商標拒絶査定不服審判
2020-013439
スパイク
- 審判番号
- 2020-013439
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-101770
- 請求日
- 2020年09月25日
- 審決日
- 2022年04月22日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】レゴ ジュリス エー/エス
- 【請求人代理人】岡部 讓
- 【請求人代理人】高見 香織
- 【請求人代理人】木下 恵理子
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .261-Z (W09162841) / T18 .262-Z (W09162841) / T18 .263-Z (W09162841)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-101770拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類、第16類、第28類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2019年1月31日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月26日に登録出願されたものである。
本願は、令和元年12月24日付けで拒絶理由の通知がされ、同2年3月26日に意見書が提出され、同日付け手続補正書により、本願の指定商品及び指定役務は、第9類、第16類、第28類及び第41類に属する別掲2に記載のとおりの商品及び役務に補正されたが、同年6月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の1及び2のとおりである。
なお、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
1 登録第4215934号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、別掲3のとおりの構成からなり、平成8年8月23日に登録出願、第16類「印刷物,文房具類」を指定商品として、同10年12月4日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1に係る閉鎖商標原簿によれば、引用商標1の商標権は、令和2年9月25日に、商標法第50条第1項の規定に基づく商標権取消審判が請求され、同3年5月6日にその商標登録を取り消す旨の審決が確定し、同年6月8日に商標権の登録は、抹消されている。
2 登録第4985285号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、別掲4のとおりの構成からなり、平成18年2月7日に登録出願、第9類及び第41類に属する別掲5に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月8日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標と引用商標の構成中の「spike」の文字とは、本願商標が図案化され、引用商標の構成中の「p」の文字が赤色で表示されているものの、両者は、つづりを同じくしてなるものであるから、外観上類似し、また、両者は「スパイク」の称呼及び「先に鋭くとがったもの」の観念を共通にする。したがって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念を総合して観察した場合に、商品及び役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標であり、また、本願の指定商品又は指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務とは同一又は類似するものであり、さらに、本願商標と引用商標とが出所の混同を生じないというべき一般的、恒常的な取引の実情は見いだせないから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標と引用商標1との類否について
引用商標1に係る商標権の登録は、上記第2の1のとおり、令和3年6月8日に抹消されている。
よって、引用商標1との関係において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、構成各文字は図案化されているとしても、「spike」の欧文字を書してなるものと容易に看取されるものである。
また、「spike」の文字は、「大くぎ、先のとがった金属製のもの」(「ジーニアス英和辞典 第5版」発行者:株式会社大修館書店)の意味を有する英語として辞書に載録されている成語である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「スパイク」の称呼を生じ、「大くぎ、先のとがった金属製のもの」の観念を生じるものである。
(3)引用商標2について
引用商標2は、別掲4のとおり、先端に小さな円状の図形を有する2つのアンテナ様の図形を上部の左右に付けた楕円状の図形(以下「楕円図形」という。)と楕円図形の上部の、2つのアンテナ様図形の間に雲様の図形(以下「雲図形」という。)を配し、右側のアンテナ様図形の下に「R」(「R」は丸付き文字である。以下「(R)」と表示する。)を配し、楕円図形内に、「spike」(構成中の「p」の欧文字は赤色で表されている。以下同じ。)の欧文字を横書きにしてなるところ、楕円図形、雲図形、「(R)」及び「spike」の欧文字は、重なることなく間隔を空けて配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。
また、引用商標2の構成中の「spike」の欧文字は、その構成において、ひときわ大きく、また、「p」の文字を赤色にして顕著に表されているため、特に、看者の注意を引く部分であるといえる。
さらに、引用商標2の構成中の楕円図形及び雲図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
加えて、引用商標2の構成中の「(R)」は、一般に、登録商標であることを表すマークとして使用されるものであるから、商品及び役務の出所識別のための標識としての機能を有しないものであり、特定の称呼及び観念は生じないものである。
そして、「spike」の欧文字は、上記(2)のとおり、「大くぎ、先のとがった金属製のもの」の意味を有する語であり、これが、引用商標2の指定商品及び指定役務との関係で、商品の品質等及び役務の質等を表示するものであると判断すべき特別な事情はないことから、「spike」の欧文字が、本願の指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、引用商標2は、本願商標との類否を判断するに当たって、引用商標2の構成中、顕著に表された「spike」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「spike」の欧文字に相応して、「スパイク」の称呼を生じ、「大くぎ、先のとがった金属製のもの」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、楕円図形及び雲図形の有無等の明らかな差異があることから、外観において相違するが、本願商標と引用商標2の要部である「spike」の欧文字とを比較すると、両商標は、いずれも、「spike」の文字構成を共通にすることから、これらは、外観上類似するものである。
