特許無効審判
2023-800065
自動車の損傷度を査定する方法
- 審判番号
- 2023-800065
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2020-082842
- 登録番号
- 6934143
- 請求日
- 2023年10月06日
- 審決日
- 2025年05月12日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求成立(無効)
- 当事者
- 【請求人】ドイチェ アウトモビール トロイハント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】永島 秀郎
- 【請求人代理人】笹田 健
- 【請求人代理人】鈴木 秀彦
- 【請求人代理人】寺前 翔平
- 【被請求人】コントロールエキスパート ゲーエムベーハー
- 【被請求人代理人】弁理士法人南青山国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 岡北 有平
- 審判官 梶尾 誠哉
- 分類
- P1113.121-Z (G06Q) / P1113.536-Z (G06Q) / P1113.537-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第2項、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6934143号発明「自動車の損傷度を査定する方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6934143号の請求項1~15に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第6934143号の特許請求の範囲の請求項1~15に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第2 手続の経緯
特許第6934143号(以下、「本件特許」という。)の手続の経緯の概略は以下のとおりである。
1 本件特許の出願から設定登録までの経緯
令和2年 5月 8日 :出願(パリ条約による優先権主張日 2019年(令和元年)5月10日 独国(DE))
12月22日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月 5日 :意見書、手続補正書の提出
6月22日付け:特許査定
8月25日 :設定登録
9月15日 :特許掲載公報発行
2 本件無効審判の手続の経緯
令和5年10月 6日 :審判請求書の提出
令和6年 2月19日 :答弁書の提出
6月26日付け:審理事項通知書
8月 9日 :口頭審理陳述要領書(請求人)の提出
8月29日 :口頭審理陳述要領書(被請求人)の提出
9月18日付け:審理事項通知書
10月10日 :口頭審理陳述要領書(被請求人)の提出
10月11日 :口頭審理陳述要領書(請求人)の提出
11月14日 :口頭審理
12月13日付け:審決の予告
なお、期間を指定して通知した上記審決の予告に対して、当該指定期間内に両当事者から応答はなかった。
第3 本件発明
本件特許の請求項1~15に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、その他の請求項に係る発明も同様に「本件発明2」~「本件発明15」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~15に記載された次のとおりのものである。なお、構成要件A~Yの分説は請求人による。
「【請求項1】
A 損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて前記自動車(1)の損傷度を査定する方法であって、
B 前記画像ファイル(2)に基づいて、前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)において、前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報を含む第1のデータベースと、前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークとを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップと、
C 損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記第1のデータベースおよび前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップと、
D 第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、前記損傷車両ゾーン(4)に存在する各々の車両部品(6)と、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップと、
E 各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、前記車両部品(6)の損傷の程度に基づいて、かつ、前記車両部品の損傷の程度に応じたこの決定の結果を含む第3のデータベースによって、行なわれるステップと、を含む
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
F 前記車両部品(6)の交換に必要な交換部品を第4のデータベースを用いて判定し、この判定は、各車両部品の交換部品と当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程のリストを含むステップと、
G 前記第4のデータベースを用いて、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程および交換部品を判定するステップと、をさらに含む
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
H 前記第4のデータベースを用いて、各々必要な交換部品および各々必要な作業ステップに伴う費用を確立するステップと、
I 前記必要な作業ステップおよび前記必要な交換部品の確立された費用を追加することによって、総修理費(7)を確立するステップと、をさらに含む
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
J 前記第4のデータベースは、過去に損傷した自動車の交換部品及び当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程に関する履歴データに基づいて生成されたものである
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項5】
請求項3に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
K 前記第4のデータベースは、修理および交換方法を確立するために所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
L 前記自動車の車両識別番号を確立するステップと、
M 前記自動車の車両モデルを判定するステップと、
N 前記第2のデータベースおよび/または前記第3のデータベースおよび/または前記第4のデータベースを前記自動車の車両モデルに従って提供するステップと、をさらに含む
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
O 前記自動車の前記車両部品の部品交換費用が確立され、前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され、
P 請求者によって前記総修理費(7)または前記部品交換費用を直接請求者自身に支払らわせるか、もしくは、前記自動車(1)を修理店に持ち込むかを判定することによって、請求が自動車の専門家または保険会社の介入なしに直接処理される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
Q 前記方法によって提案される前記自動車(1)の損傷度査定が、ユーザによる承諾または修正のために出力され、そして、ユーザによる承諾または修正の入力に続いて、人工ニューラルネットワークが、さらなる学習のために承諾または修正された査定を用いる
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
R 損傷した前記自動車(1)または事故に関係する他の自動車(1)に組み込まれたドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
S 損傷した前記車両ゾーン(3)が、拡張現実キット(ARKit)を用いて、画面(8)の自動車の3次元立体モデル(9)上に表示される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
T スマートフォンまたはタブレット(11)にインストールされたアプリ(10)を使用し、
U 損傷度を査定するための画像ファイル(2)が、前記スマートフォンまたはタブレット(11)を用いて記録かつ/または提供される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
V 前記アプリ(10)が、正確に画像ファイル(2)を記録する、または、正しく画像ファイル(2)を提供する指示をユーザに提供し、かつ、必要に応じて、追加の画像ファイル(2)を記録または提供するようユーザに促す
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
W 前記スマートフォンまたはタブレット(11)、特に前記スマートフォンまたはタブレット(11)のGPS信号からメタデータが、前記アプリ(10)によって読み出される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
X 周辺エリア内の修理店および/またはレッカー移動サービス、ならびに、その連絡先データが、前記アプリ(10)内に表示される
自動車の損傷度を査定する方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、
Y 前記自動車(1)がもはや道路上の使用に適さないと損傷度査定が確立された場合、警告が出力される
自動車の損傷度を査定する方法。」
第4 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人が主張する無効理由は、審判請求書、令和6年8月9日及び同年10月11日提出の請求人口頭審理陳述要領書、口頭審理調書を総合すると、概ね以下のとおりであり、また、証拠方法として甲第1号証~甲第7号証を提出している(以下、それぞれ「甲1」~「甲7」という。)。
なお、請求人は、口頭審理において、無効理由3については請求を取り下げるとし、被請求人は当該取り下げについて同意した。
また、請求人は、口頭審理において、甲5及び甲7を取り下げるとともに、甲5及び甲7についての主張を撤回するとし、被請求人は当該取り下げと主張の撤回について同意した。
(1)無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如)
ア 本件発明1~3、5、8、9、15は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明4は、甲1に記載された発明と、甲3、甲4、又は甲6に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明6は、甲1に記載された発明と、甲2、又は甲4に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7は、甲1に記載された発明と、甲2に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明10は、甲1に記載された発明と、甲2、又は甲6に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明11、12は、甲1に記載された発明に基づいて、又は甲1に記載された発明と甲2に記載されている事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明13、14は、甲1に記載された発明と、甲2に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1~15は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(2)無効理由2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)
ア 本件発明1は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2、3、5、8、9、15は、甲2に記載された発明と、甲1に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明4は、甲2に記載された発明と、甲3、甲4、又は甲6に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明6、7は、甲2に記載された発明に基づいて、又は甲2に記載された発明と、甲1、又は甲4に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明10は、甲2に記載された発明に基づいて、又は甲2に記載された発明と甲6に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明11~14は、甲2に記載された発明に基づいて、又は甲2に記載された発明と甲1に記載されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1~15は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3)無効理由3(発明該当性違反)
本件発明2~15は、産業上利用することができる発明ではないから、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
なお、上記「1 請求人の主張の概要」で言及したように、請求人は、口頭審理において、無効理由3については請求を取り下げるとし、被請求人は当該取り下げについて同意したから、無効理由3(発明該当性)については審理の対象とはしない。
(4)無効理由4(実施可能要件違反)
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1、5、8、9、12、13について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではなく、これらを直接又は間接的に引用する本件2~4、6、7、10、11、14、15についても、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではない。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合していないから、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
(5)無効理由5(明確性要件違反)
本件発明1~3、5、7、9は明確ではなく、これらを直接又は間接的に引用する本件発明4、6、8、10~15も明確ではない。
よって、本件発明1~15は明確ではないから、特許法第36条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
2 証拠方法
提出された証拠は、以下のとおりである。
なお、上記1で前述したとおり、請求人は、口頭審理において、甲5及び甲7を取り下げるとともに、甲5及び甲7についての主張を撤回するとし、被請求人は当該取り下げと主張の撤回について同意した。
甲1:米国特許出願公開第2019/0073641号明細書、及び抄訳
甲2:米国特許出願公開第2017/0293894号明細書、及び抄訳
甲3:欧州特許出願公開第3200139号明細書、及び抄訳
甲4:欧州特許出願公開第0982673号明細書、及び抄訳
甲5:独国特許出願公開第102019109941号明細書、及び抄訳
甲6:米国特許第9886771号明細書、及び抄訳
甲7:米国特許出願公開第2017/0221110号明細書、及び抄訳
第5 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は、請求人の主張する無効理由にはいずれも理由がない旨主張している。
なお、被請求人から提出された証拠はない。
第6 当審の判断
1 甲号証に記載された技術事項及び甲号証に記載された発明の認定
(1)甲1(米国特許出願公開第2019/0073641号明細書)
ア 甲1に記載された技術事項
甲1には、以下の記載がある。訳は請求人が提出したものによる(下線は当審において付加した。以下同様)。
「[0001] Aspects of the disclosure relate to analyzing images of vehicles for damage and determining damaged parts of vehicles. Previous approaches involve capturing a small number of images of a damaged vehicle after a damage incident. The images are often taken by a vehicle driver or passenger, who may have difficulty capturing good quality images that accurately represent the damaged portions of the vehicle. When the images do not accurately represent the damaged portions of the vehicle, analysis of the images may be inaccurate. Accordingly, improved methods and systems for collecting data about a vehicle damage incident and analyzing the data are needed.」
「(訳)【0001】 本開示の態様は、車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定することに関する。先行のアプローチでは、損傷した車両の損傷事故後の画像を少数取得する必要があった。当該画像は、多くの場合、車両の運転手または同乗者によって撮影されるが、車両の損傷部分を正確に表す高品質の画像を撮影するのが困難な場合がある。画像が車両の損傷部分を正確に表していない場合、画像の分析が不正確になる可能性がある。したがって、車両損傷事故に関するデータを収集し、そのデータを分析するための改善された方法およびシステムが必要とされている。」
「[0003] In accordance with one or more embodiments, a computing platform having at least one processor, a memory, and a communication interface may receive, via the communication interface, video of a damaged vehicle, perform image analysis of the video to determine one or more frames of the video that include a damaged portion of the vehicle, further analyze the one or more frames of the video that include a damaged portion of the vehicle to determine a damaged cluster of parts of the vehicle, determine whether the damaged cluster of parts should be repaired or replaced, map the damaged cluster of parts to one or more parts in a vehicle-specific database of parts, and generate, based on the mapping, a list of parts for repair or replacement.」
「(訳)【0003】 1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ、メモリおよび通信インターフェースを有するコンピューティングプラットフォームは、通信インターフェースを介して、損傷した車両のビデオを受信し、車両の損傷部分を含む、ビデオの1つまたは複数のフレームを判定するために、ビデオの画像分析を実行し、車両の損傷した部品のクラスタを決定するために、車両の損傷部分を含む、ビデオの1つまたは複数のフレームをさらに分析し、損傷した部品のクラスタを修理または交換する必要があるか否かを決定し、損傷した部品のクラスタを車両固有の部品データベース内の1つまたは複数の部品にマッピングし、マッピングに基づいて、修理または交換する部品のリストを生成する。」
「[0022] Vehicle/parts information source(s) 130 may be configured to collect and provide information about vehicles and/or parts of vehicles, including lists of parts contained in a particular make/model/year of vehicle, databases of used parts for sale, costs of new and used parts, suppliers of parts, suppliers of repair services for vehicles, labor costs of providing repair services for vehicles, and the like. The vehicle/parts information source(s) 130 may comprise one or more third party services and/or may comprise information databases maintained by an organization associated with the damage detection computing platform 110 and/or the claims adjuster system 120.
[0023] Mobile system 150 may be configured to capture videos or other images, communicate with vehicles 140 and/or 160, and execute one or more applications. Mobile system 150 may store and execute a mobile estimate application 153 for communicating and interfacing with damage detection computing platform 110, claims adjuster system 120, and/or other devices connected via public network 180 and/or private network 190.」
「(訳)【0022】 (複数の)車両/部品情報源130は、特定の車種/モデル/年式の車両に含まれる部品のリスト、販売用の中古部品のデータベース、新品および中古部品の値段、部品の供給業者、車両の修理サービスを提供する業者、および車両の修理サービスを提供するための人件費などを含む、車両および/または車両の部品に関する情報を収集および提供するように構成されていてもよい。(複数の)車両/部品情報源130は、1つまたは複数の第三者のサービスを含んでいてもよく、かつ/または、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110および/またはクレームアジャスタシステム120に関連する組織によって管理される情報データベースを含んでいてもよい。
【0023】 モバイルシステム150は、ビデオまたは他の画像を取得し、車両140および/または160と通信し、1つまたは複数のアプリケーションを実行するように構成されていてもよい。モバイルシステム150は、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110、クレームアジャスタシステム120、および/または、パブリックネットワーク180および/またはプライベートネットワーク190を介して接続された他のデバイスと通信およびインターフェースするためのモバイル見積りアプリケーション153を記録および実行することができる。」
「[0031] In some examples, the mobile estimate application 153 may also cause the mobile system 150 to collect stored information collected by sensors of vehicle 160, which may be another vehicle that was involved in the incident or that was nearby the incident (e.g., that may have recorded images or video of the incident). The owner, driver, or other user of vehicle 160 may provide authorization credentials to mobile system 150, which a user of the mobile system 150 may input (e.g., to mobile estimate application 153) to enable mobile system 150 to communicate with and capture data from vehicle 160. The captured vehicle information may include a log of accelerometer data, a log of speed data, a log of position data (e.g., GPS coordinates), a log of braking data, other telematics data, video or images captured by cameras of the vehicle 160, and other such data that may contain information about the incident. A user of mobile system 150 may repeat this process with any number of vehicles that were involved or nearby (e.g., within a threshold distance of) the incident.
[0032] At step 203, the mobile system 150 may capture a walk-around video of the vehicle 140. For example, the mobile estimate application 153 may prompt a user to point a camera at the vehicle and walk around it while recording a video. The mobile estimate application 153 may provide user interfaces with instructions indicating how to capture the video. The instructions may indicate that the user should capture a 360° walk-around video (e.g., by circling the entire vehicle).」
「(訳)【0031】 いくつかの実施例において、モバイル見積りアプリケーション153は、モバイルシステム150に、事故に巻き込まれた、または事故現場の近くにあった(例えば、事故の画像またはビデオを記録した可能性がある)別の車両であってもよい車両160のセンサにより収集された記録情報を収集させることができる。車両160の所有者、運転者または他のユーザは、モバイルシステム150に認証資格情報を提供することができ、モバイルシステム150のユーザは、モバイルシステム150が車両160と通信し、車両160からデータを取得できるようにするために、当該認証資格情報を(例えば、モバイル見積もりアプリケーション153に)入力することができる。取得された車両情報には、加速度計データのログ、速度データのログ、位置データ(例えば、GPS座標)のログ、制動データのログ、他のテレマティクスデータ、車両160のカメラによって取得されたビデオまたは画像、および、事故に関する情報を含む可能性のある他のそのようなデータを含んでいてもよい。モバイルシステム150のユーザは、事故に巻き込まれた車両、または事故現場の近く(例えば、閾値の距離以内)にあった任意の数の車両に対してこのプロセスを繰り返すことができる。
【0032】 ステップ203において、モバイルシステム150は、車両140を一周するビデオを取得することができる。例えば、モバイル見積りアプリケーション153は、ユーザに、カメラを車両に向け、ビデオを記録しながらその周りを一周するように促すことができる。モバイル見積もりアプリケーション153は、ビデオを取得する方法を示す指示をユーザインターフェース上に提供することができる。指示は、ユーザが(たとえば、車両全体を一周することによって)360°の一周するビデオを取得する必要があることを示すことができる。」
「[0048] Turning to FIG. 2B, at step 205, responsive to completion of the quality assurance process, the mobile system 150 may upload some or all of the one or more walk-around video(s) and additional information to damage detection computing platform 110. The additional information may include some or all of the vehicle information captured at step 202, information derived from the vehicle information (such as a likely impact point), vehicle identification information such as make/model/year and/or VIN, and the like.」
「(訳)【0048】 図2によれば、ステップ205において、品質保証プロセスの完了に応答して、モバイルシステム150は、1つまたは複数の一周するビデオの一部またはすべて、および追加の情報を損傷検出コンピューティングプラットフォーム110にアップロードすることができる。追加の情報には、ステップ202で取得された車両情報の一部またはすべて、(推定された衝撃点などの)車両情報から導出される情報、メーカ/モデル/年式および/またはVINなどの車両識別情報などが含まれていてもよい。」
「[0050] At step 206, the damage detection computing platform 110 may use image analysis techniques to determine which frames of the video show damage to the vehicle, which may beneficially allow the damage detection computing platform 110 and/or claims adjuster system 120 to focus further analysis on the frames showing damage. By analyzing some or all frames of the video for damage using a damage model 116B (as referred to in FIG. 1B), the damage detection computing platform 110 may generate tags that indicate which portions of video contain damage. The damage detection computing platform 110 may generate one or more tags comprising starting and ending timestamps that indicate which segments of the video contain damage.
[0051] The damage model 116B may be trained using a training data set comprising images of both damaged and undamaged vehicle parts or components, damaged and undamaged vehicle materials such as sheet metal, glass, or plastics, and other such images related to vehicle damage. The training data set may further include a target variable that indicates the presence of damage or no damage in each image (e.g., a binary variable) and/or the extent of damage in each image (e.g., a continuous variable indicating the extent of damage and/or a variable indicating a discrete category of damage such as mild, moderate, severe, etc.). In some examples, the training data set may additionally include an indication of which portion of the training image contains damage. The damage model 116B may be trained to map a representation of an input image to one or more output variables indicating the presence of damage, the extent of damage, and/or the location of damage. The damage model 116B may be a neural network or some other machine-learning or statistical model.」
「(訳)「【0050】 ステップ206において、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、画像分析技術を使用して、ビデオのどのフレームが車両への損傷を表示しているかを判定することができ、これにより、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110および/またはクレームアジャスタシステム120が損傷を表示するフレームをさらに分析することに専念することが有利に可能となり得る。損傷モデル116B(図1Bを参照)を使用してビデオの一部またはすべてのフレームを損傷について分析することによって、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、ビデオのどの部分が損傷を含むかを示すタグを生成することができる。損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、ビデオのどのセグメントに損傷が含まれているかを示す開始タイムスタンプと終了タイムスタンプとを含む1つまたは複数のタグを生成することができる。
【0051】 損傷モデル116Bは、損傷したおよび損傷していない車両の部品または構成要素の両方の画像、板金、ガラス、またはプラスチックなどの損傷したおよび損傷していない車両の材料、および車両の損傷に関連する他のこのような画像を含む訓練データセットを使用して訓練することができる。訓練データセットは、各画像における損傷の有無を示すターゲット変数(例えば、バイナリ変数)および/または各画像における損傷の程度(例えば、損傷の程度を示す連続変数および/または軽度、中等度、重度などの不連続の損傷カテゴリを示す変数)をさらに含むことができる。いくつかの実施例では、訓練データセットは、訓練画像のどの部分に損傷が含まれているかの表示をさらに含むことができる。損傷モデル116Bは、入力画像の表現を、損傷の存在、損傷の程度、および/または損傷の位置を示す1つまたは複数の出力変数にマッピングするように訓練することができる。損傷モデル116Bは、ニューラルネットワークまたは他の機械学習もしくは統計モデルであってもよい。」
「[0082] The damage detection computing platform 110 may then determine one or more damaged parts clusters using a parts cluster damage model 116E (as referred to in FIG. 1B). The parts cluster damage model 116E may be used to detect damage to one or more vehicle-independent parts clusters. Vehicles may generally consist of a number of parts clusters. For example, most vehicles typically contain parts clusters such as a left front door, a right front door, a left rear door, a right rear door, a front bumper, a rear bumper, a left headlamp, a right headlamp, a left tail lamp, and so on.
[0083] The parts cluster damage model 116E may be trained using a training data set comprising one or more of asymmetry data (e.g., asymmetry arrays or matrices and/or magnitudes of the asymmetries), vehicle damage information (e.g., accelerometer data, crash sensor data, other telematics data, impact point, etc.), and/or representative images of damage. The training data set may further include a target variable that indicates which parts clusters are damaged and optionally an extent of damage for each parts cluster. The parts cluster damage model 116E may be trained to map the input data to an output array indicating whether each parts cluster is damaged or not (e.g., the array may contain binary indicators) and/or an extent of damage of each parts cluster (e.g., the array may contain a continuous damage score and/or one or more categories of damage, such as none, mild, moderate, severe, etc.).
[0084] The damage detection computing platform 110 may input the asymmetry data (e.g., asymmetry arrays or matrices and/or magnitude of the asymmetry), vehicle damage information, and/or representative images of damage (which may be converted into an input format usable by the model) to the parts cluster damage model 116E in order to determine which parts clusters are damaged and/or the extent of damage.
[0085] At step 216, based on the parts cluster damage information, the damage detection computing platform 110 may determine a repair/replace decision. For example, if one or more parts clusters are associated with a “severe” damage indication, the damage detection computing platform 110 may determine that the corresponding parts should be replaced, whereas parts associated with a “mild” damage indication may be associated with a repair decision.」
「(訳)【0082】 次に、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタ損傷モデル116E(図1Bを参照)を使用して、1つまたは複数の損傷した部品のクラスタを決定することができる。部品クラスタ損傷モデル116Eは、1つまたは複数の、車両に依存しない部品クラスタへの損傷を検出するために使用することができる。車両は、通常、多数の部品クラスタから構成されている。例えば、ほとんどの車両には、通常、左フロントドア、右フロントドア、左リアドア、右リアドア、フロントバンパ、リアバンパ、左ヘッドランプ、右ヘッドランプおよび左テールランプなどの部品クラスタが含まれている。
【0083】 部品クラスタ損傷モデル116Eは、非対称データ(例えば、非対称配列または行列および/または非対称の大きさ)、車両損傷情報(例えば、加速度計データ、衝突センサデータ、他のテレマティクスデータ、衝撃点など)および/または損傷の代表的な画像のうちの1つまたは複数を含む訓練データセットを使用して訓練することができる。訓練データセットは、どの部品クラスタが損傷しているかを示すターゲット変数と、オプションで各部品クラスタの損傷の程度と、をさらに含むことができる。部品クラスタ損傷モデル116Eは、入力データを、各部品クラスタが損傷しているか否か(例えば、配列はバイナリインジケータを含むことができる)および/または各部品クラスタの損傷の程度(例えば、配列は、連続的な損傷スコア、および/または、なし、軽度、中等度、重度などの、損傷の1つまたは複数のカテゴリを含むことができる)を示す出力配列にマッピングするように訓練することができる。
【0084】 損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、非対称データ(例えば、非対称の配列または行列および/または非対称の大きさ)、車両の損傷情報、および/または、損傷の代表的な画像(モデルによって使用可能な入力フォーマットに変換され得る)を、どの部品クラスタが損傷しているか、および/または損傷の程度を判定するために、部品クラスタ損傷モデル116Eに入力することができる。
【0085】 ステップ216において、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタの損傷情報に基づいて修理/交換を決定することができる。例えば、1つまたは複数の部品クラスタが「重度」な損傷の兆候に関連付けられている場合、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、対応する部品を交換する必要があると判定することができるが、「軽度」な損傷の兆候に関連付けられている部品には、修理の判定を関連付けることができる。」
「[0090] Referring to FIG. 2E, at step 217, the damage detection computing platform 110, after determining repair/replace decisions for the parts clusters, may map the parts clusters associated with replace decisions to a list of vehicle-specific parts (e.g., to determine parts that need to be purchased to repair the vehicle). As part of this process, the damage detection computing platform 110 may request and receive parts information from one or more vehicle/parts information source(s) 130. The query may contain vehicle information, such a make/model/year of the vehicle, a VIN of the vehicle, or the like that may be used to determine vehicle-specific parts information. In some examples, mappings of vehicle-specific parts to parts clusters may be stored in database 115 of damage detection computing platform 110, and the damage detection computing platform 110 may query the database using the associated parts cluster and vehicle identification information to determine the list of vehicle-specific parts.
