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商標異議申立

2021-900432

レゴヘアー、レゴ

審判番号
2021-900432
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2020-132131
登録番号
6445411
請求日
2021年12月13日
審決日
2022年08月03日
公報発行日
2022年09月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社LEGOHAIR
  • 【権利者代理人】前田 幸嗣
  • 【異議申立人】レゴ ジュリス エー/エス
  • 【異議申立人代理人】岡部 讓
  • 【異議申立人代理人】高見 香織
  • 【異議申立人代理人】木下 恵理子
審判長/審判官
  • 審判長 岩崎 安子
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.23 -Y (W44) / T1651.261-Y (W44) / T1651.262-Y (W44) / T1651.263-Y (W44) / T1651.271-Y (W44) / T1651.222-Y (W44)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第8号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6445411号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6445411号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6445411号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年10月26日に登録出願、第44類「ヘアスタイリング,ヘアトリートメント美容,頭髪の染毛,スキンケア美容,ボディケア美容,エステティック美容,まつ毛エクステンションの施術,メイクアップ,日焼け施設の提供,爪の美容,頭髪に関する理容・美容,美容,理容,美容に関する情報の提供,入浴施設の提供,庭園樹の植樹,庭園又は花壇の手入れ,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・水産養殖業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり治療,セラピー,医療情報の提供,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,動物の美容,介護,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」を指定役務として、同3年9月10日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。 なお、本件商標の商標権は、令和4年6月1日に放棄による本商標権の登録の抹消が申請され、その登録は抹消がされているところ、本件商標の登録に対する登録異議の申立ては、申立日を、同3年12月13日とするものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という場合がある。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1670674号(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:「レゴ」の片仮名及び「LEGO」の欧文字を2段書き 指定商品 :第16類、第20類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 登録出願日:昭和55年3月24日 設定登録日:昭和59年3月22日 書換登録日:平成17年11月2日 更新登録日:平成26年2月18日 (2)国際登録第1006003号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 :別掲2のとおり 指定商品・役務: 「soaps; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices.」を含む第3類、「combs and sponges; brushes (except paint brushes)」を含む第21類、「face towels of textile」を含む第24類、第43類「Services for providing food and drink; temporary accommodation.」