特許無効審判
2019-800106
情報提供装置、システム及びプログラム
- 審判番号
- 2019-800106
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2017-020738
- 登録番号
- 6538097
- 請求日
- 2019年12月02日
- 審決日
- 2021年01月06日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】SELF 株式会社
- 【請求人代理人】水野 勝文
- 【請求人代理人】井出 真
- 【請求人代理人】須澤 洋
- 【請求人代理人】久松 洋輔
- 【請求人代理人】網盛 俊
- 【請求人代理人】冨所 剛
- 【被請求人】株式会社 REVO
- 【被請求人】関野 英文
- 【被請求人】株式会社 アイピーシー
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 聡史
- 審判官 松田 直也
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- P1113.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第123条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6538097号発明「情報提供装置、システム及びプログラム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件の特許第6538097号についての手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成29年 2月 7日 本件特許出願(特願2017-20738号)
(平成28年 1月15日に出願された特願2016-6690号の一部を新たな特許出願としたもの)
令和 元年 6月14日 設定登録
令和 元年12月 2日 本件無効審判請求(審判請求書を以下,「請求書」という。)
令和 元年12月19日 手続補正書(請求人)
令和 2年 3月 6日 答弁書
令和 2年 6月25日付け 審尋
令和 2年 7月13日 回答書(請求人)(以下,「請回答書(1)」という。)
令和 2年 7月13日 回答書(被請求人)(以下,「被回答書(1)」という。)
令和 2年 7月30日付け 審尋
令和 2年 8月18日 回答書(請求人)(以下,「請回答書(2)」という。)
令和 2年 8月18日 回答書(被請求人)(以下,「被回答書(2)」という。)
なお,関連する侵害事件につき,下記の事件が係属している。
東京地裁民事第47部 (令和元年(ワ)第25121)
第2 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
請求人は,特許第6538097号(以下,「本件特許」という。)の特許を無効とする,
審判費用は被請求人の負担とする,
との審決を求めている。
2 答弁の趣旨
被請求人らは,本件審判請求は成り立たない,
審判費用は請求人の負担とする,
との審決を求めている。
第3 本件発明
本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下,請求項1に係る発明を「本件発明1」といい,その他の請求項に係る発明も同様に称する。また,まとめて「本件発明」ともいう。)は,特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである(なお,A,B,C…,A’,B’,C’…等の分説記号は,令和2年6月25日付け審尋で示した。
【請求項1】
A ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と,
B 前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段と,
C 前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と,
D 前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体と,
E 前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段と,を備え,
F 前記提案手段は,
前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得する手段と,
G 前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す手段と,を有する
M 情報提供装置。
【請求項2】
H 前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて生活パターンを示すパターン情報を作成する作成手段と,
I 前記作成手段によって作成されたパターン情報とは異なる状態が検出された場合に前記ユーザに擬似コミュニケーションを実行する実行手段とを備える,
N 請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
J 前記格納媒体に格納されている個人情報に基づく情報であって,ユーザの振る舞いに基づく情報を提供する提供手段を備える,
O 請求項1記載の情報提供装置。
【請求項4】
K 請求項1記載の情報提供装置を複数有しており,
L 当該情報提供装置が相互にネットワークを介して接続された場合に,最新の個人情報が格納されている格納媒体の内容で,他方の格納媒体の内容を更新する,
P 情報提供システム。
【請求項5】
A’ ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付けるステップと,
B’ 受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行うステップと,
C’ 前記質問に対する返答である個人情報を受け付けるステップと,
D’ 前記受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けた状態で格納するステップと,
E’ 前記受け付けた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行うステップと,を含み,
F’ 前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得するステップと,
G’ 前記個人情報に基づいてユーザに注意を促すステップと,を更に有する
M’ を情報提供装置に実行させる情報提供プログラム。
第4 無効理由
請求人が主張する無効理由は,以下のとおりである。
なお,理由番号は,令和2年6月25日付け審尋で示した。
1 理由1-1-1
本件発明1は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
2 理由1-1-2
本件発明1は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
3 理由1-2
本件発明2は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
4 理由1-3
本件発明3は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
5 理由1-5-1
本件発明5は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
6 理由1-5-2
本件発明5は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明)であるため,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
7 理由2-1-1
本件発明1は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
8 理由2-1-2
本件発明1は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明)及び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
9 理由2-2
本件発明2は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
10 理由2-3
本件発明3は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明及(甲1発明)び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
11 理由2-4-1
本件発明4は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第4号証に記載された発明(甲4発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
12 理由2-4-2
本件発明4は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明)及び甲第4号証に記載された発明(甲4発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
13 理由2-4-3
本件発明4は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明),甲第3号証に記載された発明(甲3発明)及び甲第4号証に記載された発明(甲4発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
14 理由2-4-4
本件発明4は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明),甲第3号証に記載された発明(甲3発明)及び甲第4号証に記載された発明(甲4発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
15 理由2-5-1
本件発明5は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
16 理由2-5-2
本件発明1は,本件特許出願前に国内において頒布された甲第2号証に記載された発明(甲2発明)及び甲第3号証に記載された発明(甲3発明)に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,同法123条1項2号に該当し,本件特許は無効とすべきものである。
第5 証拠方法
1 甲号証
甲第1号証:特開2015-102994号公報
甲第2号証:特開2005-44292号公報
甲第3号証:特開2015-75971号公報
甲第4号証:特表2013-512525号公報
甲第5号証:令和元年(ワ)第25121号 特許権侵害差止等請求事件における訴状訂正申立書(写し)
甲第6号証:甲第5号証事件における被告答弁書(写し)
甲第7号証:広辞苑第7版
甲第8号証:行動ターゲティング広告の経済効果と利用者保護に関する調査研究報告書
2 乙号証
乙第1号証:デジタル大辞泉(株)小学館
乙第2号証:デジタル大辞泉(株)小学館
乙第3号証:デジタル大辞泉(株)小学館
乙第4号証:デジタル大辞泉(株)小学館
乙第5号証:(株)SBI証券の提供サービス
乙第6号証:継続率に関する検索結果
第6 当事者の主張の概要
1 請求人の主張の概要
(1)理由1-1-1(新規性)
ア 「個人情報」について
「 本件特許の明細書には,個人情報について明確な定義は記載されていない。そこで,本件特許の明細書に記載された個人情報に関する記載を参照して,その用語の意義を解釈するものとする。
本件特許の明細書には,以下の記述がある。
(【0010】【0040】【0043】【0129】【0134】【0135】の摘記省略)
以上の記載から,本件特許における個人情報には,ユーザの氏名,性別,年齢等の一般的な個人情報のほか,ユーザの嗜好情報やユーザの生活情報等のユーザに紐付けられたあらゆる情報が含まれる。
ちなみに個人情報保護法の第2条第1項第1号及び第2号には,個人情報について,次のように定義されている。(定義摘記省略)
要するに,個人情報には,パスポートなどの公的証明書に記載されている一般的な個人情報(個人の氏名,生年月日等)のほか,個人と関連付けられるあらゆる情報が含まれる。
よって,本件特許の請求項1の個人情報には,一般的な個人情報(個人の氏名,生年月日等)とともに,ユーザに紐付けられたあらゆる情報が含まれることは,明細書の記載及び一般論からして明らかである。」(請回答書(2)2~4頁)
イ 構成要件Aについて
「 構成要件Aには,多様な個人情報の中から一部の個人情報が取得されることだけが規定されており,個人情報の内容については何ら限定がされていない。したがって構成要件Aで取得される個人情報には,ユーザの属性情報を含まれ得る。」(請回答書(2)4頁)
「…個人情報には多様な情報が含まれるところ,構成要件Aには「ユーザから取得したい個人情報」としか記載されていないから,構成要件Aの個人情報には,ユーザの氏名・性別・年齢等の情報以外の情報も含まれる。」(請回答書(2)8頁)
ウ 構成要件Bについて
「(甲第1号証の【0037】【0046】【0047】の摘記省略)
以上の記載から,甲第1号証には,「前記構成要件A1によって受け付けていない,ユーザの嗜好等に沿った質問形式のアバターコメントをユーザ端末3に出力するアバター管理部21(甲1-1発明の構成要件B1)」が開示されている。
ここで甲1-1発明の構成要件B1における「ユーザの嗜好等に沿った質問形式のアバターコメント」は本件特許発明1の構成要件Bにおける「第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」に相当し,甲1-1発明の構成要件B1における「アバター管理部21」は本件特許発明1の構成要件Bにおける「質問手段」に相当する。
ここで,本件特許の明細書には「属性」に関する定義は記載されていないが,広辞苑には「事物の有する特徴,性質」と説明されている(甲第7号証)。したがって,構成要件Bの「個人情報に対応する属性」は「ユーザの特徴,性質」の意であり,ユーザに関するあらゆる情報が含まれる。したがって,甲第1号証の【0046】に記載された「ユーザの学習内容,嗜好」は構成要件Bの「個人情報に対応する属性」に対応している。
ちなみに,嗜好については,甲第1号証の【0033】に「ユーザの趣味,行きたい場所,習慣,家族・友人等の交友関係など,ユーザの日常生活に関連する情報」と定義されており,「ユーザの属性」に該当することは明細書の記載からしても明らかある。」(請回答書(1)5~6頁)
エ 構成要件Cについて
「(甲第1号証の【0038】【0047】の摘記省略)
以上の記載から,甲第1号証には「アバターコメントに対する,ユーザの個人情報としてのユーザコメントを受け付けるユーザ情報管理部22(甲1-1発明の構成要件C1)」が開示されている。…(途中省略)…
ここで,本件特許発明1の構成要件Cにおける「個人情報」は,「個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段による質問に対する返答」であるから,「ユーザの属性」に関する情報のことである。
甲第1号証において,アバターコメントがユーザの嗜好等(属性)に沿った質問形式のコメントである場合には,アバターコメント(質問)に対するユーザコメント(返答)は,ユーザの属性に関するコメントとなる。したがって,甲1-1発明の構成要件C1における「アバターコメントに対する,ユーザの個人情報としてのユーザコメント」は,本件特許発明1の構成要件Cにおける「質問に対する返答である個人情報」に相当する。
また,甲1-1発明の構成要件C1における「ユーザ情報管理部22」が本件特許発明1の構成要件Cにおける「第2受付手段」に相当する。」(請回答書(1)6~7頁)
オ 構成要件Dについて
「(甲第1号証の【0025】【0038】【0047】の摘記省略)
以上の記載から,甲第1号証には「構成要件A1によって受け付けたユーザ情報と,構成要件C1によって受け付けたユーザコメントを紐付けた状態で記憶するユーザ情報記憶部27a(甲1-1発明の構成要件D1)」が開示されている。
ここで,「構成要件A1によって受け付けたユーザ情報」は上述した通り,ユーザ基本情報,ユーザ嗜好情報,ユーザ目標情報である。「構成要件C1によって受け付けたユーザコメント」は上述した通り,アバターコメントに対するユーザコメントである…」(請回答書(1)8~9頁)
カ 構成要件E及びFについて
「(甲第1号証の【0049】の摘記省略)
以上の記載から,甲第1号証には,「前記構成要件A1及びC1によって受け付けられた個人情報に基づいてユーザに対して提案を行う提案手段(アバター管理部21)(甲1-1発明の構成要件E1)」が開示されている。
また,甲第1号証には「ユーザ情報に基づいてウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得する手段(ユーザ端末3)(甲1-1発明の構成要件F1)」が開示されている。」(請回答書(1)11頁)
「 つまり,甲第1号証の【0049】においてユーザ端末に出力される情報は,ユーザコメントを分析することにより得られたキーワードに関連したウェブサイトのリンクであり,このウェブサイトに接続することによりユーザの学習内容や,嗜好に沿った情報を閲覧することができるから,構成要件Fに係る「提案すべき情報」が甲第1号証に開示されていることは明らかである。」(請回答書(1)14頁)
キ 構成要件E及びGについて
「(甲第1号証の【0043】の摘記省略)
「スケジュールが未完了だよ。代わりのスケジュールを入力してね」等のアバターコメントは「ユーザに注意を促す」ことであるから,甲第1号証には「ユーザ情報に基づいてユーザに注意を促す手段(アバター管理部21)(甲1-1発明の構成要件G1という)」が開示されている(審判請求書の25頁参照)。」(請回答書(1)12頁)
「 甲第1号証の【0043】に記載されているように,スケジュールの修正を依頼するアバターコメントに対して,ユーザからその日の分の修正したスケジュールが出力されているから,【0043】の「修正を依頼する」は,「修正を提案する」ことと技術的に同義である。したがって,構成要件Eに係る「提案を行う」が甲第1号証に開示されていることは明らかである。
…
甲第1号証の【0043】にはスケジュールの修正を依頼するアバターコメントの一例として「スケジュールが未完了だよ」が開示されているから,構成要件Gに係る「注意を促す」が甲第1号証に開示されていることは明らかである。」(請回答書(1)13頁)
ク 構成要件Mについて
「 【0019】の「本発明の学習・生活支援システム1は,図1に示されるように,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備え」等の記載から,甲1-1発明及び甲1-2発明の末尾の「学習・生活支援システム」は,甲第1号証の学習・生活支援システム1に対応している。
ここで,「学習・生活支援システム1」は,学習・生活支援システムのユーザに特有のアバターコメントを出力するシステムであり(【0016】等参照),アバターコメントを出力する行為は,情報の提供に該当するため,「学習・生活支援システム1」は請求項1の「情報提供装置」に対応している。」(請回答書(1)2頁)
(2)理由1-1-2(新規性)
ア 構成要件A~Cについて
(ア)構成要件A~Cに共通の事項
「…「ユーザ特定情報」はユーザの氏名,性別,年齢等であり,「ユーザ特性情報」はユーザの特性や属性を表す情報,嗜好情報,医療関連情報,資産情報,サイズ情報等である。上述した通り,個人情報には,ユーザの氏名,性別,年齢等の一般的な個人情報はもちろんのこと,ユーザ属性情報等ユーザに紐付けられたあらゆる情報が含まれる。ユーザ特性情報及びユーザ特定情報は情報の内容は異なるが,共に個人情報である点では共通している。したがって,構成要件A~Cで主張する請求人の主張は整合している。」(請回答書(2)8頁)
(イ)構成要件Aについて
「(甲第2号証の【0035】【0072】【0089】~【0097】【0099】の摘記省略。)
以上の記載から,甲第2号証には「氏名,住所,電話番号,生年月日等のユーザ特定情報を,セクレタリキャラクタ61を通じてユーザインタフェース11が受け付け(甲2発明の構成要件A2」が開示されている。ここで,本件特許発明1の構成要件Aにおける「ユーザから取得したい個人情報」は,【0043】等に例示されているように,ユーザの氏名,性別,年齢等である。したがって,甲2発明の構成要件A2における「ユーザ特定情報」は,本件特許発明1の構成要件Aにおける「ユーザから取得したい個人情報」に相当する。
そして,甲2発明では,ユーザインタフェース11がユーザ特定情報を受け付けているから,甲2発明の構成要件A2における「ユーザインタフェース11」は本件特許発明1の構成要件Aにおける「第1受付手段」に相当する。
すなわち,…(途中省略)…,セクレタリエージェント(ユーザインタフェース11)が「第1受付手段」に該当することは明らかである。」(請回答書(1)14~17頁)
(ウ)構成要件Bについて
「(甲第2号証の【0035】【0036】【0071】【0073】【0089】~【0095】【0147】【0150】【0157】【0164】【0165】の摘記省略。)
以上の記載から,甲第2号証には,「ユーザの特性や属性を表す情報等を含むユーザ特性情報に関する質問を,セクレタリキャラクタ61(セクレタリエージェント61A)を通じて行い(甲2発明の構成要件B2)」が開示されている。なお,【0096】に記載されているように,セクレタリキャラクタ61は,セクレタリエージェント61Aの象徴である。
