特許拒絶査定不服審判
2021-004372
電子機器、文字入力制御方法、及び文字入力制御プログラム
- 審判番号
- 2021-004372
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-004781外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月05日
- 審決日
- 2022年02月09日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 4781「電子機器、文字入力制御方法、及び文字入力制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 9日出願公開、特開2020- 57444〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成28年6月30日に出願した特願2016-130875の一部を令和2年1月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和2年 1月15日 :手続補正書
令和2年 7月22日付け:拒絶理由通知書
令和2年12月 3日 :意見書、手続補正書
令和2年12月21日付け:拒絶査定
令和3年 4月 5日 :審判請求書、手続補正書
令和3年11月 4日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月 5日 :意見書、手続補正書
2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、令和4年1月5日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1の縁に沿って並ぶ複数の第1の物理キーと、
前記筐体の第2の縁に沿って並ぶ複数の第2の物理キーと、
50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに直接割り当て、前記第1の物理キーに対する第1の操作を検出すると、前記第1の操作を検出した前記第1の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして、前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに直接割り当て、前記第2の物理キーに対する前記第1の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして、前記第2の物理キーに対する前記第2の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字の入力を確定するコントローラと、
を備える電子機器。」
3 拒絶の理由
令和3年11月4日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1: 特開平8-305476号公報
引用文献2: 特開2003-5895号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3: 特開2004-254268号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4: 特開2000-242399号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5: 特開2007-219594号公報(周知技術を示す文献)
4 引用文献の記載及び引用発明
(1) 引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
ア 段落【0006】
「【0006】この発明の目的は、初心者でも容易に操作できかつ小型化に適した入力装置を実現することにある。この発明の他の目的は、入力装置を備えるパーソナルコンピュータ等のさらなる普及とさらなる小型化とを図ることにある。」
イ 段落【0014】-【0019】
「【0014】この実施例において、簡易入力装置SIPDは、例えばJIS規格に適合したキーボードとの互換性を有し、図2に示されるように、コネクタCONを介してパーソナルコンピュータつまりそのキーボードコントローラKYBCに結合される。また、簡易入力装置SIPDは、所定の表示パネルDPと、5個のXキーX0~X4ならびに10個のYキーY0~Y9からなるキーパネルKPとを備え、さらに図示されないコントロールユニットCTLUを備える。
