商標拒絶査定不服審判
2019-013906
- 審判番号
- 2019-013906
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2017-138422
- 請求日
- 2019年10月18日
- 審決日
- 2022年01月06日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】レゴ ジュリス エー/エス
- 【請求人代理人】岡部 讓
- 【請求人代理人】高見 香織
- 【請求人代理人】木下 恵理子
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W28) / T18 .17 -Z (W28)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第3条第2号、商標法第4条第1項第18号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2017-138422拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標
本願商標は、願書に記載のとおりの構成からなり、第9類、第11類、第16類、第21類、第28類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成29年10月20日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同30年10月31日受付の手続補正書、同31年2月22日受付の手続補正書、同年3月29日受付の手続補正書及び当審における令和元年10月18日付けの手続補正書により、最終的に、第28類「ゲーム用品及びおもちゃ,業務用及び家庭用のコンピュータゲーム機,業務用及び家庭用の電子ゲーム機,業務用及び家庭用のコンピュータゲームコンソール,手持ち式コンピュータゲーム機,液晶スクリーン付きのバッテリー作動式コンピュータゲーム機,電子ゲーム機,組立おもちゃ,屋外設置式遊具,遊園地用機械器具,遊園地用乗物機械器具,遊戯用器具,遊具建築構造物,プラスチック製屋外設置式遊具,飛行玩具の操作用コントローラー」と補正されたものである。
そして、本願商標は、原審における平成30年10月31日受付の手続補正書により、別掲1のとおりに補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、人型のおもちゃと思われる立体商標からなるものであるところ、本願の指定商品中、第28類『おもちゃ,組立おもちゃ,屋外設置式遊具,遊園地用機械器具,遊園地用乗物機械器具,遊戯用器具,遊具建築構造物,プラスチック製屋外設置式遊具』に関連する商品を取扱う業界において、人型と思われるデザインに加えて、多様なデザインが施されて製造・販売されている実情があるから、本願商標に係る立体的形状は、『おもちゃ,組立おもちゃ,屋外設置式遊具,遊園地用機械器具,遊園地用乗物機械器具,遊戯用器具,遊具建築構造物,プラスチック製屋外設置式遊具』の用途、機能から予測し難いような特異な形態や特別な印象を与える装飾的形態を備えているものとは認められず、機能又は美感に資することを目的として採用されたものとみるのが相当であり、また、『おもちゃ,組立おもちゃ,屋外設置式遊具,遊園地用機械器具,遊園地用乗物機械器具,遊戯用器具,遊具建築構造物,プラスチック製屋外設置式遊具』の形状として、需要者において、機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものといえ、結局のところ、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなるものといわざるをえない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋(要旨)
当審において、請求人に対し、令和2年10月14日付けで、要旨次のとおり審尋を発し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願の指定商品中「おもちゃ,組立おもちゃ」との関係では、人型と思われる立体的形状からなるおもちゃ及び組立おもちゃ(別掲2)が、それぞれ製造、販売されている実情があることから、本願商標は、これをその指定商品中「おもちゃ,組立おもちゃ」に使用しても、これに接する需要者をして、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものとして理解するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
(1)本願商標と同一の形状であることが確認できる証拠
請求人が、本願商標の使用態様として提出した甲各号証には、本願商標と相違する立体的形状のもの、同一の立体的形状であることが確認できないものが含まれており、これらは、本願商標とは外観が著しく異なり、本願商標の立体的形状と同一性を損なわないものとはいえない。
ついては、本願商標と同一性を損なわない立体的形状が、指定商品に使用されたことが確認できる証拠を提出されたい。
(2)本願商標と同一性を損なわない立体的形状の使用状況
請求人が、本願商標の使用態様として提出した甲各号証には、上記(1)のとおり、本願商標の立体的形状と同一性を損なわないとはいえないものが含まれており、本願商標と同一性を損なわない立体的形状の使用状況を十分に把握することができないから、本願商標についての需要者の認識の程度を推定することができない。
