特許無効審判
2023-800008
販売システム、販売プログラム及び販売方法
- 審判番号
- 2023-800008
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2019-050857
- 登録番号
- 6651089
- 請求日
- 2023年01月30日
- 審決日
- 2023年11月27日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 はくぶん
- 【請求人代理人】植田 吉伸
- 【被請求人】川井商会 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人みなとみらい特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 伏本 正典
- 分類
- P1113.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第169条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6651089号発明「販売システム、販売プログラム及び販売方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第6651089号の請求項1~10に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第2 手続の経緯
1 本件特許の出願から設定登録までの経緯
特許第6651089号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る発明についての、出願から本件無効審判請求の前までの手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成31年 3月19日 :出願(特願2019-50857号)
令和 元年 8月13日付け:拒絶理由通知
同年 9月18日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月25日付け:拒絶理由通知
同年10月30日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月 7日付け:特許査定
令和 2年 1月24日 :設定登録
2 本件無効審判の手続の経緯
本件無効審判における手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和 5年 1月30日 :審判請求書の提出
同年 5月25日 :審判事件答弁書の提出
同年 8月 3日付け:審理事項通知
同年 9月 5日 :口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
同年 9月 8日 :口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
同年 9月14日付け:審理事項通知
同年 9月29日 :口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
同年 9月29日 :口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
同年10月18日 :口頭審理
同年11月 9日付け:審理終結通知
第3 本件発明
本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」~「本件発明10」という。また、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ本件特許の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~10の記載は、次のとおりである(なお、(A)、(B)、(C)等の符号は、本件発明1の構成要件を分説するために付加したものであり、口頭審理調書の別紙の3頁の5のとおりである。以下、各構成要件を「構成要件A」などという。)。
「【請求項1】
(A) 注文者から個別に注文を受け付け、前記注文者の団体ごとに注文を管理する、コンピュータにより構成される販売システムであって、
(B) 商品の販売対象となる前記注文者の団体に関する団体情報を記憶する記憶手段と、
(C) 各注文者から、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む注文情報の入力を受け付けて、各々の前記注文情報を登録する注文受付手段と、
(D) 前記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する注文リスト出力手段と、を備え、
(E) 前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する販売システム。
【請求項2】
前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、同じ商品種別の前記注文商品の注文からなるリストを出力する、請求項1に記載の販売システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記団体情報として、商品の販売対象となる学校に関する学校情報を記憶し、
前記注文受付手段は、前記注文者の団体を特定する情報として、前記注文者の学校を特定する情報の入力を受け付け、
前記注文リスト出力手段は、前記注文者の学校が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ学校の注文からなるリストを前記注文リストとして出力する、請求項1又は請求項2に記載の販売システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記学校情報として、学校の電話番号又は学校名を記憶し、
前記注文受付手段は、前記注文者の学校を特定する情報として、前記電話番号又は学校名の入力を受け付ける、請求項3に記載の販売システム。
【請求項5】
前記注文受付手段は、前記注文者の学年又は学級を特定する情報の入力を受け付け、
前記注文リスト出力手段は、前記注文者の学年又は学級が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ学年又は同じ学級の注文からなるリストを前記注文リストとして出力する、請求項3又は請求項4に記載の販売システム。
【請求項6】