[0091] After retrieving the list of parts for repair or replacement, at step 218, the damage detection computing platform 110 may further retrieve parts cost data for each of the parts that need to be purchased. The damage detection computing platform 110 may send one or more queries to one or more vehicle/parts information source(s) 130 to determine cost data for each part. Because cost data may vary by location, the queries may contain a location, and/or may be sent to sources of parts in a location nearby the user of mobile system 150. In some examples, the damage detection computing platform 110 may query databases of used parts for sale in order to determine if the part may be purchased for less than full price. The databases of used parts may contain information about local junkyards, resale shops, and the like that are nearby the user's location and/or a local repair shop. In some examples, the parts cost and/or used parts availability information may be stored in a database 115 of damage detection computing platform 110.
[0092] The damage detection computing platform 110 may further retrieve labor cost data. The damage detection computing platform 110 may query information source(s) 130 that contain information about local labor rates and/or may query local repair shops for labor information. In some examples, the labor rate information may be stored in a database 115 of damage detection computing platform 110.
[0093] At step 219, the damage detection computing platform 110 may generate a cost estimate for repairing the vehicle 140. The cost estimate may include a cost of the parts that need to be purchased and a cost of labor for repairing and replacing the parts. The damage detection computing platform 110 may determine an amount of labor needed to perform the repair or replacement of each damaged parts cluster based on labor information stored in database 115 of damage detection computing platform 110. For example, a repair decision for a left door cluster may be associated with 1.5-hour labor estimate, whereas a replace decision for a left door cluster may be associated with a 1-hour labor estimate.」
「(訳)【0090】図2Eを参照すると、ステップ217で、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタの修理/交換の決定を確定した後、(例えば、車両を修理するために購入する必要がある部品を決定するために)交換の決定に関連付けられた部品クラスタを車両固有の部品のリストにマッピングすることができる。このプロセスの一部として、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、1つ以上の車両/部品情報ソース130から部品情報を要求して受信することができる。クエリは、車両のメーカ/モデル/年式、車両のVINなど、車両固有の部品情報を決定するために使用できる車両情報を含むことができる。一部の例では、車両固有の部品と部品クラスタのマッピングが損傷検出コンピューティングプラットフォーム110のデータベース115に格納され、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、関連付けられた部品クラスタと車両識別情報を使用してデータベースにクエリし、車両固有の部品のリストを決定することができる。
【0091】 修理または交換する部品のリストを取得した後、ステップ218において、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、購入する必要がある各部品の部品コストデータをさらに取得してもよい。損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、各部品のコストデータを判定するために、1つまたは複数の問い合わせを1つまたは複数の車両/部品情報源130に送信してもよい。コストデータは場所によって異なる場合があるため、問い合わせは、場所を含んでもよく、および/または、モバイルシステム150のユーザの近くの場所にある部品の供給源に送信されてもよい。いくつかの実施例において、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品を正規の価格よりも安く購入することができるかを判定するために、販売されている中古部品のデータベースに問い合わせることができる。中古部品のデータベースは、近辺のジャンクヤードおよび再販店などのユーザの近くにある場所および/または近辺の修理店に関する情報を含むことができる。いくつかの実施例において、部品の値段および/または中古部品の入手可能性の情報は、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110のデータベース115に記録されてもよい。
【0092】 損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、人件費データをさらに取得してもよい。損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、現地の賃金率に関する情報を含む(複数の)情報源130に問い合わせ、および/または近辺の修理店に労働の情報について問い合わせてもよい。いくつかの実施例では、賃金率の情報は、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110のデータベース115に記録されてもよい。
【0093】 ステップ219において、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、車両140を修理するための費用の見積りを生成してもよい。費用の見積もりは、購入する必要がある部品の値段、ならびに部品を修理および交換するための労働の費用を含んでいてもよい。損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110のデータベース115に記録された労働の情報に基づいて、各損傷した部品のクラスタの修理または交換を実行するのに必要な労務の量を判定してもよい。例えば、左ドアクラスタの修理の決定は、1.5時間の労働の見積もりと関連付けられることがあり、一方、左ドアクラスタの交換の決定は、1時間の労働の見積もりと関連付けられることがある。」
「[0095] The claims adjuster system 120 may display information about the estimate and highlight certain discrepancies between any aspect of the automatic estimate and any manual estimate generated by the claims adjuster. Turning to FIG. 6, an example user interface 600 may include details of an automatic estimate generated by damage detection computing platform 110. For example, the automatic estimate information may display indications of each damaged parts cluster and an associated repair/replace decision. Further, the automatic estimate information may include a parts list and associated cost for each part, as well as an indication of whether the part is available used. The automatic estimate information may further include a projected labor time, a local labor cost, and a total cost based on the parts costs, labor rate, and labor time. The user interface 600 provided by the claims adjuster system 120 may allow editing of any aspect of the automatic estimate (e.g., adding, removing, or changing information), which may cause an update to the total cost based on the edit.」
「(訳)【0095】 クレームアジャスタシステム120は、見積もりに関する情報を表示し、自動的な見積もりと、クレームアジャスタによって生成された手動的な見積もりと、の任意の要素間の特定の不一致を強調して表示することができる。図6によれば、例示的なユーザインターフェース600は、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110によって生成された自動的な見積りの詳細を含むことができる。例えば、自動的な見積もり情報は、各損傷した部品のクラスタの表示、および関連する修理/交換の決定を表示してもよい。さらに、自動的な見積もり情報は、各部品の部品リストおよび関連する費用、ならびに部品が中古として入手可能であるか否かの表示を含んでよい。自動的な見積もり情報はさらに、予測される労働時間、現地の人件費、ならびに部品の値段、賃金率および労働時間に基づく総合費用を含んでもよい。クレームアジャスタシステム120によって提供されるユーザインターフェース600は、自動的な見積の任意の要素の編集(例えば、情報の追加、削除または変更)を可能にすることができ、これによって、編集に基づく総合費用の更新が行われることがある。」
「[0100] The damage detection computing platform 110 may retrain the one or more models 116A-F based on the feedback received from the claims adjuster system 120. Data associated with the current settlement may be added into training sets along with the feedback on the output of the models 116A-F provided by the claims adjuster. For example, if the claims adjuster provided feedback on whether a particular frame contained a vehicle or not, the particular frame and the indication that it contained a vehicle or not may be added to the training data set for the object recognition model 116A. As another example, if the claims adjuster provided feedback on whether a particular frame contained damage or not (and/or the extent of damage, such as mild, medium, or severe), the particular frame and the indication of damage and/or the extent of damage may be added to the training data set for the damage model 116B. As another example, if the claims adjuster provided feedback on the angle and/or location of a particular frame, the particular frame and the angle and/or location of the frame may be added to the training data set for the angle model 116C. As another example, if the claims adjuster provided feedback on a particular frame and its relevance, the particular frame and the information indicating the relevance of the frame may be added to the training data set for the image selection model 116D. As another example, if the claims adjuster provided feedback on a particular frame and which parts cluster therein contains damage, the particular frame and the information indicating the parts cluster containing damage may be added to the training data set for the parts cluster damage model 116E. As another example, if the claims adjuster provided feedback on a particular frame and whether the parts cluster therein should be repaired or replaced, the particular frame and the information indicating the repair/replace decision may be added to the training data set for the relevant repair/replace damage model 116F. In this way, the accuracy of the models may improve over time.」
「(訳)【0100】 損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、クレームアジャスタシステム120から受信したフィードバックに基づいて、1つまたは複数のモデル116A~Fを再訓練することができる。現在の状態に関連するデータを、クレームアジャスタによって提供されるモデル116A~Fの出力に関するフィードバックとともに訓練セットに追加することができる。例えば、クレームアジャスタが特定のフレームに車両が含まれているか否かに関するフィードバックを提供した場合、特定のフレームと、それに車両が含まれているかどうかの表示とが、物体認識モデル116Aの訓練データセットに追加されることがある。別の例として、クレームアジャスタが特定のフレームに損傷があるか否か(および/または軽度、中等度、重度などの損傷の程度)に関するフィードバックを提供した場合、特定のフレームと損傷の兆候、および/または損傷の程度を、損傷モデル116Bの訓練データセットに追加することがある。別の例として、クレームアジャスタが特定のフレームの角度および/または位置に関するフィードバックを提供した場合、特定のフレームおよびフレームの角度および/または位置を、角度モデル116Cの訓練データセットに追加することがある。別の例として、クレームアジャスタが特定のフレームおよびその重要性に関するフィードバックを提供した場合、特定のフレームおよびフレームの重要性を示す情報を画像選択モデル116Dの訓練データセットに追加することができる。別の例として、クレームアジャスタが特定のフレームおよびその中のどの部品クラスタが損傷を含むかに関するフィードバックを提供した場合、その特定のフレームおよび損傷を含む部品クラスタを示す情報を、部品クラスタ損傷モデル116Eの訓練データセットに追加することができる。別の例として、クレームアジャスタが特定のフレームおよびその中の部品クラスタを修理または交換すべきかに関するフィードバックを提供した場合、特定のフレームおよび修理/交換の決定を示す情報を、関連する修理/交換損傷モデル116Fの訓練データセットに追加することができる。このようにして、モデルの精度が時間の経過とともに向上することがある。」
「
[図:0001427367000001.jpg]
」
「(訳)「開始
805 損傷した車両のビデオを受信する
810 車両の損傷部分を含むビデオのフレームを判定するために、ビデオの画像分析を実行する
815 損傷を含むフレームを分析して、損傷した部品のクラスタを決定する
820 損傷した部品のクラスタを修理すべきかまたは交換すべきかを決定する
825 損傷した部品のクラスタを車両固有の部品データベース内の部品にマッピングする
830 修理または交換する部品のリストを生成する
終了」
イ 甲1発明の認定
上記アに示した記載事項によれば、甲1の段落【0001】には、「本開示の態様は、車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定することに関する。・・・。したがって、車両損傷事故に関するデータを収集し、そのデータを分析するための改善された方法およびシステムが必要とされている。」と記載されており、前記記載から、甲1には、「車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する」「方法」が記載されているといえる。
よって、上記アに示した記載事項によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲1発明]
「 車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する方法であって、
少なくとも1つのプロセッサ、メモリおよび通信インターフェースを有するコンピューティングプラットフォームは、通信インターフェースを介して、損傷した車両のビデオを受信し、車両の損傷部分を含む、ビデオの1つまたは複数のフレームを判定するために、ビデオの画像分析を実行し、車両の損傷した部品のクラスタを決定するために、車両の損傷部分を含む、ビデオの1つまたは複数のフレームをさらに分析し、損傷した部品のクラスタを修理または交換する必要があるか否かを決定し、損傷した部品のクラスタを車両固有の部品データベース内の1つまたは複数の部品にマッピングし、マッピングに基づいて、修理または交換する部品のリストを生成し(段落【0003】)、
(複数の)車両/部品情報源130は、特定の車種/モデル/年式の車両に含まれる部品のリスト、販売用の中古部品のデータベース、新品および中古部品の値段、部品の供給業者、車両の修理サービスを提供する業者、および車両の修理サービスを提供するための人件費などを含む、車両および/または車両の部品に関する情報を収集および提供するように構成され(段落「【0022】)、
損傷モデル116Bは、損傷したおよび損傷していない車両の部品または構成要素の両方の画像を含む訓練データセットを使用して訓練することができ、訓練データセットは、各画像における損傷の有無を示すターゲット変数(例えば、バイナリ変数)および/または各画像における損傷の程度(例えば、損傷の程度を示す連続変数および/または軽度、中等度、重度などの不連続の損傷カテゴリを示す変数)をさらに含むことができ、損傷モデル116Bは、ニューラルネットワークまたは他の機械学習もしくは統計モデルであり(段落【0051】)、
損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタ損傷モデル116Eを使用して、1つまたは複数の損傷した部品のクラスタを決定することができ、部品クラスタ損傷モデル116Eは、1つまたは複数の、車両に依存しない部品クラスタへの損傷を検出するために使用することができ、車両は、通常、多数の部品クラスタから構成されており、ほとんどの車両には、通常、左フロントドア、右フロントドア、左リアドア、右リアドア、フロントバンパ、リアバンパ、左ヘッドランプ、右ヘッドランプおよび左テールランプなどの部品クラスタが含まれており(段落【0082】)、
部品クラスタ損傷モデル116Eは、入力データを、各部品クラスタが損傷しているか否か(例えば、配列はバイナリインジケータを含むことができる)および/または各部品クラスタの損傷の程度(例えば、配列は、連続的な損傷スコア、および/または、なし、軽度、中等度、重度などの、損傷の1つまたは複数のカテゴリを含むことができる)を示す出力配列にマッピングするように訓練することができ(段落【0083】)、
損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタの損傷情報に基づいて修理/交換を決定することができ、1つまたは複数の部品クラスタが「重度」な損傷の兆候に関連付けられている場合、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、対応する部品を交換する必要があると判定することができるが、「軽度」な損傷の兆候に関連付けられている部品には、修理の判定を関連付けることができる(段落【0083】)、
車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する方法。」
(2)甲2(米国特許出願公開第2017/0293894号明細書)
ア 甲2に記載された技術事項
甲2には、以下の記載がある。訳は、段落[0034]、[0041]、[0066]、[0067]、[0131]については当審が訳したものであり、それ以外は請求人が提出したものによる。
「[0005] Another embodiment of the disclosure provides a method for automatically estimating a repair cost for a vehicle, comprising: receiving, at a server computing device over an electronic network, one or more images of a damaged vehicle from a client computing device; performing image processing operations on each of the one or more images to detect external damage to a first set of parts of the vehicle; inferring internal damage to a second set of parts of the vehicle based on the detected external damage; and, calculating an estimated repair cost for the vehicle based on the detected external damage and inferred internal damage based on accessing a parts database that includes repair and labor costs for each part in the first and second sets of parts. Additionally, in some embodiments, the server computing device may classify the loss as a total, medium, or small loss.」
「(訳)【0005】 本開示の別の実施形態は、車両の修理費用を自動的に推定するための方法であって、サーバコンピューティング装置において、クライアントコンピューティング装置から損傷した車両の1つまたは複数の画像を、電子ネットワークを介して受信するステップと、1つまたは複数の画像の各々に対して画像処理操作を実行して、車両の第1の部品セットに対する外部損傷を検出するステップと、検出された外部損傷に基づいて、車両の第2の部品セットに対する内部損傷を推定するステップと、第1および第2の部品セットにおける各部品の修理費用および労働費用を含む部品データベースへアクセスすることによって、検出された外部損傷および推定された内部損傷に基づいて、車両の推定修理費用を計算するステップと、を含む方法を提供する。さらに、いくつかの実施形態において、サーバコンピューティング装置は、損失を全損失、中損失、または小損失として分類することができる。」
「[0006] Another embodiment of the disclosure provides a mobile device comprising a camera, a display device, a processor, and a memory. The memory stores instructions that, when executed by the processor, cause the mobile device to display prompts on the display device to capture damage to a vehicle with the camera, by performing the steps of: receiving, in a first user interface screen displayed on the display device, a selection to initiate a new vehicle claim; displaying, in a second user interface screen displayed on the display device, graphical elements for selection of a prompting interface for capture of images of damage to the vehicle; receiving selection of a graphical element corresponding to a prompting interface; displaying one or more prompts on the display device to capture a portion of the vehicle based on the selection of the graphical element corresponding to the prompting interface; causing the camera of the client device to capture an image of the vehicle based on displaying an outline of the portion of the vehicle; and, causing the image of the vehicle to be uploaded to a server for estimation of repair costs of the vehicle based on the image. Additionally, in some embodiments, the server computing device may classify the loss as a total, medium, or small loss.」
「(訳)【0006】本開示の別の実施形態は、カメラと、ディスプレイ装置と、プロセッサと、メモリと、を含むモバイル装置を提供する。メモリには、命令が記録されており、当該命令がプロセッサによって実行される際、ディスプレイ装置に表示された第1のユーザインターフェース画面において、新たな車両請求を開始するための選択肢を受信するステップと、ディスプレイ装置に表示された第2のユーザインターフェース画面において、車両の損傷の画像を撮るためのプロンプトインターフェースを選択するための図形要素を表示するステップと、プロンプトインターフェースに対応する図形要素の選択肢を受信するステップと、プロンプトインターフェースに対応する図形要素の選択に基づいて、車両の一部を撮るための1つまたは複数のプロンプトをディスプレイ装置に表示するステップと、車両の一部の輪郭を表示することに基づいて、クライアント装置のカメラに車両の画像を撮らせるステップと、画像に基づいて車両の修理費用を推定するために、車両の画像をサーバにアップロードさせるステップと、が実行されることによって、モバイル装置に、カメラで車両の損傷を撮るためのプロンプトをディスプレイ装置に表示させる。さらに、いくつかの実施形態において、サーバコンピューティング装置は、損失を全損失、中損失、または小損失として分類することができる。」
「[0030] The automatic vehicle damage assessment system is a first-of-its-kind system that leverages state-of-the-art computer vision and machine learning technologies to partially or fully automate the auto claims submission and settlement process, thereby introducing efficiencies in auto insurance claims processing. The system can be expanded to additional sensors and information sources as these become available on smartphone devices including, for instance, stereo/depth sensing modalities. Additionally, in some embodiments, the image capture process can be interactive, with an application (“app”) installed on a smartphone or other client device that guides a user through the process of capturing images of the damaged vehicle.
[0031] In one example implementation, images (e.g., photos or videos) showing damage to the vehicle are captured soon after the damage occurs. The images can be taken with a mobile phone and sent to a server by the vehicle owner or driver over a cellular or wireless network connection, either through a proprietary platform such a mobile application or through a web-based service. In some embodiments, an insurance company field inspector or adjustor visits the vehicle site, captures the requisite images and uploads them to the server, as is currently done in some jurisdictions or countries. In further embodiments, the images can be captured by an auto repair shop to which the vehicle is taken after an accident.
[0032] In embodiments where a mobile phone is used to collect the images, information about the camera's location from the mobile phone GPS system, the camera's orientation from the mobile phone's gyroscope and accelerometer, the time at which the images are taken, and the camera's resolution, image format, and related attributes can also be provided to the server.」
「(訳)【0030】 自動的な車両損傷評価システムは、最先端のコンピュータビジョンと機械学習技術とを活用し、自動保険金請求の提出および決済プロセスを部分的または完全に自動化することで、自動保険金請求処理の効率化を図る、その種で初めてのシステムである。当該システムは、例えばステレオ/深度測定モダリティなど、スマートフォン端末で利用できるようになったセンサや情報源を追加して拡張することができる。さらに、いくつかの実施形態において、画像の撮像プロセスは、スマートフォンまたは他のクライアント装置にインストールされた、損傷した車両の画像を撮るプロセスを通じてユーザを案内するアプリケーション(「アプリ」)を伴うインタラクティブなものとすることができる。
【0031】 一実施例において、車両の損傷を示す画像(例えば、写真またはビデオ)は、損傷が発生した直後に撮像される。画像は携帯電話で撮像され、モバイルアプリケーションのようなプロプライエタリプラットフォーム、またはウェブベースのサービスを通じて、車両の所有者または運転手によって、携帯電話または無線ネットワーク接続を介してサーバに送信されてもよい。一部の実施形態では、保険会社の現場検査官またはアジャスタが車両現場を訪問し、必要な画像を撮像してサーバにアップロードする。さらなる実施形態では、事故後に車両が運ばれた自動車修理店によって画像を撮ることができる。
【0032】 画像を収集するために携帯電話が使用される実施形態では、携帯電話のGPSシステムからのカメラの位置に関する情報、携帯電話のジャイロスコープおよび加速度計からのカメラの方向、画像が撮影された時間、カメラの解像度、画像ファイル形式、およびこれらに関連する属性もサーバに提供できる。」
「[0034] Certain “metadata” about the vehicle are also available and stored in a database accessible by the server. The metadata includes at least the vehicle make, model, and year. The metadata may optionally include images of the vehicle prior to the occurrence of damage.
[0035] According to embodiments of the disclosure, the assessment of damage and associated repair costs relies upon image processing and machine learning technologies. Computer vision techniques are used to first clean the received images of unwanted artifacts, such as background clutter and specular reflections, and then, to find the best matching image of a reference vehicle of the same make/model/year. The system compares the received images with the corresponding reference images along several attributes, e.g., edge distribution, texture, and shape. Using a variety of computer vision techniques, the system recognizes where and how the received images depart from the reference images, and identifies the corresponding part(s) and/or regions on the exterior of the vehicle that are damaged. The reference images can, in some embodiments, be derived from a commercial 3D model of a vehicle of the same make and model, or from images of the same vehicle taken prior to the occurrence of damage in the current claim, e.g., at the time of purchase of the auto policy.
[0036] Alternatively and in parallel, a deep learning system (e.g., Convolutional Neural Network) is trained on a large number of images of damaged vehicles and corresponding information about damage, e.g., its extent and location on the vehicle, which are available from an insurance company's auto claims archives, in order to learn to assess damage presented with input images for a new auto claim. Such a pattern learning method can predict damage to both the exterior and interior of the vehicle, as well as the associated repair costs. The assessment of damage to the exterior determined by the image processing system can be used as input to the pattern learning system in order to supplement and refine the damage assessment. The current level of damage can be compared with the level of damage prior to filing of the current claim, as determined using image processing of prior images of the vehicle with the same system.
