特許拒絶査定不服審判
2021-010990
光位相変調器
- 審判番号
- 2021-010990
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-552059外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月18日
- 審決日
- 2023年03月16日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱電機株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-552059「光位相変調器」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月25日国際公開、WO2021/234911〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)5月21日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和2年 9月25日 :手続補正書の提出
令和2年10月12日付け:拒絶理由通知書
令和2年12月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月 4日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 5月31日付け:拒絶査定
令和3年 8月18日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年12月16日 :上申書
令和4年 9月15日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和4年11月17日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明は、令和4年11月17日にされた手続補正による補正(以下「本件補正」という。)後の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
<本願発明>
「第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部と、
第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部と、
2×2マッハツェンダ型光導波路部であるマッハツェンダ型光導波路部と、
光検出器とを備え、
前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、第1の2×2多モード干渉導波路と、第2の2×2多モード干渉導波路と、前記第1の2×2多モード干渉導波路と前記第2の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第1アーム導波路と、前記一対の第1アーム導波路に対応して設けられている第1変調電極とを含み、
前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第1入力ポートを有し、
前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第1出力ポートは、前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第1入力ポートの一方に対する第1クロスポートであり、前記一対の第1入力ポートの他方に対する第1スルーポートであり、
前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、第3の2×2多モード干渉導波路と、第4の2×2多モード干渉導波路と、前記第3の2×2多モード干渉導波路と前記第4の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第2アーム導波路と、前記一対の第2アーム導波路に対応して設けられている第2変調電極とを含み、
前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第2入力ポートを有し、
前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第2出力ポートは、前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第2入力ポートの一方に対する第2クロスポートであり、前記一対の第2入力ポートの他方に対する第2スルーポートであり、
前記マッハツェンダ型光導波路部は、第5の2×2多モード干渉導波路と、第6の2×2多モード干渉導波路と、前記第5の2×2多モード干渉導波路と前記第6の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第3アーム導波路とを含み、
前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの一方の途中に設けられており、前記一対の第1入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの一方に接続され、前記一対の第1入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず、
前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの他方の途中に設けられており、前記一対の第2入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの他方に接続され、前記一対の第2入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず、
前記マッハツェンダ型光導波路部の第3出力ポートは、前記マッハツェンダ型光導波路部の第3入力ポートに対する第3クロスポートであり、
前記一対の第1アーム導波路、前記一対の第2アーム導波路および前記一対の第3アーム導波路のいずれの経路も、全反射ミラーを介するものでなく、
前記マッハツェンダ型光導波路部は、位相調整電極をさらに含み、
前記光検出器は、前記マッハツェンダ型光導波路部の前記第3出力ポートとは異なる前記マッハツェンダ型光導波路部の出力ポートに接続されており、
前記位相調整電極は、前記一対の第3アーム導波路の少なくとも一つに対応して配置されており、かつ、前記位相調整電極に前記光検出器で検出された光の強度に応じた位相調整電圧が印加される、光位相変調器。」
第3 拒絶の理由
令和4年9月15日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由は、以下の内容を含むものである。
本件補正前の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2~5)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1 米国特許出願公開第2014/0356001号明細書
2 特開2011-112844号公報(周知技術を示す文献)
3 国際公開第2012/080714号(周知技術を示す文献)
4 国際公開第2011/132283号(周知技術を示す文献)
5 特開2011-43575号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1に記載された事項
令和4年9月15日付け拒絶理由通知書で引用された引用文献1(米国特許出願公開第2014/0356001号明細書、以下単に「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(1)「[0026] FIG. 1 schematically illustrates an embodiment of an optical transmitter device. The device comprises at least one monocrystalline substrate 101, a laser resonator 102, one or more optical vector modulators 106a and 106b, a polarization rotator 121 and an optical coupler 123. In various embodiments, the various sub-components of the optical transmitter may be monolithically integrated with the substrate 101. The optical vector modulators 106 may include an optical splitter 107 connected to the laser resonator 102, a plurality of arms comprising at least two modulation electrodes and an optical coupler 116. The optical vector modulator 106b may be similar structurally similar to optical vector modulator 106a. These and other features are further described below.」
