審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-016732

ガラス基板部分を有する、蛍光検出法で使用するための基板

審判番号
2021-016732
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-520525外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月06日
審決日
2023年01月31日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-Z (C03C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号特許法49条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-520525「ガラス基板部分を有する、蛍光検出法で使用するための基板」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月27日国際公開、WO2017/070500、平成30年11月 8日国内公表、特表2018-532684〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)10月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年(平成27年)10月22日(US)アメリカ合衆国 2016年(平成28年)7月14日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とし、平成30年4月20日に国内書面が提出され、同年6月20日に翻訳文が提出された特許出願であって、令和2年9月3日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月5日付けで手続補正がされ、同年7月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、同年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、令和3年2月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 蛍光検出法で使用するための基板であって、 前記基板は少なくとも1つのガラス基板部分を含み、 前記少なくとも1つのガラス基板部分は: 65.79モル%~78.17モル%のSiO2、 2.94モル%~12.12モル%のAl2O3、 0モル%~11.16モル%のB2O3、 0モル%~2.06モル%のLi2O、 3.52モル%~13.25モル%のNa2O、 0モル%~4.83モル%のK2O、 0モル%~3.01モル%のZnO、 0モル%~8.72モル%のMgO、 0モル%~4.24モル%のCaO、 0モル%~6.17モル%のSrO、 0モル%~4.3モル%のBaO、及び 0.07モル%~0.11モル%のSnO2を含み、 前記少なくとも1つのガラス基板部分中のAs2O3が最大でも0.05モル%である、基板。」 第3 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和2年9月3日付け拒絶理由通知書に記載した理由2であって、本願の願書に添付された特許請求の範囲(以下、「本願特許請求の範囲」という。)の記載は特許法第36条第6項第1号(いわゆる「サポート要件」)に適合するものではないため、本願は、同項に規定する要件を満たしていない、というものである。 第4 本願明細書及び図面の記載 本願の願書に添付された明細書(以下、「本願明細書」という。)の発明の詳細な説明及び図面には、以下の記載がある。なお、下線は当審が付した。 1 「【技術分野】 【0002】 本開示は一般に、蛍光検出法で使用するための基板に関し、より詳細には、少なくとも1つのガラス基板部分を有する、蛍光検出法で使用するための基板に関する。 【背景技術】 【0003】 生物学又は化学的調査の様々なプロトコルは、局所支持表面上、又は所定の反応チャンバ内で、多数の制御された反応を実施するステップを伴う。所望の反応を観察及び検出でき、また後続の分析は、反応に関与する化学物質の特性を同定する、又は明らかにするのを補助できる。例えばいくつかの複合アッセイでは、同定可能な標識(例えば蛍光標識)を有する未知の分析物を、制御された条件下で、多数の公知のプローブに曝露してよい。公知のプローブはそれぞれ、マイクロアレイ上、又はマイクロプレートの対応するウェル内に堆積させてよい。公知のプローブと未知の分析物との間で発生するいずれの化学反応を観察することにより、分析物を同定する、又は明らかにするのを補助できる。このようなプロトコルの他の例としては、合成シーケンシング(sequencing-by-synthesis:SBS)又はサイクリックアレイシーケンシングといった公知のDNAシーケンシングプロセスが挙げられる。 【0004】 いくつかの従来の蛍光検出プロトコルでは、光学系を用いて、蛍光標識済み分析物に対して励起光を配向し、また分析物から放出され得る蛍光信号を検出する。蛍光検出法は、放射性同位体を用いずに既存の光学部品を組み合わせることにより、生体分子の測定を安全かつ安価に実施できるため、この方法は、例えば酵素免疫測定法、電気泳動法、及び共焦点走査蛍光顕微鏡法といった様々な種類の生体分子検出プロトコルに適用されている。」 2 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 一般に、蛍光検出法の実施時、試料を保持するための基板、セル、チャネル等を使用する(これ以降、「基板」と呼ぶ)。溶融シリカ等のシリカは、紫外光に対する高い透過率を有し、このような基板の材料の選択肢として従来採用されてきた。しかしながら、光学品質のシリカは比較的高価な材料であり、より安価な選択肢が求められてきた。シリカ等の比較的高価な材料を置換するために、特定のプラスチック及び高重合体材料が提案されている。このようなプラスチック及びポリマー材料は容易に成形可能であり、使用後に廃棄できるものとして特徴付けることができるが、プラスチック及びポリマー材料はまた、励起光を照射したときに自己蛍光を放出することが知られている。本明細書中で使用される場合、用語「自己蛍光(auto-fluorescence)」は、蛍光検出法で使用するための基板が生成する、天然の又は固有の蛍光を指す。基板から放出された自己蛍光はバックグラウンドノイズを引き起こし、これは蛍光検出法のSN比にとって有害となり得、またユーザが蛍光のベースラインレベルを正確に検出するのを妨げる場合がある。」 3 「【課題を解決するための手段】 【0006】 本開示のある実施形態によると、蛍光検出法で使用するための基板が提供される。上記基板は少なくとも1つのガラス基板部分を含み、上記少なくとも1つのガラス基板部分は:約60モル%~約80モル%のSiO2;約0モル%~約15モル%のAl2O3;約0モル%~約15モル%のB2O3;及び約2モル%~約50モル%のRxOを含み、ここでRは、Li、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは2であるか、又はRは、Zn、Mg、Ca、Sr若しくはBaのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは1である。」 4 「【発明を実施するための形態】 【0011】 本開示の実施形態は、蛍光検出法で使用するための基板に関し、より詳細には、少なくとも1つのガラス基板部分を有する、蛍光検出法で使用するための基板に関する。本明細書に記載の基板は、蛍光検出法での使用に好適ないずれの基板であってよい。特に本開示の実施形態は、微生物学、細胞培養、組織培養、細胞アッセイ、IVF及びDNAシーケンシングの分野において用途が見出される基板に関する。本明細書では図1~5を参照して具体的実施形態を説明するが、上記基板は例えば、限定するものではないが、顕微鏡スライド、マイクロアレイ、フラスコ、毛細管、マルチウェルプレート、微小流体チャネル、微小流体リザーバ、ペトリ皿等の皿等であってよい。適用される具体的な蛍光検出法にかかわらず、本明細書に記載に基板の少なくとも1つのガラス基板部分は、分析物に対して配向される励起光の高い透過率、及び/又は分析物から放出され得る蛍光信号の高い透過率を示す。透過率と吸収率との間の関係に鑑みて理解されるように、本明細書に記載の基板の少なくとも1つのガラス基板部分はまた、分析物に対して配向される励起光の低い吸収率、及び/又は分析物から放出され得る蛍光信号の低い吸収率を示す。更に、本明細書に記載の基板は、低い自己蛍光を有する少なくとも1つのガラス基板部分を含む。 【0012】 様々な実施形態では、基板のガラスのガラス組成物は、60~80モル%のSiO2、0~20モル%のAl2O3、及び0~15モル%のB2O3、並びに50ppm未満の鉄(Fe)濃度を含んでよい。いくつかの実施形態では、25ppm未満のFeが存在してよく、又はいくつかの実施形態ではFe濃度は約20ppm以下であってよい。追加の実施形態では、ガラスは、研磨済みフロートガラス、フュージョンドロープロセス、スロットドロープロセス、リドロープロセス、又は別の好適な成形プロセスによって形成してよい。 【0013】 他の実施形態では、基板のガラスのガラス組成物は、63~81モル%のSiO2、0~5モル%のAl2O3、0~6モル%のMgO、7~14モル%のCaO、0~2モル%のLi2O、9~15モル%のNa2O、0~1.5モル%のK2O、並びに微量のFe2O3、Cr2O3、MnO2、Co3O4、TiO2、SO3及び/又はSeを含んでよい。 【0014】 1つ以上の実施形態によると、ガラスは、ガラス形成剤SiO2、Al2O3及びB2O3から選択された無色の酸化物成分を含んでよい。例示的なガラスは、好ましい溶融属性及び形成属性を得るために、フラックスも含んでよい。このようなフラックスとしては、アルカリ酸化物(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O及びCs2O)並びにアルカリ土類酸化物(MgO、CaO、SrO、ZnO及びBaO)が挙げられる。一実施形態では、ガラスは、60~80モル%のSiO2、0~20モル%のAl2O3、0~15モル%のB2O3、及び5~20%のアルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物又はこれらの組み合わせという構成成分を含有する。他の実施形態では、ガラス組成物はB2O3を含まなくてよく、63~81モル%のSiO2、0~5モル%のAl2O3、0~6モル%のMgO、7~14モル%のCaO、0~2モル%のLi2O、9~15モル%のNa2O、0~1.5モル%のK2O、並びに微量のFe2O3、Cr2O3、MnO2、Co3O4、TiO2、SO3及び/又はSeを含んでよい。 【0015】 本明細書に記載のいくつかのガラス組成物において、SiO2は塩基性ガラス形成剤として作用できる。特定の実施形態では、SiO2の濃度は60モル%超とすることができ、これによりガラスに、本明細書に記載の基板の意図した用途に好適な密度及び耐化学性、並びにダウンドロープロセス(例えばフュージョンプロセス)で形成できるようにする液相線温度(液相粘度)を提供できる。上限に関して、一般にSiO2濃度は約80モル%以下とすることができ、これにより、従来の大容積溶融技法、例えば耐火性溶融器内でのジュール溶融を用いてバッチ材料を溶融できるようにする。SiO2の濃度を上昇させると、200ポアズ温度(溶融温度)は一般に上昇する。様々な用途において、SiO2濃度は、ガラス組成物が1750℃以下の溶融温度を有するように調整される。様々な実施形態では、SiO2のモル%は約60%~約81%、あるいは約66%~約78%、又は約72%~約80%、又は約65%~約79%、及びこれらの間の全ての部分範囲内であってよい。