ついては、請求人は、本願商標と同一性を損なわない立体的形状からなる商品についての、我が国における使用数量、売上高等の販売実績、市場占有率(シェア)、広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等の具体的な内容を明らかにする客観的資料を提出し、説明されたい。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第3の審尋に対し、令和3年2月15日受付の回答書において、要旨次のとおり述べた。
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標に係る立体的形状は、「(a)頭部は大小2つの円柱を重ねたものであり、顔部分に相当する大きな円柱は角が丸くなっており、(b)胴体部は正面と背面にて略台形の形状であり、腰部は肩部よりも幅が広く、(c)胴体部の側面に湾曲する腕部を有し、当該腕部は胴体部の側面に略沿うように配され、(d)脚部は正面視二つの略矩形の形状であって、脚部の全幅は腰部の幅とほぼ同幅であり、足部は略直方体状となり、(e)胴体部と脚部の高さ比は約1対1であって、(f)頭部には、略中央付近にて水平方向に間隔を空けて並置された2つの黒色の丸と、その下方には両端が若干上方を向いた曲線とが配されており、全体として微笑んだ顔の表情が看て取れるものであり、全体として、人の体の形状を模したものというよりは、人の体の形状が直接感得されないようなバランスのとれた独自の世界感を体現した特徴的な形状というべきものである。」という全ての特徴を備えた形状なのであり、その特徴を併せ持つことにより、人間ともロボットとも、大人とも子供とも、男性とも女性ともつかない、いかなる人種からも解放された極めて洗練された形態であって、本願商標に係る立体的形状は、「おもちゃ」及び「組立おもちゃ」の分野の商品において通常見られる形状ではなく、属性を極限までそぎ落とすることでもたらされた唯一無二の形状というべきものである。
このように、本願商標は、民族や性別等の多様的な要素を極力排除し、あしらいを可能な限り抑えたシンプルながら独創的な立体的形状なのであり、請求人の形状に依拠又は模倣したと思われる第三者商品を除き(甲5)、おもちゃ等の市場において本願商標に係る立体的形状をおいて他にはなく、取引上普通に流通していない形状である。
そうすると、本願商標に係る立体的形状は、本願の指定商品との関係において通常採用し得る商品の一形態を表したものではなく、本来的に自他商品識別機能を十分に発揮する商標と認識されるべきものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 審尋において示された事例(別掲2)について
(1)別掲2の事例は、商品「おもちゃ,組立おもちゃ」において、人型と思われる立体的形状で構成されているものがよくみられることを示すのみであって、そのような立体的形状のうち、本願商標の特徴である上記(a)ないし(f)の一部のみしか有さないものが一般的に採用されているとしても、そのことから、直ちに(a)ないし(f)の全てを備えた本願商標が、一般的な立体的形状の範ちゅうであるということにはならない。
(2)別掲2の事例は、「おもちゃ,組立おもちゃ」によって表現される「人」「架空の生き物」「ロボット」「大人」「子供」「男性」「女性」といった属性が形態によって表現されており、多少の形態の単純化は認められるとしても、それは属性に係る表現の誇張を目的とした形態の単純化と解される類のものであって、その「様式」は本願商標に係る立体的形状が呈するところの「様式」とは質が異なるというべきである。
(3)本願商標に係る立体的形状は、左右それぞれの脚部背面に円形の穴部が上下2か所に形成されているところ、別掲2の事例には、本願商標の様な穴部を備えるものはないことから、「人型」と思われる立体的形状において、本願商標のような穴部は、普通に用いられているものともいえない。
(4)したがって、別掲2の事例は、本願商標が自他商品の識別標識として認識し得ないことの十分な根拠とはなり得ない。
3 商標法第3条第2号該当性について
(1)「本願商標と同一の形状であることが確認できる証拠」について
ア 請求人の商品は、「組立おもちゃ」の範ちゅうに該当し、本願商標に係る立体的形状を基本形状としているところ、当該商品は、基本形状の態様で使用されるだけでなく、装着物を備えた態様として使用されることも予定されているものであって、たとえ、装着物を備えた態様として製造・販売されたものであっても、使用に際しては、需要者が必ずや装着物を装着脱させることが予定されているものである。
そうすると、装着物が装着されている場合や、胴体部及び脚部に何らかの絵柄や文様が描かれている場合があるとしても、当該商品を手にした需要者は、少なくとも本願商標に係る立体的形状そのものについて認識するに至ることが自然であるから、請求人が提出した本願商標の使用を示す各甲号証等のように、必ずしも本願商標と同一形状が示された証拠ではないとしても、本願商標の立体的形状が使用されている商品が組立おもちゃの範ちゅうに属する商品であり、様々な装着物が付されて広告宣伝・販売等がされることがあることからすると、商標法第3条第2項における商標の同一性の判断を厳格に行うべきではなく、むしろ、その商品の性質等に応じて、商標の同一性の判断がされるべきである。
イ 本願商標に係る立体的形状は、販売開始以来、請求人の代表的な商品として位置付けられているところ、2019年11月には本願商標に係る立体的形状のサイズを拡大した木製の玩具が発売された(甲13の6、甲17、甲21の8、甲21の9)。
ウ 本願商標と略同一し得る立体的形状に係るイラストが、請求人が運営するテーマパーク「レゴランド・ジャパン・リゾート」(愛知県名古屋市)の感染防止対策に係る案内掲示(甲24)、ホテルの内装(甲25)にて使用されている。
エ 上記イ及びウの事実は、本願商標に係る立体的形状が、需要者に広く受け入れられ、請求人のシンボル的存在として広く知られているかを示しているものであり、本願商標に係る立体的形状は、具体的な商取引の実情を勘案しても、自他商品識別機能を発揮するものというべきものである。