、第14類、第18類、第20類及び第27類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおり商品及び役務 国際登録出願日:2009年(平成21年)6月17日 設定登録日 :平成24年7月13日 (3)登録第2621425号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 指定商品 :「おもちゃ」を含む第28類、第9類及び第15類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 登録出願日:平成3年5月13日 設定登録日:平成6年2月28日 書換登録日:平成17年9月7日 更新登録日:平成26年2月18日 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは枝番号を省略する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号違反について ア 申立人について 申立人は、1932年創業のデンマーク国のビルンドにオーレ・キアク・クリスチャンセン氏によって設立された世界有数の組み立ておもちゃを主力製品とする玩具の製造販売会社LEGO A/S社を筆頭とするグループ企業に係る商標を保有・管理するデンマーク籍の企業である(以下、申立人及び当該グループ企業を総称して「レゴ社」とする。)。その名称に含まれる「LEGO」の語は、1934年にレゴ社の社名及び製品名称のために採択され、1936年から正式な使用が開始されたものであり、デンマーク語で「よく遊べ」を意味する「Leg Godt」に由来する造語である(甲5、甲6)。 イ レゴ社の「LEGO」の継続的使用及び著名性について レゴ社は、1949年頃から、プラスチック製の子供向けブロック玩具の販売を開始し、1953年には、当該ブロック玩具について、同社の名称の一部を冠した「LEGO Mursten」(英語としては「LEGO Bricks」)の商標を使用し、70年近くにわたりブロック玩具を継続して製造販売している(甲5、甲6)。 また、レゴ社は、主力製品であるブロック玩具を中心に本国たるデンマークのみならず世界各国に所在する関連企業を介して世界中で事業を展開しているが、レゴ社の手掛ける事業は、ブロック玩具の製造販売のみならず、今やテーマパークの運営、教材や教育プログラムの提供等の教育サービス事業等をも含み、創業当初からの子供向け玩具の製造販売を礎としつつもその内容自体も大きく拡大・発展してきているものである(甲5、甲8、甲10)。そして、この様な積極的な事業活動の結果、レゴ社の事業の中核を担うブロック玩具自体の愛好者も今や子供のみならず成人層にも拡大しており、英国ブランド・ファイナンス社をして、「LEGO」ブランドに係るブロック玩具とは「子供に創造性の自由を与えると共に、大人の郷愁に訴えるもの」と評せしめるに至っている程である(甲9の1)。 さらに、レゴ社は、創業以来、自己の業務に係る製品や自社のイメージの形成・強化や知名度の向上を図るべく積極的に宣伝広報活動にも努め、その結果、マスコミや需要者の注目を集めることに成功してきている。また、製品の多様性・高品質性、時代に適合した斬新かつ効果的な宣伝広告の手法と相まって、レゴ社は、市場におけるその製品への高い評価は言うまでもなく、一玩具製造販売会社という枠を超えた世界の玩具産業全体を牽引する代表的な企業としての確固たる名声を博し、そのハウスマークたる「LEGO」のブランド力の高さは上述の各社のランキングの結果によっても裏付けられているものである。 また、その売上高を見ても、2009年にはグループ全体で約116億デンマーククローネであったものが2020年には約436億デンマーククローネを超過する規模を誇るものとなっており(甲7の1、2)、この数値のみをもってしてもレゴ社の使用に係る「LEGO」は世界的な著名ブランドたる地位を確立していることをうかがい知ることができる。 次に、我が国におけるその事業活動について目を向けると、レゴ社が我が国においてその製品の販売を開始したのは1962年であり、1978年に日本法人レゴジャパン株式会社(以下「レゴジャパン社」という。)を設立した後は(甲5、甲8)、上述のとおり同社を介してその製品等が我が国の需要者に提供されている。同社にあっては、「子供の想像力と創造力を育て、ひとりひとりの個性を育む。」という事業方針の下(甲8)、そのバラエティに富んだブロック玩具を販売し続けている。 そして、レゴジャパン社は、レゴ社のブランドの認知性を高めるべく、宣伝広告等にも努めており、具体的には、ブロック玩具を中心とする各種製品カタログの需要者・取引者への頒布や(甲11)、主たる需要者である少年少女向けの雑誌への広告掲載、TV番組のスポンサー、ソーシャルメディア等の様々な手法をもって活発な宣伝活動を行なっている(甲12~甲14)。 その結果、世界的にも我が国においても著名ブランドとしての確固たる地位を築いている「LEGO」は、国内で発行された複数の辞書等にも載録されている程となっており(甲15)、我が国においても「LEGO(レゴ)」と言えばレゴ社の業務に係るブロック玩具であると容易に理解できる程に広く認知され、レゴ社は、我が国のブロック玩具の市場にて圧倒的なブランド力を誇るに至っている(甲8)。