2019-800069
振動発生装置及び画像彫刻装置
- 審判番号
- 2019-800069
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2008-051095外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月17日
- 審決日
- 2020年11月30日
- 公報発行日
- 2021年06月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本メカトロニクス 株式会社
- 【被請求人】スカラビジャパン 株式会社
- 【被請求人代理人】須藤 雄一
- 【被請求人代理人】須藤 大輔
- 分類
- P1113.537-YAA(B06B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第134条の2第3項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第135条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 30項目
1.手続の経緯
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本件特許第5209345号に係る出願は、平成20年2月29日の出願であって、平成25年3月1日に特許権の設定登録がなされた。
請求人日本メカトロニクス株式会社により令和元年9月17日に無効審判の請求がなされ、被請求人スカラビジャパン株式会社により令和元年11月26日に答弁書及び訂正請求書が提出され、請求人により令和2年1月10日に弁駁書が提出され、被請求人により令和2年1月23日に訂正請求書を補正する手続補正書が提出された。
その後、令和2年1月29日付で審理事項通知書が通知され、請求人により令和2年2月19日付口頭審理陳述要領書が提出され、被請求人により令和2年2月18日付口頭審理陳述要領書が提出され、令和2年3月5日付で審理事項通知書が通知され、請求人により令和2年3月9日(差出日:令和2年3月11日)付口頭審理陳述要領書(2)が提出され、被請求人により令和2年3月11日付口頭審理陳述要領書(2)が提出され、令和2年3月11日に口頭審理が行われ、被請求人により令和2年3月24日付上申書が提出された。
そして、令和2年4月7日付で審決の予告が通知され(送達日:令和2年4月15日)、これに対し被請求人より令和2年6月2日付で訂正請求書が提出され、令和2年7月8日付で請求人に訂正請求書副本の送付通知がされたが(発送日:令和2年7月9日)、弁駁書は提出されなかったものである。
2.訂正の内容
令和2年6月2日付の訂正請求書による訂正は、特許第5209345号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであり、その訂正事項1~15は以下のとおりである。
訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項3記載の振動発生装置であって、前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した、ことを特徴とする振動発生装置。」と記載されているのを、「固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側に対して前記電磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し、前記コイルへの通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる振動発生装置であって、前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え、前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置され、前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した、ことを特徴とする振動発生装置。」に訂正する。
訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項2~4の何れかに記載の振動発生装置であって、」と記載されているのを、「請求項4記載の振動発生装置であって、」に訂正する。
訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項2~5の何れかに記載の振動発生装置を備えた画像彫刻装置であって、」と記載されているのを、「請求項4又は5に記載の振動発生装置を備えた画像彫刻装置であって、」に訂正する。
訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6の何れか1項記載の画像彫刻装置であって、」と記載されているのを、「請求項6記載の振動発生装置であって、」に訂正する。
訂正事項8
明細書の【発明の名称】に「振動発生装置、画像彫刻装置、及び振動発生装置のバネ」とあるのを「振動発生装置及び画像彫刻装置」に訂正する。
訂正事項9
明細書の段落【0001】に「振動発生装置、画像彫刻装置、及び振動発生装置のバネ」とあるのを「振動発生装置及び画像彫刻装置」に訂正する。
訂正事項10
明細書の段落【0006】に「本発明は、微細な振動に的確に対応可能とするため、固定側に支持された永久磁石側又は電磁石側の対向する両極部間に電磁石側又は永久磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側又は電磁石側に対して前記電磁石側又は永久磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側又は電磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側又は永久磁石側を支持し、前記電磁石又は永久磁石側への通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側又は永久磁石側を振動させることを振動発生装置の最も主要な特徴とする。」と記載されているのを、「本発明は、微細な振動に的確に対応可能とするため、固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側に対して前記電磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し、前記コイルへの通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる振動発生装置であって、前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え、前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置され、前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置したことを振動発生装置の特徴とする。」に訂正する。
