特許異議申立
2019-700104
乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料
- 審判番号
- 2019-700104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-230304
- 登録番号
- 特許第6370543号(P6370543)
- 請求日
- 2019年02月07日
- 審決日
- 2019年05月08日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
- 【異議申立人】田中 眞喜子
- 審判長/審判官
- 審判長 中島 庸子
- 審判官 齊藤 真由美
- 審判官 菅原 洋平
- 分類
- P1651.113-Y (A23F) / P1651.121-Y (A23F) / P1651.537-Y (A23F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6370543号発明「乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6370543号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6370543号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成25年11月6日(優先権主張平成24年11月6日)に特許出願され、平成30年7月20日に特許権の設定登録がされ、同年8月8日にその特許公報が発行され、平成31年2月7日に、その請求項1~6に係る発明の特許に対し、田中眞喜子(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第6370543号の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
pH調整剤として重曹のみ、又はクエン酸三ナトリウムのみを使用してpH6.1~7に調製される、μ成分及びν成分を有するカラギナンを含有する、乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料。
【請求項2】
μ成分及びν成分の総量が8質量%以上であるカラギナンを用いる、請求項1に記載の乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料。
【請求項3】
UHT殺菌処理により殺菌される、請求項1又は2に記載の乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料。
【請求項4】
コーヒー飲料100g中におけるコーヒー含量が生豆換算で2.5g以上である、請求項1~3のいずれかに記載の乳成分含有コーヒー飲料。
【請求項5】
紅茶飲料100g中における紅茶含量が茶葉換算で0.2g以上である、請求項1~3のいずれかに記載の乳成分含有紅茶飲料。
【請求項6】
μ成分及びν成分を有するカラギナンを含むことを特徴とする、pH調整剤として重曹のみ、又はクエン酸三ナトリウムのみを使用してpH6.1~7に調製される乳成分含有コーヒー又は紅茶飲料用の安定剤。」
第3 申立理由の概要
特許異議申立人が申し立てた取消理由の概要は、以下のとおりである。
1 特許法第29条第1項第3号(以下「理由1」という。)
本件発明1及び6は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲第1号証に記載された発明である。
よって、本件発明1及び6に係る特許は、同法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開平3-83543号公報(以下「甲1」という。)
2 特許法第29条第2項(以下「理由2」という。)
本件発明1~4及び6は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲第1号証に記載された発明並びに甲第2及び3号証に記載の技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1~4及び6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
甲第1号証:理由1で示したとおりである。
甲第2号証:SEN'I GAKKAISI (繊維と工業), Vol.65, No.11 (2009), p.412-421(以下「甲2」という。)
甲第3号証:Antiviral Research, Vol.43 (1999), p.93-102(以下「甲3」という。)
3 特許法第36条第6項第1号(以下「理由3」という。)
本件発明1~6は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。
よって、本件発明1~6に係る特許は、同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 理由1、2について
(1)甲号各証の記載
ア 甲1
1a「2.特許請求の範囲
増粘タイプのカラギーナンおよび親水性乳化剤を添加することを特徴とする安定なコーヒー飲料の製造方法。」(特許請求の範囲)
