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商標異議申立

2019-900315

イネッシー、イネシー

審判番号
2019-900315
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2019-001234外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年10月28日
審決日
2020年06月09日
公報発行日
2020年07月31日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
T1651.261-Y (3033) / T1651.262-Y (3033) / T1651.263-Y (3033) / T1651.271-Y (3033)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
類否(4条1項11号)(本文から自動抽出・参考)
非類似(11号に当たらない)理由: 商標どうしが似ていない結論とむすびの書きぶりから機械的に判定しています。誤りがあり得るため本文で確認してください。
外観・称呼・観念ごとの判断(本文から自動抽出・参考)
外観: 異なる(区別できる)称呼: 異なる(区別できる)観念: 比較できない当審の判断(11号の検討部分)の文から機械的に読み取っています。引用商標ごとに判断が分かれると複数付きます。誤りがあり得るため本文で確認してください。
称呼の音の差(本文から自動抽出・参考)
1音違い音の置き換え(「タ」と「ガ」など)位置: 語頭・前半相違音「イ」相違音「ヘ」当審の判断(11号の検討部分)で称呼の差異を述べた文から機械的に読み取っています。誤りがあり得るため本文で確認してください。
音の細かな特徴(本文から自動抽出・参考)
長さ: 4〜5音長さ: 「短い音構成」などと述べたもの読み方: ローマ字読み読み方: 英語風の読み読み方: 併記した読み(振り仮名など)に従う称呼について述べた文から機械的に読み取っています。誤りがあり得るため本文で確認してください。
識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
標準文字
論点(本文から自動抽出・参考)
称呼外観観念取引の実情商品・役務の類否出所の混同周知・著名濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
引用商標(本文から自動抽出・参考)
  • 引用商標1登録第1573695号(図形等・別掲)称呼 ヘネシー第33・25・30・32類
  • 引用商標2登録第3005630号(図形等・別掲)称呼 ヘネシー第33・5・6・8・14・16・21・25・29・30・31・32・34・42類
  • 引用商標3登録第4082365号(図形等・別掲)称呼 ヘネシー第33類
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

登録第6167837号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。

結論

【結 論】
登録第6167837号商標の商標登録を維持する。

理由

目次 ▾ 15項目
【理 由】

1 本件商標

本件登録第6167837号商標(以下「本件商標」という。)は,「INESSY」の文字を標準文字で表してなり,平成31年1月8日に登録出願,第30類「クッキー,菓子」及び第33類「ウイスキー」を指定商品として,令和元年7月2日に登録査定,同年8月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は,以下の3件であり,いずれも,現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)。

(1)登録第1573695号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:昭和50年9月25日
設定登録日:昭和58年3月28日
書換登録日:平成16年5月26日
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」

なお,第25類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品について防護標章登録されている。

(2)登録第3005630号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成4年4月10日
設定登録日:平成6年9月30日
指定商品:第33類「洋酒,果実酒」

なお,第5類,第6類,第8類,第14類,第16類,第21類,第25類,第29類ないし第32類,第34類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務について防護標章登録されている。

(3)登録第4082365号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成7年7月19日
設定登録日:平成9年11月14日
指定商品:第33類「コニャック地方産のブランデー,その他の洋酒,果実酒,中国酒,日本酒,薬味酒」

3 登録異議の申立ての理由

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申立人は,本件商標の指定商品中,第33類「ウイスキー」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第78号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人の名称の略称「HENNESSY」及び引用商標の著名性について

ア 申立人である「ソシエテ ジャ ヘネシーエコンパニー(SOCIETE JAS HENNESSY&COMPAGNIE)」は1765年にアイルランド出身のリチャード・ヘネシーによって創設されたフランス国法人であり一般に「ヘネシー社」と略称されている(以下「ヘネシー社」という。)(甲8の1~甲21)。申立人の略称であり,かつ,申立人の業務に係る商品に使用される商標である「HENNESY」又は「ヘネシー」の語は,申立人の創設者及びその後の経営者に由来するものであり,非常に独自性の高い略称又は商標である。

イ 現在「ヘネシー社」はコニャック業界におけるトップ・セリング・ブランドであり(甲8の8~甲8の29),申立人の商品は,世界で約4割ものシェアを占め,申立人は,世界最大のコニャック生産企業である(甲26,甲27)。世界での現在の年間販売数量は7000万(本)にも及ぶ(甲25)。