追加の実施形態では、SiO2のモル%は、約70%~約74%、又は約74%~約78%であってよい。いくつかの実施形態では、SiO2のモル%は約72%~73%であってよい。他の実施形態では、SiO2のモル%は約76%~77%であってよい。 【0016】 Al2O3は、本明細書に記載のガラスを作製するために使用される別のガラス形成剤である。Al2O3のモル%を高めると、ガラスのアニール点及び弾性率を改善できる。様々な実施形態では、Al2O3のモル%は、約0%~約20%、あるいは約4%~約11%、又は約6%~約8%、又は約3%~約7%、及びこれらの間の全ての部分範囲内であってよい。追加の実施形態では、Al2O3のモル%は、約4%~約10%、又は約5%~約8%であってよい。いくつかの実施形態では、Al2O3のモル%は約7%~8%であってよい。他の実施形態では、Al2O3のモル%は、約5%~6%、又は0%~約5%、又は0%~約2%であってよい。 【0017】 B2O3は、ガラス形成剤、及び溶融を補助して溶融温度を低下させるフラックスの両方である。これは液相線温度及び液相粘度の両方に影響を及ぼす。B2O3を増加させることによって、ガラスの液相粘度を上昇させることができる。これらの効果を達成するために、1つ以上の実施形態のガラス組成物は、0.1モル%以上のB2O3濃度を有してよいが、いくつかの組成物は、無視できる量のB2O3を有してよい。SiO2に関して上述したように、ガラスの耐久性は、本明細書に記載の基板の意図した用途には非常に重要である。耐久性は、アルカリ土類酸化物の濃度を上昇させることによってある程度制御でき、またB2O3含有量を増大させることによって大幅に低減できる。アニール点はB2O3の増大に従って低下するため、B2O3含有量を低く維持することが役立つ場合が多い。従って様々な実施形態では、B2O3のモル%は、約0%~約15%、あるいは約0%~約12%、又は約0%~約11%、又は約3%~約7%、又は約0%~約2%、及びこれらの間の全ての部分範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、B2O3のモル%は約7%~8%であってよい。他の実施形態では、B2O3のモル%は無視できるものであるか、又は約0%~1%であってよい。 【0018】 ガラス形成剤(SiO2、Al2O3及びB2O3)に加えて、本明細書に記載のガラスは、アルカリ土類酸化物も含む。一実施形態では、少なくとも3つのアルカリ土類酸化物がガラス組成物の要素であり、これらは例えばMgO、CaO及びBaO、並びに任意にSrOである。アルカリ土類酸化物は、ガラスに、溶融、焼成、成形及び最終的な使用に重要な様々な特性を提供する。従って、これらの点でガラスの性能を改善するために、一実施形態では、(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3の比は0~2.0である。この比が上昇すると、粘度が液相線温度よりもより大きく上昇する傾向を有し、従ってT35k-Tliqに関して、好適な高い値を得ることがますます困難となる。よって別の実施形態では、比(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3は約2以下である。いくつかの実施形態では、(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3の比は約0~約1.0、又は約0.2~約0.6、又は約0.4~約0.6である。詳細な実施形態では、(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3の比は約0.55未満又は約0.4未満である。 【0019】 本開示の特定の実施形態に関して、複数のアルカリ土類酸化物を、これらが実際には単一の組成成分であるものとして扱ってよい。これは、粘弾性、液相線温度及び液相関係に対するこれらの影響が、ガラス形成酸化物SiO2、Al2O3及びB2O3に比べて、定量的に互いに同等であるためである。しかしながら、アルカリ土類酸化物CaO、SrO及びBaOは、長石鉱物、特にアノーサイト(CaAl2Si2O8)及びセルシアン(BaAl2Si2O8)、並びにこれらのストロンチウム担持固溶体を形成し得るが、MgOは、これらの結晶中に相当な度合いで関与することはない。従って、長石鉱物が液相中に既に存在する場合、MgOの更なる添加は、結晶に対してこの液体を安定させることによって液相線温度を低下させる役割を果たすことができる。同時に、粘度曲線は典型的にはより急峻になり、低温粘度に影響をほとんど又は全く与えることなく、融点が低下する。 【0020】 本発明者らは、少量のMgOの添加は、高いアニール点を保持したまま、融点の低下によって溶融に、そして液相線温度の低下及び液相粘度の上昇によって成形に便益をもたらすことができることを発見した。様々な実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約10モル%、又は約0モル%~約6モル%、又は約1.0モル%~約8.0モル%、又は約0モル%~約8.72モル%、又は約1.0モル%~約7.0モル%、又は約0モル%~約5モル%、又は約1モル%~約3モル%、又は約2モル%~約10モル%、又は約4モル%~約8モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内のMgOを含む。 【0021】 いずれの特定の動作理論によって束縛されるものではないが、ガラス組成物中に存在する酸化カルシウム(CaO)が、低い液相線温度(高い液相粘度)、高いアニール点及び弾性率、並びに本明細書に記載の基板の意図した用途に最も望ましい範囲のCTEを生成できると考えられる。これはまた、耐化学性にも良好に寄与し、他のアルカリ土類酸化物に比べて、バッチ材料として比較的安価である。しかしながら、高い濃度においては、CaOは密度及びCTEを上昇させる。更に、十分に低いSiO2濃度では、CaOはアノーサイトを安定させることにより、液相粘度を低下させ得る。従って1つ以上の実施形態では、CaO濃度を0~6モル%とすることができる。様々な実施形態では、ガラス組成物のCaO濃度は、約0モル%~約4.24モル%、又は約0モル%~約2モル%、又は約0モル%~約1モル%、又は約0モル%~約0.5モル%、又は約0モル%~約0.1モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。他の実施形態では、ガラス組成物のCaO濃度は、約7モル%~約14モル%、又は約9モル%~約12モル%である。 【0022】 SrO及びBaOはいずれも、低い液相線温度(高い液相粘度)に寄与できる。これらの酸化物及びその濃度は、CTE及び密度の上昇並びに弾性率及びアニール点の低下を回避するように選択できる。SrO及びBaOの相対比率のバランスを取ることによって、ガラスをダウンドロープロセスで成形できるような物理的特性及び液相粘度の好適な組み合わせを得ることができる。様々な実施形態では、上記ガラスは、SrOを、約0~約8.0モル%、又は約0モル%~約4.3モル%、又は約0~約5モル%、1モル%~約3モル%、又は約2.5モル%未満、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。1つ以上の実施形態では、上記ガラスは、BaOを、約0~約5モル%、又は0~約4.3モル%、又は0~約2.0モル%、又は0~約1.0モル%、又は0~約0.5モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。 【0023】 以上の成分に加えて、本明細書に記載のガラス組成物は、ガラスの様々な物理的属性、溶融属性、清澄属性及び成形属性を調整するために、様々な他の酸化物を含むことができる。このような他の酸化物の例としては、限定するものではないが、TiO2、MnO、V2O3、Fe2O3、ZrO2、ZnO、Nb2O5、MoO3、Ta2O5、WO3、Y2O3、La2O3及びCeO2、並びに他の希土類酸化物及びリン酸塩が挙げられる。一実施形態では、これらの酸化物の量は、2.0モル%以下とすることができ、合計濃度は5.0モル%以下とすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、ZnOを、約0~約3.5モル%、又は約0~約3.01モル%、又は約0~約2.0モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物は:約0.1モル%~約1.0モル%の酸化チタン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化バナジウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ニオブ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化マンガン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ジルコニウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化スズ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化モリブデン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化セリウム;及びこれらの間の全ての部分範囲内の、上で列挙した遷移金属酸化物のうちのいずれを含む。本明細書に記載のガラス組成物はまた、バッチ材料に関連する、並びに/又はガラスの製造に使用される溶融、清澄及び/若しくは成形設備によってガラスに導入される、様々な汚染物質を含み得る。ガラスはまた、酸化スズ電極を用いたジュール溶融の結果として、及び/又は例えばSnO2、SnO、SnCO3、SnC2O2等のスズ含有材料のバッチ形成によって、SnO2も含有し得る。 【0024】 本明細書に記載のガラス組成物は、いくつかのアルカリ構成成分を含有してよく、例えばこれらのガラスはアルカリ非含有ガラスではない。本明細書中で使用される場合、「アルカリ非含有ガラス(alkali-free glass)」は、合計アルカリ濃度が0.1モル%以下のガラスであり、この合計アルカリ濃度は、Na2O、K2O及びLi2O濃度の総和である。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Li2Oを、約0~約3.0モル%、約0~約3.01モル%、約0~約2.0モル%、約0~約1.0モル%、約3.01モル%未満、又は約2.0モル%未満、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。他の実施形態では、上記ガラスは、Na2Oを、約3.5モル%~約13.5モル%、約3.52モル%~約13.25モル%、約4.0モル%~約12モル%、約6.0モル%~約15モル%、又は約6.0モル%~約12モル%、約9.0モル%モル%~約15モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、K2Oを、約0~約5.0モル%、約0~約4.83モル%、約0~約2.0モル%、約0~約1.5モル%、約0~約1.0モル%、又は約4.83モル%未満、及びこれらの間の全ての部分範囲内の量で含む。 【0025】 いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス組成物は、以下の組成的特徴:(i)最大0.05~1.0モル%のAs2O3濃度;(ii)最大0.05~1.0モル%のSb2O3濃度;(iii)最大0.25~3.0モル%のSnO2濃度のうちの1つ以上の又は全てを有することができる。 【0026】 As2O3は、ディスプレイガラスのための有効な高温清澄剤であり、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、As2O3は、その優れた清澄特性により、清澄に使用される。