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特許拒絶査定不服審判

2021-007803

遊技機

審判番号
2021-007803
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-066936外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月15日
審決日
2022年03月22日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 66936号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 2日出願公開、特開2020- 99810号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯の概要

本願は、令和2年4月2日の出願であって、同年11月19日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年1月20日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年3月9日付け(送達日:同年同月23日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和3年6月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年6月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正

本件補正は、特許請求の範囲の補正を含む補正であって、特許請求の範囲の請求項1は、本件補正前の

「【請求項1】
遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機において、
演出を実行可能な演出制御手段を備え、
前記演出制御手段が実行可能な演出として、前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出があり、
前記予告演出には、特定のオブジェクトに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のオブジェクトに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあることを特徴とする遊技機。」

から、本件補正後の

「【請求項1】
遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機において、
演出を実行可能な演出制御手段を備え、
前記演出制御手段が実行可能な演出として、前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出があり、
前記予告演出には、特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあり、
前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており、
前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがあることを特徴とする遊技機。」(下線部は補正箇所を示す。)

に補正された。

2 請求項1に係る発明についての補正事項

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、以下の補正事項1及び補正事項2を含むものである。

(1)補正事項1

本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記予告演出」の「動画予告演出」で表示される「動画」の「特定のオブジェクト」、及び「前記予告演出」の「静止画予告演出」で表示される「静止画」の「特定のオブジェクト」を、それぞれ「特定のキャラクタ」に限定する補正。

(2)補正事項2

本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「動画予告演出」及び「静止画予告演出」について、「前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており、前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある」ことを限定する補正。

3 新規事項の追加の有無

補正事項1の「前記予告演出には、特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあ」ること、及び補正事項2の「前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており、前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある」ことについては、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の請求項2、【0394】、【0395】、【0402】-【0412】、【0422】-【0424】、【0438】、図49-図52、図55に記載された事項に基づくものである。

したがって、補正事項1及び補正事項2は、いずれも新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項の規定を満足する。

4 補正の目的

(1)補正事項1

補正事項1は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「特定のオブジェクト」を、「特定のキャラクタ」に限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)補正事項2

補正事項2は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「動画予告演出」及び「静止画予告演出」について、「前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており」、「前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある」ことを限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)補正の目的のむすび

上記(1)から(2)によれば、補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

5 独立特許要件

上記4(1)及び(2)で述べたとおり、補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含んでいるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に適合するのか否か(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否か)について検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明は、上記「1 本件補正」に示した次のとおりのものである(符号AないしGは、本願補正発明を分説するため当審にて付与した。以下、符号A等を付した事項を「構成A」等という。)。

(本願補正発明)

「A 遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機において、
B 演出を実行可能な演出制御手段を備え、
C 前記演出制御手段が実行可能な演出として、前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出があり、
D 前記予告演出には、特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあり、
E 前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており、
F 前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある
G ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-198499号公報(令和1年11月21日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

