特許訂正審判
2019-390100
血液逆流を防止するための装置および使用の方法
- 審判番号
- 2019-390100
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-020754
- 登録番号
- 特許第6553218号(P6553218)
- 請求日
- 2019年08月23日
- 審決日
- 2019年10月18日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 千壽 哲郎
- 審判官 寺川 ゆりか
- 審判官 関谷 一夫
- 分類
- P141 .852-Y (A61M) / P141 .853-Y (A61M) / P141 .841-Y (A61M) / P141 .854-Y (A61M) / P141 .855-Y (A61M) / P141 .856-Y (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6553218号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6553218号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許6553218号(以下,「本件特許」という。)は,平成25年8月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年8月20日,米国)を国際出願日とする特願2015-528583号の一部を平成30年2月8日に新たな特許出願とした特願2018-20754号の請求項1~19に係る発明について,令和1年7月12日に特許権の設定登録がされたものであり,その後,令和1年8月23日付けで本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正事項
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は「特許第6553218号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
2 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下,「本件訂正」という。)の内容は,以下の訂正事項1~9のとおりである。なお,下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
請求項1の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。
(2)訂正事項2
請求項1の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する」という記載を,「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」という記載に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項19の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。
(5)訂正事項5
請求項19の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。
(6)訂正事項6
請求項19の「前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、半径方向内向きに付勢されていて且つ基端面および末端面を有しているバルブシート、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、少なくとも1つの凹部を含む末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部を含むキャップと、」という記載を,「前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、半径方向内向きに付勢されていて且つ基端面および末端面を有しているバルブシート、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な、少なくとも1つの凹部を含む基端端部を含むキャップと、」という記載に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0010】の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0010】の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0022】の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する」という記載を,「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」という記載に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1,4,7について
本件訂正前の請求項1のプランジャーロッドが「ストッパを含む基端端部を備え」るとの記載は,一般にストッパはプランジャーロッドの末端端部に設けられるものであるという技術常識と相容れないものとなっている。また,本件訂正前の請求項1の「前記ストッパの前記筒に対しての末端移動によって前記筒から流体を押し出す」との記載からも,ストッパがプランジャーロッドの末端端部に含まれると解するのが自然である。
さらに,本件訂正前の明細書の段落【0036】には「プランジャーロッド120の末端端部123に位置するストッパ150を含む。」と記載されており,また【図1】にも,プランジャーロッドの「末端」側の端部にストッパを設けることが図示されている。
よって,本件訂正前の請求項1の「ストッパを含む基端端部」との記載は「ストッパを含む末端端部」との記載の誤記であることが明らかである。
本件訂正前の請求項19の「ストッパを含む基端端部」との記載,訂正前の明細書の段落【0010】の「ストッパを含む基端端部」との記載についても同様に,「ストッパを含む末端端部」との記載の誤記であることが明らかである。
そうすると,訂正事項1,4,7に係る本件訂正は,明かな誤記を訂正するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
そして,ストッパがプランジャーロッドの末端端部に含まれることは本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0036】及び【図1】に記載されているから,訂正事項1,4,7に係る本件訂正は,本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第126条第5項括弧書の規定に適合し,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定にも適合する。
(2)訂正事項2,5,8について
本件訂正前の請求項1の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」との記載は,筒の内面とストッパとが「密に流体接触」するというのがどのような接触を指すのか不明であることから,技術的に不明りょうである。
一方で,本件訂正後の請求項1の「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」との記載は,どのような接触を指すのか明りょうであるし,ストッパが筒の内面と密に接触するという技術常識,及び密に接触すれば流体漏れがないという技術常識とも整合する。
また,本件訂正前の明細書の段落【0036】には「ストッパ150が筒110の内面112と流体漏れなく接触するように,(中略)位置決めされている。」との記載があり,本件訂正後の請求項1の「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」との記載は,明細書の記載とも符合するものであって,この点からも明りょうである。
よって,訂正事項2に係る本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また,訂正事項5及び8に係る本件訂正も同様に,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして,訂正事項2,5,8に係る本件訂正は,明りょうでない記載について本来の意を明らかにするものであって実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合し,また,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,特許法第126条第5項の規定にも適合する。
(3)訂正事項3,9について
本件訂正前の請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する、」との記載は,一部材である「ねじ山」が係合の一形態である「締まり嵌め」と「係合する」との記載となっており,日本語としてその意味するところが不明である。
一方で,本件訂正後の請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」との記載は,一部材である「ねじ山」と一部材である「ねじ山」とが「係合する」ものとなっており,明りょうである。
よって,訂正事項3に係る本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また,訂正事項9に係る本件訂正も同様に,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして,訂正事項3,9に係る本件訂正は,明りょうでない記載について本来の意を明らかにするものであって実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合し,また,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,特許法第126条第5項の規定にも適合する。
(4)訂正事項6について
本件訂正前の請求項19には「…血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、少なくとも1つの凹部を含む末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部を含むキャップ」との記載があるが,同じ請求項19の,バルブの側壁が有する少なくとも1つの突起が「前記キャップ内の前記少なくとも1つの凹部と協働的に係合する」との記載と併せてみれば,「少なくとも1つの凹部を含む」のは,「ルアーコネクター」ではなく「基端端部」であることが明らかである。
そうすると,訂正事項6に係る本件訂正は,誤記を訂正するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
そして,本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0066】の「いくつかの実施形態では、図7および15に示したように、バルブ140の末端端部142は、バルブの開放位置と閉鎖位置の間の自然発生的な移動を妨げる突起145を含む。いくつかの実施形態におけるキャップ130は、突起145と係合しおよびバルブ140の自然発生的な移動に対し均一なより大きな障害を与えるための、1つ以上の相補的な凹部138を有することができる。図7に示した実施形態では、キャップ130は2つの凹部138を含み、1つはバルブ140が開放位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされ(図7)、1つはバルブ140が閉鎖位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされる(図15)。」との記載,【図7】の記載及び【図15】の記載を総合すると,訂正事項6に係る本件訂正は,本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第126条第5項括弧書の規定に適合し,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定にも適合する。
2 独立特許要件
訂正事項1,4,6及び7に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~19に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである理由は見いだせないから,本件訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであって,かつ,同条第5項~7項の規定に適合する。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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