1b「[発明が解決しようとする問題点]
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、中性から弱酸性までの広いpH域で乳蛋白や乳脂肪が安定で、しかも優れた風味のコーヒー飲料の製造方法を提供するものである。」(2頁左上欄10~14行)
1c「[実施例]
以下に、実施例及び比較例をあげ、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
コーヒーエキス(Brix25°)280g、水3390g、脱脂粉乳8g、全脂粉乳40g、グラニュー糖280g、デカグリセリンモノステアレート1.2g、増粘タイプのカラギーナン0.8gを混合し、70℃で攪拌して均一に混合した。70℃にて圧力150kgf/cm2で均質化機を用いて均質化した。得られた液はpH5.7で、この液を2等分し、一方はそのまま、もう一方は炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.7に調整した。それぞれの液を200mlずつガラス製の容器に充填し密封した。これを121℃で30分間加熱殺菌し、コーヒー飲料を得た。得られたコーヒー飲料のpHは、pH調整しなかったものが5.5、pH調整したものは6.5であった。
実施例2~4、比較例1~8
実施例と同様に、第1表に示す所定量の乳化剤と安定剤を配合し、コーヒー飲料を調製し、pH6.8及びpH5.5のコーヒー飲料を得た。
実施例及び比較例で得たコーヒー飲料を25℃及び55℃にて保存し、目視により、コーヒー飲料の安定性を観察した。
結果は、第1表に示す。尚、第1表において、コーヒー飲料の状態は次のように評価した。
◎:乳蛋白の凝集、沈殿および乳脂肪の分離によるリングの発生なし。
〇:乳蛋白の凝集、沈殿は発生していないが乳脂肪の分離によるリングが僅かに発生(軽く振るとリングは消失し実用上問題なし)
△:乳蛋白の凝集、沈殿は発生していないが乳脂肪の分離によるリングが発生(軽く振ってもリングは消失せず商品としては好ましくない)
×:乳蛋白の凝集、沈殿が発生し、乳脂肪の分離によるリングが発生。
*:ゲル化を発生。
また、風味については、20名のパネルにこれらのコーヒー飲料を試飲させ、その結果を5段階評価で評価させた。点が高いほど優れており、3点は平均値を示している。
」(3頁左上欄11~右下欄末行)
1d「実施例1~4のコーヒー飲料は、pH6.5およびpH5.5において、121℃で30分間の加熱殺菌処理による脂肪分の分離や乳蛋白の変性は見られず、更に第1表に示すように、25℃及び55℃で長期間保存しても、脂肪分の分離や乳蛋白の変性を生じない安定なもので、しがも、風味の点でも優れている。」(4頁左上欄1~7行)
1e「本発明で使用する増粘タイプのカラギーナンとは、紅藻類より抽出される天然多糖類の一種であり、ラムダタイプのカラギーナンを主成分とするもの、イオタタイプのカラギーナンを主成分とするものまたはこれらの混合物で、主に増粘作用を目的として調整されたカラギーナンである。」(4頁左下欄1~6行)
イ 甲2
2a「ラムダまたはシータカラギナンは主としてGigartina種あるいは他のラムダに富んだ種から生産される。」(414頁左欄下から2~末行)
ウ 甲3
訳文にて示す。
3a「紅藻類Gigartina skottsbergiiから単離されたラムダ-カラギナン1T1、κ/ι-カラギナン1C1及びμ/ν-タイプ1C3は、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型及び2型の強力かつ選択的な阻害剤であることが分かった。」(93頁 要約 1~2行)
(2)甲1に記載された発明
ア 甲1は、「増粘タイプのカラギーナンおよび親水性乳化剤を添加することを特徴とする安定なコーヒー飲料の製造方法」(1a 特許請求の範囲)に関し記載するものであって、特許請求の範囲に対応する「増粘タイプのカラギーナン・・を添加する・・安定なコーヒー飲料の製造方法」の具体例として、実施例1(1c)に「コーヒーエキス(Brix25°)280g、水3390g、脱脂粉乳8g、全脂粉乳40g、グラニュー糖280g、デカグリセリンモノステアレート1.2g、増粘タイプのカラギーナン0.8gを混合し、70℃で攪拌して均一に混合した。70℃にて圧力150kgf/cm2で均質化機を用いて均質化した。得られた液はpH5.7で、この液を2等分し、一方はそのまま、もう一方は炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.7に調整した。それぞれの液を200mlずつガラス製の容器に充填し密封した。これを121℃で30分間加熱殺菌し、コーヒー飲料を得た。得られたコーヒー飲料のpHは、pH調整しなかったものが5.5、pH調整したものは6.5であった」(1c)と記載され、当該製造方法により、pH調整しなかったpH5.5のコーヒー飲料、及び、pH調整したpH6.5のコーヒー飲料の2種類を得たことが記載されている。