「【0009】
1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機PY1について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においてパチンコ遊技機PY1の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機PY1の各部の前方向をパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機PY1の各部の後方向をパチンコ遊技機PY1に対面する遊技者から離れる方向として説明する。」
「【0032】
特図表示器81では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。」
「【0042】
2.遊技機の電気的構成
次に図6及び図7に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図6及び図7に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板100(主制御基板)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170等を備えている。なお、遊技制御基板100は、メイン制御部を構成し、演出制御基板120は、後述する画像制御基板140及びサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。」
「【0123】
次に、演出状態が切替わる際の各種の演出について説明する。本形態では、演出状態が切替わる際の演出として、特別成長演出がある。図13に示すように、リーチ前の「幼少状態」で特別成長演出が実行されると、「高校状態」へ移行し得るようになっていて、リーチ前の「高校状態」で特別成長演出が実行されると、「プロ状態」へ移行し得るようになっている。なお特別成長演出は、リーチ後においても実行され得るようになっているが、以下ではリーチ前に実行される特別成長演出について説明する。
【0124】
先ず図20に基づいて、「幼少状態」で実行される特別成長演出について説明する。図20(A)では、「幼少状態」で幼少用演出図柄EZaが変動表示している状態が示されている。また図20(A)では、「幼少状態」であるため、自然背景画像Haが表示画面50aに表示されている。ここで自然背景画像Haは、山の景色を示すと共に、鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいくことを示す動画画像(所定の動画画像)になっている。よって、図20(A)に示すように、動く鳥が表示画面50aの左側にあるときの自然背景画像Haを「第1自然背景画像Ha1」と呼ぶことにする。
続きを表示(全14行)
【0125】
その後、図20(B)に示すように、表示画面50aの右側にて主人公キャラの父親である父親キャラを示す特別成長煽り画像TS1が表示される。また同時に、表示画面50aのほとんど左側になる左側表示領域50bにて、それまでに表示されていた自然背景画像Haが停止(静止)した状態で表示される。ここで、図20(B)では、図20(A)に示す時点よりも、僅かに時間(例えば1秒)が経過した時点が示されている。よって、図20(B)では、動く鳥が表示画面50aの右側寄りに位置していて、このときの自然背景画像Haを「第2自然背景画像Ha2」と呼ぶことにする。つまり、「第2自然背景画像Ha2」は、特別成長煽り画像TS1が表示されたときに自然背景画像Haが途中で静止した「静止画像」である。こうして図20(B)では、特別成長煽り画像TS1の表示と、自然背景画像Haの静止により、遊技者にはその後の演出の推移に注目させることが可能である。
【0126】
そして図20(C-1)に示す場合と、図20(C-2)に示す場合とに分かれることになる。図20(C-1)では、父親キャラが左側表示領域50bを変形させつつ掴み取る特別成長移行画像TS2が表示される。なお左側表示領域50bには、第2自然背景画像Ha2が表示されたままである。一方、図20(C-2)では、左側表示領域50bで表示されていた自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が動画画像として表示画面50aの全体で再生されると共に、幼少用演出図柄EZaの変動表示が表示画面50aにて大きく示される。なお図20(C-2)では、擬似連演出が実行されているわけではなく、表示画面50aにて小さく変動表示されていた幼少用演出図柄(図示省略)が、表示画面50aで大きく見え易いようになっただけである。こうして図20(C-2)では特別成長演出へのガセ演出であることが示される。よって図20(B)⇒図20(C-2)に示す演出を「特別成長ガセ演出」ということができる。
【0127】