訂正事項11
明細書の段落【0008】の記載を削除する。
訂正事項12
明細書の段落【0009】に「本発明の振動発生装置は、微細な振動に的確に対応可能とするため、固定側に支持された永久磁石側又は電磁石側の対向する両極部間に電磁石側又は永久磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側又は電磁石側に対して前記電磁石側又は永久磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側又は電磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側又は永久磁石側を支持し、前記電磁石又は永久磁石側への通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側又は永久磁石側を振動させる。」と記載されているのを、「本発明の振動発生装置は、微細な振動に的確に対応可能とするため、固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側に対して前記電磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し、前記コイルへの通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる振動発生装置であって、前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え、前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置され、前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した。」に訂正する。
訂正事項13
明細書の段落【0021】に「この 1204275244687_0 には、彫刻テーブル17に」と記載されているのを、「この彫刻テーブル17に」に訂正する。
訂正事項14
明細書の段落【0025】に「両極部35a,37b」と記載されているのを、「両極部35a,37a」に訂正する。
訂正事項15
明細書の段落【0042】に「両極部35a,37b」と記載されているのを、「両極部35a,37a」に訂正する。
3.訂正の適否
(1)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.一群の請求項について
訂正前の請求項7について、請求項1~3を直接的又は間接的に引用しているものであったが、訂正事項1~3によって請求項7は請求項1~3を直接的にも又は間接的にも引用しないものとなった。したがって、訂正前の請求項1~3、7に対応する訂正後の請求項1~3、7は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項ではなくなった。
訂正前の請求項5~7について、請求項4を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項4~7に対応する訂正後の請求項4~7は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
イ.訂正の適否
(ア)訂正事項1
a 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するというものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aに記載したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正事項1に関して、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(イ)訂正事項2
a 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するというものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aに記載したとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正事項2に関して、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(ウ)訂正事項3
a 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するというものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aに記載したとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正事項3に関して、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(エ)訂正事項4
a 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項4が、訂正前の請求項3を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項4が請求項3を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
更に、訂正事項4は、訂正前の請求項2に、「通電」について「前記電磁石側への通電」と記載されており、電磁石側の何に通電するのか不明瞭であったが、訂正後の請求項4は、「前記コイルへの通電」と記載され、電磁石側の通電対象を明瞭にし、又、訂正前の請求項3に、「振動可能に収容する」対象について「前記電磁石側のコイル部」であることを特定しているが、訂正後の請求項4は、「前記電磁石側のコイル」との記載により、訂正後の請求項4の収容対象を訂正前の請求項2の記載の「コイル及び可動子からなる電磁石側」という表現に一致させたものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項4は、訂正前の請求項2の「前記電磁石側への通電」を、通電対象を明瞭にする「前記コイルへの通電」にし、訂正前の請求項3の「前記電磁石側のコイル部」を、訂正前の請求項2の記載に合わせて「前記電磁石側のコイル」にするものであり、当該訂正により訂正前の請求項2、3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ訂正前の請求項2、3に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
同様に、訂正後の請求項4を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項5~7についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