甲2発明の構成要件B2における「ユーザ特性情報」は本件特許発明1の構成要件Bにおける「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性」に相当し,甲2発明の構成要件B2における「セクレタリキャラクタ61(セクレタリエージェント61A)」は本件特許発明1の構成要件Bにおける「質問手段」に相当する。」(請回答書(1)17~20頁)
(エ)構成要件Cについて
「(甲第2号証の【0147】【0166】の摘記省略。)
ここで,「昨日の睡眠時間は?」という質問はユーザの特性情報の質問であり,「4時間未満,4時間乃至8時間,8時間以上」のいずれかがこの質問に対する回答であり,セクレタリエージェントがこの回答を受け付けているから,甲第2号証には「前記のユーザ特性情報の質問に対するユーザの回答をユーザインタフェース11(セクレタリ―エージェント)が受け付け(甲2発明の構成要件C」が開示されている。なお,…(途中省略)…,セクレタリエージェントとユーザインタフェース11とは実質的に同義である。
したがって,甲2発明の構成要件Cにおける「前記のユーザ特性情報の質問に対するユーザの回答」は,本件特許発明1の構成要件Cにおける「前記質問手段による質問に対する返答である個人情報」に相当し,甲2発明の構成要件Cにおける「ユーザインタフェース11」は本件特許発明1の構成要件Cにおける「第2受付手段」に相当する。
すなわち,…(途中省略)…,セクレタリエージェント(ユーザインタフェース11)が「第2受付手段」に該当することは明らかである。」(請回答書(1)21~22頁)
イ 構成要件Dについて
「「(甲第2号証の【0036】【0071】~【0073】【0094】【0130】【0131】【0167】の摘記省略。)
以上の記載から,甲第2号証には「ユーザ特定情報及びユーザ特性情報をユーザ情報(カルテ)として個人情報サーバ3に蓄積し(甲2発明の構成要件D2)」が開示されている。
甲2発明の構成要件D2における「ユーザ特定情報及びユーザ特性情報」は本件特許発明1の構成要件Dにおける「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性」に相当し,甲2発明の構成要件D2における「個人情報サーバ3」は本件特許発明1の構成要件Dにおける「格納媒体」に相当する。」(請回答書(1)22~23頁)
「 次に,甲2発明の構成要件D2におけるユーザ特定情報及びユーザ特性情報が紐付けられている点について説明する。
上述した通り,本件特許は,個々のユーザに対して種々の提案(つまり,構成要件E)を行っており,個々のユーザに個別に提案を行う前提として,提案の基礎となる個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けてデータ整理しておくことは当然のことであるから,本件特許発明1の構成要件Dの「紐付けた」は,構成要件Eを実施できるように,個人情報と当該個人情報に対応する属性とを格納媒体に格納しておくこと意味する。
…
構成要件D2のユーザ特定情報は構成要件A2のユーザ特定情報に対応しており,構成要件D2のユーザ特性情報は,構成要件C2のユーザの回答に相当する。」(請回答書(1)24頁)
ウ 構成要件E及びFについて
「(甲第2号証の【0071】【0141】【0142】【0145】【0211】【0212】の摘記省略。)
以上の記載から,甲第2号証には「前記の受け付けたユーザ情報に基づいてユーザに対して提案を行う提案手段(甲2発明の構成要件E2)」,「前記提案手段は,ユーザ情報に基づいてウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得する手段(甲2発明の構成要件F2)」が開示されている。」(請回答書(1)24~26頁)
「 ここで,甲第2号証における,構成要件E,Fの個人情報に対応する情報と構成要件Aの個人情報及び構成要件Cの個人情報との対応関係について(審尋6(1)イでご指摘の事項について),説明する。
甲第2号証の【0142】に記載されているように,コンサルタントキャラクタ72は「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」といったアドバイス(構成要件E2の提案に相当する)を行っている。このアドバイスに含まれる「○○さん」はユーザの名前であるから,構成要件A2のユーザ特定情報であり,構成要件E2のユーザ情報にも相当する。また,このアドバイスを行うためには「○○さん」がS社株を保有しているとの情報が個人情報サーバ3に記憶されている必要があり,この情報は構成要件C2のユーザの回答,構成要件E2のユーザ情報に相当する。…
さらに,甲第2号証の【0148】に記載されているように,コンサルタントキャラクタ73は「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」アドバイス(構成要件E2の提案に相当する)を行っている。このアドバイスは,コンサルタントキャラクタ73からの「昨日の睡眠時間は?」という質問に対するユーザの「4時間未満」という回答に対して行われているものであり,「昨日の睡眠時間は?」という質問は構成要件B2のユーザ特性情報に関する質問に相当し,「4時間未満」は構成要件C2のユーザの回答,構成要件E2のユーザ情報に相当する。」(請回答書(1)26~27頁)
「 つまり,甲第2号証の【0145】には,提供されたマイデータと連携して,所定のブックマーク操作をしたとき,その対応する情報が閲覧されることが開示されている。
ここで,マイデータをユーザ端末2に提供するためには,ユーザが「S社の株に興味がある」との情報が個人情報サーバ3に記憶されている必要がある。この情報は,構成要件C2の「ユーザの回答」,構成要件F2の「ユーザ情報」に相当する。また,「ブックマークを操作したとき,その対応する情報を閲覧する」は構成要件F2の「ウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得する」に相当する。この場合,情報を取得するのはユーザ端末2であるから,ユーザ端末2が構成要件F2の「取得する手段」となる。
ここで,図33に記載されたサービスは,ホームページの形式で提供されており(【0144】参照),これについても構成要件F2の「ウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得する」に相当する。」(請回答書(1)27頁)
エ 構成要件E及びGについて
「(甲第2号証の【0071】【0141】【0142】【0148】の摘記省略。)
以上の記載から,甲第2号証には,「ユーザ情報に基づいてユーザに注意を促す手段(甲2発明の構成要件G2)」が開示されている。」(請回答書(1)27~28頁)
「 ここで,甲第2号証における,構成要件Gの個人情報に対応する情報と構成要件Aの個人情報及び構成要件Cの個人情報との対応関係について(審尋6(1)イでご指摘の事項について),説明する。
甲第2号証の【0142】に記載されているように,コンサルタントキャラクタ72は「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」といったアドバイスを行っており,このアドバイスは,構成要件G2の提案に該当する。このアドバイスに含まれる「○○さん」はユーザの名前であるから,構成要件A2のユーザ特定情報であり,構成要件G2のユーザ情報にも相当する。また,このアドバイスを行うためには「○○さん」がS社株を保有しているとの情報が個人情報サーバ3に記憶されている必要があり,この情報は構成要件C2のユーザの回答,構成要件G2のユーザ情報に相当する。なお,上述の株指南は対話的な応答の中で実施される(【0143】参照)から,「○○さん」がS社株を保有しているとの情報は質問手段によって取得されたものである。
言い換えると,甲2発明の構成要件G2は,「ユーザ情報(ユーザ特定情報及びユーザ特性情報)に基づいてユーザに注意を促すコンサルタントキャラクタ72」である。
甲2発明の構成要件G2の「ユーザ情報」は本件特許発明1の構成要件Gの「個人情報」に相当し,甲2発明の構成要件G2の「コンサルタントキャラクタ72」は本件特許発明1の構成要件Gの「ユーザに注意を促す手段」に相当する。
さらに,甲第2号証の【0148】に記載されているように,コンサルタントキャラクタ73は「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」アドバイス(構成要件G2の提案に相当する)を行っている。このアドバイスは,コンサルタントキャラクタ73からの「昨日の睡眠時間は?」という質問に対するユーザの「4時間未満」という回答に対して行われているものであり,「昨日の睡眠時間は?」という質問は構成要件B2のユーザ特性情報に関する質問であり,「4時間未満」は構成要件C2のユーザの回答,構成要件G2のユーザ情報に相当する。」(請回答書(1)28~29頁)
「 被請求人は,答弁書の第17頁において,『請求人は,審判請求書28頁において,甲第2号証の【0148】の「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」という記載に基づいて,甲第2号証に構成要件Gが開示されていると主張するが,請求人の当該主張も誤りである』と主張するが,…(途中省略)…,【0148】に記載されたメッセージは「4時間未満」と回答した睡眠不足のユーザに対して投げかけられているから,伏せ字の部分には睡眠不足による注意喚起(例えば,睡眠時間をあまりとらないと免疫が低下して感染症になりやすいという専門家の意見があるよ)が伏せられていると考えるのが自然である。注意喚起は,ユーザに対する注意に相当するから,構成要件Gの前記個人情報に基づいてユーザに注意を促すが甲第2号証の【0148】に開示されていることは明らかである。
また,被請求人は,伏せ字部分に色々な文言が入る可能性があるとして,「睡眠時間をあまりとらないと健康的ということはいえないけど,普段十分とれているからあまり気にしなくていいよ」,「睡眠時間をあまりとらないと一般的には良いということはないけど,○○さんには当てはまらない」を例示しているが,上述の通り,伏せ字の部分には睡眠不足による注意喚起が伏せられていると考えるのが自然であるから,被請求人の例示は明らかに不適当である。」(請回答書(1)36頁)
オ 構成要件Mについて
「 甲2発明の末尾の「情報処理システム」は,【0029】等に記載の「情報処理システム10」に対応している。
【0211】及び【0212】には,本システムで提供可能なサービスの例として,自分史,医療(サイバー領域),株指南(サイバー領域),洋服店(リアル領域)が開示されており,例えば株指南として,これまでの取引情報や個人情報を蓄積し,それを基にディーラ役のコンサルタントエージェントが店頭公開日や新規公開株などの情報を提供すること(株指南)等が記載されているから,「情報処理システム10」は請求項1の「情報提供装置」に対応している。」(請回答書(1)3頁)
(3)理由2-1-1及び理由2-1-2(進歩性)
ア 理由2-1-1及び理由2-1-2に共通の主張
「…甲第3号証には,「提案内容検索部103が,通信部107を介して,ウェブサイト50を検索して,ユーザに提案する提案内容を決定する」ことが記載されており(甲第3号証の段落【0006】及び【0037】),ウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得することは周知技術であるから,本件特許発明1は,甲2発明及び周知技術である甲3発明に基づいて,当業者が容易に想到できるものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」(請求書28~29頁)
「 被請求人は,答弁書の第32頁において,構成要件E~Gがいずれも設計事項でないと主張する。…すなわち,被請求人は,甲1発明及び甲2発明の当該相違点に係る構成を,本件特許発明1の構成要件E~Gに置換することは,何らかの示唆に基づくそれなりの動機付けなしではなしえないから,各相違点に係る構成は単なる設計事項にすぎないということはできないと主張するが,上述した通り,明確な動機付けが存在するから,被請求人の主張は失当である。
被請求人は,答弁書の第32頁において,本件特許発明1が有利な効果を奏すると主張するが,上述した通り,甲1発明及び甲2発明は本件特許発明1と同一であるから,被請求人が主張する有利な効果は,甲1発明及び甲2発明でも期待される一般的な効果に過ぎない。
仮に,甲1発明及び甲2発明と本件特許発明1とが構成要件Fにおいて相違するとしても,甲3発明ではユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供しているから,甲1発明又は甲2発明に甲3発明等の周知技術を適用することによって,継続率の向上が期待できることは明らかである。」(請回答書(1)36~37頁)
イ 理由2-1-1について
「 請求人は,甲1発明の構成要件のうち構成要件F1のみが本件特許発明1の構成要件Fと相違し,他の構成要件については一致していると認定して,進歩性欠如を主張している。
請求人は,審判請求書に記載した通り,構成要件F(前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案を行うこと)が周知技術であると主張しており,そのサンプルとして甲第3号証を提示しているに過ぎない。
…甲1発明及び甲3発明は,互いにユーザの嗜好等に応じた情報を提供する情報提供装置である点で共通しているから,技術分野,課題,作用・機能のすべての点において関連性を有しており,引用発明の内容中に示唆があることも明らかである。
ちなみに,本件特許発明1の構成要件Fは,一般的なターゲティング広告の内容を記載したものであり,周知であることは明らかであるが,原出願時にその技術分野において一般的に広く知られていることを基礎づける証拠として甲第8号証を提示する。」(請回答書(1)30~31頁)
「 さらに,被請求人は答弁書の26頁において,甲1発明に甲3発明を適用することに阻害要因があると主張するが,甲1発明及び甲3発明は上述の通りユーザに嗜好情報等を提供する情報提供装置である点で共通しているから,阻害要因はない。
甲第1号証の【0033】には「趣味や習慣,交友関係などについてもアバター4からユーザに話しかけることにより,学習・生活支援システム1に飽きることがなく,学習・生活支援システム1を利用する方向への意識付けを行う。これにより,学習への意欲喚起を含め,学習システムを用いることへの意欲喚起も行うことができ,より学習への効果が高まる」と記載されており,趣味等の嗜好情報を提供することによってむしろ学習意欲が高まると記載されているから,阻害要因があるとの被請求人の主張は明らかに失当である。」(請回答書(1)31頁)
「 被請求人は答弁書の26頁において,甲1発明に甲3発明を適用してどのような提案をすることを請求人が意図しているかは明らかでないと主張するが,甲1発明及び甲3発明を組みあわせることにより,構成要件F1を以下の構成要件F1´に置換した発明が創作される。なお,構成要件F1´は,上述した通り,甲第3号証の「本発明は,ユーザに,ユーザの趣味・嗜好に応じた情報を提供することができる情報提供装置(【0001】参照)」,「提案内容検索部103は,通信部107を介して,ウェブサイト50を検索して,ユーザに提案する提案内容を決定する【0037】」などの記載を纏めたものである。
F1´ 通信部を介して,ウェブサイトを検索して,ユーザにユーザの趣味・嗜好に応じた提案内容を決定する提案内容検索部
構成要件F1´における「ユーザの趣味・嗜好に応じた提案内容」が構成要件Fの「前記ユーザに対して提案すべき情報」に相当し,構成要件F1´における「提案内容検索部」が構成要件Fの「取得する手段」に相当する。」(請回答書(1)32~33頁)
ウ 理由2-1-2について
「 被請求人は,答弁書の第29頁において,甲2発明に甲3発明を適用する動機付けがないと主張するが,誤りである。甲2発明はユーザ特性情報に基づきユーザにサービスを提供しており(【0023】,【0024】等参照),このユーザ特性情報にはユーザの嗜好情報が含まれている(【0036】参照)。一方,甲3発明はユーザの趣味・嗜好に応じた情報を提供する情報提供装置であるから,甲2発明及び甲3発明は,ユーザの趣味・嗜好に応じた情報をユーザに提供する情報提供装置である点で共通しており,技術分野,課題,作用・機能のすべての点において関連性を有しており,引用発明の内容中に示唆があることも明らかである。」(請回答書(1)34~35頁)
「 被請求人は,答弁書の第31頁において,甲2発明に甲3発明を適用することに阻害要因があると主張するが,甲2発明及び甲3発明は上述の通りユーザに嗜好情報を提供する情報提供装置である点で共通しているから,阻害要因はない。
被請求人は,「甲3発明はウェブサイトなどを用いて関連対象情報に基づく提案をするというものであるところ,世間一般において顕著なように,ウェブサイトに掲載されている情報は玉石混淆であるから,その質の高さが甲第2号証のものとは同じレベルであるとはいえない」と主張するが,甲3発明はユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供することを目的としており,質の高い情報を提供することは当該目的から考えて自明であるから,被請求人の主張は明らかに失当である。
甲第3号証の【0115】には「ユーザ反応判定部114は,提案内容の受諾と却下とに加えて,ユーザの反応が,提案内容の内容またはタイミングの修正を要求する反応であるかを判定することが好ましい。このようにすれば,提案内容検索部103は,提案内容の内容またはタイミングを修正して,改めて提案内容を検索することができる。よって,ユーザの趣味・嗜好により合致させやすくなる。」と記載されており,甲3発明はユーザの反応を見ながら,質の高いサービスを提供することを指向しているから,甲2発明に甲3発明を適用すると,結果として質の低い提案情報がユーザに対して不可避的に提示されてしまうという被請求人の主張は明らかに失当である。」(請回答書(1)35頁)
2 被請求人らの主張の概要
(1)理由1-1-1(新規性)
ア 提案型サービスについて
「 本件特許発明1~5は,ユーザの個人情報に基づいて当該ユーザに対して所望の提案を行うといった「提案型サービス」を提供するものである(【請求項1】,【0094】~【0136】)。
これに対して,甲1発明及び甲2発明は,いずれも本件特許発明1~5のような「提案型サービス」を提供するものではない。
このように,本件特許発明1~5と甲1発明及び甲2発明とでは技術思想が異なっており,提案自体に関する構成要件E~Gの技術事項は,甲第1号証及び甲第2号証には記載されていない。」(答弁書3頁)
イ 「個人情報」に関する事項について
「…初期設定時にユーザから取得したい個人情報のうち,例えば,ユーザの氏名,性別,及び,年齢だけといった極めてわずかな基本情報(構成要件Aの個人情報)を予め受け付けることを説明していますから,構成要件A(A’)に対応するものです。」(被回答書(1)5頁)
ウ 構成要件Aについて
甲第1号証に記載から把握される事項について
「 甲第1号証の【0036】等において入力される「ユーザ情報」は多種多様な情報であるのに対して,構成要件Aにおける「構成要件Aの個人情報」は極めてわずかな情報であるため,両者は相違します。」(被回答書(1)6頁)
エ 構成要件Bについて
「(甲第1号証の【0061】~【0063】の摘記省略)
これらの段落の記載は,例えば,お酒の好き嫌い,サッカーチームの属否といった属性の質問の発生原因があれば,当該質問を既に行っていないことを条件に,その質問を行うということを説明しており,構成要件B(B’)に対応するものです。
なお,ここでいう質問とは,「提案型サービス」を提供する際に用いるユーザの個人情報を受け付けるために行う,「問いただす」という通常の意味合いのものです。」(被回答書(1)7~8頁)
「 甲第1号証の【0037】等に記載されたアバターコメントは,甲1発明が「提案型サービス」を提供するものではありませんから,構成要件B(B’)における「質問」のように,「提案型サービス」を提供する際に用いるユーザの個人情報を受け付けるために問いただすものではありませんので,両者は相違します。」(被回答書(1)9頁)
「請求人は,甲第1号証の【0037】等の記載を部分引用して,甲第1号証には「前記構成要件A1によって受け付けていない…アバター管理部21」が開示されていると認定しています…しかし,…甲第1号証に記載されていません…。」(被回答書(2)3頁)
オ 構成要件Cについて
「 まず,甲第1号証の【0038】に記載されているステップ「S3」における長期的学習目標の入力は,ステップ「S2」において出力済みの「AAさん,おはよう」というアバターコメントに対するものではありませんので,構成要件C(C’)と対比するに及びません。
また,「3 構成要件C(C’)について」の項目で述べましたように,甲第1号証の【0047】に記載されているステップ「S102」で出された「アバターコメント」は,構成要件B(B’)における「質問」とは異なりますから,当該アバターコメントに対して出される同段落の「ユーザコメント」は,構成要件Cにおける「構成要件Cの個人情報」ではありませんので,両者は相違します。」(被回答書(1)11~12頁)
カ 構成要件Dについて
「(甲第1号証の【0051】【0071】【0137】【0140】の摘記省略)
