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特許異議申立

2019-700861

植物由来ポリエチレンを用いた包装材用シーラントフィルム、包装材用積層フィルム、および包装袋

審判番号
2019-700861
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-250618
登録番号
特許第6508319号(P6508319)
請求日
2019年11月01日
審決日
2020年06月05日
公報発行日
2020年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】結田 純次
  • 【権利者代理人】竹林 則幸
  • 【異議申立人】千野 肇
  • 【異議申立人】鈴木 清司
審判長/審判官
  • 審判長 久保 克彦
  • 審判官 井上 茂夫
  • 審判官 中村 一雄
分類
P1651.537-YAA(B65D) / P1651.113-YAA(B65D) / P1651.121-YAA(B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第113条第4号、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6508319号発明「植物由来ポリエチレンを用いた包装材用シーラントフィルム、包装材用積層フィルム、および包装袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6508319号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正することを認める。 特許第6508319号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6508319号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成23年2月14日に出願された特願2011-28784号(以下「原出願」という。)の一部を平成26年7月11日に新たな特許出願(特願2014-143712号)とし、その一部を平成28年7月12日に新たな特許出願(特願2016-137336号)とし、さらにその一部を平成29年12月27日に新たな特許出願(特願2017-250618号)としたものであり、平成31年4月12日(特許掲載公報発行日:令和1年5月8日)にその特許権の設定登録がされ、その特許について、令和1年11月1日に特許異議申立人千野肇(以下「申立人1」という。)により、令和1年11月8日に特許異議申立人鈴木清司(以下「申立人2」という。)により、それぞれ特許異議の申立てがされ、当審において令和1年12月24日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である令和2年3月5日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、この本件訂正請求について、申立人1及び申立人2に意見を求めたが、いずれからも意見書は提出されなかった。 第2 訂正の請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第6508319号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正する」ことを求めるものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。(下線は、当審で付したもの。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、 該ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度80~100%を有する植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であり、 該植物由来ポリエチレン系樹脂を5~90モル%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95モル%含む前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)または(B)あるいは(C)で構成してなるフィルムをヒートシール性フィルムとすることを特徴とする包装材用シーラントフィルム。 (A)前記樹脂組成物と、前記石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成 (B)中間層を前記樹脂組成物とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成 (C)中間層を前記樹脂組成物と、前記石油由来ポリエチレン系樹脂とを混合した層とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成」を、 「ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、 該ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度80~100%を有する直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であり、 該直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を5~90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95重量%含む前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)または(B)あるいは(C)で構成してなるフィルムをヒートシール性フィルムとすることを特徴とする包装材用シーラントフィルム。 (A)前記樹脂組成物と、前記石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成 (B)中間層を前記樹脂組成物とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成 (C)中間層を前記樹脂組成物と、前記石油由来ポリエチレン系樹脂とを混合した層とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成」 に訂正する(請求項1を引用する請求項2~3も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 願書に添付した明細書の段落【0001】、【0005】、【0009】、【0012】中の「植物由来ポリエチレン系樹脂」を、「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」に訂正し、段落【0029】中の「や、95%のバイオマス度を有する低密度ポリエチレン系樹脂」を削除する。 2.訂正の適否 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項2、3は、訂正前の請求項1を、直接又は間接に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。 また、訂正事項2による願書に添付した明細書の訂正に係る請求項は、請求項1、及びこの請求項1を直接又は間接に引用する請求項2、3であり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項に規定する、一群の請求項の全てについて行われたものである。 (2)訂正事項1について ア.