を示唆するための演出であるところ、互いに異なる「音声」又は「音」を出力する演出によっても、楽曲を出力する演出と同様に、遊技者にとっての有利度を示唆することができることは自明であることから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであることは、上記「(1)訂正事項1」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」「(ウ)」で検討したとおりである。

よって、特許異議申立人の主張1~5は、いずれも採用することができない。

3 小括

以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

第3 訂正後の本件特許発明(本件訂正発明)

本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(記号A~Fは、分説のため当審で付した。また、下線は本件訂正による訂正箇所を示す。)。

「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C 前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
D 前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
E 前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる、
F 遊技機。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

訂正前の請求項1に係る特許に対して令和3年4月5日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

・甲第1号証:特開2011-189021号公報

2 甲第1号証の記載、甲1発明

取消理由通知に引用された甲第1号証(特開2011-189021号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を備え、可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ機などの遊技機に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された遊技機では、ステップアップ予告のうちの所定段階(特許文献1に示す例では、最終段階のステップ(E),(e))の演出態様による演出がリーチ状態となった後に実行されることによって、遊技者に特定遊技状態に対する期待感を認識させることができる。しかし、ステップアップ予告中の所定段階の演出態様による演出がリーチ演出とは無関係に実行されているので、ステップアップ予告演出とリーチ演出とを関連付けさせることができない。そのため、ステップアップ予告演出の所定段階の演出態様による演出が実行されることによる期待感とリーチ演出が実行されることによる期待感とを別々に与えることしかできず、遊技に対する興趣を十分に向上させることができない。
【0010】
そこで、本発明は、ステップアップ予告演出のうちの所定段階の演出態様による演出とリーチ演出とを関連付けて期待感を高めることができ、遊技に対する興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」
ウ 「【0070】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出図柄プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。」
エ 「【0097】
なお、この実施の形態では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される(ただし、突然確変大当りの場合には、リーチとはならずに突然確変大当り図柄(例えば「135」)が停止表示される場合もある)。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100である。」
オ 「【0120】
この実施の形態では、図6に示すように、大当りの場合にのみ全回転PC3-1の変動パターンが選択されて変動表示中に全回転リーチが実行される場合がある。従って、この実施の形態では、変動表示中に全回転リーチが実行されれば、大当りが確定することになる。また、この実施の形態では、ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く(本例では、大当り確定)、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低い。なお、全回転リーチが実行されると大当りが確定するのではなく、全回転リーチの場合が最も大当りに対する期待度が高ければ、全回転リーチが実行されても極めて低い割合ではずれとなる場合があるように構成してもよい。
【0121】
なお、「大当りに対する期待度(信頼度)」とは、そのリーチなどの演出を伴う可変表示(例えば、スーパーリーチを伴う変動表示)が実行された場合に大当りが出現する出現率(確率)を示している。例えば、スーパーリーチを伴う変動表示が実行される場合の大当り期待度は、(大当りと決定されている場合にスーパーリーチが実行される割合)/(大当りと決定されている場合およびハズレと決定されている場合の両方にスーパーリーチが実行される割合)を計算することによって求められる。」
カ 「【0295】
図36は、プロセステーブルの構成例を示す説明図である。プロセステーブルとは、演出制御用CPU101が演出装置の制御を実行する際に参照するプロセスデータが設定されたテーブルである。すなわち、演出制御用CPU101は、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置(演出用部品)の制御を行う(ステップS8006)。プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、ランプ制御実行データ、音番号データおよび可動部材制御データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている。表示制御実行データには、演出図柄の可変表示の可変表示時間(変動時間)中の変動態様を構成する各変動の態様を示すデータ等(演出図柄の表示態様の他に演出表示装置9の表示画面における演出図柄以外の演出態様を含む。)が記載されている。具体的には、演出表示装置9の表示画面の変更に関わるデータが記載されている。また、プロセスタイマ設定値には、その演出態様での演出時間が設定されている。演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている態様で演出図柄を表示させるとともに表示画面に表示されるキャラクタ画像や背景を表示させる制御を行う。また、ランプ制御実行データおよび音番号データに設定されている態様で発光体の点滅を制御するとともに、スピーカ27からの音出力を制御する。また、可動部材制御データに設定されている態様で可動部材78および演出羽根役物79a,79bを制御する。」
キ 「【0297】
また、リーチ演出を伴う変動パターンについて演出制御を実行する場合に用いられるプロセステーブルには、変動開始から所定時間が経過したときに左図柄を停止表示させ、さらに所定時間が経過すると右図柄を停止表示させることを示すプロセスデータが設定されている。なお、停止表示させる図柄をプロセステーブルに設定するのではなく、決定された停止図柄、擬似連や滑り演出における仮停止図柄に応じて、図柄を表示するための画像を合成して生成するようにしてもよい。」
ク 「【0306】
図40の左上に示す非リーチはずれ用のステップアップ予告設定テーブルでは、予告演出「なし」と、予告演出A(以下、ステップAの演出ともいう)のみ実行される演出態様(「A」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出B(以下、ステップBの演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bが実行され、その後に予告演出C1(以下、ステップC1の演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B→C1」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bが実行され、その後に予告演出C2(以下、ステップC2の演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B→C2」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bを経由せずに予告演出C1が実行される演出態様(「A→C1」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bを経由せずに予告演出C2が実行される演出態様(「A→C2」の発展パターン)と、が設定されている。そして、各演出態様に対して所定数の判定値がそれぞれ割り振られている。なお、「割振」に示す数字は、各演出態様に割り振られた判定値の数を示している。他のテーブル(図41~図44)においても同様である。」
ケ 「【0379】
ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認する(ステップS8109)。ボタン有効期間であるときは(ステップS8109のY)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行する(ステップS8110)。操作ボタン120のオンは、操作ボタン120からのオン信号を入力したことで検出する。演出制御用CPU101は、操作ボタン120のオンを検出すると(ステップS8110のY)、演出制御用CPU101は、ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認する(ステップS8111)。ステップCの演出への切替タイミングであれば(ステップS8111のY)、演出制御用CPU101は、ステップS8112に移行し、ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行う(ステップS8112)。」
コ 「【0405】
次に、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例について説明する。図50は、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。なお、図50において、(1)(2)(3)・・・の順に演出画面の態様が遷移する。
【0406】
演出制御用マイクロコンピュータ100は、新たに変動パターンコマンドを受信すると、図50(1)に示すように演出図柄の停止図柄が停止表示している状態から、図50(2)に示すように演出図柄の変動表示を開始する。次いで、ステップアップ予告演出を実行することに決定されている場合には、高速変動が開始され、ステップアップ予告演出中のステップAの演出の実行タイミングとなると、例えば、図50(2)に示すように、所定のキャラクタA201を登場させるなどの態様で1段階目のステップAの演出が実行される。次いで、演出図柄のうちの左図柄が停止表示され、ステップアップ予告演出中のステップBの演出の実行タイミングとなると、例えば、図50(3)に示すように、所定のキャラクタB202を登場させるなどの態様で2段階目のステップBの演出が実行される。
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【0407】
次いで、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、例えば、図50(4)に示すように、右の演出図柄が左の演出図柄と同じ図柄(本例では、「7」の図柄)で停止表示されて、ノーマルリーチが開始される。ノーマルリーチでは、例えば、図50(5)(6)に示すように、中の演出図柄が左右の演出図柄と同じ図柄(本例では、「7」の図柄)に近くなると、変動中の中の演出図柄が低速変動に切り替わったり、図50(7)に示すように、左右の演出図柄と同じ図柄を通り過ぎると、再び中の演出図柄が高速変動に切り替わったりする演出が実行される。
【0408】
次いで、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するリーチ演出の発展タイミングとなると(本例では、スーパーリーチが開始される直前の所定期間前(例えば、1秒前)となると)、図50(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行される。
【0409】
次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、図50(8)~(10)に示すようなスーパーリーチの演出が実行される。例えば、スーパーリーチの演出が実行される場合には、図50(8)(9)に示すように、味方のキャラクタ203と敵のキャラクタ204とがバトルを行うような態様の演出が実行され、大当りとなる場合には、図50(10)に示すように、味方のキャラクタ203がバトルに勝利するような態様の演出が実行される。なお、はずれとなる場合には、例えば、図50(10)の表示画面において、逆に味方のキャラクタ203がバトルに敗北するような態様の演出が実行される。また、スーパーリーチの演出が実行されている場合には、例えば、図50(8)~(10)に示すように、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示される。
【0410】
そして、大当りである場合には、図50(11)に示すように、左中右の演出図柄が同じ図柄(本例では、「7」の図柄)で揃った状態の大当り図柄が最終停止表示され、図50(12)に示すように、「大当り」などの文字列が表示されて、大当り遊技が開始される。
【0411】
また、この実施の形態では、演出図柄の変動表示中にステップアップ予告演出が実行される場合には、ボタン演出や示唆演出が実行される場合がある。図51および図52は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。このうち、図51は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示しており、図52は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われなかった場合の演出態様を示している。また、図50と同様に、図51および図52において、(1)(2)(3)・・・の順に演出画面の態様が遷移する。
【0412】
図51および図52において、図51(1)~(5)および図52(1)~(5)の演出態様は図50(1)~(5)に示した演出態様と同様であり、図50(1)~(3)と同様の態様で演出図柄の変動表示が開始されて、1段階目のステップAおよび2段階目のステップBの演出が実行される。また、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、図50(4),(5)と同様の態様でノーマルリーチの演出が実行される。
【0413】
次いで、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでのボタン有効期間となると、例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始される。なお、ボタン演出が実行されている場合には、例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示される。
【0414】
そして、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、リーチ演出の発展タイミングとなると、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行される(ステップS8110のY,ステップS8112参照)。さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、例えば、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113~S8115参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図51(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。
【0415】
一方、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われなかった場合には、リーチ演出の発展タイミングとなっても、図52(7)に示すように、「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113~S8115参照)だけで、ステップC1,C2の演出は実行されず、最終の3段階目のステップには発展しない(ステップS8110のN参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図52(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。
【0416】
その後、図50(8)~(10)と同様の態様で、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、図50(11)と同様の態様で大当り図柄が最終停止表示されるとともに、図50(12)と同様の態様で大当り遊技が開始される。」
サ 「【0441】
なお、この実施の形態では、ボタン演出を実行する場合に、操作ボタン120による操作が行われなかった場合にリーチ演出を発展させないように制御する場合を示したが、さらに、操作ボタン120による操作が行われなければ、示唆演出も実行しないように構成してもよい。」
シ 「【図40】
」
ス 「【図50】
」
セ 「【図51】
」