これらの段落の記載は,「基本情報(構成要件Aの個人情報)」と「詳細情報(構成要件Cの個人情報)」とのいずれについても記憶部(格納媒体)にストア(格納)すること,及び,その際にこれらの情報と対応する属性とを紐付けた状態とすることを説明していますから,構成要件D(D’)に対応するものです。」(被回答書(1)12~13頁)
「(甲第1号証の【0025】【0038】【0047】の摘記省略)
これらの段落には,ユーザ基本情報についてはユーザ基本情報記憶部U1に,ユーザ嗜好情報についてはユーザ嗜好情報記憶部U2に,というように,各種情報を種別毎に用意された記憶部に分類して記憶することが記載されていますが,その記憶の際に各情報と対応する属性とを紐付けた状態とすることまでは記載されていません。
…
甲第1号証の【0025】等では,「情報」と「属性」とを紐付けた状態で記憶(格納)していないのに対して,構成要件Dでは「情報」と「属性」とを紐付けた状態で格納しているので,両者は相違します。」(被回答書(1)13~14頁)
キ 構成要件E及びGについて
「 甲第1号証の【0043】の「依頼する」ことは,構成要件Eに係る「提案を行う」という意味合いを有しないし,構成要件Gに係る「注意を促す」という意味合いも有しないから,甲第1号証の【0043】には構成要件E及びGは開示されていない。」(答弁書3頁)
「 構成要件Eにおける「提案」という用語は,特許法施行規則様式29の2の備考9に従い,国語辞典で説明されている「議案や意見を提出すること(乙第1号証)」という,その普通の意味で用いている。…(途中省略)…本件特許明細書における「提案」という用語も,特許法施行規則様式29の備考9に従い,その普通の意味で用いている。」(答弁書4~5頁,被回答書(2)9頁)
「…用語「注意」とは「気をつけること。気をくばること。(乙第2号証)」,用語「促す」とは「ある行為をするにように仕向ける。(乙第3号証)」という意味であり,構成要件Gに記載されている「注意を促す」という意味は「気をつけるように仕向ける」という,その普通の意味で用いている。…(途中省略)…構成要件Gに対応するものである。本件特許明細書における「注意を促す」という用語も,その普通の意味で用いている。」(答弁書6頁)
「 以上の認定によれば,甲第1号証の【0043】における「スケジュールの修正を依頼する」という記載は,構成要件Eにおける「議案や意見を提出する」という「提案を行う」こととは相違するし,構成要件Gにおける「気をつけるように仕向ける」という「注意を促す」こととも相違する。」(答弁書7頁)
ク 構成要件Fについて
「甲第1号証の【0049】におけるユーザ端末で閲覧される情報は,構成要件Fに係る「提案すべき情報」ではないから,甲第1号証の【0049】には構成要件Fは開示されていない。」(答弁書3頁)
「 …構成要件Fの記載から導出される取得対象の「情報」は,
ア ユーザの個人情報に基づくものであること,
イ ウェブサイトに掲載されているものであること,
ウ ユーザに対して提案すべきものであること,
という3つの要件を全て満たすものである。
…
また,【0049】に記載されている各処理が実行された場合には,既述の構成要件Fに係る取得対象の「情報」の要件ア~ウのうち,要件ア及びイを満たす情報をユーザ端末3が取得することが窺えるが,【0049】には当該情報が要件ウを満たすことまでは記載されていない。」(答弁書8~10頁)
ケ 構成要件Mについて
「 審尋では,請求人に対し,最初に「4 全体として(請求人に対して)」という項目の下で,「学習・生活支援システム」又は「情報処理システム」と「情報提供装置」との関係について,説明又は意見を述べるよう求められています(審尋4頁)。
しかし,請求人は,請求書25頁及び27頁において,甲1-1発明については「ユーザ端末」でも「学習支援サーバ」でもなく「学習・生活支援システム」が,甲2発明については「ユーザ端末」でも「個人情報サーバ」でもなく「情報処理システム」が,それぞれ,本件特許発明1の「情報提供装置」に相当する,という旨の主張を明確に行っています(この主張を「主張(1)」と称します。)。
しかし,主張(1)は,以下,簡単に理由を述べますように誤りです。仮に,請求人が主張(1)を変更するようなことがあるならば,それは請求書に当初記載された特許を無効にする根拠となる事実の在否を判断するのに必要な審理範囲が確実に変更されることになりますから要旨変更に該当する筈です。
一方,主張(1)を変更しないのであれば,この点は甲1発明及び甲2発明の認定に重大な誤りがあることになりますから,この一点のみをもって,審判請求は認められるものではありません。
主張(1)が誤っている理由を簡単に述べますと,請求人は,請求書30頁で「甲4発明は,情報提供装置が相互にネットワークを介して接続された場合に,最新の個人情報が格納されている格納媒体の内容で,他方の格納媒体の内容を更新する,情報提供システムを有しているから,構成要件K及びLを備えている」,と主張しています(この主張を「主張(2)」と称します。)。
主張(1)の条件を主張(2)に当てはめますと,請求人は「学習・生活支援システム又は情報処理システムが相互にネットワークを介して接続された場合に,最新の個人情報が格納されている格納媒体の内容で,他方の格納媒体の内容を更新する,情報提供システム」を有していると述べていることになります。
甲1発明の「学習・生活支援システム」又は甲2発明の「情報提供システム」を相互にネットワークに接続しますと,既に当該各システム自体にもネットワークが存在していますから,大小2つのネットワークが存在することになります。
しかし,このようなシステム構成は,甲第1号証にも甲第2号証にも記載されていませんし,示唆もされていません。したがいまして,請求人の主張(1)は支離滅裂なものであると言わざるを得ません。」(被回答書(1)3~4頁。なお,「主張(1)」,「主張(2)」は被回答書(1)では丸数字であったが,ここでは半角カッコ数字で表記した。)
(2)理由1-1-2(新規性)
ア 構成要件A~Cについて
「 甲第2号証の【0094】では「ユーザ特定情報」と「ユーザ特性情報」とについて,いずれか一方を予め(先に)受け付け,他方をその後に受け付けていないのに対し,構成要件A(A’)では「構成要件Aの個人情報」を必ず予め(先に)受け付け,構成要件C(C’)では「構成要件Cの個人情報」を必ずその後に受け付けていますので,両者は相違します。」(被回答書(1)16頁)
…
「 請求人は,請求項22頁において,
「A2 …ユーザ特定情報を,セクレタリキャラクタ61を通じて受け付け,」
という認定をしています。
上記のような「ユーザ特定情報」と「ユーザ特性情報」との受け付け手順によりますと,「ユーザ特定情報」が「構成要件Aの個人情報」に相当し,「ユーザ特性情報」が「構成要件Cの個人情報」に相当するというような一対一で対応することにはなりませんので,請求人による一致点・相違点の判断乃至は認定には誤りがあります。」(被回答書(1)16頁)
イ 構成要件Dについて
「…登録等対象の情報が「ユーザ特定情報」と「ユーザ特性情報(個人特性情報)」とに大別されてされることは理解できますが,当該各情報と対応する属性とを紐付けた状態で登録等することについては記載されていません。
…
甲第2号証の【0036】等では,「情報」と「属性」とを紐付けた状態で登録(格納)していないのに対して,構成要件Dでは「情報」と「属性」とを紐付けた状態で格納しているので,両者は相違します。」(被回答書(1)17頁)
ウ 構成要件Eについて
「 甲第2号証の【0142】におけるメッセージは,保有株式の売却条件に到達したことを知らせるアラートであるから,甲第2号証の【0142】には構成要件Eは開示されていない。」(答弁書3頁)
「 甲第2号証の【0142】には,上記引用のサービスの具体的な説明がされていないので,このサービスについては,当業者を基準として,甲第2号証の記載全体から合理的に解釈することが必要である。
結論を先に述べると,当業者であれば,このサービスは,いわゆるネット証券と称されるインターネットを通じた株式の売買サービスを行っている証券会社(以下,「ネット証券会社」という。)が,この売買サービスに付帯して,テクニカル指標が予め定めた条件を達成した場合に,そのことを機械的に知らせるアラートサービスであると解釈するはずである。
したがって,甲第2号証の【0142】の「〇〇さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」という記載は,既述のように認定されるユーザに対して「提案を行う」こととは相違するし,「注意を促す」こととも相違する。」(答弁書10~11頁)
「 先に述べた結論のとおり,乙第5号証の【0142】におけるサービスは,構成要件Eにおける「提案を行う」こととは相違するし,構成要件Gにおける「注意を促す」こととも相違する。」(答弁書16頁)
「 請求人は,(1)構成要件Eにはアラートサービスを排除する記載がないから,これに関連する被請求人らの主張は失当であり,(2)日々価格が変化する株の売り時を知らせるメッセージは提案の意味に合致すると主張しています(請求人回答書29~30頁)
しかし,(1)構成要件E(E’)の「提案(議案や意見を提出すること)」には,甲第2号証の「アラートサービス(テクニカル指標が予め定めた条件に達した場合に,そのことを機械的に知らせること)」の意味合いは含まれませんので,「排除する」ということが観念できませんし,その必要もありませんので,被請求人らがした主張は妥当です。
また,(2)日々価格が変化しようがしまいが,ここでいう売り時の「メッセージ」は株式の売却というテクニカルな指標の条件成就を知らせるものと解されるところ,これには「提案」とうい意味は含まれませんので,請求人の当該主要は誤りです。」(被回答書(2)5頁,なお,「(1)」,「(2)」は被回答書(2)では丸数字であったが,ここでは半角カッコ数字で表記した。)
エ 構成要件Fについて
「甲第2号証の【0145】における株価推移表(株価チャート)を提供等することはユーザ端末で「提案すべき情報」を取得することにならないから,甲第2号証の【0145】には構成要件Fは開示されていない。」(答弁書4頁)
「 請求人は,審判請求書28頁において,甲第2号証の【0145】の「ユーザ端末2のマイデータの情報として,S社の株価推移表が提供され(ている。)ユーザは,必要に応じてブックマーク機能により,マイデータと連携し,所定のブックマークを操作したとき,その対応する情報を閲覧することができる。」という記載に基づいて,甲第2号証に構成要件Fが開示されていると主張するが,…(途中省略)…,【0145】の第1文は,ユーザの保有銘柄であるS社株の株価推移表という,単に過去の株価を図式したものを提供することを説明しただけである。
また,同段落の第2文は,マイデータ(株価推移表)をブックマークに登録しておけば,ブックマーク機能を使ってマイデータに簡便にアクセスできることを説明しただけである。
…
以上述べたように,甲第2号証の【0145】における株価推移表の提供等は,構成要件Fにおける「ユーザに対して提案すべき情報を取得する」こととは相違する。」(答弁書16~17頁)
オ 構成要件Gについて
「甲第2号証の【0148】におけるメッセージには伏せ字ばかりが記載されているだけであるから,甲第2号証の【0148】には構成要件Gは開示されていない。」(答弁書4頁)
「 請求人は,審判請求書28頁において,甲第2号証の【0148】の「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」という記載に基づいて,甲第2号証に構成要件Gが開示されていると主張するが,請求人の当該主張も誤りである。
まず,【0148】の記載を見てみると,このサービスの説明に至っては「~~」や「・・・」といった伏せ字が記載されているだけである。
このような伏せ字部分には,文脈などから排除されるものでない限り色々な文言が当てはまる可能性があるが(注),だからといって,これらの伏せ字部分が「注意を促す」という技術事項であるということなど言えるはずがないから,請求人の当該主張は幾ら何でも無理がある。
(注)甲第2号証の【0148】で行うアドバイスは,甲第2号証の図36にある「昨日の睡眠時間は?」という僅か1日だけの睡眠時間の質問に対するユーザの回答を受けてされたものであるが,そうすると,このユーザの睡眠時間が,偶々この日(昨日)少なかったのか,恒常的に少ないのか,はたまた普段から4時間程度で十分であり,これが少ない時間ではないのか等について,甲第2号証から一切読み取ることができない。
したがって,例えば,当該ユーザが普段は睡眠時間を十分確保しているが偶々昨日の睡眠時間が短かっただけであるという場合には「睡眠時間をあまりとらないと『健康的』という『ことはいえないけど,普段十分とれているからあまり気にしなくていいよ』」といった「注意を促す」こととは全く異なる内容の表示を行うことは十分に考えられる。
また,甲第2号証の【0165】~【0167】には,ユーザの平均睡眠時間が5時間であることを前提とした説明がされていることから,「睡眠時間をあまりとらないと『一般的には良い』という『ことはないけど,〇〇さんには当てはまらないね』」という感想のような内容の表示を行うことも十分に考えられる。
…
甲第2号証の【0148】には,構成要件Gにおける「注意を促す」ことについては何ら記載がされていない。」(答弁書17~18頁)
カ 構成要件Mについて
上記(1)ケと同じである。
(3)理由2-1-1及び理由2-1-2(進歩性)
ア 理由2-1-1及び理由2-1-2に共通の主張
「 本件における進歩性の判断は,主引用発明である甲1発明乃至甲2発明から出発して,当業者を基準として当該発明に副引用発明である甲3発明を適用し,本件特許発明1~5に容易に到達できるかどうかという観点から行うべきであるが,請求人は,甲1発明乃至甲2発明に対して甲3発明を適用することの動機付けの有無,当該適用を妨げる阻害要因の有無などの主張立証を一切していない。」(答弁書18頁)
「 本件特許発明1と甲1発明及び甲2発明との相違点である構成要件E~Gは,甲1発明及び甲2発明がいずれも元々想定していない「提案型サービス」を提供するためのものである。
そうすると,甲1発明及び甲2発明の当該相違点に係る構成を,本件特許発明1の構成要件E~Gに置換することは,何らかの示唆に基づくそれなりの動機付けなしではなしえないから,各相違点に係る構成は単なる設計事項に過ぎないということはできない。」(答弁書32頁)
イ 理由2-1-1について
「 甲1発明と甲3発明とを対比しながら,甲1発明に甲3発明を適用する動機付けがないことについて述べるが,結論としては,スケジュールの履行の有無を確認するという甲1発明と,関連対象情報に基づく検索をしてユーザに対して提案するという甲3発明とでは,技術思想が全く異なっており,また,種々の点で関連性もなければ共通性もないので,当業者であれば甲1発明に甲3発明を適用してみようとは思いもよらないはずである。
(1) 技術分野の関連性
…したがって,両発明の技術分野には関連性はない。
(2) 課題の共通性
…したがって,両発明の課題に共通性はない。
(3) 作用・機能の共通性
…したがって,両発明の作用・機能には関連性はない。
(4) 引用発明の内容中の示唆
…したがって,甲第1号証と甲第3号証とに接した当業者は,甲1発明に甲3発明の適用を試みる動機付けがない。」(答弁書24~25頁,「(1)」~「(4)」は答弁書では丸数字であったが,ここでは半角カッコ数字で表記した。)
ウ 理由2-1-2について
「 甲2発明と甲3発明とを対比しながら,甲2発明に甲3発明を適用する動機付けがないことについて述べるが,結論としては,ユーザに専門性の高い情報(質の高い)を提供するという甲2発明と,関連対象情報を用いて検索をしてユーザに対して提案するとい甲3発明とでは,技術思想が全く異なっており,また,種々の点で関連性もなければ共通性もないので,当業者であれば甲2発明に甲3発明を適用してみようとは思いもよらないはずである。
(1) 技術分野の関連性
…したがって,両発明の技術分野には関連性はない。
(2) 課題の共通性
…したがって,両発明の課題に共通性はない。
(3) 作用・機能の共通性
…したがって,両発明の作用・機能には関連性はない。
(4) 引用発明の内容中の示唆
…したがって,甲第2号証と甲第3号証とに接した当業者は,甲2発明に甲3発明の適用を試みる動機付けがない。」(答弁書29~30頁,「(1)」~「(4)」は答弁書では丸数字であったが,ここでは半角カッコ数字で表記した。)
第7 甲号証の記載
1 甲第1号証
(1)甲第1号証には,次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年,パーソナルコンピュータやタブレットなどを用いて,コンピュータ上で講師による講義を視聴することにより,受講生・生徒が学習したり,講師と受講生・生徒とが,または受講生・生徒同士がコミュニケーションを取る方法が基調となっている(たとえば,特許文献1参照)。このようなシステムを用いることにより,受講生・生徒は学習に対するモチベーションを高めて,学習効率を上げている。…(以下省略)
【0003】(省略)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方,講師と受講生・生徒とが,または受講生・生徒同士がコミュニケーションを取っている最中のモチベーションの向上だけでなく,受講生・生徒個人が一人だけでコンピュータ上で学習をする場合にも,学習への意欲を高めることが求められている。
【0005】
そこで,コンピュータ上に本システムのインターフェイスとなるアバター(ユーザを象徴するキャラクタ)を表示し,受講生・生徒,すなわち本システムに加入している一般・社会人等のユーザが,独自(一人)での学習時だけでなく,日常生活時においても役立つ学習・生活支援システムを提供することを目的とする。たとえば,ユーザが学生の場合,アバターから送られたメッセージメール等は,単なるアラーム機能ではなく,目標,行動内容に即したアバターコメントとして送られ,ユーザ本人が,目標達成するための短期長期の設定目標の乖離や進捗具合の管理ツールとしてシステムを活用し,ユーザは,計画,実践,検証,振り返り,動機付けを手軽にでき,ユーザ自身が設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲を維持向上させることが可能な学習・生活支援システムの提供を目的とする。一方では,各種学校,通信講座等,社内教育等を含む,資格やライセンス取得を目指すために自らが「なりたい自己像」「めざす姿」「プラス思考イメージの形成」を前述と同様の方法を用いて動機付けし,これらを段階的に具現化することにより「自己成長」を促進向上させる学習・生活支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の学習・生活支援システムは,ネットワークを介して接続された学習・生活支援サーバとユーザ端末とを備え,アバターとユーザとの対話によりユーザの学習を支援する学習・生活支援システムであって,該学習・生活支援サーバが,前記アバターを管理し,前記ユーザ端末へ前記アバターからのアバターコメントを出力するアバター管理部と,ユーザ端末から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部と,入力された前記ユーザ情報を分析し,ユーザ情報に応じてキーワードを抽出するテキスト分析部とを備え,前記アバター管理部により出力されたアバターコメントに対するユーザコメントが,前記ユーザ情報管理部により,前記学習・生活支援サーバに設けられたユーザ情報記憶部に記憶され,前記ユーザ情報記憶部に記憶されたユーザコメントが,前記テキスト分析部により分析および抽出され,キーワードとして前記ユーザ情報記憶部に記憶され,記憶された前記キーワードに基づいて,前記アバター管理部により,前記学習・生活支援サーバのアバターコメント記憶部に予め記憶された複数のアバターコメントのうちの1つのアバターコメントが選択され,前記キーワードに応じたアバターコメントが前記ユーザ端末に出力され,前記ユーザ端末から入力されたユーザ情報,または,アバターコメントに対するユーザコメントに,ユーザのスケジュールが含まれている場合に,前記アバター管理部が前記ユーザ端末に前記アバターを介してスケジュール確認を行うことを特徴とする。」
「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,学習・生活支援システムにおいて,学習・生活支援システムのユーザに特有のアバターコメントが各ユーザに向かって出されるため,学習・生活支援システムを定期的に利用する動機付けとなる。さらに,ユーザのスケジュールがユーザから入力された情報に含まれている場合は,そのスケジュールの内容に基づいて,アバターからスケジュール確認が行われ,単なるアラーム機能ではなく,スケジュールの内容に即してアバターからアバターコメントが送られる。したがって,ユーザは,自己が設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲が高まる。」
「【0019】
本発明の学習・生活支援システム1は,図1に示されるように,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備え,図2に示すアバター4とユーザとの対話によりユーザの学習を支援するシステムである。アバター4は,図2においては,ユーザ端末3の一部にユーザ端末3のユーザのものだけが示されているが,アバター4は,他のユーザのアバターと同じ仮想空間内に位置するようにしてもよい。また,アバター4は,ユーザを象徴するキャラクタとして他のユーザと仮想空間内で会話できるように構成してもよい。また,アバター4は,ユーザの設定により,服装や髪形などの容姿を変更することができるようにしても構わない。」
