特許訂正審判
2020-390083
口を介する連続的薬物送達のためのデバイスおよび方法
- 審判番号
- 2020-390083
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2016-552470
- 登録番号
- 特許第6538063号(P6538063)
- 請求日
- 2020年09月11日
- 審決日
- 2021年04月13日
- 公報発行日
- 2021年08月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シンアジャル コーポレイション
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 【請求人代理人】飯田 貴敏
- 【請求人代理人】石川 大輔
- 【請求人代理人】山本 健策
- 審判長/審判官
- 審判長 芦原 康裕
- 審判官 栗山 卓也
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P141 .852-Y (A61M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第126条第4項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6538063号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6538063号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-32]について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6538063号(以下「本件特許」という。)は、2014年11月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年11月5日 US(アメリカ合衆国) 2014年1月10日 US(アメリカ合衆国) 2014年5月2日 US(アメリカ合衆国) 2014年8月27日 US(アメリカ合衆国))を国際出願日とする特願2016-552470号の請求項1~32に係る発明について令和1年6月14日に特許権の設定登録がされ、令和1年7月3日に特許掲載公報が発行されたものであって、その後、令和2年9月11日に本件訂正審判の請求がされ、令和2年12月25日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和3年1月26日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨と訂正事項
1 本件訂正審判は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲及び明細書を、上記手続補正書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項1~32について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 本件訂正審判に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記薬物リザーバが、前記医薬品組成物の投与率を設定する流動制限器を具備する」とあるのを、「前記薬物リザーバが、前記医薬品組成物の投与速度を設定する流動制限器を具備する」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11に「前記薬物送達デバイスが、4時間から168時間の周期にわたって前記医薬品組成物を送達するように構成される」とあるのを、「前記薬物送達デバイスが、4時間から168時間の期間にわたって前記医薬品組成物を送達するように構成される」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項20に「不溶融性」とあるのを、「不溶解性」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0004】~【0007】、【0017】、【0032】~【0034】、【0041】、【0050】、【0053】~【0056】、【0078】、【0079】、【0081】、【0093】~【0095】、【0099】、【0101】、【0102】、【0107】~【0109】、【0111】、【0149】、【0164】、【0165】、【0173】、【0213】、【0223】~【0225】、【0229】~【0232】、【0234】、【0239】、【0240】、【0242】~【0245】、【0247】~【0249】、【0251】、【0254】、【0255】、【0257】、【0262】、【0263】、【0265】~【0267】、【0270】、【0272】、【0277】、【0281】~【0283】、【0285】、【0288】、【0290】、【0293】、【0296】、【0297】、【0301】、【0302】、【0304】、【0305】、【0307】~【0310】、【0313】、【0315】、【0318】~【0321】、【0335】、【0344】、【0351】、【0355】、【0369】、【0376】、【0388】~【0390】、【0392】~【0394】、【0424】、【0475】、【0476】、【0478】~【0481】、【0539】、【0561】、【0570】、【0575】、【0587】、【0589】~【0595】、【0605】、【0606】、【0610】、【0616】、【0630】、【0653】、【0663】、【0672】、【0690】、【0694】、【0716】、【0727】、【0731】、【0734】、【0738】、【0741】および【0744】にそれぞれ「率」と記載されているのを、「速度」(「速」)に訂正する。ただし、「分率」、「比率」、「効率」、「ばね率」および「多孔率」における「率」は訂正の対象外である。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0014】、【0015】、【0033】、【0034】、【0046】、【0048】、【0054】、【0056】、【0058】、【0059】、【0062】、【0070】、【0090】、【0092】、【0094】、【0099】~【0102】、【0107】~【0111】、【0113】~【0115】、【0132】、【0143】、【0150】、【0152】~【0154】、【0158】、【0164】、【0217】、【0224】、【0225】、【0248】、【0314】、【0318】、【0358】、【0360】、【0377】、【0388】~【0394】、【0406】、【0411】、【0412】、【0415】、【0478】、【0480】、【0552】、【0553】、【0573】、【0586】、【0587】、【0588】、【0600】、【0605】、【0606】、【0608】、【0609】、【0610】、【0665】、【0666】、【0670】、【0677】、【0680】、【0683】、【0688】、【0727】および【0734】にそれぞれ「周期」と記載されているのを、「期間」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0092】、【0114】、【0115】、【0139】、【0164】、【0552】、【0553】、【0633】、【0635】および【0639】にそれぞれ「不溶融性」と記載されているのを、「不溶解性」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0139】および【0697】にそれぞれ「カルボキシ酸」と記載されているのを、「カルボン酸」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0199】に「塩酸ディルティアゼム」と記載されているのを、「塩酸ジルチアゼム」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0199】に「ミトーテン」と記載されているのを、「ミトタン」に訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0247】に「エラストマーポリアリレート」と記載されているのを、「エラストマーポリアクリレート」に訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の段落【0345】および【0349】にそれぞれ「オキシ安息香酸メチル」と記載されているのを、「ヒドロキシ安息香酸メチル」に訂正する。