【0015】ここで、簡易入力装置SIPDのコントロールユニットCTLUは、特に制限されないが、図3に示されるように、ストアドプログラム方式の中央処理装置SCPUと、キーボードインタフェース部KBIF,キーパネルインタフェース部KPIFならびに表示パネル駆動部DPDとを含む。このうち、キーパネルインタフェース部KPIFは、オペレータにより打鍵されたキーパネルKPのキーを識別し、これを対応するデジタルコードに変換して、中央処理装置SCPUに伝達する。また、表示パネル駆動部DPDは、中央処理装置SCPUの指示を受けて表示パネルDPの指定部分を選択的に点灯し、キーボードインタフェース部KBIFは、キーボードとの互換性を実現すべく中央処理装置SCPUとキーボードコントローラKYBCとの間のインタフェース整合を行う。
【0016】この実施例において、簡易入力装置SIPDの表示パネルDPには、特に制限されないが、図4に示されるように、46文字のひらがながいわゆる五十音図に沿った形で格子状に配置される。また、XキーX0~X4は、これらのひらがなの母音つまりX座標を指定すべく対応して配置され、YキーY0~Y9は、その韻つまりY座標を指定すべく対応して配置される。これにより、XキーX0~X4ならびにYキーY0~Y9は、46文字のひらがなのX座標又はY座標を選択的に指定し入力するための選択キー及び入力キーとして併用される。
【0017】すなわち、例えばひらがなの『つ』を入力したい場合、オペレータはまずXキーX2を操作つまり打鍵した後、YキーY3を操作する。XキーX2の操作は、簡易入力装置SIPDのキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達される。これにより、中央処理装置CPU(当審注:「SCPU」の誤記と認める。)は、XキーX2が操作されたことを識別するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、表示パネルDPの母音『う』行に対応する部分を点灯して表示する。次に、YキーY3の操作は、やはりキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達され、中央処理装置SCPUは、先のXキーX2の操作と合わせて指定されたひらがなが『つ』であることを識別する。そして、この『つ』に対応するデジタルコードを生成し、キーボードインタフェース部KBIFを介してキーボードコントローラKYBCに入力するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、図5に示されるように、表示パネルDPのひらがな『つ』に対応する部分だけを点灯して表示する。
【0018】なお、この実施例では、特に制限されないが、Xキー及びYキーの操作順序を入れ換えることで、すなわちオペレータがまずYキーY0~Y9によりひらがなの韻つまり段を選択した後、XキーX0~X4によりその母音つまり行を選択することで、ひらがなに対応する片仮名を入力することができる。また、上記説明から明らかなように、簡易入力装置SIPDの表示パネルDPを用いた文字の選択は、ディスプレイ装置DPYによる本来の表示を阻害することなく行われる訳であって、通常のキーボードによる入力と何ら変わりはない。
【0019】以上のように、この実施例の簡易入力装置SIPDは、46文字のひらがなが格子状に配置された表示パネルDPと、表示パネルDPの外側つまりその上側及び左側に設けられた計15個のXキーX0~X4ならびにYキーY0~Y9とを備え、パーソナルコンピュータのオペレータは、これらのXキー及びYキーを所定の順序で操作するだけで所望するひらがな又は片仮名を容易に入力できるとともに、表示パネルDPの点灯によってそのキー操作を確認することができる。言うまでもなく、キーパネルKPに必要となるキーの数は、46文字のひらがな又は片仮名に対して15個で済み、その配列も容易に習得しやすい。この結果、初心者でも容易に操作できかつ小型化に適した入力装置を実現して、パーソナルコンピュータのさらなる普及とさらなる小型化とを図ることができる。」
ウ 【図4】
「
[図:0001383794000001.jpg]
」
(2) 引用発明
よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「簡易入力装置SIPDのコントロールユニットCTLUは、ストアドプログラム方式の中央処理装置SCPUと、キーボードインタフェース部KBIF,キーパネルインタフェース部KPIFならびに表示パネル駆動部DPDとを含み、
例えばひらがなの『つ』を入力したい場合、オペレータはまずXキーX2を操作つまり打鍵した後、YキーY3を操作し、XキーX2の操作は、簡易入力装置SIPDのキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達され、これにより、中央処理装置SCPUは、XキーX2が操作されたことを識別するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、表示パネルDPの母音『う』行に対応する部分を点灯して表示し、次に、YキーY3の操作は、やはりキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達され、中央処理装置SCPUは、先のXキーX2の操作と合わせて指定されたひらがなが『つ』であることを識別し、そして、この『つ』に対応するデジタルコードを生成し、キーボードインタフェース部KBIFを介してキーボードコントローラKYBCに入力するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、表示パネルDPのひらがな『つ』に対応する部分だけを点灯して表示し、