図20(C-1)を経て、図20(D)では、表示画面50aの左上部であるサブ表示領域(左上部表示領域)50cにて、図20(B)で静止したときと同じ自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が表示される。また、表示画面50aのうちサブ表示領域50cを除くメイン表示領域50dでは、幼少時代の主人公キャラが成長するか、又は成長しないでそのままの状態を維持するのかを煽る幼少成長煽り画像TS3が表示される。つまり、図20(D)では、サブ表示領域50c(第1表示領域)で静止している第2自然背景画像Ha2を表示しつつ、メイン表示領域50d(第2表示領域)にて幼少時代の主人公キャラが成長するか否かを煽る幼少成長煽り演出(特定演出)を実行している。
【0128】
そして図20(E-1)に示す場合と、図20(E-2)に示す場合とに分かれることになる。図20(E-1)では、幼少時代の主人公キャラが高校時代の主人公キャラに成長したことを示す高校特別成長成功画像TS4(特定成功態様)が表示される。これにより遊技者には、「高校状態」への移行に成功したのを把握させることが可能である。その後、図20(F-1)に示すように、街背景画像Hbが表示されると共に、擬似連演出として高校用演出図柄EZbの変動表示が新たに開始される。つまり擬似2が実行される。こうして遊技者には、「高校状態」になると共に擬似連演出により、当選期待度が高くなったことによる高揚感を与えることが可能である。
【0129】
一方、図20(E-2)では、幼少時代の主人公キャラが高校時代の主人公キャラに成長できなかったことを示す高校特別成長失敗画像TS5(特定失敗態様)が表示される。これにより遊技者には、「高校状態」への移行に失敗したのを把握させることが可能である。その後、図20(F-2)に示すように、サブ表示領域50cで表示されていた自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が動画画像として表示画面50aの全体で再生されると共に、幼少用演出図柄EZaの変動表示が表示画面50aにて大きく示される。つまり遊技者には、サブ表示領域50cで停止した状態から演出が再開したように見せる。こうして擬似連演出が実行されることはなく、遊技者は「幼少状態」の維持により落胆することになる。」
「【0131】
ここで図20(B)⇒図20(C-1)⇒図20(D)⇒図20(E-1)又は図20(E-2)に示す演出が、「幼少状態」での特別成長演出に相当する。そして、図20(E-1)に示す高校特別成長成功画像TS4が、「幼少状態」での特別成長演出で示される「特定成功態様」に相当する。一方、図20(E-2)に示す高校特別成長失敗画像TS5が、「幼少状態」での特別成長演出で示される「特定失敗態様」に相当する。
【0132】
続いて図21に基づいて、「高校状態」で実行される特別成長演出について説明する。但し、以下では上述した「幼少状態」で実行される特別成長演出との違いを中心に説明する。図21(A)では、「高校状態」で高校用演出図柄EZbが変動表示している状態が示されている。また図21(A)では、「高校状態」であるため、街背景画像Hbが表示画面50aに表示されている。ここで街背景画像Hbは、街の景色を示すと共に、鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいくことを示す動画画像(所定の動画画像)になっている。よって、図21(A)に示すように、動く鳥が表示画面50aの左側にあるときの街背景画像Hbを「第1街背景画像Hb1」と呼ぶことにする。
【0133】
その後、図21(B)に示すように、表示画面50aの右側にて特別成長煽り画像TS1が表示される。また同時に、左側表示領域50bにて、それまでに表示されていた街背景画像Hbが停止(静止)した状態で表示される。ここで図21(B)では、図20(A)に示す時点よりも、僅かに時間(例えば1秒)が経過した時点が示されている。よって、図21(B)では、動く鳥が表示画面50aの右側寄りに位置していて、このときの街背景画像Hbを「第2街背景画像Hb2」と呼ぶことにする。つまり、「第2街背景画像Hb2」は、特別成長煽り画像TS1が表示されたときに街背景画像Hbが途中で静止した「静止画像」である。こうして図21(B)では、特別成長煽り画像TS1の表示と、街背景画像Hbの静止により、遊技者にはその後の演出の推移に注目させることが可能である。」
「【0138】
ここで図21(B)⇒図21(C-1)⇒図21(D)⇒図21(E-1)又は図21(E-2)に示す演出が、「高校状態」での特別成長演出に相当する。そして、図21(E-1)に示すプロ特別成長成功画像TS7が、「高校状態」での特別成長演出で示される「特定成功態様」に相当する。一方、図21(E-2)に示すプロ特別成長失敗画像TS8が、「高校状態」での特別成長演出で示される「特定失敗態様」に相当する。」
「【0179】
また本形態では、特別成長演出や成長SP発展演出のようなミッション演出で成功態様が示されれば、擬似連演出が実行されると共に、演出状態が切替わるようにしている。つまり、遊技者から見れば、特別成長演出や成長SP発展演出で成功態様が示されると、擬似連演出による当選期待度の高まりと、演出状態の切替え(表示物の拡大)による当選期待度の高まりの両方を把握し得る。よって遊技者には、ミッション演出での成功態様を大きく期待させることになり、ミッション演出(特別成長演出、成長SP発展演出)の興趣性を高めることが可能である。」
「【図20】
[図:0001384933000001.jpg]
」
「【図21】
[図:0001384933000002.jpg]
」