(2)「本願商標の使用数量、売上高等の販売実績、市場占有率(シェア)が確認できる証拠」について
本願商標の使用数量、売上高等の販売実績に関し、請求人が提出した甲第3号証及び甲第8号証において、また、本願商標の市場占有率(シェア)に関し、請求人が提出した甲第6号証ないし甲第8号証において、たとえ装着物等を備えた態様で製造・販売されているものが含まれるとしても、これらは、本願商標の使用実績を検討するのに勘案されるべきものであり、本願商標が需要者の認識を得ている商標であることも示す証拠として採用されるべきである。
(3)「本願商標の広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等が確認できる証拠」について
ア 広告宣伝方法については、既に提出したカタログや書籍、雑誌記事や雑誌広告、ソーシャルメディアに係る資料(甲1、甲11の6、甲12の4~甲12の10、甲13の2及び甲17)によって示されている。
イ 期間については、1979年のカタログ(甲11の6)や1990年代及び2000年代のカタログ(甲12の9及び甲12の10)、2000年代の雑誌広告(甲12の4~甲12の8)、2019年のソーシャルメディア投稿(甲13の6)並びに本願商標に係る立体的形状を基本形状とした商品が1978年以来継続して世界規模で製造・販売されてきていることを示す資料(甲1、甲2、甲3、甲11、甲12、甲13の6)によって、40年以上の期間であることが推認されるものである。
ウ 地域については、当該商品を扱う店舗やショッピングモールが国内主要都市に存在すること(甲20、甲21)、雑誌広告やソーシャルメディアアカウント(甲12の4~甲12の10、甲13の6、甲17)の存在によって、全国規模であることが推認される。
エ 近年の広告宣伝の規模については、請求人が生産する商品の約6割が当該商品である事実及び我が国におけるマーケティング費用の額が2018年には約1億4858万デンマーククローネである事実(甲8)が示されている。
オ 上記ア~エの証拠には、装着物等を備えた態様で製造・販売されている当該商品に係る情報が含まれてはいるものの、上記(1)及び(2)と同様に、本願商標の使用実績を検討するのに勘案されるべきものであり、本願商標が需要者の認識を得ている商標であることも示す証拠として採用されるべきである。
4 まとめ
仮に、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当し得る商標と判断される可能性があるとしても、その商品が、世界各国で広く需要者に知られていることもあいまって、本願商標は自他商品識別機能を十分に発揮する商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する商標である。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)立体商標における商品の形状に係る判示
ア 商品又は商品の包装(以下「商品等」という。)の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。
このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品等の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品等の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。
しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
ウ さらに、商品等に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
その理由として、商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に、商品等の機能の観点からは発明ないし考案として、商品等の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)第10555号判決、平成19年(行ケ)第10215号判決、平成22年(行ケ)第10253号判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本願商標は、別掲1のとおり、全体として、頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状からなるものである。
そして、その人型の立体的形状について、頭部は、角の丸い円柱であり、その側面には、横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線が表示されており、ややほほ笑んだ顔を描いたものと認識されるものである。また、頭部の上には、小さな円柱(突起部)が重なっている。
次に、胴体部は、上底より下底が長い厚みのある台形の形状であり、また、両手部は、胴体部の側面に沿うように配され、その先端は、幅広の2本の指からなるロボットの手のような形状をしている。
さらに、両足部は、2つの略直方体からなり、それらの一つの面(頭部における顔を描いた面の反対側)に円形の図形をそれぞれ2つずつ表してなるものである。
イ 本願の指定商品は、上記第1のとおり、第28類「おもちゃ,組立おもちゃ」等であるところ、「おもちゃ,組立おもちゃ」においては、これら商品の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与える商品であるといえ、これら商品の市場における流行や需要者の好み等に合わせて各種の特徴的な変更又は装飾等が施されている実情にあるといえる。
そして、人型の「おもちゃ,組立おもちゃ」における形状については、頭、胴体、両手及び両足といった基本的な人型の構成以外は、特定の形状にしなければならない必要性が薄い商品であるといえる。