Xキー及びYキーの操作順序を入れ換えることで、すなわちオペレータがまずYキーY0~Y9によりひらがなの韻つまり段を選択した後、XキーX0~X4によりその母音つまり行を選択することで、ひらがなに対応する片仮名を入力することができ、
46文字のひらがなが格子状に配置された表示パネルDPと、表示パネルDPの外側つまりその上側及び左側に設けられた計15個のXキーX0~X4ならびにYキーY0~Y9とを備え、パーソナルコンピュータのオペレータは、これらのXキー及びYキーを所定の順序で操作するだけで所望するひらがな又は片仮名を容易に入力できるとともに、表示パネルDPの点灯によってそのキー操作を確認することができる、
簡易入力装置SIPD。」
(3) 引用文献2の記載
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている
ア 段落【0004】-【0006】
「【0004】本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、文字入力の操作性を向上させた携帯端末装置の提供を目的とする。
・・・(中略)・・・
【0006】かかる携帯端末装置によれば、子音入力部と母音入力部との操作により日本語の50音中、一文字を特定することができる。その結果、何度も同じキーを押すといった煩雑な操作が不要となり、文字入力の操作性を向上することができる。」
イ 段落【0026】-【0029】
「【0026】A.実施例1:
(A1)装置構成:図1は携帯電話の全体構成を示す説明図である。携帯電話10は、略箱型状の本体部11の正面に、10個の子音入力キー12を含む入力キー群13や、液晶ディスプレイ14を配してなる。子音入力キー12は、電話番号を入力する際の数字キーと兼用されている。その他に、音声通信を行うためのスピーカ15やマイク16が備えられている。側面には、母音入力キー17が5個配設されている。また、上部には、無線通信を行うためのアンテナ18が備えられている。10個の子音入力キーには、日本語の50音の各行の先頭文字である、「ア」「カ」「サ」「タ」「ナ」「ハ」「マ」「ヤ」「ラ」「ワ」がそれぞれ割り当てられ、5個の母音入力キーには「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の各文字がそれぞれ割り当てられている。
・・・(中略)・・・
【0029】(A3)文字入力処理:図4は、文字入力処理の流れを示すフローチャートである。携帯電話内の制御部は、子音入力キーからの入力を検出し、行を指定する(ステップS100)。続いて、母音入力キーからの入力を検出し、段を指定する(ステップS101)。制御部は、上記2つのステップにより入力された行と段とに基づき、先に説明した50音テーブルを参照し(ステップS102)、文字を特定する(ステップS103)。さらに、制御部は、再び母音入力キーの入力が行われたかどうかの検出を行う(ステップS104)。入力が行われなかった場合は、上記ステップS103において特定した文字が、ユーザ所望の文字であると確定する(ステップS105)。入力が行われた場合には、母音入力キーに割り当てられた文字変化機能(本機能については後述する)により、上記ステップS103によって特定した文字を、濁音、半濁音、促音、小母音、半母音のいずれかに変化させ(ステップS106)、文字を確定する(ステップS105)。最後に、制御部は、確定した文字を液晶ディスプレイに表示し(ステップS107)、処理を終了する。ユーザが引き続き文字を入力する場合、制御部は本処理を繰り返し行う。」
(4) 引用文献3の記載
引用文献3には、段落【0003】-【0005】に、図面とともに以下の事項が記載されている
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
日本語を入力する際に数多くキー及びボタンを押す必要があった。例えば「お」の入力には「あ行」のキー及びボタンを5 回おす必要がある。
【0004 】
【課題を解決する為の手段】
10個のキー及びボタンに子音、5個のキー及びボタンに母音、1個のキー及びボタンに句点、濁点などの記号の役割を振り当てることにより効率良く日本語を入力することが出来るようにした。
【0005 】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ).10個のキー及びボタン▲1▼に子音を割り当てる。
(ロ).5個のキー及びボタン▲2▼に母音を割り当てる。
(ハ).1個のキー及びボタン▲3▼に句点、濁点などの記号の役割を振り当てる。」