「【0021】
なお,学習・生活支援システム1は,図1においては2つのユーザ端末3がネットワークNを介して学習・生活支援サーバ2に接続されているが,接続されるユーザ端末3の数は特に限定されるものではない。つぎに,図3に示されるように,学習・生活支援サーバ2は,アバター4を管理し,ユーザ端末3へアバター4からのアバターコメントを出力するアバター管理部21と,ユーザ端末3から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部22と,入力されたユーザ情報を分析し,ユーザ情報に応じてキーワードを抽出するテキスト分析部23とを備えている。図3に示す実施形態では,さらにネットワークNを介して情報を収集するための情報収集部24と,学習・生活支援システム1の他の機能,たとえば,学習にあたって授業等を配信する講師と受講生・生徒との間での双方向の教育システムなど,学習に関するコンテンツを管理するコンテンツ管理部25とを備え,アバター管理部21,ユーザ情報管理部22,テキスト分析部23,情報収集部24,コンテンツ管理部25とが制御部として構成されている。制御部は,少なくとも1つのCPU等を備え,ROM等に予め記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより,アバター管理部21,ユーザ情報管理部22,テキスト分析部23,情報収集部24,コンテンツ管理部25等の機能を実行することが可能である。…(以下省略)
【0022】
また,図3に示されるように,学習・生活支援サーバ2は,ユーザ端末3とネットワークNを介して接続するために,通信制御部26を備えている。また,学習・生活支援サーバ2は,1つのユーザ端末3だけでなく,複数のユーザ端末と双方向で通信することができる。また,詳細は後述するが,学習・生活支援サーバ2は,記憶部を備えている。記憶部は,たとえばRAMやフラッシュメモリ,ハードディスク等の記憶装置により構成され,各種情報を記憶することができる。図示した実施形態では,学習・生活支援サーバ2内に各種情報が記憶されるように構成されているが,外部メモリ等により,学習・生活支援サーバ2の外部で記憶してもよいし,ユーザ端末3に各種情報を記憶してもよい。本実施形態では,図3に示されるように,記憶部は,ユーザ基本情報記憶部U1,ユーザ嗜好情報記憶部U2,ユーザ目標情報記憶部U3,ユーザコメント記憶部U4を含むユーザ情報記憶部27aと,アバター情報記憶部27bと,アバターコメント記憶部27c,収集情報記憶部27dと,コンテンツ記憶部27eとを備えている。これらの記憶部については後述する。」
【0023】(省略)
【0024】
アバター管理部21は,アバター4の動作,容姿,アバター4からユーザに対するコメントであるアバターコメントのユーザ端末3への出力など,アバター4に関する制御部として機能する。…(途中省略)…アバター4は,アバター管理部21により管理され,アバター4を介して他のユーザ等とのコミュニケーションを取ることができるが,本発明では,主にアバター4は分身の元となる自己のユーザ自身にコメントし,会話をすることを主題としている。…(以下省略)
【0025】
ユーザ情報管理部22は,ユーザ情報記憶部27aに記憶されるユーザの基本情報,ユーザの嗜好情報,ユーザの目標情報,ユーザ端末からのコメントであるユーザコメントなど,ユーザに関する情報を管理する。より具体的には,ユーザ情報管理部22は,ユーザ端末3から入力された情報を,ユーザ基本情報,ユーザ嗜好情報,ユーザ目標情報,ユーザコメントのいずれかを判断して分類し,ユーザ基本情報記憶部U1,ユーザ嗜好情報記憶部U2,ユーザ目標情報記憶部U3,ユーザコメント記憶部U4に分類して記憶する。分類は,たとえば,ユーザ端末3において行われた操作や,アバター4からのアバターコメントの内容に基づいて分類することができる。この分類は,情報の内容に応じてさらに細分化しても構わない。…(以下省略)
【0026】(省略)
【0027】
情報収集部24は,ユーザへ様々な情報を提供するために,情報を収集し,収集情報記憶部27dに記憶される。収集される情報としては,ユーザ端末3からの入力情報に基づいて,たとえば抽出されたキーワードに基づいて,ウェブ上からキーワードに関連するウェブページを収集し,ウェブページのリンク情報を収集情報記憶部27dに記憶する。なお,情報収集部24により収集情報記憶部27dに記憶される情報は,通信制御部26,ネットワークNを介してインターネット上のウェブページから収集してもよいし,学習・生活支援システム1のコンテンツ提供者が自ら収集したものであってもよいし,他のユーザから提供された情報であってもよい。
【0028】
コンテンツ管理部25は,ユーザへ様々なコンテンツを提供するために,コンテンツ記憶部27e等に記憶されたコンテンツを提供する。本実施形態では,コンテンツとしては,各種学校,通信講座等,社内教育等,学習システム一般において用いられる双方向通信学習システムに用いられるコンテンツがあげられる。より具体的には,学習の指導側,たとえば講師の端末(図示せず)と,受講生・生徒との端末(ユーザ端末3)がネットワークNを介して接続され,ユーザ端末3の表示部3a(図2参照)に,講師および複数の受講生・生徒の映像またはアバターを表示して,双方向でリアルタイムの講義を行うことができるコンテンツなどが提供される。また,そのような双方向でのリアルタイムでの講義以外に,ユーザが個人で学習するときの学習コンテンツなどがコンテンツ記憶部27eに記憶することもでき,様々な学習コンテンツを記憶して,コンテンツ管理部25によりユーザが学習することができる。また,学習以外の連絡事項や,情報交換のためのチャットなどのコミュニケーションツールや,ウェブログなどを動作させるアプリケーションをコンテンツ記憶部27eに記憶して,コンテンツ管理部25により動作させても構わない。
【0029】
本発明の学習・生活支援システム1は,上述したように,アバター管理部21により出力されたアバターコメントに対するユーザコメントが,ユーザ情報管理部22により,学習・生活支援サーバ2に設けられたユーザ情報記憶部27aに記憶され,ユーザ情報記憶部27aに記憶されたユーザコメントが,テキスト分析部23により分析および抽出され,キーワードとしてユーザ情報記憶部27aに記憶される。そして,記憶されたキーワードに基づいて,アバター管理部21により,学習・生活支援サーバ2のアバターコメント記憶部27cに予め記憶された複数のアバターコメントのうちの1つのアバターコメントが選択され,キーワードに応じたアバターコメントがユーザ端末3に出力され,ユーザ端末3から入力されたユーザ情報,または,アバターコメントに対するユーザコメントに,ユーザのスケジュールが含まれている場合に,アバター管理部21がユーザ端末3にアバター4を介してスケジュール確認を行う。学習・生活支援システム1が,このように構成されていることにより,ユーザにより入力された情報に基づいて,学習・生活支援サーバ2がユーザに関心のあるキーワードを抽出して,その関心のあるキーワードに応じて,さらにアバター4からユーザ端末3に対して,すなわちユーザに対してさらに質問(アバターコメント)をなげかける。これにより,アバター4からのアバターコメントは,ユーザに関心のある事項に対するものとなり,さらにユーザとアバター4との継続した会話(アバターコメントとユーザコメント)を続けるにつれて,アバター4からのアバターコメントは,そのユーザの関心のある事項や,ユーザの目標などに応じて変化する。したがって,単に機械から同じような質問がされるといったことはなくなり,自己の分身であるかのように,ユーザによって特有のアバターコメントが出されるようになり,学習・生活支援システム1を定期的に利用する動機付けとなる。さらに,ユーザのスケジュールがユーザコメントに含まれている場合は,そのスケジュールの内容に基づいて,アバター4からスケジュール確認が行われ,単なるアラーム機能ではなく,スケジュールの内容に即したアバターコメントが送られる。したがって,ユーザは,自己が設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲も高まる。」
「【0036】
図4は,本発明の学習・生活支援システム1の全体的な動作を示すフローチャートである。まず,学習・生活支援システム1をユーザ端末3において立ち上げると,学習・生活支援サーバ2のユーザ情報管理部22からユーザ端末3に対してユーザ情報の入力を求められる。具体的には,ユーザの生年月日,性別,職業(学年),ニックネーム,住所,起床・就寝時間,趣味,行きたい場所,習慣などのユーザ情報の入力が求められる。ユーザ端末3により,ユーザ情報が入力されると(S1),それぞれの内容に応じて,入力された内容がユーザ基本情報記憶部U1,ユーザ嗜好情報記憶部U2,ユーザ目標情報記憶部U3に分類されて記憶される。また,このユーザ情報の入力(S1)の前または後に,ユーザ端末3によりアバター4が作成され,そのアバター4の容姿等の情報がアバター情報記憶部27bに記憶される。
【0037】(省略)
【0038】
つぎに,ユーザ端末3からユーザの学習目標についての目標設定が入力される(S3)。ここでは,上述した長期的学習目標が入力された場合について説明する。本実施形態では,目標設定の入力は,1)日時,2)場所,3)目標の3項目の入力が求められる。ユーザの長期的学習目標として,1)日時:1ヶ月後,2)場所:学校,3)目標:英語のテストで90点以上とる,と入力されたとする。その場合,これらの長期的学習目標は,ユーザ情報管理部22によりユーザ目標情報記憶部U3に記憶される。アバター管理部21は,ユーザ目標情報記憶部U3およびアバターコメント記憶部27cを参照し,ユーザに対して,スケジュールについて質問するアバターコメントをユーザ端末3に出力する(S4)。具体的には,アバターコメント記憶部27cのうち,長期的学習目標が設定された場合の基本コメントを用いて,長期的学習目標としてユーザ目標情報記憶部U3に記憶された情報を抜き出し,「英語のテストで90点以上とるために,スケジュールを入力してください」というアバターコメントがアバター管理部21によりアバター4を介して出される。なお,この場合,「3)目標」だけが引用されているが,「1)日時」も引用して,「1ヶ月後に英語のテストで90点以上とるために,スケジュールを入力してください」というアバターコメントを出すようにしてもよい。
【0039】
このアバターコメントに対して,ユーザ端末3からスケジュールが入力される(S5)。具体的には,長期的学習目標を達成するためのユーザのスケジュールとなる,短期的学習目標がユーザ端末3から入力される。ここでは,1)日時,2)場所,3)学習内容の入力が求められたとし,ユーザにより,1)日時:毎日夜10時~10時半,2)場所:家,3)学習内容:教科書1頁分,覚える英単語と英文をノートに書き出すと入力されたとする。この場合,短期的学習目標は,ユーザ情報管理部22によりユーザ目標情報記憶部U3に記憶される。なお,長期的学習目標と短期的学習目標は,ユーザ目標情報記憶部U3内でそれぞれ別々の場所に分類して記憶することができる。また,長期的学習目標および短期的学習目標は,それぞれ1つずつの目標であってもよいし,それぞれ複数の目標であってもよい。
【0040】
つぎに,アバター管理部21は,現在の日時を計時装置などにより把握し,ユーザ情報記憶部27aを参照して,所定期間内にスケジュールがあるか否かを確認する(S6)。ここでは,長期的学習目標,短期的学習目標以外に,日常的なスケジュール(たとえば,「歯を磨く」)を含めてスケジュールを確認することができる。スケジュールがある場合には,S7においてアバター管理部21により,アバターがユーザ端末3においてスケジュール確認のためのアバターコメントを出し(S7),スケジュールが特にない場合には,何もアバターコメントを出さずに,S6を繰り返すか,またはスケジュールに関連しない他のアバターコメントを出すことができる。…(以下省略)
【0041】(省略)
【0042】
S8において,ユーザコメントが入力されるか,またはユーザコメントが未入力の場合,アバター管理部21により,スケジュールが実行されたか否かの確認がされる(S9)。…(以下省略)
【0043】
スケジュールの実行が確認された場合には,S10において,「よくがんばったね」とか,「明日もがんばってね」などのアバターコメントが,アバター4を介してユーザ端末3に出力される。一方,スケジュールが未完了であることが確認されると,アバター4から「スケジュールが未完了だよ。代わりのスケジュールを入力してね」など,スケジュールの修正を依頼するアバターコメントが出される(S11)。これに対して,ユーザは,その日の分の修正したスケジュールを出力する(S12)。たとえば,「じゃあ,今からやるよ」とか,「あと,30分たったらやる」とか出力された場合には,ユーザ目標情報記憶部U3内で短期的学習目標が更新され,更新された短期的学習目標に基づいて,再度アバター管理部21が,所定の時間経過後に再度ユーザにスケジュールの確認を行う(S9)。」
「【0046】
つぎに,図5のフローチャートを用いて,アバター4からのアバターコメントの選択プロセスについて説明する。アバター4からのアバターコメントは,基本的には予めアバターコメント記憶部27cに記憶されたアバターコメントを用いて出されるが,ユーザからのユーザコメントに応じて,制御部により,どの文面のアバターコメントをベースとするかが決定される。これにより,ユーザからのユーザコメントが蓄積されていくに従い,アバターコメントは,ユーザの学習内容や,嗜好に沿った内容となる。なお,図5のフローチャートの各工程についても,図4と同様に一例を示したものであり,各工程の順序などは変更が可能である。また,図5の工程のうちの一部を省略したり,他の工程を追加することも可能である。
【0047】
まず,ユーザの基本情報など,ユーザ情報が入力される(S101)。S101で入力されたユーザ情報に基づいて,アバターコメントが出される(S102)。このアバターコメントに対して,ユーザからユーザコメントが出されると(S103),出されたユーザコメントは,ユーザコメント記憶部U3に記憶される。記憶されたユーザコメントは,テキスト分析部23により分析され,キーワードが抽出される(S104)。テキスト分析部23による分析は,上述したように,形態素解析により名詞等の品詞を判別して抽出する形態素解析エンジンを用いることができ,キーワードがユーザコメント記憶部U4に,アバターコメントの内容と関連付けて記憶され,蓄積される(S105)。また,そのキーワードを抽出した日時についても記憶される。
【0048】
抽出されたキーワードに基づいて,さらにアバターコメントを出すこともできるが,ユーザの関心のある内容を正確に把握するために,キーワードが所定数蓄積された後に,キーワードに基づくアバターコメントを出すようにしてもよい(S106,S107)。すなわち,アバターコメントを複数回ユーザ端末3に出力した後,所定数,たとえばキーワードが10個以上蓄積されたかどうかを判断し(S106),キーワードが10個以上蓄積されている場合に,一番数の多いキーワードに関連するアバターコメントを選択するようにすることができる(S107)。これにより,ユーザがその時点で一番関心のある事項に関連するアバターコメントを出すことができ,ユーザがアバター4との会話を楽しんだり,学習への関心をより高めたりできる。なお,キーワードはユーザの入力の仕方により様々な表現となる可能性があるため,予めデータベース内に類語として登録された(または手動・自動での更新がされた)分類により,同じ分類に属するキーワードは同じキーワードとして扱うことができる。たとえば,「スマートフォン」と「スマホ」は同じキーワードとして扱われ,「PC」と「パソコン」は同じキーワードで扱うようにする。
【0049】
また,アバター管理部21により,ユーザ端末3に,キーワードに関連するウェブサイトのリンクを出力することもできる(S107)。そして,リンク先のウェブサイトが閲覧されたかを判断し(S108),リンク先のウェブサイトがユーザ端末3において閲覧された場合には,ウェブサイト上のテキストをテキスト分析部23が分析し,新たなキーワードを抽出し,抽出された新たなキーワードが,ユーザ情報記憶部27a(ユーザコメント記憶部U4またはユーザ嗜好情報記憶部U2など)に記憶されるようにしてもよい(S109)。同様に,キーワードに基づくアバターコメントにユーザから回答があったか否かを判断し(S108),回答があった場合に,新たなキーワードの抽出を行うことができる(S109)。新たなキーワードは,ユーザコメント記憶部U4に記憶され,次のアバターコメント,リンクの表示に用いることができる(S110)。
【0050】
なお,ユーザコメント記憶部U4に記憶されるキーワードのうち,現在から所定期間内のキーワードを用いるようにキーワードが更新され,更新後のキーワードに基づいてアバターコメントがユーザ端末3に出力されるようにしても構わない。たとえば,用いるキーワードを現在の日時から3ヶ月以内のものだけを用いるようにすれば,半年以上前のキーワードは用いられないため,既に関心がなくなったキーワードが用いられることがなく,最近のユーザに関心のあるアバターコメントを送るようにすることができる。
【0051】
なお,学習・生活支援システム1は,複数のユーザ端末3を備え,ユーザ情報記憶部27aに複数のユーザ端末3のユーザ情報が記憶され,一のユーザ端末3により入力されたユーザ情報と他のユーザ端末3により入力されたユーザ情報とが関連する場合,アバター管理部21が,一のユーザ端末に,他のユーザ端末に関するアバターコメントを出力するように構成してもよい。たとえば,一のユーザ端末3のユーザであるA君が,長期的学習目標として,「英語のテストで90点以上をとる」と入力しており,他のユーザ端末3のユーザであるB君が,ユーザコメントとして「英語のテストで94点だったよ」と入力した場合に,A君のユーザ端末3において,アバター4から「B君が英語のテストで94点だったらしいよ」というアバターコメントをだすようにすることもできる。このようにすることにより,同じ目標を共有したり,ライバル意識により学習意欲の向上を図ることができる。」
(2)甲第1号証に記載された発明
上記(1)から,甲第1号証には次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2と,複数の受講生・生徒が使用するユーザ端末3とを備え,受講生・生徒同士がコミュニケーションをとることのできる学習・生活支援システム1であって(【0019】【0028】),
学習・生活支援サーバ2は,アバター4を管理し,ユーザ端末3へアバター4からのアバターコメントを出力するアバター管理部21と,ユーザ端末3から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部22と,入力されたユーザ情報を分析し,ユーザ情報に応じたキーワードであって,ユーザに関心のあるキーワードを抽出するテキスト分析部23と,ネットワークNを介して上記キーワードに関連するウェブページのリンク情報を収集する情報収集部24と,記憶部とを備え(【0021】【0022】【0025】【0027】【0029】),
まず,学習・生活支援システム1をユーザ端末3において立ち上げると,学習・生活支援サーバ2のユーザ情報管理部22からユーザ端末3に対してユーザ情報の入力を求められるものであって,ユーザの生年月日,性別,職業(学年),ニックネーム,住所,起床・就寝時間,趣味,行きたい場所,習慣などのユーザ情報の入力が求められ,ユーザ端末3により,ユーザ情報が入力されると,それぞれの内容に応じて,入力された内容が記憶部に記憶され(【0036】),
次に,ユーザ端末3からユーザの学習目標についての目標設定が入力されるとアバター管理部21は,ユーザに対して,スケジュールについて質問するアバターコメントをユーザ端末3に出力し,このアバターコメントに対して,ユーザ端末3からスケジュールが入力され,ユーザ管理部22により記憶部に記憶され(【0038】【0039】),
アバター管理部21は,スケジュールが実行されたか否かを確認し,スケジュールが未完了であることが確認されると,アバター4から「スケジュールが未完了だよ。代わりのスケジュールを入力してね」など,スケジュールの修正を依頼するアバターコメントが出力され(【0042】【0043】),
また,アバター管理部21は,ユーザ端末3に,上記キーワードに関連する,リンク先のウェブページを閲覧可能にするウェブページ(ウェブサイト)のリンク情報を出力することもできる(【0049】),
学習・生活支援システム1。
2 甲第2号証
(1)甲第2号証には,次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
最近インターネットが普及し,一般ユーザは,多種多様の情報をサーバから提供を受けることができる。
【0003】
しかしながら,一般ユーザが各種の情報を得るには,その情報を提供するサーバを自ら探し出さなければならず,ユーザが必要とする情報を簡単に提供を受けることができない課題があった。
