特許拒絶査定不服審判
2017-001835
情報提供装置、システム及びプログラム
- 審判番号
- 2017-001835
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-006690
- 請求日
- 2017年02月07日
- 審決日
- 2017年07月10日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社REVO
- 【請求人代理人】山内 博明
- 【請求人】関野 英文
- 【請求人代理人】山内 博明
- 【請求人】株式会社アイピーシー
- 【請求人代理人】山内 博明
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 宇多川 勉
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016- 6690「情報提供装置、システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件特許出願は、平成28年1月15日を出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 7月19日付け:拒絶理由の通知
平成28年 8月20日 :意見書及び手続補正書の提出
平成28年10月13日付け:拒絶査定
平成29年 2月 7日 :審判請求書及び手続補正書の提出
平成29年 3月 1日 :前置報告
平成29年 3月23日付け:当審にて拒絶理由の通知
平成29年 5月29日 :意見書及び手続補正書の提出
第2.本件発明について
本件特許出願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成29年5月29日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。
「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段と、
前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体と、
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づく問いかけをユーザに発する擬似コミュニケーション手段と、を備え、
前記擬似コミュニケーション手段は、さらに、カレンダーアプリケーションを通じて登録されたイベント情報、ユーザの生活パターンを示すパターン情報又は音声認識機能を用いて抽出したユーザの会話に含まれるキーワードに関連する問いかけを行う情報提供装置であって、
前記質問は、フリーワードで回答可能な質問を含む情報提供装置。」
第3.引用文献
1.当審において平成29年3月23日付けで通知した拒絶理由にて引用した、特開2003-157349号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)
(1)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、個人情報を警戒心を排除した状態で収集し、収集したデータを更に加工することにより、より真実に近い普遍性のあるデータとして取り出すことのできる個人生活情報形成方法、個人生活情報形成システム、及び個人生活情報形成プログラム、並びにその利用方法及び利用システムを提供することである。」 (【0004】)
(2)「【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の利用者情報形成システムを表すブロック図である。利用者C1(及びC2、C3…)がネットワークNを介して事業者AのWebサイトA1にアクセスし交信すると、事業者AのWebサーバASは利用者C1(及びC2、C3…)の個人情報を取得する。WebサーバASは取得した利用者C1の個人情報を事業者Aの生活情報形成システム10に送る。
【0024】生活情報形成システム10は、WebサーバASからの情報の入力及びシステム10内で生成した信号をWebサーバASに出力する入出力インタフェース11と、入力された利用者情報をそのまま記憶蓄積して各利用者の入力情報ファイル12Fとする記憶手段12と、入力情報ファイル12Fに記憶された生活情報を抽出する生活情報抽出手段13と、生活情報抽出手段13が抽出した生活情報をデータベース16Dとして保存するデータベース保存手段16と、前記抽出手段13が抽出した情報であって、そのままではデータベース16Dとして保存できない用語を所定の基準で推論する推論手段14と、推論手段14が導き出した結果の正否を確かめる為の出力信号を生成する信号生成手段15とを含み、これらの各構成要素はCPU又はコンピュータなどの制御手段により予め設定されたプログラムに基き制御される。
【0025】生活情報抽出手段13が入力情報ファイル12Fの中から生活情報に関連する情報を抽出すると同時に生活情報データベース16Dに格納できる情報か否かを判定し、格納できる情報と判定するとデータベースに格納し、情報の格納の度にデータベースは更新され、更新された生活情報データベース16Dがデータベース保存手段16に保存される。
【0026】生活情報抽出手段13が入力情報ファイル12Fから生活情報と関連を有するものとして抽出したが、そのままでは生活情報データベース16Dに充当できないと判定した用語について、推論手段14は、予め定められた複数の生活情報データベース16Dに充当可能な用語の中から、既に形成された生活情報データベース16D及び入力情報ファイル12Fの内容と照らし合わせて最も蓋然性の高い用語を選択する。信号生成手段15は、選択した用語の正否を利用者に確かめる為の質問信号を生成し、インタフェース11から発信する。質問信号に対する回答信号がインタフェース11から入力されると記憶手段12は、入力情報ファイル12Fにその回答を入力し、生活情報抽出手段13は入力された情報を抽出し、抽出した情報を加えて生活情報データベース16Dを更新することで、生活情報データベース16Dは充実する。このような各構成要素の動作の循環により、生活情報データベース16Dは徐々に充実し、個々の生活情報として普遍化する。
