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特許無効審判

2022-800028

電子マネー送金方法およびそのシステム

審判番号
2022-800028
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-007150
登録番号
6306227
請求日
2022年03月31日
審決日
2023年08月07日
公報発行日
2025年03月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】PayPay 株式会社
  • 【請求人代理人】塩月 秀平
  • 【請求人代理人】松山 智恵
  • 【請求人代理人】▲高▼梨 義幸
  • 【請求人代理人】松本 陸
  • 【請求人代理人】澤井 光一
  • 【請求人代理人】吉田 幸二
  • 【被請求人】株式会社 アイエスアイ
  • 【被請求人代理人】矢口 太郎
  • 【被請求人代理人】千且 和也
  • 【被請求人代理人】尾城 日奈子
審判長/審判官
  • 審判長 伏本 正典
  • 審判官 古川 哲也
  • 審判官 梶尾 誠哉
分類
P1123.121-Y (G06Q) / P1123.113-Y (G06Q) / P1123.537-Y (G06Q) / P1123.55 -Y (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6306227号発明「電子マネー送金方法およびそのシステム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第6306227号の請求項2~5に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第2 手続の経緯 特許第6306227号(以下、「本件特許」という。)に係る特許出願(特願2017-7150号。以下、「本件特許出願」という。)は、2012年(平成24年)10月11日を国際出願日(優先権主張平成23年10月25日)とする特願2013-540720号(以下、「最初の原出願」という。)の一部を、平成27年12月10日に新たな特許出願とした特願2015-240763号(以下、「第1世代出願」という。)の一部を、平成29年1月19日に新たな特許出願としたものであり、最初の原出願や第1世代出願に係る手続の経緯も含め、本件特許及び本件審判に係る手続の経緯は、次のとおりである。 平成23年10月25日 優先基礎出願(特願2011-233596号) 平成24年10月11日 最初の原出願(特願2013-540720号) 平成27年12月10日 第1世代出願(特願2015-240763号、甲15) 平成28年 3月 1日 第1世代出願の手続補正書、上申書(甲17、甲23) 平成29年 1月19日 本件特許出願(特願2017-7150号、甲18) 平成29年 2月20日 手続補正書、上申書 平成29年 5月 9日 手続補正書(甲19)、上申書(甲16、甲22) 平成30年 3月16日 設定登録(特許第6306227号) 令和 3年 3月24日 特許権侵害差止等請求侵害訴訟の提起(令和3年(ワ)第7321号) 令和 3年 5月31日 原告第1準備書面(甲20) 令和 3年 9月21日 原告第2準備書面(充足論)(甲21) 令和 4年 3月31日 無効審判(本件審判)請求、甲1~19 令和 4年 8月15日 答弁書、乙1~8 令和 4年11月 7日付 審理事項通知 令和 4年12月26日 請求人口頭審理陳述要領書、甲20~23 令和 4年12月26日 被請求人口頭審理陳述要領書、乙9~11 令和 5年 1月30日 口頭審理 令和 5年 3月13日 請求人上申書(1)、甲24~26 令和 5年 3月13日 被請求人上申書(1) 令和 5年 4月10日 請求人上申書(2) 令和 5年 4月10日 被請求人上申書(2) 令和 5年 7月19日付 審理終結通知 なお、両当事者間の損害賠償等請求事件(令和3年(ワ)第7321号)について、東京地裁において令和5年2月24日に判決言い渡しがなされ、知的財産高等裁判所に控訴事件(令和5年(ネ)10039号)が係属中である。 第3 本件特許発明 本件特許に係る発明(以下、「本件特許発明2」~「本件特許発明5」という。)は、次のとおりである。(分説記号は、審判請求書記載のとおりである。 【請求項2】(本件特許発明2) 2A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法であって、 2B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 2C この方法は、 2C-1 前記送金の際、前記第1ユーザ端末(A)が、前記第2ユーザ端末(B)が出力した、前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報である第2端末情報と、前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額と、を受信し、前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記電子マネーの受取額が前記電子マネー管理サーバに送信されるようになっており、 2C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 2C-2-1 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報と、前記第2端末情報とを受信する工程と、 2C-2-2 前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断とを少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程と、 2C-2-3 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する工程と、 2C-2-4 前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かを少なくとも判断する決済判断工程と、 2C-2-5 前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程と を行う 2D ことを特徴とする電子マネー送金方法。 【請求項3】(本件特許発明3) 3A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを有し、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金システムであって、 3B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 3C このシステムは、 3C-1 前記送金の際、前記第1ユーザ端末(A)が、前記第2ユーザ端末(B)の前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報である第2端末情報と、前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額とを受信し、この第1ユーザ端末(A)を介して前記第2端末情報及び前記電子マネーの受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に送信されるようになっており、 3C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 3C-2-1 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報と、前記第2端末情報とを受信する手段と、 3C-2-2 前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否か、および前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かを少なくとも判断することにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証手段と、 3C-2-3 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する手段と、 3C-2-4 前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かを少なくとも判断する決済判断手段と、 3C-2-5 前記決済判断手段において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済手段と 3D を有することを特徴とする電子マネー送金システム。 【請求項4】(本件特許発明4) 4A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法であって、 4B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 4C この方法は、 4C-1 前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信されるようになっており、 4C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 4C-2-1 前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程と、 4C-2-2 前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信工程と、 4C-2-3 前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断工程と、 4C-2-4 前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程と を行う 4D ことを特徴とする電子マネー送金方法。 【請求項5】(本件特許発明5) 5A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金システムであって、 5B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 5C このシステムは、 5C-1 前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信されるようになっており、 5C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 5C-2-1 前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否か、および前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かを少なくとも判断することにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証手段と、 5C-2-2 前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信手段と、 5C-2-3 前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断手段と、 5C-2-4 前記決済判断手段において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済手段と 5D を有することを特徴とする電子マネー送金システム。 第4 無効理由 1 無効理由1 本件特許発明2及び3は、いずれも、本件特許出願の優先日2011年10月25日より前の2006年10月25日に頒布された甲1に記載された発明及び周知技術に基づいて本件特許出願の優先日前に本件特許発明2及び3の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから進歩性を欠き、本件特許発明2及び3に係る特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである(特許法第29条第2項、同法第123条第1項第2号)。 2 無効理由2 本件特許発明4及び5は、いずれも、本件特許出願の優先日2011年10月25日より前の2011年6月3日に頒布された甲7に記載された発明及び周知技術に基づいて本件特許出願の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから進歩性を欠き、本件特許発明4及び5に係る特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである(特許法第29条第2項、同法第123条第1項第2号)。 3 無効理由3 本件特許出願は、分割要件を満たさず、本件特許発明2~5の新規性及び進歩性の判断は、本件特許出願の現実の出願日である平成29年(2017年)1月19日を基準になされるべきであり、本件特許発明2~5は、本件特許出願の現実の出願日よりも前に公開された、第1世代出願の公開特許公報(甲13)に記載された発明(甲13発明)と同一であるから新規性を欠き、また、仮に相違点があったとしても、甲13発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから進歩性を欠き、本件特許発明2~5に係る特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである(特許法第29条第1項第3号、同法第29条第2項、同法第123条第1項第2号)。 4 無効理由4 本件特許発明4及び5は、発明の詳細な説明に記載されていないから、本件特許発明4及び5に係る特許は、特許第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許無効審判により無効とされるべきものである(特許法第36条第6項第1号、同法第123条第1項第4号)。 5 無効理由5 本件特許発明4及び5を追加する補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものでないから、本件特許発明4及び5に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり、本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである(特許法第17条の2第3項、同法第123条第1項第1号)。 第5 当事者の主張と証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1)無効理由1について ア 本件特許発明2について (ア)甲1発明1 甲1には、モバイル決済方法に関し、以下の各構成を含む甲1発明1が記載されている。 [甲1発明1] 1-1a 移動端末ユーザが有する移動端末と、サービスプロバイダが有するレジサービス端末と、移動端末及びレジサービス端末と通信接続され、レジサービス端末及び移動端末ユーザの身分情報及びそのアカウント情報を予め記憶しているネットワーク仲介システム(又は当該ネットワーク仲介システムに含まれる処理装置)とを用いて、移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行うモバイル決済方法であって(審判請求書第7、4-1(2)ア○2~○4、○11~○13)、 1-1b ネットワーク仲介システム及び移動端末は、移動端末ユーザのアカウント情報に関連付けられた移動端末ユーザの身分情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)を記憶し、ネットワーク仲介システム及びレジサービス端末は、サービスプロバイダのアカウント情報又はサービスプロバイダ情報に関連付けられたレジサービス端末の身分情報(レジ端末情報(レジ端末の唯一の識別情報とレジ端末の番号情報を含む))を記憶し(上記4-1(2)ア○2、○6、○7、○9及び○11)、 1-1c モバイル決済方法は(上記4-1(2)ア○2~○5) 1-1c-1 モバイル決済の際、移動端末が、レジサービス端末が出力した、取引金額とレジサービス端末の身分情報に含まれるレジ端末情報とを含む画像を取得又は走査し、移動端末を介して、画像に含まれる、又は、画像から解析されたレジ端末情報及び取引金額がネットワーク仲介システムに送信されるようになっており(上記4-1(2)ア○2及び○7)、 1-1c-2 ネットワーク仲介システムが(上記4-1(2)ア○2及び○13)、 1-1c-2-1 移動端末から、移動端末の身分情報に含まれる移動端末の識別情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)と、レジ端末情報とを受信する工程と(上記4-1(2)ア○2及び○12)、 1-1c-2-2 移動端末から受信した移動端末の識別情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されている移動端末の識別情報と対応しているか否かの判断と、レジ端末情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されているレジ端末情報と対応しているか否かの判断とを行うことにより、移動端末ユーザ及びサービスプロバイダの身分の正当性を検証する工程と(上記4-1(2)ア○5、○8及び○9)、 1-1c-2-3 移動端末から、取引金額を含む取引情報を受信する工程と(上記4-1(2)ア○2及び○7)、 1-1c-2-5 ネットワーク仲介システムに記憶される移動端末ユーザのアカウント情報とサービスプロバイダのアカウント情報に基づいて、移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行う工程とを行う(上記4-1(2)ア○2~○4及び○10)、 1-1d 現金を支払う必要がないモバイル決済方法(上記4-1(2)ア○2及び○11)。(審判請求書第38~40頁)(当審注:○1等は、○囲い数字を示す。以下同様。) (イ)本件特許発明2と甲1発明1との対比 a 構成要件2Aについて 甲1発明1の構成1-1aにおける、「移動端末ユーザが有する移動端末」、「サービスプロバイダが有するレジサービス端末」、「移動端末及びレジサービス端末と通信接続され、レジサービス端末及び移動端末ユーザの身分情報及びそのアカウント情報を予め記憶しているネットワーク仲介システム」、「移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行うモバイル決済方法」が、それぞれ本件特許発明2の構成要件2Aにおける、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)」、「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」、「前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」に相当する。(審判請求書第43~44頁) 甲1発明1のネットワーク仲介システムは、移動端末ユーザ及びサービスプロバイダそれぞれのアカウント情報を記憶しており、さらに、これらのアカウント情報を用いて支払を実行する取引(モバイル決済)を行うことにより、現金での支払が必要ないということ、取引記録を記憶し支払いを実行し、情報処理として取引処理を実行すること、及び、アカウント情報などを他の装置に送信したりせずに自装置で支払を実行する取引処理を完結させることという各処理を行うことを考慮すると、それぞれのアカウント情報には、現金のように扱うことが可能な電子マネーに対応する金銭的価値が対応付けられていることは明らかである。 したがって、ネットワーク仲介システムが、「レジサービス端末及び移動端末ユーザ」それぞれの「アカウント情報」を予め記憶していることは、構成要件2Aの「前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する」ことに相当する。(審判請求書第44~45頁) 甲1原文の「支付」に金銭を「支払う」という意味があること(甲24)や、「決済」が一般的に「代金や証券・商品、または売買差金の受け渡しによって、売買取引を終了すること」との意味を有すること(甲25)、また、甲1における「帳号」及び「帳戸」のどちらの翻訳にも「アカウント」又は「account」という定義があること(乙9)から、甲1発明1の構成1-1aに関する上記の認定に誤りはない。(請求人上申書(1)第3~4頁) かかる甲1の記載によれば、決済の具体的方法について明示的な記載がないとしても、「ネットワーク仲介システム3」自ら、取引情報やアカウント情報に基づいて取引や支払いを実行し、当業者にとって何ら困難な処理を伴わない決済処理(残高の増減処理)を完結させていると解釈するのが自然である。(請求人口頭審理陳述要領書第4頁) b 構成要件2Bについて 甲1発明1の構成1-1bにおける、「移動端末ユーザのアカウント情報」、「移動端末ユーザの身分情報」、「サービスプロバイダのアカウント情報又はサービスプロバイダ情報」、「レジサービス端末の身分情報」が、それぞれ本件特許発明2の構成要件2Bにおける、「前記第1ユーザの情報」、「第1の証明情報」、「前記第2ユーザの情報」、「第2の証明情報」に相当する。 移動端末は、移動端末の身分情報を取引情報とともに送信するため、当該身分情報を記憶していることは明らかである。また、レジサービス端末は、レジサービス端末の身分情報を含む取引情報の画像を生成するため、当該身分情報を記憶していることは明らかである。 さらに、取引双方の身分情報及びアカウント情報がネットワーク仲介システムに記憶されており、身分情報からアカウント情報を抽出できるため、身分情報とアカウント情報とが関連付けられていることは明らかである。 よって、構成要件2Bは、甲1発明1の構成1-1bと同一であり、甲1に開示されている。(審判請求書第45~47頁) c 構成要件2C、構成要件2C-1について 甲1発明1の構成1-1cにおいて、モバイル決済システムは、モバイル決済方法を実行するため、この「モバイル決済方法」は、構成要件2Cの「この方法」に対応する。(審判請求書第47頁) 甲1発明1の構成1-1c-1における、「レジサービス端末の身分情報に含まれるレジ端末情報」、「取引金額」は、それぞれ本件特許発明2の構成要件2C-1における、「前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報である第2端末情報」、「前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額」に相当する。 甲1発明1の構成1-1c-1における、「移動端末を介して、画像に含まれる、又は、画像から解析されたレジ端末情報及び取引金額がネットワーク仲介システムに送信される」ことは、本件特許発明2の構成要件2C-1における、「前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記電子マネーの受取額が前記電子マネー管理サーバに送信される」ことに相当する。(審判請求書第47~48頁) d 構成要件2C-2、構成要件2C-2-1について 甲1発明1の構成1-1c-2において、モバイル決済方法の決済に関する処理を「ネットワーク仲介システム」が行うため、この「ネットワーク仲介システム」が、構成要件2C-2の「前記電子マネー管理サーバ(300)が」に相当する。(審判請求書第48頁) 甲1発明1の構成1-1c-2-1における「移動端末の身分情報に含まれる移動端末の識別情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)」は、本件特許発明2の構成要件2C-2-1における「前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報」に相当する。 移動端末から、「移動端末の身分情報に含まれる移動端末の識別情報」と、「レジ端末情報」とを受信することは、構成要件2C-2-1の「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報と、前記第2端末情報とを受信する」ことに相当する。(審判請求書第48~50頁) e 構成要件2C-2-2について 甲1発明1の構成1-1c-2-2における、「移動端末から受信した移動端末の識別情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されている移動端末の識別情報と対応しているか否かの判断」、「レジ端末情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されているレジ端末情報と対応しているか否かの判断」は、それぞれ本件特許発明2の構成要件2C-2-2における、「前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」、「前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」に相当する。 甲1発明1の構成1-1c-2-2における、「移動端末ユーザとサービスプロバイダとの身分の正当性を検証する」ことについて、移動端末の識別情報とレジサービス端末情報とが用いられて検証されることに鑑みれば、移動端末及びレジサービス端末を認証することにより、移動端末ユーザ及びサービスプロバイダの身分の正当性を検証していると言えるから、甲1発明1の「移動端末ユーザとサービスプロバイダとの身分の正当性を検証する」ことは、実際の処理として、移動端末の識別情報とレジサービス端末情報とを用いて移動端末及びレジサービス端末を認証しているため、本件特許発明2の構成要件2C-2-2の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」に相当する。(審判請求書第50~51頁) f 構成要件2C-2-3について 甲1発明1の構成1-1c-2-3において、ネットワーク仲介システムは、移動端末から、取引金額を含む取引情報を受信することにより、当該「取引情報」に含まれる情報を抽出して取引処理を開始するため、当該取引情報は、取引を開始するための取引指示、すなわち、本件特許発明2の構成要件2C-2-3の「前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示」に相当する。 また、甲1発明1の「取引情報」には「取引金額」が含まれるため、「取引金額を含む取引情報」を受信することは、構成要件2C-2-3の「前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する」ことに相当する。(審判請求書第51~52頁) g 構成要件2C-2-5、構成要件2Dについて 甲1発明1の「モバイル決済」は、移動端末ユーザのアカウント情報とサービスプロバイダのアカウント情報に基づいて、移動端末ユーザ(買い手)からサービスプロバイダ(売り手)へ、現金ではない金銭的価値の送金を行うから、移動端末ユーザのアカウント情報に対応付けられる移動端末ユーザの金銭的価値の残高から取引金額の分だけを減額し、サービスプロバイダの金銭的価値の残高を取引金額の分だけ増額する決済が行われていることは明らかであり、甲1発明1の構成1-1c-2-5の「ネットワーク仲介システムに記憶される移動端末ユーザのアカウント情報とサービスプロバイダのアカウント情報に基づいて、移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行う」ことは、本件特許発明2の構成要件2C-2-5の「前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程とを行う」ことに相当する。 よって、構成要件2C-2-5のうち、「前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、」の決済条件以外は、甲1発明1の構成1-1c-2-5と同一であり、甲1に開示されている。(審判請求書第52~53頁) 甲1発明1の構成1-1dにおいて、「現金を支払う必要がないモバイル決済方法」は、本件特許発明2の構成要件2Dの「電子マネー送金方法」に相当する。(審判請求書第53頁) h 一致点及び相違点 本件特許発明2と甲1発明1とは、構成要件2C-2-4及び構成要件2C-2-5における以下の[相違点1]に係る構成を除き、一致する。 [相違点1] 電子マネーの送金に関わるサーバの処理について、本件特許発明2では、受取額が残高内であるかの判断を行い(構成要件2C-2-4)、残高内であるという残高確認が行われた場合に電子マネーの送金が行われる(構成要件2C-2-5)のに対し、甲1発明1では、かかる残高の判断及び確認を行うのか否かが必ずしも明らかではない点。 (審判請求書第54頁) (ウ)本件特許発明2と甲1発明1の相違点に関する意見 電子決済の分野において、決済時における残高の判断及び確認は、甲2の1~甲5に開示されているとおり周知技術であり、特に、甲2の1~甲5においては、携帯端末を利用して電子決済を行う際に、残高確認が行われているから、甲1発明1に本周知技術を適用して、上記[相違点1]に係る構成とすることは当業者が容易に想到できたことである。(審判請求書第54~62頁) イ 本件特許発明3について (ア)甲1発明2 甲1には、モバイル決済システムに関し、以下の各構成を含む甲1発明2が記載されている。 [甲1発明2] 1-2a 移動端末ユーザが有する移動端末と、サービスプロバイダが有するレジサービス端末と、移動端末及びレジサービス端末と通信接続され、レジサービス端末及び移動端末ユーザの身分情報及びそのアカウント情報を予め記憶しているネットワーク仲介システム(又は当該ネットワーク仲介システムに含まれる処理装置)とを用いて、移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行うモバイル決済システムであって(上記4-1(2)ア○1~○4、○11~○13)、 1-2b ネットワーク仲介システム及び移動端末は、移動端末ユーザのアカウント情報に関連付けられた移動端末ユーザの身分情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)を記憶し、ネットワーク仲介システム及びレジサービス端末は、サービスプロバイダのアカウント情報又はサービスプロバイダ情報に関連付けられたレジサービス端末の身分情報(レジ端末情報(レジ端末の唯一の識別情報とレジ端末の番号情報を含む))を記憶し(上記4-1(2)ア○1、○2、○6、○7、○9及び○11)、 1-2c モバイル決済システムは(上記4-1(2)ア○1~○5) 1-2c-1 モバイル決済の際、移動端末が、レジサービス端末が出力した、取引金額とレジサービス端末の身分情報に含まれるレジ端末情報とを含む画像を取得又は走査し、移動端末を介して、画像に含まれる、又は、画像から解析されたレジ端末情報及び取引金額がネットワーク仲介システムに送信されるようになっており(上記4-1(2)ア○2及び○7)、 1-2c-2 ネットワーク仲介システムが(上記4-1(2)ア○1、○2及び○13)、 1-2c-2-1 移動端末から、移動端末の身分情報に含まれる移動端末の識別情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)と、レジ端末情報とを受信する手段と(上記4-1(2)ア○2及び○12)、 1-2c-2-2 移動端末から受信した移動端末の識別情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されている移動端末の識別情報と対応しているか否かの判断と、レジ端末情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されているレジ端末情報と対応しているか否かの判断とを行うことにより、移動端末ユーザ及びサービスプロバイダの身分の正当性を検証する手段と(上記4-1(2)ア○5、○8及び○9)、 1-2c-2-3 移動端末から、取引金額を含む取引情報を受信する手段と(上記4-1(2)ア○1、○2及び○7)、 1-2c-2-5 ネットワーク仲介システムに記憶される移動端末ユーザのアカウント情報とサービスプロバイダのアカウント情報に基づいて、移動端末ユーザからサービスプロバイダへの支払を実行するモバイル決済を行う手段とを有する(上記4-1(2)ア○1~○4及び○10)、 1-2d 現金を支払う必要がないモバイル決済システム(上記4-1(2)ア○1、○2及び○11)。 (審判請求書第40~42頁) (イ)本件特許発明3と甲1発明2の対比及び相違点に関する意見 本件特許発明3は、本件特許発明2における「電子マネー送信方法」とはカテゴリ違いの「電子マネー送金システム」に関する発明であり、本件特許発明3を、甲1発明1の「モバイル決済方法」の発明を「モバイル決済システム」として記載した甲1発明2と対比すると、以下の[相違点2]に係る構成を除き、一致する。 [相違点2] 電子マネーの送金に関わるサーバの処理について、本件特許発明3では、受取額が残高内であるかの判断を行い(構成要件3C-2-4)、残高内であるという残高確認が行われた場合に電子マネーの送金が行われる(構成要件3C-2-5)のに対し、甲1発明2では、かかる残高の判断及び確認を行うのか否かが必ずしも明らかではない点。 そして、上記[相違点2]に係る本件特許発明3の構成は、上記[相違点1]に係る本件特許発明2の構成と同じであるから、本件特許発明2において主張した理由と同様に、甲1発明2に本周知技術を適用して、相違点2に係る構成を想到することは、当業者が容易になし得ることは明らかである。(審判請求書第40~42、69~71頁) ウ 甲1発明の「身分情報」について 甲1には、ユーザやサービスプロバイダの身分情報を用いて、双方の正当性が検証されること(甲1翻訳文第10頁第17行~第11頁第12行のS5。)、身分情報を用いて双方の身分が正当であると判定された場合に、身分情報に基づいて双方のアカウント情報を呼び出して取引を実行すること(甲1翻訳文11頁13行及び14行、請求項4及び6等)が記載されているように、甲1には、身分の正当性を確認するために用いられるのが「身分情報」であり、取引や支払いに用いられるのが「アカウント情報」であることが明確に記載されているから、甲1発明において、ユーザやサービスプロバイダの身分を確認するための情報は、「アカウント情報」とは異なる「身分情報」である。(請求人口頭審理陳述要領書第6頁) エ 「証明情報」の技術的意義について 本件明細書の段落【0032】、【0037】の記載から、「証明情報」は、ユニークな情報及び端末を証明する情報であるという技術的意義を有することにより、送金側の第1ユーザ端末から、受金側の第2ユーザ端末の「証明情報」の少なくとも一部が電子マネー管理サーバに送信されない限り、電子マネー管理サーバは受金側の第2ユーザ端末の認証を行うことができないため、受金側の端末による不正送金を防ぐことができるという本件発明の技術的意義を導くことができ、本件明細書の記載及び被請求人が甲20及び甲21において主張するクレーム解釈によれば、「証明情報」は、サービス利用者又は加盟店を特定するためのID等何らかの情報を含み、例えば、電子証明書やデジタル署名を含む情報である。かかる「証明情報」の解釈によれば、「ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)」であったとしても、「ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたものであり」、「当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報」であれば、本件特許発明2の「証明情報」に含まれることは明らかであり、これに対し、甲1発明の、移動端末ユーザやサービスプロバイダを特定するための情報(サービスプロバイダのID情報や移動端末のESN(移動端末番号MSISDN)など)である「身分情報」は、ユーザ又はユーザ端末に関連付けられたものであり、さらに、当該情報を出力した移動端末を通して、移動端末ユーザとレジサービス端末の正当性が検証されるから、甲1発明の「身分情報」は、本件特許発明2の「証明情報」に含まれる。(請求人上申書(1)第6~8頁、請求人上申書(2)第7~8頁) オ 甲1に記載の「モバイル決済」には、電子マネーがサーバに管理されるソフトウェア型のモバイル決済が含まれること 甲6に記載されているように、甲6が公開された2002年時点ですでに、サーバ側で電子マネーを管理し、取引を実行して支払いを行うソフトウェア型のモバイル決済が多数実用化されたり、知られたりしていたから、甲1の出願当時の2005年において、モバイル決済(モバイル電子決済)には、上述したソフトウェア型のプリペイド式のモバイル決済(プリペイド決済)も含まれることが技術常識であったと言え、本件特許の優先日当時においても技術常識であった。 上記の技術常識に加え、甲1の「ネットワーク仲介システム3」は、銀行が参加しなくてもよいことから自ら取引及び決済(支払い)を実行することが記載されていること、及び、甲1の図1が甲6の図3-6に示されたプリペイド決済のようなシステム構成図とも整合すると言い得ること等からすれば、甲1発明1は、プリペイド決済のようなソフトウェアを用いて実行される電子決済が想定されていると解するのが自然である。(審判請求書第63~66頁) (2)無効理由2について ア 甲7発明について 甲7には、決済データ処理方法に関し、以下の各構成を含む甲7発明1が記載されている。 [甲7発明1] 7-1a 支払人が有する支払人端末と、受取人が有する受取人端末と、支払人端末及び受取人端末とネットワークを介して接続され、支払人のアカウントナンバー及び受取人のアカウントナンバーをそれぞれ記憶する決済サーバとを用いて、支払人から受取人へ電子マネーに相当する金銭的価値の送金を行う決済データ処理方法であって(審判請求書第7、4-2(2)ア、段落[0018]、[0019]、[0023]、[0024]及び[0037])、 7-1b 決済サーバ及び支払人端末は、支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバーおよび決済パスワードを格納し、決済サーバ及び受取端末は、受取人端末に関連付けられた受取人アカウントナンバーを格納し(同段落[0024]及び[0099])、 7-1c 決済データ処理方法は(同段落[0023])、 7-1c-1 決済の際、受取人端末は、支払人端末から暗号化された暗号化決済要求データに含まれる支払人アカウントナンバー、決済パスワードを受け取り、受取人端末を介して、暗号化された暗号化決済要求データに含まれる支払人アカウントナンバー、決済パスワードが決済サーバに送信され(同段落[0031]及び[0033])、 7-1c-2 決済サーバが(同段落[0035])、 7-1c-2-1 支払人の情報に関連付けられる支払人アカウントナンバーを受信した受取人端末により送信された、受取人端末に関連付けられた受取人アカウントナンバーが、決済サーバに格納されている受取人アカウントナンバーと一致しているかの比較と、受取人端末から受信した支払人 端末に関連付けられた支払人アカウントナンバーが、決済サーバに格納されている支払人アカウントナンバーと一致しているか否かの比較とを行うことにより、支払人端末及び受取人端末の認証を行う工程と、(同段落[0024]、[0033]及び[0035])、 7-1c-2-2 受取人端末から、支払人端末からの支払金額を含む暗号化決済要求データを受信する工程と、(同段落[0033])、 7-1c-2-4 決済サーバ内の支払人のアカウントから支払金額分が差し引かれ、決済サーバ内の受取人のアカウントに支払金額分が増額される工程とを行う(上記段落[0037])、 7-1d 決済データ処理方法(同段落[0023])。 (審判請求書第82~84頁、請求人上申書(1)第9頁において訂正(下線部分)) イ 本件特許発明4と甲7発明1との対比 (ア)構成要件4Aについて 甲7発明1の構成7-1aにおける、「支払人が有する支払人端末」、「受取人が有する受取人端末」、「支払人端末及び受取人端末とネットワークを介して接続され、支払人のアカウントナンバー及び受取人のアカウントナンバーをそれぞれ記憶する決済サーバ」、「支払人から受取人へ電子マネーに相当する金銭的価値の送金を行う決済データ処理方法」が、それぞれ本件特許発明4の構成要件4Aにおける、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)」、「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」、「前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」に相当する。(審判請求書第87頁) 甲7の「a payment in the amount specified is made by the payment server. The payer's account is deducted and the recipient's account is increased by the payment amount.」(訳文:特定された金額の決済が決済サーバによって行われる。支払い金額分が、支払人のアカウントから差し引かれ、受取人のアカウントに増額される。)(段落[0037])との記載によれば、決済サーバは、支払人及び受取人のアカウントから差し引いたり増額させたりすることが可能な金銭的価値をアカウントに関連付けて記憶していることが開示乃至示唆されており、「支払人のアカウントナンバー及び受取人のアカウントナンバーをそれぞれ記憶する」ことは、構成要件4Aの「前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する」ことに相当する。(審判請求書第87~88頁) 加えて、甲7の「the payment server is provided by a creditable third-party payment service provider such as Alipay.com.」(訳文:Alipay.comなどの信頼できるサードパーティ決済サービス事業者によって提供される)(段落[0018])との記載によれば、決済サービス事業者が扱う電子マネーに相当する金銭的価値を支払人から受取人へ送金することにより、決済が行われていることは明らかであり、「支払人から受取人へ電子マネーに相当する金銭的価値の送金を行う決済データ処理方法」は、構成要件4Aの「前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」に相当する。(審判請求書第88頁) (イ)構成要件4Bについて 甲7発明1の構成7-1bにおける、「支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバー」、「受取人の情報に関連付けられた受取人アカウントナンバー」が、それぞれ本件特許発明4の構成要件4Bにおける、「前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報」、「前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報」に相当する。(審判請求書第89頁、請求人上申書(1)第10頁において訂正(下線部分)) 「支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバー」は、構成要件4Bの「・・・および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報」に、「決済サーバ及び支払人端末は、支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバーを格納する」は、構成要件4Bの「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、・・・第1の証明情報を格納している」にそれぞれ相当する。 また、「受取人の情報に関連付けられた受取人アカウントナンバー」は、構成要件4Bの「・・・および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報」に、「決済サーバ及び受取端末は、受取人の情報に関連付けられた受取人アカウントナンバーを格納する」は、構成要件4Bの「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、・・・第2の証明情報を格納している」にそれぞれ相当する。(審判請求書第90頁、請求人上申書(1)第11頁において訂正(下線部分)) (ウ)構成要件4C、4C-1について 甲7発明1の構成7-1cにおいて、決済サーバは、決済データ処理方法を実行し、この「決済データ処理方法」は、本件特許発明4の構成要件4Cの「この方法」に対応する。(審判請求書第91頁) 甲7発明1の構成7-1c-1における、「決済の際」、「受取人端末は、支払人端末から暗号化された暗号化決済要求データに含まれる支払人アカウントナンバー、決済パスワードを受け取り」、「受取人端末を介して、暗号化された暗号化決済要求データに含まれる支払人アカウントナンバー、決済パスワードが決済サーバに送信される」が、それぞれ本件特許発明4の構成要件4C-1における、「前記送金の際」、「前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り」、「前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信される」に相当する。(審判請求書第91~92頁) (エ)構成要件4C-2、4C-2-1について 甲7発明1の構成7-1c-2において、決済データ処理方法の決済に関する処理を「決済サーバ」が行うため、この「決済サーバ」が、本件特許発明4の構成要件4C-2の「前記電子マネー管理サーバ(300)が」に相当する。(審判請求書第92頁) 甲7発明1の構成7-1c-2-1における、「支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバーを受信した受取人端末により送信された、受取人の情報に関連付けられた受取人アカウントナンバーが、決済サーバに格納されている受取人アカウントナンバーと一致しているかの比較」、「支払人の情報に関連付けられた支払人アカウントナンバーが、決済サーバに格納されている支払人アカウントナンバーと一致しているか否かの比較」が、それぞれ本件特許発明4の構成要件4C-2-1における、「前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」、「第1のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」に相当する。(審判請求書第93~94頁、請求人上申書(1)第12~13頁において訂正(下線部分)) (オ)構成要件4C-2-2について 甲7発明1の構成7-1c-2-2において、決済サーバは、受取人端末から、支払人端末からの支払い金額を含む暗号化決済要求データを受信することにより、当該「暗号化決済要求データ」を復号した決済要求データに含まれる情報を抽出して支払人から受取人への決済処理を開始するため(審判請求書第7、4-2(2)アの段落[0035])、当該「暗号化決済要求データ」は、支払人からの金銭的価値の決済を開始するための決済指示、すなわち、本件特許発明4の構成要件4C-2-2の「前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示」に相当する。 また、受取人端末から受信した「暗号化決済要求データ」には「支払い金額」が含まれるため、「受取人端末から、支払い金額を含む暗号化決済要求データ」を受信することは、構成要件4C-2-2の「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する」ことに相当する。(審判請求書第95頁) (カ)構成要件4C-2-4、4Dについて 甲7発明1の構成7-1c-2-4において、決済サーバが、「決済サーバ内の支払人のアカウントから支払い金額分が差し引かれ、決済サーバ内の受取人のアカウントに支払金額分が増額される工程とを行う」ことは、本件特許発明4の構成要件4C-2-4の「前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程とを行う」ことに相当する。 なお、甲7発明1の構成7-1c-2-4において、本件特許発明4の構成要件4C-2-4の「前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、」の決済条件については明記されていないため、本件特許発明4の構成要件4C-2-4のうち、「前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、」の決済条件以外は、甲7発明1の構成7-1c-2-4と同一であり、甲7に開示されている。(審判請求書第96頁) (キ)一致点及び相違点 本件特許発明4と甲7発明1とは、構成要件4C-2-3及び構成要件4C-2-4における以下の[相違点3]に係る構成を除き、一致する。 [相違点3] 電子マネーの送金に関わるサーバの処理について、本件特許発明4では、受取額が残高内であるかの判断を行い(構成要件4C-2-3))、残高内であるという残高確認が行われた場合に電子マネーの送金が行われる(構成要件4C-2-4)のに対し、甲7発明1では、かかる残高の判断及び確認を行うのか否かが必ずしも明らかではない点。(審判請求書第97頁) ウ 本件特許発明4と甲7発明1の相違点は容易想到である 電子決済分野において、支払人のアカウントに、取引額以上の残高があるかの残高確認を行い、残高が十分にあれば取引を行うことは、甲2の1~甲5に開示されているとおり周知技術に過ぎず、甲7発明に本周知技術を適用して上記[相違点3]に係る構成に想到することは当業者が容易になし得ることである。また、甲7の「a payment processing device to be installed at a point of sale.」(訳文:[0004]・・・決済処理デバイスを店頭に導入すること)や、「the payment server is provided by a creditable third-party payment service provider such as Alipay.com.」(訳文:Alipay.comなどの信頼できるサードパーティ決済サービス事業者によって提供される)(段落[0018])の記載を考慮すると、甲7発明において、サードパーティ決済サービス事業者が支払人(買い手)の残高以上の買い物を防止すべく、支払い金額が支払人の残高内であるかの残高確認を行うという本周知技術を採用することへの示唆があると言える。(審判請求書第97~99頁) エ 甲7発明に関する補足 甲8~甲10によれば、甲7の公開日である2011年6月3日と同時期において甲7の出願人であるAlibabaが提供していたモバイル決済システムAlipayは、そのサーバにチャージされた電子マネーを用いてモバイル決済を行うシステムであることが当時からすでに知られていた上、甲11によれば、Alipayの技術の変遷として、2003年以降のオンラインショッピングサイトで、取引の成立を担保する決済手段としてエスクローサービス付きの電子マネーを使用するAlipayが開発され、2008年以降のスマートフォンの普及にしたがって、モバイル決済を実現するAlipayが開発されたことが記載されており、かかるモバイル決済を行う決済フローとしては、アリペイの口座に電子マネーがチャージされ、スマートフォンのアプリを利用して、他のアリペイ口座へ電子マネーを送金したり入金したりすることが記載されている。してみると、甲7の出願人がAlibabaであること、甲7の段落[0018]に「the payment server is provided by a creditable third-party payment service provider such as Alipay.com.」(訳文:決済サーバはAlipay.comなどの信頼できるサードパーティ決済サービス事業者によって提供される)と記載されていること、及び、甲7公開当時においてAlipayのサーバには電子マネーが管理されることが周知技術であったことを踏まえると、当業者であれば、甲7に記載の決済サーバには電子マネーが管理されていると当然に理解する。(審判請求書第99~106頁) オ 本件特許発明5について 本件特許発明5は、本件特許発明4における「電子マネー送信方法」とはカテゴリ違いの「電子マネー送金システム」に関する発明であり、本件特許発明5を、甲7発明1の「決済データ処理方法」の発明を「モバイル決済処理システム」として記載した甲7発明2と対比すると、以下の[相違点4]に係る構成を除き、一致する。 [相違点4] 電子マネーの送金に関わるサーバの処理について、本件特許発明5では、受取額が残高内であるかの判断を行い(構成要件5C-2-3)、残高内であるという残高確認が行われた場合に電子マネーの送金が行われる(構成要件5C-2-4)のに対し、甲7発明2では、かかる残高の判断及び確認を行うのか否かが必ずしも明らかではない点。 そして、上記[相違点4]に係る本件特許発明5の構成は、上記[相違点3]に係る本件特許発明4の構成と同じであるから、本件特許発明4において主張した理由と同様に、甲7発明2に本周知技術を適用して、相違点4に係る構成を想到することは、当業者が容易になし得ることは明らかである。(審判請求書第107~108頁) カ 甲7の決済サーバは自ら決済を行うものであること 甲7の翻訳文として提出された乙3の「特定された金額の決済が決済サーバによって行われる」、「決済が成功したか否かに応じて、決済処理の成功または失敗を示す決済結果データが生成される」(段落【0037】)との記載によれば、決済サーバは、決済要求データを決済代行会社等に出力せずに、自サーバ内で決済が完結する処理が記載されている。 さらに、乙3には、「決済サーバは、予め定義された暗号化関数を用いて、決済結果記述、決済が行われた時刻、支払人口座番号、受取人口座番号、支払い金額、および、決済シリアル番号を暗号化決済結果データに暗号化し、暗号化決済結果データを受取人端末に送信する」(段落【0039】)との記載もあり、決済サーバが、他の端末から決済結果データを受信するとの記載がなく、決済結果データを受取人端末に送信していることからも、決済サーバにおいて、自ら決済を行っていることは明らかであり、決済要求データを決済代行会社に出力することは明らかに行っていない。(請求人上申書(2)第6頁) 被請求人は、暗号化決済要求データに口座番号/アカウントナンバーとパスワードの組み合わせが含まれているから、甲7発明の決済については従来のカードを用いた電子決済と同じであるから、甲7発明における口座番号/アカウントナンバーは決済代行会社で会員を特定するための口座番号等であると主張しているが、電子マネーを用いた決済を行う場合であっても、既に口座を保有しているかを判断するための口座番号/アカウントナンバーと、正当な取引者であることを判断するためのパスワードのような認証情報とを用いることは通例であり、これらの情報を用いるからといって、直ちに決済代行会社を利用する決済であることにはならない。(請求人上申書(2)第5頁) キ 「証明情報」の技術的意義について 本件明細書の段落【0032】、【0037】の記載から、「証明情報」は、ユニークな情報及び端末を証明する情報であるという技術的意義を有することにより、送金側の第1ユーザ端末から、受金側の第2ユーザ端末の「証明情報」の少なくとも一部が電子マネー管理サーバに送信されない限り、電子マネー管理サーバは受金側の第2ユーザ端末の認証を行うことができないため、受金側の端末による不正送金を防ぐことができるという本件発明の技術的意義を導くことができ、本件明細書の記載及び被請求人が甲20及び甲21において主張するクレーム解釈によれば、「証明情報」は、サービス利用者又は加盟店を特定するためのID等何らかの情報を含み、例えば、電子証明書やデジタル署名を含む情報である。かかる「証明情報」の解釈によれば、「ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)」であったとしても、「ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたものであり」、「当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報」であれば、本件特許発明4の「証明情報」に含まれることは明らかであり、これに対し、甲7発明の「アカウントナンバー(口座番号)」は、支払人又は受取人を特定するための情報であって、ユーザ又はユーザの端末に関連付けられたものであり、当該情報を出力したユーザ端末を通して端末の認証を確実に行うものであるから、本件特許発明4の「証明情報」に含まれる。(請求人上申書(1)第6~8頁、請求人上申書(2)第7~8頁) (3)無効理由3について ア 本件特許に係る特許出願の分割要件について 本件特許出願(特願2017-7150)は、特願2013-540720(最初の原出願)の分割出願である特願2015-240763(第1世代出願)を原出願とする特許出願である。 分割出願を原出願とした分割出願(いわゆる孫出願)については、 (i)子出願が親出願に対し分割要件の全てを満たすこと。 (ii)孫出願が子出願に対し分割要件の全てを満たすこと。 (iii)孫出願が親出願に対し分割要件のうちの実体的要件の全てを満たすこと。 の(i)~(iii)の全ての条件を満たすときに、親出願の時にしたものとみなされるところ(甲14の5.1)、本件特許発明4及び5は、第1世代出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(甲15。以下「第1世代当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内にないものであるから、本件特許出願は、少なくとも上記(ii)の条件に関して、甲14の2.2に示された分割要件のうち、「(要件2)分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内であること」を満たさない。 そうすると、本件特許発明2~5の新規性及び進歩性の判断は、本件特許出願の現実の出願日である平成29年(2017年)1月19日を基準になされるべきである。 そして、本件特許発明2~5は、第1世代出願の公開特許公報(特開2016-53991号公報。平成28年4月14日公開。甲13)に基づき、新規性又は(少なくとも)進歩性を欠く。(審判請求書第109~112頁) イ 本件特許発明4及び5が第1世代当初明細書等に記載された事項の範囲内にないものである旨の主張 本件特許発明4及び5においては、サーバに対する○1ユーザの認証に用いる情報の送信、○2受取指示及び○3受取額の指定は、いずれも受金側が行うこととされている。 一方、第1世代当初明細書等のうちの明細書及び図面には、4つの実施形態及び変形例が記載されているが、そのいずれにも、本件特許発明4及び5と同様の伝達プロセスは開示されていない。(審判請求書第111~117頁) これに関して、被請求人により、平成29年5月9日付けで提出された上申書(甲16)、及び第1世代出願の審査過程において平成28年3月1日付けで提出された上申書(甲17)によれば、本件特許発明4及び5におけるサーバに対する○1ユーザの認証に用いる情報の送信、○2受取指示及び○3受取額の指定に関する補正は、第1実施形態を根拠としていると解される。(審判請求書第117~118頁) しかしながら、第1実施形態においては、「本実施形態では、端末Aと端末Bとが互いに有する電子証明書の内容を交換することや、管理サーバ300から発行されるアクセスキーと共に電子マネーの送金指示及び受取指示を送ることで、電子マネーの送金の安全性を確保しつつ、ユーザAからユーザBに電子マネーを直接に送ることができる。このため、電子マネーを現金に極めて近い感覚でやりとりすることが可能になる。」(本件明細書の【0084】)と記載されているとおり、端末A(送金側)と端末B(受金側)とが互いに有する電子証明書の内容を交換して、交換した情報をそれぞれが管理サーバ300に送ることにより、本件特許発明4及び5における課題(同【0013】)を解決すること、及び、端末Aと端末Bとが、送金指示及び受取指示それぞれを管理サーバ300に送ることにより、本件特許発明4及び5における課題を解決することが明確に記載されている。 してみると、第1実施形態では、本件特許発明4及び5における課題を解決するための構成として、端末A(送金側)と端末B(受金側)とが互いに交換した電子証明書の内容を送ること、及び、それぞれ送金指示及び受取指示を送ることの開示があるのみであり、オで後述するように、本件特許発明4及び5のように、交換した電子証明書の内容を送金側から送信すること、及び、送金指示を送金側から送信することを必ずしも必要としない形態が、本件特許発明4及び5における課題を解決することができることは、被請求人が補正の根拠として掲げる第1実施形態には何ら記載されていない。(審判請求書第118~119頁) 同様に、第1実施形態における段落【0080】には、 「【0080】 ・・・ このように端末Aと端末Bが電子証明書の少なくとも一部を交換した上で、管理サーバ300が、ステップS107およびS108で端末A、Bからそれぞれの取引相手の電子証明書の少なくとも1部の情報を受信し、受信した電子証明書の一部の情報が管理サーバ300に格納されている電子証明書の情報と対応しているか否かを判断する。つまり、自己の端末の電子証明書の情報が他の端末から管理サーバ300に送られ、当該他の端末の電子証明書の情報が自己の端末から管理サーバ300に送られるので、この時点で取引を行おうとしている2つの端末が特定され、さらに、それぞれ送信された電子証明書の照合が管理サーバ300によって行われる。これにより、管理サーバ300は、電子マネーの送受金を行おうとしている端末A、Bを確実に認証することができる。」 と記載されているとおり、○1ユーザの認証に用いる情報の伝達プロセスについて、第1実施形態において開示されているのは、上記○1の情報を相互に交換した上で両者がサーバに送信するプロセスにより、両端末の認証を行うことであるから、本件特許発明4及び5のように、○1ユーザの認証に用いる情報の送信が受金側からの伝達プロセスのみにより、両端末の認証が完結することについて、第1実施形態には開示されていない。(審判請求書第119~120頁) ウ 本件特許発明2及び3の新規性について 本件特許発明2及び3の新規性及び進歩性の判断は、上記イのとおり、本件特許発明4及び5が第1世代当初明細書等に記載された事項の範囲内にないものであるから、本件特許出願の現実の出願日である平成29年(2017年)1月19日を基準になされるべきであるところ、本件特許発明2及び3は、平成28年(2016年)4月14日を公開日とする第1世代出願の公開特許公報(甲13)に記載されている発明と同一である。(審判請求書第121頁) エ 本件特許発明4及び5の新規性、進歩性について 本件特許発明4及び5の新規性及び進歩性の判断も、上記イのとおり、本件特許発明4及び5が第1世代当初明細書等に記載された事項の範囲内にないものであるから、同様に平成29年(2017年)1月19日を基準になされるべきであるところ、第1世代出願の公開特許公報(甲13)の第49~53頁に掲載されている平成28年(2016年)3月1日付け手続補正書の【請求項4】に記載の発明と実質的に同一であるか、又は(少なくとも)【請求項4】に記載の発明に基づいて容易に想到可能である。(審判請求書第122~127頁) オ 第1実施形態は送金側のユーザ認証の伝達を必須とするものであること 第1実施形態の段落【0081】には、 「【0081】 ・・・第1の電子証明書の少なくとも一部の情報が端末Bによって管理サーバ300に送信され、第2の電子証明書の少なくとも一部の情報が端末Aによって管理サーバ300に送信される。そして、管理サーバ300では端末A、Bの両方から前記電子証明書の少なくとも一部の情報を受け付けることにより、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を認証する。このため、例えば、端末Bが端末Aの電子証明書情報を不正に入手して何らかの手段でユーザAの有する電子マネーを入手しようとしても、端末Aから管理サーバ300に自らの電子証明書の情報の送信が行われない限り、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金が行われることがない。」 と記載されているように、端末B(受金側)からの伝達プロセスで送金が完結すると不正送金が行われる可能性があることに鑑みて、第1実施形態において、端末A(送金側)からも伝達プロセスを必要とする構成を採用し、これにより不正送金が行われないようにしたことが明確に記載されており、むしろ、受金側からの伝達プロセスのみで送金が完結することを否定している。 したがって、段落【0081】の記載によれば、第1実施形態は、送金側からの電子証明書の情報の送信を必須としており、受金側の伝達プロセスのみで端末認証、送金を可能とする形態を積極的に排除しているといえる。 また、当初明細書等の全ての記載を考慮したとしても、送金側のユーザ認証の伝達を特定しないことに関する開示又は示唆は一切なく、むしろ、段落【0081】に記載されたように、当初明細書等の全ての記載からは、送金側のユーザ認証の伝達は必須であることしか開示されていない。 したがって、本件特許発明4及び5において、送金側によるユーザ認証の伝達(S101、S102、S105、S107)を特定していないことが、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであると言える。(請求人口頭審理陳述要領書第30~31頁) カ 変形例の記載が、第1実施形態において、送金側と受金側の両方からの伝達プロセスを送金及び課題解決に必須としないことを示すものではないこと 送金側の伝達プロセスのみで送金処理が完結する変形例の記載をもって、直ちに第1実施形態の両方の伝達プロセスを課題解決に必須としないことにはならない。 また、変形例の段落【0151】には、 「【0151】 ・・・そして、管理サーバ300では端末Aから取引両者の証明情報を受け付けることにより、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を認証する。このため、例えば端末Bが端末Aの電子証明書を不正に入手して何らかの手段でユーザAの有する電子マネーを入手しようとしても、端末Aから管理サーバ300に取引両者の証明情報の送信が行われない限り、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金が行われることがない。」 と記載されているように、受金側のみの伝達プロセスで送金処理が完結することによる問題点が、段落【0081】と同様に記載されている。 したがって、不正送金の観点から受金側のみの伝達プロセスを否定し、送金側の伝達プロセスを必須とする変形例の記載により、送金側と受金側の両方からの伝達プロセスを、送金及び課題解決に必須としないということは明らかに失当である。(請求人口頭審理陳述要領書第31~32頁) (4)無効理由4について 本件特許出願の当初明細書等(甲18)の明細書及び図面の記載は、第1世代当初明細書等のうちの明細書及び図面の記載と同一であり、上記(3)イで示した理由と同様の理由により、本件特許発明4及び5はサポート要件に違反するものである。(審判請求書第127頁) 具体的には、本件特許発明4及び5は、サーバに対する○1ユーザの認証に用いる情報の送信、○2受取指示及び○3受取額の指定について、いずれも受金側が行う送金プロセスが規定されているが、かかる送金プロセスにより送金処理が完結する構成は、甲18に記載されていないから、本件特許は、特許第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件特許は、特許無効審判により無効とされるべきものである(審判請求書第23頁)。 (5)無効理由5について 本件特許発明4及び5に係る本件特許出願の当初明細書等(甲18)の記載は、第1世代当初明細書等の記載と同一である。 そして、本件特許発明4及び5に係る【請求項4】及び【請求項5】は、平成29年(2017年)5月9日付け手続補正書(甲19)により追加されたものであるところ、本件特許発明4及び5が本件特許出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内にないことについては、上記(3)イで示した理由と同様である。 したがって、平成29年(2017年)5月9日付け手続補正書(甲19)による補正は、本件特許の当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。(審判請求書第127~128頁) 2 被請求人の主張の概要 (1)無効理由1について ア 本件特許発明2について (ア)甲1発明について 請求人が審判請求書で使用していた符号に合わせて甲1発明を認定すると、甲1には、以下の各構成を含む甲1発明が記載されている。 (1-1a’) 移動端末ユーザが有する移動端末と、サービスプロバイダが有するレジサービス端末と、移動端末及びレジサービス端末と通信接続され、レジサービス端末及び移動端末ユーザの身分情報及びそのアカウント情報を予め記憶しているネットワーク仲介システムとを用いて、移動端末ユーザとサービスプロバイダとの取引情報を処理する取引情報の処理方法であって(審判請求書第7、4-1(2)ア○1、○2、○11)、 (1-1b’) ネットワーク仲介システム及び移動端末は、移動端末ユーザのアカウント情報に関連付けられた移動端末ユーザの身分情報(移動端末のIMSI、移動端末のESN、移動端末の番号などの情報のうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせを含む)を記憶し、ネットワーク仲介システム及びレジサービス端末は、サービスプロバイダのアカウント情報又はサービスプロバイダ情報に関連付けられたレジサービス端末の身分情報(レジ端末情報(レジ端末の唯一の識別情報とレジ端末の番号情報を含む))を記憶し(同4-1(2)ア○1、○6、○7、○9及び○11)、 (1-1c’) 取引情報の処理方法は(同4-1(2)ア○2~○5)、 (1-1c-1’) モバイル決済の際、移動端末が、レジサービス端末が出力した、取引金額とレジサービス端末の身分情報に含まれるレジ端末情報とを含む画像を取得又は走査し、移動端末を介して、画像に含まれる、又は、画像から解析されたレジ端末情報及び取引金額がネットワーク仲介システムに送信されるようになっており(同4-1(2)ア○2及び○7)、 (1-1c-2’) ネットワーク仲介システムが(同(2)○1及び○2)、 (1-1c-2-1’) 移動端末から、移動端末の身分情報に含まれる移動端末の識別情報と、画像に含まれる又は画像から解析されたレジ端末情報及び取引金額とを受信する工程と(同4-1(2)ア○2及び○12)、 (1-1c-2-2’)移動端末から受信した移動端末の識別情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されている移動端末の識別情報と対応しているか否かの判断と、レジ端末情報が、ネットワーク仲介システムに記憶されているレジ端末情報と対応しているか否かの判断とを行うことにより、移動端末ユーザ及びサービスプロバイダの身分の正当性を検証し、仮取引記録を生成する工程と(同4-1(2)ア○5、○8及び○9、及び甲1の翻訳11/15頁の15行~末行)、 (1-1c-2-3’)移動端末に、上記レジ端末情報と取引金額を含む取引情報を送信し、最終確認させる工程と(同4-1(2)ア○1、○2、○4、及び11/15頁の15行及び16行、12/15頁の1行~4行)、 (1-1c-2-4’) 上記最終確認に基づいて仮取引記録を正式な取引記録にすることで決済(支払い)を実行する工程とを行う(同4-1(2)ア○1~○4及び○10)、 (1-1d’) モバイル決済の取引情報の処理方法(同4-1(2)ア○1、○2及び○11)。 (答弁書第16~18頁、被請求人上申書(2)第4~5頁(下線部を修正)) (イ)本件特許発明2と甲1発明との対比 本件特許発明2と甲1発明の相違点は、次のとおりである。 <相違点1> 本件特許発明2、3の電子マネー管理サーバは電子マネーを集中的に格納するのに対して、甲1発明のネットワーク仲介システムについてはそのような記載がない点。 <相違点2> 本件特許発明2、3は、電子マネーの送金を行うに際して第1ユーザの電子マネー残高を確認するのに対して、甲1発明は単に取引情報に含まれるべきユーザとサービスプロバイダの身分情報を確認しているに過ぎない点。 <相違点3> 本件特許発明2、3は、第1ユーザと第2ユーザの認証を行い、これに基づいて電子マネー管理サーバに格納した第1ユーザの電子マネーを減額し且つ第2ユーザの電子マネー残高を増額することによって電子マネー送金を即座に完了するのに対して、甲1発明は、そのような処理が記載されておらず単に支払若しくは取引情報を処理すると記載されているに過ぎない点。(答弁書第18~19頁) (ウ)本件特許発明2と甲1発明の相違点に関する意見 a <相違点1>について 甲1発明でネットワーク仲介システムが検証した取引情報を用いた支払方法は、従前のクレジットカードや銀行デビットカードの情報を用いた送金しか想定していないと解釈するのが当然であり、金融機関が行うべき実際の送金処理は甲1発明の範囲外であるし、ネットワーク仲介システムにおいて電子マネーを集中的に管理しその送金のための認証を実行するようなことは一切意図していないことは、甲1の翻訳8頁の「運営業者のみ」で本件発明を実施可能としていることからも明らかである。甲1発明の要旨は、専ら従来のショートメッセージ送金に含まれるべき取引情報をユーザ入力に代わって生成することであり、ユーザやサービスプロバイダの「アカウント情報」はユーザやサービスプロバイダの身分を確認するための情報で済むと解するのが相当であり、このアカウント情報に電子マネーが含まれると解釈できる余地はない。(答弁書第19~21頁) b <相違点2>について 甲1に口座残高確認の記載がないのは、甲1発明は金融機関等に送る取引情報をユーザに代わって生成する発明に過ぎず、この際、口座残高を確認する必要性がないからである。(答弁書第21頁) c <相違点3>について 甲1発明のネットワーク仲介システムは、ユーザから受け取った取引情報の正当性を検証した上で「仮の取引情報」を生成し、これをユーザに最終確認させたのちに「正式な取引情報」とし、これを用いて取引を記録し実行するようにしており、この処理を「支払」と定義している。請求人が「支払」と翻訳した原語「支付」は、甲1の翻訳文の他の大部分の箇所では、「決済」と訳されているところ、この決済の語は、甲1の従来技術で説明されているショートメッセージによるモバイル決済でも使用されているように、必ずしも実際の現金の動き、すなわち送金を意味しないものである。請求人は、甲1翻訳文の上記対応箇所においてこの用語を「支払」と訳することによって、「決済」を実際の「送金」と混同させようとしているのではないかと疑わざるを得ない。(答弁書第21~22頁) イ 本件特許発明3について 本件特許発明2に対応するカテゴリ違いの「システム」の発明である本件特許発明3についても、上記アの本件特許発明2についての議論がそのまま当てはまる。(答弁書第18頁) ウ 甲1のネットワーク仲介システムは「決済」そのものを実行するものではないこと 甲1発明は、ユーザが移動端末(モバイル端末)で支払いを行う場合に、大量の支払情報を入力する必要がなく、かつ、その支払情報の入力エラーを検査できるメカニズムを提供するものであって、ユーザに代わって取引情報や支払情報を従前のアクワイアラー(決済代行会社等)に渡すものに過ぎず、その取引情報や支払情報を使用して実際に決済を行う具体的方法については何ら言及していない。甲1発明に言う「ネットワーク仲介システム」における「仲介」の語は、従前ユーザがショートメッセージを用いて取引情報を送信していた先のアクワイアラーやその他の決済機関との間に入って取引情報の通信を「仲介」するという意味であると解するのが相当である。特に、甲25の「決済」の定義にある「金銭の動き」の「金銭」とは貨幣、すなわち現金であり、その動きについては、甲1発明の決済ネットワークの範囲外で実行されるものであるから、甲1発明のネットワーク仲介システムは、実際には決済の一部のみを実行していると解釈するのが妥当であり、金銭の動きを含めた全ての決済処理が甲1発明のネットワーク仲介システム内で完結しているとはいうことはできない。(答弁書第13~16頁、被請求人上申書(2)第3~4頁) エ 「証明情報」の技術的意義について 本件特許発明2~5において、「証明情報」とは、ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたもので、当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報であり、本件特許の実施形態においては電子証明書が例示されている。本件特許発明の「証明情報」は電子証明書に限定されるものではないが、ユーザ自身の端末が出力した上記「証明情報」を用いて、電子マネー管理サーバ内で照合することで送金元・送金先の正当性を検証し、その検証結果により当該サーバ内での即時送金を担保できるような記号や符号であると解されるものであって、ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)でないことは明らかである。(被請求人上申書(1)第8頁) これに対し、甲1の身分情報、すなわち、移動端末ユーザやサービスプロバイダを特定する情報(サービスプロバイダのID情報や移動端末のESN(移動端末番号MSISDN)など)は、ユーザ自体の情報若しくは移動端末自体の情報であり、第三者が簡単に取得できる情報であるため、ユーザやユーザ端末を証明する情報にはなり得ない。(被請求人上申書(2)第7~8頁) (2)無効理由2について ア 甲7発明について 甲7発明が解決しようとする課題は、ユーザの端末にICチップを設けたり店舗に専用の決済デバイスを設けない場合でも、ユーザ端末、店舗POS端末との間の情報送信をセキュリティの高い状態で行える技術を提供することにあり、甲7の翻訳文である乙3の記載によれば、甲7発明は、支払人端末及び受取人端末と接続可能な「決済サーバ」を設け(乙3の段落【0019】)、この決済サーバから支払人端末と受取人端末に、「ネットワークを介して、支払人端末および受取人端末にインストールして用いられる電子決済クライアントソフトウェアを提供」したものである(同段落【0020】)。 