ソ 【0411】の「図51および図52は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。このうち、図51は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示しており、図52は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われなかった場合の演出態様を示している。」との記載から、図51は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図であって、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示すものである。また、【0416】には、「その後、図50(8)~(10)と同様の態様で、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、図50(11)と同様の態様で大当り図柄が最終停止表示されるとともに、図50(12)と同様の態様で大当り遊技が開始される。」と記載されているところ、当該記載は、図51及び図52についての説明であって、図51(8)~(10)には、スーパーリーチの演出を示す図50(8)~(10)と同一の図が示されていることから、「図51(8)~(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものである」(以下、「認定事項ソ」という。)と認められる。

タ 【0413】の「…例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始される。」との記載によれば、「ボタン演出」は、例えば、「「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され」る演出である。

また、【0414】の「さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、例えば、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113~S8115参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図51(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。」との記載によれば、「示唆演出」は、例えば、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」「ロングリーチ?」「全回転リーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチ、ロングリーチ、全回転リーチに発展する可能性があることを示唆する演出である。

【0405】には、「次に、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例について説明する。図50は、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。」と記載されているところ、図50には、「ボタン演出」及び「示唆演出」が実行されることが示されておらず、また、図50についての説明がなされている【0405】乃至【0410】には、「ボタン演出」及び「示唆演出」が実行されることについて記載されていないことから、図50は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合の演出態様の具体例を示す説明図であり、【0405】乃至【0410】において説明されている「ステップアップ予告演出の演出態様の具体例」は、「ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合」(以下、「認定事項タ1」という。)のものであると認められる。