【0027】次に、生活情報生成システム10の利用者端末からのWebサイトA1へのアクセスから生活情報データベース16D形成までの動作を図2及び図3のフローチャートにより説明する。
【0028】事業者Aは、この実施例では、Webナビゲーションを提供するWebサイトA1をインターネット上に開設して、利用者はWebサイトA1上でキャラクタと会話しながら多くの提携サイトにナビゲートされ、各サイトにおける利用者の入力は情報としてWebサーバASを介して生活情報形成システム10に入力される。提携サイトとしては、例えば、占いを提供するWebサイトA11、スケジュール帳を提供し、スケジュールを入力すると設定時間に自動的に携帯端末に設定内容を送信して利用者の注意を喚起するスケジューラを提供するWebサイトA12、辞書検索WebサイトA13、乗換案内WebサイトA14、TV番組ガイド情報WebサイトA15などがあり、これらのサイトから情報を取出したり、これらのサイトにアクセスできるようにしている。
【0029】このナビゲーションWebサイトA1は会員登録を条件とし、特定可能な利用者を対象とするWebサイトであり、利用者は会員登録する際に、少なくとも氏名、電子メールアドレス、パスワードなどを入力し、WebサイトA1は会員を特定するIDを設定する。
【0030】利用者が所定の手順に従って氏名、メールアドレス、及びパスワードを入力して会員登録すると、サーバASはこれらの情報が正しいフォームで入力されたかを検査し、正しければ会員識別番号(ID)を設定し、登録に際して入力された情報をIDと共に生活情報形成システム10に出力する。
【0031】生活情報形成システム10を制御するCPUは、入出力インタフェース11を介して入力される利用者のアクセスを検出する(ステップ1)。入力されたIDが既に登録されているIDか、新しいIDかを判定し(ステップ2)、新しいIDと判定した場合は登録情報を受信し(ステップ3)、新たな入力情報ファイルを形成する(ステップ4)。
【0032】既に登録されているIDと判定した場合は、アクセス毎に情報の入力を検出し(ステップ5)、情報の入力があると、その情報を入力情報ファイル12Fに保存する(ステップ6)。
【0033】生活情報形成システム10を制御するCPUは、記憶手段12に何らかの入力がある度にそれを監視し、入力があると(ステップ11)、入力情報ファイル12Fが形成されたかを判定する(ステップ12)。入力情報ファイル12Fが形成された場合は、新しい利用者の登録がなされたのであるから、それに対応して、新しい利用者の生活情報データベース16Dをデータベース保存手段16に創設する(ステップ13)。この生活情報データベース16Dには、登録した利用者氏名に由来する愛称(ニックネーム)も設定される。
【0034】生活情報抽出手段13は、入力情報ファイル12Fに情報が収納される都度、収納された情報を監視し、所定の基準で抽出すべき情報か否かを判定し(ステップ14)、「YES」と判定するとその情報を抽出し(ステップ15)、次に抽出した情報がそのまま生活情報データベース16Dに入力可能な情報か否かを判定する(ステップ16)。「YES」と判定すると、生活情報データベース16Dをその情報の加わったものとして更新する(ステップ17)。
【0035】一方、ステップ16で「NO」と判定した場合は、推論手段14を起動し、その情報と関連性があり、且つ生活情報データベース16Dに入力可能な用語を、既に保存されている入力情報ファイル12Fの内容及び既に保存されているデータベース16Dの内容に照らして検索し、蓋然性の高い用語を推論により導き出す(ステップ18)。導き出された用語の正否を質問形式で利用者に問い合わせる信号を信号生成手段15に生成させ、入出力インタフェース11から出力する(ステップ19)。この出力に対する応答信号はステップ5の情報の入力として入力情報ファイル12Fに保存されるので、この入力をステップ11で検出することになり、動作は循環し、次第に生活情報データベース16Dは充実する。
【0036】次に、一例として、山田花子さんが花子さんの端末C1からWebサイトA1で会員登録した場合の生活情報データベース形成状況を説明する。山田花子さんは会員登録時に氏名、電子メールアドレス、パスワードを入力する。この入力が正しい書式で行われると、WebサーバASは、山田花子さんにIDを設定すると共に山田花子さんのIDと登録情報をシステム10に出力する。この新しいIDに基き入力情報ファイル12Fが形成される。これに同期して山田花子さんの生活情報データベース16Dは創設される。
【0037】図4は、創設された山田花子さんの生活情報データベース16Dである。確定要素としてID、暗号化されたパスワード及び愛称(ニックネーム)が既に書き込まれているが、実名である山田花子、電子メールアドレスは秘密情報であるので生活情報データベース16Dには書き込まれない。データベース16Dには、格納されるべき項目として性別、生年月日、血液型、職業、家族構成、居住地、最寄駅、利用頻度の高い駅、好きな食べ物、嫌いな食べ物、得意分野その他の生活関連事項が予め設定されているが、これらの項目以外でも、情報の蓄積に基いて新たな項目が増設可能である。データベース16Dの創設時、これらの項目には何も書き込まれていない。
【0038】会員登録後、花子さんがWebサイトA1にアクセスして、占いサイトA11にナビゲートすると占いに必要な性別、生年月日、血液型、正確な名前などを必然的に入力することになる。図5は花子さんが占いサイトA11で占いをした後のデータベース16Dである。データベース16Dの項目「性別」に「女」、「生年月日」に「1984/03/22」、「血液型」に「A」が書き込まれている。
【0039】更に、花子さんがWebサイトA1から、スケジューラを提供するWebサイトA12にナビゲートしてスケジューラを利用すると、スケジュール帳には山田花子さんの忘れてはいけない日常の予定が入力されることになる。図6は、花子さんの一週間のスケジュール帳である。これらは記憶手段12の入力情報ファイル12Fに記憶される。これらの入力情報には、データベース16Dにそのまま書き込まれる情報は含まれていない。
