特許異議申立
2020-700185
スイッチ装置
- 審判番号
- 2020-700185
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-142013
- 登録番号
- 特許第6602431号(P6602431)
- 請求日
- 2020年03月18日
- 審決日
- 2020年10月30日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】マレリ株式会社
- 【権利者代理人】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
- 【異議申立人】渡邉 誠
- 【異議申立人】新井 誠一
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 杉山 健一
- 審判官 内田 博之
- 分類
- P1651.121-YAA(H01H) / P1651.537-YAA(H01H) / P1651.561-YAA(H01H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の3第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6602431号発明「スイッチ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6602431号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4、5〕〔2、3〕について訂正することを認める。
特許第6602431号の請求項2及び3に係る特許を維持する。
特許第6602431号の請求項1,4-5に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6602431号(以下「本件特許」という。)は、平成30年7月30日を出願日とする特許出願に係るものであって、令和1年10月18日にその特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、令和1年11月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和2年3月18日に、請求項1~5に係る特許に対し、特許異議申立人渡邉誠(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、また、令和2年4月30日に、請求項1~5に係る特許に対し、特許異議申立人新井誠一(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされた。
上記申立人Aによる特許異議申立及び申立人Bによる特許異議申立は、特許法第120条の3第1項の規定により、異議2020-700185号事件として併合して審理されることになった。当審は、令和2年8月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年10月2日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。
なお、申立人A及び申立人Bは、ともに特許異議申立書の意見書提出希望の有無の欄において、「希望する。」としているものの、上記令和2年10月2日に行われた訂正請求における訂正は、実質的に一部の請求項の削除であるため、特許法第120条の5第5項ただし書に規定される「特別の事情があるとき」にあたることから、申立人A及び申立人Bに意見書を提出する機会を与えなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和2年10月2日になされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」と記載されているのを、「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」に訂正する(請求項2を引用する請求項3も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0007】に「上記課題を解決するために、本発明は、内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置されることを特徴とする。」と記載されているのを、「上記課題を解決するために、本発明は、内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とする。」に訂正する。
(6)一群の請求項
訂正前の請求項1~5について、請求項2~5が、訂正の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正後の請求項2~3は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。
(7)別の訂正単位とする求め
特許権者は、訂正後の請求項2~3は、当該請求項についての訂正が認められる場合には、他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1に係る請求項2についての訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項であったものを、請求項間の引用関係を解消して請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項に改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項1により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、明細書の段落【0007】の記載を上記訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正である。そうすると、訂正事項5の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、訂正後の請求項2~3について、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを認める。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4、5〕〔2、3〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項2~3に係る発明(以下「本件発明2」及び「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