ここで、pH調整したpH6.5のコーヒー飲料に着目すると、そのpH調整は、実施例1の「・・均質化した。得られた液はpH5.7で、この液を2等分し、一方はそのまま、もう一方は炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.7に調整した。」(審決注:下線は当審が付与。以下同様。)という記載より、炭酸水素ナトリウムを添加してpH調整したことが分かる。
そうすると、実施例1に記載のpH調整した製造方法により得られたpH6.5のコーヒー飲料に着目すると、甲1には、
「コーヒーエキス(Brix25°)280g、水3390g、脱脂粉乳8g、全脂粉乳40g、グラニュー糖280g、デカグリセリンモノステアレート1.2g、増粘タイプのカラギーナン0.8gを混合し、70℃で攪拌して均一に混合し、70℃にて圧力150kgf/cm2で均質化機を用いて均質化し、得られた液はpH5.7で、この液を2等分し、その一方に炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.7に調整し、その液を200mlガラス製の容器に充填し密封し、これを121℃で30分間加熱殺菌して得られた、pH6.5のコーヒー飲料」
の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。
イ さらに、甲1の実施例(1c)には、「実施例及び比較例で得たコーヒー飲料を25℃及び55℃にて保存し、目視により、コーヒー飲料の安定性を観察した。結果は、第1表に示す。尚、第1表において、コーヒー飲料の状態は次のように評価した。◎:乳蛋白の凝集、沈殿および乳脂肪の分離によるリングの発生なし。」と記載され、「第1表」には、実施例1の「増粘タイプのカラギーナン0.02%」が「安定剤」であること、並びに、実施例1のコーヒー飲料を「25℃30日」及び「55℃30日」保存した後のコーヒー飲料の「状態」は、共に「◎」(すなわち「乳蛋白の凝集、沈殿および乳脂肪の分離によるリングの発生なし」)と記載されている。
そうすると、前記アの「甲1発明1」のコーヒー飲料に含まれている「増粘タイプのカラギーナン」は、「甲1発明1」のコーヒー飲料用の安定剤といえる。
したがって、前記甲1発明1において、含まれている「増粘タイプのカラギーナン」が、「甲1発明1」のコーヒー飲料用の安定剤であることに着目すると、甲1には、さらに、
「増粘タイプのカラギーナンを含む、コーヒーエキス(Brix25°)280g、水3390g、脱脂粉乳8g、全脂粉乳40g、グラニュー糖280g、デカグリセリンモノステアレート1.2g、増粘タイプのカラギーナン0.8gを混合し、70℃で攪拌して均一に混合し、70℃にて圧力150kgf/cm2で均質化機を用いて均質化し、得られた液はpH5.7で、この液を2等分し、その一方に炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.7に調整し、その液を200mlガラス製の容器に充填し密封し、これを121℃で30分間加熱殺菌して得られた、pH6.5のコーヒー飲料用の安定剤」
の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
(3)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)甲1発明1との対比
a 本件発明1の「乳成分」について、本件特許明細書には「【0023】本発明で用いる乳成分は・・例えば、乳又はその加工品(・・全脂粉乳、脱脂粉乳・・)等が挙げられる」と記載されている。
そうすると、甲1発明1の「脱脂粉乳」及び「全脂粉乳」は、本件発明1の「乳成分」に相当する。
b 甲1発明1の「コーヒー飲料」は、「コーヒーエキス・・、水・・、脱脂粉乳・・、全脂粉乳・・を混合し」て得られたものであるから、「脱脂粉乳」及び「全脂粉乳」を含有しているコーヒー飲料といえる。
そうすると、甲1発明1の「コーヒーエキス・・、水・・、脱脂粉乳・・、全脂粉乳・・を混合し」て得られ「コーヒー飲料」は、上記aで述べたことを踏まえると、本件発明1の「乳成分含有コーヒー飲料」に相当する。
c 「カラギーナン」とは「カラギナン」のことであるから、甲1発明1の「増粘タイプのカラギーナン」は、本件発明1の「μ成分及びν成分を有するカラギナン」とカラギナンである点で共通する。
d 甲1発明1のpH調整では「炭酸水素ナトリウム」のみが使用されていると認められ、「炭酸水素ナトリウム」とは「重曹」である。
そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、
「pH調整剤として重曹のみを使用してpH6.5に調製される、カラギナンを含有する、乳成分含有コーヒー飲料」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:カラギナンが、本件発明1ではμ成分及びν成分を有するものであるのに対し、甲1発明1では増粘タイプのものである点
(イ)判断
a 甲1発明1は、カラギナンとして「増粘タイプのカラギーナン」を用いており、この「増粘タイプのカラギーナン」として、甲1には「本発明で使用する増粘タイプのカラギーナンとは、紅藻類より抽出される天然多糖類の一種であり、ラムダタイプのカラギーナンを主成分とするもの、イオタタイプのカラギーナンを主成分とするものまたはこれらの混合物で、主に増粘作用を目的として調整されたカラギーナンである」(1e)と記載されているが、甲1には「増粘タイプのカラギーナン」として、μ成分及びν成分を有するものを用いることについては記載されていない。