【0040】抽出手段13はこれらのデータから、生活関連用語として「学校」、「宿題」、「テスト」を抽出し、推論手段14はこれらの用語を「学生」に関連するキーワードと認識する。更に、推論手段14は、既にデータベース16Dに取得した生年月日「1984/03/22」とから年齢を「17歳」と割り出し、「学生」&「17歳」で、データベースに充当する職種として「高校生」を最も蓋然性の高い職種として選択する。「高校生」か否かの確認質問を信号生成手段15に生成させ、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として出力する。この出力はスケジュール確認画面でキャラクタKの言葉として表示され、会員が「YES」又は「NO」を選択できるボタンが設けられ、花子さんが「YES」を選択した場合は、入力情報ファイル12Fに高校生の入力が保存され、抽出手段13はそれを抽出し、図8に示すように、データベース16Dの「職種」の項に「高校生」が入力される。「NO」の場合には第2候補として挙がった「専門学校生」について同様の操作が繰返される。」(【0023】~【0040】)
(3)図4
(4)図7
図7によれば、「はなちゃんって高校生なの?」のように、キャラクタKが言葉を出力している。
(5)上記(1)~(4)によれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「生活情報形成システム10、WebサーバAS、WebサイトA1、提携サイト(占いを提供するWebサイトA11、スケジュールを入力すると設定時間に自動的に携帯端末に設定内容を送信して利用者の注意を喚起するスケジューラを提供するWebサイトA12、辞書検索WebサイトA13、乗換え案内WebサイトA14、TV番組ガイド情報WebサイトA15など)とを含むシステムであって、
前記生活情報形成システムは、
WebサーバASからの情報の入力及びシステム10内で生成した信号をWebサーバASに出力する入出力インタフェース11と、
入力された利用者情報をそのまま記憶蓄積して各利用者の入力情報ファイル12Fとする記憶手段12と、
入力情報ファイル12Fに記憶された生活情報を抽出する生活情報抽出手段13と、
生活情報抽出手段13が抽出した生活情報をデータベース16Dとして保存するデータベース保存手段16と、
前記抽出手段13が抽出した情報であって、そのままではデータベース16Dとして保存できない用語を所定の基準で推論する推論手段14と、
推論手段14が導き出した結果の正否を確かめる為の出力信号を生成する信号生成手段15とを含み、
Webナビゲーションを提供するWebサイトA1をインターネット上に開設して、利用者はWebサイトA1上でキャラクタと会話しながら多くの提携サイトにナビゲートされ、各サイトにおける利用者の入力は情報としてWebサーバASを介して生活情報形成システム10に入力され、
このナビゲーションWebサイトA1は会員登録を条件とし、特定可能な利用者を対象とするWebサイトであり、利用者は会員登録する際に、少なくとも氏名、電子メールアドレス、パスワードなどを入力し、WebサイトA1は会員を特定するIDを設定し、登録に際して入力された情報をIDと共に生活情報形成システム10に出力し、新たな入力情報ファイルを形成し、新しい利用者の生活情報データベース16Dをデータベース保存手段16に創設し、
前記ナビゲーションWebサイトA1の1つは、占いサイトA11であり、占いに必要な性別、生年月日、血液型、正確な名前などを必然的に入力させ、データベース16Dの項目「性別」に「女」、「生年月日」に「1984/03/22」、「血液型」に「A」が書き込まれ、
また、利用者がWebサイトA1から、スケジューラを提供するWebサイトA12にナビゲートしてスケジューラを利用すると、スケジュール帳には利用者のの忘れてはいけない日常の予定が入力され、
前記抽出手段13はこれらのデータから、生活関連用語として「学校」、「宿題」、「テスト」を抽出し、
前記推論手段14はこれらの用語を「学生」に関連するキーワードと認識し、更に、既にデータベース16Dに取得した生年月日「1984/03/22」とから年齢を「17歳」と割り出し、「学生」&「17歳」で、データベースに充当する職種として「高校生」を最も蓋然性の高い職種として選択し、「高校生」か否かの確認質問を信号生成手段15に生成させ、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として確認質問を出力し、キャラクタKは「はなちゃんって高校生なの?」のような言葉として出力すること
を特徴とするシステム。」
2.当審において平成29年3月23日付けで通知した拒絶理由にて引用した、特開2006-340175号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)
(1)「【0065】(1)姿勢変動測定
携帯電話1の加速度センサ15は、検出した加速度を制御部16に入力する。制御部16は、入力された3軸の加速度から、携帯電話の揺動方向(携帯電話の姿勢変動)を演算する。ここでは、携帯電話の姿勢変動からユーザの携帯電話の使用状況を推測する。これを継続的に行い、所定の測定回数(例えば5回)で移動平均を算出し、平均姿勢変動を測定する。」(【0065】)
(2)「【0068】(2)操作速度測定
携帯電話1の操作部14は、ユーザからの操作情報(どのボタンが押下された等)を制御部16に入力する。制御部16は、各ボタンの押された時間間隔を測定する。ここでは、各ボタンの押された時間間隔を測定し、ユーザの操作速度を測定する。これを継続的に行い、所定の測定回数(例えば5回)で移動平均を算出し、平均操作速度を測定する。」(【0068】)