[本件発明2]
「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、
前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、
前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、
該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」
[本件発明3]
「請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記ガイド部が、前記ケースの前記一側面と前記スライド部材の対向面との間に第三ガイドを有していることを特徴とするスイッチ装置。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び5に係る特許に対して、当審が令和2年8月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由]請求項1及び5に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
引用文献
1.実用新案登録第2546376号公報(異議申立人Bの提出した甲第1号証、以下同様。)
2.特開2017-152215号公報(甲第4号証)
3.特開2001-14978号公報(甲第2号証の7)
第5 当審の判断
1 引用文献1に記載の事項及び発明
取消理由通知で引用した引用文献1には、次の事項及び発明が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1)「【請求項1】押圧スイッチ(12)及び光源(16)をプリント基板(14)上に設置すると共に、これら押圧スイッチ(12)及び光源(16)を下端部内に収容し、かつ前記光源(16)からの光を漏らさない遮光筒(13)を立設し、この遮光筒(13)の上端開口部の上方位置に、前記光源(16)からの光が通り、かつ前記上端開口部に対して離接する透光性ノブ(17)を揺動自在に取付け、さらに前記透光性ノブ(17)と前記押圧スイッチ(12)との間に介在するプッシュロッド(19)を、前記押圧スイッチ(12)に対する最適押圧方向にのみ往復変位可能に前記遮光筒(13)内に設けて前記透光性ノブ(17)を前記上端開口部から常時離間するように付勢し、前記透光性ノブ(17)を押下したとき、前記プッシュロッド(19)を介して前記押圧スイッチ(12)が開閉成するようにしたことを特徴とするスイッチ構造。」
(2)「【0009】11は遮光性材料により形成されたケースであって、このケース11には押圧スイッチ12を収容保持させる遮光筒13が一体形成されている。押圧スイッチ12はケース11の裏側に配置されるプリント基板14に接続保持されると共に、可動部15が設けられている。16は遮光筒13内に位置されると共にプリント基板14に接続保持されている光源、17は遮光筒13の上側開口部を塞ぐように位置されると共に、周縁立上り部17aと、その立上り部下縁より横方向に延びる鍔部17bとからなる透光性ノブであって、この透光性ノブは透過性材料により形成されている。またこの透光性ノブ17における鍔部17bの一部には、ヒンジ部18が一体形成されて、該ヒンジ部18は、ケース11に形成されているヒンジ部18に嵌合保持されている。ケース11にヒンジ部18を介して支持される透光性ノブ17の立上り部17a内周面には、前記遮光筒13の上端開口壁部13aが対向するように構成されている。19は遮光筒13に形成されている筒軸方向のガイド孔20内に摺動可能に嵌合保持されているプッシュロッドであって、このプッシュロッド19の一端は前記鍔部17bに当接されまたその他端はスイッチの可動部15に当接されるように形成されている。21は透光性ノブ17の鍔部17bより延長形成されているフック部であって、このフック部21とケース11に形成されている段部22との係止作用によって透光性ノブ17の押上げ位置が規制されているものである。」
(3)図2として次の図面が記載されている。
上記図2より、プッシュロッド19は、ケース11の内部で透光性ノブ17とは別部材として配設されており、ケース11の一側面に沿って延びる本体部と、本体部の下部からケース11の内方に向かって屈曲して、押圧スイッチ12を押すスイッチ押圧部と、本体部の上側でスイッチ押圧部に対して一側面寄りにオフセットした位置で透光性ノブ17によって押込まれるノブ当接部と、を有していることが看取できる。
(4)上記図2より、光源16および押圧スイッチ12は同一のプリント基板14面上に設けられ、押圧スイッチ12は、光源16に対し一側面寄りに位置し、上端開口部から見たときに、光源16から一側面に向かい、光源16、スイッチ押圧部、ノブ当接部の順に配置されていることが看取できる。
(5)引用文献1に記載された発明
上記(1)~(4)の記載内容及び図示内容を総合して整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「下端部に光源16および押圧スイッチ12を有するケース11と、
ケース11の上端開口部の上方位置に取付けられて、光源16からの光が通り、かつケース11の上下方向への移動が可能な透光性ノブ17と、
ケース11の内部で透光性ノブ17とは別部材として配設されて、透光性ノブ17の上下方向への移動によって押圧スイッチ12を押すプッシュロッド19と、を有するスイッチ構造であって、
プッシュロッド19は、
ケース11の一側面に沿って延びる本体部と、