【0004】(省略)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,そのようなシステムを利用すれば,確かに,比較的効率的に情報を収集することが可能ではあるが,ユーザはそのために自分自身が必要とする情報を積極的に入力しなければならず,やはり質の高い情報を低コストで十分効率的に収集することは,困難である課題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり,一般ユーザがより多くの質の高いサービスを低コストで,かつ簡単かつ確実に利用することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理システムは,第1の情報処理装置により個々のユーザに対応する第1のユーザ情報が読み取られたとき,読み取られた第1のユーザ情報に基づいて,そのユーザに固有の固有エージェントを起動し,固有エージェントが第3の情報処理装置が提供するサービスを選択したとき,第3の情報処理装置が提供するサービスのためのサービスエージェントを起動し,サービスエージェントを介して第3の情報処理装置から要求があったとき,第2の情報処理装置に保持されているユーザのユーザ情報のうちの第2のユーザ情報を第3の情報処理装置に提供し,第3の情報処理装置が第2のユーザ情報に基づき提供するサービスをサービスエージェントを介してユーザに提供することを特徴とする。」
「【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,ユーザにサービスを提供することができる。特に,より多くのサービスエージェントが用意できるため,より多くの質の高いサービスを,より低コストでユーザに提供することが可能となる。また,固有エージェントがサービスを選択するため,ユーザは,各種のサービスを自ら知っていたり,検索する必要が無く,簡単かつ確実にサービスの提供を受けることが可能となる。
【0018】
また,他の本発明によれば,ユーザ情報をユーザ以外のものに利用させることができる。これにより,ユーザに,そのユーザにあったより多くの質の高いサービスを提供することが可能となる。また,ユーザ情報のうちの一部の情報だけを提供するようにするので,ユーザ情報の秘匿性が害されるようなことが抑制される。」
「【0029】
図1は,本発明を適用した情報処理システムの構成例を表している。この情報処理システム10は,ユーザ端末2-1,2-2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4-1乃至4-3,店舗端末5-1,5-2,並びに,それらが接続されているネットワークの代表としてのインターネット1により構成されている。
【0030】
なお,以下においては,ユーザ端末2-1,2-2は,それらを個々に区別する必要がない場合,単にユーザ端末2と称する。コンサルタントサーバ4-1乃至4-3,並びに店舗端末5-1,5-2も同様に,それらを個々に区別する必要がない場合,単にコンサルタントサーバ4または店舗端末5と称する。」
「【0035】
個人情報サーバ3は,このシステムに加入している複数のユーザのユーザ個人情報を管理する。個人情報は,ユーザ特定情報とユーザ特性情報に分けて管理される。ユーザ特定情報は,基本的に,コンサルタントサーバ4を管理,運用する各サービス提供者には開示しないことを前提とした情報であり,より強固なセキュリティで保護される。このユーザ特定情報には,それを一意に特定できる参照用IDが付加される。
【0036】
ユーザ特性情報はユーザ個人を特定できない情報の集まりであり,そこにはユーザの特性・属性情報,嗜好情報などが含まれる。ユーザ特性情報には,それを一意に特定できる参照用IDが付加される。またそれらの情報は,望ましくは,対象となるサービス提供者をある程度意識した形でカテゴライズされる。カテゴリの例としては,医療,資産,資格情報,サイズ,愛用品,常備薬,などがあげられる。また,個人特性情報としては,現在の情報の他に,過去の情報や将来の予定情報なども登録できる。」
「【0039】
サービス提供者が保持するコンサルタントサーバ4は,ユーザに対して主にコンサルテーションサービスを提供する。コンサルタントサーバ4は,個人情報サーバ3からユーザの特性情報を取得し,その情報を分析することで適切なコンサルテーションを行い,ユーザに回答を呈示する(サービスを提供する)。
【0040】
コンサルタントサーバ4は,特性情報の取得と分析のために,例えば,インターネット1への接続機能,ユーザ特性情報の取得機能,ユーザ特性情報からの回答の分析・マッチング機能,および回答の送信機能を持っている。これらの機能は,サービス提供者(コンサルタントサーバ4)ごとに管理されるコンサルタントエージェント(後述する図39)のアプリケーションを介して実行され,ユーザや個人情報サーバ3に対して分析結果(回答)が送信される。」
「【0056】
コンサルタントサーバ4は取得したユーザ特性情報を基に,該当する特性を持つユーザに対して各種情報を提供する。」
「【0064】
コンサルタントサーバ4は,図10に示されるように,インターネット1に対する接続処理を実行するネットワーク接続部461を有する。送信部462は,情報開示要求やユーザがコンサルタントサービスを利用する場合の分析結果の送信処理を実行する。受信部463は,情報開示許可の受信処理を実行する。」
「【0071】
図12は,各コンサルタントサーバ4が,ユーザ情報を利用する場合の概略を表している。個人情報サーバ3には,ユーザ情報がカルテとして保持されている。ユーザ情報は,ユーザ特定情報とユーザ特性情報とで構成される。
【0072】
ユーザ特定情報は,ユーザ情報のうちの,それらの情報からユーザ個人を特定し得る情報である。例えば,氏名,住所,電話番号,生年月日,性別,住民票コード,など,単数または複数の組み合わせにより個人を特定できる情報である。
【0073】
ユーザ特性情報は,ユーザ情報のうちの,ユーザ個人を特定できない情報であり,例えば,ユーザの特性や属性を表す情報,嗜好情報,医療関連情報,資産情報,サイズ情報などである。」
「【0082】
最初に,図13と図14のフローチャートを参照して,ユーザがユーザ端末2から個人情報サーバ3にアクセスして,そのシステムを利用する場合の処理について説明する。…(以下省略)
【0083】【0084】(省略)
【0085】
ステップS3において,ユーザ端末2のネットワーク接続部401は,個人情報サーバ3から送信されてきたユーザインタフェースを受信する。ステップS4において,ユーザインタフェース11は,セクレタリキャラクタ61(後述する図17参照)を表示画面に表示させる。
【0086】
このようにして,ユーザインタフェース11は,セクレタリキャラクタ61を表示させ,これを利用して,セクレタリエージェントとしての機能を実行する。」
「【0089】
起動されたセクレタリエージェント(ユーザインタフェース11)は,ユーザと日常的に会話を行うことで,ユーザの個人情報を収集する処理を行う。次に,図15と図16のフローチャートを参照して,ユーザ情報が個人情報サーバ3に蓄積される場合の処理について説明する。
【0090】
ユーザインタフェース11のインタフェース421は,ステップS41において,ユーザに対して質問を発生する。ユーザは,この質問に対してデータ入力インタフェース403を介して回答を入力する。具体的には,キーボードを操作することで回答を入力したり,音声で回答を入力することが行われる。
【0091】
ステップS42において,インタフェース421は,このユーザからの回答を受け付ける。ステップS43において,インタフェース421は,受け付けた回答を一時的に記憶する。ステップS44において,インタフェース421は,質問を終了するか否かを判定し,まだ質問が残っている場合には,ステップS41に戻り,それ以降を繰り返し実行する。
【0092】
ステップS44において,回答を終了すると判定した場合,インタフェース421は,ステップS45に進み,ステップS43の処理でいままで一時的に記憶したユーザからの回答を個人情報サーバ3にインターネット1を介して送信する。
【0093】
以上のユーザ端末2の処理に対応して個人情報サーバ3は,図16のフローチャートに示される処理を実行する。
【0094】
すなわち,ステップS61において,個人情報サーバ3の蓄積部441は,ユーザ端末2からの回答を受信する。ステップS62において,蓄積部441は,ステップS61で受信した回答がユーザ特定情報か否かを判定する。受信した回答がユーザ特定情報に属する場合には,ステップS63に進み,蓄積部441は,いま受信した回答をユーザ特定情報として蓄積する。これに対して,ステップS62において,受信した回答がユーザ特定情報ではないと判定した場合,その情報は,ユーザ特性情報であるということになるので,ステップS64において,蓄積部441は,その情報をユーザ特性情報として蓄積する。
【0095】
以上のような処理が日常的に行われ,そのユーザのユーザ情報が日常的な会話の中で次第に蓄積されていくことになる。
第に蓄積されていくことになる。
【0096】
図17乃至図20は,この場合の処理の流れを模式的に表している。即ち,図17に示されるように,セクレタリエージェント61Aの象徴としてのセクレタリキャラクタ61が画面に表示され,ユーザに対して質問を発生する(図15のステップS41)。図17の例においては,「こんにちは 今日も君のこと教えてよね!」の質問をしている。そして,図18に示されるように,さらに,「君が生まれた日にちはいつ??」の質問が出されている。この質問に対してユーザは,この例の場合,「1972年3月25日」と回答している(図15のステップS42)。
【0097】
セクレタリキャラクタ61は,図19に示されるように,「1972年3月25日だね。ということは,魚座だよね?」という質問を発生する(ステップS41)。これに対してユーザは,カーソルを操作することで,「ハイ」の回答を入力している(ステップS42)。
【0098】
これに対して図20に示されるように,セクレタリキャラクタ61は,「魚座の人ってロマンチストだって言うよね。君も,ロマンチストそうだもんね」の質問を発生している。
【0099】
以上のようなさりげない会話の中で,セクレタリエージェント61Aは,ユーザのユーザ情報を収集し,個人情報サーバ3に蓄積する。」
「【0107】
次に,ユーザがこのシステムを利用してサービスを利用する場合の処理ついて説明する。最初に,ユーザがどのサービスを利用するかを自ら指定する場合の処理について説明する。
【0108】
この場合,図23に示されるように,ステップS81において,ユーザ端末2のデータ入力インタフェース403は,ユーザからサービス選択のメニューの表示が指令されたとき,サービス選択のためのメニューを表示画面に表示する。このメニューには,サービス単位でアイコンが表示されており,ユーザはサービスに対応するアイコンを選択することで,サービスを選択する。勿論,音声により入力させるなど,メニューからアイコンを選択させる以外の方法でサービスを選択させることも可能である。ステップS82において,データ入力インタフェース403は,ユーザからのアイコンの選択を受け付ける。
【0109】
ステップS83において,データ入力インタフェース403は,ステップS82の処理で受け付けられたアイコン(選択されたアイコン)に対応するコンサルタントエージェントを呼び出す処理を実行する。すなわち,このときネットワーク接続部401は,ユーザにより選択されたアイコンに対応するコンサルタントサーバ4にアクセスし,コンサルタントエージェントの送信を要求する。
【0110】
コンサルタントサーバ4は,図24のステップS101において,ユーザ端末2から送信されてきた要求を受信すると,要求されたコンサルタントエージェントをインターネット1を介してユーザ端末2に送信する。
【0111】
ステップS84において,ユーザ端末2のネットワーク接続部401は,コンサルタントサーバ4から送信されてきたコンサルタントエージェントを受信する。以下,このコンサルタントエージェントがユーザにサービスを提供するのに必要な処理を具体的に実行することになる。
【0112】(省略)
【0113】
以上のようにして呼び出されたコンサルタントエージェントが,ユーザにサービスを提供する処理について,図25,図26および図27のフローチャートを参照して説明する。
【0114】~【0116】(省略)
【0117】
ユーザ端末2のコンサルタントエージェントは,図25のステップS123において,コンサルタントキャラクタ72(後述する図29参照)を表示画面に表示させる。ステップS124においてコンサルタントエージェントは,このコンサルタントキャラクタ72を介してユーザに対して所定の質問を発生する。ユーザは,この質問に対して回答を入力する。ステップS125において,コンサルタントエージェントは,この質問に対するユーザの回答を受け付ける。ステップS126において,コンサルタントエージェントは,ステップS125の処理で受け付けた回答をコンサルタントサーバ4に送信する。
【0118】
図26のステップS142において,コンサルタントサーバ4のネットワーク接続部461は,ユーザ端末2から送信されてきた回答を受信する。
【0119】
ステップS143において,送信部462は,個人情報サーバ3に,ステップS141の処理で受信したユーザ特性情報参照用IDを送信する。さらに,ステップS144において,送信部462は,ステップS142の処理で受信したユーザからの回答を参照し,開示を要求する項目を決定し,その決定した開示を要求する項目と開示要求を個人情報サーバ3に送信する。
【0120】
個人情報サーバ3の受信・送信部444は,図27のステップS161において,コンサルタントサーバ4から送信されてきたユーザ特性情報の参照用IDを受信する。個人認証部446は,ステップS162において,ステップS161の処理で受信したユーザ特性情報の参照用IDに対応するユーザ特性情報が蓄積部441に登録されているか否かを判定する。対応するユーザ特性情報が登録されている場合には,ステップS163に進み,受信・送信部444は,ユーザ端末2に対してユーザ特性情報の開示の許可を求める。
【0121】
ユーザ端末2の受信部405は,図25のステップS127で,ユーザインタフェース11(セクレタリエージェント)を介して情報の開示要求を受信すると,これを表示部に表示させる。ユーザは,この表示を見て開示要求を許可するか否かを判定し,その判定結果をデータ入力インタフェース403から入力する。このとき,必要に応じてユーザは,開示する内容を限定したり,期間を制限したりすることができる。
【0122】
ユーザ端末2の送信部406は,ステップS128において,ユーザからの情報開示許可の信号をユーザインタフェース11(セクレタリエージェント)を介して受け取ると,これを個人情報サーバ3に送信する。
【0123】
図27のステップS164において,個人情報サーバ3の受信・送信部445は,ユーザ端末2から情報開示許可が送信されてきたか否かを判定し,開示許可が送信されてきたと判定した場合,ステップS165に進み,受信・送信部445は,ユーザ特性情報のうち閲覧可能な項目を付してアクセス許可信号をコンサルタントサーバ4に送信する。
【0124】
コンサルタントサーバ4の受信部463は,図26のステップS145において,情報開示許可の信号を受信し,ユーザ特性情報に対するアクセスが許可されたか否かを判定する。アクセスが許可された場合には,ステップS146に進み,取得部464は,個人情報サーバ3にアクセスし,開示が許可された項目を閲覧し,取得する。
【0125】(省略)
【0126】(省略)
【0127】
ステップS147において,コンサルタントサーバ4の分析・マッチング部465は,ステップS142の処理で受信したユーザからの回答に対応する処理を実行する。すなわち,分析・マッチング部465は,ステップS142の処理で受け付けた回答と,ステップS146の処理で閲覧したユーザ特性情報に基づいて,分析,マッチング処理を行い,回答に対応する処理結果を求める。
【0128】
ステップS148において,分析・マッチング部465は,ステップS147の処理で得られた処理結果を,コンサルタントエージェントと個人情報サーバ3に送信する。
【0129】
ユーザ端末2のコンサルタントエージェント(利用部402)は,図25のステップS129において,コンサルタントサーバ4から送信されてきた処理結果を受信し,ステップS130において,その処理結果を表示部に表示し,ユーザに呈示する。
【0130】
個人情報サーバ3の更新部443は,図27のステップS167において,コンサルタントサーバ4から処理結果を受信すると,ステップS168において,その処理結果をユーザ特性情報としてユーザ情報に記録(更新)する。
【0131】
このようにして,ユーザが利用した結果得られたユーザ情報は,順次更新される。」
「【0139】
以上のようにして,例えば,ユーザが「株指南」のサービスを受ける場合の具体例を,図29乃至図33を参照してさらに説明する。
【0140】
図29に示されるように,表示画面にはサービスを選択するとき操作されるアイコン71が表示されている。ユーザは,このアイコン71を操作することで,サービスに対応するコンサルタントエージェントを呼び出すことができる。ユーザが「株指南」のサービスを選択した場合には,図29に示されるように,「株指南」のサービスを提供するコンサルタントエージェントのコンサルタントキャラクタ72が表示される。
【0141】
このコンサルタントキャラクタ72は,図30に示されるように,「東京株式市場では早朝からの買い注文が殺到し・・・」の話をユーザに話しかけている。さらに,図31の状態においては,コンサルタントキャラクタ72は,「○○さんの持っているS社株のほかにもメーカー株興味ある?」の質問をユーザに対して投げかけている。ユーザは,「はい」または「いいえ」を,この質問に対して入力する。ユーザが,例えば「いいえ」を回答した場合には,この回答に対応する情報,すなわち,このユーザは「メーカー株に興味はない」の情報が,そのユーザのユーザ特性情報として蓄積されることになる。
【0142】
図32に示される状態では,コンサルタントキャラクタ72は,「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」のメッセージを投げかけている。
【0143】(省略)
【0144】 さらに,図33に示されるように,ユーザに対してメールやホームページの形式で「株指南」のためのサービスが提供される。図33の例においては,メールで「2003/06/15」付けで「S社は銀座○○ビル内にてアオリアの発表を行った。アオリアのラインナップは~~~としている。なお○○は~~~」といった内容の情報がメール形式でユーザに提供されている。」
【0145】
また,ユーザ端末2のマイデータの情報として,S社の株価推移表が提供されている。ユーザは,必要に応じてブックマーク機能により,マイデータと連携し,所定のブックマークを操作したとき,その対応する情報を閲覧することができる。」
「【0146】
図34乃至図38は,医療分野のサービス提供の例を表している。図34に示されるように,ユーザがサービス選択メニュー画面から「医療分野」のサービスを選択すると,この「医療分野」のサービスを提供するコンサルタントエージェントのコンサルタントキャラクタ73が表示される。図34の表示状態で,コンサルタントキャラクタ73は,「おはよう!早起きだね」のメッセージを投げかけている。
【0147】
図35に示されるように,このコンサルタントキャラクタ73は,「健康はまず運動からだよ」のメッセージをユーザに提供している。さらに,図36に示されるように,このコンサルタントキャラクタ73は,「昨日の睡眠時間は?」の質問をユーザに投げかけている。ユーザは,「4時間未満,4時間乃至8時間,8時間以上」のいずれかから回答を選択する。回答が選択されたとき,その情報がユーザ情報として蓄積される。
【0148】
さらに,図37に示されるように,コンサルタントキャラクタ73は,図36の質問に対して,ユーザが,「4時間未満」と回答したことに対して,「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」というメッセージをユーザに投げかけ,アドバイスしている。」
[図:0001392414000001.jpg]
【図1】
[図:0001392414000002.jpg]
【図33】
(2)甲第2号証に記載された発明
上記(1)から,甲第2号証には次の発明(以下,「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
ユーザ端末2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4,店舗端末5がインターネット1を介して接続される情報処理システム10であって(【0029】【0030】),
個人情報サーバ3は,このシステムに加入している複数のユーザのユーザ個人情報を,ユーザ特定情報とユーザ特性情報に分けて管理し(【0035】),
ユーザ特定情報は,ユーザ情報のうちの,それらの情報からユーザ個人を特定し得る情報であって,氏名,住所,電話番号,生年月日,性別,住民票コード,など,単数または複数の組み合わせにより個人を特定できる情報であり(【0072】),
ユーザ特性情報は,ユーザ情報のうちの,ユーザ個人を特定できない情報であって,ユーザの特性や属性を表す情報,嗜好情報,医療関連情報,資産情報,サイズ情報などであり(【0036】【0073】),
ユーザが,個人情報サーバ3にアクセスして,システムを利用する場合(【0082】),ユーザ端末2のユーザインタフェース11は,セクレタリエージェントとして機能するセクレタリキャラクタ61を表示画面に表示させ(【0085】【0086】【図1】),ユーザと日常的に会話を行うことで,ユーザからの回答である個人情報を収集し,個人情報サーバ3に回答を送信し(【0089】【0091】【0092】),
個人情報サーバ3は,ユーザ端末2から受信した回答が,ユーザ特定情報に属すると判定した場合には,ユーザ特定情報として蓄積し,ユーザ特定情報ではないと判定した場合,ユーザ特性情報として蓄積するものであり(【0094】),
セクレタリキャラクタ61(セクレタリエージェント61A)は,さりげない会話の中で,ユーザのユーザ情報を収集し,個人情報サーバ3に蓄積し(【0096】~【0099】),