(当審訳:図1は、本発明に係る光送信装置の一実施形態を模式的に示している。このデバイスは、少なくとも1つの単結晶基板101、レーザ共振器102、1つ以上の光ベクトル変調器106a及び106b、偏光回転器121及び光結合器123から構成される。様々な実施形態において、光送信器の様々なサブコンポーネントは、基板101とモノリシックに一体化されてもよい。光ベクトル変調器106aは、レーザ共振器102に接続された光スプリッタ107と、少なくとも2つの変調電極からなる複数のアームと、光カプラ116とを含んでもよい。光ベクトル変調器106bは、光ベクトル変調器106aに構造的に類似していてもよい。これらおよび他の特徴については、以下でさらに説明する。)
(2)「[0033] In various embodiments, the optical radiation from the laser resonator 102 can be split into two parts using an optical splitter 104. In various embodiments, the optical splitter 104 can include without limitation a multimode interference (MMI) splitter. In various embodiments, the optical splitter 104 can comprise at least one input waveguide and at least two output waveguides configured such that optical radiation propagating through the at least one input waveguide is split between the at least two output waveguides. In general, integrating a tunable laser with one or more vector modulators on the same die may require mitigation of light reflection. To this effect, in various embodiments, optical splitters and optical couplers can comprise N inputs and M outputs that can allow for light evacuation from the vector optical modulators (e.g. by absorption in the substrate) when they are in their unbiased or OFF state. In various embodiments, the number of inputs N can be 2, 4, etc. while the number of outputs M can be 2, 3, etc. In various embodiments, the splitter 104 can split the light either equally or unequally between the at least two output waveguides. In some embodiments, the optical power splitting ratio between the at least two output waveguide can be tunable.」
(当審訳:様々な実施形態において、レーザ共振器102からの光放射は、光スプリッタ104を使用して2つの部分に分割することができる。様々な実施形態において、光スプリッタ104は、限定されるものではないが、マルチモード干渉(MMI)スプリッタを含むことができる。様々な実施形態において、光スプリッタ104は、少なくとも1つの入力導波路と、少なくとも1つの入力導波路を通って伝搬する光放射が少なくとも2つの出力導波路の間で分割されるように構成された少なくとも2つの出力導波路とから構成されることができる。一般に、チューナブルレーザーと1つ以上のベクトル変調器とを同じダイに集積する場合、光の反射を緩和することが必要となる場合がある。この効果を得るために、様々な実施形態において、光スプリッタ及び光カプラは、ベクトル光変調器がその非バイアス状態又はOFF状態にあるときに、(例えば、基板における吸収によって)ベクトル光変調器からの光の退避を可能にし得るN入力及びM出力から構成され得る。様々な実施形態において、入力の数Nは、2、4などとすることができ、一方、出力の数Mは、2、3などとすることができる。様々な実施形態において、スプリッタ104は、少なくとも2つの出力導波路の間で光を等しく又は不等間隔で分割することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの出力導波路の間の光パワー分割比は、調整可能であることができる。)
(3)「[0034] In various embodiments, a rapid transverse fan-out of the optical radiation propagating through the at least two output waveguides of the splitter 104 can be achieved through the use of a plurality of total internal reflection (TIR) mirrors 105, each TIR mirror can be configured to the change the direction of propagation of the optical radiation, for example, by about 90 degrees. In some embodiments, S-bends or other optical waveguide structures may be used to achieve transverse fan-out of the optical radiation propagating through the at least two output waveguides of the splitter 104.」
(当審訳:様々な実施形態において、スプリッタ104の少なくとも2つの出力導波路を伝搬する光放射の迅速な横方向ファンアウトは、複数の全内部反射(TIR)ミラー105の使用によって達成することができ、各TIRミラーは、光放射の伝搬方向を、例えば、約90度変えるように構成されることが可能である。いくつかの実施形態では、スプリッタ104の少なくとも2つの出力導波路を伝搬する光放射の横方向ファンアウトを達成するために、Sベンド又は他の光導波路構造を使用することができる。)
(4)「[0035] …(前略)…. Nevertheless, there may be embodiments in which S-bends or other waveguide structures may be more preferable than TIR mirrors to achieve fan-out of input or fan-in of output optical waveguides from the optical splitters and optical couplers.」
(当審訳:…(前略)…。それにもかかわらず、光スプリッタや光カプラからの入力光導波路のファンアウトや出力光導波路へのファンインを実現するために、TIRミラーよりもSベンドや他の導波路構造の方が好ましい実施形態があり得る。)
(5)「[0036] Each of the two fanned-out optical signals from the splitter 104 are input to separate optical vector modulators 106a and 106b. Without subscribing to any particular theory, a vector optical modulator can include an optical modulator capable of modulating both optical intensity and optical phase of an input optical radiation to generate optical vector modulation. Examples of optical vector modulation formats include but are not limited to QPSK modulation and multilevel QAM modulation.」