しかしながらAs2O3は有毒であり、ガラス製造プロセス中に特別な取り扱いを必要とする。従って特定の実施形態では、清澄は、有意量のAs2O3を用いずに実施され、即ち完成品のガラスは最大0.05モル%のAs2O3を有する。一実施形態では、ガラスの清澄においてAs2O3を故意に使用しない。このような場合、完成品のガラスは典型的には、バッチ材料及び/又はバッチ材料の溶融に使用される設備中に存在する汚染物質により、最大0.005モル%のAs2O3を有することになる。 【0027】 As2O3ほどの毒性はないが、Sb2O3もまた有毒であり、特別な取り扱いを必要とする。更にSb2O3は、清澄剤としてAs2O3又はSnO2を使用したガラスに比べて密度を上昇させ、CTEを上昇させ、アニール点を低下させる。従って特定の実施形態では、清澄は、有意量のSb2O3を用いずに実施され、即ち完成品のガラスは最大0.05モル%のSb2O3を有する。別の実施形態では、ガラスの清澄においてSb2O3を故意に使用しない。このような場合、完成品のガラスは典型的には、バッチ材料及び/又はバッチ材料の溶融に使用される設備中に存在する汚染物質により、最大0.005モル%のSb2O3を有することになる。 【0028】 As2O3及びSb2O3による清澄に比べて、スズによる清澄(即ちSnO2による清澄)は効果が低いものの、SnO2は、既知の有害な特性を有しない汎用性の高い材料である。しかしながら、SnO2の濃度が高いことは、ディスプレイガラス中の結晶質の欠陥の形成をもたらし得るため、好ましくない。一実施形態では、完成品のガラス中のSnO2の濃度は、0.25モル%以下、約0.07~約0.11モル%、約0~約2モル%、約0~約3モル%、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。 【0029】 スズによる清澄は、単独で、又は他の清澄技法と組み合わせて使用できる。例えばスズによる清澄を、ハロゲン化物による清澄、例えば臭素による清澄と組み合わせることができる。他の可能な組み合わせとしては、限定するものではないが、スズによる清澄に、硫酸塩、硫化物、酸化セリウム、機械的バブリング、及び/又は真空による清澄を追加したものである。これらの他の清澄技法は、単独で用いることを想定できる。特定の実施形態では、(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3の比及び個々のアルカリ土類の濃度を上述の範囲内に維持することにより、清澄プロセスの実施が容易になり、またより効果的になる。 【0030】 様々な実施形態では、ガラスはRxOを含んでよく、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1である。いくつかの実施形態では、RxO-Al2O3>0である。他の実施形態では、0<RxO-Al2O3<15である。いくつかの実施形態では、RxO/Al2O3は、0~10、0~5、1超、又は1.5~3.75、又は1~6、又は1.1~5.7、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。他の実施形態では、0<RxO-Al2O3<15である。更なる実施形態では、x=2かつR2O-Al2O3<15、<5、<0、-8~0、又は-8~-1、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。追加の実施形態では、R2O-Al2O3<0である。更なる追加の実施形態では、x=2かつR2O-Al2O3-MgO>-10、>-5、0~-5、0~-2、>-2、-5~5、-4.5~4、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。更なる実施形態では、x=2であり、かつRxO/Al2O3は0~4、0~3.25、0.5~3.25、0.95~3.25、及びこれらの間の全ての部分範囲内である。これらの比は、ガラス物品の製造可能性の確立、及びガラス物品の透過性能の決定において、重要な役割を果たす。例えばRxO-Al2O3がおおよそゼロ以上であるガラスは、比較的良好な溶融品質を有する傾向があるが、RxO-Al2O3の値が大きくなりすぎると、透過曲線に悪影響がある。同様に、RxO-Al2O3(例えばR2O-Al2O3)が上述の所与の範囲内である場合、ガラスは、溶融性を維持しかつガラスの液相線温度を抑制したまま、可視スペクトルにおいて高い透過性を有しやすい。同様に、上述のR2O-Al2O3-MgOの値は、ガラスの液相線温度の抑制にも役立ち得る。 【0031】 1つ以上の実施形態において、上述のように、例示的なガラスは、ガラスマトリクス中にある場合に可視光吸収を生成する元素を、低濃度で有し得る。このような吸収剤としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCu等の遷移元素、並びにCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er及びTmを含む、f軌道が部分的に充填された希土類元素が挙げられる。これらのうち、ガラス溶融に使用される従来の原材料中に最も豊富なのは、Fe、Cr及びNiである。鉄は、SiO2源である砂の一般的な汚染物質であり、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムの原材料源中の典型的な汚染物質でもある。クロム及びニッケルは典型的には、通常のガラス原材料中に低濃度で存在するが、砂の様々な鉱石にも存在し得、低濃度に制御されることが好ましい。更に、クロム及びニッケルは:例えば原材料又はカレットを粉砕する際のステンレス鋼との接触によって;鋼鉄で内張りされたミキサ若しくはスクリューフィーダの溶出によって;又は溶融ユニット自体の構造の鋼鉄との意図しない接触によって、導入され得る。いくつかの実施形態における鋼鉄の濃度は、具体的には50ppm未満、より具体的には40ppm未満、又は25ppm未満とすることができ、Ni及びCrの濃度は、具体的には5ppm未満及びより具体的には2ppm未満とすることができる。更なる実施形態では、上で列挙した他の全ての吸収剤の濃度は、それぞれ1ppm未満であってよい。様々な実施形態では上記ガラスは、1ppm以下のCo、Ni及びCr、あるいは1ppm未満のCo、Ni及びCrを含む。様々な実施形態では、遷移元素(V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCu)はガラス中に、0.1重量%以下で存在してよい。いくつかの実施形態では、Feの濃度は、<約50ppm、<約40ppm、<約30ppm、<約20ppm、又は<約10ppmとすることができる。他の実施形態では、Fe+30Cr+35Niは、<約60ppm、<約50ppm、<約40ppm、<約30ppm、<約20ppm、又は<約10ppmである。 【0032】 他の実施形態では、300nm~650nmの吸収を引き起こさず、<約300nmの吸収帯域を有する、特定の遷移金属酸化物の添加により、成形プロセスによるネットワーク欠陥が防止され、またインクの硬化時のUV曝露後の色中心(例えば300nm~650nmの光の吸収)が防止されることが発見された。これは、ガラスネットワーク中の遷移金属酸化物による結合が、ガラスネットワークの基本的な結合を光に破壊させることなく、光を吸収するためである。従って例示的実施形態は、UV色中心の形成を最小化するために、以下の遷移金属酸化物のうちのいずれの1つ又は組み合わせを含むことができる:約0.1モル%~約3.0モル%の酸化亜鉛;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化チタン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化バナジウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ニオブ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化マンガン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ジルコニウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ヒ素;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化スズ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化モリブデン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化アンチモン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化セリウム;及びこれらの間の全ての部分範囲内の、上で列挙した遷移金属酸化物のうちのいずれ。いくつかの実施形態では、例示的なガラスは、0.1モル%~約3.0モル%未満又は以下の、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化ヒ素、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化アンチモン、及び酸化セリウムのいずれの組み合わせを含有できる。 【0033】 遷移金属の濃度が上述の範囲内である場合でさえ、マトリクス及び酸化還元の影響が存在する場合があり、これは望ましくない吸収をもたらす。一例として、鉄はガラス中に2つの価数、即ち+3又は第2鉄状態、及び+2又は第1鉄状態で発生することが当業者にはよく知られている。ガラス中において、Fe3+は、およそ380、420及び435nmでの吸収を生成する一方、Fe2+は主にIR波長を吸収する。従って1つ以上の実施形態によると、可視波長において高い透過を達成するために、可能な限り多くの鉄を第1鉄状態とすることが望ましい場合がある。これを達成するための1つの非限定的な方法は、ガラスバッチに、自然に還元される成分を添加することである。このような成分としては、炭素、炭化水素、又は特定の半金属、例えばケイ素、ホウ素若しくはアルミニウムの還元形態が挙げられる。どのようにこれを達成してもよいが、1つ以上の実施形態によると、鉄のレベルが上述の範囲内である場合、即ち鉄の少なくとも10%が第1鉄状態である、より具体的には鉄の20%超が第1鉄状態である場合に、短い波長において透過を改善できる。よって様々な実施形態では、ガラス中の鉄の上記濃度は、ガラスにおいて1.1dB/500mm未満の減衰を生成する。更に様々な実施形態では、V+Cr+Mn+Fe+Co+Ni+Cuの上記濃度は、ボロシリケートガラスに関する比(Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O+MgO+ZnO+CaO+SrO+BaO)/Al2O3が0~4である場合、ガラスにおいて2dB/500mm以下の光減衰を生成する。 【0034】 ガラスマトリクス中の鉄の価数及び配位状態は、ガラスのバルク組成によっても影響され得る。例えば鉄の酸化還元比を、溶融ガラスにおいて、高温の空気中で平衡となった系SiO2-K2O-Al2O3で検査した。Fe3+としての鉄の割合は、比K2O/(K2O+Al2O3)と共に増大することが分かり、これは実用面において、短い波長におけるより良好な吸収を意味する。このマトリクス効果を調査すると、比(Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O)/Al2O3及び(MgO+CaO+ZnO+SrO+BaO)/Al2O3もまた、ボロシリケートガラスにおいて透過を最大化するために重要となり得ることが分かった。従って上述のRxOの範囲に関して、所与の鉄含有量に対して、例示的な波長における透過を最大化できる。これは部分的には、Fe2+の比率が高いことによるものであり、また部分的には、鉄の配位環境に関連するマトリクス効果によるものである。 