(3)「【0072】また、以上の処理(姿勢変動、操作速度)は、継続的に毎日測定し、ユーザの生活パターンとしてデータベース化するようにしてもよい。測定データがこのユーザの生活パターンから大きく外れた場合、身体に何らかの異常が発生しているとして種々の処理を行うようにする。例えば上述したように家庭内サーバ3に基準外となった情報を送信し、これに応じた音楽(リラックスさせる音楽)や香り(リラックスさせる芳香)を発するようにする。また、身体状態が基準外となった場合、携帯電話の通話機能を用いてセンタサーバなどに情報送信してもよい。センタサーバは身体状態を示す情報を受信したとき、その携帯電話を呼び出すようにしてもよいし、予め指定された連絡先に転送するようにしてもよい。」(【0072】 )
(4)「【0113】なお、身体状態が基準外となった場合に携帯電話1のスピーカ12から種々の楽音を発するようにしてもよい。また、楽音を発するだけでなく会話音声を発するようにしてもよい。例えば過度の疲労状態と判断した場合に「疲れています。健康に気をつけましょう。」等の会話音声を発する。」(【0113】)
(5)上記(1)~(4)によれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「携帯電話の加速度センサから得られた加速度を用いて携帯電話の姿勢変動からユーザの携帯電話の使用状況を推測し、
携帯電話の操作部に対するユーザの操作速度を測定し、
以上の処理(姿勢変動、操作速度)は、継続的に毎日測定し、ユーザの生活パターンとしてデータベース化し、
測定データがこのユーザの生活パターンから大きく外れた場合、身体に何らかの異常が発生しているとして種々の処理を行うようにする携帯電話であって、
前記種々の処理としては、センターサーバへの身体情報を送信し、センタサーバが予め指定された連絡先に転送すること、
または、過度の疲労状態と判断した場合には、「疲れています。健康に気をつけましょう。」等の会話音声を発すること
を特徴とする携帯電話。」
3.当審において平成29年3月23日付けで通知した拒絶理由にて引用した、特開2004-96171号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)
(1)「【0018】図1に示す通話活性化システムは、携帯電話装置1、固定電話装置2、電話接続サーバ4、エージェントサーバ5、位置情報提供サーバ6、天候情報提供サーバ7及び端末装置8を備える。」(【0018】)
(2)「【0021】電話接続サーバ4及びエージェントサーバ5は、専用線又はLAN(Local Area Network)等を介して相互に通信可能に接続される。電話接続サーバ4は、通常のサーバ装置等から構成され、携帯電話装置1及び固定電話装置2間の通話音声をエージェントサーバ5へ転送する。
【0022】エージェントサーバ5は、通常のサーバ装置等から構成され、ユーザの個人秘書となるエージェントシステムとして機能する。エージェントサーバ5は、携帯電話装置1及び固定電話装置2を用いて通話しているユーザ固有のユーザ情報に基づいて当該ユーザ間の通話状態に応じた補助音声として、各ユーザの個人秘書となるエージェントの発話を生成して電話接続サーバ4へ送信する。電話接続サーバ4は、生成された補助音声を通話音声に重畳して、携帯電話装置1及び固定電話装置2へ転送する。
【0023】なお、図1では、電話接続サーバ4とエージェントサーバ5とを別個のサーバ装置により構成しているが、一つのサーバ装置から電話接続サーバ4及びエージェントサーバ5を構成してもよいし、3台以上のサーバ装置から電話接続サーバ4及びエージェントサーバ5を構成するようにしてもよい。
【0024】エージェントサーバ5、位置情報提供サーバ6、天候情報提供サーバ7及び端末装置8は、インターネット等のネットワーク9を介して相互に通信可能なように接続される。なお、ネットワーク9としては、上記の例に特に限定されず、イントラネット等の他のネットワーク、インターネット及びイントラネット等の種々のネットワークを組み合わせたネットワーク、専用線等を用いてもよい。
【0025】位置情報提供サーバ6は、PHS等を用いて公知の位置検出手法を用いてユーザの現在位置情報を提供するサーバ装置であり、天候情報提供サーバ7は、各地の天気予報等の天候情報を提供するサーバ装置である。例えば、本実施の形態では、携帯電話装置1がPHSの場合に位置情報提供サーバ6により携帯電話装置1を使用するユーザの現在位置が検出され、固定電話装置2を使用するユーザの位置は、エージェントサーバ5にユーザ情報として予め記憶されている。
【0026】エージェントサーバ5は、位置情報提供サーバ6及び天候情報提供サーバ7から提供される位置情報及び天候情報を状況情報として取得する。ここで、状況情報は、上記の例に特に限定されず、通話しているユーザの状況に関する情報であれば、他の情報を用いてもよく、エージェントサーバ5内部の計時手段により提供される時刻情報から朝、昼、夜等の時間帯情報を抽出したり、インターネットを介してニュース提供サーバ等から提供されるニュース情報等を用いてもよい。
【0027】端末装置8は、通常のパーソナルコンピュータ等から構成され、携帯電話装置1(又は固定電話装置2)を使用するユーザがユーザ固有のユーザ情報等をエージェントサーバ5へ送信するために使用される。なお、図1では図示を容易にするために、1台の端末装置8のみを図示しているが、端末装置8をユーザごとに設け、2台以上用いてもよい。
【0028】エージェントサーバ5は、携帯電話装置1、固定電話装置2及び端末装置8等を介して携帯電話装置1及び固定電話装置2を使用するユーザのユーザ情報を取得する。ここで、ユーザ情報には、個人プロファイル情報及びスケジュール情報が含まれ、個人プロファイル情報として、ユーザの氏名、性別、住所、友人関係、家族関係、好み、趣味、興味、過去の会話内容、過去の会話の傾向等が該当し、スケジュール情報としては、ユーザの過去の行動履歴、ユーザの将来の行動予定等が該当する。」(【0021】~【0028】)
(3)「【0034】音声認識部52は、音声信号処理部42から送信されるユーザの通話音声を認識して会話内容に関連するキーワードを検出し、検出したキーワードを通話状態判定部53へ出力する。キーワードとしては、例えば、会話に登場する関心事、友人名、今後の予定等が該当する。上記の音声認識の際に、音声認識部52は、ユーザ情報蓄積部55に蓄積されているユーザ情報を参照してキーワードを検出するようにしてもよく、この場合、音声認識の精度を向上することができる。また、抽出したキーワードが新たなユーザ情報に該当する場合、音声認識部52は、当該キーワードをユーザ情報蓄積部55へ出力してもよく、この場合、新たなユーザ情報をユーザ情報蓄積部55に蓄積することができる。」(【0034】)