(当審訳:光スプリッタ104からの2つのファンアウトされた光信号のそれぞれは、別々の光ベクトル変調器106a及び106bに入力される。特定の理論に従うことなく、ベクトル光変調器は、光ベクトル変調を生成するために、入力光放射の光強度及び光位相の両方を変調することができる光変調器を含むことができる。光ベクトル変調フォーマットの例は、QPSK変調および多値QAM変調を含むが、これらに限定されない。)
(6)「[0037] In various embodiments, each of the optical vector modulators 106a and 106b may comprise a multi branch structure comprising multiple waveguides. In some embodiments, the optical vector modulators 106a and 106b may include nested Mach-Zehnder modulator (MZM). In various embodiments, the optical vector modulators can be configured to have low optical transmission in their unbiased or OFF state (i.e. when no bias voltages are applied). In some embodiments, this could be accomplished by varying the width, the length, and/or the optical path length of the waveguides associated with the optical vector modulators or other methods of refractive index variation between the branches of the optical vector modulators.」
(当審訳:様々な実施形態において、光ベクトル変調器106a及び106bの各々は、複数の導波路からなるマルチブランチ構造から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光ベクトル変調器106a及び106bは、ネスト(入れ子に)されたマッハツェンダ変調器(MZM)を含んでもよい。様々な実施形態において、光ベクトル変調器は、それらの非バイアス状態又はOFF状態(すなわち、バイアス電圧が印加されていないとき)において低い光透過率を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、これは、光ベクトル変調器に関連する導波路の幅、長さ、及び/又は光路長を変えることによって、又は光ベクトル変調器の分岐間の屈折率を変化させる他の方法によって達成され得る。)
(7)「[0038] The operation of an optical vector modulator with a widely tunable laser can place an increased burden on modulator bias control. In simple optical modulator configurations (e.g. simple on-off keying (OOK) modulators) bias control can be provided by simple arrangements. For example, for electro-absorption modulators (EAM) or Mach-Zehnder type modulators (MZM) configured to generate a modulated optical signal having a simple modulation format (e.g. OOK) bias adjustment can be made, either directly to the modulator bias electrode (e.g. in an EAM), or via an external modulator phase tuning pad (e.g. in a MZM). The bias adjustment can be conveniently calibrated with wavelength of the optical input to the modulator. In contrast, in optical vector modulators configured to generate optical signals with complex modulation formats, there can be a multitude of modulator bias controls. For example, in a dual polarization nested MZM modulator for QPSK generation, there can be up to a total of 15 phase control electrodes that may need to be adjusted based on the wavelength of the input optical radiation. Various active bias control schemes have been demonstrated, however, these can be impractical for a large number of control points. Further, active bias control schemes can lead to a small distortion of the generated optical waveform.」
(当審訳:光ベクトル変調器を広く波長可変なレーザで動作させる場合,変調器バイアス制御の負担が大きくなることがある。単純な光変調器構成(例えば、単純なオンオフキーイング(OOK)変調器)では、バイアス制御は単純な配置によって提供され得る。例えば、単純な変調形式(例えばOOK)を有する変調光信号を生成するように構成された電気吸収変調器(EAM)またはマッハツェンダ型変調器(MZM)については、変調器バイアス電極に直接(例えばEAMにおいて)、または外部変調器位相調整パッドを介して(例えばMZMにおいて)バイアス調整が行われることが可能である。バイアス調整は、変調器への光入力の波長で都合よく較正することができる。一方,複雑な変調形式の光信号を生成するように構成された光ベクトル変調器では,多数の変調器バイアス制御が存在することがある。例えば、QPSK生成用の二重偏波ネスト型MZM変調器では、最大で合計15個の位相制御電極が存在し、入力光放射の波長に基づいて調整する必要がある場合がある。これまでにも様々なアクティブバイアス制御方式が実証されているが、制御点の数が多い場合には実用的でない場合がある。さらに、アクティブバイアス制御方式は、生成される光波形の歪みを小さくすることができる。)
(8)「[0039] An option for bias control in optical vector modulators may be to implement passive bias control that can be combined with wavelength calibration to achieve the required modulator stability. For example, in optical vector modulators arranged in a Mach-Zehnder type configuration and implemented by using MMI splitters/couplers, the output MMI coupler can include output ports that may not be utilized to form the output modulated optical signal. By integrating a photo detector in the un-utilized port and partial absorbers in all the ports of the MMI coupler, the optical power in all the ports of the MMI coupler can be monitored. The output of the photo detector