(認定事項1)

【0124】及び【0132】に記載され、図20(A)及び図21(A)に示される「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいくことを示す動画画像」における「鳥」は、【0125】及び【0133】に記載され、図20(B)及び図21(B)に示されるように、「表示画面50aの右側寄り」の位置まで移動するものと認められる。

したがって、図20(A)に示されている動画画像は、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」であると認められる(以下、「認定事項1」という。)。

図21(A)に示されている動画画像についても同様である。

(認定事項2)

図20(C-2)は、「左側表示領域50bで表示されていた自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が動画画像として表示画面50aの全体で再生される」(【0126】)ものであるところ、「第2自然背景画像Ha2」は、「鳥が表示画面50a」の右側寄りに位置してい」(【0125】)るものであり、また、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいくことを示す動画画像(所定の動画画像)」(【0124】)になっている図20(A)において、右向きの矢印が付された鳥が示されているのと同様に、図20(C-2)においても、右向きの矢印が付された鳥が示されていることから、図20(C-2)は、鳥が表示画面50aの右側寄りからさらに右側に飛んでいくことを示す動画画像であると認められる(以下、「認定事項2」という。)。

(認定事項3)

【0127】には、「図20(C-1)を経て、図20(D)では、表示画面50aの左上部であるサブ表示領域(左上部表示領域)50cにて、図20(B)で静止したときと同じ自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が表示される。」ことが記載されているところ、図20(D)には、表示画面50aの左上部であるサブ表示領域(左上部表示領域)50cに、鳥が表示されることが示されている(以下、「認定事項3」という。)。

(認定事項4)

【0131】に「ここで図20(B)⇒図20(C-1)⇒図20(D)⇒図20(E-1)又は図20(E-2)に示す演出が、「幼少状態」での特別成長演出に相当する。」と記載されていることから、図20(B)の前に表示される図20(A)は、「「幼少状態」での特別成長演出」の前に表示されるものである。

同様に、【0138】に「ここで図21(B)⇒図21(C-1)⇒図21(D)⇒図21(E-1)又は図21(E-2)に示す演出が、「高校状態」での特別成長演出に相当する。」と記載されていることから、図21(B)の前に表示される図21(A)は、「「高校状態」での特別成長演出」の前に表示されるものである。

上記「(認定事項1)」で検討したように、「「幼少状態」での特別成長演出」の前に表示される図20(A)及び「「高校状態」での特別成長演出」の前に表示される図21(A)に示されている動画画像は、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」である。

そして、特別成長演出が実行される前の他に、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」が示されることは、引用文献1に記載されていない。

したがって、図20(A)に示される「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」は、特別成長演出が実行される前に表示される動画画像であると認められる(以下、「認定事項4」という。)。