ユーザが,このシステムを利用してサービスを利用する場合(【0107】),ユーザ端末2は,ユーザが選択したコンサルタントサーバ4にコンサルタントエージェントの送信を要求すると(【0108】【0109】),サービス提供者が保持するコンサルタントサーバ4は,要求されたコンサルタントエージェントをユーザ端末2に送信し,ユーザ端末2はコンサルタントエージェントを受信し(【0039】【0110】【0111】),
ユーザ端末2のコンサルタントエージェントが,コンサルタントキャラクタ72を介してユーザに対して行った質問に対するユーザの回答をコンサルタントサーバ4に送信し(【0117】),コンサルタントサーバ4は,受信したユーザからの回答を参照し,開示を要求する項目と開示要求を個人情報サーバ3に送信し(【0118】【0119】),
コンサルタントサーバ4は,コンサルタントサービスを提供するために,個人情報サーバ3からのユーザ特性情報のうち閲覧可能な項目が付されたアクセス許可信号に基づき(【0121】~【0123】),個人情報サーバ3にアクセスし,開示が許可された項目を閲覧し,取得し,ユーザからの上記回答と,閲覧したユーザ特性情報に基づいて,分析,マッチング処理を行い,回答に対応する処理結果を求め,処理結果を,コンサルタントエージェントを介してユーザと個人情報サーバ3に送信し(【0039】【0040】【0124】【0127】【0128】),
ユーザ端末2のコンサルタントエージェントは,その処理結果を表示部に表示し,ユーザに呈示し(【0129】),
個人情報サーバ3は,その処理結果をユーザ特性情報としてユーザ情報に記録(更新)し(【0130】),
ユーザが「株指南」のサービスを受ける場合(【0139】),ユーザが「株指南」のサービスを選択すると,コンサルタントエージェントのコンサルタントキャラクタ72は,「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」のメッセージを投げかけ(【0141】),また,「株指南」のサービスは,メールやホームページ形式でサービスが提供され(【0144】),
ユーザ端末2には,ホームページ中のマイデータの情報として,S社の株価推移表が提供されるものであって,マイデータと連繋し,ユーザは必要に応じて所定のブックマークを操作して,その対応する情報を閲覧することができ(【0140】~【0142】【0145】【図33】),
ユーザが医療分野のサービスを受ける場合(【0146】),ユーザがサービス選択メニュー画面から「医療分野」のサービスを選択すると,コンサルタントキャラクタ73が「昨日の睡眠時間は?」の質問をユーザに投げかけ,ユーザは,「4時間未満,4時間乃至8時間,8時間以上」のいずれかから回答を選択するとその情報がユーザ情報として蓄積され,さらに,ユーザが,「4時間未満」と回答したことに対して,「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」というメッセージをユーザに投げかけ,アドバイスする(【0146】~【0148】),
情報処理システム10。
3 甲第3号証
(1)甲第3号証には,次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年,ユーザからの明示的な指示がなくても,ユーザの趣味・嗜好に合致した情報を自動的に探索して提案する,いわゆるエージェント技術が広く提唱されている。特許文献1には,この種のエージェント技術を利用した情報提供装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】(省略)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の情報提供装置においては,ユーザの趣味・嗜好に合致した提案内容を検索するので,提案内容はユーザの趣味・嗜好の範囲内ではあるものの,ユーザにとって新たな発見や体験につながるような新鮮な情報を提供できないという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑み,ユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供することができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報提供装置は,提案内容検索部が,ユーザが嗜好する嗜好対象を記憶する嗜好記憶部と他の情報源とのそれぞれを参照することによって,ユーザの嗜好対象と,ユーザの嗜好対象と関連する関連対象情報とに基づいて提案内容を検索してユーザに提示し,ユーザの反応が提案内容を受諾する反応であれば,提案内容を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報提供装置によれば,ユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供することが可能となる。」
「【0010】
<第1実施形態>
図1において,一点鎖線で囲んだ第1実施形態の情報提供装置100Aは,車両に搭載されている。」
「【0020】
立ち寄り施設推定部105は,車両が停車していたと判断すると,施設データベース106を参照して,車両の位置情報が示す経度及び緯度に基づいて,車両(即ち,ユーザ)が立ち寄った施設を推定する。施設は,飲食店等の各種の店舗を含む。」
「【0026】
このように,嗜好推定部108は,ユーザの過去の行動に基づいてユーザの嗜好対象を推定する。特定の場所または施設に立ち寄るという行動は,ユーザの嗜好対象を推定するためのユーザの過去の行動の1つである。
【0027】
立ち寄り施設の種別は,複数段階の分類に分けることができる。大分類を食事,観光等とすると,食事に含まれる和食,中華,麺類,イタリアン等が中分類となる。和食に含まれるうなぎ,天ぷら,蕎麦,寿司等が小分類となる。
【0028】
嗜好推定部108が推定したユーザの嗜好対象を示す情報は,嗜好情報として嗜好記憶部109に記憶される。嗜好記憶部109は,ユーザの嗜好情報を蓄積する。例えば,ユーザが頻繁に蕎麦屋に立ち寄っているとすると嗜好対象は蕎麦であり,嗜好記憶部109には,小分類の蕎麦が嗜好情報として記憶されることになる。
【0029】
ユーザがうなぎ,天ぷら,蕎麦,寿司の和食店にさほど偏りなく立ち寄っているとすると,嗜好推定部108は,中分類の種別である和食がユーザの嗜好対象であると推定することになる。この場合には,嗜好記憶部109には,中分類の和食が嗜好情報として記憶されることになる。
【0030】
提案内容検索部103は,提案内容を検索するため,嗜好記憶部109と,他情報参照部110を介して概念辞書111とを参照して,ユーザの嗜好対象と合致した種別,及び,ユーザの嗜好対象に近く,嗜好対象と関連した周辺の種別を検索する。ユーザの嗜好対象と関連する対象を関連対象とし,関連対象を示す情報を関連対象情報と称することとする。」
「【0036】
提案内容検索部103は,嗜好記憶部109だけでなく,概念辞書111を参照することにより,ユーザの嗜好に合致する種別の他,ユーザの嗜好に近い周辺の種別(関連対象)も検索することが可能となる。提案内容検索部103がユーザに複数の提案内容を順に提案する場合には,ユーザの嗜好に合致する種別から周辺の種別の順とすればよい。
【0037】
提案内容検索部103は,施設データベース106を検索して,ユーザに提案する提案内容を決定する。提案内容検索部103は,通信部107を介して,ウェブサイト50を検索して,ユーザに提案する提案内容を決定してもよい。嗜好記憶部109にユーザの嗜好情報として小分類の種別として蕎麦が記憶されている場合には,具体的な蕎麦屋が提案内容となる。
【0038】
提案内容検索部103が決定した提案内容を示す情報は,提案実施部112に入力される。提案実施部112は,入出力部113の出力部である画面表示制御部/音声信号出力部113outによって,ユーザに提案内容を視覚的または聴覚的な情報として提示させる。」
「【0054】
現在時刻は午前11時30分を過ぎているとする。情報提供装置100Aが動作を開始すると,提案実行条件監視部101は,ステップS101にて,提案実行条件が成立したか否かを判定する。
【0055】
図2に示す提案ルールでは,例えば午前11時45分にならなければ(NO),提案内容検索部103はステップS101の処理を繰り返す。午前11時45分になると(YES),提案内容検索部103はルール3の提案実行条件が成立したと判定する。提案内容検索部103は,ステップS102にて,ルール3に従って昼食を提案するための提案内容を検索する。
【0056】
提案内容検索部103は,嗜好記憶部109を参照して蕎麦を嗜好情報として取得すると,施設データベース106またはウェブサイト50によって現在位置の近くの蕎麦屋を検索する。現在位置の近くに蕎麦屋があれば,蕎麦屋が提案内容としてユーザに提示される。ここでは,現在位置の近くに蕎麦屋がない場合を説明する。」
(2)甲第3号証に記載されている技術的事項
上記(1)から,甲第3号証には次の技術的事項(以下,「甲3記載事項」という。が記載されているといえる。
ユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を手供する情報提供装置100Aであって,
現在時刻が午前11時30分を過ぎると,情報提供装置100Aが動作を開始し,提案内容検索部103が,施設データベース106を参照して,車両(ユーザ)が立ち寄った施設を推定し,嗜好対象を示す情報に基づきユーザに提案する提案内容を決定するものであって,ウェブサイト50を検索して,提案内容を決定してもよく,嗜好記憶部109の記憶される,ユーザの嗜好情報を参照して具体的な提案内容を決定することができる
情報提供装置100A。
4 甲第4号証
(1)甲第4号証には,次の事項が記載されている。
「【請求項46】
前記ユーザーが使っていることがありうる複数のプラットフォームのそれぞれにおいて前記ユーザーのプロファイルのあるバージョンを維持するよう安全なプロファイル記憶部を生成することをさらに含み,前記ユーザーによって所有される前記プラットフォームが前記ユーザーのプロファイルのローカルなバージョンを前記プロファイル記憶部に記憶する,請求項35記載の方法。」
「【請求項49】
各デバイスが安全なプロファイル記憶部を維持しており,プロファイル記憶部は前記ユーザーについての情報の部分集合を含み,定期的に,前記デバイスはプロファイル記憶部の間で情報を共有し,相違を調整するよう通信し,前記通信は,ローカル・エリア・ネットワーク技術を使ってまたは広域ネットワーク技術を介して可能であり,信頼されるデバイス上のプロファイル記憶部の間でプロファイル情報を共有することを前記ユーザーが明示的に承認する必要がある,請求項48記載のシステム。」
「【0034】
本発明の諸実施形態は,ユーザーのパーソナル・デバイスの集合で集められたユーザーについての個人情報を一元化する。次いで,この情報は,プラットフォームを横断して一貫している,パーソナル化された推薦を含む当該ユーザーにとってのパーソナル化された経験を駆動するために使用されることができる。…(以下省略)」
(2)第4号証に記載されている技術的事項
上記(1)から,甲第4号証には次の技術的事項(以下,「甲4記載事項」という。が記載されているといえる。
デバイスはユーザーについての情報の部分集合を含む安全なプロファイル記憶部を維持し,
前記デバイスは,プロファイル記憶部の間で情報を共有し,相違を調整するよう,ローカル・エリア・ネットワーク技術を使ってまたは広域ネットワーク技術を介して通信する,システム。
5 甲第8号証
甲第8号証には次の事項が記載されている。
[図:0001392414000003.jpg]
第8 当審の判断
1 理由1-1-1(新規性)及び理由2-1-1(進歩性)について
(1)本件発明1の「個人情報」について
個人情報について,本件特許明細書(以下,「本件明細書」という。)【0010】【0040】【0043】【0129】【0134】【0135】を参照すると,ユーザの氏名,性別,年齢等の一般的な個人情報のほか,ユーザの嗜好情報やユーザの生活情報等が含まれることが理解できる。
(2)本件発明1と甲1発明との対比
ア 構成要件Aについて
甲1発明における「ユーザ情報」は,ユーザの生年月日,性別,職業(学年),ニックネーム,住所等の一般的な個人情報,趣味,行きたい場所等の嗜好情報,起床・就寝時間,習慣等のユーザの生活情報等であるから,構成要件Aの「個人情報」に相当する。
甲1発明の「ユーザ情報管理部22」は,学習・生活支援システム1がユーザ端末3において立ち上げられると,ユーザの生年月日,性別,職業(学年),ニックネーム,住所,起床・就寝時間,趣味,行きたい場所,習慣などのユーザ情報の入力が求めることから,構成要件Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」に相当する。
イ 構成要件B及びCについて
本件明細書には,「属性」について具体的な定義の記載はない。そのため一般的な意味における「事物の有する特徴・性質」(甲第7号証)と解釈する。
甲1発明における,アバター管理部21が出力する「ユーザに対して,スケジュールについて質問するアバターコメント」は,学習・生活支援システム1をユーザ端末3において立ち上げたときに入力を求められる「ユーザ情報」の取得の後に行われるものであって,この「アバターコメント」は,構成要件Bの「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する」「質問」に相当し,この質問に対するユーザ端末3から入力される「スケジュール」は,構成要件Cの「個人情報」に相当する。
よって,甲1発明の「アバター管理部21」は,構成要件Bの「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段」と,「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する質問を行う質問手段」で共通する。
さらに,甲1発明の「ユーザ情報管理部22」は,アバター管理部21が出力するユーザに対するスケジュールの質問に対して,ユーザ端末3から入力された個人情報である「スケジュール」を管理する機能を有し,「スケジュール」を受け付ける点で,構成要件Cの「前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段」に相当する。
ウ 構成要件Dについて
甲1発明の「記憶部」は,学習・生活支援システム1がユーザ端末3において立ち上げられたときに入力された個人情報であるユーザ情報と,次に入力された個人情報であるスケジュールとを記憶する点で,構成要件Dの「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体」と,「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報が格納される格納媒体」で共通する。
エ 構成要件E及びGについて
(ア)構成要件Eの「提案」について,本件明細書には具体的な定義がない。そのため一般的な意味における「議案や意見を提出すること。また,その議案や意見。」(乙第1号証)と解釈する。
また,構成要件Gの「注意」及び「促す」について,本件明細書には具体的な定義がない。そのため,それぞれ,一般的な意味における「気をつけること。気をくばること。」,「ある行為をするにように仕向ける。」と解釈する。
(イ)甲1発明における,「アバター管理部21」が出力する「スケジュールが未完了だよ。代わりのスケジュールを入力してね」など,スケジュールの修正を依頼するアバターコメントは,スケジュールが未完了であることを気づかせる点で,スケジュールに気をつけるように仕向けるものであり,個人情報であるスケジュールの修正を依頼する点で,意見するものであるから,このアバターコメントは,ユーザに対して注意を促すものであり,かつ提案を行うためのものである。
よって,甲1発明の「アバター管理部21」は,構成要件Eの「前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段」に相当し,さらに,構成要件Gの「前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す手段」に相当する。
オ 構成要件Fについて
甲1発明における,ユーザに関心のあるキーワードに関連するウェブページのリンク情報を出力することは,ユーザにとって興味関心事項に関連する情報を提示(提供)することであるから,本件発明1の「提案」に相当する。
甲1発明における,「情報収集部24」は,リンク先のウェブページを閲覧可能にするウェブページの「リンク情報」を収集するものであって,ウェブページから情報を取得するものではないものの,アバター管理部21がユーザ端末3に出力する,個人情報であるユーザ情報に応じて抽出された,ユーザに関心のあるキーワードに関連するウェブページのリンク情報を収集する点で,構成要件Fの「前記提案手段は,前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得する手段」と,「前記提案手段は,前記個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案すべきウェブサイトに関する情報を取得する手段」で共通する。
カ 構成要件Mについて
甲1発明の「学習・生活支援システム1」は,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備えるものである。
他方,本件発明1の「情報提供装置」について,本件明細書では,「図1は,本発明の実施形態1における情報提供システムの構成例を示す図である。図1の情報提供システムは,以下説明する,ユーザ端末100A~100E(これらの総称を「ユーザ端末100」と称する。)と,ロボット200と,ウェブサーバ300と,ネットワーク400とを備えている。」(【0014】),「ユーザ端末100は,例えば,電話機能及び通信機能を有するスマートフォン100A~100D,腕時計型のリスト端末100Eなどの情報提供装置の総称である。もっとも,ユーザ端末100は,スマートフォンやリスト端末のみならず,パーソナルコンピュータ,タブレットなどの各種の情報提供装置とすることもできる。」(【0015】),「ロボット200は,例えばユーザ端末100A及びリスト端末100Eを保有するユーザの家屋内に設置された情報提供装置である。ロボット200は,ネットワーク400を介して,ユーザ端末100A及びリスト端末100Eとの間で後述する個人情報を共有することができる。なお,この実施形態において,ロボット200は,家屋内の部屋においては,ユーザの指示に応じて移動することが可能である。このために,ロボット200は既知の移動手段を備えている。」(【0016】),「ネットワーク400は,インターネットなどで構成され,ユーザ端末100,ロボット200,ウェブサーバ300,及び,他のウェブサーバとの間における通信を実現するものである。」(【0018】)と記載されており,電話機能及び通信機能を有するスマートフォン100A~100D,腕時計型のリスト端末100Eなどやロボット200を,それぞれ「情報提供装置」と説明するものであるところ,情報提供装置のそれぞれが,他の装置を含むシステムでなく単独で「第1受付手段」や「質問手段」等の各手段を有するものであって,ネットワークを介して他の装置と接続されることにより,複数の装置全体で各手段を構成するようなものではない。
よって,甲1発明の「学習・生活支援システム1」は,ネットワークNを介して学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3と接続されて構成される点で,ネットワークを構成要件に含まない本件発明1の「情報提供装置」と相違するものの,甲1発明の「学習・生活支援システム1」は,本件発明1の「情報提供装置」とは,「情報提供システム」で,概念を共通にする。
キ 被請求人らの主張について
被請求人らは,本件発明1は,ユーザの個人情報に基づいて当該ユーザに対して所望の提案を行う「提案型サービス」を提供するものではないため,本件発明1と甲1発明とでは技術思想が異なっており,提案自体に関する構成要件E~Gの技術事項は,甲第1号証には記載されていない旨主張するが,上記エ,オ(構成要件E,F,G)で検討したとおり,甲1発明は,ユーザ情報に基づいてユーザに注意を促したり,取得したリンク情報をユーザ端末に出力したりする点で,甲1発明も「提案型サービス」を提供するものであるといえる。
よって,被請求人の上記主張を採用することはできない。
ク 一致点及び相違点について
<一致点>
ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と,
前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する質問を行う質問手段と,
前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と,
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報が格納される格納媒体と,
前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段と,を備え
前記提案手段は,
前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す手段を有し,
前記個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案すべきウェブサイトに関する情報を取得する手段を有する,