【0035】 更に、複数の例示的な組成に対して、各要素が最も強力に減衰させる可視光範囲内の波長を同定することによって、各要素の減衰能力を推定できる。以下の表1に示す実施例では、RxOに対するAl2O3の濃度に関して、様々な遷移金属の吸収係数を実験によって決定した(ただし簡略化のために、改質剤Na2Oのみを以下に示す)。 【0036】 【表1】 [図:0001398740000001.jpg] 【0037】 V(バナジウム)を除いて、最小の減衰は、Al2O3の濃度=Na2Oであるガラスに関して、又は更に一般的にはAl2O3~RxOに関して、観察される。様々な例において、遷移金属は2価以上であると仮定でき(例えばFeは+2及び+3の両方となることができる)、従ってこれらの様々な価数の酸化還元比は、バルク組成にある程度影響され得る。遷移金属は、特に最も近い陰イオンの数(配位数とも呼ばれる)が変化する場合に、部分的に充填されたd軌道中の電子とその周囲の陰イオン(この場合は酸素)との相互作用によって発生する、いわゆる「結晶場(crystal field)」又は「リガンド場(ligand field)」効果に様々に応答する。よって、酸化還元比及び結晶場効果の両方がこの結果に寄与すると思われる。 【0038】 また、以下の表2に示し、これ以降で更に詳細に議論するように、様々な遷移金属の吸収係数を利用して、可視スペクトル(即ち380~700nm)内の光路長にわたるガラス組成の減衰を決定でき、ソラリゼーションの問題に対処できる。 【0039】 【表2】 [図:0001398740000002.jpg] 【0040】 当然のことながら、表2で同定された値は単なる例示であり、添付の請求項の範囲を限定するものではない。例えば予想外に、Fe+30Cr+35Ni<60ppmである場合に、高透過率ガラスを得ることができることも発見された。いくつかの実施形態では、Feの濃度を、<約50ppm、<約40ppm、<約30ppm、<約20ppm、又は<約10ppmとすることができる。他の実施形態では、Fe+30Cr+35Ni<約50ppm、<約40ppm、<約30ppm、<約20ppm、又は<約10ppmである。また予想外に、300nm~650nmの吸収を引き起こさず、<約300nmの吸収帯域を有する、特定の遷移金属酸化物の添加により、成形プロセスによるネットワーク欠陥が防止され、またインクの硬化時のUV曝露後の色中心(例えば300nm~650nmの光の吸収)が防止されることも発見された。これは、ガラスネットワーク中の遷移金属酸化物による結合が、ガラスネットワークの基本的な結合を光に破壊させることなく、光を吸収するためである。従って例示的実施形態は、UV色中心の形成を最小化するために、以下の遷移金属酸化物のうちのいずれの1つ又は組み合わせを含むことができる:約0.1モル%~約3.0モル%の酸化亜鉛;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化チタン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化バナジウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ニオブ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化マンガン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ジルコニウム;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化ヒ素;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化スズ;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化モリブデン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化アンチモン;約0.1モル%~約1.0モル%の酸化セリウム;及びこれらの間の全ての部分範囲内の、上で列挙した遷移金属酸化物のうちのいずれ。いくつかの実施形態では、例示的なガラスは、0.1モル%~約3.0モル%未満又は超の、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化ヒ素、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化アンチモン、及び酸化セリウムのいずれの組み合わせを含有できる。」 5 「【0041】 表3A、3B、4A及び4Bは、本主題の実施形態のために調製されたガラスのいくつかの非限定的な例を提供する。 【0042】 【表3A】 [図:0001398740000003.jpg] 【0043】 【表3B】 [図:0001398740000004.jpg] 【0044】 【表4A】 [図:0001398740000005.jpg] 【0045】 【表4B】 [図:0001398740000006.jpg] 【0046】 よって、これまでに記載した例示的組成を用いて、約525℃~約575℃、約540℃~約570℃、又は約545℃~約565℃及びこれらの間の全ての部分範囲内の歪み点を達成できる。一実施形態では、歪み点は約547℃であり、別の実施形態では、歪み点は約565℃である。例示的なアニール点は、約575℃~約625℃、約590℃~約620℃、及びこれらの間の全ての部分範囲内となり得る。一実施形態では、アニール点は約593℃であり、別の実施形態では、アニール点は約618℃である。ガラスの例示的な軟化点は、約800℃~約890℃、約820℃~約880℃、又は約835℃~約875℃及びこれらの間の全ての部分範囲内である。一実施形態では、軟化点は約836.2℃であり、別の実施形態では、軟化点は約874.7℃である。例示的なガラス組成の密度は、約1.95gm/cc@20℃~約2.7gm/cc@20℃、約2.1gm/cc@20℃~約2.4gm/cc@20℃、又は約2.3gm/cc@20℃~約2.4gm/cc@20℃及びこれらの間の全ての部分範囲内となり得る。一実施形態では密度は約2.389gm/cc@20℃であり、別の実施形態では、密度は約2.388gm/cc@20℃である。例示的実施形態に関するCTE(0~300℃)は、約30×10-7/℃~約95×10-7/℃、約50×10-7/℃~約80×10-7/℃、又は約55×10-7/℃~約80×10-7/℃及びこれらの間の全ての部分範囲内となり得る。一実施形態ではCTEは約55.7×10-7/℃であり、別の実施形態では、CTEは約69×10-7/℃である。 【0047】 本明細書に記載の特定の実施形態及び組成は、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、更には95%超の、400~700nmでの内部透過を提供した。内部透過率は、試料を透過する光を、ソースから放出された光と比較することで測定できる。広帯域の非コヒーレント光は、試験対象の材料の端部に円筒形で集束し得る。遠方から放出された光は、分光光度計に結合された積分球ファイバによって集めることができ、これは試料データを形成する。基準データは、試験中の材料をシステムから取り除き、積分球を集束用光学素子の直前で並進移動させ、この装置を通る光を基準データとして集めることによって得られる。そして、所与の波長における吸収率は: 【0048】 [図:0001398740000007.jpg] 【0049】 によって得られる。0.5mにわたる内部透過率は: 透過率(%)=100×10-吸収率×0.5/10 によって得られる。よって、本明細書に記載の例示的実施形態は、長さ500mmにおいて、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、更には95%超の、450nmにおける内部透過率を有することができる。本明細書に記載の例示的実施形態はまた、長さ500mmにおいて、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、更には96%超の、550nmにおける内部透過率を有することができる。本明細書に記載の更なる実施形態は、長さ500mmにおいて、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、更には95%超の、630nmにおける内部透過率を有することができる。」 6 「【0051】 図1及び2は、本開示の実施形態によるマルチウェルプレートの2つの断面図を示す。マルチウェルプレートは、本明細書に記載の基板であり、マルチウェルプレートの下側プレートである少なくとも1つのガラス基板部分を含む。図示されているマルチウェルプレート100は、上側部分200及び下側プレート220を含む2部構造のものである。上側部分200は、周縁スカート120、上面140、及びウェル160の側壁240を含む。下側プレート220はウェル160の底部壁260を形成する。上側部分200及び下側プレート220は、接着剤280によって、界面において一体に接合できる。上側部分200は、周縁スカート120及び上面140に加えて、端部開放型試料ウェル160のアレイの側壁240を形成するフレームを含む。上側部分200は、ポリマー材料(例えばポリスチレン)から形成してよい。 【0052】 下側プレート220は、本明細書に記載の組成を有するガラスのシートであってよい。下側プレート220はまた、略平坦であってよい。また、ガラスシートは、所望のサイズのマルチウェルプレート100の寸法にフィットするように改変できる。ガラス材料は、各試料ウェル160のための透明底部壁260を形成し、これを通した視認を可能とする。透明下側プレート220はまた、底部壁260を通した光放出の測定を可能とする。図示されているように、下側プレート220は略平坦であり、また、上側部分200の全てのウェル160のための底部壁260を形成するようにサイズ設定される。 【0053】 本明細書に記載のガラス組成を利用することにより、下側プレート220は、高い光学品質、高い光学的平坦性、及び低い自己蛍光を有する。ガラス底のマルチウェルプレートにおいて従来使用されてきたガラスに比べて、下側プレート220のガラスから放出される自己蛍光が低いことにより、蛍光ノイズが低減され、蛍光検出法の精度が改善される。高い光学品質により、いずれの顕微鏡観察技法の結果、及び蛍光検出法の結果が改善される。ウェル160の底部壁260の光学的平坦性は、マルチウェルプレート100を、ウェル160内の試験片及び生きた細胞を顕微鏡で観察するために使用する場合に、特に重要となる。この平坦性により、均一な細胞分布も促進され、また光学的ばらつきが制限される。底部壁260はいずれの厚さのものであってよいが、底部壁260は、約500マイクロメートル以下の厚さを有してよく、またその平坦性は、個々のウェル160の外側最低部表面の直径にわたって0~10マイクロメートルである。例えば、底部壁260の厚さは、約75マイクロメートル~約500マイクロメートル、又は約100マイクロメートル~約400マイクロメートル、又は約150マイクロメートル~約350マイクロメートル、又は約175マイクロメートル~約300マイクロメートルでさえあってよい。 【0054】 図3及び4は、本開示の実施形態による例示的なフローセルを示す。フローセルは、本明細書に記載の基板であり、少なくとも1つの層を含む。フローセルの少なくとも1つのガラス基板部分は、上記少なくとも1つの層のうちの少なくとも1つである。フローセル400は、底部又はベース層410、ベース層410の上に重なったチャネルスペーサ又は層420、及びカバー層430を含む。ベース層410の厚さは、約500マイクロメートル~約1,500マイクロメートル、例えば約1,000マイクロメートルであってよい。チャネル層420の厚さは、約80マイクロメートル~約200マイクロメートル、例えば約100マイクロメートルであってよい。