訂正事項1の「植物由来ポリエチレン系樹脂」を「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」とする訂正は、訂正前の請求項1の「植物由来ポリエチレン系樹脂」の構成分子の構造および密度を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、樹脂を構成する高分子は、その大小が様々で分子量に分布があるから、2種以上の樹脂の混合する場合の各樹脂の比率をモル%で表すことは、各樹脂の重量からは、それらの樹脂のモル数が一定に定まらないことから、このような場合、各樹脂の混合比を重量%で表すことが一般的である。そうすると、訂正事項1の、「モル%」を「重量%」とする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものに該当する。 イ.訂正事項1の「植物由来ポリエチレン系樹脂」を「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」とする訂正は、本件特許の明細書の実施例1~5に、「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」を用いて、包装材用シーラントフィルムを製造した例が記載され、実施例6には、実施例4のフィルムを用いて包装材用積層フィルムとし、これを用いて包装袋を製造した例が記載されており、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0055】には、 「第1層用および第3層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL-エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。同様に第2層用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)50重量部と、宇部丸善ポリエチレンLDPE-F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50重量部とを200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。」と記載され、2醜類の樹脂の混合比を、重量の比で表記しており、訂正事項1の「モル%」を「重量%」とする訂正は、本件特許の願書に最初に添付した明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.訂正事項1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正事項1で、「植物由来ポリエチレン系樹脂」を「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」に限定したことに伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、訂正事項2は、本件特許の明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 さらに.訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定にも適合する。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~3〕について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.請求項1~3に係る発明 上記のとおり、本件訂正請求が認められたから、本件特許の請求項1~3に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、 該ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度80~100%を有する直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物であり、 該直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を5~90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95重量%含む前記樹脂組成物を使用して、下記の(A)または(B)あるいは(C)で構成してなるフィルムをヒートシール性フィルムとすることを特徴とする包装材用シーラントフィルム。 (A)前記樹脂組成物と、前記石油由来のポリエチレン系樹脂とを混合した単層構成 (B)中間層を前記樹脂組成物とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成 (C)中間層を前記樹脂組成物と、前記石油由来ポリエチレン系樹脂とを混合した層とし、外層および内層を前記石油由来ポリエチレン系樹脂とした多層構成 【請求項2】 請求項1に記載のフィルムを、基材フィルムと積層させたことを特徴とする包装材用積層フィルム。 【請求項3】 請求項2に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする包装袋。」 2.取消理由の概要 本件発明1~3に対して、特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。 理由1)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 [証拠] 甲1:松浦一雄・三上尚孝編著、「ポリエチレン技術読本 触媒・製造プロセスの進歩と材料革新」、株式会社工業調査会、2001年7月1日初版第1刷発行、163~168、185~186、192~195頁 甲2:特開2012-167172号公報 [理由1] 植物由来ポリエチレン系樹脂が、高圧低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンからなる樹脂であることを含み得る本件発明1は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 また、本件特許の請求項1には「モル%」との記載があるが、通常、ポリエチレン系樹脂の分子量は一に定まらず、ポリエチレン系樹脂の重量が特定されても、それに含まれるポリエチレン系樹脂のモル数は特定できないから、それにより割合が特定される請求項1の「植物由来ポリエチレン系樹脂を5~90モル%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95モル%」との記載は明確ではない。 [理由2、理由3] 本件特許の請求項1の、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に限定されない「植物由来ポリエチレン系樹脂」との事項は、原出願の出願当初の明細書等に記載された範囲内であるとはいえないから、本件特許の出願日は、原出願の出願日ではなく、現実の出願日である平成29年12月27日である。 そうすると、本件発明1は、甲2(原出願の公開公報)に記載された発明である。 また、本件発明1は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 さらに、本件発明2及び3も、甲2に記載された発明であり、また、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.当審の判断 (1)理由1(特許法第36条第6項第1号及び第2号)に係る取消理由についての判断 ア.上記のように本件訂正請求が認められたから、訂正前の請求項1の「植物由来ポリエチレン系樹脂」との記載は、「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂」に訂正された。 