商標異議申立
2026-900011
ジュレス、ジュールス、ジュールズ
- 審判番号
- 2026-900011
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2025-056027
- 登録番号
- 6983150
- 請求日
- 2026年01月13日
- 審決日
- 2026年08月07日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】グーグル エルエルシー
- 【権利者代理人】稲葉 良幸
- 【権利者代理人】田中 克郎
- 【権利者代理人】石田 昌彦
- 【権利者代理人】右馬埜 大地
- 【異議申立人】エス・エー・ピー・ソシエタス・ヨーロピア
- 【異議申立人代理人】青木 博通
- 【異議申立人代理人】片山 礼介
- 【異議申立人代理人】中田 和博
- 審判長/審判官
- 審判長 大井手 正雄
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T1651.25 -Y (W0942) / T1651.261-Y (W0942) / T1651.262-Y (W0942) / T1651.263-Y (W0942) / T1651.271-Y (W0942) / T1651.4 -Y (W0942)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第8条第1項、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6983150号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6983150号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6983150号商標(以下「本件商標」という。)は、「JULES」の文字を標準文字で表してなり、2024年(令和6年)11月25日にトンガ王国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和7年5月22日に登録出願、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月24日に登録査定、同年11月4日に設定登録された。
第2 申立人が引用する商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商標は、次のとおりであり、引用商標1は現に有効に存続している。
(1)国際登録第1790402号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「JOULE」の欧文字を書してなる商標
国際商標登録出願日:2024(令和6)年3月8日
優先権主張:2023(令和5)年9月8日 EUIPO
設定登録日:令和7年6月27日
指定役務:第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの役務
(2)国際登録第1813547号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「JOULE」の欧文字を書してなる商標
国際商標登録出願日:2024(令和6)年9月3日
優先権主張:2024(令和6)年3月5日 EUIPO
指定商品:第9類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号に該当し、同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第6号証(以下、証拠の記載に当たっては「甲○」と記載する。)を提出した。
1 商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似し、指定商品・指定役務も類似するから登録されるべきでない。
(1)外観について
本件商標は、アルファベットで「JULES」から構成されており、引用商標1及び引用商標2は、アルファベットで「JOULE」から構成されている。
いずれも、「J」、「U」、「L」、「E」から構成されており、「J」が語頭にあり、「U」、「L」、「E」は連続するため、外観上紛らわしい構成になっている。
全体構成の中では、中間の「O」、語尾の「S」は、中間及び語尾という位置との関係で目立つことなく、「J」、「U」、「L」、「E」の共通性に埋没してしまっている。
よって、本件商標が引用商標1及び引用商標2と外観上類似することは明らかである。
(2)観念について
本件商標はフランスで用いられる男性の名前である。引用商標1及び引用商標2は、人の名前であるとともに、イギリスの物理学者J.P.Jouleにちなんで、エネルギーの単位を意味する場合もある。
以上のとおり、厳密な意味では観念は共通しないが、本件商標と引用商標1及び引用商標2に接した需要者は、両商標から観念を想起することはない。
(3)称呼について
本件商標からは、「ジュール」の称呼が生じる。語尾の「S」は発音されないことが多いからである。
引用商標1及び引用商標2からは、「ジュール」の称呼が生じる。
よって、本件商標と引用商標1及び引用商標2は称呼上類似することは明らかである。
(4)取引の実情について
本件商標は、コンピュータソフトウェアに使用されている(甲4)。
引用商標1及び引用商標2も、コンピュータソフトウェアに使用され(甲5)、日本では、HONDA、NTT、HITACHI、NSKなどでも引用商標1及び引用商標2に係る「ソフトウェア」、「ソフトウェアの提供」に使用され著名になっている(甲6)。
このように、両商標とも、コンピュータソフトウェアの分野で使用されており、両商標が使用されると、需要者に商品・役務の出所の混同が生ずる可能性が高い。
(5)小括
両商標は、外観、称呼において紛らわしく全体的印象を共通し、引用商標1及び引用商標2が著名であるとの取引の実情を勘案すると、本件商標が指定商品に使用された場合には、申立人との関係で、商品・役務の出所について誤認混同を生ずることは明らかであり、両商標は類似する。
本件商標と引用商標1及び引用商標2は、いずれも、「コンピュータソフトウェア」、「コンピュータソフトウェアの提供」を含むから、指定商品及び指定役務が抵触することは明らかである。
よって、本件商標は商標法第8条第1項、第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標「JULES」と引用商標「JOULES」(合議体注:引用商標「JOULES」は引用商標「JOULE」の誤記と認める。)が類似することは、上記1のとおりである。