[0037] A comprehensive damaged parts list is then generated to prepare an estimate of the cost required to repair the vehicle by looking up in a parts database for parts and labor cost. In the absence of such a parts database, the system can be trained to predict the parts and labor cost associated with a damage assessment, since these are also available in the archival data. In some embodiments, the regions and/or areas of damage on the exterior of the vehicle can also be identified.」
「(訳)【0034】 車両に関する特定の「メタデータ」も利用可能であり、サーバからアクセス可能なデータベースに格納されている。メタデータには、少なくとも車種、モデル、年式が含まれる。メタデータは、オプションとして、損傷発生前の車両の画像を含むことができる。
【0035】 本開示の実施形態によれば、損傷および関連する修理費用の評価は、画像処理および機械学習技術に頼っている。コンピュータビジョン技術が、最初に、背景の乱雑さおよび鏡面反射などの不要なアーチファクトを受信画像から除去するために使用され、次に、同じメーカ/モデル/年式の参照車両のうち最も一致する画像を見つけるために使用される。システムは、受信した画像と対応する参照画像とを、エッジ分布、テクスチャ、形状などの複数の属性にしたがって比較する。システムは、様々なコンピュータビジョン技術を使用して、受信した画像が参照画像とどの部分でどのように相違しているかを認識し、車両の外装上の損傷している(複数の)部分および/または領域を特定する。いくつかの実施形態において、参照画像は、同じメーカおよびモデルの車両の市販の3Dモデルから、または、現在の請求における損傷の発生前、例えば自動車保険の購入時に撮られた同じ車両の画像から得ることができる。
【0036】 代替的におよび並行して、ディープラーニングシステム(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)は、保険会社の自動保険金請求のアーカイブから入手可能な、損傷した車両の多数の画像と、これらに対応する損傷に関する情報、例えば、その程度および車両上の位置と、で訓練することによって、新たな自動保険金請求のための入力画像で提示された損傷を評価することを学習する。このようなパターン学習法は、車両の外装および内装の両方の損傷と、関連する修理費用と、を予測することができる。画像処理システムによって判定された外装の損傷の評価は、損傷評価を補足し改良するために、パターン学習システムへの入力として使用することができる。現在の損傷レベルを、同じシステムで車両の過去の画像を画像処理して判定された、現在の請求前の損傷レベルと比較することができる。
【0037】 次に、包括的な損傷部品リストが作成され、部品データベースで部品および労働費用を検索することにより、車両の修理に必要な費用の見積もりが準備される。このような部品データベースが存在しない場合、これらもアーカイブデータにより利用可能であるため、損傷評価に関連する部品および労働費用を予測するようにシステムを訓練することができる。いくつかの実施形態では、車両の外装上の損傷の領域および/または範囲を特定することもできる。」
「[0040] Also, customer satisfaction is enhanced in multiple ways. First, the system can rapidly identify the claims that have a small amount of damage and the claims that have such severe damage that the vehicle can not be repaired and is a “total loss.” In at least these two cases, the customer can be sent a settlement check almost immediately upon filing of the claim, with minimal involvement of human adjustors. In other cases, where the damage falls between the two extremes and the vehicle has to be taken to an auto repair shop, appraisal of the damage by the shop can be automatically checked by the system, leading to detection of potentially fraudulent claims, again with minimal requirement of a human adjustors' time and effort.
[0041] Turning now to the figures, FIG. 1 is a block diagram of a system 100 in accordance with certain embodiments of the disclosure. The system 100 includes a server or cluster of servers 102, one or more client devices labeled 104-1 through 104-n, an adjuster computing device 106, several network connections linking client devices 104-1 through 104-n to server(s) 102 including the network connections labeled 108-1 through 108-m, one or more databases 110, and a network connection 112 between the server(s) 102 and the adjuster computing device 106.」
「(訳)【0040】また、顧客満足度は色々な意味で向上する。一つ、このシステムは、軽微な損傷の保険金請求と、車両が修理不能で「全損」となるほどの深刻な損傷保険金請求と、を迅速に識別することができる。少なくともこれら2つのケースでは、人間のアジャスタの関与を最小限に抑え、請求を提出するとほぼ即座に顧客に決済小切手を送付することができる。その他の、損傷が上述した両極端の間にあり、車両を自動車修理店に持ち込む必要がある場合は、自動車修理店による損傷の鑑定をシステムで自動的にチェックすることができ、潜在的な不正請求の検出につながり、人間のアジャスタの時間および労力が同様に最小限で済む。
【0041】ここで図面に移ると、図1は、本開示の実施形態に従ったシステム100のブロック図である。システム100は、サーバまたはサーバのクラスタ102、1つまたは複数のクライアント装置104-1~104-n、アジャスタコンピューティング装置106、クライアント装置104-1~104-nをサーバ102に接続する複数のネットワーク接続108-1~108-m、1つまたは複数のデータベース110、サーバ102とアジャスタコンピューティング装置106の間のネットワーク接続112を有している。」
[0064] At step 406, the server infers internal damage to the vehicle from detected external damage. Once the externally damaged parts are identified, the server can look up in a database which internal parts are also likely to be replaced based on the set of damaged external parts. This inference can be based on historical models for which internal parts needed to be replaced given certain external damage in prior repairs.
[0065] At step 408, the server calculates an estimates repair cost for the vehicle based on the detected external damage and inferred internal damage. The server accesses one or more databases of parts and labor cost for each external and internal part that is estimated to need repair or replacement. The estimate can be provided to an insurance claim adjuster for review, adjustment, and approval.
[0066] FIG. 5 is a flow diagram of method steps for performing image processing on one or more images to detect external damage of the vehicle, according to one embodiment of the disclosure. In some embodiments, the steps of the method shown in FIG. 5 provided an implementation of step 404 from FIG. 4.
[0067] As shown in FIG. 5, the method begins at step 502, where a server performs image cleaning to remove background and specular reflection. As step 504, the server performs image alignment to align the image to a reference image. As step 506, the server performs image segmentation to divide the vehicle into vehicle parts. As step 508, the server performs damage assessment based on (a) edge distribution, (b) texture, and (c) spatial correlation.」
「(訳)【0064】 ステップ406において、サーバは、検出された外部損傷から車両の内部損傷を推測する。外部の損傷した部品が特定されると、サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索できる。この推論は、以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づくことができる。
【0065】 ステップ408において、サーバは、検出された外部損傷および推定された内部損傷に基づいて、車両の推定修理費用を計算する。サーバは、修理または交換が必要と推定される各外部部品および内部部品の部品および労働費用の1つまたは複数のデータベースにアクセスする。見積もりは、レビュー、調整および承認のために保険金請求のアジャスタに提供することができる。
【0066】 図5は、本開示の一実施形態による、車両の外部損傷を検出するために1つ以上の画像に対して画像処理を実行するための方法ステップのフロー図である。いくつかの実施形態では、図5に示す方法のステップは、図4からのステップ404の実装を提供した。
【0067】 図5に示すように、本方法はステップ502から始まり、サーバは背景と鏡面反射を除去するために画像クリーニングを実行する。ステップ504として、サーバは画像を基準画像に位置合わせする画像位置合わせを実行する。ステップ506として、サーバは車両を車両部品に分割するために画像セグメンテーションを実行する。ステップ508として、サーバは(a)エッジ分布、(b)テクスチャ、(c)空間相関に基づく損傷評価を行う。」
「[0117] FIG. 12 is a conceptual diagram illustrating comparing a window from a reference image to a corresponding window of an input image where damage is detected, according to one embodiment of the disclosure. As shown, damage is detected since the threshold different from edge distribution, texture, and spatial correlation exceeds the respective threshold. As described, in some embodiments, if one of the metrics exceeds the threshold, then damage is detected. In other embodiments, two or three metrics exceeding the threshold indicate that damage is detected.
[0118] FIG. 13 is a conceptual diagram illustrating the various windows in an input image where damage is detected, according to one embodiment of the disclosure. Now that the several indicators of damage within each window have been aggregated, for each vehicle part in the image found during the segmentation step, embodiments of the disclosure compute whether the fraction of “damaged” windows to the total number of windows covering the part exceeds a threshold. If it does, the whole part is declared as damaged. Otherwise, it is not damaged. The “damaged” windows are themselves combined together within their outer boundaries, which can be displayed to show the location of damage within each part, as shown in FIG. 13. The fraction of damaged area can be regarded as an indicator of the severity of damage to the part.」
「(訳)【0117】 図12は、本開示の一実施形態による、参照画像のウィンドウと、損傷が検出された入力画像の対応するウィンドウと、を比較するステップを示す概念図である。図に示すように、エッジ分布、テクスチャおよび空間相関とは異なる閾値がそれぞれの閾値を超えているため、損傷が検出される。説明したように、いくつかの実施形態では、メトリックの1つが閾値を超える場合、損傷が検出される。他の実施形態では、2つまたは3つのメトリックが閾値を超えることが、損傷が検出されたことを示す。
【0118】 図13は、本開示の一実施形態による、損傷が検出される入力画像内の様々なウィンドウを示す概念図である。各ウィンドウ内の損傷の複数の指標が集約されたら、本開示の実施形態は、セグメンテーションステップ中に検出された画像内の各車両部品について、その部品をカバーするウィンドウの総数に対する「損傷した」ウィンドウの割合が閾値を超えるか否かを計算する。閾値を超えた場合、その部品全体が損傷していると判定される。そうでなければ、その部品は損傷していない。図13に示すように、「損傷した」窓は、それ自体、外側の境界線内で組み合わされ、各部品内の損傷の位置を示すために表示することができる。損傷領域の割合は、部品の損傷の程度を示す指標とみなすことができる。」
[0120] Referring back to FIG. 4, once external damage is detected at step 404, internal damage can be inferred at step 406. Since there is no direct evidence of damage to internal parts from images of the damaged vehicle, embodiments of the disclosure infer damage to internal parts from damage to the external parts. In one implementation, pattern mining large amounts of data of past auto claims can be used to infer damage to the internal parts.
[0121] Some embodiments take a large number (e.g., on the order of thousands) of auto claims that contains images of the damaged vehicles and the corresponding appraisals of damaged parts, as found by auto repair shops for repair purposes. Taken together, these historical claims provide enough evidence to establish a high degree of correlation between damage visible in the images and the entire list of damaged parts, both internal and external. In one embodiment, a Convolutional Neural Network (CNN) is trained to learn this correlation. A CNN is a type of mathematical device called a neural network that can be gradually tuned to learn the patterns of correlation between its input and output from being presented a large number of exemplars of input/output pairs called training data. CNNs are configured to take into account the local structure of visual images and invariance properties of objects that are present in them. CNNs have been shown to be highly effective at the task of recognition of objects and their features provided there are enough exemplars of all possible types in the data used to train them. Some embodiments train a CNN to output a complete list of damaged parts when presented with the set of images associated to an auto claim. This includes both internal and external parts. The performance of the CNN can be made more robust when it is presented with the output of the external damage detection system described above. The output of the external damage detection system “primes” the CNN with the information about which external parts are more likely to be damaged, and thereby, increases its accuracy and speed of convergence to the solution.
[0122] After both external and internal damaged parts are identified, the system can calculate an estimated repair cost at step 408. To arrive at the estimated cost of parts and labor needed for repairing the vehicle, some embodiments provide the damaged parts list to a database of parts and labor costs. Several such databases exist and are already used by auto repair shops and insurance adjustors on a daily basis once a parts list is identified.
[0123] FIGS. 14-21 are screenshots of example interface screens of a vehicle claims application on a client device, according to various embodiments of the disclosure. As described, a vehicle claims application, such as vehicle claims application 218 in FIG. 2, may be used to capture images of a damaged vehicle and upload them to a server for processing.
[0124] FIG. 14 shows an example log-in screen of vehicle claims application. Once the user is authenticated, a home screen may be displayed, as shown in FIG. 15. Various links can be provided on the home screen to initiate a new claim 1502, review current policies 1504, review prior claims (“My Claims”), find nearby repair shops, view emergency contacts, view the user's profile, and view information about an insurance company (“About Us”). Selecting the current policies 1504 link may display policy information, as shown in FIG. 16.」
「(訳)【0120】
図4に示すように、ステップ404で外部損傷が検出されると、ステップ406で内部損傷を推定することができる。損傷した車両の画像には内部部品の損傷の直接的な証拠がないため、本開示の実施形態は、車両の損傷から内部部品の損傷を推定する。一実施形態では、過去の自動保険金請求に関する大量のデータのパターンマイニングを使用して、内部部品の損傷を推測することができる。
【0121】 いくつかの実施形態では、修理目的のため自動車修理店にて見つかる、損傷した車両の画像と、それに対応する損傷した部品の鑑定と、を含む、多数の(例えば、数千程の)自動保険金請求を使用する。これらの過去の請求を総合すると、画像に見える損傷と、内部および外部の損傷部品のリスト全体と、の間に高度な相関関係を確立するのに十分な証拠が得られる。一実施形態では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、この相関関係を学習するために訓練される。CNNは、ニューラルネットワークと呼ばれる数学的装置の一種であり、訓練データと呼ばれる入力/出力ペアの多数の模範例にさらされることから、その入力と出力との間の相関関係のパターンを学習するように徐々に調整することができる。CNNは、視覚イメージの局所構造と、その中に存在するオブジェクトの不変特性とを考慮するように構成されている。CNNは、訓練に使用されるデータに十分な数の、すべての可能なタイプの模範があれば、物体およびその特徴の認識課題に非常に効果的であることが立証されている。いくつかの実施形態において、CNNは、自動保険金請求に関連する画像セットが提示されたときに、損傷部品の完全なリストを出力するように訓練される。これには内部部品と外部部品との両方が含まれる。CNNの性能を、上述した外部損傷検出システムの出力を提示することによって、よりロバストにすることができる。外部損傷検出システムの出力は、どの外部部品が損傷している可能性が高いかについての情報でCNNに「重みを付し」、それによってCNNの精度と解への収束速度とを高める。
【0122】 外部損傷部品と内部損傷部品との両方が特定された後、システムはステップ408で推定修理費用を計算することができる。車両を修理するために必要な部品および労働の推定費用を算出するために、いくつかの実施形態では、損傷部品リストを部品および労働の費用のデータベースに提供する。このようなデータベースはいくつか存在し、部品リストが一旦特定されたものは、自動車修理店および保険アジャスタによって既に日常的に使用されている。」
【0123】 図14~21は、本開示のさまざまな実施形態による、クライアント装置上の自動保険金請求アプリケーションのインターフェイス画面の例のスクリーンショットを示す。既に説明したように、図2に示す自動保険金請求アプリケーション218などの自動保険金請求アプリケーションは、損傷した車両の画像をキャプチャし、処理のためにサーバーにアップロードするために使用できる。
【0124】 図14は、自動保険金請求アプリケーションのログイン画面の例を示す。図15に示すように、ユーザが認証されると、ホーム画面が表示することができる。ホーム画面には、新しい請求の開始1502、現在のポリシーの確認1504、以前の請求(「私の請求」)の確認、近くの修理店の検索、緊急連絡先の表示、ユーザのプロフィールの表示、および保険会社について(「当社について」)の情報の表示のための様々なリンクを提供することができる。図16に示すように、現在のポリシー1504のリンクを選択すると、ポリシー情報を表示することができる。」
「[0131] In some embodiments, in order to assist the adjustors to make decisions quickly and easily using the output of the disclosed automated system, damaged area in each input image are marked in a contrasting color. Also, a label can be put onto the damaged part. Some embodiments then project the images onto the 3D model of the vehicle using the camera angles determined during the alignment process. The 3D model then shows the damage to the vehicle in an integrated manner. The adjustor can rotate and zoom in on the 3D model as desired. When the adjustor clicks on a damaged part, the interface may show all the original images that contain that part on the side, so that the adjustor can easily examine in the original images where the damage was identified.」
「(訳)【0131】 いくつかの実施形態では、開示された自動化システムの出力を用いてアジャスタが迅速かつ容易に決定を下すのを支援するために、各入力画像内の損傷部位に対照的な色で印を付ける。また、損傷部分にラベルを貼ることもできる。次に、いくつかの実施形態では、アライメントプロセス中に決定されたカメラアングルを使用して、車両の3Dモデルに画像を投影する。3Dモデルは、車両の損傷を統合的に表示する。アジャスタは、3Dモデルを必要に応じて回転させたり拡大したりすることができます。アジャスタが損傷箇所をクリックすると、インターフェースはその箇所を含むすべての元画像を側面に表示することができ、アジャスタは元画像で損傷が特定された箇所を簡単に調べることができます。」
「[0139] Some embodiments use machine learning to perform the task of prediction of vehicle damage from an auto claim. Thousands of historical auto claims are stored in one or more databases, such as database 110 in FIG. 1, for training and testing of the disclosed system. The database also stored auto claim images and other pieces of information that come with a claim, such as vehicle make, model, color, age, and current market value, for example. The desired output of the disclosed machine learning system is the damage appraisal as prepared by a repair shop consisting of a list of parts that were repaired or replaced and the corresponding costs of repair, both for parts and labor. Another desired output is the determination of the loss type, namely, total loss, medium loss, or small loss, for example.」
「(訳)【0139】 いくつかの実施形態は、機械学習を使用して、自動保険金請求から車両の損傷を予測する課題を実行する。何千もの過去の自動保険金請求が、図1のデータベース110などの1つまたは複数のデータベースに、本開示のシステムの訓練および試験のために記録されている。データベースには、自動保険金請求の画像と、自動車のメーカ、モデル、色、年式および現在の市場価格など、保険金請求に付随するその他の情報と、も保存されている。本開示の機械学習システムの望ましい出力は、修理または交換された部品のリストと、部品および労働の両方に対応する修理の費用からなる、修理店によって作成されるような損害鑑定である。別の望ましい出力は、損失タイプ、すなわち、例えば全損失、中損失、または小損失の決定である。」
「[0163] In the exterior damage detection engine 2506, in one implementation, there is one CNN for each of the exterior vehicle parts, trained to predict damage to that part. In one implementation, a vehicle is divided up into twenty-four (24) exterior parts, and thus, twenty-four (24) vehicle part CNNs, including:
[0164] Pr1=‘Front Bumper’;
[0165] Pr2=‘Back Bumper’;
[0166] Pr3=‘Front Windshield’;
[0167] Pr4=‘Back Windshield’;
[0168] Pr5=‘Hood’;
[0169] Pr6=‘Car Top’;
[0170] Pr7=‘Front Grill’;
[0171] Pr8=‘Left Front Fender’;
[0172] Pr9=‘Left Front Headlight’;
[0173] Pr10=‘Left Side’;
[0174] Pr11=‘Left Back Headlight’;
[0175] Pr12=‘Left Front Window’;
[0176] Pr13=‘Left Back Window’;
[0177] Pr14=‘Left Front Door’;
[0178] Pr15=‘Left Back Door’;
[0179] Pr16=‘Right Front Fender’;
[0180] Pr17=‘Right Front Headlight’;
[0181] Pr18=‘Right Side’;
[0182] Pr19=‘Right Back Headlight’;
[0183] Pr20=‘Right Front Window’;
[0184] Pr21=‘Right Back Window’;
[0185] Pr22=‘Right Front Door’;
[0186] Pr23=‘Right Back Door’; and
[0187] Pr24=‘Trunk’.」
「(訳)【0163】 外装損傷検出エンジン2506において、一実施態様では、外装車両部品ごとに1つの、その部品の損傷を予測するように訓練されているCNNがある。一実施態様では、車両は24個の外装部品に分割され、したがって24個の車両部品CNNが存在し、CNNは、
【0164】 Pr1=「フロントバンパ」;
【0165】 Pr2=「バックバンパ」;
【0166】 Pr3=「フロント風防ガラス」;
【0167】 Pr4=「バック風防ガラス」;
【0168】 Pr5=「フード」;
【0169】 Pr6=「カートップ」;
【0170】 Pr7=「フロントグリル」;
【0171】 Pr8=「左フロントフェンダ」;
【0172】 Pr9=「左フロントヘッドライト」;
【0173】 Pr10=「左側」;
【0174】 Pr11=「左バックヘッドライト」;
【0175】 Pr12=「左フロントウィンドウ」;
【0176】 Pr13=「左バックウィンドウ」;
【0177】 Pr14=「左フロントドア」;
【0178】 Pr15=「左バックドア」;
【0179】 Pr16=「右フロントフェンダ」;
【0180】 Pr17=「右フロントヘッドライト」;
【0181】 Pr18=「右側」;
【0182】 Pr19=「右バックヘッドライト」;
【0183】 Pr20=「右フロントウィンドウ」;
【0184】 Pr21=「右バックウィンドウ」;
【0185】 Pr22=「右フロントドア」;
【0186】 Pr23=「右バックドア」;および
【0187】 Pr24=「トランク」
を含む。」
「[0190] After all the images in a claim have been presented to the exterior damage detection engine 2506, the machine learning system has a prediction for damage to each of the exterior parts that we can infer from the collection of images for the claim.