(12)訂正事項12
明細書の段落【0056】に「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満に、平均率」と記載されているのを、「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満における平均速度」に訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項1~32について、請求項2~32の記載は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるので、訂正前の請求項1~32は、一群の請求項である。
したがって、訂正事項1~3に係る特許請求の範囲の訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。また、訂正事項4~12に係る明細書の訂正は、当該訂正が関係する請求項1を含む一群の請求項[1-32]の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
2 訂正の目的、新規事項の存否及び実質的拡張・変更の有無
(1)訂正事項1について
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の「投与率」との記載に対応するPCT/US2014/064137号の国際出願日における明細書(以下「原文明細書」という。国際公開第2015/069773号(以下「本件国際公報」という。)を参照。)の記載箇所には、「administration rate」と記載されており、例えば、本件国際公報の第41ページ第14-27行(明細書【0225】)では、前後の文脈から、この「administration rate」は時間当たりの投与量を指す用語として使用されていることから、「administration rate」における「rate」は、「率」ではなく、時間当たりの物理量を指す単語として「速度」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項1は、「rate」の誤訳である「率」を本来の意味である「速度」に訂正し、特許請求の範囲の請求項1に「前記薬物リザーバが、前記医薬品組成物の投与率を設定する流動制限器を具備する」とあるのを「前記薬物リザーバが、前記医薬品組成物の投与速度を設定する流動制限器を具備する」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項1は、当初明細書等の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2、5について
願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の請求項11の「周期」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「period」と記載されており、例えば、本件国際公報の第3ページ第32行-第4ページ第4行(明細書【0014】)では、「a period of 20 second」との記載があるところ、この「period」が反復を前提としないある時点から別の時点までの間を指す用語として使用されていることから、「period」は、「周期」ではなく、「期間」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項2、5は、「period」の誤訳である「周期」を本来の意味である「期間」に訂正するものであり、明細書の各段落(上記第2の2(5)参照)に「周期」とあるのを「期間」と訂正するとともに、特許請求の範囲の請求項11に「前記薬物送達デバイスが、4時間から168時間の周期にわたって前記医薬品組成物を送達するように構成される」とあるのを「前記薬物送達デバイスが、4時間から168時間の期間にわたって前記医薬品組成物を送達するように構成される」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項2、5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項2、5は、当初明細書等の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項2、5は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3、6について
願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の請求項20の「不溶融性」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「infusible」と記載されており、例えば、本件国際公報の第18ページ第24-30行(明細書【0092】)では、流体中にカルビドパの懸濁液を含む医薬品組成物について「stable, infusible pharmaceutical composition」と記載されているところ、これは懸濁液であって、すでに流体であるので、温度を上昇させることによって液体に変化する性質について表現していないことは明らかであり、また、カルビドパの懸濁液であるため、溶解していない状態のカルビドパの存在を表現する記載であることが理解されるから、「infusible」は、「不溶融性」ではなく、「不溶解性」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項3、6は、「infusible」の誤訳である「不溶融性」を本来の意味である「不溶解性」に訂正し、明細書の各段落(上記第2の2(6)参照)に「不溶融性」とあるのを「不溶解性」と訂正するとともに、特許請求の範囲の請求項20に「不溶融性」とあるのを「不溶解性」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項3、6は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項3、6は、当初明細書等の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項3、6は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4について
願書に添付した明細書の「一定率」(【0004】等)、「薬物送達率」(【0004】等)、「率」(【0005】等)、「平均薬物送達率」(【0017】等)、「平均送達率」(【0017】等)、「投与率」(【0032】等)、「平均体積率」(【0033】等)、「平均率」(【0033】等)、「流率」(【0050】等)、「注入率」(【0053】等)、「毎時率」(【0078】等)、「非一定率」(【0224】)、「用量率」(【0239】等)、「一定流率」(【0247】等)、「薬物注入率」(【0281】等)、「送達率」(【0283】等)、「放出率」(【0301】等)、「水浸透率」(【0301】)、「半浸透圧流率」(【0305】)、「標的率」(【0310】等)、「沈降率」(【0335】等)、「化学劣化反応率」(【0335】)、「核生成率」(【0355】)、「固定用量率」(【0369】)、「可変率」(【0388】)、「給送率」(【0690】)、「回転率」(【0716】)及び「圧送率」(【0744】)との各記載における「率」に対応する原文明細書の記載箇所には、「rate」と記載されており、一例として、本件国際公報の第41ページ第14-27行(明細書【0225】)では、前後の文脈から、「administration rate」は時間当たりの投与量を指す用語として使用されていることから、「administration rate」における「rate」をはじめ、明細書中の該当する「rate」は、「率」ではなく、時間当たりの物理量を指す単語として「速度」あるいは「速」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項4は、「rate」の誤訳である「率」を本来の意味である「速度」あるいは「速」に訂正し、明細書の各段落(上記第2の2(4)参照)に「率」とあるのを「速度」(「速」)に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項4は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項4は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項7について