前記記憶手段は、各販売店が販売する商品に関する商品情報及び前記販売店が担当する学校の前記学校情報と紐づいた、販売店情報を記憶し、
前記注文者の学校を担当し、かつ、前記注文商品を販売する前記販売店の有無を、前記注文者が入力した情報及び前記販売店情報に基づいて判定する判定手段を更に備える、請求項3~5の何れかに記載の販売システム。
【請求項7】
前記注文者の学校を担当し、かつ前記注文商品を販売する前記販売店が存在しない、と前記判定手段が判定した場合に、警告を出力する、警告手段を更に備える、請求項6に記載の販売システム。
【請求項8】
前記注文受付手段は、前記注文情報として、更に少なくとも学校納品を含む選択肢から納品場所の選択を受け付け、
前記注文リスト出力手段は、各注文の前記納品場所を含む前記注文リストを出力する、請求項3~7の何れかに記載の販売システム。
【請求項9】
注文者から個別に注文を受け付け、前記注文者の団体ごとに注文を管理する販売方法であって、コンピュータにより構成される販売システムに、
商品の販売対象となる前記注文者の団体に関する団体情報を記憶する記憶ステップと、
各注文者から、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む注文情報の入力を受け付けて、各々の前記注文情報を登録する注文受付ステップと、
前記注文情報に含まれた前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する注文リスト出力ステップと、を実行させ、
前記注文リスト出力ステップでは、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する販売方法。
【請求項10】
注文者から個別に注文を受け付け、前記注文者の団体ごとに注文を管理する販売プログラムであって、コンピュータを、
商品の販売対象となる前記注文者の団体に関する団体情報を記憶する記憶手段と、
各注文者から、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む注文情報の入力を受け付けて、各々の前記注文情報を登録する注文受付手段と、
前記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する注文リスト出力手段と、として機能させ、
前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する販売プログラム。」
第4 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人の主張する無効理由(進歩性欠如)は、概略、本件発明は、甲第1号証~甲第7号証(以下、「甲1」~「甲7」ともいう。)に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件特許は同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである、というものである。なお、進歩性欠如に係る具体的な証拠の組み合わせは、以下のとおりである。
(1) 本件発明1について
甲1に記載された発明と、甲2~4に記載された事項
(2) 本件発明2及び3について
甲1に記載された発明と、甲2及び甲4に記載された事項
(3) 本件発明4について
甲1に記載された発明と、甲5に記載された事項
(4) 本件発明5について
甲1に記載された発明と、甲2に記載された事項
(5) 本件発明6及び7について
甲1に記載された発明と、甲6に記載された事項
(6) 本件発明8について
甲1に記載された発明と、甲7に記載された事項
(7) 本件発明9及び10について
甲1に記載された発明と、甲2~4に記載された事項
2 証拠方法
甲第1号証(甲1) 特開2003-208525号公報
甲第2号証(甲2) 特開2002-297981号公報
甲第3号証(甲3) 特開2017- 27555号公報
甲第4号証(甲4) “スナップスナップ 管理画面利用マニュアル”、[令和5年1月16日出力]、インターネット<https://support.labonetwork.co.jp/wp-content/uploads/2018/09/31888fa858e9b32286af4446338190fd.pdf>
甲第5号証(甲5) 特開2004-118388号公報
甲第6号証(甲6) 特開2015- 18427号公報
甲第7号証(甲7) “顔認証で我が子の写真を素早く発見、学校行事フォトサービス”、[令和5年1月27日出力]、インターネット<https://resemom.jp/article/2015/08/27/26562.html>
甲第8号証(甲8) “園・学校向けインターネット写真販売なら富士フイルムスクールフォト”、[令和5年9月5日出力]、インターネット<https://adv.ffsp.jp/>
なお、甲8は、周知技術の一例として提出されたものであって、新たな進歩性欠如の無効理由を主張するための証拠方法ではなく、無効理由は、上記1のとおりである(令和5年9月14日付け審理事項通知書、請求人が提出した令和5年9月29日付け口頭審理陳述要領書の2枚目の下段参照)。
第5 被請求人の主張及び証拠方法
1 被請求人の主張の概要
被請求人の主張は、概略、本件発明は、甲1~甲7に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許には進歩性欠如に基づく無効理由はない、というものである。
2 証拠方法
乙第1号証(乙1) 特許出願2002-5359号に対する拒絶理由通知書
乙第2号証(乙2) “スナップスナップ-総合満足度No1・スクールフォト販売サイト”、[令和5年5月25日出力]、インターネット<https://snapsnap.jp/>
第6 当審の判断
1 甲号証の記載、甲1発明
(1) 甲1
ア 甲1の記載
甲1には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下同じ。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、業務管理システムに関し、特にインターネット(電子情報)上で商品の受注、発注、物流及び入金管理とを一括処理して業務を簡単に行わせることのできる業務管理システムに関する。」
「【0013】この業務管理システム1にあっては、インターネット(電子情報)を使用するものであり、受注手段2と発注手段3と通信処理手段4と物流管理手段5とが設けられており、通信処理手段4で他の各手段が結ばれている。
