2020-006199
生理的状態監視システムにおいて生理的状態を測定するための生理的状態センサ
- 審判番号
- 2020-006199
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-227242外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月07日
- 審決日
- 2021年03月19日
- 公報発行日
- 2021年09月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1.手続の経緯
本願は,2012年12月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年12月15日(以下,「優先日」という。),アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2014-547509号の一部を平成29年11月27日に新たな特許出願としたものであって,平成29年11月27日付けで上申書が提出され,平成29年12月27日付けで審査請求がなされ,平成30年6月29日付けで拒絶理由が通知され,平成30年10月10日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,平成31年3月26日付けで拒絶理由(最後)が通知され,令和1年7月2日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,令和1年12月27日付けで令和1年7月2日付けの手続補正の補正却下の決定がなされると共に拒絶査定がなされ(謄本送達:令和2年1月7日),これに対して令和2年5月7日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和2年7月15日付けで前置報告がなされ,令和2年9月23日付けで上申書の提出がなされたものである。
第2.令和2年5月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正の内容
本件補正により,平成30年10月10日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】生理的状態監視システムにおいて生理的状態を測定するための生理的状態センサであって,ユーザの生理的状態を測定し,および,生理的状態測定データを生成するためのセンサと,生理的状態メータから近接場通信(NFC)リンクを介して,ランダムプロセスを使用して生成された秘密鍵を受信するための受信機であって,前記生理的状態センサは,前記秘密鍵を受信するために前記生理的状態メータに近接して配置されなければならない,受信機と,続きを表示(全81行)前記秘密鍵を使用して前記生理的状態測定データを暗号化するためのコントローラと,前記秘密鍵に基づいて,セキュア無線リンクを使用して前記暗号化された生理的状態測定データを前記生理的状態メータに送信するための送信機とを備え,前記生理的状態メータおよび前記生理的状態センサのいずれも前記秘密鍵の生成に使用するための鍵情報により事前に構成されておらず,前記生理的状態センサの識別子は,前記秘密鍵を生成するために前記生理的状態メータに提供される必要がないことを特徴とする生理的状態センサ。【請求項2】前記コントローラは,前記送信機により前記センサの動作情報を,前記セキュア無線リンクを介して前記生理的状態メータに送信するように構成され,前記生理的状態メータが前記動作情報に基づいて前記生理的状態センサに前記秘密鍵を送信することができるかを判定するために,前記動作情報は前記生理的状態メータによる処理のための前記生理的状態センサのバッテリ状態,有効期限データ,および損傷のうちの少なくとも1つを含む,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項3】前記生理的状態センサは前記秘密鍵を格納するためのワンタイムプログラマブルメモリを含む,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項4】受信機は,前記生理的状態メータおよび前記生理的状態センサが互いから約20センチメートル内に配置されるときにのみ,前記秘密鍵を受信するように構成される,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項5】前記生理的状態センサは,前記生理的状態メータにおいて第1の誘導要素と第2の誘導要素との間の誘導リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素を含む,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項6】前記生理的状態センサはエネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は前記第1の誘導要素における誘導電流により帯電されるように適合され,前記誘導電流は前記第2の誘導要素の電圧印加により誘導される,請求項5に記載の生理的状態センサ。【請求項7】生理的状態管理システムにおいて第1および第2の無線機器をペアリングするための方法であって,第1の無線機器を第2の無線機器と近接させて配置するステップと,近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションを生成するステップと,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップと,前記第1および第2の無線機器の間で,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介して信号を送信するステップであって,前記信号は前記秘密鍵を使用して暗号化される,ステップと,を含み,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成される,方法。【請求項8】前記信号は生理的状態データを含み,前記第1および第2の無線機器は,生理的状態データを感知すること,生理的状態データを表示すること,選択された期間の間生理的状態データを監視すること,選択された期間の間生理的状態データおよび関連する事象を監視することからなるグループから選択された生理的状態管理動作を実行するように構成され,前記関連する事象は食品の消費および飲料の消費のうちの少なくとも1つを含む,請求項7に記載の方法。【請求項9】前記秘密鍵の生成は,前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項7に記載の方法。【請求項10】前記第1および第2の無線機器は,ハンドヘルドデバイス,生理的状態センサ,グルコース監視機器,無線医療機器,および生理的状態管理機器,携帯電話,Apple(登録商標)のiPhone(登録商標)デバイス,時計,携帯型エクササイズデバイス,および生理データ監視装置からなるグループから選択される,請求項7に記載の方法。【請求項11】前記インジケーションは,前記第1および第2の無線機器が互いに電気的に結合されたこと,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにおけるスイッチの作動,前記第1および第2の無線機器のうちの一方が前記第1および第2の無線機器の他方のレセプタクル内に配置されたことの検出,ならびに前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにおける誘導電流の前記第1および第2の無線機器のうちの他の1つによる生成からなるグループから選択された事象に応答して,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにより生成される,請求項7に記載の方法。【請求項12】前記第1の無線機器は生理的状態監視機器であり,前記第2の無線機器は生理的状態センサであり,前記NFCリンクを介して前記生理的状態監視機器において前記生理的状態センサから動作情報を受信するステップであって,前記動作情報は前記生理的状態センサのバッテリ状態,有効期限データ,および損傷のうちの少なくとも1つを含む,ステップと,前記動作情報に基づいて前記生理的状態監視機器が前記生理的状態センサに前記秘密鍵を送信することができるかを判定するステップと,をさらに含む,請求項7に記載の方法。【請求項13】前記NFCリンクは誘導リンクであり,前記セキュア無線リンクの範囲は前記NFCリンクの範囲を超える,請求項7に記載の方法。【請求項14】前記第1および第2の無線機器は,約20センチメートル内に配置されたときに近接している,請求項13に記載の方法。【請求項15】前記第1および第2の無線機器を互いに近接させて配置した後,前記第1および第2の無線機器のうちの一方の誘導要素に電圧を印加するステップと,前記第1および第2の無線機器のうちの他方の誘導要素に電流を誘導するステップと,をさらに含む,請求項7に記載の方法。【請求項16】前記第1および第2の無線機器のうちの他方に前記誘導される電流からのエネルギーを蓄積するステップをさらに含む,請求項15に記載の方法。【請求項17】前記第1および第2の無線機器のうちの一方における誘導要素が前記第1および第2の無線機器のうちの他方の誘導要素に電流を誘導するとき,秘密鍵の生成を開始するために,前記NFCリンクが確立されたというインジケーションを生成するステップをさらに含む,請求項15に記載の方法。【請求項18】生理的状態管理システムであって,生理的状態管理動作を実行するように構成された第1および第2の無線機器であって,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つは前記第1および第2の無線機器が互いに近接しかつ近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立している場合にインジケーションを生成するように構成された,第1の無線機器および第2の無線機器を備え,前記第1の無線機器は,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有するように構成され,前記第1および第2の無線機器は,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介してデータを転送するように構成され,前記RFリンク上で前記データは前記第1および第2の無線機器の少なくとも1つにより前記秘密鍵を使用して暗号化され,かつ前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも他の1つは前記秘密鍵を使用し前記データを復号するように構成され,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成される,生理的状態管理システム。【請求項19】前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つは,第1の誘導要素と,前記第1および第2の無線機器のうちの他の1つの第2の誘導要素との間の誘導リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素を含む,請求項18に記載の生理的状態管理システム。【請求項20】前記インジケーションは,前記誘導要素の他方における電圧の印加により誘導される前記誘導要素の一方の誘導電流に応答して生成され送信される,請求項19に記載の生理的状態管理システム。【請求項21】前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つはエネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は,誘導電流により前記第1の誘導要素および前記第2の誘導要素のうちの対応する1つに帯電されるように適合される,請求項20に記載の生理的状態管理システム。【請求項22】前記秘密鍵の生成は,前記第1の無線機器において前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項18に記載の生理的状態管理システム。