(4)「【0040】このように、本実施の形態では、ユーザ情報蓄積部55がユーザの個人プロファイル情報及びスケジュール情報を蓄積し、発話作成部54が蓄積されているユーザの個人プロファイル情報及びスケジュール情報を参照して通話状態に応じた補助音声を作成しているので、より個人化した内容を有する補助音声を通話音声に重畳することができる。また、通話しているユーザの状況を表す状況情報も参照して補助音声を作成しているので、現在のユーザの状況に適した種々の話題を補助音声として通話音声に重畳することができる。さらに、通話しているユーザごとに補助音声を作成することができるので、より個人化した情報を補助音声として通話音声に重畳することができ、補助音声に対するユーザの親近感を向上することができる。」(【0040】)
(5)「【0056】図2に示すステップS22において通話状態として状況依存なしと判定された場合、ステップS31において、発話作成部54は、状況情報からユーザA又はBが以前に相手が話していた場所にきているか否か、または音声認識により検出されたキーワードからユーザA又はBがその場所について何かのコメントが発せられたか否かを判断し、いずれの条件も満たさない場合はステップS32へ移行し、少なくとも一方の条件を満たす場合、ステップS38に移行する。
【0057】少なくとも一方の条件を満たす場合、ステップS38において、発話作成部54は、ユーザの追体験を促進するため、ユーザ情報蓄積部55に記憶されているユーザ情報を参照して、例えば、以前の対話中にその場所に面白いものがあるとか、風景が美しいと聞いていた場合、「この前、○○(ユーザの氏名)さんは、この辺りに○○(例えば、面白いものがある、または、風景が美しい)といったみたいですね。」という補助音声を生成し、その場所に来ていることを知らせる。
【0058】一方、上記の条件に該当しない場合、ステップS32において、発話作成部54は、音声認識により検出されたキーワードからユーザA又はBが特定の何かについてコメントしたか否かを判断し、特定の何かについてコメントしていない場合はステップS33へ移行し、特定の何かについてコメントした場合、ステップS39に移行する。
【0059】特定の何かについてコメントした場合、ステップS39において、発話作成部54は、ユーザの共感を促進するため、ユーザ情報蓄積部55に記憶されている他のユーザのユーザ情報を参照して、例えば、その場所である人が同じものを見て発言していた場合、「○○と言っていた人もいるみたいですよ。」という補助音声を生成し、他のユーザのコメントを知らせる。
【0060】一方、特定の何かについてコメントしていない場合、ステップS33において、発話作成部54は、ユーザ情報蓄積部55に記憶されているユーザA及びBのスケジュール情報からユーザA又はBの次の予定が間近になっているか否かを判断し、次の予定が間近になっていない場合はステップS34へ移行し、次の予定が間近になっている場合、ステップS40において、「そろそろ○○の時間ですよ。」という補助音声を生成し、次の予定を知らせる。」(【0056】~【0060】)
(6)上記(1)~(5)によれば、引用文献3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
「携帯電話装置1、固定電話装置2、電話接続サーバ4、エージェントサーバ5、位置情報提供サーバ6、天候情報提供サーバ7及び端末装置8を備える通話活性化システムであって、
エージェントサーバ5は、ユーザの個人秘書となるエージェントシステムとして機能し、通話しているユーザ固有のユーザ情報に基づいて当該ユーザ間の通話状態に応じた補助音声として、各ユーザの個人秘書となるエージェントの発話を生成し、
電話接続サーバ4は生成された補助音声を通話音声に重畳させ、
前記エージェントサーバは、
ユーザの通話音声を認識して会話内容に関連するキーワードを検出し、抽出したキーワードが新たなユーザ情報に該当する場合、当該キーワードを新たなユーザ情報として蓄積し、
ユーザの個人プロファイル情報及びスケジュール情報からなるユーザ情報並びに状況情報を参照して通話状態又は現在の状況に適した補助音声を通話音声に重畳することができ、
前記個人プロファイル情報は、氏名、性別、住所、友人関係、家族関係、好み、趣味、興味、過去の会話内容、過去の会話の傾向等であり、
前記スケジュール情報は、ユーザの過去の行動履歴及び将来の行動予定等であり、
前記状況情報は、位置情報、天候情報、時間帯情報及びニュース情報でああって、
具体的には、
前記状況情報及びユーザ情報を参照し、例えば、以前の対話中にその場所に面白いものがあるとか、風景が美しいと聞いていた場合、「この前、○○(ユーザの氏名)さんは、この辺りに○○(例えば、面白いものがある、または、風景が美しい)といったみたいですね。」という補助音声を生成し、
音声認識により検出されたキーワード及び他のユーザのユーザ情報を参照して、例えば、その場所である人が同じものを見て発言していた場合、「○○と言っていた人もいるみたいですよ。」という補助音声を生成し、
前記スケジュール情報から、次の予定が間近になっている場合、「そろそろ○○の時間ですよ。」という補助音声を生成する
ことを特徴とする通話活性化システム。」
第4.本件発明と引用発明1の対比