段落【0043】に、「これに対し、コイル39への通電を正逆切り換えると両極部47a,47bが」と記載されていることから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正前の請求項4~7に係る訂正事項4に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(オ)訂正事項5
a 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項2~4を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項5は、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項5は、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正前の請求項5~7に係る訂正事項5に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(カ)訂正事項6
a 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項2~5を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項6は、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項6は、訂正前の請求項2、3の削除に伴って訂正前の請求項2、3との間の引用関係を解消する訂正であるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正前の請求項6~7に係る訂正事項6に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(キ)訂正事項7
a 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項7の記載が訂正前の請求項1~6の記載を直接的に引用する記載であったものを、訂正前の請求項1~5との間の直接的な引用関係を解消し、訂正前の請求項1~3の削除に伴い請求項4、5との間を直接的に引用する請求項6を介して間接的な引用関係とする訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項7は、請求項1~5との間の直接的な引用関係を解消し、請求項4、5との間は直接的に引用する請求項6を介して間接的な引用関係とするものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aの理由から明らかなように、訂正事項7は、請求項1~5との間の直接的な引用関係を解消し、請求項4、5との間は直接的に引用する請求項6を介して間接的な引用関係とするものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、全ての請求項について無効審判の対象とされているので、訂正前の請求項7に係る訂正事項7に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(ク)訂正事項8
a 訂正の目的
訂正事項8は、訂正前の【発明の名称】に記載された「振動発生装置、画像彫刻装置、及び振動発生装置のバネ」を、「振動発生装置及び画像彫刻装置」と訂正し、特許請求の範囲の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と整合させるための発明の名称の一部削除の訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と整合させるための発明の名称の一部削除の訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ケ)訂正事項9
a 訂正の目的
訂正事項9は、明細書の段落【0001】に「振動発生装置、画像彫刻装置、及び振動発生装置のバネ」と記載されているのを、「振動発生装置及び画像彫刻装置」とし、特許請求の範囲の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aの理由から明らかなように、訂正事項9は、特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9は、特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(コ)訂正事項10
a 訂正の目的
訂正事項10は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であり、「(エ)訂正事項4」で述べたように、[通電]をコイルへの通電に限定し、「コイル部」を「コイル」に明瞭にする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であり、「(エ)訂正事項4」で述べたように、「電磁石側への通電」を「コイルへの通電」に限定し、「コイル部」を「コイル」に明瞭にする訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(サ)訂正事項11
a 訂正の目的
訂正事項11は、明細書の段落【0006】に「前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、」と記載されている事項と重複した段落【0008】の記載を削除するための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、明細書の段落【0006】に「前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、」と記載されている事項と重複した段落【0008】の記載を削除する訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、明細書の段落【0008】の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(シ)訂正事項12
a 訂正の目的
訂正事項12は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であり、「(エ)訂正事項4」で述べたように、[通電]をコイルへの通電に限定し、「コイル部」を「コイル」に明瞭にする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12は、訂正事項1、4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図るための訂正であり、「(エ)訂正事項4」で述べたように、「電磁石側への通電」を「コイルへの通電」に限定し、「コイル部」を「コイル」に明瞭にする訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ス)訂正事項13
a 訂正の目的