【請求項23】生理的状態管理システムにおいて第2の無線機器と安全にペアリングされる第1の無線機器であって,生理的状態管理動作を実行するように構成されたコントローラと,生理的状態管理信号を前記第2の無線機器に,または前記第2の無線機器から送信する少なくとも1つの無線通信インタフェースとを備え,前記コントローラは,近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答してランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,少なくとも1つの無線通信インタフェースを介して前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有し,前記秘密鍵に基づいて前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを使用して生理的状態管理信号を前記第2の無線機器に送信し,前記第1の無線機器は前記秘密鍵を使用して前記生理的状態管理信号を暗号化するように構成され,前記秘密鍵は,生理的状態メータおよび生理的状態センサが互いに近接して配置された後で生成される,第1の無線機器。【請求項24】第1の誘導要素と前記第2の無線機器の第2の誘導要素との間で誘電リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素をさらに備える,請求項23に記載の第1の無線機器。【請求項25】前記インジケーションは,前記第1の誘導要素の誘導電流に応答して前記第1の無線機器により生成される,請求項24に記載の第1の無線機器。【請求項26】前記第1の誘導要素は,エネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は,誘導電流により前記第1の誘導要素に帯電されるように適合される,請求項25に記載の第1の無線機器。【請求項27】前記コントローラによる前記秘密鍵の生成は,前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項23に記載の第1の無線機器。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】生理的状態監視システムにおいて生理的状態を測定するための生理的状態センサであって,ユーザの生理的状態を測定し,および,生理的状態測定データを生成するためのセンサと,生理的状態メータから近接場通信(NFC)リンクを介して,ランダムプロセスを使用して生成された秘密鍵を受信するための受信機であって,前記生理的状態センサは,前記秘密鍵を受信するために前記生理的状態メータに近接して配置されなければならない,受信機と,続きを表示(全83行)前記秘密鍵を使用して前記生理的状態測定データを暗号化するためのコントローラと,前記秘密鍵に基づいて,セキュア無線リンクを使用して前記暗号化された生理的状態測定データを前記生理的状態メータに送信するための送信機とを備え,前記生理的状態メータおよび前記生理的状態センサのいずれも前記秘密鍵の生成に使用するための鍵情報により事前に構成されておらず,前記生理的状態センサの識別子は,前記秘密鍵を生成するために前記生理的状態メータに提供される必要がなく,前記コントローラは,前記送信機により前記センサの動作情報を,前記セキュア無線リンクを介して前記生理的状態メータに送信するように構成され,前記生理的状態メータが前記動作情報に基づいて前記生理的状態センサに前記秘密鍵を送信することができるかを判定するために,前記動作情報は前記生理的状態メータによる処理のための前記生理的状態センサのバッテリ状態,有効期限データ,および損傷のうちの少なくとも1つを含む,生理的状態センサ。【請求項2】前記生理的状態センサは前記秘密鍵を格納するためのワンタイムプログラマブルメモリを含む,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項3】受信機は,前記生理的状態メータおよび前記生理的状態センサが互いから約20センチメートル内に配置されるときにのみ,前記秘密鍵を受信するように構成される,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項4】前記生理的状態センサは,前記生理的状態メータにおいて第1の誘導要素と第2の誘導要素との間の誘導リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素を含む,請求項1に記載の生理的状態センサ。【請求項5】前記生理的状態センサはエネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は前記第1の誘導要素における誘導電流により帯電されるように適合され,前記誘導電流は前記第2の誘導要素の電圧印加により誘導される,請求項4に記載の生理的状態センサ。【請求項6】生理的状態管理システムにおいて第1および第2の無線機器をペアリングするための方法であって,第1の無線機器を第2の無線機器と近接させて配置するステップと,近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションを生成するステップと,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップと,前記第1および第2の無線機器の間で,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介して信号を送信するステップであって,前記信号は前記秘密鍵を使用して暗号化される,ステップと,を含み,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない,方法。【請求項7】前記信号は生理的状態データを含み,前記第1および第2の無線機器は,生理的状態データを感知すること,生理的状態データを表示すること,選択された期間の間生理的状態データを監視すること,選択された期間の間生理的状態データおよび関連する事象を監視することからなるグループから選択された生理的状態管理動作を実行するように構成され,前記関連する事象は食品の消費および飲料の消費のうちの少なくとも1つを含む,請求項6に記載の方法。【請求項8】前記秘密鍵の生成は,前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項6に記載の方法。【請求項9】前記第1および第2の無線機器は,ハンドヘルドデバイス,生理的状態センサ,グルコース監視機器,無線医療機器,および生理的状態管理機器,携帯電話,Apple(登録商標)のiPhone(登録商標)デバイス,時計,携帯型エクササイズデバイス,および生理データ監視装置からなるグループから選択される,請求項6に記載の方法。【請求項10】前記インジケーションは,前記第1および第2の無線機器が互いに電気的に結合されたこと,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにおけるスイッチの作動,前記第1および第2の無線機器のうちの一方が前記第1および第2の無線機器の他方のレセプタクル内に配置されたことの検出,ならびに前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにおける誘導電流の前記第1および第2の無線機器のうちの他の1つによる生成からなるグループから選択された事象に応答して,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つにより生成される,請求項6に記載の方法。【請求項11】前記第1の無線機器は生理的状態監視機器であり,前記第2の無線機器は生理的状態センサであり,前記NFCリンクを介して前記生理的状態監視機器において前記生理的状態センサから動作情報を受信するステップであって,前記動作情報は前記生理的状態センサのバッテリ状態,有効期限データ,および損傷のうちの少なくとも1つを含む,ステップと,前記動作情報に基づいて前記生理的状態監視機器が前記生理的状態センサに前記秘密鍵を送信することができるかを判定するステップと,をさらに含む,請求項6に記載の方法。【請求項12】前記NFCリンクは誘導リンクであり,前記セキュア無線周波数リンクの範囲は前記NFCリンクの範囲を超える,請求項6に記載の方法。【請求項13】前記第1および第2の無線機器は,約20センチメートル内に配置されたときに近接している,請求項12に記載の方法。【請求項14】前記第1および第2の無線機器を互いに近接させて配置した後,前記第1および第2の無線機器のうちの一方の誘導要素に電圧を印加するステップと,前記第1および第2の無線機器のうちの他方の誘導要素に電流を誘導するステップと,をさらに含む,請求項6に記載の方法。【請求項15】前記第1および第2の無線機器のうちの他方に前記誘導される電流からのエネルギーを蓄積するステップをさらに含む,請求項14に記載の方法。【請求項16】前記第1および第2の無線機器のうちの一方における誘導要素が前記第1および第2の無線機器のうちの他方の誘導要素に電流を誘導するとき,秘密鍵の生成を開始するために,前記NFCリンクが確立されたというインジケーションを生成するステップをさらに含む,請求項14に記載の方法。【請求項17】生理的状態管理システムであって,生理的状態管理動作を実行するように構成された第1および第2の無線機器であって,前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つは前記第1および第2の無線機器が互いに近接しかつ近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立している場合にインジケーションを生成するように構成された,第1の無線機器および第2の無線機器を備え,前記第1の無線機器は,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有するように構成され,前記第1および第2の無線機器は,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介してデータを転送するように構成され,前記RFリンク上で前記データは前記第1および第2の無線機器の少なくとも1つにより前記秘密鍵を使用して暗号化され,かつ前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも他の1つは前記秘密鍵を使用し前記データを復号するように構成され,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない,生理的状態管理システム。【請求項18】前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つは,第1の誘導要素と,前記第1および第2の無線機器のうちの他の1つの第2の誘導要素との間の誘導リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素を含む,請求項17に記載の生理的状態管理システム。【請求項19】前記インジケーションは,前記誘導要素の他方における電圧の印加により誘導される前記誘導要素の一方の誘導電流に応答して生成され送信される,請求項18に記載の生理的状態管理システム。【請求項20】前記第1および第2の無線機器のうちの少なくとも1つはエネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は,誘導電流により前記第1の誘導要素および前記第2の誘導要素のうちの対応する1つに帯電されるように適合される,請求項19に記載の生理的状態管理システム。【請求項21】前記秘密鍵の生成は,前記第1の無線機器において前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項17に記載の生理的状態管理システム。