1.引用発明1は、「Webナビゲーションを提供するWebサイトA1をインターネット上に開設して、利用者はWebサイトA1上でキャラクタと会話しながら多くの提携サイトにナビゲートされ、各サイトにおける利用者の入力は情報としてWebサーバASを介して生活情報形成システム10に入力され、このナビゲーションWebサイトA1は会員登録を条件とし、特定可能な利用者を対象とするWebサイトであり、利用者は会員登録する際に、少なくとも氏名、電子メールアドレス、パスワードなどを入力し、WebサイトA1は会員を特定するIDを設定し、登録に際して入力された情報をIDと共に生活情報形成システム10に出力して、新たな入力情報ファイルを形成し、新しい利用者の生活情報データベース16Dをデータベース保存手段16に創設」しており、会員登録する際に利用者が入力する「氏名、電子メールアドレス、パスワードなど」の情報は、個人情報であることは明らかであり、そして、会員登録に際して入力された前記情報は、生活情報形成システム10に出力されることで、生活情報形成システムが備える「入出力インタフェース11」によって受け付けられるのであるから、前記会員登録は、生活情報形成システムが利用者から取得したい個人情報のうちのいくつかを予め受け付ける行為といえる。
なお、引用発明1でいう「利用者」が本件発明でいうところの『ユーザ』に対応することは明らかである。
したがって、引用発明1には、本件発明でいうところの『ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段』に対応する構成が備わっているといえる。
2.引用発明1においては、占いサイトA11において、「占いに必要な性別、生年月日、血液型、正確な名前などを必然的に入力させ」、「この内容をデータベース16Dに書き込」むことを行っている。前記「性別」、「生年月日」、「血液型」は、上記1.で言及した会員登録に際して受け付けていない個人情報である。
一方、占いサイトA11において、前記「性別」、「生年月日」、「血液型」の情報を利用者に入力させるには、対応する入力要求がなされることは明らかであり、当該入力要求は、本件発明でいうところの『第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段』といえる。
そして、利用者によって入力された、前記「性別」、「生年月日」、「血液型」の情報は、前記入力要求に対する返答として占いサイトA11において受け付けるものである。
したがって、引用発明1の「占いサイトA11」は、本件発明でいうところの『前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う』及び『前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける』に対応する機能を果たしているのであるから、引用発明1には、本件発明でいうところの『前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段』及び『前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段』に対応する構成が備わっているといえる。
3.引用発明1においては、「ナビゲーションWebサイトA1は会員登録を条件とし、特定可能な利用者を対象とするWebサイトであり、利用者は会員登録する際に、少なくとも氏名、電子メールアドレス、パスワードなどを入力し、WebサイトA1は会員を特定するIDを設定し、登録に際して入力された情報をIDと共に生活情報形成システム10に出力して、新たな入力情報ファイルを形成し、新しい利用者の生活情報データベース16Dをデータベース保存手段16に創設」するのであり、前記「登録に際して入力された情報」から得られる確定項目として、引用文献1で摘記した【図4】には、「ID」、「password」、及び、「ニックネーム」が記載されていることから、前記「登録に際して入力された情報」である「氏名」及び「パスワード」は、「ニックネーム」及び「password」として引用発明1が備える「データベース保存手段16」に格納されることは明らかである。
また、引用発明1における「ナビゲーションWebサイトA1の1つは、占いサイトA11であり、占いに必要な性別、生年月日、血液型、正確な名前などを必然的に入力させ、この内容をデータベース16Dに書き込み」するのであるから、占いサイトA11において入力された「性別、生年月日、血液型の内容」は、前記「ニックネーム」及び「password」と共に、「性別」、「生年月日」、「血液型」として引用発明1が備える「データベース保存手段16」に格納されることは明らかである。
そして、上記「会員登録に際して入力された情報」及び「性別、生年月日、血液型の内容」は、それぞれ、上記1.及び2.で言及した様に、本件発明でいうところの『第1受付手段によって受け付けられた個人情報』、『第2受付手段で受け付けられた個人情報』であるから、引用発明1には、本件発明でいうところの『前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体』に対応する構成が備わっているといえる。
4.引用発明1が備える推論手段は、「スケジューラの「学校」「宿題」「テスト」という用語を抽出し、既にデータベース16Dに取得した生年月日とから「高校生」という職種を選択し、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として確認質問を出力し、キャラクタKは「はなちゃんって高校生なの?」のような言葉として出力」するものである。
ここで、前記「はなちゃん」は、引用文献1で摘記した段落【0036】~【0038】、【図4】及び【図5】の記載事項から明らかな様に、WebサイトA1で会員登録する際に入力された情報であるから、本件発明でいうところの『第1受付手段によって受け付けられた個人情報』といえる。
また、前記「既にデータベース16Dに取得した生年月日」についても、引用文献1で摘記した段落【0038】及び【図5】の記載事項から明らかな様に、占いサイト11で入力された情報であるから、本件発明でいうところの『第2受付手段によって受け付けられた個人情報』といえる。
そして、前記キャラクタKの言葉として出力される「はなちゃんって高校生なの?」との確認質問は、WebサイトA1で会員登録する際に入力された情報である「はなちゃん」との個人情報、及び、占いサイト11で入力された情報である「生年月日」との個人情報に基づくユーザへの問いかけであることから、引用発明1において、前記キャラクタKとユーザとは、本件発明でいうところの『疑似コミュニケーション』を形成しているといえる。
