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特許拒絶査定不服審判

2021-003660

遊技機

審判番号
2021-003660
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-194062外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月22日
審決日
2021年10月19日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-194062号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018- 51207号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成28年9月30日の出願であって、令和1年9月26日に手続補正書が提出され、令和2年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年8月19日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月15日付け(謄本送達日:同年同月26日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年3月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年3月22日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和2年8月19日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1及び2のうち、請求項1に、

「演出を制御可能な演出制御手段を備え、
当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
前記演出制御手段は、
第1演出、又は、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されていることを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「演出を制御可能な演出制御手段を備え、
当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
前記演出制御手段は、
所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、
前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されていることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。下記(2)についても同様。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1演出、又は、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、」との記載を「所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、」とする補正事項からなる。

2 補正の適否について

(1)補正の目的

ア 上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「第1演出」及び「第2演出」について、「所定の分岐タイミングを経て、」「実行可能であ」るものに限定するものである。

イ 上記アからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0164】、図61、図62及び図64等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について

そこで、請求項1に係る本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしIについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。下記第3の1でも同様。)。

「A 演出を制御可能な演出制御手段を備え、
B 当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
C 前記演出制御手段は、
所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、
D 前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
E 当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
F 前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
G 前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
H 前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されている
I ことを特徴とする遊技機。」

(2)特許法第36条第6項第1号について

ア 本件の請求項1の「所定の分岐タイミングを経て、」「第1演出」及び「第2演出」を「実行可能であ」るという事項(以下「記載事項」という。)は、本願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載されていない。

イ 請求人の主張する補正の根拠

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請求人は、審判請求書の請求の理由において、以下のように補正の根拠を主張している。

「2.補正の説明
請求項1において、「所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり」の記載に補正致しました。この補正は、図61に示す弱SPリーチと、図62に示す炎ロゴリーチと、段落[0164]の「遊技者が弱SPリーチと分かった時点からの演出を弱SPリーチとし、遊技者が炎ロゴリーチと分かった時点からの演出を炎ロゴリーチとし、遊技者が金ロゴリーチと分かった時点からの演出を金ロゴリーチとして説明する。鎧準備演出の直後、言い換えると弱SPリーチ又は炎ロゴリーチ或いは金ロゴリーチの何れになるのかが判別する直前に、ストック消化タイミングを設けることにしている。このストック消化タイミングを「鎧着用前消化タイミング」と呼ぶことにする」の記載と、に基づいています。従って、「鎧着用前消化タイミング(図64参照)」が、本願発明の「所定の分岐タイミング」に相当します。また、「遊技者が弱SPリーチと分かった時点からの演出、即ち図61(C)(D)(E)(F)」が、本願発明の「第1演出」に相当し、「遊技者が炎ロゴリーチと分かった時点からの演出、即ち図62(D)(E)(F)(G)(H)」が、本願発明の「第2演出」に相当します。
・・・略・・・
従いまして今回の特許請求の範囲の補正は、いわゆる新規事項の追加にあたりません。また請求項1についての補正は、補正前の請求項1の発明特定事項を全て含むものであるから、いわゆるシフト補正には該当しません。また請求項1についての補正は、本願発明の「第1演出」と「第2演出」とが所定の分岐タイミングを経て実行されることを限定したものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものです。」

ウ 明細書等の記載

請求人が補正の根拠とする、【0164】、図61、図62及び図64には、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0164】
ここで鎧準備演出は、SPリーチ(弱SPリーチ、炎ロゴリーチ、金ロゴリーチ)の一部とも考えることもできるが、本明細書では、遊技者が弱SPリーチと分かった時点からの演出を弱SPリーチとし、遊技者が炎ロゴリーチと分かった時点からの演出を炎ロゴリーチとし、遊技者が金ロゴリーチと分かった時点からの演出を金ロゴリーチとして説明する。鎧準備演出の直後、言い換えると弱SPリーチ又は炎ロゴリーチ或いは金ロゴリーチの何れになるのかが判別する直前に、ストック消化タイミングを設けることにしている。このストック消化タイミングを「鎧着用前消化タイミング」と呼ぶことにする。なおSPリーチに発展する前の演出が、本発明の「通常演出」に相当する。」
(イ)「【図61】
[図:0001380804000001.jpg]
」
(ウ)「【図62】
[図:0001380804000002.jpg]
」
(エ)「【図64】
[図:0001380804000003.jpg]
」