ここで、乙3の段落【0018】は、上記決済サーバに関して、「決済サーバは、ネットワークまたは専用ラインを介して銀行と接続されている決済サーバであってよい。いくつかの実施形態において、決済サーバは、Alipay.comなどの信頼できるサードパーティ決済サービス業者によって提供される。」と説明しているところ、決済サーバを提供する「決済サービス業者」(原文:Payment Service Provider)とは、決済代行業者であり、かつ、上記記載によれば決済サーバは銀行に接続されているものであるから、(加盟店が契約するクレジットカード会社若しくは決済代行会社である)「アクワイアラー」若しくは(ユーザが契約するクレジットカード発行会社である)「イッシュアー」に相当し、従来の、アクワイアラー、イッシュアー、ユーザの銀行及び加盟店の銀行が行っていた具体的な送金業務は、甲7発明の範囲外である。 したがって、甲7発明は、もっぱら支払人と決済サーバとの間の決済要求データの安全な送信方法であり、電子マネーに固有の課題を解決する本件特許発明4とは全く異なる発明である。(答弁書第33~36頁) イ 本件特許発明4と甲7発明との対比 本件特許発明4と甲7発明の相違点は、本件特許発明2と甲1発明の相違点である<相違点1>~<相違点3>と同様であり、以下の<相違点1’>~<相違点3’>を有する。 <相違点1’> 本件特許発明4、5の電子マネー管理サーバは電子マネーを集中的に格納するのに対して、甲7発明の決済サーバについてはそのような記載がない点。 <相違点2’> 本件特許発明4、5は、電子マネーの送金を行うに際して第1ユーザの電子マネー残高を確認するのに対して、甲7発明についてはそのような記載がない点。 <相違点3’> 本件特許発明4、5は、第1ユーザと第2ユーザの認証を行い、これに基づいて電子マネー管理サーバに格納した第1ユーザの電子マネーを減額し且つ第2ユーザの電子マネー残高を増額することによって電子マネー送金を即座に完了するのに対して、甲7発明は、そのような処理が記載されていない点。(第1回口頭審理調書の被請求人欄6) ウ 本件特許発明4と甲7発明の相違点に関する意見 (ア)<相違点1’>、<相違点3’>について 甲7において、支払人口座番号/アカウントナンバーは、支払人端末から受取人端末に送られる暗号化決済要求データに、支払人のパスワードと共に既に含まれており(乙3段落【0031】)、口座番号/アカウントナンバーとパスワードの組み合わせが必要なのは、従来のカードを用いた電子決済と同じであり(乙2、1頁に開示された「暗証番号」がパスワードに相当)、暗号化の方法が受取人端末では復号化できない方法で行われている点が異なるだけで暗号化対象である決済要求データ自体は従来のものと同じと考えるのが自然であるから、甲7における当該支払人口座番号/アカウントナンバーは、決済代行会社で会員を特定するための口座番号、クレジットカード番号、会員番号に過ぎない。そして、ハードウェアに変更を加えないという甲7発明の解決課題からすれば、甲7の翻訳文である乙3の段落【0037】に記載の「工程211において、特定された金額の決済が決済サーバによって行われる。支払い金額分が、支払人の口座から引き落とされ、受取人の口座に振り込まれる。」の「口座」とは、従来技術と同様に、決済代行会社で、上記支払人口座番号によって特定された支払人及び受取人の現金の入った銀行口座と解釈するのが自然である。(答弁書第38~39頁、被請求人上申書(1)第6~7頁) (イ)<相違点2’>について 請求人は、甲7発明と本件特許発明4との相違は、上記決済サーバにて残高確認を行っているかが不明である点のみであるとし(審判請求書97頁「相違点3」)、金融処理でそのような口座残高を行うことは甲2~甲5に示すように周知事項であるとして、本件特許発明4の進歩性を否定しているが、そもそも甲7に開示された決済サーバは、金融機関等の送金や決済処理を行うシステムに相当するものではなく、支払人から送信される決済要求データの安全性及び正確性を担保するものに過ぎず、残高確認を行う必要がないものであるから、当業者であっても、甲7の決済サーバにこれら甲2~甲5に記載された口座残高確認処理を組み合わせる動機はないし、組み合わせたとしても本件特許発明4及び5にはなり得ない。(答弁書第39~40頁) エ 「証明情報」の技術的意義について 本件特許発明2~5において、「証明情報」とは、ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたもので、当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報であり、本件特許の実施形態においては電子証明書が例示されている。本件特許発明の「証明情報」は電子証明書に限定されるものではないが、ユーザ自身の端末が出力した上記「証明情報」を用いて、電子マネー管理サーバ内で照合することで送金元・送金先の正当性を検証し、その検証結果により当該サーバ内での即時送金を担保できるような記号や符号であると解されるものであって、ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)でないことは明らかである。(被請求人上申書(1)第8頁) これに対し、甲7の「アカウントナンバー」/「口座番号」は、当該「アカウントナンバー」/「口座番号」を特定するのみであり、「口座番号」は、決済をどの口座番号(カード番号)で行うかを特定する情報に過ぎないから、ユーザやユーザ端末を証明する「証明情報」にはなり得ない。 本件特許の実施形態においても、口座番号は、「証明情報」を用いた認証工程終了後に、どの口座から電子マネーの送金を行うかを特定するための付加情報として特定されており(本件特許明細書段落【0025】)、「証明情報」とは異なる。(被請求人上申書(2)第7~8頁) (3)無効理由3について ア 本件特許発明4及び5の構成要件は第1世代出願の実施形態1に開示されており、且つ、本件特許発明4及び5の構成により本件発明の課題を達成できるから、請求人の、本件特許が分割要件を満たさないとの主張は理由がない。 この結果、本件特許発明2~5の新規性及び進歩性の判断の基準日は、少なくとも第1世代出願の出願日を基準とすべきであるから、この第1世代出願の公開特許公報は本件特許発明2~5の先行文献にはなり得ない。(答弁書第51頁) イ 本件特許発明4及び5の構成要件が第1世代出願の実施形態1に開示されている旨の主張 (ア)第1世代当初明細書等(甲15)に開示された第1実施形態を示すフローチャート(図13)に送金プロセス〇1~〇3を当てはめると、送金プロセス〇1のうち、「受金側(第2ユーザ)の端末(B)が送金側(第1ユーザ)の端末(A)から「第1証明情報の少なくとも一部」を受け取り」は工程S103、「受金側(第2のユーザ)の端末(B)を介して、「第1の証明情報の少なくとも一部」が電子マネー管理サーバに送信される」は工程S108に該当し、送金プロセス〇2及び〇3は工程S120に、明らかに該当する。(答弁書第48~50頁) (イ)上記送金プロセス○1、○2を送金側と受金側の両方が行う例が第1実施形態に開示されているということは、当然のことながら○1、○2を送金側が行う伝達プロセスと○1、○2を受金側が行う伝達プロセスのそれぞれが開示されているということであり、かつ、実施形態の変形例及び第1世代出願の請求項35(出願当初)及び明細書全体から見て、上記○1、○2を送金側が行う伝達プロセスと、上記○1、○2を受金側が行う伝達プロセスは、どちらか一方のみであっても送金側と受金側の認証及び送金が完結するものである。また、本件特許発明4及び5は、当該伝達プロセスを受金側が行う場合のみに限定しているわけではない。(答弁書第50頁) (ウ)請求人も認めているように、本件特許の実施形態の変形例及び請求項35(出願当初)には、送金側からの伝達プロセスのみを記載していて(審判請求書第115~116頁)、それにより送金プロセスが完結し、本件特許発明の課題が解決されるのであるから、送金側と受金側の両方からの伝達プロセスが送金及び課題解決には必須であるとの請求人主張は理由がない。本件特許発明の課題解決のためには、少なくとも送金側、受金側どちらか一方の証明書がどちらか他方の端末を介して電子マネー管理サーバに送られ、それにより、証明書の所有者とそれをサーバに送った送信者の両方が認証できれば良い。(答弁書第51頁) (4)無効理由4について 上記(3)イで示したように、本件特許発明4及び5の構成要件は第1世代出願の実施形態1、すなわち発明の詳細な説明の実施形態1に開示されており、且つ、本件特許発明4及び5の構成により本件発明の課題を達成できるから、本件特許発明4及び5は、サポート要件を満たすものである。(答弁書第52頁) (5)無効理由5について ア 上記(3)イで示したように、本件特許発明4及び5の構成要件は第1世代出願の実施形態1、すなわち本件特許明細書の実施形態1に開示されており、且つ、本件特許発明4及び5の構成により本件発明の課題を達成できるから、本件発明4及び5を追加する補正は新規事項の追加には当たらない。(答弁書第52頁) イ 本件当初明細書に記載された「変形例」は、ユーザAが電子マネーを使用してユーザBから商品を購入し、その代価としてユーザA(送金側)からユーザB(受金側)へ電子マネーの送金が行われる例である、第1及び第4実施形態に対する変形例であって、一方のユーザAが他のユーザBにこずかいをあげたりお金を貸したりする個人間送金の例である、第2及び第3実施形態に対する変形例ではない。「変形例」が第1及び第4実施形態の変形例であることは、本件当初明細書中の、「変形例」に関する導入記載にあたる段落【0142】にも示されている。 本件明細書において、受金額/送金額を送金側であるユーザAからサーバに伝達するプロセスを、あえて第1及び第4実施形態(店舗での商品購入)の変形例として記載して理由は、第1、第4実施形態において、端末A→端末B→サーバの経路で端末Aの電子証明書(第1証明情報の少なくとも一部)を送信しないようにするには、「変形例」に示されるように、端末A(ユーザA)からサーバに対して受金額/送金額が伝達されるように構成しなおす必要があることを示すためである。 また、「変形例」の構成をあえて記載しているもう一つの理由は、第1、第4実施形態と同様の、店舗での商品購入場面において、ユーザAのみがサーバに接続しかつ送金額/受金額を伝達する形態を実現するには、ユーザBからユーザAに受金額を伝達しその受金額を送金額としてさらに端末Aからサーバに伝えるという2段階の伝達プロセスが必要となる場合が想定されるからである。 以上のことから、本件明細書に記載された「変形例」は、一方のユーザからの情報伝達を省略できる場合の条件、および第1~第4実施形態でカバーされていない送金情報の伝達プロセスを規定するために敢えて示したものであって、このような変形例の意義を踏まえれば、第1実施形態における「送金側によるユーザ認証」の伝達および「受取側によるユーザ認証の伝達」において、認証情報の伝達が送金側、受取側のどちらか一方であっても、受金額/送金額をサーバに送る側の端末との認証情報伝達が実現できていれば、認証・送金が行えることはより明らかであるから、本件特許発明4及び5は第1実施形態によりサポートされている。(被請求人口頭審理陳述要領書第7~12頁) 3 証拠方法 (1)甲号証 甲1 中国特許出願公開第1851762号明細書 甲2の1 「A Wireless Payment System」 甲2の2 IEEEウェブページ(https://ieeexplore.ieee.org/xpl/conhome/10706/proceeding?searchWithin=gao) 甲3 米国特許出願公開第2003/0050898号明細書 甲4 特開2006-268302号公報 甲5 国際公開第2002/073483号 甲6 モバイル電子決済のビジネスモデルと技術的要件 甲7 国際公開第2011/065974号 甲8 「アリペイがモバイル決済システム『バーコード・ペイ(條馬支付)』をリリース」(当審注:「馬」の正しい表記は、口偏に馬) 甲9 「Alipay rolls out barcode m-payment app feature」 甲10 「Alipay Invades China's High Streets With Mobile Barcode Payments」 甲11 「中国フィンテック事情-モバイルペイメントとその周辺」 甲12 小学館プログレッシブ英和中辞典、p.981-982 甲13 特開2016-053991号公報 甲14 特許・実用新案審査基準、第VI部第1章第1節「特許出願の分割の要件」 甲15 第1世代出願に係る出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面 甲16 本件特許出願に係る平成29年5月9日提出の上申書 甲17 第1世代出願に係る平成28年3月1日提出の上申書 甲18 本件特許出願に係る出願当初の明細書、特許請求の範囲、図面 甲19 本件特許出願に係る平成29年5月9日提出の手続補正書 (以上は、審判請求書と同時に提出。) 甲20 令和3年(ワ)第7321号 原告第1準備書面 甲21 令和3年(ワ)第7321号 原告第2準備書面(充足論) 甲22 本件特許出願に係る平成29年5月9日提出の上申書 甲23 第1世代出願に係る平成28年3月1日提出の上申書 (以上は、請求人陳述と同時に提出。) 甲24 白水社 中国語辞典-支付(https://www.weblio.jp/content/支付) 甲25 小学館 デジタル大辞泉-決済(https://www.weblio.jp/content/決済) 甲26 EDR日中対訳辞書-帳単(https://cjjc.weblio.jp/content/帳単) (以上は、請求人上申書1と同時に提出。) (2)乙号証 乙1 「クレジットカード決済の導入方法は?メリットや注意点、選び方も解説」 乙2 「一般社団法人日本クレジット協会、ICカード取引の推進」 乙3 特表2013-512503号公報 乙4 「ネットサービス「日本不発で中国成功」のわけ」 乙5 「キャッシュレス・ビジョン」 乙6 「【19-10】中国のフィンテックと金融監督」 乙7 「平成30年版情報通信白書第1部補論「中国の事情」」 乙8 「参考資料」、2019/10/24、金融庁 (以上は、答弁書と同時に提出。) 乙9 「北享辞典 北辞郎」 乙10 「日本工業規格 JIS6901:2003 カード及びカードシステム用語」 乙11 「ウィキペディア フリー百科事典 ISO8583」 (以上は、被請求人陳述と同時に提出。) 第6 主な甲号証の記載 1 甲1号証 甲1には、以下のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。 (1)「 [図:0001419604000001.jpg] 」(第5頁第5~21行) (当審訳: 背景技術 日常の消費において、消費者は常に銀行カードを使用して商店の端末でカードをスキャンして買物をし、商店はユーザ情報を取得することができ、かつパスワードを入力する時に商店の端末で操作されるため、一般的に他人を回避することが困難であり、一定の安全上の問題が存在し、かつカードを携帯しなければ高額の買物を行うことができない。現在、携帯電話、PDA及びパームトップコンピュータなどの様々なモバイル機器が普及し、特に携帯電話はほとんど携帯必需品であり、携帯電話又は他の移動端末を利用してモバイル決済を実現することができれば取引の安全性及び利便性を大幅に向上させることができる。 上記の状況から、業界は移動端末により取引支払を行うサービス、例えば中国移動のショートメッセージに基づく支払案を提供している。該サービスの利用時に利用者は特定の電話番号にショートメッセージを送信し、手動で店舗番号、商品番号、パスワードなどの情報を入力する必要がある。該方法はある程度、銀行端末の配置不足の問題を解決しているが、以下の欠点が存在する。 操作が複雑である:ユーザは特定の電話番号にショートメッセージを送信する必要があり、キーボードにより店舗番号、商品番号、パスワードなどの支払情報を入力する必要があり操作が非常に煩雑である。 信頼性が高くない:ユーザが手動で大量のデジタル情報を入力するため、エラーが発生しやすく、かつエラー検査メカニズムがないため、情報入力エラーにより支払が正常に行われることに影響しやすい。 上記問題に基づいて、ショートメッセージによる決済方法は実際の使用において普遍的ではない。 したがって、操作がしやすく、かつ安全で信頼性が高いモバイル決済システム及び方法をどのように提供するかが、早急に解決すべき課題となる。) (2)「 [図:0001419604000002.jpg] [図:0001419604000003.jpg] 」(第8頁第15行~第9頁第1行) (当審訳: 図1に示すように、モバイル決済システムの構造概略図であり、移動端末1とレジサービス端末2とネットワーク仲介システム3を含み、ネットワーク仲介システム3はそれぞれ移動端末1及びレジサービス端末2と通信接続され、レジサービス端末2は画像生成モジュールを含み、移動端末ユーザとの具体的な取引を行う場合、取引情報を画像に生成して移動端末1に提供することができる。移動端末1は撮像機能又は図形走査機能を備える携帯電話、PDA又はパームトップコンピュータなどであってもよく、撮像機能又は図形走査機能を利用してレジサービス端末2により生成された取引情報の画像を取得してネットワーク仲介システム3に送信する。ネットワーク仲介システム3はそれぞれ移動端末ユーザ及びサービスプロバイダとサービス協議を締結した運営業者のみであってもよく、銀行が参加してもよく、ネットワーク仲介システム3においてモバイル決済を実現する装置は、取引情報の画像解析装置及び前記取引情報を処理するための処理装置を含み、処理装置には取引双方のアカウント情報が予め設定され、画像解析装置は画像から具体的な取引情報を解析して処理装置に送信し、処理装置は対応するアカウント情報に基づいて取引を行う。) (3)「 [図:0001419604000004.jpg] 」(第9頁第2~13行) (当審訳: 具体的なモバイル決済取引の情報処理方法は以下のステップを含む。 S1:レジ端末はサービスプロバイダ関連情報及び取引内容情報等の取引情報を画像に生成して、後に取引の相手方である移動ユーザ端末に提供する。 移動端末ユーザとサービスプロバイダとが具体的な取引を行う場合、取引情報には一般的に2つの方面の内容が含まれている。 1.取引内容情報:取引シリアル番号、取引明細及び取引金額等の情報; 2.サービスプロバイダに関連する身分情報:サービスプロバイダ情報とレジ端末情報があり、そのうち、サービスプロバイダ情報はサービスプロバイダのID情報、サービスタイプ、サービスアプリケーションID、バージョン等の情報を含むことができ、サービスプロバイダのID情報のみを含むこともできる。レジ端末情報は、レジ端末の一意の識別情報及びレジ端末の番号情報を含む。ここで、サービスアプリケーションIDは端末がどのようなアプリケーションを起動してユーザが取引を完了することを助けるかを指示することができる。一般的に、汎用的な端末アプリケーションを有してユーザの異なるサービスプロバイダに対する取引処理を満たすべきである。) (4)「 [図:0001419604000005.jpg] 」(第9頁第17行~最下行) (当審訳: S2:移動端末は、撮像機能又は図形走査機能によりレジサービス端末から前記画像を取得する; S3:移動端末は、取得された画像情報をネットワーク仲介システムに送信する; 例えば、移動端末は、マルチメディアメッセージ(MMS)等の方式で該画像情報をネットワーク仲介システムに伝送することができる。取引の安全のために、移動端末は取得された画像情報を仲介システムに送信する前に、さらにユーザに送信するか否かを確認し、ユーザが送信することを確認した場合、移動端末は送信操作を実行する;ユーザが送信しないと選択すると、移動端末は送信操作を実行しない。該確認は、さらに事前に設定されたパスワードを入力することにより実現することができる。 S4:ネットワーク仲介システムは、画像情報を受信した後、画像解析装置において解析を行って、サービスプロバイダの関連情報及び取引内容情報の取引情報を取得する。) (5)「 [図:0001419604000006.jpg] 」(第10頁第1~第12行) (当審訳: 画像解析から得られたデータに全ての取引金融情報が含まれていない場合、ネットワーク仲介システムは、さらにレジサービス端末から必要な全ての取引金融情報を取得することができる。 又は、レジサービス端末はただレジサービス端末の情報、すなわち、サービスプロバイダのID情報、レジサービス端末ID、レジサービス端末番号等と、取引シリアル番号情報のみを画像に保持しておく。移動端末は該画像情報を取得した後、該画像をネットワーク仲介システムに送信し、ネットワーク仲介システムは画像情報を解析し、かつ解析して得られたレジサービス端末の情報及び取引シリアル番号情報に基づいて仮取引記録を作成した場合、次にレジサービス端末から取引金額及び取引商品リスト等の取引内容情報を取得する。例えば、ネットワーク仲介システムは、レジサービス端末の情報及び取引シリアル番号情報に基づいて、対応するサービス端末から対応する取引金額と取引商品リスト等の情報を取得し、この場合、ネットワーク仲介システムは、対応するサービス端末に取引金額、商品明細を取得するように要求するリクエストを送信する必要があり、リクエストには少なくとも取引シリアル番号が含まれ、対応するサービス端末は該リクエストを受信した場合、対応する取引金額と商品明細をネットワーク仲介システムに送信する。) (6)「 [図:0001419604000007.jpg] [図:0001419604000008.jpg] 」(第10頁第13行~第11頁第10行) (当審訳: S5:ネットワーク仲介システムは、移動端末ユーザの身分情報である買い手情報とレジサービス端末の身分情報である売り手情報を取得し、取引売買双方の身分の正当性を検証する。 移動端末ユーザの身分情報は、移動端末が取得された画像情報をネットワーク仲介システムに送信する場合、ネットワーク装置MSC(Mobile Switching Center:モバイル交換センター)及び/又はHLR(Home Location Register:ホーム位置レジスタ)により関連身分記述情報を画像情報とともにネットワーク仲介システムに自動的に送信するものである。ここで、移動端末ユーザの身分情報は、移動端末のIMSI(International Mobile Subscriber Identity:国際移動ユーザ識別コード)、移動端末のESN(Electronic serial number:電子シリアル番号であって、移動端末番号MSISDNに唯一に対応する)、移動端末の番号などの情報のうちいずれか一つ又は任意の組み合わせを含むことができる。 レジサービス端末の身分情報はネットワーク仲介システムで解析された取引情報から直接抽出されるものである。 次に、双方の身分の正当性を検証し、正当であれば、ステップS6を実行し、そうでなければサービス拒否のメッセージを返す。ネットワーク仲介システムによるレジサービス端末の身分情報の検証は、レジサービス端末のIDと対応するサービスプロバイダが実際に存在するか否かを判断することを含む。例えば、ネットワーク仲介システムに該サービスプロバイダの情報と対応するアカウント情報とが予め登録されており、ネットワーク仲介システムはサービスプロバイダID情報を解析した後、対応するサービスプロバイダ情報が登録されているか否かを検索し、存在すれば、解析されたサービスプロバイダが正当であると判定し、そうでなければ、不正であると判定する。ネットワーク仲介システムによるユーザ身分情報の検証は、該対応する移動端末ユーザのIMSI情報と対応するアカウント情報とが予め登録されており、ネットワーク仲介システムはMSC又はHLRから返信されたIMSI情報に基づいて該移動端末ユーザのIMSIとアカウント情報とが予め登録されているか否かを判定し、存在すれば、移動端末ユーザが正当であると判定し、そうでなければ、不正であると判定する。 S6:ネットワーク仲介システムは双方の身分情報に基づいて予め記憶されたデータベースから双方のアカウント情報を呼び出す。) (7)「 [図:0001419604000009.jpg] [図:0001419604000010.jpg] 」(第11頁第11行~第12頁第2行) (当審訳: S7:ネットワーク仲介システムは取引情報に基づいて仮取引記録を作成して移動端末に取引を確認するために送信する。 ネットワーク仲介システムで作成された仮取引記録には、レジ端末情報と、移動端末ユーザの唯一の識別情報とアカウント情報などの移動端末ユーザ関連情報とが記録されており、前記レジサービス端末情報は、レジサービス端末の唯一の識別情報、サービスプロバイダ情報、レジ端末の番号、レジ端末の対応する又はサービスプロバイダの対応するアカウント情報を含むことができる。前記移動端末の唯一の識別情報はIMSI、電子シリアル番号ESN及び移動端末の番号MSISDNのうちの一つを含むことができ、この三種の情報を同時に含むことが望ましい。例えば、移動端末番号によりHLR(Home Location Register:ホーム位置レジスタ)情報を特定することができ、トラブルが発生するとHLRにより関連運営業者等の責任エンティティを追跡することができる。例えばユーザのウェブジャンプが発生したり、又は携帯電話が紛失したなどの状況が発生する場合、古いIMSIにより移動端末のアカウントなどの情報要素を特定することができないが、この場合、移動端末の番号MSISDNにより移動端末のアカウント情報を特定し、取引記録を紹介することができる。 ネットワーク仲介システムが移動端末に送信した確認通知には取引金額、取引シリアル番号又は取引明細などの情報が含まれている。 S8:移動端末は取引通知を受信した後に確認を行う。正しいと確認した場合、取引を実行する命令を返信し、問題が見つかった場合、取引をキャンセルする命令を返信する。 移動端末が取引を確認する時に、ユーザの利益を保護するために、端末に予め設定されたパスワードを入力することにより確認することができる。) (8)「 [図:0001419604000011.jpg] 」(第12頁第3~25行) (当審訳: S9:ネットワーク仲介システムは移動端末の確認を受信した後、支払を実行する、すなわち仮取引記録を正式な取引記録として確認し、取引ログを記録する。 S10:ネットワーク仲介システムは実行結果をレジサービス端末に送信し、さらに実行結果を移動端末に送信することができる。) ネットワーク仲介システムが取引を実行した結果は、少なくとも支払実行成功通知と取引実行失敗を含むべきである。 支払が成功した場合、取引双方は後続の取引手続きを履行するが、具体的には、レジサービス端末は支払実行成功通知を受信し、レジサービス端末は直接的に勘定書を生成し印刷して移動端末ユーザに提供することができ、同時に、ネットワーク仲介システムは取引電子勘定書を記録し、かつ電子勘定書を、電子証明書とし、及び移動端末ユーザの将来の消費情報の統計用として移動端末に記憶させるように移動端末に伝送することができる。実際には、電子勘定書にはさらにレジサービス端末の署名情報も付けるべきである。 取引が失敗した場合、レジサービス端末は電子取引失敗通知を表示する。同時に、ネットワーク仲介システムは取引失敗を移動端末に通知する。 実際には、各取引記録は二つのフラグフィールドを含むことができ、取引双方の端末が取引成功通知を受信したか否かを示すために用いられる。ネットワーク仲介システムの取引が成功し、かつ取引成功通知を移動端末及びレジサービス端末に送信した場合、移動端末及びレジサービス端末は自己が当該取引成功通知を受信したことを知らせるメッセージをネットワーク仲介システムに返信すべきである。よって、ネットワーク仲介システムはユーザが電子商取引により取引を達成したので現金を払う必要がないと認識する。ネットワーク仲介システムは通知を受信すると、対応するフラグ情報を変更する。 当該方法を実現するために、ネットワーク仲介システム側には、レジサービス端末の唯一の識別ID、レジサービス端末の番号、アカウント情報を含むことができるレジサービス端末に関する情報と、移動ユーザの身分情報及びアカウント情報とが予め記憶されているべきである。) (9)「 [図:0001419604000012.jpg] [図:0001419604000013.jpg] 」(第13頁第23行~第14頁第4行) (当審訳: 上記の方法と類似し、さらに画像解析モジュールを移動端末に設置することができ、移動端末は該画像を取得した後、画像解析モジュールにより該画像を直接解析し、解析して得られた情報をさらに処理した後にネットワーク仲介システムに送信し、ネットワーク仲介システムは移動端末から送信された取引売り手情報、取引内容、及び移動端末のユーザ情報に基づいて仮取引記録を生成し、後続の取引処理を実行する。このような方法により、移動端末は、画像情報を解析して取得されたサービスタイプ情報とサービスアプリケーションIDとバージョン情報等の情報により、対応するサービスアプリケーションプログラムを起動し、かつ画像を解析して得られた情報を利用して該アプリケーションプログラムを初期化し、ユーザは該アプリケーションプログラムによりネットワーク仲介システムに対応する取引情報を送信するか否かを確認する。) (10) [図:0001419604000014.jpg] 2 甲7号証 甲7には、以下のとおりの記載がある。なお、甲7の翻訳文については、原則、甲7の日本語翻訳である乙3の記載を採用するが、[0037]における「The payer's account is deducted and the recipient's account is increased by the payment amount.」の翻訳に関しては、「account」の翻訳を乙3の「口座」のままとする以外は、請求人上申書(1)における請求人の主張する翻訳を採用する。 「7. A method for processing payment data, comprising: receiving encrypted payment request data and a first payment amount transmitted from a recipient terminal, wherein the encrypted payment request data is based on payment request data returned from a payer terminal upon receiving recipient information transmitted from the recipient terminal, and comprises payer information, the recipient information and a second payment amount; verifying the encrypted payment request data and the second payment amount; making a payment according to a result of the verification; and returning an encrypted payment result data to the recipient terminal.」 (当審訳: 【請求項7】 決済データを処理するための方法であって、 受取人端末から送信された暗号化決済要求データおよび第1の支払い金額を受信し、前記暗号化決済要求データは、前記受取人端末から送信された受取人情報の受信後に支払人端末から返された決済要求データに基づいており、支払人情報、前記受取人情報、および、第2の支払い金額を含み、 前記暗号化決済要求データおよび前記第2の支払い金額を検証し、 前記検証の結果に従って決済を実行し、 暗号化決済結果データを前記受取人端末に返送すること、 を備える、方法。) 「[0018] FIG. 1 is a block diagram illustrating an embodiment of a mobile payment processing system. Platform 100 includes a payer terminal 102, a payment (recipient) terminal 104, and a payment server 106. The payment server can be a payment server connected with a bank over a network or a dedicated line. In some embodiments, the payment server is provided by a creditable third-party payment service provider such as Alipay.com. The payer terminal and the recipient terminal can be any suitable electronic device with communication capabilities, in particular a portable electronic terminal, such as a mobile phone, a Personal Digital Assistant (PDA), a notebook computer, etc. [0019] In the embodiment shown, the payment server provides, via the network, electronic payment client software to be installed on the payer and the recipient terminals. On the payer terminal, the payment client software provides the capability of making a payment. On the recipient terminal, the payment client software provides the capability of collecting the payment. Particularly, the recipient terminal and the payment server can communicate over the Internet, a wireless network, a dedicated network or any other appropriate connection, but the payer terminal does not send data directly to or receive data directly from the payment server.」 (当審訳: 【0018】 図1は、モバイル決済処理システムの一実施形態を示すブロック図である。プラットフォーム100は、支払人端末102、決済(受取人)端末104、および、決済サーバ106を備える。決済サーバは、ネットワークまたは専用ラインを介して銀行と接続されている決済サーバであってよい。いくつかの実施形態において、決済サーバは、Alipay.comなどの信頼できるサードパーティ決済サービス業者によって提供される。支払人端末および受取人端末は、通信機能を有する任意の適切な電子デバイス、特に、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートブックコンピュータなどの携帯型電子端末であってよい。 【0019】 図の実施形態において、決済サーバは、ネットワークを介して、支払人端末および受取人端末にインストールして用いられる電子決済クライアントソフトウェアを提供する。支払人端末において、決済クライアントソフトウェアは、支払いを実行する機能を提供する。受取人端末において、決済クライアントソフトウェアは、支払いを受け取る機能を提供する。特に、受取人端末および決済サーバは、インターネット、無線ネットワーク、専用ネットワーク、または、任意の他の適切な接続で通信できるが、支払人端末は、決済サーバとデータを直接やり取りしない。) 「[0023] Payment data processing by platform 100 is described in connection with FIGS. 2A-2B, which are flowcharts illustrating an embodiment of a procedure for processing payment data. Process 200 may be performed on a payment processing platform such as 100. [0024] The payer terminal and the recipient terminal are configured to have a payer account number and a recipient account number, respectively. At 201, the payment server pre-stores the payer account number and a payment password associated with the payer terminal, as well as the recipient account number associated with the recipient terminal. [0025] At 202, the payer terminal and the payment server configure an encryption function and its associated parameters. In some embodiments, the definition of the encryption function and the parameters are pre-stored in a file accessible by the payer terminal and the payment server and loaded by the devices during configuration setup. [0026] The predefined encryption function is unknown to the recipient terminal to ensure the security of transmission of the payment data between the payer terminal and the payment server. In other words, the recipient terminal is unable to decrypt the encrypted data. For example, in some embodiments, the RSA encryption function is implemented as the predefined encryption function. The RSA algorithm encrypts data using a public key and can only be decrypted by using a private key. Accordingly, the payment server has a private key that is kept secret and discloses a corresponding public key. The payer terminal encrypts payment request data with the public key and sends the encrypted information to the recipient terminal. Since the private key of the payment server is unknown to the recipient terminal or another third party, the payment request data cannot be decrypted, forged, or otherwise tampered by the recipient terminal. [0027] In this example, a connection based protocol is used. At 203, the recipient terminal and the payer terminal establish a connection upon initiation of the current payment process. The payer terminal and the recipient terminal can be connected using a wired connection upon initiation of the current payment. For example, a payer terminal that is a mobile phone and a recipient terminal that is a computer can be connected over a mini-USB line. The payer terminal and therecipient terminal can alternatively be connected wirelessly using wireless protocols such as Bluetooth, infrared, WIFI, etc.」 (当審訳: 【0023】 プラットフォーム100による決済データ処理について、図2A~図2Bを参照しつつ説明する。これらの図は、決済データを処理するための手順の一実施形態を示すフローチャートである。処理200は、決済処理プラットフォーム(100など)上で実行されてよい。 【0024】 支払人端末および受取人端末は、それぞれ、支払人口座番号および受取人口座番号を有するよう構成される。工程201において、決済サーバは、支払人端末に関連付けられた支払人口座番号および決済パスワードと、受取人端末に関連付けられた受取人口座番号とを予め格納する。 【0025】 工程202において、支払人端末および決済サーバは、暗号化関数およびそれに関連するパラメータを設定する。いくつかの実施形態において、暗号化関数およびパラメータの定義は、支払人端末および決済サーバによってアクセス可能なファイル内に予め格納されており、構成設定中にデバイスによってロードされる。 【0026】 予め定義された暗号化関数は、支払人端末と決済サーバと間の決済データの伝送の安全性を保証するために、受取人端末には知られていない。換言すると、受取人端末は、暗号化されたデータを復号できない。例えば、いくつかの実施形態では、予め定義された暗号化関数としてRSA暗号化関数が実装される。RSAアルゴリズムは、公開鍵を用いてデータを暗号化し、秘密鍵を用いてのみ復号することができる。したがって、決済サーバは、公開されない秘密鍵を持ち、対応する公開鍵を公開する。支払人端末は、公開鍵で決済要求データを暗号化し、暗号化された情報を受取人端末に送信する。決済サーバの秘密鍵は受取人端末または別の第三者に知られていないため、受取人端末は、決済要求データに対して復号、偽造、または、それ以外の改ざんを行うことができない。 【0027】 この例では、接続ベースのプロトコルが用いられる。工程203において、受取人端末および支払人端末は、現行の決済処理の開始時に接続を確立する。支払人端末および受取人端末は、現行の決済の開始時に有線接続を用いて接続されてよい。例えば、携帯電話である支払人端末と、コンピュータである受取人端末が、ミニUSBラインで接続されてよい。あるいは、支払人端末および受取人端末は、Bluetooth、赤外線、WIFIなどの無線プロトコルを用いて無線接続されてもよい。) 「[0029] At 204, the payment server provides the recipient terminal with a payment serial number uniquely identifying the current payment and stores the payment serial number. The payment serial number can be a random number allocated by the payment server for the recipient terminal upon initiation of a payment or generated by a predefined algorithm agreed upon by the payment server and the recipient terminal. For example, in some embodiments, the algorithm increments a predefined count every time a payment is successfully made and uses the resulting value as the serial number. [0030] At 205, the recipient terminal transmits to the payer terminal recipient information including the payment serial number and the recipient account number. The recipient information transmitted from the recipient terminal to the payer terminal includes the recipient account number and the payment serial number provided by the payment server and optionally may include a payment amount confirmed by the recipient terminal. [0031] At 206, the payer terminal encrypts the payer account number, the payment password, the recipient account number, the payment serial number, and the payment amount into payment request data using the encryption function, and transmits the encrypted payment request data to the recipient terminal. [0032] In steps 205 and 206, if the payment amount is sent from the recipient terminal to the payer terminal, the payment amount included in the encrypted payment request data returned from the payer terminal is the payment amount from the recipient terminal. Alternatively, if the recipient terminal does not send any payment amount to the payer terminal, then the payment amount included in the encrypted payment request data returned from the payer terminal is a payment amount input by the payer terminal. The recipient terminal receives the encrypted payment request data and the payment amount input by the payer terminal. [0033] At 207, the recipient terminal verifies the payment amount. If the amount is correct, the recipient terminal forwards the encrypted payment request data and the payment amount to the payment server. Verification is needed when the recipient terminal does not send any payment amount to the payer terminal in step 205, and the payment amount included in the encrypted payment request data returned from the payer terminal is a payment amount input by the payer terminal. When the recipient terminal receives the encrypted payment request data and the payment amount input by the payer terminal returned from the payer terminal, the recipient terminal first verifies the payment amount for correctness. In one example, the encrypted payment amount is compared to the cost of the product that is sold. If the amount is correct, the recipient terminal forwards the encrypted payment request data and the payment amount to the payment server. [0034] At 208, the payment server decrypts the payment request data using the predefined encryption function to acquire the decrypted payer account number, payment password, recipient account number, payment serial number, and payment amount. [0035] At 209, the payment server determines whether all the decrypted payment data is consistent with the stored payment data, and if so, the flow goes to 210, otherwise the flow goes to 216. To make the determination, the payment server reads the stored payer account number, payment password, recipient account number, and payment serial number and compares the following data for consistency: the read payer account number and the decrypted payer account number, the read payment password and the decrypted password, the read recipient account number and the decrypted recipient account number, and the read payment serial number and the decrypted payment serial number. [0036] If all the read data and decrypted data compared in step 209 is consistent, at 210, the decrypted payment amount and the received payment amount are further compared for consistency. If the amounts match, flow control is transferred to step 211; otherwise, flow control is transferred to step 216. [0037] At 211, a payment in the amount specified is made by the payment server. The payer's account is deducted and the recipient's account is increased by the payment amount. Payment result data indicating the success or failure of the payment process is generated depending on whether the payment is successfully completed.」 (当審訳: 【0029】 工程204において、決済サーバは、現行の決済を一意的に特定する決済シリアル番号を受取人端末に提供し、決済シリアル番号を格納する。決済シリアル番号は、決済の開始時に受取人端末に対して決済サーバによって割り当てられるランダムな番号、または、決済サーバおよび受取人端末によって同意された所定のアルゴリズムによって生成されるランダムな番号であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、決済が成功する度に所定のカウントをインクリメントし、その結果の値をシリアル番号として用いる。 【0030】 工程205において、受取人端末は、決済シリアル番号および受取人口座番号を含む受取人情報を支払人端末に送信する。受取人端末から支払人端末へ送信された受取人情報は、受取人口座番号と決済サーバによって提供された決済シリアル番号とを含んでおり、受取人端末によって確定された支払い金額を任意選択的に含んでもよい。 【0031】 工程206において、支払人端末は、暗号化関数を用いて、支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号、および、支払い金額を決済要求データに暗号化し、暗号化された決済要求データを受取人端末に送信する。 【0032】 工程205および206において、支払い金額が受取人端末から支払人端末に送信される場合、支払人端末から返された暗号化決済要求データに含まれる支払い金額は、受取人端末からの支払い金額である。あるいは、受取人端末が支払人端末に支払い金額を送信しない場合、支払人端末から返された暗号化決済要求データに含まれる支払い金額は、支払人端末によって入力された支払い金額である。受取人端末は、暗号化決済要求データと支払人端末によって入力された支払い金額とを受信する。 【0033】 工程207において、受取人端末は支払い金額を検証する。金額が正しい場合、受取人端末は、暗号化決済要求データおよび支払い金額を決済サーバに転送する。工程205において受取人端末が支払人端末に支払い金額を送信しない場合には、検証が必要であり、支払人端末から返された暗号化決済要求データに含まれる支払い金額は、支払人端末によって入力された支払い金額である。受取人端末は、支払人端末から、暗号化決済要求データと支払人端末によって入力された支払い金額とを受信すると、まず、支払い金額が正しいか検証する。一例では、暗号化された支払い金額が、販売される製品の費用と比較される。金額が正しい場合、受取人端末は、暗号化決済要求データおよび支払い金額を決済サーバに転送する。 【0034】 工程208において、決済サーバは、復号された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号、および、支払い金額を取得するために、事前に定義された暗号化関数を用いて決済要求データを復号する。 【0035】 工程209において、決済サーバは、復号された全決済データが、格納された決済データと一致するか否かを判定し、一致する場合、フローは工程210に進み、そうでない場合、フローは工程216に進む。判定を行うために、決済サーバは、格納された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、および、決済シリアル番号を読み出し、一致するか否かについて以下のデータを比較する。読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号、読み出した決済パスワードと復号したパスワード、読み出した受取人口座番号と復号した受取人口座番号、および、読み出した決済シリアル番号と復号化した決済シリアル番号。 【0036】 工程209において比較された読み出しデータおよび復号データのすべてが一致すると、さらに、工程210において、復号した支払い金額および受信した支払い金額が一致するか否か比較される。金額が一致した場合、フロー制御は工程211に進み、そうでない場合、フロー制御は工程216に進む。 【0037】 工程211において、特定された金額の決済が決済サーバによって行われる。支払い金額分が、支払人の口座から差し引かれ、受取人の口座に増額される。決済が成功したか否かに応じて、決済処理の成功または失敗を示す決済結果データが生成される。) 「[0096] FIG 10 is a block diagram of a second embodiment of a payment server. [0097] The payment server includes a presetting unit 1010, a storage unit 1020, a provision unit 1030, a reception unit 1040, a verification unit 1050, a returning unit 1060, and a deletion unit 1070. [0098] Particularly, the presetting unit 1010 is adapted to predefine an encryption function with a payer terminal. [0099] The storage unit 1020 is adapted to pre-store a recipient account number, a payer account number, and a payment password. [00100] The provision unit 1030 is adapted to provide a recipient terminal with a payment serial number identifying uniquely a current payment and to store the payment serial number. [00101] The reception unit 1040 is adapted to receive encrypted payment request data and a payment amount transmitted from the recipient terminal, where the payment request data is payment request data returned from a payer terminal upon reception of recipient information transmitted from the recipient terminal and the payment request data includes payer information, the recipient information and the payment amount, where the payer terminal encrypts the payment request data into the encrypted payment request data by the encryption function, the recipient information includes the payment serial number and the recipient account number and the payer information includes the payer account number and the payment password. [00102] The verification unit 1050 is adapted to verify the encrypted payment request data and the payment amount and to perform the payment according to a verification result.」 (当審訳: 【0096】 図10は、決済サーバの第2の実施形態を示すブロック図である。 【0097】 決済サーバは、事前設定ユニット1010、格納ユニット1020、提供ユニット1030、受信ユニット1040、検証ユニット1050、返送ユニット1060、および、削除ユニット1070を含む。 【0098】 特に、事前設定ユニット1010は、支払人端末で暗号化関数を予め定義するよう構成されている。 【0099】 格納ユニット1020は、受取人口座番号、支払人口座番号、および、決済パスワードを事前に格納するよう構成されている。 【0100】 提供ユニット1030は、現行の決済を一意的に特定する決済シリアル番号を受取人端末に提供し、決済シリアル番号を格納するよう構成されている。 【0101】 受信ユニット1040は、受取人端末から送信された暗号化決済要求データおよび支払い金額を受信するよう適合されており、決済要求データは、受取人端末から送信された受取人情報の受信後に支払人端末から返された決済要求データであり、支払人情報、受取人情報、および、支払い金額を含み、支払人端末は、暗号化関数によって決済要求データを暗号化決済要求データに暗号化し、受取人情報は、決済シリアル番号および受取人口座番号を含み、支払人情報は、支払人口座番号および決済パスワードを含む。 【0102】 検証ユニット1050は、暗号化決済要求データおよび支払い金額を検証し、検証結果に従って決済を実行するよう構成されている。) [図:0001419604000015.jpg] [図:0001419604000016.jpg] [図:0001419604000017.jpg] 3 その他の甲号証 (1)甲2号証の1 「 [図:0001419604000018.jpg] 」 「4) The payer selects to make a payment to the selected payee, and then inputs the amount and a simple description for the payment. The payer’s mobile client encrypts the payment data and sends it to the server. 5) The server decrypts the data, checks for validation of the payer and the payee’s accounts, checks for sufficiency of the payer’s balance, and then performs the transaction. The server then sends a receipt to both the payer and the payee to finish the transaction.」 (当審訳: 4) 支払人は、選択された受取人への支払いを選択した上で、決済の金額と概要を入力する。支払人のモバイルクライアントが決済データを暗号化し、サーバに送信する。5) サーバがデータを復号し、支払人と受取人のアカウントの妥当性を確認し、支払人の残高レベルが十分であることを確認し、取引を実行する。その後、サーバから支払人と受取人の双方に受領書が送信され、取引が完了する。) (2)甲3号証 「[0038] When the data have been transmitted, which means that the money transfer procedure has been started, a checking process is first carried out to determine whether the data medium is valid and whether the sum in the money sender's prepaid account is sufficient for the envisaged transfer process. If both are the case, the money sender is asked to input his PIN in order to authorize the debit operation on the sum of money to be transferred.」 (当審訳: [0038] データが送信されると、これは送金手続きが開始されたことを意味し、まず、データ媒体が有効かどうか、及び送金人のプリペイドアカウント内の金額が想定されている送金プロセスに対して十分かどうかを判断するためのチェックプロセスが行われる。両方の条件が満たされる場合、送金すべき金額の引落し操作を承認するために、送金人はPINを入力するよう求められる。) 「[0040] The prepaid shopping application on the money sender's server is sent a request to check whether the electronic credit in the money sender's prepaid account is sufficient for the envisaged money transfer. If this is not the case, the transfer is terminated with a corresponding advice signal to the terminal of the money receiver and/or money sender. If the sum of money to be transferred is covered, it is reserved in the money sender's prepaid account.」 (当審訳: [0040] 送金人のサーバ上のプリペイドショッピングアプリケーションに対し、送金人のプリペイドアカウント内の電子残高が想定されている送金に対して十分かどうかを確認することを求めるリクエストが送信される。これが十分ではない場合、マネー受取人及び/又は送金人の端末に対応する通知信号が与えられ、送金は終了となる。送金すべき金額がカバーされる場合、その金額が送金人のプリペイドアカウント内で確保される。) (3)甲4号証 「【0037】 このようにして送信されたGET要求D5が電子マネーサーバMMSによって受信されると、電子マネーサーバMMSは、当該GET要求D5に付加された加入者IDに基づいて電子マネー管理DB200を検索し(ステップSb1)、当該GET要求D5に付加されていた商品名等の情報を電子マネー管理DB200に格納する(ステップSb2)。次いで、電子マネーサーバMMSは、当該加入者IDと対応づけて格納されている電子マネー情報を読み出して(ステップSb3)、当該電子マネー情報に含まれる残高を抽出した後(ステップSb4)、この抽出した残高がGET要求D5に含まれている購入金額(具体的には、QRコードにより示される上記データAに含まれ購入金額)を越えているか否かを判定する(ステップSb5)。そして、電子マネーサーバMMSは、この判定において、残高が不足しているものと判定した場合(「no」)、取引を終了するための処理(ステップSb6)を実行し、例えば、「残高が足りません」等の文字列が記述されたHTMLデータを生成して携帯用電話機MP-lに送信すると共に、取引先サーバCS-kに対して取引管理DB100-kに格納されたデータ削除の要求メッセージを送信する。」 (4)甲5号証 「このように、過去の取引について携帯電話101、決済サーバ117-1の双方が取引識別情報を記憶しているため、携帯電話の認証の精度が高まる。尚、判定に他の条件(例えば、携帯電話101の識別情報に対応する携帯電話101のユーザの口座残高が請求金額を下回っていないこと等)を条件の1つに加えることも可能である。」(第14頁第17~21行) (5)甲6号証 「2.3.3.1 プリペイド プリペイド決済(電子マネー)の多くは、カードを用いたリアル店舗での決済であるが、それらの中にはパソコンに接続するICカードリーダを利用者に配布し、インターネットショッピングの決済に利用する実験も一部で行われている。 インターネット上で利用するタイプのプリペイド決済には、ICカードを用いた方式のほかにも、クレジットカードやコンビニエンスストアの店頭などであらかじめ事業者に一定金額を支払い、利用者は前払いした資金から商品代金を払っていく方法のソフトウェア型が多数実用化されている。」(第9頁) 「3.5.1 「Cmode」(シーモード) 日本コカ・コーラ、NTTドコモ、伊藤忠商事の3社は専用の自動販売機とiモード端末を連携させた電子ウォレットサービス「Cmode」の実証実験を2001年9~12月まで行った。 「Cmode」は、iモードや対応携帯電話と、ディスプレイやスピーカ、プリンタ、2次元バーコード読み取り装置を内蔵した「Cmode」対応自動販売機(シーモ)を連携させる。また、シーモはNTTドコモのパケット通信“DoPa”を通してサーバに接続しており、顧客情報管理やさまざまな情報サービスを提供できるという。シーモは、通常の自動販売機としての機能以外に、“C ボタン”を押すことで「Cmode」サービスが利用できるようになる。 会員専用サービスも用意されており、日本コカ・コーラが提供するiメニューサイト「コカ・コーラ モーメント」で登録が可能である。一部サービスは登録しなくても利用できる。 (1) サービス概要 ○1 情報発信サービス シーモに搭載されたディスプレイ、プリンタ、スピーカから、地図・クーポン・チケットやイベント・キャンペーン情報等を提供する。また、地域情報や自治体の公共情報などの発信にも利用できる。 ○2 iモード対応コンテンツサービス(会員専用サービス) シーモのディスプレイで、待受け画面や着信メロディなどiモード対応コンテンツを選択、iモード携帯電話にダウンロードすることができる。 ○3 ポイントサービス(会員専用サービス) 涼飲料購入や「Cmode」サービス利用の実績に応じてポイントが加算され、獲得ポイント数に応じて、清涼飲料や各種「Cmode」サービスとの交換ができる。 (2) 認証 会員専用サービスの利用に際しては、メニューサイト「コカ・コーラ モーメント」内 Club Cmode で発行される個人認証コード「ポイントパス」、および商品認証コード「Cチケット」(2次元バーコード)をシーモに読み取らせる。 (3) サービス料金の決済方法 ○1 プリペイド入金による決済(会員専用サービス) シーモに現金を投入することにより、「Cmode」サーバ上の専用口座へのプリペイド入金ができる。これによりiモードとシーモを連動させたキャッシュレスショッピングが可能となる。 ○2 ポイントによる決済(会員専用サービス) 会員専用口座に蓄積されたポイントにより、「Cmode」サービスの決済を行うことが可能。 ○3 現金による決済 シーモに現金を投入することにより、「Cmode」サービスの決済を行うこともできる。 (4) 実証実験サービス内容 ・グルメぴあクーポン (ぴあデジタルコミュニケーションズ株式会社) ・ぴあストリートマップ (ぴあデジタルコミュニケーションズ株式会社) ・TSUTAYAレンタルランキング+クーポン (株式会社ツタヤオンライン) ・シブヤ キャラ シンダン (株式会社インデックス) ・アーケードゲームとの連動コンテンツ (株式会社セガ) (5) Cmode 実証実験の概要 実施期間:2001年9月3日(月)~12月31日(月) 実施場所: <9月3日~9月17日> 「ワールド オブ コカ・コーラ 東京」(東京都港区台場 メディアージュ 6F) 「Shibuya109」(東京都渋谷区道玄坂 2-29-1) 「ドコモショップ渋谷宮益坂店」(東京都渋谷区 ワコー宮益坂ビル 1F・2F) <9月18日~12月31日> 上記3ヵ所(3台)に加え、東京・渋谷地区を中心に順次設置、合計25台で実施。 [図:0001419604000019.jpg] (6) 利用イメージ シーモには液晶画面が備えられており、その画面上にコンテンツや商品を飲料と同様に販売する機能がある。例えばユーザが付近の地図を購入したい場合、まずユーザは携帯電話でCmodeサイトにアクセスし、地図を購入する指定を行う。すると携帯電話の画面に地図を購入するためのバーコードが表示される。これをシーモにかざすと、シーモはCmodeサイトにアクセスしてバーコードの正当性を認証する。バーコードが正しければ地図がプリンタに出力され、同時にCmodeサイトにプールされていた金額から差し引かれる。飲料を購入する場合も同様で、バーコードをかざした後に飲料のボタンを押す。」 [図:0001419604000020.jpg] (6)甲8号証 「そのバーコードを店頭で見せスキャンしてもらうと、自分のモバイル端末上に、決済の可否確認を促すポップアップ・メッセージが表示される。決済金額は、自分のアリペイアカウントから直接引き落とされる。詳細は、以下の説明の通りだ。」(1/8頁) [図:0001419604000021.jpg] (2/8頁) (7)甲9号証 「Customers are expected to be able to use the barcode payment capability either with their Alipay account balance or with cards from over 80 different partner banks.」(1/3頁) (請求人訳: カスタマーは、Alipayのアカウント残高、または80以上の異なる提携銀行のカードでバーコード決済を利用することができるようになることを期待する。) (8)甲10号証 「Shoppers can use funds contained just in their AliPay account, or on any debit or credit cards that they might have connected to it.」 (請求人訳: 店舗は、AliPayのアカウント内にある資金、またはそれに接続されているデビットカードやクレジットカードの資金を使用することができる。) (9)甲11号証 「(2) アリペイ(Alipay、中国語:支付宝) アリババ社傘下のタオバオ(淘宝)は、中国最大のオンラインショッピングサイトで、今では5億近くの登録ユーザーを有し、毎日6千万の訪問数がある。タオバオが2003年にサービスを始めた頃、売り手と買い手との間に信頼関係が確立できないことは取引成立の大きな障害であった。日本のネット通販では、一般的に買い手の信用はクレジットカードで担保し、売り手の信用は店の信用によって担保される。中国の場合、クレジットカードが普及しておらず、タオバオの売り手に個人が多く、ネット上における信用の確立が困難であった。すなわち、タオバオ上の取引は、売り手も買い手も相手が債務不履行する信用リスクに直面する。その信用リスクを消すために、タオバオは、取引の成立を担保とする決済手段の開発に取り組んだ。具体的に開発したものは、エスクローサービスつきの電子マネー、アリペイである。アリペイにおいては、買い手が資金を直接売り手に払うのではなく、まずアリペイの口座に払い込み、アリペイが入金を確認したのち、売り手に注文をし、売り手が品物を発送し、買い手が品物を受け取って確認したこと受け、アリペイが資金を売り手に支払う。 アリババ社のCEO馬雲氏は、アリペイがタオバオの最も偉大な商品であると称賛した。アリペイによって、売り手も買い手も安心してネット上で取引ができるようになる。タオバオの取引の安全性がその後の成長の土台になった。エスクローサービスは日本では高額な不動産取引の時に利用されることがあるが、少額決済に利用するのは、アリペイが初めてである。それによって、アリペイはPC上の決済用プリペイの電子マネーにおける不動の地位を手に入れた。 2008年、スマートフォンの普及の波に乗って、アリペイはモバイル決済に進出。スマートフォンにアプリをインストールし、アリペイはどこでも使うことができるようになった。消費者が自身のアリペイ口座に資金をまずチャージし、そこから支払うこともできるし、クレジットカードやデビットカートと紐づけをしておけば、アプリ経由でクレジット払いやデビット払いをすることもできる。他のアリペイ口座への送金や入金の受け取りもできる。個人間送金は手数料不要である。」 [図:0001419604000022.jpg] [図:0001419604000023.jpg] 第7 無効理由1についての当審の判断 1 本件特許発明2について (1)甲1発明の認定 ア 上記第6の1において、(2)の当審訳における「移動端末1」と、(1)、(4)~(9)の当審訳における「移動端末」、(3)の当審訳における「移動ユーザ端末」は、同一のものを表すから、「移動端末」に用語を統一して甲1発明を認定する。 