実際に、我が国の「おもちゃ,組立おもちゃ」の分野においては、請求人以外の者によって、人型の様々な立体的形状からなる商品が製造、販売されている実情が認められる(甲4、別掲2)。
そうすると、「おもちゃ,組立おもちゃ」においては、その商品の立体的形状について、需要者が機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲は、広範に及ぶものといわなければならない。
ウ 上記ア及びイによれば、本願商標に係る立体的形状は、本願の指定商品中、第28類「おもちゃ,組立おもちゃ」の形状を表したものと認識されるとみるのが相当である。
そして、当該立体的形状は、上記アの特徴を有しているとしても、これらの特徴は、例えば、様々な種類の帽子や髪を取り付けたり、手先に様々な種類の道具等を握らせたりすることを可能にするためや、商品を置いた際の倒れにくさ、見た目の良さなどといった、その機能に資することを目的として、又は見た目の美感に資することを目的として採択されたものといえ、その機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものとみるのが相当である。
また、請求人においても、請求人の取扱に係る「人型の組立おもちゃ」のカタログにおいて、例えば「ミニフィギュアの頭部のスタッドによって、何百もの・・・ヘアベース、帽子・・・へと取り付けたり交換したりすることができます。また、手には多様な付属品を掴ませたり、・・・もできます。」(甲1の3の9頁の抄訳)や、「手足が動き、手先に道具を握れ、帽子や髪を自在に変えられる人形が登場。」(甲12の10)のように、様々な種類の帽子や髪を取り付けたり、手先に様々な種類の道具等を握らせたりすることが可能なことを説明しており、当該特徴を有する「人型の組立おもちゃ」を取り扱っていることが認められる。
そうすると、本願商標は、その指定商品中「おもちゃ,組立おもちゃ」との関係において、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、単に基本的な人型と思われるデザインに関して様々なデザインが施されて製造・販売している実情があるという事実のみをもって、本願商標の独創的な形状について十分に検討することなく、また、個別具体的な事情をも加味せずになされた原査定は、その判断を誤るものであり、妥当ではない旨主張している。
しかしながら、上記(2)イのとおり、「おもちゃ,組立おもちゃ」においては、これら商品の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与える商品であるといえ、これら商品の市場における流行や需要者の好み等に合わせて各種の特徴的な変更又は装飾等が施されている実情にあること、また、人型の「おもちゃ,組立おもちゃ」における形状については、頭、胴体、両手及び両足といった基本的な人型の構成以外は、特定の形状にしなければならない必要性が薄い商品であること、さらに、実際に、我が国の「おもちゃ,組立おもちゃ」の分野においては、請求人以外の者によって、人型の様々な立体的形状からなる商品が製造、販売されている実情が認められることからすると、「おもちゃ,組立おもちゃ」においては、その商品の立体的形状について、需要者が機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲は、広範に及ぶものといわなければならない。
そうすると、たとえ、本願商標に係る立体的形状が独創的な形状であるとしても、当該立体的形状は、本願の指定商品中、第28類「おもちゃ,組立おもちゃ」の形状を表したものと認識されるとみるのが相当である。
イ 請求人は、本願商標に係る立体的形状は、「(a)頭部は大小2つの円柱を重ねたものであり、顔部分に相当する大きな円柱は角が丸くなっており、(b)胴体部は正面と背面にて略台形の形状であり、腰部は肩部よりも幅が広く、(c)胴体部の側面に湾曲する腕部を有し、当該腕部は胴体部の側面に略沿うように配され、(d)脚部は正面視二つの略矩形の形状であって、脚部の全幅は腰部の幅とほぼ同幅であり、足部は略直方体状となり、(e)胴体部と脚部の高さ比は約1対1であって、(f)頭部には、略中央付近にて水平方向に間隔を空けて並置された2つの黒色の丸と、その下方には両端が若干上方を向いた曲線とが配されており、全体として微笑んだ顔の表情が看て取れるものであり、全体として、人の体の形状を模したものというよりは、人の体の形状が直接感得されないようなバランスのとれた独自の世界感を体現した特徴的な形状」という全ての特徴を備えた形状なのであり、その特徴を併せ持つことにより、人間ともロボットとも、大人とも子供とも、男性とも女性ともつかない、いかなる人種からも解放された極めて洗練された形態であって、属性を極限までそぎ落とすることでもたらされた唯一無二の形状であり、また、当該形状は、民族や性別等の多様的な要素を極力排除し、あしらいを可能な限り抑えたシンプルながら独創的な立体的形状であるから、本願商標に係る立体的形状は、本願の指定商品との関係において通常採用し得る商品の一形態を表したものではなく、本来的に自他商品識別機能を十分に発揮する商標と認識されるべきである旨主張している。
しかしながら、上記(2)アのとおり、本願商標に係る立体的形状は、全体として、頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状であるから、仮に、当該形状が請求人の主張するような「人の体の形状が直接感得されないようなバランスのとれた独自の世界感を体現した特徴的な形状」や「民族や性別等の多様的な要素を極力排除し、あしらいを可能な限り抑えたシンプルながら独創的な立体的形状」と認識される場合があるとしても、上記(2)イを踏まえれば、上記(2)ウの判断を左右するものではない。
