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特許拒絶査定不服審判

2021-006016

改良された終端構造を有する窒化ガリウムトランジスタ

審判番号
2021-006016
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-081469外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月11日
審決日
2022年03月16日
公報発行日
2022年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 81469「改良された終端構造を有する窒化ガリウムトランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月31日出願公開、特開2019-192912、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は,平成31年4月23日(パリ条約による優先権主張2018年4月23日,米国)の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年3月5日付け :拒絶理由通知書
令和2年8月7日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年1月6日付け :拒絶査定
令和3年5月11日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和3年10月20日 :上申書の提出
令和3年11月1日付け :拒絶理由通知書
令和4年2月1日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~18に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明18」という。)は,令和4年2月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定される発明であり,そのうちの本願発明11は以下のとおりの発明である。

「【請求項11】
トランジスタであって,
半導体基板と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するソース電極を含むソース領域と,
前記基板内に形成され前記ソース領域から離隔されるドレイン領域と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するゲートスタックを含み,前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に位置するゲート領域と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するP型層を含み,前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間に位置するホール注入領域と,
前記P型層の上面の第一の領域にわたって延在する誘電体層と,
(1)ドレイン電極を形成するために前記基板のドレイン領域にわたって延在し,(2)ホール注入電極を形成するために前記P型層の第一の側面に隣接して前記P型層の前記上面の第二の領域にわたって延在し,(3)フィールドプレートを形成するために前記誘電体層の一部にわたって延在する,単一のモノリシックな金属層と,
を備える,トランジスタ。」

なお,本願発明12~18は,本願発明11を減縮した発明であり,本願発明1は本願発明11のすべての発明特定事項に対応する事項を有し,表現上の差異のみを有する発明であり,本願発明2~10は本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用例の記載と引用発明

1.引用例1について

(1)引用例1の記載

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1(特開2011-181743号公報)には,次の記載がある。