and the partial absorbers can provide information regarding the phase and power in various branches of the MZ structure. In some embodiments, the partial absorber can be a contacted passive waveguide section. Most III-V waveguide compositions can exhibit partial absorption at 0V applied voltage. By measuring the resulting photocurrent, a relative estimate for the optical power in the optical waveguide can be obtained. From the information obtained from the partial absorbers in combination with the absolute optical power measurement in unused MMI output port photo detector, optical power in all MMI output ports can be estimated at any operating wavelength. This information may then be used to provide modulator bias control. For example, in some embodiments, a feedback circuit configured to provide an input electrical signal based on the information obtained from the partial absorbers and/or the photo detector in the unused MMI port to one or more electrodes (e.g. the bias control electrode) of the optical vector modulators.」
(当審訳:光ベクトル変調器におけるバイアス制御のオプションは、必要な変調器安定性を達成するために波長較正と組み合わせることができる受動的バイアス制御を実装することであってもよい。例えば、マッハツェンダ型の構成で配置され、MMIスプリッタ/カプラを使用して実装される光ベクトル変調器において、出力MMIカプラは、出力変調光信号を形成するために利用されない可能性がある出力ポートを含むことができる。利用されないポートに光検出器を統合し、MMI結合器のすべてのポートに部分吸収体を統合することによって、MMI結合器のすべてのポートの光パワーを監視することができる。光検出器及び部分吸収体の出力は、MZ構造の様々な枝における位相及びパワーに関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、部分吸収体は、接触した受動導波路セクションとすることができる。ほとんどのIII-V導波路組成物は、0Vの印加電圧で部分吸収を示すことができる。結果として生じる光電流を測定することによって、光導波路における光パワーについての相対的な推定値を得ることができる。部分吸収体から得られる情報と、未使用のMMI出力ポート光検出器の絶対光パワー測定値から、すべてのMMI出力ポートの光パワーを任意の動作波長で推定することができる。この情報は、変調器バイアス制御に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、未使用のMMIポートの部分吸収体及び/又は光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号を光ベクトル変調器の1又は複数の電極(例えば、バイアス制御電極)に供給するように構成されたフィードバック回路が挙げられる。)
(9)「[0040] In the embodiment illustrated in FIG. 1, the input optical signal to the optical vector modulator 106a is further split into two parts by an optical splitter 107. …(後略)….」
(当審訳:図1に示される実施形態では、光ベクトル変調器106aへの入力光信号は、光スプリッタ107によってさらに2つの部分に分割される。様々な実施形態において、光スプリッタ107は、上述した光スプリッタ104と同様であってよい。…(後略)…。)
(10)「[0041] Each of the two outputs from the splitter 107 is further split into two parts by another optical splitter. For example, in the embodiment illustrated in FIG. 1 the optical splitter 108 further splits one of the outputs of the splitter 107. The two output signals from the splitter 108 are fanned-out using TIR mirrors, S-bends or other waveguide structures. Each of the fanned-out output from splitter 108 is input to a waveguide (e.g. 140 of FIG. 1) that includes a first electrode (e.g. 109 of FIG. 1). An electrical signal can be provided to the first electrode 109 to modulate the optical radiation propagating through the waveguide 140. In various embodiments, the electrical signal provided to the electrode 109 may have a bandwidth in the range of approximately 5 GHz to approximately 50 GHz. In various embodiments, a second electrode 110 can be disposed on the waveguide 140. Electric current may be provided to the second electrode 110 to adjust the phase of the optical radiation propagating through the waveguide 140. In various embodiments, the electrical current provided to the electrode 110 may have a value between about 0 mA and about 15 mA.」
(当審訳:スプリッタ107からの2つの出力のそれぞれは、さらに別の光スプリッタによって2つに分割される。例えば、図1に示される実施形態では、光スプリッタ108は、スプリッタ107の出力の1つをさらに分割する。スプリッタ108からの2つの出力信号は、TIRミラー、Sベンド、または他の導波路構造を用いてファンアウトされる。スプリッタ108からのファンアウトされた出力の各々は、第1の電極(例えば、図1の109)を含む導波路(例えば、図1の140)に入力される。導波路140を伝搬する光放射を変調するために、電気信号を第1の電極109に供給することができる。様々な実施形態において、電極109に供給される電気信号は、約5GHz~約50GHzの範囲の帯域幅を有し得る。様々な実施形態において、第2の電極110は、導波路140上に配置され得る。導波路140を伝搬する光放射の位相を調整するために、第2の電極110に電流が供給されてもよい。様々な実施形態において、電極110に供給される電流は、約0mAと約15mAとの間の値を有していてもよい。)