さらに、【0409】の「次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、図50(8)~(10)に示すようなスーパーリーチの演出が実行される。」との記載から、「図50(8)~(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示す説明図である」(以下、「認定事項タ2」という。)と認められる。

チ 認定事項ソ及び認定事項タ2より、図50(8)~(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものであり、図51(8)~(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものであると認められるところ、上記ケの図50(8)~(10)と上記コの図51(8)~(10)には、それぞれ同一の図が示されていることから、「ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示される」(以下、「認定事項チ」という)ものと認められる。

ツ 【0016】には、【図面の簡単な説明】として、

「【図40】ステップアップ予告設定テーブルの具体例を示す説明図である。」、「【図50】ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。【図51】ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。」

と記載されているところ、図40に示されるものと、図50、51に示されるものは、いずれもステップアップ予告演出に関する具体例を示す説明図であって、同じ実施例として把握されうるものである。

そして、図40の「大当りのとき」の表を参照すると、「ボタン演出付」とされているものとその割振は、

・A(ボタン演出付) …1

・A→B(ボタン演出付) …1

・A→B→C1(ボタン演出付)…3

・A→B→C2(ボタン演出付)…4

・A→C1(ボタン演出付) …4

・A→C2(ボタン演出付) …1

であって、これらの割振の合計は14であり、「ボタン演出付」とされていないものとその割振は、

・なし …10

・A …14

・A→B …14

・A→B→C1…12

・A→B→C2…16

・A→C1 …16

・A→C2 …4

であって、これらの割振の合計は86であるから、「ボタン演出付」とされているものの割振の合計と「ボタン演出付」とされていないもの割振の合計の比は、14:86である。

【0306】の

「そして、各演出態様に対して所定数の判定値がそれぞれ割り振られている。なお、「割振」に示す数字は、各演出態様に割り振られた判定値の数を示している。他のテーブル(図41~図44)においても同様である。」

との記載、及び図40の「非リーチはずれのとき」「ノーマルリーチはずれのとき」「ロングリーチはずれのとき」「スーパーリーチはずれのとき」の表も同様に参照すると、図40には、

「ボタン演出付の演出態様とボタン演出付でない演出態様のそれぞれに割り振られた判定値の数である割振の合計の比は、
非リーチはずれのとき …1:99
ノーマルリーチはずれのとき …2:98
ロングリーチはずれのとき …3:97
スーパーリーチはずれのとき …8:92
大当りのとき …14:86
である」(以下、「認定事項ツ」という。)ことが示されていると認められる。

上記ア~ツからみて、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。a~fは、本件特許の請求項1の分説(A~F)に対応させて、当審にて付与した。)が開示されていると認められる。

「a パチンコ機などの遊技機であって(【0001】)、
b1 演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御用CPU101を含み(【0070】)、リーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100であり(【0097】)、演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている態様で演出図柄を表示させるとともに表示画面に表示されるキャラクタ画像や背景を表示させる制御を行い、音番号データに設定されている態様で、スピーカ27からの音出力を制御し、プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、音番号データおよび可動部材制御データの組み合わせが複数集まったデータで構成され(【0295】)、プロセステーブルは、リーチ演出を伴う変動パターンについて演出制御を実行する場合に用いられ(【0297】)、
b2 ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低く(【0120】)、
b3 ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認し、ボタン有効期間であるときは、演出制御用CPU101は、操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行し、演出制御用CPU101は、操作ボタン120のオンを検出すると、演出制御用CPU101は、ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認し、ステップCの演出への切替タイミングであれば、演出制御用CPU101は、ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行い(【0379】)、
続きを表示(全15行)
c1 ステップアップ予告演出の演出態様において(【0405】)、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合(認定事項タ1)、演出制御用マイクロコンピュータ100は、新たに変動パターンコマンドを受信すると、演出図柄の停止図柄が停止表示している状態から、演出図柄の変動表示を開始し、次いで、ステップアップ予告演出を実行することに決定されている場合には、高速変動が開始され、ステップアップ予告演出中のステップAの演出の実行タイミングとなると、所定のキャラクタA201を登場させるなどの態様で1段階目のステップAの演出が実行され、次いで、演出図柄のうちの左図柄が停止表示され、ステップアップ予告演出中のステップBの演出の実行タイミングとなると、所定のキャラクタB202を登場させるなどの態様で2段階目のステップBの演出が実行され(【0406】)、次いで、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、右の演出図柄が左の演出図柄と同じ図柄で停止表示されて、ノーマルリーチが開始され、ノーマルリーチでは、中の演出図柄が左右の演出図柄と同じ図柄に近くなると、変動中の中の演出図柄が低速変動に切り替わったり、左右の演出図柄と同じ図柄を通り過ぎると、再び中の演出図柄が高速変動に切り替わったりする演出が実行され(【0407】)、次いで、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するリーチ演出の発展タイミングとなると、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行され(【0408】)、次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、スーパーリーチの演出が実行され、スーパーリーチの演出が実行される場合には、味方のキャラクタ203と敵のキャラクタ204とがバトルを行うような態様の演出が実行され、大当りとなる場合には、味方のキャラクタ203がバトルに勝利するような態様の演出が実行され、はずれとなる場合には、逆に味方のキャラクタ203がバトルに敗北するような態様の演出が実行され、スーパーリーチの演出が実行されている場合には、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示され(【0409】)、大当りである場合には、左中右の演出図柄が同じ図柄で揃った状態の大当り図柄が最終停止表示され、「大当り」などの文字列が表示されて、大当り遊技が開始され(【0410】)、
c2 演出図柄の変動表示中にステップアップ予告演出が実行される場合に、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様において(【0411】)、演出図柄の変動表示が開始されて、1段階目のステップAおよび2段階目のステップBの演出が実行され、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、ノーマルリーチの演出が実行され(【0412】)、次いで、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでのボタン有効期間となると、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始され、ボタン演出が実行されている場合には、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示され(【0413】)、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、リーチ演出の発展タイミングとなると、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行され、さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行され、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行され、その後、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、大当り図柄が最終停止表示されるとともに、大当り遊技が開始され(【0414】)、
d ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示され(認定事項チ)、
e ボタン演出付の演出態様とボタン演出付でない演出態様のそれぞれに割り振られた判定値の数である割振の合計の比は、
非リーチはずれのとき …1:99
ノーマルリーチはずれのとき …2:98
ロングリーチはずれのとき …3:97
スーパーリーチはずれのとき …8:92
大当りのとき …14:86
である(認定事項ツ)
f 遊技機。」