本体部の下部からケース11の内方に向かって屈曲して、押圧スイッチ12を押すスイッチ押圧部と、
本体部の上側でスイッチ押圧部に対して一側面寄りにオフセットした位置で透光性ノブ17によって押込まれるノブ当接部と、を有し、
光源16および押圧スイッチ12は同一のプリント基板14面上に設けられ、押圧スイッチ12は、光源16に対し一側面寄りに位置し、
上端開口部から見たときに、光源16から一側面に向かい、光源16、スイッチ押圧部、ノブ当接部の順に配置されており、
透光性ノブ17のフック部21とケース11に形成されている段部22との係止作用によって透光性ノブ17の押上げ位置が規制されている、スイッチ構造。」
2 引用文献2に記載の技術的事項
取消理由通知で引用した引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)「【0028】
(全体構成)
図1は、本実施形態のスイッチ装置100の斜視図である。スイッチ装置100は、基部200及び操作部材300を含む。
【0029】
図2は、前後方向に直交する図1の2-2線を通る断面おけるスイッチ装置100の断面図である。図3は、上下方向に直交する図2の3-3線を通る断面における断面図である。図4は、図3と同じ平面におけるスイッチ装置100の断面図であるが、操作部材300が省略されている。図5は、左右方向に直交する図3の5-5線を通る断面における断面図であり、操作部材300が解放位置にある。図6は、左右方向に直交する図3の6-6線を通る断面における断面図である。図7は、図5と同じ平面におけるスイッチ装置100の断面図であり、操作部材300が押圧位置にある。
【0030】
図9の分解斜視図に示すように、スイッチ装置100は、さらに、基部200及び操作部材300の内部に配設された、力伝達部材400、及び光源500を含む。
【0031】
(基部)
図1に示すように、基部200は、略直方体の外形をもち、図2に示すように中空であり、上方向に開口している。基部200は、上下方向に直交する平面に沿った略長方形の底板210を含む。さらに、基部200は、底板210の4辺から上方向に延設された前支持板220F(図5)、後支持板220B(図5)、左支持板220L(図2)、及び右支持板220R(図2)(以下、区別せずに支持板220と呼ぶ場合がある)を含む。
【0032】
図5に示すように、前支持板220Fは、前方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された前操作案内溝221Fをもつ。後支持板220Bは、後方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された後操作案内溝221Bをもつ。図2に示すように、左支持板220Lは、左方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された左操作案内溝221Lをもつ。右支持板220Rは、右方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された右操作案内溝221Rをもつ。」
(2)「【0035】
図2に示すように、基部200は、押圧状態(図7)と解放状態(図5)とに切り替え可能なスイッチ素子250を含む。スイッチ素子250は、後述の操作部材300から力伝達部材400を介して受ける操作力に応じて弾性的に変形可能な弾性部材251と、導電性の端子対256とを含む。」
(3)「【0040】
(操作部材)
図1に示すように、操作部材300は、略直方体の外形をもち、図2に示すように中空であり、下方向に開口している。操作部材300は、上下方向に直交する平面に沿った略長方形の上板310を含む。さらに、操作部材300は、上板310の4辺から下方向に延設された前板320F(図5)、後板320B(図5)、左板320L(図2)、及び右板320R(図2)を含む。
【0041】
図5に示すように、前板320Fは、内面から後方向に突設された、上下方向に長尺な前操作突起321Fをもつ。後板320Bは、内面から前方向に突設された、上下方向に長尺な後操作突起321Bをもつ。図2に示すように、左板320Lは、内面から右方向に突設された、上下方向に長尺な左操作突起321Lをもつ。右板320Rは、内面から左方向に突設された、上下方向に長尺な右操作突起321Rをもつ。
【0042】
図1に示すように、操作部材300は、基部200を上から覆うように配設される。図2に示すように、基部200と操作部材300との間には略直方体の内部空間600が画定される。
【0043】
図3に示すように、前操作突起321Fは、前操作案内溝221F内で上下に摺動するように配設される。後操作突起321Bは、後操作案内溝221B内で上下に摺動するように配設される。左操作突起321Lは、左操作案内溝221L内で上下に摺動するように配設される。右操作突起321Rは、右操作案内溝221R内で上下に摺動するように配設される。」
(4)「【0054】
力伝達部材400は、互いに一体的に移動する左支柱410L及び右支柱410R(以下、区別せずに支柱410と呼ぶ場合がある)を含み、さらに導光部420を含む。力伝達部材400は、左右に対称的な形状をもつ。
【0055】
図2に示すように、支柱410は、いずれも略直方体の柱状部材である。支柱410は、1つであってもよく、複数であってもよい。図6に示すように、右支柱410Rは、右方向及び下方向に開口された、上下方向に長尺に延設された右伝達案内溝411Rをもつ。図8は、下から上に見たときの力伝達部材400の底面図である。左支柱410Lは、左方向及び下方向に開口された、上下方向に長尺に延設された左伝達案内溝411Lをもつ。左伝達案内溝411Lと右伝達案内溝411Rと(以下、区別せずに伝達案内溝411と呼ぶ場合がある)は、互いに左右対称に配設されている。
【0056】
図4に示すように、左伝達案内溝411L内に、基部200の左内突起222Lが配設されている。右伝達案内溝411R内に、基部200の右内突起222Rが配設されている。」
(5)「【0059】