b 甲1発明1において「増粘タイプのカラギーナン」が紅藻類から抽出されたラムダタイプのカラギーナンを主成分とするものである場合について検討すると、甲2の記載からラムダタイプのカラギーナンは紅藻類Gigartina種が生産することが記載されており、甲3の記載から、Gigartina種が生産するカラギーナンには、ラムダタイプだけでなく、μ/ν-タイプも含まれていることが理解されるが、μ/ν-タイプの含有割合は明らかでない。
一方、本件発明1に特定される「μ成分及びν成分を有するカラギナン」とは、本件明細書の段落【0017】に具体的に記載され、実施例で使用されている、μ成分を2~7質量%、ν成分を10~17質量%含有するカラギナン製剤(「カラギニンHi-pHive」)のような、有意な割合でμ成分及びν成分を含有するカラギナンであると認められる。
しかし、甲1発明1に記載された「増粘タイプのカラギーナン」は、ラムダタイプやイオタタイプを主成分とするものであることが記載され、また、本件特許明細書の段落【0016】には「一般的に市場に流通しているκカラギナン及びιカラギナンは、各々μカラギナン及びνカラギナンをアルカリ処理して得られるカラギナンであり、通常、μ成分及びν成分をほとんど含まない。」との記載も考慮すると、甲1発明1に記載された「増粘タイプのカラギーナン」が有意な割合でμ成分及びν成分を含有するものとは認められない。
したがって、相違点1が実質的な相違点ではないとはいえず、また、相違点1を当業者が容易になし得るともいえない。
そして、本件発明1は、本件特許明細書に示された、殺菌処理及び長期保存下での沈殿発生や、殺菌時に生じる焦げ付きが有意に抑制され、安定性に優れる乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料を提供できるという顕著な効果を奏するものである。
(ウ)特許異議申立人の主張について
特許異議申立書において、商業スケールで抽出した場合には、μ成分及びν成分が副成分として必然的に含まれると主張している。
しかし、上記(イ)bのとおり、本件発明1に特定される「μ成分及びν成分を有するカラギナン」とは、有意な割合でμ成分及びν成分を含有するカラギナンであると認められるから、仮に副成分としてμ成分及びν成分が含まれていたとしても、それが本件発明1のように有意な割合であるとは認められない。
イ 本件発明2~4について
請求項1を引用する本件発明2~4も、本件発明1と同じく、甲1発明に対して相違点1を有し、上記アに記載したとおり、相違点1が実質的な相違点ではないとはいえず、また、相違点1を当業者が容易になし得るともいえない。
ウ 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1と同じく、「μ成分及びν成分を有するカラギナン」を特定しているが、「μ成分及びν成分を有するカラギナン」が甲1に記載されているとも、甲1~甲3から容易想到であるともいえないことは、上記アで検討したとおりである。
エ 小括
以上のとおり、本件発明1、6は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、本件発明1~4、6は、甲1~3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 理由3について
特許異議申立人は、本件発明1、6に記載の「μ成分及びν成分を有するカラギナン」として、実施例で具体的に開示されているのは「カラギニンHi-pHive」(μ成分を2~7質量%、ν成分を10~17質量%含有するカラギナン製剤))を0.01~0.05質量%の量で用いた例のみであり、これより少ない量や多い量を用いた場合でも課題を解決できるかどうかは不明であるから、本件発明1及び6並びに本件発明1を直接引用して特定されている本件発明2~5は、発明の詳細な説明に記載されたものとは認められない旨、主張している。そして、特許異議申立人のこの主張は、本件発明に特定される「μ成分及びν成分を有するカラギナン」がμ成分及びν成分を微量しか含まない場合も包含していることを前提としていると認められる。
しかし、上記2のア(イ)bで述べたとおり、「μ成分及びν成分を有するカラギナン」とは、有意な割合でμ成分及びν成分を含有するカラギナンであると認められ、副成分として微量のμ成分及びν成分を含む場合まで包含しているとは認められない。
そして、発明の詳細な説明の記載から、μ成分を2~7質量%、ν成分を10~17質量%含有するカラギナン製剤(「カラギニンHi-pHive」)のような、有意な割合でμ成分及びν成分を含有するカラギナンであれば、殺菌処理及び長期保存下での沈殿発生や殺菌時に生じる焦げ付きが有意に抑制され、安定性に優れる乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料を提供するという本件発明の課題を解決できることを合理的に理解できる。
したがって、特許異議申立人の主張する理由3は理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700104