以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、本願補正発明の構成AないしGに概ね対応させて符号aないしgを付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる(【0032】)パチンコ遊技機PY1において(【0009】)、
b 遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)を備え(【0042】)、
cdef-1 演出状態が切替わる際の演出として、特別成長演出があり、リーチ前の「幼少状態」で特別成長演出が実行されると、「高校状態」へ移行し得るようになっており(【0123】)、特別成長演出で成功態様が示されれば、擬似連演出が実行されると共に、演出状態が切替わるようにしており、遊技者から見れば、擬似連演出による当選期待度の高まりと、演出状態の切替えによる当選期待度の高まりの両方を把握し得(【0179】)、
cdef(画面A) 「幼少状態」で幼少用演出図柄EZaが変動表示している状態で、自然背景画像Haが表示画面50aに表示され、自然背景画像Haは、山の景色を示すと共に、鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像になっており(以下、「画面A」という。)(【0124】、認定事項1)、
cdef(画面B) その後、表示画面50aの右側にて主人公キャラの父親である父親キャラを示す特別成長煽り画像TS1が表示され、同時に、表示画面50aのほとんど左側になる左側表示領域50bにて、それまでに表示されていた自然背景画像Haが停止(静止)した状態で表示され、鳥が表示画面50aの右側寄りに位置し、このときの自然背景画像Haである「第2自然背景画像Ha2」は、特別成長煽り画像TS1が表示されたときに自然背景画像Haが途中で静止した「静止画像」であり(以下、「画面B」という。)(【0125】)、
cdef(画面C-1又はC-2) そして父親キャラが左側表示領域50bを変形させつつ掴み取る特別成長移行画像TS2が表示され、左側表示領域50bには、第2自然背景画像Ha2が表示されたままである(以下、「画面C-1」という。)場合と(【0126】)、左側表示領域50bで表示されていた自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が、鳥が表示画面50aの右側寄りからさらに右側に飛んでいくことを示す動画画像として表示画面50aの全体で再生されると共に、幼少用演出図柄EZaの変動表示が表示画面50aにて大きく示され、特別成長演出へのガセ演出であることが示される「特別成長ガセ演出」である(以下、「画面C-2」という。)場合とに分かれ(【0126】、認定事項2)、
cdef(画面D) 上記「画面C-1」が表示される場合を経て、表示画面50aの左上部であるサブ表示領域(左上部表示領域)50cにて、鳥が表示された静止した自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が表示され、表示画面50aのうちサブ表示領域50cを除くメイン表示領域50dでは、幼少時代の主人公キャラが成長するか、又は成長しないでそのままの状態を維持するのかを煽る幼少成長煽り画像TS3が表示され、サブ表示領域50c(第1表示領域)で静止している第2自然背景画像Ha2を表示しつつ、メイン表示領域50d(第2表示領域)にて幼少時代の主人公キャラが成長するか否かを煽る幼少成長煽り演出(特定演出)を実行し(以下、「画面D」という。)(【0127】、認定事項3)、
cdef(画面E-1からF-1又は画面E-2からF-2) 上記「幼少成長煽り演出(特定演出)」が実行されると、幼少時代の主人公キャラが高校時代の主人公キャラに成長したことを示す高校特別成長成功画像TS4(特定成功態様)が表示され、これにより遊技者には、「高校状態」への移行に成功したのを把握させることが可能であり(以下、「画面E-1」という。)、その後、街背景画像Hbが表示されると共に、擬似連演出として高校用演出図柄EZbの変動表示が新たに開始され、擬似2が実行され、こうして遊技者には、「高校状態」になると共に擬似連演出により、当選期待度が高くなったことによる高揚感を与えることが可能である(以下、「画面F-1」という。)場合と(【0128】)、幼少時代の主人公キャラが高校時代の主人公キャラに成長できなかったことを示す高校特別成長失敗画像TS5(特定失敗態様)が表示され、これにより遊技者には、「高校状態」への移行に失敗したのを把握させることが可能であり(以下、「画面E-2」という。)、その後、サブ表示領域50cで表示されていた自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が動画画像として表示画面50aの全体で再生されると共に、幼少用演出図柄EZaの変動表示が表示画面50aにて大きく示され、遊技者には、サブ表示領域50cで停止した状態から演出が再開したように見せ、擬似連演出が実行されることはなく、遊技者は「幼少状態」の維持により落胆する(以下、「画面F-2」という。)場合に分かれ(【0129】)、
cdef-2 画面B→画面C-1→画面D→画面E-1又は画面E-2に示す演出が、「幼少状態」での特別成長演出に相当し(【0131】)、「画面A」の「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」は、特別成長演出が実行される前に表示される動画画像である(認定事項4)
g パチンコ遊技機PY1(【0009】)。」

(3)対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 構成Aについて

引用発明の「停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる」状態、及び「パチンコ遊技機PY1」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「遊技者に有利な有利遊技状態」及び「遊技機」に相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を備える。

イ 構成Bについて

引用発明の「遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)」は、本願補正発明の構成Bの「演出を実行可能な演出制御手段」に相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Bに相当する構成を備える。

ウ 構成Cについて

引用発明の構成cdef-1の「成功態様が示されれば、擬似連演出が実行され」、「遊技者から見れば、擬似連演出による当選期待度の高まり」「を把握し得」る「特別成長演出」は、本願補正発明の構成Cの「前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出」に相当する。

また、引用発明の構成cdef-2によれば、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」は、特別成長演出が実行される前に表示される動画画像であるから、引用発明の構成cdef(画面A)の「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」となっている「画面A」を表示する演出は、「特別成長演出」が実行されることを示唆する演出であるといえ、「特別成長演出」と同様に、本願補正発明の構成Cの「前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出」に相当する。

そして、引用発明の構成cdef-1の「特別成長演出」及び構成cdef(画面A)の「画面A」を表示する演出は、「遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)」が実行可能な演出であることは自明であり、このことは、本願補正発明の構成Cの「前記演出制御手段が実行可能な演出として」「予告演出があ」ることに相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Cに相当する構成を備える。