(5) 引用文献4の記載
引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている
ア 【図4】、及び、段落【0024】-【0027】
「
[図:0001383794000002.jpg]
」
「【0024】例えば、文字入力例として簡単なひらがなで「こんにちは」と入力する。図4~図8は、この入力ステップに対応した図である。先ず、所定キー操作を行いメール作成モードに切り替え、「こ」を入力する場合、使用者は2キーを視認して図4.1に示すようにか行に対応する2キーに触れたのち、2キーを押圧操作すると、文字入力候補はか行に選択される(図4.2)。
【0025】ここで、2キーを触れた時点で、この接触をタッチセンサ30が検知し、制御回路9は「か行」という音声をスピーカー6から発する。これにより、使用者は、現在か行のキーに触れていることが音声により確認できる。また、キーに触れると、表示部4の最下部には、少なくともこのキーに対応したか行(所定行)の5文字が表示され、本例では、図3中カ行(A1行目)の10文字列がガイド表示される。
・・・(中略)・・・
【0027】そして、使用者はこのガイド表示を見て、こを入力するには次に5キーを押すことが容易に分かり、図4.3に示すように5キーに触れると、コと音声を発し、5キーを押圧操作すると、表示部3に文字入力候補が「こ」に設定される。」
イ 【図5】、及び、段落【0028】-【0029】
「
[図:0001383794000003.jpg]
」
「【0028】次に文字「ん」を入力する場合は、図5に示すように使用者は0キーを視認して図5.1に示すようにわ行に対応する0キーに触れたのち、0キーを押圧操作すると、文字入力候補はワ行に選択される(図5.2)。また、0キーを触れた時点で、「ワ行」という音声をスピーカー6から発するとともに、表示部4の最下部には、図3中か行(A0行目)の10文字列がガイド表示される。
【0029】そして、使用者はこのガイド表示を見て、次に3キーを押すことが容易に分かり、図5.3に示すように3キーに触れると、んと音声を発し、0キーを押圧操作すると、表示部3に文字入力候補が「こ」に続いて「ん」に設定される。」
ウ 【図6】、及び、段落【0030】-【0031】
「
[図:0001383794000004.jpg]
」
「【0030】次に文字「に」を入力する場合は、図6に示すように使用者は0キーを視認して図6.1に示すようにな行に対応する5キーに触れたのち、5キーを押圧操作すると、文字入力候補はな行に選択される(図6.2)。また、5キーを触れた時点で、な行という音声をスピーカー6から発するとともに、表示部4の最下部には、図3中な行(A5行目)の10文字列がガイド表示される。
【0031】そして、使用者はこのガイド表示を見て、次に2キーを押すことが容易に分かり、図6.3に示すように2キーに触れると、にと音声を発し、2キーを押圧操作すると、表示部3に文字入力候補が「ん」に続いて「に」に設定される。」
エ 【図7】、及び、段落【0032】-【0033】
「
[図:0001383794000005.jpg]
」
「【0032】続いて、文字「ち」を入力する場合は、図7に示すように使用者は4キーを視認して図7.1に示すようにた行に対応する4キーに触れたのち、4キーを押圧操作すると、文字入力候補はた行に選択される(図7.2)。また、4キーを触れた時点で、た行という音声をスピーカー6から発するとともに、表示部4の最下部には、図3中タ行(A4行目)の10文字列がガイド表示される。
【0033】そして、使用者はこのガイド表示を見て、次に2キーを押すことが容易に分かり、図7.3に示すように2キーに触れると、チと音声を発し、2キーを押圧操作すると、表示部3に文字入力候補が「に」に続いて「ち」に設定される。」
オ 【図8】、及び、段落【0034】-【0038】
「
[図:0001383794000006.jpg]
」
「【0034】最後に文字「は」を入力する場合は、図8に示すように使用者は0キーを視認して図8.1に示すようには行に対応する6キーに触れたのち、6キーを押圧操作すると、文字入力候補はは行に選択される(図8.2)。また、6キーを触れた時点で、は行という音声をスピーカー6から発するとともに、表示部4の最下部には、図3中は行(A6行目)の10文字列がガイド表示される。
【0035】そして、使用者はこのガイド表示を見て、次に1キーを押すことが容易に分かり、図8.3に示すように1キーに触れると、ンと音声を発し、1キーを押圧操作すると、表示部3に文字入力候補が「ち」に続いて「は」に設定される。
【0036】このように本例では、文字入力機能は、テンキー4hのうちA,Bに対応するキーをそれぞれ1回押圧操作することで、図3の文字マップのうち1つの文字入力候補が設定されるようになっている。これにより、文字入力操作のキー操作回数を低減することができる。
