特許拒絶査定不服審判
2021-014289
光学素子
- 審判番号
- 2021-014289
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-184765外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月21日
- 審決日
- 2022年10月17日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルジー・ケム・リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G02F) / P18 .575-Z (G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-184765「光学素子」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月13日出願公開、特開2020- 24437〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)10月26日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2015年10月26日、韓国)を国際出願日とする出願である特願2018-503676号(以下「原出願」という。)の一部を令和元年10月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 2年11月11日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 6月 7日付け:拒絶査定
令和 3年10月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 4月 6日 :上申書の提出
第2 令和3年10月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年10月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
第1基板;
前記第1基板に隣接して配置されている第1偏光層;および
液晶化合物を有する液晶層を含む液晶ウィンドウを有し、前記液晶ウィンドウは前記第1偏光層の前記第1基板が位置する面の反対面に位置する光学素子であって、
電界の印加の有無により前記光学素子の透過率が変わり、
前記光学素子の反った距離が3mm以下であって、前記反った距離は、140mm(横)×98mm(縦)×0.2mm(高さ)の素子の試片を100℃で240時間放置した後、長さが最も長い辺の両角から内側方向に変形して入った部分をノギスで測定した値であり、
前記第1基板の弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であり、
前記第1偏光層は前記液晶ウィンドウと直接接触し、前記液晶ウィンドウは、前記液晶層の前記第1偏光層が位置する面の反対面に位置する1つの基材層を有するか、または
前記液晶ウィンドウは前記液晶層の両面に位置する基材層を有し、前記第1偏光層は前記第1基板および前記液晶ウィンドウと直接接触する、光学素子。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年2月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
第1基板;
前記第1基板に隣接して配置されている第1偏光層;および
液晶化合物を有する液晶層を含む液晶ウィンドウを有し、前記液晶ウィンドウは前記第1偏光層の前記第1基板が位置する面の反対面に位置する光学素子であって、
電界の印加の有無により前記光学素子の透過率が変わり、
前記光学素子の反った距離が3mm以下であって、前記反った距離は、140mm(横)×98mm(縦)×0.2mm(高さ)の素子の試片を100℃で240時間放置した後、長さが最も長い辺の両角から内側方向に変形して入った部分をノギスで測定した値であり、
前記第1偏光層は前記液晶ウィンドウと直接接触し、前記液晶ウィンドウは、前記液晶層の前記第1偏光層が位置する面の反対面に位置する1つの基材層を有するか、または
前記液晶ウィンドウは前記液晶層の両面に位置する基材層を有し、前記第1偏光層は前記第1基板および前記液晶ウィンドウと直接接触する、光学素子。」
2 補正の適否
本件補正のうち請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である第1基板について、「弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であり、」と限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
本願の原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2015-117736号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「
[図:0001395750000001.jpg]
」
(1頁7~15行
訳(訳は、特表2017-511895号公報の該当箇所を使用。以下同じ。):
【0002】
液晶系スイッチ可能ウィンドウは、従来の遮光手段に勝る幾つかの利点を提供する:それらは騒音を立てずに素早くスイッチし、小型である。そのような窓の特定の実施形態は、色素をドープした液晶スイッチ可能ウィンドウである。このタイプの窓では、色素は主吸収軸を有しており、液晶を配向することで吸収軸の配向を制御できる。色素の吸収軸が窓の平面内にある場合、窓は低透過性または暗状態になる。色素の吸収軸が窓の平面に対して垂直である場合、窓は高透過性または明状態になる。)
「
[図:0001395750000002.jpg]
[図:0001395750000003.jpg]
」
(3頁26行~4頁2行
訳:
【0019】
本発明の最も基本的な実施形態は液晶セルを含む色素ドープ液晶ウィンドウであり、ただし、液晶セルは、それぞれ0.02mm~0.7mm厚の2枚のガラスシート(2、7)を含む。ガラスシートは、好ましくは、2層の電極層(3、5)でコートされており、いずれもガラスシートの内側であり、2枚のガラスシート間の内部空間を向いている。内部空間は、色素ドープ液晶材料(4)の層で充填されている。)
「
[図:0001395750000004.jpg]
[図:0001395750000005.jpg]
」
(5頁25行~6頁25行
訳:
【0025】
図2は、本発明によるスイッチ可能LCウィンドウの第2実施形態を示す。第2実施形態は、図1による実施形態が、それを、PVB(ポリビニルブチラール)、TPU(熱可塑性ウレタン)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などの適切な積層材料8と共に、第3シート9に積層して更に強化されることを特徴とする。積層材料は、好ましくは、材料の箔またシートの形態で存在する。図2による実施形態では、層1、2、3、4、5、6、7、8および9は、この順に互いの最上に配置されている。
【0026】
好ましい一実施形態によれば、積層材料8は、可視光用の偏光フィルターおよび/またはUV遮断機能のフィルターを備えてよい。この場合、それぞれフィルターを積層材料箔の間のシートとして配置することが好ましい。
【0027】
偏光フィルターを使用する場合、偏光フィルターの吸収方向を、好ましくは、液晶色素層が暗状態にある場合の液晶色素層4中の色素の吸収軸の方向に対して垂直に向ける。これは、窓のスイッチコントラストを著しく増大する効果がある。更に、それは、デバイスの暗状態が著しく低い透過率を有する効果がある。
【0028】
ある一定の条件下で好ましい代替の実施形態では、図1による構造を第3シート9に積層する代わりに接着できる。適切な材料は、3M社CEF8187などの感圧接着剤(PSA)またはロックタイト社3195などの液体で光学的に透明な接着剤でよく、両者とも商業的に入手可能である。
【0029】
第3シート9は、好ましくは、ガラスで作製する。この場合、第3シート9は、好ましくは、0.7および8mmの間、好ましくは1mmおよび6mmの間の厚さを有する強化ガラスで作製する。好ましくは、ガラスシート9は、コーニング社ゴリラガラス、ショット社センセーションガラスまたは旭硝子社ドラゴントレイルなどの強化ガラスである。強化ガラスとしては、化学的強化ガラスまたは熱強化ガラスなどの物理的強化ガラスのいずれも使用でき、両タイプを組み合わせてもよい。)
「
[図:0001395750000006.jpg]
」
(14頁5~8行
訳:
【0051】
3)曲がったLCウィンドウの使用 LCウィンドウのスイッチ特性は、LCウィンドウに付与された湾曲形状に影響されることなく、適切な電圧を印加してLCウィンドウの透明状態からLCウィンドウの暗状態へ、曲がったLCウィンドウをスイッチできる。)
図2は、以下のとおりである。
[図:0001395750000007.jpg]
イ したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「液晶セルは、それぞれ0.02mm~0.7mm厚の2枚のガラスシート(2、7)を含み、2層の電極層(3、5)でコートされており、いずれもガラスシートの内側であり、2枚のガラスシート間の内部空間を向いていて、内部空間は、色素ドープ液晶材料(4)の層で充填されており、
積層材料8は、可視光用の偏光フィルターを備え、
第3シート9は、コーニング社ゴリラガラス、ショット社センセーションガラスまたは旭硝子社ドラゴントレイルなどの強化ガラスであり、
適切な電圧を印加してLCウィンドウの透明状態からLCウィンドウの暗状態へ、スイッチでき、
層1、2、3、4、5、6、7、8および9は、この順に互いの最上に配置されている
スイッチ可能LCウィンドウ。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「第3シート9」は、本件補正発明の「第1基板」に、
引用発明の「可視光用の偏光フィルター」は、本件補正発明の「第1偏光層」に、
引用発明の「『内部空間は、色素ドープ液晶材料(4)の層で充填されて』いる『液晶セル』」は、本件補正発明の「液晶化合物を有する液晶層を含む液晶ウィンドウ」に、
引用発明の「スイッチ可能LCウィンドウ」は、本件補正発明の「光学素子」に、
引用発明の「適切な電圧を印加してLCウィンドウの透明状態からLCウィンドウの暗状態へ、スイッチでき」は、本件補正発明の「電界の印加の有無により前記光学素子の透過率が変わり」に、
引用発明の「液晶セルは、それぞれ0.02mm~0.7mm厚の2枚のガラスシート(2、7)を含み」は、本件補正発明の「前記液晶ウィンドウは前記液晶層の両面に位置する基材層を有し」に、
それぞれ相当する。
イ 本件補正発明の「前記液晶ウィンドウは前記第1偏光層の前記第1基板が位置する面の反対面に位置する」の構成について
引用発明の「スイッチ可能LCウィンドウ」は「層1、2、3、4、5、6、7、8および9は、この順に互いの最上に配置されている」ことから、「『ガラスシート(2、7)を含み、2層の電極層(3、5)でコートされ』、『内部空間は、色素ドープ液晶材料(4)の層で充填されて』いる『液晶セル』」は、「『可視光用の偏光フィルターを備え』た『積層材料8』」の「第3シート9」が位置する面の反対面に位置しているといえる。
そうすると、引用発明は上記構成を備えているといえる。
ウ 本件補正発明の「前記第1基板の弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であり、」の構成について
引用発明の「第3シート9は、コーニング社ゴリラガラス、ショット社センセーションガラスまたは旭硝子社ドラゴントレイルなどの強化ガラスであり」、コーニング社ゴリラガラス(登録商標)のヤング率は、72GPa(必要ならば、特開2013-16026号公報の【0097】参照。)、または旭硝子社ドラゴントレイル(登録商標)のヤング率は、74GPaである。
そうすると、引用発明は上記構成を備えているといえる。
エ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「第1基板;
第1偏光層;および
液晶化合物を有する液晶層を含む液晶ウィンドウを有し、前記液晶ウィンドウは前記第1偏光層の前記第1基板が位置する面の反対面に位置する光学素子であって、
電界の印加の有無により前記光学素子の透過率が変わり、
前記第1基板の弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であり、
前記液晶ウィンドウは前記液晶層の両面に位置する基材層を有する、光学素子。」
【相違点1】
第1偏光層について、本件補正発明では、「前記第1基板に隣接して配置されている」ものであり、「前記第1基板および前記液晶ウィンドウと直接接触する」ものであるのに対し、引用発明では、そのようなものか明らかでない点。
【相違点2】