カバー層430の厚さは、約150マイクロメートル~約500マイクロメートル、例えば約300マイクロメートルであってよい。層410、420及び430を組み立てると、これらは、各端部にカバー層430を通る流入ポート414及び流出ポート416を有する、少なくとも1つの封止されたフローチャネル412を形成する。フローセル400は、マニホルドと係合するか、又は封止噛合するよう構成してよい。あるいは、フローセル400の流入ポート414及び流出ポート416は、フローセル400の底部又は側部に開いていてよい。また、図面は3層で形成されたフローセル400を図示しているものの、本開示の実施形態によるフローセルは、チャネルがエッチング、切断又は形成されたベース層、及びカバー層といった、2つの層を含んでよい。更に他の実施形態は、エッチング、切断又はその他の方法で形成されたフローチャネルを含む1つの層のみを有する、フローセルを含んでよい。 【0055】 フローセル400の層410、420及び430は、多数の異なる方法で互いに対して付着させることができる。例えば上記層は、接着剤、結合(例えば熱結合、化学結合等)、及び/又は機械的方法で付着させることができる。例えば、化学作用剤若しくははんだガラスを用いた低融点ガラス結合プロセスを利用してよく、又は接合される相補的な層の表面を近接して配置し、表面の軟化及び互いに対する結合を引き起こすために十分な程度に加熱する、高温融着プロセスを利用してよい。当業者は、様々なガラス/ポリマー層を互いに対して付着させるための多数の方法及び技法に親しんでいるだろう。任意に、フローセル400は、層410、420及び430のうちの少なくとも1つの間に結合剤を含んでよく、上記結合剤は、フローセル400の層410、420及び430の、互いに対する付着を促進する。結合剤は例えば、金属、金属酸化物、ガラス、セラミック又はプラスチックを含む材料であってよいが、これらに限定されない。 【0056】 更に、図示されているフローセル400は8つのチャネル412を含むが、本開示の実施形態によるフローセルは、いずれの数のチャネルを含んでよい。例えばフローセル400は、チャネルを1つのみ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は16個、又は更に多くのチャネルを含んでよい。更にチャネル412は、異なる深さ及び/又は幅(フローセルのチャネル間で異なっていても、同一のフローセル内のチャネル間で異なっていてもよい)を有してよい。例えば、チャネル412の深さは、50マイクロメートル~約500マイクロメートル、又は約100マイクロメートル~約400マイクロメートル、又は約150マイクロメートル~約300マイクロメートルであってよい。本明細書に記載のチャネル412は、フローセル400内に、HFエッチング液等の酸エッチング液を利用するエッチングプロセスを用いて形成してよい。酸エッチング液を、チャネルが形成されることになる層に適用する。保護マスクを用いて、除去したくない層の材料を保護し、その一方で除去したい層の材料を酸エッチング液に曝露する。 【0057】 本開示の実施形態によるフローセルの少なくとも1つの層は、本明細書に記載の組成を有するガラスから形成してよい。例えばベース層を、本明細書に記載のガラス組成から形成してよい。更に、チャネル層420及びカバー層430のうちのいずれも、本明細書に記載のガラス組成から形成してよい。任意に、フローセルの異なる複数の層を、同一のフローセル内において異なる材料から形成してよい。よって、ベース層410、チャネル層420及びカバー層430は任意に、異なる材料から形成でき、好ましい実施形態は、本明細書に記載のガラス組成から形成されたベース層410を有する。上記異なる材料としては例えば、Foturan(登録商標)(Schott AG(ドイツ、マインツ)が市販)又はFotoform(登録商標)(Hoya Corporation(日本、東京)が市販)といった光感受性ガラスが挙げられる。任意に、上記層のうちの少なくとも1つをシリコンから形成してよい。上記異なる材料としては、優れた光学特性を有し、かつ高温に耐えられるポリマー、例えばTopas(登録商標)(Ticona(ケンタッキー州フローレンス)が市販)又はZeonor(登録商標)(Zeon Chemicals(ケンタッキー州ルイスヴィル)が市販)といった環状オレフィンコポリマーが挙げられる。他のポリマー材料は例えば、限定するものではないが、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリプロピレン(PP)、及びポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)であってよい。 【0058】 図5は、本開示の実施形態によるペトリ皿を図示しており、ここで上記ペトリ皿は、本明細書に記載の組成を有するガラスから形成される。ペトリ皿は、本明細書に記載の基板であり、底部パネル及びベース側壁のうちの少なくとも1つである少なくとも1つのガラス基板部分を含む。ペトリ皿500は、円形ベース502及び円形蓋504を含む。円形ベース502は、平坦底部パネル506と、平坦底部パネル506から略垂直上向きに延在するベース側壁508とを有する。円形蓋504は、蓋パネル510と、蓋パネル510から略垂直下向きに延在する蓋側壁512とを有する。蓋側壁512の内径は、ベース側壁508の外径より大きく、これにより、円形蓋504を円形ベース502上に設置したときに、円形蓋504は円形ベース502を被覆し、蓋側壁512はベース側壁508の上部を越えて延在してこれを被覆する。ベース側壁508の高さは、蓋側壁512の深さより大きい。本開示の実施形態によると、ペトリ皿の少なくとも1つの部分、例えば円形ベース502及び円形蓋504は、本明細書に記載の組成を有するガラスから形成される。一実施形態によると、円形ベース502の平坦底部パネル506は、本明細書に記載の組成を有するガラスから形成される。 【0059】 本明細書に記載のガラス組成を利用することにより、ペトリ皿500は、高い光学品質及び低い自己蛍光を有する。ペトリ皿に従来使用されてきたガラスに比べて、ペトリ皿500のガラスから放出される自己蛍光が低いことにより、蛍光ノイズが低減され、蛍光検出法の精度が改善される。高い光学品質により、いずれの顕微鏡観察技法の結果、及び蛍光検出法の結果が改善される。」 7 「【実施例】 ・・・ 【0062】 本明細書及び以下の表5に記載されるガラスの特性は、ガラスの分野における慣用の技法に従って決定した。よって、温度範囲25~300℃にわたる線形の熱膨張係数(CTE)は、×10-7/℃で表され、アニール点は℃で表される。これらは、ファイバ伸長技法(それぞれASTM規格E228-85及びC336)によって決定された。密度(グラム/cm3)は、アルキメデス法(ASTM C693)によって測定された。(ガラス溶融物が200ポアズ(20Pa・s)の粘度を示す温度として定義される)融点(℃)は、回転シリンダ粘度法(ASTM C965-81)で測定された高温粘度データへのフルチャーの式のフィットを採用して算出した。 【0063】 ガラスの液相線温度(℃)は、ASTM C829-81の標準勾配ボート液相線法を用いて測定した。これは:白金ボートに粉砕したガラス粒子を入れるステップ;温度勾配領域を有する炉内に上記ボートを置くステップ;24時間にわたって適切な温度範囲でボートを加熱するステップ;及びガラスの内部に結晶が現れる最高温度を顕微鏡検査によって決定するステップを伴う。より詳細には、ガラス試料をPtボートから1片として取り出し、偏光顕微鏡を用いて試験して、Pt及び空気との界面に接して形成された結晶、並びに試料の内部に形成された結晶の、位置及び性質を同定する。炉の温度勾配は非常によく知られているため、位置に対する温度は5~10℃以内で十分に推定できる。試料の内部に結晶が観察された温度を、(対応する試験期間に対する)ガラスの液相線温度を表すものと解釈する。場合によっては、試験をより長時間(例えば72時間)実施して、よりゆっくりと成長する相を観察する。液相粘度(ポアズ)は、液相線温度と、フルチャーの式の係数とから決定された。ヤング率の値(GPa)が含まれている場合、これは、ASTM E1875-00e1に記載されている一般的なタイプの共鳴超音波分光法を用いて決定された。 ・・・ 【0075】 表5は、本明細書に記載の高い透過性を有するガラスの実施例(試料1~106)を示す。 【0076】 【表5-1】 [図:0001398740000008.jpg] 【0077】 【表5-2】 [図:0001398740000009.jpg] 【0078】 【表5-3】 [図:0001398740000010.jpg] 【0079】 【表5-4】 [図:0001398740000011.jpg] 【0080】 【表5-5】 [図:0001398740000012.jpg] 【0081】 【表5-6】 [図:0001398740000013.jpg] 【0082】 【表5-7】 [図:0001398740000014.jpg] 【0083】 【表5-8】 [図:0001398740000015.jpg] 【0084】 【表5-9】 [図:0001398740000016.jpg] 【0085】 【表5-10】 [図:0001398740000017.jpg] 【0086】 【表5-11】 [図:0001398740000018.jpg] 【0087】 【表5-12】 [図:0001398740000019.jpg] 【0088】 【表5-13】 [図:0001398740000020.jpg] 【0089】 【表5-14】 [図:0001398740000021.jpg] 【0090】 【表5-15】 [図:0001398740000022.jpg] 【0091】 【表5-16】 [図:0001398740000023.jpg] 【0092】 【表5-17】 [図:0001398740000024.jpg] 【0093】 【表5-18】 [図:0001398740000025.jpg] 【0094】 【表5-19】 [図:0001398740000026.jpg] 【0095】 追加の実施例は、以下の組成(モル%)を含むことができる。 [図:0001398740000027.jpg] 【0096】 上の表に記載されているように、いくつかの実施形態における例示的なガラス物品は:約65.79モル%~約78.17モル%のSiO2、約2.94モル%~約12.12モル%のAl2O3、約0モル%~約11.16モル%のB2O3、約0モル%~約2.06モル%のLi2O、約3.52モル%~約13.25モル%のNa2O、約0モル%~約4.83モル%のK2O、約0モル%~約3.01モル%のZnO、約0モル%~約8.72モル%のMgO、約0モル%~約4.24モル%のCaO、約0モル%~約6.17モル%のSrO、約0モル%~約4.3モル%のBaO、及び約0.07モル%~約0.11モル%のSnO2を含む、ガラスを含むことができる。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.005の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は0.95~3.23のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は1.18~5.68のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は-4.25~4.0のRxO-Al2O3-MgOを含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの歪み点は約522℃~590℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのアニール点は約566℃~641℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの軟化点は約800℃~914℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのCTEは約49.6×10-7/℃~約80×10-7/℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの密度は、約2.34gm/cc@20℃~約2.53gm/cc@20℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は導光板である。