2020-014400
容器詰飲料、その製造方法、及びその異臭発生抑制方法
- 審判番号
- 2020-014400
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-190113外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月14日
- 審決日
- 2022年10月13日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .113-WZ (A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年9月29日の出願であって、出願後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 6月 7日(受付日) 手続補正書の提出
令和 2年 1月 7日(発送日) 拒絶理由通知
(起案日:令和 1年12月25日)
同年 1月16日(受付日) 意見書及び手続補正書の提出
同年 7月14日(発送日) 拒絶査定
(起案日:令和 2年 7月 7日)
同年10月14日(受付日) 審判請求書及び手続補正書の提出
令和 4年 5月10日(発送日) 拒絶理由通知
(起案日:令和 4年 5月 9日)
同年 6月28日(受付日) 意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和4年6月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものであると認められる。
「野菜(豆類を除く)及び果物から選択される1種以上の搾汁液を含む飲料を容器に充填した容器詰飲料であって、ビタミンB2が前記搾汁液に対して1質量ppm以上、60質量ppm以下の範囲で添加され、アスコルビン酸が添加されてなり、前記アスコルビン酸の添加量が、前記搾汁液に対して0.05質量%以上、1.2質量%以下の範囲であり、前記容器詰飲料は、少なくとも一部が光透過性を有する容器に充填したものであって、前記アスコルビン酸が、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩から選択されたいずれか1種以上であることを特徴とする容器詰飲料。」
第3 当審からの拒絶の理由
令和4年5月9日付け拒絶理由通知に記載した拒絶理由の概要は次のとおりであり、以下の「第4」で、その妥当性について当審の判断を示す。
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
・引用文献1.特開2005-261357号公報
第4 当審の判断
1 引用文献1の記載等
(1)引用文献1の記載
引用文献1には、次の記載がある。(下線については当審において付与した。)
「【実施例1】【0018】図4に実施例1の処方例と比較例、対象例を表1として示す。ビタミン類を含有する飲料の味・匂いをマスキングするために(a)果汁+酸味料+糖(実施例1)、(b)酸味料+糖(比較例1)、(c)香料+酸味料+糖(比較例2)を添加し、そのマスキング効果を比較した。表1に示した飲料を調製し、5℃及び50℃に24時間保管した。50℃保管品は経時安定性を調べるための加速試験品である。機器測定並びに官能評価により、味・匂いのマスキング効果及びその経時変化を調べた。【0019】<匂い識別センサーによるマスキング効果の測定>実験装置はAlphaMOS社製「FOX4000」を用いた。10mLバイアルに1mLの検体を入れ、ヘッドスペースサンプラーHS100にセットして攪拌しながら40℃で10分間保持し、ヘッドスペースガスをシリンジで1mL採取して、ガス流量150mL/分の乾燥空気でヘッドスペースガスを「FOX4000」の検出部に導入した。11種類の金属酸化物センサーによる揮発性物質に対する応答強度を測定した。測定値は主成分分析により解析され、第1主成分、第2主成分を2次元グラフに展開した。各試料4点ずつ測定し、各試料の測定値の重心間のユークリッド距離を解析した。測定結果を図1に示す。」
「【図面の簡単な説明】【0028】【図1】匂い識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図【図2】液体&味識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図【図3】液体&味識別センサーによるマスキング効果の測定結果を示す図【図4】実施例1、比較例1、2、対象例ABCの処方を表1として示す図【図5】マスキング官能評価を表2として示す図【図6】実施例2、実施例3の処方を表3として示す図」
「図4[図:0001391238000001.jpg]」
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)のとおり【図4】に示された実施例1の処方の飲料1mLを10mLバイアルに入れたものが記載されているから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ビタミンB2を0.0025%、アスコルビン酸ナトリウムを0.4200%、クエン酸結晶を0.2900%、バレンシアオレンジ果汁を24.0000%、ライチ果汁を16.0000%、リンゴ果汁を5.0000%含む飲料1mLを10mLバイアルに入れたもの。」