【0014】受注手段2は、顧客が注文する学用品等の注文、問い合わせ、クレーム等の情報を、通信処理手段4を介して受け取り、受注データとして集計するものである。また、インターネットに限らず、電話やFAX、店頭での注文、問い合わせ、クレーム等も受け取る。さらに、インターネット上のバーチャル注文会場として、取扱商品を展示する。なお、ここで学用品等とは、例えば、学校衣料(例えば、制服、スクールシャツ、スポーツシャツ、ウィンドブレーカー、スクールシューズ、クオーターパンツなど)、科学教材など、学校で生徒、学生が用いるものをいう。
【0015】発注手段3は、受注手段2が集計した受注データを受け取り、これを顧客が注文した学用品等の商品の情報を通信処理手段4を介して販売店(学用品販売業者)に発信し、商品の発注を行なうものである。例えば、通信処理手段4が第1~第3販売店側端末機13-1~13-3のように複数の販売店と接続することにより、各販売店毎に各種商品の情報を発信することができる。
【0016】通信処理手段4は、例えば、学生、児童、その保護者、学校等顧客の顧客側端末機11と、学用品メーカーのメーカー側端末機12と、学用品販売店の販売店側端末機13と、物流会社の物流会社側端末機14と、特定商品の決済を行なう金融機関の金融機関側端末機15との間で、インターネット等の電子回線で情報を送受信可能である。受注手段2及び発注手段3と接続し受信した情報を受注手段2、発注手段3及び仮想商品集合部22に送ると共に、受注手段2及び発注手段3からの情報を受け取り、上記各端末機に送信可能に加工する。
【0017】物流管理手段5は、通信処理手段4を介してメーカー側端末機12から商品納品の情報を受け取ると、物流会社に通信処理手段4を介して商品の入庫、検品、ピッキング、梱包、配達等の作業を指示するものである。また、物流管理会社からの在庫の有無の情報を受信して在庫情報を集計すると共に、金融機関等からの入金情報も受信し管理する。
【0018】顧客側端末機11は、顧客が注文する商品等の情報、例えば商品が学生服(本発明では学用品に含む)の場合は顧客(学生)のサイズや刺繍加工の要不要等の情報、顧客(学校)の学生服のデザインを発信したり、顧客の氏名又は名称、住所や所在地、学年、学生数等の情報を発信する。一方、業務管理システム1側から、商品の代金請求書や集金の方法、商品の配達日時等に関する情報を受信するものである。」
「【0026】この実施例の作用を、フローチャートに基づいて説明する。まず、顧客が商品を注文してから受注手段2が受注データを作成するまでの流れについて図2、図4、図6を参照しつつ説明する。図2は、顧客が学校の場合に、学生の学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合のフローチャートである。図4は、顧客が学校の場合に、新しい学生服のデザインをインターネット上で注文する場合のフローチャートである。図6は、顧客(学校)が小売店を通じて商品を注文する場合のフローチャートである。
【0027】まず、顧客が学校の場合に、学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合を、図2に沿って説明する。例えば、顧客(学校)が、顧客側端末機11で商品を注文する旨の情報を通信処理手段4を介して受注手段2に発信すると(ステップ101)、顧客側端末機11のウインドウの画面には、メーカー側端末機12や販売店側端末機18から発信された取扱商品のリストや内容が表示される(ステップ102)。これは、受注手段2の仮想商品集合部22から送信されるものである。
【0028】そして、図3に示すように、注文のための各手順の指示がウインドウの画面に表示され(ステップ103)、顧客(学校)はこの手順に従って顧客側端末機11を操作する。この手順にあっては、図3に示す如く、先ず、注文書が表示され、学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等を入力する。続いて、割引明細や決済方法(振込、着払、カード、電子決済等)が表示され、これに従って、顧客(学校)が顧客側端末機11を順次に操作する。ここで、顧客(学校)が初めて注文する際に、学校名、住所、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)等を顧客データベースに登録することによりID番号を付与し、二回目以降に本システムを使用する場合には、ID番号を入力させて学校名等の入力を省略するようにすることもできる。また、顧客(学校)は、注文書を通信処理手段4を介したインターネットにより送信する代わりに、受注手段2が郵送やFAX、電話などでの注文を受け付け、これを通信処理手段4で送受信可能に加工してもよい。
【0029】受注データは、通信処理手段4を通じて、受注手段2に送られ(ステップ104)、顧客データベースにおいて、その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ(ステップ105のYes)顧客データ及び受注データが新規登録される(ステップ106)。データがある場合(ステップ105のNo)は、今回の受注データがリストに記録される(ステップ107)。
【0030】そして、受注手段2は、その学生服を取り扱う販売店を特定し、通信処理手段4を通じてその販売店の販売店側端末に注文があった旨を連絡する(ステップ108)。これに対し、販売店が作業依頼を通信処理手段4を通じて受注手段2に送信すると(ステップ109)、受注データは受注手段2から発注手段3の情報処理部21に送られる(ステップ110)。情報処理部21は、受注のあった学生服について、サイズの合った在庫があるか否か、物流管理手段5に問い合わせる。在庫があった場合は(ステップ111のYes)、それを配達するよう手配するが(ステップ112)、在庫がない場合は(ステップ111のNo)、その制服を取り扱う学用品メーカーを照合し発注データを作成する(ステップ113)。
【0031】また、顧客(学校)は、注文書を通信処理手段4を介したインターネットにより送信する代わりに、郵送やFAX、電話などでの注文を受け付け、これを受注手段2でデータ化して受注データとしてもよい。」
「【0032】次に、顧客が学校の場合に、新しい学生服のデザインをインターネット上で注文する場合を、図4に沿って説明する。例えば、顧客(学校)が、顧客側端末機11で新しいデザイン学生服を注文する旨の情報を通信処理手段4を介して受注手段2に発信すると(ステップ201)、顧客側端末機11には、受注手段2の仮想商品集合部22メーカー側端末機12や販売店側端末機18から発信された取扱商品のリストや内容が表示されるが、これらは選択せずに、新規デザイン注文の欄を選択する(ステップ202)。」