3 対比

本件訂正発明と甲1発明とを、分説に従い対比する。

(a、f)

甲1発明の「遊技機」は、本件訂正発明の「遊技を行うことが可能な遊技機」および「遊技機」に相当する。

したがって、甲1発明の構成a、fは、本件訂正発明の構成A、Fに相当する。

(b)

甲1発明の構成b2の「大当りに対する期待度」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度」に相当する。

甲1発明の構成b2によれば、「ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低」いことから、甲1発明の「スーパーリーチの演出」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出」である点で一致する。

また、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「リーチ演出の制御を実行する」ものであり、スーパーリーチの演出も実行するものと認められるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な手段」である点で一致する。

そして、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「スピーカ27からの音出力を制御」する「演出制御用CPU101」を含むものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「音を出力可能な手段」である点でも一致する。

甲1発明の「ボタン演出」は、構成c2によれば、「「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され」ることから、本件訂正発明の「所定操作を遊技者に促進する促進演出」に相当する。そして、甲1発明の「演出制御用CPU101」は、「ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)」、「操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認し、ボタン有効期間であるときは」、「操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行し」、「操作ボタン120のオンを検出すると」、「ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認し、ステップCの演出への切替タイミングであれば」、「ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行」うものであって、「ボタン演出」を実行するものといえるから、甲1発明の「演出制御用CPU101」は、本件訂正発明の「促進演出実行手段」と、「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ものである点で一致する。

以上によれば、甲1発明は、本件訂正発明の構成Bと、

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え」る点で一致する。

(c)

甲1発明の構成c2の

「ボタン演出が実行されている場合には、」「遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、」「リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出」を「実行」する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第1制御」と、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」「前記示唆演出」を実行する「第1制御」である点で一致する。

また、甲1発明の構成c1の「ステップアップ予告実行中にボタン演出」「が実行されない場合」に「スーパーリーチの演出」を「実行」する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第2制御」と、「前記促進演出が実行されることなく」「示唆演出」を実行する「第2制御」である点で一致する。

以上によれば、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、構成c2のボタン演出が実行されてスーパーリーチの演出を実行する制御と、構成c1のボタン演出が実行されない場合にスーパーリーチの演出を実行する制御のいずれかにより、スーパーリーチの演出を実行可能であるといえ、このことは、本件特許の構成Cと

「前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であ」る点で一致する。

(d)

甲1発明の構成dの

「ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示される」ことから、ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様は、同一であると認められる。

したがって、甲1発明の構成dは、本件訂正発明の構成Dと

「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一であ」る点で一致する。

よって、本件訂正発明と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~7で相違する。

[一致点]

「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B’ 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C’ 前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、
D’ 前記第1制御により出力される前記示唆演出と、前記第2制御により出力される前記示唆演出とは、同一である
F 遊技機。」

[相違点1](構成B、C、D、E)

「遊技者にとっての有利度を示唆する」ものが、本件訂正発明では、「示唆演出音」であるのに対して、甲1発明では、「スーパーリーチの演出」であって「示唆演出音」ではない点。

[相違点2](構成B)

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」が、本件訂正発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるのに対して、甲1発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるか不明である点。

[相違点3](構成B)

「促進演出実行手段」が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」のが、本件訂正発明においては、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるのに対して、甲1発明では、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるか不明である点。

[相違点4](構成C)

「第1制御」において、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、本件訂正発明では、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲1発明では、示唆演出を実行するものの、このような制御を行わない点。

[相違点5](構成C)

「第2制御」において、本件訂正発明では、「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲1発明では、促進演出が実行されることなく示唆演出を実行するものの、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力」しない点。

[相違点6](構成D)

本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」るのに対して、甲1発明では、第1制御により実行される示唆演出(ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出)と、第2制御により実行される示唆演出(ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出)とは、「同一の演出画面が表示され」るものの、同一の示唆演出音が出力されることが限定されていない点。

[相違点7](構成E)

本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」のに対して、甲1発明では、このように構成されていない点。

4 判断

(1)相違点1~7についての検討

ア 相違点1について検討する。甲1発明において、「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「リーチ演出の制御を実行」し、「スピーカ27からの音出力を制御」するものであるから、スーパーリーチの演出において、音を出力することは、当業者が容易に想到できたことである。しかしながら、スーパーリーチの演出において出力される音により、「遊技者にとっての有利度を示唆する」には、「スーパーリーチの演出において出力される音」が、スーパーリーチの演出に特有の音として、他の演出音等から区別されて認識される必要があるが、そのような事項は、甲第1号証には記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

イ 相違点2について検討する。甲1発明において、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」である「演出制御用マイクロコンピュータ100」が、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」とすることは、上記(1)における検討と同じ理由で、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

ウ 相違点3について検討する。甲1発明において、「促進演出実行手段」(ボタン演出)が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ときに演出音が出力されているか否か、出力されているとすればどのような演出音が出力されているのかは不明であって、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されている」ように構成することは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2~5号証にも記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

エ 相違点4について検討する。「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」制御を行うことについて、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2~5号証にも記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点4に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

オ 相違点5について検討する。「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」制御を行うことについて、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2~5号証にも記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点5に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

カ 相違点6について検討する。ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音と、ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音とが、同一であることは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2~5号証にも記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点6に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

キ 相違点7について検討する。ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音により示唆される有利度と、ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音により示唆される有利度とが、異なることは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2~5号証にも記載も示唆もされていない。