図5に示すように、導光部420の左右方向に直交する平面に沿った断面は、略三角形であり、左右方向のいずれの位置でも略同一である。導光部420は、後方向及び下方向に開口した、上下方向に長尺に延設された後伝達案内溝421を有する。後伝達案内溝421内に、基部200の後内突起222Bが配設されている。」
(6)「【0064】
力伝達部材400は、左伝達案内溝411L、右伝達案内溝411R、及び後伝達案内溝421を含む、という点で、中空構造を有する成形体である。基部200の左内突起222L、右内突起222R、及び後内突起222Bの動きが、それぞれ、力伝達部材400の左伝達案内溝411L、右伝達案内溝411R、及び後伝達案内溝421によって、概ね上下方向に限られている。従って、力伝達部材400は、基部200に対して、概ね上下方向に沿って所定の範囲で相対的に移動する。」
(7)引用文献2に記載の技術的事項
上記(1)~(6)及び図1~9の記載を総合して整理すると、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「押圧状態(図7)と解放状態(図5)とに切り替え可能なスイッチ素子250を含む基部200と、スイッチ素子250の押圧位置と解放位置との間で移動可能に配設された操作部材300と、基部200と操作部材300との間に画定された内部空間600内において、スイッチ素子250と操作部材300との間で押圧方向と解放方向とに移動可能に配設されて、スイッチ素子250と操作部材300との間で力を伝達する力伝達部材400と、内部空間600に光を放射する光源500と、を備えているスイッチ装置100であって、
基部200は、略直方体の外形であり、底板210の4辺から上方向に延設された支持板220を含み、支持板220は、上端から下方向に延設された操作案内溝221をもち、操作部材300は、略直方体の外形であり、上板310の4辺から下方向に延設された板320を含み、板320は、上下方向に長尺な操作突起321をもち、操作突起321は、操作案内溝221内で上下に摺動するように配設され、
さらに、力伝達部材400は、一体的に移動する支柱410及び導光部420を備え、支柱410には左伝達案内溝411Lと右伝達案内溝411Rが配設され、導光部420には後伝達案内溝421が配設され、基部の左内突起222L、右内突起222R及び後内突起222Bの動きが、対応する各案内溝の概ね上下方向に限られているスイッチ装置100。」
3 引用文献3に記載の技術的事項
取消理由通知で引用した引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】パネルの内側に取付られたタクトスイッチをスライドピンを介して該パネルの外側よりオン、オフ操作するための操作ノブを前記タクトスイッチにプリテンションを与えるようにして該パネルに操作可能に取り付けるための取付構造であって、
前記操作ノブに設けられた回動支点部と、
該回動支点部を回動自在に受けるため前記パネルに設けられた受け部と、
前記操作ノブに前記回動支点部から後方に向けて延びるように設けられたアーム部と、
該アーム部に設けられた係合部と、
前記回動支点部を前記受け部内に回動自在な状態に保持されるよう前記係合部を滑動自在に係合しておくため前記パネルの内側に設けられた抜け止めガイド部とを備え、前記抜け止めガイド部と前記係合部との係合状態により前記プリテンションを生じさせるようにしたことを特徴とするモーメンタリースイッチの操作ノブの取付構造。」
(2)「【0013】図1は、本発明による操作ノブ取り付け構造を備えたモーメンタリースイッチの実施の形態の一例を示す斜視図、図2はその組立状態を概略的に示す断面図である。モーメンタリースイッチ1は、パネル2の内側のプレート2Aに取り付けられているタクトスイッチ3と、後述の如くしてパネル2に取り付けられる操作ノブ4と、操作ノブ4に取り付けられたスライドピン5とを備えている。パネル2、操作ノブ4及びスライドピン5は、いずれも合成樹脂製の成形部品として作られている。
【0014】スライドピン5は、板状で一端に一対の係止突起5A、5Bが一体に形成された部材であり、係合突起5A、5Bによって操作ノブ4に枢着されている。スライドピン5は操作ノブ4がパネル2に取り付けられたとき、パネル2に形成されている案内孔2Bに挿通され、スライドピン5の先端5Cがタクトスイッチ3に当接するようにセットされ、操作ノブ4が押されることによりスライドピン5の先端5Cでタクトスイッチ3を押すことができるように構成される。」
(3)上記(1)~(2)及び図1~2の記載を総合して整理すると、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「パネル2の内側に取り付けられているタクトスイッチ3と、タクトスイッチ3を、板状のスライドピン5を介してパネル2の外側よりオン、オフ操作するための操作ノブ4とを備えているモーメンタリースイッチ1。」
4 対比・判断
(1)本件発明2について
a 対比
本件発明2と引用発明とを対比する。
引用発明における「光源16」は、本件発明2の「光源」に、以下同様に、「押圧スイッチ12」は「スイッチ接点部」に、「ケース11」は「ケース」に、「上下方向」は「軸線方向」に、「透光性ノブ17」は「スイッチノブ」に、「プッシュロッド19」は「スライド部材」に、「プリント基板14」は「基板」に、「スイッチ構造」は「スイッチ装置」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「下端部」及び「下部」は本件発明2の「内奥部」及び「奥部」に、同様に「上方位置」は「手前側」に相当する。
そして、本件発明2の「スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」は、本件特許明細書全体の記載から見て、スライド部材がスイッチノブとは別部材で構成されているという程度の意味であると認められるから、引用発明のプッシュロッド19が、「透光性ノブ17とは別部材として配設されて」いることは、本件発明2のスライド部材が、「スイッチノブから分離されて配設されて」いることに相当する。