エ 上記記載事項に対応する記載として、明細書等には、【0164】に「鎧準備演出の直後、言い換えると弱SPリーチ又は炎ロゴリーチ或いは金ロゴリーチの何れになるのかが判別する直前に、ストック消化タイミングを設けることにしている。このストック消化タイミングを「鎧着用前消化タイミング」と呼ぶことにする。」と記載され、当該記載に対応する図が図61及び図62に示されている。

これらの記載からみて、明細書等には、鎧準備演出及び鎧着用前消化タイミングを経て、図61(C)(D)(E)(F)で示される遊技者が弱SPリーチと分かった時点からの演出(第1演出)、及び、図62(D)(E)(F)(G)(H)で示される遊技者が炎ロゴリーチと分かった時点からの演出(第2演出)のいずれかを実行可能であることが記載されているといえる。

一方、上記記載事項において、「所定の分岐タイミング」は、その字義どおり、何らかの分岐点となる所定タイミングと解釈することが相当であるところ、例えば、変動開始のためのコマンドを主制御装置から受信したか否かの判断の分岐タイミング、変動パターンが決定されることにより、擬似連の回数が決まる分岐タイミング等、遊技機における外面的な演出のタイミングに限らず、遊技機の内部的な様々なタイミングを含むことは明らかである。

してみると、上記記載事項は、遊技機内部における何らかの区切りとなる分岐タイミングを任意に設定し、該分岐タイミングを経て、第1演出及び第2演出のいずれかを実行可能である構成を含むものであると認められる。

しかしながら、このような構成は、明細書等の【0164】、図61、図62及び図64に記載されているとも示唆されているとも認められない。また、明細書等の他の箇所にも、記載ないし示唆されているとは認められない。

そうすると、明細書等には、上記記載事項について記載も示唆もされておらず、自明でもない。

したがって、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(3)特許法第36条第6項第2号について

本願補正発明は、「所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能」、「所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能」との特定事項を含むところ、「所定の分岐タイミング」との記載からは、何かが分かれる時点であることは理解されるものの、何が分かれる分岐タイミングであるのか、例えば、変動開始のためのコマンドを主制御装置から受信したか否かの判断の分岐タイミング、変動パターンが決定されることにより、擬似連の回数が決まる分岐タイミング、等様々な意味に解釈することができ、「所定の分岐タイミング」が何を意味するのかを理解することができない。