ウ 申立人の略称かつ申立人の業務に係る商品に使用される商標として「HENNESSY」の語は,酒類に関する刊行物においてはもちろんのこと,酒類に限定しない多岐にわたる一流品及び著名商標を掲載する刊行物において頻繁に掲載されるとともに,辞書及び新聞等においても記載がされている(甲8の1~甲22)。辞書,新聞,及び刊行物等において申立人自体及び引用商標共に大々的に取り上げられ紹介されているにもかかわらず,申立人は,活発な広告・PR活動を継続している(甲30~甲36)。その他にも,人気のあるホテルの敷地内に大きな看板広告を立てたり(甲38),銀座の有名な建物の壁面に広告を掲げたりした(甲39,甲40)。

エ 引用商標は申立人の不断の努力により我が国において高い名声や信用,顧客吸引力等を獲得するに至っていることから,引用商標をそっくり真似した標章の付された偽造品が出回る模倣・盗用事件が発生し,申立人は,商標権使用差止等請求事件を提起したことがある(甲41~甲45)。

オ 以上によれば,本件商標の出願時である平成31年1月8日はもちろんのこと,登録査定時である令和1年7月9日においても,申立人の創業者の名に由来する「HENNESSY」及び「ヘネシー」の語は,申立人の著名な略称及び申立人の業務に係るコニャックの商品に使用される商標として,我が国の取引者・需要者において高い著名性を有していたというべきである。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 指定商品の類否

本件商標の指定商品中,「ウイスキー」は,引用商標の指定商品との関係において同一又は類似の商品であり,生産部門,販売部門,流通経路,用途,及び需要者の範囲がすべて一致する。

イ 本件商標と引用商標の類否

(ア)外観・称呼

本件商標は,「INESSY」の欧文字を書したものであるところ,「INESSY」に相当する既成の語は外国語としても存在しないものの,本件商標は,引用商標の「HENNESSY」の構成中,実に「N」「E」「S」「S」「Y」の5文字が共通する。

また,両商標は,その称呼も共に3音であるところ,語頭音の1音を除く「○ネシー」も共通する。上述したとおり,「HENNESSY」又は「ヘネシー」の語は,申立人の創設者及びその後の経営者に由来するものであり,非常に独自性の高い略称又は商標であり,現在,権利が存続している商標において「NESSY」を語尾に有する商標は55件存在し,そのうち実に48件が申立人又は申立人の関連のある企業であることからもそれは明らかである(甲54)。申立人の主たる業務である第33類に限っていえば,申立人以外の「NESSY」を語尾に有する商標は本件商標のみである。

このことからも,「INESSY」(決定注:「NESSY」の誤記と認める。)の語の独自性は高く,第33類において当該「INESSY」(決定注:「NESSY」の誤記と認める。)を有する語である場合,たとえ,本件商標と引用商標との間に「HE」(へ)及び「I」(イ)の語頭の一音相違があるとしても,申立人の「HENNESSY」商標の語頭を除く5文字「NESSY」を本件商標が共通にする以上全体的印象が共通し外観・称呼上相紛れるおそれが高いというべきである。したがって,本件商標は,引用商標とは,外観及び称呼において類似性が極めて高い。

(イ)観念

引用商標は,それ自体が意味を有する言葉として定着しているものではないとしても,上述のとおり,我が国においてコニャック分野で著名なブランドとして知られている。そして,本件商標と引用商標とは,語頭の一音が相違するにすぎず,外観上においても中間・語尾の「NESSY」が共通するものであるから,その造語性の程度は,引用商標から生じる申立人の業務に係るコニャック分野において著名な「ヘネシー」ブランドの観念を完全に打ち消すほど強いものとはいえない。そもそも,「HENNESSY」の語尾(決定注:「語頭」の誤記と認める。)「HE」(へ)の1音を変化させ「INESSY」にしたところで,商標全体として生じる観念や印象が劇的に変わるとはいえず,少なくとも本件商標は,一般人の注意力からすれば,「HENNESSY」をもじった商標という程度に理解されるものであるから,申立人に係る著名な「ヘネシー」ブランドに関連した観念が払拭されるものではない。

したがって,本件商標に接した需要者が,引用商標に近似した印象を受け,または同じ観念を生じて記憶,連想されることも生じうるから,本件商標は,引用商標とは,申立人の業務に係るコニャック分野において著名な「ヘネシー」ブランドの観念を共通にする類似性を有するものである。