エ 構成Dについて

引用発明の構成cdef(画面A)及び構成cdef(画面D)の「鳥」は、本願補正発明の構成Dの「特定のキャラクタ」に相当する。

引用発明の「画面A」を表示する演出は、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」が表示される演出であるから、本願補正発明の構成Dの「特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出」に相当する。

同様に、引用発明の「画面D」を表示する演出は、「表示画面50aの左上部であるサブ表示領域(左上部表示領域)50cにて、鳥が表示された静止した自然背景画像Ha(第2自然背景画像Ha2)が表示され」る演出であり、ここで表示される「第2自然背景画像Ha2」は、引用発明の構成cdef(画面B)によれば、「それまでに表示されていた自然背景画像Haが停止(静止)した状態で表示され、鳥が表示画面50aの右側寄りに位置し」、「特別成長煽り画像TS1が表示されたときに自然背景画像Haが途中で静止した「静止画像」」であるから、本願補正発明の構成Dの「前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出」に相当する。

そうすると、本願補正発明の「予告演出」に相当する引用発明の「画面A」を表示する演出が、本願補正発明の構成Dの「特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出」に相当することとなり、このことは、本願補正発明の構成Dの「前記予告演出には、特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出」があることに相当する。同様に、本願補正発明の「予告演出」に相当する引用発明の「特別成長演出」に含まれる「画面D」を表示する演出は、本願補正発明の構成Dの「前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出」に相当することとなり、このことは、本願補正発明の構成Dの「前記予告演出には」、「前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあ」ることに相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Dに相当する構成を備える。

オ 構成Eについて

本願補正発明の「動画予告演出」に相当する引用発明の「画面A」を表示する演出に含まれる「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動する」場面は、本願補正発明の構成Eの「前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面」に相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Eを備える。

カ 構成Fについて

本願補正発明の「静止画予告演出」に相当する引用発明の「画面D」を表示する演出に含まれる「第2自然背景画像Ha2」は、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動する」場面を表す静止画が表示されるものであり、このことは、本願補正発明の構成Fの「前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある」に相当する。

したがって、引用発明は、本願補正発明の構成Fを備える。

キ 構成Gについて

引用発明の「パチンコ遊技機PY1」は、本願補正発明の構成Gの「遊技機」に相当する。

(4)検討

上記(3)からみて、本願補正発明と引用発明は、

「A 遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機において、
B 演出を実行可能な演出制御手段を備え、
C 前記演出制御手段が実行可能な演出として、前記有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出があり、
D 前記予告演出には、特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のキャラクタに関する静止画が表示される静止画予告演出とがあり、
E 前記動画予告演出には、前記特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれており、
F 前記静止画予告演出には、前記特定場面を表す特定静止画が表示されることがある
G 遊技機。」

である点で一致し、相違するところがない。

したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、引用例に記載された発明である。

仮に、引用発明の構成cdef(画面A)における「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」が、特別成長演出が実行される前だけでなく、常時表示され続ける等、その他の場面においても表示され得るものであるならば、以下の点で一応相違する。

(一応の相違点)

「特定のキャラクタに関する動画が表示される動画予告演出」が、本願補正発明では、「有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出」であるのに対して、引用発明では、「有利遊技状態になる可能性があることを示唆する予告演出」であるか明らかでない点。

しかしながら、引用文献1には、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」が、「幼少状態」及び「高校状態」での特別成長演出が実行される前に用いられることのみが記載され(【0124】、【0132】)、常時表示され続けることや、特別成長演出が実行される前の他にも表示されることは記載も示唆もされていないことから、引用発明において、「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」となっている「画面A」を表示する演出を、特別成長演出が実行される前にのみ実行することとし、「特別成長演出」が実行されることを示唆する演出とすることは当業者が容易に想到できたことである。

したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(5)本願補正発明の効果について

本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明が奏する作用効果や、遊技機の分野における周知の知見から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(6)請求人の主張について