以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有するケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置されるスイッチ装置。」
[相違点1]
本件発明2は、ケースが「角筒状」であるのに対し、引用発明は、ケース11が角筒状であることが特定されていない点。
[相違点2]
本件発明2は、スライド部材の本体部が「板状」であるのに対し、引用発明は、プッシュロッド19の本体部が板状であることが特定されていない点。
[相違点3]
本件発明2は、「前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有している」ものであるのに対し、引用発明は、かかる構成を備えていない点。
b 判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
引用発明において、プッシュロッド19が透光性ノブ17の鍔部17bに当接する箇所は、一側面側、すなわち引用文献1の図2において紙面右側に向かって屈曲した形状ではない。また、プッシュロッド19の一側面側には、フック部19が形成されているから、引用発明に接した当業者が、プッシュロッド19を一側面側に屈曲した形状にすることを想到するものとは認められない。
ここで、引用発明に対し、引用文献2に記載の技術的事項(上記2(7)を参照。)を適用することによって、プッシュロッド19に突起と溝とによる案内機構を設けることは当業者が想起し得るものと言えるが、該案内機構は、本件発明のうち「前記本体部の側面を案内する第二ガイド」のみに対応するものであって、「前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイド」に相当する構成までも引用発明のプッシュロッド19に対して設けるものということはできない。
また、引用文献3に記載の技術的事項(上記3(3)を参照。)は、スライドピン5にガイド機構を備えていないものであるから、引用発明に対し引用文献3に記載の技術的事項を適用することによって、当該相違点3に係る構成とすることもできない。
そして、本件発明2は、相違点3に係る構成によって、スライド部材107のためのガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143とに分けて設けることで、ガイド部141全体のガイド長を長くして、スライド部材107の傾きを抑制することができ、偏荷重によるスライド部材107の倒れを防止できる。よって、スイッチノブ106のスタック(引っかかって動き難く成ること)や、スイッチ接点部102に対するスイッチ押圧部132の位置ズレを防止できる。さらに、ガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143に分けたことで、スライド部材107やガイド部141のレイアウトの自由度を向上することができる、という本件発明2特有の作用効果を有するものである(本件特許明細書の段落【0050】~【0052】を参照。)。
したがって、相違点1及び2についてさらに検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明及び引用文献2~3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(2)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定するものである。
そして、本件発明2が、上記(1)で説示のとおり、引用発明及び引用文献2~3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないのであるから、本件発明3についても、同様の理由により、引用発明及び引用文献2~3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項について
(1)申立人Aは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2012-164593号公報)に記載された発明、並びに、甲第2号証(特開平11-162280号公報)及び甲第3号証(特開2011-150962号公報)に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。また、同申立書において、訂正前の請求項2~5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、並びに、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証(実願平4-672号(実開平5-59507号)のCD-ROM)及び甲第5号証(実願昭58-144451号(実開昭60-53125号)のマイクロフィルム)に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
甲第1号証は、段落【0026】に「3は略円筒状でABS等の絶縁樹脂製の押圧体」との記載があり、また、図2においても押圧体3(本件発明2の「スライド部材」に想到。)が円筒状であることが把握される。該押圧体3は本件特許の明細書段落【0002】~【0005】において記載している従来技術に相当するものであって板状ではない。また、甲第1号証の記載から該押圧体3を板状に置き換える動機付けを見いだすことができない。
したがって、申立人Aの提出した甲第2号証~第5号証について検討するまでもなく、本件発明2~3は、申立人Aの提出した甲第1号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1~5に係る発明は、甲第3号証(実願平5-56348号(実開平7-27030号)のCD-ROM)に記載された発明、並びに、甲第2号証の1(実願昭59-155226号(実開昭61-70336号)のマイクロフィルム)、甲第2号証の2(実願昭62-18647号(実開昭63-127032号)のマイクロフィルム)、甲第2号証の3(実公平7-29535号公報)、甲第2号証の4(実用新案登録第2586754号公報)、甲第2号証の5(特開2006-216265号公報)、甲第2号証の6(特公昭62-1854号公報)及び甲第2号証の7(特開2001-14978号公報)に記載された周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることできたものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