したがって、本願補正発明は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(4)引用例、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-137244号公報(平成28年8月4日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示手段にあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載された遊技機では、演出とその実行タイミングとによる演出効果を考慮した制御が行われていないため、特定画像を用いた演出の演出効果を十分に向上させることができない。
【0010】
そこで、本発明は、特定画像を用いた演出の演出効果を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」
イ 「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
・・・略・・・
【0020】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアがあるが、図柄表示エリアの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリアの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。」
ウ 「【0044】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」
エ 「【0093】
なお、この実施の形態では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、一部の場合を除いて、リーチ演出が実行される。この実施の形態では、詳細は後述するが、リーチ状態とならずに大当り図柄が停止表示する変動パターンとして「リーチなし大当り」(「突発大当り」ともいう)が設けられている。なお、突然確変大当りの場合には、リーチとはならずに突然確変大当り図柄(例えば「135」)が停止表示されることとしてもよい。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100である。
・・・略・・・
【0114】
また、図6に示すように、この実施の形態では、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、非リーチPA1-5、ノーマルPA2-3~ノーマルPA2-4、ノーマルPB2-3~ノーマルPB2-4、スーパーPA3-3~スーパーPA3-4、スーパーPB3-3~スーパーPB3-4、特殊PG1-1~特殊PG1-3、特殊PG2-1~特殊PG2-2の変動パターンが用意されている。なお、図6において、特殊PG1-1~特殊PG1-3、特殊PG2-1~特殊PG2-2の変動パターンは、突然確変大当りまたは小当りとなる場合に使用される変動パターンである。また、図6に示すように、突然確変大当りまたは小当りでない場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-3を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-4を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3-3~スーパーPA3-4を用いる場合には、再変動が3回行われる。また、突然確変大当りまたは小当りの場合に使用され擬似連の演出を伴う特殊PG1-3の変動パターンについては、再変動が1回行われる。また、非リーチPA1-5を用いる場合には、リーチ演出を行わずに大当りとなる。以下、リーチ演出を行わない大当りを「突発大当り」ということがある。」
オ 「【図6】
[図:0001380804000004.jpg]
」
カ 「【0159】
図11(A),(B)は、ROM54に記憶されている当り変動パターン判定テーブル137A~137Bを示す説明図である。当り変動パターン判定テーブル137A~137Bは、可変表示結果を「大当り」や「小当り」にする旨の判定がなされたときに、大当り種別や変動パターン種別の決定結果などに応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。各当り変動パターン判定テーブル137A~137Bは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。すなわち、変動パターン種別をノーマルCA3-1~ノーマルCA3-2、スーパーCA3-3、非リーチCA3-4のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Aが使用テーブルとして選択され、変動パターン種別を特殊CA4-1、特殊CA4-2のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Bが使用テーブルとして選択される。各当り変動パターン判定テーブル137A~137Bは、変動パターン種別に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)の値と比較される数値(判定値)であって、演出図柄の可変表示結果が「大当り」である場合に対応した複数種類の変動パターンのいずれかに対応するデータ(判定値)を含む。
【0160】
なお、図11(A)に示す例では、変動パターン種別として、ノーマルリーチのみを伴う変動パターンを含む変動パターン種別であるノーマルCA3-1と、ノーマルリーチおよび擬似連を伴う変動パターンを含む変動パターン種別であるノーマルCA3-2と、スーパーリーチを伴う(スーパーリーチとともに擬似連や特別演出を伴う場合もある)変動パターンを含む変動パターン種別であるスーパーCA3-3と、突発大当りのみを伴う変動パターンを含む変動パターン種別である非リーチCA3-4とに種別分けされている場合が示されている。また、図11(B)に示す例では、変動パターン種別として、非リーチの変動パターンを含む変動パターン種別である特殊CA4-1と、リーチを伴う変動パターンを含む変動パターン種別である特殊CA4-2とに種別分けされている場合が示されている。なお、図11(B)において、リーチの有無によって変動パターン種別を分けるのではなく、擬似連や滑り演出などの特定演出の有無によって変動パターン種別を分けてもよい。この場合、例えば、特殊CA4-1は、特定演出を伴わない変動パターンである特殊PG1-1と特殊PG2-1を含むようにし、特殊CA4-2は、特定演出を伴う特殊PG1-2、特殊PG1-3および特殊PG2-2を含むように構成してもよい。
【0161】
図12は、ROM54に記憶されているはずれ変動パターン判定テーブル138Aを示す説明図である。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。」
キ 「【図11】
[図:0001380804000005.jpg]
【図12】
[図:0001380804000006.jpg]
」
ク 「【0190】
この実施の形態では、決定された変動カテゴリコマンドにもとづいて予告演出が実行される。この実施の形態では、予告演出として、予告対象となる変動表示が開始されるよりも前から複数の変動にわたって実行されるプレゼント演出を行う。プレゼント演出は、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼントの中身の画像(以下、「プレゼント画像」)を表示する演出である。
【0191】
また、この実施の形態におけるプレゼント演出は、予告対象の変動よりも前の変動開始時から開始される。なお、詳細は後述するが、プレゼント演出の開始タイミングは、予告対象の保留記憶がなされるタイミングである。
続きを表示(全14行)
・・・略・・・