【請求項22】生理的状態管理システムにおいて第2の無線機器と安全にペアリングされる第1の無線機器であって,生理的状態管理動作を実行するように構成されたコントローラと,生理的状態測定データを前記第2の無線機器に,または前記第2の無線機器から送信する少なくとも1つの無線通信インタフェースとを備え,前記コントローラは,近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答してランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,少なくとも1つの無線通信インタフェースを介して前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有し,前記秘密鍵に基づいて前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを使用して生理的状態測定データを前記第2の無線機器に送信し,前記第1の無線機器は前記秘密鍵を使用して前記生理的状態測定データを暗号化するように構成され,前記秘密鍵は,生理的状態メータおよび生理的状態センサが互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない,第1の無線機器。【請求項23】第1の誘導要素と前記第2の無線機器の第2の誘導要素との間で誘電リンクを提供するように適合された前記第1の誘導要素をさらに備える,請求項22に記載の第1の無線機器。【請求項24】前記インジケーションは,前記第1の誘導要素の誘導電流に応答して前記第1の無線機器により生成される,請求項23に記載の第1の無線機器。【請求項25】前記第1の誘導要素は,エネルギーストレージ要素を含み,前記エネルギーストレージ要素は,誘導電流により前記第1の誘導要素に帯電されるように適合される,請求項24に記載の第1の無線機器。【請求項26】前記コントローラによる前記秘密鍵の生成は,前記第2の無線機器の識別子のユーザ入力を利用しない,請求項22に記載の第1の無線機器。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。
2.補正の適否
(1)新規事項及び目的要件
本件補正は,補正前の請求項1に記載の,
「コントローラ」を,補正前の請求項2の記載に基づいて,
「前記コントローラは,前記送信機により前記センサの動作情報を,前記セキュア無線リンクを介して前記生理的状態メータに送信するように構成され,前記生理的状態メータが前記動作情報に基づいて前記生理的状態センサに前記秘密鍵を送信することができるかを判定するために,前記動作情報は前記生理的状態メータによる処理のための前記生理的状態センサのバッテリ状態,有効期限データ,および損傷のうちの少なくとも1つを含む,」と補正して,補正後の請求項1とし,
補正前の請求項2を削除し,
補正前の請求項7に記載の,
「前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成される」を,
「前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない」と補正して,補正後の請求項6とし,
補正前の請求項13に記載の,
「前記セキュア無線リンク」を,
「前記セキュア無線周波数リンク」と補正して,補正後の請求項12とし,
補正前の請求項18に記載の,
「前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成される」を,
「前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない」と補正して,補正後の請求項17とし,
補正前の請求項23に記載の,
「生理的状態管理信号」を,
「生理的状態測定データ」と補正して,補正後の請求項22とし,
補正前の請求項23に記載の,
「前記秘密鍵は,生理的状態メータおよび生理的状態センサが互いに近接して配置された後で生成される」を,
「前記秘密鍵は,生理的状態メータおよび生理的状態センサが互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない」と補正して,補正後の請求項22とするものである。
上記補正は,本願の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲,又は図面に記載された事項の範囲内でなされたものであるから,本件補正は,特許法17条の2第3項の規定を満たすものである。
また,補正前の請求項7,補正前の請求項18,及び,補正前の請求項23に係る補正は,それぞれ,補正前の請求項7,補正前の請求項18,及び,補正前の請求項23に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから,特許法17条の2第5項2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)独立特許要件
上記(1)に検討したとおり,本件補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲,又は図面に記載された事項の範囲内でなされたものであり,かつ,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので,本件補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。
ア 本件補正発明
本件補正により補正された請求項6に係る発明(以下,「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項6として引用された,次のとおりのものである。
「生理的状態管理システムにおいて第1および第2の無線機器をペアリングするための方法であって,第1の無線機器を第2の無線機器と近接させて配置するステップと,近接場通信(NFC)リンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションを生成するステップと,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップと,前記第1および第2の無線機器の間で,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介して信号を送信するステップであって,前記信号は前記秘密鍵を使用して暗号化される,ステップと,を含み,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない,方法。」
イ 引用文献
(ア)引用文献5に記載の事項
原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2006-14076号公報(2006年1月12日出願公開。以下「引用文献5」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(下線は,当審において付加したものである。以下,同じ。)
a 「【0040】図2に示すように,本実施の形態にかかるセキュア通信装置20は,NFC通信可能な能動通信部101と,非対称鍵生成部102と,復号器103と,広域通信部104と,暗号/復号器105と切換え部106とを備えた通信装置である。【0041】セキュア通信装置20は,セキュア通信機能搭載機器10の内部又は外部に備わる装置である。当該セキュア通信装置20の通信機能によって,セキュア通信機能搭載機器10は,外部とデータ通信することができる。【0042】上記能動通信部101は,上述のNFC通信機能を備えたイニシエータであり,後述のターゲットである受動通信部に対して電磁波を発生する。さらに上記能動通信部101には,近接通信または広域通信で用いられるIDが予め割当てられ,格納されている。図2に示すように,能動通信部101には,“A”というID(IDA)が割当てられている。なお,IDは能動通信部101に限定されず,記憶手段を備えていれば,いかなる部位に格納されても良く,また能動通信部101に付与されるIDは必ずしもIDAに限定されず,いかなるIDが与えられても良い。」
b 「【0047】復号器103は,能動通信部101が受信した暗号化セッション鍵等の暗号化データを非対称鍵生成部102が生成した復号鍵で復号する。なお,受信した暗号化データが暗号化セッション鍵の場合,復号されるとセッション鍵となり,そのセッション鍵は後述する広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵となる。共通鍵による暗号化/復号処理は,秘密鍵暗号化方式に基づくものであり,公開鍵または秘密鍵による暗号化/復号処理よりも,数百倍~数千倍程処理が速い。したがって,共通鍵による暗号化/復号処理の方が,装置に対する処理負荷が少ない。【0048】広域通信部104は,例えばBluetooth等の広域通信にてデータを送受信する機能を有する。なお,広域通信にてデータを送信する際には,予め割当てられた相手のIDを指定して(例えばIDB等),送信する必要がある。」
c 「【0052】図3に示すように,本実施の形態にかかるセキュア通信装置22は,NFC通信可能な受動通信部106と,暗号化部107と,乱数発生器108と,広域通信部109と,暗号化/復号器110と,切換え部111とを備えた通信装置である。【0053】セキュア通信装置22は,上記セキュア通信装置20の説明と同様に,セキュア通信機能搭載機器10の内部又は外部に備わる装置である。(中略)【0057】乱数発生器108は,ランダムに所定の桁数からなる乱数を発生する。発生した乱数は,セッション鍵(以下,乱数と記載する場合もある。)のビットパターンとして用いられる。常にランダム発生する乱数のため,セッション鍵のビットパターンを第三者によって推測されにくい。【0058】なお,本実施の形態にかかる乱数発生器108は,例えば,高周波発振回路をサンプリングして真性乱数を発生するハードウェアから構成された回路等であるが,かかる例に限定されず,例えば,入力ビットパターンであるシードに基づいて擬似乱数を生成する1又は2以上のモジュール等から構成されたコンピュータプログラムの場合でも実施可能である。」
d 「【0076】次に,図5を参照しながら,本実施の形態にかかる通信システム100における一連の通信処理について説明する。図5は,本実施の形態にかかる通信システムにおける一連の通信処理の概略を示すシーケンス図である。【0077】図5に示すように,セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要がある。したがって,近接通信するため上記セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを近接通信可能な範囲まで予め移動させる。【0078】ここで,図6を参照しながら,本実施の形態にかかるセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが近接通信可能な範囲に存在する場合について説明する。図6は,本実施の形態にかかるセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとの近接通信の概略を示す説明図である。【0079】図6に示すように,セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが,例えば,10cm程度の距離の範囲内に接近することで,双方の機器は近接通信可能な範囲に入り,セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとの間でセキュア通信が確立し,広域通信でデータ通信することができる。なお,図6に示すセキュア通信機能搭載機器10aは携帯電話であり,セキュア通信機能搭載機器10bは携帯電話用のヘッドセットであるが,かかる例に限定されない。なお,上記ヘッドセットは,スピーカーとマイクを備え,携帯電話を直接耳に当てなくとも,携帯電話と音声データを送受信することで直接通話することができる装置である。」