(11)「[0042] An optical coupler 111 (e.g. multimode interference (MMI) coupler, evanescent coupled-mode coupler, reflection coupler, or Y-branch coupler) unites the two optical waveguides that are disposed at the output of the splitter 108 to form one MZM in the dual nested MZM structure. In various embodiments, the optical coupler 111 can include at least two input waveguides and at least one output waveguide. The optical coupler 111 can be configured to combine optical radiation from the at least two input waveguides either equally or unequally and couple the combined radiation to the at least one output waveguide. In the embodiment illustrated in FIG. 1, the optical coupler 111 includes a first and a second output waveguide. In various embodiments, a modulator monitoring arrangement may be formed by a partial absorber 112 disposed on the first output waveguide and a partial absorber 113 disposed on the second output waveguide. In various embodiments, an optical termination detector (e.g. a photo detector) 114 may be provided to the first output waveguide of coupler 111 to absorb radiation propagating in the first output waveguide.」
(当審訳:光カプラ111(例えば、マルチモード干渉(MMI)カプラ、エバネッセント結合モードカプラ、反射カプラ、またはY分岐カプラ)は、スプリッタ108の出力に配置される2つの光導波路を結合して、デュアルネスト型MZM構造における第1のMZMを形成する。様々な実施形態において、光カプラ111は、少なくとも2つの入力導波路と少なくとも1つの出力導波路とを含むことができる。光カプラ111は、少なくとも2つの入力導波路からの光放射を等しく又は不均等に結合し、結合された放射を少なくとも1つの出力導波路に結合するように構成することができる。図1に示される実施形態では、光カプラ111は、第1及び第2の出力導波路を含む。様々な実施形態において、変調器監視配置は、第1の出力導波路上に配置された部分吸収体112と、第2の出力導波路上に配置された部分吸収体113とによって形成されてもよい。様々な実施形態において、終端光検出器(例えば、光検出器)114は、第1の出力導波路において伝播する放射を吸収するために、カプラ111の第1の出力導波路に提供されてもよい。)
(12)「[0043] In various embodiments, the partial absorber 113 in second output waveguide is followed by an electrode 115. Electric current may be provided using a current driver to the electrode 115 such that the optical phase of the optical signal propagating in the second output waveguide may be controlled by controlling the amount of current provided to the electrode 115. In various embodiments, the electrical current provided to the electrode 115 may have a value between about 0 mA and 15 mA. The optical signal propagating in the second output waveguide of coupler 111 is combined with the output from the second MZM in the dual nested MZM structure of optical vector modulator 106a in a coupler (e.g. a 2×2 MMI coupler) 116 having at least 2 input waveguides and at least one output waveguide. In various embodiments, the coupler 116 can couple the combined optical signal into two output waveguides that can further include two partial absorbers 117 and 118, a termination photo detector 119 and an electrode 120 to which current can be provided to control the optical phase.」
(当審訳:様々な実施形態において、第2の出力導波路における部分吸収体113は、電極115に続いている。電極115に供給される電流の量を制御することによって、第2の出力導波路内を伝搬する光信号の光学位相が制御され得るように、電流ドライバを用いて電極115に電流が供給されてもよい。様々な実施形態において、電極115に供給される電流は、約0mAと15mAの間の値を有してよい。光カプラ111の第2の出力導波路内を伝搬する光信号は、少なくとも2つの入力導波路と少なくとも1つの出力導波路を有するカプラ(例えば、2×2MMIカプラ)116において光ベクトル変調器106aのデュアルネスト型MZM構造における第2のMZMからの出力と結合される。様々な実施形態において、カプラ116は、結合された光信号を、2つの部分吸収器117及び118、終端光検出器119、及び光位相を制御するために電流を供給することができる電極120をさらに含むことができる2つの出力導波路に結合させることができる。)
「図1
[図:0001397478000001.jpg]
」
2 上記1(2)及び(9)~(12)を参酌しつつ、図1をみると、以下の事項がみてとれる。
(1)光ベクトル変調器106aは、1×2マッハツェンダ型の構成を備えること。(上記1(2)・(9)~(10))
(2)光ベクトル変調器106aは、デュアルネスト型マッハツェンダ変調器(MZM)を含むこと。(上記1(12))
(3)デュアルネスト型MZM構造における第1のMZM及び第2のMZMは、それぞれ1×2マッハツェンダ型の構成であること。(上記1(10)~(11))
(4)第1のMZMは、1×2光スプリッタ108、2×2光カプラ111、光スプリッタ108及び光カプラ111を接続する2つの光導波路(その内の一方は導波路140)、及び光導波路に形成された電極109及び電極110を備えること。(上記1(10))
(5)第1のMZMの出力は2つであり、その内の一方は光信号を出力し、他方には終端光検出器114が接続されること。(上記1(11))
(6)第2のMZMは、第1のMZMと同じ構成であること。
(7)光ベクトル変調器106aは、1×2光スプリッタ107、2×2光カプラ116、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第1のMZMが接続される第1の導波路、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第2のMZMが接続される第2の導波路、及び第1のMZMの出力導波路に形成された電極115を備えること。(上記1(1)~(2)、(5)~(8)、(12))
(8)光カプラ116の出力は2つであり、その内の一方は光信号を出力し、他方には終端光検出器119が接続されること。(上記1(12))
3 上記1(3)、(4)及び(10)の記載より、引用文献には、光ベクトル変調器に含まれる各光スプリッタからのファンアウト及び各光カプラへのファンインを、Sベントにより実現する実施形態が記載されていると認められる。
4 以上より、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献の記載等に係る項目等を括弧内に付してある。
<引用発明>
「光ベクトル変調器106aであって、
光ベクトル変調器106aは、1×2マッハツェンダ型の構成を備え、
光ベクトル変調器106aは、デュアルネスト型マッハツェンダ変調器(MZM)を含み、
デュアルネスト型MZM構造における第1のMZM及び第2のMZMは、それぞれ1×2マッハツェンダ型の構成であり、