[0191] This information is passed from the exterior damage detection engine 2506 to the interior damage engine 2508. The interior damage engine 2508 predicts damage to the interior parts of the vehicle from the exterior damage assessment output by the exterior damage detection engine 2506. One implementation employs a Markov Random Field (MRF) in the interior damage engine 2508. An MRF defines a joint probability distribution over a number of random variables whose mutual dependence structure is captured by an undirected (mathematical) graph. The graph includes one node for each random variable. If two nodes are connected by an edge, the corresponding random variables are mutually dependent. The MRF joint distribution can be written as a product of factors, one each of a maximal clique (a maximal fully connected subgraph) in the graph.」
「(訳)【0190】 請求におけるすべての画像が外装損傷検出エンジン2506に提示された後、機械学習システムは、請求用の画像の集合から推測できる外装部品のそれぞれに対する損傷の予測をする。
【0191】
この情報は、外部損傷検出エンジン2506から内部損傷エンジン2508に送信される。内部損傷エンジン2508は、外部損傷検出エンジン2506によって出力された外部損傷の評価から車両の内部部品の損傷を予測する。一実施態様において、内部損傷エンジン2508は、マルコフランダム場(MRF)を採用する。MRFは、無向(数学的)グラフによってそれらの相互依存構造を捉えられる多数の確率変数にわたる同時確率分布を定義する。グラフは、確率変数ごとに1つのノードを含む。2つのノードがエッジで接続されている場合、対応する確率変数は相互に依存する。MRF同時分布は、グラフ内の最大クリーク(最大の完全に結合されたサブグラフ)のそれぞれ1つずつの因数の積として記述することができる。」
「
[図:0001427367000002.jpg]
」
「
[図:0001427367000003.jpg]
」
イ 甲2発明の認定
上記アに示した記載事項によれば、甲2の段落【0005】には、「車両の修理費用を自動的に推定するための方法であって、サーバコンピューティング装置において、クライアントコンピューティング装置から損傷した車両の1つまたは複数の画像を、電子ネットワークを介して受信するステップと、・・・、を含む方法を提供する。」と記載され、段落【0041】には、「システム100は、サーバまたはサーバのクラスタ102、1つまたは複数のクライアント装置104-1~104-n、アジャスタコンピューティング装置106、クライアント装置104-1~104-nをサーバ102に接続する複数のネットワーク接続108-1~108-m、1つまたは複数のデータベース110、サーバ102とアジャスタコンピューティング装置106の間のネットワーク接続112を有している。」と記載されている。
ここで、段落【0005】に記載の「サーバコンピューティング装置」、「クライアントコンピューティング装置」、「電子ネットワーク」は、それぞれ段落【0041】に記載の「システム」が有する「サーバ」、「クライアント装置」、「ネットワーク接続」に対応するものであることは明らかであるから、段落【0005】、【0041】の上記記載に鑑みると、甲2には、「システム」が「車両の修理費用を自動的に推定する」「方法」が記載されており、「システムはサーバ、クライアント装置、クライアント装置をサーバに接続するネットワーク接続、及び複数のデータベースを有する」ことが記載されているといえる。
よって、上記アに示した記載事項によれば、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲2発明]
「 システムが車両の修理費用を自動的に推定する方法であって(段落【0005】、【0041】)、
システムはサーバ、クライアント装置、クライアント装置をサーバに接続するネットワーク接続、及び複数のデータベースを有しており(段落【0041】)、
サーバにおいて、クライアント装置から損傷した車両の1つまたは複数の画像を、ネットワーク接続を介して受信するステップと、1つまたは複数の画像の各々に対して画像処理操作を実行して、車両の第1の部品セットに対する外部損傷を検出するステップと、検出された外部損傷に基づいて、車両の第2の部品セットに対する内部損傷を推定するステップと、第1および第2の部品セットにおける各部品の修理費用および労働費用を含む部品データベースへアクセスすることによって、検出された外部損傷および推定された内部損傷に基づいて、車両の推定修理費用を計算するステップと、を含む方法であり(【0005】)、
車両に関する特定の「メタデータ」も利用可能であり、サーバからアクセス可能なデータベースに格納されており、メタデータには、少なくとも車種、モデル、年式が含まれ、メタデータは、オプションとして、損傷発生前の車両の画像を含むことができ(段落【0034】)、
コンピュータビジョン技術が、同じメーカ/モデル/年式の参照車両のうち最も一致する画像を見つけるために使用され、システムは、受信した画像と対応する参照画像とを比較し、様々なコンピュータビジョン技術を使用して、受信した画像が参照画像とどの部分でどのように相違しているかを認識し、車両の外装上の損傷している(複数の)部分および/または領域を特定し(段落【0035】)、
ディープラーニングシステム(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)は、保険会社の自動保険金請求のアーカイブから入手可能な、損傷した車両の多数の画像と、これらに対応する損傷に関する情報、例えば、その程度および車両上の位置と、で訓練することによって、新たな自動保険金請求のための入力画像で提示された損傷を評価することを学習し、このようなパターン学習法は、車両の外装および内装の両方の損傷を予測することができ(段落【0036】)、
サーバは、検出された外部損傷から車両の内部損傷を推測し、外部の損傷した部品が特定されると、サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索でき、この推論は、以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づくことができ(段落【0064】)、
サーバは、修理または交換が必要と推定される各外部部品および内部部品の部品および労働費用の1つまたは複数のデータベースにアクセスし(段落【0065】)、
サーバは車両を車両部品に分割するために画像セグメンテーションを実行し(段落【0067】)、
参照画像のウィンドウと、損傷が検出された入力画像の対応するウィンドウと、を比較するステップでは(段落【0117】)、
各ウィンドウ内の損傷の複数の指標が集約されたら、セグメンテーションステップ中に検出された画像内の各車両部品について、その部品をカバーするウィンドウの総数に対する「損傷した」ウィンドウの割合が閾値を超えるか否かを計算し、閾値を超えた場合、その部品全体が損傷していると判定され、そうでなければ、その部品は損傷していないとされ、損傷領域の割合は、部品の損傷の程度を示す指標とみなすことができ(段落【0118】)、
外部損傷が検出されると内部損傷を推定するものであって、過去の自動保険金請求に関する大量のデータのパターンマイニングを使用して、内部部品の損傷を推測することができ(段落【0120】)、
損傷した車両の画像と、それに対応する損傷した部品の鑑定と、を含む、多数の(例えば、数千程の)自動保険金請求を使用し、これらの過去の請求を総合すると、画像に見える損傷と、内部および外部の損傷部品のリスト全体と、の間に高度な相関関係を確立するのに十分な証拠が得られ、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、この相関関係を学習するために訓練され(段落【0121】)、
機械学習システムの望ましい出力は、修理または交換された部品のリストと、部品および労働の両方に対応する修理の費用からなる、修理店によって作成されるような損害鑑定であり(【0139】)、
外装損傷検出エンジンには、外装車両部品ごとに1つの、その部品の損傷を予測するように訓練されているCNNがあり、車両は24個の外装部品に分割され、したがって24個の車両部品CNNが存在し、CNNは、Pr1=「フロントバンパ」、Pr2=「バックバンパ」などを含み(段落【0163】~【0187】)、
請求におけるすべての画像が外装損傷検出エンジンに提示された後、機械学習システムは、請求用の画像の集合から推測できる外装部品のそれぞれに対する損傷の予測をするものであって(【0190】)、
内部損傷エンジンは、外部損傷検出エンジンによって出力された外部損傷の評価から車両の内部部品の損傷を予測する(段落【0191】)、
システムが車両の修理費用を自動的に推定する方法。」
(3)甲3(欧州特許出願公開第3200139号明細書)
甲3には、以下の記載がある。訳は請求人が提出したものによる。
「[0018] In the illustrative examples illustrated and described herein, a deep neural network (DNN) is an artificial neural network (ANN) with multiple hidden layers of units between the input and output layers. A DNN can perform a number of different operations including by way of example modelling complex non-linear relationships for automated property damage appraisal. An artificial neural network (ANN) is an information processing paradigm that is inspired by the way biological nervous systems, such as the how the human brain, processes information. One of the elements of this paradigm is the novel structure of the information processing system. Repair procedure templates with respect to automated damage appraisals are meticulously curated vehicle year/make/model-specific collections of data about replacement parts and/or repair operations determined by certified vehicle repair experts and/or from manufacturer data, following vehicle manufacturer recommended repair procedures and guidelines, to be the necessary and optimal parts and operations required to repair a specified section of a damaged vehicle and restore it to manufacturer approved specifications and safety tolerances. Rules of adjacency with respect to automated damage appraisal comprise an expertly authored hierarchal rule structure that defines the relationships between collision repair operation types by identifying how a given specific collision repair operation necessarily requires, likely requires or relates to one or more additional specific collision repair operations. Semi-supervised machine learning with respect to automated damage appraisal is a class of supervised learning tasks and techniques that also make use of unlabeled data for training - typically a small amount of labeled data with a large amount of unlabeled data.」
「(訳)【0018】 本願明細書に図示され説明される実施例において、ディープニューラルネットワーク(DNN)は、入力層と出力層との間にユニットの複数の隠れ層を有する人工ニューラルネットワーク(ANN)である。DNNは、例えば自動化された財物損傷の鑑定のための複雑な非線形関係のモデル化など、様々な操作を実行できる。人工ニューラルネットワーク(ANN)は、人間の脳などの生物学的な神経系が情報を処理する方法からヒントを得た情報処理パラダイムである。当該パラダイムの要素の1つは、情報処理システムの新規な構造である。自動化された損傷の鑑定に関する修理手順のテンプレートは、損傷した車両の特定の部分を修理し、メーカが承認する基準および安全許容範囲を復元するために要求される最適な部品および作業に必要とされる、車両メーカが推奨する修理手順およびガイドラインに従って、認定された車両修理の専門家によって、および/またはメーカのデータから判定された、交換部品および/または修理作業に関する車両の年式/メーカ/モデル固有の、細心の注意を払って厳選されたデータのコレクションである。自動化された損傷の鑑定に関する隣接ルールは、特定の衝突修復操作が、1つまたは複数の追加的な特定の衝突修復操作をどのように必然的に必要とするか、必要とし得るか、または1つまたは複数の追加の特定の衝突修復操作にどのように関連するかを特定することにより、衝突修復操作タイプ間の関係性を定義する、専門家が作成した階層的なルール構造を含む。自動化された損傷の鑑定に関する半教師あり機械学習は、教師あり学習のタスクおよび手法の一種であり、トレーニングにラベルなしデータ(通常、少量のラベル付きデータと大量のラベルなしデータ)も利用する。」
「[0033] Next, in step 402 the appraisal management computing apparatus 12(1) may obtain one or more the captured images from one of the imaging devices 14(1)-14(n) via an internet connection or other communication network 20, although the appraisal management computing apparatus 12(1) can obtain the necessary images in other manners. Additionally, the appraisal management computing apparatus 12(1) may receive or otherwise obtain other data relating to the property to be appraised for damage, such as a vehicle identification number (VIN) of the vehicle to use as an identifier (ID) of the property, a year and a make, and/or model of the vehicle by way of example only from a received data input from a user computing device or other device used by the insured/claimant coupled to the appraisal management computing apparatus 12(1), although this data can be obtained in other manners, such as by requesting and receiving identifier and other vehicle data from the property information storage server device 16 and/or by utilizing image recognition software to scan and retrieve the data from the one or more obtained images of the property, and/or from other sources in other manners.」
「(訳)【0033】 次に、ステップ402において、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、インターネット接続または他の通信ネットワーク20を介して、撮像デバイス14(1)~14(n)のうちの1つから、1つまたは複数の撮像された画像を取得することができるが、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、他の方法で必要な画像を取得することもできる。さらに、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、鑑定管理コンピューティング装置12(1)に結合された被保険者/請求者によって使用されるユーザコンピューティングデバイスまたは他のデバイスからの受信データ入力から、一例としてのみ、財物の識別子(ID)として使用する車両の車両識別番号(VIN)、車両の年式および製造元、および/またはモデルなどの、損傷について鑑定されるべき財物に関連する他のデータを受信または他の方法で取得することができるが、このデータは、財物情報保管サーバデバイス16から識別子および他の車両データを要求および受信する、および/または、財物の、1つまたは複数の取得した画像からデータをスキャンおよび取得するために画像認識ソフトウェアを利用することなどの他の方法によって、および/または、他の方法で他の情報源から取得することができる。」
「[0038] Next, the deep neural network (DNN) executed by the appraisal management computing apparatus 12(1) may analyze to determine if any of the identified images depict any damage and the extent of the damage, although other manners for determining if any of the one or more images depict any damage and the extent of the damage and other types of automated damage analysis may be executed at the same time or separately. By way of example only for a damaged vehicle, the appraisal management computing apparatus 12(1) may analyze each of the qualified images using a deep neural network (DNN) to determine if the images depict damage. In this example, the deep neural network (DNN) executed by the appraisal management computing apparatus 12(1) based on assessed classifications and confidences in the identified images above one or more corresponding configured stored threshold may identify damage and determine the extent of the damage, although other manners for automated identifying damage and the extent of the damage may be used. By way of example only, a diagram illustrating the identification and determination of the extent of damage, including a repair or replace analysis by using the deep neural network (DNN) executed by the appraisal management computing apparatus 12(1) is illustrated in FIG. 7B . Unlike prior software appraisal technologies for automating property damage appraisals, by using the deep neural network (DNN) executed by the appraisal management computing apparatus 12(1), highly specialized and costly instrumentation and technical training to operate as well as the creation and maintenance of a comprehensive catalog of benchmark examples of undamaged property are not required.」
「(訳)【0038】 次に、鑑定管理コンピューティング装置12(1)によって実行されるディープニューラルネットワーク(DNN)は、特定された画像のいずれかが損傷を表示しているかどうかおよび損傷の程度を判定するために分析してもよいが、1つまたは複数の画像のいずれかが損傷を表示しているかどうかおよび損傷の程度を決定するための他の方法、ならびに他のタイプの自動的な損傷の分析法が、同時にまたは別個に実行されてもよい。損傷した車両の場合の一例に限り、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、ディープニューラルネットワーク(DNN)を用いて適格の画像の各々を分析し、画像が損傷を表示しているか否かを判定してもよい。この実施例において、査定管理コンピューティング装置12(1)によって実行されるディープニューラルネットワーク(DNN)は、1つまたは複数の対応する、構成され記録された閾値を超える、特定された画像における査定された分類および確信度に基づいて、損傷を特定し、損傷の程度を判定してもよいが、損傷および損傷の程度を自動的に特定するための他の方法が使用されてもよい。一例としてのみ、鑑定管理コンピューティング装置12(1)によって実行されるディープニューラルネットワーク(DNN)を使用した、修理または交換の分析を含む損傷の程度の特定および決定が図7Bに示されている。このように、鑑定管理コンピューティング装置12(1)が実行するディープニューラルネットワーク(DNN)を使用することで、財物損傷の鑑定を自動化するための従来のソフトウェア鑑定技術とは異なり、高度に専門的で高価な機器および操作のための技術トレーニング、また、損傷のない財物のベンチマーク例の包括的なカタログの作成および管理が不要となる。」
「[0042] In step 410, the estimation generation module 34 in the appraisal management computing apparatus 12(1) may perform calculations using prescriptive analytics based on historical analytics on the updated generated list of one or more parts and/or one or more repair lines to generate a further updated list of one or more parts and/or one or more repair lines, although the prescriptive analytics may be applied to other parts of the automated damage appraisal. By way of example, the appraisal management computing apparatus 12(1) may compare the updated generated list of one or more parts and/or one or more repair lines against historical appraisal data retrieved from the appraisal records storage server device 18 for a similar repair or replacement of damage. Based on the comparison, the appraisal management computing apparatus 12(1) may automatically add, change, and/or remove a one or more parts and/or one or more repair lines to produce a further updated list of one or more parts and/or one or more repair lines. By way of further example only for a damaged vehicle, based on the historical review analysis the appraisal management computing apparatus 12(1) may add a repair line to blend panels adjacent to one of those being repaired or replaced based on the comparison and analysis resulting in a more accurate automated damage appraisal. A screenshot of an example of a user interface of the appraisal management computing apparatus illustrating recommendations generated from an analysis of historical data is illustrated in FIG. 12 .」
「(訳)【0042】 ステップ410において、鑑定管理コンピューティング装置12(1)内の推定生成モジュール34は、1つまたは複数の部品および/または1つまたは複数の修理ラインの、更新され生成されたリストに対して、履歴分析に基づく処方的分析を使用して計算を実行して、1つまたは複数の部品および/または1つまたは複数の修理ラインのさらなる更新されたリストを生成してもよいが、処方的分析は、自動化された損傷の鑑定の他の部分に適用されてもよい。一例として、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、1つまたは複数の部品および/または1つまたは複数の修理ラインの更新された生成されたリストを、損傷の同様の修理または交換のために鑑定記録保存サーバデバイス18から取得された過去の鑑定データと比較することができる。比較に基づいて、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、1つまたは複数の部品および/または1つまたは複数の修理ラインの更なる更新されたリストを生成するために、1つまたは複数の部品および/または1つまたは複数の修理ラインを自動的に追加、変更および/または削除してもよい。損傷した車両の場合の、さらなる一例としてのみ、履歴レビュー分析に基づいて、鑑定管理コンピューティング装置12(1)は、より正確な自動化された損傷の鑑定をもたらす比較および分析に基づいて、修理または交換されるものの1つに隣接するブレンドパネルに修理ラインを追加することができる。履歴データの分析から生成された推奨事項を示す鑑定管理コンピューティング装置のユーザインターフェースの一例のスクリーンショットが図12に示されている。」
(4)甲4(欧州特許出願公開第0982673号明細書)
甲4には、以下の記載がある。訳は請求人が提出したものによる。
「[0051] The data stored in the data portion 1b2 includes historical data of the vehicle to be repaired. In other words, as the historical data of the vehicle to be repaired, there are data of damage in the past of the vehicle to be repaired and data of repair (maintenance) in the past of the vehicle to be repaired. The damage data includes data such as a damaged portion (damaged region), a repair method for the damage (replacement of a part or refit of the part), data of a used part, a time of repair (year, month, and date), a repair price, image data of the damaged position, and the like. As the maintenance data, data such as data of a replaced part, data of degradation of the part (data of a fact that a certain part is necessary to be replaced after 10000 km of driving of the vehicle), and the like is included.
[0052] The historical data is stored as vehicle attribute data in the data portion 1b2 and can be retrieved based on an individual number such as a vehicle number, a client number, and the like. It is also possible to retrieve and refer to the historical data of a vehicle of the same type as the vehicle to be repaired as auxiliary data in a case of estimating a repair cost of the same type of vehicle.」
「(訳)【0051】 データ部1b2に記録されたデータには、修理されるべき車両の履歴データが含まれる。つまり、修理されるべき車両の履歴データとしては、修理されるべき車両の過去の損傷データと、修理されるべき車両の過去の修理(メンテナンス)データと、が存在する。損傷データには、損傷箇所(損傷領域)、損傷の修理方法(部品交換または部品の再取り付け)、中古部品のデータ、修理時期(年月日)、修理代金、および破損箇所の画像データ等が含まれる。メンテナンスデータとしては、交換した部品のデータおよび部品の劣化データ(車両が10000km走行した後に特定の部品の交換が必要であることについてのデータ)などが含まれる。
【0052】 履歴データは、車両属性データとしてデータ部1b2に記録されており、車両番号および顧客番号等の個体番号に基づいて取得することができる。また、同車種の修理費用を見積もる際の補助データとして、修理されるべき車両として同車種の履歴データを取得して参照することもできる。」
(5)甲6(米国特許第9886771号明細書)
甲6には、以下の記載がある。訳は請求人が提出したものによる。
(第5列第7行~第67行)
「In this case, the database 108 may store one or more base object models 120 (which may be, for example, two dimensional and/or three dimensional object models) defining or depicting one or more base objects upon which change detection image processing may be performed. Moreover, the database 108 may store changed or example target image files 122, which may be files that include images of changed target objects illustrating various manners in which changes to the base objects within the base object models 120 may occur. Still further, the database 108 may store information files 124 relating to or providing specific information about each of the changed target image files 122 or the changed objects within the changed target image files 122. In one example, in which the image processing system 100 may be used to detect changes to automobiles, such as to detect damage caused to an automobile in an accident, the base object models 120 may be three dimensional (or two dimensional) models of various automobiles upon which changes may be detected. Generally in this case, a different base object model 120 will be stored for each make/model/year or make/model/year/trim-type of automobile that is to be analyzed for damage. Still further, in this example, each of the changed image files 122 may include one or more images of a damaged vehicle (conforming to one of the make/model/year types, for example, of the base object models 120 stored in the database 108). Generally, each such changed image file 122 may include digital photos taken of a particular automobile that has been damaged in, for example, an accident. Such photos may be collected by, for example, owners of the automobiles depicted in the photos, an automobile insurer against whom an insurance claim was made for repairing or replacing the damaged automobile, etc. Still further, each of the information files 124 may store information pertaining to the damaged automobiles in one of the changed target image files 122, such as the make/model/year and trim-type of the damaged automobile, the country, state, city, zip code, and/or other geographical region in which the automobile was insured or damaged, the mileage of the damaged automobile, the color of the damaged automobile, the type of or location of the damage to the automobile, telematics data obtained from or about the damaged automobile associated with the accident, the parts which needed to be repaired or replaced as a result of the damage, the cost of repair or replacement of each such part, the type of damage to each such part, whether the automobile was considered a total loss as a result of the damage, the cost of repair of the automobile if the automobile was repaired, the insurer of the automobile, if any re-inspection was performed on the automobile during repair, capitation of the automobile, etc. Of course, other information could be stored for any or all of the changed target image files 122, and the type of information stored for each of the changed target image files 122 may vary depending on use, the type of object upon which change detection is to be performed, etc. As will be described in more detail herein, the base object models 120, the changed target image files 122, and the information files 124 may be used by the image processing system 100, for example, to perform primary and secondary processing on photographs of a newly damaged automobile to determine the type of and/or the extent of damage (change) to the damaged automobile.」
「(訳)この場合、データベース108には、変化検出画像処理を適用することができる1つまたは複数のベースオブジェクトを定義または表示する(例えば、2次元および/または3次元オブジェクトモデルであってもよい)1つまたは複数のベースオブジェクトモデル120が記録されていてもよい。さらに、データベース108には、ベースオブジェクトモデル120内のベースオブジェクトに関して想定される様々な態様の変化を例示する、変化したターゲットオブジェクトの画像を含むファイルであってもよい、変化または例示ターゲット画像ファイル122が記録されていてもよい。また、さらに、データベース108には、変化したターゲット画像ファイル122または変化したターゲット画像ファイル122内の変化したオブジェクトのそれぞれに関連するまたは特定の情報を提供する、情報ファイル124が記録されていてもよい。画像処理システム100が、事故で自動車に生じた損傷を検出するなど、自動車に対する変化を検出するために使用されてもよい一実施例では、ベースオブジェクトモデル120は、変化が検出され得る様々な自動車の三次元(または二次元)モデルであってもよい。一般にこの場合、損傷を分析するべき自動車のメーカ/モデル/年式またはメーカ/モデル/年式/トリムタイプごとに異なるベースオブジェクトモデル120が記録される。また、さらに、この実施例において、変化した画像ファイル122の各々は、(データベース108に記録されたベースオブジェクトモデル120の、例えば、メーカ/モデル/年式タイプのうちの1つに適合する)損傷した自動車の1つまたは複数の画像を含むことができる。一般に、このような変化した画像ファイル122の各々は、例えば事故で損傷した特定の自動車を撮像したデジタル写真を含むことができる。このような写真は、例えば、写真に表示されている自動車の所有者、損傷した自動車を修理または交換するための保険金請求がされた自動車保険会社などによって収集されてもよい。また、さらに、情報ファイル124の各々には、損傷した自動車の車種/モデル/年式およびトリムタイプ、自動車が保険に加入または損傷した国、州、市、郵便番号および/または他の地理的地域、損傷した自動車の走行距離、損傷した自動車の色、自動車の損傷の種類または場所、事故に関連する損傷自動車からまたは損傷自動車について得られたテレマティクスデータ、損傷の結果、修理または交換が必要となった部品、このような各部品の修理または交換の費用、このような各部品の損傷の種類、損傷の結果、自動車が全損と見なされたか否か、自動車が修理された場合の自動車の修理費用、自動車の保険会社、修理中に自動車に再検査が行われたか否か、ならびに自動車の乗車定員など、変化したターゲット画像ファイル122のうちの1つにおける損傷した自動車に係る情報を記録することができる。もちろん、変化した画像ファイル122のいずれかまたはすべてに関して他の情報を記録することが可能であり、変化した画像ファイル122の各々に関して記録される情報の種類は、用途および変化検出が適用されるべきオブジェクトの種類等に応じて変わることがある。本願明細書においてさらに詳細に説明されるように、ベースオブジェクトモデル120、変化した画像ファイル122、および情報ファイル124は、画像処理システム100によって、例えば、新たに損傷した自動車の写真に対して一次処理および二次処理を実行し、損傷した自動車の損傷の種類および/または損傷の程度(変化)を判定するために使用されてもよい。」
(第26列第53行~第27列第44行)
「Next, a block 312 determines or detects damage to the target vehicle as depicted in the background eliminated, segmented, corrected target vehicle image (also referred to herein as the segmented target vehicle image) for each of the individual body components on a body panel by body panel basis. In particular, the block 312 may apply one or more convolutional neural networks 134 to the pixels of each body panel of the segmented target vehicle image to determine potential damage, or likelihood of damage to these body panels, as defined by the trained convolutional neural networks (CNNs) 134.