したがって、引用発明1には、本件発明でいうところの『前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づく問いかけをユーザに発する擬似コミュニケーション手段』に対応する構成が備わっているといえる。
5.引用発明1においては、引用発明1が備える「抽出手段13」、「推論手段14」、「信号生成手段15」を用いて、引用文献1で摘記した段落【0039】、【0040】に記載されている様に、「花子さんがWebサイトA1から、スケジューラを提供するWebサイトA12にナビゲートしてスケジューラを利用すると、スケジュール帳には山田花子さんの忘れてはいけない日常の予定が入力されることになる」、「抽出手段13はこれらのデータから、生活関連用語として「学校」、「宿題」、「テスト」を抽出し、推論手段14はこれらの用語を「学生」に関連するキーワードと認識する。更に、推論手段14は、既にデータベース16Dに取得した生年月日「1984/03/22」とから年齢を「17歳」と割り出し、「学生」&「17歳」で、データベースに充当する職種として「高校生」を最も蓋然性の高い職種として選択する。「高校生」か否かの確認質問を信号生成手段15に生成させ、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として出力する。」との機能を実行することができる。
ここで、WebサイトA12で提供される前記「スケジューラ」は、山田花子さんの忘れてはいけない日常の予定が入力されているスケジュール帳を利用するものであるから、本件発明でいうところの『カレンダーアプリケーション』であるといえる。
そして、引用発明1は、抽出手段13が抽出した「学校」、「宿題」、「テスト」なる生活関連用語から推論手段14を用いてこれらの用語を「学生」に関連するキーワードと認識し、既にデータベース16Dに取得した生年月日「1984/03/22」とから年齢を「17歳」と割り出し、「学生」&「17歳」で、データベースに充当する職種として「高校生」を最も蓋然性の高い職種として選択し、「高校生」か否かの確認質問を信号生成手段15に生成させ、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として出力するのであり、前記「テスト」との生活関連用語は、本件発明でいうところの『登録されたイベント情報』といえ、更に、前記「高校生」か否かの確認質問」は、推論手段14による情報処理を経るものの、“「テスト」という生活関連用語に関連した確認質問”には違いないので、本件発明でいうところの『登録されたイベント情報に関連する問いかけ』に対応するものであるといえる。
なお、本件発明においても、本願明細書の段落【0061】に記載されている様に、「今週末の18:00から飲み会」といった旨のイベント情報に対して、「ビール党ですか?」といった問いかけを行うのであり、登録されたイベント情報である「飲み会」に対して、「飲み会」という用語をそのまま用いることなく、「ビール党」という用語を作成して問いかけているのであるから、「登録されたイベント情報に関連する問いかけ」を行うために、何らかの情報処理を経ることを、本件発明から排除しているものとも認められない。
したがって、引用発明1には、本件発明でいうところの『擬似コミュニケーション手段は、さらに、カレンダーアプリケーションを通じて登録されたイベント情報に関連する問いかけを行う』に対応する構成が備わっているといえる。
6.本件発明は、本願明細書の段落【0005】及び【0006】に記載されている様に「毎日の多忙な生活の中で面倒な個人情報の入力を持続して行うことは困難である」との課題、及び、「情報提供装置との疑似コミュニケーションにより適宜に追加の個人情報を入力することで、情報提供装置から健康に関する情報を含む各種情報を適切なタイミングで提供できるようにすること」との課題を解決するために用いられる「情報提供装置」であり、他方、引用発明1のシステムは、5.で上述したとおりの『疑似コミュニケ-ション手段』に対応する構成を備えた、利用者にWebナビゲーションを提供するものである。このことに照らせば、引用発明1の「システム」は、本件発明の「情報提供装置」に対応するものといえる。
7.上記1.~6.の事項を踏まえると、本件発明と引用発明1とは、
「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段と、
前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体と、
前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づく問いかけをユーザに発する擬似コミュニケーション手段と、を備え、
前記擬似コミュニケーション手段は、さらに、カレンダーアプリケーションを通じて登録されたイベント情報に関連する問いかけを行う情報提供装置。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
本件発明は、疑似コミュニケーション手段が「ユーザの生活パターンを示すパターン情報又は音声認識機能を用いて抽出したユーザの会話に含まれるキーワードに関する問いかけを行う」のに対し、引用発明1は、「ユーザの生活パターンを示すパターン情報又は音声認識機能を用いて抽出したユーザの会話に含まれるキーワードに関する問いかけ」がない点。
[相違点2]
本件発明に係る「前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」は、「フリーワードで回答可能な質問を含」んでいるのに対し、引用発明1においては、その旨特定されていない点。
第5.当審の判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用発明2は、携帯電話が生活パターンをデータベース化し、その生活パターンから大きく外れたときに、「疲れています。健康に気をつけましょう。」等の会話音声を発するものであるから、これは、本件発明でいうところの「ユーザの生活パターンを示すパターン情報」に「関連する問いかけ」に相当する。