したがって、甲1発明に基づいて相違点7に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

(2)特許異議申立人の主張について

上記(1)で検討した相違点に関して、特許異議申立人は、令和3年7月26日提出の意見書において、以下の旨主張する(「…」は転記を省略している箇所を示す。また、丸囲みの数字を“○1”のように表記した。)。

(主張1)「(イ)構成要件B’)について

本件訂正発明は、本件訂正前の「示唆演出」が本件訂正後の「示唆演出音」に、同様に、「実行」が「出力」に変更され、「示唆演出実行手段」が「示唆演出音出力手段」に変更された。

…

また、この技術分野において、示唆演出の手段として、画像、動画、音、光によることはこの技術分野における周知技術であるので、示唆演出の手段を「音」に変更して、前記のとおり構成要件を変更したのは、単なる周知技術を示したに過ぎず、発明の実施に際して生じる具体的な微差であって、格別顕著な効果の差異を生じるものでもないので、甲1発明との間の実質的な相違点となるものではない。」(7頁1~16行)

(主張2)「(ウ)構成要件B”)について

本件訂正により、本件訂正発明には、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出音出力手段と」を備える点が追加された。

しかし、この技術分野において、「示唆演出(音)」は、その文言通り、遊技者に遊技の状態の変化等を示唆することを目的としているのであるから、それまでの状態(これが通常演出の状態を含むことは言うまでもない)と異なる態様のものであることは自明である。

そうすると、構成要件B”)は、単に周知の示唆演出の態様を説明しているに過ぎず、「音」に関するものであることを除けば、実質的に新たな技術的事項を追加することは設計上の微差に過ぎない。」(7頁24行~8頁5行)

(主張3)「(エ)構成要件C’) について

本件発明の本件訂正前に、「前記示唆演出手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、」であったものが、本件訂正後は、「前記示唆演出音出力手段は、前記促進演出の実行中において該所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記前記示唆演出音を出力する第1制御と、前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、」と変更されたものである。

…

そうすると、「音」に関するものであることを除けば、訂正後の構成要件C’)は「前記示唆演出実行手段は、前記『促進演出の実行中において』該『所定操作がされたときに』前記『通常演出から切り替えて』前記前記示唆演出を実行する第1制御と、前記『通常演出が実行されているときに』前記『促進演出が実行されることなく』前記『通常演出力から切り替えて』前記示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、」と変更したものに等しい。

これらを換言すれば、訂正後の本件訂正発明は、○1『前記促進演出の実行中において所定操作がされたときに通常演出から切り替え』るものであり、○2『前記通常演出が実行されているときに促進演出が実行されることなく通常演出から切り替え』るものである。

しかし、前記○1は、本件訂正前の構成要件である、「所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する」との構成において、所定操作がされること「に基づいて」を、それまでの状態(通常演出が含まれる。)「から切り替え」るようにしたに過ぎず、前述したとおり、通常と異なる遊技者への示唆を目的とした演出である以上、演出に変化を起こすことは当然であり、単なる表現上の差異に過ぎないので、「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」られることは内在する事項又は自明の事項である。

また、前記○2は、本件訂正前の構成要件である「前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する」との制御を行う際に「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」るものとしたものである。

しかし、前述したとおり、通常と異なる遊技者への示唆を目的とした演出である以上、演出に変化を起こすことは当然であり、単なる表現上の差異に過ぎないので、「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」られることは内在する事項又は自明の事項である。」(8頁12行~9頁27行)

特許異議申立人の主張1について検討する。主張1で述べられているように、遊技機の分野において、「示唆演出の手段として、画像、動画、音、光によることはこの技術分野における周知技術であ」り、甲1発明における「示唆演出」(スーパーリーチの演出)の手段を「音」に変更するならば、その「音」により「遊技者にとっての有利度を示唆する」には、その「音」が特有の音として、他の演出音等から区別されて認識される必要があるが、そのような事項は、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、そのように構成することが自明ともいえない。したがって、甲1発明における「示唆演出」の手段を「音」に変更することは、「単なる周知技術を示したに過ぎず、発明の実施に際して生じる具体的な微差であって、格別顕著な効果の差異を生じるものでもないので、甲1発明との間の実質的な相違点となるものではない。」との特許異議申立人の主張1は採用することができない。

特許異議申立人の主張2について検討する。主張1について検討したように、甲1発明における「示唆演出」(スーパーリーチの演出)の手段を「音」に変更することは、実質的な相違点であって、仮にそのように変更を行ったとしても、甲1発明において、ボタン演出が実行されるときに、何らかの音が出力されているか否か、何らかの音が出力されているとして、どのような音が出力されるかは不明であるから、「遊技者にとっての有利度を示唆する」音と異なる音が出力されているときにボタン演出が実行されることが自明であるとはいえず、当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるともいえない。

特許異議申立人の主張3について検討する。主張2について検討したように、甲1発明において、「遊技者にとっての有利度を示唆する」音と異なる音が出力されているときにボタン演出が実行されることは、当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるとはいえず、そのうえさらに、ボタン演出において出力される音から切り替えて「遊技者にとっての有利度を示唆する」音が出力されることが自明の事項又は当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるとはいえない。

よって、特許異議申立人の主張1~3を採用することはできない。

5 小活

以上のとおり、取消理由通知の理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について

1 申立理由の概要

請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証等により例示される技術等。)に基づいて、甲第2号証に記載された発明及び前記周知技術に基づいて、又は甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び前記周知技術に基いて、いずれによっても、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に従い、特許を受けることができない。

甲第1号証 特開2011-189021号公報

甲第2号証 特開2009-201588号公報

甲第3号証 特開2014-100529号公報

甲第4号証 特開2015-051326号公報

甲第5号証 特開2013-236880号公報

2 当審の判断

(1)甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について

ア 甲第1号証に記載された発明

申立理由における甲第1号証は、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」で検討した取消理由における甲第1号証と同一の文献であって、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「2 甲第1号証の記載、甲1発明」で検討した甲1発明が記載されている。

そして、甲1発明は、本件訂正発明と、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「3 対比」で検討した一致点で一致し、相違点1~7で相違する。