次に、称呼においては、本願商標及び引用商標2から生じる「スパイク」の称呼は同一であり、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標及び引用商標2から生じる「大くぎ、先のとがった金属製のもの」の観念は同一であり、観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、外観において類似し、称呼及び観念を共通にするから、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定商品及び指定役務は、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラム,携帯電話機用ゲームプログラム,コンピュータ用ゲームプログラム,電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機用のプログラム,業務用テレビゲーム機,スロットマシン,携帯電話機用ストラップ,その他の電気通信機械器具,電気磁気測定器,ダウンロード可能な画像・映像・文字,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオテープ・ビデオディスク及びその他の記録媒体,電子出版物,ダウンロード可能な音楽又は音声,録音済みのコンパクトディスク,その他のレコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,計算尺」及び第41類「通信回線を利用して行うゲームの提供,娯楽施設の提供,通信回線を利用して行う画像・映像・音楽・音声の提供,映画の上映・制作又は配給,音楽の演奏,演芸の上演,演劇の演出又は上演,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,スポーツの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,その他の娯楽の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,電子出版物の貸与」と同一又は類似の商品及び役務である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標2と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標2の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の構成要素は、いくつかは欧文字を基調としたとも思われるものの、それぞれが相当程度図案化された態様で表されており、たとえば、「e」と認識されている構成要素をみると、中心の円い点を起点として右上方向に直線が伸び、その直線の終点から上記円い点を軸として左回りに弧を描き下方で矢印にて止められ、その弧の内側に目盛りのような短い棒線が等間隔で配され、全体として針や目盛りのある時計のような図案が表されていることから、該要素のみに着目した場合には直ちに「e」の文字が想起されない旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「e」は、その構成各文字が図案化されている中においては、十分に欧文字「e」をモチーフにしていると容易に看取し得るものであり、また、本願商標の構成各文字である「s」、「p」、「i」、「k」、「e」の文字を結合した「spike」は、「大くぎ、先のとがった金属製のもの」の意味を有する英語として辞書に載録されている成語であることからすると、本願商標の構成中の、5文字目は「e」の欧文字からなるものと容易に判断できるものである。
(2)請求人は、引用商標2は各要素が近接して極めてまとまり良く一体的に表されていることに鑑みると、その構成上、一部の要素である「spike」が分離して認識されることはなく、全体として一体的に表された特徴的な図案からなる商標と認識されて然るべきものである旨主張する。
しかしながら、上記1(3)のとおり、引用商標2の構成中の「spike」の欧文字は、その構成中の、楕円図形、雲図形及び「(R)」と重なることなく間隔を空けて配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえず、また、引用商標2の構成中の「spike」の欧文字は、その構成において、ひときわ大きく、「p」の文字を赤色にして顕著に表されているため、特に、看者の注意を引く部分であり、これが、引用商標2の指定商品及び指定役務との関係で、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得ないと判断すべき特別な事情は認められないものである。
そうすると、引用商標2は、本願商標との類否を判断するに当たって、引用商標2の構成中、顕著に表された「spike」の欧文字を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
(3)請求人は、引用商標2は、「spike」の文字を有するといえども、これは引用商標2の権利者である株式会社スパイク・チュンソフトを指称する商標であることからすると、引用商標2からは英単語「spike」なる英単語の意味合いが生じるというよりはむしろ「spikeなる英単語と同一の構成文字を有する引用商標の権利者に係る商標」と認識される旨主張する。
しかしながら、引用商標2が、その権利者である株式会社スパイク・チュンソフトに係る商標と認識されると判断するべき特段の事情はない。
(4)請求人は、本願商標は、請求人が保有・管理する商標を使用する玩具製造販売会社LEGO A/S社を筆頭とするグループ企業にて、我が国を含む世界各国において既に展開されている、ブロックとハードウェアやソフトウェアをセットとして、プログラミング用のソフトウェア(専用のアプリ)を組み合わせて利用する教材に係る製品及びその教育サービス等において使用されている商標であり、請求人がブロックに係る製品やその教育サービスについてよく知られていることから、本願商標及び引用商標2との間で出所の混同が生じるといった事実は確認されていないことからすると、本願商標は既に我が国において請求人の識別標識として実際に機能している商標であり、このような状況にあっては、本願商標と引用商標2とは実際の取引においても相紛れるおそれがあるとは考えられない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではなく、その指定商品全体についての一般的・恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、役務についても同様に解されているところ、請求人の主張する上記取引の実情は、商標を実際に使用している具体的な商品及び役務についての実情であるから、特殊的、限定的な取引の実情といわざるを得ないものであり、商標の類否判断にあたり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
(5)以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張を採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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