As will be understood, the block 312 may use one or more CNNs 134 for each body panel or segment. As noted above, the CNNs 134 are statistically based processing tools created using the training set of vehicle image files 122 and training information files 124 of FIG. 1 to determine, based on known and quantified damage (or change) to the various body components of the same type of vehicle, the likelihood of damage to a vehicle depicted in an image not used in the training set of data. Thus, each CNN 134 can be used to identify damage (e.g., the likelihood of damage and/or a quantification of damage such as amount of damage or a type of damage) at each part (e.g., pixel, flat surface area such as the triangular surface segments of FIG. 5, etc.) of the body panel or segment being analyzed. In general, each convolutional neural network 134 defines a two dimensional area that overlays the pixels of the target vehicle image surrounding a pixel of the target vehicle image being analyzed for damage or change (e.g., the target vehicle image pixel that registers with the center pixel of the CNN), with each of the surrounding pixels and the pixel being analyzed being inputs to the CNN. FIG. 13, for example, illustrates a rectangular CNN 1302 applied to a pixel associated with the hood body panel 1304 of the segmented target vehicle image of FIG. 12. Each of the elements (pixels or inputs) of the CNN 1302 cover or overlay one of the pixels of the hood body panel 1304 with the CNN 1302 calculating or determining a damage parameter value for the pixel (shown in black or as a dark element) at the center of the CNN 1302. The CNN 1302 applies a series of weights and calculations (such weights being determined during the training of the CNN) to the inputs of the CNN 1302 to produce a damage parameter value or damage determination for the target vehicle image pixel being analyzed. The damage parameter value may represent a likelihood of damage, an amount of damage, and/or an indication of the type of damage, for example. The block 312 may scan the CNN 1302 over each pixel or other area (e.g., a 2 by 2 set of pixels, a 4 by 4 set of pixels, a particular segmented or flat surface area as defined by the base object model, etc.) in turn to determine a damage parameter value for each such entity (pixel, surface area, surface segment, etc.). For example, as illustrated in FIG. 13 by the arrows, the block 312 may scan the CNN 1302 over the target vehicle image covering each pixel or other area to which the CNN 1302 is applied, in a raster manner, to produce a damage parameter value at each such location or pixel of the body panel. The damage parameter values may take a range of values, such as a value on a scale of 0 to 100 or 0 to 10, etc.」
「(訳)次に、ブロック312は、背景が除去され、セグメント化され、補正されたターゲット車両画像(本願明細書では、セグメント化されたターゲット車両画像とも呼称する)に表示されているターゲット車両の損傷を、ボディパネル上の個々のボディ構成要素のそれぞれについて、ボディパネルベースに基づいて判定または検出する。特に、ブロック312は、1つまたは複数の畳み込みニューラルネットワーク134を、セグメント化されたターゲット車両画像の各ボディパネルの画素に適用し、訓練された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)134によって定義されるように、これらのボディパネルに対する潜在的な損傷、または損傷の可能性を判定することができる。
理解されるように、ブロック312は、各ボディパネルまたはセグメントに対して1つまたは複数のCNN134を使用することができる。上述したように、CNN134は、図1の車両画像ファイル122および訓練情報ファイル124の訓練セットを使用して作成された統計学に基づく処理ツールであり、同じ種類の車両の様々なボディ構成要素に対する既知の定量化された損傷(または変化)に基づいて、データの訓練セットに使用されていない画像に表示された車両に対する損傷の可能性を判定する。このように、各CNN134は、分析されるボディパネルまたはセグメントの各部分(例えば、画素、図5の三角形の表面セグメントなどの平坦な表面領域等)における損傷(例えば、損傷の可能性および/または、損傷の量または損傷の種類などの損傷の定量化)を特定するために使用することができる。一般に、各畳み込みニューラルネットワーク134は、損傷または変化について分析されるターゲット車両画像の画素(例えば、CNNの中心画素と並ぶターゲット車両画像の画素)を取り囲むターゲット車両画像の画素に重なる二次元領域を定義し、取り囲む画素および分析される画素の各々がCNNへの入力となる。例えば、図13は、図12のセグメント化されたターゲット車両画像のフードボディパネル1304に関連する画素に適用される矩形CNN1302を示す。CNN1302の各要素(画素または入力)は、フードボディパネル1304の画素の1つをカバーまたはオーバーレイし、CNN1302が、CNN1302の中心にある画素(黒で示すか暗い要素として示されている)の損傷パラメータ値を計算または判定する。CNN1302は、一連の重みおよび計算(係る重みはCNNの訓練中に決定される)をCNN1302の入力に適用し、分析対象の車両画像画素の損傷パラメータ値または損傷判定を生成する。損傷パラメータ値は、例えば、損傷の可能性、損傷の量、および/または損傷の種類の表示を表すことができる。ブロック312は、CNN1302の各画素または他の領域(例えば、2x2の画素セット、4x4の画素セット、ベースオブジェクトモデルによって定義される特定のセグメント化されたまたは平坦な表面領域など)を順番に走査し、上述したようなもの(画素、表面領域、表面セグメント等)ごとに損傷パラメータ値を判定することができる。例えば、図13に矢印で示すように、ブロック312は、CNN1302が適用される各画素または他の領域をカバーするターゲット車両画像上でCNN1302をラスタ方式で走査し、ボディパネルのこのような位置または画素ごとに損傷パラメータ値を生成することができる。損傷パラメータ値は、0から100または0から10等のスケール上の値などの値の範囲内にあってもよい。」
(第30列第5行~第33行)
「As illustrated in FIG. 3, a block 320 may then use the damage determination (e.g., the damage parameter values generated by the CNNs and/or the heat map) for secondary purposes. Such secondary considerations or evaluations may be related to or dependent on the damage determination, such as previously discussed with respect to the block 212 of FIG. 2. For example, the block 320 may use the damage determination to determine each of the parts of the target vehicle that needs to be replaced, each of the parts that need to be repaired (and potentially the type of repair), etc. The block 320 may identify particular types of work that need to be performed with respect to various ones of the body panels, such as repainting, replacing, filling creases or gaps, etc. Still further, the block 320 may use the identification of the damage and/or of the types of damage, and/or amount of damage to determine an estimate of the repair costs associated with repairing each of the body components or panels, including costs associated with replacing such panels, the costs of repairing such panels, etc. For example, the identification of the damage and/or the types of damage detected for the target vehicle may be provided to a system and/or a method that automatically predicts and recommends parts, materials, and services needed for repairing the target vehicle, such as the systems and methods described in co-owned U.S. Pat. No. 9,218,626 entitled “Automatic Prediction and Recommendation of Parts, Materials, and Services for Vehicle Insurance Claim Estimates and Supplements,” the contents of which are hereby expressly incorporated by reference herein.」
「(訳)図3に示されるように、ブロック320は次に、二次的な目的のために損傷判定(例えば、CNNおよび/またはヒートマップによって生成された損傷パラメータ値)を使用することができる。このような二次的な検討または評価は、図2のブロック212に関して先に説明したように、損傷判定に関連または依存する場合がある。例えば、ブロック320は、損傷判定を使用し、車両の交換されるべき部品の各々、修理されるべき部品の各々(および潜在的に修理の種類)などを判定してもよい。ブロック320は、再塗装、交換、しわまたは隙間の均しなど、様々なボディパネルに関して実行する必要がある特定の種類の作業を特定してもよい。また、さらに、ブロック320は、特定された損傷および/または損傷の種類および/または損傷の量を使用し、このようなパネルの交換に関連する費用、およびこのようなパネルの修理費用などを含む、ボディの構成要素またはパネルのそれぞれの修理に関連する修理費用の見積もりを判定してもよい。例えば、ターゲット車両について検出された、特定された損傷および/または損傷の種類は、ターゲット車両の修理に必要な部品、材料およびサービスを自動的に予測して推奨するシステムおよび/または方法、例えば、「Automatic Prediction and Recommendation of Parts, Materials, and Services for Vehicle Insurance Claim Estimates and Supplements」と題された共同所有の米国特許第9、218、626号明細書に記載されているシステムおよび方法において提供することができる。当該書面に記載された内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。」
(第31列第9行~第44行)
「In some implementations, the statistically based estimating program or predictive model to which the quantification of damage is provided as input is generated based on historical data related to damaged vehicles. For example, the estimating program or predictive model may have been generated a priori (or, in some cases, may be generated in real-time or on-demand) based on one or more regression analyses, principal components analyses, cluster analyses, etc. of the historical data. The historical data related to damaged vehicles is stored in a data storage device or system which may be accessible to the image processing system 100, and may include vehicle repair cost data, repair time data, re-inspection data, parts data, imaging data, insurance claim data, telematics data, etc. for various types of damage and/or previous repairs to the vehicles of the same make, model, year, type, etc. Further, the regression or other analyses that are utilized to generate the estimating program or predictive model can be run using many factors that account for many different variables that might affect the costs of repair or replacement, such as the city or state in which the vehicle is located, the type of vehicle, the identity of the insurance carrier or company paying for the components (which may have different methodologies of obtaining parts or components, such as using only new parts, using only replacement or used parts where possible), etc. At any rate, the estimating program or predictive model that receives the quantification of damage of the target vehicle as input may determine, based on the input, an estimate of damage or repair costs for the target vehicle, the likelihood that a component needs to be replaced, repainted, etc., the costs of such a repair or replacement, the time needed for repair or replacement, etc. In some scenarios, additional data corresponding to the target vehicle, such as telematics data associated with the damaged vehicle, is provided to the estimating program or predictive model as input in conjunction with the quantification of damage.」
「(訳)いくつかの実施形態において、定量化された損傷が入力として提供される統計学に基づく推定プログラムまたは予測モデルは、損傷車両に関連する履歴データに基づいて生成される。例えば、推定プログラムまたは予測モデルは、履歴データの1つまたは複数の回帰分析、主成分分析、クラスタ分析等に基づいて、事前に生成されている(または、場合によっては、リアルタイムまたはオンデマンドで生成されている)ことがある。損傷車両に関連する履歴データは、画像処理システム100にアクセス可能なデータ記録装置またはシステムに記録され、同じ車種、モデル、年式、タイプ等の車両に対する様々な種類の損傷および/または以前の修理に関する車両修理費用データ、修理時間データ、再検査データ、部品データ、画像データ、保険金請求データ、テレマティクスデータ等を含むことができる。さらに、推定プログラムまたは予測モデルを生成するために利用される回帰または他の分析は、車両が所在する都市または州、車両の種類、コンポーネントの支払いを担う(新しい部品のみを使用する、可能な限り交換または中古部品のみを使用するなど、部品またはコンポーネントの入手方法が異なる場合がある)保険業者または会社の正体など、修理または交換の費用に影響を与える可能性のある多くの異なる変数を配慮する多くの要素を使用して実行することができる。いずれにせよ、ターゲット車両の定量化された損傷を入力として受信する推定プログラムまたは予測モデルは、入力に基づいて、ターゲット車両の損傷または修理費用の見積もり、部品の交換、再塗装などが必要な可能性、このような修理または交換の費用、修理または交換に必要な時間などを判定することができる。場合によっては、損傷車両に関連するテレマティクスデータなど、ターゲット車両に対応する追加データが、定量化された損傷と併せて入力として推定プログラムまたは予測モデルに提供される。」
(第42列第30行~第41行)
「FIGS. 19A-19D illustrate exemplary interfaces associated with capturing images of a target vehicle. One or more electronic devices (e.g., a mobile device, such as a smartphone) may be configured to display the interfaces and/or receive selections and inputs via the interfaces, where the electronic device(s) may be used by an individual associated with the target vehicle. For example, a dedicated application that is configured to operate on the electronic device may display the interfaces. The electronic device may communicate with a server via a network connection. It should be appreciated that the interfaces are merely exemplary and that alternative or additional content is envisioned.」
「(訳)図19A~19Dは、ターゲット車両の画像の撮像に関連する例示的なインターフェースを示す。1つまたは複数の電子装置(例えば、スマートフォンなどのモバイル装置)は、インターフェースを表示し、および/またはインターフェースを介して選択および入力を受信するように構成されていてもよく、(複数の)電子装置は、ターゲット車両に関連する個人によって使用されてもよい。例えば、電子装置上で動作するように構成された専用アプリケーションがインターフェースを表示してもよい。電子装置は、ネットワーク接続を介してサーバと通信することができる。インターフェースは単なる例示であり、代替的または追加的なコンテンツが想定されることを理解されたい。」
「
[図:0001427367000004.jpg]
」
「
[図:0001427367000005.jpg]
」
2 無効理由について
上記第4の1で示したとおり、無効理由3は取り下げられたので、請求人は無効理由として、無効理由1、2、4、5を請求しているところ、当審では、事案に鑑みて、無効理由2、5について先に検討する。
(1)無効理由2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
a 構成要件Aについて
甲2発明は「システムが車両の修理費用を自動的に推定する方法であって、システムはサーバ、クライアント装置、クライアント装置をサーバに接続するネットワーク接続、及び複数のデータベースを有しており、サーバにおいて、クライアント装置から損傷した車両の1つまたは複数の画像を、ネットワーク接続を介して受信するステップと、1つまたは複数の画像の各々に対して画像処理操作を実行して、車両の第1の部品セットに対する外部損傷を検出するステップと、検出された外部損傷に基づいて、車両の第2の部品セットに対する内部損傷を推定するステップと、第1および第2の部品セットにおける各部品の修理費用および労働費用を含む部品データベースへアクセスすることによって、検出された外部損傷および推定された内部損傷に基づいて、車両の推定修理費用を計算するステップと、を含む方法」である。
ここで、甲2発明の「損傷した車両の1つまたは複数の画像」は、本件発明1の「損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)」に相当するものであって、甲2発明は、「損傷した車両の1つまたは複数の画像」「に対して画像処理操作を実行して」、「検出された外部損傷および推定された内部損傷に基づいて、車車両の推定修理費用を計算する」ところ、一般に、修理費用は損傷の程度に基づいて算出されるものであるから、甲2発明は、「損傷した車両の1つまたは複数の画像」に基づいて「外部損傷」および「内部損傷」の損傷の程度が査定され、この査定に基づいて「推定修理費用を計算する」ものであるといえ、甲2発明は、「推定修理費用」の計算に際して車両の損傷度を査定しているといえる。
よって、本件発明1と甲2発明は、「損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて前記自動車(1)の損傷度を査定する方法」である点で一致する。
b 構成要件Bについて
(a)甲2発明では、「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、・・・訓練され」るものであって、「外装損傷検出エンジンには、外装車両部品ごとに1つの、その部品の損傷を予測するように訓練されているCNNがあり、車両は24個の外装部品に分割され、したがって24個の車両部品CNNが存在し、CNNは、Pr1=「フロントバンパ」、Pr2=「バックバンパ」などを含み」としている。
ここで、「車両は24個の外装部品に分割され、したがって24個の車両部品CNNが存在し、CNNは、Pr1=「フロントバンパ」、Pr2=「バックバンパ」などを含」むことから、甲2発明の「24個の外装部品」とは、「フロントバンパ」、「バックバンパ」など、いわゆる車両を構成する所定の領域を意味するものと解されるのであって、本件発明1の「前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)」に相当する。
(b)甲2発明は、「システムは、受信した画像と対応する参照画像とを比較し、様々なコンピュータビジョン技術を使用して、受信した画像が参照画像とどの部分でどのように相違しているかを認識し、車両の外装上の損傷している(複数の)部分および/または領域を特定し」、「請求におけるすべての画像が外装損傷検出エンジンに提示された後、機械学習システムは、請求用の画像の集合から推測できる外装部品のそれぞれに対する損傷の予測をするものであって」、「ディープラーニングシステム(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)は、保険会社の自動保険金請求のアーカイブから入手可能な、損傷した車両の多数の画像と、これらに対応する損傷に関する情報、例えば、その程度および車両上の位置と、で訓練することによって、新たな自動保険金請求のための入力画像で提示された損傷を評価することを学習し、このようなパターン学習法は、車両の外装および内装の両方の損傷を予測することができ」るものである。
ここで、前記「機械学習システム」、「ディープラーニングシステム(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)」は、上記(a)の「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」に対応するものであって、本件発明1の「人工ニューラルネットワーク」に相当するものである。
よって、上記(a)の検討も踏まえると、甲2発明は、24個に分割された個々の車両ゾーンにおいて、「損傷した車両の多数の画像と、これらに対応する損傷に関する情報、例えば、その程度および車両上の位置と、で訓練」された「CNN」を用いて「車両の外装上の損傷している(複数の)部分および/または領域を特定」するものであって、これは車両ゾーンに損傷があるか否かを特定することに他ならないから、本件発明1と同様に「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認する」ものであるといえる。
(c)よって、上記(a)及び(b)の検討を踏まえると、本件発明1と甲2発明は、下記の相違点1を除いて、「前記画像ファイル(2)に基づいて、前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)において」、「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップ」を含む点で一致する。
c 構成要件Cについて
甲2発明は、「サーバは車両を車両部品に分割するために画像セグメンテーションを実行し、参照画像のウィンドウと、損傷が検出された入力画像の対応するウィンドウと、を比較するステップでは、各ウィンドウ内の損傷の複数の指標が集約されたら、セグメンテーションステップ中に検出された画像内の各車両部品について、その部品をカバーするウィンドウの総数に対する「損傷した」ウィンドウの割合が閾値を超えるか否かを計算し、閾値を超えた場合、その部品全体が損傷していると判定され、そうでなければ、その部品は損傷していないとされ、損傷領域の割合は、部品の損傷の程度を示す指標とみなすことができ」るものである。
ここで、「サーバは車両を車両部品に分割するために画像セグメンテーションを実行し」とは、車両の画像を分割(セグメンテーション)することを意味しており、上記a(a)の検討も踏まえると、車両の画像データを「フロントバンパ」、「バックバンパ」などの「24個の外装部品」である車両ゾーンに分割することを意味していると解されるのであって、また、「損傷領域の割合は、部品の損傷の程度を示す指標とみなすことができ」るとしているところ、「部品の損傷の程度」とは損傷重大度といえるから、甲2発明は、本件発明1と同様に「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され」ているといえる。
そして、甲2発明は、「請求におけるすべての画像が外装損傷検出エンジンに提示された後、機械学習システムは、請求用の画像の集合から推測できる外装部品のそれぞれに対する損傷の予測をする」ものであるから、上記a及びbの検討も踏まえると、甲2発明は、複数の車両ゾーンにおいて、画像ファイルに基づいて、「機械学習システム」、すなわち「人工ニューラルネットワーク」を用いて「損傷重大度(5)」を判定しているといえる。
よって、本件発明1と甲2発明は、下記の相違点2を除いて、「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップ」を含む点で一致する。
d 構成要件D、Eについて
(a)甲2発明は、「検出された外部損傷に基づいて、車両の第2の部品セットに対する内部損傷を推定するステップと・・・を含む方法であり」、「サーバは、検出された外部損傷から車両の内部損傷を推測し、外部の損傷した部品が特定されると、サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索でき、この推論は、以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づくことができ」るものである。
してみると、甲2発明は、「検出された外部損傷に基づいて」「内部損傷を推定する」ものであって、「サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索」して推論するものであり、「この推論は、以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づく」ものである。