いくつかの実施形態では、上記導光板の厚さは約0.2mm~約8mmである。いくつかの実施形態では、上記厚さのばらつきは5%未満である。いくつかの実施形態では、上記導光板は、フュージョンドロープロセス、スロットドロープロセス又はフロートプロセスから製造される。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Co、Ni及びCrをそれぞれ1ppm未満含む。いくつかの実施形態では、Feの濃度は<約50ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、Fe+30Cr+35Niは、<約60ppm、<約40ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、少なくとも500mmの長さでの、450nmにおける透過率が85%以上であるか、少なくとも500mmの長さでの、550nmにおける透過率が90%以上であるか、又は少なくとも500mmの長さでの、630nmにおける透過率が85%以上であり、これらの組み合わせでもある。いくつかの実施形態では、上記ガラスは化学強化される。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0097】 更なる実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は:約66モル%~約78モル%のSiO2、約4モル%~約11モル%のAl2O3、約4モル%~約11モル%のB2O3、約0モル%~約2モル%のLi2O、約4モル%~約12モル%のNa2O、約0モル%~約2モル%のK2O、約0モル%~約2モル%のZnO、約0モル%~約5モル%のMgO、約0モル%~約2モル%のCaO、約0モル%~約5モル%のSrO、約0モル%~約2モル%のBaO、及び約0モル%~約2モル%のSnO2を含む、ガラスを含む。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.005の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は0.95~3.23のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は1.18~5.68のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は-4.25~4.0のRxO-Al2O3-MgOを含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの歪み点は約522℃~590℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのアニール点は約566℃~641℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの軟化点は約800℃~914℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのCTEは約49.6×10-7/℃~約80×10-7/℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの密度は、約2.34gm/cc@20℃~約2.53gm/cc@20℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は導光板である。いくつかの実施形態では、上記導光板の厚さは約0.2mm~約8mmである。いくつかの実施形態では、上記厚さのばらつきは5%未満である。いくつかの実施形態では、上記導光板は、フュージョンドロープロセス、スロットドロープロセス又はフロートプロセスから製造される。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Co、Ni及びCrをそれぞれ1ppm未満含む。いくつかの実施形態では、Feの濃度は<約50ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、Fe+30Cr+35Niは、<約60ppm、<約40ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、少なくとも500mmの長さでの、450nmにおける透過率が85%以上であるか、少なくとも500mmの長さでの、550nmにおける透過率が90%以上であるか、又は少なくとも500mmの長さでの、630nmにおける透過率が85%以上であり、これらの組み合わせでもある。いくつかの実施形態では、上記ガラスは化学強化される。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0098】 追加の実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は:約72モル%~約80モル%のSiO2、約3モル%~約7モル%のAl2O3、約0モル%~約2モル%のB2O3、約0モル%~約2モル%のLi2O、約6モル%~約15モル%のNa2O、約0モル%~約2モル%のK2O、約0モル%~約2モル%のZnO、約2モル%~約10モル%のMgO、約0モル%~約2モル%のCaO、約0モル%~約2モル%のSrO、約0モル%~約2モル%のBaO、及び約0モル%~約2モル%のSnO2を含む、ガラスを含む。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は<0.005の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は0.95~3.23のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は1.18~5.68のRxO/Al2O3を含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は-4.25~4.0のRxO-Al2O3-MgOを含み、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの歪み点は約522℃~590℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのアニール点は約566℃~641℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの軟化点は約800℃~914℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスのCTEは約49.6×10-7/℃~約80×10-7/℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラスの密度は、約2.34gm/cc@20℃~約2.53gm/cc@20℃である。いくつかの実施形態では、上記ガラス物品は導光板である。いくつかの実施形態では、上記導光板の厚さは約0.2mm~約8mmである。いくつかの実施形態では、上記厚さのばらつきは5%未満である。いくつかの実施形態では、上記導光板は、フュージョンドロープロセス、スロットドロープロセス又はフロートプロセスから製造される。いくつかの実施形態では、上記ガラスは、Co、Ni及びCrをそれぞれ1ppm未満含む。いくつかの実施形態では、Feの濃度は<約50ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、Fe+30Cr+35Niは、<約60ppm、<約40ppm、<約20ppm又は<約10ppmである。いくつかの実施形態では、少なくとも500mmの長さでの、450nmにおける透過率が85%以上であるか、少なくとも500mmの長さでの、550nmにおける透過率が90%以上であるか、又は少なくとも500mmの長さでの、630nmにおける透過率が85%以上であり、これらの組み合わせでもある。いくつかの実施形態では、上記ガラスは化学強化される。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0099】 追加の実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は、約60モル%~約80モル%のSiO2、約0モル%~約15モル%のAl2O3、約0モル%~約15モル%のB2O3、及び約2モル%~約50モル%のRxOを有するガラスを備え、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1であり、またここでFe+30Cr+35Niは<約60ppmである。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.005の色ずれを備える。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0100】 また更なる実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は、約60モル%~約80モル%のSiO2、約0モル%~約15モル%のAl2O3、約0モル%~約15モル%のB2O3、及び約2モル%~約50モル%のRxOを有するガラスを備え、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1であり、またここで上記ガラスは<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.005の色ずれを備える。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0101】 また更なる実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は、約65.79モル%~約78.17モル%のSiO2、約2.94モル%~約12.12モル%のAl2O3、約0モル%~約11.16モル%のB2O3、及び約3.52モル%~約42.39モル%のRxOを有するガラスを備え、ここでRはLi、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、xは2であるか、又はRはZn、Mg、Ca、Sr若しくはBaであり、xは1であり、またここで上記ガラスは<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.005の色ずれを備える。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0102】 更なる実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は約60モル%~約81モル%のSiO2、約0モル%~約2モル%のAl2O3、約0モル%~約15モル%のMgO、約0モル%~約2モル%のLi2O、約9モル%~約15モル%のNa2O、約0モル%~約1.5モル%のK2O、約7モル%~約14モル%のCaO、約0モル%~約2モル%のSrOを有するガラスを備え、ここでFe+30Cr+35Niは<約60ppmである。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.005の色ずれを備える。