訂正事項13は、明細書の段落【0021】に「この1204275244687_0には、彫刻テーブル17に」と記載されているのを、「この彫刻テーブル17に」に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項13は、明細書の段落【0021】の「この1204275244687_0には、彫刻テーブル17に」を、「この彫刻テーブル17に」に訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13は、明細書の段落【0021】の「この1204275244687_0には、彫刻テーブル17に」を「この彫刻テーブル17に」と訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(セ)訂正事項14
a 訂正の目的
訂正事項14は、明細書の段落【0025】の「両極部35a,37b」を、「両極部35a,37a」に訂正し、図面の符号の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項14は、明細書の段落【0025】の符号の記載を図面の符号の記載との整合を図るための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14は、明細書の記載と図面との整合を図るための訂正であるから願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ソ)訂正事項15
a 訂正の目的
訂正事項15は、明細書の段落【0042】の「両極部35a,37b」を、「両極部35a,37a」に訂正し、図面の符号の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項15は、明細書の段落【0042】の符号の記載を図面の符号の記載との整合を図るための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項15は、明細書の記載と図面との整合を図るための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ.明細書又は図面の訂正と関係する請求項についての説明
訂正事項8、9は、特許請求の範囲の記載との整合を図ることを目的とするものであり、一群の請求項[4~7]に関係する訂正である。
訂正事項10、11、12は、特許請求の範囲の請求項4の記載との整合を図ることを目的とするものであり、一群の請求項[4~7]に関係する訂正である。
訂正事項13は、明細書の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、これは、請求項6、7に関し、一群の請求項[4~7]に関係する訂正である。
訂正事項14、15は、明細書の符号の記載と図面の符号の記載との整合を図ることを目的とするものであり、一群の請求項[4~7]に関係する訂正である。
したがって、訂正事項8~15は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。
エ.別の訂正単位とする求め
訂正前の請求項7が請求項1~3を直接的に引用するものであったが、請求項1~3の削除に伴い、訂正後の請求項7は請求項1~3との直接的な引用関係を解消し、訂正前の請求項5~7が請求項4を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項に連動して訂正されるものであるから、訂正後の請求項4と、訂正後の請求項4を引用する訂正後の請求項5~7については、別の訂正単位とすることを認める。
(2)むすび
したがって、本件訂正は特許法第134条の2第1項ただし書き第1~4号に規定する事項を目的とするものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項~第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、〔4-7〕について訂正することを認める。
4.本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし7に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」等といい、請求項1ないし7に係る発明を「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】(削除)【請求項2】(削除)続きを表示(全29行)【請求項3】(削除)【請求項4】固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され、前記永久磁石側に対して前記電磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し、前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し、前記コイルへの通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる振動発生装置であって、前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え、前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置され、前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した、ことを特徴とする振動発生装置。【請求項5】請求項4記載の振動発生装置であって、前記永久磁石側に、前記バネの尖端部側を嵌合支持させる尖端支持凹部を設け、前記電磁石の可動子に、前記バネの円弧状部を嵌合支持させる円弧面を設けた、ことを特徴とする振動発生装置。【請求項6】請求項4又は5に記載の振動発生装置を備えた画像彫刻装置であって、前記コイルへの通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行わせ前記電磁石側に連動構成された彫刻針により被彫刻媒体を彫刻する、ことを特徴とする画像彫刻装置。【請求項7】請求項6記載の画像彫刻装置であって、前記バネは、前記尖端部側が円弧状部側に対して両側に突出するように長く形成された、ことを特徴とする画像彫刻装置。」
5.請求人の主張
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請求人は、本件発明の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする旨の無効審判を請求し、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が明確でないから、本件発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきであると主張している。なお、訂正が認められたので、請求人が口頭審理で述べたように第29条第1項柱書の主張、請求項7の記載に関する主張は取り下げられた。