情報提供システム。
<相違点>
(相違点1)
本件発明1は,質問手段が,「個人情報に対応する属性の質問」を行い,受け付けられた個人情報と「当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で」格納されるのに対し,甲1発明は,「アバター管理部21」が「個人情報に対応する属性の質問」を行うことが定かではなく,受け付けられた個人情報と「当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で」で格納されるか定かではない点。
(相違点2)
取得されるウェブサイトに関する情報が,本件発明1は,「ウェブサイトから」取得される「ユーザに対して提案すべき情報」であり,「提案手段」が取得するのに対し,甲1発明は,ユーザに対してリンク先のウェブサイトを閲覧可能にする「ウェブページのリンク情報」であって,取得元は定かではなく,「提案手段」に相当する「アバター管理部21」とは異なる「情報収集部24」がウェブページのリンク情報を取得する点。
(相違点3)
情報提供システムが,本件発明1は「情報提供装置」であるのに対し,甲1発明は,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備える「学習・生活支援システム1」である点。
(3)判断
ア 理由1-1-1(新規性)について
上記(2)ケのとおり,本件発明1と甲1発明との間には実質的な相違点があり,本件発明1は,甲1発明であるとはいえないから,本件発明1は新規性を有する。
イ 理由2-1-1(進歩性)について
(ア)相違点1について
甲1発明において,アバター管理部21は,ユーザ端末3から「ユーザの学習目標」についての「目標設定」が入力されることで,ユーザに対して,「スケジュールについて質問するアバターコメント」をユーザ端末3に出力するものである。そして,「ユーザの学習目標」は,ユーザの興味関心事項の一種であって,ユーザの特徴や性質を表すものであるから,「属性」である。そして,「スケジュールについて質問するアバターコメント」は,「ユーザの学習目標」として設定された「目標設定」の具体的な「スケジュール」を入力させるための質問であるから,この「スケジュールについて質問するアバターコメント」は「個人情報に対応する属性の質問」である。
そして,甲第1号証【0039】には,具体例として,「スケジュールについて質問するアバターコメント」は,「1)日時,2)場所,3)学習内容」の入力を求めるものであって,ユーザは,このアバターコメントに対して「1)日時:毎日夜10時~10時半,2)場所:家,3)学習内容:教科書1頁分,覚える英単語と英文をノートに書き出す」と入力することが記載されている。このとき,アバターコメントの「1)日時,2)場所,3)学習内容」に関する質問と,ユーザの入力である「1)日時:毎日夜10時~10時半,2)場所:家,3)学習内容:教科書1頁分,覚える英単語と英文をノートに書き出す」とを,それぞれ対応付けて,すなわち,それぞれ紐付けて記憶されることは技術常識である。
よって,甲1発明の「スケジュールについて質問するアバターコメント」は,本件発明1の「個人情報に対応する属性の質問」に相当するものであり,甲1発明の「記憶部」には,受け付けられた個人情報と「当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で」格納される構成であることから,上記相違点1は,表現上の差異にすぎない。
したがって,相違点1は実質的な相違点とはいえない。
(イ)相違点2について
甲第1号証【0049】【0050】には,ユーザに対して出力したリンク先のウェブサイトが閲覧されると,ウェブサイトのテキストを分析し新たなキーワードを抽出するものであって,これを記憶することで,次のアバターコメント,リンクの表示(提示)に用いることができるとすることが記載されている。そして,これを繰り返すことにより,アバターコメントをより「最近のユーザに関心のある」ものとするという観点から,キーワードの抽出及びサービスの提供が行われるものである。そして,ユーザがリンク先のウェブサイトを閲覧するためには,ユーザによるリンク情報を選択する操作が必要であり,これにより,いわばユーザと学習・生活支援サーバ2の対話によって「最近のユーザに関心のある」キーワードを抽出することができるものであって,リンクを取得して提示することは,ウェブサイトに掲載されている情報を取得し,単に提示することと技術的に同一ではない。そうすると,甲1発明において,取得されるウェブサイトに関する情報である「ウェブページのリンク情報」に代えて,本件発明1のウェブサイトから取得されたユーザに提案すべき情報にすることには,上記の対話の機会をなくし,サービスの質を低下させるものであるから,阻害要因がある。
また,このように,本件発明1は,「ウェブサイトから」「ユーザに対して提案すべき情報」を取得することにより,個人情報に基づいて「健康に関する情報を含む各種情報を提供する」という効果を奏するものであるのに対し,甲1発明の「ウェブページのリンク情報」を取得するとするのみでは,本件発明1のような効果を奏するものではないから,ウェブサイトに関する情報の取得を,「情報収集部24」が行う構成に代えて,「提案手段」が行う構成とすることには,動機があるとはいえず,当業者が容易に想到することができたとはいえない。
また,甲3記載事項は,所定の時刻になると,情報提供装置100Aがウェブサイトを検索して,嗜好情報に基づき提案内容を決定し,ユーザに提示することで,ユーザに新鮮な情報を提供するためのものであって,いわゆるプッシュ配信に関する技術である。これに対し,甲1発明は,ユーザがリンク先のウェブサイトを閲覧するもので,いわゆるプル配信に関する技術である。そのため,いわゆるプル配信である甲1発明といわゆるプッシュ配信である甲3記載事項とでは,情報の提示の手法が異なり,さらに,甲1発明はユーザが設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲を高めるためのものであるのに対し,甲3記載事項は,所定の時刻になると,ユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供するものから,甲1発明と甲3記載事項とは,技術分野,機能,課題が異なる。さらに,甲1発明は,上述したとおり,ユーザと学習・生活支援サーバ2との対話により,キーワードの抽出及びサービスを提供するものであるから,甲3記載事項の,ユーザに新鮮な情報を,プッシュ配信にて提供するために,所定の時刻になると情報提供装置100Aがウェブページを検索する構成適用することに,ユーザと学習・生活支援サーバ2との対話の機会をなくし,サービスの質を低下させることになるから,阻害要因がある。
また,請求人は,甲第3号証は周知技術の例示であるとするが,甲3記載事項はいわゆるプッシュ配信であり,さらに請求人が周知技術であることを裏付けるとする甲第8号証を参照しても,甲第8号証には,利用者の興味関心にあった広告を表示するための行動ターゲティング広告の定義及び範囲を説明するとともに,ターゲティング広告の種類ごとに,特徴を説明するにとどまり,ユーザの学習意欲を高めることを目的とする甲1発明に適用しようとする動機はない。
よって,上記相違点2の構成は,当業者が容易に想到することができたものではない。
なお,念のため,甲4記載事項について検討しても,ユーザに対して提案すべき情報をウェブサイトから取得するという技術的事項を示すものではなく,甲1発明に,甲4記載事項を適用したとしても,上記相違点2の構成の構成に至らないことは明らかである。
(ウ)相違点3について
甲1発明は,ネットワークNを介して接続されたユーザ端末3を使用してユーザと他のユーザがコミュニケーションを取るためのシステムであって,これにより,他のユーザと同じ目標を共有したり,ライバル意識により学習意欲の向上を図ることができるようにするものである。
また,甲第1号証には,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3からなる学習・生活支援システム1が実行する処理を,本件発明1の「情報提供装置」のような装置により実行させることは,記載も示唆もされていない。
そうすると,ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備える「学習・生活支援システム1」を,他の装置を含むシステムでなく単独の「情報提供装置」に設計変更することには,ユーザと他のユーザとの間のコミュニケーションが取れなくなることから,阻害要因がある。
さらに,甲3記載事項の,情報提供装置である「情報提供装置100A」は,甲1発明のようなネットワークを介して接続されたサーバ及び端末を備えるシステムを,単独の情報提供装置に設計変更することは記載されておらず,このような設計変更をしようとする動機付け等の記載もなく,示唆もされていないことから,これらの証拠に記載された技術的事項を適用しても,上記相違点3の構成を当業者が容易に想到することができたということはできない。
なお,念のため,甲4記載事項について検討しても,ネットワークを介して接続されたサーバとクライアント端末とを備えるシステムを,単独の装置に設計変更するという技術的事項を示すものではなく,甲1発明に,甲4記載事項を適用したとしても,上記相違点3の構成の構成に至らないことは明らかである。
(4)請求人の主張について
ア 相違点2(構成要件F)について
請求人は,甲第1号証【0049】によれば,キーワードに関連したウェブサイトのリンクに基づき,ウェブサイトに接続することで,ユーザの学習内容や,嗜好に沿った情報を閲覧することができる点で,甲第1号証には構成要件Fに係る「提案すべき情報」が開示されている旨主張する。
しかしながら,上記【0049】には「キーワードに関連するウェブサイトのリンクを出力する」と記載されているものの,ウェブサイトの「リンク」はウェブサイトから取得した「提案すべき情報」ではなく,このため,【0049】には,ウェブサイトから取得した提案すべき情報を出力することは記載されていない。
また,請求人は,甲第1号証の「ユーザ端末3」が,構成要件Fの「情報を取得する手段」と主張するが,ユーザ端末3は,上記【0049】の記載によれば,ユーザがリンクを選択することでウェブサイトの情報が取得されるものと認められ,ユーザ端末3が個人情報に基づき情報を取得するものではない。
よって,請求人の上記主張を採用することはできない。
そして,相違点2についての判断は,上記(3)イ(イ)のとおりである。
イ 相違点3(構成要件M)について
請求人は,請求人の主張する甲1-1発明及び甲1-2発明の末尾の「学習・生活支援システム」は,甲第1号証の学習・生活支援システム1に対応し,請求項1の「情報提供装置」と一致する旨主張する。
しかしながら,上記(2)カのとおり,本件発明1の情報提供装置のそれぞれは,単独で「第1受付手段」や「質問手段」等の各手段を有するものであって,ネットワークを介して他の装置と接続されることにより,複数の装置全体で各手段を構成するようなものではないから,甲1発明の「学習・生活支援システム」と一致するとはいえず,相違点3のとおりであるから,請求人の上記主張を採用することはできない。
そして,相違点3についての判断は,上記(3)イ(ウ)のとおりである。
(5)被請求人らの主張について
相違点1(「個人情報」と構成要件A~C)について。
被請求人らは,「例えば,ユーザの氏名,性別,及び,年齢だけといった極めてわずかな基本情報(構成要件Aの個人情報)を予め受け付けることを説明していますから,構成要件A(A’)に対応するものです。」と主張するが,本件明細書【0043】は,「基本情報として,例えば,ユーザの氏名,性別,及び年齢だけといった極めてわずかな情報」と記載されており,構成要件Aの実施の形態の一例の記載であると解釈できるものの,構成要件Aは「個人情報のうち幾つか」とするのみであるから,上記実施の形態にまで限定して解釈する必要はなく,被請求人らの主張を採用することはできない。
また,被請求人らは,長期的学習目標の入力は,ステップ「S2」において出力済みの「Aさん,おはよう」というアバターコメントに対するものではないので,構成要件Cと対比するに及ばない旨主張する。しかしながら,甲1発明の「スケジュール」は,甲第1号証【0039】に記載されているとおり,長期的学習目標を達成するために日時,場所,学習内容についてユーザ端末3から入力される点で,上記(2)イのとおり構成要件Cの「個人情報」に相当するものである。
さらに,被請求人らは,甲第1号証には「情報」と「属性」とを紐付けた状態で記憶することは記載されていないことから,構成要件Dと相違する旨主張するが,上記(3)イ(ア)のとおり,表現上の差異にすぎないから,被請求人らの主張を採用することはできない。
(6)小括
よって,本件発明1は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明ではなく,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また,本件発明1は,本件特許出願前に公開された甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって,請求人の主張する無効理由1-1-1及び無効理由2-1-1には,いずれも理由がない。
2 理由1-1-2(新規性)及び理由2-1-2(進歩性)について
(1)本件発明1と甲2発明との対比
ア 構成要件Mについて
甲2発明の「情報処理システム10」は,ユーザ端末2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4,店舗端末5がインターネット1を介して接続されるものである。
他方,本件発明1の「情報提供装置」について,上記1(2)カで示したとおり,情報提供装置のそれぞれが,他の装置を含むシステムでなく単独で「第1受付手段」や「質問手段」等の各手段を有するものであり,ネットワークを介して他の装置と接続されることにより,複数の装置全体で各手段を構成するようなものではない。
よって,甲2発明の「情報処理システム10」は,本件発明1の「情報提供装置」に相当するとはいえず,甲2発明の「情報処理システム10」と,本件発明1の「情報提供装置」とは,「情報提供システム」との点で,概念を共通にする。
イ 構成要件A~Cについて
構成要件A及びCの「個人情報」には,上記1(1)のとおり,一般的な個人情報のほか,ユーザの嗜好情報やユーザの生活情報等が含まれる。そうすると,甲2発明における,「ユーザ特定情報」は,ユーザ個人を特定し得る情報であって,氏名,住所,電話番号,生年月日,性別,住民票コード,など,単数または複数の組み合わせにより個人を特定できる情報であり,「ユーザ特性情報」は,ユーザ個人を特定できない情報であって,ユーザの特性や属性を表す情報,嗜好情報,医療関連情報,資産情報,サイズ情報であるから,「ユーザ特定情報」及び「ユーザ特性情報」は共に構成要件A及びCの「個人情報」に相当する。
また,甲2発明のユーザ特定情報及びユーザ特性情報は,ユーザ端末2のユーザインタフェース11が,セクレタリエージェントとして機能するセクレタリキャラクタ61を表示画面に表示させ,ユーザと日常的に会話を行うことで,ユーザからの個人情報として取得される。
そうすると,甲2発明における,ユーザ端末2の「セクレタリエージェント」は,構成要件Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」に相当し,構成要件Bの「質問を行う質問手段」に相当し,構成要件Cの「前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段」に相当する。
ウ 構成要件Dについて
甲2発明における,「個人情報サーバ3」は,ユーザ端末2から受信した回答が,ユーザ特定情報に属すると判定した場合には,ユーザ特定情報として蓄積し,ユーザ特定情報ではないと判定した場合,ユーザ特性情報として蓄積する機能を有する点で,構成要件Dの「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体」と,「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報が格納される格納媒体」で共通する。
オ 構成要件E及びFについて
まず,上記1(2)エ(ア)のとおり,構成要件Eの「提案」は一般的な意味における「議案や意見を提出すること。また,その議案や意見。」(乙第1号証)と解釈される。
次に,甲2発明の,「株指南」における,「コンサルタントサーバ4」が,ユーザ端末2に送信された「コンサルタントエージェント」を介して,「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」のメッセージをユーザに投げかけることは,ユーザに「S社株」は「売りかも」という意見を示す点で提案を行うことを意味しており,コンサルタントサーバ4は,ユーザ特性情報に基づいた処理結果を,コンサルタントエージェントを介してユーザに送信する機能を有しており,当該提案は,個人情報に基づくものである。
また,甲2発明の,「株指南」のサービスは,コンサルタントサービスを提供するコンサルタントサーバ4が行うものであって,提供されるサービスにはホームページの形式の「マイデータ」が含まれることは明らかである。そしてユーザは,ユーザ端末2のマイデータと連繋し,所定のブックマークを操作することで対応する情報を閲覧できる。そして,ユーザは「ブックマーク」に基づき,対応する情報を閲覧できるものであって,ウェブサイトから取得された情報ではないものの,コンサルタントサービスの1つであり,コンサルタントサービスは,コンサルタントサーバ4がユーザ特性情報に基づく処理結果として提供されることから,甲2発明の「ブックマーク」は,構成要件Fの「前記ユーザに対して提案すべき情報」と,「ウェブサイトに関連する情報」で共通する。
また,甲2発明の「ブックマーク」は,コンサルタントサーバ4がユーザ特性情報に基づいた処理の結果に含まれるものである。
よって,甲2発明における,「コンサルタントサーバ4」は,構成要件Eの「前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段」に相当する。
さらに,甲2発明における,「コンサルタントサーバ4」は,構成要件Fの「前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得する手段」と,「前記個人情報に基づいてウェブサイトに関連する情報を取得する手段」で共通する。
カ 構成要件Gについて
まず,上記1(2)エ(ア)のとおり,構成要件Gの「注意」及び「促す」は,それぞれ,一般的な意味における「気をつけること。気をくばること。」,「ある行為をするにように仕向ける。」と解釈される。
次に,甲2発明の「医療分野」のサービスにおいて,「コンサルタントサーバ4」が,ユーザ端末2に送信した「コンサルタントエージェント」を介して,「昨日の睡眠時間は?」の質問をユーザに投げかけ,ユーザが「4時間未満」と回答したことに対して,「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」というメッセージをユーザに投げかけ,アドバイスすることは,「ある行為をするように仕向ける」ことであり,注意を促すものである。ここで,コンサルタントサーバ4は,ユーザ特性情報と,ユーザからの回答に基づいて,処理結果を送信する機能を有することから,「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」とのメッセージは,個人情報に基づくものである。
そのため,甲2発明の,このようなユーザに対する質問,回答,注意を促す機能を有する「コンサルタントサーバ4」は,構成要件Gの「前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す提案手段」に相当する。
キ 対比に関する請求人の構成要件A~Cの主張について
請求人は,甲2発明の「ユーザ特定情報」,「ユーザ特性情報」は,それぞれ,構成要件Aの「ユーザから取得したい個人情報」,構成要件Bの「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性」に相当し,甲2発明の「ユーザ特性情報の質問に対するユーザの回答」は,構成要件Cの「前記質問手段による質問に対する返答である個人情報」に相当する旨主張する(主張1)。他方,「ユーザ特性情報及びユーザ特定情報は情報の内容は異なるが,共に個人情報である点では共通している。」旨主張する(主張2)。
請求人の主張1を検討するに,甲第2号証【0035】【0036】【0072】【0073】には,「ユーザ特定情報」及び「ユーザ特性情報」に定義が示されており,「ユーザ特性情報」には,「ユーザの特性や属性を表す情報」が含まれることが示されるものの,甲第2号証には,「ユーザの特性や属性を表す情報」が本件発明1の「第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性」であることを説明する記載はない。
また,主張1によると,「ユーザ特性情報」は「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性」であるとするのに対し,主張2によると,「ユーザ特性情報」は「個人情報」であるとするため,上記主張1と主張2は整合しない。
なお,上記主張2について,「ユーザ特定情報」及び「ユーザ特性情報」は,共に構成要件A及びCの「個人情報」に相当することは,上記イで見たとおりである。
したがって,請求人の上記主張1は失当であり,上記イのとおり対比を行った。