【0365】
次いで、演出制御用CPU101は、予告演出種別決定用の乱数にもとづいて、図42(A)に示す予告演出種別決定テーブルを用いて、実行する予告演出の種別を決定する(ステップS4004)。この実施の形態では、プレゼント演出は、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼントの中身の画像(以下、「プレゼント画像」)を表示する(プレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替える)。また、表示されたプレゼント画像によって、擬似連予告演出、発展先予告演出またはアクティブ保留予告演出のいずれかが実行される。つまり、ステップS4004では、表示するプレゼント画像とともに、プレゼント画像によって実行する演出が予告演出種別として決定される。
【0366】
擬似連予告演出は、演出表示装置9に、擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)が実行される(継続される)ことを示唆する擬似連予告画像(例えば、「擬似連継続!」:図48(a4)参照)が表示される演出である。この実施の形態では、プレゼント画像として擬似連予告画像が表示されることによって、擬似連予告演出が実行される。
・・・略・・・
【0373】
決定した予告演出種別が擬似連予告である場合には、演出制御用CPU101は、図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルを選択する。図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルには、変動パターンごとに決定事項(実行タイミング:「リーチ前(擬似連1回目)」、「リーチ前(擬似連2回目)」または「リーチ後」)に対応する判定値が割り当てられている。この実行タイミング「リーチ前(擬似連1回目)」、「リーチ前(擬似連2回目)」および「リーチ後」は、図43(A),(B)に示すt1,t2,t3に相当する。
【0374】
図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、擬似連予告演出は、リーチ成立前に実行され、擬似連3回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連1回:図43(A),(B)のt1に相当)よりもリーチ前(擬似連2回:図43(A),(B)のt2に相当)に実行される割合が高く、擬似連2回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連2回)に実行されないように判定値が設定されていることである。また、擬似連3回を伴う変動パターンであっても、表示結果が大当りである場合には、はずれである場合に比べて、リーチ前(擬似連2回:図43(A),(B)のt2に相当)に実行される割合が高くなるように判定値が設定されている。このような特徴を備えていることによって、擬似連予告演出が実行されることで、確実に擬似連が継続すること示すことができるとともに、擬似連1回目よりも擬似連2回目に実行される方が大当りとなる期待度を高くすることができる。すなわち、擬似連予告演出が実行されるタイミングによって、擬似連が継続する回数と大当りとなる期待度を異ならせることができる。」
ケ 「【図42】
・・・略・・・
[図:0001380804000007.jpg]
・・・略・・・
【図43】
[図:0001380804000008.jpg]
」
コ 「【0395】
次に、この実施の形態の演出表示装置9における表示例について説明する。図47~図51は、プレゼント演出実行時の表示例を示す説明図である。各表示例は、タイミング毎の表示装置9における表示例について示している。
【0396】
まず、変動中のタイミング(図47(a1))にて、始動入賞が発生し、新たに保留表示511が表示される(図47(a2))。このとき、内部的には、保留表示511の保留記憶を予告対象としたプレゼント演出の実行が決定される。そして、プレゼントボックス画像514が表示される。
続きを表示(全15行)
【0397】
次いで、変動が停止し(図47(a3))、新たな変動が開始される(図47(a4))。このとき、各保留表示がずらされて表示される。さらに、変動が停止すると(図47(a5))、プレゼント演出の予告対象の保留記憶に対する保留表示511がステージ512上にずらされ、プレゼント演出の予告対象の変動が開始される(図47(a6))。なお、図47に示す例では、プレゼントボックス画像514は、常に予告対象の保留表示の真上に表示されているが、任意の位置に表示することで、いずれの保留表示に対応しているのか認識できないようにしてもよい。このようにすることで、プレゼントボックス画像がいつプレゼント画像に切り替わるのか分からないため、遊技興趣を高めることができる。
【0398】
図48は、図47(a6)に続き、擬似連1回目で擬似連予告が実行される例を示している。図48に示す例では、プレゼント演出の予告対象の変動が開始されると(図48(a1))、1回目の仮停止表示が行われ(図48(a2))、1回目の擬似連(再変動)の最中にプレゼントボックス画像が擬似連予告画像(「擬似連継続!」)に切り替えられる擬似連予告が行われる(図48(a3)~(a4))。これによって、擬似連継続が確定し、2回目の仮停止表示と2回目の擬似連が行われる(図48(a5))。なお、図48(a4)のタイミングは、図43(A)のt1のタイミングに相当する。
【0399】
一方、図49は、図48(a3)に続き、擬似連2回目で擬似連予告が実行される例を示している。図49に示す例では、2回目の仮停止表示が行われ(図49(a1))、2回目の擬似連(再変動)の最中にプレゼントボックス画像が擬似連予告画像(「擬似連継続!」)に切り替えられる擬似連予告が行われる(図49(a2)~(a3))。これによって、擬似連継続が確定し、3回目の仮停止表示と3回目の擬似連が行われる(図49(a4))。なお、図49(a3)のタイミングは、図43(B)のt2のタイミングに相当する。
・・・略・・・
【0402】
なお、この実施の形態では、プレゼント演出において、決定された実行タイミングに達したことを契機に、プレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替えられるが、例えば、実行タイミングに達したときに操作ボタン120の操作を促すメッセージを表示し、所定の操作有効期間内に操作ボタン120の操作が行われたことを契機に、プレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替えられるようにしてもよい。また、例えば、操作ボタン120の操作を促すメッセージを表示したが、所定の操作有効期間内に操作ボタン120の操作が行われなかった場合には、操作有効期間終了時にプレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替えるようにしてもよいし、切り替えないようにしてもよい(プレゼントボックス画像の表示を継続してもよいし、消去してもよい)。
【0403】
また、この実施の形態では、最大1個のプレゼント画像が表示され、予告対象の変動表示に対してプレゼント演出を1対1で行うように構成されているが、1つの予告対象の変動表示に対して複数のプレゼント演出を実行可能とするようにしてもよい。例えば、図52に示す変形例ように、プレゼント演出実行判定テーブルにおいて、入賞時判定結果に応じて、1演出または2演出を実行するように判定してもよい。この場合には、プレゼントデータQに、実行するプレゼント演出の数を示すデータを格納するようにしてもよい。」
サ 「【図47】
[図:0001380804000009.jpg]
【図48】
[図:0001380804000010.jpg]
【図49】
[図:0001380804000011.jpg]
」