そして、本件特許の明細書の実施例1~4において、サトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を用いてフィルムF1~F4を成形できることが記載され、さらに、実施例9において、それらのフィルムF1~F4をシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムで包装袋を形成できることも記載されていることから、本件発明1は、「直鎖状低密度の植物由来ポリエチレン系樹脂を5~90重量%と、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95重量%含む前記樹脂組成物を使用して」ヒートシール性フィルムとするとの発明特定事項を備えることにより、「再生可能資源である植物由来のポリエチレン系樹脂を原料に用いて、石油資源の節約を可能とするとともに、二酸化炭素の排出量削減による環境にやさしい包装材用シーラントフィルムおよび包装材用積層フィルム、ならびにこれらのフィルムを用いた加工適性に優れる包装袋を提供する」(本件特許の明細書の段落【0004】)という発明の課題を解決し得ると、当業者は認識できるものといえる。 イ.また、本件訂正請求により、訂正前の請求項1の「モル%」との記載は、「重量%」に訂正されたため、本件特許の請求項1~3の記載は明確である。 ウ.よって、本件発明1~3は、特許法第36条第6項第1号及び第2号の規定に違反するものではないから、本件発明1~3に係る特許は、特許法第113条第4号に該当しない。 (2)理由2(特許法第29条第1項第3号)及び理由3(特許法第29条第2項)に係る取消理由についての判断 本件訂正請求により、本件発明1には、原出願の出願当初の明細書等に記載されていない、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂以外の「植物由来ポリエチレン系樹脂」は含まれないものとなったから、本件特許に係る出願の出願日は、原出願の出願日である平成23年2月14日に遡及する。 そうすると、甲2は、原出願の公開公報であり、本件特許の遡及する出願日の平成23年2月14日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物ではないから、そのような甲2を引用例とする、特許法第29条第1項第3号、あるいは、特許法第29条第2項に係る取消理由には、理由がない。 よって、本件発明1~3は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反するものでもないから、本件発明1~3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当しない。 (3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア.申立人1は、甲3~甲5を提出して、甲4の、石油由来ポリエチレンから植物由来ポリエチレンに置き換えることは、CO2を増やさず石油資源の節約に貢献するとの記載、甲5の、植物由来ポリエチレンは、従来の石油由来ポリエチレンとまったく同じものであるとの記載を踏まえれば、甲3に記載された発明の「直鎖状低密度ポリエチレン」に植物由来ポリエチレンを用いることは、当業者が容易に想到することができたものであり、本件発明1~3は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。 甲3:特開平11-12558号公報 甲4:杉山英路他1名、「地球環境に優しい『サトウキビ由来のポリエチレン』」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2009年8月15日発行、第37巻、第8号、通巻437号、63~67頁 甲5:牧野太宣、「サトウキビから創られたプラスチック包装材料『Bipro-PE』」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2011年2月15日発行、第39巻、第2号、通巻455号、83~85頁 しかし、甲4及び甲5のいずれにも、植物由来ポリエチレンを、シーラントフィルムに用いることは記載されておらず、甲4及び甲5の記載から、植物由来ポリエチレンをシーラントフィルムに用いた場合に、ヒートシール強度などの加工特性を優れたものとできる(本件特許明細書の【0004】)との効果を予測し得るものではないから、甲3に記載された発明の「直鎖状低密度ポリエチレン」に植物由来ポリエチレンを用いることは、当業者が容易に想到することができたものではない。 よって、本件発明1~3は、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、申立人1の上記申立理由を採用することはできない。 イ.申立人2は、甲第1号証のほか、甲第2号証~甲第7号証を提出して、甲第1号証に記載された発明の「線状低密度ポリエチレン(LLDPE)」の一部を、地球温暖化や石油資源枯渇等への対応のため、甲第2号証~甲第6号証に記載の植物由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)に置き換えることは、当業者が容易に想到することができたものであり、本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。 甲第1号証:特開2011-20705号公報 甲第2号証:杉山英路他1名、「地球環境に優しい『サトウキビ由来のポリエチレン』」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2009年8月15日発行、第37巻、第8号、通巻437号、63~67頁 甲第3号証:「特集 自動車・複写機で採用進むバイオポリエチレンも登場 バイオプラスチック試乗拡大へ」、日経バイオテク、日経BP社、2010年12月20日、第702号、3~8頁 甲第4号証:「バイオポリエチレンの試験生産がスタート、2011年・20万t供給に変更なし」、日経バイオテク、日経BP社、2010年11月22日、第700号、17頁 甲第5号証:「特集 こんなに使える バイオプラのすべて」、日経ものづくり、日経BP社、2009年8月1日、第659号、54~58頁 甲第6号証:特表2010-511634号公報 甲第7号証:特開2001-322683号公報 しかし、上記ア.と同様に、上記甲第2号証~甲第7号証のいずれにも、植物由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を、シーラントフィルムに用いることは記載されておらず、植物由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)をシーラントフィルムに用いた場合に、ヒートシール強度などの加工特性を優れたものにできるとの効果を予測し得るものではないから、甲第1号証に記載された発明の「線状低密度ポリエチレン(LLDPE)」の一部を、植物由来の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)に置き換えることは、当業者が容易に想到することができたものではない。 よって、本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、申立人2の上記申立理由を採用することはできない。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本件発明1~3に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700861

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