このことを裏付けるかのように、レゴジャパン社の業績も堅調に推移しており、また、その規模も大きく、2014年が95億円、2015年及び2016年が135億円にも達している(甲8)。 このように我が国においては、レゴ社はレゴジャパン社を通じてブロック玩具を中心とした事業を行ってきたものであるが、そのレゴ社製品が需要者に広く受け入れられてきたことも相まって、LEGOのキャラクターの出演するテレビシリーズの放映やビデオゲームの提供(甲13、甲16)や上述のテーマパークの運営や教材や教育プログラムの提供等の教育サービス事業等、「LEGO」ブランドの下で様々な事業が我が国において広く展開されている。 そして、上記の事業の拡大下にあっても、従来からの事業に係るブロック玩具のみならず、新しく展開された上述のサービスにおいて、レゴ社を指称するハウスマークたる「LEGO」の欧文字からなる商標や、その表音文字たる「レゴ」の片仮名からなる商標(以下「使用商標」という。)がブランド名称と共に常に表示されている(甲10、甲11、甲13、甲16)。この状況からもレゴ社の使用商標は、その業務に係る各々のブランド以上に需要者・取引者に認知されていることがうかがい知れるものである。 したがって、本件商標に係る出願日前から現在に至るまで、レゴ社のハウスマークである商標「LEGO」「レゴ」の存在が我が国においても著名であることは疑いの余地のないものであって、レゴ社の使用商標の著名性及びその商標に化体した業務上の信用の高さは、レゴ社の使用に係る「LEGO」の欧文字からなる商標であって第28類「おもちゃ,人形」等を指定商品とする引用商標3が周知・著名商標として認定されている事実(甲4、甲17)によっても裏付けられる。 さらに、レゴ社の使用商標の著名性は、本国デンマーク及び我が国のみならず多くの国における行政又は司法判断においても認定されているものである(甲18)。 上述の事実により、レゴ社の使用商標が本件商標の出願時及び登録時において国内外において広く認識されていたことは明白である。 ウ 本件商標と使用商標との類否 本件商標は、若干デザイン化された蒲茶色の「LegoHair」の欧文字と、その上方に、視覚的に分離してみえる程度にスペースをもって当該色のロココ調の図案を配した構成からなるものである(甲1)。 本件商標を詳細に考察すると、まず、上方にある図案は、猫脚家具をほうふつさせる曲線等から構成されるロココ様式のイメージを取り入れたものであるようであるところ、このような図案はありふれており(甲19)、特に高い顕著性や独自性を有するといった特別な事情も見受けられないため、本件商標において下方の文字部分と必ずしも一体的に把握されなければならない理由はない。 そうすると、本件商標の下方の文字部分「LegoHair」が上記図案とは分離して認識されることになるが、当該文字部分については、「L」と「H」の文字のみが大文字で表されていることからすると、容易に「Lego」と「Hair」の文字の結合であると理解することができる。 そして、前半部の「Lego」の文字については、レゴ社の使用に係る商標「LEGO」と全く同一の文字列であり、当該「LEGO」の文字は上述のようにレゴ社が採択した造語であり、この欧文字から構成されてなるレゴ社の使用商標は、レゴ社を指称する商標として長きにわたり広く知られ、英和辞書にもレゴ社の商標として載録されていることからすると、本件商標中の「Lego」の文字からは、レゴ社と何らかの関係があるものと容易に想起されるものである。 また、後半部の「Hair」の文字については、「頭髪、毛」等を意味する平易な英単語であり(甲20)、当該単語は「○○ Hair」なる態様で美容室や理容室の店名に用いられている実情等に鑑みても(甲21)、本件商標に係る第44類に属する指定役務との関係、とりわけ美容や理容関連の役務との関係では自他役務等識別力の弱いものであることは明白である。 そうすると、本件商標は、それに接する我が国の需要者・取引者において、上方のロココ調の図案が捨象されて下方の文字部分が捉えられ、その上で、下方の文字部分について「Lego」の文字と「Hair」の英単語とに分離して認識され得るものである。そして、当該文字部分において、前半部の「Lego」の文字が玩具製造販売会社として著名なレゴ社を容易に想起するものであるのに対し、後半部の「Hair」は、「頭髪、毛」といった意味合いを有し、第44類の指定役務との関係、とりわけ美容や理容関連の役務との関係では識別力が弱いものである。このことからすると、本件商標にあっては、その構成中の「Lego」の文字に着目されると考えられるべきものである。 したがって、本件商標からは、強く支配的な印象を与える「Lego」の文字が容易に分離抽出され、当該文字より「レゴ」なる称呼が生じ、また、「レゴ社に係るブランドのマーク」なる観念が生じるものである。 一方、レゴ社の使用商標は、「LEGO」の文字(又は「レゴ」の文字)から構成されてなるものである。このような構成からなる使用商標は、「レゴ」なる称呼が生じ、また、「レゴ社に係るブランドのマーク」なる観念が生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標とを対比すると、両者は称呼・観念において同一であり、また、外観においても類似といえ、両者は全体として類似といえるものである。 