シ 演出図柄の変動パターンを示す図6(上記オ)及び予告演出種別決定テーブルおよび予告演出実行タイミング決定テーブルを示す図42(上記ケ)の記載より、変動パターン「スーパーPA3-1」、「スーパーPA3-2」、「スーパーPA3-3」及び「スーパーPA3-4」は、それぞれ、「擬似連2回スーパーリーチはずれ」、「擬似連3回スーパーリーチはずれ」、「擬似連2回スーパーリーチ大当り」及び「擬似連3回スーパーリーチ大当り」という演出内容に相当する。

また、当り変動パターン判定テーブルを示す説明図である図11(A)(上記キ)より、変動パターン種別として決定された「スーパーCA3-3」のうち、変動パターン「スーパーPA3-3」の判定値は「1~268」、変動パターン「スーパーPA3-4」の判定値は「269~660」であるから、擬似連2回スーパーリーチ当たりPA3-3の割合が268/997、擬似連3回スーパーリーチ当たりPA3-4(擬似連3回)の割合が392/997である。

また、はずれ変動パターン判定テーブルを示す説明図である図12(上記キ)より、変動パターン種別として決定された「スーパーCA2-7」のうち、変動パターン「スーパーPA3-1」の判定値は「1~268」、変動パターン「スーパーPA3-2」の判定値は「269~560」であるから、擬似連2回スーパーリーチ当たりPA3-3の割合が268/997、擬似連3回スーパーリーチ当たりPA3-4(擬似連3回)の割合が292/997である。

そこで、擬似連2回スーパーリーチの場合は、大当り及びはずれの双方で判定される割合(いずれも「268/997」)が変わらないのに対し、擬似連3回スーパーリーチの場合は、大当りの方がはずれの場合より判定される割合(大当り:「392/997」、はずれ:「292/997」)が高くなっている。

そうすると、擬似連2回スーパーリーチより、擬似連3回スーパーリーチが実行された場合の方が、大当りの可能性があるといえるから、パチンコ遊技機1は、擬似連2回スーパーリーチと、該擬似連2回スーパーリーチより大当りになる可能性が高い擬似連3回スーパーリーチを実行可能であることが認定できる。