e 「【0081】図7に示すように,イニシエータであるセキュア通信機能搭載機器10aと,ターゲットであるセキュア通信機能搭載機器10bとセキュア通信機能搭載機器10aとが存在する。また,セキュア通信機能搭載機器10aは電磁波を外界に発している。【0082】なお,セキュア通信機能搭載機器10aは,例えば自ら発している磁界の変化を1%以上であれば検出できるものとする。つまり,セキュア通信機能搭載機器10aは,外部からのセキュア通信搭載機器10による磁界の変化が1%以上であれば,その変化がそのセキュア通信搭載機器10による応答であると判断することができる。【0083】図7に示すように,セキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aが発生した磁界(又は電磁波)を4%吸収することができる。そして,セキュア通信機能搭載機器10bは,発生している磁界を1%以上変化させるように,その吸収した磁界を反射することで,セキュア通信機能搭載機器10aに応答することができる。【0084】つまり,図7に示すセキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aと例えば10cm程度離れた近接通信可能な範囲内に存在する。」
f 「【0095】再び,図5に戻ると,まず最初にセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,ステップS501において,ポーリング(問合せ処理)を実行し,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,そのポーリングを受信し,ステップS502において,そのポーリングに対する応答を,能動通信部101に送信する。【0096】なお,図5に示すセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10aとの間は,上記説明した近接通信可能な範囲に存在しているものとする。続きを表示(全30行)【0097】能動通信部101は,受動通信部106から,ポーリングに対する応答が送信されてくると,その応答を受信し,暗号化鍵と復号鍵とを生成し,そのうち暗号化鍵と能動通信部101に割当てられたID(例えば,NFCID等)を送信する(S503)。なお,上記NFCIDは,例えば,図2,図3で説明したIDAまたはIDB等に相当する。【0098】受動通信部106は,上記暗号化鍵とIDとを受信すると,乱数発生部108によって乱数がランダムに生成される(S504)。その発生した乱数が上述の通りセッション鍵として用いられる。【0099】次に,暗号化器107は,生成されたセッション鍵を既に受信している上記暗号化鍵で暗号化する(S505)。暗号化されたセッション鍵(暗号化セッション鍵)は,受動通信部106に割当てられたID(例えば,NFCID等)とともに能動通信部101に送信される(S506)。【0100】能動通信部101が,上記暗号化セッション鍵とIDとを受信すると,復号器103は,その暗号化セッション鍵を既に生成された復号鍵で復号し(S507),セッション鍵を得る。【0101】能動通信部101が受動通信部106からIDを受信することで,通信相手である受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)を特定することができる。また,受動通信部106は,暗号化鍵とともに受信するIDによって,通信相手である能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)を特定することができる。【0102】復号されたセッション鍵は,暗号化/復号器105に伝送されるとともに,能動通信部101が受信した受動通信部106のIDは広域通信部104に送信される。また一方でも,受動通信部106が受信した能動通信部101のIDは広域通信部109に伝送され,乱数発生器108で発生したセッション鍵は,暗号化/復号器110に伝送される。したがって,広域通信部104と広域通信部109との間でも双方で通信相手を特定することができる。【0103】復号器103でセッション鍵に復号されると(S507),切換え部106は,能動通信部101を介して,受動通信部106に対し,NFC等の近接通信からBluetooth等の広域通信に切り換える切り換え要求(例えば,通信切り替え要求信号またはメディアハンドオーバリクエストなど)を送信する(S508)。【0104】なお,例えば,NFCとBluetoothとを比べても,Bluetooth通信の方が高伝送レートであり,大容量のデータの送信を,NFCによる通信よりも,迅速かつ効率的に行え,通信可能範囲も広いため,携帯電話をヘッドセットで手放しで通話する場合等,近接通信から広域通信に切換えるのが有益である。【0105】なお,切換え要求の際に,既に近接通信の際に取得したNFCID等の識別情報の他に,双方のセキュア通信機能搭載機器10同士で,広域通信に必要な通信情報が交換される。広域通信に必要な通信情報としては,例えば,広域通信において,通信相手を特定するBluetooth Deviceアドレスなどを例示することができる。【0106】次に,受動通信部106が切換え要求を受信すると,受動通信部106は,能動通信部101からの切り換え要求に対する応答(例えば,メディアハンドオーバレスポンス)を,能動通信部101に送信し(S509),能動通信部101は,その応答を受信する。【0107】その後,セキュア通信機能搭載機器10aは,能動通信部101による近接通信から,広域通信部104によるBluetooth等の広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行う(S511)。さらに,セキュア通信機能搭載機器10bも,受動通信部106が行う近接通信から,広域通信部109による広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行う(S510)。【0108】そして,双方のセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとがセッション鍵を共有することができたことで,セキュア通信が確立し,能動通信部101と受動通信部106との間で近接通信が終了する(S512)。【0109】その後,新たに切換えられた広域通信部104と広域通信部109との間で,近接通信で共有したセッション鍵を用いてセキュアなデータ通信が行われる(S513)。なお,近接通信で共有した最初のセッション鍵は,例えば,セッションが終了するたびに新規に生成される。かかる構成により,広域通信によるセキュア通信確立処理よりも格段にセキュリティを向上させることができる。なお,本実施の形態にかかるセッション鍵は共通鍵暗号化方式に基づく共通鍵であるが,かかる例に限定されない。」
g 「図2」
h 「図3」
i 「図5」
j 「図7」
(イ)上記記載事項について検討する。
上記dの段落0076の「図5は,本実施の形態にかかる通信システムにおける一連の通信処理の概略を示すシーケンス図である」との記載,上記dの段落0077の「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要がある」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「通信システムにおいて,セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う方法」が記載されていると認められる。
上記aの段落0040の「図2に示すように」,「セキュア通信装置20は,NFC通信可能な能動通信部101と」,「広域通信部104と」「を備えた通信装置である」との記載,上記aの段落0041の「セキュア通信装置20は,セキュア通信機能搭載機器10」「に備わる装置である」との記載,及び上記gで引用した図2の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10は,セキュア通信装置20を備え,前記セキュア通信装置20は,NFC通信可能な能動通信部101と,広域通信部104とを備えたものであ」ることが記載されていると認められる。
また,上記cの段落0052の「図3に示すように」,「セキュア通信装置22は,NFC通信可能な受動通信部106と」,「乱数発生器108と」,「広域通信部109と」「を備えた通信装置である」との記載,上記cの段落0053の「セキュア通信装置22は」,「セキュア通信機能搭載機器10」「に備わる装置である」との記載,及び上記hで引用した図3の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10は,セキュア通信装置22を備え,前記セキュア通信装置22は,NFC通信可能な受動通信部106と,乱数発生器108と,広域通信部109とを備えたものであ」ることが記載されていると認められる。
そして,上記「セキュア通信機能搭載機器10a,及び,10b」は,「セキュア通信機能搭載機器10」が備える構成を備えていることは明らかである。
そうすると,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10a,及び,10bのそれぞれは,セキュア通信装置20及びセキュア通信装置22を備え,前記セキュア通信装置20は,NFC通信可能な能動通信部101と,広域通信部104とを備え,また,前記セキュア通信装置22は,NFC通信可能な受動通信部106と,乱数発生器108と,広域通信部109とを備えたものであ」ることが記載されていると認められる。
上記cの段落0057の「乱数発生器108は,ランダムに所定の桁数からなる乱数を発生する。発生した乱数は,セッション鍵(以下,乱数と記載する場合もある。)のビットパターンとして用いられる。」との記載,及び上記cの段落0058の「乱数発生器108は,例えば,高周波発振回路をサンプリングして真性乱数を発生するハードウェアから構成された回路等である」との記載から,引用文献5には,「乱数発生器108は,高周波発振回路をサンプリングして真性乱数を発生するハードウェアから構成された回路等であり,乱数発生器108は,ランダムに所定の桁数からなる乱数を発生し,発生した乱数は,セッション鍵のビットパターンとして用いられ」ることが記載されていると認められる。
上記dの段落0077の「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要がある」との記載,同じく段落0077の「近接通信するため上記セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを近接通信可能な範囲まで予め移動させる」との記載,及び上記dの段落0079の「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが,例えば,10cm程度の距離の範囲内に接近することで,双方の機器は近接通信可能な範囲に入り」との記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要があるため,上記セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを,近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」ることが記載されていると認められる。