エ 商品・役務の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の需要者・取引者の共通性等について 本件商標は、第44類「ヘアスタイリング,ヘアトリートメント美容,頭髪の染毛,スキンケア美容,ボディケア美容,エステティック美容,まつ毛エクステンションの施術,メイクアップ,日焼け施設の提供,爪の美容,頭髪に関する理容・美容,美容,理容,美容に関する情報の提供」等を指定役務としているものである(甲1)。 一方、レゴ社の業務に係る商品又は役務は、主として、ブロック玩具の製造販売及びこれに関連する教育サービス等であるが、そのブロック玩具に関する商品や役務の提供にとどまらず、文房具や家具等様々な商品の製造販売を手掛け、また、テーマパークの運営等幅広い役務の提供を行っている。本件商標の指定役務との関係でいえば、レゴ社の取扱製品には「レゴフレンズヘアサロン」なる美容室を模したプレイセットのシリーズ等美容をテーマとした製品も含まれており(甲22)また、レゴブロックの世界観を再現したテーマパークでは、漫画やキャラクターの世界観を再現した実店舗の運営も行われているという実情がある(甲23)。 このような本件商標に係る指定役務及びレゴ社の業務を踏まえつつ両商標の商品・役務間の混同の可能性について触れると、レゴ社の業務においては、レゴブロックの世界観を体現した家具や文房具等の多岐にわたる商品、そして、漫画やキャラクターの世界観を再現した実店舗等の運営も行われているものであり、レゴ社の著名性及び多角化経営の観点からすれば、レゴブロックの小さな作品の中で表された商品やサービス等が実際の商品やサービスとして体現される可能性も容易に想像できるところである。 そして、レゴ社の業務に係る商品又は役務(ブロック玩具の製造販売及びこれに関連する教育サービス等)を購入及び利用する需要者層の大半は専門性を有する特殊な需要者ではなく、普通一般の消費者であって、これは、本件商標に係る指定役務の美容や理容に係るサービスの需要者と共通する関係にあるものである。また、商品・役務の用途及び目的についても共通するところがあるものであり、両者の商品・役務は関連性を有するものである。 オ 本件商標と使用商標との混同について レゴ社の使用商標は、本件商標に係る登録出願時及び登録査定時の時点で、レゴ社の業務に係る多様な製品等を表示するもののみならず、世界最大級の玩具製造販売会社であるレゴ社自身を指称する所謂ハウスマークとして、我が国の需要者・取引者の間に広く認識されている旨については上述とおりである。 世界規模での事業を展開している企業にあっては、事業の多角化経営に伴い基幹事業の周辺分野という枠を超えた広範な企業活動を展開する可能性を有することは容易に理解されるものであるが、レゴ社の著名な「LEGO(Lego)」の欧文字を含む本件商標の下で役務が提供された場合、需要者・取引者をしてレゴ社に係るサービスである、又はこれと経済的・組織的に何らかの関連を有する者の提供に係るものであると出所について誤認混同を招くことは明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録された商標である。 (2)商標法第4条第1項第11号違反について 本件商標は、上述のとおり、若干デザイン化された蒲茶色の「LegoHair」の欧文字と、その上方に、視覚的に分離してみえる程度にスペースをもって同様に当該色のロココ調の図案を配した構成からなるものであるところ、その構成中の文字に照応し「レゴヘアー」の称呼が生ずるものである。また、当該文字部分の前半部においてレゴ社の著名な商標「LEGO」と同一の構成文字を包含することに加え、後半部の「Hair」は指定役務との関係で識別力が弱いものであることからすると、当該「Lego」の欧文字に照応して「レゴ」の称呼が生じ、「レゴ社に係るブランドのマーク」なる観念が生ずる。 引用商標は、いずれも本件商標よりも先願先登録に係るものであり、引用商標を構成する欧文字若しくは片仮名に照応し、いずれについても「レゴ」という称呼が自然と生じ、「レゴ社に係るブランドのマーク」なる観念が生ずる。 次に商品・役務の類似性について見ると、引用商標1には第20類「人工池」が含まれ、引用商標2には第3類「soaps,perfumery,essential oils,cosmetics,hair lotions;dentifrices.」、第21類「combs and sponges;brushes(except paint brushes)」、第24類「face towels of textile」、第43類「Services for providing food and drink;temporary accommodation.」が含まれており、本件商標の指定役務とは、需要者の範囲や、業種や事業者を共通にする場合があり、密接に関連性を有するものであるから、本件商標に係るこれら指定役務と引用商標1及び2に係る指定商品及び指定役務とは抵触関係がある。 