「【0025】
図1は,一実施形態に係る電界効果トランジスタ(FET)の平面構成を示している。図2は,図1のII-II線における断面構成を示している。図1及び図2に示すように,本実施形態のFETは,マルチフィンガ型のFETである。半導体層積層体102には,素子分離領域105に囲まれた活性領域103が形成されている。活性領域103の上には,フィンガ状のソース電極131とドレイン電極132とが交互に形成されている。ソース電極131とドレイン電極132との間には,それぞれフィンガ状のゲート電極133が形成されている。
【0026】
1組のソース電極131,ゲート電極133及びドレイン電極132によりFETのユニット107が形成されている。隣接するユニット107は,ソース電極131又はドレイン電極136を共有している。それぞれのユニットのソース電極131同士,ドレイン電極136同士及びゲート電極133同士は互いに並列に接続されており,全体として1つのFETを形成している。それぞれのユニット107において,ドレイン電極132とゲート電極133との間に正孔注入部141が形成されている。
続きを表示(全12行)
【0027】
半導体層積層体102はシリコン基板100の上にバッファ層121を介して形成された第1の窒化物半導体層122と,第1の窒化物半導体層122の上に形成された第2の窒化物半導体層123とを有している。第1の窒化物半導体層122は,電子が走行するチャネル層であり,例えば厚さが1μm~2μm程度のアンドープのGaN層である。第2の窒化物半導体層123は電子供給層であり,例えば厚さが15nm~50nm程度のアンドープのAlGaN層である。なお,アンドープとは,不純物を意図的に導入していないことを意味する。
【0028】
ソース電極131及びドレイン電極132は,例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)との積層体とすればよい。ソース電極131及びドレイン電極132は,第1の窒化物半導体層122における第2の窒化物半導体層123との界面近傍に形成される2次元電子ガス(2DEG)層からなるチャネルとオーミック接触していればよい。ゲート電極133は,例えばニッケル(Ni)と金(Au)との積層体とすればよい。ゲート電極133は,チャネルとショットキー接合を形成していればよい。なお,ソース電極131及びドレイン電極132は2DEG層と直接接するリセス構造としてもよい。
【0029】
正孔注入部141は,第2の窒化物半導体層123の上に選択的に形成されたp型の第3の窒化物半導体層142と,第3の窒化物半導体層142の上に形成された正孔注入電極143とを有している。第3の窒化物半導体層142は,例えばマグネシウム(Mg)がドープされたGaN層である。Mgの濃度は1×1019cm-3程度であり,キャリア濃度は1×1018cm-3程度である。第3の窒化物半導体層142は,第2の窒化物半導体層123上の全面に形成した後,塩素ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングにより不要な部分を除去して形成すればよい。正孔注入電極143は,例えばパラジウムからなり,第3の窒化物半導体層142とオーミック接触している。
【0030】
第2の窒化物半導体層123の上には,ソース電極131,ドレイン電極132,ゲート電極133及び正孔注入部141を覆うように窒化シリコン(Si3N4)からなる第1の保護膜127が形成されている。ソース電極131の上には,ソース電極配線135が形成されている。ソース電極配線135は第1の保護膜127に形成された開口部を介してソース電極131と接続されている。第1の保護膜127は,化学気相堆積法(CVD法)により形成すればよく,開口部は塩素ガス等を用いたドライエッチングにより形成すればよい。ドレイン電極132の上にはドレイン電極配線136が形成されている。ドレイン電極配線136は第1の保護膜127に形成された開口部を介してドレイン電極132と接続されている。第1の保護膜127の上には,ソース電極配線135及びドレイン電極配線136を覆うようにSi3N4からなる第2の保護膜128が形成されている。第2の保護膜はCVD法により形成すればよい。」
「【0035】
正孔注入部141は,ドレイン電極132とゲート電極133との間の任意の位置に設けることができる。但し,正孔注入電極143にはドレイン電極132とほぼ等しい電圧が印加される。このため,正孔注入部とゲート電極133との間隔が狭くなると,ゲート-ドレイン間の耐圧が低下する。従って,ドレイン電極132と第3の窒化物半導体層142との間隔Ddpを,ドレイン電極132とゲート電極133との間隔Ddgの30%未満とすることが好ましい。例えばDdgが10μm程度の場合には,Ddpを3μm程度よりも小さくすることが好ましい。リソグラフィーの精度等を考えると,ドレイン電極132と第3の窒化物半導体層142との間に間隔をおいた方が容易に形成できる。しかし,図3に示すように,ドレイン電極132の側面と第3の窒化物半導体層の側面とが接していてもよい。また,図1において,ドレイン電極132とソース電極パッド151との間にも正孔注入部141を形成してかまわない。さらに,ドレイン電極132とソース電極パッド151との間及びドレイン電極132とドレイン電極パッド152との間にも正孔注入部141を形成し,正孔注入部141がドレイン電極132を囲むようにしてもよい。」
「【0038】
但し,正孔注入部141をゲート電極133とドレイン電極132との間に設けた場合には,正孔注入部141がドレイン電極132の端部における電界強度を緩和するドレインフィールドプレートとして機能することが期待される。ドレイン電極132の端部における電界強度を低減することは,電流コラプスの低減に有効である。」
「【0040】
正孔注入電極143の電位と,ドレイン電極132の電位との差をさらに小さくするために,図6及び図7に示すようにドレイン電極132と正孔注入電極143とを覆う幅広のドレイン電極配線136Aを形成してもよい。ドレイン電極配線136Aと正孔注入電極143とは,第1の保護膜127に形成された開口部を介して接続されている。窒化物半導体を用いたFETにおいて,オン抵抗を低減することが求められている。オン抵抗が10mΩ~100mΩ程度の低オン抵抗のFETの場合には,ドレイン配線の抵抗もオン抵抗に大きく影響する。図6に示すような構成とすれば,ドレイン電極132と正孔注入電極143との間の配線抵抗を非常に小さくすることができるだけでなく,ドレイン電極パッド152とドレイン電極132との間の配線抵抗及びドレイン電極パッド152と正孔注入電極143との間の配線抵抗も小さくすることができる。このため,FETのオン抵抗を低減するために有用である。」