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0103】 追加の実施形態では、ガラス物品が提供され、上記ガラス物品は約60モル%~約81モル%のSiO2、約0モル%~約2モル%のAl2O3、約0モル%~約15モル%のMgO、約0モル%~約2モル%のLi2O、約9モル%~約15モル%のNa2O、約0モル%~約1.5モル%のK2O、約7モル%~約14モル%のCaO、及び約0モル%~約2モル%のSrOを有するガラスを備え、ここで上記ガラスは<0.008の色ずれを備える。いくつかの実施形態では、上記ガラスは<0.005の色ずれを備える。更なる実施形態では、上記ガラスは、約0.1モル%~約3.0モル%のZnO、約0.1モル%~約1.0モル%のTiO2、約0.1モル%~約1.0モル%のV2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のNb2O5、約0.1モル%~約1.0モル%のMnO、約0.1モル%~約1.0モル%のZrO2、約0.1モル%~約1.0モル%のAs2O3、約0.1モル%~約1.0モル%のSnO2、約0.1モル%~約1.0モル%のMoO3、約0.1モル%~約1.0モル%のSb2O3、又は約0.1モル%~約1.0モル%のCeO2を含む。追加の実施形態では、上記ガラスは、ZnO、TiO2、V2O3、Nb2O5、MnO、ZrO2、As2O3、SnO2、MoO3、Sb2O3、及びCeO2のうちの1つ又は組み合わせを、0.1モル%~約3.0モル%以下含む。 【0104】 自己蛍光測定 様々な組成を有するガラスの自己蛍光を、共焦点顕微鏡検査を用いて決定した。レーザからの励起波長を各ガラスの試料に当て、続いてガラス試料から放出される蛍光を、波長514nm及び633nmで検出した。光電子増倍管(PMT)と、迷光がPMTへと通過するのを防止するためのカットオフフィルタとを有する、Zeiss 510LSM共焦点顕微鏡を利用した。各ガラス試料に関して、レーザを異なる出力設定(25%、50%及び100%)で動作させ、また測定システム内及び測定環境内に存在するバックグラウンドノイズを決定するために、ガラス試料にレーザを当てることなく、ベースライン測定値を得た。表6Aは、波長514nmでの測定結果を示し、表6Bは、波長633nmでの測定結果を示す。試料Aは、ボロシリケートガラス(Schott AG(ドイツ、マインツ)がD263(登録商標)Tとして市販)から形成された、パターン形成済みガラスフローセル(Illumina, Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)がHiSeq X Series Systemsとして市販)であった。試料Bは、D263 Tボロシリケートガラスから形成された、パターン未形成ガラスフローセル(Illumina, Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)がHiSeq 2500/HiSeq 3000/HiSeq 4000 Systemsとして市販)であった。試料Cは、重金属非含有のボロシリケートガラス(Corning, Inc.(ニューヨーク州コーニング)がEagle XGとして市販)から形成されたガラススライドであった。試料Dは、高純度溶融シリカ(Corning, Inc.(ニューヨーク州コーニング)がHPFS(登録商標)溶融シリカとして市販)から形成されたガラススライドであった。試料Eは、本明細書に記載のガラス組成から形成されたガラススライドであった。特に試料Eのスライドのガラスは:約60モル%~約80モル%のSiO2;約0モル%~約15モル%のAl2O3;約0モル%~約15モル%のB2O3;及び約2モル%~約50モル%のRxOを含み、ここでRは、Li、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは2であるか、又はRは、Zn、Mg、Ca、Sr若しくはBaのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは1である。 【0105】 【表6A】 [図:0001398740000028.jpg] 【0106】 【表6B】 [図:0001398740000029.jpg] 【0107】 表6A及び6Bに提示された結果が示すように、本明細書に記載のガラス組成は、蛍光検出法で使用するための基板として従来使用されてきたガラスよりも低い自己蛍光を有する。より詳細には、本明細書に記載のガラス組成は、微生物学、細胞培養、組織培養、細胞アッセイ、IVF及びDNAシーケンシングの分野で従来利用されてきたガラスよりも低い自己蛍光を有する。例えば試料A及び試料Bは、当該技術分野において現在使用されている、市販のガラスフローセルを含んでいた。表6A及び6Bの結果はまた、本明細書に記載のガラス組成が、より高価な、重金属を含まないボロシリケートガラス、及びより高価な高純度溶融シリカと同等の自己蛍光を有することを示している。」 8 「【図1】 [図:0001398740000030.jpg] 【図2】 [図:0001398740000031.jpg] 【図3】 [図:0001398740000032.jpg] 【図4】 [図:0001398740000033.jpg] 【図5】 [図:0001398740000034.jpg] 」 第5 当審の判断 1 サポート要件の判断手法について 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、この観点に立って検討する。 2 特許請求の範囲の記載について 本願特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記第2のとおりである。 3 発明の詳細な説明の記載について (1)本願明細書の発明の詳細な説明には、上記第4において摘記した記載があるところ、当該記載によれば、特に、以下の記載事項を認めることができる。 ア 本願発明の課題に関する記載事項 本願発明の課題に関して、【0005】には、「一般に、蛍光検出法の実施時、試料を保持するための基板」「の材料の選択肢として従来採用されてきた」「溶融シリカ等」の「光学品質のシリカは比較的高価な材料であり、より安価な選択肢が求められてきた」ことを前提とした上で、「基板から放出された自己蛍光はバックグラウンドノイズを引き起こし、これは蛍光検出法のSN比にとって有害となり得、またユーザが蛍光のベースラインレベルを正確に検出するのを妨げる場合がある」ことが記載されている。 イ ガラス組成及び各成分の作用や機能に関する記載事項 (ア)【0012】~【0014】には、実施形態のガラスの組成範囲について、【0041】~【0045】には、実施形態のために調製されたガラスの具体的な組成の非限定的な例について、及び、【0046】~【0049】には、例示的組成又は特定の実施形態の組成のガラスの物性(歪み点、アニール点、軟化点、密度、CTE、透過率)について記載されている。 (イ)【0015】~【0040】には、ガラス組成における、各成分の含有割合、特定成分の相対関係、及び、各成分の作用やその含有割合(相対関係)によってもたらされるガラスの物性について記載され、特に、【0031】~【0040】には、可視光吸収に関わる成分やその含有割合について記載されている。 ウ 実施例に関する記載事項 (ア)実施例に関して、【0075】~【0094】には、具体的な組成が示されたガラスの実施例(試料1~106)が、表5としてまとめられており、各ガラスの物性(歪み点、アニール点、軟化点、CTE、密度、色ずれ、粘度、融点、液相線温度、液相粘度。なお、【0062】~【0063】には、表5の項目についての説明が記載されている。)について記載されている。 (イ)【0095】には、追加の実施例としての具体的な組成や組成範囲が記載され、【0096】~【0103】には、ガラス組成範囲と物性(色ずれ、透過率)についても記載されている。 (ウ)【0104】~【0107】には、試料A~Eのガラスと自己蛍光測定の結果が記載されており、特に、次の事項の開示がある。 a 試料A及びBは、「微生物学、細胞培養、組織培養、細胞アッセイ、IVF及びDNAシーケンシングの分野」において、「現在使用されている、市販のガラスフローセル」(【0107】)を含む「ボロシリケートガラス」(【0104】)、 試料Cは、「より高価な、重金属を含まないボロシリケートガラス」(【0107】)「(Corning, Inc.(ニューヨーク州コーニング)がEagle XGとして市販)から形成されたガラススライド」(【0104】)、 試料Dは、市販の「より高価な高純度溶融シリカ」(【0107】)「から形成されたガラススライド」(【0104】)、 試料Eは、「約60モル%~約80モル%のSiO2;約0モル%~約15モル%のAl2O3;約0モル%~約15モル%のB2O3;及び約2モル%~約50モル%のRxOを含み、ここでRは、Li、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは2であるか、又はRは、Zn、Mg、Ca、Sr若しくはBaのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは1」であって、「本明細書に記載のガラス組成から形成されたガラススライド」であること(【0104】)。 b 表6Aに、「レーザからの励起波長を各ガラスの試料に当て、続いてガラス試料から放出される蛍光を、波長514nm」「で検出」した具体的な測定結果、及び、表6Bには、上記蛍光を「波長633nm」「で検出」した具体的な測定結果(【0104】~【0106】)。 c 試料E(本明細書に記載のガラス組成)は、「当該技術分野で現在使用されている」「試料A及び試料B」「よりも低い自己蛍光を有する」こと、並びに、「より高価な」「試料C」及び「試料D」と「同等の自己蛍光を有する」こと(【0107】)。 (2)本願発明の課題の認定 本願発明の課題は、上記(1)ア及びウ(ウ)等からみて、一般に、蛍光検出法の実施時、試料を保持するための基板の材料の選択肢として従来採用されてきた溶融シリカ等の光学品質のシリカは比較的高価な材料であり、より安価な選択肢が求められていることを前提とした上で、基板から放出された自己蛍光が、現在使用されているガラスよりも低く、より高価な、重金属を含まないガラスや高純度溶融シリカと同等に低いガラス基板を提供することにあり、これにより、蛍光ノイズが低減し、蛍光検出法の精度を改善すること、にあると解される。 (3)発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者が本願発明の課題を解決できると認識できる範囲 ア 本願明細書の発明の詳細な説明の実施例には、上記(1)ウのとおりの記載事項があるものの、同ウ(ア)のとおり、具体的な組成が示されたガラス(試料1~106)の物性は、歪み点、アニール点、軟化点、CTE、密度、色ずれ、粘度、融点、液相線温度及び液相粘度しか示されておらず、また、同ウ(イ)のとおり、【0096】~【0103】に記載のガラスの物性も、色ずれ及び透過率が記載されているのみである。 そうすると、これらの具体例では、自己蛍光に関する特性は確認されていないから、当該具体例に係るガラス基板につき、当業者において、本願発明の課題を解決できると認識することはできない。 イ また、上記実施例には、上記(1)ウ(ウ)のとおり、試料A~Eのガラスと自己蛍光測定の結果が更に記載されているところ、試料Eのガラス組成(以下、「試料E組成」という。)は、同(ウ)aの記載事項を考慮すると、約60モル%~約80モル%のSiO2;約0モル%~約15モル%のAl2O3;約0モル%~約15モル%のB2O3;及び約2モル%~約50モル%のRxOを含み、ここでRは、Li、Na、K、Rb、Csのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは2であるか、又はRは、Zn、Mg、Ca、Sr若しくはBaのうちのいずれの1つ以上であり、かつxは1であることがわかる。 