したがって、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、また、その指定役務も同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号について 上述のとおり、レゴ社の使用に係る商標が、日本国内又は外国において本件商標の登録出願日前から著名な商標であることは明白である。 そして、本件商標は、その文字部分構成中、後半部の「Hair」の語が指定役務との関係で自他役務等識別力が弱く、前半部の「Lego」の語が要部として独立して認識され得るものであることから、レゴ社の業務に係る商標「LEGO(レゴ)」と同一又は類似の関係にあるものである。 また、レゴ社の業務に係る商標「LEGO(レゴ)」が著名に至っているところ、その世界規模での幅広い世代における著名性に鑑みるに、レゴ社の存在を知らなかったとは到底考えられず、むしろ、本件商標権者は、レゴ社の業務に係る商標を十分に認知した上で、その著名性や名声にあやかろうとして本件商標の採択を行ったとするのが至極当然の考え方である。 そうとすると、本件商標は、著名なレゴ社の商標の存在を知りながらその顧客吸引力にフリーライドする目的で、又は、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって出願されたことは明らかであって、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第8号について レゴ社の使用に係る「LEGO(レゴ)」の表示は、そのハウスマークとして我が国のみならず世界中において極めて高い水準で認知されていることは商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に係る主張において考察したとおりであって、この様な実情に鑑み、「LEGO(レゴ)」の表示が「LEGO A/S」等、レゴグループ各社の名称の著名な略称であることは疑いようのないものである。 一方、本件商標は、「LegoHair」の欧文字より構成されてなり、レゴ社の著名な略称である「LEGO(Lego)」の欧文字と後半部の「Hair」の英単語とを結合させたものであると容易に理解し得るにもかかわらず、レゴ社が本件商標の出願・登録について承諾を与えたといった事実は存在しない。 したがって、本件登標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)周知性について 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人及び当該グループ企業(「レゴ社」)は、デンマークを本拠とする玩具製造販売会社であって、1949年に「Automatic Binding Bricks」の名称で今日のLEGOブロックの前身を発売した。1953年には、当該ブロック玩具について、「LEGO Mursten(LEGO Bricks)」と名称を変更した。1968年には、遊園地「LEGOLAND」がデンマークに開園された(甲5、甲6)。 イ レゴ社は、我が国において、「レゴブロック」の販売を開始したのは1962年であり、1978年にレゴジャパン社を設立した後は、同社を介して「レゴブロック」が我が国の需要者に提供されている(甲5、甲8)。 ウ レゴジャパン社は、ブロック玩具についての商品カタログ、少年少女向けの雑誌への広告等の宣伝活動のほか、2022年に5周年アニバーサリーを迎えたレゴランド・ジャパン・リゾートの運営をしており、それらには、引用商標2及び3とほぼ同一の構成からなる商標(以下「LEGOロゴ」という。なお、「当審の判断」では「LEGOロゴ」、「レゴ」及び「LEGO(Lego)」の各文字をまとめて「使用商標」という。)が表示されている(甲10~甲12、甲17)。 エ レゴグループ年次報告2013や同2020(甲7の1及び2)には、表紙にLEGOロゴが表示され、「Brand Finance Global 500 2017」(甲9の1)では、LEGOロゴが最も強力なブランドとされ、また、「2021 Global RepTrak 100」(甲9の3)では、「LEGO Group」が世界で最も評価の高い企業トップ10で第1位となり、LEGOロゴが表示されている。 オ 玩具産業白書2018年版には、レゴジャパン社の売上高について、2014年12月期に95億円であり、2015年及び2016年12月期には、135億円となっており、「市販の看板商品としては「レゴブロック」があげられ、ブロック玩具では圧倒的なブランド力を誇る」と記載され、レゴジャパン社の事業概要としては、「レゴブロックの輸入販売、幼児教室「レゴスクール」の運営」となっている(甲8)。 