「【0036】また、顧客(学校)は、上述の場合と同様、注文書を通信処理手段4を介したインターネットにより送信する代わりに、郵送やFAX、電話などでの注文を受け付け、これを受注手段2でデータ化して受注データとしてもよい。」
「【0037】続いて、顧客(学校)が販売店を通じて商品を注文する場合を、図6に沿って説明する。販売店が合同説明会(受注)等で学生個々人についての採寸を取り、一人或いは多数の学生の受注に関する情報(注文書)を、販売店が業務管理システム1に郵送、FAX等で送付すると、受注手段2に学校別、サイズ別、商品別に入力して受注データを作成する(ステップ301)。注文書は、上述のインターネットで注文する場合と同様、学校名、学生の氏名、住所、年齢、学校名、学年、サイズ等のほか、割引明細や決済方法も書き込む形にすればよい。注文書や受注データは、受注手段2に入力後、販売店の要求に応じ返却する。なお、上記ステップ301において、入力を販売店側で行い、販売店側端末機13からインターネットを通じて通信処理手段4を通じて受注手段2に送信してもよい。」
「
[図:0001415105000001.jpg]
」
「
[図:0001415105000002.jpg]
」
「
[図:0001415105000003.jpg]
」
「
[図:0001415105000004.jpg]
」
(ア) 上記【0001】によれば、「業務管理システム」(業務管理システム1)は、インターネット上で商品の受注、発注、物流及び入金管理とを一括処理して業務を簡単に行わせることができる。
(イ) 上記【0013】によれば、業務管理システム1には、受注手段2と発注手段3と通信処理手段4と物流管理手段5とが設けられ、通信処理手段4で他の各手段が結ばれている。
(ウ) 上記【0014】によれば、受注手段2は、顧客が注文する学用品等の注文、問い合わせ、クレーム等の情報を、通信処理手段4を介して受け取り、受注データとして集計する。
(エ) 上記【0015】によれば、発注手段3は、受注手段2が集計した受注データを受け取り、これを顧客が注文した学用品等の商品の情報を通信処理手段4を介して販売店(学用品販売業者)に発信し、商品の発注を行なう。
(オ) 上記【0016】によれば、通信処理手段4は、学生、児童、その保護者、学校等顧客の顧客側端末機11と、学用品メーカーのメーカー側端末機12と、学用品販売店の販売店側端末機13と、物流会社の物流会社側端末機14と、特定商品の決済を行なう金融機関の金融機関側端末機15との間で、インターネット等の電子回線で情報を送受信可能である。
(カ) 上記【0017】によれば、物流管理手段5は、通信処理手段4を介してメーカー側端末機12から商品納品の情報を受け取ると、物流会社に通信処理手段4を介して商品の入庫、検品、ピッキング、梱包、配達等の作業を指示する。
(キ) 上記【0027】によれば、顧客が学校のとき、学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合、顧客(学校)が、顧客側端末機11で商品を注文する旨の情報を通信処理手段4を介して受注手段2に発信すると、顧客側端末機11のウインドウの画面には、メーカー側端末機12や販売店側端末機18から発信された取扱商品のリストや内容が表示される。
(ク) 上記【0028】によれば、注文のための各手順、すなわち、先ず、注文書が表示され、学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等を入力する手順、続いて、割引明細や決済方法(振込、着払、カード、電子決済等)が表示され、これに従って、顧客(学校)が顧客側端末機11を順次に操作する手順、の各手順の指示がウインドウの画面に表示され、顧客(学校)はこの手順に従って顧客側端末機11を操作する。
(ケ) 上記【0029】によれば、受注データは、通信処理手段4を通じて、受注手段2に送られ、顧客データベースにおいて、その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ顧客データ及び受注データが新規登録され、データがある場合は、今回の受注データがリストに記録される。
(コ) 上記【0030】によれば、受注手段2は、その学生服を取り扱う販売店を特定し、通信処理手段4を通じてその販売店の販売店側端末に注文があった旨を連絡し、販売店が作業依頼を通信処理手段4を通じて受注手段2に送信すると、受注データは受注手段2から発注手段3の情報処理部21に送られ、情報処理部21は、受注のあった学生服について、サイズの合った在庫があるか否か、物流管理手段5に問い合わせ、在庫があった場合は、それを配達するよう手配するが、在庫がない場合は、その制服を取り扱う学用品メーカーを照合し発注データを作成する。
イ 甲1発明
上記アによれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
[甲1発明]
インターネット上で商品の受注、発注、物流及び入金管理とを一括処理して業務を簡単に行わせることができる業務管理システム1において、
業務管理システム1には、受注手段2と発注手段3と通信処理手段4と物流管理手段5とが設けられ、通信処理手段4で他の各手段が結ばれており、
受注手段2は、顧客が注文する学用品等の注文、問い合わせ、クレーム等の情報を、通信処理手段4を介して受け取り、受注データとして集計し、
発注手段3は、受注手段2が集計した受注データを受け取り、これを顧客が注文した学用品等の商品の情報を通信処理手段4を介して販売店(学用品販売業者)に発信し、商品の発注を行ない、
通信処理手段4は、学生、児童、その保護者、学校等顧客の顧客側端末機11と、学用品メーカーのメーカー側端末機12と、学用品販売店の販売店側端末機13と、物流会社の物流会社側端末機14と、特定商品の決済を行なう金融機関の金融機関側端末機15との間で、インターネット等の電子回線で情報を送受信可能であり、
物流管理手段5は、通信処理手段4を介してメーカー側端末機12から商品納品の情報を受け取ると、物流会社に通信処理手段4を介して商品の入庫、検品、ピッキング、梱包、配達等の作業を指示するものであって、