願書に添付した明細書の「カルボキシ酸」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「carboxylic acids」と記載されており、これらの「carboxylic acids」は、「カルボキシ酸」ではなく、通常の名称である「カルボン酸」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項7は、「carboxylic acids」の誤訳である「カルボキシ酸」を「カルボン酸」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項7は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項7は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項8について
願書に添付した明細書の「塩酸ディルティアゼム」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「dilitazem HCl」と記載されており、この「dilitazem HCl」は、「塩酸ディルティアゼム」ではなく、通常の名称である「塩酸ジルチアゼム」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項8は、「dilitazem HCl」の誤訳である「塩酸ディルティアゼム」を「塩酸ジルチアゼム」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項8は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項8は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(7)訂正事項9について
願書に添付した明細書の「ミトーテン」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「mitotane」と記載されており、この「mitotane」は、「ミトーテン」ではなく、通常の名称である「ミトタン」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項9は、「mitotane」の誤訳である「ミトーテン」を「ミトタン」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項9は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項9は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項9は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(8)訂正事項10について
願書に添付した明細書の「エラストマーポリアリレート」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「elastomeric polyacrylates」と記載されており、この「elastomeric polyacrylates」は、「エラストマーポリアリレート」ではなく、正しい訳語である「エラストマーポリアクリレート」と翻訳すべきものである。
そうすると、訂正事項10は、「elastomeric polyacrylates」の誤訳である「エラストマーポリアリレート」を正しい名称である「エラストマーポリアクリレート」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項10は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項10は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項10は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(9)訂正事項11について
願書に添付した明細書の「オキシ安息香酸メチル」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「methyl hydroxybenzoate」と記載されており、この「methyl hydroxybenzoate」は、「オキシ安息香酸メチル」ではなく、通常の名称である「ヒドロキシ安息香酸メチル」と翻訳することがより適切である。
そうすると、訂正事項11は、「methyl hydroxybenzoate」の誤訳である「オキシ安息香酸メチル」を「ヒドロキシ安息香酸メチル」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項11は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項11は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項11は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(10)訂正事項12について
願書に添付した明細書の「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満に、平均率」との記載に対応する原文明細書の記載箇所には、「the average rate in less than about 60, 30, or 10 minutes after the first insertion of the device into the patient’s mouth」と記載されており、この記載は「the average rate」を表現するためのひとまとまりの記載とみることができ、「in」及び「rate」の意味合いを正確に表現した「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満における平均速度」と翻訳することがより適切である(当該「rate」については上記(4)参照)。
そうすると、訂正事項12は、「the average rate in less than about 60, 30, or 10 minutes after the first insertion of the device into the patient’s mouth」の誤訳である「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満に、平均率」を「患者の口の中へのデバイスの最初の挿入後、約60、30、または10分未満における平均速度」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項12は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものといえる。また、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項括弧書の規定に適合するものである。
そして、上述のとおり、訂正事項12は、当初明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項12は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(11)まとめ
以上の(1)~(10)によれば、訂正事項1~12に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項括弧書及び第6項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件
訂正事項1~12に係る訂正は、上記2の(1)~(11)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるかどうか検討したところ、訂正後の請求項1~32に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項1~12は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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