商標拒絶査定不服審判
2022-013652
マージャンエイアイナガ、マージャンアイナガ、マージャンエイアイ、マージャンアイ、ナガ
- 審判番号
- 2022-013652
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-081298
- 請求日
- 2022年08月31日
- 審決日
- 2023年11月30日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ドワンゴ
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】小出 俊實
- 【請求人代理人】幡 茂良
- 【請求人代理人】橋本 良樹
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 茂木 祐輔
- 分類
- T18 .261-Z (W09162841) / T18 .262-Z (W09162841) / T18 .263-Z (W09162841)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-81298拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類、第16類、第28類、第38類、第41類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年6月30日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年3月1日付けで拒絶理由の通知がされ、同年4月18日付けで意見書が提出されたが、同年5月30日付けで拒絶査定がなされたものである。
これに対して令和4年8月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定商品及び指定役務については、審判請求と同日に提出された手続補正書により、第9類、第16類、第28類及び第41類に属する別掲2のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5809806号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成27年6月2日に登録出願、第9類、第16類、第35類及び第41類に属する別掲4のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月27日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標の構成及び各文字の語義について
本願商標は、別掲1のとおり、小さく表された手書き風の「麻雀AI」の文字と、ひときわ大きく表された手書き風の「NAGA」の文字を、上部ほど濃くなる紫色のグラデーションを施し、「麻雀AI」の文字の右下側に「NAGA」の文字が位置するように、二段に横書きにして配してなるものである。
そして、本願商標の構成中、「麻雀」の文字は、「室内遊戯の一種。普通4人で行う。用具は牌と称し、(略)各自が牌の取捨を行って既定の組合せを早く終わった者が和了を宣する。」を意味する語及び「AI」は「人工知能」を意味する語(いずれも「広辞苑第七版」)であって、いずれの語も広く一般に慣れ親しまれたものである。
他方、本願商標の構成中、「NAGA」の文字は、「ナーガ(下半身はヘビ、上半身は人の形で表現される水の神)」等の英語(ジーニアス英和大辞典)であり、また、「長いこと。「-の暇」「-電話」」を意味する「なが【長】」(広辞苑第七版)の読みに通じるものであるが、当該英語の意味は我が国で親しまれたものとはいえず、また、「長」の語をローマ字表記で用いられることも一般的とはいえないから、「NAGA」の文字部分から、特定の意味合いを認識させることはないというのが相当である。
そうすると、「NAGA」の文字と「麻雀AI」の文字又は「麻雀」及び「AI」の各文字とは、観念上のつながりがないものである。
イ 「麻雀AI」の文字の使用状況について
他方、「麻雀」と「AI」を結合した「麻雀AI」の文字については、例えば以下(ア)ないし(オ)のインターネット情報のとおり、その使用状況を確認することができる。
(ア)「AINOW」のウェブサイトにおいて、「麻雀AI-仕組みや無料のゲームからAIの強さまで紹介」の見出しの下、「麻雀ゲームをプレイする中で、どうすればもっと勝てるようになるのか、自分が打った牌譜の研究をしたことがある人も多いでしょう。将棋や囲碁でもAIが使われるようになり、麻雀ではどのようにAIが使われているのでしょうか。」、「麻雀AIはその名の通り、麻雀をプレイできるAIのことで、オンラインの麻雀ゲームなどでも導入されています。」、「麻雀AIは・・・複雑に見えますが、基本は自分の手牌データ、自分や相手の河牌データ、点数、見えていない牌の数など、現在の局面を完全に再現できる情報から出力するCNNモデルがベースとなっています。この仕組みを基本に、どの牌を捨てるかを出力する打牌モデル、どの他のプレイヤーの打牌を取得するかを決める副露モデル、他にも立直モデル、槓モデルが内蔵されています。」の記載がある(https://ainow.ai/2022/08/05/267078/)。
(イ)「StrixHiroBlog」のウェブサイトにおいて、「【雀魂】麻雀AI「Mortal」の使い方とポイント解説。麻雀初心者こそAI牌譜検討を活用しよう!」の見出しの下、「麻雀AI Mortalとは?/「Mortal」とは、麻雀AIの一種であり、半荘戦の牌譜を読み込ませることで、牌譜検討を無料で行ってくれる優れものです。/◇序盤の組み立て方は正しかったのか?/◇より良い牌効率を求めるためには何を切るべきだったのか?/◇不用意な振込み(放銃)をしてしまっていないか?/など、麻雀で強くなるための気づきをプレイヤーに与えてくれます。/なぜ牌譜検討をする必要があるのか?/牌譜検討を行うことが、雀力の向上につながるからです。」の記載がある(https://www.strixhiroblog.com/posted_20230515/)。