6.被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨主張している。
7.無効理由
請求人が主張する無効理由は以下のとおりである。
本件発明1
「固定側に支持された永久磁石側又は電磁石側の対向する両極部間に電磁石側又は永久磁石側の極部が隙間を有して配置され」において、「固定側」と「永久磁石側」と「電磁石側」の3つの構成要素が記載されているが、各構成要素の構成、及び互いの関係が特定されておらず、発明も不明確であり、「永久磁石側、電磁石側」の「対向する両極部」がどのような構成を表しているか不明確である。特に、「極部」とは何なのか明確でない。
「前記永久磁石側又は電磁石側に対して前記電磁石側又は永久磁石側をバネによりフローティング支持し」において、「電磁石側、永久磁石側」の構成が特定されておらず、「バネ」と両「磁石側」の関係が不明確であり、「永久磁石側又は電磁石側に対して永久磁石側又は電磁石側」との構成では「永久磁石側」に対して「永久磁石側」をバネによりフローティング支持する場合及び「電磁石側」に対して「電磁石側」をバネによりフローティング支持する場合も排除しておらず、又、バネにより磁石側をフローティング支持することができる具体的な構成も特定されておらず、具体的なフローティング支持の構成も想起できない。
「前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側又は電磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側又は永久磁石側を支持し」において、「電磁石側、永久磁石側」の構成が特定されておらず、「バネ」と「電磁石側、永久磁石側」の関係が不明確である。
「前記電磁石又は永久磁石側への通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側又は永久磁石側を振動させる」において、永久磁石側の構成が特定されておらず、永久磁石側への通電を正逆切り替えることによりどのような原理で電磁石側または永久磁石側を振動させるのか不明である。
本件発明2
「固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され」において、「固定側」と「永久磁石側」の構成及び互いの関係が特定されていないため発明が不明確であり、また、永久磁石側の「極部」とは何か特定されておらず、発明が不明確であり、「永久磁石側の対向する両極部」の構成も同様に特定されておらず不明確である。また、「極部」が一般的な意味での『最端部』を指すものであっても具体的な構成が想起できない。また、「電磁石側の極部」についても構成を特定することができず、コイルの極部なのか、可動子の極部なのか、両方の極部なのか、「極部」は部材の先端部をいうのか不明確である。
「前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し」において、永久磁石側のバネの支持される部分と、可動子の形状が特定されておらず、バネの一側と他側とでどのようにして可動子を支持し、「バネ」によりどの様にして電磁石側をフローティング支持しているのか、具体的な構成が特定されておらず、発明が不明確であり、又、フローティング支持するための具体的な構成が何ら想起できない。
「前記電磁石側への通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる」において、「電磁石側への通電」とあるが、通電すればなぜ電磁石側が振動するのか具体的な構成が特定されておらず、技術的な面からの説明もなく、「永久磁石側、電磁石側」の配置との整合もない。
本件発明3
「前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え」において、「永久磁石側」の「両極部」は不明確であり、特に「極部」が永久磁石側のコイル収容空間部の両側のどの位置の、どの様な形状の部位か明確ではなく、「対向する永久磁石側の両極部を一対備え」の構成も不明確であり、請求項3に係る発明の具体的な構成が想起できない。
「前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置された」において、「可動子」の「両極部」の構成は不明確であり、「コイルの両側に両極部が突出」の構成についても不明確である。
本件発明4
請求項4が引用する請求項3は請求項2を引用しており、請求項2に「バネの一側は永久磁石側に支持されると共に、他側が電磁石側の可動子を支持し」と記載されており、「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」の、電磁石側の「可動子のコイル両側との間」の記載と矛盾する。
本件発明5
請求項2~請求項4のいずれの請求項も引用する本件請求項5において、「前記永久磁石側に、前記バネの尖端部側を嵌合支持させる尖端支持凹部を設け」は、請求項4の「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」と矛盾し、永久磁石側の構成は、請求項4の構成より広い技術的範囲を有している。
「前記電磁石の可動子に、前記バネの円弧状部を嵌合支持させる円弧面を設けた」は、請求項4の「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」と矛盾する。
本件発明6
「前記コイルへの通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行わせ前記電磁石側に連動構成された彫刻針により被彫刻媒体を彫刻する」において、「電磁石側」と「彫刻針」との連動構成が不明確であり、どのようにして被彫刻媒体を彫刻できるか明確でなく、具体的な構成も想起できない。
通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行っていることが記載されているのみであり、発明を特定するための事項に技術的な不備がある結果、発明が不明確となっており、彫刻信号についての特定がなく請求項6の構成では被彫刻媒体を彫刻できず、発明の詳細な説明の欄にも具体的な説明が無いから当業者が当該発明を実施することもできない。
8.無効理由についての判断
(1)本件発明1~3
請求項1~3は、上記のとおり、訂正により削除されたので、請求項1~3に係る無効理由は、無効理由の対象が存在しないものとなった。
(2)本件発明4
訂正事項4記載のように、訂正前の請求項4が引用する請求項3は請求項2を引用しているから、本件発明2~3に係る無効理由も検討する。
(ア)請求人は、「固定側に支持された永久磁石側の対向する両極部間にコイル及び可動子からなる電磁石側の極部が隙間を有して配置され」において、「固定側」と「永久磁石側」の構成及び互いの関係が特定されていないため発明が不明確であり、また、永久磁石側の「極部」とは何か特定されておらず、発明が不明確であり、「永久磁石側の対向する両極部」の構成も同様に特定されておらず不明確であると主張するが、「対向」とは「互いに向き合うこと」であるから、固定側の両極部が互いに向き合うことが解り明確であり、又、「極部」とは磁極部のことであり、端にあって磁束が出入りする箇所のことであるから、請求人の上記主張は採用できない。