顧客が学校のとき、学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合、顧客(学校)が、顧客側端末機11で商品を注文する旨の情報を通信処理手段4を介して受注手段2に発信すると、顧客側端末機11のウインドウの画面には、メーカー側端末機12や販売店側端末機18から発信された取扱商品のリストや内容が表示され、
注文のための各手順、すなわち、先ず、注文書が表示され、学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等を入力する手順、続いて、割引明細や決済方法(振込、着払、カード、電子決済等)が表示され、これに従って、顧客(学校)が顧客側端末機11を順次に操作する手順、の各手順の指示がウインドウの画面に表示され、顧客(学校)はこの手順に従って顧客側端末機11を操作し、
受注データは、通信処理手段4を通じて、受注手段2に送られ、顧客データベースにおいて、その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ顧客データ及び受注データが新規登録され、データがある場合は、今回の受注データがリストに記録され、
受注手段2は、その学生服を取り扱う販売店を特定し、通信処理手段4を通じてその販売店の販売店側端末に注文があった旨を連絡し、販売店が作業依頼を通信処理手段4を通じて受注手段2に送信すると、受注データは受注手段2から発注手段3の情報処理部21に送られ、情報処理部21は、受注のあった学生服について、サイズの合った在庫があるか否か、物流管理手段5に問い合わせ、在庫があった場合は、それを配達するよう手配するが、在庫がない場合は、その制服を取り扱う学用品メーカーを照合し発注データを作成する、
業務管理システム1。
ウ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書(16頁下段~19頁上段)において、甲1の【0018】、【0028】、【0036】及び【0037】に基づいて、甲1に記載された3つの発明(本件発明1、本件発明9及び本件発明10のそれぞれに対応するカテゴリの異なる3つの発明)を認定している。
そこで検討するに、甲1の【0026】によれば(上記ア参照)、甲1には、「顧客が学校の場合に、学生の学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合」の実施例(以下「実施例1」という。)、「顧客が学校の場合に、新しい学生服のデザインをインターネット上で注文する場合」の実施例(以下「実施例2」という。)及び「顧客(学校)が小売店を通じて商品を注文する場合」の実施例(以下「実施例3」という。)の3つの実施例が記載されているところ、【0018】は3つの実施例の前提となる「顧客側端末機11」の説明、【0028】は実施例1の説明、【0036】は実施例2の説明、【0037】は実施例3の説明が記載されている。
そうすると、甲1が開示する3つの実施例は、いずれも「顧客(学校)」の場合の実施例であって、それぞれの実施例について、個別の動作を開示するものであり、「顧客(学校)」以外の場合におけるフローチャート等の動作を開示するものではない。
したがって、甲1に記載された3つの実施例において、「顧客(学校)」以外の場合の具体的な動作を認定することはできない(仮に、甲1における「顧客側端末機11は、顧客が注文する商品等の情報、例えば商品が学生服(本発明では学用品に含む)の場合は顧客(学生)のサイズや刺繍加工の要不要等の情報、顧客(学校)の学生服のデザインを発信したり、顧客の氏名又は名称、住所や所在地、学年、学生数等の情報を発信する。」(【0018】)及び「通信処理手段4は、例えば、学生、児童、その保護者、学校等顧客の顧客側端末機11と、・・・」(【0016】)との記載から、顧客が「学生、児童、その保護者」である場合のように、「顧客(学校)」以外の場合の発明を認定することができるとしても、その場合の具体的な動作は何ら開示されていないから、甲1発明としては、「業務管理システム1」において、「顧客(学校)」以外が「顧客側端末機11」を操作できることが認定できるだけである。)。
なお、上述のとおり、請求人が、甲1に記載された発明の認定の根拠とする【0028】、【0036】及び【0037】は、それぞれ異なる実施例であるから、それらを混在させて、直ちに一つの発明として認定することはできない。
そこで、それぞれの実施例についてみると、実施例1は「学生服を学年単位でインターネット上で注文」する実施例であるから、複数の注文があることを前提とするものであり、本件発明1と対比できる程度の実施例であると認められる。
しかしながら、実施例2は「新しい学生服のデザインをインターネット上で注文する場合」の実施例であり、実施例3は「顧客(学校)が販売店を通じて商品を注文する場合」に「販売店が合同説明会(受注)等で学生個々人についての採寸を取り、一人或いは多数の学生の受注に関する情報(注文書)を、販売店が業務管理システム1に郵送、FAX等で送付すると、受注手段2に学校別、サイズ別、商品別に入力して受注データを作成する」という実施例であるから、実施例2及び実施例3は、実施例1とは大きく異なり、それらを混在させて発明を認定することはできない。そして、実施例2及び実施例3は、単独で本件発明1と対比することのできる程度に認定できる実施例であるとはいえない(なお、仮に実施例2及び実施例3に基づいて、甲1に記載された発明を認定したとしても、本件発明1と対比すると、後述する相違点を有することになるから、進歩性の判断に影響を及ぼすことはなく、審決の結論を左右するものではない。)。
以上によれば、審判請求人が審判請求書において認定する、甲1に記載された発明を採用することはできない。
したがって、当審においては、甲1発明を上記イのとおり認定する。
(2) 甲2
甲2には、以下の記載がある。
「【0015】図2は、この発明の実施の形態1に係る弁当予約販売システムの予約・精算端末機、及び予約受付サーバに登録されている生徒マスターファイルのデータ構造を示す図である。
【0016】図2(a)において、項目「学校コード」は、システムを運用する学校コード、項目「生徒番号」お弁当予約システム用の生徒毎が持っている番号である。学校コード+生徒番号にてユニークである。項目「生徒名」は、学校コード+生徒番号に対する生徒名を表す。項目「パスワード」は、数字と英字の混合タイプで、電話によるキャンセル処理時等に用いる。項目「引き落とし情報」は、生徒の引き落とし情報である。」