上記fの段落0095の「まず最初にセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,ステップS501において,ポーリング(問合せ処理)を実行し,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,そのポーリングを受信し,ステップS502において,そのポーリングに対する応答を,能動通信部101に送信する」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「まず最初にセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,ポーリング(問合せ処理)を実行し,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,そのポーリングを受信し,そのポーリングに対する応答を,能動通信部101に送信」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0097の「能動通信部101は,受動通信部106から,ポーリングに対する応答が送信されてくると,その応答を受信し,暗号化鍵と復号鍵とを生成し,そのうち暗号化鍵と能動通信部101に割当てられたID(例えば,NFCID等)を送信する(S503)。」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106から,ポーリングに対する応答が送信されてくると,その応答を受信し,暗号化鍵と復号鍵とを生成し,そのうち暗号化鍵と能動通信部101に割当てられたID(例えば,NFCID等)をセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106へ送信」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0098の「受動通信部106は,上記暗号化鍵とIDとを受信すると,乱数発生部108によって乱数がランダムに生成される(S504)。その発生した乱数が上述の通りセッション鍵として用いられる。」との記載,上記hで引用した図3の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が,上記暗号化鍵とIDとを受信すると,セキュア通信機能搭載機器10bの乱数発生部108は,セッション鍵として用いられる乱数をランダムに生成」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0099の「暗号化器107は,生成されたセッション鍵を既に受信している上記暗号化鍵で暗号化する(S505)。暗号化されたセッション鍵(暗号化セッション鍵)は,受動通信部106に割当てられたID(例えば,NFCID等)とともに能動通信部101に送信される(S503)。」との記載,上記hで引用した図3の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10bの暗号化器107は,生成されたセッション鍵を既に受信している上記暗号化鍵で暗号化し,暗号化されたセッション鍵である暗号化セッション鍵を,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に割当てられたID(例えば,NFCID等)とともにセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101に送信」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0100の「能動通信部101が,上記暗号化セッション鍵とIDとを受信すると,復号器103は,その暗号化セッション鍵を既に生成された復号鍵で復号し(S507),セッション鍵を得る」との記載,上記gで引用した図2の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101が,上記暗号化セッション鍵とIDとを受信すると,セキュア通信機能搭載機器10aの復号器103は,その暗号化セッション鍵を既に生成された復号鍵で復号してセッション鍵を得」ることが記載されていると認められる。
上記fの段落0103の「復号器103でセッション鍵に復号されると(S507),切換え部106は,能動通信部101を介して,受動通信部106に対し,NFC等の近接通信からBluetooth等の広域通信に切り換える切り換え要求(例えば,通信切り替え要求信号またはメディアハンドオーバリクエストなど)を送信する」との記載,上記gで引用した図2の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「復号器103でセッション鍵に復号されると,セキュア通信機能搭載機器10aの切換え部106は,能動通信部101を介して,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に対し,NFC等の近接通信からBluetooth等の広域通信に切り換える切り換え要求を送信」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0106の「次に,受動通信部106が切換え要求を受信すると,受動通信部106は,能動通信部101からの切り換え要求に対する応答(例えば,メディアハンドオーバレスポンス)を,能動通信部101に送信し(S509),能動通信部101は,その応答を受信する」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「次に,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が切換え要求を受信すると,受動通信部106は,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101からの切り換え要求に対する応答を,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101に送信し,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,その応答を受信」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0107の「その後,セキュア通信機能搭載機器10aは,能動通信部101による近接通信から,広域通信部104によるBluetooth等の広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行う(S511)。さらに,セキュア通信機能搭載機器10bも,受動通信部106が行う近接通信から,広域通信部109による広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行う(S510)。」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「その後,セキュア通信機能搭載機器10aは,能動通信部101による近接通信から,広域通信部104によるBluetooth等の広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行い,さらに,セキュア通信機能搭載機器10bも,受動通信部106が行う近接通信から,広域通信部109による広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行」うことが記載されていると認められる。
上記fの段落0108の「そして,双方のセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとがセッション鍵を共有することができたことで,セキュア通信が確立し,能動通信部101と受動通信部106との間で近接通信が終了する(S512)。」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「双方のセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとがセッション鍵を共有することができたことで,セキュア通信が確立し,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101とセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106との間で近接通信が終了」することが記載されていると認められる。
上記fの段落0109の「その後,新たに切換えられた広域通信部104と広域通信部109との間で,近接通信で共有したセッション鍵を用いてセキュアなデータ通信が行われる(S513)。」との記載,上記gで引用した図2の記載,上記hで引用した図3の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「新たに切換えられたセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間で,近接通信で共有したセッション鍵を用いてセキュアなデータ通信が行われ」ることが記載されていると認められる。
上記bの段落0047の「セッション鍵は後述する広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵となる。」との記載から,引用文献5には,「セッション鍵は,広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵とな」ることが記載されていると認められる。
上記fの段落0101の「能動通信部101が受動通信部106からIDを受信することで,通信相手である受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)を特定することができる。また,受動通信部106は,暗号化鍵とともに受信するIDによって,通信相手である能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)を特定することができる」との記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106からIDを受信することで,通信相手である受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)を特定することができ,また,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,暗号化鍵とともに受信するIDによって,通信相手である能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)を特定することができ」ることが記載されていると認められる。
上記fの段落0102の「復号されたセッション鍵は,暗号化/復号器105に伝送されるとともに,能動通信部101が受信した受動通信部106のIDは広域通信部104に送信される。また一方でも,受動通信部106が受信した能動通信部101のIDは広域通信部109に伝送され,乱数発生器108で発生したセッション鍵は,暗号化/復号器110に伝送される。したがって,広域通信部104と広域通信部109との間でも双方で通信相手を特定することができる」との記載,上記gで引用した図2の記載,上記hで引用した図3の記載,及び上記iで引用した図5の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101が受信したセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106のIDはセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104に送信され,また,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が受信したセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101のIDはセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109に伝送され,これにより,セキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間でも双方で通信相手を特定することができ」ることが記載されていると認められる。