ウ 請求人は、本願商標に係る立体的形状は、請求人が保有・管理する商標を使用する玩具製造販売会社LEGO A/S社を筆頭とするグループ企業(以下「レゴ社」という。)を象徴する代表的な製品である「ミニフィグ クラシック」に係る形状として採用されたものであると主張し、レゴ社の説明や当該商品の売上げ等を述べつつ、このような状況からすると、当該商品はレゴ社のシンボル的存在として広く知られており、当該立体的形状は、自他商品識別機能を発揮する旨主張している。
しかしながら、請求人が主張するような状況は、本願商標の商標法第3条第2項該当性の判断において考慮すべきものであり、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性については、上記(2)のとおり判断するのが相当である。
エ 請求人は、別掲2の事例について、本願商標の特徴である上記(a)ないし(f)の一部のみしか有さないものが一般的に採用されているものであったとしても、そのことが直ちに(a)ないし(f)の全てを備えた本願商標が、一般的な立体的形状の範ちゅうであるということにはならない旨、また、当該事例は、「おもちゃ,組立おもちゃ」によって表現される「人」「架空の生き物」「ロボット」「大人」「子供」「男性」「女性」といった属性が形態によって表現されており、多少の形態の単純化は認められるとしても、それは属性に係る表現の誇張を目的とした形態の単純化と解される類のものであって、その「様式」は本願商標に係る立体的形状が呈するところの「様式」とは質が異なる旨主張している。
しかしながら、上記(2)イのとおり、「おもちゃ,組立おもちゃ」の立体的形状について、需要者が機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲は広範に及ぶことからすると、たとえ、上記(a)ないし(f)の全ての特徴を備えた形状の「おもちゃ,組立おもちゃ」の事例がなく、また、当該事例と本願商標に係る立体的形状とにおける請求人がいうところの「様式」の質が異なるとしても、本願商標に係る立体的形状は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものとみるのが相当である。
オ 請求人は、本願商標に係る立体的形状は、左右それぞれの脚部背面に円形の穴部が上下2か所に形成されているところ、別掲2の事例には、本願商標の様な穴部を備えるものはないことから、「人型」と思われる立体的形状において、本願商標のような穴部は、普通に用いられているものともいえない旨主張している。
上記(2)アにおいて認定したとおり、本願商標に係る立体的形状は、全体として、頭、胴体、両手及び両足を有する人型からなるものであり、その両足部のそれぞれの一つの面(頭部における顔を描いた面の反対側)に円形の図形が2つずつ表されていることが認められる。
しかしながら、当該円形の図形は、両足部のそれぞれの一つの面に大きく表されているものであり、人型の立体的形状における単なるデザインと認識されるものというべきである。
したがって、当該円形の図形自体が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえない。
また、当該円形の図形が、請求人が主張するように、図形ではなく穴部であるとしても、上記(2)イのとおり、「おもちゃ,組立おもちゃ」の立体的形状について、需要者が機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲は広範に及ぶことを踏まえれば、当該穴部があるとしても、本願商標に係る立体的形状は、機能上又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものとみるのが相当である。
2 商標法第3条第2項該当性について
(1)請求人は、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し得る商標と判断される可能性があるとしても、同条第2項に該当する旨を主張しているので、本願商標の同項該当性について、以下判断する。
(2)商標法第3条第2項に係る判示
商品等の立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標ないし商品等の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模、当該形状に類似した他の商品等の存否などの諸事情を総合考慮して判断するのが相当である。
そして、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であり、指定商品に属する商品であることを要するというべきである(上記知的財産高等裁判所判決)。
また、一般に、商品等の形状に接する需要者は、当該形状は、商品等の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所識別標識のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえることからすると、当該立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかの判断に当たっては、当該立体的形状が需要者の目に付きやすく、強い印象を与えるものであったかについても勘案して判断すべきである。
(3)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
ア 事実認定
請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
なお、商標法第3条第2項における「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」について、その「需要者」とは、当然に我が国における需要者を指すものである。