本件商標と引用商標は、いずれも「コンピュータソフトウェア」、「コンピュータソフトウェアの提供」について使用されているから、商品・役務が類似することは明らかである(甲4及び甲5)。
引用商標の使用に係る「コンピュータソフトウェア」、「コンピュータソフトウェアの提供」が、日本では、HONDA、NTT、HITACHI、NSKなどでも導入されて著名になっていることは(甲5及び甲6)、上記1のとおりである。
以上のとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であり、当該商標と本件商標は類似し、引用商標の使用に係る商品と本件商標の指定商品は類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、申立人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するから、登録されるべきでない。
本件商標と引用商標が類似することは、上記1のとおりである。
引用商標はコンピュータソフトウェア関係では、申立人のみが使用しており、独創性がある。
本件商標と引用商標は、いずれも「コンピュータソフトウェア」、「コンピュータソフトウェアの提供」について使用されているから、商品・役務が類似することは明らかであり、商品の関連性、需要者の共通性もあることは明らかである(甲4及び甲5)。
引用商標の使用に係る「コンピュータソフトウェア」、「コンピュータソフトウェアの提供」が、日本では、HONDA、NTT、HITACHI、NSKなどでも導入されて著名になっていることは(甲5及び甲6)、上記1のとおりである。
以上のとおり、引用商標の周知著名性、唯一性(独創性の程度)等の取引の実情を総合すると、使用商品と混同が生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、申立人に係る「SAP Business AI」の一機能として、「Joule」と称する、コンピュータソフトウェア(以下「本件ソフトウェア」という。)の提供をしている(甲5)。
イ 本件ソフトウェアは、日本において、HONDA、NTTData、NSKなどの企業にて使用されている(甲6)。
(2)判断
上記(1)によれば、申立人は、引用商標をその名称とするAIの機能を有するコンピュータソフトウェアの提供をし、それが日本の企業でも使用されていることが認められる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によっては、本件ソフトウェアの提供開始時期、提供実績や広告実績を具体的かつ客観的に把握できないため、引用商標が、取引者、需要者に対し、どの程度知られているかを把握し、評価することができない。
したがって、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、本件ソフトウェアを表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性及び本件商標が同法第8条第1項の規定に違反して登録されたかについて
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「JULES」の欧文字を書してなるところ、その構成文字は一般的な辞書に載録されていないから、直ちに特定の意味合いを認識、理解させるものとはいえないところ、造語からなる欧文字にあっては、ローマ字読み又は英語読み風に発音するのが一般的であるから、その構成文字に相応して、「ジュレス」の称呼が生じ得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「ジュレス」の称呼を生じ得るが、特定の観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「JOULE」の欧文字を書してなり、これは、「国際単位系(SI)の仕事・エネルギー・熱量の単位。」等の意味を有するものとして国語辞書(出典:デジタル大辞泉(小学館)https://www.weblio.jp/content/JOULE)への載録があるものの、我が国において、当該文字(「JOULE」)が、広く一般的に使用、理解されているという事情はうかがえないことから、当該文字から、直ちに具体的な意味合いを看取させるとはいい難い。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ジュール」又は「ジョウレ」の称呼を生じ得るが、特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、構成文字の相違により、互いの印象は異なるものになるから、判別は容易である。
そして、称呼については、引用商標からいずれの称呼を生じる場合においても、構成音や構成音数が相違し、全体の語調、語感は異なるものになるから、聴別は容易である。
さらに、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易であるから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品又は役務について使用しても、商品又は役務の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない。
(4)小括
したがって、本件商標と引用商標1は非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
また、本件商標と引用商標2は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、上記2のとおり、本件商標とは非類似の商標であり、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る本件ソフトウェアを表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起させるとは考えにくく、その商品又は役務が他人(申立人)又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、その登録は、同法第8条第1項に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、本件商標の登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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