上記eの段落0082の「セキュア通信機能搭載機器10aは,外部からのセキュア通信搭載機器10による磁界の変化が1%以上であれば,その変化がそのセキュア通信搭載機器10による応答であると判断することができる。」との記載,上記eの段落0083の「セキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aが発生した磁界(又は電磁波)を4%吸収することができる。そして,セキュア通信機能搭載機器10bは,発生している磁界を1%以上変化させるように,その吸収した磁界を反射することで,セキュア通信機能搭載機器10aに応答することができる。」との記載,上記eの段落0084の「つまり,図7に示すセキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aと例えば10cm程度離れた近接通信可能な範囲内に存在する。」との記載,及び上記jで引用した図7の記載から,引用文献5には,「セキュア通信機能搭載機器10aは,外部からのセキュア通信搭載機器10による磁界の変化が1%以上であれば,その変化がそのセキュア通信搭載機器10による応答であると判断することができ,セキュア通信機能搭載機器10aと10cm程度離れた近接通信可能な範囲内に存在するセキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aが発生した磁界(又は電磁波)を4%吸収することができるので,セキュア通信機能搭載機器10bは,発生している磁界を1%以上変化させるように,その吸収した磁界を反射することで,セキュア通信機能搭載機器10aに応答することができる」ことが記載されていると認められる。
(ウ)引用発明
したがって,引用文献5の上記各記載及び図面の記載を総合すると,引用文献5には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
通信システムにおいて,セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う方法であって,
前記セキュア通信機能搭載機器10a,及び,10bのそれぞれは,セキュア通信装置20及びセキュア通信装置22を備え,前記セキュア通信装置20は,NFC通信可能な能動通信部101と,広域通信部104とを備え,また,前記セキュア通信装置22は,NFC通信可能な受動通信部106と,乱数発生器108と,広域通信部109とを備えたものであり,
前記乱数発生器108は,高周波発振回路をサンプリングして真性乱数を発生するハードウェアから構成された回路等であり,乱数発生器108は,ランダムに所定の桁数からなる乱数を発生し,発生した乱数は,セッション鍵のビットパターンとして用いられるものであり,
セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要があるため,上記セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを,近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ,
まず最初にセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,ポーリング(問合せ処理)を実行し,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,そのポーリングを受信し,そのポーリングに対する応答を,能動通信部101に送信し,
前記セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106から,ポーリングに対する応答が送信されてくると,その応答を受信し,暗号化鍵と復号鍵とを生成し,そのうち暗号化鍵と能動通信部101に割当てられたID(例えば,NFCID等)をセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106へ送信し,
前記セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が,上記暗号化鍵とIDとを受信すると,セキュア通信機能搭載機器10bの乱数発生部108は,セッション鍵として用いられる乱数をランダムに生成し,
前記セキュア通信機能搭載機器10bの暗号化器107は,生成されたセッション鍵を既に受信している上記暗号化鍵で暗号化し,暗号化されたセッション鍵である暗号化セッション鍵を,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に割当てられたID(例えば,NFCID等)とともにセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101に送信し,
前記セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101が,上記暗号化セッション鍵とIDとを受信すると,セキュア通信機能搭載機器10aの復号器103は,その暗号化セッション鍵を既に生成された復号鍵で復号してセッション鍵を得,
前記復号器103でセッション鍵に復号されると,セキュア通信機能搭載機器10aの切換え部106は,能動通信部101を介して,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に対し,NFC等の近接通信からBluetooth等の広域通信に切り換える切り換え要求を送信し,
次に,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が切換え要求を受信すると,受動通信部106は,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101からの切り換え要求に対する応答を,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101に送信し,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,その応答を受信し,
その後,セキュア通信機能搭載機器10aは,能動通信部101による近接通信から,広域通信部104によるBluetooth等の広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行い,さらに,セキュア通信機能搭載機器10bも,受動通信部106が行う近接通信から,広域通信部109による広域通信への切り換え(ハンドオーバ)を行い,
双方のセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとがセッション鍵を共有することができたことで,セキュア通信が確立し,セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101とセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106との間で近接通信が終了し,
新たに切換えられたセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間で,近接通信で共有したセッション鍵を用いてセキュアなデータ通信が行われ,
ここで,セッション鍵は,広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵となるものであり,
前記セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101は,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106からIDを受信することで,通信相手である受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)を特定することができ,また,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106は,暗号化鍵とともに受信するIDによって,通信相手である能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)を特定することができ,
前記セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101が受信したセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106のIDはセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104に送信され,また,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が受信したセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101のIDはセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109に伝送され,これにより,セキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間でも双方で通信相手を特定することができ,
前記セキュア通信機能搭載機器10aは,外部からのセキュア通信搭載機器10による磁界の変化が1%以上であれば,その変化がそのセキュア通信搭載機器10による応答であると判断することができ,セキュア通信機能搭載機器10aと10cm程度離れた近接通信可能な範囲内に存在するセキュア通信機能搭載機器10bは,セキュア通信機能搭載機器10aが発生した磁界(又は電磁波)を4%吸収することができるので,セキュア通信機能搭載機器10bは,発生している磁界を1%以上変化させるように,その吸収した磁界を反射することで,セキュア通信機能搭載機器10aに応答することができる,
方法。
(エ)引用文献1に記載の事項
原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用された,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2009-99083号公報(平成21年5月7日出願公開。以下「引用文献1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(下線は,当審において付加したものである。以下,同じ。)
k 「【0010】 上記従来の課題を解決するために,本発明に係る遠隔医療システムは,内部ネットワークと,利用者端末と,生体データを計測する測定端末と,前記利用者端末と前記測定端末に装着でき,前記利用者端末に装着することで前記内部ネットワークを介して通信を行う利用者端末用アダプタと,前記測定端末に装着して前記内部ネットワークを介して前記利用者端末用アダプタと通信を行う測定端末用アダプタと,から構成された遠隔医療システムであって,前記測定端末は,前記測定端末を識別する測定端末識別子を保持し,前記利用者端末用アダプタは,前記生体データを暗号化,復号化するサービス鍵を保持し,前記利用者端末用アダプタと前記測定端末用アダプタは,所定の計算方法を共通で保持し,前記測定端末用アダプタを前記測定端末に装着し,前記測定端末は,前記測定端末識別子を前記測定端末用アダプタに記録し,前記測定端末用アダプタは,前記測定端末識別子から前記所定の計算方法で前記利用者端末用アダプタと暗号化通信を行う共有鍵を生成し,前記利用者端末用アダプタを前記測定端末に装着し,前記測定端末は,前記測定端末識別子を前記利用者端末用アダプタに記録し,前記利用者端末用アダプタは,前記測定端末識別子から前記所定の計算方法で前記測定端末用アダプタと暗号化通信を行う前記共有鍵を生成し,前記利用者端末用アダプタを前記利用者端末に装着し,前記測定端末用アダプタを前記測定端末に装着し,前記利用者端末用アダプタは,記録している前記サービス鍵を前記共有鍵で暗号化して暗号化サービス鍵を生成し,前記内部ネットワークを介して前記測定端末用アダプタへ送信し,前記測定端末用アダプタは,前記利用者端末用アダプタから前記暗号化サービス鍵を受信し,前記共有鍵で復号化して前記サービス鍵を取得して記録することを特徴とする。」
l 「【0132】
<測定端末16の構成>
測定端末16は,図14に示すように,測定データ保持部161と測定部162と測定端末識別子保持部163とアダプタアクセス部164とから構成される。
m 「【0138】
<(1)データを測定する場合>