第1のMZMは、1×2光スプリッタ108、2×2光カプラ111、光スプリッタ108及び光カプラ111を接続する2つの光導波路、及び光導波路に形成された電極109及び電極110を備え、第1のMZMの出力は2つであり、その内の一方は光信号を出力し、他方には終端光検出器114が接続され、
第2のMZMは、第1のMZMと同じ構成であり、
光ベクトル変調器106aは、1×2光スプリッタ107、2×2光カプラ116、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第1のMZMが接続される第1の導波路、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第2のMZMが接続される第2の導波路、及び第1のMZMの出力導波路に形成された電極115を備え、光カプラ116の出力は2つであり、その内の一方は光信号を出力し、他方には終端光検出器119が接続され、(上記2)
光ベクトル変調器106aは、基板101とモノリシックに一体化されており、(上記1(1))
光スプリッタ107及び光スプリッタ108は、マルチモード干渉(MMI)スプリッタであり、
光カプラ111及び光カプラ116は、マルチモード干渉(MMI)カプラであり、(上記1(2)、(9)及び(11))
各光スプリッタからのファンアウト及び各光カプラへのファンインは、Sベントにより実現され、(上記3)
光導波路を伝搬する光を変調するために、電気信号を電極109に供給することができ、(上記1(10))
電極115には、電極115に供給される電流の量を制御することによって、光信号の光学位相が制御され得るように、電流が供給され、(上記1(12))
光検出器の出力は、MZ構造の位相及びパワーに関する情報を提供することができ、この情報は、変調器バイアス制御に使用することができ、光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号を光ベクトル変調器の1又は複数の電極(例えば、バイアス制御電極)に供給するように構成されたフィードバック回路を備える、(上記1(8))
光ベクトル変調器106a。」
第5 対比・判断
1 本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。
(1)本願発明の「第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部と」、「第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部と」、「2×2マッハツェンダ型光導波路部であるマッハツェンダ型光導波路部と」及び「光検出器とを備え」との特定事項について
ア 引用発明の「デュアルネスト型MZM構造における第1のMZM」は、「1×2光スプリッタ108」及び「2×2光カプラ111」を備えており、「1×2MZM」といえるから、本願発明の「第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部」と、「第1の」「マッハツェンダ型光位相変調部」である点で一致し、「2×2」の構成ではない点で相違すると認められる。
イ 引用発明の「デュアルネスト型MZM構造における第2のMZM」は、「第1のMZMと同じ構成」であるから、上記アと同様に、本願発明の「第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部」と、「第2の」「マッハツェンダ型光位相変調部」である点で一致し、「2×2」の構成ではない点で相違すると認められる。
ウ 引用発明の「光ベクトル変調器106a」は、「1×2マッハツェンダ型の構成」を備えているから、本願発明の「2×2マッハツェンダ型光導波路部であるマッハツェンダ型光導波路部」と、「マッハツェンダ型光導波路部」である点で一致し、「2×2マッハツェンダ型光導波路部」ではない点で相違すると認められる。
エ 引用発明の「終端光検出器119」は、本願発明の「光検出器」に相当する。
(2)本願発明の「前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、第1の2×2多モード干渉導波路と、第2の2×2多モード干渉導波路と、前記第1の2×2多モード干渉導波路と前記第2の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第1アーム導波路と、前記一対の第1アーム導波路に対応して設けられている第1変調電極とを含み」との特定事項について
引用発明の「第1のMZM」は、「1×2光スプリッタ108、2×2光カプラ111、光スプリッタ108及び光カプラ111を接続する2つの光導波路、及び光導波路に形成された電極109及び電極110を備え」ており、当該「光スプリッタ108」及び「光カプラ111」は、それぞれ「マルチモード干渉(MMI)スプリッタ」及び「マルチモード干渉(MMI)カプラ」であり、当該「電極109」は「光導波路を伝搬する光を変調するために、電気信号を」「供給することができ」るものである。
そうすると、引用発明の「光スプリッタ108」、「光カプラ111」、「2つの光導波路」及び「電極109」は、それぞれ本願発明の「第1の」「多モード干渉導波路」、「第2の2×2多モード干渉導波路」、「一対の第1アーム導波路」及び「第1変調電極」に相当するといえる。
そして、引用発明は、本願発明の上記特定事項と、「前記第1の」「マッハツェンダ型光位相変調部は、第1の」「多モード干渉導波路と、第2の2×2多モード干渉導波路と、前記第1の」「多モード干渉導波路と前記第2の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第1アーム導波路と、前記一対の第1アーム導波路に対応して設けられている第1変調電極とを含み」との点で一致し、「第1のMZM」(「光スプリッタ108」)が、「2×2」ではない点で相違すると認められる。
(3)本願発明の「前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第1入力ポートを有し、前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第1出力ポートは、前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第1入力ポートの一方に対する第1クロスポートであり、前記一対の第1入力ポートの他方に対する第1スルーポートであり」との特定事項について
上記(1)のとおり、引用発明の「第1のMZM」は「1×2MZM」であるから、引用発明は、本願発明の上記特定事項を備えていない。
(4)本願発明の「前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、第3の2×2多モード干渉導波路と、第4の2×2多モード干渉導波路と、前記第3の2×2多モード干渉導波路と前記第4の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第2アーム導波路と、前記一対の第2アーム導波路に対応して設けられている第2変調電極とを含み」との特定事項について
引用発明の「第2のMZM」は、「第1のMZMと同じ構成であ」るから、上記(2)と同様に対比することができる。
そうすると、引用発明は、本願発明の上記特定事項と、「前記第2の」「マッハツェンダ型光位相変調部は、第3の」「多モード干渉導波路と、第4の2×2多モード干渉導波路と、前記第3の」「多モード干渉導波路と前記第4の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第2アーム導波路と、前記一対の第2アーム導波路に対応して設けられている第2変調電極とを含み」との点で一致し、引用発明の「第2のMZM」(「第2のMZM」が備える「光スプリッタ」)が、「2×2」ではない点で相違すると認められる。
(5)本願発明の「前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第2入力ポートを有し、前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第2出力ポートは、前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第2入力ポートの一方に対する第2クロスポートであり、前記一対の第2入力ポートの他方に対する第2スルーポートであり」との特定事項について
上記(1)のとおり、引用発明の「第2のMZM」は「1×2MZM」であるから、引用発明は、本願発明の上記特定事項を備えていない。
(6)本願発明の「マッハツェンダ型光導波路部」に係る、以下の特定事項について
(i)「前記マッハツェンダ型光導波路部は、第5の2×2多モード干渉導波路と、第6の2×2多モード干渉導波路と、前記第5の2×2多モード干渉導波路と前記第6の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第3アーム導波路とを含み」