「【0033】図7は、この発明の実施の形態1に係る弁当予約販売システムの学校別弁当発注リストの例を示す図である。この学校別弁当発注リストは、予約受付サーバ30が各マスターファイルに基づいて編集して作成し、仕出し業者PC40又はFAX端末41へ送信するものである。」
「【0039】次に、予約情報は、学校及び生徒を識別するIDを付加して、朝とタ方の定時に一括して、予約・精算端末機10に接続されたPHSからインターネット20を通じて、予約情報収集センタの予約受付サーバ(Webサーバ)30に転送する。予約情報は、各マスターファイルに従って予約受付サーバ30に保存する。また、予約受付サーバ30は、保存された各マスターファイルに基づいて仕出し業者へ送信する学校別弁当発注リスト、弁当注文集計表を編集作成する。」
「
[図:0001415105000005.jpg]
」
「
【図7】
[図:0001415105000006.jpg]
」
(3) 甲3
甲3には、以下の記載がある。
「【要約】
【課題】従来よりも保育園や幼稚園や小学校等の先生が、より容易に保育または教育の活動に関する情報を得られる、またはより容易に保育または教育に使用する材料および/または用具を購入できるネットワークシステム、サービス提供方法、およびサーバを提供する。」
「【0048】
サーバ100Bは、ユーザまたはその組織が、チェックを入れた商品をカートにいれたものとみなして、当該商品がカートに入った状態の通販サイトのページを端末200Bに送信する。図18を参照して、端末200Bは、チェックが入った商品がカートに入った状態の、通販サイトのページをディスプレイ230に表示する。ユーザは、端末200Aに対し、請求区分2593を選択し、注文者2594を入力し、数量2595を選択してから、商品を発注する。発注した注文データはサーバ100Aに蓄積され、本実施の形態においては、図3に示すように、組織毎に過去の注文を、対応する活動が認識できる状態で見返すことができる。」
「
【図18】
[図:0001415105000007.jpg]
」
(4) 甲4
甲4には、以下の記載がある。
「
[図:0001415105000008.jpg]
」
「
[図:0001415105000009.jpg]
」
(5) 甲5
甲5には、以下の記載がある。
「【0025】
生徒情報データベース102は、家庭教師から勉強を教えてもらう生徒の情報をデータベース化したものである。
この生徒情報データベース102には、図4に示すように、生徒の識別情報としてのID、氏名、住所や電話番号などの連絡先情報、タイプ、志望職種、志望大学等、成績情報が記憶できるようになっている。
タイプは、生徒のタイプを表わしており、例えば、Aタイプは優秀な生徒、Bタイプは標準的な生徒などを表わしている。なお、このタイプは得意科目やこれまでの成績の伸び具合などにより分類してもよく任意である。
志望職種は、生徒が将来希望している職業や企業名などであって、抽象的な業種だけでもよいし、また具体的な企業名であってもよい。
成績情報は、生徒の試験などの成績情報である。成績情報は、例えば各科目毎に100点満点で評価した際に何点となるかを表わす形で記憶されている。」
(6) 甲6
甲6には、以下の記載がある。
「【0062】
処理部5は、入力部7に入力された受講者識別情報及び検索条件情報に基づいて、受講者にとって最適な教師を検索する最適教師検索手段49を備える。最適教師検索手段49は、検索条件受信手段51、検索手段53、及び教師情報送信手段55から構成される。」
「【0077】
検索手段53は、検索条件受信手段51で得た受講者識別情報に対応する地域情報を地域テーブル15から検索し、同一の地域情報を有する教師識別情報を地域テーブル15から検索する地域絞込手段を備えても良い。また、この地域絞込手段は、管理テーブル17から、上記地域情報に対応する管理コードを検索し、この管理コードに対応する地域情報を検索し、この地域情報に対応する教師識別情報を地域テーブル15から検索するものであってもよい。地域絞込手段を有する検索手段53は、受講者と共通する地域に住む教師を抽出できるので、受講者の地域の受験傾向、教育傾向に精通した教師を提示することができる。」
(7) 甲7
甲7には、以下の記載がある。
「
[図:0001415105000010.jpg]
」
(8) 甲8
甲8には、以下の記載がある。
「
[図:0001415105000011.jpg]
」
2 無効理由について
(1) 本件発明1について
ア 対比
(ア) 構成要件Aについて(当事者間に争いはない。)
a 甲1発明の「顧客(学校)」及び「学校」は、本件発明1の「注文者」及び「団体」に相当する。
b 甲1発明の「業務管理システム1」は、「受注手段2と発注手段3と通信処理手段4と物流管理手段5とが設けられ、通信処理手段4で他の各手段が結ばれて」いるところ、これらの各手段がコンピュータにより構成されていることは明らかである。そうすると、甲1発明の「業務管理システム1」は、本件発明1と同様の「コンピュータにより構成される販売システム」であるといえる。
c 甲1発明の「業務管理システム1」は、「顧客(学校)」が「顧客側端末機11」を操作して、「受注データ」が「受注手段2に送られ」ると、「顧客データベースにおいて、その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ顧客データ及び受注データが新規登録され、データがある場合は、今回の受注データがリストに記録され」るから、「顧客(学校)」から、学校ごとに、すなわち、個別に注文を受け付けているといえる。そうすると、甲1発明の「業務管理システム1」は、本件発明1と同様、「注文者から個別に注文を受け付け」ているということができる。
d 甲1発明の「業務管理システム1」は、上記cのとおり、学校(団体)ごとに個別に注文を受け付けているから、受注手段2の顧客データベースに登録される注文情報は、学校(団体)ごとに登録・管理されていると考えるのが自然である(顧客データベースにおいて、学校(団体)ごとに受け取った注文情報を、あえて、複数の学校(団体)からの注文情報を混在させて登録するように構成する合理的な理由はない。)。
そうすると、甲1発明の「業務管理システム1」は、受け付けた注文を学校(団体)ごとに管理しているといえる。
e 以上のとおり、上記a~dによれば、甲1発明において、「顧客(学校)」から学校(団体)ごとに注文を受け付け、その注文を学校(団体)ごとに管理する、「受注手段2と発注手段3と通信処理手段4と物流管理手段5とが設けられ、通信処理手段4で他の各手段が結ばれて」構成される「業務管理システム1」は、本件発明1の「注文者から個別に注文を受け付け、前記注文者の団体ごとに注文を管理する、コンピュータにより構成される販売システム」に相当する。