引用例1の図7として,以下の図面が示されている。

[図:0001383053000001.jpg]

(2)摘記の整理

以上の摘記によれば,引用例1には次の事項を備える電界効果トランジスタが記載されているものと理解できる。

ア シリコン基板100の上にバッファ層121を介して形成された第1の窒化物半導体層122と,第1の窒化物半導体層122の上に形成された第2の窒化物半導体層123とを有すること。(段落0027)

イ 第1の窒化物半導体層122における第2の窒化物半導体層123との界面近傍に2次元電子ガスからなるチャネルが形成されていること。(段落0028)

ウ ソース電極131及びドレイン電極132は,チャネルとオーミック接触していること。(段落0028)

エ ゲート電極133は,ニッケルと金の積層体であり,チャネルとショットキー接合を形成していること。(段落0028)

オ ソース電極131とドレイン電極132の間にゲート電極133が形成され,ドレイン電極132とゲート電極133との間に正孔注入部141が形成されていること。(段落0025,0026)

カ 正孔注入部141が,第2の窒化物半導体層123の上に選択的に形成されたp型の第3の窒化物半導体層142と,第3の窒化物半導体層142の上に形成された正孔注入電極143とを有すること。(段落0029)

キ 第2の窒化物半導体層123上に,ソース電極131,ドレイン電極132,ゲート電極133及び正孔注入部141を覆うように窒化シリコンからなる第1の保護膜127が形成されていること。(段落0030)

ク ドレイン電極132と正孔注入電極143を覆い,第1の保護膜127に形成された開口部を介してドレイン電極132及び正孔注入電極143とそれぞれ接続されているドレイン電極配線136Aが形成されていること。(段落0030,0040,図7)

(3)引用発明1

上記ア~クによれば,引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「シリコン基板100の上にバッファ層121を介して形成された第1の窒化物半導体層122と,第1の窒化物半導体層122の上に形成された第2の窒化物半導体層123と,
第1の窒化物半導体層122における第2の窒化物半導体層123との界面近傍に形成される2次元電子ガス層からなるチャネルと,
チャネルとオーミック接触しているソース電極131及びドレイン電極132と,
ソース電極131とドレイン電極132との間に形成されたニッケルと金の積層体であって,チャネルとショットキー接合を形成しているゲート電極133と,
第2の窒化物半導体層123の上に選択的に形成されたp型の第3の窒化物半導体層142と,第3の窒化物半導体層142の上に形成された正孔注入電極143とを有し,ドレイン電極132とゲート電極133との間に形成された正孔注入部141と,
第2の窒化物半導体層123上に,ソース電極131,ドレイン電極132,ゲート電極133及び正孔注入部141を覆うように形成された,窒化シリコンからなる第1の保護膜127と,
ドレイン電極132と正孔注入電極143を覆い,第1の保護膜127に形成された開口部を介してドレイン電極132及び正孔注入電極143とそれぞれ接続されているドレイン電極配線136Aと,
を備える,電界効果トランジスタ。」

2.引用例3~4について

(1)引用例3の記載

原査定の拒絶の理由に引用された引用例3(特開2015-122544号公報)には,次の記載がある。

「【0037】
ここにおいて,注入用電極14は金属材料からなり,半導体基板104におけるドレイン電極12とソース電極13とゲート部110とが形成された一表面上に形成されている。つまり,注入用電極14は,第2の半導体層102上であって,ドレイン電極12やソース電極13やゲート部110と干渉しない位置に配置されている。図1の例では,注入用電極14は,ドレイン電極12およびソース電極13のうち高電位側となるドレイン電極12と,ゲート部110との間に配置されている。注入用電極14は,2次元電子ガス層を形成する第2の半導体層102とオーミック接合されている。」