ここで、上記b(a)で検討したとおり、甲2発明の「24個の外装部品」は本件発明1の「前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)」に相当し、上記cで検討したとおり、甲2発明は、「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され」るものであることを踏まえると、甲2発明は、損傷が確認された車両ゾーンの損傷重大度(5)に基づいて、「どの内部部品もまた交換される可能性が高いかを」、「以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づく」「データベースで検索して」決定するものと解される。
そして、「どの内部部品もまた交換される可能性が高いか」を決定するとは、一つの損傷した車両ゾーン内の個々の内部部品について、部品によっては交換され、部品よっては交換されないことが決定されることに他ならないから、甲2発明は、損傷した車両ゾーンの損傷重大度(6)に基づいて、損傷した車両ゾーン内の個々の内部部品について交換の要否を決定するものと解されるのであって、ここでいう損傷した車両ゾーン内の「内部部品」は、本件発明の「各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)」に相当するものである。
さらに、甲2発明は、「サーバは、修理または交換が必要と推定される各外部部品および内部部品の部品および労働費用の1つまたは複数のデータベースにアクセスし」としていることから、甲2発明は、内部部品の交換が必要かどうかを決定するだけでなく、当該内部部品が修理可能かどうかも決定していることは明らかである。
よって、上記cの検討も踏まえると、甲2発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、「1つまたは複数のデータベース」にアクセスして行なわれるものである。
(b)一方、本件発明1の構成要件Dでは、「・・・・、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、・・・」とし、構成要件Eでは、「各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、・・・」としていることから、これらを総合すると、本件発明1は、「損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて」「各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され」るものであるといえる。
(c)よって、上記(a)及び(b)を踏まえると、下記の相違点2、及び3を除いて、本件発明1と甲2発明とは、「損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、前記損傷車両ゾーン(4)内の各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、データベースによって、行なわれるステップ」を含む点で一致する。
e 一致点及び相違点
上記a~dの検討を踏まえると、本件発明1と甲2発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて前記自動車(1)の損傷度を査定する方法であって、
前記画像ファイル(2)に基づいて、前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)において、前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップと、
損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップと、
損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、前記損傷車両ゾーン(4)内の各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、データベースによって、行なわれるステップと、を含む
自動車の損傷度を査定する方法。
[相違点1]
車両ゾーン(3)の損傷の有無の確認と損傷重大度(5)の判定に関して、本件発明1は、人工ニューラルネットに加えて「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報を含む第1のデータベース」を用いて確認・判定するものであるのに対して、甲2発明は、このような「第1のデータベース」を用いるのか明らかではない点。
[相違点2]
本件発明1は、「第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、前記損傷車両ゾーン(4)に存在する各々の車両部品(6)と、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」を含むものであるのに対して、甲2発明は、そのようなステップを含むとはしていない点。
[相違点3]
車両部品(6)が修理可能かどうか、または交換を必要とするかどうかの決定に関して、本件発明1は、「前記車両部品(6)の損傷の程度に基づいて、かつ、前記車両部品の損傷の程度に応じたこの決定の結果を含む第3の」データベースによって行われるものであるのに対して、甲2発明は、そのような構成を有していない点。
(イ)判断
上記相違点について検討する。
a 相違点1について
甲2発明は、「車両に関する特定の「メタデータ」も利用可能であり、サーバからアクセス可能なデータベースに格納されており、メタデータには、少なくとも車種、モデル、年式が含まれ、メタデータは、オプションとして、損傷発生前の車両の画像を含むことができ、コンピュータビジョン技術が、同じメーカ/モデル/年式の参照車両のうち最も一致する画像を見つけるために使用され、システムは、受信した画像と対応する参照画像とを比較し、様々なコンピュータビジョン技術を使用して、受信した画像が参照画像とどの部分でどのように相違しているかを認識し、車両の外装上の損傷している(複数の)部分および/または領域を特定」するものである。
ここで、甲2発明は、人工ニューラルネットワークを用いて複数の「車両ゾーン(3)」に損傷があるか否かを確認するものであることに鑑みると、前記「メタデータ」に「オプションとして」含まれる「損傷発生前の車両の画像」は、損傷発生前の「車両ゾーン(3)」の画像であることは明らかであって、これは本件発明1の「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報」に相当するものである。
してみると、甲2発明は、かかる「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報」を「参照画像」とし、「受信した画像と対応する参照画像とを比較し」て損傷の有無を確認するものであるから、車両ゾーン(3)の損傷の有無を確認する際に「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報」を用いるものであり、損傷重大度(5)を判定する際にも、かかる「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報」を「参照画像」として用いることも、当業者であれば当然になし得る事項にすぎない。
さらに、甲2発明の「システム」は「複数のデータベースを有し」ているところ、かかる「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報」を、前記「複数のデータベース」のうちの1つのデータベースである「第1のデータベース」に格納することも、当業者であれば適宜なし得る事項である。
以上を踏まえると、甲2発明において、人工ニューラルネットワークを用いて、複数の車両ゾーン(3)に損傷の有無を確認し、損傷が確認された車両ゾーン(3)の損傷重大度(5)を判定する際に、当該人工ニューラルネットワークに加えて「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報を含む第1のデータベース」を用いて確認することは、当業者であれば容易になし得たものであるといえる。
b 相違点2について
部品の修理において、部品の損傷の程度が小さければ修理が可能であり、損傷の程度が大きいと交換が必要になることは技術常識であり、逆に、部品の損傷の程度に基づかずに当該部品の修理や交換が決定されるものではない。
かかる技術常識に鑑みると、甲2発明では、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、損傷車両ゾーン(4)に存在する個々の車両部品(6)について、修理可能か交換が必要かどうかが決定されるところ、かかる決定は、個々の車両部品(6)の損傷の程度に基づいていることは明らかであって、甲2発明において、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、個々の車両部品(6)が修理可能か交換が必要かを決定することは、実質的に、個々の車両部品(6)の損傷の程度を特定することを含んでいるといえる。
したがって、甲2発明は、本件発明1の「損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、前記損傷車両ゾーン(4)に存在する各々の車両部品(6)と、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」を実質的に含んでいるといえる。
また、甲2発明は、「サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索でき」るものであるから、「交換される可能性が高いか」の決定、すなわち、損傷の程度の特定を、「データベース」を用いて行うことは当業者であれば容易になし得るものであり、かかる「データベース」を、甲2発明の「システム」が有する「複数のデータベース」のうち「第2のデータベース」として実装することは、当業者であれば適宜なし得るものである。
以上を踏まえると、甲2発明において、「第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、前記損傷車両ゾーン(4)に存在する各々の車両部品(6)と、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」を含むとすることは、当業者が容易になし得たものであるといえる。
c 相違点3について
甲2発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、「どの内部部品もまた交換される可能性が高いかを」、「以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデルに基づく」「データベースで検索して」決定するものである。
ここで、「以前の修理で特定の外部損傷があった場合に交換する必要があった内部部品に関する過去のモデル」とは、以前の修理に基づいた、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(6)と、交換する必要があった内部部品との対応関係を示すモデルと解されるから、甲2発明は、個々の車両部品(6)の交換の決定が、以前の修理における交換の決定の結果を含むデータベースによって行われるといえる。
そして、上記bで検討したとおり、甲2発明において、個々の車両部品(6)について修理可能か交換が必要かどうかかを決定することは、実質的に、当該車両部品(6)の損傷の程度を特定することを含んでいると解されるから、甲2発明において、個々の車両部品(6)の交換の決定の結果を含むデータベースを、個々の車両部品(6)の「損傷の程度に応じた」修理または交換の「決定の結果を含む」データベースとすることは、当業者であれば容易になし得たものであり、かかるデータベースを、甲2発明の「システム」が有する「複数のデータベース」のうち、「第3のデータベース」として実装することも、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。
よって、甲2発明において、車両部品(6)が修理可能かどうか、または交換を必要とするかどうかの決定を、「前記車両部品(6)の損傷の程度に基づいて、かつ、前記車両部品の損傷の程度に応じたこの決定の結果を含む第3の」データベースによって行われるとすることは、当業者であれば容易になし得たものである。
e 作用効果について
上記相違点1~3を勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、甲2発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(ウ)被請求人の主張に対して
a 被請求人は、甲2には、車両ゾーンの損傷重大度(5)が決定されることのみが記載されており、本件発明1の構成要件である、車両ゾーンの損傷重大度(5)に基づいて個々の車両部品(6)の損傷の程度を特定し、この特定された損傷の程度に基づいて、個々の車両部品(6)について修理または交換を決定することは記載されていない旨主張する(答弁書11頁4行~12頁17行(行数は空白行は含まない。以下同じ))。
しかしながら、上記構成要件D、Eについてで検討(上記(ア)d)したとおり、甲2発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、「どの内部部品もまた交換される可能性が高いかを」決定するところ、「どの内部部品もまた交換される可能性が高いか」を決定することは、一つの損傷車両ゾーン(4)内の個々の内部部品について、部品によっては交換され、部品よっては交換されないことが決定されることに他ならないから、甲2発明は、損傷した車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて、個々の車両部品(6)について修理または交換を決定しているものである。
そして、上記相違点2で検討(上記(イ)b)したとおり、部品の修理において、当該部品の損傷の程度が小さければ修理が可能であり、損傷の程度が大きいと交換が必要になることは技術常識であることに鑑みると、甲2発明において、個々の車両部品(6)の修理または交換を決定することは、実質的に、当該個々の車両部品(6)の損傷の程度を特定することを含んでいると解されるのであって、甲2発明は、実質的に、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて個々の車両部品(6)の損傷の程度を特定し、この特定された損傷の程度に基づいて、個々の車両部品(6)について修理または交換を決定しているといえる。
よって、被請求人の上記主張は採用できない。
b 被請求人は、本件発明1の第2、第3のデータベースには、個々の車両部品(6)のそれぞれの損傷の程度、またはその結果として、当該個々の車両部品(6)を交換または修理するべきか否かに関する決定につながる数学的計算(関数)が含まれており、計算を使用することによって、個々の車両部品(6)を交換または修理する決定を客観化することができるものであるのに対して、甲2には、データベースとそれによる計算に関する動機付けや示唆はなく、当業者であっても、甲2の記載から、本件発明1によるデータベースとそれによる計算に到達することはできない旨主張する(答弁書12頁18行~30行)。
しかしながら、データベースとは、一般に、データを格納するものであって、数学的計算(関数)を含むものではなく、また、本件特許明細書には、本件発明1の第2のデータベースと第3のデータベースには数学的計算(関数)が含まれており、計算を使用することによって修理又は交換を決定することは一切記載されておらず、自明でもない。
よって、被請求人の上記主張は根拠を欠くものであって採用できない。
なお、被請求人は、本件発明1の第2、第3のデータベースに数学的計算(関数)が含まれている旨の上記主張は、第2のデータベースにおいて、車両部品(6)の損傷の程度は車両ゾーンの損傷重大度と対応付けられている(車両ゾーンの損傷重大度の関数として示される)こと、第3のデータベースにおいて、車両部品(6)が修理可能かどうか、または、交換を必要とするかどうかの決定の結果は、車両部品(6)の損傷の程度と対応付けられている(車両部品の損傷の程度の関数として示される)ことを述べたかったものであり、上記主張を訂正するとしている(令和6年8月29日提出 被請求人・口頭審理陳述要領書5頁33行~41行)。
被請求人の上記主張の訂正は、本件発明1の第2、第3のデータベースに数学的計算(関数)が含まれているものではなく、第2のデータベースには、車両部品(6)の損傷の程度が損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)と対応付けられており、第3のデータベースには、車両部品(6)の修理または交換の決定が当該車両部品(6)の損傷の程度と対応づけられているのであって、いずれも数学的計算を行うものではないという主張に訂正するものである。
しかしながら、上記相違点2で検討(上記(イ)b)したとおり、甲2発明において、部品について修理または交換を決定することは、当該部品の損傷の程度を特定することを含んでいると解されるから、甲2発明は、データベースを検索することによって、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に基づいて個々の車両部品(6)の損傷の程度を特定し、この特定された損傷の程度に基づいて個々の車両部品(6)の修理又は交換を決定するものである。
そして、かかるデータベースに、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)と個々の車両部品(6)の損傷の程度を対応づけ、損傷の程度と個々の車両部品(6)の修理または交換とを対応づけておくことにより、前述の損傷の程度の特定や修理又は交換の決定を行うことは極めて一般的な手法であるから、甲2発明の「システム」が有する「複数のデータベース」を、このような対応づけを有する「第2のデータベース」、「第3のデータベース」として実装することも当業者であれば適宜なし得る事項である。
よって、被請求人の上記主張の訂正を踏まえても、本件発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
c 被請求人は、本件発明1における「車両ゾーン(4)」は、「車両部品(6)」を含む領域であって「部品」ではないから、甲2に記載された発明における「外部部品」と「内部部品」との関係と、本件発明1における「車両ゾーン(4)」と「車両部品(6)」との関係とは異なるものであり、甲2に記載された発明において、外部部品の損傷の程度に基づいて、いずれの内部部品が交換される可能性が高いかを検索することは、本件発明1において、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に応じて車両部品の損傷の程度を特定することには相当しない旨主張する(令和6年8月29日提出 被請求人・口頭審理陳述要領書4頁2行~21行)。
しかしながら、上記構成要件Bについてで検討(上記(ア)b(a))したとおり、甲2発明の「24個の外装部品」とは、「部品」との用語を用いているものの、部品そのものを示しているのではなく、「フロントバンパ」、「バックバンパ」など、車両を構成する所定の領域を意味するものと解するのが相当である。
一方、本件特許明細書には、「車両ゾーン(3)」について具体的な事例は一切記載されていないものの、段落【0009】に「この損傷度の査定は、特に、自動車が数千個の個別の部品で構成されているため、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減する車両ゾーンを定義することによって可能になる。」と記載され、段落【0010】に「原則として、任意の数の車両ゾーンに対して損傷度査定を行うことができる。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、20~100の車両ゾーンが用いられ、特に25~60が好ましく、30~50がさらに特に好ましい。」と記載されていることから、本件発明1の「車両ゾーン」は、自動車を構成する「数千個の部品」のうち、いくつかの部品で構成されている領域であり、かつ、「損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて」「損傷があるか否かを確認する」ものであるから、撮像することができる自動車の外装部分を含む領域であると推察され、さらに「20~100の車両ゾーンが用いられ」とされていることからして、自動車の外装部分を含む領域を少なくとも20個程度の領域に分割した所定の領域であると解釈するのが相当である。
してみると、本件発明1の「車両ゾーン」と、甲2発明の「24個の外装部品」とは、いずれも、自動車を外装部分を含む領域を少なくとも20個程度の領域に分割した所定の領域と解されるのであって、甲2発明における「24個の外装部品」と「内部部品」との関係は、本件発明1における「車両ゾーン(3)」と「車両部品(6)」との関係に対応するものであり、さらに、上記相違点2(上記(イ)b)で検討したとおり、甲2発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に応じた車両部品の損傷の程度を特定することを含むものである。
よって、甲2に記載された発明における「外部部品」と「内部部品」との関係は、本件発明1における「車両ゾーン(4)」と「車両部品(6)」との関係とは異なるものであり、甲2発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に応じて車両部品の損傷の程度を特定するものではないとする被請求人の上記主張は採用できない。
d 被請求人は、甲2の段落【0126】及び【0127】に記載されているように、甲2に記載された発明は、損傷した外部部品は自動的に検出されるのではなく、ソフトウェアを用いてユーザーによって事前に検出され選択されるものであるが、本件発明1のように自動化されたプロセスでは、エラーを起こしやすい「人間」や「ユーザー」の要素を排除することができる旨主張する(令和6年8月29日提出 被請求人・口頭審理陳述要領書4頁22行~30行)。
しかしながら、本件発明1には、画像ファイル(2)を取得する際のプロセスについては一切特定されておらず、「人間」や「ユーザー」の要素を排除したものであると解することもできないから、被請求人の上記主張は、本件発明1の構成要件に基づかない主張であって採用できない。
e 被請求人は、本件発明1では、まず、画像ファイル(2)から第1のデータベースを用いて、車両ゾーン(3)の損傷重大度(5)が判定され、次に、この損傷重大度(5)の判定結果を基に、第2のデータベースを用いて、損傷車両ゾーン(4)の各車両部品(6)の損傷の程度が確立され、また、第3のデータベースは、車両部品の損傷の程度に応じた、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかの決定の結果を含むものであるのに対し、甲2には、このような機能を有する第1のデータベース、第2のデータベース、第3のデータベースにそれぞれ相当する構成が開示されているとはいえない旨主張する(令和6年8月29日提出 被請求人・口頭審理陳述要領書4頁31行~5頁6行)。
しかしながら、上記相違点1~3で検討(上記(イ))したとおり、甲2発明においても、まず、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(6)が判定され、次に、この損傷重大度(5)の判定結果を基に、損傷車両ゾーン(4)の各車両部品(6)の損傷の程度が実質的に確立され、この車両部品の損傷の程度に応じて修理可能か交換を必要とするかどうかの決定が行われるものであって、甲2発明の「システム」は「複数のデータベース」を有するところ、かかる損傷重大度(6)の判定に際して第1のデータベースを用い、損傷の程度の確立に際して第2のデータを用い、修理可能か交換を必要とするかどうかの決定に際して第3のデータベースを用いて行うとすることも、当業者であれば容易になし得たものである。
よって、被請求人の上記主張は採用できない。
(エ)小括
以上のとおり、本件発明1は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2について
(ア)本件発明2は、「請求項1に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、F 前記車両部品(6)の交換に必要な交換部品を第4のデータベースを用いて判定し、この判定は、各車両部品の交換部品と当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程のリストを含むステップと、G 前記第4のデータベースを用いて、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程および交換部品を判定するステップと、をさらに含む」ものである。
ここで、下記の無効理由5における本件発明2についての検討(下記(2)ア(ア))で示すとおり、構成要件Fの「前記車両部品(6)の交換に必要な交換部品を第4のデータベースを用いて判定」することと、構成要件Gの「前記第4のデータベースを用いて、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程および交換部品を判定」することとは、同じ判定を繰り返しているのか、それとも別の判定をしているのかなどについて明確ではないものの、令和6年8月29日に提出された被請求人・口頭審理陳述要領書(6頁22行~35行)における被請求人の説明に鑑み、構成要件Fでは、車両部品(6)の交換に必要な交換部品を判定しており、構成要件Gでは、修理または交換に必要な作業工程を判定することを示すものと解して、以下検討する。
甲2発明は、「サーバは、損傷した外部部品のセットに基づいて、どの内部部品もまた交換される可能性が高いかをデータベースで検索でき」るものであり、これは車両部品(6)の交換に必要な交換部品を「データベース」を用いて判定することを意味するものであるから、甲2発明は、車両部品(6)の交換に必要な交換部品を判定するという本件発明2の構成要件Fに相当する構成を備えている。
さらに、甲2の段落【0037】には「包括的な損傷部品リストが作成され、部品データベースで部品および労働費用を検索することにより、車両の修理に必要な費用の見積もりが準備される。」と記載されており、前記記載は、「部品データベース」で検索された「部品および労働費用」に基づいて「車両の修理に必要な費用」が見積もられることを示すものである。
そして、甲2発明は、車両部品(6)の交換に必要な部品を判定しているところ、上記構成要件D、Eについてで検討(上記ア(ア)d)したとおり、甲2発明は、損傷した部品が修理可能かどうかも決定するものであるから、前記「部品および労働費用」とは、交換する部品の費用と、当該部品の修理または交換に要する労働費用を示していると解される。
ここで、一般に、労働費用は作業工程に依拠するものであって、部品の修理または交換に要する労働費用とは、当該部品の修理または交換に必要な作業工程に要する労働費用に他ならないから、かかる労働費用の判定の際に、労働費用の前提となっている作業工程も示すようにすることは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る事項にすぎない。
よって、甲2発明において、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程を判定するという本件発明2の構成要件Gを備えることは、甲2の段落【0037】の前記記載に基づいて、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎず、このような「部品及び労働費用」を検索するための前記「部品データベース」を、前述の交換部品を判定する際に用いる「データベース」と併せて、甲2発明の「システム」が有する「複数のデータベース」のうち「第4のデータベース」として実装することも、当業者であれば容易になし得る事項である。
よって、本件発明2は、甲2発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
ウ 本件発明3について
本件発明3は、「請求項2に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、H 前記第4のデータベースを用いて、各々必要な交換部品および各々必要な作業ステップに伴う費用を確立するステップと、I 前記必要な作業ステップおよび前記必要な交換部品の確立された費用を追加することによって、総修理費(7)を確立するステップと、をさらに含む」ものである。
ここで、下記の無効理由5における本件発明3についての検討(下記(2)ア(イ))で示すとおり、構成要件Iの「費用を追加する」とは、何に対して費用を追加しているのか明確ではないものの、令和6年8月29日に提出された被請求人・口頭審理陳述要領書(7頁7行~13行)における被請求人の説明に鑑み、必要な交換部品の費用と必要な作業ステップの費用とを足すことを意味していると解して以下検討する。
本件発明2についてで検討したとおり、甲2の段落【0037】の記載によれば、甲2発明は、交換する部品の費用と、修理または交換に要する労働費用を判定していると解されるのであって、これは交換する部品の費用と、修理または交換に要する作業ステップに伴う費用を判定することに他ならず、また、「第4のデータベース」として実装することは当業者であれば容易になし得るものであるから、甲2発明において、本件発明3の構成要件Hの「前記第4のデータベースを用いて、各々必要な交換部品および各々必要な作業ステップに伴う費用を確立するステップ」を備えることも、当業者であれば容易になし得たものである。
そして、同段落【0037】に記載の「車両の修理に必要な費用」とは、本件発明3の構成要件Iの「総修理費(7)」に相当するから、甲2発明は、本件発明3の構成要件Iの「前記必要な作業ステップおよび前記必要な交換部品の確立された費用を追加することによって、総修理費(7)を確立するステップ」を備えるものである。
よって、本件発明3は、甲2発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
エ 本件発明4について
本件発明4は、「請求項3に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、J 前記第4のデータベースは、過去に損傷した自動車の交換部品及び当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程に関する履歴データに基づいて生成されたものである」とするものである。
一方、甲2発明は、「過去の請求を総合すると、画像に見える損傷と、内部および外部の損傷部品のリスト全体と、の間に高度な相関関係を確立するのに十分な証拠が得られ」としており、これは、過去の修理履歴に基づいて損傷部品を判定することを意味しており、また、本件発明3についてで検討したとおり、本件発明3の構成要件Hの「前記第4のデータベースを用いて、各々必要な交換部品および各々必要な作業ステップに伴う費用を確立するステップ」を備えることも、当業者であれば容易になし得たものであるから、かかる第4のデータベースを、「過去に損傷した自動車の交換部品及び当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程に関する履歴データに基づいて生成する」ことも、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明4は、甲2発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
オ 本件発明5について
本件発明5は、「請求項3に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、K 前記第4のデータベースは、修理および交換方法を確立するために所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される」ものである。
ここで、「所定の計算モデル」とは、「第4のデータベース」を「随時最新の状態に更新」するものであるから、「第4のデータベース」に格納されているデータを更新するための計算モデルを意味しており、例えば、「第4のデータベース」に新しいデータを追加したり、古いデータを削除するような計算モデルも含まれるものと解して以下検討する。
本件発明4についてで検討したとおり、甲2発明において、第4のデータベースを「過去に損傷した自動車の交換部品及び当該各車両部品の修理または交換に関連する履歴データに基づいて生成されたもの」とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎないところ、データベース技術において、新たにデータが生じた場合にデータベースを更新することは技術常識であるから、甲2発明において、新たに修理作業が生じた場合、この新たな修理作業を履歴データを追加したり、古い修理作業の履歴データを削除したりして第4のデータベースを更新することも、当業者であれば当然になし得る事項にすぎない。
よって、本件発明5は、甲2発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
カ 本件発明6について