したがって、構成要件Aは、本件発明1と甲1発明の一致点である。
(イ) 構成要件Bについて(当事者間に争いはない。)
甲1発明において、「顧客が学校の場合に、学生服を学年単位でインターネット上で注文する場合」、「顧客データベースにおいて、その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ顧客データ及び受注データが新規登録され、データがある場合は、今回の受注データがリストに記録」されているところ、「学生服」は「商品」であるといえるから、「学校」は、商品(学生服)の販売対象となる注文者の団体であるといえる。
そして、甲1発明の「受注手段2」は、顧客(学校)が、顧客側端末機11を操作して入力した「学校名」を含む情報を受注データとして受け取り、上述のとおり、記憶手段である「顧客データベース」において、「その顧客(学校)のデータがあるかどうか調べられ、データがなければ顧客データ及び受注データが新規登録され、データがある場合は、今回の受注データがリストに記録」されているところ、受け取って記憶する「学校名」は、学校(団体)に関する情報である。
そうすると、甲1発明において、「学生服」の販売対象となる注文者の学校(団体)に関する「学校名」を記憶する「顧客データベース」は、本件発明1の「商品の販売対象となる前記注文者の団体に関する団体情報を記憶する記憶手段」に相当する。
したがって、構成要件Bは、本件発明1と甲1発明の一致点である。
(ウ) 構成要件Cについて(当事者間に争いがある。)
a 甲1発明では、顧客(学校)が、顧客側端末機11を操作して、「学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等」の情報を入力し、受注手段2は、これらの情報を受け取っているところ、上記(イ)のとおり、「学校名」は、本件発明1の「前記注文者の団体に関する団体情報」に相当する。また、甲1発明の「学生服のデザイン(商品名、商品番号等)」は、本件発明1の「注文商品を特定する情報」に相当する。
そして、甲1発明の「受注手段2」は、受け取った「学校名」や「学生服のデザイン(商品名、商品番号等)」等の情報(注文情報)を「顧客データベース」に登録しているから、注文受付手段ということができる。
そうすると、甲1発明において、顧客(学校)が入力した「学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等」の情報(注文情報)を受け取り、「顧客データベース」に登録する「受注手段2」は、本件発明1の「各注文者から、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む注文情報の入力を受け付けて、各々の前記注文情報を登録する注文受付手段」に相当する。
したがって、構成要件Cは、本件発明1と甲1発明の一致点である。
b これに対し、被請求人は、本件発明1の構成要件Cに対応する、甲1に記載された構成は、請求人が引用する【0028】、【0036】及び【0037】によれば、「(C1)学校(団体)から、又は販売店からの郵送等により、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む学校別の注文情報の入力を受け付けて、学校別の前記注文情報を登録する注文受付手段」と認定すべきであって(審判事件答弁書15頁)、本件発明1との相違点である(同24頁上段)旨、主張する(下線は被請求人による。)。
しかしながら、請求人が引用する甲1の【0028】、【0036】及び【0037】が、それぞれ異なる実施例であって、それらを混在させて発明を認定することはできないことは、上記1(1)ウのとおりであり、構成要件Cが、本件発明1と甲1発明の一致点であることは、上記aのとおりである。
したがって、構成要件Cは本件発明1との相違点であるとの被請求人の主張は採用できない。
(エ) 構成要件D及び構成要件Eについて(当事者間に争いはない。)
甲1発明は、本件発明1の構成要件D及び構成要件Eを備えておらず、その点において、本件発明1と甲1発明は相違する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
(A) 注文者から個別に注文を受け付け、前記注文者の団体ごとに注文を管理する、コンピュータにより構成される販売システムであって、
(B) 商品の販売対象となる前記注文者の団体に関する団体情報を記憶する記憶手段と、
(C) 各注文者から、少なくとも前記注文者の団体の前記団体情報を特定する情報及び注文商品を特定する情報を含む注文情報の入力を受け付けて、各々の前記注文情報を登録する注文受付手段と、
を備える販売システム。
[相違点]
本件発明1は、「前記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出し、抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する注文リスト出力手段」(構成要件(D))を備え、「前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する」(構成要件(E))のに対し、甲1発明は、上述の「注文リスト出力手段」を備えておらず、当該「注文リスト出力手段」が「前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する」ものでもない点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
(ア) 甲2~甲8に記載された事項についての検討
甲2には、上記1(2)の【0015】、【0016】、【0033】、【0039】及び【図7】によれば、項目「学校コード」を有する生徒マスターファイルに基づいて、学校別弁当発注リストを作成することが記載されている。
また、甲3には、上記1(3)の【要約】、【0048】及び【図18】によれば、保育園や幼稚園や小学校等の先生が、容易に保育または教育に使用する材料および/または用具を購入できるネットワークシステムにおいて、チェックが入った商品がカートに入った状態の、通販サイトのページを端末200Bのディスプレイ230に表示することが記載されている。