イ 甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された周知技術

甲第3号証(特開2014-100529号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関する。」
「【0367】
また、演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴わない花火打上演出よりも演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴う花火打上+カットイン演出が実行された方が、特別役に当選している可能性が高く、演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴わない花火打上演出よりも演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴う花火打上+カットイン演出が実行された方が、特別役に当選している可能性が高いうえに、報知状態回数が1以上残存している可能性も高くなる。」

甲第4号証(特開2015-051326号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を開始させた後に表示結果を導出表示する可変表示装置に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ機などの遊技機に関する。」
「【0440】
このような設定により、ボタン予告演出が実行された場合には、実行されない場合よりも大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。また、ボタン予告演出の態様が「予告C」である場合には、「予告B」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高く、「予告B」である場合には、「予告A」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。」

甲第5号証(特開2013-236880号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示し、表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。」
「【0437】
このような設定により、ボタン予告演出が実行された場合には、実行されない場合よりも大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。また、ボタン予告演出の態様が「予告C」である場合には、「予告B」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高く、「予告B」である場合には、「予告A」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。」

以上によれば、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証には、遊技機の技術分野において、演出の違いにより有利度を異ならせるとの周知技術が記載されている。

ウ 判断

甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された周知技術は、甲1発明において、相違点1~6に係る構成を示唆するものではなく、また、この周知技術において有利度を示唆するものが、示唆演出音ではないことから、相違点7に係る構成を示唆するものともいえない。

したがって、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について

ア 甲第2号証の記載及び甲2発明

甲第2号証(特開2009-201588号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が操作可能な演出用操作手段を備えた遊技機に関する。」
「【0026】
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、図柄変動ゲーム中に、スーパーリーチ演出が表示演出にて実行されるようになっている。スーパーリーチ演出は、図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が確定停止表示され、大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出である。また、スーパーリーチ演出には、スーパーリーチ演出Aと、スーパーリーチ演出Bとがあり、いずれも通常のリーチ演出(状態)を経由して行われるリーチ演出であって、リーチ演出が発展する演出内容となっている。なお、スーパーリーチ演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、スーパーリーチ演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もある。
【0027】
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、図柄変動ゲーム中に、演出用ボタン39の押下操作に基づく操作演出が実行されるようになっている。操作演出は、図柄変動ゲーム中に設定され、演出用ボタン39の押下操作が有効とされる所定の操作有効期間に実行されるようになっている。また、操作演出は、遊技者により演出用ボタン39が押下操作される毎に、図柄変動ゲーム中の演出内容に所定の変化を与えるとともに、該演出内容の総変化量が予め定めた規定変化量に達するか否かによって、操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A、Bのうち何れか一方を導出させる演出となっている。なお、操作演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、操作演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もある。そして、本実施形態の操作演出は、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出の、一連の演出が順に実行される表示演出の中で実行されるようになっている。なお、説明演出は、操作演出での演出用ボタン39の操作方法を遊技者に対して報知(説明)したり、演出用ボタン39を連打操作することを促したりするための演出となっている。また、本実施形態では、スーパーリーチ演出A、Bが、所定の操作有効期間が終了した後の図柄変動ゲームの演出となっている。
【0028】
次に、パチンコ遊技機10の電気的構成について図2にしたがって説明する。
パチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御装置としての主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種制御指令としての制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板41と、演出表示制御基板42と、音声・ランプ制御基板43が装着されている。サブ統括制御基板41は、主制御基板40が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板42、及び音声・ランプ制御基板43を統括的に制御する。演出表示制御基板42は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置28の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。また、音声・ランプ制御基板43は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、各種ランプ部17~19,27bの発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)及びスピーカ20,21,25の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。本実施形態では、サブ統括制御基板41及び演出表示制御基板42が、演出制御手段を構成している。」
「【図3】
」
「【0034】
本実施形態において、大当り演出用の変動パターンP31の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP32の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP33の演出内容には、操作演出が対応付けられている。また、はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP22の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP23の演出内容には、操作演出が対応付けられている。また、はずれ演出用の変動パターンP11の演出内容には、リーチ演出を経ないではずれ図柄が確定停止表示される通常変動が対応付けられている。
【0035】
そして、本実施形態において、スーパーリーチ演出A、Bが対応付けられた(実行可能な)変動パターンP21、P22、P31、P32では、各変動パターンで特定されるスーパーリーチ演出A、Bの大当りへの期待度が異なるように出現率が設定されている。すなわち、変動パターンP31、P32では、スーパーリーチ演出Aを実行可能な変動パターンP31の方が、スーパーリーチ演出Bを実行可能な変動パターンP32よりも選択されやすくなっている。その一方で、変動パターンP21、P22では、スーパーリーチ演出Bを実行可能な変動パターンP22の方が、スーパーリーチ演出Aを実行可能な変動パターンP21よりも選択されやすくなっている。したがって、本実施形態のスーパーリーチ演出A、Bでは、図柄変動ゲームにおいてスーパーリーチ演出Aが実行されたときの方が、スーパーリーチ演出Bが実行されたときよりも、大当りへの期待度が高くなるようになっている。したがって、遊技者は、図柄変動ゲームにおいて、スーパーリーチ演出Bよりもスーパーリーチ演出Aが実行されることを期待しながら遊技を行っている。」
「【図10】
」
「【0081】
そして、本実施形態の演出表示制御基板42は、操作演出を実行可能な変動パターンP23、P33を示す変動パターン指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドで指示された演出時間内において、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御する。」
「【0084】
そして、表示制御用CPU42aは、期間T2の経過時に統括制御用CPU41aから演出パターンを示す制御コマンドを入力すると、期間T3において、該制御コマンドで示された演出パターンに基づき綱引きゲーム(操作演出)を実行させるように演出表示装置28の表示内容を制御する。すなわち、表示制御用CPU42aは、統括制御用CPU41aから、演出用ボタン39が押下操作されたことを示す制御コマンドを入力する(演出用ボタン39が押下操作される)毎に、指示された演出パターンに特定された変化量に基づき、マークMが勝敗ゲージGの勝利側へ向けて移動表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。また、表示制御用CPU42aは、所定の時間毎に所定の変化量で、マークMが勝敗ゲージGのキャラクタKAの敗北側に向かって移動表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。また、同時に、表示制御用CPU42aは、遊技者に対し、期間T3において演出用ボタン39の押下操作が有効であることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージが表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。なお、表示制御用CPU42aは、期間T2(測定用有効期間[A1])において、演出用ボタン39が有効とされていることを報知する画像やメッセージを表示しないように演出表示装置28の表示内容を制御し、遊技者に対して演出用ボタン39が有効とされていることを秘匿させている。」
「【0086】
続けて、表示制御用CPU42aは、キャラクタKA(遊技者)が勝利した場合には、綱引きゲームの結果表示後に、スーパーリーチ演出Aを実行するように演出表示装置28の表示内容を制御する(期間T5)。一方、表示制御用CPU42aは、キャラクタKA(遊技者)が敗北した場合には、綱引きゲームの結果表示後に、スーパーリーチ演出Bを実行するように演出表示装置28の表示内容を制御する(期間T5)。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機10では、綱引きゲームにおいてキャラクタKA(遊技者)が勝利することで、スーパーリーチ演出Bより大当りへの期待度が高いスーパーリーチ演出Aが演出表示装置28で実行されるようになっている。一方、本実施形態のパチンコ遊技機10では、綱引きゲームにおいてキャラクタKA(遊技者)が敗北することで、スーパーリーチ演出Aより大当りへの期待度が低いスーパーリーチ演出Bが演出表示装置28で実行されるようになっている。このため、遊技者は、より大当りへの期待度が高められているスーパーリーチ演出Aが実行されるように、綱引きゲーム(操作演出)において演出用ボタン39をより多く押下操作しようとする意欲が向上されるようになっている。」
「【0090】
次に、演出表示装置28で実行される遊技演出の態様について図9、図10に基づき説明する。なお、図9及び図10は、主制御基板40(主制御用CPU40a)により、変動パターンP23,P33が決定され、図柄変動ゲーム中において説明演出、綱引きゲーム(操作演出)及びスーパーリーチ演出が実行される場合を示している。
…
【0093】
続けて、期間T2(測定用有効期間[A1])が経過すると、演出表示装置28には、綱引きゲームが開始された旨が表示される(図10(d))。同時に、演出用ボタン39が発光状態とされることで、遊技者は、演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを認識することができる。そして、演出表示装置28では、期間T3(演出用有効期間[A2])において、遊技者による演出用ボタン39の押下操作に基づく綱引きゲームが実行される(図10(e))。綱引きゲームを実行中には、演出表示装置28では、遊技者により演出用ボタン39が「1回」押下操作される毎に、マークMが勝敗ゲージGの勝利側へ向けて、統括制御用CPU41aが選択(決定)した演出パターンに特定される変化量だけ移動するように表示される。また、綱引きゲームを実行中には、演出表示装置28では、所定の時間毎に所定(一定)の変化量で、マークMが勝敗ゲージGのキャラクタKAの敗北側に向かって移動するように表示される。また、演出表示装置28では、遊技者に対して演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示される。なお、演出用ボタン39は、期間T3の間、点灯状態とされている(図10(d)、(e))。」