しかしながら、ガラスの分野において、ガラス組成が変わるとその物性も変わることが技術常識であるところ、試料E組成は広範な組成範囲を包含しているため、その全ての組成範囲で、同(ウ)bの記載事項で示した試料Eの具体的な測定結果と同一の測定結果が得られるとは考えにくい。 そうすると、試料Eに係る同(ウ)cの結果から、試料E組成の全ての組成範囲まで、当業者において、現在使用されているガラス(試料A、B)よりも低い自己蛍光を有し、「より高価な、重金属を含まないボロシリケートガラス」(試料C)及び「より高価な高純度溶融シリカ」(試料D)と同等の低い自己蛍光を有するガラス基板が得られること、すなわち、上記(2)の本願発明の課題が解決できることが認識できるということはできない。 ウ さらに、上記(1)ウ(ウ)aの記載事項のとおり、試料Cのガラスは、「重金属を含まないボロシリケートガラス」「(Corning, Inc.(ニューヨーク州コーニング)がEagle XGとして市販)」である。ここで、当該ガラスの組成は、67.2モル%のSiO2;10.97モル%のAl2O3;10.21モル%のB2O3;及び11.54モル%のRxO(2.28モル%のMgO、8.74モル%のCaO、0.52モル%のSrO)を含むことが知られているから(特表2018-519229号公報の【0110】の「Eagle XG(登録商標)(本明細書ではEXGとも称される)」及び【0111】の表2の「EXG」の列の記載を参照)、当該試料Cのガラスの組成は、試料E組成の組成範囲に含まれる。 そうすると、試料E組成は、「より高価な、重金属を含まないボロシリケートガラス」(試料C)を含むものであるから、上記(2)の本願発明の課題が前提としている、「一般に、蛍光検出法の実施時、試料を保持するための基板の材料の選択肢として従来採用されてきた溶融シリカ等の光学品質のシリカは比較的高価な材料であり、より安価な選択肢が求められていること」という事項を欠いていることは明らかである。 したがって、この点からみても、試料E組成の全ての組成範囲まで、当業者において、上記課題が解決できると認識できるということはできない。 エ 仮に、試料Eの測定結果が、試料E組成に含まれる特定組成(以下、「試料E特定組成」という。)を有するガラスを測定したものであるとすると、この試料E特定組成のガラス基板であれば、本願発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえる。 しかしながら、上記(1)イ(イ)のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の【0015】~【0040】には、ガラス組成における、各成分の作用等について記載されているものの、当該記載を含む発明の詳細な説明には、各成分と自己蛍光との関係は示されていないし、そのような関係が技術常識であると認めるに足りる証拠もないため、試料E組成の全ての組成範囲において、試料E特定組成と同様な物性が得られるとは到底いえない。そうである以上、試料E特定組成を仮想してみても、上記イ及びウの判断に変わりはない。 オ 以上で検討したとおり、本願明細書の発明の詳細な説明には、殊に試料1~106並びに表6A及び6Bの試料Eに着目してみても、当業者において、本願発明の課題を解決できると認識できるガラス組成が具体的に特定されているとはいえない。また、この試料Eの測定結果に対応する特定組成(試料E特定組成)が仮想でき、そのようなガラス基板が当該課題を解決できるとしても、当該試料Eとして記載されたガラス組成(試料E組成)の全ての範囲にわたって、当該課題を解決できるとまで当業者が認識できるとはいえない。 4 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対比 本願特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記第2のとおりであって、ガラス基板部分の組成は、試料1~106のガラス組成を包含するものであり、また、試料Eのガラス組成(試料E組成)に包含されるものであるといえる。 しかしながら、上記3(3)で検討したとおり、これら試料1~106及び試料Eは、当業者が本願発明の課題を解決できると認識できるような具体例には該当しておらず、そもそも本願明細書の発明の詳細な説明には、そのような具体例は存しないといわざるを得ない。そのため、出願時の技術常識に照らしつつ、当該具体例を欠く発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化したとしても、当業者において、上記請求項1に記載されたガラス基板部分の全ての組成範囲で上記課題を解決できると認識できるものではない。 また、仮に、表6A及び6Bの試料Eの測定結果に対応する特定組成(試料E特定組成)が当該課題を解決できるとしても、上記3(3)エでの検討のとおり、発明の詳細な説明には、本願発明の課題を解決できる範囲で各成分を変更するための指針がないし、また、そのような指針を示す技術常識が存在するともいえないため、この特定組成に係る知見を広げて、請求項1に記載されたガラス基板部分の全ての組成範囲まで、当業者において、上記課題を解決できると認識できるとすることはできない。 したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載により、又は、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本願発明の課題を解決できる範囲のものであるともいえないから、上記1の判断手法に従えば、特許請求の範囲の請求項1の記載は、サポート要件に適合しない。 5 請求人の主張についての検討 請求人は、審判請求書において、実施例(試料E)の実際の組成は、モル%表示で、 [図:0001398740000035.jpg] であり、この試料Eにおける組成で「従来使用されてきたガラスよりも低い自己蛍光を有する」ことが実証されているのであるから、請求項1に記載の組成範囲についても同様に推認可能であり、本願は、サポート要件違反には当たらない旨主張する。 しかしながら、上記の実際の組成に関するデータは、具体的な組成について特定されていなかった試料Eについて、事後的にその特定の組成を開示するものにほかならず、発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足するものと解するのが相当であるから、このデータを参酌することはできない。 仮に、試料Eの実際の組成が審判請求書に記載された上記表のとおりであって、当該組成を有する試料Eが本願発明の課題を解決できるとしても、上記4で説示したとおり、発明の詳細な説明には、本願発明の課題を解決できる範囲で各成分を変更するための指針がないし、また、それを示す技術常識もないため、請求項1に記載されたガラス基板部分の全ての組成範囲まで、当業者において、上記課題が解決できると認識できるということはできない。 したがって、請求人の当該主張は採用できない。 6 小括 以上のとおり、特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合しない。 第6 むすび 上記第5で検討したとおり、特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるとはいえないから、本願は同項に規定する要件を満たしていないため、その余の事項について検討するまでもなく、本願は、同法第49条第4号に該当するため拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-016732

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決147件(コーニング インコーポレイテッド)
  • 2025-010586拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)車両のフロントガラス用の特有の破壊挙動を備えたガラス
    同じ当事者: コーニング インコーポレイテッド
  • 2024-018721拒絶査定不服審判 / 2026-05-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)イオン交換可能な混合アルカリアルミノケイ酸塩ガラス
    同じ当事者: コーニング インコーポレイテッド
  • 2024-008037拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)キャリアウェハおよびキャリアウェハを製造する方法
    同じ当事者: コーニング インコーポレイテッド
  • 2024-009060拒絶査定不服審判 / 2026-02-25 / 請求不成立耐損傷性コーティングを有するガラス物品、並びにガラス物品をコーティングする方法
    同じ当事者: コーニング インコーポレイテッド
  • 2023-015305拒絶査定不服審判 / 2026-01-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)細胞培養のための溶解可能な発泡足場及びその製造方法
    同じ当事者: コーニング インコーポレイテッド
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決974件(特許法36条6項1号、特許法49条4号)
  • 2024-009234拒絶査定不服審判 / 2025-08-05 / 請求不成立耐破壊性が改善されたガラス系物品
    共通の条文: 特許法36条6項1号、特許法49条4号
  • 2020-003513拒絶査定不服審判 / 2023-04-25 / 請求不成立耐久性反射防止物品
    共通の条文: 特許法36条6項1号、特許法49条4号
  • 2019-003546拒絶査定不服審判 / 2021-06-29 / 請求不成立容器健全性を確保するガラス包装
    共通の条文: 特許法36条6項1号、特許法49条4号
  • 2019-011145拒絶査定不服審判 / 2021-03-30 / 請求不成立金属酸化物濃度勾配を有するガラスおよびガラスセラミック
    共通の条文: 特許法36条6項1号、特許法49条4号
  • 2024-005235拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 請求不成立ディーゼルエンジンの排気ガスを処理するためのSCR触媒
    共通の条文: 特許法36条6項1号、特許法49条4号
同じ論点・分野の審決(審決分類)280件(537・C03C)
  • 2024-018907拒絶査定不服審判 / 2026-06-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)機能被覆の上の保護層
    共通の審決分類: 537・C03C
  • 2024-014168拒絶査定不服審判 / 2026-05-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動車用合わせガラス
    共通の審決分類: 537・C03C
  • 2025-003465拒絶査定不服審判 / 2026-05-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)円盤状ガラス基板
    共通の審決分類: 537・C03C
  • 2025-000060拒絶査定不服審判 / 2026-05-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)低膨張ガラスの粉体層付加製造
    共通の審決分類: 537・C03C
  • 2024-014846拒絶査定不服審判 / 2026-05-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)医療用ガラス製品の切断のための切断部位のダメージング加工装置及び方法
    共通の審決分類: 537・C03C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存