したがって、我が国の需要者が通常目にするものとはいえないもの(例えば、外国語による商品カタログ及びウェブサイト)は、需要者の認識の判断の根拠とすべき事実として認定することはできない。
(ア)本願商標及び使用に係る商品の立体的形状
a 本願商標は、上記1(2)アにおいて認定したとおりの構成からなるものである。
b レゴ社は、1978年(昭和53年)に、同社が販売する「組立おもちゃ」において、その中に含まれる主要アイテムとして、「小型のフィギュアおもちゃ」(以下「請求人商品」という。)の販売を開始した(請求人の主張、甲1の2、甲3、甲11)。
請求人商品は、全体として、頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状からなるものである。
そして、その人型の立体的形状について、頭部は、角の丸い円柱であり、その側面には、横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線が表示され、ややほほ笑んだ顔を描いたものと認識されるものが多いが、眼鏡や髭を描いたものなど、各種の他の表情を表示したものも多数ある。また、頭部の上には、各種の帽子や各種の髪型の髪といった異なるものがそれぞれに乗っている。
次に、胴体部は、上底より下底が長い厚みのある台形の形状であり、また、両手部は、胴体部の側面に配され、その先端は、幅広の2本の指からなるロボットの手のような形状をしている。そして、その胴体部には、それぞれ様々な模様が描かれている。
さらに、両足部は、2つの略直方体からなるものである。
以上のように、請求人商品は、頭部及び胴体部において様々な帽子・髪及び模様を備えることによって、宇宙飛行士、ドクター、警官、街の住人など、様々なキャラクターを表現したものがある。
(イ)請求人商品の使用開始時期及び使用期間並びに使用地域
a 請求人商品は、1978年(昭和53年)に販売が開始され、現在まで継続して販売されている(請求人の主張、甲1の2、甲3、甲11)。
b 請求人商品は、日本全国に多数所在するレゴ社の国内店舗において販売されている(甲20、甲21)。
(ウ)請求人商品の販売数量
a 請求人商品の生産数は、2013年(平成25年)6月の時点で、44億個を超えている(甲3)。
b 2014年(平成26年)から2018年(平成30年)までの各年において、レゴ社の我が国における売上高は、それぞれ約5.1億ないし約7.9億デンマーククローネ(職権による調査によれば、日本円に換算すると約92億ないし約142億円)であり、レゴ社によって製造された商品の約60%は、請求人商品を含むものである(甲8)。
(エ)請求人商品に係る広告宣伝のされた期間・地域及び規模
a 2014年(平成26年)から2018年(平成30年)までの各年において、レゴ社の我が国におけるマーケティング費用は、それぞれ約1.0億ないし約1.5億デンマーククローネ(職権による調査によれば、日本円に換算すると約18億ないし約27億円)であり、レゴ社によって製造された商品の約60%は、請求人商品を含むものである(甲8)。
b レゴ社(請求人が保有・管理する商標を使用する玩具製造販売会社LEGO A/S社を筆頭とするグループ企業)における我が国の販売会社であるレゴジャパン株式会社(甲6、甲7。以下「レゴジャパン社」という。)は、1992年(平成4年)及び2009年(平成21年)に、請求人商品を含む「組立おもちゃ」の商品カタログを作成した(甲12の9、甲12の10)。
当該カタログには、請求人商品の写真が掲載されている。また、当該カタログには、赤色正方形内に「LEGO」の欧文字を黒色で縁取りした白抜きの文字で表してなる商標(以下「請求人商標1」という。)が顕著に表示されており、さらに、例えば「レゴ・フィギュア誕生35年!」や「いろいろつくれちゃう!レゴ 基本セット」など、見出しにおいて、「レゴ」の片仮名からなる商標(以下「請求人商標2」という。)が表示されている。
c レゴジャパン社は、2002年(平成14年)及び2008年(平成20年)に発行された数種の雑誌において、請求人商品の広告を掲載した(甲12の4~甲12の8、甲13の2)。
当該広告には、上記bと同様に、請求人商品の写真が掲載され、また、請求人商標1及び2が表示されている。
d レゴ社の国内店舗には、店頭の看板及び店内の壁面に請求人商標1が表示されており(甲21の1、甲21の2、甲21の5、甲21の6、甲21の7)、店内には、請求人商品の写真を表示した立て看板や商品陳列台が設置されたり(甲21の2)、壁面に請求人商品の写真が表示されたりしている(甲21の5)。
また、ショッピングモールで開催された請求人商品に関するイベントのポスター、垂幕及び立て看板には、請求人商標1及び2並びに「LEGO」の文字からなる商標(以下「請求人商標3」という。)とともに、請求人商品の写真が表示されている(甲21の3、甲21の4)。
さらに、レゴ社が運営するテーマパーク「レゴランド・ジャパン・リゾート」(以下「レゴランド」という。)における感染防止対策に係る案内表示には、請求人商品の写真が掲載されている(甲24、請求人の主張)。
e レゴジャパン社は、SNS上における2019年(令和元年)11月7日付けの記事において、「木製のフィギュアおもちゃ」(以下「請求人木製商品」という。)の写真とともに、請求人木製商品が販売される旨の広告を掲載した(甲13の6)。請求人木製商品は、レゴ社の国内店舗にも展示されている(甲21の8、甲21の9)。
請求人木製商品は、全体として、頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状からなるものである。
そして、その人型の立体的形状について、頭部は、角の丸い円柱であり、その上には、小さな円柱(突起部)が重なっている。