(2)引用例4の記載

原査定の付記で引用された引用例4(特開2007-250792号公報)には,次の記載がある。

「【0024】
なお,ソース電極6,ゲート電極7,およびドレイン電極8等の複数の電極を形成する金属材料として,例えば,Ni,Pd,Ir,Pt,Au,Al,Mo,Ti,Cu,W,Cr,Ta,TaSi,およびAlSiの中から選択される少なくとも一つによって実現される金属または合金が挙げられる。」

第4 対比・判断

1.本願発明11について

(1)本願発明11と引用発明1の対比

本願発明11と引用発明1を対比すると,次のようになる。

ア 引用発明1における「電界効果トランジスタ」は,本願発明11における「トランジスタ」に相当する。

イ 引用発明1における「シリコン基板100」,「バッファ層121」,「第1の窒化物半導体層122」及び「第2の窒化物半導体層123」が,本願発明11における「半導体基板」に相当する。

ウ 引用発明1では,「第1の窒化物半導体層122における第2の窒化物半導体層123との界面近傍に形成される2次元電子ガス層からなるチャネル」と「ソース電極131」とがオーミック接触していることから,引用発明1における「ソース電極131」及び当該「ソース電極131」が「チャネル」と「オーミック接触している」領域が,本願発明11における「前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するソース電極を含むソース領域」に相当する。

エ 引用発明1では,上記「チャネル」と「ドレイン電極132」はオーミック接触しており,ここで,「ソース電極131」と「ドレイン電極132」が離隔することは技術的に明らかである。そうすると,引用発明1において「ドレイン電極132」が「チャネル」と「オーミック接触」している領域が,本願発明11における「前記基板内に形成され前記ソース領域から離隔されるドレイン領域」に相当する。

オ 引用発明1における「ゲート電極133」は「ソース電極131とドレイン電極132との間に形成されたニッケルと金の積層体であって,チャネルとショットキー接合を形成している」ものであるから,本願発明11における「ゲートスタック」に相当する。また,引用発明1における「ゲート電極133」及び当該「ゲート電極133」が「チャネル」と「ショットキー接合を形成している」領域が,本願発明11における「前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するゲートスタックを含み,前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に位置するゲート領域」に相当する。

カ 引用発明1における「正孔注入部141」は,「第2の窒化物半導体層123の上に選択的に形成されたp型の第3の窒化物半導体層142と,第3の窒化物半導体層142の上に形成された正孔注入電極143とを有し,ドレイン電極132とゲート電極133との間に形成された」ものであるから,引用発明1における上記「p型の第3の窒化物半導体層142」が本願発明11における「前記基板の一部と接触するP型層」に相当し,引用発明1における上記「正孔注入部141」が本願発明11における「ホール注入領域」に相当する。

キ 引用発明1における「窒化シリコンからなる第1の保護膜127」は,「正孔注入部141」を覆うように形成されており,引用例1の図7から,「第3の窒化物半導体層142」の上面の一部を覆っていることが見て取れるから,本願発明11における「前記P型層の上面の第一の領域にわたって延在する誘電体層」に相当する。

ク 引用発明1における「ドレイン電極132」は,本願発明11における「ドレイン電極を形成するために前記基板のドレイン領域に渡って延在」する「金属層」に対応する。

ケ 引用発明1における「正孔注入電極143」は,本願発明11における「ホール注入電極を形成するために」「前記P型層の」「前記上面の第二の領域に渡って延在」する「金属層」に対応する。

コ 引用発明1における「ドレイン電極配線136A」」は,「ドレイン電極132と正孔注入電極143を覆い,第1の保護膜127に形成された開口部を介してドレイン電極132及び正孔注入電極143とそれぞれ接続されている」ものであり,「第1の保護膜127」の一部にわたって延在しているものと認められるから,本願発明11における「前記誘電体層の一部にわたって延在する,金属層」に対応する。

以上によれば,本願発明11と引用発明1の一致点及び相違点は,以下のとおりとなる。

(一致点)