(イ)請求人は、「前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し」において、永久磁石側のバネの支持される部分と、可動子の形状が特定されておらず、バネの一側と他側とでどのようにして可動子を支持し、「バネ」によりどの様にして電磁石側をフローティング支持しているのか、具体的な構成が特定されておらず、発明が不明確であり、又、フローティング支持するための具体的な構成が何ら想起できないと主張するが、訂正後の請求項4には、「前記永久磁石側に対して前記電磁石側をバネによりフローティング支持し、前記バネを、一側に尖端部を備えると共に他側に円弧状部を備える断面水滴形に屈曲形成し」、「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」と記載され、永久磁石側のバネの支持される部分、可動子の形状、フローティングの支持構造が明確となったため、請求人の上記主張は採用できない。
(ウ)「前記電磁石側への通電を正逆切り換えることにより前記電磁石側を振動させる」において、「電磁石側への通電」とあるが、通電すればなぜ電磁石側が振動するのか具体的な構成が特定されておらず、技術的な面からの説明もなく、「永久磁石側、電磁石側」の配置との整合もないとの主張は「コイルへの通電」との訂正により解消された。
(エ)請求人は、「前記永久磁石側は、中央部に前記電磁石側のコイルを振動可能に収容するコイル収容空間部を備えると共に、このコイル収容空間部の両側に前記対向する永久磁石側の両極部を一対備え」において、「永久磁石側」の「両極部」は不明確であり、特に「極部」が永久磁石側のコイル収容空間部の両側のどの位置の、どの様な形状の部位か明確ではなく、「対向する永久磁石側の両極部を一対備え」の構成も不明確であると主張するが、「対向」とは「互いに向き合うこと」であるから、固定側の両極部が互いに向き合うことが解り明確であり、又、「極部」とは磁極部のことであり、端にあって磁束が出入りする箇所のことであるから、請求人の上記主張は採用できない。
(オ)請求人は、「前記電磁石側の可動子は、前記コイルの両側に両極部が突出されて前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置された」において、「可動子」の「両極部」の構成は不明確であり、「コイルの両側に両極部が突出」の構成についても不明確であると主張するが、「コイルの両側に両極部が突出」は、「前記永久磁石側の両極部間にそれぞれ配置」するための構成として明確であるから、請求人の上記主張は採用できない。
(カ)請求人は、「バネの一側は永久磁石側に支持されると共に、他側が電磁石側の可動子を支持し」と記載されており、「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」の、電磁石側の「可動子のコイル両側との間」の記載と矛盾すると主張するが、「バネの一側は永久磁石側に支持されると共に、他側が電磁石側の可動子を支持し」との記載はなく、仮に「前記バネの尖端部側は、前記永久磁石側に支持されると共に、前記バネの円弧状部側が前記電磁石側の可動子を支持し」が該当するとしてもバネの支持構造を特定するものであり、「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」はバネの装置における配置を特定するものであるから、両者の記載に矛盾はなく、請求人の上記主張は採用できない。
(3)本件発明5
(ア)請求人は、請求項4を引用する請求項5において、「前記永久磁石側に、前記バネの尖端部側を嵌合支持させる尖端支持凹部を設け」は、請求項4の「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」と矛盾し、永久磁石側の構成は請求項4の構成より広い技術的範囲を有していると主張するが、請求項4の当該記載はバネの装置における配置を特定し、請求項5の当該記載はバネの支持構造を特定するものであるから両者に矛盾はなく、請求人の上記主張は採用できない。
(イ)請求人は、「前記電磁石の可動子に、前記バネの円弧状部を嵌合支持させる円弧面を設けた」は、請求項4の「前記永久磁石側のコイル収容空間部及び二対の両極部間と前記電磁石側の可動子のコイル両側との間の4カ所に前記バネを対称に配置した」と矛盾すると主張するが、請求項4の当該記載はバネの装置における配置を特定し、請求項5の当該記載はバネの支持構造を特定するものであるから両者に矛盾はなく、請求人の上記主張は採用できない。
(4)本件発明6
(ア)請求人は、「前記コイルへの通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行わせ前記電磁石側に連動構成された彫刻針により被彫刻媒体を彫刻する」において、「電磁石側」と「彫刻針」との連動構成が不明確であり、どのようにして被彫刻媒体を彫刻できるか明確でなく、具体的な構成も想起できないと主張するが、「連動」とは「機械などで、一部分を動かすことによって他の部分も統一的に動くこと」であり、電磁石側が動くことによって電磁石側と連動するよう構成された彫刻針が電磁石側と統一的に動いて彫刻するのであるから何等不明確な点は無く、請求人の上記主張は採用できない。
(イ)請求人は、通電の切り換えを彫刻信号に基づいて行っていることが記載されているのみであり、発明を特定するための事項に技術的な不備がある結果、発明が不明確となっており、彫刻信号についての特定がなく請求項6の構成では被彫刻媒体を彫刻できず、発明の詳細な説明の欄にも具体的な説明が無いから当業者が当該発明を実施することもできないと主張するが、彫刻信号のオンオフに合わせて彫刻針が振動し、その振動によって彫刻されるのであるから何等不明確な点は無く、請求人の上記主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、請求項4~7の記載は明確であり、請求項4~7に係る特許は請求人が主張する無効理由によっては、取り消すことはできない。
請求項1~3は、訂正により削除されたので、請求項1~3に係る無効理由は、無効理由の対象が存在しないものとなった。
9.むすび
以上のとおり、請求人が主張する無効理由によっては本件発明4~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明4~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1~3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除されたので、請求項1~3に係る無効理由は、無効理由の対象が存在しないものとなったため、特許法第135条の規定により却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-800069