また、上記第6の1において、(2)の当審訳における「レジサービス端末2」と、(4)~(8)の当審訳における「レジサービス端末」、(5)の当審訳における「サービス端末」、(3)、(7)の当審訳における「レジ端末」は、同一のものを表すから、「レジサービス端末」に用語を統一して甲1発明を認定する。 また、上記第6の1において、(2)の当審訳における「ネットワーク仲介システム3」と、(4)~(9)の当審訳における「ネットワーク仲介システム」は、同一のものを表すから、「ネットワーク仲介システム」に用語を統一して甲1発明を認定する。 さらに、上記第6の1において、(3)、(6)、(7)の当審訳における「サービスプロバイダ情報」(甲1原文の「服務提供商信息」)と、(6)の当審訳における「サービスプロバイダの情報」(甲1原文の「服務提供商的信息」)についても、同一のものを表すから、「サービスプロバイダ情報」に用語を統一して甲1発明を認定する。 イ 上記第6の1(2)によると、甲1の「ネットワーク仲介システム3」は、「モバイル決済を実現する装置」として「取引情報の画像解析装置」及び「前記取引情報を処理するための処理装置」を含み、「処理装置には取引双方のアカウント情報が予め設定され、画像解析装置は画像から具体的な取引情報を解析して処理装置に送信し、処理装置は対応するアカウント情報に基づいて取引を行う」ものであり、「処理装置」は、予め設定された取引双方の対応する「アカウント情報」(甲1原文では「帳号信息」)に基づいて「取引を行う」ものである。 また、上記第6の1(6)によると、甲1の「ネットワーク仲介システム」には、予め「サービスプロバイダ情報」や「移動端末ユーザのIMSI情報」と対応する「アカウント情報」(甲1原文では「帳戸信息」)が登録されている。 ここで、乙第9号証によれば、甲1原文の「帳号」は「口座番号」、「(コンピュータなどで使用する)アカウント」、「<英語>account」の意味を有し、甲1原文の「帳戸」も「口座」、「<電脳>アカウント」、「<会計>account;勘定」といった意味を有するものである。また、英語の「account」には「預金口座」の意味があることは明らかである。そして、甲1の「アカウント情報」(甲1原文の「帳号信息」、「帳戸信息」)は、店舗での商品の購入取引の、買い手である移動端末のユーザの支払い元と、売り手であるレジサービス端末の店舗の受取先を表すものであるから、支払いが電子マネーアカウントであるか銀行口座であるかは別として、支払い元や受取先の「口座番号情報」といえる。よって、甲1の「ネットワーク仲介システム」は「口座番号情報」を記憶するものである。 ウ 上記第6の1(6)によると、「ネットワーク仲介システムは、買い手である移動端末ユーザの身分情報と売り手であるレジサービス端末の身分情報を取得」するものであるところ、「移動端末ユーザの身分情報」は、「移動端末が取得された画像情報をネットワーク仲介システムに送信する場合、ネットワーク装置MSC(Mobile Switching Center:モバイル交換センター)及び/又はHLR(Home Location Register:ホーム位置レジスタ)により関連身分記述情報を画像情報とともにネットワーク仲介システムに自動的に送信する」ものであるから、「ネットワーク仲介システム」は、「ネットワーク装置MSC(Mobile Switching Center:モバイル交換センター)及び/又はHLR(Home Location Register:ホーム位置レジスタ)」から「移動端末ユーザの身分情報」を「画像情報とともに」受信し、「レジサービス端末の身分情報」は、「ネットワーク仲介システムで解析された取引情報から直接抽出される」ものであるから、「ネットワーク仲介システム」は、「レジサービス端末の身分情報」を解析した取引情報から直接抽出するものである。 エ 上記第6の1(6)によると、「ネットワーク仲介システムは、買い手である移動端末ユーザの身分情報と売り手であるレジサービス端末の身分情報を取得し、取引売買双方の身分の正当性を検証する」するものであり、「取引売買双方の身分の正当性を検証する」処理は、上記第6の1(6)の記載における、「レジサービス端末の身分情報の検証」により「サービスプロバイダが正当である」か否かを判定する処理、及び「ユーザ身分情報の検証」により「移動端末ユーザが正当である」か否かを判定する処理を指すものであるから、「取引売買双方」の「双方」とは、「移動端末ユーザ」(買い手)と「サービスプロバイダ」(売り手)を指すものである。 オ 上記第6の1(3)、(8)によると、甲1の「モバイル決済取引の情報処理方法」のステップ「S9」において、「ネットワーク仲介システム」は移動端末の確認を受信した後、「支払を実行する」(甲1原文では「執行支付」)ものである。これに関して、甲第24号証によれば、「支付」は「支払う」の意味を有することが示されており、「支付」を「決済」と翻訳すべき格段の理由が認められないこと、また、被請求人から「支付」を「決済」と翻訳すべき合理的な理由を示す他の証拠が提出されていないことから、甲1原文における「執行支付」の翻訳については、上記の「支払を実行する」を採用する。 カ 以上ア~オの点を踏まえると、甲1には、「モバイル決済取引情報処理方法」に関する以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。甲1発明における括弧内の「1」~「8」の記載は、それぞれ、上記第6の1における「(1)」~「(8)」を表す。 「移動端末とレジサービス端末とネットワーク仲介システムを含み、ネットワーク仲介システムはそれぞれ移動端末及びレジサービス端末と通信接続されるモバイル決済システムにより実行されるモバイル決済取引情報処理方法であって、(2、3) ネットワーク仲介システムにおいてモバイル決済を実現する装置は、取引情報の画像解析装置及び前記取引情報を処理するための処理装置を含み、処理装置には、サービスプロバイダ情報と対応する口座番号情報、及び移動端末ユーザのIMSI(International Mobile Subscriber Identity:国際移動ユーザ識別コード)情報と対応する口座番号情報といった取引双方の口座番号情報が予め設定され、画像解析装置は画像から具体的な取引情報を解析して処理装置に送信し、処理装置は対応する口座番号情報に基づいて取引を行うものであり、(2、6) モバイル決済取引の際に、レジサービス端末はサービスプロバイダ関連情報及び取引内容情報等の取引情報を画像に生成して、後に取引の相手方である移動端末に提供し、当該取引情報には、取引シリアル番号、取引明細及び取引金額等の情報である取引内容情報と、サービスプロバイダのID情報を含むサービスプロバイダ情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報を含むレジサービス端末情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報が含まれ、(2、3) 移動端末は撮像機能又は図形走査機能を備える携帯電話、PDA又はパームトップコンピュータなどであってもよく、撮像機能又は図形走査機能によりレジサービス端末から前記画像を取得すると、取得された画像情報をネットワーク仲介システムに送信し、(2、4) ネットワーク仲介システム側には、レジサービス端末の唯一の識別ID、レジサービス端末の番号、口座番号情報を含むレジサービス端末に関する情報と、移動ユーザの身分情報及び口座番号情報とが予め記憶されており、(8) ネットワーク仲介システムは、ネットワーク装置MSC(Mobile Switching Center:モバイル交換センター)及び/又はHLR(Home Location Register:ホーム位置レジスタ)から移動端末ユーザの身分情報を画像情報とともに受信し、ここで、移動端末ユーザの身分情報は、移動端末のIMSI、移動端末のESN(Electronic serial number:電子シリアル番号であって、移動端末番号MSISDNに唯一に対応する)、移動端末の番号などの情報のうちいずれか一つ又は任意の組み合わせを含むものであり、(6) ネットワーク仲介システムは、画像情報を受信した後、画像解析装置において解析を行って、サービスプロバイダの関連情報及び取引内容情報の取引情報を取得して、レジサービス端末の身分情報を解析した取引情報から直接抽出し(4、6)、解析して得られた取引内容情報に基づいて仮取引記録を作成し、(4、7) ネットワーク仲介システムは、取得した、買い手である移動端末ユーザの身分情報と、売り手であるレジサービス端末の身分情報を用いて、取引売買双方の身分の正当性を検証し、(6) ここで、ネットワーク仲介システムは、レジサービス端末の身分情報の検証として、サービスプロバイダID情報を解析した後、対応するサービスプロバイダ情報が登録されているか否かを検索し、存在すれば、解析されたサービスプロバイダが正当であり、そうでなければ、不正であると判定することにより、サービスプロバイダの身分の正当性を検証するとともに、ユーザ身分情報の検証として、MSC又はHLRから返信されたIMSI情報に基づいて該移動端末ユーザのIMSIと口座番号情報とが予め登録されているか否かを判定し、存在すれば、移動端末ユーザが正当であり、そうでなければ、不正であると判定することにより、移動端末ユーザの身分の正当性を検証するものであり、双方の身分が正当であれば、双方の身分情報に基づいて予め記憶されたデータベースから双方の口座番号情報を呼び出し、(6) ネットワーク仲介システムは取引情報に基づいて仮取引記録を作成して、移動端末に取引を確認するために、取引金額、取引シリアル番号又は取引明細などの情報が含まれる確認通知を送信し、(7) 移動端末は受信した取引通知が正しいと確認した場合、取引を実行する命令を返信し、(7) ネットワーク仲介システムは移動端末の確認を受信した後、支払を実行し、仮取引記録を正式な取引記録として確認し、取引ログを記録し、取引が失敗した場合、取引失敗を移動端末に通知する、(8) モバイル決済取引情報処理方法。」 (2)本件特許発明の「証明情報」の技術的意義 本件特許発明2と甲1発明との対比に先立ち、まず本件特許発明の「証明情報」の技術的意義について検討する。 本件特許発明2における「証明情報」は、「前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報」と「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報」である。 一方、本件特許発明の「証明情報」について、本件明細書には以下のような記載がある。 「【0018】 このように、本発明では、第1受信工程で第1ユーザ端末が第2ユーザ端末から第2の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信し、第2受信工程で第2ユーザ端末が第1ユーザ端末から第1の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信する。このように第1ユーザ端末と第2ユーザ端末が電子証明書の少なくとも一部を交換した上で、電子マネー管理サーバが、第3受信工程で各ユーザ端末からそれぞれの取引相手の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信し、その電子証明書の一部の情報が電子マネー管理サーバに格納されている電子証明書の情報と対応しているか否かを判断する。つまり、自己の端末の電子証明書の情報が他の端末から電子マネー管理サーバに送られ、当該他の端末の電子証明書の情報が自己の端末から電子マネー管理サーバに送られるので、この時点で取引を行おうとしている2つの端末が特定され、さらに、それぞれ送信された電子証明書の照合が電子マネー管理サーバによって行われる。これにより、電子マネー管理サーバは、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を確実に認証することができる。 【0019】 ここで、第1ユーザ端末が有する第1の電子証明書は第1ユーザ端末と電子マネー管理サーバのみが有するユニーク情報であり、第2ユーザ端末が有する第2の電子証明書は第2ユーザ端末と電子マネー管理サーバのみが有するユニーク情報である。そして、第1の電子証明書の少なくとも一部の情報が第2ユーザ端末によって電子マネー管理サーバに送信され、第2の電子証明書の少なくとも一部の情報が第1ユーザ端末によって電子マネー管理サーバに送信される。そして、電子マネー管理サーバでは第1及び第2ユーザ端末の両方から前記電子証明書の少なくとも一部の情報を受け付けることにより、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を認証する。このため、例えば第2ユーザ端末が第1ユーザ端末の電子証明書情報を不正に入手して何らかの手段で第1ユーザの有する電子マネーを入手しようとしても、第1ユーザ端末から電子マネー管理サーバに自らの電子証明書の情報の送信が行われない限り、第1ユーザから第2ユーザへの電子マネーの送金が行われることがない。」 「【0024】 また、本発明の他の実施形態によれば、前記電子マネー送金方法において、前記電子マネー管理サーバのみが、前記第1の電子証明書内に又は前記第1の電子証明書と紐付けて前記第1の電子証明書の秘密鍵を有していると共に、前記電子マネー管理サーバのみが、前記第2の電子証明書内に又は前記第2の電子証明書と紐付けて前記第2の電子証明書の秘密鍵を有しており、前記認証工程では、前記第1および第2の電子証明書の少なくとも一部の情報を前記第1および第2の電子証明書の秘密鍵を用いて復号化し、当該復号化した情報が前記電子マネー管理サーバに格納されている前記第1および第2の電子証明書の情報と対応しているか否かを判断することを特徴とする電子マネー送金方法が提供される。」 「【0057】 続いて、端末Aおよび管理サーバ300が行う処理の一例(図8参照)に沿って、端末Aが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合の処理について説明する。 【0058】 先ず、管理サーバ300の会員用画面表示処理部382によって端末AにログインIDとパスワードを要求する画面が表示され、端末Aから管理サーバ300にログインIDおよびパスワードが送信されると(ステップS41)、これに応答して会員用画面表示処理部382は端末Aの表示部130にログイン後の会員用画面を表示させる(ステップS42)。この会員用画面内には電子証明書の発行要求を行うボタンが配置されており、端末AにおいてユーザAが電子証明書の発行要求の操作を行うと、端末Aから管理サーバ300に電子証明書発行の要求が送信される(ステップS43)。また、この電子証明書発行の要求と共に、又は前記要求の後で、端末Aから管理サーバ300に端末Aの個体情報が送信される(ステップS44)。ここで、ユーザAは端末Aにて自己のログインIDおよびパスワードを用いて会員用画面にログインし、その状態で電子証明書の発行要求を行っているので、前記個体情報がユーザAのログインID、パスワード等と紐付けられて顧客契約マスタ351に格納される(図5参照)。また、前記個体情報としては、端末Aの製造IDを用いることが可能であるが、その他端末Aに固有の他の情報を用いることも可能である。 【0059】 続いて、管理サーバ300は電子証明書発行処理部383により、ユーザA用に第1の電子証明書を作成し、その第1の電子証明書を端末Aと紐付けて顧客マスタ格納部350に格納する(ステップS45)。ここで、電子証明書発行処理部383が作成する第1の電子証明書は、図9に概略を示すように、デジタル署名、公開鍵等を有するものである。また、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383は、作成した第1の電子証明書に対応する秘密鍵を同時に作成し、その秘密鍵も第1の電子証明書と紐付けて顧客マスタ格納部350に格納する。尚、本実施形態では電子証明書の作成を管理サーバ300にて行うようにしているが、外部の電子証明書発行業者に依頼して作成することも可能である。 【0060】 続いて、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383は第1の電子証明書を端末Aに送信し(ステップS46)、端末Aは受信した第1の電子証明書を端末Aの証明書格納部171に格納する(ステップS47)。 【0061】 また、端末Bが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合についても、図8に示すように、端末Aについての前述の説明と同等の処理(ステップS51~S57)が端末Bおよび管理サーバ300において行われる。また、本実施形態では、端末B用に第2の電子証明書とその秘密鍵が作成される。なお、第1の電子証明書の秘密鍵は第1の電子証明書のデジタル署名を唯一復号化できるものであり、第2の電子証明書の秘密鍵は第2の電子証明書のデジタル署名を唯一復号化できるものである。」 「【0068】 続いて、端末A、端末Bおよび管理サーバ300が行う処理の一例(図13参照)に沿って、ユーザA(買い手)がユーザB(店舗などの売り手)から商品を購入し、その代金の支払いを電子マネーによって行う場合の処理について説明する。 【0069】 先ず、ユーザAが商品Xを購入することを決め、それをユーザBの端末B(POS端末)の所に持っていく。端末Bにはバーコードリーダ等が付いており、バーコードリーダで商品Xに貼付されているバーコードを読み取る。これにより、POS端末の表示装置230に商品Xの代金である300円が表示される。ユーザAがその代金を端末Bの表示を見て確認し、支払うことを決めると、端末Aを使って管理サーバ300の会員用画面表示処理部382が提供する会員用画面にアクセスおよびログインする。そして、表示装置130に例えば図14に示すような支払用画面を表示させ、端末Aを端末Bのリーダライタ250に近付けて図14のPayボタンに指で触れる。これにより、以下のステップS101~S123が行われ、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金が行われる。 【0070】 具体的には、先ず、端末Aを端末Bのリーダライタ250に近付けて図14のPayボタン410を指で触れると、端末Bは、電子証明書交換処理部281により、第2の電子証明書中のデジタル署名を近距離無線通信を介して端末Aに送信し、端末Aは、電子証明書交換処理部181により、端末Bから送信される第2の電子証明書のデジタル署名を受信する(ステップS101)。そして、端末Aは受信したデジタル署名を証明書格納部や端末Aのメモリのその他の部分に格納する(ステップS102)。・・・ 【0071】 続いて、端末Aは、電子証明書埋め込み処理部182により、自己の有する第1の電子証明書のデジタル署名を前記受信した第2の電子証明書のデジタル署名によって置換することにより、デジタル署名を置換した第1の電子証明書を作成し、それを証明書格納部171に格納する(ステップS105)。・・・ 【0072】 続いて、端末Aは、デジタル証明書情報送信処理部183により、デジタル署名を置換した第1の電子証明書を管理サーバ300に送信し(ステップS107)、端末Bは、デジタル証明書情報送信処理部283により、デジタル署名を置換した第2の電子証明書を管理サーバ300に送信する(ステップS108)。この時、端末Aからの送信データには端末Aの個体情報が含まれており、端末Bからの送信データには端末Bの個体情報が含まれている。 【0073】 次に、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、端末Aおよび端末Bからデジタル署名を置換した第1および第2の電子証明書を受信する(ステップS109)。そして、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、デジタル署名を置換した第1の電子証明書およびそれに含まれる第2の電子証明書のデジタル署名を、顧客マスタ格納部350に格納されている対応している秘密鍵によって復号化すると共に、デジタル署名を置換した第2の電子証明書およびそれに含まれる第1の電子証明書のデジタル署名を、顧客マスタ格納部350に格納されている対応している秘密鍵によって復号化する(ステップS110)。 【0074】 続いて、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、(1)復号化された第1の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第1の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否か、および(2)復号化された第2の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第2の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否かを判断する(ステップS111)。また、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、(3)第2の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末A(第1の電子証明書に対応している端末)であるか否か、および(4)第1の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末B(第2の電子証明書に対応してる端末)であるか否かを判断する(ステップS112)。ここで、デジタル署名を置換した第1および第2の電子証明書のデジタル署名以外の部分と、顧客マスタ格納部350に格納されている第1および第2の電子証明書のデジタル署名以外の部分との比較により、ステップS112の判断を行うことができる。または、各端末A、Bからの送信データに含まれる個体情報と、顧客マスタ格納部350の顧客マスタ351に格納されている個体情報とを対比することにより、ステップS112の判断を行うことが可能である。その他の前記(3)および(4)を判断できる方法を用いてステップS112を行うことも可能である。つまり、ステップS112では、自己の端末(端末A)の電子証明書の情報が他の端末(端末B)から管理サーバ300に送られ、且つ、当該他の端末(端末B)の電子証明書の情報が自己の端末(端末A)から管理サーバ300に送られているか否かを判断できれば良い。」 「【0081】 ここで、端末Aが有する第1の電子証明書は端末Aと管理サーバ300のみが有するユニーク情報であり、端末Bが有する第2の電子証明書は端末Bと管理サーバ300のみが有するユニーク情報である。そして、第1の電子証明書の少なくとも一部の情報が端末Bによって管理サーバ300に送信され、第2の電子証明書の少なくとも一部の情報が端末Aによって管理サーバ300に送信される。そして、管理サーバ300では端末A、Bの両方から前記電子証明書の少なくとも一部の情報を受け付けることにより、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を認証する。このため、例えば端末Bが端末Aの電子証明書情報を不正に入手して何らかの手段でユーザAの有する電子マネーを入手しようとしても、端末Aから管理サーバ300に自らの電子証明書の情報の送信が行われない限り、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金が行われることがない。」 【図5】 [図:0001419604000024.jpg] 【図9】 [図:0001419604000025.jpg] 以上の記載によれば、買い手である端末Aのユーザが端末Aにおいて電子証明書の発行要求の操作を行うと、管理サーバ300に電子証明書発行の要求と(「端末Aの製造ID」等の端末Aに固有の情報である)「個体情報」が送信され、管理サーバ300の顧客契約マスタ351に、端末Aの製造IDなどの「個体情報」がユーザAの「ログインID」、「パスワード」等と紐付けられて格納される。 また、電子証明書の発行要求を受信した「管理サーバ300」は、電子証明書発行処理部383において、ユーザA用に、【図9】に示されるような、デジタル署名、公開鍵等を有する「第1の電子証明書」を作成すると、作成した「第1の電子証明書」に対応する「秘密鍵」を同時に作成し、「第1の電子証明書」と「秘密鍵」を端末Aと紐付けて顧客マスタ格納部350に格納した上で、「第1の電子証明書」を「端末A」に送信するものであり、店舗などの売り手である端末Bが電子証明書を入手する場合も、同等の処理が行われる。 そして、【図5】に示されるように、ユーザAのログインID、パスワード、メールアドレス、個体番号、電子マネー口座番号に関連付けられて、「電子証明書の番号」が顧客契約マスタ351に格納されている。 してみると、本件特許発明2の「第1の証明情報」は、本件明細書中の「第1の電子証明書」に対応し、端末Aから電子証明書発行の要求を受けて(【0058】)、「管理サーバ300」で、デジタル署名、公開鍵等を有するように作成され、端末Aと紐付けて顧客マスタ格納部350に格納されるものであって(【0058】、【0059】、図5)、「端末Aの製造ID」のように端末Aに固有の情報である「個体情報」や、「ユーザAのログインID」、「パスワード」、「メールアドレス」、「電子マネー口座番号」とは異なる情報である。 また、端末Bが電子証明書を入手する場合も、端末Aと同等の処理が行われるところ、本件明細書の特に段落【0070】~【0074】の記載によれば、「管理サーバ300」に電子証明書を送信する「端末A」は、自己の有する「第1の電子証明書」を「管理サーバ300」に送信する際に、「第1の電子証明書」の「デジタル署名」を、相手側の端末である「端末B」から受信した「第2の電子証明書」の「デジタル署名」に置換してから「管理サーバ300」に送信し、「端末A」から「デジタル署名を置換した第1の電子証明書」を受信した「管理サーバ300」は、デジタル署名を置換した「第1の電子証明書」およびそれに含まれる「第2の電子証明書のデジタル署名」を、対応している秘密鍵によって復号化すると、「(2)復号化された第2の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第2の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否かを判断する」ことで、本件特許発明2に係る「前記第2ユーザ端末(B)の認証」を行うものである。 してみると、本件特許発明2の「第2の証明情報」は、本件明細書中の「第2の電子証明書」に対応し、上記「第1の証明情報」に対応する「第1の電子証明書」と同様に、「第2の電子証明書」は、端末Bから電子証明書発行の要求を受けて、「管理サーバ300」で、デジタル署名、公開鍵等を有するように作成され、端末Bと紐付けて顧客マスタ格納部350に格納されるものであって、「個体情報」や「ユーザBのログインID」、「パスワード」とは異なる情報である。 以上によれば、本件特許発明2における「証明情報」は、ユーザ端末から発行の要求を受けて管理サーバで作成される情報であり、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有する電子証明書のような情報であるという技術的意義を有する。 そのため、本件特許発明2における「証明情報」は、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、ユーザの情報そのものや、ユーザ端末の情報そのものとは異なる情報である。 (3)対比 本件特許発明2と甲1発明とを対比する。 ア 分説2Aの「第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザ端末(B)」について 本件特許発明2において、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)」は電子マネーの送金側であり、「第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)」は当該電子マネーの受取側である。 一方、甲1発明は「モバイル決済取引情報処理方法」に関し、「ネットワーク仲介システム3」がそれぞれ「移動端末」及び「レジサービス端末」と通信接続されるモバイル決済システムにより実行されるものであり、「移動端末」はモバイル決済における送金側で「移動端末ユーザ」が有する端末で、「レジサービス端末」は受取側で「サービスプロバイダ」が有する端末といえるから、甲1発明における「移動端末ユーザ」、「移動端末」、「サービスプロバイダ」、「レジサービス端末」は、それぞれ本件特許発明2の「第1ユーザ」、「第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザ」、「第2ユーザ端末(B)」に相当する。 イ 分説2Aの「電子マネー管理サーバ(300)」について 甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」及び「レジサービス端末」と通信接続されるから、「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能」である点で、本件特許発明2の「電子マネー管理サーバ(300)」と共通するものである。 また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、サービスプロバイダと移動端末ユーザの双方の身分の正当性を検証し、双方の身分が正当であれば、双方の対応する「口座番号情報」に基づいて取引を行い、「支払を実行する」ものである。ここで、甲1発明においては、「口座番号情報」に基づいて取引を行う際に、支払いに用いられるものが「電子マネー」に特定されていないものの、何らかの金銭的価値(マネー)を有するものが双方の間で受け渡しされるものであるといえ、甲1発明におけるこのような金銭的価値(マネー)を有するものの受け渡しは、本件特許発明2の「電子マネーの送金」と、「マネーの送金」である点で共通する。 さらに、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、サービスプロバイダと移動端末ユーザの双方の「口座番号情報」が予め設定されており、当該「口座番号情報」に基づいて取引が行われるから、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末ユーザ」と「サービスプロバイダ」の「口座番号情報」を記憶し、管理するものである。もっとも、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」には、「口座番号情報」が記憶されているものの、「ネットワーク仲介システム」自体が、「移動端末ユーザ」及び「サービスプロバイダ」の口座のマネーを管理するものであるとはいえないから、甲1発明において、サービスプロバイダと移動端末ユーザの「口座番号情報」を記憶する「ネットワーク仲介システム」は、本件特許発明2の「前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」と、「管理サーバ」である点で共通する。 したがって、甲1発明において、「移動端末」及び「レジサービス端末」と通信接続され、双方の対応する「口座番号情報」に基づいて「取引を行」う「ネットワーク仲介システム」と、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」とは、「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバ」である点で共通する。 ウ 分説2Aの「電子マネー送金方法」について 上記イで示したように、甲1発明における「ネットワーク仲介システム」の処理によって、取引売買双方の間で「マネーの送金」が行われるところ、上記アで示した、「移動端末ユーザ」と「サービスプロバイダ」との間での送金の流れは、「移動端末ユーザ」から「サービスプロバイダ」、すなわち本件特許発明2の「前記第1ユーザから前記第2ユーザへの」「マネーの送金」であることは自明であり、甲1発明の「モバイル決済取引情報処理方法」と、本件特許発明2の「電子マネー送金方法」は、「マネー送金方法」である点で共通する。 したがって、上記ア、イと併せて考慮すると、甲1発明の「移動端末」及び「レジサービス端末」と通信接続される「ネットワーク仲介システム」で実行される「モバイル決済取引情報処理方法」と、本件特許発明2の「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」とは、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバとを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへのマネーの送金を行うマネー送金方法」である点で共通する。 エ 分説2Bについて 甲1発明の「ネットワーク仲介システム」には「処理装置」が含まれ、「処理装置」には、「サービスプロバイダ情報と対応する口座番号情報」、及び「移動端末ユーザのIMSI(International Mobile Subscriber Identity:国際移動ユーザ識別コード)情報と対応する口座番号情報」が予め設定されており、甲1発明の「移動端末ユーザのIMSI」は、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)の情報」に相当し、甲1発明の「サービスプロバイダ情報」は、本件特許発明2の「前記第2ユーザの情報」に相当する。また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」側には、「レジサービス端末の唯一の識別ID、レジサービス端末の番号、口座番号情報を含むレジサービス端末に関する情報」も予め記憶されており、甲1発明の「レジサービス端末の唯一の識別ID、レジサービス端末の番号」を含む「レジサービス端末に関する情報」は、本件特許発明2の「前記第2ユーザ端末(B)の情報」に相当する。 ここで、甲1発明の「移動端末ユーザのIMSI」は、「移動端末」あるいは「移動端末」に挿入されるSIMカードに格納される識別番号であり、移動端末ごとに異なる番号であることは技術常識であって、上記(2)で示した「証明情報」の技術的意義に照らすと、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、ユーザの情報又は端末情報そのものであるから、本件特許発明2の「前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報」ではない。一方、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は「移動端末ユーザのIMSI」を含む「移動端末ユーザの身分情報」を取得して、「移動端末ユーザのIMSI」と「対応する口座番号情報」を予め設定、登録することにより、「移動端末ユーザのIMSI」を格納するものであるから、甲1発明の「移動端末」と「ネットワーク仲介システム」の両方において、「移動端末ユーザのIMSI」を格納することと、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものである」こととは、「前記管理サーバおよび前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザ端末(A)の情報を格納しているものである」点で共通する。 また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」には、「サービスプロバイダ情報」が予め登録されており、「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」から送信された「画像情報」を受信して解析することにより「取引情報」を取得するものであり、当該「取引情報」には「サービスプロバイダのID情報を含むサービスプロバイダ情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報を含むレジサービス端末情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」が含まれるところ、「移動端末」から送信される「画像情報」は、「レジサービス端末」によって生成された「画像情報」を、当該「移動端末」が撮像機能又は図形走査機能を利用して取得し、「ネットワーク仲介システム」に送信したものであるから、「画像情報」の解析により取得される「サービスプロバイダID情報を含むサービスプロバイダ情報」及び「レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報」を含む「レジサービス端末情報」は、上記で示したように、「ネットワーク仲介システム」に格納されているだけでなく、「レジサービス端末」においても格納された情報であるといえる。また、上記(2)で示した「証明情報」の技術的意義に照らすと、甲1発明の「レジサービス端末情報」は、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、「第2ユーザ」であるサービスプロバイダの情報又は端末情報そのものであって、本件特許発明2の「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報」ではない。そのため、「レジサービス端末」と「ネットワーク仲介システム」の両方において、「サービスプロバイダID情報を含むサービスプロバイダ情報」と「レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報」を含む「レジサービス端末情報」を格納することと、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであ」ることとは、「前記管理サーバおよび前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報を格納しているものであ」る点で共通する。 オ 分説2C-1について 甲1発明の「移動端末」は、「モバイル決済取引」の際に、上記エに示したように、「レジサービス端末」によって生成された「画像情報」を撮像機能又は図形走査機能を利用して取得するものであるところ、当該「画像情報」には、「サービスプロバイダのID情報を含むサービスプロバイダ情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報を含むレジサービス端末情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」と「取引金額」の情報が含まれており、当該「画像情報」は「移動端末」から「ネットワーク仲介システム」に送信されるものである。 