また、引用発明3は、音声認識により検出されたキーワードを参照して、例えば、その場所である人が同じものを見て発言していた場合、「○○と言っていた人もいるみたいですよ。」という補助音声を生成しているから、これは、本件発明でいうところの「音声認識機能を用いて抽出したユーザの会話に含まれるキーワードに関連する問いかけ」に相当する。
ここで、引用発明1、2及び3は、いずれも、携帯電話装置を持つユーザから、その個人の情報を取得し、状況に応じたメッセージを出力するという共通の作用効果を有する発明である。
また、上述の相違点1は、疑似コミュニケーション手段が、どのような問いかけを行うかという限定であり、本件発明でいうところの「カレンダーアプリケーションを通じて登録されたイベント情報」に「関連する問いかけ」は、一致点となっている。本件発明でいうところの「ユーザの生活パターンを示すパターン情報」に「関連する問いかけ」は引用発明2に、本件発明でいうところの「音声認識機能を用いて抽出したユーザの会話に含まれるキーワードに関連する問いかけ」は引用発明3に開示されていることは上述のとおりである。
したがって、引用発明1の発明に、疑似コミュニケーション手段の問いかけとして、引用発明2及び3に開示された問いかけも択一的に寄せ集めて、相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について
生年月日等を取得するための質問に対し生年月日に相当する数字等をフリーワードで回答可能とすることは、慣用手段である。
そして、引用発明1は、占いサイトA11において、「占いに必要な性別、生年月日、血液型、正確な名前など」の情報を利用者に要求しこれらの情報を利用者において入力させるものであって、これらの情報を取得するための質問に対して利用者に情報を回答させるものであるから、その際の情報の入力形式は、質問に対する回答の形式として利用可能なものでなければならないものの、それ以上に制限されることはない。
してみると、引用発明1におけるこれらの情報の入力のために当該慣用手段を用い、どのような質問にも利用可能であるフリーワードでの回答を可能とすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本件発明のように構成したことによる効果も引用発明1~3、及び、慣用手段から予測できる範囲のものである。
したがって、本件発明は、引用発明1~3、及び、慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、審判請求人は、平成29年3月23日付け拒絶理由通知書に対する平成29年5月29日提出の意見書において、「引用文献1のものは、(0040)、(0041)、(0043)段落及び図7に、「YES」か「NO」の確認入力を促がすことがと明示されているとおり、2択で回答可能な質問をしています。また、(0043)段落及び図10の記載から、プルダウンメニューを用いて4択で回答可能な質問をしていることがわかります。しかし、これらは、いずれもフリーワードで回答可能な質問ではありません。」と主張しており、当該主張は、本件発明に係る「前記質問は、フリーワードで回答可能な質問を含む」における「前記質問」が、「第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問」に対応するのではなく、「擬似コミュニケーション手段」が行う「問いかけ」に対応するものとした主張であると考えられる。
そこで、「前記質問」が「擬似コミュニケーション手段」が行う「問いかけ」に対応するものと仮定して、上記[相違点2]について検討しても、引用発明1では、WebサイトA1に登場するキャラクタKの言葉として確認質問を出力し、キャラクタKは「はなちゃんって高校生なの?」のような言葉として出力するのであり、当該確認質問は、確かに「YES」か「NO」の確認入力を促がすものであるものの、「YES」に相当する文言を直接入力させること、又は、「NO」に相当する文言を直接入力させることができない質問、つまり、質問自体としては、フリーワードで回答不能な質問であるとは認められない。
そして、引用発明1の前記「確認質問」に対する回答形式を、フリーワードで回答可能なものとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮である。
よって、前記仮定に基づいて、上記[相違点2]について判断したとしても、本件発明は、引用発明1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 平成29年5月29日提出の意見書の主張について
1.審判請求人は、平成29年3月23日付け拒絶理由通知書に対する平成29年5月29日提出の意見書において、以下の様に主張している。
「・引用文献1との対比
引用文献1のものは、(0040)、(0041)、(0043)段落及び図7に、「YES」か「NO」の確認入力を促がすことがと明示されているとおり、2択で回答可能な質問をしています。また、(0043)段落及び図10の記載から、プルダウンメニューを用いて4択で回答可能な質問をしていることがわかります。しかし、これらは、いずれもフリーワードで回答可能な質問ではありません。
・引用文献2との対比
引用文献2のものは、(0093)段落に「『大丈夫ですか?』など問いかけをする音声を発する」という記載がありますが、これはフリーワードで回答可能な質問ではありません。
・引用文献3との対比
引用文献3のものは、(0057)段落に「『この前、○○(ユーザの氏名)さんは、この辺りに○○(例えば、面白いものがある、または、風景が美しい)といったみたいですね。』という補助音声を生成」するという記載がありますが、これはフリーワードで回答可能な質問ではありません。」
2.審判請求人の上記主張について検討する。
上記「第5.当審の判断」の[相違点2]についてで言及したとおりであるから、審判請求人の主張は採用できない。
第7.むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明1~3、及び、慣用手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-001835