(ウ)「トレテク!」のウェブサイトにおいて、「マイナビ出版 麻雀AI革命 爆打」の見出しの下、「「爆打」とは、(略)氏が東京大学大学院在籍中に開発した麻雀AIソフトです。囲碁や将棋において、AIが人間のトッププロをはるかに凌ぐ強さに到達したことが知られていますが、不確定要素が多い麻雀にもAIの波が押し寄せています。「爆打」はここ数年に渡ってその先陣を切ってきた、麻雀AI界の革命児です。強者の何百万もの牌譜を学習することで強くなり、(略)本ソフトはその「爆打」を思考エンジンに搭載したPCソフトです。」の記載がある(https://shop.softbankselection.jp/item/4515978002810.html)。
(エ)「GAME Watch」のウェブサイトにおいて、「オンライン麻雀「Maru-Jan」に麻雀AI「KIRIN」が登場」の見出しの下、「「シグナルトークは7月18日、同社が運営するAndroid/iOS/PC用オンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」において、麻雀AI「KIRIN」Ver.0.1を公開した/「KIRIN」は、「Maru-Jan」の牌譜を解析・評価するAI。AIが牌譜を解析し各種数値化、最適打牌を提案する。」の記載がある(https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1517004.html)。
(オ)「麻雀グッズ研究所」のウェブサイトにおいて、「麻雀AIの一覧とおすすめ!爆打、SuperPhenix、NAGA、Mortal、そしてLuckyJ」の見出しの下、「まずは簡単に麻雀AIの状況を。/そもそも麻雀にAIってあるの?と思うかもですが、実はけっこう色々来ています。天鳳最高九段を達成した「爆打(ばくうち)」を皮切りに、天鳳十段に到達した「Super Phoenix」、天鳳八段の「NAGA」など、鳳凰卓レベルの打ち手が色々いて、まさに群雄割拠。」の記載がある(https://majyan-item.com/tetutuyo-ai/)。
ウ 「麻雀AI」の文字の意味合いについて
上記イの使用状況よりすれば、「麻雀AI」の文字は、麻雀の技術の向上に寄与したり対戦したりする等の目的で使用され、麻雀の牌譜の解析、学習、各種数値化、最適牌譜の提案等ができるように開発されたAI(人工知能)を表すために使用されるものであって、一般に「麻雀用のAI」ほどの意味合いを認識させるものということができる。
なお、こうした遊戯を実践できるように開発されたAI、さらに、その遊戯の名称を冠したAIの文字の事例は、同じく卓上の遊戯である囲碁や将棋においても見られるものである(一例として、下記(ア)ないし(ウ))。
(ア)「JBPress」のウェブサイトにおいて、「「囲碁AI」の最強時代到来、プロ棋士の存在価値は薄れてしまうのか?」の見出しの下、「2016年にGoogle傘下のDeepMind社が開発した囲碁AI「アルファ碁」が人類に初めて勝った。ボードゲームの中で碁は“最後の砦”と思われたが、Deep Learning(深層学習)の手法を使うことで、ブレークスルーしたのだ。当時、あと10年はAIが人間に勝つ日が来ないと思っていたプロ棋士たちは、AIの長足の進歩に驚いたものの、多くの棋士は新しい世界を見せてくれるAIをむしろ歓迎した。」の記載がある(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70798)。
(イ)「TRIPLEIZE」のウェブサイトにおいて、「囲碁AI」の見出しの下、「トリプルアイズは2014年より囲碁AIの研究に取り組んでいます。(略)難易度の高い囲碁の攻略は、人工知能研究者にとって、ゲーム分野における最後の「グランドチャレンジ(大いなる挑戦)」と言われています。囲碁AIの研究開発に真剣に取り組むことは、AIを進化させることと同じことです。2019年に残した囲碁AI世界2位の実績は、私たちのディープラーニングの競争力の証明であり、AIエンジンの優秀性の証明なのです。」の記載がある(https://www.3-ize.jp/initiatives/go_ai.html)。
(ウ)「日経ビジネス」のウェブサイトにおいて、「将棋AIとは? 藤井七冠も活用する技術の進化と応用可能性を探る」の見出しの下、「AI(人工知能)技術により、最適な将棋の指し手を思考し決定する将棋AI。すでに人間の棋士をしのぐレベルに進化した将棋AIは、プロ棋士のトレーニングツールとして、(略)活用されている。」、「将棋AIとは、AI技術を活用して人間のプレーヤーと将棋で対戦したり、最適な手を決定したりするためのシステムやアルゴリズムのこと。」、「あるプロ棋士は将棋AIをトレーニングに活用し、(略)ているといった具合だ。」の記載がある(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/072600586/)。
エ 本願商標の要部、称呼、観念等について
上記ウのとおり、本願商標構成中の「麻雀AI」の文字部分は、「麻雀用のAI」ほどの意味合いを認識させるものである。
そして、麻雀用のAIが、上記イの事例のとおり、ソフトウェアの形式によって流通に付されたり、ゲームとして使用されたり、また解説のためのインターネット情報等が見られる状況を考慮すると、本願商標を、その指定商品及び指定役務中、第9類「アプリケーションソフトウェア,スマートフォン用アプリケーションプログラム,人工知能コンピュータソフトウェア,家庭用テレビゲーム機用プログラム,ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,ダウンロード可能な画像・映像・音楽,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第16類「ムック,ゲームの攻略本,双書,漫画本,書籍,出版物,その他の印刷物」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,オンラインによる電子書籍又は電子雑誌の提供,ゲームに関するイベントの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽の提供又はこれに関する情報の提供」について使用をするときには、本願商標構成中の「麻雀AI」の文字部分は、「麻雀用のAI」ほどの意味合いをもって、商品の品質や役務の質(内容)を表したと認識させるものであるから、上記指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能がないか極めて弱い部分といえる。