「トランジスタであって,
半導体基板と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するソース電極を含むソース領域と,
前記基板内に形成され前記ソース領域から離隔されるドレイン領域と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するゲートスタックを含み,前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に位置するゲート領域と,
前記基板内に形成され前記基板の一部と接触するP型層を含み,前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間に位置するホール注入領域と,
前記P型層の上面の第一の領域にわたって延在する誘電体層と,
(1)ドレイン電極を形成するために前記基板のドレイン領域にわたって延在し,(2)ホール注入電極を形成するために前記P型層の前記上面の第二の領域にわたって延在し,(3)前記誘電体層の一部にわたって延在する,金属層と,
を備える,トランジスタ。」

(相違点1)

本願発明11は,「(1)ドレイン電極を形成するために前記基板のドレイン領域にわたって延在し,(2)ホール注入電極を形成するために前記P型層の第一の側面に隣接して前記P型層の前記上面の第二の領域にわたって延在し,(3)フィールドプレートを形成するために前記誘電体層の一部にわたって延在する,単一のモノリシックな金属層」を備えるのに対し,引用発明1は,本願発明11の上記「金属層」に対応する構成として「ドレイン電極132」,「正孔注入電極143」及び「ドレイン電極配線136A」を備えるものの,それらは「単一のモノリシックな金属層」ではない点。

(相違点2)

本願発明11では,「金属層」が「前記P型層の第一の側面に隣接して」いるのに対し,引用発明1の「ドレイン電極132」,「正孔注入電極143」及び「ドレイン電極配線136A」は,「p型の第3の窒化物半導体層142」の側面に隣接していない点。

(相違点3)

本願発明11では,「金属層」が「フィールドプレートを形成するために前記誘電体層の一部にわたって延在」するのに対し,引用発明1では,「ドレイン電極配線136A」が「第1の保護膜127」の一部に渡って延在していると認められるものの,「フィールドプレートを形成」しているとは特定されていない点。

(2)相違点についての判断

はじめに相違点1について検討する。

上記引用例3には,「注入用電極14をドレイン電極12やソース電極やゲート部110と干渉しない位置に配置する」旨が記載され,上記引用例4には,「ソース電極6,ゲート電極7,およびドレイン電極8等の複数の電極を形成する金属材料」について列挙されているものの,「ドレイン電極132」,「正孔注入電極143」及び「ドレイン電極配線136A」を「単一のモノリシックな金属層」とすることは,記載も示唆もされていない。

また,電界効果トランジスタにおいて「ドレイン電極132」,「正孔注入電極143」及び「ドレイン電極配線136A」を「単一のモノリシックな金属層」とすることが,当業者の周知技術であると認めることはできない。

そうすると,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明11は,引用発明1及び引用例3~4の記載事項から当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明1~10,12~18について

本願発明1~10,12~18も,本願発明11と同じく「単一のモノリシックな金属層」を備えるものであるから,本願発明11と同じ理由により,引用発明1及び引用例3~4から当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定の概要は,請求項11~17に係る発明は,上記引用発明1に基づいて当業者が容易に発明できたものであり,請求項18~19に係る発明は,上記引用発明1及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

しかしながら,令和4年2月1日付け手続補正により補正された請求項11~18は「単一のモノリシックな金属層」との構成を有するものとなっており,上記第4の1.(2)のとおり,当該構成を有する本願発明11~18は,上記引用発明1及び上記引用例3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由(特許法36条6項2号)について

当審では,令和3年5月11日付けの手続補正により補正された本願の特許請求の範囲について,請求項1及び請求項11の「一体となった金属層」という記載の意味が不明確であり,そのため請求項1又は請求項11を引用する請求項2~10,12~18も不明確であるとの拒絶理由(特許法36条6項2号)を通知しているが,令和4年2月1日付けの手続補正において,「単一のモノリシックな金属層」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

第7 結言

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2021-006016

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  • 2025-001151拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立光電変換装置及び飛行体
    共通の審決分類: 121・H01L
  • 2024-013328拒絶査定不服審判 / 2026-03-30 / 請求不成立光起電力モジュールの製造方法及び光起電力モジュール
    共通の審決分類: 121・H01L

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