測定部162は,体重センサとタイマーを有する。体重を測定したら,そのときの日付と体重データとを組み合わせた測定データを生成し,それを測定データ保持部161に格納して終了する。(S16101)
n 「【0140】 <測定端末用アダプタ17の構成>測定端末用アダプタ17は,図15に示すように,端末アクセス部171とサービス鍵保持部172と第二送受信部173とサービス鍵取得処理部174と共有鍵生成部175と測定データ送信処理部176とから構成される。」
o 「【0157】測定データ送信処理部176は,測定端末16の測定データ保持部161にアクセスし,測定データMDを取得する。(S17203) 【0158】測定データ送信処理部176は,サービス鍵SKを用いて,測定データMDを暗号化, 暗号化測定データENCMDを生成する。(S17204) 【0159】測定データ送信処理部176は,利用者端末用アダプタ15の測定データ収集処理部1510に対して,暗号化測定データENCMDを送信して終了する。(S17205)」
(オ)引用文献1に記載の技術
上記(エ)のk~oの記載から,引用文献1には,次の技術(以下,「引用文献1に記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献1に記載の技術)
「利用者端末と,生体データを計測する測定端末と,前記利用者端末に装着することで通信を行う利用者端末用アダプタと,前記測定端末に装着して前記利用者端末用アダプタと通信を行う測定端末用アダプタとから構成される遠隔医療システムにおいて,測定端末用アダプタの測定データ送信処理部は,測定端末の測定部で測定されたユーザの体重等の測定データをサービス鍵を用いて暗号化して利用者端末用アダプタに送信する技術。」
ウ 引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)a 引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a,及び,10b」のそれぞれは,「セキュア通信装置20」及び「セキュア通信装置22」を備え,前記「セキュア通信装置20」は,「NFC通信可能な能動通信部101」,「広域通信部104」などの“無線通信装置”を備え,前記「セキュア通信装置22」は,「NFC通信可能な受動通信部106」,「広域通信部109」などの“無線通信装置”を備えたものであるから,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a,及び,10b」は,本件補正発明の「無線機器」に相当する。
b 引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とが「通信処理を行う方法」は,「セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」が,近接通信を利用して“セッション鍵”を共有することで,「Bluetooth等の広域通信」を行う無線機器として“ペアリング”されているものである。
したがって,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とが「通信処理を行う方法」は本件補正発明の「第1および第2の無線機器をペアリングするための方法」に相当する。
c 引用発明の「通信システム」は,「セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」との間で“セキュアな無線通信”を行うものである一方,本件補正発明の「生理的状態管理システム」は,「第1の無線機器」と「第2の無線機器」との間で“セキュアな無線通信”を行うものであるから,引用発明の「通信システム」と本件補正発明の「生理的状態管理システム」とは,ともに,“2つの無線機器の間でセキュアな無線通信を行うシステム”である点で共通する。
d 上記a~cの検討から,引用発明と本件補正発明とは,“2つの無線機器の間でセキュアな無線通信を行うシステムにおいて,第1および第2の無線機器をペアリングするための方法”である点で共通する。
(イ)引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとが通信処理を行う場合,まず近接通信でセキュア通信を確立する必要があるため,上記セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを,近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」ることは,本件補正発明の「第1の無線機器を第2の無線機器と近接させて配置するステップ」に相当する。
(ウ)a 引用発明の「近接通信」は,「NFC等の近接通信」であるから,本件補正発明の「近接場通信(NFC)」に相当する。
b 引用発明は,「NFC通信可能な能動通信部101」と「NFC通信可能な受動通信部106」とによる「近接通信(NFC)」を介して「セッション鍵」を共有することで,「セキュア通信が確立」するものであるから,引用発明の“NFCを介してセッション鍵を共有してセキュア通信を確立する”ことは本件補正発明の「NFCリンクを介して通信を確立する」ことに相当する。
c 引用発明の「セッション鍵」は,「広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵となるものであ」るから,本件補正発明の「秘密鍵」に相当する。
また,引用発明の「乱数発生器108」は,「高周波発振回路をサンプリングして真性乱数を発生するハードウェアから構成された回路等」であり,「ランダムに所定の桁数からなる乱数」を発生し,「発生した乱数」は,「セッション鍵のビットパターン」として用いられるものであるから,引用発明の「セッション鍵のビットパターン」として用いられる「乱数」を「ランダムに生成」することは,本件補正発明の「ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成」することに相当する。
d 引用発明の「乱数発生器108」は,受動通信部106を備える「セキュア通信機能搭載機器10b」において「乱数」を生成している一方,本件補正発明は,「前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し」ているから,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10b」は,「乱数」を生成する側の「無線機器」である点で,本件補正発明の「第1の無線機器」に相当する。
e 引用発明は,「セキュア通信機能搭載機器10b」側で生成された「セッション鍵」を暗号化して,「セキュア通信機能搭載機器10a」の「能動通信部101」に送信し,「セキュア通信機能搭載機器10a」側の「復号器103」で「暗号化セッション鍵」を復号して「セッション鍵」を得ており,その結果,「双方のセキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとがセッション鍵を共有することができ」るものであるから,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10b」で生成された「セッション鍵」を,当該「セキュア通信機能搭載機器10b」と共有する「セキュア通信機能搭載機器10a」は,本件補正発明の「第1の無線機器」において生成された「秘密鍵」を,当該「第1の無線機器」と共有する「第2の無線機器」に相当する。
f そして,引用発明において,「乱数発生器108」が「セッション鍵」を生成し,生成した「セッション鍵」を「セキュア通信機能搭載機器10a」と共有するのは,“セキュア通信”を“確立”するためであるといえる。
g 上記a~fの検討から,引用発明の「セキュア通信」を「確立」するために,「セキュア通信機能搭載機器10b」の「乱数発生器108」が「セッション鍵」を生成し,生成した「セッション鍵」を「セキュア通信機能搭載機器10a」と共有することと,本件補正発明の「前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップ」とは,「前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップ」である点で共通する。
(エ)a 引用発明の「NFC等の近接通信」から「切り換え」られる「Bluetooth等の広域通信」は,「NFC等の近接通信」と“異なる”ものであり,また,「Bluetooth等の広域通信」では,「セッション鍵」を用いた「セキュアなデータ通信」が行われるものであるから,引用発明の「Bluetooth等の広域通信」は,本件補正発明の「前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンク」に相当する。
そして,引用発明では,「新たに切換えられたセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間」,すなわち,「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとの間」で,「近接通信で共有したセッション鍵」を用いて「セキュアなデータ通信」が行われるものであり,ここで,「セッション鍵」は,「広域通信部104にて通信する際の暗号化/復号するための共通鍵」となるものであるから,「セキュアなデータ通信」において,「データ」は「セッション鍵」を使用して「暗号化される」ものである。
してみれば,引用発明の「新たに切換えられたセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間で,近接通信で共有したセッション鍵を用いて」「Bluetooth等の広域通信」「が行われ」ることは,本件補正発明の「前記第1および第2の無線機器の間で,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介して信号を送信するステップであって,前記信号は前記秘密鍵を使用して暗号化される,ステップ」に相当する。
(オ)引用発明は,「上記セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とを,「近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」,その後,「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106」が「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101」の「ポーリング」に対して「応答」を送信した“後”で,「セッション鍵として用いられる乱数」を生成しているものであるから,引用発明において,「乱数」を生成するタイミングは,「上記セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とを,「近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」た“後”である。
したがって,引用発明の「上記セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とを,「近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」,その後,「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106」が「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101」の「ポーリング」に対して「応答」を送信した“後”で,「セッション鍵として用いられる乱数」を生成することは,本件補正発明の「前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され」ることに相当する。
