特許異議申立
2019-700951
乗客コンベア
- 審判番号
- 2019-700951
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-050964
- 登録番号
- 特許第6533548号(P6533548)
- 請求日
- 2019年11月26日
- 審決日
- 2020年05月29日
- 公報発行日
- 2020年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社日立製作所
- 【権利者代理人】ポレール特許業務法人
- 【異議申立人】山田 宏基
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 田村 嘉章
- 審判官 井上 信
- 分類
- P1652.113-XA (B66B) / P1652.121-XA (B66B) / P1652.161-XA (B66B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6533548号発明「乗客コンベア」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6533548号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、〔5、6〕、7について、訂正することを認める。
特許第6533548号の請求項1及び7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6533548号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成29年3月16日に出願され、令和1年5月31日付けでその特許権の設定登録がされ、令和1年6月19日に特許掲載公報が発行された。その後、令和1年11月26日に特許異議申立人 山田宏基 より請求項1及び7に係る発明の特許に対し特許異議の申立てがなされ、令和2年2月26日付けで取消理由が通知され、その指定期間内に特許権者より令和2年4月27日付けで意見書の提出及び訂正の請求がなされたものである。
第2 訂正の適否
1 令和2年4月27日付け訂正請求の訂正の内容
令和2年4月27日付け訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2において、請求項1の削除に伴い、請求項2を独立形式に改める。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、請求項1の削除に伴い、請求項3を独立形式に改める。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4において、請求項1の削除に伴い、請求項4を独立形式に改める。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5において、請求項1の削除に伴い、請求項5を独立形式に改める。
これに伴い、請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(7) したがって、特許権者は、訂正前の特許請求の範囲を、以下のとおり、訂正後の特許請求の範囲のとおり訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示す。)。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】
インバータ部および前記インバータ部を制御するインバータ制御部を含む主回路部と、
前記インバータ部によって駆動される電動機と、
前記電動機を制動するブレーキ装置と、
少なくとも前記ブレーキ装置を制御する制御回路部と、
を備え、
前記電動機によって運転され、停止時には所定の減速度で停止される乗客コンベアにおいて、
停電時において、前記電動機は、前記電動機が発生する回生電力によって減速駆動され、
前記停電時において、前記インバータ制御部の電源は前記回生電力によって供給され、
蓄電器に蓄電される電力によって前記制御回路部に、前記停電時において電源を供給する蓄電装置を備え、
前記インバータ制御部は、前記インバータ部におけるスイッチング素子を駆動する駆動回路を有し、
前記停電時において、前記駆動回路の電源が、前記回生電力によって供給され、
前記主回路部には交流電源から電力が供給され、
前記蓄電装置は、前記交流電源の正常時において、前記交流電源の電力によって前記制御回路部に電源を供給すると共に、前記蓄電器に前記交流電源の電力を蓄電することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
インバータ部および前記インバータ部を制御するインバータ制御部を含む主回路部と、
前記インバータ部によって駆動される電動機と、
前記電動機を制動するブレーキ装置と、
少なくとも前記ブレーキ装置を制御する制御回路部と、
を備え、
前記電動機によって運転され、停止時には所定の減速度で停止される乗客コンベアにおいて、
停電時において、前記電動機は、前記電動機が発生する回生電力によって減速駆動され、
前記停電時において、前記インバータ制御部の電源は前記回生電力によって供給され、
蓄電器に蓄電される電力によって前記制御回路部に、前記停電時において電源を供給する蓄電装置を備え、
前記インバータ制御部は、前記インバータ部におけるスイッチング素子を駆動する駆動回路を有し、
前記停電時において、前記駆動回路の電源が、前記回生電力によって供給され、
前記蓄電器は二次電池あるいは電気二重層キャパシタであることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項4】
インバータ部および前記インバータ部を制御するインバータ制御部を含む主回路部と、
前記インバータ部によって駆動される電動機と、
前記電動機を制動するブレーキ装置と、
少なくとも前記ブレーキ装置を制御する制御回路部と、
を備え、
前記電動機によって運転され、停止時には所定の減速度で停止される乗客コンベアにおいて、
停電時において、前記電動機は、前記電動機が発生する回生電力によって減速駆動され、