次に、胴体部は、上底より下底が長い厚みのある台形の形状であり、また、両手部は、胴体部の側面に配され、その先端は、幅広の2本の指からなるロボットの手のような形状をしている。
さらに、両足部は、2つの略直方体からなるものである。
(オ)本願商標に係る立体的形状に類似した立体的形状の他の商品の存否
本願商標に係る立体的形状に類似した立体的形状の他の商品として、上記1(2)イのとおり、請求人以外の者によって、人型の様々な立体的形状からなるおもちゃ及び組立おもちゃが、それぞれ製造、販売されている実情がある(甲4、別掲2)。
(カ)その他の事情
a 請求人商品は、「レゴ ミニフィギュアの本」及び「レゴはなぜ世界で愛され続けているのか」といった書籍において、その種類や歴史などについて詳細に紹介されている(甲1の2、甲3)。
これらの書籍には、請求人商標1及び/又は2の表示とともに、請求人商品の写真が掲載されている。
b 2001年(平成13年)、2002年(平成14年)及び2007年(平成19年)に発行された数種の雑誌において、請求人商品を含むレゴ社の「組立おもちゃ」に関する紹介記事が掲載されている(甲12の1~甲12の3、甲13の1、甲13の3、甲13の4)。
これらの紹介記事には、請求人商標1ないし3の表示とともに、請求人商品の写真が掲載されている。
c 数種のウェブサイトにおいて、請求人商品の紹介記事が掲載されている(甲2の1、甲2の2、甲5、甲9、甲17)。
これらの紹介記事には、請求人商品の写真が掲載されている。
d 国連難民高等弁務官事務所のポスターには、請求人商品の写真が掲載されている(甲14)。
e レゴジャパン社の封筒には、請求人商標1の表示とともに、本願商標に係る立体的形状について、顔の表示(横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線)を削除したものを斜め前方から見た姿を様式化したような平面の図形(以下「請求人平面図形1」という。)が表示されている(甲13の5)。
また、レゴ社の国内店舗における「BUILD-A-MINIFIGURE」と題する店頭広告(甲18の1)及びレゴランドにおける「ミニフィギュアトレード」と称するアクティビティの案内掲示(甲18の2、請求人の主張)には、請求人商品を正面から見た姿を様式化したような平面の図形(以下「請求人平面図形2」という。)が表示されている。
さらに、レゴランドにおける感染防止対策に係る案内掲示(甲24、請求人の主張)には、本願商標に係る立体的形状について、顔の表示(横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線)を削除したものを正面から見た姿を様式化したような平面の図形(以下「請求人平面図形3」という。)が表示されており、レゴ社が運営するホテルの内装(甲25、被請求人の主張)には、請求人平面図形1又は3の一部と思われる図形が表示されている。
f 「Brand Finance Global 500 2017」において、「Lego」は、2017年(平成29年)のブランド名のランキングで196位になっている(甲10)。
g 請求人商品(小型のフィギュアおもちゃ)以外の「おもちゃ,組立おもちゃ」に係る使用の事実を証明する証拠の提出はない。
イ 判断
(ア)上記アで認定した事実によれば、請求人商品は、昭和53年に販売が開始され、その生産数及び売上高は相当程度あり、商品カタログ、雑誌、国内店舗、ショッピングモール及びレゴランドにおいて広告宣伝がされ、そのマーケティング費用も相当程度あり、加えて、書籍、雑誌及びウェブサイトで紹介されていることなどが認められる。
そうすると、請求人商品それ自体は、需要者の間に広く認識されていることがうかがえる。
(イ)請求人商品の広告宣伝においては、多くの場合、請求人商標1ないし3とともに表示されているところ、上記ア(カ)fのとおり、「Lego」はブランド名のランキングで上位になっていることから、「LEGO」又は「レゴ」の文字からなる請求人商標1ないし3は、認知度の高い商標であるといえる。
そうすると、請求人商品の認知度は、請求人商標1ないし3によって生み出されている可能性が十分にあるというべきである。
(ウ)a 請求人商品は、上記ア(ア)bのとおりの構成からなり、本願商標は、上記1(2)アのとおりの構成からなるところ、両者はいずれも、全体として頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状からなる点において共通している。加えて、両者の頭部は、角の丸い円柱であり、その側面には、横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線が表示され、ややほほ笑んだ顔を描いたものと認識されるものであること、胴体部は、上底より下底が長い厚みのある台形の形状であること、両手部は、胴体部の側面に配され、その先端は、幅広の2本の指からなるロボットの手のような形状をしていること、両足部は、2つの略直方体からなることにおいても共通している。
しかしながら、両者の頭部について、本願商標は、ややほほ笑んだ顔を描いたものと認識されるものであるのに対し、請求人商品は、眼鏡や髭を描いたものなど、各種の他の表情を表示したものも多数ある。また、頭部の上には、本願商標は、小さな円柱(突起部)が重なっているのに対し、請求人商品は、各種の帽子や各種の髪型の髪といった異なるものがそれぞれに乗っている。さらに、両足部について、本願商標は、それらの一つの面(頭部における顔を描いた面の反対側)に円形の図形をそれぞれ2つずつ表してなるのに対し、請求人商品は、そのような図形は見受けられない。
そして、請求人商品は、頭部及び胴体部において様々な帽子・髪及び模様を備えることによって、宇宙飛行士、ドクター、警官、街の住人など、様々なキャラクターを表現しているのに対し、本願商標は、そのような様々なキャラクターを表現しているものではない。