これらの記載によれば、甲第2号証には、以下の構成a’~f’を備える発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。

「a’ 遊技者が操作可能な演出用操作手段を備えた遊技機であって(【0001】)、
b’ 図柄変動ゲーム中に、表示演出にて実行されるようになっているスーパーリーチ演出は、図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が確定停止表示され、大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出であり(【0026】)、サブ統括制御基板41は、主制御基板40が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板42、及び音声・ランプ制御基板43を統括的に制御し、演出表示制御基板42は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置28の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御し、音声・ランプ制御基板43は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、スピーカ20,21,25の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御し(【0028】)、演出表示制御基板42は、操作演出を実行可能な変動パターンP23、P33を示す変動パターン指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドで指示された演出時間内において、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御し(【0081】)、変動パターンP23,P33が決定され、図柄変動ゲーム中において説明演出、綱引きゲーム(操作演出)及びスーパーリーチ演出が実行される場合、演出表示装置28では、遊技者に対して演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示され(【0090】、【0093】)、
cd’ 図柄変動ゲーム中に、演出用ボタン39の押下操作に基づく操作演出が実行され、操作演出は、図柄変動ゲーム中に設定され、演出用ボタン39の押下操作が有効とされる所定の操作有効期間に実行され、操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出となっており、操作演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、操作演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もあり(【0027】)、大当り演出用の変動パターンP31の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP32の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP33の演出内容には、操作演出が対応付けられ、はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP22の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP23の演出内容には、操作演出が対応付けられ(【0034】)、
e’ スーパーリーチ演出A、Bが対応付けられた(実行可能な)変動パターンP21、P22、P31、P32では、各変動パターンで特定されるスーパーリーチ演出A、Bの大当りへの期待度が異なるように出現率が設定されている(【0035】)、
f’ 遊技機(【0001】)。」

イ 対比

本件訂正発明と甲2発明とを、分説に従い対比する。

(a、f)

甲2発明の「遊技機」は、本件訂正発明の「遊技を行うことが可能な遊技機」および「遊技機」に相当する。

したがって、甲2発明の構成a’、f’は、本件訂正発明の構成A、Fに相当する。

(b)

甲2発明の構成b’の「大当り遊技状態が付与される可能性」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度」に相当する。

甲2発明の構成b’の「スーパーリーチの演出」は、「大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出であ」るから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出」である点で一致する。

また、甲2発明の構成b’の「サブ統括制御基板41」は、「スーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御」する「演出表示制御基板42」を「統括的に制御」するものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な手段」である点で一致する。

そして、甲2発明の構成b’の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「スピーカ27からの音出力を制御」する「演出制御用CPU101」を含むものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「音を出力可能な手段」である点でも一致する。

甲2発明の構成b’の「演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示され」る「操作演出」は、本件訂正発明の「所定操作を遊技者に促進する促進演出」に相当する。そして、甲2発明の「サブ統括制御基板41」は、「操作演出」「を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御」する「演出表示制御基板42」を「統括的に制御」するものであるから、本件訂正発明の「促進演出実行手段」と、「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ものである点で一致する。