カ 以上によれば、LEGOロゴは、レゴ社の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 しかしながら、「LEGOロゴ」以外の使用商標である「レゴ」及び「LEGO(Lego)」の各文字については、提出された証拠においても、取引の実情の中で「レゴブロック」や「レゴ○○」又は「The LEGO Group」等のように「LEGO(レゴ)」以外の文字とともに使用されており、「レゴ」及び「LEGO(Lego)」の文字のみでの使用は確認できないことから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 なお、複数の辞書等において、「Lego」の見出しの下、レゴ社のブロック玩具が紹介されていることは確認できるとしても、辞書等の見出し語は通常一般的な書体で表示されているものであるから、これらをもって、一般的な書体で表された「レゴ」 及び「LEGO(Lego)」の文字までも、需要者の間に広く知られているということはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、茶色系の色彩の図形の下に図形と同色を用いて、若干デザイン化された「LegoHair」の欧文字を書してなるところ、図形部分と文字部分は、視覚的に分離して看取され、それぞれが自他役務の識別標識として機能するというべきである。 そして、文字部分を構成する「LegoHair」の欧文字は、同じ書体、同じ色でまとまりよく表されているものであって、いずれかの文字部分が看者に強い印象を与えるような態様ではない。また、上記(1)のとおり「Lego」の文字は、需要者の間に広く知られているものではないから、強く支配的な印象を与えるものではない。さらに、欧文字部分に相応して生じる「レゴヘアー」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そうすると、「LegoHair(legohair)」の文字は、辞書等に掲載がなく、全体として何らかの意味合いを認識させるものではないとしても、かかる構成からすれば、当該文字部分を一体として看取、把握されるとみるのが自然である。 他方、図形部分は、特定の事物を表したとみるべき事情は見あたらないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。 したがって、本件商標は、「レゴヘアー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 なお、申立人は、「Hair」の文字は、「頭髪、毛」の意味合いを有し、また、「○○ Hair」なる態様で美容室や理容室の店名に用いられている実情等(甲21)に鑑みても、本件商標に係る第44類に属する指定役務との関係、とりわけ美容や理容関連の役務との関係では自他役務の識別力が弱いものである旨主張しているが、当該文字が美容室や理容室の店名に用いられているとしても、それぞれが一体の店名として使用されているというべきであって、「Hair」の文字が捨象されて使用されている事実は見いだせないから、申立人の上記主張は採用することができない。 イ 引用商標 引用商標1は、「レゴ」の片仮名及び「LEGO」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、引用商標2及び引用商標3は、別掲2及び別掲3のとおり、赤系の四角形内に白抜きで丸みを帯びた「LEGO」の欧文字をそれぞれ黒枠で囲み、欧文字全体について黄色の縁取りがされているものである。 また、引用商標1は、かかる構成から、片仮名は欧文字の読みを特定したものと理解されるものであるから、これより「レゴ」の称呼を生じ、引用商標2及び引用商標3は、引用商標1と同じ構成文字からなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して、「レゴ」の称呼を生じるものである。 そして、「LEGO」の文字は、辞書等に「ブロック玩具」との掲載があるものの、引用商標1及び引用商標2の指定商品には、「ブロック玩具」が含まれていないことに加え、当該文字から直ちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、引用商標1及び引用商標2は、特定の観念を生じないというべきである。 また、上記(1)のとおり、LEGOロゴは、「ブロック玩具」に使用されて広く認識されているところ、引用商標3は、LEGOロゴとほぼ同じ態様であって、その指定商品中には「おもちゃ」を含み、その中に「ブロック玩具」を含むこと明らかであるから、引用商標3からは「レゴ社の業務に係るブロック玩具のブランド」の観念が生じる。 ウ 本件商標と引用商標の類否 (ア)外観 本件商標の文字部分と引用商標は、構成文字が相違することから、明確な差異を有することに加え、それぞれの全体の構成を比較しても、図形の有無といった明らかな差異も有することから、本件商標と引用商標は、外観上判然と区別できるものであるから、紛れるおそれはない。 (イ)称呼 本件商標から生じる「レゴヘアー」の称呼と引用商標から生じる「レゴ」の称呼は、構成する音数の相違により、その語調、語感が相違したものとなり、明瞭に聴別でき、互いに紛れるおそれはない。 (ウ)観念 本件商標と引用商標1及び引用商標2は、いずれも特定の観念が生じるものではないから、観念上比較することができない。 