そうすると、本願商標と請求人商品とは、その立体的形状において、相当程度異なるものといわなければならない。
b なお、上記ア(エ)eのとおり、レゴジャパン社は、SNS上において請求人木製商品の広告を掲載し、当該請求人木製商品は、レゴ社の国内店舗にも展示されている。
請求人木製商品と本願商標とを比較すると、両者はいずれも、全体として頭、胴体、両手及び両足を有する人型の立体的形状からなる点において共通している。加えて、両者の頭部は、角の丸い円柱であり、その上には、小さな円柱(突起部)が重なっていること、胴体部は、上底より下底が長い厚みのある台形の形状であること、両手部は、胴体部の側面に配され、その先端は、幅広の2本の指からなるロボットの手のような形状をしていること、両足部は、2つの略直方体からなることにおいても共通している。
しかしながら、両者の頭部について、本願商標は、その側面に、横に並んだ2つの小さい黒塗りの丸とその下に両端上がりの弧線が表示されており、ややほほ笑んだ顔を描いたものと認識されるものであるのに対し、請求人木製商品は、そのような表示はない。また、両足部について、本願商標は、それらの一つの面(頭部における顔を描いた面の反対側)に円形の図形をそれぞれ2つずつ表してなるのに対し、請求人木製商品は、そのような図形は見受けられない。
そうすると、本願商標と請求人木製商品とは、その立体的形状において、一定程度異なるものといわなければならない。
c また、上記ア(カ)eのとおり、レゴ社は、請求人平面図形1ないし3及びこれらの一部と思われる図形を使用していることが認められるが、これらの図形と本願商標とは、平面と立体という大きな違いを有するほか、上記a及びbと同様の違いがあることから、両者は、相当程度異なるものといわなければならない。
(エ)請求人商品の広告宣伝や紹介記事において、請求人商品の写真は掲載されているものの、本願商標に係る立体的形状それ自体が、表示されている事情は見いだせない。
そうすると、本願商標に係る立体的形状それ自体が需要者の目に付きやすく、強い印象を与えるものであったとはいえない。
(オ)上記ア(オ)のとおり、請求人以外の者によって、人型の様々な立体的形状からなるおもちゃ及び組立おもちゃが、それぞれ製造、販売されている実情があり、また、上記ア(カ)gのとおり、請求人商品(小型のフィギュアおもちゃ)以外の「おもちゃ,組立おもちゃ」に係る使用の事実を証明する証拠の提出はない。
(カ)以上によれば、本願商標は、請求人商品とその立体的形状において相当程度異なるものであり、その請求人商品にしても、需要者の間に広く認識されていることがうかがえるものの、その認知度は、請求人商標1ないし3によって生み出されている可能性が十分にあり、本願商標に係る立体的形状それ自体が需要者の目に付きやすく、強い印象を与えるものであったとはいえないものであり、請求人以外の者によって人型の様々な立体的形状からなるおもちゃ及び組立おもちゃがそれぞれ製造、販売されている実情があり、請求人商品(小型のフィギュアおもちゃ)以外の「おもちゃ,組立おもちゃ」に係る使用の事実は何ら認められないことからすると、請求人木製商品及び請求人平面図形の使用を考慮したとしても、本願商標がその指定商品中「おもちゃ,組立おもちゃ」について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなったとはいえないと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(4)請求人の主張について
請求人は、請求人商品は、本願商標に係る立体的形状を基本形状とし、装着物を備えた態様として使用されること及び需要者が装着物を装着脱させることが予定されているものであるから、装着物が装着されている場合や、胴体部及び脚部に何らかの絵柄や文様が描かれている場合があるとしても、請求人商品を手にした需要者は、少なくとも本願商標に係る立体的形状そのものについて認識するに至ることが自然であり、商標法第3条第2項における商標の同一性の判断を厳格に行うべきではない旨主張している。
上記(2)のとおり、商品等の立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかの判断に当たっては、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であることを要するというべきである。
そして、上記(3)イ(ウ)aのとおり、本願商標と請求人商品とは、その立体的形状において、相当程度異なっているものである。
また、上記(3)イ(エ)のとおり、請求人商品の広告宣伝や紹介記事において、本願商標に係る立体的形状それ自体が表示されている事情は見いだせず、当該形状それ自体が需要者の目に付きやすく、強い印象を与えるものであったものではない。
さらに、上記(3)イ(ウ)aのとおり、請求人商品と本願商標とは、その形状において、共通している部分があるものの、当該共通している部分の形状が、請求人商品に接する需要者に対して、殊更目に付きやすく強い印象を与えるといった事情も見いだせない。
そうすると、請求人商品と本願商標とは、その形状において、実質的に同一であるということはできない。
してみると、たとえ、請求人商品が本願商標に係る立体的形状を基本形状とし、装着物を備えた態様として使用されること及び需要者が装着物を装着脱させることが予定されているものであるとしても、本願商標それ自体について、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
3 まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同条第2項の要件を具備するものとも認められないから、商標登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-013906