(ii)「前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの一方の途中に設けられており、前記一対の第1入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの一方に接続され、前記一対の第1入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず」
(iii)「前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの他方の途中に設けられており、前記一対の第2入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの他方に接続され、前記一対の第2入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず」
(iv)「前記マッハツェンダ型光導波路部の第3出力ポートは、前記マッハツェンダ型光導波路部の第3入力ポートに対する第3クロスポートであり」
(v)「前記一対の第1アーム導波路、前記一対の第2アーム導波路および前記一対の第3アーム導波路のいずれの経路も、全反射ミラーを介するものでなく」
(vi)「前記マッハツェンダ型光導波路部は、位相調整電極をさらに含み」
ア 上記(i)について
引用発明の「光ベクトル変調器106a」は、「1×2光スプリッタ107、2×2光カプラ116、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第1のMZMが接続される第1の導波路、光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第2のMZMが接続される第2の導波路」を備えており、当該「光スプリッタ107」及び「光カプラ116」は、それぞれ「マルチモード干渉(MMI)スプリッタ」及び「マルチモード干渉(MMI)カプラ」である。
そうすると、引用発明の「光スプリッタ107」及び「光カプラ116」は、それぞれ本願発明の「第5の」「多モード干渉導波路」及び「第6の2×2多モード干渉導波路」に相当し、引用発明の「第1の導波路」及び「第2の導波路」は、一対の導波路といえるから、本願発明の「一対の第3アーム導波路」に相当するといえる。
よって、引用発明は、本願発明の上記(i)の特定事項と、「前記マッハツェンダ型光導波路部は、第5の」「多モード干渉導波路と、第6の2×2多モード干渉導波路と、前記第5の」「多モード干渉導波路と前記第6の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第3アーム導波路とを含み」との点で一致し、引用発明の「光ベクトル変調器106a」が備える「光スプリッタ107」が、「2×2」ではない点で相違すると認められる。
イ 上記(ii)及び(iii)について
引用発明は、「光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第1のMZMが接続される第1の導波路」及び「光スプリッタ107及び光カプラ116を接続しその途中に第2のMZMが接続される第2の導波路」を備えている。そうすると、引用発明の「第1のMZM」及び「第2のMZM」は、それぞれ「第1の導波路」及び「第2の導波路」の途中に接続されているということができる。
よって、引用発明は、本願発明の上記(ii)及び(iii)の特定事項と、「前記第1の」「マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの一方の途中に設けられており」及び「前記第2の」「マッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの他方の途中に設けられており」との点で一致するといえる。
ウ 上記(iv)について
引用発明は、本願発明の上記(iv)の特定事項を満たしていない。
エ 上記(v)について
引用発明において、「各光スプリッタからのファンアウト及び各光カプラへのファンイン」は、「Sベント」により実現されており、「全反射ミラー」により実現されるものではない。
したがって、引用発明は、本願発明の上記(v)の特定事項を満たすといえる。
オ 上記(vi)について
引用発明の「電極115」は、「第1のMZMの出力導波路に形成され」ており、「電極115に供給される電流の量を制御することによって、光信号の光学位相が制御され得るように、電流が供給され」ている。
そうすると、引用発明の「電極115」は、本願発明の「位相調整電極」に相当し、本願発明の上記(vi)の特定事項を満たすといえる。
(7)本願発明の「前記光検出器は、前記マッハツェンダ型光導波路部の前記第3出力ポートとは異なる前記マッハツェンダ型光導波路部の出力ポートに接続されており」との特定事項について
引用発明の「光ベクトル変調器106a」が備える「光カプラ116の出力は2つ」であり、「その内の一方は光信号を出力し」、「他方には終端光検出器119が接続され」ており、「光カプラ116」の出力は、「光ベクトル変調器106a」の出力と理解することができる。
よって、引用発明は、本願発明の上記特定事項を満たしている。
(8)本願発明の「前記位相調整電極は、前記一対の第3アーム導波路の少なくとも一つに対応して配置されており、かつ、前記位相調整電極に前記光検出器で検出された光の強度に応じた位相調整電圧が印加される」との特定事項について
引用発明の「電極115」は、「光スプリッタ107及び光カプラ116を接続」する「第1の導波路」「の途中に接続される第1のMZM」の「出力導波路に形成され」ており、「第1の導波路」に対応して配置されるものと理解できるから、引用発明は、本願発明の「前記位相調整電極は、前記一対の第3アーム導波路の少なくとも一つに対応して配置されており」との構成を満たすといえる。
他方、引用発明は、「光検出器の出力は、MZ構造の位相及びパワーに関する情報を提供することができ、この情報は、変調器バイアス制御に使用することができ、光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号を光ベクトル変調器の1又は複数の電極(例えば、バイアス制御電極)に供給するように構成されたフィードバック回路を備え」ており、「電極115に供給される電流の量を制御することによって、光信号の光学位相が制御され得るように、電流が供給され」ているものの、「電極115」に「終端光検出器119」で「検出された光の強度に応じた位相調整電圧が印加される」ことは特定していない。
(9)引用発明の「光ベクトル変調器106a」は、本願発明の「光位相変調器」に相当する。
(10)以上によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「第1のマッハツェンダ型光位相変調部と、
第2のマッハツェンダ型光位相変調部と、
マッハツェンダ型光導波路部と、
光検出器とを備え、
前記第1のマッハツェンダ型光位相変調部は、第1の多モード干渉導波路と、第2の2×2多モード干渉導波路と、前記第1の多モード干渉導波路と前記第2の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第1アーム導波路と、前記一対の第1アーム導波路に対応して設けられている第1変調電極とを含み、
前記第2のマッハツェンダ型光位相変調部は、第3の多モード干渉導波路と、第4の2×2多モード干渉導波路と、前記第3の多モード干渉導波路と前記第4の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第2アーム導波路と、前記一対の第2アーム導波路に対応して設けられている第2変調電極とを含み、
前記マッハツェンダ型光導波路部は、第5の多モード干渉導波路と、第6の2×2多モード干渉導波路と、前記第5の多モード干渉導波路と前記第6の2×2多モード干渉導波路とを接続する一対の第3アーム導波路とを含み、
前記第1のマッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの一方の途中に設けられており、
前記第2のマッハツェンダ型光位相変調部は、前記一対の第3アーム導波路のうちの他方の途中に設けられており、
前記一対の第1アーム導波路、前記一対の第2アーム導波路および前記一対の第3アーム導波路のいずれの経路も、全反射ミラーを介するものでなく、
前記マッハツェンダ型光導波路部は、位相調整電極をさらに含み、
前記光検出器は、前記マッハツェンダ型光導波路部の前記第3出力ポートとは異なる前記マッハツェンダ型光導波路部の出力ポートに接続されており、
前記位相調整電極は、前記一対の第3アーム導波路の少なくとも一つに対応して配置される、光位相変調器。」
<相違点>
・相違点1
「第1のマッハツェンダ型光位相変調部」、「第2のマッハツェンダ型光位相変調部」、「マッハツェンダ型光導波路部」、「第1の多モード干渉導波路」、「第3の多モード干渉導波路」及び「第5の多モード干渉導波路」について、本願発明では、それぞれ「2×2」であるのに対し、引用発明の「第1のMZM」、「第2のMZM」、「光ベクトル変調器106a」が備える「マッハツェンダ型の構成」、「光スプリッタ108」、「第2のMZM」が備える「光スプリッタ」及び「光スプリッタ107」は、それぞれ「1×2」である点。