ク 対比に関する被請求人らの構成要件E~Gの主張について
被請求人らは,乙第5号証を例示して,甲第2号証の【0142】に記載されているサービスは,テクニカル指標が予め定めた条件を達成したこと知らせるアラートサービスであり,構成要件Eにおける「提案を行う」こととは相違するし,構成要件Gにおける「注意を促す」こととも相違する旨主張する(主張1)。
また,被請求人らは,甲第2号証【0148】には,構成要件Gにおける「注意を促す」ことについては何ら記載されていない旨主張する(主張2)。
主張1について検討をする。
さらに,被請求人らは,本件発明1は「提案型サービス」であって,本件発明1と甲1発明とでは技術思想が異なっており,提案自体に関する構成要件E~Gの技術事項は,甲第1号証には記載されていない旨主張する(主張3)。
上記1(2)エでみたとおり,「提案」は一般的な意味における「議案や意見を提出すること。また,その議案や意見。」(乙第1号証)と解釈される。甲第2号証【0142】の「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」のメッセージをユーザに投げかけることは,「株指南」のサービスにおいて実行されるものであって,「指南」は一般に指導することを意味することから,乙第5号証に示される,ユーザによる任意の条件設定を前提とするとまではいえない。また,乙第5号証では,条件成就した事実及びその内容を示すメッセージをアラートとして示すものである。他方,上記メッセージをユーザに投げかけることは,条件成就した事実及びその内容を表示するアラートではなくユーザに「S社株」は「売りかも」という指導及び意見をしている点で,提案の意味を含むものである。そうすると,甲第2号証【0142】の「○○さんの持ってるS社株ってそろそろ売りかもねぇ・・・」のメッセージをユーザに投げかけることは,テクニカル指標が予め定めた条件を達成したこと知らせるアラートサービスとは異なり,提案を行っているものである。
主張2について検討をする。
甲第2号証【0148】の「睡眠時間をあまりとらないと~~という・・・」というメッセージは,「~~」や「・・・」として伏せ字が用いられているものの,このメッセージは,ユーザの睡眠時間が「4時間未満」との回答に対応するものであって,これを踏まえてメッセージをみると,睡眠時間が少ないと,否定的なことが起こりえることをユーザに想起させるメッセージであって,注意を促すものである。そしてこの例では,文脈を考慮すると,抽象的に「~~」や「・・・」という伏せ字を用いて表現しているにすぎず,伏せ字を用いていることをもって,色々な文言が制限なく入り得るものではない。また,本件発明1構成要件Gは「注意を促す」ものであればよいことから,偶々又は恒常的であるかを検討するまでもなく被請求人の主張は,本件発明1構成要件Gの記載に基づくものではない。
よって,被請求人の上記主張1,2を採用することはできず,上記オ,カのとおり対比した。
主張3については,上記1(2)キのとおりであるから,被請求人の主張を採用することはできない。
ケ 一致点及び相違点について
<一致点>
ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と,
質問を行う質問手段と,
前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と,
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報が格納される格納媒体と,
前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段と,
前記提案手段は,
前記個人情報に基づいてウェブサイトに関連する情報を取得する手段と,
前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す手段を有する
情報提供システム。
<相違点>
(相違点1)
本件発明1は,質問手段が,「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」を行うものであって,これにより,第2受付手段は,「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」の返答である個人情報を受け付け,第1及び第2受付手段によって受け付けられた「個人情報」と当該個人情報に対応する「属性」とを「紐付けた状態」で格納媒体に格納するのに対し,甲2発明は,質問手段が,「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」をするものではないため,第2受付手段が,「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」の返答である個人情報を取得するものではなく,「第1受付手段」と「第2受付手段」の差異が明確ではなく,「個人情報」と当該個人情報に対応する「属性」とを「紐付けた状態」で格納媒体に格納していない点。
(相違点2)
取得されるウェブサイトに関する情報が,本件発明1は,「ウェブサイトから」取得される「ユーザに対して提案すべき情報」であるのに対し,甲2発明は,ユーザに対して対応する情報を閲覧することのできる「ブックマーク」である点。
(相違点3)
情報提供システムが,本件発明1は「情報提供装置」であるのに対し,甲2発明は,ユーザ端末2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4,店舗端末5がインターネット1を介して接続される「情報処理システム10」である点。
(2)判断
ア 理由1-1-2(新規性)について
上記(1)ケのとおり,本件発明1と,甲2発明との間には実質的な相違点があり,本件発明1は,甲2発明であるとはいえないから,本件発明1は新規性を有する。
イ 理由2-1-2(進歩性)について
(ア)相違点1について
甲2発明は,上記(1)イの対比でみたとおり,ユーザインタフェース11が,セクレタリエージェントとして機能するセクレタリキャラクタ61を表示画面に表示させ,ユーザと日常的に会話を行うことで,ユーザからの個人情報としてユーザ特定情報及びユーザ特性情報を取得するものであるから,甲2発明において,幾つかの「個人情報」を予め受付,その後,「受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」に対する返答である個人情報を受け付ける構成としようとする動機はなく,甲第2号証には,これを示唆する記載もない。
また,甲第3号証にも,本件発明1の「第1受付手段によって受け付けていない個人情報」に対応する「属性」の記載はなく,「属性」の質問,個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けた状態で格納することは記載されていないことから,甲2発明に,甲第3号証に記載された技術的事項を適用しても,上記相違点1の構成を当業者が容易に想到することができたということはできない。
よって,上記相違点1の構成は,当業者が容易に想到することができたものではない。
なお,念のため,甲4記載事項について検討しても,本件発明1の「第1受付手段によって受け付けていない個人情報」に対応する「属性」に関するものではなく,甲2発明に甲4記載事項を適用したとしても,上記相違点2の構成の構成に至らないことは明らかである。
(イ)相違点2について
甲第2号証【0145】及び図33には,ブックマーク機能により,ユーザがブックマークを操作したとき,その対応する情報を閲覧することができることが記載されている。しかし,ユーザが情報を閲覧するためには,ユーザによるブックマークの操作が必要であるから,ブックマークを取得して提示することは,ウェブサイトに掲載されている情報を取得し,単に提示することと技術的に同一ではない。上述したように,甲2発明は,コンサルタントサーバ4が取得したブックマークを,ユーザが「必要に応じて」操作して情報を閲覧するものであり,いわば,取得した情報全てを閲覧させるのではなく,ユーザの選択に応じた情報を閲覧させるものであるところ,これを本件発明1のようにブックマークではなくユーザに提案すべき情報を取得するように変更すれば,取得されたユーザに提案すべき情報が,ユーザに提示されてしまい,ユーザにおいて閲覧する情報を選択の機会を失わせるものである。このことに照らせば,甲2発明において,このような変更を行うことには,阻害要因がある。
また,甲3記載事項は,所定の時刻になると,情報提供装置100Aがウェブサイトを検索して,嗜好情報に基づき提案内容を決定し,ユーザに提示することで,ユーザに新鮮な情報を提供するためのものであって,いわゆるプッシュ配信に関する技術である。これに対し,甲2発明は,ユーザが所定のブックマークを操作することで情報を閲覧するもので,いわゆるプル配信に関する技術である。そのため,甲2発明と甲3記載事項とでは,情報の提示の手法が異なり,甲2発明は,複数のサービス提供者によってサービスの提供が行われるものであるのに対し,甲3記載事項は,車両に搭載されている情報提供装置100Aによる,ユーザの趣味・嗜好から外れる可能性が小さく,ユーザに新鮮な情報を提供するものであることから,甲2発明と甲3記載事項とは,技術分野,機能,課題が異なる。そうすると,ユーザがブックマークを操作する構成である甲2発明に,プッシュ配信でユーザの操作に関係なく情報を提示する構成である甲3記載事項を適用すると,ユーザは受けられるサービスの範囲が趣味・嗜好の情報に限定されることになり,阻害要因がある。
また,請求人が主張する甲第3号証が周知技術の例示である点,周知技術であることを裏付ける甲第8号証については,上記1(3)イ(イ)ので述べたとおり,ターゲティング広告を説明するにとどまり,ユーザの学習意欲を高めることを目的とする甲2発明に適用しようとする動機はない。
よって,上記相違点2の構成は,当業者が容易に想到することができたものではない。
なお,念のため,甲4記載事項についても,ユーザに対して提案すべき情報をウェブサイトから取得するという技術的事項を示すものではなく,甲2発明に,甲4記載事項を適用したとしても,上記相違点2の構成の構成に至らないことは明らかである。
(ウ)相違点3について
甲第2号証は,上記「第7」の2(1)【0006】【0018】【0035】【0036】【0073】【0074】【0079】【0107】~【0131】【0139】~【0148】等に記載されているとおり,ユーザ個人情報をユーザ特定情報とユーザ特性情報に分けて管理し,ユーザが開示を決定したユーザ特性情報に基づき,コンサルタントサーバ4が,ユーザにサービスを提供するものである。このように,甲2発明は,一般ユーザがより多くの質の高いサービスを低コストで,かつ簡単かつ確実に利用することができるようにするために,ユーザ端末2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4,店舗端末5がインターネット1を介して接続される「情報処理システム10」というシステム構成を採用することで,ユーザ情報の秘匿性を害することなく,ユーザ情報をユーザ以外の者に利用させることができるものである。
このことに照らすと,ユーザ端末2,個人情報サーバ3,コンサルタントサーバ4,店舗端末5がインターネット1を介して接続される「情報処理システム10」を,他の装置を含むシステムでなく単独の「情報提供装置」に設計変更することは,ユーザ情報をユーザ以外の者に利用させることはできなくなることになり,阻害要因がある。
さらに,甲3記載事項にも,情報提供装置である「情報提供装置100A」は,甲2発明のようなインターネットを介して接続されたサーバ及び端末を備えるシステムを,単独の情報提供装置に設計変更することは記載されておらず,このような設計変更をしようとする動機付け等の記載もなく,示唆もされていないことから,これらの証拠に記載された技術的事項を適用しても,上記相違点3の構成を当業者が容易に想到することができたということはできない。
なお,念のため,甲4記載事項について検討しても,ネットワークを介して接続されたサーバとクライアント端末とを備えるシステムを,単独の装置に設計変更するという技術的事項を示すものではなく,甲2発明に,甲4記載事項を適用したとしても,上記相違点2の構成の構成に至らないことは明らかである。
(3)請求人の主張について
ア 相違点1(構成要件D)について
請求人は,請求人が主張する甲2発明の構成要件D2における「ユーザ特定情報及びユーザ特性情報」は本件発明1の構成要件Dにおける「前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性」に相当すると主張する。
しかしながら,「属性」については上記(1)キで検討したとおり,甲第2号証には,構成要件Bの「ユーザの特性や属性を表す情報」が「第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性」との概念が記載されていないため,ユーザ特定情報及びユーザ特性情報が「属性」と紐付けられていることが,甲第2号証に記載されているとはいえない。
よって,請求人の上記主張を採用することはできない。
そして,相違点1についての判断は,上記(2)イ(ア)のとおりである。
イ 相違点2(構成要件F)について
請求人は,甲第2号証の【0145】には,提供されたマイデータと連携して,所定のブックマーク操作をしたとき,その対応する情報が閲覧されることが開示され,マイデータをユーザ端末2に提供するためには,ユーザが「S社の株に興味がある」との情報が個人情報サーバ3に記憶されている必要があり,この情報は,構成要件Cの「ユーザの回答」,構成要件Fの「ユーザ情報」に相当し,さらに,「ブックマークを操作したとき,その対応する情報を閲覧する」は構成要件Fの「ウェブサイトからユーザに対して提案すべき情報を取得する」に相当する旨主張する。
しかしながら,甲第2号証の【0145】や図33に示される「ブックマーク」を操作することで,対応する情報を閲覧できる機能は,「ウェブサイトから」ユーザに対して「提案すべき情報」を「取得する」機能ではない。
よって,請求人の上記主張を採用することはできない。
そして,相違点2についての判断は,上記(2)イ(イ)のとおりである。
ウ 相違点3(構成要件M)について
請求人は,甲2発明の「情報処理システム10」は本件発明1の「情報提供装置」に対応し,一致点である旨主張する。
しかしながら,上記(1)アのとおり,本件発明1の情報提供装置のそれぞれは,単独で「第1受付手段」や「質問手段」等の各手段を有するものであって,ネットワークを介して他の装置と接続されることにより,複数の装置全体で各手段を構成するようなものではないから,甲2発明の「情報処理システム10」と一致するとはいえず,相違点3のとおりであるから,請求人の上記主張を採用することはできない。
そして,相違点3についての判断は,上記(2)イ(ウ)のとおりである。
(4)小括
よって,本件発明1は,本件特許出願前に公開された甲第2号証に記載された発明ではなく,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また,本件発明1は,本件特許出願前に公開された甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって,請求人の主張する無効理由1-1-2及び無効理由2-1-2には,いずれも理由がない。
3 理由1-5-1(新規性),理由1-5-2(新規性),理由2-5-1(進歩性)及び理由2-5-2(進歩性)について
理由1-5-1,理由1-5-2,理由2-5-1及び理由2-5-2は,本件発明5に対する無効理由であって,情報提供プログラムの発明である本件発明5は,情報提供装置の発明である本件発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
そして,甲第1号証に記載された発明としては,情報提供システムという物の発明だけではなく,プログラムの発明としても認定することができる。
そうすると,本件発明1と,甲第1号証に記載されたプログラムの発明とを対比すると,上記1(2)ケと同様の相違点が存在する点で,本件発明5は新規性を有し(理由1-5-1),上記1(3)の判断と同様であるから,本件発明5は進歩性(理由2-5-1)を有する。
また,同様に,甲第2号証からもプログラムの発明を認定することができ,本件発明1と対比すると,上記2(1)ケと同様の相違点が存在する点で,本件発明5は新規性を有し(理由1-5-2),上記2(2)の判断と同様であるから,本件発明5は進歩性(理由2-5-2)を有する。
よって,本件発明5は,甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明ではなく,当業者であっても,甲第1号証に記載された発明,甲第2号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明,並びに,甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
よって,本件発明5は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明と同一ではなく,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
さらに,本件発明5は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明,甲第2号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明,並びに,甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって,請求人の主張する理由1-5-1,理由1-5-2,理由2-5-1及び理由2-5-2には,いずれも理由がない。
4 理由1-2,理由1-3(以上,新規性),理由2-2及び理由2-3(以上,進歩性)について
理由1-2,理由2-2は,本件発明2に対する理由であり,理由1-3,理由2-3は,本件発明3に対する無効理由である。
そして,本件発明2及び3は,本件発明1を引用する発明であり,本件発明1と同じ「情報提供装置」の発明であり,本件発明1と同一の構成を備えるものであるから,本件発明1と同じ理由により,本件発明2及び3と甲1発明及び甲2発明との間に差異があり(理由1-2,理由1-3),本件発明2及び3は,当業者であっても,甲1発明,甲2発明,甲1発明及び甲3記載事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない(理由2-2,理由2-3)。
よって,本件発明2及び3は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明ではなく,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
さらに,本件発明2及び3は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって,請求人の主張する理由1-2,理由1-3,理由2-2及び理由2-3には,いずれも理由がない。
5 理由2-4-1,理由2-4-2,理由2-4-3及び理由2-4-4(すべて進歩性)について
理由2-4-1,理由2-4-2,理由2-4-3及び理由2-4-4は,本件発明4に対する無効理由である。
そして,本件発明4は,本件発明1の「情報提供装置」を複数有する「情報提供システム」の発明であり,本件発明4に含まれる「情報提供装置」は,本件発明1と同一の構成を備えるものであるから,本件発明1と同じ理由により,本件発明4は,当業者であっても,甲1発明及び甲第4号証に記載された技術的事項,甲2発明及び甲第4号証に記載された技術的事項,甲1発明,甲3記載事項及び甲第4号証に記載された技術的事項,並びに,甲2発明,甲3記載事項及び甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない(理由2-4-1,理由2-4-2,理由2-4-3及び理由2-4-4)。
よって,本件発明4は,本件特許出願前に公開された甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明,甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明,甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明,並びに,甲第2号証に記載された発明,甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて,その発明の属する分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものではないから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
したがって,請求人の主張する理由2-4-1,理由2-4-2,理由2-4-3及び理由2-4-4には,いずれも理由がない。
第9 むすび
以上のとおりであって,請求人が主張する無効理由には理由がないから,請求項1ないし5に係る本件特許は,いずれも特許法123条1項2号に該当せず,無効とすべきものではない。
よって,結論のとおり,審決する。
審判費用については,特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人の負担とする。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-800106