また、予告演出実行タイミング決定テーブルを示す図42(B)(上記ケ)の記載からみて、擬似連予告演出はスーパーリーチにおけるものであることが認定できる。

ス 上記アないしシから、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしiについては本願補正発明の特定事項AないしIに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 演出表示装置9で演出表示を実行させる演出制御用マイクロコンピュータを備え(【0020】)、
b 第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに特定遊技状態(大当り遊技状態)が生起する(【0044】)、パチンコ遊技機1(【0015】)であって、
c、d 演出制御用マイクロコンピュータは、
乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、演出の制御を実行するものであり(【0093】)、擬似連2回スーパーリーチと、該擬似連2回スーパーリーチより大当りになる可能性が高い擬似連3回スーパーリーチを実行可能であり(上記シ)、
e-h 予告演出として、予告対象となる変動表示が開始されるよりも前から複数の変動にわたって実行されるプレゼント演出を行い、該プレゼント演出は、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼント画像を表示する演出であり(【0190】)、
プレゼント画像として擬似連予告画像が表示されるスーパーリーチにおける擬似連予告演出は、擬似連3回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連1回目)よりもリーチ前(擬似連2回目)に実行される割合が高く、擬似連2回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連2回目)に実行されないように判定値が設定されている(【0366】、【0373】、【0374】、上記シ)、
i パチンコ遊技機1(【0015】)。」(以下「引用発明」という。)

(5)対比

本願補正発明と引用発明とを対比する(見出し(a)ないし(i)は、本願補正発明の特定事項AないしIに概ね対応する。)。

(a)引用発明の「演出表示」及び「演出制御用マイクロコンピュータ」は、それぞれ本願補正発明の「演出」及び「演出制御手段」に相当する。

また、引用発明のaにおいて、演出表示装置9で演出表示(演出)を実行させる演出制御用マイクロコンピュータ(演出制御手段)を備えているから、引用発明のaは、本願補正発明の「A 演出を制御可能な演出制御手段を備え、」との特定事項に相当する。

(b)(i)引用発明の「第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき」、「特定遊技状態(大当り遊技状態)」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の「当たりであると判定される」こと、「遊技者に有利な特別遊技状態」及び「遊技機」に相当する。

そして、引用発明のbは、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに(当たりであると判定されると)大当り遊技状態(遊技者に有利な特別遊技状態)が生起するパチンコ遊技機1との特定事項である。

そうすると、引用発明のbは、本願補正発明の「B 当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、」との特定事項に相当する。

また、引用発明のiは、本願補正発明の特定事項Iに相当する。

(c)(d)引用発明の「擬似連2回スーパーリーチ」は、それぞれ本願補正発明の「第1演出」に相当する。

また、引用発明の「擬似連3回スーパーリーチ」は、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)とは擬似連の回数が相違する点で異なる種類の演出であると認識可能であるといえるとともに、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)より大当りになる可能性が高いから、本願補正発明の「前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出」に相当する。

そして、引用発明のc、dにおいて、演出制御用マイクロコンピュータ(演出制御手段)は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を経た後、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)及び擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)のいずれかを実行可能とするものであるから、変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選タイミングが分岐点となり、該分岐点を経て、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)及び擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)のいずれかを実行可能とするものである。

ここで、本願補正発明の「所定の分岐タイミング」の意味について検討してみると、該「所定の分岐タイミング」は、その字義どおり、何らかの分岐点となる所定タイミングと解釈することが相当であるところ、例えば、変動開始のためのコマンドを主制御装置から受信したか否かの判断の分岐タイミング、変動パターンが決定されることにより、擬似連の回数が決まる分岐タイミング等、遊技機における外面的な演出のタイミングに限らず、遊技機の内部的な様々なタイミングを含むことは明らかである。

そうすると、引用発明の「変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選」のタイミングが、本願補正発明の「所定の分岐タイミング」に相当するといえる。

してみると、引用発明のc、dは、本願補正発明の「C 前記演出制御手段は、所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、」「D 前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、」との特定事項を備える。