・相違点2
本願発明は、次の(i)~(iii)の構成を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(i)「前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第1入力ポートを有し、前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第1出力ポートは、前記第1の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第1入力ポートの一方に対する第1クロスポートであり、前記一対の第1入力ポートの他方に対する第1スルーポートであり」、「前記一対の第1入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの一方に接続され、前記一対の第1入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず」
(ii)「前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部は一対の第2入力ポートを有し、前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の第2出力ポートは、前記第2の2×2マッハツェンダ型光位相変調部の前記一対の第2入力ポートの一方に対する第2クロスポートであり、前記一対の第2入力ポートの他方に対する第2スルーポートであり」、「前記一対の第2入力ポートの一方が前記一対の第3アーム導波路のうちの他方に接続され、前記一対の第2入力ポートの他方が前記一対の第3アーム導波路に接続されず」
(iii)「前記マッハツェンダ型光導波路部の第3出力ポートは、前記マッハツェンダ型光導波路部の第3入力ポートに対する第3クロスポートであり」
・相違点3
本願発明は、「前記位相調整電極に前記光検出器で検出された光の強度に応じた位相調整電圧が印加される」と特定されるのに対し、引用発明の「電極115」と「終端光検出器119」との関係は特定されていない点。
2 判断
(1)事案に鑑みて相違点1及び相違点2を併せて検討する。
ア 引用発明の「光ベクトル変調器106a」、「第1のMZM」及び「第2のMZM」のそれぞれを「2×2マッハツェンダ型の構成」とする(具体的には、「第1のMZM」の「1×2光スプリッタ108」を「2×2光スプリッタ」とし、「第2のMZM」も同様に構成し、「光ベクトル変調器106a」の「1×2光スプリッタ107」を「2×2光スプリッタ」とする)と共に、それぞれの「出力ポート」を「入力ポート」に対する「クロスポート」として構成することにより、引用発明は、相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を満たすものと解されるので、そのように成し得るのか、以下に検討する。
イ デバイスの製造誤差に起因する消光比の劣化を改善するために、マッハツェンダ型デバイス(光干渉計、光変調器、可変光減衰器など)を「2×2マッハツェンダ型」の構成とし、入力ポートと出力ポートとをクロス経路として構成することは、周知技術(特開2011-112844号公報(引用文献2)の【0008】及び図19、国際公開第2012/080714号(引用文献3)の第3頁第8行~第21行・第5頁第12行~第6頁第9行及び図1a、国際公開第2011/132283号(引用文献4)の【0003】及び図19、特開2011-43575号公報(引用文献5)の【0039】・【0048】及び図8(a)参照)であるところ、引用発明は、周知技術と類似の構成を備えた、基板上にモノリシックに一体化されたマッハツェンダ型の光変調器であり、このような構成における製造誤差は、通常に考慮される設計的な事項であるから、引用発明に上記周知技術を適用する動機はあるといえる。
よって、引用発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易になし得たことであり、当該周知技術が、デバイスの製造誤差に起因する消光比の劣化を改善するものであることに照らせば、引用発明が備えるすべてのマッハツェンダ型の構造に対して当該周知技術を適用するものと理解することが自然といえる。
そうすると、当該周知技術の適用により、引用発明の「光ベクトル変調器106a」における「1×2光スプリッタ107」は「2×2光スプリッタ」とされ、「第1のMZM」における「1×2光スプリッタ108」も「2×2光スプリッタ」とされ、「第2のMZM」における「第1のMZM」と同様に構成された「1×2光スプリッタ」(「1×2光スプリッタ108」に対応するもの)も「2×2光スプリッタ」とされることとなり、引用発明の「光ベクトル変調器106a」、「第1のMZM」及び「第2のMZM」は、それぞれ「2×2マッハツェンダ型の構成」となると共に、それぞれの「出力ポート」は、それぞれの「入力ポート」に対する「クロスポート」として構成されるものとなる。そして、その結果として、「第1のMZM」及び「第2のMZM」のそれぞれの「入力ポート」は、それぞれ「一対」となり、それぞれの「出力ポート」は、それぞれの「一対」の「入力ポート」の一方に対する「クロスポート」となり、他方に対する「スルーポート」となり、「第1のMZM」の「出力ポート」に対する「クロスポート」は「第1の導波路」のうちの一方に接続され、「スルーポート」は「第1の導波路」に接続されず、「第2のMZM」の「出力ポート」に対する「クロスポート」は「第2の導波路」のうちの一方に接続され、「スルーポート」は「第2の導波路」に接続されないものとなる。
ウ よって、引用発明及び周知技術に基づいて、相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2)相違点3について
引用発明の「電極115」には「光信号の光学位相が制御され得るように、電流が供給され」ており、「終端光検出器119」は「MZ構造の位相及びパワーに関する情報を提供」し、「この情報は、変調器バイアス制御に使用する」ものである。また、引用発明は、「光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号を光ベクトル変調器の1又は複数の電極(例えば、バイアス制御電極)に供給するように構成されたフィードバック回路」を備えているところ、「フィードバック回路」の動作は「出力を入力側に戻す操作」であるとの技術常識と、「終端光検出器119」の入力側に「電極115」が配置されているとの配置関係を踏まえると、引用発明の「終端光検出器119」より得られる「MZ構造の位相及びパワーに関する情報」(出力)は、(終端光検出器119に対して)入力側の「電極115」に、「光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号」として「供給」されていると解することが自然である。
したがって、相違点3は、実質的な相違ではない。
仮に、実質的な相違であるとしても、引用発明は「光検出器の出力は、MZ構造の位相及びパワーに関する情報を提供することができ、この情報は、変調器バイアス制御に使用することができ、光検出器から得られた情報に基づく入力電気信号を光ベクトル変調器の1又は複数の電極(例えば、バイアス制御電極)に供給するように構成されたフィードバック回路」を備えているのであるから、引用発明の「電極115」に、「終端光検出器119」「から得られた情報に基づく入力電気信号を」「供給するように構成」することは、当業者であれば容易になし得たことである。
よって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明が備える構成であり、仮に、そこまではいえないとしても、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たことである。
(3)本願発明の効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4)小括
以上より、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年11月17日に提出された意見書において、(i)引用発明に周知技術を適用する動機はないこと、(ii)周知技術をどのように適用するか不明であること、(iii)引用発明は全反射ミラーを有することが前提であり、全反射ミラーを用いないようには構成しないことを主張している。
しかしながら、上記(i)及び(ii)については、上記2(1)イに説示のとおりであり、上記(iii)については、上記第4の3に説示のとおりである。
よって、上記審判請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
第6 むすび
上記のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-010990