ここで、甲1発明の「レジサービス端末」によって生成された「画像情報」は、撮像機能又は図形走査機能を利用する「移動端末」によって取得されるから、「レジサービス端末」(本件特許発明2の「第2ユーザ端末(B)」)が「出力した」ものであり、当該「画像情報」に含まれる「レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報」は、上記(2)で示した「証明情報」の技術的意義に照らすと、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、端末情報そのものであって、本件特許発明2の「前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報」ではなく、「第2ユーザ端末(B)」に関する情報である点で、本件特許発明2の「第2端末情報」と共通する。 また、甲1発明の「画像情報」に含まれる「取引金額」の情報は、当該「画像情報」を出力した「レジサービス端末」が取引金額の受取側であるから、本件特許発明2の「前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額」と、「前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取るマネーの受取額」である点で共通する。 そして、甲1発明において、「レジサービス端末」からこれらの情報を含む「画像情報」を取得した「移動端末」が、当該「画像情報」を「ネットワーク仲介システム」に送信することは、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記電子マネーの受取額が前記電子マネー管理サーバに送信される」ことと、「前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記マネーの受取額が前記管理サーバに送信される」点で共通する。 したがって、甲1発明において、「モバイル決済取引」の際に、「移動端末」が「レジサービス端末」によって生成され、「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」と「取引金額等の情報」が含まれた「画像情報」を図形走査機能を利用して取得して、当該「画像情報」を「移動端末」から「ネットワーク仲介システム」に送信することと、本件特許発明2の「前記送金の際、前記第1ユーザ端末(A)が、前記第2ユーザ端末(B)が出力した、前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報である第2端末情報と、前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額と、を受信し、前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記電子マネーの受取額が前記電子マネー管理サーバに送信される」こととは、「前記送金の際、前記第1ユーザ端末(A)が、前記第2ユーザ端末(B)が出力した、第2端末情報と、前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取るマネーの受取額と、を取得し、前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記マネーの受取額が前記管理サーバに送信される」点で共通する。 カ 分説2C-2、分説2C-2-1について 上記オによれば、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」から「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」が含まれた「画像情報」を受信するものであるから、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」が「移動端末」から受信する「画像情報」に含まれる「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」は、上記オで示したものと同様、「前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報」ではないものの、本件特許発明2の「前記第2端末情報」である点で共通する。 したがって、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」において、「移動端末」から「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」が含まれた「画像情報」を受信する工程は、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)」が、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報と、前記第2端末情報とを受信する工程」と、「前記管理サーバ」が、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する工程」である点で共通する。 キ 分説2C-2-2について 甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末ユーザの身分情報」と「レジサービス端末の身分情報」を取得して「取引売買双方の身分の正当性を検証」するものであり、「ユーザ身分情報」の検証は「MSC又はHLRから返信されたIMSI情報に基づいて該移動端末ユーザのIMSIと口座番号情報とが予め登録されているか否か」で判定を行い、「レジサービス端末の身分情報」の検証は「サービスプロバイダ情報が登録されているか否か」で判定を行うものである。 ここで、甲1発明の「IMSI情報」は、「MSC又はHLRから返信された」ものであって「移動端末」から受信した情報とはいえず、上記(2)で示した「証明情報」の技術的意義に照らすと、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、ユーザの情報又は端末情報そのものであって、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報」ではないものの、「ネットワーク仲介システム」がネットワークを介して外部から受信した「移動端末」に関する情報であり、本件特許発明2の「受信した前記第1端末情報」である点で共通する。そして、本件特許発明2の「前記第1の証明情報」は、「前記第1ユーザ端末(A)」「の認証を行う」ために使用される情報であるのに対し、甲1発明においては、当該受信した「IMSI情報」が、上記エで示した「ネットワーク仲介システム」に予め登録された「移動端末ユーザのIMSI」として存在すれば移動端末ユーザが正当であり、そうでなければ、不正であると判定するものであるが、上記のとおり、甲1発明の「IMSI情報」は「移動端末」に関する情報であるから、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」に予め登録された「移動端末ユーザのIMSI」は、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報」と、「管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)に関する情報」である点で共通する。 したがって、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」において行われる、受信した「IMSI情報」が、「ネットワーク仲介システム」に予め登録された「移動端末ユーザのIMSI」として存在すれば移動端末ユーザが正当であり、そうでなければ、不正であるとの判定は、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」と、「受信した前記第1端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)に関する情報と対応しているか否かの判断」である点で共通する。 また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」から受信した「画像情報」を解析することにより、「サービスプロバイダのID情報を含むサービスプロバイダ情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報を含むレジサービス端末情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」を含む「取引情報」を取得し、「売り手であるレジサービス端末の身分情報を用いて」、「身分の正当性を検証」するものであるところ、取得した「サービスプロバイダに関連する身分情報」に含まれる「レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報を含むレジサービス端末情報」は、上記エで示したように、「ネットワーク仲介システム」側にも「レジサービス端末に関する情報」として予め記憶されているものであるから、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」に予め登録された「レジサービス端末に関する情報」は、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報」と、「管理サーバに格納されている前記第2ユーザ端末(B)に関する情報」である点で共通する。 そして、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」においては、受信した「レジサービス端末情報」と「ネットワーク仲介システム」側に予め記憶されている「レジサービス端末に関する情報」を用いて「身分の正当性を検証」するところ、甲1発明は、「対応するサービスプロバイダ情報が登録されているか否かを検索し、存在すれば、解析されたサービスプロバイダが正当であり、そうでなければ、不正であると判定」するものであるから、甲1発明のこのような判定は、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)から受信した」「前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」と、「前記第1ユーザ端末(A)から受信した」「前記第2端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第2ユーザ端末(B)に関する情報と対応しているか否かの判断」である点で共通する。 そして、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末ユーザの身分情報」と「レジサービス端末の身分情報」による上記の判断によって「取引売買双方の身分の正当性を検証」するものであるところ、当該「身分の正当性」は、「移動端末ユーザ」及び「サービスプロバイダ」について検証されるものであるから、甲1発明において、認証の対象は、「移動端末ユーザ」及び「サービスプロバイダ」である。 してみると、甲1発明において、「取引売買双方の身分の正当性を検証」することは、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う」ことと、「前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの認証を行う」点で共通する。 したがって、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」によって行われる、「移動端末ユーザの身分情報」と「レジサービス端末の身分情報」を取得して「取引売買双方の身分の正当性を検証」する工程と、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断とを少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」は、「受信した前記第1端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)に関する情報と対応しているか否かの判断と、前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第2端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第2ユーザ端末(B)に関する情報と対応しているか否かの判断とを少なくとも行うことにより、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの認証を行う認証工程」である点で共通する。 ク 分説2C-2-3について 上記オによれば、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」から「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」と「取引金額」の情報が含まれた「画像情報」を受信するものであり、当該「取引金額」の情報は、本件特許発明2の「前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取る電子マネーの受取額」と、「前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取るマネーの受取額」である点で共通する。 また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、当該「取引情報」に基づいて仮取引記録を作成した後、取引の内容を確認させるために、「取引金額、取引シリアル番号又は取引明細などの情報が含まれる確認通知」を「移動端末」に送信するものであり、当該「移動端末」において「確認通知」が正しいと確認された場合に、取引を実行する命令が返信されるものである。そして、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末の確認を受信した」場合、すなわち、取引を実行する命令が返信された場合に、支払を実行するものである。 してみると、甲1発明において、「ネットワーク仲介システム」が「確認通知」を「移動端末」に送信した後に、「確認通知」が正しいことを確認した「移動端末」から「取引を実行する命令」が返信されたことを受けて、支払を実行するのであるから、甲1発明の「移動端末」から返信される「取引を実行する命令」が、本件特許発明2の「送金指示」に対応するといえる。 ここで、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」が、「移動端末」から「取引金額」を含む「画像情報」を受信する処理は、上記カで検討したとおり、本件特許発明2の「前記電子マネー管理サーバ(300)」が、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報である第1端末情報と、前記第2端末情報とを受信する工程」と、「前記管理サーバ」が、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する工程」である点で共通するから、甲1発明の「取引金額」は、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する工程」において、レジサービス端末の「身分情報」とともに受信され、「送金指示」を受信する工程とは別の工程で受信される。 これに対し、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する工程」は、送金指示と受取額との両方を受信する工程である。 したがって、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」が、「取引売買双方の身分の正当性を検証」し、双方の身分が正当である場合に「確認通知」を「移動端末」に送信した後に、「確認通知」が正しいことを確認した「移動端末」から「取引を実行する命令」を受信する処理と、本件特許発明2の「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する工程」とは、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへのマネーの送金指示を受信する工程」である点で共通する。 ケ 分説2C-2-4、分説2C-2-5について 甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、取引が失敗した場合、取引失敗を移動端末に通知するから、取引の実行前に「取引金額」が「移動端末ユーザ」の「口座番号情報」に対応付けられた預金額の範囲内であるか否かの判断を行うものではないことは明らかである。 また、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」自体が、マネーを管理したり、マネーの取引を直接実行するものではないから、甲1発明の「ネットワーク仲介システム」が「支払を実行する」処理として、「移動端末ユーザ」の口座から「取引金額」の分だけ減額し、「サービスプロバイダ」の口座から「取引金額」の分だけ増額するものでもない。 コ 以上、ア~ケによると、本件特許発明2と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバとを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへのマネーの送金を行うマネー送金方法であって、 前記管理サーバおよび前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザ端末(A)の情報を格納しているものであると共に、前記管理サーバおよび前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報を格納しているものであり、 この方法は、 前記送金の際、前記第1ユーザ端末(A)が、前記第2ユーザ端末(B)が出力した、第2端末情報と、前記第2ユーザが前記第1ユーザから受取るマネーの受取額と、を取得し、前記第1ユーザ端末(A)を介して、前記第2端末情報及び前記マネーの受取額が前記管理サーバに送信されるようになっており、 前記管理サーバが、 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する工程と、 受信した第1端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)に関する情報と対応しているか否かの判断と、前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記第2端末情報が前記管理サーバに格納されている前記第2ユーザ端末(B)に関する情報と対応しているか否かの判断とを少なくとも行うことにより、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの認証を行う認証工程と、 前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへのマネーの送金指示を受信する工程と、 を行う ことを特徴とするマネー送金方法。」 [相違点1-1] 本件特許発明2は、「第1ユーザ」から「第2ユーザ」へ送金されるマネーが「電子マネー」であって、「第1ユーザ」と「第2ユーザ」の「電子マネー」をそれぞれ記憶する「電子マネー管理サーバ(300)」が、第1ユーザから第2ユーザへの「電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」に関する発明であるのに対し、甲1発明は、「第1ユーザ」から「第2ユーザ」へ送金されるマネーが「電子マネー」であるか定かではなく、また、甲1発明の「管理サーバ」(ネットワーク仲介システム)は、「第1ユーザ」と「第2ユーザ」の「口座番号情報」をそれぞれ記憶するものの、口座のマネー自体を記憶するものではなく、「管理サーバ」が、第1ユーザから第2ユーザへの「マネーの送金を行うマネー送金方法」に関する発明である点。 [相違点1-2] 「管理サーバ」、「第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザ端末(B)」が格納する情報に関して、本件特許発明2では、電子マネー管理サーバ(300)および第1ユーザの端末(A)は、「前記第1ユーザの情報および/又は前記第1ユーザ端末(A)の情報と関連付けられた第1の証明情報」を格納し、電子マネー管理サーバ(300)および第2ユーザの端末(B)は、「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報」を格納するのに対し、甲1発明は、管理サーバおよび第1ユーザの端末(A)は、「前記第1ユーザ端末(A)の情報」を格納し、管理サーバおよび第2ユーザの端末(B)は、「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報」を格納するものの、「第1の証明情報」や「第2の証明情報」を格納するものではない点。 [相違点1-3] 送金の際の「第1ユーザ端末(A)」の処理に関し、本件特許発明2は、「前記第2ユーザ端末(B)が出力した、前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報である第2端末情報」を受信して、「前記電子マネー管理サーバに送信」するのに対し、甲1発明は、「前記第2ユーザ端末(B)が出力した、第2端末情報」を取得するものの、当該「第2端末情報」は「第2の証明情報の少なくとも一部の情報」ではなく、そのため、甲1発明の「第1ユーザ端末(A)」は、「前記第2の証明情報の少なくとも一部の情報」を「前記第2ユーザ端末(B)」から受信して「管理サーバ」に送信するものでもなく、さらに、本件特許発明2の「第1ユーザ端末(A)」は、「第2ユーザ端末(B)」が出力した「第2端末情報」と「受取額」を「受信」するのに対し、甲1発明の「第1ユーザ端末(A)」は、「第2ユーザ端末(B)」が出力した「第2端末情報」と「受取額」の情報を含む「画像情報」を、撮像機能又は図形走査機能を利用して「取得」するのであって、「第2端末情報」と「受取額」を「受信」するものではない点。 [相違点1-4] 「管理サーバ」が受信する「第1端末情報」に関して、本件特許発明2は、「第1ユーザ端末(A)」から「前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報」として受信するものであるのに対し、甲1発明では、「第1端末情報」に相当する「IMSI情報」は「MSC又はHLRから返信された」ものであって、「第1ユーザ端末(A)」である「移動端末」から受信した情報ではなく、また、当該「IMSI情報」は「前記第1ユーザ端末(A)の証明情報の少なくとも一部の情報」ではない点。 [相違点1-5] 「認証工程」の認証処理に関して、本件特許発明2では「受信した前記第1端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」と、「前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」を行うものであるのに対し、甲1発明においては、「受信した前記第1端末情報」と対応しているか否かの判断は「格納されている前記第1ユーザ端末(A)に関する情報」と行い、「前記第2端末情報」と対応しているか否かの判断は「格納されている前記第2ユーザ端末(B)に関する情報」と行うものであって、「前記第1の証明情報」や「前記第2の証明情報」と対応しているか否かで判断していない点。 [相違点1-6] 「認証工程」において認証を行う対象に関して、本件特許発明2は「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う」のに対し、甲1発明は「前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの認証を行う」ものである点。 [相違点1-7] 「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示を受信する工程」が、本件特許発明2では、送金指示とともに「受取額」を受信するのに対し、甲1発明では「受取額」は、「送金指示」とは別に、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する工程」において、「レジサービス端末」の「身分情報」とともに受信される点。 [相違点1-8] 本件特許発明2では、「電子マネー管理サーバ(300)」が「前記第1ユーザ端末(A)から受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かを少なくとも判断する決済判断工程」を行い、「前記決済判断工程において前記残額内であると判断される」場合に「決済工程」を行うのに対し、甲1発明では、かかる「決済判断工程」は行われず、そのために「決済工程」にかかる処理も「前記決済判断工程において前記残額内であると判断される」場合に行われるものではない点。 (4)相違点の判断 事案に鑑み、上記[相違点1-2]、[相違点1-3]、[相違点1-5]について検討する。 甲1発明の「ネットワーク仲介システム」は、「移動端末」から受信した「画像情報」を解析して「サービスプロバイダのID情報や、レジサービス端末の一意の識別情報及びレジサービス端末の番号情報であるサービスプロバイダに関連する身分情報」を取得した後、「対応するサービスプロバイダ情報が登録されているか否かを検索し」、存在するか否かで、売り手であるサービスプロバイダが正当であるか、不正であるかを判定するものである。 しかしながら、上記「サービスプロバイダに関連する身分情報」に含まれる「サービスプロバイダのID情報」、「レジサービス端末の一意の識別情報」、「レジサービス端末の番号情報」は、いずれも「第2ユーザの情報」や「第2ユーザ端末(B)の情報」そのものであって、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではなく、ユーザ端末から発行の要求を受けて、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有するように作成されるものでもなく、本件特許発明2の「証明情報」の技術的意義を有するものではないから、「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報」であるということはできない。そして、甲1発明の「移動端末」において、そのような「第2の証明情報」を、「レジサービス端末」から受信して「ネットワーク仲介システム」へ送信することが、当業者にとって容易に想到し得たことであるともいえない。 さらに、甲1発明の「サービスプロバイダに関連する身分情報」または「レジサービス端末の身分情報」を用いて「身分の正当性を検証」する処理は、本件特許発明2のように「前記第2端末情報が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」によって「前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う」ものではないし、甲1発明の「サービスプロバイダに関連する身分情報」または「レジサービス端末の身分情報」を用いて「身分の正当性を検証」する処理を行う際に、「前記第2ユーザの情報および/又は前記第2ユーザ端末(B)の情報と関連付けられた第2の証明情報」を用いて対応しているか否かを判断することが、当業者にとって適宜なし得たことともいえない。 また、請求人が無効理由1において周知技術とする、甲2の1、甲3~甲6のいずれにおいても、上記[相違点1-2]、[相違点1-3]、[相違点1-5]に係る構成に関しては記載されていない。 したがって、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が上記[相違点1-2]、[相違点1-3]、[相違点1-5]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記の[相違点1-1]、[相違点1-4]、[相違点1-6]~[相違点1-8]について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)請求人の主張について 請求人は、「ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)」であったとしても、「ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたものであり」、「当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報」であれば、本件特許発明2の「証明情報」に含まれることは明らかであり、これに対し、甲1発明の、移動端末ユーザやサービスプロバイダを特定するための情報(サービスプロバイダのID情報や移動端末のESN(移動端末番号MSISDN)など)である「身分情報」は、ユーザ又はユーザ端末に関連付けられたものであり、さらに、当該情報を出力した移動端末を通して、移動端末ユーザとレジサービス端末の正当性が検証されるから、甲1発明の「身分情報」は、本件特許発明2の「証明情報」に含まれると主張する。(上記第5の1(1)エ) しかしながら、上記(2)で示したとおり、本件特許発明2の「証明情報」は、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものであり、ユーザ端末から発行の要求を受けて、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有するように作成されるものであって、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではない、「第2ユーザの情報」や「第2ユーザ端末(B)の情報」とは異なる情報と解すべきである。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (6)小括 以上によれば、本件特許発明2は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2 本件特許発明3について 本件特許発明3は、本件特許発明2の「電子マネー送金方法」の発明を「電子マネー送金システム」として記載した発明であって、本件特許発明3の「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2ユーザへの電子マネーの送金指示と、前記受取額とを受信する手段」についても、甲1発明は、「送金指示を受信する手段」であるが、「受取額」については、「送金指示」とは別に、「前記第1ユーザ端末(A)から、前記第2端末情報を受信する手段」において、「レジサービス端末」の「身分情報」とともに「取引金額」を画像情報として受信しているから、[相違点1-7]と同様の相違点を有することになる。 そうすると、本件特許発明3と甲1発明をシステムの発明として表現した発明と対比すると、上記[相違点1-1]~[相違点1-8]と同様の相違点を有することとなる。 そして、上記[相違点1-2]、[相違点1-3]、[相違点1-5]と同様の相違点に係る構成については、上記1(4)で示したとおり、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえないから、本件特許発明3は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 無効理由1のまとめ 以上によれば、本件特許発明2及び3は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第8 無効理由2についての当審の判断 1 本件特許発明4について (1)甲7発明の認定 上記第6の2によると、甲7には、「決済データを処理するための方法」に関する以下の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されている。 「支払人端末102、決済(受取人)端末104、および、決済サーバ106を備えるモバイル決済処理システムにより、決済データを処理するための方法であって、(【請求項7】、【0018】) 受取人端末および決済サーバは、インターネット、無線ネットワーク、専用ネットワーク、または、任意の他の適切な接続で通信できるが、支払人端末は、決済サーバとデータを直接やり取りしないものであり、(【0019】) 支払人端末および受取人端末は携帯型電子端末であり(【0018】)、それぞれ、支払人口座番号および受取人口座番号を有し、(【0024】) 決済サーバは、支払人端末に関連付けられた支払人口座番号および決済パスワードと、受取人端末に関連付けられた受取人口座番号とを予め格納し、(【0024】) 支払人端末および決済サーバは、支払人端末および決済サーバによってアクセス可能なファイル内に予め格納された暗号化関数およびそれに関連するパラメータの定義をデバイスによってロードして、暗号化関数およびパラメータを設定し(【0025】)、 受取人端末および支払人端末は、現行の決済処理の開始時に接続を確立し、(【0027】) 決済サーバは、現行の決済を一意的に特定する決済シリアル番号を受取人端末に提供し、決済シリアル番号を格納し、(【0029】) 受取人端末は、決済シリアル番号および受取人口座番号を含む受取人情報を支払人端末に送信し、受取人情報は、受取人端末によって確定された支払い金額を任意選択的に含んでもよく、(【0030】) 支払人端末は、暗号化関数を用いて、支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号、および、支払い金額を決済要求データに暗号化し、暗号化決済要求データと支払人端末によって入力された支払い金額を受取人端末に送信し、(【0031】、【0032】) 受取人端末は支払い金額を検証し、金額が正しい場合、暗号化決済要求データおよび支払い金額を決済サーバに転送し、(【0033】) 決済サーバは、事前に定義された暗号化関数を用いて決済要求データを復号し、復号された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号、および、支払い金額を取得し、(【0034】) 決済サーバは、格納された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、および、決済シリアル番号を読み出し、読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号、読み出した決済パスワードと復号した決済パスワード、読み出した受取人口座番号と復号した受取人口座番号、および、読み出した決済シリアル番号と復号化した決済シリアル番号を比較して、復号された全決済データが、格納された決済データと一致するか否かを判定し、比較された読み出しデータおよび復号データのすべてが一致する場合、さらに、復号した支払い金額および受信した支払い金額が一致するか否か比較され、金額が一致した場合、特定された金額の決済が決済サーバによって行われ、支払い金額分が、支払人の口座から差し引かれ、受取人の口座に増額される、(【0035】~【0037】) 決済データを処理するための方法。」 (2)対比 本件特許発明4と甲7発明とを対比する。 ア 分説4Aの「第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザ端末(B)」について 本件特許発明4において、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)」は電子マネーの送金側であり、「第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)」は当該電子マネーの受取側である。 一方、甲7発明の「決済データを処理するための方法」は、「決済サーバ106」(以下、「決済サーバ」という。)と「決済(受取人)端末104」(以下、「受取人端末」という。)とインターネット等の任意の接続で通信される「モバイル決済処理システム」により実行されるものであり、「支払人端末102」(以下、「支払人端末」という。)は「支払人」が有するモバイル決済における送金側の端末で、「受取人端末」は「受取人」が有する受取側の端末といえるから、甲1発明における「支払人」、「支払人端末」、「受取人」、「受取人端末」は、それぞれ本件特許発明4の「第1ユーザ」、「第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザ」、「第2ユーザ端末(B)」に相当する。 イ 分説4Aの「電子マネー管理サーバ(300)」について 甲7発明の「決済サーバ」は、「支払人端末に関連付けられた支払人口座番号」と「受取人端末に関連付けられた受取人口座番号」を格納するものであり、「支払人端末」と「受取人端末」の間で決済が行われる場合には、「支払い金額分が、支払人の口座から差し引かれ、受取人の口座に増額される」ことから、支払いに用いられるものが「電子マネー」に特定されていないものの、何らかの金銭的価値(マネー)を有するものが「支払人」の口座から「受取人」の口座へ受け渡されるものであるといえ、甲7発明におけるこのような金銭的価値(マネー)を有するものの受け渡しは、本件特許発明4の「電子マネーの送金」と、「マネーの送金」である点で共通する。 また、甲7発明の「決済サーバ」は、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」を記憶し、管理するものであるものの、「決済サーバ」自体が、「支払人口座番号」及び「受取人口座番号」に対応する口座のマネーを管理するものであるとはいえないから、甲7発明において、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」を格納する「決済サーバ」と、本件特許発明4の「前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」は、「管理サーバ」である点で共通する。 また、甲7発明の「決済サーバ」は、「支払人端末」とはデータを直接やりとりしないものの、「受取人端末」とはインターネット等の接続で通信できるものであり、本件特許発明4の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」と、「前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバ」である点で共通する。 ウ 分説4Aの「電子マネー送金方法」について 上記イで示したように、甲7発明の「決済サーバ」は、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」を格納しており、「支払人」から「受取人」へ金銭的価値(マネー)を有するものを受け渡すものであり、甲7発明の、「支払人」から「受取人」へ金銭的価値(マネー)を有するものを受け渡す処理を行う「決済データを処理するための方法」は、本件特許発明4の「前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」と、「前記第1ユーザから前記第2ユーザへのマネーの送金を行うマネー送金方法」である点で共通する。 