以上によれば、甲2発明は、本件訂正発明の構成Bと、

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え」る点で一致する。

(c)

甲2発明の構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」を実行する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第1制御」と、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」「前記示唆演出」を実行するものである点で一致する。

また、甲2発明の構成cd’の「大当り演出用の変動パターンP31の演出内容」に「対応付けられている」「スーパーリーチ演出A」、「大当り演出用」の「変動パターンP32の演出内容」に「対応付けられ」る「スーパーリーチ演出B」、「はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容」に「胎動づけられている」「スーパーリーチ演出A」及び「はずれリーチ演出用」の「変動パターンP22の演出内容」に「対応付けられ」る「スーパーリーチ演出B」を実行する制御は、対応付けられていない「操作演出」を実行しないことが明らかであるから、本件訂正発明の構成Cの「第2制御」と、「前記促進演出が実行されることなく」「示唆演出」を実行するものである点で一致する。

そして、甲2発明の構成b’の「サブ統括制御基板41」は、構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」と、変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A又はスーパーリーチ演出Bを実行するものであり、このことは、本件訂正発明の構成Cと

「前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であ」る点で一致する。

(d)

構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」におけるスーパーリーチ演出A,Bと、変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A、Bは、演出態様としてそれぞれ同一であると認められる。

したがって、甲2発明の構成cd’は、本件訂正発明の構成Dと

「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一であ」る点で一致する。

よって、本件訂正発明と甲2発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点8~14で相違する。

[一致点]

「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B’ 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C’ 前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、
D’ 前記第1制御により出力される前記示唆演出と、前記第2制御により出力される前記示唆演出とは、同一である
F 遊技機。」

[相違点8](構成B、C、D、E)

「遊技者にとっての有利度を示唆する」ものが、本件訂正発明では、「示唆演出音」であるのに対して、甲2発明では、「スーパーリーチの演出」であって「示唆演出音」ではない点。

[相違点9](構成B)

「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」が、本件訂正発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるのに対して、甲2発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるか不明である点。

[相違点10](構成B)

「促進演出実行手段」が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」のが、本件訂正発明においては、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるのに対して、甲2発明では、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるか不明である点。

[相違点11](構成C)

「第1制御」において、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、本件訂正発明では、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲2発明では、示唆演出を実行するものの、このような制御を行わない点。

[相違点12](構成C)

「第2制御」において、本件訂正発明では、「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲2発明では、促進演出が実行されることなく示唆演出を実行するものの、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力」しない点。

[相違点13](構成D)

本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」るのに対して、甲2発明では、第1制御により実行される示唆演出(操作演出の後に続けて行われるスーパーリーチ演出A,B)と、第2制御により実行される示唆演出(変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A、B)とは、「同一の演出画面が表示され」るものの、同一の示唆演出音が出力されることが限定されていない点。

[相違点14](構成E)

本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」のに対して、甲2発明では、このように構成されていない点。

ウ 判断

相違点8~14は、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「4 判断」で検討した本件訂正発明と甲1発明との相違点1~7とそれぞれ同一であり、同様の理由により、甲2発明に基づいて相違点8~14に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

エ 小活

以上のとおり、申立理由に記載の甲第2号証に記載された発明及び周知技術によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

(3)甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について

令和3年1月22提出の特許異議申立書の33頁12行~34頁21行には、以下の旨が記載されている(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「以上により、本件特許発明と前記甲2発明との相違点をまとめると、次のとおりである。
(相違点)
「第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とについて、本件特許発明は、「異なる」ものであるのに対して、前記甲2発明は、それが不明である点。」
…
ウ-2-3) 相違点の検討(その2:構成要件Dに関する更なる検討)
以上のとおりであるから、本件特許発明は、前記甲第2号証に記載された発明(前記甲2発明)及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるが、前述した本件特許発明の構成要件Dに関する検討について、前記甲2発明が、本件特許発明の構成要件Dを備えている、と結論付けていものである点に関し、念のため、仮に、新たな相違点として取り上げられたとしても、やはり、その点は当業者が容易に到達できる構成であることを以下に述べる。
…
ここで、前記したとおり、d)演出開始から大当たり演出までの第1制御と第2制御の一連の演出画像は、第1制御における操作ボタン120の操作を促す表示205(促進演出)を除いて、極めて近似する態様である、前記甲1発明というものが存在することに着目していただきたい。
前記甲第1発明には、同様の促進演出表示が記載されている(特に【図50】及び【図51】を参照。)。そして、前記甲第1発明と前記甲第2発明の技術分野の共通性や作用及び機能の共通性に鑑みて、必要に応じてそのような近似した態様の前記甲第1発明の促進演出表示を前記甲2発明に採用することは、上述した演出画像の設計の実情に照らし、当業者にとって困難なこととはいえない。
したがって、前記甲2発明に前記甲1発明を組み合わせることによっても、本件特許発明の構成要件Dの構成を実現することができるものであり、そのことにより、当業者が予測できないような顕著な効果が生じるものともいえず、また、それを阻害する要因も見いだせないから、結局、本件特許発明の構成要件Dは、仮に、新たな相違点とされたとしても、当業者が容易になし得たものといえる。」

特許異議申立書に記載の「甲1発明」及び「甲2発明」は、それぞれ本決定における甲第1号証、甲第2号証に記載された発明であるから、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「2 甲第1号証の記載、甲1発明」で認定した甲1発明の「ボタン演出」を、上記「第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について」「(2)甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について」「ア 甲第2号証の記載及び甲2発明」で認定した甲2発明に採用したものを想定しても、本件訂正発明と対比を行うと、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「4 判断」で検討した本件訂正発明と甲1発明との相違点1~7と同様の点で相違することとなり、同様の理由によって、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

以上のとおり、申立理由に記載の甲第1号証、甲第2号証に記載された発明及び周知技術によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知において通知した取消理由及び特許異議申立人が主張する特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2021-700076

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