【0037】また、これに加えて、文字入力操作時にテンキー4hのうち文字入力候補がいずれに対応するかを使用者に視認させるガイド表示を行なうので、使用者は図3のマップを記憶することなく、確実に文字入力を行なうことができ、操作性を向上できる。
【0038】また、これらに加えて、触れるキーがどの文字に対応しているか、音声でガイドしてくれるので、視覚障害者にも容易に文章を作成することができる。」
(6) 引用文献5の記載
引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている
ア 【図7】
「
[図:0001383794000007.jpg]
」
イ 段落【0036】-【0037】
「【0036】
図7に入力したキーの音声出力と表示出力の例を示す。図7は、「かな入力方式」における「あ」行のキーを押した場合の例を示すもので、「あ」行のキーを押す度に表示も音声も「あ」→「い」→「う」→「え」→「お」と出力する。図7は5回のキーの押下の時の出力を示しているが、それ以降のキー押下は「あ」から「お」までの音声と表示が繰り返される。
【0037】
以上により、視覚に障害のある操作者、あるいはブラインドタッチの苦手の操作者は、キーを押する毎にこの音声が出力されるので押下したキーの確認ができる。また、視力が衰えている操作者は文字確認表示域520に表示される大きな文字を見ても同様に確認できる。
(第2の実施例)
第2の実施例では、文字確定のキーを押したときにそれまで入力した文字の音声を出力する例である。また、ここでは音声確認キーを備え、音声出力された音声を聞き逃したとき再度音声出力を行うことができる。これらの実施例を図8から図11を用いて説明する。」
5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1) 引用発明の「46文字のひらがなが格子状に配置された表示パネルDPと、表示パネルDPの外側つまりその上側及び左側に設けられた計15個のXキーX0~X4ならびにYキーY0~Y9とを備え」ている「簡易入力装置SIPD」は、【図4】を参照すると、「表示パネルDP」や「計15個の」XキーとYキー等を設置するための、何らかの「筺体」に収容されていることは明らかであって、これは、本願発明の「筐体」に相当するといえる。
(2) 引用発明において「Xキー及びYキーの操作順序を入れ換える」場合、「表示パネルDPの」「左側に設けられた」10個の「YキーY0~Y9」は、本願発明の「前記筐体の第1の縁に沿って並ぶ複数の第1の物理キー」に相当する(【図4】を参照。)。
(3) 引用発明において「Xキー及びYキーの操作順序を入れ換える」場合、「表示パネルDPの」「上側」「に設けられた」5個の「XキーX0~X4」は、本願発明の「前記筐体の第2の縁に沿って並ぶ複数の第2の物理キー」に相当する(【図4】を参照。)。
(4)ア 引用発明において、「中央処理装置SCPU」を含む「簡易入力装置SIPDのコントロールユニットCTLU」は、本願発明の「コントローラ」に相当する。
イ 引用発明の「YキーY0~Y9」を「選択」することは、本願発明の「第1の物理キー」の「第2の操作」に相当する。
また、引用発明の「YキーY0~Y9によりひらがなの韻つまり段を選択」できることは(当審注:引用文献1では、記載上、日本語の50音図に関する用語の「行」と「段」が、通常の用法とは逆転している。)、本願発明において「50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに直接割り当て」ていることと、「50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに割り当て」ている点で共通するといえる。
ウ 引用発明の「XキーX0~X4」を「選択」することは、本願発明の「第1の物理キー」の「第2の操作」に相当する。
また、引用発明の「XキーX0~X4によりその母音つまり行を選択することで、ひらがなに対応する片仮名を入力することができ」ることは(当審注:引用文献1では、記載上、日本語の50音に関する用語の「行」と「段」が、通常の用法とは逆転している。)、本願発明において「前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに直接割り当て」ていることと、「前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに割り当て」ている点で共通するといえる。
また、引用発明の「XキーX0~X4によりその母音つまり行を選択することで、ひらがなに対応する片仮名を入力することができ」ることは、本願発明において「前記第2の物理キーに対する前記第2の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字の入力を確定する」ことに相当する。