光学素子について、本件補正発明では、「前記光学素子の反った距離が3mm以下であって、前記反った距離は、140mm(横)×98mm(縦)×0.2mm(高さ)の素子の試片を100℃で240時間放置した後、長さが最も長い辺の両角から内側方向に変形して入った部分をノギスで測定した値であ」るのに対し、引用発明では、そのようなものか明らかでない点。
(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明の「スイッチ可能LCウィンドウ」は「層1、2、3、4、5、6、7、8および9は、この順に互いの最上に配置されている」ことから、「積層材料8」は「第3シート9」および「『ガラスシート(2、7)を含み、2層の電極層(3、5)でコートされ』、『内部空間は、色素ドープ液晶材料(4)の層で充填されて』いる『液晶セル』」と直接接触しているといえる。また、引用発明において、「積層材料8」は可視光用の偏光フィルターを備えている。
そこで、まず、「積層材料8」について検討すると、引用文献1には、「第2実施形態は、図1による実施形態が、それを、PVB(ポリビニルブチラール)、TPU(熱可塑性ウレタン)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などの適切な積層材料8と共に、第3シート9に積層して更に強化されることを特徴とする。積層材料は、好ましくは、材料の箔またシートの形態で存在する。」(【0025】)、「好ましい一実施例によれば、積層材料8は、可視光用の偏光フィルターおよび/またはUV遮断機能のフィルターを備えてよい。この場合、それぞれフィルターを積層材料箔のシートとして配置することが好ましい。」(【0026】)と記載されている。また、「積層材料8」の具体的な構成について、引用文献1にはこれ以上の記載はない。そして、「積層」との言葉の意味も考慮すると、「積層材料8」については、以下のことがいえる。
i) 複数の層からなるものであること。
ii) 可視光用の偏光フィルターを備えてもよいこと。
iii) 備えなければならない層(必須となる層)は特にないこと。
一方、偏光フィルターは、2枚のガラス板のなかに偏光膜を備えた積層のものが一般に知られ、また、液晶セルに用いる偏光板は、偏光子の両側に保護フィルムを貼り合わせて積層したものが一般に知られている。
そうすると、一般的な複数の層からなる偏光フィルターは、「積層材料8」に相当するものであるといえ、また、そこまではいえないとしても、引用発明の「積層材料8」については、i)~iii)がいえるから、複数の層からなる偏光フィルターで、「積層材料8」を構成することは、当業者が適宜なし得た事項である。
結局、相違点1は実質的な相違点ではないか、実質的な相違点であるとしても、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
イ 相違点2について
(ア)引用文献1の請求項19には「車、トラック、列車もしくは他の車両、または建物の装飾が施された部分、または種々の他の外面において、太陽光の透過を制御するための色素ドープ液晶ウィンドウの使用。」と記載されており、スイッチ可能LCウィンドウは、ある程度高温となる場所で長時間使用することを想定している。
(イ)そして、スイッチ可能LCウィンドウを、ある程度高温となる場所で長時間使用する場合にも、反らないようにすることは、当業者が当然考慮することすぎない。
(ウ)そうすると、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
(エ)なお、反った距離は、140mm(横)×98mm(縦)×0.2mm(高さ)の素子の試片を100℃で240時間放置した後、長さが最も長い辺の両角から内側方向に変形して入った部分をノギスで測定した値と定義し、光学素子の反った距離が3mm以下とすることに、本願明細書を参酌しても臨界的な意義のある値ということはできないことからも、上記判断は首肯される。
ウ そして、相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)審判請求人の主張について
ア 本件審判請求人は、令和3年10月21日付けで提出された審判請求書及び令和4年4月6日付けで提出された上申書において、
(ア)「引用文献1には、「140mm(横)×98mm(縦)×0.2mm(高さ)の素子の試片を100℃で240時間放置した後、長さが最も長い辺の両角から内側方向に変形して入った部分をノギスで測定した値」で定義される「反った距離」が3mm以下であることについては、記載がなく示唆もされていない。」、
(イ)「第3シート9の上に積層材料層8およびガラスシート7を順次配置する際に、上記偏光フィルターは、第3シート9またはガラスシート7に接触し得るが、上記その他の部材に阻まれて、第3シート9およびガラスシート7に同時に接触することができない。」、
(ウ)「引用文献1には、第1基板に相当する第3シートの弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であることについては、記載がなく示唆もされていない。」、
旨主張している。
イ 上記主張について、以下検討する。
(ア)上記(ア)の主張については、前記(4)イで説示したとおりである。
(イ)上記(イ)の主張については、前記(4)アで説示したとおりである。
(ウ)上記(ウ)の主張については、前記(3)ウで説示したとおりである。
以上から、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年10月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年2月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の請求項1に係る発明の拒絶の理由の概略は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本願の原出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1.国際公開第2015-117736号
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)で記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記第1基板の弾性係数が、20GPa以上150GPa以下であり、」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由2]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-014289