審判請求人は、令和3年6月15日提出の審判請求書の3(3)の「(d)本願発明と引用発明1-2との対比について」において、以下の旨主張する。

(主張1)「引用発明1に係る第2自然背景画像Ha2は、動画からなる自然背景画像Haのその直前の場面で構成される静止画であるが、自然背景画像Haにおいて、特定のキャラクタが特定の動作を行う特定場面が含まれているかどうか、さらには第2自然背景画像Ha2にも、その特定場面を表す特定静止画が表示されることがあるかどうか不明であります。したがって、引用発明1は、本願発明の特徴的な構成を備えていません。すなわち、本願発明と引用発明1とは相違します。」

(主張2)「なお、引用発明1において、自然背景画像Haが表示されているということは、遊技が進行しているので、当然にそのとき有利遊技状態になる可能性はゼロではない。したがって、自然背景画像Haの表示を、有利遊技状態になる可能性があることを示唆する演出と捉えることはできなくないが、「予告演出」は、「大当たり」や「リーチ」や「保留」などのように、遊技機分野の当業者やユーザの間では一般的に用いられる用語であり、「実行されるとチャンスアップする演出」と解釈するのが妥当であります。そのため、自然背景画像Haが「予告演出」に相当するとの認定は無理があると思われます。」

主張1について検討する。引用発明のcdef(画面A)における「画面A」の「自然背景画像Ha」は、「山の景色を示すと共に、鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」になっていることから、特定のキャラクタ(鳥)が特定の動作(表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動すること)を行う特定場面が含まれているといえる。

引用発明の構成cdef(画面D)における「画面D」に表示される「第2自然背景画像Ha2」は、「それまでに表示されていた自然背景画像Haが停止(静止)した状態で表示され、鳥が表示画面50aの右側寄りに位置」するものであるから、特定場面(鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動する場面)を表す特定静止画を表示するものである。

したがって、主張1で述べられた点で、本願補正発明と引用発明とが相違するとはいえず、主張1は、採用することができない。

主張2について検討する。引用発明の「鳥が表示画面50aの左側から右側に飛んでいき、表示画面50aの右側寄りの位置まで移動することを示す動画画像」は、「特別成長演出」が「実行される前に表示される動画画像」(構成cdef-2)であり、「特別成長演出」は、「擬似連演出として高校用演出図柄EZbの変動表示が新たに開始され、擬似2が実行され、こうして遊技者には、「高校状態」になると共に擬似連演出により、当選期待度が高くなったことによる高揚感を与えることが可能である場合」のあるものである(構成cdef(画面E-1からF-1又は画面E-2からF-2))。

そうすると、自然背景画像Haを含む「画面A」を表示する演出は、「実行されるとチャンスアップする演出」であるといえる。

したがって、本願補正発明の「予告演出」が、主張2のとおり、「実行されるとチャンスアップする演出」と解釈することが妥当であったとしても、「画面A」を表示する演出は、本願補正発明の「予告演出」に相当するものということができ、主張2は、採用することができない。

(7)独立特許要件のむすび

以上のように、本願補正発明は、引用発明と同一であり、引用文献1に記載された発明である。

また、本願補正発明は、当業者が、引用発明に基いて容易に発明をすることができたものである。

よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するか、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 補正却下の決定についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、同法第17条の2において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年1月20日にされた手続補正により補正された、上記第2〔理由〕1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであり、再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしGは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技者に有利な有利遊技状態になることがある遊技機において、
B 演出を実行可能な演出制御手段を備え、
C 前記演出制御手段が実行可能な演出として、前記有利遊技状態になる可能 性があることを示唆する予告演出があり、
D’ 前記予告演出には、特定のオブジェクトに関する動画が表示される動画予告演出と、前記特定のオブジェクトに関する静止画が表示される静止画予告演出とがある
G ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の理由の概略

原査定の拒絶の理由は、この出願の令和3年1月20日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、この出願の令和3年1月20日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

記

引用文献1.特開2019-198499号公報

3 引用文献

引用文献1(引用例)の記載事項は、上記第2〔理由〕5(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、第2[理由]「1 本件補正」によれば、本願補正発明の構成Dの「特定のキャラクタ」を「特定のオブジェクト」に上位概念化し、構成E及び構成Fを削除したものである。

そうすると、本願補正発明が、引用発明と同一であるか、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明と同一であるか、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-007803

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