また、引用商標3は、「レゴ社の業務に係るブロック玩具のブランド」の観念を生じるものの、本件商標は、観念を生じないため、両者は観念において区別することができる。 よって、本件商標と引用商標は、観念において、比較することができない又は区別することができるものであるから、いずれにしても紛れるおそれはないというべきである。 (エ)本件商標と引用商標の類否 したがって、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 エ 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について検討するまでもなく商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア LEGOロゴの周知性について LEGOロゴは、上記(1)のとおり、レゴ社の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 イ 本件商標とLEGOロゴとの類似性の程度について 本件商標とLEGOロゴは、上記(2)ウにおける本件商標と引用商標3との類否と同様に(エ)のとおり、非類似の商標というべきであって、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 ウ 本件商標の指定役務と「ブロック玩具」の関連性について 本件商標の指定役務は、主に「人又は動物に関する衛生及び美容、農業・園芸サービス」であるのに対し、申立人の取扱いに係る商品「ブロック玩具」とは、役務と商品の用途、業種が相違し、同一の事業者が提供するとはいえず、需要者も異なるものであるか、両者に関連性があるとはいい難いものである。 エ 出所の混同のおそれについて 上記アないしウのとおり、LEGOロゴは、レゴ社の取扱いに係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標とLEGOロゴとの類似性の程度は低く、本件商標の指定役務と「ブロック玩具」との関連性がないことから、本件商標に接する取引者、需要者が、LEGOロゴを連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者が、LEGOロゴを連想又は想起することはなく、その役務が他人(レゴ社)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 オ また、使用商標のうち、「レゴ」及び「LEGO(Lego)」の各文字は、上記(1)カのとおり、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであるから、本件商標をその指定役務について使用しても、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 そのほか、本件商標がその役務の出所について混同を生じるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 カ なお、申立人は、本件商標と使用商標が類似すること、レゴ社の取扱製品には「レゴフレンズヘアサロン」なる美容室を模した美容をテーマとした製品が含まれているほか、事業の多角化経営の観点を踏まえると、本件商標が出所の誤認混同を招くことは明らかである旨主張するが、本件商標をその指定役務について使用しても、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないことは上記のとおりであるから、レゴ社が美容をテーマとした製品を取り扱っていることなどを考慮しても、上記に影響を及ぼすことはないというべきであるから、申立人の主張は理由がない。 キ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)のとおり、LEGOロゴが、レゴ社の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、上記(2)と同様に、本件商標は、LEGOロゴと非類似の商標である。 また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者がLEGOロゴにフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第8号該当性について 申立人の提出に係る証拠において、LEGOロゴがレゴ社の業務に係る商品「ブロック玩具」のブランドとして、需要者の間に広く認識されているとしても、LEGOロゴを含む使用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人を指称する著名な略称として使用されているとする証拠は見いだせない。 したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標と認めることはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-900432

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