2 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「バレンシアオレンジ果汁」、「ライチ果汁」、及び「リンゴ果汁」は、本願発明における「野菜(豆類を除く)及び果物から選択される1種以上の搾汁液」(以下、「当該搾汁液」という。)に相当する。
引用発明における「ビタミンB2」の添加量の当該搾汁液に対する割合は55.5質量ppm(=0.0025%÷(24.0000%+16.0000%+5.0000%))であって、本願発明における「ビタミンB2」の当該搾汁液に対する割合(1質量ppm以上、60質量ppm以下の範囲)の条件を満たす。
引用発明における「アスコルビン酸ナトリウム」は、本願発明における「アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩から選択されたいずれか1種以上である」「アスコルビン酸」に相当し、引用発明における「アスコルビン酸ナトリウム」の添加量の当該搾汁液に対する割合は0.93質量%(=0.4200%÷(24.0000%+16.0000%+5.0000%))であって、本願発明における「アスコルビン酸の添加量」である当該搾汁液に対する割合(0.05質量%以上、1.2質量%以下の範囲)の条件を満たす。
また、バイアルとは注射剤を入れる容器の一つで日本薬局法では密封容器に分類されているものである(必要ならば、http://www.iwataglass.com/glossary/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%ABvial%E3%81%A8%E3%81%AF/参照)から、引用発明の「飲料1mLを10mLバイアルに入れたもの」は、本願発明の「容器詰飲料」に相当する。そして、引用発明において利用されている「バイアル」が「少なくとも一部が光透過性を有する容器」であることは明らかであるから、引用発明の「飲料1mLを10mLバイアルにいれたもの」は、本願発明の「少なくとも一部が光透過性を有する容器に充填したもの」にも相当する。
そうすると、本願発明と引用発明との間に相違点はなく、本願発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明である。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、令和4年6月28日提出の意見書において、次の主張をしている。
「拒絶理由通知書においては、「引用発明1における「10mLバイアル」は、通常「少なくとも一部が光透過性を有する容器」である。」と述べられています。しかし、10mLバイアルに入れられた1mLの検体(飲料)が、「容器詰飲料」であるか否かの対比がなされていません。ここで、容器詰飲料に関しては、技術常識を示すものとして、本意見書に添付する参考資料の記載が参考になります。以下に必要箇所を転記します。「Q 01. 缶詰、びん詰について教えてくださいA 缶詰、びん詰の定義については、品質表示基準(JAS法)、食品缶詰の表示に関する公正競争規約、食品衛生法などで決められています。それらに掲げられた定義を総合してまとめてみると、「缶詰、びん詰とは、食品を缶又はびんに詰めて密封したのち、加熱殺菌を施し、長期の保存性を与えた食品である。」ということになります。ただし、果汁製品などのように、缶に詰める前に殺菌を行い、そのあとで充てんし密封するものも、この中に含まれます。同様に、ジャムやつくだ煮のように、煮熟したのち、熱いうちにびんに詰め、余熱で殺菌されるような食品も缶詰、びん詰の中に含まれます。」そして、本願発明の「容器詰」は、上記「缶詰」「びん詰」の上位概念であり、本願発明の容器詰飲料は、「飲料を容器に詰めて密封し、加熱殺菌を施し、長期の保存性を与えた飲料」となります(なお、飲料の容器への充填と加熱殺菌との順序が入れ替わってもよいことは、参考資料の記載のとおり明らかです)。これに対し、引用文献1に記載された1mLの検体は、その後の光学測定等のために10mLバイアルに入れられたものにすぎず、当該バイアルに入れた状態で密封して長期の保存性を与えることはあり得ません。そのため、引用文献1に記載された、10mLバイアルに入れられた1mLの飲料検体は、容器詰飲料に該当しません。」
(2)検討
本願の請求項1の「容器詰飲料」という記載は、それ自体明確であり、発明の詳細な説明の記載及び請求人の示す参考資料を参酌するまでもなく、容器に詰められた飲料の意味であると明確に理解できるものである。
また、請求人が主張するように、本願発明における「容器詰飲料」が、「飲料を容器に詰めて密封し、加熱殺菌を施し、長期の保存性を与えた飲料」のことであることは、発明の詳細な説明には記載されていない。
したがって、請求人の主張は失当であって、採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明、すなわち、本願の請求項1に係る発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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