さらに、甲4には、上記1(4)の18頁の記載によれば、「売上集計」というウインドウにおいて「学校(取引先)」という項目があり、「集計結果」というウインドウにおいて「取引先」という列があること、同19頁の記載によれば、「注文検索」というウインドウにおいて「注文者名」及び「学校(取引先)」という項目があり、「注文検索結果」というウインドウにおいて「注文者名」及び「学校名」という列があることが記載されている。
しかしながら、甲2~甲4に記載された事項は、いずれも、構成要件(D)の「前記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出」することや、「抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する」こととは異なる構成であり、構成要件(E)の「前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する」こととも異なる構成である。
そうすると、甲1発明に対して、甲2~甲4に記載された事項を適用したとしても、本件発明1にはならない。
そして、甲5~甲8に記載された事項(上記1(5)~(8)参照)を含めて検討しても、相違点に係る構成が周知技術であるということもできない。
したがって、甲1発明において、請求人が進歩性欠如の根拠として主張する甲2~甲4に記載された事項を適用したとしても本件発明1にはならないし、さらに、甲5~甲8に記載された事項を含めて検討しても、相違点に係る構成が周知技術であるということもできないから、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ) 動機付けについての検討
さらに、甲1発明を本件発明1のように変更する動機付けがあるかについて検討する。
甲1発明は、顧客(学校)が、顧客側端末機11で商品を注文するものであるところ、各顧客(学校)が顧客側端末機11で入力した「学校名、学生服のデザイン(商品名、商品番号等)、注文個数、各学生の氏名、サイズ等」の情報(注文情報)は、受注手段2が受け取り、受注データとして、顧客データベースで登録・管理されるものである。
しかるところ、甲1発明では、各顧客(学校)ごとに商品の注文を行っており、受注手段2の顧客データベースに登録された注文情報は、各顧客(学校)ごとに登録・管理されている(上記ア(ア)d参照)。
そうすると、甲1発明においては、すでに、各顧客(学校)ごとに注文情報が登録・管理されているのであるから、構成要件(D)のように「前記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出」する必要はなく、甲1発明において、そのように変更する動機付けはない。そして、「複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一の前記注文情報を抽出」するように変更することが想定されない以上、構成要件(D)の「抽出された前記注文情報に基づいて、同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形式で出力する」ことや、構成要件(E)のように「前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとして、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する」ことのように、甲1発明を変更する動機付けもない。
したがって、甲1発明において、上記相違点に係る構成に変更しようとする動機付けはないから、この観点からも、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 請求人の主張について
請求人は、甲2、甲3及び甲4は、本件発明1及び甲1に記載された発明と技術分野を同一にし、学校関連の商品の販売システムであるから、甲2に記載された事項、甲3に記載された事項及び甲4に記載された事項を甲1に記載された発明に適用することは、当業者が容易に推考し得るものである旨主張する(審判請求書28頁上段、令和5年9月8日付け口頭審理陳述要領書の3枚目~4枚目の上段)。
しかしながら、甲2~4に記載された事項は、相違点に係る構成と異なることから、甲1発明に、甲2~甲4に記載された事項を適用しても、本件発明1にはならないことは、上記イ(ア)のとおりである。また、甲1発明において、相違点に係る構成に変更しようとする動機付けはないから、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは、上記イ(イ)のとおりである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
エ 本件発明1についてのまとめ
以上によれば、本件発明1は、甲1発明、甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、甲5~甲8に記載された事項を含めて検討しても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2) 本件発明2~8について
本件発明2~8は、本件発明1を限定した発明であるから、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記(1)アの[相違点]を有するところ、本件発明1が上記(1)イのとおり、甲1発明及び甲2~甲8に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2~8も甲1発明及び甲2~甲8に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3) 本件発明9及び10について
本件発明9及び10は、本件発明1の「販売システム」の発明について、それぞれカテゴリの異なる「販売方法」及び「販売プログラム」の発明として特定したものである。
そうすると、本件発明9及び10は、それぞれ甲1から認定される「販売方法」及び「販売プログラム」の発明と対比すると、上記(1)アの[相違点]と同様の相違点を有することになる。
したがって、上記(1)イと同様、本件発明9及び10は、甲1から認定される発明、甲2~甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないし、甲5~甲8に記載された事項を含めて検討しても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明についての特許を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-800008