(ウ)小括

以上のとおり,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼,観念のいずれの要素についても互いに類似性を有するものであるから,商標全体としても互いに類似するものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知著名性

引用商標に係る「HENNESSY」商標は,申立人が1765年の創業から現在に至るまで250年以上にわたって一貫して使用してきたものであり,現在でも,申立人の業務に係る商品を表すものとして,高い著名性を維持,向上させてきている。「HENNESSY」商標は,申立人の業務に係る商品や業務を指称する著名なブランドのハウスマークであるのみならず,フランス国を代表する由緒ある有名ブランドとして確固たる地位を堅持しているものである。そして,引用商標は,コニャック業界に限らず,アルコール分野全般において,日本はもとより世界中において,取引者及び需要者の間に広く知られたところとなっている。

イ 商標の類似性の程度

本件商標と引用商標は,外観上及び称呼上の類似性の程度は極めて高いといわなければならない。仮に,本件商標が引用商標との関係において,なお極めて強い出所識別機能を有する「HENNESSY」の「NESSY」を共通にし,「ヘネシー」の称呼とは3音中2音の「ネシー」の部分が共通するものであり,その類似性の程度は極めて高いというべきである。

ウ 本件商標の指定商品と引用商標の使用商品との関連の程度,商品等の取引者及び需要者の共通性

本件商標の指定商品中,「ウイスキー」は,申立人が使用し著名性を有する引用商標に係る商品「コニャック」と同一又は類似の商品である。両商品の性質等及び商品の取引者及び需要者において互いに共通性が高いことは明らかである。

両商品は共に蒸留酒であり,アルコール飲料のなかでも近似した商品であるから,生産部門,販売部門,流通経路,用途,及び需要者の範囲がすべて一致する。

エ 小括

本件商標と引用商標との外観及び称呼上の類似性,申立人の引用商標が著名性を獲得していること,申立人が著名性を獲得しているアルコール分野の商品を本件商標が指定商品としている点等の取引の実情(共通性)などに照らし,当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断した場合,本件商標に接した取引者・需要者は,あたかも申立人若しくは申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく,商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。

加えて,申立人は自己のブランドイメージを維持し,より一層の発展をさせるため世界中で展開する事業においてその製造に係る商品について厳重な品質管理を行っている。また,引用商標は,申立人に係る商品を表示するものとして,我が国はもとより世界中で取引者・需要者の間に広く認識されている周知著名商標であり,申立人の提供する商品に係る絶大な信用が化体した重要な財産である。

したがって,本件商標の登録が維持されれば,申立人と何ら関係のない者により,申立人が現にその商標を付して使用している商品とその需要者等を同一にする商品についての使用が許されることになる。また,その結果として,申立人の提供する商品に比較して,品質の劣る商品が,引用商標と類似する商標を使用して需要者に提供される事態も生じ得る。

このような事態は,申立人が永年にわたり多大な努力を費やして培ってきた引用商標のブランドイメージを著しく毀損し,申立人に多大な損害が生じることは明らかである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。

(ア)申立人である「ヘネシー社」は,1765年創業のフランス国法人でコニャックの製造業者であり(甲8,甲9,甲11~甲16,甲25,甲26),申立人は,コニャックの世界市場でトップ・セリング・ブランドになっていると評されている(甲8の15~甲8の29)。また,同社の製造に係るコニャック(以下「申立人商品」という。)は約4割ものシェアを占め(甲26,甲27),世界での年間販売数量は7000万(本)にも及んだことがある旨が紹介されている(甲25)。

(イ)申立人商品に,「Hennessy」及び「ヘネシー」の文字が使用されおり,また,申立人の略称としても当該各文字が使用されていて,申立人商品は,新聞,辞書,刊行物,ウェブサイト等において紹介,掲載されている(甲6~甲22,甲26~甲27)。

(ウ)申立人商品は,我が国に,1871年(明治4年)に初めて輸入され(甲6, 甲8の1~甲8の3,甲13,甲15,甲18),申立人は遅くとも1980年(昭和55年)には申立人商品の販売を開始し,少なくとも2017年(平成29年)までは継続して販売している(甲8)。

(エ)申立人商品は,1989年(平成元年)ないし2019年(平成31年)にかけて,新聞,雑誌,ビル壁面等において宣伝,広告が行われた(甲7,甲16,甲30~甲36,甲38~甲40)。