(e)引用発明の「プレゼント画像を表示する演出」は、本願補正発明の「予告演出」に相当する。

引用発明のe-hにおいて、プレゼント画像を表示する演出(予告演出)を実行する予告演出としてのプレゼント演出は、スーパーリーチにおける擬似連予告演出で実行される。遊技機の技術分野において、スーパーリーチが当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する演出であることは、技術常識であり自明な事項である。

そうすると、引用発明のe-hは、本願補正発明の「E 当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、」との特定事項を備える。

(f)引用発明の「プレゼントボックス画像」は、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼント画像(予告演出)を表示するものであり、プレゼント画像(予告演出)の表示をストックされていることを示すといえるから、本願補正発明の「ストック表示」に相当する。

そうすると、引用発明のe-hは、本願補正発明の「F 前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、」との特定事項を備える。

(g)引用発明のe-hのプレゼント演出において、プレゼントボックス画像(ストック表示)を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックス(ストック表示)を開封してプレゼント画像(予告演出)を表示するのであるから、引用発明のe-hは、本願補正発明の「G 前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、」との特定事項を備える。

(h)引用発明のe-hにおいて、プレゼント画像(予告演出)が表示されるスーパーリーチにおける擬似連予告演出は、擬似連3回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連1回目)よりもリーチ前(擬似連2回目)に実行される割合が高く、擬似連2回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連2回目)に実行されないように判定値が設定されており、要するに、擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)でプレゼント画像(ストック表示の消化による予告演出)が表示されるタイミングは、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)でプレゼント画像(ストック表示の消化による予告演出)が表示されるタイミングよりも多く設定されている。

そうすると、引用発明のe-hは、本願補正発明の「H 前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されている」を備える。

以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、

「A 演出を制御可能な演出制御手段を備え、
B 当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
C 前記演出制御手段は、
所定の分岐タイミングを経て、第1演出を実行可能であり、
D 前記所定の分岐タイミングを経て、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
E 当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
F 前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
G 前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
H 前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されている
I 遊技機。」である点で一致し、相違する点がなく同一である。

以上のように、本願補正発明は、引用発明である。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は、審判請求書において、概ね以下のとおり主張している。

「3.新規性
審査官殿は、擬似連2回となるスーパーPA3-3(図42参照)が、本願発明の「第1演出」に相当し、擬似連3回となるスーパーPA3-4(図42参照)が、本願発明の「第2演出」に相当すると認定されております。しかしながら、段落[0399]に示すように、3回目の擬似連は、2回目の擬似連において擬似連継続が確定した後に実行されるものです(図49参照)。従って、擬似連2回となる演出と擬似連3回となる演出とは、所定の分岐タイミングを経て、分岐して実行される演出ではなく、本願発明の「第1演出」と「第2演出」とに相当するものではありません。従って、引用文献1に係る発明は、本願発明の「第1演出」と「第2演出」とに相当する構成がないため、上記した特徴(H)を備えていない点で相違します。
・・・略・・・
4.進歩性について
・・・略・・・
これに対して、引用文献1には、プレゼントの中身の画像が表示されるタイミングに応じて、遊技に関する期待度が異なる予告演出が実行されることが記載されています。しかしながら、分岐して実行される演出に応じて、プレゼントの中身の画像が表示されるタイミングの多さが異なる点について、記載も示唆もなされていません。従って、引用文献2(審決注:「引用文献1」の誤記と認める。)を見ても、当選期待度が高い方の第2演出に分岐した方が、どのタイミングでストック表示が消化されるのかをより楽しませるという本願発明の技術的特徴を容易に想像できないと思料致します。言い換えると、所定の分岐タイミングを経て、第2演出が実行された場合には、第1演出が実行された場合よりも、当選期待度が高いことによる高揚感を与えるだけでなく、どのタイミングでストック表示が消化されるのか、より注目させることができるという本願発明の作用効果を容易に想像できないと思料致します。」

イ 請求人の主張について検討する。

「所定の分岐タイミング」は、その字義どおり、何らかの分岐点となる所定タイミングと解釈することが相当であるところ、例えば、変動開始のためのコマンドを主制御装置から受信したか否かの判断の分岐タイミング、変動パターンが決定されることにより、擬似連の回数が決まる分岐タイミング等、遊技機における外面的な演出のタイミングに限らず、遊技機の内部的な様々なタイミングを含むである。