したがって、上記ア、イと併せて考慮すると、甲7発明の「支払人端末」、「受取人端末」、「決済サーバ」を備えるモバイル決済処理システムにより行われ、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」を格納する「決済サーバ」が「支払人」から「受取人」へ金銭的価値(マネー)を有するものを受け渡す処理を行う「決済データを処理するための方法」は、本件特許発明4の「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」と、「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバとを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへのマネーの送金を行うマネー送金方法」である点で共通する。 エ 分説4Bについて (ア)分説4Bの解釈について 本件特許発明4の分説4Bにおける「前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報」について、「その情報」は「前記第1ユーザの情報」を表すものであり、「前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報」は「前記第1ユーザの情報」と「その情報と関連付けられた第1の証明情報」の選択的記載と解釈できるものであるところ、後述の分説4C-2-1の「認証工程」では、「前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報」が特定されていることから、少なくとも「その情報と関連付けられた第1の証明情報」に関しては、「前記電子マネー管理サーバ(300)」に格納されるものである。 そのため、本件特許発明4の分説4Bの「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納している」との事項は、「前記電子マネー管理サーバ(300)」については、「前記第1ユーザの情報」および「その情報と関連付けられた第1の証明情報」を格納するか、「その情報(前記第1ユーザの情報)と関連付けられた第1の証明情報」のみを格納するものであり、「前記第1ユーザの端末(A)」については、「前記第1ユーザの情報」又は「その情報と関連付けられた第1の証明情報」、若しくはその両方を格納するものである。 同様に、本件特許発明4の分説4Bにおける「前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報」については、「その情報」は「前記第2ユーザの情報」を表すものであり、「前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報」は「前記第2ユーザの情報」と「その情報と関連付けられた第2の証明情報」の選択的記載と解釈できるものであるところ、後述の分説4C-2-1の「認証工程」では、「前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報」が特定されていることから、少なくとも「その情報と関連付けられた第2の証明情報」に関しては、「前記電子マネー管理サーバ(300)」に格納されるものである。 そのため、本件特許発明4の分説4Bの「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納している」との事項は、「前記電子マネー管理サーバ(300)」については、「前記第2ユーザの情報」および「その情報と関連付けられた第2の証明情報」を格納するか、「その情報(前記第2ユーザの情報)と関連付けられた第2の証明情報」のみを格納するものであり、「前記第2ユーザの端末(B)」については、「前記第2ユーザの情報」又は「その情報と関連付けられた第2の証明情報」、若しくはその両方を格納するものである。 (イ)甲7発明との対比 甲7発明においては、「受取人端末」が「受取人口座番号」を有し、「決済サーバ」が「受取人端末に関連付けられた受取人口座番号」を格納するものであり、甲7発明の「受取人口座番号」は(本件特許発明4の「第2ユーザ」である)「受取人」が所有する口座に関する情報であるから、本件特許発明4の「第2ユーザの情報」に相当する。一方、甲7発明には、「受取人口座番号」と関連付けられた、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有するように作成される「証明情報」は存在せず、本件特許発明4に係る「その情報と関連付けられた第2の証明情報」は存在しない。 そして、上記第7の1(2)で示したように、「証明情報」の技術的意義によれば、本件特許発明4における「第2の証明情報」は、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものであり、ユーザ端末から発行の要求を受けて、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有するように作成されるものであるところ、甲7発明の「受取人口座番号」は、そのような情報ではないから、本件特許発明4に係る「第2の証明情報」とはいえず、甲7発明において、「決済サーバ」および「受取人端末」が「受取人口座情報」を格納することは、本件特許発明4の「その情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているもの」とはいえない。 そのため、甲7発明において、「受取人端末」と「決済サーバ」が「受取人口座番号」を格納することと、本件特許発明4の「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納している」こととは、「前記管理サーバおよび前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報を格納している」点で共通する。 また、甲7発明においては、「支払人端末」が「支払人口座番号」を有し(すなわち、「格納し」)、「決済サーバ」は、「支払人端末」に関連付けられた「支払人口座番号」および「決済パスワード」を予め格納しており、「支払人口座番号」は(本件特許発明4の「第1ユーザ」である)「支払人」が所有する口座に関する情報であるから、本件特許発明4の「第1ユーザの情報」に相当する。 一方、甲7発明の「決済パスワード」は、「決済サーバ」において「支払人口座番号」とともに「支払人端末」に関連付けられて格納され、かつ、後述の「読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号」、「読み出した決済パスワードと復号したパスワード」をそれぞれ比較して、「一致するか否かを判定」する「決済サーバ」の処理において、「支払人口座番号」と関連付けられる「支払人端末」、すなわち「第1ユーザ端末(A)」の正当性を検証するために使用される情報であるものの、上記第7の1(2)で示した「証明情報」の技術的意義に照らすと、ユーザ端末から発行の要求を受けて管理サーバで作成される情報ではなく、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有する電子証明書のような情報ともいえない、ユーザの情報そのものであるから、甲7発明の「決済パスワード」は、本件特許発明4の「その情報と関連付けられた第1の証明情報」ではない。 そして、甲7発明において、「支払人端末」が「支払人口座番号」を格納し、「決済サーバ」が「支払人口座番号」および「決済パスワード」を格納することと、本件特許発明4の「前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納している」とは、「前記管理サーバおよび前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報を格納している」点で共通する。 オ 分説4C-1について 甲7発明の「受取人端末」は、決済処理の際に「支払人端末」と接続を確立すると、いったん「決済シリアル番号および受取人口座番号を含む受取人情報」を「支払人端末」に送信した上で、「支払人端末」から「暗号化された決済要求データ」を受信し、支払い金額が正しい場合に、「暗号化決済要求データおよび支払い金額」を「決済サーバ」に転送するものであり、「暗号化された決済要求データ」として暗号化される情報の中には、「支払人口座番号」と「決済パスワード」が含まれるところ、上記エ(イ)で示したように、甲7発明の「決済パスワード」は、「前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報」である点で、本件特許発明4の「前記第1の証明情報」と共通する。 そうすると、甲7発明の「受取人端末」は、送金を伴う決済処理の際に、「支払人端末」からそのような「決済パスワード」を含む「暗号化された決済要求データ」を受け取り、当該「受取人端末」を介して、「決済パスワード」を含む「暗号化決済要求データ」が「決済サーバ」に送信される処理が行われる。 したがって、甲7発明の「受取人端末」が、送金を伴う決済処理の際に、「支払人端末」から「決済パスワード」を含む「暗号化された決済要求データ」を受け取り、「暗号化決済要求データ」を「決済サーバ」に送信する処理と、本件特許発明4の「前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信される」処理とは、「前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報が前記管理サーバに送信される」点で共通する。 カ 分説4C-2、分説4C-2-1について 甲7発明の「決済サーバ」は、「受取人端末」から受信した「暗号化決済要求データ」を事前に定義された暗号化関数を用いて復号し、「復号された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号」を「格納された支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、および、決済シリアル番号」とそれぞれ比較し、「比較された読み出しデータおよび復号データのすべてが一致する」場合に、さらに、復号した支払い金額および受信した支払い金額が一致するか否かの比較を行うものであるところ、「暗号化決済要求データ」を復号することにより得られる情報の中には、上記オで示したように、本件特許発明4の「前記第1の証明情報」と「前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報」である点で共通する「決済パスワード」だけでなく、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」も含まれており、上記エ(イ)で示したように、「支払人口座番号」は本件特許発明4の「第1ユーザの情報」に、「受取人口座番号」は本件特許発明4の「第2ユーザの情報」に、それぞれ相当する。 そして、甲7発明の「決済サーバ」は、「読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号」、「読み出した決済パスワードと復号したパスワード」、「読み出した受取人口座番号と復号した受取人口座番号」をそれぞれ比較して、「一致するか否かを判定」する処理を行うものであり、その中で、「支払人口座番号」と「決済パスワード」については、「決済サーバ」において「支払人端末」に関連付けられて格納される情報であるから、「読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号」及び「読み出した決済パスワードと復号したパスワード」をそれぞれ比較して「一致するか否かを判定」する処理は、「支払人口座番号」と関連付けられる「支払人端末」を、「支払人端末」と関連付けられ、第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報である「決済パスワード」を用いて「認証を行う」処理であるといえ、本件特許発明4の「前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」「を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)」「の認証を行う」処理と、「前記第1のユーザ端末(A)が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報と対応しているか否かの判断」「を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)」「の認証を行う」点で共通する。 一方、甲7発明の「決済サーバ」が、「読み出した受取人口座番号と復号した受取人口座番号」を比較して、「一致するか否かを判定」する処理は、「決済サーバ」に格納された「受取人端末に関連付けられた受取人口座番号」である「読み出した受取人口座番号」と、「暗号化決済要求データ」を復号して得られた「復号した受取人口座番号」を比較することにより、「決済パスワード」を含む「暗号化された決済要求データ」を受け取った「受取人端末」を特定する処理であるところ、本件特許発明4における「第2の証明情報」は、上記第7の1(2)で示した「証明情報」の技術的意義と同様に、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものであり、ユーザ端末から発行の要求を受けて、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有するように作成されるものであるから、甲7発明において、「受取人端末」の特定の際に、「受取人端末」を認証するための「証明情報」が用いられているということはできない。 そうすると、甲7発明の「決済サーバ」が、「決済サーバ」に予め格納された「受取人端末に関連付けられた受取人口座番号」と「復号した受取人口座番号」とを比較して「一致するか否かを判定」する処理は、本件特許発明4の「第2のユーザ端末(B)」が管理サーバに格納されている「前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」を行うことにより、「前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う」ものとはいえない。 したがって、甲7発明の「決済サーバ」によって行われる、「読み出した支払人口座番号と復号した支払人口座番号」、「読み出した決済パスワードと復号したパスワード」、「読み出した受取人口座番号と復号した受取人口座番号」をそれぞれ比較して、「一致するか否かを判定」する処理と、本件特許発明4の「前記電子マネー管理サーバ(300)が、前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」とは、「前記管理サーバが、前記第1のユーザ端末(A)が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)の認証を行う認証工程」である点で共通する。 キ 分説4C-2-2について (ア)「第3受信工程」の処理内容に関する検討 上記オで示したように、甲7発明の「受取人端末」は、「暗号化決済要求データおよび支払い金額」を「決済サーバ」に転送するものであるところ、この「暗号化決済要求データ」は、「支払人端末」が暗号化関数を用いて「支払人口座番号、決済パスワード、受取人口座番号、決済シリアル番号、および、支払い金額」を暗号化することにより生成されたデータであるから、「決済サーバ」は「受取人端末」から、「暗号化決済要求データ」に含まれた暗号化された支払い金額と、当該「暗号化決済要求データ」とともに送信された暗号化されていない支払い金額を受信するものであるといえる。 そして、甲7発明の「決済サーバ」は、受信した「暗号化決済要求データ」を復号した後、「読み出しデータ」と「復号データ」を比較し、「比較された読み出しデータおよび復号データのすべてが一致する」場合に、さらに、「復号した支払い金額」および「受信した支払い金額」が一致するか否かの比較を行うものである。ここで、「受信した支払い金額」は、「受取人端末」が「支払人端末」に「受取人情報」を送信する際に、任意選択的に「受取人情報」に含めることができる「受取人端末によって確定された支払い金額」と同額であるといえ、受取人の「受取額」に相当する。 さらに、甲7発明の「決済サーバ」は、「受取人端末」から「暗号化決済要求データおよび支払い金額」を受け取るものであり、この「暗号化決済要求データ」は「支払人端末」から「受取人端末」への送金を要求するためのデータであって、「受取人端末」からみれば、「支払人端末」から支払われる金額の受取を指示するものであるから、甲7発明の「暗号化決済要求データ」は、本件特許発明4の「前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示」と、「前記第1ユーザからのマネーの受取指示」である点で共通し、甲7発明の「暗号化決済要求データおよび支払い金額」における後者の「支払い金額」、すなわち「受信した支払い金額」は、本件特許発明4の「受取額」に相当する。 したがって、甲7発明の「決済サーバ」が、「受取人端末」から「暗号化決済要求データおよび支払い金額」を受け取る処理は、本件特許発明4の「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信工程」の処理と、「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからのマネーの受取指示と、受取額とを受信する」処理である点で共通する。 (イ)「第3受信工程」の実行タイミングに関する検討 甲7発明の「決済サーバ」においては、「受取人端末」から「暗号化決済要求データおよび支払い金額」を受け取る処理は、上記カで検討した「認証工程」の前に行われる。 これに対し、本件特許発明4の「第3受信工程」は、「電子マネー管理サーバ(300)」が「認証工程」を行った後に実行されるものである。 したがって、甲7発明の「決済サーバ」は、「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからのマネーの受取指示と、受取額とを受信する」ものである点で、本件特許発明4の「第3受信工程」と共通する処理を行うものの、当該処理が「認証工程」の前に行われる点で、本件特許発明4の(「認証処理」の後に行われる)「第3受信工程」と相違する。 ク 分説4C-2-3、分説4C-2-4について 甲7発明の「決済サーバ」は、上記キで示した「復号した支払い金額」および「受信した支払い金額」が一致するか否かの比較を行い、金額が一致した場合、特定された金額の決済を行い、支払い金額分を、支払人の口座から差し引いて、受取人の口座に増額する処理を行うものであるから、当該処理は本件特許発明4の「決済工程」に対応する処理である。 そして、上記イ、キで示した事項から、甲7発明の「決済サーバ」は、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」を格納し、「支払人」の口座から「受取人」の口座へ、本件特許発明4の「受取額」に相当する「支払い金額」の分のマネーの送金を行うものであるものの、甲7発明の「決済サーバ」自体が、「支払人口座番号」や「受取人口座番号」に対応する口座のマネーを管理したり、マネーの取引を直接実行したりするものではないから、甲7発明の「決済サーバ」において行われる「マネーの送金」の処理として、「管理サーバ」「内の前記第1ユーザの」「マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、」「管理サーバ」「内の前記第2ユーザの」「マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する」ものでもない。 ケ 以上、ア~クによると、本件特許発明4と甲7発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能である管理サーバとを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへのマネーの送金を行うマネー送金方法であって、 前記管理サーバおよび前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報を格納しているものであると共に、前記管理サーバおよび前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報を格納しているものであり、 この方法は、 前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報が前記管理サーバに送信されるようになっており、 前記管理サーバが、 前記第1のユーザ端末(A)が前記管理サーバに格納されている前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)の認証を行う認証工程と、 を行い、 前記第2ユーザから、前記第1ユーザからのマネーの受取指示と、受取額とを受信するものである ことを特徴とするマネー送金方法。」 [相違点2-1] 本件特許発明4は、「第1ユーザ」から「第2ユーザ」へ送金されるマネーが「電子マネー」であって、「第1ユーザ」と「第2ユーザ」の「電子マネー」をそれぞれ記憶する「電子マネー管理サーバ(300)」が、第1ユーザから第2ユーザへの「電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」に関する発明であるのに対し、甲7発明は、「第1ユーザ」から「第2ユーザ」へ送金されるマネーが「電子マネー」であるか定かではなく、また、甲7発明の「管理サーバ」(決済サーバ)は、「第1ユーザ」と「第2ユーザ」の「口座番号」をそれぞれ記憶するものの、口座のマネー自体を記憶するものではなく、「管理サーバ」が、第1ユーザから第2ユーザへの「マネーの送金を行うマネー送金方法」に関する発明である点。 [相違点2-2] 本件特許発明4の「電子マネー管理サーバ(300)」は、「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能」であるのに対し、甲7発明の「決済サーバ」は、「前記第2ユーザ端末(B)」である「受取人端末」とは通信回線を介して通信可能であるものの、「前記第1のユーザ端末(A)」である「支払人端末」とは直接通信を行うものではない点。 [相違点2-3] 「管理サーバ」および「第2ユーザ端末(B)」が格納する情報に関して、本件特許発明4では、「電子マネー管理サーバ(300)」および「第2ユーザの端末(B)」は、「前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報」を格納し、特に「電子マネー管理サーバ(300)」は「その情報と関連付けられた第2の証明情報」を格納するのに対し、甲7発明では、「管理サーバ」(「決済サーバ」)および「第2ユーザ端末(B)」(「受取人端末」)は、「前記第2ユーザの情報」である「受取人口座番号」を格納するものの、「その情報」である「第2ユーザの情報」と関連付けられた「第2の証明情報」を格納するものではない点。 [相違点2-4] 「管理サーバ」および「第1ユーザ端末(A)」が格納する情報に関して、本件特許発明4では、「電子マネー管理サーバ(300)」および「第1ユーザの端末(A)」は、「前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報」を格納し、特に「電子マネー管理サーバ(300)」は「その情報と関連付けられた第1の証明情報」を格納するのに対し、甲7発明では、「管理サーバ」(「決済サーバ」)および「第1ユーザ端末(A)」(「受取人端末」)は、「前記第1ユーザの情報」である「支払人口座番号」を格納し、「管理サーバ」は「その情報」である「第1ユーザの情報」と関連付けられた「前記第1ユーザ端末(A)の正当性を検証するための情報」を格納するものの、「第1の証明情報」を格納するものではない点。 [相違点2-5] 「認証工程」に関して、本件特許発明4は、「電子マネー管理サーバ(300)」が「前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」を行うことにより、「前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う」ものであるのに対し、甲7発明は、「管理サーバ」に「第2の証明情報」を格納するものではない([相違点2-3])から、「第2ユーザ端末(B)」(「受取人端末」)と「第2の証明情報」とが対応しているか否かの判断を行うものではなく、「第2ユーザ端末(B)」である「受取人端末」の「認証を行う」ものでもなく、さらに、本件特許発明4は、「電子マネー管理サーバ(300)」が「前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」を行うことにより、「前記第1ユーザ端末(A)」「の認証を行う」ものであるのに対し、甲7発明は、「管理サーバ」に「第1の証明情報」を格納するものではない([相違点2-4])から、「前記第1ユーザ端末(A)」の認証を行う際に、「第1ユーザ端末(A)」(「支払人端末」)と「第1の証明情報」とが対応しているか否かの判断を行うものではない点。 [相違点2-6] 本件特許発明4では、「電子マネー管理サーバ(300)」が「認証工程」の後に「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信工程」を行うものであるのに対し、甲7発明の「管理サーバ」(「決済サーバ」)は、「認証工程」の前に「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからのマネーの受取指示と、受取額とを受信する」処理を行うものである点。 [相違点2-7] 本件特許発明4では、「電子マネー管理サーバ(300)」が「前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断工程」を行い、「前記決済判断工程において前記残額内であると判断される」場合に「決済工程」を行うのに対し、甲7発明では、かかる「決済判断工程」は行われず、そのために「決済工程」が「前記決済判断工程において前記残額内であると判断される」場合に行われるものではない点。 (3)相違点の判断 事案に鑑み、上記[相違点2-3]、[相違点2-5]についてまとめて検討する。 甲7発明においては、「受取人端末」が「受取人口座番号」を記憶するほか、「決済サーバ」も、受取人端末に関連付けられた「受取人口座番号」を予め格納しており、決済処理においては、「受取人端末」が「支払人端末」に送信した受取人情報に含まれる「受取人口座番号」が、「支払人端末」において「決済要求データ」に含まれて暗号化された後に、「暗号化決済要求データ」が「受取人端末」を介して「決済サーバ」に転送され、当該「決済サーバ」が、「暗号化決済要求データ」を復号して「受取人口座番号」を取得する。 そして、甲7発明の「決済サーバ」は、「読み出した受取人口座番号」と「復号した受取人口座番号」を比較して「一致するか否かを判定」する処理を、「決済サーバ」に予め格納された「受取人端末に関連付けられた受取人口座番号」と「復号した受取人口座番号」とを比較することにより行い、この比較によって、「受取人口座番号」と関連付けられた「受取人端末」を特定するものである。 しかしながら、上記(2)エ(イ)のとおり、甲7発明の「受取人口座番号」は、ユーザ端末から発行の要求を受けて、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではなく、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有する電子証明書のような情報でもないから、本件特許発明4に係る「第2の証明情報」ではないし、甲7発明の「決済サーバ」において、「受取人端末」を特定する際に用いられる「受取人口座番号」に代えて、(「第2ユーザ端末(B)」である「受取人端末」の認証を行うための)「第2の証明情報」を用いることに関しては、甲7には記載も示唆もされていない。 また、請求人が無効理由2において周知技術とする、甲2の1、甲3~甲5、甲8~甲11のいずれにおいても、上記[相違点2-3]、[相違点2-5]に係る構成に関しては記載されていない。 したがって、甲7発明及び周知技術に基づいて、当業者が上記[相違点2-3]、[相違点2-5]に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 よって、上記の[相違点2-1]~[相違点2-2]、[相違点2-4]、[相違点2-6]~[相違点2-7]について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲7発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)請求人の主張について 請求人は、「ユーザ自身の情報そのもの(氏名やメールアドレス等)やユーザ端末の情報そのもの(電話番号等)」であったとしても、「ユーザの情報若しくはユーザ端末の情報に関連付けられたものであり」、「当該認証情報を出力したユーザ端末を通してユーザ認証を確実に実行するための情報」であれば、本件特許発明4の「証明情報」に含まれることは明らかであり、これに対し、甲7発明の「アカウントナンバー(口座情報)」は、支払人又は受取人を特定するための情報であるため、「証明情報」に含まれるべきであると主張する。(上記第5の1(2)キ) しかしながら、上記(2)エ(イ)で検討したとおり、甲7発明の「受取人口座番号」は、「前記第2ユーザの情報」に相当するものであって、「受取人端末」に関連付けられた口座を特定する情報にすぎず、また、ユーザ端末の認証を行う管理サーバで作成されるものではなく、ユーザ端末から発行の要求を受けて、認証のためのデジタル署名や公開鍵等を有する電子証明書のような情報として作成されるものでもないから、本件特許発明4に係る「第2の証明情報」ではない。そもそも、甲7発明においては、「受取人端末」に対して認証を行ってはおらず、「受取人端末」の認証を行うために用いられる「第2の証明情報」も存在しないため、請求人の上記主張は採用できない。 (5)小括 以上によれば、本件特許発明4は、甲7発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2 本件特許発明5について 本件特許発明5は、本件特許発明4の「電子マネー送金方法」の発明を「電子マネー送金システム」として記載した発明であって、本件特許発明4における「認証工程」の処理を行う「認証手段」と、本件特許発明4における「第3受信工程」の処理を行う「第3受信手段」に関して、これらの処理の順番については特定されないものである。 そうすると、本件特許発明5と甲7発明をシステムの発明として表現した発明とを対比すると、上記[相違点2-1]~[相違点2-5]、[相違点2-7]と同様の相違点を有することとなる。 そして、上記[相違点2-3]、[相違点2-5]と同様の相違点に係る構成については、上記1(3)で示したとおり、甲7発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たとはいえないから、本件特許発明5は、甲7発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 無効理由2のまとめ 以上によれば、本件特許発明4及び5は、甲7に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第9 無効理由5についての当審の判断 1 平成29年5月9日の手続補正による補正事項について 平成29年5月9日の手続補正(以下「本件補正」という。甲19)は、本件特許出願の特許請求の範囲を補正することにより、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5を追加するものであり、その請求項4及び5の記載は、次のとおりである。なお、分説記号は当審が付したものであり、請求人が審判請求書で付記したとおりのものである。 (補正後) 【請求項4】 4A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法であって、 4B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 4C この方法は、 4C-1 前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信されるようになっており、 4C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 4C-2-1 前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程と、 4C-2-2 前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信工程と、 4C-2-3 前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断工程と、 4C-2-4 前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程と を行う 4D ことを特徴とする電子マネー送金方法。 【請求項5】 5A 第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)と、第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)と、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)とを用いて、前記第1ユーザから前記第2ユーザへの電子マネーの送金を行う電子マネー送金システムであって、 5B 前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第1ユーザの端末(A)は、前記第1ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第1の証明情報を格納しているものであると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)および前記第2ユーザ端末(B)は、前記第2ユーザの情報および/又はその情報と関連付けられた第2の証明情報を格納しているものであり、 5C このシステムは、 5C-1 前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信されるようになっており、 5C-2 前記電子マネー管理サーバ(300)が、 5C-2-1 前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否か、および前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かを少なくとも判断することにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証手段と、 5C-2-2 前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信手段と、 5C-2-3 前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断手段と、 5C-2-4 前記決済判断手段において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済手段と 5D を有することを特徴とする電子マネー送金システム。 2 当初明細書等の記載 本件特許の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。甲18)には、次のとおり記載されている。 「【0018】 このように、本発明では、第1受信工程で第1ユーザ端末が第2ユーザ端末から第2の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信し、第2受信工程で第2ユーザ端末が第1ユーザ端末から第1の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信する。このように第1ユーザ端末と第2ユーザ端末が電子証明書の少なくとも一部を交換した上で、電子マネー管理サーバが、第3受信工程で各ユーザ端末からそれぞれの取引相手の電子証明書の少なくとも一部の情報を受信し、その電子証明書の一部の情報が電子マネー管理サーバに格納されている電子証明書の情報と対応しているか否かを判断する。つまり、自己の端末の電子証明書の情報が他の端末から電子マネー管理サーバに送られ、当該他の端末の電子証明書の情報が自己の端末から電子マネー管理サーバに送られるので、この時点で取引を行おうとしている2つの端末が特定され、さらに、それぞれ送信された電子証明書の照合が電子マネー管理サーバによって行われる。これにより、電子マネー管理サーバは、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を確実に認証することができる。」 「【0044】 図1は本発明の第1実施形態に係る電子マネー送金システムの概略構成を示す図である。このシステムは、例えば買い手であるユーザA(第1ユーザ)の有する端末Aと、売り手としての店舗やその店舗の所有者であるユーザB(第2ユーザ)の有する端末Bと、各端末A,Bとインターネットや移動体通信網等の通信回線を介して通信可能である電子マネー管理サーバ(以下、単に管理サーバと称する)300とを有する。・・・」 「【0049】 図4は本実施形態の管理サーバ300の概略構成を示す図である。この管理サーバ300は、CPU310と、RAM320と、液晶ディスプレイ等の表示装置330と、コネクタやインターネット網を使った通信用の通信プロトコルスタックが含まれた通信インターフェースを有する通信部340と、顧客マスタ格納部350と、電子マネー口座のデータを格納するための口座データ格納部360と、会員用のアプリケーションを格納するためのアプリケーション格納部370と、各種プログラムを格納するためのプログラム格納部380とを有する。 【0050】 管理サーバ300の顧客マスタ格納部350は、管理サーバ300における顧客情報(氏名や名称やニックネーム、メールアドレス、秘密の質問の答え等)をログインID、パスワード、電子証明書、電子マネー口座の口座番号等と対応付けた図5に例示するような顧客契約マスタ351を有する。また、口座データ格納部360は、電子マネー口座のデータとして、図6に例示するように口座番号ごとに口座残高や送受金の履歴を格納するものである。」 「【0057】 続いて、端末Aおよび管理サーバ300が行う処理の一例(図8参照)に沿って、端末Aが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合の処理について説明する。 【0058】 先ず、管理サーバ300の会員用画面表示処理部382によって端末AにログインIDとパスワードを要求する画面が表示され、端末Aから管理サーバ300にログインIDおよびパスワードが送信されると(ステップS41)、これに応答して会員用画面表示処理部382は端末Aの表示部130にログイン後の会員用画面を表示させる(ステップS42)。