前記停電時において、前記インバータ制御部の電源は前記回生電力によって供給され、
蓄電器に蓄電される電力によって前記制御回路部に、前記停電時において電源を供給する蓄電装置を備え、
前記インバータ制御部は、前記インバータ部におけるスイッチング素子を駆動する駆動回路を有し、
前記停電時において、前記駆動回路の電源が、前記回生電力によって供給され、
前記制御回路部は、前記停電時において、前記ブレーキ装置の開放状態を保持し、前記電動機の速度がゼロ速近傍となったら前記ブレーキ装置を制動状態にすることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項5】
インバータ部および前記インバータ部を制御するインバータ制御部を含む主回路部と、
前記インバータ部によって駆動される電動機と、
前記電動機を制動するブレーキ装置と、
少なくとも前記ブレーキ装置を制御する制御回路部と、
を備え、
前記電動機によって運転され、停止時には所定の減速度で停止される乗客コンベアにおいて、
停電時において、前記電動機は、前記電動機が発生する回生電力によって減速駆動され、
前記停電時において、前記インバータ制御部の電源は前記回生電力によって供給され、
蓄電器に蓄電される電力によって前記制御回路部に、前記停電時において電源を供給する蓄電装置を備え、
前記インバータ制御部は、前記インバータ部におけるスイッチング素子を駆動する駆動回路を有し、
前記停電時において、前記駆動回路の電源が、前記回生電力によって供給され、
前記制御回路部は、前記停電時における減速度を、乗客負荷に応じて設定することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項6】
請求項5に記載される乗客コンベアにおいて、
前記制御回路部は、停電が発生していない通常時において、前記減速度を、所定の標準値に設定することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項7】(削除)」
2 訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2) 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2について、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
(3) 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3について、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
(4) 訂正事項4は、本件訂正前の請求項4について、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
(5) 訂正事項5は、本件訂正前の請求項5について、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第5項の規定に適合するものである。
(6) 訂正事項6は、請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 むすび
したがって、本件訂正に係る訂正事項1ないし6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するところ、特許権者は、令和2年4月27日付けの訂正請求書において、「訂正後の請求項2~5と、訂正後の請求項5を引用する請求項6については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。」として、別の訂正単位とする求めを行っているので、本件訂正後の請求項1、2、3、4、〔5、6〕、7について、訂正することを認める。
第3 当審の判断
1 本件特許第6533548号の請求項2ないし6に係る発明
本件特許の請求項2ないし6に係る発明は、それぞれ、本件訂正により訂正された訂正特許請求の範囲の請求項2ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。(「第2 1 (7)」参照)
2 令和2年2月26日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである。
(1) (拡大先願)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた甲第1号証に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2) (新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内において、頒布された刊行物(甲第2号証)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(3) (進歩性)本件特許の請求項1及び7に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<刊行物等(特許異議申立書に添付された甲各号証)>
甲第1号証:特開2017-193413号公報(特願2016-85139号)
甲第2号証:特開2005-219914号公報
甲第3号証:特開2016-171699号公報
甲第4号証:特開平7-252073号公報
甲第5号証:特開平10-305983号公報
甲第6号証:特開2014-122078号公報
甲第7号証:特開2014-122079号公報
甲第8号証:三菱電機株式会社編、「インバータ応用マニュアル」、第1版第1刷、株式会社電気書院、昭和60年9月7日、p.39-45
甲第9号証:森本雅之著、「入門 インバータ工学 -しくみから理解するインバータの技術-」、第1版第1刷、森北出版株式会社、2011年7月6日、p.68-70、191-193
第4 むすび
以上のとおり、請求項1及び7に係る特許は、本件訂正により、削除された。これにより、本件特許の請求項1及び7に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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