本件発明6は、「請求項1~5のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、L 前記自動車の車両識別番号を確立するステップと、M 前記自動車の車両モデルを判定するステップと、N 前記第2のデータベースおよび/または前記第3のデータベースおよび/または前記第4のデータベースを前記自動車の車両モデルに従って提供するステップと、をさらに含む」ものである。
一方、甲2発明は、「車両に関する特定の「メタデータ」も利用可能であり、サーバからアクセス可能なデータベースに格納されており、メタデータには、少なくとも車種、モデル、年式が含まれ、メタデータは、オプションとして、損傷発生前の車両の画像を含むことができ」るとしており、前記「モデル」は、本件発明6の「車両モデル」に相当するものである。
そして、一般に、損傷した車両の修理費用を推定するためには、当該損傷した車両のメーカ、車両モデル、年式等を判定する必要があることは明らかであって、さらに、上記甲1発明の認定(上記1(1)イ)で示したとおり、甲1には、甲2発明と同様に、「車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する方法」が開示されているところ、甲1の段落【0048】には、損傷した車両の画像とともに送信する追加の情報として「メーカ/モデル/年式および/またはVINなどの車両識別情報」を送信することが記載されているから、甲2発明において、本件発明6の構成要件Lの「前記自動車の車両識別番号を確立するステップ」、構成要件Mの「前記自動車の車両モデルを判定するステップ」を設けることは、甲1の段落【0048】の上記記載に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
そして、本件発明1及び本件発明2についてで検討したとおり、甲2発明の「システム」が有する「複数データベース」を、第1~第4のデータベースと実施することは当業者であれば適宜なし得る事項にすぎず、前述したように、甲2発明のデータベースは車両モデルを保存しているところ、これらのデータベースを、構成要件Nのように「車両モデルに従って提供する」ことは、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明6は、甲2発明及び甲1に記載の技術事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
キ 本件発明7について
本件発明7は、「請求項6に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、O 前記自動車の前記車両部品の部品交換費用が確立され、前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され、P 請求者によって前記総修理費(7)または前記部品交換費用を直接請求者自身に支払らわせるか、もしくは、前記自動車(1)を修理店に持ち込むかを判定することによって、請求が自動車の専門家または保険会社の介入なしに直接処理される」ものである。
しかしながら、下記の無効理由5における本件発明7についての検討(下記(2)ア(ウ))で示すとおり、構成要件Oの「前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され」なる記載が示す技術事項が著しく不明確であって、本件発明7を把握することができないから、現時点では、本件発明7については進歩性についての判断を行わない。
ク 本件発明8について
本件発明8は、「請求項1~7のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、Q 前記方法によって提案される前記自動車(1)の損傷度査定が、ユーザによる承諾または修正のために出力され、そして、ユーザによる承諾または修正の入力に続いて、人工ニューラルネットワークが、さらなる学習のために承諾または修正された査定を用いる」ものである。
一方、甲2発明は、「ニューラルネットワーク」が「新たな自動保険金請求のための入力画像で提示された損傷を評価することを学習する」ものであるところ、ニューラルネットワークの学習において、ニューラルネットワークの出力結果をユーザが修正した場合、その修正内容を用いてさらに学習することは常套手段であるから、甲2発明において、「ユーザによる承諾または修正の入力に続いて、人工ニューラルネットワークが、さらなる学習のために承諾または修正された査定を用いる」ことは、当業者であれば適時なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明8は、甲2発明、又は甲2発明及び甲1に記載の技術事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
ケ 本件発明9について
本件発明9は、「請求項1~8のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、R 損傷した前記自動車(1)または事故に関係する他の自動車(1)に組み込まれたドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる」ものである。
一方、甲2には、段落【0030】に「さらに、いくつかの実施形態において、画像の撮像プロセスは、スマートフォンまたは他のクライアント装置にインストールされた、損傷した車両の画像を撮るプロセスを通じてユーザを案内するアプリケーション(「アプリ」)を伴うインタラクティブなものとすることができる。」と記載され、また、段落【0031】に「一実施例において、車両の損傷を示す画像(例えば、写真またはビデオ)は、損傷が発生した直後に撮像される。画像は携帯電話で撮像され、・・・、車両の所有者または運転手によって、携帯電話または無線ネットワーク接続を介してサーバに送信されてもよい。」と記載されている。
甲2の前記記載によれば、甲2発明では、損傷した車両の画像を当該車両の運転者がスマートフォンにインストールされたアプリを用いて撮影するものと解されるが、甲2には、本件発明9のように「損傷した自動車(1)または事故に関係する他の自動車(1)に組み込まれたドライブレコーダ」によって撮影することは記載されていない。
しかしながら、上記甲1発明の認定(上記1(1)イ)で示したとおり、甲1には、甲2発明と同様に、「車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する方法」が開示されているところ、甲1の段落【0031】には、「いくつかの実施例において、モバイル見積りアプリケーション153は、モバイルシステム150に、事故に巻き込まれた、または事故現場の近くにあった(例えば、事故の画像またはビデオを記録した可能性がある)別の車両であってもよい車両160のセンサにより収集された記録情報を収集させることができる。・・・。取得された車両情報には、・・・、車両160のカメラによって取得されたビデオまたは画像、・・・を含んでいてもよい。」と記載されており、また、段落【0032】には、「モバイルシステム150は、車両140を一周するビデオを取得することができる。」と記載されている。
甲1の前記記載は、事故車両140の画像を、モバイルシステム150が事故車両140を一周して取得すること、また、事故に巻き込まれた、または事故現場の近くにあった別の車両160のカメラによって取得することを意味しており、ここで「モバイルシステム150」としてスマートフォンなどが想定され、「事故に巻き込まれた、または事故現場の近くにあった別の車両160のカメラ」として、事故に関係する他の自動車に組み込まれたドライブレコーダが想定される。
してみると、甲1には、事故車両の画像として、スマートフォンで撮影した画像を用いることや、事故に関係する他の自動車に組み込まれたドライブレコーダによって撮影した画像を用いることが記載されているといえる。
そして、甲2発明と甲1に記載の技術事項とは、損傷した車両の画像から損傷度を判定する技術である点で共通するから、甲2発明において、損傷した車両の画像として、スマートフォンで撮影した画像を用いることに加え、事故車両や事故に関係する他の自動車に組み込まれたドライブレコーダによって撮影した画像を用いることは、甲1に記載の上記技術事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
よって、本件発明9は、甲2発明及び甲1に記載の技術事項に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
コ 本件発明10について
本件発明10は、「請求項1~9のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、S 損傷した前記車両ゾーン(3)が、拡張現実キット(ARKit)を用いて、画面(8)の自動車の3次元立体モデル(9)上に表示される」ものである。
一方、甲2の段落【0131】には、「次に、いくつかの実施形態では、アライメントプロセス中に決定されたカメラアングルを使用して、車両の3Dモデルに画像を投影する。3Dモデルは、車両の損傷を統合的に表示する。アジャスタは、3Dモデルを必要に応じて回転させたり拡大したりすることができます。」と記載されている。
甲2の上記記載は、「車両の損傷」を「車両の3Dモデルに画像を投影」して「表示する」ことを示すものであるから、甲2には、損傷した車両ゾーンを車両の3次元立体モデル上に表示することが記載されているといえる。
そして、3次元立体モデルを表示する際に拡張現実キットを用いて表示することは、本件特許の優先日前における周知技術であるから、当業者であれば適宜実施し得るものである。
よって、本件発明10は、甲2発明及び周知技術、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
サ 本件発明11について
本件発明11は、「請求項1~10のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、T スマートフォンまたはタブレット(11)にインストールされたアプリ(10)を使用し、U 損傷度を査定するための画像ファイル(2)が、前記スマートフォンまたはタブレット(11)を用いて記録かつ/または提供される」ものである。
一方、本件発明9についてで検討したとおり、甲2の段落【0030】、【0031】の記載によれば、甲2発明では、損傷した車両の画像をスマートフォンにインストールされたアプリを用いて撮影するものと解されるから、かかる損傷した車両の画像を「スマートフォンまたはタブレット(11)にインストールされたアプリ(10)を使用し、損傷度を査定するための画像ファイル(2)が、前記スマートフォンまたはタブレット(11)を用いて記録かつ/または提供される」とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明11は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
シ 本件発明12について
本件発明12は、「請求項11に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、V 前記アプリ(10)が、正確に画像ファイル(2)を記録する、または、正しく画像ファイル(2)を提供する指示をユーザに提供し、かつ、必要に応じて、追加の画像ファイル(2)を記録または提供するようユーザに促す」ものである。
一方、本件発明9についてで検討したとおり、甲2の段落【0030】、【0031】の記載によれば、甲2発明では、損傷した車両の画像をスマートフォンにインストールされたアプリを用いて撮影するものと解されるところ、特に、前記段落【0030】には、当該アプリに関して、「さらに、いくつかの実施形態において、画像の撮像プロセスは、スマートフォンまたは他のクライアント装置にインストールされた、損傷した車両の画像を撮るプロセスを通じてユーザを案内するアプリケーション(「アプリ」)を伴うインタラクティブなものとすることができる。」と記載されている。
甲2の前記記載は、アプリが車両の画像を撮影するプロセスをユーザにインタラクティブに案内することを示すものであって、かかる撮影のインタラクティブな案内において、画像が不正確の場合にはユーザに正確に画像を撮影するように案内すること、画像が不足する場合には追加の画像を撮影するように案内することは、当業者であれば適宜なし得る事項である。
よって、本件発明12は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
ス 本件発明13について
本件発明13は、「請求項11または12に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、W 前記スマートフォンまたはタブレット(11)、特に前記スマートフォンまたはタブレット(11)のGPS信号からメタデータが、前記アプリ(10)によって読み出される」ものである。
一方、本件発明9で検討したとおり、甲2の段落【0030】、【0031】の記載によれば、甲2発明では、損傷した車両の画像をスマートフォンにインストールされたアプリを用いて撮影するものと解されるところ、甲2の段落【0032】には、「画像を収集するために携帯電話が使用される実施形態では、携帯電話のGPSシステムからのカメラの位置に関する情報、携帯電話のジャイロスコープおよび加速度計からのカメラの方向、画像が撮影された時間、カメラの解像度、画像ファイル形式、およびこれらに関連する属性もサーバに提供できる。」と記載されている。
甲2の前記記載は、携帯電話、すなわちスマートフォンのGPSシステムからのカメラの位置に関する情報を取得するものを意味するものであり、かかる位置情報をメタデータとしてスマートフォンにインストールされたアプリによって読み出すことも、当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明13は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
セ 本件発明14について
本件発明14は、「請求項13に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、X 周辺エリア内の修理店および/またはレッカー移動サービス、ならびに、その連絡先データが、前記アプリ(10)内に表示される」ものである。
一方、甲2の段落【0123】には、「図14~21は、本開示のさまざまな実施形態による、クライアント装置上の自動保険金請求アプリケーションのインターフェイス画面の例のスクリーンショットを示す。」と記載され、段落【0124】には、「図15に示すように、ユーザが認証されると、ホーム画面が表示することができる。ホーム画面には、新しい請求の開始1502、現在のポリシーの確認1504、以前の請求(「私の請求」)の確認、近くの修理店の検索、緊急連絡先の表示、ユーザのプロフィールの表示、および保険会社について(「当社について」)の情報の表示のための様々なリンクを提供することができる。」と記載されている。
甲2の前記記載において、「クライアント装置上の自動保険金請求アプリケーション」とは、スマートフォンにインストールされたアプリを示すものであるから、甲2の前記記載は、スマートフォンにインストールされたアプリのホーム画面に「近くの修理店」を検索するためのリンクを提供することを示しており、検索された「近くの修理店」の連絡先を表示することも任意である。
また、一般に、事故により車両が大きく損傷した際には、レッカー移動を依頼することが通常であるから、かかるホーム画面にレッカー移動サービスの連絡先を表示することも、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明14は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
ソ 本件発明15について
本件発明15は、「請求項1~14のいずれか1項に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、Y 前記自動車(1)がもはや道路上の使用に適さないと損傷度査定が確立された場合、警告が出力される」ものである。
車両に何らかの不具合がある場合に運転者にその旨の警告を出力することは、本件特許の優先日前において、極めて一般的に行われている常套手段であることに鑑みると、甲2発明においても車両の損傷度が判定されるところ、判定された損傷度が大きく、道路上の使用に適さない場合にその旨の警告を出力することは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る事項にすぎない。
よって、本件発明15は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
タ 無効理由2についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1~6、8~15は、甲2発明、又は甲2発明、甲1に記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反するものである(なお、本件発明7についてで前述(上記キ)したとおり、本件発明7は発明が著しく不明確であるから、現時点では、進歩性に関する判断は行っていない)。
よって、本件発明1~6、8~15について、無効理由2は理由がある。
(2)無効理由5(明確性要件違反)について
ア 本件発明2、3、7について
請求人は、無効理由5として、本件発明1~3、5、7、9は明確ではなく、これらを直接又は間接的に引用する本件発明4、6、8、10~15も明確ではないから、本件発明1~15は特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものである旨主張する。
そこで、当審では、事案に鑑みて、先に本件発明2、3、7について検討し、次に本件発明1、5、9について検討する。
(ア)本件発明2について
本件発明2は、「F 前記車両部品(6)の交換に必要な交換部品を第4のデータベースを用いて判定し、この判定は、各車両部品の交換部品と当該各車両部品の修理または交換に関連する修理工程のリストを含むステップと、G 前記第4のデータベースを用いて、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程および交換部品を判定するステップと、をさらに含む」ものである。
しかしながら、構成要件Fに記載の「前記車両部品(6)の交換に必要な交換部品を第4のデータベースを用いて判定」することと、構成要件Gに記載の「前記第4のデータベースを用いて、損傷した車両部品(6)の修理または交換に必要な作業工程および交換部品を判定」することとは、同じ判定を繰り返しているのか、それとも別の判定をしているのか明らかではない。
また、このような構成要件F、Gに記載の「判定」を行う「第4のデータベース」には、どのような情報が記録されているのか明らかではなく、さらに、構成要件Fの「修理工程」と構成要件Gの「作業工程」とは、同じ工程を示しているのか異なる工程を示しているのかも明らかではない。
よって、本件発明2は明確であるとはいえない。
(イ)本件発明3について
本件発明3は、「請求項2に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、H 前記第4のデータベースを用いて、各々必要な交換部品および各々必要な作業ステップに伴う費用を確立するステップと、I 前記必要な作業ステップおよび前記必要な交換部品の確立された費用を追加することによって、総修理費(7)を確立するステップと、をさらに含む」ものである。
しかしながら、構成要件Hに記載の「第4のデータベース」には、どのような情報が記録されているのか明らかではなく、また、構成要件Iに記載の「費用を追加する」とは、何に対して費用を追加しているのか明らかではない。
よって、本件発明3は明確であるとはいえない。
(ウ)本件発明7について
本件発明7は、「請求項6に記載の自動車の損傷度を査定する方法であって、O 前記自動車の前記車両部品の部品交換費用が確立され、前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され、P 請求者によって前記総修理費(7)または前記部品交換費用を直接請求者自身に支払らわせるか、もしくは、前記自動車(1)を修理店に持ち込むかを判定することによって、請求が自動車の専門家または保険会社の介入なしに直接処理される」ものである。
ここで、構成要件Oには「前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され」と記載されているが、本件発明3の構成要件Iには「前記必要な作業ステップおよび前記必要な交換部品の確立された費用を追加することによって、総修理費(7)を確立する」と記載されており、「前記総修理費(7)」には「部品交換費用」が含まれているものと解される。
してみると、構成要件Oに記載の「前記総修理費(7)が前記部品交換費用と比較され」とは、部品交換費用が既に含まれている「前記総修理費(7)」と「部品交換費用」とを比較することを意味することになり、その意味する技術事項が著しく不明確であって、本件発明7を把握することができない。
よって、本件発明7は明確であるとはいえない。
(なお、被請求人は、令和6年8月29日に提出した被請求人・口頭審理陳述要領書(7頁21行~30行)において、構成要件Oに記載の「前記車両部品の部品交換費用」なる記載を、「前記車両の再調達費用」なる記載に訂正する用意があるとしているが、本件特許明細書には「車両の再調達費用」に関して一切記載も示唆もされておらず、「車両部品の部品交換費用」の誤記であるとも認められないため、かかる訂正は新規事項の追加になりうるとの心証であることを付言しておく。)
イ 本件発明1、5、9について
次に、本件発明1、5、9について以下検討する。
(ア)本件発明1について
a 構成要件Bに記載の「車両ゾーン」について
請求人は、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」に関して、本件特許明細書の段落【0009】には、「この損傷度の査定は、特に、自動車が数千個の個別の部品で構成されているため、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減する車両ゾーンを定義することによって可能になる。・・・」と記載されているが、如何なる「車両ゾーン」であれば損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減することができるのかについて、本件特許明細書には一切記載されておらず、当業者の技術常識を考慮しても、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減するというだけで、それを実現する「車両ゾーン」が直ちに明確になるという合理的な理由も見出せないので、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減することができる「車両ゾーン」とは全く特定不可能な構成である旨主張する。
しかしながら、「車両ゾーン」とは、「車両」における「ゾーン」を示し、「ゾーン」とは領域を示すものであることは明らかであって、さらに、本件特許明細書の段落【0010】には、「原則として、任意の数の車両ゾーンに対して損傷度査定を行うことができる。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、20~100の車両ゾーンが用いられ、特に25~60が好ましく、30から50がさらに特に好ましい。」と記載されていることに鑑みると、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」とは、車両を所定の数(20~100など)に分割した所定の領域を示していると解されるのであって、このような解釈に不明確な点があるとはいえない。
さらに、本件特許の図面の【図1】を参照すると、車両ゾーン3が示す白丸が車両の左フロンドドアの領域に付されていることから、【図1】の記載によっても、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」とは、車両の左フロントドア、右フロントドアのような、車両における所定の領域を示していると推察されるのであって、これは前述の解釈とも整合するものである。
そして、個々の車両部品の損傷の程度を査定する処理に関して、最初に、車両の所定の領域である車両ゾーン毎に損傷の有無を査定し、次に、損傷があると査定された車両ゾーンについて当該車両ゾーンを構成する個々の車両部品について損傷の程度を査定するという段階的な処理を行うと、最初から全ての個々の部品の損傷の程度を査定する処理を行うよりも、処理に要する計算量やメモリ使用量を軽減し得ることは、当業者であれば当然に理解し得るから、単に、本件特許明細書に「車両ゾーン」の具体例が記載されていないからといって、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減する「車両ゾーン」が特定不可能な構成であるとはいえない。
よって、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
b 構成要件B、Cに記載の「ニューラルネットワーク」について
請求人は、構成要件Bには、「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワーク」と記載され、構成要件Cには、この人工ニューラルネットワークを用いて、「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され」ると記載されているが、車両ゾーンの損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、どのようにして複数の車両ゾーンにおける損傷重大度を判定することができるのか明確ではない旨主張する。
しかしながら、人工ニューラルネットワークを、損傷の「有無」を検出するとともに損傷の「重大度」も検出するように訓練させることはできないとする技術的根拠は何ら見出すことができない。
また、本件特許明細書の段落【0030】には、「この損傷重大度5は、画像ファイル2に基づいて損傷した車両ゾーン4ごとに決定される。これは、例えば、数値を出力するか、または、事前に定義されたカテゴリに損傷度を割り当てることによって実施されてもよい。」と記載されていることから、構成要件Cに記載の「損傷重大度(5)」は数値やカテゴリで出力されるものと解されるのであって、出力される数値が“ゼロ”やカテゴリが“損傷なし”となる場合も想定される。そうすると、出力される数値が“ゼロ”の場合やカテゴリが“損傷なし”の場合と、それ以外の出力の場合とは、損傷がない場合と損傷がある場合の出力に大別することができるから、損傷重大度(5)を判定することは、損傷の有無を判定することを包含しているともいえる。
してみると、一つの人工ニューラルネットワークを用いて、損傷の有無を検出し、さらに損傷重大度を判定するという技術事項が、当業者が理解できないほどに不明確な技術事項であるとはいえない。
よって、構成要件B、Cに記載の「ニューラルネットワーク」は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
c 構成要件Dに記載の「損傷重大度」と「損傷の程度」について
請求人は、構成要件Dの記載、及び本件特許明細書の段落【0029】~【0031】の記載によれば、構成要件Dに記載の「損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)」と、「損傷車両ゾーン(4)に存在する車両部品(6)の損傷の程度」とは、互いに関連するものであるとしても、本質的には互いに別個の技術事項であると解されるが、自動車の複数の車両ゾーンは、いずれも車両部品から構成されており、損傷車両ゾーンの損傷重大度とは、当該損傷車両ゾーン内の車両部品の損傷重大度、すなわち当該車両部品の損傷の程度を意味するものに他ならないから、「損傷車両ゾーンの損傷重大度」と、「当該損傷車両ゾーン内の車両部品の損傷の程度」とは本質的に同一の技術事項であり、両者を別個の技術事項として記載している構成要件Dの記載は明確ではない旨主張する。
しかしながら、車両ゾーンが複数の車両部品から構成されているにしても、個々の車両部品の配置箇所は、当該車両ゾーン内において異なるものであるから、車両ゾーンの損傷の重大度と、当該車両ゾーンを構成する個々の車両部品の損傷の程度とが同一となるとは限らないことは明らかである。
例えば、ある車両ゾーンの損傷重大度が低い場合、当該車両ゾーンの表面部に位置する車両部品のみが損傷し、当該車両ゾーンの内部に位置する車両部品は損傷していないことも予想されるのであって、この場合、当該車両ゾーンの損傷重大度と、内部に位置する車両部品の損傷の程度は一致しないことになる。
このことは、本件特許明細書の段落【0031】に、「例えば、車両ゾーン3に損傷があり、損傷重大度5が非常に低い値を有する場合、自動車1の塗装面にのみ損傷があることが予想される。」と記載されていることからも裏付けられるのであって、前記記載は、車両ゾーン3の損傷重大度5が非常に低い値を有する場合、車両ゾーン3の表面部に位置する個々の部品のみが損傷し、内部に位置する個々の部品は損傷がないことを示唆しており、その結果として、車両ゾーンの損傷重大度と、当該車両ゾーンを構成する個々の車両備品の損傷の程度は一致しないことになる。
してみると、「損傷重大度」と「損傷の程度」を別個の技術事項として記載している構成要件Dの記載に、当業者が理解できないほどに不明確な点があるとはいえない。
よって、構成要件Dの記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
d 構成要件Dに記載の「第2のデータベース」について
請求人は、構成要件Dに記載の「第2のデータベース」には、どのような情報が記録されているのか明確でない旨主張する。
しかしながら、構成要件Dには、「第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され」と記載されていることから、第2のデータベースには、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)と、個々の車両部品(6)の損傷の程度とが対応づけられて記録されていることは、当業者であれば当然に理解できる。そして、このような理解は、本件特許明細書の段落【0031】に、「第3の方法ステップにおいて、損傷車両ゾーン4の損傷重大度5に基づいて、各々の損傷車両ゾーン4内の個々の車両部品6に対して、損傷の程度が確立される。これは、車両ゾーン3に存在する各々の車両部品6と、車両ゾーン3の損傷重大度5に応じた車両部品6の損傷の程度とを特定する第2のデータベースによって達成される。」と記載されていることからも裏付けられるものである。
よって、構成要件Dに記載の「第2のデータベース」は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
以上によれば、本件発明1は明確である。
(イ)本件発明5について
本件発明5は、本件発明3を引用するものであるから、上記「(2)ア(イ)で検討したとおりである。
よって、本件発明5は、明確であるとはいえない。
(なお、請求人は、構成要件Kに記載の「所定の計算モデル」とは、どのような計算モデルを意味しているのか、計算モデルがどのようにして第4データベースを随時最新の状態に更新するのか明確でない旨主張する。
しかしながら、構成要件Kの「前記第4のデータベースは、修理および交換方法を確立するために所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される」との記載、及び、本件特許明細書の段落【0016】の「本発明の追加のまたは代替的に好ましい一実施形態によれば、上記第4のデータベースは、少なくとも部分的に、現在のデータベースを用いる計算モデルに基づいて、修復および交換方法を確立することが提供される。」との記載によれば、「所定の計算モデル」とは、「第4のデータベース」に格納されているデータを更新するための計算モデルであって、例えば、「第4のデータベース」に新しいデータを追加したり、古いデータを削除したりしてデータベースを更新する計算モデルでありうることは、当業者であれば当然に理解できる。
よって、構成要件Kに記載の「所定の計算モデル」は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないことを付言しておく。)
(ウ)本件発明9について
本件発明9は、本件発明3を引用するものであるから、上記「(2)ア(イ)で検討したとおりである。
よって、本件発明9は、明確であるとはいえない。
(なお、請求人は、構成要件Rには、「損傷した前記自動車(1)または事故に関係する他の自動車(1)に組み込まれたドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる」と記載されているが、一般に、ドライブレコーダは、自動車のフロントガラス上部またはダッシュボード上に設けられているので、損傷した自動車の一部分の損傷を記録することができるにすぎず、損傷した自動車の全ての損傷を記録することはできるものではないから、このようなドライブレコーダによって記録された画像ファイルが、どのようにして損傷度の査定に用いられるのか明確でない旨主張する。