(オ)申立人商品の偽造品が流通したり(甲41~甲44),申立人は商標使用差止等請求事件を提起したことがある(甲45)。

イ 上記アによれば,申立人は,1765年創業のフランス国法人でコニャックの製造業者であり,長年にわたり,申立人商品を製造,販売しているところ,我が国においては,遅くとも1980年(昭和55年)ごろから申立人商品を販売する一方,申立人商品は,雑誌,辞書,刊行物等にもたびたび紹介,掲載されていることに加え,模倣品が流通したことなどから,取引者,需要者の間で一定程度知られていたことはうかがえる。

しかしながら,提出された証拠からは,申立人商品に使用されている引用商標の周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,引用商標に係る申立人の業務に係る商品(コニャック)の売上高や市場シェアなどの販売実績,メディアを通じた広告・宣伝の程度(例えば雑誌の発行部数,販売地域,販売数量等),取引状況を見いだすことはできず,我が国における客観的な使用事実に基づいて引用商標の使用状況を把握することができないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。

そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は,「INESSY」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。

そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえ,「上級な。高級な。」の意味を有する英語「CLASSY」が「クラシー」,「大使官(邸)」の意味を有する英語「EMBASSY」が「エンバシー」と読まれることからすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「イネシー」の称呼が生じるものである。

そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して「イネシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

イ 引用商標について

(ア)引用商標1について

引用商標1は,「HENNESSY」の欧文字及び「ヘネシー」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ,下段の「ヘネシー」の文字は上段の「HENNESSY」の文字の読みを特定したものと理解されることから,これより「ヘネシー」の称呼を生じるものである。そして,「HENNESSY」は,上記(1)のとおり,提出された証拠からは,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであるから,これより,特定の意味合いを想起させるものではなく,一種の造語と認識されて,特定の観念は生じないものである。

したがって,引用商標1は,その構成文字に相応して,「ヘネシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

(イ)引用商標2について

引用商標2は,「Hennessy」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,上記(ア)と同様に,「ヘネシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

(ウ)引用商標3について

引用商標3は,「Hennessy」の欧文字を右上がりに筆記書体で表してなるところ,当該文字は,上記(ア)と同様に,「ヘネシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とを比較してみるに,両商標は,それぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,外観においては,「NESSY(nessy)」の構成文字を同じくするとしても,全体の文字数が異なることに加え,語頭部分において,「I」と「HEN(Hen)」の構成文字を異にする(引用商標3とは,字体も異にする。)ものであることから,外観上,相紛れるおそれはない。

次に,称呼においては,本件商標から生じる「イネシー」の称呼と引用商標から生じる「ヘネシー」の称呼とを比較すると,両称呼は4音という短い音構成にあって,語頭における「イ」と「ヘ」の音の差異があるから,それぞれを称呼するときは,語調語感が異なり,明瞭に聴別し得るものである。

また,観念においては,共に特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれはないものであるから,両商標が,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考慮すれば,両商標は非類似の商標というべきである。

なお,申立人は,本件商標から「イネシー」の称呼を生ずるから引用商標と称呼上紛らわしい旨主張しているが,全体が4音構成(長音含む。)の短い称呼において,識別上最も重要な位置を占める語頭における「イ」と「ヘ」の差異は,称呼全体の音感に与える影響は決して小さいものではなく,称呼上聞き誤ることはないというべきであるから,申立人の主張は採用することができない。

エ 小括

以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知性について

上記(1)のとおり,引用商標は,いずれも本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について

上記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であり,別異の商標というべきである。

ウ 本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について

本件商標の指定商品中,「ウイスキー」と引用商標が使用される商品「コニャック」とは,いずれも醸造酒を蒸留して作った酒であって,商品の取引者,需要者を一部共通にするものであり,互いに関連性を有する商品といえるものである。

エ 出所の混同のおそれについて

上記ウのとおり,本件商標の指定商品は,引用商標が使用される商品とは,互いに関連性を有する商品といえるとしても,上記アのとおり引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,また,上記イのとおり,本件商標は,引用商標とは,非類似のものであって,別異の商標というべきものである。

そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

他に,本件商標が商品の出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

オ 小括

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

別掲(理由中で参照)

別掲1 (引用商標1)
別掲2 (引用商標2)
別掲3 (引用商標3)

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2019-900315

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