エ 上記ア-ウから、引用発明の「例えばひらがなの『つ』を入力したい場合、オペレータはまずXキーX2を操作つまり打鍵した後、YキーY3を操作し、XキーX2の操作は、簡易入力装置SIPDのキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達され、これにより、中央処理装置SCPUは、XキーX2が操作されたことを識別するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、表示パネルDPの母音『う』行(当審注:引用文献1では、記載上、日本語の50音に関する用語の「行」と「段」が、通常の用法とは逆転している。)に対応する部分を点灯して表示し、次に、YキーY3の操作は、やはりキーパネルインタフェース部KPIFを介して中央処理装置SCPUに伝達され、中央処理装置SCPUは、先のXキーX2の操作と合わせて指定されたひらがなが『つ』であることを識別し、そして、この『つ』に対応するデジタルコードを生成し、キーボードインタフェース部KBIFを介してキーボードコントローラKYBCに入力するとともに、表示パネル駆動部DPDに所定の駆動信号を出力し、表示パネルDPのひらがな『つ』に対応する部分だけを点灯して表示し、
Xキー及びYキーの操作順序を入れ換えることで、すなわちオペレータがまずYキーY0~Y9によりひらがなの韻つまり段を選択した後、XキーX0~X4によりその母音つまり行を選択することで、ひらがなに対応する片仮名を入力することができ」ることは、本願発明の「50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに直接割り当て、前記第1の物理キーに対する第1の操作を検出すると、前記第1の操作を検出した前記第1の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして、前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに直接割り当て、前記第2の物理キーに対する前記第1の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして、前記第2の物理キーに対する前記第2の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字の入力を確定するコントローラ」と、「50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに割り当て、前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに割り当て、前記第2の物理キーに対する前記第2の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字の入力を確定するコントローラ」である点で共通するといえる。
(5) 引用発明の「簡易入力装置SIPD」は、本願発明の「電子機器」に相当する。
(6) したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。
[一致点]
「筐体と、
前記筐体の第1の縁に沿って並ぶ複数の第1の物理キーと、
前記筐体の第2の縁に沿って並ぶ複数の第2の物理キーと、
50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに割り当て、前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに割り当て、前記第2の物理キーに対する前記第2の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字の入力を確定するコントローラと、
を備える電子機器。」
[相違点1]
本願発明では、「50音図の各行を予め複数の前記第1の物理キーのそれぞれに直接割り当て」るのに対して、引用発明では、「YキーY0~Y9」に対して、「直接」50音の行を割り当てることが特定されていない点。
[相違点2]
本願発明では、「第1の物理キー」に対する「第2の操作」に先立って、「前記第1の物理キーに対する第1の操作を検出すると、前記第1の操作を検出した前記第1の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして」いるのに対し、引用発明では、「YキーY0~Y9」の操作について「音声読み上げ」をしない点。
[相違点3]
本願発明では、「前記第1の物理キーに対応する行の各段の仮名を、第2の操作が検出された前記第1の物理キーに対応付けられている複数の前記第2の物理キーのそれぞれに直接割り当て」るのに対して、引用発明では、「XキーX0~X4」に対して、「直接」50音の段を割り当てることが特定されていない点。
[相違点4]
本願発明では、「第2の物理キー」に対する「第2の操作」に先立って、「前記第2の物理キーに対する前記第1の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして」いるのに対し、引用発明では、「XキーX0~X4」の操作について「音声読み上げ」をしない点。