しかしながら、構成要件Rの「・・・ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる」との記載は、ドライブレコーダによって全ての損傷を記録することまで特定するものではなく、ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)を損傷の査定に用いることを示しているにすぎないのであって、また、ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、(車両における一部の)損傷の査定に用いることができることも、当業者であれば当然に理解できる。
よって、請求人の上記主張は、構成要件Rが示す技術事項を誤解したものであって失当であり、構成要件Rの記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえないことを付言しておく。)
ウ 無効理由5についてのまとめ
以上のとおり、本件発明2、3、7は明確ではなく、本件発明2、3、7を直接又は間接的に引用する本件発明4~6、8~15も明確ではないから、本件発明2~15は特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものである。
よって、本件発明2~15について、無効理由5は理由がある。
(3)無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 構成要件Aについて
甲1発明は、「車両の画像を損傷について分析し、車両の損傷部分を判定する方法」であって、「損傷した部品のクラスタを修理または交換する必要があるか否かを決定」するものであるところ、「修理または交換」の「決定」は損傷度に依拠することは明らかであるから、甲1発明は、実質的に、損傷した車両の画像から車両の損傷度を査定しているといえる。
よって、本件発明1と甲1発明とは、「損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて前記自動車(1)の損傷度を査定する方法」である点で一致する。
b 構成要件B、Cについて
甲1発明は、「部品クラスタ」について、「ほとんどの車両には、通常、左フロントドア、右フロントドア、・・・などの部品クラスタが含まれており」としていることから、甲1発明の「部品クラスタ」は、「左フロントドア、右フロントドア、・・・などの」車両の所定の領域を示すものであって、本件発明1の「事前に指定された複数の車両ゾーン(3)」に相当するといえる。
そして、甲1発明は、「損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタ損傷モデル116Eを使用して、1つまたは複数の損傷した部品のクラスタを決定することができ」るものであって、「部品クラスタ損傷モデル116Eは、入力データを、各部品クラスタが損傷しているか否か(例えば、配列はバイナリインジケータを含むことができる)および/または各部品クラスタの損傷の程度(例えば、配列は、連続的な損傷スコア、および/または、なし、軽度、中等度、重度などの、損傷の1つまたは複数のカテゴリを含むことができる)を示す出力配列にマッピングするように訓練することができ」としている。
してみると、甲1発明の「部品クラスタ損傷モデル116E」は、「各部品クラスタが損傷しているか否か(例えば、配列はバイナリインジケータを含む・・・)」、及び「各部品クラスタの損傷の程度(例えば、・・・軽度、中等度、重度など・・・)」を出力するものであって、これは各部品クラスタの損傷の有無(バイナリインジケータ(0、1))と損傷の程度(軽度、中等度、重度など)を判定することに他ならないから、甲1発明は、本件発明1と同様に、「前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップ」と、「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され」る「ステップ」を含むといえる。
さらに、前記「部品クラスタ損傷モデル116Eは、・・・出力配列にマッピングするように訓練することができ」とは、甲1発明の「部品クラスタ損傷モデル116E」が、「ニューラルネットワーク」である「損傷モデル116B」と同様に、ニューラルネットワークで構成されていることを示すものであって、甲1発明の「部品クラスタ損傷モデル116E」は、本件発明1の「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワーク」に相当する。
以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、下記の相違点1を除いて、「前記画像ファイル(2)に基づいて、前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)において、前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップと、損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップ」を含む点で一致する。
c 構成要件D、Eについて
甲1発明は、「損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタの損傷情報に基づいて修理/交換を決定することができ、1つまたは複数の部品クラスタが「重度」な損傷の兆候に関連付けられている場合、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、対応する部品を交換する必要があると判定することができるが、「軽度」な損傷の兆候に関連付けられている部品には、修理の判定を関連付けることができる。」としていることから、「部品クラスタ」の損傷の程度(「重度」、「軽度」)に応じて、当該損傷した部品クラスタの「対応する部品」について、「交換」、「修理」の判定を行うものである。
ここで、甲1発明の「部品クラスタ」の損傷の程度(「重度」、「軽度」)、当該損傷した部品クラスタの「対応する部品」は、それぞれ本件発明1の「損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)」、「損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)」に相当するから、上記bの検討も踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、「損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、前記損傷車両ゾーン(4)内の各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され」る「ステップ」を含む点で一致する
以上を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて前記自動車(1)の損傷度を査定する方法であって、
前記画像ファイル(2)に基づいて、前記自動車(1)の事前に指定された複数の車両ゾーン(3)において、前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを用いて、前記複数の車両ゾーン(3)に損傷があるか否かを確認するステップと、
損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップと、
損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、前記損傷車両ゾーン(4)内の各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定されるステップと、を含む
自動車の損傷度を査定する方法。
[相違点1]
車両ゾーン(3)の損傷の有無の確認と損傷重大度(5)の判定に関して、本件発明1は、人工ニューラルネットに加えて「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)に関する情報を含む第1のデータベース」を用いて確認・判定するものであるのに対して、甲1発明は、このような「第1のデータベース」を用いるのか明らかではない点。
[相違点2]
本件発明1は、「第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に基づいて、各々の前記損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)に対して、損傷の程度が確立され、前記損傷車両ゾーン(4)に存在する各々の車両部品(6)と、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」を含むものであるのに対して、甲1発明は、そのようなステップを含むとはしていない点。
[相違点3]
車両部品(6)が修理可能か、または、交換を必要とするかどうかの決定に関して、本件発明1は、「前記車両部品(6)の損傷の程度に基づいて、かつ、前記車両部品の損傷の程度に応じたこの決定の結果を含む第3のデータベースによって、行なわれる」ものであるのに対して、甲1発明は、そのように行われるとはしていない点。
(イ)判断
事案に鑑みて、最初に相違点2、3について検討する。
甲1発明は、「1つまたは複数の部品クラスタが「重度」な損傷の兆候に関連付けられている場合、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、対応する部品を交換する必要があると判定することができるが、「軽度」な損傷の兆候に関連付けられている部品には、修理の判定を関連付けることができる」としていることから、甲1発明では、車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)が「重度」である場合は、当該車両ゾーン内の車両部品(6)は全て「交換する必要がある」と判定され、車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)が「軽度」である場合は、当該車両ゾーン(4)に対応する車両部品(6)は全て「修理」と判定されるものと解するのが相当である。
すなわち、甲1発明は、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)に応じて、損傷車両ゾーン(4)を構成する複数の車両部品(6)について、一括して修理または交換が判定されるものであって、一つの損傷車両ゾーン(4)内の個々の車両部品(6)ごとに、損傷の程度が判定され、修理又は交換が判定されるものではない。
そして、甲1には、このような損傷車両ゾーン(4)内の複数の車両部品(6)を一括して修理又は交換を判定する構成に代えて、個々の車両部品(6)ごとに「損傷の程度」を確立し、この「損傷の程度」に基づいて、個々の車両部品(6)ごとに修理または交換を判定するようにすることは何ら記載も示唆もされていないし、甲2~4及び甲6をみても周知技術であるということはできないから、当業者であっても容易になし得たとすることはできない。
よって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ) 請求人の主張に対して
請求人は、甲1の段落【0090】に「損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、部品クラスタの修理/交換の決定を確定した後、(例えば、車両を修理するために購入する必要がある部品を決定するために)交換の決定に関連付けられた部品クラスタを車両固有の部品のリストにマッピングすることができる」と記載されており、前記記載は、部品クラスタの修理/交換を決定するプロセスと、部品単位の修理/交換を決定するプロセスとを別個に設けることを示すものであって、甲1発明における修理/交換の判定は、部品クラスタ単位で行われた後、部品単位でも別途行われるものである旨主張する(令和6年8月9日提出 請求人・口頭審理陳述要領書11頁17行~13頁5行)。
しかしながら、甲1の段落【0090】の上記「部品クラスタの修理/交換の決定を確定した後、(例えば、車両を修理するために購入する必要がある部品を決定するために)交換の決定に関連付けられた部品クラスタを車両固有の部品のリストにマッピングすることができる」との記載は、「交換」と決定された部品クラスタについて、「購入する必要がある部品を決定するために」、当該部品クラスタを構成する「車両固有の部品」を割り出して「リスト」化することを示すものにすぎず、修理又は交換と判定された部品クラスタを構成する「車両固有の部品」ついて、さらに、「車両固有の部品」ごとに修理又は交換を判定することを意味すると解することはできない。
そして、前述したとおり、甲1発明は、「1つまたは複数の部品クラスタが「重度」な損傷の兆候に関連付けられている場合、損傷検出コンピューティングプラットフォーム110は、対応する部品を交換する必要があると判定することができるが、「軽度」な損傷の兆候に関連付けられている部品には、修理の判定を関連付けることができる」としていることに鑑みると、甲1発明は、部品クラスタの損傷の程度が「重度」の場合には、当該部品クラスタに対応する部品はすべて交換と判定され、損傷の程度が「軽度」の場合には、当該部品クラスタに対応する部品はすべて修理と判定されると解されるのであって、甲1発明では、損傷の程度は部品クラスタ単位で判定されるものであり、部品クラスタを構成する部品単位で損傷の程度が判定され、修理又は交換が判定されるものと解することはできない。
よって、甲1発明における修理/交換の判定は、部品クラスタ単位で行われた後、部品単位でも別途行われるものであるとする請求人の上記主張は採用できない。
イ 本件発明2~15について
本件発明2~15は本件発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明2~15についても、本件発明1と同様の理由により、甲1発明に基づいて、又は甲1発明と、甲2~4及び甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明2~15についても、甲1発明に基づいて、又は甲1発明と、甲2~4及び甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、無効理由1は理由がない。
(4)無効理由4(実施可能要件違反)について
請求人は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1、5、8、9、12、13について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではなく、これらを直接又は間接的に引用する本件2~4、6、7、10、11、14、15についても、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものではない旨主張する。
そこで、本件発明1、5、8、9、12、13について、以下検討する。
ア 本件発明1について
(ア)構成要件Bについて
a 構成要件Bに記載の「人工ニューラルネットワーク」について
請求人は、構成要件Bに記載の「人工ニューラルネットワーク」について、通常、人工ニューラルネットワークを準備するためには、ニューロンの種類、トポロジー(ニューロン間のリンク)、教師データ等の詳細な情報が必要になるが、発明の詳細な説明には、段落【0029】に、「この方法ステップは、第1のデータベースと、自動車1の事前に指定された車両ゾーン3の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークとを用いて行われる。」という記載があるにすぎず、たとえ当業者であっても、不当な実験努力なしには、発明の詳細な説明の記載から、「前記自動車(1)の前記複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワーク」を構成することはできない旨主張する。
しかしながら、人工ニューラルネットワークは、本件特許の優先日前に、既に様々な技術分野において応用され実装されているものであるから、当業者であれば、ニューラルネットワークを用いる技術分野やその目的に応じて、ニューロンの種類、トポロジー、教師データなどを適宜選択し、適切な人工ニューラルネットワークを構築することができるものである。
そして、構成要件Bに記載の「人工ニューラルネットワーク」についても、上記段落【0029】には、「この方法ステップは、第1のデータベースと、自動車1の事前に指定された車両ゾーン3の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークとを用いて行われる。」と記載されているところ、かかる記載に基づいて、ニューロンの種類、トポロジー、教師データなどを適宜選択し、車両ゾーン3の損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワークを準備することは、当業者の通常の創作活動の範囲内において実施し得るものと認められる。
よって、構成要件Bに記載の「人工ニューラルネットワーク」について、本件特許の発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
b 構成要件Bに記載の「車両ゾーン」について
請求人は、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」について、発明の詳細な説明には、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減するものと定義されているところ、如何なる「車両ゾーン」であれば損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減することができるのかについて、本件特許明細書には一切記載されておらず、当業者の技術常識を考慮しても、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減するというだけで、それを実現する「車両ゾーン」が直ちに明確になるという合理的な理由も見出せないので、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減することがきる「車両ゾーン」とは全く特定不可能な構成である旨主張する。
しかしながら、無効理由5における本件発明1についてで検討(上記(2)イ(ア)a)したとおり、本件特許明細書の段落【0010】の記載から、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」とは、車両を所定の数(20~100など)に分割した領域を示していると解されるのであって、また、最初に車両ゾーンの損傷の有無を査定することによって、処理に要する計算量やメモリ使用量を軽減し得ることも、当業者であれば当然に理解し得るから、損傷度の査定の複雑さを大幅に軽減する「車両ゾーン」が特定不可能な構成であるとはいえない。
よって、構成要件Bに記載の「車両ゾーン」について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
(イ)構成要件Cについて
請求人は、構成要件Cには、「損傷が確認された前記複数の車両ゾーン(3)において損傷重大度(5)が判定され、この判定は、前記画像ファイル(2)に基づいて、前記第1のデータベースおよび前記人工ニューラルネットワークを用いて行われるステップ」と記載されているところ、「前記人工ニューラルネットワーク」とは、構成要件Bに記載の「複数の車両ゾーン(3)の損傷を検出するように訓練された」人工ニューラルネットワークを示しているから、たとえ当業者であっても、発明の詳細な説明の記載から、損傷が確認された複数の車両ゾーンにおいて損傷重大度を判定する人工ニューラルネットワークを構成することはできない旨主張する。
しかしながら、無効理由5における本件発明1についてで検討(上記(2)イ(ア)b)したとおり、人工ニューラルネットワークを、損傷の「有無」を検出するとともに損傷の「重大度」も検出するように訓練させることはできないとする技術的根拠は何ら見出すことができず、また、損傷の「重大度」を判定することは、損傷の「有無」を判定することを包含しているともいえるから、「損傷を検出するように訓練された」人工ニューラルネットワークを用いて「損傷重大度(5)」を判定することは、当業者であれば実施できるものである。
よって、構成要件Cについて、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
(ウ)構成要件Dについて
請求人は、構成要件Dに記載の「第2のデータベースによって、・・・、前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」について、発明の詳細な説明には、「第2のデータベース」に如何なる情報が記録されているのかは記載されておらず、また、一般にデータベースとは単に情報が格納されているものにすぎないので、どのようにして、第2のデータベースによって、損傷車両ゾーン内の個々の車両部品に対して、損傷の程度を確立したり、損傷車両ゾーンに存在する各々の車両部品と、損傷車両ゾーンの損傷重大度に応じた車両部品の損傷の程度とを特定したりすることができるのか不明であり、たとえ当業者であっても、発明の詳細な説明の記載から、構成要件Dに記載のステップを実現することはできない旨主張する。
しかしながら、無効理由5における本件発明1についてで検討(上記(2)イ(ア)d)したとおり、本件特許明細書の段落【0031】には、「第3の方法ステップにおいて、損傷車両ゾーン4の損傷重大度5に基づいて、各々の損傷車両ゾーン4内の個々の車両部品6に対して、損傷の程度が確立される。これは、車両ゾーン3に存在する各々の車両部品6と、車両ゾーン3の損傷重大度5に応じた車両部品6の損傷の程度とを特定する第2のデータベースによって達成される。」と記載されており、前記記載によれば、「第2のデータベース」には、損傷車両ゾーン(4)の損傷重大度(5)と、個々の車両部品(6)の損傷の程度とが対応づけられて記録されていることは、当業者であれば当然に理解できる。
そして、このようなデータを記録した「第2のデータベース」を用いれば、「・・・前記損傷車両ゾーン(4)の前記損傷重大度(5)に応じた前記車両部品(6)の損傷の程度とを特定するステップ」を実施し得ることは明らかである。
よって、構成要件Dについて、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
(エ)構成要件Eについて
請求人は、構成要件Eに記載の「各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、前記車両部品(6)の損傷の程度に基づいて、かつ、前記車両部品の損傷の程度に応じたこの決定の結果を含む第3のデータベースによって、行なわれるステップ」について、発明の詳細な説明には、「第3のデータベース」にいかなる情報が記録されているのかは記載されておらず、また、一般にデータベースとは単に情報が格納されているものにすぎないので、どのようにして、第3のデータベースによって、各々の損傷した車両部品に対して、前記車両部品が修理可能かどうか、または、前記車両部品が交換を必要とするかどうかを決定することができるのか不明であり、たとえ当業者であっても、発明の詳細な説明の記載から、構成要件Eに記載のステップを実現することはできない旨主張する。
しかしながら、本件特許明細書の段落【0032】には、「第4の方法ステップS4において、各々の損傷した車両部品6に対して、車両部品6が修理可能かどうか、または、車両部品6が交換を必要とするかどうかが決定される。この決定は、車両部品6の損傷の程度に基づいてこの決定を行うように設計された第3のデータベースによって行なわれる。」と記載されており、前記記載によれば、「第3のデータベース」には、「個々の車両部品(6)の損傷の程度」と、「車両部品6が修理可能かどうか、または、車両部品6が交換を必要とするかどうか」とが対応づけられて記録されていることは、当業者であれば当然に理解できる。
そして、このようなデータを記録した「第3のデータベース」を用いれば、「各々の損傷した車両部品(6)に対して、前記車両部品(6)が修理可能かどうか、または、前記車両部品(6)が交換を必要とするかどうかが決定され、この決定は、・・・第3のデータベースによって、行なわれるステップ」を実施し得ることは明らかである。
よって、構成要件Eについて、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
よって、本件発明1について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
イ 本件発明5について
請求人は、構成要件Kに記載の「前記第4のデータベースは、修理および交換方法を確立するために所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される」について、発明の詳細な説明には、「所定の計算モデル」とはいかなる計算モデルであるのか、計算モデルがどのようにして随時最新の状態に更新されるのかについて何ら記載されていないから、たとえ当業者であっても、発明の詳細な説明の記載から、所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される第4のデータベースを構成することはできない旨主張する。
しかしながら、無効理由5における本件発明5についてで検討(上記(2)イ(イ))したとおり、構成要件Kの「前記第4のデータベースは、修理および交換方法を確立するために所定の計算モデルによって随時最新の状態に更新される」との記載、及び、本件特許明細書の段落【0016】の「本発明の追加のまたは代替的に好ましい一実施形態によれば、上記第4のデータベースは、少なくとも部分的に、現在のデータベースを用いる計算モデルに基づいて、修復および交換方法を確立することが提供される。」との記載によれば、「所定の計算モデル」とは、「第4のデータベース」に格納されているデータを更新するための計算モデルであって、例えば、「第4のデータベース」に新しいデータを追加したり、古いデータを削除したりしてデータベースを更新する計算モデルでありうることは、当業者であれば当然に理解できる。
よって、本件発明5について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
ウ 本件発明8について
請求人は、構成要件Qには「前記方法によって提案される前記自動車(1)の損傷度査定が、ユーザによる承諾または修正のために出力され、そして、ユーザによる承諾または修正の入力に続いて、人工ニューラルネットワークが、さらなる学習のために承諾または修正された査定を用いる」と記載されており、前記「人工ニューラルネットワーク」は、本件発明1の構成要件Bに記載の「車両ゾーンの損傷を検出するように訓練された人工ニューラルネットワーク」を示すと推測されるところ、車両ゾーンの損傷を検出するための人工ニューラルネットワークにおいて、「損傷度の査定」をいかにして人工ニューラルネットワークのさらなる学習のために用いるのかについては、発明の詳細な説明には何ら記載されていないから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明8を実施することができる程度に明確かつ十分になされているとはいえない旨主張する。
しかしながら、本件発明1の構成要件Cについてで検討(上記ア(イ))したとおり、「損傷を検出するように訓練された」人工ニューラルネットワークを用いて「損傷重大度(5)が判定」することは、当業者であれば実施できるものである。
そして、ニューラルネットワークの学習において、ニューラルネットワークの出力結果をユーザが修正した場合、その修正内容を用いて学習することは常套手段であるから、車両ゾーンの損傷を検出するための人工ニューラルネットワークにおいて、「損傷度の査定」を人工ニューラルネットワークのさらなる学習のために用いることも、当業者であれば実施できることは明らかである。
よって、本件発明8について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
エ 本件発明9について
請求人は、構成要件Rには、「損傷した前記自動車(1)または事故に関係する他の自動車(1)に組み込まれたドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる」と記載されているが、一般に、ドライブレコーダは、自動車のフロントガラス上部またはダッシュボード上に設けられているので、損傷した自動車の一部分の損傷を記録することができるにすぎず、損傷した自動車の全ての損傷を記録することはできるものではないから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明9を実施することができる程度に明確かつ十分になされているとはいえない旨主張する。
しかしながら、無効理由5における本件発明9(上記(2)イ(ウ))で検討したとおり、構成要件Rの「・・・ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、損傷度の査定に用いられる」との記載は、ドライブレコーダによって全ての損傷を記録することまで特定するものではなく、ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)を損傷の査定に用いることを示しているにすぎないのであって、また、ドライブレコーダによって記録された画像ファイル(2)が、(車両における一部の)損傷の査定に用いることができることも、当業者であれば当然に理解できる。
よって、本件発明9について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
オ 本件発明12について
請求人は、構成要件Vには、「前記アプリ(10)が、正確に画像ファイル(2)を記録する、または、正しく画像ファイル(2)を提供する指示をユーザに提供し、かつ、必要に応じて、追加の画像ファイル(2)を記録または提供するようユーザに促す」と記載されているが、発明の詳細な説明には、画像ファイルをどのように記録することが「正確」であるのか、画像ファイルをどのように提供すれば「正しい」のかについて何ら記載されておらず、「必要に応じて」とはどのような場合を含むのかについても、何ら記載されていないから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明12を実施することができる程度に明確かつ十分になされているとはいえない旨主張する。
しかしながら、本件発明12は、損傷した自動車(1)の画像ファイル(2)に基づいて自動車(1)の損傷度を査定する方法であることに鑑みれば、査定の基礎となる画像ファイルは正確に、また不足がないように取得する必要があることは明らかであって、このような意味において、画像ファイル(2)を「正確に」、「正しく」記録し、不足があれば「必要に応じて」追加の画像ファイル(2)を記録するようにすることは、当業者であれば当然に理解できる。
よって、本件発明12について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
カ 本件発明13について
請求人は、構成要件Wには、「前記スマートフォンまたはタブレット(11)、特に前記スマートフォンまたはタブレット(11)のGPS信号からメタデータが、前記アプリ(10)によって読み出される」と記載されているが、発明の詳細な説明には、「メタデータ」が何を指すのかについて、何ら記載されていないから、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明13を実施することができる程度に明確かつ十分になされているとはいえない旨主張する。
しかしながら、「メタデータ」とは、一般に、他のデータに付随するデータを示すものであることは技術常識であり、ここでは、画像ファイル(2)に付随するものであって、GPS信号に基づく位置データを意味していることは当業者あれば当然に理解できる。
よって、本件発明13について、発明の詳細な説明には、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえない。
キ 無効理由4についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1、5、8、9、12、13、及びこれらを直接又は間接的に引用する本件発明2~4、6、7、10、11、14、15を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとはいえないから、無効理由4は理由がない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明1~6、8~15について無効理由2は理由があり、本件発明2~15について無効理由3は理由があるから、本件発明1~15に係る特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-800065