(カ)a 引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に割当てられたID」は,「セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101」が「受動通信部106」から前記「ID」を受信することで,通信相手である「受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)」を特定することができるものであるから,「セキュア通信機能搭載機器10b」の“識別子”であるといえる。
したがって,上記(ウ)dの検討も踏まえると,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106に割当てられたID」は,本件補正発明の「第1の無線機器の識別子」に相当する。
b 引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a」の「能動通信部101に割当てられたID」は,「セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106」が,暗号化鍵とともに受信する前記「ID」によって,通信相手である「能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)」を特定することができるものであるから,「セキュア通信機能搭載機器10a」の“識別子”であるといえる。
したがって,上記(ウ)eの検討も踏まえると,引用発明の「セキュア通信機能搭載機器10a」の「能動通信部101に割当てられたID」は,本件補正発明の「第2の無線機器の識別子」に相当する。
c そして,引用発明の上記各「ID」は,「能動通信部101」が「通信相手である受動通信部106(セキュア通信機能搭載機器10b)」を特定するためのもの,あるいは,「受動通信部106」が,「通信相手である能動通信部101(セキュア通信機能搭載機器10a)」を特定するためのものである。
d また,引用発明は,「前記セキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101が受信したセキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106のIDはセキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104に送信され,また,セキュア通信機能搭載機器10bの受動通信部106が受信したセキュア通信機能搭載機器10aの能動通信部101のIDはセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109に伝送され」,これにより,「セキュア通信機能搭載機器10aの広域通信部104とセキュア通信機能搭載機器10bの広域通信部109との間でも双方で通信相手を特定することができ」るというものである。
e そうすると,引用発明は,「能動通信部101に割当てられたID」を「受動通信部106」に送信し,また,「受動通信部106に割当てられたID」を「能動通信部101」に送信しているものの,これらの「ID」は,いずれも,通信相手を特定するために用いられるものであって,「セキュア通信機能搭載機器10b」において,「セッション鍵として用いられる乱数」を生成するために用いられるものではない。
f したがって,引用発明の「受動通信部106に割当てられたID」(「第1の無線機器の識別子」に相当する。)または「能動通信部101に割当てられたID」(「第2の無線機器の識別子」に相当する。)は,「セッション鍵として用いられる乱数」を生成するために,「セキュア通信機能搭載機器10a」(第2の無線機器)に提供される必要がないものであるから,引用発明と本件補正発明とは,“前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない”という点で差異がない。
(キ)上記(ア)~(カ)の検討から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「2つの無線機器の間でセキュアな無線通信を行うシステムにおいて,第1および第2の無線機器をペアリングするための方法であって,第1の無線機器を第2の無線機器と近接させて配置するステップと,前記NFCリンクを介して通信を確立するために,前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する,ステップと,前記第1および第2の無線機器の間で,前記NFCリンクと異なるセキュア無線周波数(RF)リンクを介して信号を送信するステップであって,前記信号は前記秘密鍵を使用して暗号化される,ステップと,を含み,前記秘密鍵は,前記NFCリンクを確立するために前記第1および第2の無線機器が互いに近接して配置された後で生成され,前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない,方法。」
(相違点1)
「2つの無線機器の間でセキュアな無線通信を行うシステム」が,本件補正発明では,「生理的状態管理システム」であるのに対して,引用発明では,「通信システム」である点。
(相違点2)
NFCリンクを介して通信を確立するために,本件補正発明では,「前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションを生成するステップ」を含んでいるのに対して,引用発明は,そのようなステップを含むことは特定されていない点。
(相違点3)
「前記第1の無線機器において,ランダムプロセスを使用して秘密鍵を生成し,前記第2の無線機器と前記秘密鍵を共有する」ステップが,本件補正発明では,「前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーションに応答して」実行されるのに対して,引用発明は,インジケーションに応答することは特定されていない点。
エ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)相違点1について
本件補正発明には,生理的状態管理システムに関連した特有の情報や処理等を特定する記載は一切ないから,本件補正発明は,単に適用する技術分野を「生理的状態管理システム」と特定したに過ぎないものであるところ,2つの無線機器の間でセキュアな無縁通信を行うことは,「生理的状態管理システム」の技術分野に限らず,広く一般に行われていることからすれば,適用分野を単に「生理的状態管理システム」と限定することに格別の技術的意味があるものではなく,引用発明の適用分野を周知の「生理的状態管理システム」とすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
なお,必要であれば,上記イ(オ)の引用文献1に記載の技術を参照されたい。
上記引用文献1に記載の技術から,遠隔医療システム(引用文献1の「遠隔医療システム」は,体重等の生体情報を管理するものであるから,「生理的状態管理システム」といえるものである。)において,2つの無線機器の間でセキュアな無線通信を行うことは周知技術であると認められる。
(イ)相違点2及び相違点3について
本件補正発明の「インジケーション」との語に関し,例えば「研究社 新英和大辞典,第6版,第2刷,2002年5月」には「indication」の意味として「1 表示するもの,しるし,きざし,兆候;2a 指示,指摘;b 表示;3 (各種計器の)表示度数,示度;4 必要とされること[もの];5 〔医学〕(ある処置が必要なことを示す)兆候,指標,適用,適応(症)」と説明されており,また,本願明細書の段落0014には「図1の例では,ユーザからの命令または,グルコースメータ105およびグルコースセンサ110が近接しているという別のインジケーションの後,グルコースメータ105および/またはグルコースセンサ110は,NFC無線リンクを使用して共有鍵を交換する。」と記載されていることからすると,本件補正発明の「インジケーション」とは,「指示,あるいはしるし」を意味するものと解される。
そして,引用発明は,「セキュア通信機能搭載機器10aとセキュア通信機能搭載機器10bとを,近接通信可能な範囲である10cm程度の距離の範囲まで予め移動させ」ると,10cm程度に近接したことを,「セキュア通信機能搭載機器10a」,或いは,「セキュア通信機能搭載機器10b」,または,その両方が知ることで,次の処理に移行しているのであるから,「セキュア通信機能搭載機器10a」,又は「セキュア通信機能搭載機器10b」に,10cm程度に近接したことを知らしめることが本件補正発明の「インジケーション」に相当するといえる。
そうすると,引用発明において,「セキュア通信機能搭載機器10a」と「セキュア通信機能搭載機器10b」とが10cm程度に近接した際に,そのことを「セキュア通信機能搭載機器10a」又は「セキュア通信機能搭載機器10b」が知ることで,次の処理に移行できるようにするために,「セキュア通信機能搭載機器10a及びセキュア通信機能搭載機器10bが互いに近接したことを知らしめるための指示,あるいはしるし」,すなわち,「前記第1および第2の無線機器が互いに近接しているというインジケーション」を生成し,「セキュア通信機能搭載機器10a」及び「セキュア通信機能搭載機器10b」が,当該「インジケーション」に応答して,次の処理である,「乱数」の生成処理や,当該「乱数」の共有処理を実行するように構成すること,すなわち,上記相違点2及び相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)そして,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明,及び引用文献1に記載の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
オ まとめ
したがって,本件補正発明は,引用発明,及び引用文献1に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3.むすび
以上検討したとおり,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3.本願発明について
1.本願発明
令和2年5月7日付けの手続補正(本件補正)は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし27に係る発明は,平成30年10月10日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2の[理由]1.(2)に本件補正前の請求項7として記載したとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項7に係る発明は,下記の引用文献5に記載された発明及び引用文献1に記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
<引用文献>
1.特開2009-99083号公報
5.特開2006-14076号公報
3.引用文献,引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5の記載事項及び引用発明並びに引用文献1の記載事項は,上記第2の[理由]2.(2)イに記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2.(2)で検討した本件補正発明から,「前記第1または第2の無線機器の識別子は前記秘密鍵を生成するために前記第2の無線機器に提供される必要がない」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2.(2)ウ,エに記載したとおり,引用発明及び引用文献1に記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明及び引用文献1に記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4.むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用文献5に記載された発明及び引用文献1に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-006199