6 当審の判断
[相違点1]、[相違点3]について
一般に、日本語の50音をキー入力する場合、複数のキーそれぞれに、50音の「子音」に対応する各「行」と、「母音」に対応する各「段」とを、「直接」割り当てることは、周知技術である。
この点について、必要ならば、例えば、上記「4(3) 引用文献2の記載」の、特に、段落【0026】「10個の子音入力キーには、日本語の50音の各行の先頭文字である、「ア」「カ」「サ」「タ」「ナ」「ハ」「マ」「ヤ」「ラ」「ワ」がそれぞれ割り当てられ、5個の母音入力キーには「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の各文字がそれぞれ割り当てられている。」の記載、及び、上記「4(4) 引用文献3の記載」の、特に、段落【0005】「(イ).10個のキー及びボタン▲1▼ に子音を割り当てる。(ロ).5個のキー及びボタン▲2▼ に母音を割り当てる。」の記載を参照。
よって、10個のYキーY0~Y9と、5個のXキーX0~X4によって50音の行と段を選択することで、50音をキー入力する引用発明に、上記周知技術を適用することによって、50音の行を10個のYキーY0~Y9のそれぞれに「直接」割り当てるとともに、50音の段を5個のXキーX0~X4のそれぞれに「直接」割り当てることで、本願発明の上記[相違点1]、[相違点3]に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
[相違点2]、[相違点4]について
一般に、キー入力操作をガイドするために、入力キーに対応する文字の音声による「読み上げ」を行うことは、いわゆる「音声ガイダンス」として、周知技術である。
この点について、必要ならば、例えば、上記「4(5) 引用文献4の記載」の、特に、段落【0038】「また、これらに加えて、触れるキーがどの文字に対応しているか、音声でガイドしてくれるので、視覚障害者にも容易に文章を作成することができる。」の記載、及び、上記「4(6) 引用文献5」の、特に、段落【0036】-【0037】「図7に入力したキーの音声出力と表示出力の例を示す。図7は、「かな入力方式」における「あ」行のキーを押した場合の例を示すもので、「あ」行のキーを押す度に表示も音声も「あ」→「い」→「う」→「え」→「お」と出力する。図7は5回のキーの押下の時の出力を示しているが、それ以降のキー押下は「あ」から「お」までの音声と表示が繰り返される。以上により、視覚に障害のある操作者、あるいはブラインドタッチの苦手の操作者は、キーを押する毎にこの音声が出力されるので押下したキーの確認ができる。」の記載を参照。
さらに、キー入力に対して「音声ガイダンス」を提供するタイミングは、当業者が操作の確実性や容易性等を考慮して適宜選択すべき設計的事項であって、キーに触れたときのように、キー入力に先立って音声ガイダンスを提供することも、キー入力の実行後に音声ガイダンスを提供することも、周知技術である。
この点について、前者のキー入力に先立って音声ガイダンスを行うことについては、必要ならば、例えば、上記「4(5) 引用文献4の記載」、図4-図8、及び、各図に対応する明細書の記載において、キーに手を触れた段階で(図4-8の各図中の「1」と「3」の段階を参照。)、キー入力に先立って(図4-8の各図中の「2」と「4」の段階を参照。)、音声ガイダンスを提供している点を参照。
また、後者のキー入力の実行後に音声ガイダンスを行うことについては、必要ならば、例えば、上記「4(6) 引用文献5の記載」において、「キーを押す度に」音声ガイダンスを提供している点を参照。
一方、引用発明は、「初心者でも容易に操作できかつ小型化に適した入力装置を実現すること」(段落【0006】)を課題とする発明であることから、引用発明には、キー入力操作をさらに容易化するために、「表示パネルDPの点灯によってそのキー操作を確認すること」に加え、周知技術である音声ガイダンスを提供することの起因、動機付けがあるといえる。
よって、引用発明において、Yキー、Xキーそれぞれについて、キー入力操作をガイドするために、入力キーに対応する文字の音声による「読み上げ」を行う、上記周知技術を付加するとともに、この際、このような音声ガイダンスを提供するタイミングとして、キーに触れたときのように、キー入力に先立って行う周知技術を採用することで、引用発明の「Yキー」について、「前記第1の物理キーに対する第1の操作を検出すると、前記第1の操作を検出した前記第1の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして」、また、引用発明の「Xキー」について、「前記第2の物理キーに対する前記第1の操作を検出すると、前記第2の物理キーに割り当てられている文字を音声読み上げして」、本願発明の上記[相違点2]、[相違点4]に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-004372