そうすると、上記(5)の(c)(d)で示したとおり、引用発明(引用文献1)は、変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選タイミングが分岐タイミングとなり、該分岐タイミングを経て、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)及び擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)のいずれかを実行可能とするものであるから、本願補正発明の「所定の分岐タイミングを経て、」「第1演出」及び「第2演出」を「実行可能であ」るとの特定事項を備えるものである。

また、「所定の分岐タイミングを経て、第2演出が実行された場合には、第1演出が実行された場合よりも、当選期待度が高いことによる高揚感を与える」という、請求人が主張する本願補正発明の作用効果は、引用発明も、擬似連3回が実行された場合には、擬似連2回で終了した場合よりも、当選期待度が高いので、同様の作用効果を奏するものである。

また、「どのタイミングでストック表示が消化されるのか、より注目させることができる」という、請求人が主張する本願補正発明の作用効果についても、引用発明において、擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)でプレゼント画像(ストック表示の消化による予告演出)が表示されるタイミングは、擬似連2回スーパーリーチ(第1演出)でプレゼント画像(ストック表示の消化による予告演出)が表示されるタイミングよりも多く設定されているのであり、当選期待度が高い方の擬似連3回スーパーリーチ(第2演出)の方が、どのタイミングでプレゼントボックス画像(ストック表示)が消化されるのかをより楽しませる可能性があるから、同様の作用効果を奏すると認められる。

以上とおりであるから、請求人の主張は採用できない。

(7)独立特許要件のむすび

以上のとおりであるから、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同法第36条第6項第1号及び第2号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括

本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年8月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであり、再掲すると、次のとおりのものである。

「A 演出を制御可能な演出制御手段を備え、
B 当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
C’、D’ 前記演出制御手段は、
第1演出、又は、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
E 当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
F 前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
G 前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
H 前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されている
I ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、概略、以下の理由のとおりである。

(理由1)この出願の令和2年8月19日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(理由2)この出願の令和2年8月19日提出の手続補正書により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

●理由1(特許法第29条第1項第3号)について

・請求項1

・引用文献等 1

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項1

・引用文献等 1

<引用文献等一覧>

1.特開2016-137244号公報

3 引用例、引用発明

引用例(引用文献1)、引用発明は、上記第2[理由]3(4)に記載したとおりである。

4 対比

本願発明の特定事項A、B、EないしIと、本願補正発明の特定事項A、B、EないしIとは、本件補正の前後で実質変わらないから、引用発明は、上記第2[理由]3(5)(a)(b)(e)ないし(i)で示したとおり、本願発明の特定事項A、B、EないしIを備える。

また、本願発明の特定事項C’、D’は、本願補正発明の特定事項C及びDの「第1演出」及び「第2演出」の「実行」に関して上位概念化したものであるから、上記第2[理由]3(5)(c)(d)で示したとおり、引用発明のc、dは、本願補正発明の特定事項C及びDを備えるならば、本願発明の特定事項C’、D’も同様に備えるといえる。

以上のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、

「A 演出を制御可能な演出制御手段を備え、
B 当たりであると判定されると遊技者に有利な特別遊技状態に制御可能な遊技機において、
C’、D’ 前記演出制御手段は、
第1演出、又は、前記第1演出とは異なる種類の演出であると認識可能であって前記第1演出よりも前記特別遊技状態に制御され易いことを示唆する第2演出を実行可能であり、
E 当たりであると判定される期待度が高くなることを示唆する予告演出を実行可能であり、
F 前記予告演出の実行がストックされていることを示すストック表示を実行可能であり、
G 前記ストック表示の消化によって前記予告演出を実行可能であり、
H 前記第2演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングは、前記第1演出の実行中に前記ストック表示の消化が実行される消化タイミングよりも、多く設定されている
I 遊技機。」である点で一致し、相違する点がなく同一である。

よって、本願発明は、引用例に記載された発明である。

5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-003660

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