他方、「NAGA」の文字部分は、上記アのとおり、特定の意味合いを生じないものであり、当該文字が、指定商品の産地、販売地、品質、原材料等又は指定役務の提供の場所、質、提供の用に供する物等を認識させるものともいえない。してみれば、「NAGA」の文字部分は、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を強く発揮するものである。
そうすると、本願商標の構成中、顕著に表された「NAGA」の文字部分が、取引者、需要者に対して、自他商品又は自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから、当該文字部分を抽出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標からは、「NAGA」の文字部分に相応した「ナガ」又は「ナーガ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲3のとおり、リンゴをモチーフにしたと思しき2つの曲線と1つの斜線からなる枠状の図形(以下「図形部分」という。)と、その中心に「naga」の文字を横書きして配してなるものである。
そして、図形部分と「naga」の文字は重なることなく空間を空けて表され視覚上分離して看取されるものであるとともに、図形部分は、上記のとおり2つの曲線と1つの斜線からなる比較的シンプルなデザインであって、「naga」の文字を取り囲む輪郭線のように表されたものであるから、看者に殊更強い印象を与えるとはいいがたいものである。また、当該図形部分がリンゴを想起させるとしても、上記のとおり「naga」の文字が特定の意味合いを認識させないから、両者に観念上のつながりもないというべきである。
そうすると、文字が本来的に強い訴求力を有することをも考慮すれば、引用商標のうち、視覚上目立つ中央部分に、顕著に表された「naga」の文字部分が、取引者、需要者に対して、自他商品又は自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから、当該文字部分を抽出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することは許されるというべきである。
したがって、引用商標からは、「naga」の文字部分に相応した「ナガ」又は「ナーガ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標との類否を検討するに、外観については、本願商標の要部である「NAGA」と、引用商標の要部である「naga」の文字は、いずれも比較的ありふれた単純な書体で構成されているとともに、そのつづりを共通にするものであるから、看者に対して近似した印象を与えるものというべきである。
次に、称呼については、本願商標と引用商標は、「ナガ」又は「ナーガ」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念については、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、全体の外観において相違し、観念において比較することができないとしても、両商標の要部の比較においては、外観上近似した印象を与え、称呼を共通にするものであることから、本願商標と引用商標の外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品及び役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本願商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものである。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標と引用商標は、外観において大きな差異がある旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標と引用商標は、それぞれ「NAGA」の文字と「naga」の文字を要部として捉えられるものであり、要部を構成する各文字は、書体に格別な特徴があるものではなく、つづりを共通にする、近似した印象を与えるものであるから、両商標の外観に大きな差異があるということはできない。
なお、請求人は、上記主張において、本願商標には、上方から下方にかけて濃い紫から薄い紫に変化するグラデーションが施されている旨述べているが、当該グラデーションは、同じ紫色を基調とする比較的単純なものであるから、外観上、他の文字と明らかに区別できるほど特徴的な印象を与えるとはいい難いものである。
(2)請求人は、引用商標は、中学生対象の「長野県統一模試」において、「なが模試」の文字と共に使用されていることから、引用商標からは「ナガモシ」の称呼を生じ、中学生を対象とした「長野県統一模試」のことを認識させる旨主張する。
しかしながら、「ナガモシ」の称呼や「長野県統一模試」を認識させるのは、「長野県統一模試」や「なが模試」の文字を使用又は引用商標と併用する際に起こり得ることであって、「naga」の文字のみを構成要素とする引用商標から、「ナガモシ」の称呼を生じ、「長野県統一模試」の観念が生じるということはできない。
(3)請求人は、過去の審決例を挙げて、本願商標についても同様に判断すべき旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標が類似しているか否かは、両商標を個別に比較して検討すべきであり、構成態様が異なる他の商標の登録例をもって、本願商標と引用商標との類否を同様に判断すべきではない。そして、本願商標が引用商標と類似することは、上記1のとおりである。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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