この会員用画面内には電子証明書の発行要求を行うボタンが配置されており、端末AにおいてユーザAが電子証明書の発行要求の操作を行うと、端末Aから管理サーバ300に電子証明書発行の要求が送信される(ステップS43)。また、この電子証明書発行の要求と共に、又は前記要求の後で、端末Aから管理サーバ300に端末Aの個体情報が送信される(ステップS44)。ここで、ユーザAは端末Aにて自己のログインIDおよびパスワードを用いて会員用画面にログインし、その状態で電子証明書の発行要求を行っているので、前記個体情報がユーザAのログインID、パスワード等と紐付けられて顧客契約マスタ351に格納される(図5参照)。また、前記個体情報としては、端末Aの製造IDを用いることが可能であるが、その他端末Aに固有の他の情報を用いることも可能である。 【0059】 続いて、管理サーバ300は電子証明書発行処理部383により、ユーザA用に第1の電子証明書を作成し、その第1の電子証明書を端末Aと紐付けて顧客マスタ格納部350に格納する(ステップS45)。ここで、電子証明書発行処理部383が作成する第1の電子証明書は、図9に概略を示すように、デジタル署名、公開鍵等を有するものである。また、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383は、作成した第1の電子証明書に対応する秘密鍵を同時に作成し、その秘密鍵も第1の電子証明書と紐付けて顧客マスタ格納部350に格納する。尚、本実施形態では電子証明書の作成を管理サーバ300にて行うようにしているが、外部の電子証明書発行業者に依頼して作成することも可能である。 【0060】 続いて、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383は第1の電子証明書を端末Aに送信し(ステップS46)、端末Aは受信した第1の電子証明書を端末Aの証明書格納部171に格納する(ステップS47)。 【0061】 また、端末Bが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合についても、図8に示すように、端末Aについての前述の説明と同等の処理(ステップS51~S57)が端末Bおよび管理サーバ300において行われる。また、本実施形態では、端末B用に第2の電子証明書とその秘密鍵が作成される。なお、第1の電子証明書の秘密鍵は第1の電子証明書のデジタル署名を唯一復号化できるものであり、第2の電子証明書の秘密鍵は第2の電子証明書のデジタル署名を唯一復号化できるものである。」 「【0068】 続いて、端末A、端末Bおよび管理サーバ300が行う処理の一例(図13参照)に沿って、ユーザA(買い手)がユーザB(店舗などの売り手)から商品を購入し、その代金の支払いを電子マネーによって行う場合の処理について説明する。 【0069】 先ず、ユーザAが商品Xを購入することを決め、それをユーザBの端末B(POS端末)の所に持っていく。端末Bにはバーコードリーダ等が付いており、バーコードリーダで商品Xに貼付されているバーコードを読み取る。これにより、POS端末の表示装置230に商品Xの代金である300円が表示される。ユーザAがその代金を端末Bの表示を見て確認し、支払うことを決めると、端末Aを使って管理サーバ300の会員用画面表示処理部382が提供する会員用画面にアクセスおよびログインする。そして、表示装置130に例えば図14に示すような支払用画面を表示させ、端末Aを端末Bのリーダライタ250に近付けて図14のPayボタンに指で触れる。これにより、以下のステップS101~S123が行われ、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金が行われる。 【0070】 具体的には、先ず、端末Aを端末Bのリーダライタ250に近付けて図14のPayボタン410を指で触れると、端末Bは、電子証明書交換処理部281により、第2の電子証明書中のデジタル署名を近距離無線通信を介して端末Aに送信し、端末Aは、電子証明書交換処理部181により、端末Bから送信される第2の電子証明書のデジタル署名を受信する(ステップS101)。そして、端末Aは受信したデジタル署名を証明書格納部や端末Aのメモリのその他の部分に格納する(ステップS102)。一方、端末Aは、電子証明書交換処理部181により、第1の電子証明書中のデジタル署名を近距離無線通信を介して端末Bに送信し、端末Bは、電子証明書交換処理部281により、端末Aから送信される第1の電子証明書のデジタル署名を受信する(ステップS103)。そして、端末Bは受信したデジタル署名を証明書格納部や端末Bのメモリのその他の部分に格納する(ステップS104)。ステップS101とステップS103は何れが先であっても良く、同時であっても良い。また、前記近距離無線通信は端末Aの近距離無線通信部150と端末Bのリーダライタ250とを介して行われる。また、近距離無線通信部150とリーダライタ250は互いの距離が数cm~十数cmの距離になった時に近距離無線通信が可能となるものであり、それ以上の距離では通信できないものである。このような近距離無線通信の技術の例としてはISO/IEC14443のTypeA、B、又はISO/IEC18092のFelica(登録商標)等が挙げられる。尚、本実施形態ではこのような近距離無線通信を用いているが、前記距離以上で通信する近距離無線通信を用いることも勿論可能である。 【0071】 続いて、端末Aは、電子証明書埋め込み処理部182により、自己の有する第1の電子証明書のデジタル署名を前記受信した第2の電子証明書のデジタル署名によって置換することにより、デジタル署名を置換した第1の電子証明書を作成し、それを証明書格納部171に格納する(ステップS105)。一方、端末Bでは、自己の有する第2の電子証明書のデジタル署名を前記受信した第1の電子証明書のデジタル署名によって置換することにより、デジタル署名を置換した第2の電子証明書を作成し、それを証明書格納部271に格納する(ステップS106)。 【0072】 続いて、端末Aは、デジタル証明書情報送信処理部183により、デジタル署名を置換した第1の電子証明書を管理サーバ300に送信し(ステップS107)、端末Bは、デジタル証明書情報送信処理部283により、デジタル署名を置換した第2の電子証明書を管理サーバ300に送信する(ステップS108)。この時、端末Aからの送信データには端末Aの個体情報が含まれており、端末Bからの送信データには端末Bの個体情報が含まれている。 【0073】 次に、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、端末Aおよび端末Bからデジタル署名を置換した第1および第2の電子証明書を受信する(ステップS109)。そして、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、デジタル署名を置換した第1の電子証明書およびそれに含まれる第2の電子証明書のデジタル署名を、顧客マスタ格納部350に格納されている対応している秘密鍵によって復号化すると共に、デジタル署名を置換した第2の電子証明書およびそれに含まれる第1の電子証明書のデジタル署名を、顧客マスタ格納部350に格納されている対応している秘密鍵によって復号化する(ステップS110)。 【0074】 続いて、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、(1)復号化された第1の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第1の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否か、および(2)復号化された第2の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第2の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否かを判断する(ステップS111)。また、管理サーバ300は、電子証明書情報受付処理部385により、(3)第2の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末A(第1の電子証明書に対応している端末)であるか否か、および(4)第1の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末B(第2の電子証明書に対応してる端末)であるか否かを判断する(ステップS112)。ここで、デジタル署名を置換した第1および第2の電子証明書のデジタル署名以外の部分と、顧客マスタ格納部350に格納されている第1および第2の電子証明書のデジタル署名以外の部分との比較により、ステップS112の判断を行うことができる。または、各端末A、Bからの送信データに含まれる個体情報と、顧客マスタ格納部350の顧客マスタ351に格納されている個体情報とを対比することにより、ステップS112の判断を行うことが可能である。その他の前記(3)および(4)を判断できる方法を用いてステップS112を行うことも可能である。つまり、ステップS112では、自己の端末(端末A)の電子証明書の情報が他の端末(端末B)から管理サーバ300に送られ、且つ、当該他の端末(端末B)の電子証明書の情報が自己の端末(端末A)から管理サーバ300に送られているか否かを判断できれば良い。 【0075】 次に、上記(1)~(4)が全て対応していると判断されると、電子証明書情報受付処理部385により、その判断結果が各端末A、Bに送信される(ステップS113,S114)。続いて、端末Aからアクセスキー要求処理部184によって管理サーバ300に対してアクセスキーの要求が送信されると(ステップS115)、管理サーバ300は、アクセスキー発行処理部386により、第1のアクセスキーを端末Aに送信し(ステップS116)、端末Aは第1のアクセスキーをアクセスキー格納部172に格納する。アクセスキー発行処理部386はアクセスキー発行の要求がある度に毎回異なるユニークなアクセスキーを発行するものである。一方、端末Bからアクセスキー要求処理部284によって管理サーバ300に対してアクセスキーの要求が送信されると(ステップS117)、管理サーバ300は、アクセスキー発行処理部386により、第2のアクセスキーを端末Bに送信し(ステップS118)、端末Bは第2のアクセスキーをアクセスキー格納部272に格納する。本実施形態では、ステップS116およびS118におけるアクセスキーの発行は、ステップS111およびS112で上記(1)~(4)が対応していると判断された状態でないと行われない。また、アクセスキー発行処理部386は、前記第1のアクセスキーが前記第2のアクセスキーに対応していることが送受金要求受付処理部387にて認識されるように、前記第1のアクセスキーと第2のアクセスキーを発行する。 【0076】 続いて、端末Aは、送受金要求処理部185により、第1のアクセスキーと、端末Bの所有者であるユーザBへの送金指示と、送金を行うべき電子マネー口座の口座番号(表示装置130に表示されている電子マネーカードのカード番号)とを管理サーバ300に送信し(ステップS119)、管理サーバ300は送受金要求受付処理部387によりそれらを受信する。一方、端末Bは、送受金要求処理部285により、第2のアクセスキーと、端末Aの所有者であるユーザAからの受取額である300円と、受取指示とを管理サーバ300に送信し(ステップS120)、管理サーバ300は送受金要求受付処理部387によりそれらを受信する。 【0077】 続いて、管理サーバ300は、送受金要求受付処理部387により、端末Aから受け取ったアクセスキーと端末Bから受け取ったアクセスキーが対応しているか否かを判断する(ステップS121)。また、管理サーバ300は、送受金要求受付処理部387により、前記受取額が管理サーバ300の口座データ格納部360に格納されているユーザAの口座残高内であるか否か、より具体的には、端末Aの表示画面130に表示されているカード番号(口座番号)の口座(以下、口座aと称する)の残高内であるか否かを判断する(ステップS122)。 【0078】 続いて、前記ステップS121でアクセスキーが対応していると共に、前記ステップS122で残高内であると判断されると、前記管理サーバ300は、送受金処理部388により、口座データ格納部360に格納されているユーザAの口座aの口座データの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、口座データ格納部360に格納されているユーザBの口座(以下、口座bと称する)の口座データの残額を前記受取額の分だけ増額する(ステップS123)。続いて、管理サーバ300は、前記第1および第2のアクセスキーを無効化し、これらのアクセスキーによる取引ができないようにする。」 「【0098】 尚、本実施形態では、前記ステップS101およびS103において、近距離無線通信を介して端末A,Bの間で互いの電子証明書の一部を交換している。これに対し、前記ステップS101およびS103において、移動体通信網やインターネット網を介して端末A,Bの間で互いの電子証明書の一部を交換することも可能である。 【0099】 尚、本実施形態では、ステップS111およびS112で前記(1)~(4)が全て対応していると判断された後、ステップS113~S121でアクセスキーを用いて取引をより安全にしている。これに対し、ステップS113~S118を省き、ステップS119およびS120でアクセスキーの送信を省き、ステップS121の判断を省いても、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金を行うことは可能である。つまり、アクセスキーは取引をより安全にするために用いられているので、簡易な取引などの場合は省くことが可能となってくる。そして、アクセスキーを用いない場合でも、ステップS111およびステップS112で取引を行う端末を確実に認証することができるので、ユーザAからユーザBに安全に電子マネーを送金することができる。 【0100】 さらに、ステップS111を省く場合でも、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金を行うことは可能である。これは、ステップS112だけでも取引を行う端末を確定することができるからである。」 [図:0001419604000026.jpg] [図:0001419604000027.jpg] 3 補正事項に対する検討 (1)請求項4に関する検討 請求項4が、当初明細書等に記載されたものであるか、請求項4の各分説について、以下に検討する。 ア 分説4Aについて 当初明細書等の段落【0044】には、「第1実施形態に係る電子マネー送金システム」として、「買い手であるユーザA(第1ユーザ)の有する端末Aと、売り手としての店舗やその店舗の所有者であるユーザB(第2ユーザ)の有する端末Bと、各端末A,Bとインターネットや移動体通信網等の通信回線を介して通信可能である電子マネー管理サーバ(以下、単に管理サーバと称する)300とを有する」システムが記載されており、「買い手であるユーザA(第1ユーザ)の有する端末A」、「売り手としての店舗やその店舗の所有者であるユーザB(第2ユーザ)の有する端末B」は、それぞれ本件特許発明4の「第1ユーザが有する第1ユーザ端末(A)」、「第2ユーザが有する第2ユーザ端末(B)」に対応する。 また、当初明細書等の段落【0049】~【0050】には、「管理サーバ300」の「口座データ格納部360」に、口座番号ごとに「口座残高や送受金の履歴」などの「電子マネー口座のデータ」を格納することが記載されているから、「各端末A,Bとインターネットや移動体通信網等の通信回線を介して通信可能である電子マネー管理サーバ(以下、単に管理サーバと称する)300」は、本件特許発明4の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)と通信回線を介して通信可能であり、前記第1ユーザの電子マネーと前記第2ユーザの電子マネーをそれぞれ記憶する電子マネー管理サーバ(300)」に対応する。 そして、当初明細書等の段落【0068】~【0078】には、「端末A、端末Bおよび管理サーバ300が行う処理」として、「ユーザA(買い手)がユーザB(店舗などの売り手)から商品を購入し、その代金の支払いを電子マネーによって行う場合の処理」(【0068】)が記載されており、当該処理は、「ユーザA(買い手)」から「ユーザB(店舗などの売り手)」への「電子マネー」の送金を行う「電子マネー送金方法」(【0069】)に係る処理であることは明らかである。 したがって、分説4Aの事項は、当初明細書等に記載されたものである。 イ 分説4Bについて 当初明細書等の段落【0057】~【0060】には、「端末Aが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合の処理」について記載されており、特に段落【0059】には、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383により、ユーザA用に「第1の電子証明書」を作成すると、「その第1の電子証明書を端末Aと紐付けて」、(管理サーバ300の)「顧客マスタ格納部350に格納する」ことが、段落【0060】には、管理サーバ300の電子証明書発行処理部383が「第1の電子証明書を端末Aに送信し」、「端末Aは受信した第1の電子証明書を端末Aの証明書格納部171に格納する」ことが記載されている。 してみると、当初明細書等の「第1の電子証明書」は、本件特許発明4の「第1の証明情報」に対応し、当該「第1の証明情報」は「電子マネー管理サーバ(300)」と「第1ユーザの端末(A)」に格納されるものである。 また、当初明細書等の段落【0061】には、端末Bが管理サーバ300上における電子マネーの送受金に必要な電子証明書を入手する場合についても、端末Aが電子証明書を入手する場合と同等の処理が行われることが記載され、特に図8には、ステップS55として、「電子マネー管理サーバ」において「第2の電子証明書とその秘密鍵を作成し、顧客マスタ格納部に格納(S55)」することが、ステップS57として、「端末B(売り手)」において「第2の電子証明書を格納(S57)」することが、それぞれ記載されている。 してみると、当初明細書等の「第2の電子証明書」は、本件特許発明4の「第2の証明情報」に対応し、当該「第2の証明情報」は「電子マネー管理サーバ(300)」と「第2ユーザの端末(B)」に格納されるものである。 したがって、分説4Bの事項は、当初明細書等に記載されたものである。 ウ 分説4C-1について 上記アのとおり、当初明細書等の段落【0068】~【0078】に記載された、「ユーザA(買い手)がユーザB(店舗などの売り手)から商品を購入し、その代金の支払いを電子マネーによって行う場合の処理」は「電子マネー送金方法」に係る処理であって、ステップS101~S123で示される一連の処理が、ユーザAが自身の端末Aを使って支払用画面を表示させ、端末Aを端末Bのリーダライタ250に近付けてPayボタンに指で触れることを契機として行われる(【0069】)。 そして、その一連の処理に関して、当初明細書等の段落【0070】には、ステップS103で「端末Bは、電子証明書交換処理部281により、端末Aから送信される第1の電子証明書のデジタル署名を受信」し、ステップS104で「端末Bは受信したデジタル署名を証明書格納部や端末Bのメモリのその他の部分に格納する」ことが、段落【0071】~【0072】には、ステップS106で「端末Bでは、自己の有する第2の電子証明書のデジタル署名を前記受信した第1の電子証明書のデジタル署名によって置換することにより、デジタル署名を置換した第2の電子証明書を作成し」、ステップS108で「端末Bは、デジタル証明書情報送信処理部283により、デジタル署名を置換した第2の電子証明書を管理サーバ300に送信する」ことが、それぞれ記載されている。ここで、端末Bは、自己の有する「第2の電子証明書のデジタル署名」を、端末Aから受信した「第1の電子証明書のデジタル署名」に置換して、「デジタル署名を置換した第2の電子証明書」を管理サーバ300に送信するのであるから、「第1の電子証明書のデジタル署名」は、本件特許発明4の「前記第1の証明情報の少なくとも一部」に対応するものであって、「前記第1ユーザ端末(A)から」「前記第2ユーザ端末(B)を介して」「前記電子マネー管理サーバに送信される」ものである。 したがって、分説4C-1の事項は、当初明細書等に記載されたものである。 エ 分説4C-2-1について 当初明細書等の段落【0073】には、分説4C-1に対応する処理として上記ウで示したステップS108に続き、「管理サーバ300」の処理として、まずステップS109で「端末Aおよび端末Bからデジタル署名を置換した第1および第2の電子証明書を受信」した後、ステップS110で「デジタル署名を置換した第2の電子証明書およびそれに含まれる第1の電子証明書のデジタル署名を、顧客マスタ格納部350に格納されている対応している秘密鍵によって復号化する」ことが記載されている。 続いて、当初明細書等の段落【0074】には、「管理サーバ300」の処理として、ステップS111で「(1)復号化された第1の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第1の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否か」を判断し、ステップS112で「(4)第1の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末B(第2の電子証明書に対応してる端末)であるか否かを判断する」ことが記載されており、ステップS112における(4)の判断が、本件特許発明4の「前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断」に、ステップS111における(1)の判断が、本件特許発明4の「前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断」に、それぞれ対応する。 そして、当初明細書等の段落【0099】には、「ステップS111およびステップS112で取引を行う端末を確実に認証することができる」との記載があることから、ステップS111における(1)の判断、及びステップS112における(4)の判断は、本件特許発明4の「前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」に対応する。 したがって、分説4C-2-1の事項は、当初明細書等に記載されたものである。 オ 分説4C-2-2について 当初明細書等の段落【0075】及び図13には、ステップS111~S112における(1)~(4)の判断が全て対応していると判断されると、すなわち、上記エで示したステップS111~S112に続き、ステップS114でその判断結果が端末Bに送信され、ステップS117で端末Bから「管理サーバ300に対してアクセスキーの要求が送信される」と、「管理サーバ300」はステップS118で「第2のアクセスキーを端末Bに送信」することが記載されている。 そして、当初明細書等の段落【0076】には、ステップS120で、「端末B」が「第2のアクセスキーと、端末Aの所有者であるユーザAからの受取額である300円と、受取指示とを管理サーバ300に送信し」、「管理サーバ」が「それらを受信する」ことが記載されており、「管理サーバ」が「端末B」から「端末Aの所有者であるユーザAからの受取額である300円」と「受取指示」を受信する処理が、本件特許発明4の「前記第2ユーザから、前記第1ユーザからの電子マネーの受取指示と、受取額とを受信する第3受信工程」に対応する。 したがって、分説4C-2-2の事項は、当初明細書等に記載されたものである。 カ 分説4C-2-3について 当初明細書等の段落【0077】には、分説4C-2-2に対応する処理として上記オで示したステップS120に続き、「管理サーバ300」が、ステップS122で「前記受取額が管理サーバ300の口座データ格納部360に格納されているユーザAの口座残高内であるか否か」を判断することが記載されており、当該ステップS122の処理が、本件特許発明4の「前記第2ユーザから受信した前記受取額が前記電子マネー管理サーバ(300)に記憶されている前記第1ユーザの電子マネーの残額内であるか否かの判断を少なくとも行う決済判断工程」に対応する。 したがって、分説4C-2-3の事項は、当初明細書等に記載されたものである。 キ 分説4C-2-4、分説4Dについて 当初明細書等の段落【0078】には、「前記ステップS122で残高内であると判断されると」、すなわち、上記カで示したステップS122に続き、「管理サーバ300」がステップS123で「口座データ格納部360に格納されているユーザAの口座aの口座データの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、口座データ格納部360に格納されているユーザBの口座(以下、口座bと称する)の口座データの残額を前記受取額の分だけ増額する」ことが記載されており、当該ステップS123の処理が、本件特許発明4の「前記決済判断工程において前記残額内であると判断されると、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第1ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ減額すると共に、前記電子マネー管理サーバ(300)内の前記第2ユーザの電子マネーの残額を前記受取額の分だけ増額する決済工程」に対応する。 したがって、分説4C-2-4、分説4Dの事項は、当初明細書等に記載されたものである。 ク 請求項4の各分説の関係 分説4Aは、請求項4に係る「電子マネー送金方法」の前提となる全体構成が、管理サーバと第1ユーザ端末と第2ユーザ端末からなり、請求項4に係る方法が、「第1ユーザから第2ユーザに電子マネーの送金を行う電子マネー送金方法」であることを特定したものである。また、分説4Bは、管理サーバ、第1ユーザ端末及び第2ユーザ端末に格納される情報を特定したものである。 分説4C~4C-2-4の各分説の事項は、当初明細書等の段落【0068】~【0078】に記載されており、当初明細書等の段落【0068】~【0078】は、図13のステップS101~ステップS123を行う処理について説明したものであるから、分説4C~4C-2-4の各分説の工程は、図13のステップS101~ステップS123の一連の処理について工程を特定したものである。 ケ 請求人の主張について 請求人は、当初明細書等に記載された第1実施形態においては、段落【0080】、【0081】、【0084】の記載によれば、端末A(送金側)と端末B(受金側)とが互いに有する電子証明書の内容を交換して、交換した情報をそれぞれが管理サーバ300に送ることにより、本件特許発明4及び5における課題(【0013】)を解決すること、及び、端末Aと端末Bとが、送金指示及び受取指示それぞれを管理サーバ300に送ることにより、本件特許発明4及び5における課題を解決することが明確に記載されており、特に【0081】の記載によれば、端末B(受金側)からの伝達プロセスで送金が完結すると不正送金が行われる可能性があることに鑑みて、第1実施形態において、端末A(送金側)からも伝達プロセスを必要とする構成を採用し、これにより不正送金が行われないようにしたことが明確に記載されているから、第1実施形態は、送金側からの電子証明書の情報の送信を必須とするものであって、本件特許発明4及び5のように、交換した電子証明書の内容を送金側から送信すること、及び、送金指示を送金側から送信することを必ずしも必要としない形態が、本件特許発明4及び5における課題を解決することができることは、被請求人が補正の根拠として掲げる第1実施形態には何ら記載されていない旨を主張する。(上記第5の1(3)イ、オ) そこで、請求人の上記主張について以下に検討する。 本件特許発明4の「前記送金の際、前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信される」(4C-1)という構成は、当初明細書等の段落【0018】の記載における、「自己の端末の電子証明書の情報が他の端末から電子マネー管理サーバに送られ」、又は「当該他の端末の電子証明書の情報が自己の端末から電子マネー管理サーバに送られる」という事項に相当するものであって、当該段落【0018】の記載によれば、「この時点で取引を行おうとしている2つの端末が特定され」るものである。 また、本件特許発明4の「前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」(4C-2、4C-2-2)という構成は、当初明細書等の段落【0018】の記載における、「さらに、それぞれ送信された電子証明書の照合が電子マネー管理サーバによって行われる。」という事項に相当するものであって、「これにより、電子マネー管理サーバは、電子マネーの送受金を行おうとしている端末を確実に認証することができる。」という効果を奏するものである。 一方、補正後の請求項4の記載の根拠となる第1の実施形態について、当初明細書等の段落【0074】には、「ステップS111およびS112」の処理に関して、「(1)復号化された第1の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第1の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否か」(ステップS111)、「(2)復号化された第2の電子証明書のデジタル署名と顧客マスタ格納部350に格納されている第2の電子証明書のデジタル署名とが対応しているか否か」(ステップS111)、「(3)第2の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末A(第1の電子証明書に対応している端末)であるか否か」(ステップS112)、「(4)第1の電子証明書のデジタル署名の送信元が端末B(第2の電子証明書に対応してる端末)であるか否か」(ステップ112)の4点について判断を行うことが記載され、段落【0075】には、「次に、上記(1)~(4)が全て対応していると判断されると、電子証明書情報受付処理部385により、その判断結果が各端末A、Bに送信される(ステップS113、S114)。」、「本実施形態では、ステップS116およびS118におけるアクセスキーの発行は、ステップS111およびS112で上記(1)~(4)が対応していると判断された状態でないと行われない。」と記載されているように、第1実施形態では、上記(1)~(4)の全てについて判断を行い、その全てが「対応していると判断された状態」でユーザAからユーザBへの電子マネーの送金を行う例が示されている。 ここで、上記の「ステップS111およびS112」の技術的意義について、当初明細書等には、「ステップS111およびステップS112で取引を行う端末を確実に認証することができる」(【0099】)と示した上で、「さらに、ステップS111を省く場合でも、ユーザAからユーザBへの電子マネーの送金を行うことは可能である。これは、ステップS112だけでも取引を行う端末を確定することができるからである。」(【0100】)と記載されており、上記の段落【0018】の記載も併せて考慮すると、本件特許発明4に係る「認証工程」は、「取引を行おうとしている2つの端末が特定」でき、これら2つの端末について「確実に認証すること」ができれば十分であって、必ずしも段落【0074】に記載された「ステップS111およびS112」における上記(1)~(4)の全てについて判断する必要はないものであるといえる。 そうすると、補正後の請求項4に係る発明は、「前記第2ユーザ端末(B)が、前記第1ユーザ端末(A)から前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取り、前記第2ユーザ端末(B)を介して前記第1の証明情報の少なくとも一部が前記電子マネー管理サーバに送信される」ことにより、「取引を行おうとしている2つの端末が特定」できる上に、「前記第1の証明情報の少なくとも一部を受け取った第2のユーザ端末(B)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第2の証明情報と対応しているか否かの判断と、前記第1のユーザ端末(A)が前記電子マネー管理サーバ(300)に格納されている前記第1の証明情報と対応しているか否かの判断を少なくとも行うことにより、前記第1ユーザ端末(A)および前記第2ユーザ端末(B)の認証を行う認証工程」により、「取引を行う端末を確実に認証することができる」ものであるから、受金側から受け取った電子証明書及び送金指示を送金側から送信しなくても、取引を行おうとしている2つの端末を特定し、これら2つの端末について確実に認証するという効果を奏するものである。 したがって、補正後の請求項4において、交換した電子証明書の内容を送金側から送信すること、及び、送金指示を送金側から送信することを特定していないことが、当初明細書等の記載を総合することで導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 コ 小括 上記ア~ケによれば、請求項4の各分説の事項は、当初明細書等に一連の方法として記載されたものであるから、本件補正において、本件特許発明4に係る請求項4を追加する補正は、当初明細書等の記載を総合することで導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 (2)請求項5に関する検討 本件補正において追加された請求項5は、請求項4に係る「電子マネー送金方法」の発明を「電子マネー送金システム」の発明として表現したものであって、上記(1)と同様に、請求項5を追加する補正についても、当初明細書等の記載を総合することで導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。 4 無効理由5のまとめ よって、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5を追加する本件補正は、当初明細書等の記載を総合することで導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものではなく、無効理由5は理由がない。 第10 無効理由3についての当審の判断 1 分割要件に関する検討 請求人が主張する無効理由3は、要するに、本件特許出願が分割要件を満たさないから、本件特許発明2~5についての新規性及び進歩性の判断の基準日が本件の現実の出願日であることを前提とし、本件特許発明2~5が、本件特許出願の現実の出願日よりも前に公開された第1世代出願の公開特許公報(甲13)に記載された発明により、新規性及び進歩性を欠く、というものである。そして、請求人の分割要件を満たさないとの主張は、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5が、第1世代出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内にないことを主張の根拠とするものである。 これに対し、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5は、平成29年5月9日に提出された手続補正書(甲19)により追加されたものであり、当該手続補正書により追加された請求項4及び5は、上記第9において、新たな技術的事項を導入するものであるか否かを判断したものである。 そして、請求人も審判請求書第127頁で認めるように、本件特許出願の当初明細書等(甲18)の記載は、第1世代出願の当初明細書等の記載と同一である。 してみると、上記第9で示したとおり、平成29年5月9日提出の手続補正書により追加された請求項4及び5は、本件の当初明細書等(甲18)に記載された事項の範囲内であるから、第1世代出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内でもある。 さらに、本件特許出願の当初明細書等(甲18)の記載は、第1世代出願の当初明細書等の記載だけでなく、最初の原出願の当初明細書等の記載とも同一であるから、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5は、最初の原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内でもある。 したがって、本件特許発明4及び5は、第1世代出願の当初明細書等、最初の原出願の当初明細書等に記載された発明であるから、本件特許出願は、第1世代出願及び最初の原出願に対して分割要件を満たすものである。 2 新規性、進歩性についての判断 上記1のとおり、本件特許出願は、第1世代出願及び最初の原出願に対して分割要件を満たし、本件特許出願の出願日は、最初の原出願の出願日(平成24年10月11日)に遡及するから、本件特許発明2~5は、本件の現実の出願日ではなく、最初の原出願の出願日(平成24年10月11日)に基づいて、新規性及び進歩性の判断をすべきものである。 そうすると、最初の原出願の出願日(平成24年10月11日)より後の平成28年4月14日に公開された第1世代出願の公開特許公報(甲13)は、本件特許の出願前に頒布された刊行物とはいえず、本件特許発明2~5は、当該第1世代出願の公開特許公報に記載された発明により、新規性及び進歩性を欠くものではない。 3 無効理由3のまとめ よって、本件特許出願が分割要件を満たさないことを前提とし、本件特許発明2~5が、第1世代出願の公開特許公報(甲13)に記載された発明により、新規性及び進歩性を欠くという請求人の主張は、その前提に誤りがあるから、無効理由3は理由がない。 第11 無効理由4についての当審の判断 請求人は、本件特許出願の明細書及び図面の記載が、第1世代出願の出願当初明細書及び図面の記載と同一であり、上記第5の1(3)イで示した理由と同様の理由により、本件特許発明4及び5はサポート要件に違反するものであると主張する。(上記第5の1(4)) これに関連して、上記第9は、本件特許発明4及び5に係る請求項4及び5が、本件出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内である旨を示したものであるところ、上記第9の3(1)において、本件特許発明4は、当初明細書等、すなわち、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであることを示したものであるから、本件特許発明4は、発明の詳細な説明に記載されたものである。同様に、請求項4に係る「電子マネー送金方法」の発明を「電子マネー送金システム」の発明として表現した本件特許発明5に関しても、発明の詳細な説明に記載されたものである。 したがって、本件特許発明4及び5がサポート要件に違反するものであるとはいえない。 第12 むすび 以上のとおり、請求人が主張する無効理由1~無効理由5はいずれも理由がなく、これらの無効理由によって本件特許の請求項2~5に係る発明の特許を無効とすることはできない。 審判に係る費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-800028

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