甲第3号証には、段落【0013】に「斜めに延在する遮光性部材13がスライダ8と一体に形成されており、この遮光性部材13と一体の作動子15が、キートップ2の押圧によりスライダ8が図において右側へ移動したときに、基板16上に取り付けられたスイッチ18を押圧してこのスイッチ18をオンにする。」との記載がある。上記記載と図2を参照すると、甲第3号証に記載のスライダ8(本件発明2の「スライド部材の本体部」に相当。)と作動子15(本件発明2の「スライド部材のスイッチ押圧部」に相当。)と、隔壁11とが一体のスライド部材を構成しているものと認められる。すなわち、スライダ8は隔壁11を含む部分まで一体の筒状となっていて、板状ではない。そして、甲第3号証の記載から、スライダ8を板状に置き換える動機付けを見いだすことができない。
さらに、甲第3号証の図2を参照すると、光源21(本件発明2の「光源」に相当。)が、ユニット本体ケース9のキートップ2が設けられている開口部の奥からは外れた位置に配置されていることから、本件発明2の「前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置される」との点を充足するものではない。ここで、甲第3号証の図2からは、光源21とは別に作動灯20が設けられていることが把握されるが、該作動灯20は、遮光性の支持部分31及び透光性の支持部分32により支持されるものであるから、スイッチ18(本件発明2の「スイッチ接点部」に相当。)と「同一基板面上に設けられ」たものではない。そして、甲第3号証の記載から、光源21を開口部に対応した位置に設けること、あるいは、作動灯20をスイッチ18と同一基板面上に設けることとする動機付けを見いだすことができない。
したがって、申立人Bの提出した甲第2号証の1~第2号証の7について考慮するまでもなく、本件発明2~3は、申立人Bの提出した甲第3号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 特許法第36条第6項第1号について
申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1には、「前記ケース内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」と記載されているが、本件特許の図1~2では、スイッチノブ106とスライド部材107は当接しており、分離されて配設されていないものであり、すなわち、分かれて離れた位置で配置されてはいないから、請求項1~5に係る発明は本件特許の発明の詳細な説明に記載されたものではない旨を主張している(異議申立書第39ページ第4行~第43ページ第6行)。
そこで、この点について以下検討する。
訂正後の請求項2の「前記ケース内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」との記載に接した当業者であれば、スイッチノブとスライド部材が分けて離されて別部材となっているという意味で「分離」という表現を用いていると理解するのが自然である。
また、本件特許の発明の詳細な説明の【0048】の「スライド部材107を、スイッチノブ106から分離した。」との記載及び【0049】の「スイッチノブ106からスライド部材107を分離したことで、スイッチノブ106とケース103とが一対一の関係になり、スライド部材107を考慮する必要がなくなるため、スイッチノブ106とケース103との間のガタつき精度の設定や調整が容易になる。」との記載と図面とを合わせ見ても、「分離」とは別部材とする意味で用いられていると理解できる。
そして、本件特許の発明の詳細な説明のそのほかの記載を参照しても、「分離」と表現されているからといって、必ずしも分かれて離れた位置で配置されていると解釈する理由もない。
したがって、本件発明2~3は、発明の詳細な説明に記載したものである。
3 特許法第17条の2第3項について
申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1には、「前記スイッチノブから分離されて」との文言が、令和1年8月8日付け手続補正書によって追加されたものであり、上記2と同様に、本件特許の明細書等にいはスイッチノブ106とスライド部材107とが、分かれて離れた位置で配置されることとは記載されていないから、当該補正は新たな技術的事項を導入するものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
本件特許の出願当初の請求項1には、「前記スライド部材は、前記スイッチノブから分離されると共に、」と記載されている。よって、スライド部材がスイッチノブから分離されることは、本件特許の当初明細書等に記載された事項である。
したがって、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内でしたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件請求項2及び3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2及び3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1、4及び5に係る特許は、訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項1、4及び5に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、上記結論のとおり、決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-700185